JP2017161837A - 感光性接着剤組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】感度、解像度及び熱圧着性に優れる感光性接着剤組成物を提供すること。【解決手段】(A)フェノール樹脂と、(B)光により酸を生成する化合物と、(C)熱架橋剤と、(D)イソシアヌル環を有する化合物と、を含有する感光性接着剤組成物。【選択図】図1
Description
本発明は、感光性接着剤組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
複数の半導体チップが積層された多層構造を有する半導体装置が実用化されている。
複数の半導体チップを積層して半導体装置を作製する際に用いられる感光性接着剤組成物としては、例えば、特許文献1に記載されたものが挙げられる。
近年、半導体装置の厚みを薄型化する要求がますます強くなっているが、半導体チップ自体の厚みを薄くすることは限界に近づきつつある。
半導体チップ自体の厚みを変えずに半導体装置の厚みを低減する方法としては、例えば、半導体チップを積層するために用いられるダイアタッチフィルム分の厚みを減らす目的で、半導体チップの表面に形成されるバッファーコート層へ接着機能を付与することが考えられる。当該方法によれば、ダイアタッチフィルムレスで半導体装置を製造することができる。
上記製造方法に用いる感光性接着剤組成物には、優れた感光特性(感度及び解像度)と熱圧着性とを有することが要求される。
そこで、本発明は、感度、解像度及び熱圧着性に優れる感光性接着剤組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明者らは、感度、解像度及び熱圧着性に優れる感光性接着剤組成物に関して鋭意検討を行い、本発明を完成するに至った。
本発明の具体的態様を以下に示す。
<1>(A)フェノール樹脂と、(B)光により酸を生成する化合物と、(C)熱架橋剤と、(D)イソシアヌル環を有する化合物と、を含有する感光性接着剤組成物。
<2>上記(A)フェノール樹脂が、不飽和炭化水素基を有しないフェノール樹脂と、不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂と、を含む、<1>に記載の感光性接着剤組成物。
<3>上記(B)光により酸を生成する化合物が、o−キノンジアジド化合物を含む、<1>又は<2>に記載の感光性接着剤組成物。
<4>(E)エラストマーを更に含有する、<1>〜<3>のいずれかに記載の感光性接着剤組成物。
<5>上記(E)エラストマーが、アクリル樹脂を含む、<4>に記載の感光性接着剤組成物。
<6><1>〜<5>のいずれかに記載の感光性接着剤組成物を基板上に塗布及び乾燥して感光性接着剤層を形成する工程と、上記感光性接着剤層の所定部分を露光する工程と、露光後の上記感光性接着剤層を現像して上記所定部分を除去し、接着パターンを形成する工程と、上記接着パターンに被着体を熱圧着する工程と、を備える半導体装置の製造方法。
<7><1>〜<5>のいずれかに記載の感光性接着剤組成物の硬化体を備える半導体装置。
<1>(A)フェノール樹脂と、(B)光により酸を生成する化合物と、(C)熱架橋剤と、(D)イソシアヌル環を有する化合物と、を含有する感光性接着剤組成物。
<2>上記(A)フェノール樹脂が、不飽和炭化水素基を有しないフェノール樹脂と、不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂と、を含む、<1>に記載の感光性接着剤組成物。
<3>上記(B)光により酸を生成する化合物が、o−キノンジアジド化合物を含む、<1>又は<2>に記載の感光性接着剤組成物。
<4>(E)エラストマーを更に含有する、<1>〜<3>のいずれかに記載の感光性接着剤組成物。
<5>上記(E)エラストマーが、アクリル樹脂を含む、<4>に記載の感光性接着剤組成物。
<6><1>〜<5>のいずれかに記載の感光性接着剤組成物を基板上に塗布及び乾燥して感光性接着剤層を形成する工程と、上記感光性接着剤層の所定部分を露光する工程と、露光後の上記感光性接着剤層を現像して上記所定部分を除去し、接着パターンを形成する工程と、上記接着パターンに被着体を熱圧着する工程と、を備える半導体装置の製造方法。
<7><1>〜<5>のいずれかに記載の感光性接着剤組成物の硬化体を備える半導体装置。
本発明によれば、感度、解像度及び熱圧着性に優れる感光性接着剤組成物を提供することができる。本発明によれば、また、上記感光性接着剤組成物を用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
さらに、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[感光性接着剤組成物]
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(A)フェノール樹脂と、(B)光により酸を生成する化合物と、(C)熱架橋剤と、(D)イソシアヌル環を有する化合物とを含有する。このような感光性接着剤組成物は、優れた感度、解像度及び熱圧着性(圧着強度)を有する。また、当該感光性接着剤組成物は、信頼性にも優れる。
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(A)フェノール樹脂と、(B)光により酸を生成する化合物と、(C)熱架橋剤と、(D)イソシアヌル環を有する化合物とを含有する。このような感光性接着剤組成物は、優れた感度、解像度及び熱圧着性(圧着強度)を有する。また、当該感光性接着剤組成物は、信頼性にも優れる。
上記感光性接着剤組成物は、バッファーコート層として用いられる感光性樹脂組成物と同等以上の感光特性(感度及び解像度)を有し、かつ、Siチップとの熱圧着性にも優れる。すなわち、上記感光性接着剤組成物は、バッファーコート機能と、熱圧着性とを兼ね備えることから、薄型で信頼性の高い半導体装置を製造できる。
上記感光性接着剤組成物が、熱圧着性に優れる理由を本発明者らは以下のように推測している。一般的に、熱圧着時に感光性接着剤組成物の架橋が進行すると膜の弾性率が上昇し、熱圧着性が低下する傾向にある。一方で、上記感光性接着剤組成物は、熱圧着時までは架橋反応が進行し過ぎず、ある程度の柔軟性を有すると考えられ、これにより、優れた熱圧着性を発揮すると考えられる。
また、上記感光性接着剤組成物は、熱圧着性に優れることから、半導体装置の製造プロセスにおいて、Siチップ間が容易に剥離すること、モールド時にチップがずれること等を防止できる。さらに、上記感光性接着剤組成物は、低温での硬化が可能であるため、半導体装置への熱によるダメージを防止することができる。したがって、上記感光性接着剤組成物によれば、信頼性の高い半導体装置を歩留まりよく製造できる。
<(A)フェノール樹脂>
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(A)フェノール樹脂(以下、場合により「(A)成分」という)を含有する。フェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体とアルデヒド化合物との重縮合生成物である。フェノール樹脂の具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂及びフェノール−ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂が挙げられる。これらの中でも、クレゾールノボラック樹脂が好ましい。
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(A)フェノール樹脂(以下、場合により「(A)成分」という)を含有する。フェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体とアルデヒド化合物との重縮合生成物である。フェノール樹脂の具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、キシレノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾルシノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂及びフェノール−ナフトール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂が挙げられる。これらの中でも、クレゾールノボラック樹脂が好ましい。
フェノール樹脂を得るために用いられるフェノール誘導体としては、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール;メトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール等のアルコキシフェノール;ビニルフェノール、アリルフェノール等のアルケニルフェノール;ベンジルフェノール等のアラルキルフェノール;メトキシカルボニルフェノール等のアルコキシカルボニルフェノール;ベンゾイルオキシフェノール等のアリールカルボニルフェノール;クロロフェノール等のハロゲン化フェノール;カテコール、レゾルシノール、ピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール;α−又はβ−ナフトール等のナフトール化合物;p−ヒドロキシフェニル−2−エタノール、p−ヒドロキシフェニル−3−プロパノール、p−ヒドロキシフェニル−4−ブタノール等のヒドロキシアルキルフェノール;ヒドロキシエチルクレゾール等のヒドロキシアルキルクレゾール;ビスフェノールのモノエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールのモノプロピレンオキサイド付加物等のアルコール性水酸基含有フェノール誘導体;p−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニルブタン酸、p−ヒドロキシ桂皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフェニル安息香酸、ヒドロキシフェノキシ安息香酸、ジフェノール酸等のカルボキシ基含有フェノール誘導体などが挙げられる。また、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾール等の上記フェノール誘導体のメチロール化物をフェノール誘導体として用いてもよい。
