JP2017187457A - 水素透過拡散経路観測装置及びそれを用いて試料を透過する水素イオンを計測する方法 - Google Patents

水素透過拡散経路観測装置及びそれを用いて試料を透過する水素イオンを計測する方法 Download PDF

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【課題】試料を透過する水素イオンの計測方法を提供する。【解決手段】水素透過拡散経路観測装置10は、試料17に電子線を照射する電子源16と、照射電子線により生じる二次電子を検出する二次電子検出器18を備える走査型電子顕微鏡15と、照射電子線により生じる水素イオンを検出する水素イオン検出部20と試料の裏面側に接続される水素配管14に水素を供給する水素ガス供給部19と、制御部50とを具備し、試料を分析室と水素配管との間に隔膜となるように配設し、水素イオン検出部は、試料表面から生じる水素イオンを収集する収集機構21と水素イオン以外を除去するイオンエネルギー分解部22と通過した水素イオンを検出するイオン検出器23とからなり、制御部は、試料から発生する二次電子によるSEM像を取得し、かつ、裏面から試料内を拡散して表面に湧出する水素を電子衝撃脱離により水素イオンを電子線の走査に同期して取得する。【選択図】図1

Description

本発明は、水素透過拡散経路観測装置及びそれを用いて試料を透過する水素イオンを計測する方法に関する。
構造材料における水素脆化は大きな問題であり、水素利用社会が進むにつれてより重要になる研究分野である。水素は電子を一つしか持たないため、電子分光やエネルギー分散法(Energy Dispersion X-ray Spectroscopy、以下、EDXと略称する。)では検出されず、水素と他の原子の振動分光を行うことや、核反応法で測定する方法、水素マイクロプリント法(銀デコレーションなど)で間接的に水素の存在を確認する方法が知られている。
固体内あるいは表面に湧出した水素分布の観察方法は、核反応法や水素マイクロプリント法(銀デコレーション)等があるが、何れも固体内を拡散する水素を動的に追跡することは不可能であった。
さらに、二次イオン質量分析法で表面を削りながら、水素を検出する方法が行われている。これらの何れも水素の動的な挙動測定は行わず、試料を汚染する、あるいは壊しながら測定するため計測している試料の再利用や再計測ができない。環境温度や雰囲気を変えた測定も不可能である。
また、水素は軽く、移動しやすくすぐに無くなってしまうので、ごく微量の水素を検出するための手法の開発がなされてきた。
仮に、水素の拡散速度や拡散計数の温度依存性などを測定する場合にも、試料内に存在していた水素が放出されてなくなってしまうので、実験条件が限られていた。
電子衝撃脱離法(ESD法と呼ぶ)は電子の照射により吸着原子をイオン化し、脱離させることで表面分析を行う方法であり、表面分析分野における公知の手法である。ESD法を用いると、実時間で水素を直接観察することが可能になる(非特許文献1及び非特許文献2参照)。特許文献1には、試料表面のプロトンの拡散を測定できる走査プロトン顕微鏡が開示されている。
一方、ESD法を用いることで、表面に滞在する水素の位置情報を可視化することは可能であるが、水素が脱離しきってしまうと測定が続けられなくなるため、鉄鋼内に微量に存在する水素の湧きだし量測定には適していなかった。
特開平10−269983号公報
板倉明子、村瀬義治、土佐正弘、鈴木真司、高木祥示、後藤哲二、「水素放出に及ぼすステンレス鋼の表面加工の効果」、J. Vac. Soc. Jpn.、Vol. 57, No. 1, pp.23-26, 2014 宮内直弥、鈴木真司、高木祥示、後藤哲二、村瀬義治、板倉明子、「ステンレス表面上の透過水素分布の観察」、J. Vac. Soc. Jpn.、Vol. 58, No. 10, pp.31-35, 2015
従来の装置や方法では、試料内部で拡散して、表面側に放出される水素を非破壊でかつ実時間で、その透過経路(チャンネル)を測定することができないという課題がある。
本発明は、従来の装置や方法では実現できなかった水素透過拡散経路観測装置及びそれを用いた試料を透過する水素イオンの計測方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、試料裏面側から試料に水素を導入することで、試料内を拡散しつつ表面側に透過(湧出、放出とも表現するが、何れも同義である。)する水素をESD法で取得する際に、ESD像とSEM像を電子線と同期して計測する装置において、水素を用いて分析室内に残留する水素ガスによる感度の低下を無くし、さらに、エッチング等の凹凸した試料を使用しても水素イオンの収率効果の高い収集機構と水素イオンを選択的に透過させるイオンエネルギー分解部等からなる水素イオン検出部を備えた水素透過拡散経路観測装置が実現できるという知見を得て、本発明に想到した。
本発明の水素透過拡散経路観測装置は、下記構成を備える:すなわち、
試料及び該試料に電子線を照射する電子源を収容する分析室と分析室に配設され試料に照射された電子線により生じる二次電子を検出する二次電子検出器とを備える走査型電子顕微鏡と、
電子源から試料に照射された電子線により生じる水素イオンを検出する水素イオン検出部と、
試料の裏面側に接続される水素配管に水素を供給する水素ガス供給部と、
制御部と、を具備し、
試料を、該試料の結晶粒径と同程度の厚さとすると共に、その表面が平坦面を有し、分析室と水素配管との間に試料が隔膜となるように配設されており、
水素イオン検出部は、電子線の照射で生じる水素イオン以外を除去するフィルタとイオン検出器とを、備え、
制御部は、電子線の走査により試料から生じる二次電子によるSEM像と、試料の裏面から試料内を拡散して表面に湧出する水素を電子線の電子衝撃脱離により発生する水素イオンのESD像とを取得する。
本発明の別の水素透過拡散経路観測装置は、下記構成を備える:すなわち、
試料及び該試料に電子線を照射する電子源を収容する分析室と分析室に配設され試料に照射された電子線により生じる二次電子を検出する二次電子検出器と、を備える走査型電子顕微鏡と、
電子源から試料に照射された電子線により生じる水素イオンを検出するイオン検出器と、
試料の裏面側に接続される水素配管に水素を供給する水素ガス供給部と、
制御部と、を具備し、
試料は、分析室と水素配管との間に試料が隔膜となるように配設され、
水素イオン検出部は、試料表面から生じる水素イオンを収集する収集機構と、水素イオン以外を除去するイオンエネルギー分解部と、イオンエネルギー分解部を通過した水素イオンを検出するイオン検出器とからなり、
