以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。本発明は、軟質部材の固定構造及び軟質部材を備える筆記具の構造を特徴としている。従って、販売する筆記具の種類は限定されるものではなく、例えば、筆記具の種類としては、単色ボールペン、ノック式ボールペン、多機能(多色)ボールペン、多数のリフィルを取り付け可能なリフィルホルダ、シャープペンシル等が可能である。ここでは、軟質部材を筆記具のキャップに取り付ける軟質部材の固定構造及び軟質部材を備える筆記具を説明するが、本発明は、キャップを備えない筆記具の軸筒に直接軟質部材を取り付ける筆記具にも適用できることは言うまでもない。
図1(a)は、軟質部材3をキャップ2に備える筆記具1を側面から見たものであり、図1(b)は、図1(a)に示した筆記具1を正面から見たものである。また、図1(c)は、図1(a)に示した筆記具1をキャップ2側から見たものであり、図1(d)は、図1(a)に示した筆記具1から取り外したキャップ2単体を斜め方向から見たものである。筆記部1には軸筒として前軸7と後軸8があり、前軸7にキャップ2が取り付けられている。キャップ2にはその側面にクリップ4があり、天冠部に軟質部材3が取り付けられている。軟質部材3は、例えば、熱変色性インクを摩擦熱で変色させる摩擦体である。
図2(a)は、図1(d)に示したキャップ2を正面から見たものであり、図2(b)は、図2(a)に示したキャップ2を側面から見たものである。そして、図2(a)と図2(b)に示したキャップ2に、第1の実施形態の軟質部材3Aと第1の実施形態の接続部材40Aが取り付けられている場合の、図2(a)のA1−A1線における断面は図2(c)のようになり、図2(b)のB1−B1線における断面は図2(d)のようになる。
また、図3(a)は、図1(a)に示した筆記具1に、図2(c)に示したキャップ2が取り付けられている場合の筆記具1の軸線方向の断面を示しており、図3(b)は、図2(b)に示したキャップ2を底面側から見たものであり、図3(c)は、キャップ2に、第1の実施形態の軟質部材3Aと第1の実施形態の接続部材40Aが取り付けられている場合の、図2(b)のC1‐C1線における断面を示している。筆記具1の前軸7と後軸8の内部には、リフィル9が収容されており、リフィル9の前軸7の先端部には、前軸7から突出してインクを塗布する筆記部12がある。前軸7にキャップ2が嵌合している状態では、筆記部12はキャップ2の内部に設けられたシールゴム5に埋没しており、筆記部12からのインクの漏洩や、インクの乾燥(インクの溶媒成分の揮発)が防止されている。
図2には、第1の実施形態の軟質部材3Aと第1の実施形態の接続部材40Aがキャップ2に取り付けられた構造が示されており、図3には、図2に示されるキャップ2が前軸7に嵌合された筆記具1の全体図が示されている。ここで、第1の実施形態の軟質部材3Aと第1の実施形態の接続部材40Aの構造を、図4及び図5を用いて個々に説明する。そして、図2及び図3に示す軟質部材3Aと接続部材40Aがキャップ2に取り付けられた構造の理解のために、図6を用いて軟質部材3Aの接続部材40Aへの取り付けを説明する。
図4は本出願の第1の実施形態の軟質部材3Aの構造を示すものである。図4(a)は軟質部材3Aをキャップ2への取付側から見た斜視図、図4(b)は軟質部材3Aを底面から見た底面図であり、図4(c)、(d)はそれぞれ軟質部材3Aを正面と側面から見た正面図と側面図である。また、図4(e)は図4(c)のG1−G1線における軟質部材3Aの断面を示す断面図であり、図4(f)は図4(a)に示した軟質部材3Aを反対側から見た斜視図であり、図4(g)は軟質部材3Aの天面を見た平面図である。
