本実施形態の配線器具用取付枠1は、図1A〜図3に示すように、枠本体10と、一対のリブ111とを備えている。枠本体10は、一対の第1枠片11及び一対の第2枠片12により開口部13を有する矩形枠状に形成されている。一対の第1枠片11は、第1方向(図1Aの左右方向)において対向している。一対の第2枠片12は、第1方向と交差する第2方向(図1Aの上下方向)において対向している。枠本体10は、開口部13内に配線器具(コンセント)2を保持した状態で造営面(壁面)100a(図4A参照)に取り付けられる。一対のリブ111は、枠本体10の第1方向における両端縁から第3方向(図1Aの紙面に垂直な方向)に沿って突出している。第3方向は、第1方向及び第2方向の両方と交差する方向である。一対の第2枠片12の各々は、ねじ挿通孔121を有している。ねじ挿通孔121には、枠本体10を造営面100aに固定するための固定ねじ7が通される。一対のリブ111の各々の第2方向における端部は、ねじ挿通孔121の第2方向における端縁のうち開口部13から遠い側の端縁よりも外側に位置している。
以下、本発明の実施形態に係る配線器具用取付枠1について、図面を参照して具体的に説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されない。したがって、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
以下、コンセント2が配線器具用取付枠1を用いて住宅等の建物の壁面100a(図4A参照)に取り付けられる場合を想定して説明する。以下の説明では特に断りがない限り、壁面100aに取り付けられた状態の配線器具用取付枠1を正面から見たときの上、下、左、右を、上、下、左、右として各方向を規定する。また、壁面100aに直交する方向を前後方向として説明する。つまり、図1A等において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の矢印で示す通りに、上、下、左、右、前、後の各方向を規定する。ただし、これらの方向は配線器具用取付枠1の使用方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
本実施形態の配線器具用取付枠1(以下、取付枠1と省略する。)は、中央に設けられた開口部13内にコンセント(配線器具)2を保持した状態で壁面(造営面)100aに取り付けられる。壁面100aに取り付けられた取付枠1の前面には、化粧プレート3が取り付けられる。このとき、取付枠1に保持されたコンセント2は、化粧プレート3に設けられた開口部43,53(図2及び図3参照)内に配置される。また、本実施形態では、前後方向における取付枠1と化粧プレート3(厳密には、化粧プレート3の一部を構成する第1プレート4)との間に、耐火プレート(内装プレート)6が配置されている。以下、各構成について具体的に説明する。
コンセント2は、図2〜図4Bに示すように、ケース20と、複数(ここでは4個)の刃受けばね24とを備えている。
ケース20は、カバー21と、ボディ22とを有しており、カバー21とボディ22とを結合することで構成されている。
カバー21は、例えばユリア樹脂(尿素樹脂)などの合成樹脂材料で形成されている。カバー21は、上下方向に長い矩形箱状であり、後面が開口している。カバー21の前面には、左右方向に並べて配置された一対の栓刃挿入孔211が、上下方向に並べて2組設けられている。一対の栓刃挿入孔211のうち右側の栓刃挿入孔211は、左側の栓刃挿入孔211に比べて、上下方向の開口寸法が小さくなっている(図4A参照)。
ボディ22は、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などの合成樹脂材料で形成されている。ボディ22は、上下方向に長い矩形箱状であり、前面が開口している。ボディ22の後面には、左右方向に並べて配置された一対の電線挿入孔221(図3参照)が、上下方向に並べて2組設けられている。ボディ22の外形寸法(上下寸法及び左右寸法)は、カバー21の外形寸法(上下寸法及び左右寸法)と略同寸法である。そして、カバー21の開口側とボディ22の開口側とを向かい合わせた状態でカバー21とボディ22を結合することで、ケース20が組み立てられる。