制御部は、電子源から発生する電子線の走査により試料から生じる二次電子によるSEM像を取得し、かつ、試料の裏面から試料内を拡散して表面に湧出する水素を電子線の電子衝撃脱離により水素イオンとし、水素イオンのESD像を電子線の走査に同期して取得する。
上記構成において、試料は、好ましくは、隔膜型試料ホルダーに支持され、試料と隔膜型試料ホルダーとで、分析室と水素配管とを仕切る隔膜として構成される。
収集機構は、好ましくは、グリッド構造を有している。
分析室は、好ましくは、試料の位置を調整する試料位置調整部を備え、好ましくは、質量分析装置及び/又はオージェ電子分光器を備えている。
分析室又は水素配管は、試料の試料加熱部を備えている。
制御部は、好ましくは、二次電子検出部と高電圧安定化電源と記憶装置を制御する電子顕微鏡全体制御部と、ESD像を検出する電子衝撃脱離全体制御部と、を備えている。
電子衝撃脱離全体制御部は、好ましくは、パルス計数部と同期制御部と二次元平面への並べ替え部とを備えている。
水素は、好ましくは重水素である。
本発明の試料を透過する重水素イオンの計測方法は、上記の何れかに記載の水素透過拡散経路観測装置を用い、ESD像の位置分解能を、SEM像と比較することにより20nm以下とすることを特徴とする。
上記方法において、好ましくは、試料の表面をエッチングしてSEM像を観察し、該SEM像から結晶粒界を特定し、特定した結晶粒界をSEM像及びESD像に重ねて表示して、結晶粒とESD像で得られる水素イオン分布との対応を調べ、結晶粒における水素イオンの放出位置の構造情報を得る。
好ましくは、試料の温度を変え、水素イオンの放出量データを積算することにより、試料内の水素の拡散速度及び/又は拡散係数を、時間及び試料の位置情報と共に算出する。
導入する水素は、好ましくは重水素である。
本発明の水素透過拡散経路観測装置によれば、水素を供給しながら、非破壊かつ実時間で試料を透過する水素や水素の透過経路(チャンネル)を測定することができる。
本発明の水素透過拡散経路観測方式を、従来の振動分光や核反応法と比較したときの優位性は、SEM像と同様に空間分解能が高いことである。
銀デコレーションの場合と比較したときの優位性は試料を汚染しないこと、非破壊であること、試料温度を上げられること、収量が高いことである。
二次イオン質量分析法と比較したときの優位性は非破壊であること、試料温度を上げられることである。
本発明の水素透過拡散経路観測装置を用いた水素の観察方法によれば、例えば、既存の金属材料からなる試料を作製し、水素の透過拡散経路の位置の特定を高空間分解能で測定することが可能となる。
また、非破壊、動的測定による拡散速度及び/又は拡散係数の測定や、試料の拡散速度及び/又は拡散係数の温度依存性等を測定することが可能になる。
本発明の第1の実施の形態に係る水素透過拡散経路観測装置の構成を模式的に示す図である。 隔膜型試料ホルダーと、隔膜型試料ホルダーに接続される水素配管等との関係を示す部分断面図である。 第1の実施形態において、分析室内の水素イオン検出部と、隔膜型試料ホルダーと、隔膜型試料ホルダーに接続される水素配管等の関係を示す部分拡大図である。 収集機構と、隔膜型試料ホルダーとの関係を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。 収集機構の部分図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 収集機構で収集する水素イオンの軌跡を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。 収集機構に印加する電圧が図6よりも低い場合の水素イオンの軌跡を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。 収集機構に印加する電圧が図6よりも高い場合の水素イオンの軌跡を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。 従来の収集機構が無い場合の水素イオンの軌跡を示す図である。 本発明の原理を説明する図であり、試料に電子線が照射されたときの電子衝撃脱離により発生する水素イオンの検出を模式的に示す。 制御部のブロック図である。 電子衝撃脱離全体制御部の構成を示すブロック図である。 電子線の走査とESD像の二次元計測との関係を示す模式図である。 ESD像の二次元走査を説明する図であり、(a)は1行の走査、(b)は第1〜第3行の走査、(c)は1画面となる全画素の走査を示す。 走査により二次元のESD像を計測するフロー図である。 試料の断面の模式図である。 重水素導入から0.5時間後に6分の撮影時間で取得したESD像である。 重水素導入から55時間後に6分の撮影時間で取得したESD像である。 実施例1において、各6分の撮影で50回積算した(5時間積算)ESD像の時間経過を示す図で、(a)が5時間後、(b)が10時間後、(c)が15時間後、(d)が20時間後、(e)が25時間後、(f)が30時間後のESD像である。 さらに積算をしたときのESD像の変化を時間軸で重ねて示す図である。 実施例1において、6分の撮影時間で550回積算(55時間経過)したときのESD像である。 実施例1のSEM像の一例である。 実施例1のESD像の一例である。 図22のSEM像に結晶粒界をさらに実線で追加したSEM像である。 図23のESD像に図22に追加した結晶粒界の実線を追加したESD像である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
最初に、第1の実施の形態に係る水素透過拡散経路観測装置について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る水素透過拡散経路観測装置10の構成を模式的に示すものである。
図1に示すように、水素透過拡散経路観測装置10は、走査型電子顕微鏡15を備え、この走査型電子顕微鏡15には、試料17と、試料17に電子線を照射する電子源16を収容する分析室11と、分析室11に配設され試料17に照射された電子線により生じる二次電子を検出する二次電子検出器18とが配備されている。さらに、水素透過拡散経路観測装置10は、電子源16から試料17に照射された電子線により生じる水素イオンを検出する水素イオン検出部20と、試料17の裏面側に接続される水素配管14に水素を供給する水素ガス供給部19と、制御部50と、を具備している。
図2は、隔膜型試料ホルダー12と隔膜型試料ホルダー12に接続される水素配管14等との関係を示す部分断面図である。
