JP2017139669A - デジタル情報伝送システムとこのシステムで使用される受信機および方法 - Google Patents
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Landscapes
- Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)
- Maintenance And Management Of Digital Transmission (AREA)
- Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
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Abstract
【課題】妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を可能にする。【解決手段】受信機RXにおいて、トレーニング期間中に送信機TXから通信伝送路L1を介して伝送された信号をモニタリングし、サブキャリアごとに電磁妨害波の振幅と位相を抽出してこれを電磁妨害パラメータとしてメモリ5に格納し、さらに上記電磁妨害波パラメータをもとに、上記電磁妨害波の影響により伝送信号のユークリッド距離がどのように変化するかをサブキャリアごとに算出して、これを補正情報としてメモリ5に格納する。そして、情報の伝送中に、電磁妨害波が重畳された合成受信波形から復調された受信シンボルを、上記メモリ5に記憶された補正情報をもとに補正する。【選択図】図2
Description
この発明は、外部から通信線路に混入する周期的な妨害波の影響を回避する機能を備えたデジタル情報伝送システムと、このシステムで使用される受信機および方法に関する。
金属線を通信伝送路として使用するADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)などのデジタル情報伝送システムでは、他の通信や放送に使用される電磁波や、周囲の電気・電子機器から発せられる電磁波が通信伝送路上に混入し、伝導性の電磁妨害波として、通信伝送路で伝達される電気信号に影響を与えることにより、伝送情報の誤りや欠落等の通信品質の劣化が生じる場合がある。これを回避するため、一般的なデジタル情報伝送システムは、伝送する情報に生じた誤りを訂正する誤り検出訂正機能を備えている。
例えば、ADSLにおけるデジタル情報伝送システムでは、送信機において、伝送情報に対しCRC(Cyclic Redundancy Check)符号化、リード・ソロモン(Reed-Solomon Code: RS)符号化、スクランブル処理、トレリス符号化、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)とIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を含むDMT(Discrete Multi-tone)変調、CP(Cyclic Prefix)付加処理が順次行われた後、AFE(Analog Front End)処理によってアナログ信号に変換され、電気信号として伝送路へ送信される。
一方、受信機では、伝送路を介して伝送された電気信号(アナログ多重波)に対し、先ずAFE処理によりデジタル信号に変換され、TEQ(Time domain Equalizer)により時間軸上の波形等化が行われる。続いて、CP削除、FFTによるDMTの復調処理が行われた後、周波数軸上の波形等化処理FEQ(Frequency domain Equalizer)が施される。上記DMTの復調処理に含まれるQAM復調過程では、アナログ多重波の各周波数成分から検出された受信信号の各QAM星座点からのユークリッド距離情報が算出され、これがビタビ復号器へ渡される。ビタビ復号器では、上記ユークリッド距離情報に基づいて受信信号のシンボル判定が行われる。以後、デスクランブル処理およびRS復号処理が行われた後、CRCによりシンボル判定後の情報に誤りがないかどうかが検査され、誤りがなければ受信端末に送られる。これに対し、上記誤り訂正処理により訂正しきれなかった情報が所定の割合で残存している場合は、一般にその情報は破棄される。
すなわち、ADSLにおける情報の送受信過程では、上記のようにCRC符号化/検査、RS符号化/復号、スクランブル/デスクランブル、トレリス符号化/ビタビ復号によって誤り検出および誤り訂正処理が行われる。そして、それぞれの特長を組み合わせることで、伝送システムの電磁妨害波に対する耐性が高い、つまり伝送誤りを生じにくい通信を成立させている。
また、DMT(マルチキャリア伝送方式)では、ADSLモデムとDSLAM(Digital Subscriber Line Access Multiplexer)間で複数のサブキャリア(ビン)の各々に対して最大15ビットを割り当てる。その際、電磁妨害波の影響が大きいビンには相対的に少ないビットを割り当て、電磁妨害波の影響が少ないビンには相対的に多くのビットを割り当てる。具体的には、ADSLモデムとDSLAM間のリンク確立時に通信伝送路をモニタリングし(トレーニング)、ビン1個ずつについて信号と電磁妨害波の強度を確認して各ビンに割り当てるビット数を決定するようにしている(例えば、非特許文献1を参照)。
湯浅 重数、浅貝 修一朗、「小さな箱の中に先端技術がいっぱい ADSLモデムの内部を解き明かす」、日経NETWORK、pp. 194-199、2002. 08。
しかしながら、電磁妨害波の影響が大きいビンには少数のビットしか割り当てることができないので、その分伝送するビット量が減少する。言い換えれば、電磁妨害波が存在する伝送環境下では、伝送する情報量を少なくすることでシンボル判定誤りを少なくする方式が採用されている。このため、スループットの低下は避けられない。
また、誤り検出訂正機能を備えていても、電磁妨害波の強度が大きく、十分な信号対雑音比(SN比)が得られない場合には、必ずしも完全に誤りを訂正できるわけではない。その結果、ADSL受信機におけるCRC検査で廃棄されるフレームが増加するので、この場合もスループットが低下してしまう。
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにした、デジタル情報伝送システムとこのシステムで使用される受信機および方法を提供することにある。