フェノール樹脂は、上述のフェノール又はフェノール誘導体をm−キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド化合物と縮重合して得られる生成物であってもよい。この場合、縮重合に用いられるフェノール又はフェノール誘導体に対するフェノール以外の化合物のモル比は、0.5未満であると好ましい。
フェノール樹脂を得るために用いられるアルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、メトキシフェニルアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、クロロアセトアルデヒド、クロロフェニルアセトアルデヒド、グリセルアルデヒド、グリオキシル酸、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸フェニル、グリオキシル酸ヒドロキシフェニル、ホルミル酢酸、ホルミル酢酸メチル、2−ホルミルプロピオン酸、2−ホルミルプロピオン酸メチル等が挙げられる。また、例えば、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等のホルムアルデヒドの前駆体;及びアセトン、ピルビン酸、レブリン酸、4−アセチルブチル酸、アセトンジカルボン酸、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等のケトン化合物を反応に用いてもよい。
(A)成分の重量平均分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性、感光特性及び感光性接着剤組成物の硬化体(硬化物、硬化膜(パターン硬化膜)等)の機械特性のバランスを考慮すると、500〜150000であることが好ましく、500〜100000であることがより好ましく、1000〜50000であることが更に好ましい。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得られる値である。
(A)成分は、(A1)不飽和炭化水素基を有しないフェノール樹脂(以下、場合により「(A1)成分」という)と、(A2)不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂(以下、場合により「(A2)成分」という)とを含んでいてもよい。(A)成分が、(A2)成分を含有することで硬化膜の密着性及び耐熱衝撃性が向上する。
(A2)成分は、例えば、フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基を有する化合物(以下場合により単に「不飽和炭化水素基含有化合物」という)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」という)と、アルデヒド化合物との縮重合生成物であってもよい。(A2)成分を得るために用いられるフェノール誘導体及びアルデヒド化合物としては、例えば、フェノール樹脂を得るために用いられるフェノール誘導体及びアルデヒド化合物として上述したものが挙げられる。
不飽和炭化水素基含有化合物は、パターン硬化膜の密着性及び耐熱衝撃性の観点から、例えば、2以上の不飽和結合を含んでいてもよく、感光性接着剤組成物の保存安定性の観点から、30以下の不飽和結合を含んでいてもよい。
不飽和炭化水素基含有化合物の炭素数は、感光性接着剤組成物とした時の相溶性及び硬化膜の可とう性の観点から、例えば、4〜100であってもよく、8〜80であってもよく、炭素数10〜60であってもよい。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、カルボキシ基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブタジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルが挙げられる。
上記不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α−リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
上記不飽和脂肪酸エステルとしては、例えば、植物油が挙げられる。
不飽和炭化水素基含有化合物は、(A1)成分との相溶性及び機械特性の観点から、不飽和脂肪酸エステルであることが好ましく、植物油であることがより好ましい。
植物油は、一般にグリセリンと不飽和脂肪酸とのエステルである。上記植物油としては、例えば、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油、及び130以上の乾性油が挙げられる。
上記不乾性油としては、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油、落花生油等が挙げられる。上記半乾性油としては、コーン油、綿実油、ごま油等が挙げられる。上記乾性油としては、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油、芥子油等が挙げられる。また、植物油は、上記植物油を加工して得られる加工植物油であってもよい。
これらの植物油の中では、パターン硬化膜の密着性、機械特性及び耐熱衝撃性が向上する観点から乾性油を用いることが好ましい。また、乾性油の中でも、上記効果をより有効かつ確実に発揮できることから、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油及びサフラワー油が好ましく、桐油及び亜麻仁油がより好ましい。
(A2)成分を調製するにあたり、まず、フェノール又は上記フェノール誘導体と上記不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させ、不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を調製する。上記反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。フェノール又はフェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との配合割合は、パターン硬化膜の可とう性が向上する観点から、フェノール又はフェノール誘導体100質量部に対して、例えば、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であってもよく、5〜50質量部であってもよい。上記反応には、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。
次いで、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体と、アルデヒド化合物とを反応させ、(A2)成分である不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂を調製する。上記アルデヒド化合物と、上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体との反応は、重縮合反応であり、従来公知のフェノール樹脂の合成条件を用いることができる。また、(A2)成分は、フェノール又は上記フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得られる化合物と、m−キシレンのようなフェノール以外の化合物とを組み合わせて、アルデヒド化合物と重縮合することにより得ることもできる。なお、(A2)成分の不飽和炭化水素基は、フェノール樹脂の有するフェノール性水酸基に対してオルト位又はパラ位に存在することが好ましく、パラ位に存在することがより好ましい。
また、(A2)成分は、上述のフェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得ることもできる。フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、通常50〜130℃で行うことが好ましい。また、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との配合割合は、硬化膜の可とう性を向上させることができる点から、フェノール樹脂100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1〜100質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましい。このとき、必要に応じて、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。なお、反応にはトルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフラン等の溶媒を用いることができる。
以上のような方法により生成する不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂中に存在するフェノール性水酸基に、更に多塩基酸無水物を反応させることにより酸変性したフェノール樹脂を(A2)成分として用いることもできる。多塩基酸無水物で酸変性することにより、カルボキシ基が導入され、(A2)成分のアルカリ水溶液(現像液)に対する溶解性がより一層向上する。
多塩基酸無水物は、複数のカルボキシ基を有する多塩基酸のカルボキシ基が脱水縮合して形成された酸無水物基を有していれば、特に制限はない。多塩基酸無水物としては、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物;ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族四塩基酸二無水物などが挙げられる。これらの中でも、更に良好な形状を有するパターン硬化膜を形成する観点から、多塩基酸無水物は二塩基酸無水物であることが好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、又はヘキサヒドロ無水フタル酸であることがより好ましい。