図2に示すように、試料17は、分析室11と水素配管14との間に試料台部31と共に試料17が隔膜となるように配設されている。水素ガス供給部19は、水素配管14と試料台部31を介して隔膜型試料ホルダー12に接続されている。本実施形態では、隔膜型試料ホルダー12は分析室11と水素配管14との間に試料台部31と共に配設され、この隔膜型試料ホルダー12に試料17が配設されることで、分析室11を仕切る隔膜として構成されている。隔膜型試料ホルダー12は、例えば、ICF34(国際標準規格)のフランジ付き単管の一端側12aを塞ぐように試料17の外周部を溶接し、単管の他端のフランジ部12bを試料台部31に接続する構成でなる。
図3は、分析室11内の水素イオン検出部20と、隔膜型試料ホルダー12と、隔膜型試料ホルダー12に試料台部31を介して接続される水素配管14等の関係を示す部分拡大図である。水素イオン検出部20は、試料17の表面から生じる水素イオンを収集する収集機構21と、水素イオン以外を除去するイオンエネルギー分解部22と、イオンエネルギー分解部22を通過した水素イオンを検出するイオン検出器23とからなる。
水素イオン検出部20は、ESD法により試料17の表面で発生する水素イオンを検出する。電子線の走査により検出した水素イオンによる二次元の像を、ESD像又はESDマップとも呼ぶ。
分析室11には、隔膜型試料ホルダー12が載置されて、水素配管部14に接続される試料台部31と、加熱された試料17の温度を測定する試料温度測定部33及び17の位置を調整する試料位置調整部34と、が配備されている。
図1に示すように、分析室11内の残留元素を分析する質量分析器35等が配備されていてもよい。質量分析器35は、例えば四重極質量分析装置である。
分析室11には、さらにオージェ電子分光器が備えられていてもよい。オージェ電子分光器により、試料17の表面に存在する炭素等の量を測定することができる。
図3に示すように、試料台部31には、試料17の温度を室温よりも高い温度として水素の拡散を促進するように試料加熱部32が配設されている。加熱される試料17の温度は図1に示した試料温度測定部33により測定される。この試料温度測定部33に用いる温度センサーとしては、例えば銅とコンスタンタンとからなる熱電対を使用することができる。熱電対は、試料17に溶接により接続してもよい。熱電対のリード線は、分析室11内に配設された導線引き出しポート11aに接続される。試料17の加熱温度により熱電対に生じる起電力は、導線引き出しポート11aの外部端子に接続した電圧計により測定され、試料17の温度が測定できる。またこの電圧を検知しヒーター電流にフィードバックして温度を一定に保つ温度調整機構を配設する。ここで、試料加熱部32は、水素配管14以外の部分に備えることも可能である。
分析室11は、第1の真空排気部37により真空にされる。第1の真空排気部37は、図示しないターボ分子ポンプ等の真空ポンプと、ゲートバルブや真空計等を備えて構成されている。分析室11をSEM像が得られる真空度、例えば1.0×10−7Pa以下に排気する。
水素配管14の先端は、試料台部31を介して試料17が接続された隔膜型試料ホルダー12にフランジを介して接続されており、試料17の裏面に水素を供給する。基端側は、フランジ、配管、ストップバルブ等を介して第2の真空排気部38に接続されている。水素配管14は、第2の真空排気部38により真空にされる。第2の真空排気部38は、図示しないターボ分子ポンプ等の真空ポンプと、ストップバルブや真空計等を備えて構成されている。第2の真空排気部38は、水素配管14、試料台座部31及び隔膜型試料ホルダー12を所定の真空度に排気する。
水素ガス供給部19は、図示しない水素ガスのボンベと、圧力調整器、ストップバルブ、圧力計等を備えて構成されている。水素配管14、試料台座部31及び隔膜型試料ホルダー12が、所定の真空度に排気された後、第2の真空排気部38側のストップバルブが閉となる。所定の真空度は、例えば8.0×10−4Pa以下である。
次に、水素ガス供給部19側のストップバルブが開となり、水素ガス供給部19から水素が水素配管14に供給される。これにより、試料台座部31、隔膜型試料ホルダー12を介して試料17の裏面が水素に晒される。水素ガスは、分析室11にバックグラウンドとして残留する水素ガスとの区別が容易にできるように、重水素が好ましい。
図2に示すように、隔膜型試料ホルダー12に保持される試料17は、その表面が分析室11側に露出され、その裏面側が水素配管14側に露出している。隔膜型試料ホルダー12は、試料台部31にネジ等で固定されている。
試料17は、例えば鉄鋼やステンレスからなる薄板であり、厚さは、100〜300μm程度である。試料17は試料加熱部32により加熱されている。試料加熱部32は、例えばハロゲンランプから構成されている。
図3に示すように、試料17近傍には水素イオン又は重水素イオンを効率よく収集するための収集機構21が配設されている。図の収集機構21は、金属線の金網からなり、グリッド構造のレンズである。収集機構21で集光した水素イオンは、水素イオン検出部20に入射する。イオンエネルギー分解部22は、例えば水素イオンを選別して、イオン検出器23に入射させる。
イオンエネルギー分解部22は、イオン検出器23が試料17に直接対向しないように蓋形状を有している金属電極からなる。イオンエネルギー分解部22は、円筒形や円錐を含む形状の電極を用いることができる。イオンエネルギー分解部22は、円筒形の電極に適当な正電圧を印加し、電場により水素イオンだけをイオン検出器23に導き、試料17に電子線が照射されて発生する光と電子を除去できる。イオン検出器23は、例えばセラトロンや二次電子増倍管を用いることができる。
図4は、収集機構21と隔膜型試料ホルダー12との関係を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、図5は収集機構21の部分図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図4に示すように、収集機構21は、隔膜型試料ホルダー12の試料17の周囲に取付部21aにより試料台部31に固定されている。
図5に示すように、収集機構21は、金網構造のグリッド構造からなるメッシュ部21cと該メッシュ部を固定するメッシュ保持部21bとを有している。図示の収集機構21では、円筒の一部、例えば2分割した半分で構成されている。収集機構21の大きさは、半径が5〜50mmで、高さが20〜50mm程度である。グリッド構造は、例えば、金属線を用いた金網からなる。検出器配置等の空間的な制限がなければ、グリッド構造のメッシュの開口率の制限はなく、例えば空孔を持たないプレート形状のレンズでも使用可能である。