上記課題を解決するためにこの発明の第1の態様は、第1の通信装置から第2の通信装置へ、妨害波の影響を受ける通信伝送路を介して、デジタル情報を少なくとも1つの搬送波周波数を使用して伝送するデジタル情報伝送システムにあって、前記第1の通信装置に、トレーニング期間において予め定められた既知の情報により変調されたトレーニング信号を、前記第2の通信装置へ向けて前記通信伝送路へ送信する手段を備える。一方前記第2の通信装置には、前記トレーニング期間において前記トレーニング信号を前記通信伝送路を介して受信し、当該受信されたトレーニング信号から前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表すパラメータ情報を検出してメモリに記憶する第1の手段と、前記デジタル情報の伝送期間において前記通信伝送路を介して伝送された情報伝送信号を受信し、当該受信された情報伝送信号から前記デジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を復調し、当該復調された振幅および位相を表す情報を、前記メモリに記憶されたパラメータ情報をもとに補正する第2の手段とを備えるようにしたものである。
この発明の第2の態様は、前記第1の手段において、前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表すパラメータ情報と、前記既知の情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報とをもとに、振幅および位相のずれ量を算出し、当該ずれ量を補正するための補正情報を生成して前記メモリに記憶しておく。そして、前記第2の手段において、前記復調されたデジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を、前記メモリに記憶された前記補正情報をもとに補正するようにしたものである。
この発明の第3の態様は、前記第1の通信装置に、前記デジタル情報の伝送期間において予め定められた既知の情報により変調された擬似的なテスト信号を、前記第2の通信装置へ向けて前記通信伝送路へ定期的に送信する手段をさらに備える。一方前記第2の通信装置には、前記デジタル情報の伝送期間において前記テスト信号を前記通信伝送路を介して受信するごとに、当該受信されたテスト信号から前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表すパラメータ情報を検出する第3の手段と、前記通信伝送路を介して伝送された情報伝送信号を受信し、当該受信された情報伝送信号から前記デジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を復調し、当該復調された振幅および位相を表す情報を、前記第3の手段により先行して受信されたテスト信号から検出されたパラメータ情報をもとに補正する第4の手段とをさらに備えるようにしたものである。
この発明の第1の態様によれば、情報伝送信号に含まれる妨害波の影響による符号誤りを、事前に検出してメモリに記憶しておいた妨害波の振幅と位相を表すパラメータ情報をもとに、誤り訂正処理前に補正することが可能となる。このため、妨害波の強度が大きく十分な信号対雑音比(SN比)が得られないような場合でも、誤り訂正処理により符号誤りを訂正できる確率が高くなり、これにより廃棄される伝送情報を減らしてスループットを高めることが可能となる。また、妨害波の影響を排除できることで、複数の搬送波周波数を用いて情報を伝送する場合に、妨害波の影響が大きい搬送波にも多くのビットを割り当てることが可能となり、これによってもスループットを高めることが可能となる。
この発明の第2の態様によれば、トレーニング期間において予め補正情報を生成してメモリに記憶しておくことで、デジタル情報の伝送期間において、補正情報をメモリから読み出すだけで補正処理を行うことができ、これによりその都度補正のための演算処理を行う場合に比べ補正処理に要する時間と負荷を短縮することができる。
この発明の第3の態様によれば、デジタル情報の伝送期間中に、通信伝送路に印加される妨害波が変化したとしても、情報伝送信号の復号時には、先行して受信されたテスト信号において検出された妨害波パラメータをもとに、妨害波の変化を反映した補正が行われることになり、これによりスループットをさらに高めることが可能となる。すなわち、デジタル情報の伝送期間に通信伝送路の状態が通信リンクの確立時から変化した場合でも、スループットを最大化したデジタル情報伝送が可能になる。
すなわちこの発明によれば、妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにしたデジタル情報伝送システムとこのシステムで使用される受信機および方法を提供することができる。
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[原理]
一般に、電磁妨害波は周波数帯域にある程度の幅を持ち、時間軸上で見たとき、その継続時間にも幅があり、発生タイミングもばらつきがある。本発明者等は、電磁妨害波の強度が時間的に周期性を持つ場合に着目し、バースト的に発生する電磁妨害波、すなわちバースト性妨害波の継続時間およびその発生周期とスループットとの間にある関係性を明らかにするために、バースト性妨害波を模擬したSW(Sinusoidal Wave)のパルス変調波を、duty比一定(0.125)の条件下で、継続時間と繰り返し周期を変化させながらADSL下り通信信号に印加する実験を行った。
[原理]
一般に、電磁妨害波は周波数帯域にある程度の幅を持ち、時間軸上で見たとき、その継続時間にも幅があり、発生タイミングもばらつきがある。本発明者等は、電磁妨害波の強度が時間的に周期性を持つ場合に着目し、バースト的に発生する電磁妨害波、すなわちバースト性妨害波の継続時間およびその発生周期とスループットとの間にある関係性を明らかにするために、バースト性妨害波を模擬したSW(Sinusoidal Wave)のパルス変調波を、duty比一定(0.125)の条件下で、継続時間と繰り返し周期を変化させながらADSL下り通信信号に印加する実験を行った。
