以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である失禁パッド10に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の失禁パッド10を表面シート2側から視た平面図が示されており、図2には、本実施形態の失禁パッド10の断面図が示されている。本実施形態の失禁パッド10は、図1及び図2に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備する吸収性本体10Fを備えている。
失禁パッド10の吸収性本体10Fは、図1に示すように、着用時に着用者の排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方部Cとを有している。失禁パッド10及び吸収性本体10Fは、着用者の前後方向に対応する縦方向X及び該縦方向Xに直交する横方向Yを有する。即ち、吸収性本体10Fは、縦方向Xに、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cの順番で区分される。また、失禁パッド10は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。縦方向Xとは、中心線CLに平行な方向でもある。
また、本明細書において、肌対向面は、失禁パッド10又はその構成部材(例えば吸収性本体10F)における、失禁パッド10の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、失禁パッド10又はその構成部材における、失禁パッド10の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。また、縦方向Xは、失禁パッド10及び吸収性本体10Fの長手方向に一致し、横方向Yは、失禁パッド10及び吸収性本体10Fの幅方向(長手方向に直交する方向)に一致する。
また、本発明の吸収性物品において、排泄部対向部Bとは、本実施形態の失禁パッド10のようにウイング部を有しない吸収性物品においては、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向(吸収性物品の横方向、図中のY方向)に横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。尚、ウイング部を有する吸収性物品においては、吸収性物品の縦方向(吸収性物品の長手方向、図中のX方向)において該ウイング部を有する領域(一方のウイング部の縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部の縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。
失禁パッド10では、表面シート2は、図2に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート5と共にサイドフラップ部10Sを形成している。失禁パッド10の裏面シート3側の非肌当接面には、ショーツ等の下着に固定するための粘着部(図示略)が設けられている。裏面シート3とサイドシート5とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
裏面シート3の形成材料としては、吸収性物品の裏面シートに従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布とのラミネートシート等を用いることができる。
失禁パッド10では、サイドシート5は、図1及び図2に示すように、吸収性本体10Fの肌対向面(表面シート2の肌対向面)における縦方向Xに沿う両側部に配されている。好適には、サイドシート5は、平面視において、吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、吸収性本体10Fの縦方向Xの全長に亘って配されている。
サイドシート5は、縦方向Xにそれぞれ延びる自由端及び固定端を有している。固定域は表面シート2上に位置しており、サイドシート5は、該固定端の位置において表面シート2と固定されている。またサイドシート5は、固定端よりも横方向Yの外方へ延出しており、その延出部位と、裏面シート3の横方向Yの延出部位とが接合されてサイドフラップ10Sを形成している。サイドシート5においては、その自由端寄りの該自由端と固定端との間の位置に、縦方向Xに延びる1本又は複数本の糸状の弾性部材が伸長状態で固定されている。そして該弾性部材が収縮することで、サイドシート5は、その自由端と固定端との間の位置が、着用者の身体側に向けて起立して、防漏カフを形成している。防漏カフは、着用中に起立して、液の横漏れを阻止するようになっている。
サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の不織布や樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。
失禁パッド10では、表面シート2及び裏面シート3は、図1に示すように、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されてエンドシール部を形成している。
失禁パッド10では、吸収体4は、図2に示すように、吸水性ポリマーを有する吸収性コア40と、該吸収性コア40を包むコアラップシート41とから構成されている。失禁パッド10では、吸収体4及び吸収性コア40は、図1に示すように平面視して、角が丸みを帯びた略矩形形状であり、前方部Aから排泄部対向部Bを経て後方部Cに亘って延びている。図3(a)には、本実施形態の失禁パッド10の備える吸収性コア40を表面シート2側から視た平面図が示されており、図3(b)には、本実施形態の失禁パッド10の備える吸収性コア40を裏面シート3側から視た平面図が示されている。また、図4には、図3(a)に示すIV-IV線断面図(吸収性物品である失禁パッド10の備える吸収性コア40を横断面視した図)が示されており、図5には、図3(a)に示すV-V線断面図(吸収性物品である失禁パッド10の備える吸収性コア40を縦断面視した図)が示されている。
失禁パッド10では、吸収性コア40は、例えば、吸水性ポリマーとパルプ等の吸液性繊維との混合積繊体である吸収性材料44から構成することができる。吸収性コア40を構成する吸液性繊維としては、例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース等のセルロール系の親水性繊維が挙げられる。セルロール系の親水性繊維に加えて、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル、ポリアミド等の縮合系繊維等を含んでいても良い。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。繊維及び吸水性ポリマーは、それぞれ一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
失禁パッド10では、コアラップシート41として、ティッシュペーパーや不織布等の透水性の繊維シートが好適に用いられる。また、コアラップシート41は、図2に示すように、一枚のシートで吸収性コア40の全体を包んでいてもよいし、2枚以上のコアラップシートで吸収性コア40の全体を包んでいてもよく、例えば、吸収性コア40の肌当接面側と非肌当接面側とを別々のシートで被覆していてもよい。
失禁パッド10では、図3(a)、図4及び図5に示すように、吸収性コア40は、肌対向面に形成された窪み部42と、体液を拡散する流路溝43とを備えている。失禁パッド10では、窪み部42及び流路溝43を備える吸収性コア40が一体成形されている。ここで「一体成形されている」とは、窪み部42及び流路溝43が、接着剤や熱融着等の手段を用いずに形成され、互いに分離不可能に一体化されており、同一の材料から一体的に形成されていることを意味する。
失禁パッド10では、図3(a)、図4及び図5に示すように、窪み部42は、排泄された体液を吸収保持する役割を担う部分であり、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部Bで且つ横方向Yの中央部4Cに、縦方向Xに延びて形成されている。ここで、失禁パッド10の吸収性コア40は、図1及び図3(a)に示すように、横方向Yに関し、横方向Yの中央部4Cと、縦方向Xに沿う両側部4S,4Sとを有している。失禁パッド10では、窪み部42は、図3に示すように平面視して、角が丸みを帯びた略矩形形状であり、縦方向Xにおいては排泄部対向部Bに位置し、横方向Yにおいては中央部4Cに位置する部分で、縦方向Xに延びて形成されている。そして、窪み部42は、図4及び図5に示すように、吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側部4S,4Sにおける肌対向面それぞれよりも、非肌対向面側に向かって窪んで形成されている。
