以下、本発明のレンズ付き光導波路、光電気混載基板、光モジュールおよび電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<光モジュール>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光モジュールの第1実施形態について説明する。また、以下の説明では、併せて本発明の光電気混載基板の第1実施形態についても説明する。
図1は、本発明の光モジュールの第1実施形態を示す断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1の上方を「上」、下方を「下」という。
図1に示す光モジュール1000(本発明の光モジュールの第1実施形態)は、光導波路1と、その上面に積層されたレンズシート2(レンズ部)と、その上面に積層された電気基板3と、その上面に搭載された光素子4と、を有している。また、光導波路1と電気基板3との間が、接着部5を介して接着されている。以下、各部の構成について順次説明する。
(光導波路)
まず、光導波路1について説明する。
図2は、図1に示す光導波路を示す(一部透過して示す)斜視図である。なお、図2では、図1に示す光導波路を上下逆にして図示している。
図2に示す光導波路1は、細長い層状(帯状)をなしており、その長手方向の一端部と他端部との間で光信号を伝送し、光通信を行うことができる。
図2に示す光導波路1は、下側からクラッド層11、コア層13およびクラッド層12を積層してなる導光部10を備えている。コア層13中には長尺状のコア部14とその側面に隣接して設けられた側面クラッド部15とが形成されている。
また、図2に示す光導波路1は、導光部10の下面に積層された導光部保護層161と、導光部10の上面に積層された導光部保護層162と、を備えている。
図2に示す光導波路1は、コア部14と外部との間で光路変換を可能にする光路変換部17を備えている。また、光導波路1は、光路変換部17とは異なる位置に設けられ、コア部14に対して光の入出射を可能にする光入出射部(図示せず)を備えている。これにより、光路変換部17と光入出射部との間で光通信を行うことができる。
図2に示す光路変換部17は、導光部保護層162の上面に開口し、導光部保護層162および導光部10を貫通する凹部170を備えている。この凹部170は、内面としてコア部14を斜めに横断する傾斜面171を含んでいる。この傾斜面171は、コア部14の光路を変換するミラーとして機能し、このミラーを介してコア部14と外部(他の光学部品)とを光学的に接続することができる。例えば、図1に示すコア部14を左側から右側へ延びる光路Pは、傾斜面171で上方に反射され、導光部保護層161を透過して光導波路1の外部に導かれる。
また、光導波路1は、導光部保護層162の下面に設けられ、凹部170を塞ぐ凹部保護層18を備えている。凹部170が凹部保護層18で塞がれることにより、凹部170内に埃や水等の異物が侵入するのを防止することができる。これにより、傾斜面171の汚染を防止し、傾斜面171における反射損失の増大を抑制することができる。
一方、図示しない光入出射部は、いかなる構成であってもよい。例えば、導光部10の端面であってもよく、光路変換部が設けられていてもよく、光コネクターが装着されていてもよい。
以下、光導波路1の各部についてさらに詳述する。
−コア層−
図1に示すコア層13中に形成されているコア部14は、クラッド部(側面クラッド部15および各クラッド層11、12)で囲まれており、コア部14に光を閉じ込めて伝搬することができる。
コア層13における幅方向の屈折率分布は、いかなる形状の分布であってもよい。この屈折率分布は、屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。SI型の分布であれば屈折率分布の形成が容易であり、GI型の分布であれば屈折率の高い領域に信号光が集まる確率が高くなるため伝送効率が向上する。
また、コア部14は、平面視で直線状であっても曲線状であってもよい。さらに、コア部14は途中で分岐していてもよい。
なお、コア部14の横断面形状は特に限定されず、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよいが、四角形(矩形状)であることにより、コア部14を形成し易い利点がある。
また、コア層13中には、複数のコア部14を並列して、あるいは互いに交差するように形成することができる。光導波路1中に形成されるコア部14の数は、特に限定されないが、2〜100本程度であるのが好ましい。なお、コア部14の数が多い場合は、必要に応じて、光導波路1を多層化してもよい。具体的には、図1に示すクラッド層11上に、さらにコア層とクラッド層とを交互に重ねることにより多層化することができる。
また、コア部14の幅および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、それぞれ1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1の伝送効率の低下を抑えつつコア部14の高密度化を図ることができる。
上述したようなコア層13の構成材料(主材料)は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等を用いることができる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。
−クラッド層−
クラッド層11、12の平均厚さは、コア層13の平均厚さの0.05〜1.5倍程度であるのが好ましく、0.1〜1.25倍程度であるのがより好ましい。具体的には、クラッド層11、12の平均厚さは、それぞれ1〜200μm程度であるのが好ましく、3〜100μm程度であるのがより好ましく、5〜60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1が必要以上に厚膜化するのを防止しつつ、クラッド部としての機能が確保される。
