JP2017096854A - 検水のモニタリング方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 検水中の分析対象物質が極微量であっても、小型の装置によって分析対象物質を濃縮し、濃縮された分析対象物質の濃度から検水中の濃度を換算して精度良くモニタリングすることが可能な検水のモニタリング方法を提供する。【解決手段】 検水Wに吸着剤溶液の供給手段3から所定の吸着剤濃度の溶液を添加する。吸着剤溶液の添加量は、該吸着剤の分析対象物質の吸着能を基準として、吸着剤/分析対象物質の比を5以上とする。この吸着剤を添加した検水WをUF膜2で処理する。続いてブライン水W2における分析対象物質の濃度(ブライン濃度)を測定する。さらにブライン水W2の流量を積算流量計13で計測する。そして、これら分析対象物質のブライン濃度とブライン水W2の流量と検水Wの給水流量とから、検水Wにおける分析対象物質の濃度を算出する。【選択図】 図1
Description
本発明は検水のモニタリング方法および装置に関し、特に半導体産業、電力・原子力産業、医薬産業、その他あらゆる産業分野において、超純水等の分析対象物質を極微量含む検水を測定するモニタリング方法および装置に関する。
半導体製造工場では、不純物を高度に除去して純度を高めた超純水が使用されている。この超純水の水質管理項目としては、抵抗率、微粒子、生菌、TOC、溶存酸素、シリカ、カチオンイオン、アニオンイオン、重金属等が挙げられる。
現在、超純水の連続分析装置(オンラインモニタ)には、抵抗率計、微粒子計、TOC計、シリカ計、溶存酸素計、金属分析計などが使用されている。これらの分析計には、測定可能な下限値が存在し、例えば金属元素モニタでは、測定可能な下限値は、Na、Caについては0.1〜400μg/L程度、Feについては10ng/L程度である。
一方、半導体産業、電力・原子力産業、医薬産業等で使用される超純水については、近年益々その要求水質が高められている。従って、極微量の金属イオンなどの分析対象物質を含む超純水を検水として、前記の分析装置で水質管理を行うためには、超純水中の分析対象物質を分析装置の測定下限値以上の濃度にまで濃縮する必要がある。また、測定下限値以上に含まれる分析対象物質であっても、より高精度な分析結果を得るために、分析対象物質を濃縮することが必要とされる場合もある。
従来、超純水中の分析対象物質を濃縮してモニタリングする方法としては、特許文献1に記載されているように、逆浸透膜装置や電気脱イオン装置を多段に設けることにより、分析対象物質を高度に濃縮する方法が開示されている。
また、特許文献2には、逆浸透膜(RO)装置や電気脱イオン装置により、分析対象物質を高度に濃縮して、この濃縮水中の分析対象物質の濃度に基づいてモニタリングする方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、逆浸透膜装置等を少なくとも2段に設けることから、装置が大型化してしまうため、モニタリングを行う装置としては実用化に耐えない。また、各金属イオン濃度が1ng/L以下という極微量しか含まれていない超純水を濃縮対象にする場合、目的の濃度にまで濃縮するには2段では不足であり、より多段に装置を設けなければ目的の濃度にまで濃縮できないことから、装置は更に大型化してしまう、という問題点があった。
また、特許文献2に記載された方法は、逆浸透膜装置を1段としてブライン水を循環させることにより濃縮してモニタリングを行うため、装置をある程度コンパクト化することができるが、それでも逆浸透膜装置とブラインを循環させるための循環ポンプなどが必要であるため、水処理設備に備え付けるためにはかなりのスペースを確保し、場合によってはこのスペース確保のために一部装置を改造する必要がある、という問題点がある。また、各金属イオン濃度が1ng/L以下という極微量しか含まれていない超純水を濃縮対象にする場合、高い濃縮倍率にまで濃縮する必要があり、このためにはブライン水の循環を繰り返す必要があり、モニタリングに時間を要する、という問題点がある。さらに、分析対象物質の濃度を測定するにあたり、検水に酸溶液を注入するなどしており、環境負荷やコストの点からも酸の添加を削減できる方が望ましい。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、検水中の分析対象物質が極微量であっても、小型の装置によって分析対象物質を濃縮し、濃縮された分析対象物質の濃度から検水中の濃度を換算して精度良くモニタリングすることが可能な検水のモニタリング方法および装置を提供することを目的とする。