軟質部材3Aには中実の円柱状の本体30があり、円柱状の本体30の接続部材への装着側に、取付軸31が突設されている。取付軸31の直径は、本体30の直径よりも小さい。そして、取付軸31の自由端側には拡径部32が設けられている。取付軸31と拡径部32の、取付軸31の軸線方向の長さは同程度に形成されている。また、拡径部32の一部には、軟質部材3Aを接続部材に装着する際の位置決め、及び軟質部材3Aの接続部材に対する回り留めの役割りを果たす平坦面を備える切欠部33が設けられている。切欠部33は、取付軸31の側面を通る取付軸31の軸線に平行な線の延長方向に拡径部32を切り欠いて形成することができる。
図5は、図4に示した第1の実施形態の軟質部材3Aを取り付ける第1の実施形態の接続部材40Aの構造を示すものであり、第1の実施形態では、接続部材40Aにクリップ4が設けられている。図5(a)は接続部材40Aの平面図、図5(b)は接続部材40Aの正面図であり、図5(c)は図5(a)に示したD1−D1線における接続部材40Aの断面図である。また、図5(d)は接続部材40Aを軟質部材の取付側から見た斜視図であり、図5(e)は図5(b)に示した接続部材40Aの左側面図である。更に、図5(f)は図5(d)に示した接続部材40Aを反対側から見た斜視図であり、図5(g)は図5(b)に示した接続部材40Aの右側面図である。
接続部材40Aには、筆記具にある接続部材の取付部(後述)に嵌め合される環状のリング部41があり、リング部41の外周面には接続部材の取付部と係合するための突条49が設けられている。リング部41の軟質部材3Aが取り付けられる側には隔壁43があり、隔壁43には通気孔43Hが設けられている。また、リング部41の隔壁43側の端部にはリング部41の一部を延長した形状の連結部45が設けられている。連結部45の先端部の両側には湾曲形状のアーム部42が設けられており、図4で説明した取付軸31を両側から挟む形状になっている。このため、アーム部42の幅、即ち取付軸31の軸線方向の長さは、取付軸31の長さと同じであり、外周面が補強のためにリング部41の外周面より外側に膨出されている。本実施形態では連結部45の内側は平坦面になっているが、連結部45の取付軸31に対向する部分は平坦面でなくても良い。更に、連結部45とリング部41の一部の外側にはクリップ接続部44があり、クリップ接続部44を介してクリップ4が接続部材40Aに取り付けられており、アーム部42と隔壁43の間には、拡径部32を受け入れて係止する係止部48が設けられている。
図6(a)は、図5に示した接続部材40Aに、図4に示した軟質部材3Aを取り付ける様子を示す斜視図である。また、図6(b)は、図5に示した接続部材40Aに、図4に示した軟質部材3Aを取り付けた後に、接続部材40Aをキャップ2の本体20に取り付ける様子を示す断面図である。接続部材40Aに軟質部材3Aを取り付ける場合は、軟質部材3Aの取付軸31の上方に、接続部材40Aのアーム部42の開口側を位置させ、取付軸31の切欠部33の平坦面が連結部45の平坦面と平行になるようにする。この状態で接続部材40Aを軟質部材3Aに押し付ければ、取付軸31によってアーム部42の開口側が矢印Mで示す方向に押し広げられ、アーム部42が取付軸31に嵌め込まれる。
アーム部42が取付軸31に嵌め込まれた状態では、拡径部32が係止部48に収容され、取付軸31と拡径部32の間の段差部がアーム部42で係止されるので、軟質部材3Aが接続部材40Aから容易に抜けなくなる。この状態で、リング部41の内部にシールゴムが挿入されて隔壁43に取り付けられる。軟質部材3Aを接続部材40Aから取り外す場合は、軟質部材3Aと接続部材40Aをキャップ2から取り外した状態で、軟質部材3Aをアーム部42の開口側に移動させれば、アーム部42が矢印Mで示す方向に広がるので、軟質部材3Aを接続部材40Aから取り外すことができる。
軟質部材3Aを接続部材40Aに取り付けた後は、軟質部材3Aが取り付けられた接続部材40Aのリング部41を、図6(b)に示すように、キャップ2の本体20に設けられている接続部材の取付部10に挿入する。このとき、リング部41の外周部に設けられている突条49が、キャップ2の本体20の内部に設けられている係止突起11を乗り越えるまで、リング部41をキャップ2の本体20に挿入する。本実施例では、係止突起11は内周面に環状に連続する突条であるが、係止突起11は、内周面に環状に所定間隔で並ぶ独立した突起でも良い。接続部材40Aをキャップ2の本体20に取り付け、接続部材40Aのリング部41の隔壁43にシールゴム5が取り付けられた状態が図2(c)に示す状態である。この状態では、図2(d)に示すように、取付軸31と拡径部32の間の段差部がアーム部42で係止されており、アーム部42はキャップ2の本体20内に収納されているので広がることがなく、軟質部材3Aは接続部材40Aから抜け難い。