ケース20の右側面には、右向き(外向き)に突出する一対の突部23が設けられている。また、ケース20の左側面には、左向き(外向き)に突出する一対の突部23が設けられている。一対の突部23は、ケース20の右側面又は左側面の上下方向における両端寄りの位置に設けられている。
刃受けばね24は、例えば銅合金などの電気導電率の高い金属材料で形成された一対のばね片を有している。本実施形態では、4個の栓刃挿入孔211に対応するようにして4個の刃受けばね24がケース20に収納されている。そして、刃受けばね24は、栓刃挿入孔211を通して差し込まれたプラグの栓刃を一対のばね片で挟み込むことで栓刃を機械的に保持し、かつ栓刃に電気的に接続される。
化粧プレート3は、図2及び図3に示すように、第1プレート4と、第2プレート5とを備えている。
第1プレート4は、例えばABS樹脂などの合成樹脂材料で形成されている。第1プレート4は、左右方向において対向する一対の第1片41と、上下方向において対向する一対の第2片42とを有している。そして、第1プレート4は、一対の第1片41及び一対の第2片42により上下方向に長い矩形枠状に形成されている。第1プレート4は、上下方向に長い矩形の開口部43を有している。開口部43の開口寸法は、コンセント2の外形寸法(上下寸法及び左右寸法)と略同寸法である。そして、取付枠1に化粧プレート3を取り付けた状態では、図4A及び図4Bに示すように、コンセント2が第1プレート4の開口部43内に配置される。
一対の第1片41の各々は、図3に示すように、後面から後方に突出する複数(ここでは3個)の引掛爪411を有している。複数の引掛爪411は、上下方向に沿って等間隔に設けられている。また、一対の第2片42のうち下側の第2片42は、一対の切欠き421を有している。一対の切欠き421は、下側の第2片42の下面の左右方向における両端寄りの位置に設けられている。
第2プレート5は、第1プレート4と同様に、例えばABS樹脂などの合成樹脂材料で形成されている。第2プレート5は、左右方向において対向する一対の第1片51と、上下方向において対向する一対の第2片52とを有している。そして、第2プレート5は、一対の第1片51及び一対の第2片52により上下方向に長い矩形枠状に形成されている。第2プレート5は、上下方向に長い矩形の開口部53を有している。開口部53の開口寸法は、第1プレート4の開口部43の開口寸法よりも大きい寸法である。また、第2プレート5の外形寸法(上下寸法及び左右寸法)は、第1プレート4の外形寸法(上下寸法及び左右寸法)よりも小さい。したがって、第1プレート4と第2プレート5とを取り付けた状態では、前方から見て第2プレート5が第1プレート4に覆われている(図4A参照)。
一対の第1片51の各々は、上下方向に長い矩形板状である。一対の第1片51の各々は、複数(ここでは3個)の第1引掛孔511と、複数(ここでは2個)の第2引掛孔512とを有している。複数の第1引掛孔511は、上下方向に沿って等間隔に設けられている。また、複数の第2引掛孔512の各々は、上下方向において隣り合う2つの第1引掛孔511の間に設けられている。すなわち、本実施形態の第2プレート5では、第1引掛孔511と第2引掛孔512とが上下方向において交互に設けられている。
一対の第2片52の各々は、左右方向に長い矩形板状である。一対の第2片52の各々は、左右方向における中央の位置に孔521を有している。孔521は、第2プレート5を取付枠1に固定するためのねじ8(図5参照)が通される。また、一対の第2片52のうち一方(下側)の第2片52は、左右方向における両端寄りの位置において下向き(外向き)に突出する一対の突片522を有している。