上記目的に鑑み、本発明は第一に、検水中の分析対象物質の濃度をモニタリングする方法において、 前記検水に前記分析対象物質を吸着する吸着剤を添加し、該検水を分離膜で処理することにより、分析対象物質が濃縮されたブライン水と分析対象物質濃度が低減された透過水とに分離する分離工程と、このブライン水中の分析対象物質の濃度を分析手段で測定する分析工程と、該分析工程の分析結果に基づいて検水中の分析対象物質の濃度を演算する演算工程とを有することを特徴とする検水のモニタリング方法を提供する(発明1)。
かかる発明(発明1)によれば、検水中の分析対象物質は吸着剤に吸着され、この分析対象物質を吸着した吸着剤は分離膜を透過しないので、充分な量の吸着剤を添加することにより、分離工程において分析対象物質はブライン水側に濃縮されることになる。そして、このブライン水中の分析対象物質の濃度を測定するとともに、ブライン水と透過水の流量あるいは検水の流量とから濃縮倍率を算出することで検水中の分析対象物質の濃度を算出することができる。このような操作は、膜分離装置と吸着剤添加手段などの簡単な装置で行うことができるので、従来法と比較して小型装置で的確にモニタリングすることが可能となる。また、酸などを用いることがないので、分析対象物質の形態変化を起こすこともなく、汚染の問題もほとんどない。さらに分析効率も向上すると共に、分析に要する時間を大幅に短縮して、分析結果を運転管理等に早期に反映させることが可能となる。
上記発明(発明1)においては、前記吸着剤がイオン交換作用により分析対象物質を吸着するものであるのが好ましい(発明2)。前記吸着剤がスルホン酸基または4級アンモニウム基を有するものであるのが好ましい(発明3)。上記発明(発明3)においては、前記スルホン酸基または4級アンモニウム基を有する吸着材が分子量10万以上であるのが好ましい(発明4)。
かかる発明(発明2,3,4)によれば、分析対象物質がアニオン性、カチオン性いずれであるかに応じて、吸着剤を選定することでいずれの分析対象物質であっても検水中の濃度をモニタリングすることができる。
上記発明(発明3,4)においては、前記スルホン酸基を有する吸着材がポリスチレンスルホン酸であるのが好ましい(発明5)。
かかる発明(発明5)によれば、ポリスチレンスルホン酸はカチオンの吸着性に優れているので、分析対象物質が金属イオンなどの場合に、特に精度よく検水中の濃度をモニタリングすることができる。
上記発明(発明1〜5)においては、前記分析対象物質がカチオン性もしくはアニオン性の物質であるのが好ましい(発明6)。また、前記分析対象物質が金属イオン、塩化物イオン、シリカイオン、硝酸イオン、ホウ酸イオンもしくは硫酸イオンを含むのが好ましい(発明7)。特に前記分析対象物質が二価以上のイオンであるのが好ましい(発明8)。
かかる発明(発明6〜8)によれば、吸着剤を適宜選択することにより、金属イオン、塩化物イオンもしくは硫酸イオンなどのカチオン性もしくはアニオン性の物質の検水中の濃度をモニタリングすることができる。特に二価以上の分析対象物質は、イオン交換により好適に吸着できるので、精度よくモニタリングすることができる。
上記発明(発明1〜8)においては、前記分離膜がUF膜、RO膜、MF膜またはNF膜であるのが好ましい(発明9)。
かかる発明(発明9)によれば、これらの分離膜において一般的な6000以下の分画分子量のものを用いることにより、吸着剤をブライン側に効率よく排出しつつ濃縮率を高くすることができ、分析精度を高くすることができる。
上記発明(発明1〜9)においては、前記分析対象物質の検水中の濃度が0.0001〜10ng/Lであるのが好ましい(発明10)。
かかる発明(発明10)によれば、発明1〜9のモニタリング方法を適用することにより、分析困難であった検水中の極微量成分について、好適にモニタリングすることが可能となる。