また、クラッド層11、12の構成材料としては、例えば、前述したコア層13の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特に(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましく、(メタ)アクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂がより好ましい。
また、光導波路1の厚さ方向の屈折率分布についても、特に限定されず、例えばSI型、GI型の分布が挙げられる。
光導波路1の幅は、特に限定されないが、2〜100mm程度であるのが好ましく、5〜50mm程度であるのがより好ましい。
なお、クラッド層11は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。この場合、外気(空気)がクラッド層11と同等の機能を有する。
−導光部保護層−
図2に示す光導波路1は、導光部10の一方の面に導光部保護層161を、他方の面に導光部保護層162を、それぞれ備えている。これにより、導光部10が保護され、導光部10の光伝送効率の低下を抑制することができる。また、凹部保護層18を光伝送に直接寄与しない導光部保護層162に対して固定することが可能になるため、固定に伴う影響が導光部10に及ぶのを抑制することができる。
導光部保護層161、162の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂を含む材料が挙げられる。
導光部保護層161、162の平均厚さは、特に限定されないが、5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜400μm程度であるのがより好ましい。これにより、導光部保護層161、162は、導光部10を保護するのに必要かつ十分な機械的特性を有するものとなる。また、光導波路1は、適度な可撓性を有するものとなり、湾曲または屈曲させた状態でも高い信頼性を示すものとなる。
なお、導光部保護層161と導光部保護層162とは、互いに同じ構成であっても互いに異なる構成であってもよい。例えば互いに異なる構成にすることで、光導波路1を特定の一方に曲げ易くなるといった効果が得られる。
また、導光部10と導光部保護層161との間、および、導光部10と導光部保護層162との間は、それぞれ双方またはいずれか一方の粘着力により接着されていてもよく、あるいは、接着剤、粘着剤、接着シート、粘着シート等の部材を介して、または熱圧着により接着されていてもよい。
なお、導光部保護層161、162は、それぞれ必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。
−凹部−
光路変換部17は、図1に示すように、導光部保護層162および導光部10を貫通する凹部170を備えている。この凹部170は、コア部14の長手方向の途中に位置している。凹部170の内面の一部は、コア部14の光軸に対して傾斜する傾斜面171になっている。換言すれば、コア層13の下面に対して傾斜面171が傾斜しつつ交差している。このような傾斜面171は、コア部14の光路を変換するミラーとして機能する。
また、図1に示す凹部170は、コア層13の下面に直交しかつコア部14の光軸を含む平面で切断されたときの断面形状を示しており、下底の長さが長く、上底の長さが短い台形をなすように構成されている。
また、傾斜面171は、図1に示すように、導光部保護層162からクラッド層12およびコア層13を経てクラッド層11に至るまでの間に連続して形成された平坦面である。また、凹部170の内面のうち、傾斜面171に対向する位置には、別の傾斜面172が設けられている。この傾斜面172も、傾斜面171と同様、導光部保護層162からクラッド層12およびコア層13を経てクラッド層11に至るまでの間に連続して形成された平坦面である。
一方、凹部170の内面のうち、コア部14の光軸とほぼ平行な2つの面は、それぞれクラッド層11の下面に対してほぼ垂直な直立面173、174である。
このような2つの傾斜面171、172と2つの直立面173、174とにより、凹部170の内側面が構成されている。
なお、凹部170の形状は、図1、2に示す形状に限定されず、いかなる形状であってもよい。
また、傾斜面171は、ミラーとして機能するものであるため、コア部14の光路Pを変換すべき方向に応じてその傾斜角度が適宜設定されるが、図1に示すコア層13の下面を基準面としたとき、基準面と傾斜面171とがなす角度(鋭角側)は、30〜60°程度であるのが好ましく、40〜50°程度であるのがより好ましい。傾斜角度を前記範囲内に設定することにより、傾斜面171においてコア部14の光路Pを効率よく変換し、光路変換に伴う損失を抑制することができる。
なお、コア層13に複数本のコア部14が形成されている場合、図2に示すように1本のコア部14に対して1つの凹部170が設けられていてもよいが、複数本のコア部14に対してこれらに跨るように1つの凹部170が設けられていてもよい。
また、複数個の凹部170を形成する場合、それらの形成位置は、コア部14の長手方向において互いに同じ位置であっても、互いにずれていてもよい。
また、凹部170の最深部の位置(台形の上底の位置)は、図1に示す位置に限定されず、例えば、コア層13の途中であってもよく、クラッド層11の途中であってもよく、導光部保護層161の途中であってもよい。さらには、凹部170は、導光部保護層161を貫通していてもよい。