第1プレート4及び第2プレート5は、第1プレート4の後面と第2プレート5の前面とを向かい合わせた状態で、複数の引掛爪411の各々を複数の第1引掛孔511のうち対応する第1引掛孔511に引っ掛けることで結合される。このとき、第2プレート5に設けられた一対の突片522の各々が、第1プレート4に設けられた一対の切欠き421のうち対応する切欠き421内に入り込む。
耐火プレート(内装プレート)6は、例えば亜鉛鋼板などの不燃材料で形成されている。耐火プレート6は、左右方向において対向する一対の第1片61と、上下方向において対向する一対の第2片62とを有している。そして、耐火プレート6は、一対の第1片61及び一対の第2片62により上下方向に長い矩形枠状に形成されている。耐火プレート6は、上下方向に長い矩形の開口部63を有している。開口部63の開口寸法は、第1プレート4の開口部43の開口寸法と略同寸法である。一対の第2片62の各々と一対の第1片61との連接部分には、斜め後方に傾斜する傾斜部64(図5参照)が設けられている。したがって、一対の第2片62の各々は、前後方向において一対の第1片61よりも後方に位置している。
一対の第2片62の各々は、ねじ8を通すための孔621を有している。一対の第1片61の各々は、左右方向における開口部63と反対側の端縁から後方に突出する一対の突片611を有している。一対の突片611は、第1片61の上下方向における両端寄りの位置に設けられている。この耐火プレート6は、複数の突片611の各々を複数の第2引掛孔512のうち対応する第2引掛孔512に引っ掛けることで、第2プレート5に取り付けられる。
取付枠1は、例えば亜鉛鋼板などの金属材料で形成されている。取付枠1は、図1A〜図1Cに示すように、中央に矩形の開口部13を有する矩形枠状に形成された枠本体10と、一対のリブ111とを備えている。開口部13の開口寸法は、コンセント2の外形寸法(上下寸法及び左右寸法)と略同寸法である。枠本体10は、左右方向(第1方向)において対向する一対の第1枠片11と、上下方向(第2方向)において対向する一対の第2枠片12とを有している。
一対の第1枠片11の各々は、上下方向に長い板状である。一対の第1枠片11の各々は、一対の引掛部112と、一対の突片113とを有している。
一対の引掛部112は、一対の第1枠片11の各々の左右方向における開口部13側の端縁から後方に突出している。一対の引掛部112は、一対の第1枠片11の各々の上下方向における両端寄りの位置に設けられている。これら複数の引掛部112は、図1Bに示すように、左右方向から見た形状がM字状に形成されている。
一対の突片113は、一対の第1枠片11の各々の左右方向における開口部13側の端縁から内向きに突出している。一対の突片113は、一対の第1枠片11の各々の上下方向における両端寄りの位置で、かつ一対の引掛部112の各々と対応する位置に設けられている。
そして、コンセント2のケース20に設けられた複数の突部23の各々を、複数の引掛部112及び突片113のうち対応する引掛部112と突片113との間に挟むことで、コンセント2が取付枠1に取り付けられる。このとき、コンセント2は、前面(栓刃挿入孔211が設けられた面)を露出させた状態で開口部13内に保持される。ここに、本実施形態では、前後方向が第3方向である。
一対のリブ111の各々は、一対の第1枠片11の各々の左右方向における開口部13と反対側の端縁から前方に突出している。言い換えれば、一対のリブ111は、枠本体10の左右方向における両端縁から前方に突出している。一対のリブ111の各々は、上下方向に沿って所定長さに形成されている。なお、リブ111の長さについては後述する。
一対のリブ111の各々は、図1Bに示すように、上端部111aと、下端部111bと、上下方向における上端部111aと下端部111bとの間の中間部111cとを有している。上端部111aと中間部111cとの間、及び下端部111bと中間部111cとの間には、斜め後方に傾斜する傾斜部111dが設けられている。すなわち、本実施形態の取付枠1では、上端部111a及び下端部111bの枠本体10からの突出量H1が、中間部111cの枠本体10の前面からの突出量H2よりも小さい(H1<H2)。