失禁パッド10を展開して伸長した状態を平面視して、吸収性コア40の肌対向面の面積(S40)に対する窪み部42の肌対向面の面積(S42)の比率(S42/S40)は、排泄された体液を窪み部42内で確実に吸収する観点から、好ましくは4/30以上、更に好ましくは6/30以上、そして、好ましくは12/30以下、更に好ましくは10/30以下、具体的には、好ましくは4/30以上12/30以下、更に好ましくは6/30以上10/30以下である。ここで、吸収性コア40の肌対向面の面積(S40)とは、前記平面視した際の吸収性コア40の輪郭で囲まれた領域の面積を意味する。また、窪み部42の肌対向面の面積(S42)とは、前記平面視した際の窪み部42の底部の輪郭で囲まれた領域の面積を意味する。
詳述すると、吸収性コア40の肌対向面の面積(S40)は、上記観点から、好ましくは20000mm2以上、更に好ましくは24000mm2以上、そして、好ましくは30000mm2以下、更に好ましくは28000mm2以下、具体的には、好ましくは20000mm2以上30000mm2以下、更に好ましくは24000mm2以上28000mm2以下である。
また、窪み部42の肌対向面の面積(S42)は、上記観点から、好ましくは2000mm2以上、更に好ましくは4000mm2以上、そして、好ましくは11000mm2以下、更に好ましくは8000mm2以下、具体的には、好ましくは2000mm2以上11000mm2以下、更に好ましくは4000mm2以上8000mm2以下である。
失禁パッド10では、流路溝43は、図3(a)、図4及び図5に示すように、窪み部42で一旦吸収した体液を拡散する役割を担う部分であり、その幅が、窪み部42の幅よりも狭く形成されている。失禁パッド10では、流路溝43は、横方向Yに延びる横流路溝43Yを縦方向Xに間隔を空けて複数有しており、各横流路溝43Yは、吸収性コア40を横断面視して、窪み部42を横切って、吸収性コア40の縦方向に沿う両側部4S,4Sに跨っている。横流路溝43Yは、液吸収に伴う窪み部の吸収性能低下に対する失禁パッドの幅方向への液の拡散性の観点から、好ましくは2本以上、更に好ましくは5本以上、そして、好ましくは15本以下、更に好ましくは12本以下、具体的には、好ましくは2本以上15本以下、更に好ましくは5本以上12本以下である。
失禁パッド10を展開して伸長した状態を平面視して、各横流路溝43Yの横方向Yの長さ、及び縦方向Xに隣り合う横流路溝43Y,43Yどうしの間隔は、一定でなくてもよいが、失禁パッド10では、図3(a)に示すように、一定に形成されている。失禁パッド10では、各横流路溝43Yは、横方向Yに平行に帯状に延びており、縦方向に沿う両側部4S,4Sに亘っている。尚、各横流路溝43Yは、吸収性コア40の縦方向に沿う両側部4S,4Sの側縁4S1にまでは至っていない。
失禁パッド10を展開して伸長した状態を平面視して、窪み部42の肌対向面の面積(S42)に対する各横流路溝43Yの肌対向面の面積(S43Y)の比率(S43Y/S42)は、液吸収に伴う窪み部の吸収性能低下に対する失禁パッドの幅方向への液の引き込み性向上と良好な液戻り性能保持の観点から、好ましくは2/40以上、更に好ましくは3/40以上、そして、好ましくは9/40以下、更に好ましくは6/40以下、具体的には、好ましくは2/40以上9/40以下、更に好ましくは3/40以上6/40以下である。ここで、各横流路溝43Yの肌対向面の面積(S43Y)とは、前記平面視した際の各横流路溝43Yの底部の輪郭で囲まれた領域の面積を意味する。
詳述すると、各横流路溝43Yの肌対向面の面積(S43Y)は、上記観点から、好ましくは400mm2以上、更に好ましくは600mm2以上、そして、好ましくは1800mm2以下、更に好ましくは1200mm2以下、具体的には、好ましくは400mm2以上1800mm2以下、更に好ましくは600mm2以上1200mm2以下である。
また、縦方向Xに隣り合う横流路溝43Y,43Yどうしの間隔t1(図3(a)及び図5参照)は、上記観点から、好ましくは10mm以上、更に好ましくは20mm以上、そして、好ましくは50mm以下、更に好ましくは40mm以下、具体的には、好ましくは10mm以上50mm以下、更に好ましくは20mm以上40mm以下である。
失禁パッド10では、流路溝43を構成する横流路溝43Yは、図3(a)、図3(b)、図4及び図5に示すように、肌対向面に形成されている。このように失禁パッド10では、窪み部42及び横流路溝43Yが共に、吸収性コア40における表面シート2側の肌対向面に形成されている。そして、横流路溝43Yは、図4及び図5に示すように、窪み部42よりも更に非肌対向面側に向かって窪んで形成されている。即ち、横流路溝43Yの底面は、窪み部42の底面よりも更に一段下がって形成されている。