このように、第1の実施形態の接続部材40Aにより軟質部材3Aが取り付けられた筆記具1では、軟質部材3Aを激しく使用しても、軟質部材3Aの取付軸31と拡径部32の間の段差部が接続部材40Aのアーム部42で強固に係止されているので、軟質部材3Aが非常に外れ難い。また、軟質部材3Aの交換が必要になったときには、接続部材40Aをキャップ2から取り外し、軟質部材3Aを接続部材40Aに直交する方向に引き抜けば、軟質部材3Aの交換が容易にできる。
以下に本発明の軟質部材と接続部材の他の実施形態を説明するが、以下の説明では筆記具の実施形態の図示及び説明は省略している。図7は本発明の第2の実施形態の軟質部材3Bの構造を示すものである。図7(a)は軟質部材3Bをキャップ2への取付側から見た斜視図、図7(b)は図7(a)に示す軟質部材3Bを正面から見た正面図、図7(c)は図7(b)に示した軟質部材3Bの右側面図、図7(d)は図7(a)に示した軟質部材3Bを反対側から見た斜視図である。また、図7(e)は図7(b)のG2−G2線における軟質部材3Bの断面を示す断面図であり、図7(f)は図7(b)に示した軟質部材3Bの左側面図であり、図7(g)は図7(b)に示した軟質部材3Bの平面図である。更に、図7(h)は図7(g)に示した軟質部材3BのH−H線における断面図、図7(i)は図7(g)に示した軟質部材3BのJ−J線における断面図である。
第2の実施形態の軟質部材3Bには円柱状の本体30があり、円柱状の本体30の接続部材への装着側に取付軸34が突設されている。取付軸34の直径は、本体30の直径よりも小さい。そして、取付軸34の基部には貫通孔35が設けられている。貫通孔35は、取付軸34の軸線と交差する方向に、取付軸34を貫通して形成されている。また、図7に示す取付軸34には、貫通孔35が本体30に接して設けられているが、貫通孔35の位置は、取付軸34の側面であれば特にその位置は限定されない。
図8は図7に示した第2の実施形態の軟質部材3Bを取り付ける第2の実施形態の接続部材40Bを示すものであり、第2の実施形態では、接続部材40Bにクリップ4が設けられている。図8(a)は接続部材40Bの平面図、図8(b)は接続部材40Bの正面図、図8(c)は図8(b)に示した接続部材40Bの左側面図、図8(d)は図8(b)に示した接続部材40Bの右側面図である。また、図8(e)は図8(a)に示した接続部材40BのD2−D2線における断面図、図8(f)は接続部材40Bを軟質部材の取付側から見た斜視図、図8(h)は図8(b)に示した接続部材40BのE−E線における断面図、図8(g)は図8(f)に示した接続部材40Bを反対側から見た斜視図である。
第2の実施形態の接続部材40Bには、筆記具にある接続部材の取付部に嵌め合される環状のリング部41があり、リング部41の外周面には接続部材の取付部と係合するための突条49が設けられている。リング部41の軟質部材3Bが取り付けられる側には隔壁43があり、隔壁43には通気孔43Hが設けられている。また、リング部41の隔壁43側の端部にはリング部41の一部を延長した形状の連結部45が設けられている。連結部45の先端部の両側には、連結部45の外周面を膨出して補強したアーム部42が設けられており、連結部45とアーム部42の内周面で取付軸34を両側から挟む形状になっている。
アーム部42と連結部45の外側及びリング部41の一部の外側にはクリップ接続部44があり、クリップ接続部44を介してクリップ4が接続部材40Aに取り付けられている。2本のアーム部42の間の連結部45の部分には、隔壁43に平行で径方向に延伸された柱状部46が突設されている。柱状部46の断面形状は、軟質部材3Bの取付軸34に設けられた貫通孔35の断面形状と同じである。また、柱状部46の長さは、貫通孔35の深さ以下である。