一対の第2枠片12の各々は、矩形板状である。一対の第2枠片12の各々は、ねじ挿通孔121と、一対の引掛孔122と、突台部123と、一対の孔124と、一対の補助リブ125と、突部126と、一対の突片127とを有している。ここで、上側の第2枠片12と下側の第2枠片12とは同様の構成であるため、以下では上側の第2枠片12についてのみ説明し、下側の第2枠片12については説明を省略する。すなわち、本実施形態の取付枠1では、上側の第2枠片12の上下を逆にすることで、下側の第2枠片12になる。
ねじ挿通孔121は、左右方向に長い長円形状であり、第2枠片12の左右方向における中央の位置に設けられている。ねじ挿通孔121には、枠本体10を壁面100aに固定するための固定ねじ7が通される。
一対の引掛孔122は、前方から見た形状がL字状であり、ねじ挿通孔121の左右方向における両側に設けられている。一対の引掛孔122には、後述のはさみ金具14(図7参照)を用いて取付枠1を壁面100aに取り付ける際に、はさみ金具14の一対の引掛片142(図7参照)が引っ掛けられる。なお、はさみ金具14を用いて取付枠1を壁面100aに取り付ける手順については後述する。
突台部123は、前方に向かって突出している。突台部123には、ねじ8用のねじ孔123aが設けられている。突台部123は、ねじ挿通孔121に対して開口部13と反対側において、上下方向におけるねじ挿通孔121の端縁から第2枠片12の上端縁近傍まで設けられている。
一対の孔124は、突台部123の左右方向における両側に設けられている。一対の孔124は、取付枠1を壁面100aに直接固定する際に用いられる直付け用のねじが通される。
一対の補助リブ125の各々は、ねじ挿通孔121と一対の引掛孔122の各々との間に設けられている。一対の補助リブ125の各々は、上下方向に沿って形成されており、かつ前方に突出している。言い換えれば、一対の補助リブ125の各々は、第2枠片12の上下方向に延びた所定領域から前方に突出している。一対の補助リブ125は、第2枠片12のうちねじ挿通孔121の左右方向における両側部分の剛性を高めるためのリブである。すなわち、一対の補助リブ125を設けることによって、枠本体10の剛性を高めることができる。
突部126は、第2枠片12の開口部13との端縁において左右方向に沿って形成されており、かつ前方に突出している。言い換えれば、突部126は、第2枠片12の開口部13との端縁において、第2枠片12の左右方向に延びた所定領域から前方に突出している。突部126は、第2枠片12のうちねじ挿通孔121と開口部13との間の部分の剛性を高めるためのリブである。すなわち、突部126を設けることによって、枠本体10の剛性を高めることができる。
一対の突片127の各々は、第2枠片12の左右方向における両端から外向きに突出している。一対の突片127は、上下方向において一対の孔124と略同じ位置に設けられている。すなわち、一対の突片127と一対の孔124とは、左右方向において略一直線上に配置されている。一対の突片127は、取付枠1と連接不可の取付枠を連接できないようにするための突片である。
次に、取付枠1、コンセント2、化粧プレート3及び耐火プレート6の取り付け手順について説明する。なお、以下では、コンセント2が取付枠1に予め取り付けられていると仮定して説明を行う。
まず最初に、作業者は、壁面100aに埋め込まれた金属製のスイッチボックス9(図6A参照)に対して取付枠1を固定する。このとき、作業者は、取付枠1のねじ挿通孔121に通した固定ねじ7を用いて取付枠1をスイッチボックス9に固定する。すなわち、取付枠1は、固定ねじ7によりスイッチボックス9と取付枠1とを締結することで壁面100aに固定される。なお、スイッチボックス9は、JIS C 8305に準拠している。
次に、作業者は、化粧プレート3の第2プレート5に耐火プレート6を取り付ける。このとき、耐火プレート6に設けられた複数の突片611の各々が、第2プレート5に設けられた複数の第2引掛孔512のうち対応する第2引掛孔512に引っ掛けられることで、耐火プレート6が第2プレート5に取り付けられる。耐火プレート6が第2プレート5に取り付けられた状態では、耐火プレート6の孔621と第2プレート5の孔521とが前後方向において連続している。