また、本発明は第二に、検水中の分析対象物質の濃度をモニタリングする装置であって、前記検水に前記分析対象物質を吸着する吸着剤を添加する吸着剤添加手段と、前記吸着剤添加手段により吸着剤が添加された検水を、分析対象物質が濃縮されたブライン水と分析対象物質濃度が低減された透過水とに分離する膜分離装置と、前記ブライン水の量を計測する計測手段と、ブライン水中の分析対象物質の濃度を測定する分析手段とを有することを特徴とする検水のモニタリング装置を提供する(発明11)。
かかる発明(発明11)によれば、吸着剤添加手段から検水に吸着剤を添加することにより分析対象物質は吸着剤に吸着される。この分析対象物質を吸着した吸着剤は分離膜を透過しないので充分な量の吸着剤を添加することにより、膜分離装置において分析対象物質はブライン水側に濃縮されることになる。そして、このブライン水中の分析対象物質の濃度を分析手段において測定するとともに、計測手段により計測したブライン水の流量から濃縮倍率を算出することで検水中の分析対象物質濃度を算出することができる。このように膜分離装置と吸着剤添加手段などの簡単な装置で分析対象物質のモニタリングを行うことができる。
上記発明(発明11)においては、前記分析手段で測定したブライン水中の分析対象物質の濃度と、前記計測手段により計測されるブライン水の量と、該ブライン水の量から算出される濃縮倍率と、検水の量とから検水中の分析対象物質の濃度を算出する演算手段とを備えるのが好ましい(発明12)。
かかる発明(発明12)によれば、分析対象物質の濃度を連続的に分析してモニタリングすることができる。
本発明の検水のモニタリング方法によれば、検水に分析対象物質を吸着する吸着剤を添加し、検水中の分析対象物質は吸着剤に吸着させて該検水を分離膜で処理することにより、分析対象物質をライン水側に濃縮し、このブライン水中の分析対象物質の濃度を測定するとともに、ブライン水の流量と、透過水あるいは検水の流量とから濃縮倍率を算出することで、検水中の分析対象物質濃度を算出しているので、膜分離装置と吸着剤添加手段などの簡単な装置で行うことができる。これにより従来法と比較してでは小型装置で的確にモニタリングすることができる。また、分析効率も向上すると共に、分析に要する時間を大幅に短縮して、分析結果を運転管理等に早期に反映させることが可能となる。
以下、本発明の検水のモニタリング装置の一実施形態について添付図面を参照にして詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による検水のモニタリング装置を示しており、このモニタリング装置は、検水Wが導入される図示しない流量計が付設された検水ライン1と、この検水ライン1の末端に設けられた膜分離装置としての限外ろ過膜(UF膜)2とを有し、検水ライン1の途中には吸着剤溶液の供給手段3が供給ポンプ4を介して接続されているとともに、その供給箇所より下流側にラインミキサなどのミキサ5が設けられている。なお6は圧力計であり、7は検水Wの採水ラインであり、この採水ライン7には開閉バルブ8と、積算流量計9とが設けられている。
限外ろ過膜(UF膜)2では、検水Wが透過水W1とブライン水W2とに分離されるが、該UF膜2には、ブライン(濃縮水)ライン10と透過水ライン11が接続されている。ブラインライン10には開閉バルブ12と計測手段としての積算流量計13とがそれぞれ設けられていて、ここから採取されたブライン水W2は図示しない分析対象物質の分析手段により、分析対象物質の濃度が測定可能となっている。一方、透過水ライン11には、圧力計14と開閉バルブ15と積算流量計16とが設けられていて、この積算流量計16の下流側で透過水W1を得るとともに、分岐ライン11AがTOC計に接続している。なお、17、18はそれぞれ開閉バルブである。
そして、本実施形態においては、検水Wの流量計(図示せず)と、ブライン水W2の積算流量計13と、透過水W1の積算流量計16と、分析対象物質の分析手段(図示せず)とは、図示しない演算手段に接続していて、これらの値により検水W中の分析対象物質の濃度を連続的に分析可能となっている。