また、図2に示す光導波路1では、コア部14の長手方向の途中に凹部170が形成されているが、この形成位置は限定されるものではなく、コア部14の延長線上であってもよい。すなわち、コア部14がコア層13の端面に露出せずに途中で途切れるように形成されており、その途切れた部位に側面クラッド部15が形成されている場合、この側面クラッド部15のうちコア部14の延長線上に位置する部位に凹部170が設けられていてもよい。
−凹部保護層−
図1に示す光導波路1は、導光部保護層162の下面に設けられ、凹部170を塞ぐ凹部保護層18を備えている。これにより、凹部170は、凹部保護層18によって塞がれることとなる。その結果、凹部170内は外部と隔離された空間となり、傾斜面171に埃や水分等の異物が付着し難くなる。
また、凹部保護層18は凹部170を塞ぐように設けられることにより、凹部170近傍を補強することとなる。すなわち、凹部170が形成されることにより、導光部10の厚さが部分的に薄くなって機械的強度が低下するところ、凹部保護層18が設けられることにより、凹部170近傍を補強することができる。これにより、例えば傾斜面171と発光素子や受光素子とを光結合させる際、凹部170近傍に大きな荷重が加わって傾斜面171が歪んでしまい、傾斜面171における反射損失が増大するのを防止することができる。換言すれば、凹部保護層18がクッション層として機能し、加えられた荷重が傾斜面171の歪みにつながるのを抑制することができる。その結果、荷重の影響を受け難く、例えば光導波路1に発光素子や受光素子を光結合させる作業の容易性を高めることができる。
ここで、図1に示す凹部保護層18は、基層181と、導光部保護層162に対して基層181を接着または粘着させる粘接着層182と、を含んでいる。このような凹部保護層18は、基層181の材質によらず、導光部保護層162に対して基層181を強固に固定することができる。
このうち、基層181の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂を含む材料が挙げられる。
また、基層181の平均厚さは、特に限定されないが、5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜400μm程度であるのがより好ましい。
一方、粘接着層182の構成材料としては、例えば、シリコーン系粘着剤、ポリ塩化ビニル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エラストマー系粘着剤、ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
なお、凹部保護層18は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。
(電気基板)
次に、電気基板3について説明する。
電気基板3は、絶縁性基板31と、その表面に設けられた電気配線32(電気回路)と、を有している。
絶縁性基板31としては、例えば、樹脂基板、セラミックス基板、ガラス繊維と樹脂材料とを複合化した複合基板等が用いられる。
また、電気配線32の構成材料としては、例えば、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケルのような金属単体またはこれらの金属を含む合金等が挙げられる。
また、電気基板3は、厚さ方向に貫通する貫通孔33を有している。この貫通孔33は、レンズシート2が含むレンズに対応する位置に設けられている。換言すれば、レンズを通過する光路Pに合わせて貫通孔33が設けられている。これにより、光路Pは、レンズおよび貫通孔33を介して光導波路1と光素子4とを光学的に接続する。このとき、貫通孔33は、比較的簡単な構造であるにもかかわらず、効率が高い光結合を実現する。
このような電気基板3は、図1に示すように、レンズシート2の上面に載置されている。換言すれば、レンズシート2を介して光導波路1と電気基板3とが積層されている。これにより、レンズシート2がスペーサーとして機能し、図1の上下方向におけるレンズシート2と電気基板3との位置関係を容易かつ正確に決めることができる。その結果、電気基板3の上面に光素子4が搭載されたとき、光素子4とレンズとの距離を容易かつ厳密に制御することができる。例えば、レンズの焦点距離に応じて電気基板3の厚さを適宜選択することによって、光素子4とレンズとの距離が容易かつ厳密に決まるため、光導波路1と光素子4との間の光結合効率をより高めることができる。その結果、光モジュール1000において高品質な光通信が可能になる。
なお、電気基板3は、光導波路1の上方に設けられれば、その位置は限定されない。すなわち、電気基板3は、レンズシート2の上面に載置される必要はなく、例えば光導波路1の上面に載置されてもよい。その場合、レンズシート2の全体を貫通孔33内に収めるようにすればよい。また、光導波路1との間に設けられた任意の介在物を介してレンズシート2を載置するようにしてもよい。
また、電気基板3は、貫通孔33に代えて、透光性を有する透光部を備えていてもよい。
また、光素子4は、電気基板3を介して通電が図られている(電気的に接続されている)が、電気基板3は必要に応じて設けられればよく、例えば電気基板3以外の部材によって光素子4に対する通電が図られる場合には、電気基板3を省略することができる。この場合、レンズシート2に対して光素子4が接するように配置される。その結果、光素子4とレンズとの距離が容易かつ厳密に決まるため、光導波路1と光素子4との間の光結合効率をより高めることができる。
(光素子)
次に、光素子4について説明する。
光素子4は、図1に示すように、素子本体40と、素子本体40の下面に設けられた受発光部41と、素子本体40から下方に突出するバンプ42と、を備えている。なお、受発光部とは、受光部または発光部、あるいはその双方の機能を有する部位を指す。