図6は、収集機構21で収集する水素イオンの軌跡を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図であり、図7は、収集機構21に印加する電圧が図6よりも低い場合の水素イオンの軌跡を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図であり、図8は、収集機構21に印加する電圧が図6よりも高い場合の水素イオンの軌跡を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図であり、図9は、従来の収集機構21が無い高い場合の水素イオンの軌跡を示す図である。
図6に示すように、試料17の表面から放出される水素イオン41は、収集機構21で収集され、水素イオン検出部20のイオンエネルギー分解部22の開口部に入射する。
収集機構21への印加電圧はシミュレーションにより最適値を決めた。イオン(荷電粒子)の軌跡のシミュレーションには、イオン光学設計シミュレーションソフトSIMIONを用いた(http//simion.com/参照)。図6に示す水素イオン41は、ESDによる水素イオン放出のエネルギーを3eVとしたとき、収集機構21の印加電圧を200Vとしたときの軌跡を示している。印加電圧は、グランド(アース又は接地電位とも呼ぶ)を0Vとして、収集機構21との間に印加される電圧である。
図7に示すように、収集機構21に印加する電圧が図6よりも低い場合には、水素イオン41はイオン検出部22の上方に外れる軌跡となり、水素イオン41が水素イオン検出部20に収集する効率が低下する。
図8に示すように、収集機構21に印加する電圧が図6よりも高い場合には、水素イオン41はイオン検出部22の下方に外れる軌跡となり、水素イオン41が水素イオン検出部20に収集する効率が低下する。
図9に示すように、従来の収集機構21が無い場合には、イオン検出部22に入射する水素イオンしか捕獲されないので、水素イオン41が水素イオン検出部20に収集する効率が著しく低下する。
本発明の収集機構21により、図9に示す従来の収集機構21が無い場合の水素イオン検出部20の方向に放出されなかった水素イオンも検出できるようになった。これにより、これらのイオン収率が格段に向上し、収集機構21を使用しない場合の100〜数百倍に向上した。
収集機構21を設けることにより、試料17の微細な凹凸で水素イオンがシャドーイング(凹凸の影になることによる遮蔽)されることが無くなった。収集機構21を設けることで、水素イオン41の放出方向が結晶粒の面方向に依存するために発生するイオン像の濃淡を除去することができる。その結果、鏡面研磨面を施さない試料17の測定も可能になった。
これにより、試料17の鏡面研磨をしなくても良いので、SEM像の撮影し易い結晶粒構造を反映したエッチング面のまま、ESD像の取得や撮影が可能になり、試料17の表面の組織を反映した水素イオンの存在量の計測ができる。
(ESD)
図10は、試料17に電子線16aが照射されたときの電子衝撃脱離により発生する水素イオン41の検出を模式的に示す図である。図10に示すように、分析室11と、水素配管14及び試料台部31は、試料17が隔壁となり仕切られている。つまり、試料17は、分析室11と水素配管14及び試料台部31との間に試料17が隔膜となるように配設されている。分析室11は、試料17の表面に電子線16aが照射され、試料17から水素イオン41が生じる。
試料17の裏面側は水素配管14及び試料台部31であり、真空引きされた後に、水素が所定の圧力で導入される。試料17の裏面側から試料17内部に導入された水素は、試料17の内部を拡散して、試料17の表側の表面に到達して放出される、つまり、水素や重水素は、試料17の裏面側から表面に透過することになる。この試料17の表面に到達した水素に電子線16aが照射されることで電子衝撃脱離(ESD)により試料17から脱離した水素イオン41が試料17から脱離して、収集機構21で収束されることにより水素イオン検出部20で検出される。
(制御部)
制御部50は、電子源16から照射する電子線16aの走査により試料から発生する二次電子による走査電子顕微鏡像(SEM像と呼ぶ)を取得し、かつ、試料の裏面から該試料内を拡散して表面に湧出する水素を、電子線の電子衝撃脱離(ESD)により水素イオンとし、水素イオンのESD像を電子線の走査に同期して取得する。
図11は、制御部50のブロック図であり、図12は、電子衝撃脱離全体制御部52の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、制御部50は、走査型電子顕微鏡15を制御する電子顕微鏡全体制御部51と、ESD像の取得を制御する電子衝撃脱離全体制御部52とを含んで構成されている。電子顕微鏡全体制御部51は、試料17の走査型電子顕微鏡像(SEM像)を取得するための二次電子検出部53と、電子光学系制御部54と、SEM用の画像演算部55と、高電圧安定化電源56と、入力装置57と、ディスプレイ58と、記憶装置59等から構成されている。分析室11内に配設される二次電子検出器18の出力は、二次電子検出部53に入力される。
(電子衝撃脱離全体制御部)
図12に示すように、ESD像の取得を制御する電子衝撃脱離全体制御部52は、二次元のマルチチャンネルスケーラー60と、パルス計数部61と、同期制御部62と、測定信号の二次元平面への並べ替え部63と、マイクロプロッセッサ72等から構成されている。
分析室11内に配設される水素イオン検出部20の出力は、電子衝撃脱離イオン検出部67を介してパルス計数部61に入力される。電子衝撃脱離全体制御部52には電子光学系制御部54から走査信号が入力され、SEM像と同期して制御される。さらに電子衝撃脱離全体制御部52には、ディスプレイ65と記憶装置66が接続されている。
マイクロプロッセッサ72は、マイクロコントローラ等のマイコン、パーソナルコンピュータ、現場でプログラム可能なゲートアレイであるFPGA(Field-Programmable Gate Array)でもよい。
電子光学系制御部54から入力された走査信号は、同期制御部62を介して垂直走査信号62aとして、電子源16の第1の偏向コイル16bに出力される。同期制御部62からの水平走査信号62bは、電子源16の第2の偏向コイル16cに出力される。同期制御部62から走査位置に関する情報62cが、マイクロプロッセッサ72に出力される。
パルス計数部61から出力される水素イオンのカウント数信号61aは、各走査位置の水素イオンのカウント数信号としてマイクロプロッセッサ72に出力される。
マイクロプロッセッサ72で生成されたESD像は、入出力インターフェース(I/O)72aを介してディスプレイ65に出力され、かつ、入出力インターフェース(I/O)72bを介して記憶装置66に出力される。
