JP2017172441A - Pm捕集フィルタの故障診断装置 - Google Patents

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郁夫 保田
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Abstract

【課題】診断をより正確に行うことのできるPM捕集フィルタの故障診断装置を提供する。
【解決手段】検出素子に付着しているPMを燃焼除去するための再生処理(S100)を行った後、素子温Tpmが冷却完了温度β以下に低下したとき(S103:YES)以降のPMセンサ出力SOの変化を測定し、その測定結果に基づいてPM捕集フィルタの故障の有無を診断する(S106〜S112)。再生処理が完了した時点から上記PMセンサ出力SOの変化の測定を開始する時点までの期間における内燃機関のPM排出量IPMが規定の中止判定値αを超える場合(S102:YES)、故障診断を中止する。
【選択図】図6

Description

本発明は、排気中の微粒子物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタの故障の有無を診断するPM捕集フィルタの故障診断装置に関する。
従来、上記のようなPM捕集フィルタの故障診断装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。同文献に記載の故障診断装置は、PM捕集フィルタの下流に設置されたPMセンサを用いて、PM捕集フィルタの故障の有無を診断する。
同文献の故障診断装置では、PMセンサとして、電気抵抗式のセンサを使用している。同センサは、絶縁体の基板上に一対の電極が設けられた検出素子を有し、PM捕集フィルタを通過した排気にその検出素子が曝される状態となるように設置される。また、同センサには、検出素子を加熱するヒータが内蔵されており、そのヒータの加熱により検出素子に付着したPMを燃焼して除去することが可能とされている。
こうした電気抵抗式のPMセンサは、上記電極の間に一定の電圧を印加した状態で使用される。カーボンを主成分とするPMが検出素子に付着すると、そのPMによって電極の間に導通路が形成されて、電極間が導通する。よって、こうしたPMセンサにおける検出素子の電極間の電流値は、同検出素子のPM付着量を反映した値となる。
上記従来の故障診断装置では、ヒータの加熱により検出素子に付着したPMを燃焼除去する再生処理を行った後のPMセンサの出力を測定することでPM捕集フィルタの故障の有無を診断している。PM捕集フィルタにクラックが入り、そのクラックを通って排気がPM捕集フィルタを素通りするようになると、PM捕集フィルタを通過して検出素子に到達するPMの量が増えるため、検出素子のPM付着の進行が速くなる。よって、再生処理後のPMセンサの出力の変化が速いか遅いかにより、PM捕集フィルタの故障の有無を診断することができる。なお、電気抵抗の温度変化の影響を避けるため、こうした診断のためのPMセンサの出力の測定は、再生処理の完了後、検出素子が十分に冷却するのを待って行う必要がある。
特開2015−140733号公報
ところで、検出素子のPM付着量とPMセンサの出力との関係は非線形であるため、測定開始時の検出素子のPM付着量に相違があれば、測定開始後のPMセンサの出力の変化傾向が変わってしまう。一方、再生処理の完了後、内燃機関の高負荷運転が続いた場合には、周囲の排気の温度が高いため、再生処理後の検出素子の冷却に時間がかかり、測定の開始までに多量のPMが検出素子に付着することがある。そうした場合、測定開始後のPMセンサの出力が想定と異なる変化傾向を示すため、診断結果が不正確なものとなってしまう。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、診断をより正確に行うことのできるPM捕集フィルタの故障診断装置を提供することにある。
上記課題を解決するPM捕集フィルタの故障診断装置は、内燃機関の排気通路に設置されて、同排気通路を流れる排気中の微粒子物質を捕集するPM捕集フィルタの故障の有無を診断する。また、同故障診断装置は、下記の付着量検出部、ヒータ、素子温度検出部、故障診断部、及び診断中止部を備える。付着量検出部は、PM捕集フィルタを通過した排気に曝される検出素子を有しており、且つ同検出素子に付着している微粒子物質の量に応じた出力を発生する。ヒータは、そうした付着量測定部の検出素子を加熱し、素子温度検出部は、同検出素子の温度を検出する。
更に、故障診断部は、以下の態様でPM捕集フィルタの故障の有無を診断する。まず、上記ヒータによる検出素子の加熱を通じて、同検出素子に付着している微粒子物質を燃焼除去する再生処理を行う。続いて、その再生処理の完了後に、同再生処理により上昇した検出素子の温度が規定の冷却判定温度まで低下したとき以降の付着量検出部の出力変化を測定する。そして、その測定結果に基づいてPM捕集フィルタの故障の有無を診断する。
こうした故障診断部による診断では、付着量検出部の出力変化の測定の開始時の検出素子のPM付着量が一定の量を超えると、診断を正確に行えなくなってしまう。ここで、診断に影響が及ばない、測定開始時の検出素子のPM付着量を、上限付着量ということとする。