上述したような検水のモニタリング装置において、吸着剤溶液の供給手段3から供給される吸着剤としては、分析対象物質を吸着でき、UF膜2を透過しないものであれば特に制限はないが、イオン交換作用により分析対象物質を吸着するものであるのが好ましく、分析対象物質が金属イオンなどのカチオン性物質の場合には、アニオンンポリマー、これを含む錯体、キレート、包接化合物を用いることができる。アニオンポリマーとしては、アルカリ金属イオンなどを対イオンとして負の電荷を有する高分子のみならず、アルカリ金属の水酸化物などと反応して塩を形成し、負の電荷を有する状態となる得る高分子も含まれる。本発明に用いるアニオンポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、DNA(デオキシリボ核酸)又はこれらのアルカリ金属塩などを挙げることができる。これらの中ではスルホン酸基を有するものが好ましく、特にポリスチレンスルホン酸(PSA)が好ましい。ポリスチレンスルホン酸は、一般に1万以上の分子量を有し、イオン交換能が高いという点において特に10万以上の分子量を有するものが好ましい。
また、分析対象物質が、塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、臭素イオン、アニオン性有機物イオンなどのアニオン性物質の場合には、吸着剤としてカチオンポリマーを用いることができる。カチオンポリマーとしては、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリスチレン4級アンモニウム(PSQ)、ポリアリルアミンジメチルアンモニウム(DADMAC)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリビニルアミジン(PVAz)などを使用することができる。また、負の電荷を持つアニオンポリマーとしては、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニルスルホン酸(PVS)などを使用することができる。特にポリスチレン4級アンモニウムなどの4級アンモニウム基を有する化合物を好適に用いることができる。
限外ろ過膜(UF膜)2としては、前述した吸着剤を透過水W1側に透過しないものであれば特に制限はないが、特に分画分子量が6000以下のものを用いるのが好ましい。分画分子量が6000を超えると、吸着剤を透過しやすくなるため好ましくない。
さらにモニタリング対象となる検水Wとしては、分析対象物質として鉄、クロム、カルシウム、ニッケルなどのカチオン成分を極微量含有する超純水であり、水質分析のためには濃縮を要するものである。最も代表的なものとしては、半導体工場等で使用される超純水が挙げられる。この検水Wは、塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、臭素イオン、シリカイオン、ホウ酸イオンあるいはアニオン性有機物イオンを極微量含有していてもよい。特に吸着剤としてポリスチレンスルホン酸(PSA)やポリスチレン4級アンモニウム(PSQ)などを用いた場合には、2価以上のカチオン性あるいはアニオン性の分析対象物質が精度よくモニタリングされる。上述したような検水W中の分析対象物質の濃度は、0.0001〜10ng/L、特に0.001〜1ng/Lであるのがモニタリング精度の点で好ましく、特に金属イオン濃度をモニタリングする場合に有効である。なお、分析対象物質は1種類であってもよいが、特に同じイオン性の物質であれば同時に複数種をモニタリングすることができる。
次に、上述したような検水のモニタリング装置を用いた検水のモニタリング方法について、以下説明する。
まず、開閉バルブ12、15、17及び18を開成するとともに開閉バルブ8を閉鎖した状態で、検水Wを検水ライン1に導入するとともに供給ポンプ4を稼働して吸着剤溶液の供給手段3から所定の濃度の吸着剤溶液を添加する。ここで、吸着剤溶液の添加量は、該吸着剤の分析対象物質の吸着当量を基準として、吸着剤/分析対象物質の比を5以上となるように添加するのが好ましい。吸着剤/分析対象物質の比が5未満では、分析対象物質の除去率を十分に高くすることができなくなり分析対象物質の濃度の信頼度が低下するため好ましくない。なお、上限については特に制限はないが、吸着剤/分析対象物質を20以上としてもそれ以上の除去率の向上が得られないばかりか、添加する吸着剤が増えるため経済的でない。なお、同じイオン性の分析対象物質を複数種分析対象としている場合には、吸着剤/分析対象物質の比は、これら複数種の分析対象物質の総当量に対して設定すればよい。この吸着剤の添加量は、あらかじめ検水Wに予備的に吸着剤を添加して、分析対象物質に対しどの程度添加すればよいか設定しておいてもよいし、想定される分析対象物質に対して吸着剤/分析対象物質の比が5より過剰となるように添加して、調整してもよい。