次に、電子衝撃脱離全体制御部52の動作について説明する。
図13は、電子源16の走査と、ESD像の二次元計測との関係を示す模式図である。図13に示すように、電子源16から発生した電子線16aは、第1の偏向コイル16bと第2の偏向コイル16cを通過することにより、水平方向と垂直方向に走査されて試料17に二次元に照射される。
図13に示す同期制御部62において発生されるデジタル信号である垂直走査信号のクロック信号は、デジタルアナログ変換器(DAC)62dにより鋸波に変換されて、電子源16の第1の偏向コイル16bに印加される。同様にデジタル信号である水平走査信号のクロック信号は、デジタルアナログ変換器(DAC)62eにより鋸波に変換されて、電子源16の第2の偏向コイル16cに印加される。
1パルスの撮影タイミング信号(Shoot timing、ST信号と呼ぶ)によって、垂直走査信号(Vertical clock)が、合計2048パルス発生するように制御が開始される。
1パルスの垂直走査信号のパルス幅の期間に、水平方向の画素信号(Horizontal clock)が、合計2048パルス出力される。これにより、2048行×2048列(=4194304)の約419万画素の二次元走査を生成する。つまり、パルス計数部61でカウントされる信号は、ST信号、垂直走査用のクロック信号、水平走査用のクロック信号からなる複数のカウンターを同期させることで、各走査位置におけるイオン検出器23からの水素イオンのカウント数として取得することができる。
(二次元ESD像)
図14は、ESD像の二次元走査を説明する図であり、(a)は1行の走査、(b)は第1〜第3行の走査、(c)は1画面となる全画素の走査である。図14(a)に示すように1行の走査が終了すると、図14(b)に示すように2行目の走査が開始されて、第1行の走査と同様に水平方向の画素毎に水素イオンのカウント数が取得される。2行目の走査が終了すると、次に3行の走査が開始される。上記の二次元走査の繰り返しにより、図14(c)に示すように、1画面として、例えば、2048行×2048列からなる4194304画素(約419万画素)の二次元のESD像を取得することができる。
(ESD像の取得方法)
図15は、走査による二次元のESD像を計測するフロー図である。図15に示すように、二次元のESD像は、以下のステップで行うことができる。
ステップ1:試料17の表面から脱離した水素イオンが、イオン検出器23で検出される。
ステップ2:イオン検出器23で検出した水素イオンの定量計測を、パルス計数部61で行う。
ステップ3:図13に示した垂直走査用のクロック信号及び水平走査用のクロック信号を生成する同期制御部62により、試料17の二次元の各測定点の水素イオンのカウントを行う。
ステップ4:ステップ3で測定した試料17の二次元の各測定点の水素イオンのカウント数を記憶装置66のメモリーに保存する。
ステップ5:垂直走査用のクロック信号及び水平走査用のクロック信号を元に記憶装置66のメモリーに保存されたイオン信号を二次元画像として並び替える。
ステップ6:ステップ5で取得したESD像をディスプレイ65に表示され、画像及び数値データとして、記憶装置66に保存する。
これにより、SEM像と同じ領域のESD像が取得される。
上記ステップ1〜6のESD像の取得は、計測機器制御に特化したプログラム製作環境で作製したソフトウェアで実行することができる。このようなソフトウェアとしては、National Instruments社製のLabVIEW(登録商標)http://www.ni.com/labview/ja/)を用いることができる。上記ステップ1〜6のESD像は、マイクロプロッセッサ72において、LabVIEWで作製したプログラムで実行される二次元のマルチチャンネルスケーラー60により取得できる。
水素透過拡散経路観測装置10においては、SEM像は、従来と同様にして得ることができる。二次電子検出器18からの信号は、制御部50の二次電子検出部53で検知され、電子顕微鏡全体制御部51によりディスプレイ58に表示される。
本発明の水素透過拡散経路観測装置10によれば、二次電子によるSEM像と上記ステップ6で取得したESD像を比較することにより、例えば金属からなる試料17の組織の局所構造と水素透過との関連を調べることが可能となる。例えば、局所構造としては、金属の結晶粒サイズやその結晶構造と水素透過、つまり水素放出能とを比較することができる。
(水素放出位置の空間分解能)
水素放出位置の空間分解能は、本質的には走査型電子顕微鏡15の倍率に依存するため、走査型電子顕微鏡15の倍率と同等まで向上できるので、10〜20nm、つまり20nm以下の分解能が得られる。走査型電子顕微鏡15の倍率の限界は、走査型電子顕微鏡15とその周囲の振動除去と電子ビーム径により決まる。
さらに、水素イオンの検出を走査型電子顕微鏡15の二次電子検出の限界と一致させるためには、電子と水素イオンの飛行時間の差が問題になるが、測定中の電子走査の時間を遅くすること、又は、イオン検出器23と試料17の距離を短くすることで対応することができる。
(効果)
本発明の水素透過拡散経路観測装置10によれば、水素を供給しながら、非破壊かつ実時間で水素の透過経路(チャンネル)を測定することができる。
本発明の水素透過拡散経路観測方式を、従来の振動分光や核反応法と比較したときの優位性は、実時間計測が可能であること、SEM像と同様に空間分解能が高いことである。
銀デコレーションと比較したときの優位性は試料17を汚染しないこと、実時間計測が可能であること、試料17の温度を上げられること、収量が高いことである。
二次イオン質量分析法と比較したときの優位性は実時間計測が可能であること、非破壊であること、試料17の温度を上げられることである。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として水素透過拡散経路観測装置10を用いた水素イオン等の測定方法について説明する。
(試料の結晶粒界のSEM像による観察)
試料17の結晶粒界は、表面を平坦にした試料17を、その材料に応じたエッチングで処理し、その表面の二次電子像であるSEM像で観察することができる。試料17の表面は、研磨や鏡面研磨により平坦化することができる。エッチングは、酸やアルカリ等によるエッチング液や電解研磨により行うことができる。これにより、試料17の結晶粒界や転位を、SEM像で観察することができる。
(試料の断面)
図16は、試料17の断面の模式図である。図16に示すように、金属からなる試料17の厚さを、金属の結晶粒と同程度の寸法(サイズ)にした場合を示しており、結晶粒サイズが100〜150μmとしている。