PM捕集フィルタの微粒子物質(PM)の捕集率が、すなわちPM捕集フィルタに流入する排気中のPMの量と、PM捕集フィルタを通過した排気中のPMの量との比率が同じであれば、検出素子の周囲に到達するPMの量は、内燃機関のPM排出量に比例する。そして、検出素子に付着するPMの量は、同検出素子の周囲へのPMの到達量に相関する。よって、PM捕集フィルタのPM捕集率が既知であれば、再生処理の完了から測定の開始までの期間における内燃機関のPM排出量から、測定開始時の検出素子のPM付着量が上限付着量以下か否かを確認することができる。
尤も、PM捕集フィルタが故障すれば、同フィルタのPM捕集率が大幅に低下するため、故障診断の結果が未確定の状態では、現状のPM捕集率は不明である。ただし、内燃機関の排出したPMのすべてがPM捕集フィルタを素通りするとしても、PM排出量が少なければ、測定開始時の検出素子に上限付着量を超えるPMが付着することはない。このように、PM捕集率が想定される最小の値であっても、測定開始時の検出素子のPM付着量が上限付着量以下となるPM排出量が存在する。よって、再生処理の完了から測定開始までの内燃機関のPM排出量からは、診断開始時の検出素子のPM付着量が、診断に影響するほど多くなっている可能性があるか否かを判断することが可能である。
その点、上記故障診断装置は、再生処理が完了した時点から付着量測定部の出力の測定を開始する時点までの期間における内燃機関の微粒子物質の排出量が規定値を超える場合、故障判定部による故障の有無の診断を中止する診断中止部を備えている。そのため、測定開始時の検出素子のPM付着量が、診断に影響するほど多くなっている可能性がある場合には、故障診断部の故障診断を中止して、測定開始時における検出素子の多量のPM付着による誤診断を回避することが可能となる。したがって、上記PM捕集フィルタの故障診断装置によれば、診断をより正確に行うことができる。
PM捕集フィルタの故障診断装置の一実施形態及びその適用対象となる内燃機関の排気系の構成を模式的に示す図。 同実施形態の故障診断装置が備えるPMセンサの構成を示す図。 上記PMセンサにおける検出素子のPM付着量とPMセンサ出力との関係を示すグラフ。 上記PMセンサの検出素子にPMが徐々に付着していった場合、及びPMの付着の過程において同検出素子にスーツ塊が付着した場合のそれぞれにおけるセンサ出力の推移を示すタイムチャート。 同故障診断において演算されるPM排出流量DPMの演算ロジックを示す図。 同実施形態の故障診断装置により実施されるPM捕集フィルタの故障診断の処理手順を示すフローチャート。 検出素子の冷却時間が短い場合の上記実施形態の故障診断態様を示すタイムチャート。 検出素子の冷却時間が長い場合の上記実施形態の故障診断態様を示すタイムチャート。
以下、PM捕集フィルタの故障診断装置の一実施形態を、図1〜図8を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の故障診断装置が適用される内燃機関10の排気通路11には、排気中の微粒子物質(PM)を捕集するPM捕集フィルタ12が設けられている。また、排気通路11におけるPM捕集フィルタ12よりも下流側の部分には、電気抵抗式のPMセンサ13が設置されている。
内燃機関10は、電子制御ユニット14により制御されている。電子制御ユニット14には、内燃機関10の各部に設置されたセンサから、エンジン回転数NE、吸気流量GA、大気圧PA、空燃比AFなどの検出信号が入力されている。また、電子制御ユニット14には、PM捕集フィルタ12の故障の有無を診断する故障診断部15と、同故障診断部15の故障の有無の診断を中止する診断中止部16とが設けられている。
なお、電子制御ユニット14は、空燃比AFの検出結果に基づき、空燃比AFを目標とする値とすべく、内燃機関10の燃料供給量をフィードバック制御している。さらに電子制御ユニット14は、このフィードバック制御の結果に基づき、吸気流量GAの検出誤差や燃料供給系の燃料供給量のばらつき分を空燃比学習値KGとして求め、その空燃比学習値KGを同フィードバック制御に反映することで、同フィードバック制御の制御性を高めている。なお、以下では、こうしたフィードバック制御を通じて内燃機関10に供給される燃料の流量を燃料流量GFと記載する。
図2に示すように、PMセンサ13は、プローブ13aと、付着量検出回路26、ヒータ駆動回路27、及び素子温検出回路28の3つの回路と、を備える。そして、PMセンサ13は、プローブ13aが排気通路11内に露出した状態で内燃機関10に設置されている(図1参照)。
プローブ13aは、セラミクスなどの絶縁材料からなる4枚の基板18〜21を積層して形成されている。なお、ここでは、各基板18〜21にあって、図中の矢印UPで示された側の面を各基板18〜21の上面と記載し、矢印DWで示された側の面を各基板18〜21の下面と記載する。基板19の上面には、隙間を空けて互いに組み合わされた一対の櫛歯電極22,23が形成されている。基板19の上面における櫛歯電極22,23の形成部分以外の部分は、基板18により覆われており、同基板19の上面における櫛歯電極22,23の形成部分は、外部に露出している。また、基板19の下面側に重なるように設けられた基板20の上面には、通電に応じて発熱する電熱線であるヒータ24が設けられている。さらに、基板20の下面側に重なるように設けられた基板21の上面には、温度により抵抗値が変化するサーミスタ25が設けられている。なお、このPMセンサ13では、基板19における櫛歯電極22,23の形成部分により、内燃機関10の運転中にPM捕集フィルタ12を通過した排気に曝される検出素子17が形成されている。