不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂中のフェノール性水酸基と多塩基酸無水物との反応は、例えば、50〜130℃で行うことができる。この反応において、多塩基酸無水物の配合量は、現像性が更に向上する観点から、フェノール性水酸基1モルに対して、例えば、0.1モル以上であってもよく、0.15モル以上であってもよく、0.2モル以上であってもよい。多塩基酸無水物の配合量は、未露光部の耐アルカリ性が向上する観点から、フェノール性水酸基1モルに対して、例えば、0.8モル以下であってもよく、0.6モル以下であってもよく、0.4モル以下であってもよい。これらの観点から、この反応において、フェノール性水酸基1モルに対して、多塩基酸無水物を0.1〜0.8モル反応させることが好ましく、0.15〜0.6モル反応させることがより好ましく、0.2〜0.4モル反応させることが更に好ましい。
なお、上記反応には、反応を迅速に行う観点から、必要に応じて、触媒を含有させてもよい。触媒としては、トリエチルアミン等の3級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物などが挙げられる。
多塩基酸無水物で更に変性したフェノール樹脂の酸価は、アルカリ現像に要する時間を短縮する観点から、例えば、30mgKOH/g以上であってもよく、40mgKOH/g以上であってもよく、50mgKOH/g以上であってもよい。多塩基酸無水物で更に変性したフェノール樹脂の酸価は、未露光部の耐現像液性が向上する観点から、例えば、200mgKOH/g以下であってもよく、170mgKOH/g以下であってもよく、150mgKOH/g以下であってもよい。これらの観点から、多塩基酸無水物で更に変性したフェノール樹脂の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、40〜170mgKOH/gであることがより好ましく、50〜150mgKOH/gであることが更に好ましい。
(A2)成分の分子量は、アルカリ水溶液に対する溶解性及び感光特性と硬化膜物性とのバランスを考慮すると、重量平均分子量で1000〜500000が好ましく、2000〜200000がより好ましく、2000〜100000が更に好ましい。
(A)成分が、(A1)成分と、(A2)成分とを含む場合、(A1)成分の含有量は、(A1)成分及び(A2)成分の総質量100質量部に対して、例えば、5質量部〜95質量部であってもよく、10〜90質量部であってもよく、15〜85質量部であってもよい。すなわち、(A2)成分の含有量は、(A1)成分及び(A2)成分の総質量100質量部に対して、例えば、5質量部〜95質量部であってもよく、10〜90質量部であってもよく、15〜85質量部であってもよい。
<(B)光により酸を生成する化合物>
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(B)光により酸を生成する化合物(以下、場合により「(B)成分」という)を含有する。(B)成分は、感光性接着剤組成物中で感光剤として用いられる。(B)成分は、光照射を受けて酸を生成し、光照射した部分のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有する。
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(B)光により酸を生成する化合物(以下、場合により「(B)成分」という)を含有する。(B)成分は、感光性接着剤組成物中で感光剤として用いられる。(B)成分は、光照射を受けて酸を生成し、光照射した部分のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有する。
(B)成分としては、一般に光酸発生剤と称される化合物を用いることができる。(B)成分としては、例えば、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、及びトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。これらの中でも、感度が高いことから、o−キノンジアジド化合物が好ましい。すなわち、(B)成分は、o−キノンジアジド化合物を含むことが好ましい。
o−キノンジアジド化合物は、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物又はアミノ化合物とを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られるものであってもよい。
反応に用いられるo−キノンジアジドスルホニルクロリドとしては、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等が挙げられる。
反応に用いられるヒドロキシ化合物としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
反応に用いられるアミノ化合物としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
これらの中でも吸収波長範囲と反応性の点から、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたもの又はトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン若しくはトリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを縮合反応して得られたものを用いることが好ましい。
反応に用いられる脱塩酸剤としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。また、反応には、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン等の反応溶媒を用いてもよい。
o−キノンジアジドスルホニルクロリドと、ヒドロキシ化合物又はアミノ化合物との反応においては、o−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基とのモル数の合計が0.5〜1になるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドとの配合割合は、0.95/1モル当量〜1/0.95モル当量の範囲であることが好ましい。
なお、上述の縮合反応において、反応温度は、例えば、0〜40℃であってもよく、反応時間は、例えば、1〜10時間であってもよい。
感光性接着剤組成物における(B)成分の含有量は、露光部と未露光部の溶解速度差が大きくなり、形成される接着パターンのコントラストがより良好となる点から、(A)成分100質量部に対して3〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、5〜30質量部が更に好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。
<(C)熱架橋剤>
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(C)熱架橋剤(以下、場合により「(C)成分」という)を含有する。感光性接着剤組成物が(C)成分を含有すると、膜の脆さ及び膜の溶融が低減されると考えられる。
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(C)熱架橋剤(以下、場合により「(C)成分」という)を含有する。感光性接着剤組成物が(C)成分を含有すると、膜の脆さ及び膜の溶融が低減されると考えられる。
(C)成分は、例えば、(A)成分と架橋する基を3つ以上含有する化合物であってもよい。(C)成分は、ヒドロキシメチルアミノ基及びアルコキシメチルアミノ基からなる群より選ばれる基を有する化合物であってもよく、エポキシ基を有する化合物であってもよい。
ヒドロキシメチルアミノ基及びアルコキシメチルアミノ基からなる群より選ばれる基を有する化合物としては、例えば、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)メラミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)グリコールウリル、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)ベンゾグアナミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)尿素等の活性メチロール基の全部又は一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物が挙げられる。ここで、アルキルエーテルのアルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基、又はこれらを混合したものを挙げられ、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含有していてもよい。
ヒドロキシメチルアミノ基及びアルコキシメチルアミノ基からなる群より選ばれる基を有する化合物の具体例は、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(ブトキシメチル)メラミン、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、及びテトラキス(メトキシメチル)尿素を含む。
エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール系エポキシ化合物、ポリアルキレン系エポキシ化合物等が挙げられる。これらの中でも、吸湿リフロー後の吸湿率及び接着強度のバランスの観点から、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、又は脂肪族ポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。これらの観点から、(C)成分は、例えば、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びビスフェノールA型エポキシ樹脂を含んでいてもよい。熱圧着性が更に向上する観点から、(C)成分は、例えば、ポリアルキレングリコール系エポキシ化合物を含んでいてもよい。
(C)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。(C)成分は、例えば、(A)成分と架橋する基を3つ以上含有する化合物と、これ以外の化合物とを含んでいてもよい。熱圧着性が更に向上する観点から、(C)成分は、(A)成分と架橋する基を3つ以上含有する化合物と2官能の架橋剤とを含むことが好ましい。