図9にその実験結果を示す。同図から明らかなように、バースト性妨害波の継続時間が長くなるほど、スループットの低下が抑制されることが確認された。この点を図10に示す、ADSLフレームの変調間隔とバースト性妨害波の印加タイミングを表す図を用いて説明する。ADSLは250μsに1回の割合でQAMにより送信フレームを生成している。この送信フレームの変調間隔で区切られる時間をタイムスロットとし、タイムスロット内に電磁妨害波が印加される確率をn(妨害されるタイムスロット)/N(全タイムスロット)で表す。図10を参照すると、妨害確率n/Nについて、条件A:5/6、条件B:5/8、条件C:1/2、条件D:1/4とした場合、バースト性妨害波(SWのパルス変調波、duty比0.125)の繰り返し周期がADSLのタイムスロット(250μs)よりも長い領域においては、継続時間(繰り返し周期でも同義)が長くなるほど、タイムスロットの妨害確率は低下する。すなわち、継続時間が長くなるほどスループットが低下し難くなる傾向を示す実験結果は、タイムスロットの妨害確率の低下に従って、スループットが低下し難くなることに対応している。
そこで、この発明の実施形態では、ADSLの送信フレームが電磁妨害波により妨害されることにより生じるスループットの低下を防ぐために、送信フレームを構成するシンボルが電磁妨害波によってどのような影響を受けるかをあらかじめ検知する。そして、シンボルを読み出す際にその影響を考慮した上で復号する。このようにすることで、電磁妨害波による影響を受けずに情報伝送を行うことが可能となる。
具体的には、デジタル情報の伝送に先立ち、送信機と受信機とを接続する通信伝送路上で混入するバースト性妨害波に関して、バースト性妨害波の周波数成分情報および周期性を特徴付けるバースト性妨害波の継続時間情報とその発生周期情報を表す、振幅情報と位相情報をそれぞれ検出する。そして、この検出した電磁妨害波の周波数成分ごとの振幅情報および位相情報を、電磁妨害波パラメータとしてメモリに記憶させる。
さらに、上記検出された電磁妨害波パラメータと、その電磁妨害波存在下においてシンボルがどのような影響を受けるかを表す情報とをあらかじめ関連付け、これを補正情報としてメモリに記憶させる。
そして、デジタル情報の伝送中に、伝送信号波形に電磁妨害波が重畳された合成受信波形から、当該合成波形の周波数成分ごとに電磁妨害波の振幅と位相を検出し、これらを、上記メモリに記憶しておいた補正情報に基づいて補正する。
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、この発明の第1の実施形態に係るデジタル情報伝送システムの構成を示すブロック図である。
第1の実施形態に係るデジタル情報伝送システムは、ADSLデジタル情報伝送システムからなり、送信機TXと受信機RXとの間をメタリック信号ケーブルからなる信号伝送路L1を介して接続する。そして、送信機TXから受信機RXに向けて、デジタル情報を信号伝送路L1を介してマルチキャリア通信方式により伝送する。受信機RXには、LAN(Local Area Network)ケーブルL2を介して図示しないパーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器が接続され、上記受信機RXにより受信されたデジタル情報がLANケーブルL2を介して上記電子機器へ転送される。
(構成)
図1は、この発明の第1の実施形態に係るデジタル情報伝送システムの構成を示すブロック図である。
第1の実施形態に係るデジタル情報伝送システムは、ADSLデジタル情報伝送システムからなり、送信機TXと受信機RXとの間をメタリック信号ケーブルからなる信号伝送路L1を介して接続する。そして、送信機TXから受信機RXに向けて、デジタル情報を信号伝送路L1を介してマルチキャリア通信方式により伝送する。受信機RXには、LAN(Local Area Network)ケーブルL2を介して図示しないパーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器が接続され、上記受信機RXにより受信されたデジタル情報がLANケーブルL2を介して上記電子機器へ転送される。
なお、図1では簡単のため送信機TXから受信機RXに向けてデジタル情報を一方向に伝送する場合を例にとって説明するが、送信機能と受信機能を備えた送受信機間でデジタル情報を双方向に伝送する場合も、この発明に含まれる。
送信機TXは、デジタル情報の伝送に先立ち、受信機RXとの間で通信リンクを確立するためにトレーニングを行う機能と、トレーニング終了後にデジタル情報を送信する機能とを備えている。このうちデジタル情報を送信する機能は、伝送対象の送信データに対し、先ずCRC符号化、RS符号化、スクランブル処理およびトレリス符号化を含む誤り検出および誤り訂正のための符号化処理を行う。次に、この誤り検出および誤り訂正符号化後の送信データに対し、QAMおよびIFFTを含むDMT変調処理と、CPの付加処理を行い、これにより生成された送信用の伝送データを、AFE処理によりアナログ伝送信号に変換して信号伝送路L1へ送信する。
一方受信機RXは、入出力インタフェース(I/O-IF)1と、AFE2と、DSP(Digital Signal Processor)3と、CPU(Central Processing Unit)4と、メモリ5,6と、LANインタフェース(LAN-IF)7とを備えている。I/O-IF1は、通信伝送路L1を介して伝送されたアナログ伝送信号を受信する。AFE2は、上記受信されたアナログ伝送信号をA/D コンバータによりデジタル伝送信号に変換した後、時間軸上の波形等化処理(TEQ)を行う。
DSP3は、先ず基本的な処理機能として、復調部(図示省略)と、誤り訂正部32とを備えている。復調部は、上記AFE2から出力されたデジタル伝送信号からCPを削除した後、先ずFFTによりサブキャリアごとにDMT復調処理を行う。そして、この復調後の受信信号に対し周波数軸上の波形等化処理(FEQ)を行った後、QAM復調して受信ベースバンド信号を復元する処理を行う。誤り訂正部32は、上記復調処理により得られた受信ベースバンド信号に対し、先ずビタビ復号器により受信信号のシンボル判定を行った後、デスクランブル処理およびRS復号処理を行う。そして、この誤り訂正処理後の受信データについてCRC検査により情報の誤りがないかどうかを検査し、この検査後の受信データをCPU4へ出力する。
CPU4は、上記DSP3から出力された受信データをメモリ6に一旦保存した後、LAN-IF7からLANケーブルL2を介して図示しないパソコンやサーバ等の電子機器へ送信するための処理を行う。LANインタフェースとしては、例えばEthernet(登録商標)が用いられる。
ところで、DSP3は上記基本機能に加え、この実施形態を実現するために必要な新たな機能として、デジタル情報読み出し処理部31を備えている。デジタル情報読み出し処理部31は、電磁妨害波検出部311と、電磁妨害波パラメータ抽出部312と、シンボル読み出し判定補正部313とを有している。