付着量検出回路26は、櫛歯電極22,23間に一定の電圧を印加するとともに、その印加中の櫛歯電極22,23間の電流値を、検出素子17に付着しているPMの量を示す出力として、電子制御ユニット14に出力する。なお、以下では、こうした付着量検出回路26の出力をPMセンサ出力SOと記載する。ヒータ駆動回路27は、電子制御ユニット14からの指令に基づき、ヒータ24への通電を行う。素子温検出回路28は、サーミスタ25に一定の電圧を印加するとともに、その印加中のサーミスタ25の電流値を、検出素子17の温度(以下、素子温Tpmと記載する)の指標値として電子制御ユニット14に出力する。なお、本実施形態では、検出素子17及び付着量検出回路26が、検出素子17に付着しているPMの量に応じた出力を発生する付着量検出部に相当する構成となっている。また、サーミスタ25及び素子温検出回路28が、検出素子17の温度を検出する素子温検出部に相当する構成となっている。
なお、こうしたPMセンサ13の検出素子17へのPMの付着は主に、帯電と熱泳動と以下の2つのメカニズムにより発生する。
帯電によるPMの付着は、次のようにして生じる。櫛歯電極22,23に電圧を印加するとイオンが発生し、周囲に存在するPMがそのイオンにより帯電する。そして、その帯電したPMがクーロン力により櫛歯電極22,23に吸い寄せられることで、検出素子17へのPM付着が発生する。
これに対して、熱泳動によるPMの付着は、以下のようにして生じる。検出素子17の冷却期間における検出素子17へのPMの付着は主に、PMの熱泳動により生じる。温度勾配のある場に微小粒子を置いた場合、この微小粒子が高温側の気体から受ける運動量は、低温側の気体から受ける運動量よりも大きくなる。そのため、微小粒子は、高温側から低温側へ移動する力を受けることになる。こうした温度勾配に起因した微小粒子の移動が、熱泳動である。排気よりも検出素子17が低温の場合、検出素子17の周囲の排気中に存在するPMは、熱泳動によって、より低温の検出素子17に吸い寄せられる。そして、その吸い寄せられたPMが検出素子17に付着するようになる。
図3に、検出素子17に付着しているPMの量(PM付着量)とPMセンサ出力SO(櫛歯電極22,23間の電流値)との関係を示す。検出素子17の櫛歯電極22,23の間に排気中のPMが付着すると、導電性のカーボンを主成分とする導電性のPMによって櫛歯電極22,23間に導通路が形成される。そして、櫛歯電極22,23間に付着したPMの量が増すほど、そうした導通路が数多く形成されるため、櫛歯電極22,23間の電気抵抗が低くなる。よって、一定の電圧を印加したときの櫛歯電極22,23間の電流値は、すなわちPMセンサ出力SOは、検出素子17のPM付着量が多いほど、大きくなる。ちなみに、検出素子17のPMの付着量がある程度の量に達するまでは、櫛歯電極22,23間を繋ぐ導通路を形成するまでには至らない。そのため、同図に示すように、PM付着量が一定の量Xに達するまではPMセンサ出力SOは、「0」となる。そして、PM付着量が一定の量Xを超える範囲では、PM付着量の増加と共にPMセンサ出力SOも増大するようになっている。
(故障診断)
続いて、故障診断部15によるPM捕集フィルタ12の故障診断の詳細を説明する。故障診断部15は、内燃機関10の運転中、診断実施条件が成立したときにPM捕集フィルタ12の故障診断を実施する。診断実施条件は、下記の条件(イ)〜(ホ)のすべてが成立していること、となっている。
(イ)排気通路11内が乾燥していること。後述するように、故障診断に際しては、ヒータ24による検出素子17の加熱が行われるが、この加熱中に検出素子17に水滴が付着すると、検出素子17が割れる虞がある。そのため、故障診断部15は、排気通路11内に水滴が存在している可能性があるときには、故障診断を実施しないようにしている。ちなみに、排気通路11内の乾燥の有無は、内燃機関10の運転状態(エンジン回転数、吸気流量、燃料噴射量など)から推定される排気温から判断される。
(ロ)PMセンサ13等の診断に使用するセンサが正常に機能していること。
(ハ)検出素子17の周囲を流れる排気の温度、圧力、及び流速が、PM付着量の検出精度や、後述するPM排出量IPM、故障時推定付着量MAなどの推定精度を確保可能な範囲内にあること。この判断は、内燃機関10の運転状態(エンジン回転数、吸気流量、燃料噴射量など)に基づいて行われる。
(ニ)PM捕集フィルタ12に目詰りが生じていないこと。PM捕集フィルタ12にPMが過剰に堆積して目詰りが生じると、PM捕集フィルタ12が故障していても、排気中のPMがPM捕集フィルタ12をすり抜け難くなる。そのため、目詰まりが生じた状態で故障診断を行っても、故障を検出できない虞がある。そこで、故障診断部15は、PM捕集フィルタ12に目詰りが生じている場合、故障診断を実施しないようにしている。なお、電子制御ユニット14は、PM捕集フィルタ12に堆積しているPMの量(フィルタPM堆積量)を内燃機関10の運転状態に基づいて推定しており、故障診断部15は、フィルタPM堆積量の推定値が一定の値を超える場合、PM捕集フィルタ12に目詰りが生じていると判断している。
