JP2017219451A - 被削性解析用ドリル穿孔急停止試験装置及び切屑解析方法 - Google Patents

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聡 江村
智 岩崎
Satoshi Iwasaki
智 岩崎
重男 山本
Shigeo Yamamoto
重男 山本
和之 櫻谷
Kazuyuki Sakuratani
和之 櫻谷
津崎 兼彰
Kaneaki Tsuzaki
兼彰 津崎
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Abstract

【課題】ドリル穿孔する際の切削挙動を解析するため、ドリル穿孔切削を急停止させることにより、ドリル先端部で被削材より生成する切屑を被削材に接続したままの状態で採取できる試験装置、及び前記機試験装置を使用した切屑発生機構の解析方法を提供する。【解決手段】扁平コイルバネの圧縮力により溝と突起を介して被削試験材と被削材受軸が接合する構造を有し、被削試験材をドリル穿孔中にストッパー抑えを引き抜くことにより扁平コイルバネの反発力でストッパーが外れ、被削試験材から被削材受軸が一瞬で離脱し、更に、ストッパーが外れると同時にストッパー抑えとボール盤の送りレバーが連動してドリル穿孔の送りを停止し、被削試験材が穿孔ドリルと共に回転して穿孔切削が停止する機構を有する被削性解析試験装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、金属材料の被削性を解析する試験装置に関する。更に詳しくは、金属材料をドリル穿孔する際の切削挙動を解析するため、ドリル穿孔切削を急停止させることにより、ドリル先端部で被削材より生成する切屑を被削材に接続したままの状態で保持する試験装置及び被削材に接続した切屑の解析方法に関する。
旋盤による旋削加工、フライス盤によるフライス加工、ボール盤による穿孔加工、鋸盤による切断加工等の切削加工技術は、金属製品の製作には不可欠の技術である。これらの切削加工において、被削材の材質、切削工具の性状や特性、切削速度等の切削条件、潤滑剤の有無等は、被削材より生成する切屑の状態に大きく影響を及ぼす。
切屑の生成状況が、切削抵抗、工具寿命に影響を及ぼすことが今までに多くの研究により解明されている。例えば、旋削加工時に、旋盤に取り付けた特殊な刃物台(特許文献1)を用いて、刃物を瞬時に離脱させ、切削を中断した時点での被削材についたままの切屑の状態を観察する装置及び方法が開発されている(非特許文献1)。
また、鋸盤の鋸刃の切削速度を一定に保ち、被削材を押圧する力も一定に保つ機能を有する迅速被削性試験装置(特許文献2)では、被削材の鋸刃による切削回数を比較することで切削性を評価できるとともに、押圧を解除することで切削が急停止した状態が得られ、切屑生成状態の観察が可能である(非特許文献2)。
旋削加工や鋸盤切断において生成する切屑は、切り込み深さ方向では切削速度に大きな変化はなく、また工具のすくい角も一定な状態であるので、切屑の幅方向での生成状況に大きな差異はない。これに対し、穿孔加工に使用されるツイストドリルの先端形状の関係より、ドリルチゼル部と外周部とでは、切削速度が大きく異なり、ドリルすくい角も負から正の値にまで変化する。したがって、穿孔加工時に生成する切屑の生成状況は、切屑の幅方向で大きく異なることにより、穿孔切屑生成に関しての解析が困難であり、研究がほとんど行われていない。
実公昭49−47273 実開平2−60852 特開2014−40645
荒木透、山本重男、内仲康夫:鉄と鋼、vol.54(1968),No.4、p.444-454 山本重男:金属、vol.59(1989),No.12、p.54-59
本発明の目的は、ドリル穿孔する際の切削挙動を解析するため、ドリル穿孔切削を急停止させることにより、ドリル先端部で被削材より生成する切屑を被削材に接続したままの状態で採取できる試験装置、及び前記試験装置を使用した切屑発生機構の解析方法を提供するものである。