図9(a)は、図8に示した接続部材40Bに、図7に示した軟質部材3Bを取り付ける様子を示す組立斜視図である。また、図9(b)は図8に示した接続部材40Bに、図7に示した軟質部材3Bを取り付ける様子を示す断面図である。接続部材40Bに軟質部材3Bを取り付ける場合は、軟質部材3Bの取付軸34に設けられた貫通孔35の上方に、接続部材40Bに設けられた柱状部46を位置させる。この状態で接続部材40Bの柱状部46を軟質部材3Bの貫通孔35に挿入し、アーム部42と連結部45の内面を、取付軸34の外周面に密着させれば、軟質部材3Bが接続部材40Bに取り付けられる。
軟質部材3Bが接続部材40Bに取り付けられた状態では、柱状部46が貫通孔35に貫通しているので、軟質部材3Bが接続部材40Bから抜けない。この状態で、リング部41の内部にシールゴム5が挿入されて隔壁43に取り付けられる。軟質部材3Bを接続部材40Bから取り外す場合は、軟質部材3Bと接続部材40Bをキャップから取り外した状態で、軟質部材3Bを柱状部46から引き抜けば、軟質部材3Bを接続部材40Bから取り外すことができる。
軟質部材3Bを接続部材40Bに取り付けた後は、軟質部材3Bが取り付けられた接続部材40Bのリング部41を、図9(c)に示すように、キャップ2の本体20に設けられている接続部材の取付部10に挿入する。このとき、リング部41の外周部に設けられている突条49が、キャップ2の本体20の内部に設けられている係止突起11を乗り越えるまで、リング部41をキャップ2の本体20に挿入する。図9(d)は図9(c)のK−K線における断面図である。軟質部材3Bが取り付けられた接続部材40Bがキャップ2の本体20に装着された状態では、柱状部46が取付軸34の貫通孔35を貫通しているので、軟質部材3Bは接続部材40Bの軸線方向には抜けない。
このように、第2の実施形態の接続部材40Bにより第2の実施形態の軟質部材3Bが取り付けられた筆記具1では、軟質部材3Bを激しく使用しても、軟質部材3Bの貫通孔35には接続部材40Bの柱状部46が貫通しているので、軟質部材3Bが接続部材40Bの軸線方向には外れることがない。また、軟質部材3Bの交換が必要になったときには、接続部材40Bをキャップ2から取り外し、軟質部材3Bを接続部材40の柱状部46から引き抜けば、軟質部材3Bの交換が容易にできる。
図10は、第3の実施形態の接続部材40Cを示すものであり、図7に示した第2の実施形態の軟質部材3Bを取り付けることができるものである。第3の実施形態の接続部材40Cには、クリップ4が設けられている。第2の実施形態の軟質部材3Bについては図7で説明したので、これ以上の説明を省略する。図10(a)は接続部材40Cの平面図、図10(b)は接続部材40Cの正面図、図10(c)は図10(b)に示した接続部材40Cの左側面図、図10(d)は図10(b)に示した接続部材40Cの右側面図である。また、図10(e)は図10(a)に示した接続部材40のD3−D3線における断面図、図10(f)は接続部材40Cを軟質部材3Bの取付側から見た斜視図、図10(h)は図10(b)に示した接続部材40CのF1−F1線における断面図、図10(g)は図10(f)に示した接続部材40Cを反対側から見た斜視図である。
第3の実施形態の接続部材40Cが、第2の実施形態の接続部材40Bと相違する点は、クリップ4の取付位置のみである。第2の実施形態の接続部材40Bでは、クリップ4を取り付けるクリップ接続部44が柱状部46の延長線上に設けられているのに対して、第3の実施形態の接続部材40Cでは、クリップ接続部44が一方のアーム部42の先端部の位置に設けられている。クリップ接続部44は、一方のアーム部42の先端部の外周面から連結部45の外周面及びリング部41の一部の外周面に跨って設けられている。第3の実施形態の接続部材40Cのその他の部位の構造は、第2の実施形態の接続部材40Bの対応する部位の構造と同じであるので、これ以上の説明を省略する。