特に吸着剤としてポリスチレンスルホン酸(PSA)を用いた場合には、ポリスチレンスルホン酸(PSA)は、検水WのpH、流速、回収率(濃縮率)によらず、UF膜2などの膜分離装置の膜材表面には付着しないので、ほとんど全量がブライン回収されることになる。ただし、ポリスチレンスルホン酸ポリマーの粘性による膜面への物理的な影響がないように、検水W中のポリスチレンスルホン酸の濃度は1g/L以下とするのが好ましい。
この吸着剤を添加した検水Wをミキサ5で吸着剤を分散して分析対象物質を吸着させた後、UF膜2で処理し、検水Wを透過水W1とブライン水W2とに分離する(分離工程)。このとき分析対象物質を吸着した吸着剤はブライン水(濃縮水)W2側に濃縮される。したがって、吸着剤は膜分離装置としてのUF膜2よりも上流側で添加する必要がある。また、分析対象物質濃度が低減された透過水W1は透過水ライン11に流入するとともに、必要に応じ分岐ライン11Aから微量の透過水W1を採取してTOC計によりTOCを測定する。このとき、透過水W1の回収率が高いほど濃縮率が高くなる。例えば、回収率90%(透過水W1:ブライン水W2=90:10)の場合、ブライン水W2は10倍濃縮液となる。
このような分離工程と並行して、ブライン水W2における分析対象物質の濃度(ブライン濃度)を測定する(分析工程)。さらにブライン水W2の流量を積算流量計13で計測する。そして、これら分析対象物質のブライン濃度とブライン水W2の流量と検水Wの給水流量とから、検水Wにおける分析対象物質の濃度を算出することができる(演算工程)。
ここで、ブライン水W2における分析対象物質が0.1ng/L以上、特に1ng/L以上である場合には、ブランク補正することなく、例えば10時間程度のフラッシングを行った後、下記式により算出することができる。
分析対象物質検水濃度=ブライン濃度(ng/L)/(給水流量/ブライン流量)
分析対象物質検水濃度=ブライン濃度(ng/L)/(給水流量/ブライン流量)
一方、ブライン水W2における分析対象物質が0.1ng/L未満の低濃度である場合には、透過水W1側に不可避的にリークするごく微量の分析対象物質の濃度を無視することができなくなるので、ブランク補正を行うことにより精度よく分析対象物質の検水濃度を算出することができる。このブランク補正による分析対象物質の検水濃度は、下記式により算出することができる。
分析対象物質検水濃度=(ブライン濃度(ng/L)−ブランク濃度(ng/L))/(給水流量/ブライン流量)
分析対象物質検水濃度=(ブライン濃度(ng/L)−ブランク濃度(ng/L))/(給水流量/ブライン流量)
ここでブランク濃度は、開閉バルブ12及び15を閉鎖するとともに開閉バルブ8を開成した状態で、採水ライン7から検水Wを採取して、図示しない分析手段により、検水W中の分析対象物質濃度を測定する。この検水W中の分析対象物質濃度は極めて低いため、分析手段による分析対象物質濃度の測定値は、ブライン濃度に対して非常に小さい。このブライン濃度からブランク濃度を減算することにより、補正された分析対象物質濃度を算出することができる。なお、ブランク濃度の測定が終了したら開閉バルブ12及び15を開成するとともに開閉バルブ8を閉鎖して、モニタリングを再開すればよい。
これらの各濃度測定において、分析対象物質の濃度を測定する分析手段としては、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)を用いることができる。ICP−MSとは、誘導結合プラズマ(ICP)によってイオン化された原子を質量分析計に導入することにより、元素の同定及び定量を行うことができる装置である。ICP−MSは、幅広い種類の元素の検出に適用することができる。また、質量分析計を使用するため、pptレベルの超高感度の分析を行うことができて好ましい。また、イオンクロマトグラフ、分光光度計などを分析手段として用いることもできる。