失禁パッド10では、窪み部42は、その密度が、図3(a)、図3(b)及び図4に示すように、吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側部4S,4Sそれぞれの密度よりも低く形成されている。ここで、側部4Sの密度とは、流路溝43の部分を除いた部分の密度を意味する。また、失禁パッド10では、窪み部42は、その密度が、図3(a)、図3(b)及び図5に示すように、吸収性コア40の縦方向Xの両端部4A,4Cそれぞれの密度よりも低く形成されている。即ち、失禁パッド10では、窪み部42は、その密度が、窪み部42を囲む周囲における密度よりも低く形成されている。ここで、窪み部42を囲む周囲における密度とは、流路溝43の部分を除いた部分の密度を意味する。そして、横流路溝43Yを有する流路溝43の部分の密度が、最も低く形成されている。
密度勾配による液の引き込み性向上の観点から、各側部4Sの密度(d4S)に対する窪み部42の密度(d42)の比率(d42/d4S)は、好ましくは3/10以上、更に好ましくは4/10以上、そして、好ましくは8/10以下、更に好ましくは7/10以下、具体的には、好ましくは3/10以上8/10以下、更に好ましくは4/10以上7/10以下である。ここで、各側部4Sの密度(d4S)は、窪み部42を囲む周囲における密度と同じである。
同様の観点から、各側部4Sの密度(d4S)に対する横流路溝43Yを有する流路溝43の密度(d43)の比率(d43/d4S)は、好ましくは2/10以上、更に好ましくは3/10以上、そして、好ましくは6/10以下、更に好ましくは5/10以下、具体的には、好ましくは2/10以上6/10以下、更に好ましくは3/10以上5/10以下である。
詳述すると、各側部4Sの密度(d4S)は、上記観点から、好ましくは0.035g/cm3以上、更に好ましくは0.04g/cm3以上、そして、好ましくは0.055g/cm3以下、更に好ましくは0.05g/cm3以下、具体的には、好ましくは0.035g/cm3以上0.055g/cm3以下、更に好ましくは0.04g/cm3以上0.05g/cm3以下である。
また、窪み部42の密度(d42)は、上記観点から、好ましくは0.0135g/cm3以上、更に好ましくは0.018g/cm3以上、そして、好ましくは0.036g/cm3以下、更に好ましくは0.0315g/cm3以下、具体的には、好ましくは0.0135g/cm3以上0.036g/cm3以下、更に好ましくは0.018g/cm3以上0.0315g/cm3以下である。
また、横流路溝43Yを有する流路溝43の密度(d43)は、上記観点から、好ましくは0.009g/cm3以上、更に好ましくは0.0135g/cm3以上、そして、好ましくは0.036g/cm3以下、更に好ましくは0.0315g/cm3以下、具体的には、好ましくは0.009g/cm3以上0.036g/cm3以下、更に好ましくは0.0135g/cm3以上0.0315g/cm3以下である。
〔窪み部42及び各側部4Sの密度の測定方法〕
密度は、まず測定したい場所の吸収性コアを切り取る。切り取る際の吸収性コアの寸法は縦方向Xが50mm、横方向Yが50mmとする。また、測定したい場所に、流路溝43、後述するエンボス部8又は後述する線状圧搾溝9が配されている場合は、流路溝43、エンボス部8又は線状圧搾溝9を除いてカッター等で切り取って合計50mmとなるようにする。また、測定ケ所の幅が狭い場合は、複数個所をカッター等で切り取って合計50mmとなるようにする。その合計重量から吸収性コアの単位面積当たりの重量を測定する。次に吸収性コアを液体窒素中で冷凍した後、それをカッターで、横方向Yに切断する。次にその断面をマイクロスコープで撮影した写真(倍率20倍)から、測定したい部分の断面の厚さ(mm)を測定する。そして、得られた吸収性コアの単位面積当たりの重量を、吸収性コア断面の厚さで除した値を密度とする。
上述した、肌対向面に形成された窪み部42と、体液を拡散する流路溝43とを備え、一体成形された吸収性コア40を有する吸収体4の製造方法を説明する。
図6には、吸収体4の製造方法の一実施態様及びそれに用いる製造装置400が示されている。吸収体4の製造装置400は、矢印R1方向に回転駆動される回転ドラム450と、回転ドラム450の外周面に吸収性コア40の原料である吸水性ポリマーを含む吸収性材料44を供給するダクト460と、回転ドラム450の下流側の斜め下方に配置され、矢印R2方向に回転駆動されるトランスファーロール470と、回転ドラム450の周方向におけるダクト460とトランスファーロール470との間に配置されたバキュームボックス465と、バキュームボックス465と回転ドラム450との間及びトランスファーロール470と回転ドラム450との間を通るように配された、シート状の通気性部材であるメッシュベルト475と、トランスファーロール470の下方に配されたバキュームコンベア480とを備えている。