本発明の第1は、同一の中心軸を有する円柱状被削試験材及び被削材受軸、ストッパー、ストッパー抑え、被削材保持用ベアリング、被削材受軸保持用ベアリング、扁平コイルバネがケーシング内に配備され、被削試験材下端部には溝加工が施され、溝に嵌合する突起が被削材受軸上端部に加工され、被削材受軸の周囲に配置された扁平コイルバネの圧縮力により溝と突起を介して被削試験材と被削材受軸が接合されている構造を有し、被削試験材をドリル穿孔中にストッパー抑えを引き抜くことにより扁平コイルバネの反発力でストッパーが外れ、被削試験材から被削材受軸が瞬間的に離脱し、更に、ストッパーが外れると同時にストッパー抑えとボール盤の送りレバーが連動してドリル穿孔の送りを停止し、被削試験材が穿孔ドリルと共に回転することにより穿孔切削が停止する機構を有することを特徴とするドリル穿孔急停止装置を提供する。
本発明の第2は、第1の発明のドリル穿孔急停止装置による被削試験材のドリル先端部の切屑生成状態の観察方法であって、ドリル穿孔急停止後の被削試験材の側面を切削し、ドリル穿孔した面の一部が削り取られるまで更に切削し、観察に不要な被削試験材の上部を切断し、円管内のホルダー上に切削した被削試験材側面が上方になり、かつ、ドリル穿孔底部の切屑が観察され易い位置になるように被削試験材を設置し、円管内を透明の埋め込み樹脂で充たし、樹脂が硬化した後円管を取り外し、埋め込まれた被削試験材の観察用試料の上部表面を研削・研磨を施すことにより顕微鏡観察するドリル先端部の切屑生成状態の観察方法を提供する。
本発明の試験装置を使用することにより、ドリル穿孔時のドリル先端各部における切屑生成状況を観察することが可能になり、ドリル穿孔時の切屑生成挙動の詳細が明らかとなる。例えば、今まで存在が知られていなかった、チゼル部においても構成刃先が生成していることは新たな発見である。
ドリル穿孔急停止装置の作動図。(a)ドリル穿孔前の状態。(b)ドリル穿孔急停止時の状態。 ボール盤にセットしたドリル穿孔急停止装置。 ドリル穿孔急停止装置を用いて採取した被削試験材の観察方法 図3(f)の観察断面における試料の観察方向位置。 難切削材の図4の観察方向位置(2)における顕微鏡写真。 難切削材の図4の観察方向位置(3)における顕微鏡写真。 快削材の図4の観察方向位置(2)における顕微鏡写真。 快削材の図4の観察方向位置(3)における顕微鏡写真。 快削材の図4の観察方向位置(4)における顕微鏡写真。
始めに、ドリル穿孔急停止装置についての構造と作動について図1により説明する。被削材保持用ベアリング(3)の内径にほぼ等しい外径を持つ円柱状の被削試験材(1)の下部に、被削材受軸(2)の上端部に機械加工された突起に嵌合する溝を機械加工する。被削試験材と被削材受軸の外径は等しいほうが望ましいが、異なっていても構わない。しかし、その場合は溝の加工や被削材保持用ベアリング(3)や被削材受軸保持用ベアリング(4)の内径を適宜変更する必要がある。
被削試験材及び被削材受軸の外径とそれぞれを保持するベアリング内径のはめあいは滑り動くように移動できる程度とし、被削試験材及び被削材受軸間の突起と溝も容易に離脱できる程度のはめあいとする。
ドリル穿孔急停止装置には、複数個の円柱状中空ブロックで構成されるケーシング内の中心軸上に、被削試験材、被削材受軸、被削材保持用ベアリング、被削材受軸保持用ベアリング、扁平コイルバネ(5)、被削材受軸回転防止板(6)、カム(9)が設置されている。実際に使用した扁平コイルバネは、カムによって約5mm圧縮された状態にあり、この時の反発力は50kgfに達している。この反発力により、被削材受軸が被削試験材から離脱する場合、嵌合部分を加速された状態で離脱する。
操作方法は、始めに、扁平コイルバネにより下方に移動している被削材受軸回転防止板をカムの回転により上方へ移動させ、扁平コイルバネを圧縮した状態にして、ストッパー(7)とストッパー押え(8)を介して初期位置に固定する。被削材受軸が固定された状態でカムを回転しフリーの状態にする。
被削試験材と同一外径の円柱棒材をボール盤チャックに取り付け、ドリル穿孔急停止装置の被削材保持用ベアリングに嵌合させた状態でドリル穿孔急停止装置をボール盤作業台上に固定し、ドリル穿孔急停止装置の中心軸と穿孔ドリルの中心軸を一致させる。