さらに、作業者は、耐火プレート6が取り付けられた第2プレート5を前方から取付枠1に取り付ける。このとき、作業者は、第2プレート5の孔521と取付枠1のねじ孔123aとが前後方向で連続するように第2プレート5の位置を調整した後、ねじ8により第2プレート5を取付枠1に固定する。
そして最後に、作業者は、第1プレート4を前方から第2プレート5に取り付ける。このとき、第1プレート4に設けられた複数(ここでは6個)の引掛爪411の各々が、第2プレート5に設けられた複数の第1引掛孔511のうち対応する第1引掛孔511に引っ掛けられることで、第1プレート4が第2プレート5に取り付けられる。
以上の手順により、取付枠1、コンセント2、化粧プレート3及び耐火プレート6が壁面100aに取り付けられる。
ところで、本実施形態の取付枠1では、枠本体10の中央に設けられた開口部13によって枠本体10の剛性が低下しないように、枠本体10の左右方向における両端縁から前方に突出する一対のリブ111が設けられている。一対のリブ111によって枠本体10の剛性が最も高くなるのは、枠本体10の全長に亘ってリブ111を設けた場合である。しかしながら、本実施形態の取付枠1では、連接不可の取付枠が連接できないように一対の突片127が設けられているため、枠本体10の全長に亘ってリブ111を設けることができない。
そこで、本実施形態の取付枠1では、一対のリブ111を枠本体10の全長に亘って設けないながらも枠本体10の剛性を高めている。具体的には、一対のリブ111の各々の上端部111aは、図5に示すように、上側の第2枠片12のねじ挿通孔121の上端縁よりも上側に位置している。また、一対のリブ111の各々の下端部111bは、上端部111aと同様に、下側の第2枠片12のねじ挿通孔121の下端縁よりも下側に位置している。言い換えれば、一対のリブ111の各々の上下方向における端部は、ねじ挿通孔121の端縁のうち開口部13から遠い側の端縁よりも外側に位置している。その結果、リブ111の上下方向の寸法が本実施形態の取付枠1より短い従来の取付枠に比べて、枠本体10の剛性を高めることができ、固定ねじ7を締め付ける際に生じる枠本体10の変形を抑えることができる。ここで、本実施形態における「端部」は、上端部111a及び下端部111bのように、「端」から所定幅の部分、具体的には、端から傾斜部111dまでの部分である。
また、取付枠1に対して耐火プレート6が取り付けられる場合には、一対のリブ111の各々について、上端部111a及び下端部111bの枠本体10の前面からの突出量H1が、中間部111cの枠本体10の前面からの突出量H2よりも小さいことが好ましい。特に、図5に示すように、一対のリブ111の各々について、上端部111aの枠本体10の前面からの突出量H1が、枠本体10の前面から耐火プレート6までの距離L1以下であることがより好ましい。また同様に、一対のリブ111の各々について、下端部111bの枠本体10の前面からの突出量H1が、枠本体10の前面から耐火プレート6までの距離L1以下であることがより好ましい。ここに、本実施形態では、上端部111aと下端部111bとの間の中間部111cが他の部位である。
上述のように、耐火プレート6において一対の第2片62の各々と一対の第1片61との間には傾斜部64が設けられている。そのため、上端部111a及び下端部111bと中間部111cとで枠本体10の前面からの突出量が同じである場合、傾斜部64の高さの分だけ第1プレート4の壁面100aからの突出量が大きくなる。
これに対して、本実施形態の取付枠1では、一対のリブ111の各々について、上端部111a及び下端部111bの枠本体10の前面からの突出量H1を、枠本体10の前面から耐火プレート6までの距離L1以下にしている。その結果、第1プレート4の壁面100aからの突出量を小さくすることができる。