(ホ)内燃機関10の始動後に故障診断が完了していないこと。すなわち、PM捕集フィルタ12の故障診断は、内燃機関10の始動毎に1回ずつ実施される。
故障診断部15による故障診断は、次の態様で行われる。故障診断が開始されると、まずPMセンサ13の検出素子17に付着しているPMを除去するための再生処理が行われる。再生処理では、ヒータ24による検出素子17の加熱により、同検出素子17に付着しているPMが燃焼除去される。再生処理に際して故障診断部15は、ヒータ駆動回路27に対して、素子温TpmをPMの燃焼に必要な温度以上に高めるために必要な規定の電圧を、検出素子17に付着しているPMを確実に除去可能な規定の時間、ヒータ24に印加するよう指令する。
そして、再生処理により検出素子17に付着したPMを除去した後、PMセンサ出力SO(櫛歯電極22,23間の電流値)の変化を測定し、その測定結果に基づいてPM捕集フィルタ12の故障の有無を診断する。検出素子17の周囲の排気中のPMの量が多いほど、同検出素子17に付着するPMの量も多くなる。また、PM捕集フィルタ12が故障して、同PM捕集フィルタ12のPM捕集率、すなわちPM捕集フィルタ12に流入するPMの量に対する、PM捕集フィルタ12が捕集するPMの量の比率が低下すると、検出素子17の周囲の排気中のPMの量が多くなる。したがって、PM捕集フィルタ12が故障している場合には、故障していない場合に比して、再生処理完了後における検出素子17へのPM付着がより速やかに進行し、PMセンサ出力SOがより速やかに増大するようになる。そのため、再生処理完了後のPMセンサ出力SOの変化の測定結果からは、PM捕集フィルタ12の故障の有無を診断することができる。
ちなみに、本実施形態では、故障の有無の判定を以下の態様で行っている。
PM捕集フィルタ12をすり抜けて排気通路11におけるPMセンサ13の設置位置まで到達するPMの量は、内燃機関10が排気通路11に排出したPMの量と、PM捕集フィルタ12のPM捕集率とから求めることができる。そして、PMセンサ13の設置位置に到達したPMの量からは、検出素子17のPM付着量を推定することができる。よって、故障時のPM捕集フィルタ12のPM捕集率の想定値と内燃機関10のPM排出量とからは、PM捕集フィルタ12が故障している場合に想定される検出素子17のPM付着量を求めることができる。
ここで、PM捕集フィルタ12が故障しているとした場合の、上記のような故障診断のためのPMセンサ出力SOの変化の測定開始後における検出素子17のPM付着量の想定値を、故障時推定付着量MAとする。故障時推定付着量MAの値は、下記態様で演算される。
故障時推定付着量MAは、上記のような故障診断のためのPMセンサ出力SOの変化の測定期間における、下記の単位時間当たり付着量ΔMAの積算値として演算される。単位時間当たり付着量ΔMAは、PM捕集フィルタ12が故障しているとした場合に想定される、検出素子17の単位時間当たりのPM付着量である。単位時間あたり付着量ΔMAの値は、内燃機関10の単位時間当たりのPM排出量(以下、PM排出流量DPMと記載する)に、スリップ係数K1、流速補正係数K2、及び熱泳動補正係数K3を乗算することで演算されている(ΔMA=DPM×K1×K2×K3)。ちなみに、故障時推定付着量MAの値は、故障診断が完了したとき、又は中止されたときに、「0」にリセットされる。
スリップ係数K1は、PM捕集フィルタ12の故障時におけるPMのすり抜け比率を示す。ここでのPMのすり抜け比率とは、PM捕集フィルタ12へのPMの流入量に対する同PM捕集フィルタ12からのPMの排出量の比率であり、その値は、排気流量とフィルタPM堆積量とに基づき演算されている。排気流量が多いほど、PM捕集フィルタ12前後の差圧が大きくなり、PM捕集フィルタ12をPMがすり抜け易くなる。また、PMの堆積によるPM捕集フィルタ12の目詰りが進むほど、PMは、PM捕集フィルタ12をすり抜け難くなる。そのため、スリップ係数K1の値は、排気流量が多いほど、大きい値とされ、フィルタPM堆積量が多いほど、小さい値とされる。こうしたスリップ係数K1をPM排出流量DPMに乗算した値(=DPM×K1)は、PM捕集フィルタ12が故障しているとした場合の、PMセンサ13の設置位置に到達するPMの単位時間当たりの量を示す。なお、排気流量は、吸気流量GAと燃料流量GFとから求められている。
また、流速補正係数K2は、検出素子17の周囲を流れる排気の流速が、同検出素子17へのPMの付着に与える影響分を補正するための係数であり、その値は、排気流量に基づき演算されている。排気の流速が高いと、PMが検出素子17の周囲に留まる時間が短くなり、検出素子17に付着し難くなる。そのため、排気流量が多く、検出素子17の周囲を流れる排気の流速が高くなるほど、流速補正係数K2の値は小さくされる。
さらに、熱泳動補正係数K3は、内燃機関10の運転状態から推定された排気温と、サーミスタ25及び素子温検出回路28により検出された素子温Tpmとから演算される補正係数である。検出素子17とその周囲の排気との温度差が大きいと、上述したようなPMの熱泳動が活発となり、検出素子17にPMが付着し易くなる。そのため、熱泳動補正係数K3の値は、排気温に対する素子温Tpmの差が大きいほど、大きくされる。