次に、図2に示すように、ボール盤の自動送り装置とストッパー押え(8)をワイヤ等で連結して、ストッパー押えが外れると同時にボール盤の自動送りレバー(11)が解除されるようにする。ボール盤の自動送りの解除は、ワイヤ等の連結の機械的方法でも、電気信号を検知して解除するような電磁気的方法でも構わない。
ボール盤の自動送りが入ったままの状態で、必要があれば切削油を注油装置(12)により注油しながら、起動スイッチ(13)を押してドリル穿孔を開始する。所定の深さまで穿孔が進んだ時点で、ストッパー押えを外すと、扁平コイルバネの伸びによりストッパーがはじき出され、更に、被削材受軸は圧縮された扁平コイルバネの作用で下方向に押し出され、瞬間的に、すなわちストッパー押さえを外すと同時に被削試験材から離れる。一方、被削試験材はストッパー押えが外れると同時に自動送りが停止するため、穿孔が中止され試験ドリルと共に被削試験材が回転するのみである。これにより、穿孔中断時におけるドリル先端部の切屑と切削状態が得られる。
被削試験材の外径寸法は、試験ドリルの径よりも2mm以上大きいことが望ましいが、市販のベアリングの内径も考慮する必要がある。被削試験材の最低限の長さは、被削材保持用ベアリングの高さ以上あることが必要であるが、あまり高すぎると切削試験時に回転が偏心する。
次に、被削試験材の顕微鏡観察用試料作製方法について述べる。図1(b)のドリル穿孔急停止後の被削試験材を取出し、図3(b)に示すように被削試験材の外側面を平面切削する。切削はドリル穿孔面よりもわずかに内側まで削り落す(図3(c))。こうすることで、穿孔底部に付着した切屑の状態を削り落した個所よりほぼ真横から観察でき、次の工程である不要部の切断に都合がよい。
次いでドリルの外周コーナが穿孔した位置で被削試験材の中心軸に対し直角に切断する(図3(d))。切断後、切削油を取り除くため、アセトン、エタノール等の溶媒を用いて超音波洗浄を行い、完全に脱脂を行い、次作業の樹脂埋め込みに支障が生じないようにする。
切断後の被削試験材を中心軸が水平になるようにホルダー上に置く(図3(e))。このとき穿孔底部に付着した切屑等の状態が、後工程での顕微鏡観察が容易となる位置にしておく。ホルダーとその上部に置かれた被削試験材の高さより長く、かつ、これらが内部に収まる寸法の薄肉の円管を用意し、円管のほぼ中心にホルダーと被削試験材をセットし、円管内を2液混合タイプの透明なエポキシ系常温硬化樹脂を充填する。
円管内部の透明硬化樹脂が完全に硬化したら、円管を取り外し、樹脂ごと被削試験材を顕微鏡観察する部位まで研削盤により機械研削し、そのあと、砥粒を用いたバフ研磨を行い、顕微鏡観察に供する。また、必要があれば研磨後に化学腐食処理を行っても構わない。
被削材としてFe−28Mn−5Cr−6Siの鉄系形状記憶合金を用いた。この合金は難切削性の材料として知られているが、この合金に、BとNを添加し、鋳造・鍛造圧延後、熱処理を施すと、BとNが反応し快削性を付与する微細な六方晶窒化ホウ素(h−BN)が析出し材料として快削性を有するようになる(特許文献3)。BNが析出していない鋼種を難切削材、BNが析出している鋼種を快削材とし、それらの成分分析値(mass%)を表1に示した。なお、双方の材料共に硬さは、Hv216前後の値であった。
ドリル損傷までの穿孔数で、難切削材と快削材を比較すると、同じ板厚の場合、切削速度15m/min、送り量0.16mm/revでは、難切削材が31個、快削材が70個、切削速度20m/min、送り量0.16mm/revでは、難切削材が5個、快削材が18個と2〜3倍切削性の改善が見られた。
難切削材と快削材より切り出したドリル急停止後の被削試験材の詳細な形状を図3(a)に示す。直径は10mm、高さは14mm、で、底部に幅3mm、高さ2.5mmの溝加工を施してある。
使用した穿孔用ドリルの材質は、市販のコバルトハイス HSS―Co(JIS規格のSKH55相当)、ドリル径は6mmで、先端角130°に研削して使用した。切削速度は15m/min、自動送りは0.16mm/revとし、切削油(工作油No.5)を穿孔中は連続して注油した。