また、耐火プレート6が省略される場合には、上下方向における両端部の突出量を小さくした化粧プレート3を取付枠1に取り付けることができる。本実施形態では、図5に示すように、化粧プレート3の上下方向における両端部(図5では上端部のみ図示)は、上下方向における端に近い位置ほど枠本体10の前面からの高さが低くなっている。言い換えれば、化粧プレート3の上端部は、上端縁に近い位置ほど前方への突出量が小さくなっており、化粧プレート3の下端部は、下端縁に近い位置ほど前方への突出量が小さくなっている。その結果、取付枠1、コンセント2及び化粧プレート3を壁面100aに取り付けた状態では、上下方向における両端部の壁面100aからの突出量を小さくすることができる。
図6Aは、本実施形態の比較例に係る取付枠1を壁面100aに取り付けた状態を示す断面図である。ここで、上側の第2枠片12と下側の第2枠片12とは同様の構成であるため、以下では上側の第2枠片12についてのみ説明し、下側の第2枠片12については説明を省略する。固定ねじ7は、図6Aに示すように丸皿ねじであり、固定ねじ7を締め付けた状態では、固定ねじ7のテーパ面71が取付枠1のねじ挿通孔121の端縁に接触することになる。この場合、固定ねじ7の中心軸PL1の位置が作用点となり、壁面100aと取付枠1とが接触する点P1を支点とする距離L2に比例したモーメント力が取付枠1に作用する。
図6Bは、本実施形態の取付枠1を壁面100aに取り付けた状態を示す断面図である。なお、この場合においても上側の第2枠片12についてのみ説明し、下側の第2枠片12については説明を省略する。固定ねじ7は、図6Aと同様に丸皿ねじであり、固定ねじ7を締め付けた状態では、固定ねじ7のテーパ面71が突台部123の下端縁に接触することになる。この場合、固定ねじ7のテーパ面71と突台部123の下端縁とが接触する点P2が作用点となり、壁面100aと取付枠1とが接触する点P1を支点とする距離L3(L3<L2)に比例したモーメント力が取付枠1に作用する。
本実施形態の取付枠1のように、固定ねじ7を突台部123に接触させる構造では、支点P1から作用点(接触点)P2までの距離L3が短くなり(L3<L2)、これにより取付枠1に作用するモーメント力を小さくすることができる。
図7は、本実施形態の取付枠1をはさみ金具14を用いて壁面100aに取り付けた状態を示す断面図である。以下、はさみ金具14の構成、及びはさみ金具14を用いて取付枠1を壁面100aに取り付ける手順について説明する。
はさみ金具14は、例えば亜鉛鋼板などの金属材料で形成されている。はさみ金具14は、図7に示すように、金具本体141と、一対の引掛片142とを有している。金具本体141は、第1片141aと第2片141bとで左右方向から見た形状が略U字状に形成されている。一対の引掛片142は、第2片141bの下端部において一体に形成されている。また、一対の引掛片142は、第2片141bの左右方向における両端寄りの位置に設けられており、左右方向における距離が取付枠1の一対の引掛孔122間の距離と略同じである。
次に、はさみ金具14を用いて取付枠1を壁面100aに取り付ける手順について説明する。なお、はさみ金具14を用いて取付枠1を壁面100aに取り付ける場合には、2個のはさみ金具14を用いることになるが、同じ手順で取り付けることになるため、ここでは片方(上側)のはさみ金具14についてのみ説明する。
作業者は、一対の引掛片142の各々を一対の引掛孔122のうち対応する引掛孔122に引っ掛けた状態で、固定ねじ7を用いて取付枠1とはさみ金具14とを結合させる。その後、作業者は、壁材100に対して取付枠1が前方、はさみ金具14が後方となるように取付枠1及びはさみ金具14を位置させた状態で固定ねじ7を締め付ける。これにより、取付枠1が壁面100aに固定される。このとき、取付枠1は、前後方向においてはさみ金具14の第1片141aとの間で壁材100を挟み込むことで、壁面100aに固定される。この場合も、図7に示すように、固定ねじ7のテーパ面71が突台部123の下端縁に接触することで、モーメント力の支点から作用点までの距離が短くなり、その結果、取付枠1に作用するモーメント力を小さくすることができる。