ここで、PMセンサ出力SOが規定の故障判定値εになるときの検出素子17のPM付着量を「R1」とする(図3参照)。このとき、PM捕集フィルタ12が故障している場合の、故障時推定付着量MAが「R1」に到達した時点におけるPMセンサ出力SOの想定値は、故障判定値εとなる。
故障診断部15は、故障診断のためのPMセンサ出力SOの変化の測定開始後、故障時推定付着量MAが「R1」に到達してから、「R1」よりも大きい値に設定された「R2」に到達するまでの期間に、PMセンサ出力SOが故障判定値ε以上となっている場合、PM捕集フィルタ12が故障していると判定している。また、故障診断部15は、故障時推定付着量MAが「R2」に到達した時点のPMセンサ出力SOが故障判定値ε未満である場合、PM捕集フィルタ12が正常に機能していると判定している。なお、「R2」の値は、故障時のPM捕集フィルタ12のPM捕集率がそのばらつきの範囲の上限にあるとした場合に、PMセンサ出力SOが故障判定値εに到達する故障時推定付着量MAに、さらに余裕代を加えた値とされている。
ところで、PMは排気通路11の壁面にも付着し、その付着したPMが塊となって剥がれ落ちることがある。そして、その剥がれ落ちたPMの塊(以下、スーツ塊と記載する)が検出素子17に付着することがある。
図4には、排気中のPMのみが検出素子17に付着する場合の上記測定中のPMセンサ出力SOの推移が実線で示されている。この場合、検出素子17のPM付着量は時間と共に徐々に増加していくため、PMセンサ出力SOも時間と共に徐々に増加する。一方、同図には、上記測定中に上記のようなスーツ塊が検出素子17に付着した場合のPMセンサ出力SOの推移が一点鎖線で示されている。検出素子17の櫛歯電極22,23を跨ぐようにスーツ塊が付着すると、そのスーツ塊を通じた導通により、櫛歯電極22,23間の電流値が急増する。こうした場合のPMセンサ出力SOの変化は、PM捕集フィルタ12をすり抜けたPMの量を反映しないため、故障診断を正確に行うことができなくなる。そこで、本実施形態の故障診断装置において故障診断部15は、上記のような故障診断のためのPMセンサ出力SOの変化の測定期間に、PMセンサ出力SOが急増した場合には、故障診断を中止するようにしている。
なお、PMセンサ13は、櫛歯電極22,23の抵抗値の温度変化のため、再生処理完了直後のような検出素子17が高温の状態では、PM付着量を正確に測定できなくなっている。そのため、故障診断部15は、再生処理の完了後、素子温Tpmが規定の冷却完了温度β以下に低下するのを待って、上述した故障診断のためのPMセンサ出力SOの変化の測定を開始するようにしている。なお、冷却完了温度βの値は、検出素子17のPM付着量を正確に測定可能な素子温Tpmの範囲(測定可能域)の上限値が設定されている。
通常、こうした検出素子17の冷却は、比較的短い時間で完了し、その間の検出素子17へのPM付着は僅かであるため、冷却期間中の検出素子17のPM付着が故障診断の結果に影響することはない。しかしながら、再生処理の完了後、内燃機関10の高負荷運転が続き、排気温が高い状態が継続すると、検出素子17の冷却が遅れてしまい、再生処理完了後、PMセンサ出力SOの変化の測定を開始するまでの時間が長くなる。そうした場合、冷却期間中、検出素子17に無視し得ない量のPMが付着して、故障診断を正確に行えなくなる虞がある。
いずれにせよ、冷却期間が長いほど、またその冷却期間にPMセンサ13の設置位置に到達するPMの量が多いほど、冷却期間における検出素子17のPM付着量は多くなる。ここで、診断に影響が及ばない、測定開始時の検出素子17のPM付着量の上限値を、上限付着量ということとする。冷却期間における内燃機関10のPM排出量IPMが同じでも、PMセンサ13の設置位置に到達するPMの量は、PM捕集フィルタ12のPM捕集率により変化する。そのため、PM捕集フィルタ12の故障の有無が未確定な状態では、冷却期間における検出素子17のPM付着量を正確に知る術はない。
ただし、内燃機関10が排出したPMのすべてがPM捕集フィルタ12を素通りするとしても、PM排出量IPMが少なければ、測定開始時の検出素子17に付着しているPMの量は上限付着量に達することはない。このように、PM捕集率が想定される最小の値であっても、測定開始時の検出素子17のPM付着量が上限付着量以下となるPM排出量が存在する。よって、再生処理の完了から測定開始までの内燃機関10のPM排出量IPMからは、診断開始時の検出素子17のPM付着量が、診断に影響するほど多くなっている可能性があるか否かを判断することが可能である。
本実施形態の故障診断装置において診断中止部16は、検出素子17の冷却期間における内燃機関10のPM排出量IPMを求めている。そして、診断中止部16は、冷却期間のPM排出量IPMが中止判定値α以下である場合にのみ、故障診断のためのPMセンサ出力SOの変化の測定、及びその測定結果に基づく故障の有無の診断を行い、同冷却期間のPM排出量IPMが中止判定値αを超える場合には、その時点で故障診断を中止するようにしている。なお、中止判定値αの値には、冷却期間における内燃機関10のPM排出量IPM、すなわち再生処理の完了から測定開始までのPM排出量IPMであり、上述したような、PM捕集率が想定される最小の値であっても、測定開始時の検出素子17のPM付着量が上限付着量以下となる値が設定されている。