光素子4としては、例えば、面発光レーザー(VCSEL)、発光ダイオード(LED)、有機EL素子等の発光素子、フォトダイオード(PD、APD)等の受光素子が挙げられる。
なお、電気基板3には、必要に応じて、光素子4以外の電気素子が搭載されていてもよい。電気素子としては、例えば、IC、LSI、RAM、ROM、コンデンサー、コイル、抵抗、ダイオード等が挙げられる。
(接着部)
次に、接着部5について説明する。
接着部5は、図1に示すように、光導波路1と電気基板3との間に介挿され、これらを接着している。
このような接着部5は、未硬化または半硬化の接着シートを硬化させることにより、接着性が発現してなるものである。したがって、接着部5は、樹脂材料の硬化物を主材料としている。
図1に示す接着部5は、光導波路1の上面のうち、レンズシート2を取り囲む領域に設けられている。これにより、レンズシート2の上面に積層されている電気基板3を光導波路1に対して確実に接着するとともに、レンズシート2が図1の左右方向あるいは上下方向に移動するのを規制することができる。その結果、光路Pとレンズとの位置関係、および、光素子4とレンズとの距離を、容易かつ厳密に制御することができる。
また、接着部5がレンズシート2を取り囲む領域に設けられていることで、異物や外気がレンズシート2に接触するのを抑制することができる。このため、レンズシート2の光学特性が低下するのを抑制し、光結合効率の低下を抑制することができる。
さらに、接着部5には、図1に示すように、電気基板3の一部がめり込んでいてもよい。これにより、電気基板3と光導波路1との間をより強固に接着することができる。
なお、接着部5が設けられている領域は、特に限定されず、光導波路1と電気基板3とを接着し得る領域であれば、いかなる領域に設けられていてもよい。
(レンズシート)
次に、レンズシート2について説明する。
図3は、図1に示すレンズ付き光導波路20を示す上面図である。すなわち、図3は、図1に示す光導波路1の上面の法線に沿って上方からレンズシート2および光導波路1を平面視したときの平面図である。なお、図3では、光導波路1におけるコア部14の長手方向をX方向とし、それに直交する方向をY方向とする。
図3に示すレンズシート2は、平面視形状が円形をなすレンズ21と、レンズ21の外側に設けられレンズ21を支持する支持部22と、を有している。
レンズシート2の全体は、平面視において四角形をなしている。なお、レンズシート2の全体の平面視形状は、特に限定されず、例えば六角形、八角形、平行四辺形、菱形のような多角形、楕円、長円のような円形であってもよい。
レンズ21は、図1の上方に突出する球面または非球面を有する凸レンズである。非球面の例としては、放物線回転面、双曲線回転面、多次関数曲線回転面等が挙げられる。
また、図3に示すレンズ21は、下面が平面になっており、いわゆる平凸レンズであるが、これに限定されるものではなく、両凸レンズであってもよい。
ここで、図3に示すレンズシート2は、12個のレンズ21を有している。これらのレンズ21は、支持部22を介して互いに離間している。また、Y方向に4個のレンズ21が並んで列状のレンズ群23を形成している。また、このレンズ群23は、X方向に3列並んでいる(配列されている)。したがって、12個のレンズ21は、XY平面において行列状に並んでいる。
なお、レンズ21の配置パターンは、上記のものに限定されない。例えば、X方向とY方向とがなす角度は90°に限定されず、X方向とY方向とが平行である以外、いかなる角度で交差していてもよい。
図3では、レンズ群23のうち、最も右側に位置するものを「レンズ群231」とし、レンズ群231を構成するレンズ21を特に「レンズ211(第2レンズ)」とする。また、レンズ群231の左側に位置するものを「レンズ群232(第1レンズ)」とし、レンズ群232を構成するレンズ21を特に「レンズ212」とする。また、レンズ群232の左側に位置するものを特に「レンズ群233」とし、レンズ群233を構成するレンズ21を特に「レンズ213」とする。
各レンズ群23を構成する4個のレンズ21は、それぞれ、互いに等しい焦点距離を有するレンズである。
一方、レンズ群23同士の間においては、レンズ21の焦点距離は互いに異なっている。図3に示すレンズシート2では、レンズ群231に含まれるレンズ211の焦点距離は、レンズ群232に含まれるレンズ212の焦点距離やレンズ群233に含まれるレンズ213の焦点距離よりも長い。また、レンズ群233に含まれるレンズ213の焦点距離は、レンズ群231に含まれるレンズ211の焦点距離やレンズ群232に含まれるレンズ212の焦点距離よりも短い。したがって、レンズ群232に含まれるレンズ212の焦点距離は、レンズ群231に含まれるレンズ211の焦点距離とレンズ群233に含まれるレンズ213の焦点距離との間にある。
また、図3に示す光導波路1には、並列する4本のコア部14が形成されている。また、これらのコア部14は、それぞれX方向に延在しているとともに、Y方向に並んでいる。そして、各コア部14の端部には、傾斜面171を備えた凹部170(光路変換部17)が設けられている。したがって、4つの傾斜面171は、Y方向に並んでいる。なお、図3では、光導波路1の内部に形成されているコア部14や凹部170等の構造体を破線にて図示している。
図3においては、光導波路1の上面にレンズシート2が載置されているが、このとき、レンズシート2は、平面視において4つの傾斜面171と4つのレンズ212とがそれぞれ重なるように載置されている。これにより、傾斜面171の光軸とレンズ212の光軸とをそれぞれ合わせることができる。その結果、傾斜面171を介してコア部14とレンズ212とを光学的に接続することができる。したがって、レンズ212の光軸と受発光部41の光軸とを合わせるように光素子4を載置することにより、レンズ212を介して光素子4とコア部14とを光学的に接続することができる。