(C)成分が2官能の架橋剤を含有する場合、感光性接着剤組成物における2官能の架橋剤の含有量は、熱圧着性が更に向上する観点から、(A)成分100質量部に対して、例えば、5〜20質量部であってもよく、10〜20質量部であってもよい。
(C)成分は、例えば、パターン形成を行った後に熱圧着する場合に、パターン変形が低減でき、かつ、熱圧着性が更に向上する観点から、反応温度の異なる少なくとも2種類の熱架橋剤を含有していてもよい。このような熱架橋剤を含有することにより、例えば、パターン変形を防止する目的でパターン形成後に一度半硬化を行う場合でも、圧着に十分な柔軟性を保持し易く、かつ、圧着後の硬化が進み易いと考えられる。したがって、被着体との接着強度を更に強化できると考えられる。これらの観点から、(C)成分は、例えば、圧着温度よりも低温で反応が進行する熱架橋剤と、当該熱架橋剤より高温で反応が進行する熱架橋剤とを含有していてもよい。また、(C)成分は、例えば、80℃以上150℃未満で反応が進行する熱架橋剤、及び、150℃以上230℃以下で反応が進行する熱架橋剤の2種類からなる態様であってもよい。
感光性接着剤組成物における(C)成分の含有量は、アルカリ現像性、吸湿リフロー後の吸湿率及び接着強度のバランスの観点から、(A)成分100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、2〜40質量部がより好ましく、3〜40質量部が更に好ましい。
<(D)イソシアヌル環を有する化合物>
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(D)イソシアヌル環を有する化合物(以下、場合により「(D)成分」という)を含有する。
本実施形態の感光性接着剤組成物は、(D)イソシアヌル環を有する化合物(以下、場合により「(D)成分」という)を含有する。
(D)成分としては、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
式(I)中、複数存在するR40は、それぞれ独立に一価の基を示す。
R40としては、水素原子、アリル基、置換基で置換されていてもよいアルキル基等が挙げられる。上記アルキル基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。上記置換基としては、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
置換基で置換されていてもよいアルキル基の具体例は、カルボキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アクリロイルオキシアルキル基、グリシジル基等を含む。カルボキシアルキル基としては、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基、カルボキシヘプチル基、カルボキシオクチル基、カルボキシノニル基、カルボキシデシル基等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基等が挙げられる。アクリロイルオキシアルキル基としては、アクリロイルオキシエチル基、アクリロイルオキシプロピル基、アクリロイルオキシブチル基、アクリロイルオキシペンチル基、アクリロイルオキシヘキシル基、アクリロイルオキシヘプチル基、アクリロイルオキシオクチル基、アクリロイルオキシノニル基、アクリロイルオキシデシル基等が挙げられる。
式(I)で表される化合物の具体例は、トリグリシジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、ジアリルグリシジルイソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及びトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを含む。
感光性接着剤組成物における(D)成分の含有量は、感光特性及び圧着強度が更に向上する観点から、(A)成分の総量100質量部に対して、1〜60質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましく、5〜40質量部が更に好ましい。
<その他の成分>
本発明の感光性接着剤組成物は必要に応じ、上記以外の成分(その他成分)を更に含有することができる。その他成分としては、例えば、後述の(E)エラストマー、(F)シラン化合物、及び(G)溶剤、並びに、溶解促進剤、溶解阻害剤、界面活性剤、及びレベリング剤が挙げられる。
本発明の感光性接着剤組成物は必要に応じ、上記以外の成分(その他成分)を更に含有することができる。その他成分としては、例えば、後述の(E)エラストマー、(F)シラン化合物、及び(G)溶剤、並びに、溶解促進剤、溶解阻害剤、界面活性剤、及びレベリング剤が挙げられる。
((E)エラストマー)
本実施形態の感光性接着剤組成物は、得られる接着パターンの柔軟性、機械特性及び耐熱衝撃性がより一層向上する観点から、(E)エラストマー(以下、場合により「(E)成分」という)を含有していてもよい。エラストマーとしては、例えば、従来公知のものを用いることができるが、エラストマーを構成する重合体のガラス転移温度(Tg)が20℃以下であるものが好ましい。
本実施形態の感光性接着剤組成物は、得られる接着パターンの柔軟性、機械特性及び耐熱衝撃性がより一層向上する観点から、(E)エラストマー(以下、場合により「(E)成分」という)を含有していてもよい。エラストマーとしては、例えば、従来公知のものを用いることができるが、エラストマーを構成する重合体のガラス転移温度(Tg)が20℃以下であるものが好ましい。
(E)成分としては、例えば、アクリル系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、及びシリコーン系エラストマーが挙げられる。また、(E)成分は、微粒子状のエラストマーであってもよい。これらのエラストマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)成分は、アクリル樹脂を含むことが好ましい。アルカリ現像性及び硬化膜物性のバランスの観点から、(E)成分は、下記式(2)で表される構造単位及び下記式(3)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を含むことが好ましい。例えば、ポジ型感光性樹脂組成物が当該アクリル樹脂を含有すると、良好な感光特性を維持しつつ、耐熱衝撃性が向上する傾向にある。(E)成分は、例えば、上記アクリル樹脂の1種のみからなるものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
式(2)及び(3)中、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は炭素数4〜20のアルキル基を表す。
感度、解像度及び耐熱衝撃が向上する観点から、式(2)中のR6は、炭素数4〜16のアルキル基であることが好ましく、炭素数4のアルキル基であることがより好ましく、n−ブチル基であることが更に好ましい。
式(2)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記式(V)で表される化合物が挙げられる。
CH2=C(R5)−COOR6 (V)
CH2=C(R5)−COOR6 (V)
ここで、上記式(V)中、R5は水素原子又はメチル基を示し、R6は炭素数4〜20のアルキル基を示す。R6で示される炭素数4〜20のアルキル基としては、例えば、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
上記式(V)で表される重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、(メタ)アクリル酸トリデシルエステル、(メタ)アクリル酸テトラデシルエステル、(メタ)アクリル酸ペンタデシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルエステル、(メタ)アクリル酸オクタデシルエステル、(メタ)アクリル酸ノナデシルエステル、(メタ)アクリル酸エイコシルエステル等が挙げられる。これらの重合性単量体は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記式(3)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。
上記アクリル樹脂において、上記式(2)で表される構造単位の含有量は、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜の耐熱衝撃性が更に向上する観点から、アクリル樹脂を構成する構造単位の総モル量を基準として、50〜95モル%であることが好ましく、60〜90モル%であることがより好ましく、70〜85モル%であることが更に好ましい。
また、上記アクリル樹脂において、上記式(3)で表される構造単位の含有量は、(A)成分との相溶性、及びポジ型感光性樹脂組成物とした際の現像性が更に向上する観点から、アクリル樹脂を構成する全単量体の総モル量を基準として、5〜35モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることが更に好ましい。
(A)成分との相溶性、接着パターンの基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性がより向上する観点から、(E)成分は、例えば、上記式(2)で表される構造単位と、上記式(3)で表される構造単位と、下記式(4)で表される構造単位及び下記式(5)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位と、を有するアクリル樹脂を含有していてもよい。(E)成分が当該アクリル樹脂を含有すると、(E)成分と(A)フェノール樹脂との相互作用が更に良好になり、相溶性が更に向上する傾向にある。
式(4)及び(5)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R7は1級、2級又は3級アミノ基を有する1価の有機基を表す。
式(4)で表される構造単位又は式(5)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重合性単量体は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも特に、接着パターンの基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性がより向上する観点から、式(4)中、R7が下記式(6)で表される1価の有機基であることが好ましい。