上述したような本実施形態の分析対象物質のモニタリング時間は、ブランク補正を行わない場合で3〜10分程度、ブランク補正を行う場合でも10〜20分程度であり、吸着剤を用いることなくRO膜のブライン水を循環するなどして検水Wを濃縮する従来のモニタリング方法では約2時間程度要することと比較してモニタリング時間を大幅に短縮することができる。
このようにしてモニタリングされた検水W中の分析対象物質の濃度は、その他の水質管理項目、例えば抵抗率、微粒子、生菌、TOC、溶存酸素などとともにオンラインモニタで表示して管理することができる。
以上、本発明の検水のモニタリング装置及びモニタリング方法の一実施形態について、添付図面を参照して説明してきたが、本発明はこの実施形態に限らず種々の変形実施が可能である。例えば、本実施形態においては、膜分離装置としてUF膜2を用いたが、UF膜2の代わりにRO膜、MF膜あるいはNF膜を用いてもよい。また、膜分離装置は2段以上直列に設けて、それぞれのブライン水を回収してもよいし、1段の膜分離装置でブライン水W2を循環させてもよいし、2段の膜分離装置でブライン水W2を循環させてもよい。さらに、検水Wのモニタリングは、本実施形態においては連続モニタリングとしたが、連続通水中に一部をサンプリングしてもよいし、バッチ式の通水でも濃縮倍率さえ計測可能であれば適用可能である。
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
図2に示す試験装置を用いて、本発明の検水のモニタリング方法の検証試験を行った。図2に示す試験装置は、図1に示す検水のモニタリング装置において、吸着剤溶液の供給手段3がPSA標準液の供給手段3Aであり、このPSA標準液の供給手段3Aの上流側で所定の濃度の各種金属イオンを供給するメタル標準液供給手段19が供給ポンプ20を介して検水ライン1に接続した構成を有する。
図2に示す試験装置を用いて、本発明の検水のモニタリング方法の検証試験を行った。図2に示す試験装置は、図1に示す検水のモニタリング装置において、吸着剤溶液の供給手段3がPSA標準液の供給手段3Aであり、このPSA標準液の供給手段3Aの上流側で所定の濃度の各種金属イオンを供給するメタル標準液供給手段19が供給ポンプ20を介して検水ライン1に接続した構成を有する。
本実施例においては、以下のものを用いた。
UF膜:ラボ評価用モジュール、旭化成ケミカルズ(株)製、分画分子量6000
PSA:高グレード試薬、東ソー(株)製、分子量23万
超純水:抵抗率:18.1MΩ・cm以上、微粒子:粒径50nm以上で1000個/L以下、生菌:1個/L以下、TOC(Total Organic Carbon):1μg/L以下、全シリコン:0.1μg/L以下、金属類:1ng/L未満、イオン類:1.0ng/L以下、過酸化水素;10μg/L以下
UF膜:ラボ評価用モジュール、旭化成ケミカルズ(株)製、分画分子量6000
PSA:高グレード試薬、東ソー(株)製、分子量23万
超純水:抵抗率:18.1MΩ・cm以上、微粒子:粒径50nm以上で1000個/L以下、生菌:1個/L以下、TOC(Total Organic Carbon):1μg/L以下、全シリコン:0.1μg/L以下、金属類:1ng/L未満、イオン類:1.0ng/L以下、過酸化水素;10μg/L以下
図2に示す装置において、超純水W0を1.2L/分で検水ライン1に導入するとともに、分析対象物質となるメタル成分としてFe,Ni、Cr、Coの四元素をそれぞれ所定の濃度で含有するメタル標準液をメタル標準液供給手段19から検水ライン1に供給して試験用検水(給水)を調製した。この給水に対して、吸着剤としてポリスチレンスルホン酸(PSA)溶液をそれぞれPSA/メタルの比率(イオン交換基当量比)がおよそPSA/メタル=3、6及び20となるようにPSA標準液の供給手段3Aから供給し、ミキサ5でPSAを分散させてメタル成分を吸着させた。続いて、このPSAを分散した給水をUF膜2で処理した。処理条件は透過水(W1)1.08L/分、ブライン(濃縮)水(W2)0.12L/分で濃縮倍率は10倍であった。これら透過水W1とブライン水W2と給水(検水W)の各メタル成分の濃度を測定し、各メタル成分の除去率を算出した。結果を図3に示す。なお、透過水W1とブライン水W2における各メタル成分の濃度は、ICP-MSにより測定した。