一方、レンズ211およびレンズ213は、傾斜面171と重ならないので、光学的に光導波路1と関与しない。
なお、レンズシート2では、レンズ群23同士の間においてレンズ21の焦点距離が互いに異なっているので、傾斜面171の光軸と合わせるレンズ21を適宜選択することによって、目的とする焦点距離により近い焦点距離のレンズ21を光導波路1と光学的に接続することができる。目的とする焦点距離とは、例えば電気基板3の厚さや光素子4と光導波路1との離間距離に応じて決まる距離である。具体的には、例えば、レンズ21によって集束された信号光を光素子4の受発光部41に対して効率よく入射させるために、レンズ21に求められる焦点距離である。本実施形態に係るレンズシート2では、3種類の焦点距離のレンズ群23の中からいずれかを選択可能になっているので、目的とする焦点距離により近いレンズ群23を選択することにより、光素子4と光導波路1との光結合効率を特に高めることができる。
したがって、このようなレンズシート2と光導波路1とを備えるレンズ付き光導波路20(本発明のレンズ付き光導波路の第1実施形態)は、レンズシート2の位置を適宜変更することによって、目的とする焦点距離のレンズ21を傾斜面171に結合させることを可能にする。その結果、レンズ付き光導波路20の実装状態、例えば電気基板3の寸法等に応じて新たにレンズを作製することなく、目的とする焦点距離により近い焦点距離のレンズ21を有するレンズ付き光導波路20が得られる。したがって、どのような寸法の電気基板3が搭載されるのか、レンズ付き光導波路20の製造時点では判明していないときでも、本実施形態に係るレンズ付き光導波路20によれば、複数種類の焦点距離から選択可能になっているため、光素子4と光導波路1との光結合効率が高い光モジュール1000を得ることができる。
また、本実施形態は、4個のレンズ21からなるレンズ群23を3列備えているので、例えば4つの受発光部41を備えた光素子4を光学的に接続可能になっている。そして、レンズ21の配置パターンは、レンズ群23同士の間で互いに等しくなっている。このため、このような複数の受発光部41を備えた光素子4であっても、上述したように、目的とする焦点距離により近いレンズ群23を選択可能になっている点で、本実施形態に係るレンズ付き光導波路20は有用である。
なお、1つのレンズ群23に含まれるレンズ21の数は、特に限定されないが、例えば2〜100個程度とされる。
また、レンズシート2に含まれるレンズ群23の列数も、特に限定されないが、例えば2〜50列程度とされる。
図4、5は、それぞれ、本発明の光モジュールの第1実施形態を示す断面図であって、選択されたレンズ群が図1とは異なっている例を示す図である。
図4に示す光モジュール1000では、平面視において4つの傾斜面171と4つのレンズ213とがそれぞれ重なるように載置されている。すなわち、図4における光導波路1に対するレンズシート2の相対位置は、図1における光導波路1に対するレンズシート2の相対位置と異なっている。そして、傾斜面171の光軸とレンズ213の光軸とが合うように、レンズシート2の位置が設定されている。その結果、傾斜面171を介してコア部14とレンズ213とを光学的に接続することができる。
一方、図5に示す光モジュール1000では、平面視において4つの傾斜面171と4つのレンズ211とがそれぞれ重なるように載置されている。すなわち、図5における光導波路1に対するレンズシート2の相対位置は、図1における光導波路1に対するレンズシート2の相対位置と異なっている。そして、傾斜面171の光軸とレンズ211の光軸とが合うように、レンズシート2の位置が設定されている。その結果、傾斜面171を介してコア部14とレンズ211とを光学的に接続することができる。
なお、レンズシート2は、接着層や粘着層を介して光導波路1に固定されていてもよいし、光導波路1に固定されていなくてもよい。後者の場合、例えば接着部5によってレンズシート2の側方を固定するようにしてもよいし、接着部5によって電気基板3を固定することによって間接的にレンズシート2を固定するようにしてもよい。
また、図1に示すレンズシート2では、支持部22の厚さt2は、12個のレンズ21の厚さt1よりも薄くなっている。これにより、12個のレンズ21のうち、光導波路1と光学的に関与していないレンズ21には、それが凸レンズであることを利用して、光学機能以外の機能が付与されることも可能である。すなわち、凸レンズは、支持部22よりも突出する部分を含むため、その部分の形状を利用することで、様々な機能を発現させることができる。具体的な機能については、後に詳述する。
なお、支持部22の厚さt2は、上記の要件を必ずしも満たさなくてもよい。すなわち、レンズ21に対して、光学機能以外の機能を付与する必要がない場合には、支持部22の厚さt2がレンズ21の厚さt1と同じであってもよく、レンズ21の厚さt1よりも厚くなっていてもよい。
支持部22の厚さt2は、特に限定されないが、0.5〜1200μm程度であるのが好ましく、1〜1000μm程度であるのがより好ましい。支持部22の厚さt2を前記範囲内に設定することにより、支持部22は十分な剛性を有するものとなるため、レンズ21を安定的に保持することができる。
また、レンズシート2では、レンズ21と支持部22とが一体であっても、別体であってもよい。なお、一体であることにより、両者の位置精度をより高めることができるので、光路Pに対してレンズ21の位置をより正確に合わせることができる。
レンズシート2の構成材料は、透光性を有する材料であれば特に限定されないが、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのような各種ガラス材料、サファイア、水晶のような各種結晶材料等が挙げられる。
