JP2017149810A - 共重合体、これを用いたコーティング剤、及びコーティング方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリル酸ブチル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸を含む共重合体であって、
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリル酸ブチル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸の共重合比が15〜50:40〜75:2〜20であり、
重量平均分子量が300,000以上であることを特徴とする共重合体。
(2)(1)記載の共重合体を含むことを特徴とするコーティング剤。
(3)生理活性物質を基板にコートするためのものであることを特徴とする(2)記載のコーティング剤。
(4)前記生理活性物質が、核酸、ポリペプチド、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、及びこれらの類縁体を含むものであることを特徴とする(3)記載のコーティング剤。
(5)前記ポリペプチドがEpCAMに対するペプチドアプタマーであることを特徴とする(4)記載のコーティング剤。
(6)(2)〜(5)のいずれか1つ記載のコーティング剤、及び活性化剤を含むことを特徴とする基材をコーティングするためのキット。
(7)(1)に記載の共重合体に生理活性物質が結合していることを特徴とする生理活性物質結合コーティング剤。
(8)(7)記載の前記生理活性物質が、核酸、ポリペプチド、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、及びこれらの類縁体を含むものであることを特徴とする生理活性物質結合コーティング剤。
(9)前記ポリペプチドがEpCAMに対するペプチドアプタマーであることを特徴とする(8)記載の生理活性物質結合コーティング剤。
(10)(1)記載の共重合体を基材にコーティングする工程と、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)でカルボキシル基を活性化させる工程と、生理活性物質を導入する工程を含むことを特徴とするコーティング方法。
(11)(1)記載の共重合体をEDCで活性化させる工程と、生理活性物質を導入する工程と、基材にコートする工程を含むことを特徴とするコーティング方法。
(12)(7)〜(9)のいずれか1つ記載の生理活性物質結合コーティング剤を基材にコートする工程を含むことを特徴とするコーティング方法。
次に、実施例を示しながら、本発明を詳細に説明する。なお、共重合体は、以下に示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量を、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)により組成分析を行った。
試料は0.5重量%臭化リチウムを含むクロロホルム/メタノール(6/4(体積比))混合溶媒に溶解し、0.5重量%の重合体溶液を調製した。試料溶液の使用量は20μLである。
<共重合体の調製>
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)20.2g、n−ブチルメタクリレート(BMA)19.5g、及び2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸(HOMS)5.3g(MPC/BMA/HOMS=30/60/10(モル比))をエタノール105gに溶解して4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ後、60℃でアゾビスイソブチロニトリル0.49gを加えて24時間重合反応した。重合液を3Lのジエチルエーテル中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿をろ過、室温で48時間真空乾燥を行って共重合体の粉末29.7gを得た。共重合体は、上述のようにゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量を、また、重溶媒を重メタノール、測定温度は室温、緩和時間5秒、積算回数を64回として、JNM−ECS400(日本電子社製)にてプロトン核磁気共鳴(1H−NMR)を行い組成分析した。結果を表1に示す。
配合するモノマーの組成を、合成例2は、MPC/BMA/HOMS=20/70/10、合成例3は45/50/5、合成例4は40/40/20(いずれもモル比)に変更した以外は合成例1に従って共重合体を合成した。なお、回収率、GPCにより測定した重量平均分子量、及び1H−NMRにて組成分析した結果も合わせて表1に記載した。
配合するモノマーの組成を比較合成例1は、HOMSに代えてメタクリル酸(MA)を用いた他は合成例1と同様の共重合比で、すなわちMPC/BMA/MA=30/60/10の共重合比で、比較合成例2はMPC/BMA/HOMS=70/20/10の共重合比に変更した以外は合成例1に従って共重合体を合成した。GPCにより測定した重量平均分子量、及びプロトン1H−NMRにて組成分析した結果も合わせて表1に記載した。
共重合体を含むコーティング剤を基材に塗布後、生理活性物質を導入する方法
[実施例1]
本発明の共重合体を含むコーティング剤を調整し基材に塗布後、生理活性物質であるビオチンを共重合体中のHOMSセグメントのカルボキシル基に導入した。
合成例1で調製した共重合体0.5gをエタノールで溶解し、全量をエタノールで100mLとして0.5重量%の共重合体溶液をコーティング剤として調製した。この溶液をポリスチレン製96穴イムノプレート(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に1ウェルあたり200μLとなるように分注、ポリマー液を吸引除去、室温で24時間乾燥させ、共重合体塗布プレートを調製した。