式(6)中、Xは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R12〜R16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは0〜10の整数を表す。
式(4)中、R7が上記式(6)で表される1価の有機基で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、及び2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中で、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−711MMとして、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−712HMとして(いずれも日立化成株式会社製)として、それぞれ商業的に入手可能である。
アクリル樹脂が、上記式(4)で表される構造単位を含有する場合、アクリル樹脂中の上記式(4)で表される構造単位の含有割合は、アクリル樹脂の構造単位の総量に対して、0.3〜10モル%であることが好ましく、0.4〜6モル%であることがより好ましく、0.5〜5モル%であることが更に好ましい。
(E)成分は、感度が更に向上する観点から、上記式(2)で表される構造単位、上記式(3)で表される構造単位及び下記式(7)で表される構造単位を有するアクリル樹脂を含有していてもよい。かかるアクリル樹脂は上記式(4)で表される構造単位を更に有していてもよい。
式(7)中、R30は水素原子又はメチル基を表し、Yは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R17〜R21はそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を表し、mは1〜100の整数を表す。
式(7)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、メタクリル変性シリコーンオイルが挙げられ、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475(いずれも信越化学工業(株)社製)として、それぞれ商業的に入手可能である。
アクリル樹脂が、上記式(7)で表される構造単位を含有する場合、アクリル樹脂中の上記式(7)で表される構造単位の含有割合は、アクリル樹脂の構造単位の総量に対して、1〜10モル%であることが好ましく、2〜5モル%であることがより好ましく、3〜5モル%であることが更に好ましい。
上記アクリル樹脂の合成に用いられる重合性単量体は、式(2)、(3)、(4)、(5)、又は(7)で表される各構造単位を与える重合性単量体以外の重合性単量体を更に含んでいてもよい。そのような重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸4−メチルベンジルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル化物、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピルなどのマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、及びプロピオール酸が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)成分の重量平均分子量は、硬化膜の耐熱衝撃性が向上する観点から、例えば、2000以上であってもよく、3000以上であってもよく、5000以上であってもよく、10000以上であってもよい。(E)成分の重量平均分子量は、(E)成分と(A)成分との相溶性が向上する観点及び現像性が更に向上する観点から、例えば、100000以下であってもよく、60000以下であってもよく、50000以下であってもよく、40000以下であってもよい。これらの観点から、(E)成分の重量平均分子量は、2000〜100000であることが好ましく、3000〜60000であることがより好ましく、5000〜50000であることが更に好ましく、10000〜40000であることが特に好ましい。
(E)成分の配合量は、密着性、機械特性、及び耐熱衝撃性が向上する観点、並びに感光特性が更に向上する観点から、(A)成分の総量100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部が更に好ましい。
((F)シラン化合物)
本実施形態の感光性接着剤組成物は、基板との密着性が向上する観点から、(F)シラン化合物(以下、場合により「(F)成分」という)を含有していてもよい。そのようなシラン化合物としては、従来公知のものを特に制限無く用いることができるが、(A)成分及び/又は(C)成分と反応し、接着性及び硬化物の破断伸びが向上する点で、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、又は3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
本実施形態の感光性接着剤組成物は、基板との密着性が向上する観点から、(F)シラン化合物(以下、場合により「(F)成分」という)を含有していてもよい。そのようなシラン化合物としては、従来公知のものを特に制限無く用いることができるが、(A)成分及び/又は(C)成分と反応し、接着性及び硬化物の破断伸びが向上する点で、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、又は3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
(F)成分を用いる場合の含有量は配線への接着性と感光性接着剤組成物の保存安定性の観点から、(A)成分100質量部に対して、(F)成分の総量が0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが更に好ましい。
((G)溶剤)
本実施形態の感光性接着剤組成物は、基板上への塗布性、及び均一な厚さの樹脂膜を形成する観点から、(G)溶剤(以下、場合により「(G)成分」という)を含有していてもよい。上記溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオナート、3−メチルメトキシプロピオナート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
本実施形態の感光性接着剤組成物は、基板上への塗布性、及び均一な厚さの樹脂膜を形成する観点から、(G)溶剤(以下、場合により「(G)成分」という)を含有していてもよい。上記溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオナート、3−メチルメトキシプロピオナート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
(G)成分を含有させる場合の含有量は、特に限定されないが、感光性接着剤組成物中の溶剤の割合が20〜90質量%となるように調整されることが好ましい。
<半導体装置の製造方法>
次に、上述した感光性接着剤組成物を用いて半導体装置を製造する方法について説明する。
次に、上述した感光性接着剤組成物を用いて半導体装置を製造する方法について説明する。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、上記感光性接着剤組成物を基板上に塗布及び乾燥して感光性接着剤層を形成する工程(塗布及び乾燥工程)と、上記感光性接着剤層の所定部分を露光する工程(露光工程)と、露光後の上記感光性接着剤層を現像して上記所定部分を除去し、接着パターンを形成する工程(現像工程)と、上記接着パターンに被着体を熱圧着する工程(熱圧着工程)と、を備える。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、上記以外の工程を備えていてもよい。例えば、上記製造方法は、上記現像工程と上記熱圧着工程との間に、必要に応じ、後述の加熱工程、エッチング工程、アッシング工程、個片化工程等のその他の工程を備えていてもよく、上記熱圧着工程の後に、必要に応じ、後述の加熱硬化工程を備えていてもよい。
以下、本実施形態の半導体装置の製造方法の具体例として、上記感光性接着剤組成物を基板上に塗布及び乾燥して感光性接着剤層を形成する工程(塗布及び乾燥工程)と、上記感光性接着剤層の所定部分を露光する工程(露光工程)と、露光後の上記感光性接着剤層を現像して上記所定部分を除去し、接着パターンを形成する工程(現像工程)と、上記接着パターンを加熱する工程(加熱工程)と、上記基板の上記感光性接着剤層が除去された部分をエッチングした後、更にアッシング処理する工程(エッチング及びアッシング工程)と、接着パターンを有する上記基板を個片化して、接着パターン付きチップを形成する工程(個片化工程)と、上記チップ上の接着パターンに被着体を熱圧着する工程(熱圧着工程)と、上記接着パターンを加熱硬化する工程(加熱硬化工程)と、を備える半導体装置の製造方法について説明する。
(塗布及び乾燥工程)
塗布及び乾燥工程においては、例えば、上記感光性接着剤組成物を基板上(例えば、半導体ウエハの回路面上)に塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜を乾燥することにより感光性接着剤層を形成する。
塗布及び乾燥工程においては、例えば、上記感光性接着剤組成物を基板上(例えば、半導体ウエハの回路面上)に塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜を乾燥することにより感光性接着剤層を形成する。
塗布は、印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、ジェットディスペンス法、インクジェット法等から選ばれる。これらの中でも、薄膜化及び膜厚均一性の観点から、スピンコート法が好ましい。スピンコート法による塗布は、ウエハのうねり、及びエッジ部の盛り上がりを防止するために、500〜5000min−1の回転数で行うことが好ましい。同様の観点から、回転数は600〜4000min−1がより好ましい。
