JP2017175792A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1に開示された技術では、相間及び上下アーム間の複数の駆動回路を接続する通信線を設け、当該通信線の一端に位置する窓口の駆動回路に向かって、他端側の駆動回路からの情報を順に付加して送信する。窓口の駆動回路は、各駆動回路からの情報をまとめて処理装置に送信する。こうして、処理装置側の端子数を増加することなく、各駆動回路からの情報を処理装置に伝達可能としている。
また、窓口の駆動回路は、各駆動回路の識別情報を含む信号を処理装置としてのマイコンに通信する。例えば、三相インバータの6個の駆動回路からの情報を処理装置に通信する場合、特許文献1の図5等に記載された送信態様では、窓口の駆動回路が出力する信号は、計21のブロックを含む。したがって、マイコンへ通信する信号量が多くなり、通信時間が増大するという問題がある。
電力変換器は、ブリッジ接続された複数のスイッチング素子(61−66)の動作により電力を変換し、交流モータ等の負荷(80)に供給する。
複数の駆動回路は、複数のスイッチング素子を駆動するゲート信号を生成する。また、複数の駆動回路は、当該駆動回路、又は、当該駆動回路に接続されたスイッチング素子の異常情報を含む情報信号を、互いに同期し且つ識別可能に設定されたIDタイミングで出力する。
記憶部は、各駆動回路から受信した情報信号をIDタイミングに基づいて記憶する。
異常特定部は、全ての駆動回路からの情報信号の受信に要する時間の経過後、記憶部に記憶された情報信号に基づき、駆動回路、又は、駆動回路に接続されたスイッチング素子の異常を特定する。
また、駆動回路毎の「IDタイミング」を互いに識別可能に同期させる構成としては、所定の基準タイミングからIDタイミングまでの時間差を駆動回路毎に設定してもよい。或いは、共通のキャリアに基づいて生成されるPWM信号のように、相毎、且つ上下アーム毎にタイミングがずれたパルス信号のエッジタイミングをIDタイミングとして用いてもよい。
また、各駆動回路は1ブロックの信号を処理装置に送信すればよいため、電力変換器が三相インバータの場合、計6ブロックの信号が順に送信されることとなる。したがって、特許文献1の従来技術に比べて通信時間を短縮することができる。
モータ駆動システム90において、電力変換装置101は、バッテリ50の直流電力を三相交流電力に変換して各相巻線81、82、83に通電し、モータ80を駆動する。電力変換装置101は、「電力変換器」としてのインバータ60、駆動回路41−46、及び、「処理装置」としてのマイコン20を備える。
なお、他の実施形態では、バッテリ50とインバータ60との間に、バッテリ50の電圧を昇圧する昇圧コンバータをさらに備えてもよい。
インバータ60は、スイッチング素子61−66の動作により直流電圧を交流電圧に変換し、モータ80の各相巻線81、82、83に印加する。また、インバータ60の入力部には、平滑コンデンサ55が接続されている。
この演算は、電流又はトルクのフィードバック制御によるものでもよく、フィードフォワード制御によるものでもよい。また、三相交流モータの制御では、一般に固定座標系の電流、電圧を回転座標系に変換したベクトル制御が用いられる。このような各種制御は、モータ制御分野における周知技術であるため詳細な説明を省略する。
この問題に対し、各実施形態の電力変換装置は、マイコンの端子数を増加させないことに加え、簡易な構成で駆動回路からマイコンへの通信時間を短縮することを目的とするものである。以下、電力変換装置の特徴的な構成について、実施形態毎に詳しく説明する。
第1実施形態の電力変換装置について、図2〜図5を参照して説明する。図2には、図1に記載された6個の駆動回路及びスイッチング素子のうち、代表として、U相上アーム及びU相下アームの駆動回路41、42及びスイッチング素子61、62を記載する。他の駆動回路及びスイッチング素子についても構成、作用は同様である。
駆動回路41、42は、マイコン20から指令された駆動パルス信号に従い、それぞれ図示しないON駆動用FET及びOFF駆動用FETを操作することにより、スイッチング素子61、62のゲート電圧を変更し、動作を制御する。
図1のインバータ60において、ある相の上アームのスイッチング素子と、他の相の下アームのスイッチング素子とが同時にONすると、ONしているスイッチング素子には、モータ巻線を経由してコレクタエミッタ間電流Iceが流れる。