基材に塗布された共重合体中のHOMSセグメントのカルボキシル基を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)により活性化しビオチンと結合させた。
導入されたビオチン量は、ビオチンと特異的に反応するペルオキシダーゼ標識アビジンに由来する酵素活性を検出することにより評価した。ビオチンを導入したプレートに、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で任意倍率に希釈したぺルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch Labolatoriess社製)を1ウェルあたり100μL分注し、室温で2時間静置した。0.05%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含有するPBS(PBST)を1ウェルあたり200μL分注、除去する操作を4回繰り返して洗浄後、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジンを発色成分とするペルオキシダーゼの発色試薬(KPL社製)を1ウェルあたり100μL分注し、室温で10分間反応させた。1ウェルあたり50μLの2N硫酸を分注して発色反応を停止してからマイクロプレートリーダー(SpectraMax250、モレキュラーデバイス社製)で450nmの吸光度を測定した。結果を表2に示す。なお、ビオチンを導入していない共重合体塗布プレートを用いて同様の操作を実施(コントロール)したときの吸光度は0.098であり、非特異的な吸着による発色ではないことを確認した。
実施例1の合成例1の共重合体に代えて、合成例2〜4の共重合体を使用する以外は実施例1の方法に従って実施した。結果を表2に示す。
実施例1の合成例1の共重合体の代わりに比較合成例1、2の共重合体を使用する以外は実施例1の方法に従って実施した。結果を表2に示す。
[実施例5]
共重合体のHOMSセグメントのカルボキシル基を活性化し、生理活性物質を導入後、基材に塗布することにより生理活性化物質を固相化した。
合成例1で得られた共重合体50mgを含有するエタノール溶液2.5mLに9.5mgのビオチン−(PEO)3−アミン(カルボキシル基量に対して10モル当量)を加えた後、350mgの4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウムクロリド・n−水和物(DMT−MM)(和光純薬工業社製)(カルボキシル基量に対して50モル当量)を加え、室温で一昼夜反応させた。反応後、反応溶液を透析チューブ(Spectra/Por社製,MWCO:8000)に入れ、外液を100倍のエタノールにして交換しながら2日間透析を行った。透析チューブから全量を回収、エバポレータで濃縮後、全容を10mLのエタノール溶液としてビオチン標識コーティング剤を得た(共重合体として0.5重量%のエタノール溶液)。
上記で調製したビオチン標識共重合体溶液(共重合体として0.5重量%のエタノール溶液)を96穴イムノプレートに1ウェルあたり200μLとなるように分注後、ポリマー液を吸引除去、室温で24時間乾燥させ、ビオチン標識共重合体塗布プレートを調製した。
導入されたビオチン量の測定は、実施例1に記載の導入されたビオチン量の測定に従って実施した。結果を表2に示す。
<核酸の共重合体への導入>
共重合体中のHOMSセグメントのカルボキシル基をEDCにより活性化し、DNAと反応させた。
PUC :5’-CCCAGTCACGACGTTGTAAA-3’ (配列番号2)
実施例6の合成例1の共重合体の代わりに比較合成例1、2の共重合体を使用する以外は実施例1の方法に従って実施した。結果を表3に示す。
<ペプチドアプタマーの共重合体への導入>
次に、本発明の共重合体にペプチドアプタマーを導入した例を示す。本発明の共重合体に、ポリエチレングリコール(PEG)リンカーを介して、EpCAMに結合能を有するペプチドアプタマーを導入した。EpCAMアプタマー(Ep114)は、以下の配列のペプチドを用いた。
Ep114:KHLQCVRNICWS (配列番号3)
基材はメタノールに浸漬し5分間ソニケーションし、洗浄を行う。用いた金属は、亜鉛粒子(高純度化学研究所製、Powder M 150μm pass、049660)、鉄粒子(高純度化学研究所製、Powder M 150μm pass、049656)、ケイ素小片(高純度化学研究所製、Powder M 150 μm pass、049661)、ジルコニア粒子(高純度化学研究所製、Powder ca.1μm、213259)、フロリジル(ケイ酸マグネシウム)小片(Merck製、0.150−0.250mm、1.12518.0100)である。洗浄処理した金属粒子、金属小片は、作製したペプチドアプタマー導入コーティング剤に浸漬し、37℃、2時間振とうした後、0.45μm(Ultrafree(登録商標) Centrifugal filters、UFC30LH00)で濾過し、過剰量のペプチドアプタマー導入コーティング剤を除く。30分間風乾した後、2時間真空乾燥させる。その後、PBSにて4℃、15時間平衡化した。
本発明の共重合体は実施例7で示したように金属や、実施例5で示したようにポリスチレン製のイムノプレートだけではなく様々な担体をコートすることができる。ポリスチレン以外の樹脂としては、担体として汎用されているポリプロピレン、塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、シリコン、親水性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、疎水性ポリジメチルシロキサン、アクリル樹脂(PMMA)、また、ガラスを効率良くコートすることを確認している。以下に、基材として多用される材料へのコーティングの評価結果の例を示す。
<コーティング剤溶液の調製とプレートへの塗布>