図3から明らかな通り、PSA/メタルの比率が大きくなるほど、各メタル成分の除去率は大きくなり、PSA/メタル=5以上とすることで、90%以上の十分な分析対象物質の除去率とすることができ、イオン交換効率の向上に伴い分析精度の向上も期待できることがわかる。
[実施例2]
図2に示す試験装置を用いて、超純水W0を1.2L/分で検水ライン1に導入するとともに、分析対象物質となるメタル成分としてFe,Ni、Cr、Coの四元素を所定の濃度で含有するメタル標準液を、試験用検水(給水)における各メタル成分が15〜18ng/Lとなるようにメタル標準液供給手段19から検水ライン1に供給して試験用検水(給水)を調製した。この給水に対して、ポリスチレンスルホン酸(PSA)溶液をそれぞれPSA/メタルの比率(イオン交換基当量比)6(約1500ppt)となるようにPSA標準液の供給手段3Aから供給し、ミキサ5でPSAを分散させてメタル成分を吸着させた。続いて、このPSAを分散した給水をUF膜2で処理した。処理条件は透過水(W1)1.08L/分、ブライン(濃縮)水(W2)0.12L/分で濃縮倍率は10倍であった。
図2に示す試験装置を用いて、超純水W0を1.2L/分で検水ライン1に導入するとともに、分析対象物質となるメタル成分としてFe,Ni、Cr、Coの四元素を所定の濃度で含有するメタル標準液を、試験用検水(給水)における各メタル成分が15〜18ng/Lとなるようにメタル標準液供給手段19から検水ライン1に供給して試験用検水(給水)を調製した。この給水に対して、ポリスチレンスルホン酸(PSA)溶液をそれぞれPSA/メタルの比率(イオン交換基当量比)6(約1500ppt)となるようにPSA標準液の供給手段3Aから供給し、ミキサ5でPSAを分散させてメタル成分を吸着させた。続いて、このPSAを分散した給水をUF膜2で処理した。処理条件は透過水(W1)1.08L/分、ブライン(濃縮)水(W2)0.12L/分で濃縮倍率は10倍であった。
このモニタリング処理を45時間継続したところ、ほぼ10倍に濃縮で濃縮倍率がほぼ一定値を保ち十分な精度が得られ、濃縮された各メタル成分の濃度から、これら各メタル成分の給水中の濃度を安定的に算出できると推測できる。
そこで、初期(超純水W0)、360分、1260分及び2700分経過時の透過水W1とブライン水W2における各メタル成分の濃度をそれぞれ測定した。また、これらの濃度から各メタル成分の除去率を算出した。さらに採水ライン7から給水(検水W)を採取して、ICP-MSにより各メタル成分の実給水濃度を測定した。結果をメタル成分ごとに表1〜表4に示す。
表1〜表4から明らかな通り、Fe、Ni、Cr及びCaはいずれも94%以上の除去率で除去できる、すなわち精度よく9.5〜10倍濃縮率が得られており、本発明のモニタリング方法により給水中の分析対象物質の濃度の算出が可能であることがわかる。
次に、上記表1〜4から各メタル成分のブランク水の濃度は100ng/L以上で給水中の濃度に換算しても各メタル成分の濃度はほぼ10ng/L以上と十分に大きいことから、各メタル成分の濃度をブランク補正することなく、ブライン水W2における各メタル成分の濃度と、給水の流量及びブライン水の積算流量計13の計測結果に基づくブライン水流量とから下記式により算出した。
給水濃度=ブライン水濃度/(給水流量/ブライン水流量)
この算出した濃度と実給水の濃度とを対比した結果をそれぞれの平均値とともに表5及び表6に示す。
給水濃度=ブライン水濃度/(給水流量/ブライン水流量)
この算出した濃度と実給水の濃度とを対比した結果をそれぞれの平均値とともに表5及び表6に示す。
表5及び表6から明らかな通り、本発明のモニタリング方法で算出した給水中の各メタル成分の濃度は、実給水濃度と近似しており、その誤差は5%以下であった。これらの結果から本発明は、給水中の分析対象物質のモニタリング方法として好適であることがわかる。