図2は、上記デジタル情報読み出し処理部31のより詳しい機能構成を示すブロック図である。同図において、電磁妨害波検出部311は通信伝送路モニタリング部3111を有し、電磁妨害波パラメータ抽出部312はサブキャリア影響算出部3121およびユークリッド距離変化算出部3122を有している。
通信伝送路モニタリング部3111は、送信機TXとの間で通信リンクを確立するためのトレーニングを行う際に、通信伝送路L1の状態をモニタリングする。そして、サブキャリア(ビン)1個ずつについて信号と電磁妨害波の強度を確認してビンに割り当てるデータ量を決定するビットマップ処理を行う。
サブキャリア影響算出部3121は、FFTを用いてサブキャリアごとに電磁妨害波の継続時間と発生周期を表す振幅情報と位相情報を算出し、その算出結果を電磁妨害波パラメータとしてメモリ5に記憶させる。
ユークリッド距離変化算出部3122は、メモリ5に記憶された電磁妨害波パラメータを参照し、通常の伝送方式に則って情報を伝送した場合に、上記参照した電磁妨害波が存在する伝送条件下において、シンボル読み出しを行う星座図上で信号のユークリッド距離がどのように変化するかをサブキャリアごとに判定する。そして、その判定結果を上記電磁妨害波パラメータと関連付け、これを補正情報としてメモリ5内のデータベースに記憶させる。
シンボル読み出し判定補正部313は、デジタル情報の伝送期間において、上記メモリ5に記憶された電磁妨害波パラメータおよび補正情報を参照し、上記QAM復調された受信データに対し必要な補正情報を付加する。そして、この補正情報が付加された受信データを、受信フレーム格納部34に一旦保存した後、誤り訂正部32による誤り訂正処理に供する。
(動作)
次に、以上のように構成されたデジタル情報伝送システムの動作を説明する。
(1)トレーニング期間における補正情報の設定
ADSLデジタル情報伝送システムでは、デジタル情報の伝送に先立ち、送信機TXと受信機RXとの間で通信リンクを確立するためのトレーニングが行われる。受信機RXは、このトレーニング期間において、通信伝送路をモニタリングし、ビン1個ずつについて信号と電磁妨害波の強度を確認してビンに割り当てるデータ量を決定するビットマップ処理を行うが、それに加え本発明が特徴とする以下の処理を実行する。図3は受信機RXの処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
次に、以上のように構成されたデジタル情報伝送システムの動作を説明する。
(1)トレーニング期間における補正情報の設定
ADSLデジタル情報伝送システムでは、デジタル情報の伝送に先立ち、送信機TXと受信機RXとの間で通信リンクを確立するためのトレーニングが行われる。受信機RXは、このトレーニング期間において、通信伝送路をモニタリングし、ビン1個ずつについて信号と電磁妨害波の強度を確認してビンに割り当てるデータ量を決定するビットマップ処理を行うが、それに加え本発明が特徴とする以下の処理を実行する。図3は受信機RXの処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、受信機RXは例えばCPU4の制御の下、ステップS10およびステップS20においてそれぞれトレーニング期間であるか情報伝送期間であるかを判定する。この判定の結果、トレーニング期間であれば、ステップS11においてDSP3の通信伝送路モニタリング部3111が、送信機TXから通信伝送路L1へ送信された伝送情報をもとに通信伝送路L1の状態をモニタリングする。このとき送信機TXは、既知の情報を送信する。そして、上記モニタリングの結果をもとに、ステップS12においてサブキャリア影響算出部3121がサブキャリアごとに電磁妨害波の継続時間と発生周期を表す振幅情報と位相情報を抽出し、その結果をステップS13により電磁妨害波パラメータとしてメモリ5に格納する。
例えば、図4に示すように、NNsin2πft + NNcos2πftという式で表されるような通信伝送路L1上に存在する電磁妨害波が、図5に示す16QAM星座図上でどのように信号のユークリッド距離のずれを引き起こすかについてサブキャリアごとに算出する。そして、この算出されたパラメータをメモリ5に格納する。このとき、図4の「黒星」で示すシンボルも、図4の「黒丸」としてシンボル判定されるが、図4の「黒丸」に関するユークリッド距離のずれに関する情報だけでなく、図4の「黒星」に関するユークリッド距離のずれに関する情報もメモリ5に格納する。
次に、ステップS14においてユークリッド距離変化算出部3122が、メモリ5に格納されている電磁妨害波パラメータを参照し、通常の伝送方式に則ってデジタル情報を伝送した場合に、参照した電磁妨害波存在下では、シンボル読み出しを行う16QAM星座図上で、信号のユークリッド距離がどのように変化するかをサブキャリアごとに判定する。そして、その判定結果を、ステップS15により補正情報としてメモリ5のテーブルに格納する。
例えば、サブキャリアの周波数f0,f1,f2,…,fkについて、16QAMのデジタル変調を用いて情報の送受信を行うシステムにおいて、全ての周波数で図5における(0000)を示す情報を送信機TXから受信機RXへ伝送した場合に、受信機RXにおいて、f0では(0000)、f1では(0100)、f2では(0001)というようにシンボルが読み出されるという情報を算出する。ここで、シンボル誤りの原因である、16QAM星座図における信号のずれを補正するために必要な情報、上記の例では、例えば周波数f1の場合は(0100)と読み出されるシンボルの真の情報は(0000)であり、周波数f2の場合の(0100)と読み出されるシンボルの真の情報は(0000)である、というような補正情報を算出する。そして、この補正情報をメモリ5のテーブルに格納し、デジタル情報の伝送時にシンボル読み出し判定補正部313が必要に応じて参照できるようにする。
DSP3は、ステップS16において補正情報の設定が終了したか否かを判定する。この判定の結果、まだトレーニング中であればステップS11に戻って、先に述べたステップS11〜S16による処理を繰り返す。これに対しトレーニングが終了したと判定された場合には、その時点で補正情報の設定処理を終了する。
(2)デジタル情報伝送中におけるシンボル補正
受信機RXは、デジタル伝送の伝送が開始されたことをCPU4がステップS20により判定すると、以降DSP3のシンボル読み出し判定補正部313が以下のようにシンボル補正処理を実行する。図6はその処理内容を説明するための図であり、シンボル判定補正処理はR7において行われる。