図11(a)は、図10に示した接続部材40Cに、図7に示した軟質部材3Bを取り付ける様子を示す斜視図である。また、図11(b)は、図10に示した接続部材40Cに、図7に示した軟質部材3Bを取り付ける様子を示す断面図である。第3の実施形態の接続部材40Cに第2の実施形態の軟質部材3Bを取り付ける場合は、軟質部材3Bの取付軸34に設けられた貫通孔35が水平になるように軟質部材3Bを接続部材40Cの横に置き、接続部材40Cはクリップ4が上側になるようにする。この状態では、接続部材40Cの柱状部46が水平方向を向いているので、軟質部材3Bを水平方向に移動させれば、貫通孔35に柱状部46を挿入できる。そして、軟質部材3Bの貫通孔35に柱状部46を挿入していき、アーム部42と連結部45の内面を、取付軸34の外周面に密着させれば、軟質部材3Bが接続部材40Cに取り付けられる。
軟質部材3Bが接続部材40Cに取り付けられた状態では、貫通孔35を柱状部46が貫通するので、軟質部材3Bが接続部材40Cの軸線方向に引っ張られても、軟質部材3Bは接続部材40Cからは抜けない。この状態で、リング部41の内部にシールゴム5が挿入されて隔壁43に取り付けられる。軟質部材3Bを接続部材40Cから取り外す場合は、軟質部材3Bと接続部材40Cがキャップの外部にある状態で、軟質部材3Bを柱状部46を引き抜けば良い。
軟質部材3Bを接続部材40Cに取り付けた後は、軟質部材3Bが取り付けられた接続部材40のリング部41を、図11(c)に示すように、キャップ2の本体20に設けられている接続部材の取付部10に挿入する。このとき、リング部41の外周部に設けられている突条49が、キャップ2の本体20の内部に設けられている係止突起11を乗り越えるまで、リング部41をキャップ2の本体20に挿入する。図11(d)は図11(c)のL−L線における断面図である。軟質部材3Bが取り付けられた接続部材40Cがキャップ2の本体20に装着された状態では、柱状部46が取付軸34の貫通孔35を貫通しているので、軟質部材3Bが接続部材40Cの軸線方向に引っ張られても、軟質部材3Bが接続部材40Cから抜けることがない。
このように、第2の実施形態の軟質部材3Bが取り付けられた第3の実施形態の接続部材40Cを備える筆記具1では、軟質部材3Bを激しく使用しても、軟質部材3Bの貫通孔35には接続部材40Cの柱状部46が貫通しているので、軟質部材3Bが接続部材40Cから外れることがない。また、軟質部材3Bの交換が必要になったときには、接続部材40Cをキャップ2から取り外し、軟質部材3Bを接続部材40Cの柱状部46から引き抜けば、軟質部材3Bの交換が容易にできる。
図12は、図4に示した第1の実施形態の軟質部材3Aを取り付けることができる、第4の実施形態の接続部材40Dを示すものである。図12(a)は、接続部材40Dを軟質部材の取付側から見た斜視図であり、図12(b)は、図12(a)に示した接続部材40Dを反対側から見た斜視図である。また、図12(c)は接続部材40Dの平面図、図12(d)は接続部材40Dの正面図である。そして、図12(e)は図12(d)に示した接続部材40DのD4−D4線における断面図であり、図12(f)は図12(d)に示した接続部材40DのF2−F2線における断面図である。更に、図12(g)は図12(d)に示した接続部材40Dの左側面図であり、図14(h)は図14(d)に示した接続部材40Dの右側面図である。
第4の実施形態の接続部材40Dが、図5で説明した第1の実施形態の接続部材40Aと相違する点は、第1の実施形態の接続部材40Aには備えられていたクリップ接続部44とクリップ4が除去されている点である。第4の実施形態の接続部材40Dのその他の部位の構造は、第1の実施形態の接続部材40Aと同じであるので、同じ部位には同じ符号を付してその説明を省略する。