段階<1>では、マイコン20にて駆動パルス信号を生成する。駆動パルス信号として代表的には、図3に示すように、dutyに換算された相電圧指令と、三角波等のキャリアとの比較によりPWM信号を生成する。
また、各相下アームのスイッチング素子は、上アームのスイッチング素子と相補的に動作する。デッドタイムを無視すれば、上アームのゲート信号UH、VH、WHのハイレベルとローレベルとを反転した信号が、下アームのゲート信号UL、VL、WLとなる。
すなわち、共通のキャリアに基づいて生成されるPWM信号は、相毎、且つ上下アーム毎にタイミングがずれたパルス信号となる。したがって、PWM信号のエッジタイミングにより、そのタイミングで信号が出力される先の6個の駆動回路、又は、その駆動回路に接続された6個のスイッチング素子を識別することが可能である。
矩形波信号では、電気角60deg毎に生じるエッジタイミングは互いに異なる。パルスパターンについても、各相のエッジタイミングが重ならないように設定されていることを前提とする。補足すると、例えば特開2013−34334号公報には、デッドタイムを付与したときのエッジタイミングが重ならないようにする技術が開示されている。
段階<2>では、マイコン20からフォトカプラ31、32を経由して駆動回路41、42にPWM信号を送信する。
段階<3>では、電力変換装置101の起動時における最初のPWM信号の立ち上がりタイミング、又は立ち下がりタイミングに、予め定めた駆動回路からヘッダ信号を出力する。図3、図4には、予め定めた駆動回路として、U相上アームの駆動回路41を例示する。このヘッダ信号の出力時が以下の作動における基準タイミングとなる。なお、他の実施形態では、どの信号も割り当てられていないスロットをヘッダ信号としてもよい。
そして、U相上アームの駆動回路41は、基準タイミングから所定の時間差ΔtUH後に、駆動回路41、又は、駆動回路41に接続されたU相上アームスイッチング素子61の異常情報を含む情報信号を出力する。この情報信号の例としては、ON/OFF信号、Duty信号、パルス数等が挙げられる。
その後、図3に図示しない段階<5>では、V相上、V相下、W相上、W相下アームの各駆動回路43、44、45、46(図1参照)は、それぞれ基準タイミングから時間差ΔtVH、ΔtVL、ΔtWH、ΔtWL後に、駆動回路又はスイッチング素子の異常情報を含む情報信号を出力する。
以上の段階<3>、<4>、<5>において基準タイミングからの時間差により規定されるタイミングが「互いに同期し且つ識別可能に設定されたIDタイミング」となる。
段階<7>では、マイコン20が各駆動回路から受信した情報信号は、IDタイミングに基づいて記憶部21に記憶される。そして、全ての駆動回路からの情報信号の受信に要する時間の経過後、異常特定部22は、記憶部21に記憶された情報信号に基づき、駆動回路又はスイッチング素子の異常を特定する。
電力変換装置101の起動時の初期チェックにおいてマイコン20が情報信号を受信するに際し、ユーザの意図に反してモータ80にトルクを発生させることや、スイッチング素子61−66に不必要に電流を流して発熱させることは好ましくない。したがって、マイコン20は、情報信号を同期させるための信号を次のように生成することが好ましい。
(1)後述の第2〜第4実施形態を含む本実施形態では、各駆動回路41−46とマイコン20との間の伝送路のみを用いて、各駆動回路41−46からの情報信号をマイコン20に通信することができる。特許文献1の従来技術のように駆動回路間に通信線を設ける必要がないので、装置の構成を簡易にすることができる。
(4)第1実施形態では、電力変換装置101を起動した時、基準タイミングを規定するヘッダ信号が最初に生成される。これにより、起動直後にIDタイミングを同期させることができる。
第2実施形態について、第1実施形態の図4に対応する図7を参照して説明する。
上記第1実施形態では、ヘッダ信号の基準タイミングからの時間差により各駆動回路のIDタイミングを設定するのに対し、第2実施形態では、駆動回路毎の駆動パルス信号のエッジタイミングに基づいて各駆動回路のIDタイミングを直接的に設定する。
図7に示すように、例えばU相上アームの情報信号は、U相上アームの駆動パルス信号の立ち上がりエッジタイミングをIDタイミングとして生成される。U相下アームの情報信号は、U相下アームの駆動パルス信号の立ち上がりエッジタイミングをIDタイミングとして生成される。こうして、各駆動回路のIDタイミングの同期が確保される。