受信機RXは、デジタル伝送の伝送が開始されたことをCPU4がステップS20により判定すると、以降DSP3のシンボル読み出し判定補正部313が以下のようにシンボル補正処理を実行する。図6はその処理内容を説明するための図であり、シンボル判定補正処理はR7において行われる。
すなわち、シンボル読み出し判定補正部313は、先ずステップS21において受信データを取り込む。このとき、取り込む受信データは、図6のR1〜R6に示すように、AFE2によりデジタル伝送信号に変換された後時間軸上の波形等化処理(TEQ)が施され、続いてDSP3の復調部により、CPが削除された後、FFTによりサブキャリアごとにDMT復調処理が行われ、さらに周波数軸上の波形等化処理(FEQ)が行われた後に、QAM復調された受信ベースバンド信号である。
シンボル読み出し判定補正部313は、次にステップS22において、上記受信データに含まれる電磁妨害波の振幅および位相成分をキャンセルするための補正情報をメモリ5のテーブルから読み出し、この補正情報を上記受信データに付加する。例えば、図6に示すように、(SNsin2πft + SNcos2πft)+(NNsin2πft + NNcos2πft)で表されるような電磁妨害波が重畳した信号波形から、電磁妨害波に起因する(NNsin2πft + NNcos2πft)の部分をキャンセルするための補正情報を、メモリ5のテーブルから読み出して上記受信データに付加する。この補正情報が付加された受信データは、ステップS23により誤り訂正部32へ出力される。
誤り訂正部32では、上記補正情報が付加された受信データに対し、図6のR8に示すように先ずビタビ復号処理が行われる。電磁妨害波が存在する伝送環境下においては、図6の「黒星」のように正確なシンボル位置から外れたものを「黒丸」としてシンボル判定することが想定される。しかし、図4の「黒星」に関するユークリット距離のずれを表す情報を利用することで、ユークリッド距離にずれがある場合においても正確なシンボル判定を行うことが可能になる。
上記ビタビ復号後の受信データは、図6のR9,R10に示すようにデスクランブル処理およびRS復号処理が行われ、さらに図6のR11においてCRC検査が行われる。そして、このCRC検査の結果誤りが一定数以下であれば、上記受信データはステップS23によりCPU4へ送られる。
最後にDSP3はステップS24において情報伝送が終了したか否かを判定する。この判定の結果、まだ情報伝送期間中であればステップS21に戻って、先に述べたステップS21〜S24による補正処理が行われる。一方、情報伝送が終了すると、一連の補正処理を終了して待機状態に復帰する。
(効果)
以上詳述したように第1の実施形態では、受信機RXにおいて、トレーニング期間中に送信機TXから通信伝送路L1を介して伝送された信号をモニタリングすることにより、サブキャリアごとに電磁妨害波の継続時間と発生周期を表す振幅情報と位相情報を抽出してこれを電磁妨害パラメータとしてメモリ5に格納し、さらに上記電磁妨害波パラメータをもとに、電磁妨害波の影響により伝送信号のユークリッド距離がどのように変化するかをサブキャリアごとに算出して、これを補正情報としてメモリ5に格納する。そして、デジタル情報の伝送期間中に、電磁妨害波が重畳された合成受信波形から復調された受信シンボルを、上記メモリ5に記憶された補正情報をもとに補正するようにしている。
以上詳述したように第1の実施形態では、受信機RXにおいて、トレーニング期間中に送信機TXから通信伝送路L1を介して伝送された信号をモニタリングすることにより、サブキャリアごとに電磁妨害波の継続時間と発生周期を表す振幅情報と位相情報を抽出してこれを電磁妨害パラメータとしてメモリ5に格納し、さらに上記電磁妨害波パラメータをもとに、電磁妨害波の影響により伝送信号のユークリッド距離がどのように変化するかをサブキャリアごとに算出して、これを補正情報としてメモリ5に格納する。そして、デジタル情報の伝送期間中に、電磁妨害波が重畳された合成受信波形から復調された受信シンボルを、上記メモリ5に記憶された補正情報をもとに補正するようにしている。
従って、受信データに含まれる電磁妨害波の影響によるシンボル誤りを誤り訂正処理前に補正することが可能となる。このため、電磁妨害波の強度が大きく十分な信号対雑音比が得られないような場合でも、誤り訂正処理によりシンボル誤りを訂正できる確率が高くなり、これにより廃棄フレームを減らしてスループットを高めることが可能となる。また、電磁妨害波の影響を排除できることで、電磁妨害波の影響が大きいビンにも多くのビットを割り当てることが可能となり、これによってもスループットを高めることが可能となる。
なお、本実施形態では受信機RXにシンボル判定補正処理が追加されることで、従来のシステムに比べ処理が増えることになり、その分のスループットの低下が起こる心配がある。しかし、上記シンボル判定補正処理により電磁妨害波の影響が排除された受信データが誤り訂正部32に送られるため、誤り訂正部32では誤り訂正復号のための計算量は最少となり、またCRC検査後に受信フレームが破棄されることがなく、さらに再送処理手順が実行されることもないので、結果的にはスループットを高めることが可能となる。
[第2の実施形態]
ADSLデジタル情報伝送システムでは、デジタル情報を送信する際に、送信機TXが送信フレームを68個生成し、その中に、送受信機間で同期を取るため、また誤りがないかどうかをチェックするために、疑似的なフレームを1個挿入している。
ADSLデジタル情報伝送システムでは、デジタル情報を送信する際に、送信機TXが送信フレームを68個生成し、その中に、送受信機間で同期を取るため、また誤りがないかどうかをチェックするために、疑似的なフレームを1個挿入している。
本発明の第2の実施形態では、この擬似的なフレームをテストフレームとして利用し、送信機TXがこのテストフレームに既知の情報を挿入して送信し、受信機RXが上記テストフレームにより受信したデータからサブキャリアごとの電磁妨害波パラメータを抽出して補正情報を生成する。そして、この電磁妨害波パラメータおよび補正情報を用いて、後続の情報伝送フレームに含まれる、電磁妨害波によるシンボル誤りを補正するようにしたものである。
(構成)
送信機TXは、全てのサブキャリア周波数について図5に示した16QAM星座図上の(0000)のように同位相で同振幅のテスト情報を生成し、このテスト情報をテストフレームに挿入して送信する。なお、上記テストフレームにより伝送するテスト情報は、受信機RXのメモリ5にあらかじめ記憶しておく。