以上説明したように、本実施形態の配線器具用取付枠1では、枠本体10の第1方向における両端縁に設けられた一対のリブ111の各々の第2方向における端部が、ねじ挿通孔121の端縁のうち開口部13から遠い側の端縁よりも外側に位置している。そのため、リブ111の第2方向における端部がねじ挿通孔121の端縁のうち開口部13から遠い側の端縁よりも内側に位置している場合に比べて、枠本体10の剛性を高めることができる。その結果、固定ねじ7の締め付けによって生じる力で枠本体10が第3方向に変形するのを抑えることができる。すなわち、本実施形態の取付枠1は、固定ねじ7の締め付け時に変形しにくい、という利点がある。
また、本実施形態の配線器具用取付枠1のように、一対の第2枠片12の各々は、突台部123を有していることが好ましい。突台部123は、ねじ挿通孔121に対して開口部13と反対側において第3方向(前後方向)に突出している。また、突台部123は、第2方向(上下方向)において開口部13の端縁から所定範囲に設けられている。この構成によれば、固定ねじ7を締め付けた際に固定ねじ7が突台部123の端縁に接触しており、固定ねじ7がねじ挿通孔121の端縁に接触する場合に比べて、取付枠1に作用するモーメント力を小さくすることができる。ただし、この構成は配線器具用取付枠1の必須の構成ではなく、突台部123は省略されていてもよい。
また、本実施形態の配線器具用取付枠1のように、一対の第2枠片12の各々は、補助リブ125を有していることが好ましい。補助リブ125は、ねじ挿通孔121の第1方向(左右方向)における少なくとも一方側において第2方向(上下方向)に延びた所定領域から第3方向(前後方向)に突出している。この構成によれば、枠本体10の剛性を高めることができる。ただし、この構成は配線器具用取付枠1の必須の構成ではなく、補助リブ125は省略されていてもよい。
また、本実施形態の配線器具用取付枠1のように、一対の第2枠片12の各々は、突部126を有していることが好ましい。突部126は、第2方向(上下方向)における開口部13とねじ挿通孔121との間に、第1方向(左右方向)に延びた所定領域から第3方向(前後方向)に沿って突出している。この構成によれば、枠本体10の剛性を高めることができる。ただし、この構成は配線器具用取付枠1の必須の構成ではなく、突部126は省略されていてもよい。
ところで、一対のリブ111の形状は上述の実施形態に限らず、上端部111a及び下端部111bの枠本体10の前面からの突出量が、中間部111cの枠本体10の前面からの突出量よりも小さくなっていればよい。以下、本実施形態の変形例について、図8A〜図8Cを参照して説明する。なお、上端部111aと下端部111bとは同形状であるため、以下では上端部111aについてのみ説明し、下端部111bについては説明を省略する。
図8Aでは、上端部111aと中間部111cとの間に、上端部111a下端縁から前方に向かって立ち上がる立壁部111eが設けられている。すなわち、図8Aでは、立壁部111eを設けることで、上端部111aの枠本体10の前面からの突出量が、中間部111cの枠本体10の前面からの突出量よりも小さくなっている。この場合、上述の実施形態と同様に、取付枠1、コンセント2、化粧プレート3及び耐火プレート6を壁面100aに取り付けた状態での壁面100aからの突出量を小さくすることができる。
図8Bでは、上端部111aの形状が上端に近い位置ほど枠本体10の前面からの突出量が小さくなるように傾斜している。この場合も、上述の実施形態と同様に、取付枠1、コンセント2、化粧プレート3及び耐火プレート6を壁面100aに取り付けた状態での壁面100aからの突出量を小さくすることができる。
図8Cでは、上端部111aと中間部111cとの間に、変曲点を有する曲面部111fが設けられている。すなわち、図8Cでは、曲面部111fを設けることで、上端部111aの枠本体10の前面からの突出量が、中間部111cの枠本体10の前面からの突出量よりも小さくなっている。この場合も、上述の実施形態と同様に、取付枠1、コンセント2、化粧プレート3及び耐火プレート6を壁面100aに取り付けた状態での壁面100aからの突出量を小さくすることができる。