1…検水ライン
2…限外ろ過膜(膜分離装置)
3…吸着剤溶液の供給手段
10…ブライン水(濃縮水)ライン
11…透過水ライン
W…検水
W1…透過水
W2…ブライン水(濃縮水)
2…限外ろ過膜(膜分離装置)
3…吸着剤溶液の供給手段
10…ブライン水(濃縮水)ライン
11…透過水ライン
W…検水
W1…透過水
W2…ブライン水(濃縮水)
Claims (12)
- 検水中の分析対象物質の濃度をモニタリングする方法において、
前記検水に前記分析対象物質を吸着する吸着剤を添加し、該検水を分離膜で処理することにより、分析対象物質が濃縮されたブライン水と分析対象物質濃度が低減された透過水とに分離する分離工程と、
このブライン水中の分析対象物質の濃度を分析手段で測定する分析工程と、
該分析工程の分析結果に基づいて検水中の分析対象物質の濃度を演算する演算工程と
を有することを特徴とする検水のモニタリング方法。 - 前記吸着剤がイオン交換作用により分析対象物質を吸着することを特徴とする請求項1に記載の検水のモニタリング方法。
- 前記吸着剤がスルホン酸基または4級アンモニウム基を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の検水のモニタリング方法。
- 前記スルホン酸基または4級アンモニウム基を有する吸着材が分子量10万以上であることを特徴とする請求項3に記載の検水のモニタリング方法。
- 前記スルホン酸基を有する吸着材がポリスチレンスルホン酸であることを特徴とする請求項3又は4に記載の検水のモニタリング方法。
- 前記分析対象物質がカチオン性もしくはアニオン性の物質であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の検水のモニタリング方法。
- 前記分析対象物質が金属イオン、塩化物イオン、シリカイオン、硝酸イオン、ホウ酸イオンもしくは硫酸イオンを含むことを特徴とする請求項6に記載の検水のモニタリング方法。
- 前記分析対象物質が二価以上のイオンであることを特徴とする請求項6又は7に記載の検水のモニタリング方法。
- 前記分離膜がUF膜、RO膜、MF膜またはNF膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の検水のモニタリング方法。
- 前記分析対象物質の検水中の濃度が0.0001〜10ng/Lであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の検水のモニタリング方法。
- 検水中の分析対象物質の濃度をモニタリングする装置であって、
前記検水に前記分析対象物質を吸着する吸着剤を添加する吸着剤添加手段と、
前記吸着剤添加手段により吸着剤が添加された検水を分析対象物質が濃縮されたブライン水と分析対象物質濃度が低減された透過水とに分離する膜分離装置と、
前記ブライン水の量を計測する計測手段と、
ブライン水中の分析対象物質の濃度を測定する分析手段と、
を有することを特徴とする検水のモニタリング装置。 - 前記分析手段で測定したブライン水中の分析対象物質の濃度と、前記計測手段により計測されるブライン水の量と、該ブライン水の量から算出される濃縮倍率と、検水の量とから検水中の分析対象物質の濃度を算出する演算手段とを備えることを特徴とする請求項11に記載の検水のモニタリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015231152A JP2017096854A (ja) | 2015-11-26 | 2015-11-26 | 検水のモニタリング方法および装置 |
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-
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- 2015-11-26 JP JP2015231152A patent/JP2017096854A/ja active Pending
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