図13は、図12に示した第4の実施形態の接続部材40Dに第1の実施形態の軟質部材3Aが取り付けられて、キャップ2に装着された状態を示すものである。図13(a)は軟質部材3Aが取り付けられたキャップ2の平面図であり、図13(b)は図13(a)に示したキャップ2のA2−A2線における断面図である。また、図13(c)は軟質部材3Aが取り付けられたキャップ2の正面図であり、図13(d)は図13(c)に示したキャップ2のB2−B2線における断面図である。更に、図13(e)は図13(a)に示したキャップ2の斜視図であり、図13(f)は図13(c)に示したキャップ2のC2−C2線における断面図である。
第4の実施形態の接続部材40Dに第1の実施形態の軟質部材3Aが取り付けられたキャップ2の構造は、図2で説明した第1の実施形態の接続部材40Aに第1の実施形態の軟質部材3Aが取り付けられたキャップ2の構造と、クリップ4が無い点を除いて同じであるので、同じ構成部材には同じ符号を付してその説明を省略する。第4の実施形態の接続部材40Dに第1の実施形態の軟質部材3Aが取り付けられたキャップ2には、図2で説明した第1の実施形態の接続部材40Aに第1の実施形態の軟質部材3Aが取り付けられたキャップ2と同じ効果がある。
図14は、第4の実施形態の接続部材40Dの変形実施例の接続部材40Eを示すものである。第4の実施形態の接続部材40Dの変形実施例の接続部材40Eには、図4に示した第1の実施形態の軟質部材3Aを取り付けることができる。図14(a)は、接続部材40Eを軟質部材の取付側から見た斜視図であり、図14(b)は、図14(a)に示した接続部材40Eを反対側から見た斜視図である。また、図14(c)は接続部材40Eの平面図、図14(d)は接続部材40Eの正面図である。そして、図14(e)は図14(d)に示した接続部材40EのD5−D5線における断面図であり、図14(f)は図14(d)に示した接続部材40EのF3−F3線における断面図である。更に、図14(g)は図14(d)に示した接続部材40Eの左側面図であり、図14(h)は図14(d)に示した接続部材40Eの右側面図である。
第4の実施形態の接続部材40Dの変形実施例の接続部材40Eが、第4の実施形態の接続部材40Dと相違する点は、接続部材40Eに設けられたアーム部42の外周面に、回り止め突起47が設けられている点である。そして、図15(a)に示すように、軟質部材3Aが取り付けられた接続部材40Eが装着されるキャップ2の本体20にも、回り止め突起47を受け入れる凹部27が設けられている。図15(b)は、軟質部材3が取り付けられた接続部材40Eの回り止め突起47を、キャップ2の本体20に設けられた凹部27に合せて、接続部材40Eをキャップ2の本体20に装着した状態を示している。また、図15(c)は図15(b)のC3−C3線における断面を示している。
第4の実施形態の変形実施例の接続部材40Eに第1の実施形態の軟質部材3Aが取り付けられたキャップ2の効果は、第4の実施形態の接続部材40Dに第1の実施形態の軟質部材3Aが取り付けられたキャップ2の効果に加えて、軟質部材3Aがキャップ2の本体20に対して回転しないという効果がある。
なお、以上説明した筆記具に使用されるリフィルには、例えば、消去部材で擦られると摩擦熱で変色して透明になる熱変色性インク、或いは消去部材で紙面から剥ぎ取ることができる消しゴム消去性インクを収容することができる。この場合には、軟質部材は消去部材である。リフィルに熱変色性インクが収容されている場合、消去部材は紙面を擦った場合に、紙面との間に摩擦熱を発生させる部材で形成され、発生した摩擦熱によって、筆跡を熱変色可能である。なお、筆記具としては、熱変色インクを収容したボールペン、熱変色芯を収容したシャープペンシル、或いは鉛筆芯ホルダ等が考えられる。また、リフィルに消しゴムで消去可能な消しゴム消去性インクを収容した筆記具が可能である。この場合は、消去部材には、消しゴムと同様に紙面からインクを剥ぎ取る場合に摩耗する部材が選択される。