また、上述の実施形態では、一対のリブ111の各々の上端部111a及び下端部111bが、ねじ挿通孔121の端縁のうち開口部13から遠い側の端縁よりも外側に位置している。これに対して、上端部111a及び下端部111bは、ねじ挿通孔121の端縁のうち開口部13から遠い側の端縁と、一対の引掛孔122の端縁のうち開口部13から遠い側の端縁との間に位置するように構成されていてもよい。本変形例のように、ねじ挿通孔121の左右方向における両側に一対の引掛孔122を設けた場合には、一対の引掛孔122を設けない場合に比べて枠本体10の剛性が低下する。そのため、上端部111a及び下端部111bの端縁が一対の引掛孔122の端縁のうち開口部13と反対側の端縁よりも外側となるように上端部111a及び下端部111bを形成することで、枠本体10の剛性が低下するのを抑えることができる。
上述のように、本変形例の配線器具用取付枠1は、枠本体10と、一対のリブ111とを備えている。枠本体10は、一対の第1枠片11及び一対の第2枠片12により開口部13を有する矩形枠状に形成されている。一対の第1枠片11は、第1方向(図1Aの左右方向)において対向している。一対の第2枠片12は、第1方向と交差する第2方向(図1Aの上下方向)において対向している。枠本体10は、開口部13内に配線器具(コンセント)2を保持した状態で造営面(壁面)100a(図4A参照)に取り付けられる。一対のリブ111は、枠本体10の第1方向における両端縁から第3方向(図1Aの紙面に垂直な方向)に沿って突出している。第3方向は、第1方向及び第2方向の両方と交差する方向である。一対の第2枠片12の各々は、ねじ挿通孔121と、一対の引掛孔122とを有している。ねじ挿通孔121には、枠本体10を壁面100aに固定するための固定ねじ7が通される。一対の引掛孔122には、枠本体10を壁面100aに取り付けるための取付金具(はさみ金具)14(図7参照)の一部(引掛片142)が引っ掛けられる。一対の引掛孔122は、ねじ挿通孔121の第1方向における両側に設けられている。一対のリブ111の各々の第2方向における端部は、一対の引掛孔122の第2方向における端縁のうち開口部13から遠い側の端縁よりも外側に位置している。
なお、上述の実施形態では、取付枠1に対して化粧プレート3と耐火プレート6とが取り付けられる場合について説明したが、少なくとも1つのプレートが取り付けられるようになっていればよい。したがって、取付枠1に対して化粧プレート3のみが取り付けられ、耐火プレート6が省略されていてもよい。また、内装プレートは耐火プレート6に限らず、化粧プレート3と枠本体10との間に配置されるプレートであれば他のプレートでもよい。
また、上述の実施形態では、一対のリブ111を前方に突出させているが、一対のリブ111を突出させる向きは前方に限らず、後方であってもよい。この場合も同様に、枠本体10の剛性を高めることができる。さらに、上述の実施形態では、一対の補助リブ125を前方に突出させているが、一対の補助リブ125を突出させる向きも前方に限らず、後方であってもよい。この場合も同様に、枠本体10の剛性を高めることができる。
また、上述の実施形態では、ねじ挿通孔121の左右方向における両側に補助リブ125が設けられているが、ねじ挿通孔121の左右方向における少なくとも一方側に補助リブ125が設けられていればよい。さらに、上述の実施形態では、第2枠片12における開口部13との端縁に突部126が設けられているが、突部126の位置は上述の実施形態に限らず、上下方向における開口部13とねじ挿通孔121との間に突部126が設けられていればよい。
また、上述の実施形態では、第1方向と第2方向と第3方向とが互いに直交しているが、第1方向と第2方向と第3方向とは必ずしも直交している必要はなく、互いに交差していればよい。さらに、上述の実施形態では、固定ねじ7が丸皿ねじである場合を例に説明したが、固定ねじ7は丸皿ねじに限らず、例えば鍋ねじであってもよい。