半導体ウエハ等の基板に感光性接着剤組成物をスピンコート法によって塗布する際、基板のエッジ部分に不要な感光性接着剤組成物が付着する場合がある。このような不要な接着剤組成物は、例えば、スピンコート後に溶剤等で洗浄して除去してもよい。洗浄方法は特に限定されないが、半導体ウエハをスピンさせながら、不要な接着剤が付着した部分にノズルから溶剤を吐出させる方法が好ましい。洗浄に使用する溶剤は接着剤を溶解させるものであればよく、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロピルアルコール及びメタノールから選ばれる低沸点溶剤;及び、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)等の高沸点溶剤が用いられる。
乾燥には、例えば、ホットプレート、オーブン等を用いることができる。後述の現像液に対する露光部の溶解速度、未露光部の残膜率及び感度のバランスの観点から、乾燥温度は、80〜150℃が好ましく、100〜130℃がより好ましい。
感光性接着剤層の厚みは、例えば、30μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、15μm以下であってもよい。
(露光工程)
露光工程においては、例えば、マスクを介して上記感光性接着剤層の所定部分へ活性光線を照射することにより、感光性接着剤層の所定部分を露光する。
露光工程においては、例えば、マスクを介して上記感光性接着剤層の所定部分へ活性光線を照射することにより、感光性接着剤層の所定部分を露光する。
具体的には、例えば、半導体ウエハを複数の半導体チップに個片化する際のダイシングライン部分、及び電気的接続を行う部分(ワイヤボンディング用のボンディングパッド部分)の感光性接着剤層が現像で除去されるように、所定のパターンを有するマスクを介して露光する。
露光は、真空下、窒素下、空気下等の雰囲気下で行うことができる。露光量は、50〜2000mJ/cm2が好ましい。
(現像工程)
現像工程においては、露光後の感光性接着剤層を現像して上記所定部分を除去することにより接着パターンを形成する。
現像工程においては、露光後の感光性接着剤層を現像して上記所定部分を除去することにより接着パターンを形成する。
現像は、アルカリ現像液又は有機溶剤を用いて行う。アルカリ現像液としては、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の水酸化物、テトラアンモニウムヒドロキシド(テトラメチルアンモニウムハイドライド)等のアルカリ水溶液が挙げられる。有機溶剤としては、DMF、NMP等が挙げられる。
露光工程において、ダイシングライン部分、及び電気的接続を行う部分(ワイヤボンディング用のボンディングパッド部分)の感光性接着剤層が現像で除去されるように露光した場合、ダイシングライン部分及び電気的接続を行う部分の感光性接着剤層を除去すると、個片化された接着パターンを形成することができる。このように、予めダイシングライン部分、及び電気的接続を行う部分の感光性接着剤層を除去しておくと、ダイシング時の切りくずの発生及び電気的接続時(例えばワイヤボンディング時)の接続不良を抑制できる。
露光及び現像後の接着パターン表面の圧着処理温度(例えば、100〜200℃)におけるタック強度(表面タック力)は、例えば、半導体チップをピックアップする場合のコレットへの接着パターンの付着を十分に抑制する観点、及び、複数の半導体チップを積層して半導体装置を作製する場合の連続圧着のし易さの観点から、100gf以下であることが好ましく、80gf以下であることがより好ましい。また、上記タック強度は、複数の半導体チップを積層する場合の、積層のし易さの観点から、5gf以上であることが好ましい。
露光及び現像後の接着パターン表面のタック強度は以下のように測定される。まず、シリコンウエハ上にスピンコータを用いて感光性接着剤組成物からなる塗膜(膜厚10μm)を形成する。その後、ホットプレートを用いて150℃、10分間加熱することにより塗膜を乾燥して、感光性接着剤層を形成する。そして、所定の温度(例えば120℃)における感光性接着剤層表面のタック強度を、プローブタッキング試験機(株式会社レスカ製)を用いて、プローブ直径:5.1mm、引き剥がし速度:5mm/s、接触荷重:0.2MPa、接触時間:1sの条件で測定する。
また、露光及び現像後の接着パターン表面の120〜180℃におけるタック強度(表面タック力)は、熱圧着時にコレット付着を低減する観点から、80gf以下であることが好ましく、50gf以下であることがより好ましい。
(加熱工程)
加熱工程においては、例えば、接着パターンを形成した上記基板を加熱することにより、上記接着パターンを加熱する。これにより、例えば、接着パターンに残存する溶媒を除去すると共に、架橋剤の反応を一部進行させる。当該工程において、加熱温度は通常70〜200℃が好ましく、75〜190℃がより好ましい。加熱時間は1〜60分間が好ましく、5〜50分間がより好ましい。
加熱工程においては、例えば、接着パターンを形成した上記基板を加熱することにより、上記接着パターンを加熱する。これにより、例えば、接着パターンに残存する溶媒を除去すると共に、架橋剤の反応を一部進行させる。当該工程において、加熱温度は通常70〜200℃が好ましく、75〜190℃がより好ましい。加熱時間は1〜60分間が好ましく、5〜50分間がより好ましい。
加熱工程において、例えば、残存する溶媒が除去されると、後述する熱圧着工程、加熱硬化工程等におけるガス発生が抑制され、圧着性が更に向上する。また、この加熱によって架橋剤の反応を一部進行させることで、後述するエッチング、アッシングの際の接着パターンのダメージを抑制することができる。
(エッチング及びアッシング工程)
エッチング及びアッシング工程においては、例えば、上記基板の上記感光性接着剤層が除去された部分をエッチングした後、更にアッシング処理を施す。アッシング処理により、例えば、上記基板及び上記接着パターンの表面が清掃される。エッチングする部分は、例えば、絶縁膜であってもよい。上記絶縁膜を構成する材料としては、例えば、SiO2及びSiNが挙げられる。エッチングには、例えば、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段を用いることができる。アッシング処理の方法としては、例えば、プラズマアッシングが挙げられる。プラズマアッシングは、酸素ガスを可視光線、マイクロ波等の非電離放射線でプラズマ化し、プラズマ中にアッシング対象物を置くことで、アッシング対象物の表面を清掃する方法である。具体的には、アッシング対象物の表面の物質がプラズマ中の酸素ラジカルと結合し、二酸化炭素と水になることにより、アッシング対象物の表面が清掃される。
エッチング及びアッシング工程においては、例えば、上記基板の上記感光性接着剤層が除去された部分をエッチングした後、更にアッシング処理を施す。アッシング処理により、例えば、上記基板及び上記接着パターンの表面が清掃される。エッチングする部分は、例えば、絶縁膜であってもよい。上記絶縁膜を構成する材料としては、例えば、SiO2及びSiNが挙げられる。エッチングには、例えば、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段を用いることができる。アッシング処理の方法としては、例えば、プラズマアッシングが挙げられる。プラズマアッシングは、酸素ガスを可視光線、マイクロ波等の非電離放射線でプラズマ化し、プラズマ中にアッシング対象物を置くことで、アッシング対象物の表面を清掃する方法である。具体的には、アッシング対象物の表面の物質がプラズマ中の酸素ラジカルと結合し、二酸化炭素と水になることにより、アッシング対象物の表面が清掃される。
(個片化工程)
個片化工程においては、接着パターンを有する上記基板を個片化して、接着パターン付きチップ(例えば、接着パターン付き半導体チップ)を形成する。個片化工程は、例えば、基板を薄化する工程を更に含んでいてもよい。個片化工程の具体例は、例えば、基板をハーフカットした後、所望の基板厚みまで研磨(バックグラインド)する「先ダイシング法」、又は先に基板を所望の厚さまで研磨(バックグラインド)した後、ダイシングを行う方法を含む。ダイシングを行う場合、通常、上記接着パターン面を表面としてダイシングを行うため、ダイシング工程中は冷却水にさらされる。このため、接着パターンは吸水率が低い材料であることが好ましい。このダイシング工程中に接着パターンが吸水すると、後述する熱圧着工程、及び加熱硬化工程において、脱ガスが発生し易い傾向にある。
個片化工程においては、接着パターンを有する上記基板を個片化して、接着パターン付きチップ(例えば、接着パターン付き半導体チップ)を形成する。個片化工程は、例えば、基板を薄化する工程を更に含んでいてもよい。個片化工程の具体例は、例えば、基板をハーフカットした後、所望の基板厚みまで研磨(バックグラインド)する「先ダイシング法」、又は先に基板を所望の厚さまで研磨(バックグラインド)した後、ダイシングを行う方法を含む。ダイシングを行う場合、通常、上記接着パターン面を表面としてダイシングを行うため、ダイシング工程中は冷却水にさらされる。このため、接着パターンは吸水率が低い材料であることが好ましい。このダイシング工程中に接着パターンが吸水すると、後述する熱圧着工程、及び加熱硬化工程において、脱ガスが発生し易い傾向にある。
(熱圧着工程)
熱圧着工程においては、所定温度で、接着パターンに被着体を圧着する。熱圧着工程において、処理温度は、例えば、100〜200℃であってもよく、圧力は、例えば、0.01〜5MPaであってもよく、処理時間は、例えば、0.5〜120秒間程度であってもよい。
熱圧着工程においては、所定温度で、接着パターンに被着体を圧着する。熱圧着工程において、処理温度は、例えば、100〜200℃であってもよく、圧力は、例えば、0.01〜5MPaであってもよく、処理時間は、例えば、0.5〜120秒間程度であってもよい。
上記個片化工程において、個片化した上記接着パターン付きチップを用いる場合、例えば、接着パターン付きチップ上の接着パターン面が、他の接着パターン付きチップのチップ面に接触するように、複数の接着パターン付きチップを積層した後に、これらを熱圧着してもよい。
(加熱硬化工程)
加熱硬化工程は、必要に応じ、被着体に熱圧着された接着パターンを加熱硬化する工程である。当該工程において、加熱温度は、例えば、150〜200℃であってもよい。また、加熱時間は、例えば、1〜9時間であってもよい。