送信機TXは、全てのサブキャリア周波数について図5に示した16QAM星座図上の(0000)のように同位相で同振幅のテスト情報を生成し、このテスト情報をテストフレームに挿入して送信する。なお、上記テストフレームにより伝送するテスト情報は、受信機RXのメモリ5にあらかじめ記憶しておく。
図7は、この発明の第2の実施形態に係るデジタル伝送システムで使用される受信機RXの要部構成を示すブロック図である。なお、同図において図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
電磁妨害波検出部311は、通信伝送路モニタリング部3111に加え、テストフレーム受信処理部3112を備えている。テストフレーム受信処理部3112は、デジタル情報の伝送期間において、テストフレームが受信されるごとに当該テストフレームからサブキャリアごとに電磁妨害波の影響を受けた受信データを復調する。
電磁妨害波パラメータ抽出部312は、サブキャリア影響算出部3121およびユークリッド距離変化算出部3122に加え、受信テストフレーム照合部3123を備えている。
受信テストフレーム照合部3123は、上記テストフレーム受信部3112により復調された、サブキャリアごとに電磁妨害波の影響を受けた受信データの振幅と位相を、メモリ5に事前に格納された既知の情報と照合する。そして、サブキャリアごとに電磁妨害波の継続時間と発生周期を表す振幅情報と位相情報を算出し、その算出結果を電磁妨害波パラメータとしてメモリ5に記憶させる。
ユークリッド距離変化算出部3122は、上記受信テストフレーム照合部3123による位相と振幅の照合結果に基づいて、通信伝送路L1上において電磁妨害波によりどのサブキャリアにおいてどの信号がどのようにユークリッド距離を変化させられたのかを表す情報を算出し、この算出情報を補正情報としてメモリ5に格納する。
シンボル読み出し判定補正部313は、デジタル情報の伝送期間において、情報伝送フレームが受信されるごとに、先行する直近のテストフレームにおいて抽出および生成された電磁妨害波パラメータおよび補正情報を上記メモリ5から読み出し、当該補正情報を、上記受信された情報伝送フレームにおいて得られた復調シンボルに付加する。そして、この補正情報が付加された受信データを、受信フレーム格納部34に一旦保存した後、誤り訂正部32による誤り訂正処理に供する。
(動作)
次に、以上のように構成されたデジタル情報伝送システムの動作を説明する。
図8は、図7に示した受信機RXによる処理手順および処理内容を示すフローチャートである。なお、同図において図3と同一部分には同一符号を付してある。
図8において、トレーニング期間における受信データのモニタリング、サブキャリアごとの電磁妨害波パラメータの抽出、補正情報の生成および格納処理は、図3と同一なので説明は省略する。
次に、以上のように構成されたデジタル情報伝送システムの動作を説明する。
図8は、図7に示した受信機RXによる処理手順および処理内容を示すフローチャートである。なお、同図において図3と同一部分には同一符号を付してある。
図8において、トレーニング期間における受信データのモニタリング、サブキャリアごとの電磁妨害波パラメータの抽出、補正情報の生成および格納処理は、図3と同一なので説明は省略する。
トレーニングが終了し、デジタル情報の伝送が開始されると、受信機RXのDSP3はステップS21により受信データを取り込む。このとき、取り込む受信データは、図6のR1〜R6に示したように、AFE2によりデジタル伝送信号に変換された後時間軸上の波形等化処理(TEQ)が施され、続いてDSP3の復調部により、CPが削除された後、FFTによりサブキャリアごとにDMT復調処理が行われ、さらに周波数軸上の波形等化処理(FEQ)が行われた後に、QAM復調された受信ベースバンド信号である。
受信機RXのDSP3は、次にステップS21において、テストフレーム受信処理部3112により、上記取り込まれたベースバンドの受信データからテストフレームを抽出する。続いてステップS31において、受信テストフレーム照合部3122により、上記テストフレームから抽出された受信データの振幅と位相を、メモリ5に事前に格納されている既知の情報と照合する。そして、サブキャリアごとに電磁妨害波の継続時間と発生周期を表す振幅情報と位相情報を算出し、その算出結果を電磁妨害波パラメータとしてステップS32によりメモリ5に記憶させる。このとき、メモリ5に、トレーニング期間に抽出された電磁妨害パラメータまたは先行するテストフレームにおいて抽出された電磁妨害波パラメータが既に記憶されている場合には、当該記憶済のパラメータを上記新たに抽出された電磁妨害波パラメータに更新する。
次にステップS33においてユークリッド距離変化算出部3122が、上記受信テストフレーム照合部3123による照合結果に基づいて、通信伝送路L1上において電磁妨害波によりどのサブキャリアにおいてどの信号がどのようにユークリッド距離を変化させられたのかを表す情報を算出する。そして、その算出結果を、ステップS34により補正情報としてメモリ5に格納する。このときも、メモリ5に、トレーニング期間に算出された補正情報または先行するテストフレームにおいて算出された補正情報が既に記憶されている場合には、当該記憶済の補正情報を上記新たに算出された補正情報に更新する。
続いてステップS22において、シンボル読み出し判定補正部313が、情報伝送フレームが受信されるごとに、先行する直近のテストフレームにおいて生成および抽出された電磁妨害波パラメータおよび補正情報を上記メモリ5から読み出し、上記情報伝送フレームから復調された受信シンボルに対し上記補正情報を付加する。そして、この補正情報が付加された受信データを、受信フレーム格納部34に一旦保存した後、誤り訂正部32による誤り訂正処理に供する。
誤り訂正部32では、上記補正情報が付加された受信データに対し、先ず図6のR8に示したようにビタビ復号が行われ、続いて図6のR9,R10に示したようにデスクランブル処理およびRS復号が行われる。そして、図6のR11においてCRC検査が行われ、このCRC検査の結果誤りが一定数以下であれば、上記受信データはステップS23によりCPU4へ送られる。
最後にDSP3は、ステップS24において情報伝送が終了したか否かを判定する。この判定の結果、まだデジタル情報の伝送期間であればステップS21に戻って、先に述べたステップS21〜S24による補正処理が行われる。一方、情報伝送が終了すると、一連の補正処理を終了して待機状態に復帰する。