合成例1で調製した共重合体0.5gをエタノールで溶解し、全量をエタノールで100mLとして0.5重量%の共重合体溶液をコーティング剤として調製した。この溶液をポリエチレンテレフタラート製96穴イムノプレート(アズワン社製)に1ウェルあたり200μLとなるように分注、ポリマー液を吸引除去、室温で24時間乾燥させ、共重合体塗布プレートを調製した。
上記で調整したコーティング剤を塗布したポリエチレンテレフタラート製プレートを実施例1と同様にしてWSCを用いてHOMSセグメントのカルボキシル基を活性化した。次に、ビオチンを結合した後に洗浄を行い、さらに、未反応の活性エステル基の処理を行い、再度洗浄操作を繰り返余剰のグリシンを除去した。
導入されたビオチン量は、実施例1と同様にして測定した。マイクロプレートリーダーでの450nmの吸光度の測定値は1.526であった。なお、ビオチンを導入していない共重合体塗布プレートを用いて同様の操作を実施(コントロール)したときの吸光度は0.043であり、非特異的な吸着による発色ではなく、ポリエチレンテレフタラート製の基材にもコートできることを確認した。
<ポリメチルメタクリレート基材へのコーティング>
合成例1で調製した共重合体0.5gをエタノールで溶解し、全量をエタノールで100mLとして0.5重量%の共重合体溶液をコーティング剤として調製した。この溶液をポリメチルメタクリレート製ディスポセル(12.5mm×12.5mm×45mm、アズワン社製)に1セルあたり2mLとなるように分注、ポリマー液を吸引除去、室温で24時間乾燥させ、共重合体塗布セルを調製した。
上記で調整したコーティング剤を塗布したポリメチルメタクリレート製ディスポセルを実施例1と同様にしてWSCを用いてHOMSセグメントのカルボキシル基を活性化した。次に、ビオチンを結合した後に洗浄を行い、さらに、未反応の活性エステル基の処理を行い、再度洗浄操作を繰り返余剰のグリシンを除去した。
導入されたビオチン量は、実施例1と同様にビオチンと特異的に反応するペルオキシダーゼ標識アビジンに由来する酵素活性を検出することにより評価した。ただし、1セルあたりの試薬量を実施例1の10倍量添加して反応を行わせた。また、2N硫酸による反応停止後、反応停止液から150μLをポリスチレン製96ウェルプレートに移してからマイクロプレートリーダーで450nmの吸光度を測定した。ビオチンを導入したコーティング剤を塗布した共重合体セルでは、1.953の吸光度を得たのに対し、ビオチンを導入していない共重合体塗布セルを用いて同様の操作を実施(コントロール)したときの吸光度は0.073であった。したがって、非特異的な吸着による発色ではなく、ポリメチルメタクリレートにも本発明の共重合体を含むコーティング剤を塗布できることを確認した。
容器をポリメチルメタクリレート製ディスポセルからディスポーザブルガラス試験管(6mL、アズワン社製)に変更する以外は上記〔ポリメチルメタクリレート製ディスポセルでの評価〕に従って実験を実施した。その結果、ビオチンを導入した共重合体塗布ガラス試験管を用いた時、1.372の吸光度を得た。なお、ビオチンを導入していない共重合体塗布ガラス試験管を用いて同様の操作を実施(コントロール)したときの吸光度は0.051であった。したがって、非特異的な吸着による発色ではなく、ガラスにも本発明の共重合体を含むコーティング剤を用いて高密度に生理活性物質を塗布できることを確認した。
Claims (12)
- 2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリル酸ブチル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸を含む共重合体であって、
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタクリル酸ブチル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸の共重合比が15〜50:40〜75:2〜20であり、
重量平均分子量が300,000以上であることを特徴とする共重合体。 - 請求項1記載の共重合体を含むことを特徴とするコーティング剤。
- 生理活性物質を基板にコートするためのものであることを特徴とする請求項2記載のコーティング剤。
- 前記生理活性物質が、核酸、ポリペプチド、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、及びこれらの類縁体を含むものであることを特徴とする請求項3記載のコーティング剤。
- 前記ポリペプチドがEpCAMに対するペプチドアプタマーであることを特徴とする請求項4記載のコーティング剤。
- 請求項2〜5のいずれか1項記載のコーティング剤、及び活性化剤を含むことを特徴とする基材をコーティングするためのキット。
- 請求項1に記載の共重合体に生理活性物質が結合していることを特徴とする生理活性物質結合コーティング剤。
- 請求項7記載の前記生理活性物質が、
核酸、ポリペプチド、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、及びこれらの類縁体を含むものであることを特徴とする生理活性物質結合コーティング剤。 - 前記ポリペプチドがEpCAMに対するペプチドアプタマーであることを特徴とする請求項8記載の生理活性物質結合コーティング剤。
- 請求項1記載の共重合体を基材にコーティングする工程と、
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)でカルボキシル基を活性化させる工程と、
生理活性物質を導入する工程を含むことを特徴とするコーティング方法。 - 請求項1記載の共重合体をEDCで活性化させる工程と、
生理活性物質を導入する工程と、
基材にコートする工程を含むことを特徴とするコーティング方法。 - 請求項7〜9のいずれか1項記載の生理活性物質結合コーティング剤を基材にコートする工程を含むことを特徴とするコーティング方法。
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