加熱硬化工程は、必要に応じ、被着体に熱圧着された接着パターンを加熱硬化する工程である。当該工程において、加熱温度は、例えば、150〜200℃であってもよい。また、加熱時間は、例えば、1〜9時間であってもよい。
<半導体装置>
次に、本実施形態の感光性接着剤組成物を用いて製造される半導体装置の一実施形態について説明する。本実施形態の半導体装置は、例えば、上述した半導体装置の製造方法により得られるものである。また、本実施形態の半導体装置は、例えば、本実施形態の感光性接着剤組成物の硬化体を備える。
次に、本実施形態の感光性接着剤組成物を用いて製造される半導体装置の一実施形態について説明する。本実施形態の半導体装置は、例えば、上述した半導体装置の製造方法により得られるものである。また、本実施形態の半導体装置は、例えば、本実施形態の感光性接着剤組成物の硬化体を備える。
図1は、半導体装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示す半導体装置120においては、半導体装置用の支持部材(半導体素子搭載用支持部材)13に、個片化された半導体チップ2が、接着部材30を介して接続されている。半導体チップ2は、本実施形態の感光性接着剤組成物の硬化体5を介して他の半導体チップ2と接続されている。半導体チップ2はその開口部51にボンディングパッド17を備える。半導体装置用の支持部材(半導体素子搭載用支持部材)13は、外部接続端子16を備える。ボンディングパッド17と外部接続端子16とは、ワイヤ14を介して電気的に接続されている。また、半導体チップ2は封止材15により封止されている。また、図1に示す半導体装置120は、複数の半導体チップが積層された多層構造を有する。
なお、図1に示す半導体装置120は、例えば、半導体装置用の支持部材(半導体素子搭載用支持部材)13に、個片化した接着パターン付き半導体チップを、接着部材30を介して積層した後、当該接着パターン付き半導体チップ上に、更に別の接着パターン付き半導体チップを積層することを繰り返し、次いで、接着パターンを硬化し、さらに、半導体チップ2の開口部51に露出したボンディングパッド17と半導体装置用の支持部材(半導体素子搭載用支持部材)13の外部接続端子16とをワイヤ14を介して電気的に接続した後、半導体チップ2を封止材15にて封止することにより得ることができる。
以上のとおり、本実施形態の感光性接着剤組成物は、例えば、半導体チップを積層する際の接着パターン等の形成に用いることができる。また、本実施形態の感光性接着剤組成物は、感光特性及び圧着強度に優れることから、薄膜かつ高精細な接着パターン(接着剤パターン)を形成し得る。また、本実施形態の感光性接着剤組成物によれば、複数の半導体チップを積層して半導体装置を作製する際に連続圧着し得る。さらに、本実施形態の感光性接着剤は、低温での硬化が可能であると考えられることから、製造工程での電子部品への熱によるダメージを低減できると考えられる。また、本実施形態の感光性接着剤組成物の硬化体(パターン硬化膜)は、例えば、電子部品の層間絶縁層であり得る。
以下、実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、本実施例で用いた材料について以下に示す。
[(A)成分]
(A)成分として、下記A1及びA2を準備した。
A1:クレゾールノボラック樹脂(クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、m−クレゾール/p−クレゾール(モル比)=60/40、ポリスチレン換算重量平均分子量=13000、旭有機材工業株式会社製、商品名「EP4020G」)
A2:下記合成例1に記載の方法で合成した変性フェノール樹脂
[(A)成分]
(A)成分として、下記A1及びA2を準備した。
A1:クレゾールノボラック樹脂(クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、m−クレゾール/p−クレゾール(モル比)=60/40、ポリスチレン換算重量平均分子量=13000、旭有機材工業株式会社製、商品名「EP4020G」)
A2:下記合成例1に記載の方法で合成した変性フェノール樹脂
合成例1:炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂(A2)の合成
フェノール100質量部、亜麻仁油43質量部及びトリフルオロメタンスルホン酸0.1質量部を混合し、120℃で2時間撹拌し、植物油変性フェノール誘導体(a)を得た。次いで、植物油変性フェノール誘導体(a)130g、パラホルムアルデヒド16.3g及びシュウ酸1.0gを混合し、90℃で3時間撹拌した。次いで、120℃に昇温して減圧下で3時間撹拌した後、反応液に無水コハク酸29g及びトリエチルアミン0.3gを加え、大気圧下、100℃で1時間撹拌した。反応液を室温(25℃、以下同様)まで冷却し、反応生成物である炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂A2を得た(酸価120mgKOH/g)。このA2のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は約25000であった。
フェノール100質量部、亜麻仁油43質量部及びトリフルオロメタンスルホン酸0.1質量部を混合し、120℃で2時間撹拌し、植物油変性フェノール誘導体(a)を得た。次いで、植物油変性フェノール誘導体(a)130g、パラホルムアルデヒド16.3g及びシュウ酸1.0gを混合し、90℃で3時間撹拌した。次いで、120℃に昇温して減圧下で3時間撹拌した後、反応液に無水コハク酸29g及びトリエチルアミン0.3gを加え、大気圧下、100℃で1時間撹拌した。反応液を室温(25℃、以下同様)まで冷却し、反応生成物である炭素数4〜100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂A2を得た(酸価120mgKOH/g)。このA2のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は約25000であった。
なお、(A)成分の重量平均分子量は、具体的には、以下に示す装置及び条件で測定した。
測定装置:検出器 株式会社日立製作所製L−3300 RI
ポンプ:株式会社日立製作所製L−6000
測定条件:カラム 東ソー株式会社製 (商品名「GMHXL−L」) ×2本
溶媒:THF
流速:1.0ml/min
測定する試料0.5mgに対して溶媒1mlの溶液を用いて測定した。
測定装置:検出器 株式会社日立製作所製L−3300 RI
ポンプ:株式会社日立製作所製L−6000
測定条件:カラム 東ソー株式会社製 (商品名「GMHXL−L」) ×2本
溶媒:THF
流速:1.0ml/min
測定する試料0.5mgに対して溶媒1mlの溶液を用いて測定した。
[(B)成分]
(B)成分として、下記B1を準備した。
B1:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンの1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率約90%、AZエレクトロニックマテリアルズ社製、商品名「TPPA528」)
(B)成分として、下記B1を準備した。
B1:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンの1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率約90%、AZエレクトロニックマテリアルズ社製、商品名「TPPA528」)
[(C)成分]
(C)成分として、下記C1を準備した。
C1:ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン(株式会社三和ケミカル製、商品名「MW−30HM」)
(C)成分として、下記C1を準備した。
C1:ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン(株式会社三和ケミカル製、商品名「MW−30HM」)
[(D)成分]
(D)成分として、下記D1及びD2を準備した。
D1:3官能エポキシ系イソシアヌレート(日産化学工業株式会社製、商品名「TEPIC−VL」)
D2:アリルジグリシジルイソシアヌレート(四国化成工業株式会社製、商品名「MA−DGIC」)
(D)成分として、下記D1及びD2を準備した。
D1:3官能エポキシ系イソシアヌレート(日産化学工業株式会社製、商品名「TEPIC−VL」)
D2:アリルジグリシジルイソシアヌレート(四国化成工業株式会社製、商品名「MA−DGIC」)
[(E)成分]
(E)成分として、下記合成例2に記載の方法で合成したアクリル樹脂E1を準備した。
合成例2:アクリル樹脂E1の合成
攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた500mlの三口フラスコに、トルエン75g、イソプロパノール(IPA)75gを秤取し、別途に秤取したアクリル酸ブチル(BA)85g、ラウリルアクリレート(DDA)24g、アクリル酸(AA)14g、及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成株式会社製)7.9gの重合性単量体、並びにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.13gを加えた。室温にて約270min−1の攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を停止し、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を14時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂E1を得た。この際の重合率は98%であった。また、このE1のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
(E)成分として、下記合成例2に記載の方法で合成したアクリル樹脂E1を準備した。
合成例2:アクリル樹脂E1の合成
攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた500mlの三口フラスコに、トルエン75g、イソプロパノール(IPA)75gを秤取し、別途に秤取したアクリル酸ブチル(BA)85g、ラウリルアクリレート(DDA)24g、アクリル酸(AA)14g、及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成株式会社製)7.9gの重合性単量体、並びにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.13gを加えた。室温にて約270min−1の攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を停止し、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を14時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂E1を得た。この際の重合率は98%であった。また、このE1のGPC法の標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
FA−711MM:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(日立化成株式会社製)
BA:アクリル酸n−ブチル
DDA:ラウリルアクリレート
AA:アクリル酸
BA:アクリル酸n−ブチル
DDA:ラウリルアクリレート
AA:アクリル酸
なお、(E)成分の重量平均分子量は、具体的には、以下に示す装置及び条件で測定した。
測定装置:検出器 株式会社日立製作所製L−3300 RI
ポンプ:株式会社日立製作所製L−6000
測定条件:カラム 東ソー株式会社製 (商品名「GMHXL−L」) ×2本
溶媒:THF
流速:1.0ml/min
測定する試料0.5mgに対して溶媒1mlの溶液を用いて測定した。
測定装置:検出器 株式会社日立製作所製L−3300 RI
ポンプ:株式会社日立製作所製L−6000
測定条件:カラム 東ソー株式会社製 (商品名「GMHXL−L」) ×2本
溶媒:THF
流速:1.0ml/min
測定する試料0.5mgに対して溶媒1mlの溶液を用いて測定した。
[(F)成分]
(F)成分として、下記シラン化合物F1を準備した。
F1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−403」)
[その他]
下記α1を準備した。
α1:脂肪族ポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、商品名「ZX−1542」)
(F)成分として、下記シラン化合物F1を準備した。
F1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM−403」)
[その他]
下記α1を準備した。
α1:脂肪族ポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、商品名「ZX−1542」)
<感光性接着剤組成物の調製>
(実施例1〜7及び比較例1及び2)
表2に示した配合量の(A)〜(F)成分及びα1(単位:質量部)、並びに溶剤として乳酸エチル120質量部を配合し、これを3μm孔のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターを用いて加圧ろ過し、実施例1〜4及び比較例1及び2の感光性接着剤組成物を調製した。
(実施例1〜7及び比較例1及び2)
表2に示した配合量の(A)〜(F)成分及びα1(単位:質量部)、並びに溶剤として乳酸エチル120質量部を配合し、これを3μm孔のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターを用いて加圧ろ過し、実施例1〜4及び比較例1及び2の感光性接着剤組成物を調製した。
<感光特性(感度及び解像度)の評価>
得られた感光性接着剤組成物をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚約12〜14μmの塗膜を形成した。次いで、i線ステッパー(キャノン株式会社製、商品名「FPA−3000i」)を用いて、マスクを介してi線(365nm)での縮小投影露光を行った。露光後、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38質量%水溶液を用いて現像を行った。その後、水でリンスし、パターン形成に必要な最小露光量及び開口している最小の正方形ホールパターンの大きさを求めた。最小露光量を感度として、開口している最小の正方形ホールパターンの大きさを解像度として評価した。感度、解像度は、その値が小さいほど良好なことを示す。結果を表2に示す。
得られた感光性接着剤組成物をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚約12〜14μmの塗膜を形成した。次いで、i線ステッパー(キャノン株式会社製、商品名「FPA−3000i」)を用いて、マスクを介してi線(365nm)での縮小投影露光を行った。露光後、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38質量%水溶液を用いて現像を行った。その後、水でリンスし、パターン形成に必要な最小露光量及び開口している最小の正方形ホールパターンの大きさを求めた。最小露光量を感度として、開口している最小の正方形ホールパターンの大きさを解像度として評価した。感度、解像度は、その値が小さいほど良好なことを示す。結果を表2に示す。
<熱圧着性の評価>
得られた感光性接着剤組成物をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚約12〜14μmの塗膜を形成した後、ホットプレート上で150℃、10分加熱を行い、感光性接着剤層(感光性接着剤膜)付シリコンウエハを得た。感光性接着剤層付シリコンウエハへ、シリコンウエハの接着剤層とは反対側の面に、室温でダイシングテープ(厚み80μm)をラミネートし、ダイシングサンプル(感光性接着剤層、シリコンウエハ及びダイシングテープがこの順に配された積層体)を作製した。得られたダイシングサンプルを、フルオートダイサー(株式会社ディスコ製、商品名「DFD−6361」)を用いて切断した後、ダイシングにより感光性接着剤層付シリコンウエハを個片化した。切断は、ブレード1枚で加工を完了するシングルカット方式で行った。なお、ブレードには、株式会社ディスコ製、商品名「ダイシングブレードNBC−ZH104F−SE 27HEDD」を用い、ブレード回転数45000min−1、切断速度20mm/sの条件とした。切断時のブレードハイトは、ダイシングテープを10μm残す設定とした。半導体ウエハを切断するサイズは3.0mm×3.0mmとした。
得られた感光性接着剤組成物をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚約12〜14μmの塗膜を形成した後、ホットプレート上で150℃、10分加熱を行い、感光性接着剤層(感光性接着剤膜)付シリコンウエハを得た。感光性接着剤層付シリコンウエハへ、シリコンウエハの接着剤層とは反対側の面に、室温でダイシングテープ(厚み80μm)をラミネートし、ダイシングサンプル(感光性接着剤層、シリコンウエハ及びダイシングテープがこの順に配された積層体)を作製した。得られたダイシングサンプルを、フルオートダイサー(株式会社ディスコ製、商品名「DFD−6361」)を用いて切断した後、ダイシングにより感光性接着剤層付シリコンウエハを個片化した。切断は、ブレード1枚で加工を完了するシングルカット方式で行った。なお、ブレードには、株式会社ディスコ製、商品名「ダイシングブレードNBC−ZH104F−SE 27HEDD」を用い、ブレード回転数45000min−1、切断速度20mm/sの条件とした。切断時のブレードハイトは、ダイシングテープを10μm残す設定とした。半導体ウエハを切断するサイズは3.0mm×3.0mmとした。
次に、個片化した感光性接着剤層付シリコンウエハを、縦10mm×横10mm×厚さ400μmのシリコンチップ上に、接着剤層とシリコンチップとが接触するように積層した後、熱圧着機(日立化成株式会社製)を用いて、150℃、1s、5Nの条件で圧着した。その後、せん断接着力測定器(Dage社製、商品名「DAGE−4000」)で室温のせん断接着力(圧着強度、接着強度)測定を一つのサンプルに対して10回行い、その平均値を算出した。算出した結果を熱圧着性として評価した。結果を表2に示す。
実施例1〜4は優れた感度、解像度及び熱圧着性を有する。一方、イソシアヌル環を有する化合物を含まない比較例1、2は熱圧着性が低い。
2…半導体チップ、5…本実施形態の感光性接着剤組成物の硬化体、13…半導体装置用の支持部材(半導体素子搭載用支持部材)、14…ワイヤ、15…封止材、16…外部接続端子、17…ボンディングパッド、30…接着部材、51…開口部、120…半導体装置。
Claims (7)
- (A)フェノール樹脂と、
(B)光により酸を生成する化合物と、
(C)熱架橋剤と、
(D)イソシアヌル環を有する化合物と、を含有する感光性接着剤組成物。 - 前記(A)フェノール樹脂が、不飽和炭化水素基を有しないフェノール樹脂と、不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂と、を含む、請求項1に記載の感光性接着剤組成物。
- 前記(B)光により酸を生成する化合物が、o−キノンジアジド化合物を含む、請求項1又は2に記載の感光性接着剤組成物。
- (E)エラストマーを更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物。
- 前記(E)エラストマーが、アクリル樹脂を含む、請求項4に記載の感光性接着剤組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物を基板上に塗布及び乾燥して感光性接着剤層を形成する工程と、
前記感光性接着剤層の所定部分を露光する工程と、
露光後の前記感光性接着剤層を現像して前記所定部分を除去し、接着パターンを形成する工程と、
前記接着パターンに被着体を熱圧着する工程と、を備える半導体装置の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性接着剤組成物の硬化体を備える半導体装置。
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---|---|---|---|---|
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-
2016
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