(効果)
以上詳述したように第2の実施形態では、デジタル情報伝送期間において、テストフレームを受信するごとに、当該テストフレームの受信信号からサブキャリアごとの電磁妨害波パラメータを抽出すると共に、当該電磁妨害波パラメータと既知の位相および振幅情報をもとに補正情報を生成してメモリ5に保存する。そして、この保存された補正情報をもとに、後続の受信フレームから復調した受信シンボルを補正し、この補正後の受信データを誤り訂正復号するようにしている。
以上詳述したように第2の実施形態では、デジタル情報伝送期間において、テストフレームを受信するごとに、当該テストフレームの受信信号からサブキャリアごとの電磁妨害波パラメータを抽出すると共に、当該電磁妨害波パラメータと既知の位相および振幅情報をもとに補正情報を生成してメモリ5に保存する。そして、この保存された補正情報をもとに、後続の受信フレームから復調した受信シンボルを補正し、この補正後の受信データを誤り訂正復号するようにしている。
従って、デジタル情報の伝送期間中に、通信伝送路L1に印加される電磁妨害波が変化したとしても、各受信フレームのシンボル復号再生時には、それぞれ先行する直近のテストフレームにおいて抽出された電磁妨害波パラメータおよび補正情報をもとに、直近の電磁妨害波の変化を反映した補正が行われることになり、これによりスループットをさらに高めることが可能となる。すなわち、通信伝送路L1の状態が通信リンクの確立時とは異なっている場合でも、スループットを最大化したデジタル情報伝送が可能になる。
[その他の実施形態]
前記各実施形態では、本発明をADSLデジタル情報伝送システムに適用した場合を例にとって説明したが、本発明は、デジタル情報をメタリック通信伝送路を使用して時系列電気信号により伝送するEthernet(登録商標)伝送システムや、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を採用したマルチキャリア無線デジタル伝送システムを含め、各種デジタル情報伝送システムにも適用可能である。
前記各実施形態では、本発明をADSLデジタル情報伝送システムに適用した場合を例にとって説明したが、本発明は、デジタル情報をメタリック通信伝送路を使用して時系列電気信号により伝送するEthernet(登録商標)伝送システムや、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を採用したマルチキャリア無線デジタル伝送システムを含め、各種デジタル情報伝送システムにも適用可能である。
第2の実施形態では、ADSLデジタル情報伝送システムにおいて使用されているテストフレームを利用して電磁妨害波パラメータの抽出と補正情報の算出を行う場合を例にとって説明したが、その他の伝送システムにおいても擬似的なフレームを送信するシステムであれば、この擬似的なフレームを利用して電磁妨害波パラメータの抽出と補正情報の算出を行うようにしてもよい。
前記各実施形態では、電磁妨害波検出部311、電磁妨害波パラメータ抽出部312およびシンボル読み出し判定補正部313による各処理をDSP31においてハードウェアにより実現する場合を例にとって説明したが、これらの処理をCPU4においてソフトウェアにより実現してもよい。この場合には、受信機RXの大幅な改変を必要とせずにスループットの向上を実現することができるため、既存の様々な通信方式に容易に組み込むことが可能である。
また前記各実施形態では、変調方式として16QAMを採用した場合を例にとって説明したが、それに限らずPSK方式や64QAM等のその他の変調方式を採用した場合にもこの発明は適用可能である。また、マルチキャリア通信方式以外に、シングルキャリア通信方式を採用したシステムにも、この発明は適用可能である。
その他、変調方式や誤り訂正方式、受信機の構成、伝送情報の種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
TX…送信機、RX…受信機、L1…メタリックケーブルを用いた通信伝送路、L2…LANケーブル、1…I/O-IF、2…AFE、3…DSP、4…CPU、5,6…メモリ、7…LAN-IF、31…デジタル情報読み出し処理部、32…誤り訂正部、33…入出力IF、34…受信フレーム格納部、311…電磁妨害波検出部、312…電磁妨害波パラメータ抽出部、313…シンボル読み出し判定補正部、3111…通信伝送路モニタリング部、3112…テストフレーム受信処理部、3121…サブキャリア影響算出部、3122…ユークリッド距離変化算出部、3123…受信テストフレーム照合部。
Claims (8)
- 第1の通信装置から第2の通信装置へ、妨害波の影響を受ける通信伝送路を介して、デジタル情報を少なくとも1つの搬送波周波数を使用して伝送するデジタル情報伝送システムであって、
前記第1の通信装置は、
トレーニング期間において、予め定められた既知の情報により変調されたトレーニング信号を、前記第2の通信装置へ向けて前記通信伝送路へ送信する手段を備え、
前記第2の通信装置は、
前記トレーニング期間において、前記トレーニング信号を前記通信伝送路を介して受信し、当該受信されたトレーニング信号から前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報を検出してメモリに記憶する第1の手段と、
前記デジタル情報の伝送期間において、前記通信伝送路を介して伝送された情報伝送信号を受信し、当該受信された情報伝送信号から前記デジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を復調し、当該復調された振幅および位相を表す情報を、前記メモリに記憶された前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報をもとに補正する第2の手段と
を備えることを特徴とするデジタル情報伝送システム。 - 前記第1の手段は、前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報と、前記既知の情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報とをもとに、振幅および位相のずれ量を算出し、当該ずれ量を補正するための補正情報を生成して前記メモリに記憶しておき、
前記第2の手段は、前記復調されたデジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を、前記メモリに記憶された前記補正情報をもとに補正することを特徴とする請求項1に記載のデジタル情報伝送システム。 - 前記第1の通信装置は、