ドリル穿孔深さが8mmに達した時点でストッパー押えを外し、これと同時に自動送りレバーも外れ、ドリル穿孔が急停止される。被削試験材をドリル穿孔急停止装置より取出し、図3(b)に示すように、円柱状の被削試験材の表面から2.5mmをフライス加工で切削し、穿孔位置が観察できるようにし、更に、切屑が付着している部分を残して精密カッターで切断(図3(d))した。
切断後の試料はアセトンとエタノールを使用し超音波洗浄して、被削試験材表面に付着している切削油を除去した。洗浄後、円管のほぼ中心にホルダーと被削試験材をセットし、円管内を2液混合タイプの透明なエポキシ系常温硬化樹脂を充填した(図3(e))。充填後約2時間で完全に硬化するので、図4の観察方向(1)の位置まで、研削盤で研削加工した後、バフ研磨を行って顕微鏡観察した。観察方向(1)の位置の観察が終わったら更に研削、研磨を続け、観察方向(2)の位置の顕微鏡観察を行った。順次、観察方向(4)の位置まで研削、研磨を繰り返した後、硝酸―塩酸(1:3)の混合希薄溶液に5min浸漬する化学腐食を行い、顕微鏡観察を行った。
図5に難切削材の観察方向位置(2)、図6に難切削材の観察方向位置(3)の顕微鏡写真を示した。いずれの写真の半月状の部分はドリルチゼル部に生成した構成刃先で、その下方の層状でぎざぎざのある部分が切屑である。旋盤切削では、切削工具のすくい部に構成刃先が生成されることは知られているが、ドリルチゼル部に構成刃先が生成していることは、ドリル穿孔急停止試験装置を使用して初めて明らかになったことである。
図7〜図9のそれぞれに、快削材の観察方向位置(2)、(3)、(4)における顕微鏡写真を示した。難切材と比較すると、半月状の構成刃先の厚みが増し、切屑の厚さは薄くなる傾向が見られる。難切削材と快削材とを比較すると、ドリル損耗が2〜3倍改善されることを前述したが、その理由としては、構成刃先が厚く生成し、切屑厚さが減少していることが影響しているものと考えられる。
本願発明のドリル穿孔急停止試験装置により取得したドリル穿孔切屑及び構成刃先の解析により、様々なドリル穿孔条件時における穿孔機構が解明され、ドリル穿孔技術の向上に資するものとなる。
1.被削試験材
2.被削材受軸
3.被削材保持用ベアリング
4.被削材受軸保持用ベアリング
5.扁平コイルバネ
6.被削材受軸回転防止板
7.ストッパー
8.ストッパー押え
9.カム
11.自動送りレバー
12.注油装置
13.起動スイッチ
14.穿孔ドリル

Claims (2)

  1. 同一の中心軸を有する円柱状被削試験材及び被削材受軸、ストッパー、ストッパー抑え、被削材保持用ベアリング、被削材受軸保持用ベアリング、扁平コイルバネがケーシング内に配備され、
    被削試験材下端部には溝加工が施され、
    溝に嵌合する突起が被削材受軸上端部に加工され、
    被削材受軸の周囲に配置された扁平コイルバネの圧縮力により溝と突起を介して被削試験材と被削材受軸が接合されている構造を有し、
    ドリル被削性試験においてドリル穿孔中にストッパー抑えを引き抜くことにより扁平コイルバネの反発力でストッパーが外れ、
    被削試験材から被削材受軸が瞬間的に離脱し、更に、
    ストッパーが外れると同時にストッパー抑えとボール盤の送りレバーが連動してドリル穿孔の送りを停止し、被削試験材が穿孔ドリルと共に回転することにより穿孔切削が停止する機構を有することを特徴とするドリル穿孔急停止装置。
  2. 請求項1に記載のドリル穿孔急停止装置による被削試験材のドリル先端部の切屑生成状態の観察方法であって、
    ドリル穿孔急停止後の被削試験材の側面をドリル穿孔した面の一部が削り取られるまで平面切削し、
    観察に不要な被削試験材の上部を切断し、円管内のホルダー上に切削した被削試験材側面が上方になり、かつ、ドリル穿孔底部の切屑が観察され易い位置になるように被削試験材を設置し、
    円管内を透明の埋め込み樹脂で充たし、樹脂が硬化した後円管を取り外し、
    埋め込まれた被削試験材の観察用試料の上部表面を研削・研磨を施す
    ことにより顕微鏡観察するドリル先端部の切屑生成状態の観察方法。



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