図16の(a)、(d)は転位の無い結晶粒の場合であり、試料17の裏面側から拡散する水素が、結晶粒の境界である結晶粒界ではなく、結晶粒の内部を拡散して表面側に拡散する経路を示している。図16の(b)は転位の入った結晶粒の場合であり、試料17の裏面側から拡散する水素が、結晶粒の境界である結晶粒界ではなく、結晶粒の内部を拡散して表面側に拡散するが、転位があるので、試料17からの水素放出が大きくなる。図16の(c)は転位の入った結晶粒ではあるが、下側には転位の無い結晶粒があり、試料17の裏面側から拡散する水素が、生じないことを示している。
(ESD像の観察)
図16で説明した試料17から脱離する水素イオンの量は、測定位置毎に検出した水素イオンのカウント数の画像処理において、白黒の濃淡化やカラー表示を施すことにより、水素放出の分布が観察できる。従って、試料17の厚さを、試料17の結晶粒の大きさと同程度の厚さとしてESD像を取得すれば、結晶粒とESD像から得られる水素イオン分布との対応を調べることができる。これにより、結晶粒における水素イオンの放出位置の構造情報を得ることができる。
(SEM像とESD像との対比)
SEM像により結晶粒界と結晶粒の構造を観察し、ESD像と対比することにより、試料17の水素放出が大きい箇所と、結晶粒界又は結晶粒との関係を判定することが可能となる。水素放出が大きい箇所と、結晶粒界又は結晶粒との関係を判定するためには、試料17の厚さを、結晶粒と同程度あるいはそれ以下の寸法にすればよい。これにより、図16の断面に示すように、水素放出が大きい箇所と、結晶粒界や結晶粒との関係を高感度で検出することが可能となる。
パルス計数部61で計数した試料位置毎の重水素イオンのカウント数を所定の積算時間で取得してESD像を得、このESD像を複数積算したESD像により試料17を透過した重水素イオン分布を得ることができる。
水素透過拡散経路観測装置10を用いた水素イオン等の測定方法によれば、既存の金属材料からなる試料17を作製し、試料17に導入された水素が拡散して放出される経路の位置の特定を高空間分解能で測定することが可能となる。
金属材料は、鉄鋼、ステンレス、アルミニウム、銅等である。試料17の材料としては、金属以外の無機材料や樹脂板、樹脂フィルム等の有機材料でもよい。
上記説明では、透過させるガスを水素や重水素として説明したが、水等の分子でもよいことはいうまでもない。水の場合には、水素配管14に水の蒸気を供給すればよい。この場合、分析室11にバックグラウンドとして残留する水イオンとの区別が容易にできるように、重水を用いることが好ましい。
ESD像の取得前に、試料17の表面に存在する水素や炭素等のバックグラウンドを、分析室11内に設けたスパッタ源又は電子線16aの照射により除去することができる。本発明の水素透過拡散経路観測装置10の実施例を、以下さらに詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1の水素透過拡散経路観測装置10は、走査型電子顕微鏡15(日本電子社製、JAMP−10)に、隔膜型試料ホルダー12、試料加熱部32、試料位置調整部34、第2の真空排気部38、重水素ガス供給部19、収集用機構21、イオンエネルギー分解部22、イオン検出器23を付加して、試料17の表面から脱離した重水素イオンが検出できるようにした。さらに、重水素イオンの信号検出に関しては、二次元のマルチチャンネルスケーラー60と、パルス計数部61と、同期制御部62と、測定信号の二次元平面への並べ替え部63等から構成される電子衝撃脱離全体制御部52を製作して、制御部50に組み込んだ。
収集機構21は、直径30μmのワイヤからなる100メッシュで、目開き約200μmのグリッド構造を用いた。
試料17はステンレス鋼(SUS304鋼)を用い、マルテンサイト転位を冷間加工で導入した。オーステナイト構造の中にマルテンサイト転位が入った組織構造であることを、X線散乱装置(リガク、RINT2500)により確認した。結晶粒界の寸法は、150μmである。面積が約20mmの試料17を、鏡面研磨加工により、結晶粒界の大きさと同じ150μmまで薄膜化し、その表面をエッチングした。
このようにして作製した試料17を、隔膜型試料ホルダー12の上部に低温で溶接した。溶接時の試料17の中央部の温度上昇は、100℃以下であることを確認している。
分析室11を第1の真空排気部37により1.0×10−7Paに排気し、同時に水素ガス導入系となる水素配管14は、第2の真空排気部38により8.0×10−4Paに排気した。
次に、試料17の水素ガス供給側に取り付けた試料加熱部32で試料17を目標温度(室温〜200℃)まで加熱した。温度の上限は300℃程度であり、これは水素配管14のシール材として銅製のガスケットを使用したことによる。
電子源16と二次電子検出器18を用いて、走査型電子顕微鏡写真を撮影する。SEM像をディスプレイ58で表示してもよい。
一定時間(2時間程度)の後、水素供給部40から重水素ガスを、0.265MPaの圧力で導入した。重水素ガス(重水素分子)は重水素原子となり試料17に溶解し、試料17内を拡散した後、分析室11側の表面に湧き出す。
重水素ガスの導入と同時に電子源16からの電子の照射により試料17の分析室11側の表面から脱離する重水素イオンを、収集機構21で集光した後、イオンエネルギー分解部22で水素イオンのみを分離して、イオン検出器23を用いてパルス計数部61で検出した。
電子源16からの電子の照射位置情報と、イオン検出器23で検出された重水素イオン量を、同期制御部62で同期させることによりESD像を撮影した。尚、電子源16による電子の加速エネルギーは、2keVとした。電子加速エネルギーは1keVから10keVの範囲で可変である。
収集機構21を使用しているので、重水素イオンのイオン収率が格段に向上し、画素数が2400×2000(480万画素)中の重水素イオンの検出数は、後述する実施例2の収集機構21を用いていない場合が2096(イオン収率は0.06%)であったのに対し、801290(イオン収率は16.7%)と、実施例2の約300倍に向上した。
従来の走査型電子顕微鏡写真では計測電流の波高を記録し写真として保存するが、実施例1では、重水素イオンのパルスの波高ではなく、パルス幅を狭め重水素イオンを定量的にパルスカウントにより計測した。つまり、重水素イオンのパルスカウントにより、重水素イオンが一つなのか数個であるのかを区別して計測した。
重水素イオンのパルスカウントを、試料17に走査される電子線16aと時間的に同期させて測定し、これらの測定位置毎(画素毎)の重水素イオンのパルスカウント数をメモリー内に保存した後、電子線16aの照射位置の情報とともに二次元に表示した。