続いて、本実施形態でのPM排出量IPMの演算について説明する。PM排出量IPMは、再生処理完了後のPM排出流量DPMを積算することで求められる。PM排出流量DPMは、内燃機関10が単位時間当たりに排出するPMの量である。なお、PM排出量IPMの値は、故障診断が完了したとき、又は中止されたときに、「0」にリセットされる。
図5に、PM排出流量DPMの演算ロジックを示す。同図に示すように、PM排出流量DPMの演算に際しては、ベースPM排出流量DPMbse、ベース空燃比AFbse、及び推定空燃比AFSが求められる。
ベースPM排出流量DPMbseは、現状のエンジン回転数NE、燃料流量GF、及び大気圧PAのもとで内燃機関10を定常運転した場合のPM排出流量DPMの想定値であり、その値は、電子制御ユニット14に記憶された演算マップM1を参照して求められる。演算マップM1には、予め実験等で求められたエンジン回転数NE、燃料流量GF、及び大気圧PAと、ベースPM排出流量DPMbseとの関係が記憶されている。
ベース空燃比AFbseは、現状のエンジン回転数NE、燃料流量GF、大気圧PAのもとで内燃機関10を定常運転した場合の空燃比の想定値であり、その値は、電子制御ユニット14に記憶された演算マップM2を参照して求められるベース吸気流量GAbseから算出される。演算マップM2には、予め実験等で求められたエンジン回転数NE、燃料流量GF、及び大気圧PAと、ベース吸気流量GAbseとの関係が記憶されている。なお、ベースPM排出流量DPMbseは、内燃機関10で燃焼されている混合気の空燃比がベース空燃比AFbseであるものとしてその値が求められている。
推定空燃比AFSは、内燃機関10の現状の空燃比の推定値であり、その値は、吸気流量GA、燃料流量GF、及び空燃比学習値KGから求められる。
さらに、ベース空燃比AFbseに対する推定空燃比AFSの比RAF(=AFS/AFbse)に基づき、過渡補正係数Kが求められる。過渡補正係数Kは、上記定常運転の場合と現状の運転状態の場合との内燃機関10のPM排出流量の差分を補正するための係数であり、その値は、電子制御ユニット14に記憶された演算マップM3を参照して求められる。演算マップM3には、上記比RAFと過渡補正係数Kとの関係が記憶されている。なお、過渡補正係数Kの値は、上記比RAFが「1」の場合には「1」に設定される。また、混合気が燃料過剰なほど、燃焼により生成されるPMの量は多くなるため、過渡補正係数Kの値は、上記比RAFが小さいほど、大きい値となるように設定される。
そして、ベースPM排出流量DPMbseに過渡補正係数Kを乗算した値に、水温補正、吸気温補正を行うことでPM排出流量DPMの値が求められる。なお、内燃機関10の冷却水温THWが低い場合、シリンダやピストンへの燃料付着が多くなり、付着した燃料が不完全燃焼してPMを生成する。そのため、水温補正では、冷却水温THWが低いときには、PM排出流量DPMの値を大きくするように同PM排出流量DPMの補正が行われる。また、内燃機関10の吸気温THAが低い場合、燃焼温度も低くなって、燃焼時のPM生成量が増える。そのため、吸気温補正では、吸気温THAが低いときには、PM排出流量DPMの値を大きくするように同PM排出流量DPMの補正が行われる。
図6に、PM捕集フィルタ12の故障診断に係る処理の流れを示す。本処理は、内燃機関10の運転中に、上述した診断実施条件が成立しているときに故障診断部15及び診断中止部16により実行される。なお、本処理の実施中に診断実施条件が不成立となった場合、本処理はその時点で中止され、再び診断実施条件が成立したときに、始めからやり直される。ちなみに、本処理におけるステップS101及びステップS102の処理は、診断中止部16が実行し、それ以外のステップの処理は、故障診断部15が実行する。
故障診断が開始されると、まずステップS100において、検出素子17に付着しているPMを燃焼除去するための再生処理が実施される。再生処理が完了すると、ステップS102又はステップS103のいずれかでの判定で肯定判定されるまで、規定時間毎にステップS101からステップS103の処理が繰り返される。
ステップS101では、上述の態様で、再生処理完了後における内燃機関10のPM排出量IPMが演算される。そして、続くステップS102において、演算されたPM排出量IPMの値が中止判定値αを超えているか否かが判定される。ここで、PM排出量IPMが中止判定値α以下の場合(NO)、ステップS103に処理が進められる。これに対して、PM排出量IPMが中止判定値αを超えている場合(YES)、測定開始時の検出素子17に、上述の上限付着量を超えるPMが付着している状態となる可能性があるとの判断により、今回の故障診断が中止される。
ステップS103に処理が進められると、そのステップS103において、素子温Tpmが規定の冷却完了温度β以下であるか否かが判定される。すなわち、再生処理の完了後、同再生処理により上昇した検出素子17の温度が規定の冷却完了温度βまで低下したか否かが判定される。ここで、素子温Tpmが冷却完了温度β以下の場合(YES)、ステップS104に処理が進められ、素子温Tpmが冷却完了温度βを超えている場合(NO)、上記規定時間後にステップS101に処理が戻される。