前記デジタル情報の伝送期間において、予め定められた既知の情報により変調された擬似的なテスト信号を、前記第2の通信装置へ向けて前記通信伝送路へ定期的に送信する手段を、さらに備え、
前記第2の通信装置は、
前記デジタル情報の伝送期間において、前記テスト信号を前記通信伝送路を介して受信するごとに、当該受信されたテスト信号から前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報を検出する第3の手段と、
前記通信伝送路を介して伝送された情報伝送信号を受信し、当該受信された情報伝送信号から前記デジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を復調し、当該復調された振幅および位相を表す情報を、前記第3の手段により先行して受信されたテスト信号から検出された前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報をもとに補正する第4の手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデジタル情報伝送システム。 - 第1の通信装置から第2の通信装置へ、妨害波の影響を受ける通信伝送路を介して、デジタル情報を少なくとも1つの搬送波周波数を使用して伝送するデジタル情報伝送システムにより実行されるデジタル情報伝送方法であって、
前記第1の通信装置が、トレーニング期間において、予め定められた既知の情報により変調されたトレーニング信号を、前記第2の通信装置へ向けて前記通信伝送路へ送信する過程と、
前記第2の通信装置が、前記トレーニング期間において、前記トレーニング信号を前記通信伝送路を介して受信し、当該受信されたトレーニング信号から前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報を検出してメモリに記憶する過程と、
前記第2の通信装置が、前記デジタル情報の伝送期間において、前記通信伝送路を介して伝送された情報伝送信号を受信し、当該受信された情報伝送信号から前記デジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を復調し、当該復調された振幅および位相を表す情報を、前記メモリに記憶された前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報をもとに補正する過程と
を具備することを特徴とするデジタル情報伝送方法。 - 送信機から、少なくとも1つの搬送波周波数を使用しかつ妨害波の影響を受ける通信伝送路を介して伝送されるデジタル情報を受信する受信機であって、
トレーニング期間において、前記送信機から送信される、予め定められた既知の情報により変調されたトレーニング信号を前記通信伝送路を介して受信し、当該受信されたトレーニング信号から前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報を検出してメモリに記憶する第1の手段と、
前記デジタル情報の伝送期間において、前記通信伝送路を介して伝送された情報伝送信号を受信し、当該受信された情報伝送信号から前記デジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を復調し、当該復調された振幅および位相を表す情報を、前記メモリに記憶された前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報をもとに補正する第2の手段と
を具備することを特徴とする受信機。 - 前記第1の手段は、前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報と、前記既知の情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報とをもとに、振幅および位相のずれ量を算出し、当該ずれ量を補正するための補正情報を生成して前記メモリに記憶する手段をさらに有し、
前記第2の手段は、前記復調されたデジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を、前記メモリに記憶された前記補正情報をもとに補正することを特徴とする請求項5に記載の受信機。 - 前記デジタル情報の伝送期間において、予め定められた既知の情報により変調された擬似的なテスト信号を前記通信伝送路を介して受信するごとに、当該受信されたテスト信号から前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報を検出する第3の手段と、
前記通信伝送路を介して伝送された情報伝送信号を受信し、当該受信された情報伝送信号から前記デジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を復調し、当該復調された振幅および位相を表す情報を、前記第3の手段により先行して受信されたテスト信号から検出された前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報をもとに補正する第4の手段と
を、さらに具備することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の受信機。 - 送信機から、少なくとも1つの搬送波周波数を使用しかつ妨害波の影響を受ける通信伝送路を介して伝送されるデジタル情報を受信する受信機により実行されるデジタル情報受信方法であって、
トレーニング期間において、前記送信機から送信される、予め定められた既知の情報により変調されたトレーニング信号を前記通信伝送路を介して受信し、当該受信されたトレーニング信号から前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報を検出してメモリに記憶する過程と、
前記デジタル情報の伝送期間において、前記通信伝送路を介して伝送された情報伝送信号を受信し、当該受信された情報伝送信号から前記デジタル情報を表す前記搬送波周波数ごとの振幅および位相を表す情報を復調し、当該復調された振幅および位相を表す情報を、前記メモリに記憶された前記妨害波の周波数ごとの振幅および位相を表す情報をもとに補正する過程と
を具備することを特徴とするデジタル情報受信方法。
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