ここで、熱変色性インクとは、常温(例えば25℃)で所定の色彩(第1色)を維持し、所定温度(例えば65℃)まで昇温させると別の色彩(第2色)へと変化し、その後、所定温度(例えば−10℃)まで冷却させると、再び元の色彩(第1色)へと復帰する性質を有するインクを言う。熱変色性インクを用いた筆記具1では上記第2色を無色とし、第1色(例えば赤)で筆記した描線を昇温させて無色とすることを、ここでは「消去する」という。したがって、描線が筆記された筆記面等に対して消去部材としての摩擦体によって擦過して摩擦熱を生じさせ、それによって描線を無色に変化、即ち、消去させる。なお、当然のことながら上記第2色は、無色以外の有色でもよい。
また、消しゴムで消去可能な消しゴム消去性インクを収容したリフィルを使用する筆記具では、消しゴム消去性インクは、水と、平均粒子径1.0〜15μmの非熱可塑性着色樹脂粒子をインク組成物全量に対して、3〜30重量%と、0.1〜15重量%の非着色粒子とを少なくとも含有することが必要である。
本発明の水性インクに用いる着色樹脂粒子は、着色された樹脂粒子からなるものであり、非熱可塑性であり、かつ、平均粒子径が1.0〜15μmとなるものであり、例えば、樹脂粒子中に顔料からなる着色剤が分散された着色樹脂粒子、樹脂粒子の表面が顔料からなる着色剤で被覆された着色樹脂粒子、樹脂粒子に染料からなる着色剤が染着された着色樹脂粒子等が挙げられる。
本実施例では、着色樹脂粒子が非熱可塑性で上記平均粒子径を充足するものであれば、その構造〔中空構造あり、中空構造なし(密実)〕、形状(球状、多角形状、扁平状、繊維状)等は特に限定されるものでないが、好ましくは、優れた消しゴム消去性、筆記性、インクとしての経時安定性を発揮させる点から、ガラス転移点が150℃以上で熱分解温度に近く、更にはメルトフローインデックス値が0.1未満であるような分子内架橋を持つ粒子で粘着性を有せず、かつ、平均粒子径が1.0〜15μmとなる球状の着色樹脂微粒子の使用が望ましい。なお、本発明(実施例等含む)で規定する「平均粒子径」は、粒度分析計〔マイクロトラックHRA9320−X100(日機装社製)〕にて測定したD50の値である。
消去部材を形成する材料として、シリコーンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等のゴム材質やスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーといったゴム弾性材料、2種以上のゴム弾性材料の混合物、及び、ゴム弾性材料と合成樹脂との混合物、及び、ゴム弾性材料と合成樹脂との混合物を、JIS K7204に規定された摩耗試験(ASTM D1044)で荷重9.8N、1000rpm環境下において、テーバー摩耗試験機の摩耗輪CS−17でのテーバー摩耗量が10mg以上となるように構成し、消去部材を形成する。さらに、テーバー摩耗量が10mg以上となるように調整するために、消去部材の材料に対して、より柔軟性を出すためのアルキルスルフォン酸フェニルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸エステル等の環境ホルモンを含まない可塑剤を含むことによって、安全性を確保すると共に消去部材がより摩耗しやすくなるため、紙面を傷めず且つ印刷文字等を掠れさせることなく、筆跡の消去が可能となる。さらに、消去部材は、JIS K6203に規定されたデュロメータD硬度が30以上であることが望ましい。それによって、所定の硬さが確保でき、より安定した擦過動作が可能となる。なお、消去部材は、タッチペン(又はスタイラスペン)としても適用可能である。
なお、本発明における「消去」とは、上記熱変色性インクを用いた場合以外にも、筆記した描線、文字等を消しゴム等の消去部で吸着又は削ぎ落とすことをいう。更に、感圧式タッチペンや軸筒等に電導性を付与して静電容量式タッチペンの後端部に、消去部材と天冠を設けるような構成でもよい。したがって、本発明は、筆記具によって筆記された描線(筆跡)を消去できる、消去部材を備えた任意の文房具にも適用可能である。また、軟質部材の頂部に印面を形成することによって、軟質部材をキャップから着脱可能な印鑑としても使用可能である。