ステップS104に処理が進められると、PMセンサ出力SOが規定の再生判定値γ以下であるか否かが判定される。ここで、PMセンサ出力SOが再生判定値γ以下であれば(YES)、ステップS106に処理が進められる。再生処理の完了後には、検出素子17には殆どPMが付着しておらず、PMセンサ出力SOは「0」に近い値となっている筈である。また、再生処理完了後の検出素子17の冷却が長引き、その間に検出素子17に一定量以上のPMが付着するような場合には、ステップS102での判定により故障診断が中止される。よって、このときのPMセンサ出力SOが、「0」よりも大きい一定の値(再生判定値γ)を超える場合、櫛歯電極22,23間に短絡が生じている可能性がある。そこで、PMセンサ出力SOが再生判定値γを超える場合(NO)、ステップS105において、PMセンサ13に異常があると判定された後、今回の故障診断が中止される。なお、このときには、電子制御ユニット14のメモリに、PMセンサ13の異常判定がなされた旨の履歴が記録され、フェールセーフ処理が実施される。
ステップS106に処理が進められると、そのステップS106において、PMセンサ出力SOが急激に増加しているか否かが判定される。ここで、PMセンサ出力SOが急激に増加していなければ(NO)、ステップS107に処理が進められる。一方、PMセンサ出力SOが急激に増加していれば(YES)、検出素子17へのスーツ塊が付着した可能性があるとの判断により、今回の故障診断が中止される。
ステップS107に処理が進められると、そのステップS107において、上述の態様で故障時推定付着量MAの演算が行われる。そして、続くステップS108において、演算した故障時推定付着量MAの値が「R1」以上であるか否かが判定される。ここで、故障時推定付着量MAの値が「R1」未満である場合(NO)、上記規定時間後にステップS106に処理が戻される。
一方、故障時推定付着量MAの値が「R1」以上の場合(S108:YES)、ステップS109に処理が進められる。ステップS109では、PMセンサ出力SOが故障判定値ε以上であるか否かが判定される。ここでPMセンサ出力SOが故障判定値ε以上の場合(YES)、故障診断部15は、ステップS110において、PM捕集フィルタ12が故障していると判定して今回の故障診断を完了する。なお、このときには、PM捕集フィルタ12が故障と判定された旨の履歴が電子制御ユニット14のメモリに記録され、フェールセーフ処理が実施される。
一方、PMセンサ出力が故障判定値ε未満の場合(S110:NO)、ステップS111に処理が進められる。ステップS111では、故障時推定付着量MAの値が「R2」以上であるか否かが判定される。ここで、故障時推定付着量MAの値が「R2」未満の場合(NO)、規定時間後にステップS106に処理が戻される。これに対して、故障時推定付着量MAの値が「R2」以上の場合(YES)、故障診断部15は、ステップS112において、PM捕集フィルタ12が正常に機能していると判定して今回の故障診断を完了する。なお、このときには、PM捕集フィルタ12が正常と判定された旨の履歴が電子制御ユニット14のメモリに記録される。
続いて、以上のように構成された本実施形態の作用を説明する。
図7は、再生処理後の検出素子17の冷却時間が短い場合の故障診断の状況を示している。
時刻t1に故障診断が開始されると、その時刻t1から再生処理が開始され、ヒータ24の加熱により、素子温Tpmが高められる。時刻t2に再生処理が完了して、ヒータ24の加熱が停止されると、素子温Tpmが低下する。ここでは、このときの検出素子17の冷却は速やかに進んでおり、再生処理が完了した時刻t2から素子温Tpmが冷却完了温度βまで低下する時刻t3までの冷却期間における内燃機関10のPM排出量IPMは、中止判定値α未満に留まる。そのため、故障診断は中止されず、時刻t3より、故障診断のためのPMセンサ出力SOの変化の測定が開始される。すなわち、この時刻t3から、PMセンサ出力SOに基づく故障時推定付着量MAの演算が開始される。そして、故障時推定付着量MAが「R1」に達する時刻t4から同故障時推定付着量MAが「R2」に達する時刻t5までの期間(以下、診断期間と記載する)において、PMセンサ出力SOが故障判定値ε以上となっているか否かにより、PM捕集フィルタ12の故障の有無が診断される。
PM捕集フィルタ12が故障していない場合、同図に実線で示すように、時刻t3以降のPMセンサ出力SOの増加は比較的緩やかであり、上記診断期間の終了まで、PMセンサ出力SOは故障判定値ε未満に留まっている。そのため、このときの故障診断は、診断期間が終了する時刻t5における、PM捕集フィルタ12が正常に機能しているとの判定をもって完了する。
PM捕集フィルタ12が故障している場合、同図に二点鎖線で示すように、時刻t3以降のPMセンサ出力SOは、故障していない場合よりも速やかに増加し、診断期間中にPMセンサ出力SOが故障判定値εに達している。そのため、この場合の故障診断には、PMセンサ出力SOが故障判定値εに達した時点での、PM捕集フィルタ12が故障しているとの判定をもって完了する。