なお、レンズシート2の表面には、必要に応じて、反射防止膜、多層膜コーティング等の各種コーティングを施すようにしてもよい。
また、レンズシート2の表面には、必要に応じて、微小な凹凸を形成するようにしてもよい。この際、凹凸のピッチや深さ(高さ)を、レンズ21に入射する光の波長以下にすることで、凹凸が形成された領域の屈折率を、空気の屈折率とレンズ21の構成材料の屈折率との中間の値としてみなすことができるようになるので、レンズ21に入射する光の反射が抑制され、光の入射効率を高めることができる。
また、図1に示す光モジュール1000のうち、光素子4を除く部分が光電気混載基板100(本発明の光電気混載基板の第1実施形態)である。すなわち、光電気混載基板100は、光導波路1と、その上面に積層されたレンズシート2と、その上面に積層された電気基板3と、を有している。また、光導波路1と電気基板3との間が、接着部5を介して接着されている。
かかる光電気混載基板100は、前述したように、互いに焦点距離が異なるレンズ211、レンズ212およびレンズ213を備えたレンズ付き光導波路20を有している。このような光電気混載基板100では、電気基板3の厚さやバンプ42の高さ等に応じてレンズ21に求められる焦点距離を、レンズ211、レンズ212およびレンズ213のうちから1つを選択することによって実現することができる。換言すれば、光素子4の搭載に適した焦点距離を持つレンズ21を、容易に選択可能になっているので、新たにレンズを作製することなく、光モジュール1000を製造することを可能にする。これにより、光導波路1と光素子4との間の光結合効率が高く、高品質な光通信を行い得る光モジュール1000を製造することができる。
なお、本発明の光電気混載基板および本発明の光モジュールは、上記の他に、任意の構造体、例えば光コネクター、電気コネクター等を備えていてもよい。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の光モジュールの第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の光モジュールの第2実施形態を示す断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第2実施形態は、電気基板3とレンズシート2との位置関係が異なる以外、第1実施形態と同様である。
具体的には、図6に示す光モジュール1000では、電気基板3がレンズシート2のレンズ211の上面に載置されている。これにより、電気基板3と光導波路1との離間距離は、レンズ211の厚さに応じて規制されることとなる。
すなわち、図6に示す光モジュール1000では、図1と同様、傾斜面171の光軸とレンズ212の光軸とが合うようにレンズシート2が配置されている。これにより、レンズ212を介して光素子4とコア部14とが光学的に接続されている。
このとき、レンズ211およびレンズ213は、傾斜面171の光軸からずれた位置に設けられることとなり、光学的に光導波路1とは関与していない。そこで、本実施形態では、このようなレンズ211およびレンズ213のうち、レンズ211の上面に電気基板3が接するように、電気基板3とレンズシート2との位置関係が設定されている。これにより、レンズ211の厚さによって電気基板3と光導波路1との離間距離が厳密に決定されることになるので、電気基板3の上面に載置されている光素子4とレンズ212との距離も自ずと厳密に制御されることとなる。その結果、レンズ212の焦点と光素子4との位置関係を最適化することができ、光素子4と光導波路1との光結合効率を特に高めることができる。
なお、レンズ213の上面に電気基板3が接するように、電気基板3とレンズシート2との位置関係が設定されていてもよい。この場合、レンズ212とレンズ211が貫通孔33に挿入されるように電気基板3を構成するようにすればよい。
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
≪第3実施形態≫
次に、本発明の光モジュールの第3実施形態について説明する。
図7、8は、それぞれ、本発明の光モジュールの第3実施形態を分解して示す断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図7、8の上方を「上」といい、下方を「下」という。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
第3実施形態は、電気基板3の形状が異なる以外、第2実施形態と同様である。なお、図7、8では、電気基板3とレンズシート2および接着部5との間を離間させた(分解した)状態が図示されている。
具体的には、図7に示す電気基板3は、絶縁性基板31と、その表面に設けられた電気配線32と、電気基板3を貫通する貫通孔33と、絶縁性基板31の下面に開口する2つの凹部34と、を有している。これら2つの凹部34は、光導波路1と光学的に関与していないレンズ211の突出部およびレンズ213の突出部が挿入可能になっている。2つの凹部34にレンズ211の突出部およびレンズ213の突出部が挿入されると、レンズシート2に対して電気基板3の上下方向のみでなく左右方向についても移動が規制される。その結果、レンズシート2に対する電気基板3の位置をより厳密に決めることができ、電気基板3に搭載されている光素子4とレンズシート2との位置関係も自ずと厳密に制御されることとなる。その結果、光素子4と光導波路1との光結合効率を特に高めることができる。
一方、図8に示す光モジュール1000は、図7に示す光モジュール1000の変形例である。