第3、第4実施形態について、図8〜図10を参照して説明する。図8、図9は、第1実施形態の図2に対応する構成図である。
図8に示す第3実施形態の電力変換装置103は、駆動回路41、42に接続されたスイッチング素子61、62のコレクタエミッタ電圧Vceの検出値が駆動回路41、42に入力される。
各相のスイッチング素子についてコレクタエミッタ電圧Vceの立ち上がりタイミングは互いにずれているため、PWM信号等のエッジタイミングと同様に、各駆動回路を識別するIDタイミングとして利用することができる。
駆動回路41、42が動作するように指令されると、図10(b)に示すように、電源47、48の電源電圧Voが立ち上がる。第4実施形態は、電源電圧Voが所定の閾値βに達したタイミングをIDタイミングとして設定する。
電力変換装置を構成する「電力変換器」は、三相交流インバータに限らず、四相以上の多相交流インバータや昇降圧コンバータ等でもよい。また、電力変換器の「負荷」は、モータに限らず、どのような負荷でもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
20・・・マイコン(処理装置)、
21・・・記憶部、
22・・・異常特定部、
41−46・・・駆動回路、
60・・・インバータ(電力変換器)、
61−66・・・スイッチング素子、
80・・・モータ(負荷)。
Claims (9)
- ブリッジ接続された複数のスイッチング素子(61−66)の動作により電力を変換し負荷(80)に供給する電力変換器(60)と、
前記複数のスイッチング素子を駆動するゲート信号を生成する複数の駆動回路(41−46)であって、当該駆動回路、又は、当該駆動回路に接続された前記スイッチング素子の異常情報を含む情報信号を、互いに同期し且つ識別可能に設定されたIDタイミングで出力する複数の駆動回路と、
各前記駆動回路と双方向に通信し、前記スイッチング素子の動作を指令する駆動信号を各前記駆動回路に対して送信可能、且つ、各前記駆動回路が出力した情報信号を受信可能であり、各前記駆動回路から受信した前記情報信号を前記IDタイミングに基づいて記憶する記憶部(21)、及び、全ての前記駆動回路からの前記情報信号の受信に要する時間の経過後、前記記憶部に記憶された前記情報信号に基づき、前記駆動回路、又は、前記駆動回路に接続された前記スイッチング素子の異常を特定する異常特定部(22)を有する処理装置(20)と、
を備える電力変換装置。 - 前記IDタイミングは、PWM信号、矩形波信号又はパルスパターンを含む駆動パルス信号のエッジタイミングに基づいて設定される請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記処理装置は、前記スイッチング素子のコレクタエミッタ間電流(Ice)が0となるように前記駆動パルス信号を生成する請求項2に記載の電力変換装置。
- 前記処理装置は、前記スイッチング素子のゲートがONする閾値電圧(Vth)に相当するパルス幅よりも狭いパルス幅の前記駆動パルス信号を生成する請求項2に記載の電力変換装置。
- 前記負荷は交流モータであり、前記電力変換器はインバータであり、
前記処理装置は、前記モータの出力トルクが0となるように前記駆動パルス信号を生成する請求項2に記載の電力変換装置。 - 前記処理装置は、前記駆動パルス信号の伝送路を用いて、前記駆動パルス信号以外の同期信号を定期的に送信する請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記IDタイミングは、
前記駆動回路に接続されたスイッチング素子のコレクタエミッタ間電圧(Vce)の立ち上がりタイミングに基づいて設定される請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記IDタイミングは、
前記駆動回路の電源電圧(Vo)の立ち上がりタイミングに基づいて設定される請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記IDタイミングは、当該電力変換装置の起動後に最初に生成されるヘッダ信号の基準タイミングに同期して設定される請求項1〜8のいずれか一項に記載の電力変換装置。
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