(積算時間を変えたESD像)
試料17の温度は200℃である。ESD像の撮影時間は、電子線16aの走査速度で変えることができるが、6分とした。積算時間の間、水素配管14から重水素が供給され続けている。SEM像及びESD像の一辺は330μmである。
図17は、重水素導入から0.5時間後に6分の撮影時間で取得したESD像であり、図18は重水素導入から55時間後に6分の撮影時間で取得したESD像である。
図17から、重水素の拡散経路があっても、実施例1の試料17に関して、6分間では拡散経路を通通過する重水素が少ないため、一枚のESD像では拡散経路のない場所との区別がつかない。
さらに、図18のESD像においても、撮影時間が6分なので、図17と同様に拡散経路のない場所との区別がつかない。
図19は、実施例1において、各6分の撮影で0から5時間までの値を積算した(50回積算)のESD像(a)、5時間から10時間までの積算(b)、10時間から15時間までの積算(c)、15時間から20時間までの積算(d)、20時間から25時間までの積算(e)、25時間から30時間までの積算(f)である。図19から明らかなように、時間の経過と共に水素ガスの透過量が増大することが分かる。
図19のような測定により、重水素の拡散を時間毎に測定することができる。さらに、上記(a)〜(f)の測定毎に試料17の温度を変化させて測定をした場合には、特定の温度からの急激な拡散促進等の現象を観測できる。
これにより、試料17の温度を変え、重水素イオンの放出量データを演算することにより、試料17内の重水素の拡散速度及び/又は拡散係数を、時間及び試料17の位置情報と共に算出できる。
図20は、さらに積算をしたときのESD像の変化を時間軸で重ねて示す図であり、図21は、実施例1において6分の撮影時間で55時間積算(550回)した後のESD像である。図20から、時間の経過と共に水素ガスの透過量が増大することが分かり、図21からは、実施例1において、6分の撮影時間で55時間積算(550回)したときのESD像からは、試料17の表面に拡散してくる重水素の存在が判別できる。
(55時間積算したESD像とSEM像との対比)
イオン検出の積算時間を、6分×550回の55時間としてESD像を取得した。
図22は実施例1のSEM像の一例であり、図23は実施例1のESD像の一例であり、図24は図22のSEM像に結晶粒界をさらに実線で追加したSEM像であり、図25は図23のESD像に図22に追加した結晶粒界の実線を追加したESD像である。
図22に示されている結晶粒の形に、図23に示されている重水素イオン分布の濃淡が一致していることから、結晶粒毎に重水素拡散速度が異なっていることがわかる。
図22のSEM像から、灰色の結晶はマルテンサイト転位が入っていることが分かっている。これにより、試料17のステンレス鋼の中でマルテンサイト転位粒から、図23及び図25のESD像により局所的に水素透過が起きていることが分かる。
SEM像は試料17の結晶粒界等の観察に使用しているが、SEM像の取得は、ESD像の取得毎に行う必要がない場合もある。試料17の温度が安定している場合には、SEM像の取得を、例えば積算の第1回目と最終回で行ってもよい。試料17の温度変動があり観察視野が変化するような場合には、試料17の温度が安定したときにSEM像の取得を行えばよい。この場合には、SEM像の取得を所定の頻度で行ってもよい。
上記の実施例1では、結晶粒の境界である結晶粒界は手書きで追加したが、画像認識ソフトにより加工することも可能である。
図22〜25ではSEM像及びESD像の測定視野内に結晶粒が複数入るように倍率を低倍率に抑えている。しかし、水素放出位置の空間分解能は、さらに向上させることができる。原理的には走査型電子顕微鏡15の倍率に依存するが、走査型電子顕微鏡15の倍率と同等まで向上させることができる。
実施例1において、図23のESD像を得るのに55時間も積算したのは、実際に試料17の表面に拡散してくる重水素の存在量が少ないからである。ここで、透過量の多い試料であればより短時間での測定が可能である。
パルス計数部61で計数した試料位置毎の重水素イオンのカウント数を所定の撮影時間で取得してESD像を得、このESD像を複数積算したESD像により試料17を透過した重水素イオン分布を得ることができる。
上記した実施例1によれば、試料17の表面をエッチングしてSEM像を観察し、SEM像から結晶粒界を特定し、特定した結晶粒界をSEM像及びESD像に重ねて表示して、結晶粒とESD像で得られる重水素イオン分布との対応を調べることが可能となった。
具体的には、試料17のステンレス鋼の結晶粒程度の厚さである150μmの薄板の背面から重水素を供給し、ステンレス鋼の内部を拡散して表面に湧出した重水素のESD像の観察を高感度で観察できることが判明した。
さらに、ESD像を同一の測定範囲のSEM像と比較することで、ステンレス鋼のどの結晶粒から水素が湧出しているかを捉えることができた。
(実施例2)
実施例2は、収集機構21と電子衝撃脱離全体制御部52を備えていない水素観測装置(非特許文献2参照)である。水素イオン検出部は、電子線の照射で生じる光と散乱電子を除去するフィルタと水素イオン検出器とから構成した。試料17は、該試料17の結晶粒径と同程度の厚さとすると共に、その表面が平坦面を有している。試料17は、実施例1と同様の鏡面仕上げの試料であり、結晶粒径が100〜150μmであり、厚さを100μmとした。
試料17の裏面から試料17内を拡散して表面に湧出する水素を電子線の電子衝撃脱離により発生する水素イオンのESD像を、SEM像と交互に取得した。この場合、画素数2400×2000(480万画素)中の検出イオン数は2926であり、イオン収率は0.06%であり、実施例1の1/300であった。このため、実施例2の水素観測装置では、実施例1のようなESD像は得られなかった。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
10:水素透過拡散経路観測装置
11:分析室
11a:導線引き出しポート
12:隔膜型試料ホルダー
12a:隔膜型試料ホルダー単管試料側
12b:隔膜型試料ホルダー単管フランジ側
14:水素配管
15:走査型電子顕微鏡
16:電子源
16a:電子線
16b:第1の偏向コイル
16c:第2の偏向コイル
17:試料
18:二次電子検出器
19:水素ガス供給部
20:水素イオン検出部
21:収集機構
21a:取付部
21b:メッシュ部
21c:メッシュ保持部
22:イオンエネルギー分解部
23:イオン検出器
31:試料台部
32:試料加熱部