図8は、再生処理後の検出素子17の冷却時間が長い場合の故障診断の状況を示している。
この場合にも、時刻t10に故障診断が開始されると、その時刻t10から再生処理が開始され、ヒータ24の加熱により、素子温Tpmが高められる。時刻t11に再生処理が完了して、ヒータ24の加熱が停止されると、素子温Tpmが低下する。ただし、同図の場合、時刻t11以降、排気温が冷却完了温度βよりも高い状態がしばらく続いた結果、冷却完了温度βまで素子温Tpmが低下するまでに、図7の場合より長い時間を要している。
こうした場合、故障診断をそのまま継続すると、このときのPMセンサ出力SOの変化の測定は、再生処理の完了からしばらく経った時刻t13から開始されることになり、その時点までに検出素子17へのPMの付着が進行してしまう。そして、測定の開始が遅れた分、故障時推定付着量MAが「R1」に達する時刻t14から「R2」に達する時刻t16までの診断期間が後ろにずれ込んでしまう。なお、同図には、PM捕集フィルタ12が故障していない場合のPMセンサ出力SOの推移が二点鎖線で示されている。この場合、PM捕集フィルタ12が正常であるにも拘らず、診断期間が後ろにずれ込んだ結果、同診断期間中の時刻t15にPMセンサ出力SOが故障判定値ε以上となる。そのため、このときには、PM捕集フィルタ12が正常に機能しているにも拘らず、故障していると誤判定されてしまう。
その点、本実施形態では、再生処理の完了した時刻t11から素子温Tpmが冷却完了温度βとなる時刻t13までの検出素子17の冷却期間における内燃機関10のPM排出量IPMが中止判定値α以上に達すると、その時点(同図では時刻t12)で診断中止部16により故障診断が中止される。そのため、測定開始時の検出素子17のPM付着量が、診断に影響するほど多くなっている可能性がある場合には、故障診断部15の故障診断を中止して、測定開始時における検出素子17の多量のPM付着による誤診断を回避することが可能となる。したがって、本実施形態の故障診断装置によれば、PM捕集フィルタ12の故障の有無の診断をより正確に行うことができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・内燃機関10のPM排出量IPMの演算を、上記実施形態と異なるロジックで行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、サーミスタ25及び素子温検出回路28により素子温Tpmを実測するようにしていたが、排気温などから素子温Tpmを推定して求めるようにしてもよい。そうした場合、素子温Tpmの推定を行う部材が、素子温検出部に対応する。
・上記実施形態では、故障診断のためのPMセンサ出力SOの変化の測定中に、同PMセンサ出力SOが急増した場合、すなわち図6のステップS106において「YES」と判定された場合、検出素子17にスーツ塊が付着した可能性があるとして、故障診断を中止するようにしていた。検出素子17を保護するネットなどがPMセンサ13に設けられているなど、検出素子17へのスーツ塊の付着を考慮しなくてもよい場合には、図6のステップS106の処理を省略してもよい。
10…内燃機関、11…排気通路、12…PM捕集フィルタ、13…PMセンサ、14…電子制御ユニット、15…故障診断部、16…診断中止部、17…検出素子(付着量検出部)、22,23…櫛歯電極、24…ヒータ、25…サーミスタ(素子温検出部)、26…付着量検出回路(付着量検出部)、27…ヒータ駆動回路、28…素子温検出回路(素子温検出部)。

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路に設置されて、同排気通路を流れる排気中の微粒子物質を捕集するPM捕集フィルタの故障の有無を診断するPM捕集フィルタの故障診断装置において、
    前記PM捕集フィルタを通過した排気に曝される検出素子を有しており、且つ同検出素子に付着している微粒子物質の量に応じた出力を発生する付着量検出部と、
    前記検出素子を加熱するヒータと、
    前記検出素子の温度を検出する素子温検出部と、
    前記ヒータによる前記検出素子の加熱を通じて、前記検出素子に付着している微粒子物質を燃焼除去する再生処理を行った後、同再生処理により上昇した前記検出素子の温度が規定の冷却完了温度まで低下したとき以降の前記付着量検出部の出力変化を測定し、その測定結果に基づいて前記PM捕集フィルタの故障の有無を診断する故障診断部と、
    前記再生処理が完了した時点から前記測定を開始する時点までの期間における前記内燃機関の微粒子物質の排出量が規定値を超える場合、前記故障診断部の前記故障の有無の診断を中止する診断中止部と、
    を備えることを特徴とするPM捕集フィルタの故障診断装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020133514A (ja) * 2019-02-20 2020-08-31 トヨタ自動車株式会社 Pm量推定装置、pm量推定システム、データ解析装置、内燃機関の制御装置、および受信装置

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