図8に示す電気基板3も、絶縁性基板31と電気配線32と貫通孔33と2つの凹部34とを有しているが、凹部34の位置や形状が図7に示す電気基板3とは異なっている。そして、図8に示す光モジュール1000では、傾斜面171を介してコア部14とレンズ213とが光学的に接続されている。
図8に示す2つの凹部34は、光導波路1と光学的に関与していないレンズ211の突出部およびレンズ212の突出部が挿入可能になっている。2つの凹部34にレンズ211の突出部およびレンズ212の突出部が挿入されると、レンズシート2に対して電気基板3の移動が規制される。その結果、レンズシート2に対する電気基板3の位置をより厳密に決めることができ、光素子4と光導波路1との光結合効率を特に高めることができる。
また、図7の凹部34には、レンズ211の突出部の全体が挿入されている必要はなく、レンズ211の突出部の一部のみが挿入されていてもよい。同様に、凹部34には、レンズ213の突出部の全体が挿入されている必要はなく、レンズ213の突出部の一部のみが挿入されていてもよい。
なお、これは、図8の凹部34においても同様である。
一方、図7の2つの凹部34の形状は、レンズ211の突出部の形状およびレンズ213の突出部の形状に応じて互いに異なっていてもよい。例えば、2つの凹部34の形状は、レンズ211の突出部とレンズ213の突出部のうち、大きい方の形状に合わせて、互いに同じ形状であってもよい。
なお、これは、図8の凹部34においても同様である。
また、凹部34の形状は、各レンズ21の突出部の形状に対応している必要はなく、突出部の少なくとも一部が挿入可能になっている形状であれば、いかなる形状であってもよい。
また、凹部34は2つ設けられる必要はなく、一方のみでもよい。この場合、レンズ211とレンズ213のうち、いずれか一方が凹部34に挿入され、他方は平面視において電気基板3の外側に位置するように電気基板3の形状が設定されればよい。
なお、凹部34は、電気基板3の下面に開口する有底の凹部であるが、電気基板3を貫通する貫通孔で代替可能である。
このような第3実施形態においても、第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。
≪第4実施形態≫
次に、本発明の光モジュールの第4実施形態について説明する。
図9は、本発明の光モジュールの第4実施形態に含まれるレンズ付き光導波路を示す上面図である。
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図9に示すレンズ付き光導波路20は、光導波路1におけるコア部14の平面視形状およびレンズシート2におけるレンズ21の配置が異なる以外、図3に示すレンズ付き光導波路20と同様である。
具体的には、図9に示すレンズシート2では、3列のレンズ群23がX方向に並んでいる。また、これら3列のレンズ群23は、互いにY方向(コア部14の幅方向)にずれている。より具体的には、図9において3列のレンズ群23の中で最も右側に位置するレンズ群231は、図9において3列のレンズ群23の中で最も下方に位置し、図9において3列のレンズ群23の中で最も左側に位置するレンズ群233は、図9において3列のレンズ群23の中で最も上方に位置し、図9のX方向においてレンズ群231とレンズ群233との間に位置するレンズ群232は、Y方向においてもレンズ群231とレンズ群233との間に位置している。
なお、これら3列のレンズ群23のY方向におけるずれ量は、12個のレンズ21の位置が、Y方向において互いに同じ位置にならないように設定されている。
一方、図9に示す光導波路1には、12本のコア部14が形成されている。そして、各コア部14の端部には、傾斜面171を備えた凹部170(光路変換部17)が設けられている。これらの光路変換部17は、それぞれ、平面視において個別のレンズ21と重なる位置に配置されている。その結果、12個のレンズ21は、それぞれ光路変換部17を介してコア部14と光学的に接続されている。
具体的には、12本のコア部14のうち、図9の上方から1番目、4番目、7番目および10番目に位置するコア部143は、その端部に設けられた光路変換部1703を介して、レンズ群233に含まれるレンズ213と光学的に接続されている。
また、図9の上方から2番目、5番目、8番目および11番目に位置するコア部142(第1コア部)は、その端部に設けられた光路変換部1702(第1光路変換部)を介して、レンズ群232に含まれるレンズ212(第1レンズ)と光学的に接続されている。
また、図9の上方から3番目、6番目、9番目および12番目に位置するコア部141(第2コア部)は、その端部に設けられた光路変換部1701(第2光路変換部)を介して、レンズ群231に含まれるレンズ211(第2レンズ)と光学的に接続されている。
したがって、図9に示すレンズ付き光導波路20では、12本のコア部14に12個のレンズ21が光学的に接続されている。
ところで、12個のレンズ21は、第1実施形態と同様、互いに焦点距離が異なるレンズ21を備えた3列のレンズ群23に分けられている。
前述した第1実施形態では、互いに焦点距離の異なる12個のレンズ21のうちから、目的とする焦点距離により近い焦点距離のレンズ21を4個選択し、その4個のレンズ21の光軸と4個の傾斜面171の光軸とを合わせるように、レンズシート2と光導波路1の相対位置が設定されている。したがって、第1実施形態では、12個のレンズ21のうち、8個のレンズ21は光学的に光導波路1と関与していない。
これに対し、本実施形態では、12個のレンズ21の光軸が、12個の傾斜面171の光軸と合わせられている。このため、全てのレンズ21が光学的に光導波路1と関与している。そして、このようなレンズ付き光導波路20は、3種類の焦点距離のレンズ群23の中から、目的とする焦点距離により近いレンズ群23を選択可能になっている。これにより、選択したレンズ群23とそれに接続されている4本のコア部14とを用いることで、光素子4と光導波路1との光結合効率を特に高めることができる。