33:試料温度測定部
34:試料位置調整部
35:質量分析器
37:第1の真空排気部
38:第2の真空排気部
41:水素イオン
50:制御部
51:電子顕微鏡全体制御部
52:電子衝撃脱離全体制御部
53:二次電子検出部
54:電子光学系制御部
55:SEM用の画像演算部
56:高電圧安定化電源
57:入力装置
58:ディスプレイ
59:記憶装置
60:二次元のマルチチャンネルスケーラー
61:パルス計数部
61a:水素イオンのカウント数信号
62:同期制御部
62a:垂直走査信号
62b:水平走査信号
62c:走査位置に関する情報
62d、62e:デジタルアナログ変換器
63:測定信号の二次元平面への並べ替え部
64:ESD用の画像演算部
65:ディスプレイ
66:記憶装置
67:電子衝撃脱離イオン検出部
72:マイクロプロッセッサ
72a、72b:入出力インターフェース

Claims (18)

  1. 試料及び該試料に電子線を照射する電子源を収容する分析室と該分析室に配設され前記試料に照射された電子線により生じる二次電子を検出する二次電子検出器とを備える走査型電子顕微鏡と、
    前記電子源から試料に照射された電子線により生じる水素イオンを検出する水素イオン検出部と、
    前記試料の裏面側に接続される水素配管に水素を供給する水素ガス供給部と、
    制御部と、を具備し、
    前記試料が、該試料の結晶粒径と同程度の厚さにされると共に、その表面が平坦面を有し、
    前記分析室と前記水素配管との間に前記試料が隔膜となるように配設されており、
    前記水素イオン検出部は、前記電子線の照射で生じる前記水素イオン以外を除去するフィルタとイオン検出器とを、備え、
    前記制御部は、
    前記電子線の走査により試料から生じる二次電子によるSEM像と、
    前記試料の裏面から該試料内を拡散して表面に湧出する水素を前記電子線の電子衝撃脱離により発生する水素イオンのESD像と、
    を取得する、水素透過拡散経路観測装置。
  2. 試料と該試料に電子線を照射する電子源を収容する分析室と該分析室に配設され前記試料に照射された電子線により生じる二次電子を検出する二次電子検出器とを備える走査型電子顕微鏡と、
    前記電子源から試料に照射された電子線により生じる水素イオンを検出する水素イオン検出部と、
    前記試料の裏面側に接続される水素配管に水素を供給する水素ガス供給部と、
    制御部と、を具備し、
    前記試料は、前記分析室と前記水素配管との間に前記試料が隔膜となるように配設されており、
    前記水素イオン検出部は、前記試料表面から生じる水素イオンを収集する収集機構と該水素イオン以外を除去するイオンエネルギー分解部と該イオンエネルギー分解部を通過した水素イオンを検出するイオン検出器とからなり、
    前記制御部は、
    電子源から発生する電子線の走査により試料から発生する二次電子によるSEM像を取得し、かつ、
    前記試料の裏面から該試料内を拡散して表面に湧出する水素を前記電子線の電子衝撃脱離により水素イオンとし、該水素イオンのESD像を前記電子線の走査に同期して取得する、水素透過拡散経路観測装置。
  3. 前記試料は、隔膜型試料ホルダーに支持され、該試料と隔膜型試料ホルダーとで、前記分析室と前記水素配管とを仕切る隔膜として構成される、請求項1又は2に記載の水素透過拡散経路観測装置。
  4. 前記収集機構は、グリッド構造を有している、請求項2又は3に記載の水素透過拡散経路観測装置。
  5. 前記分析室は、前記試料の位置を調整する試料位置調整部を備えている、請求項2〜4の何れかに記載の水素透過拡散経路観測装置。
  6. 前記分析室は、質量分析装置及び/又はオージェ電子分光器を備えている、請求項2〜5の何れかに記載の水素透過拡散経路観測装置。
  7. 前記分析室又は水素配管には、前記試料の試料加熱部が設けられている、請求項2〜6の何れかに記載の水素透過拡散経路観測装置。
  8. 前記制御部は、
    二次電子検出部と高電圧安定化電源と記憶装置を制御する電子顕微鏡全体制御部と、
    ESD像を検出する電子衝撃脱離全体制御部と、
    を備えている、請求項2〜7の何れかに記載の水素透過拡散経路観測装置。
  9. 前記電子衝撃脱離全体制御部は、パルス計数部と同期制御部と測定信号の二次元平面への並べ替え部とを備えている、請求項8に記載の水素透過拡散経路観測装置。
  10. 前記水素が重水素である、請求項1〜9の何れかに記載の水素透過拡散経路観測装置。
  11. 請求項2〜10の何れかに記載の水素透過拡散経路観測装置を用いて試料を透過する水素イオンを計測する方法であって、
    前記ESD像の位置分解能を、前記SEM像と比較することにより20nm以下とする、試料を透過する水素イオンの計測方法。
  12. 前記パルス計数部で計数した試料位置毎の水素イオンのカウント数を所定の撮影時間で取得してESD像を得、このESD像を複数積算したESD像により前記試料を透過した水素イオン分布を得る、請求項11に記載の試料を透過する重水素イオンの計測方法。
  13. 前記ESD像の取得前に、前記試料の表面に存在する水素や炭素等のバックグラウンドを、前記分析室内に設けたスパッタ源又は電子線照射により除去する、請求項11又は12に記載の試料を透過する重水素イオンの計測方法。
  14. 前記ESD像の取得前に、前記試料の表面に存在する残留物をオージェ電子分光器で測定する、請求項11〜13の何れかに記載の試料を透過する水素イオンの計測方法。
  15. 前記試料の厚さを、該試料の結晶粒の大きさと同程度として、該試料により前記ESD像を取得する、請求項11〜14の何れかに記載の試料を透過する水素イオンの計測方法。
  16. 前記試料の表面をエッチングして前記SEM像を観察し、
    該SEM像から結晶粒界を特定し、特定した結晶粒界を前記SEM像及び前記ESD像に重ねて表示して、前記結晶粒と前記ESD像で得られる水素イオン分布との対応を調べ、前記結晶粒における前記水素イオンの放出位置の構造情報を得る、請求項11〜15の何れかに記載の試料を透過する水素イオンの計測方法。
  17. 前記試料の温度を変え、水素イオンの放出量データを演算することにより、前記試料内の水素の拡散速度及び/又は拡散係数を、時間及び前記試料の二次元位置情報と共に算出する、請求項11〜16の何れかに記載の試料を透過する水素イオンの計測方法。
  18. 前記水素が重水素である、請求項11〜17の何れかに記載の試料を透過する水素イオンの計測方法。
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