すなわち、本実施形態に係るレンズ付き光導波路20を用いて光モジュールを製造する場合、電気基板の厚さや光素子の寸法等を事前に知ることができない場合であっても、3種類の焦点距離のレンズ群23から1つを選択可能になっているため、採用された電気基板等に応じてレンズ21の焦点距離を最適化することができる。
また、本実施形態は、4個のレンズ21からなるレンズ群23を3列備えているので、例えば4つの受発光部41を備えた光素子4を光学的に接続可能になっている。そして、レンズ21の配置パターンは、レンズ群23同士の間で互いに等しくなっている。このため、このような複数の受発光部41を備えた光素子4であっても、上述したように、目的とする焦点距離により近いレンズ群23を選択した上で好適に実装可能になっている点で、本実施形態に係るレンズ付き光導波路20は有用である。
このような第4実施形態においても、第1〜第3実施形態と同様の効果が得られる。
なお、3列のレンズ群23のうち、例えばレンズ群232が選択され、そのレンズ群232の光軸に合わせて光素子が載置された場合、選択されていないレンズ群231およびレンズ群233は、光通信に寄与しないこととなる。ただし、本実施形態では、選択されていないレンズ群231およびレンズ群233にもそれぞれコア部14が光学的に接続されている。このため、レンズ群231およびそれに接続されたコア部141ならびにレンズ群233およびそれに接続されたコア部143は、それぞれ何らの用途に供されていなくてもよいが、レンズ群232の光軸に合わせて載置された光素子とは別の光素子を用いた光通信に供されてもよい。また、光通信以外の用途、例えば、伝送損失の測定を行う用途、位置合わせ用のアライメントマークとしての用途等に供されてもよい。
<レンズ付き光導波路の製造方法>
≪第1製造方法≫
まず、図1に示すレンズ付き光導波路20の第1製造方法について説明する。
図10は、図1に示すレンズ付き光導波路20の第1製造方法を説明するための図である。
図1に示すレンズ付き光導波路20の第1製造方法は、光導波路1とそれに積層された凹部保護層18との積層体を用意する工程と、3列のレンズ群から目的とする焦点距離に近いレンズ群を選択し、そのレンズ群に含まれるレンズ21の光軸と傾斜面171の光軸とを合わせるように、光導波路1に対してレンズシート2を積層する工程と、を有する。
図10に示す例では、レンズ212の光軸と傾斜面171の光軸とを合わせるように、光導波路1とレンズシート2とが積層されている。これにより、傾斜面171を介してレンズ212とコア部14とが光学的に接続される。
≪第2製造方法≫
次に、図1に示すレンズ付き光導波路20の第2製造方法について説明する。
図11は、図1に示すレンズ付き光導波路20の第2製造方法を説明するための図である。
図1に示すレンズ付き光導波路20の第2製造方法は、導光部保護層161と導光部10と導光部保護層162の積層体を用意する工程と、導光部保護層161の上面にレンズシート2を積層する工程と、3列のレンズ群から目的とする焦点距離に近いレンズ群を選択し、そのレンズ群に含まれるレンズ21の光軸に合わせるように、積層体に対して傾斜面171を含む凹部170(光路変換部17)を形成する工程と、凹部保護層18を積層する工程と、を有する。
図11に示す例では、破線で示すように、導光部保護層161の上面にレンズシート2を積層した後、特定のレンズ21を選択し、それに合わせて各種加工法により凹部170を形成する。すなわち、レンズ211、レンズ212およびレンズ213のうち、いずれかを選択し、その光軸に合うように凹部170を加工する。このような加工手順を経ることにより、レンズ21の光軸と傾斜面171の光軸とをより高精度に合わせ易くなる。
換言すれば、導光部保護層161、導光部10および導光部保護層162の積層体と、その上面に積層されたレンズシート2と、の積層体20’は、適切な焦点距離のレンズ21を選択しそれに合わせて凹部170が加工されることによって、レンズ21と傾斜面171とが高い光結合効率で接続されたレンズ付き光導波路20を製造可能な製造中間体となり得る。
なお、図1に示すレンズ付き光導波路20の製造方法は、上記方法に限定されない。
また、図11には、説明の便宜上、レンズ211、レンズ212およびレンズ213の全てを選択し、その光軸に合わせて凹部170が加工されている状態を破線にて示している。
<電子機器>
上述したような本発明の光モジュールは、光素子と光導波路との光結合効率が高いため、高品質の光通信を行うことが可能である。したがって、本発明の光モジュールを備えることにより、高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器(本発明の電子機器)が得られる。
本発明の光モジュールを備える電子機器としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、内部において大量のデータが高速で伝送される。したがって、このような電子機器が本発明の光モジュールを備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が期待できる。
また、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
以上、本発明のレンズ付き光導波路、光電気混載基板、光モジュールおよび電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明のレンズ付き光導波路、光電気混載基板および光モジュールは、それぞれ、前記各実施形態に対して任意の構造物が付加されたものであってもよい。