回転ドラム450は、図6に示すように、円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周面4fを形成する部材451が水平軸回りを回転する。回転ドラム450は、外周面4fを形成する部材451と、該部材451よりも内側に位置するドラム本体452とを有している。ドラム本体452は固定されていて回転しないものである。ドラム本体452には、内部を減圧可能な空間456が形成されている。空間456には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間456内を負圧に維持可能である。他方、回転ドラム450の内側(回転軸側)の空間457及び空間458には、装置外の空気を取り込み可能な配管(図示せず)が接続されている。また、回転ドラム450は、その外周面4fに、吸収性材料44が積繊される集積用凹部459(図8参照)を有している。
外周面4fを形成する部材451は、図6に示すように、ドラム本体452の外周全周を覆って配されており、モータ等の原動機からの動力を受けて、ドラム本体452の水平軸回りを矢印R1方向に回転する。製造装置400では、外周面4fを形成する部材451は、図7に示すように、剛性を有する金属製のフレーム体453と、該フレーム体453に重ねて固定されるメッシュプレート454(多孔性部材)と、該メッシュプレート454の外面454f側に重ねて配される吸収体パターン形成プレート455とを有する。
フレーム体453は、図7及び図8に示すように、集積用凹部459の平面視において、集積用凹部459の底面と重なる凹部底面対応部453aを、ドラム幅方向(y1方向)の中央部に有している。ここで、「平面視」とは、対象物(集積用凹部459等)を、回転ドラム4の外周面の法線方向(回転ドラム4の回転軸方向と直交する方向)の外方から見た場合を意味する。凹部底面対応部453aは、該凹部底面対応部453aを厚み方向に貫通する複数の貫通口453bと、回転ドラム450の周方向に隣り合う2つの貫通口453b,453bの間に位置する非通気性のリブ453cとを含んで構成されている。貫通口453bを有していることによって、該凹部底面対応部453a全体として通気性を有している。複数の貫通口453bは、フレーム体453の周方向に間欠的に配されている。非通気性のリブ453cは、周方向に隣り合う2つの貫通口453b,453bの間に位置し、ドラム幅方向(y1方向)に延びて形成されている。リブ453cは、主として、フレーム体453自体の強度を向上させるものである。尚、製造装置400では、ドラム幅方向(y1方向)は、失禁パッド10及び吸収性本体10Fの横方向(Y方向)に一致している。
メッシュプレート454は、図7及び図8に示すように、各集積用凹部459の底面を構成する部材であり、多孔性部材から構成されている。多孔性部材からなるメッシュプレート454は、多数の微細な通気孔が形成されており、外周面4fの内の集積用凹部459が、回転ドラム450内における負圧に維持された空間上を通過している間、該通気孔が吸収性材料44を吸引する吸引孔として機能する。メッシュプレート454としては、金属又は樹脂製のメッシュや、金属又は樹脂製の板にエッチングやパンチングで多数の細孔を形成した、多孔性の金属板又は樹脂板等を用いることができる。メッシュプレート454を形成する多孔性の金属板又は樹脂板としては、例えば、厚み0.1〜0.5mm程度の金属又は樹脂製の板(ステンレス板等)等が挙げられる。製造装置400では、メッシュプレート454は、上述した吸収性コア40の窪み部42の形状及び位置に対応する隆起部分42Aを有している。この隆起部分42Aは、メッシュプレート454が窪み部42の深さに対応して隆起している。また、製造装置400では、メッシュプレート454は、金属製又は樹脂製の難通気性部材43Aを有している。難通気性部材43Aは、メッシュプレート454上に突出し、且つ隆起部分42Aをドラム幅方向(y1方向)に横切って設けられており、上述した流路溝43の横流路溝43Yの形状及び位置に対応するように配されている。
吸収体パターン形成プレート455は、図7及び図8に示すように、その外面455fが回転ドラム450の最も外側に位置している。吸収体パターン形成プレート455の外面455fは、外周面4fの一部を形成する部材であり、集積用凹部459の外周面を形成する部材でもある。ここで「集積用凹部459の外周面」とは、集積用凹部459を平面視した際の集積用凹部459の輪郭で囲まれた部分の面を意味する。吸収体パターン形成プレート455は、一対のパターン形成プレート455a,455bから形成されている。一対のパターン形成プレート455a,455bは、製造装置400においては、集積用凹部459のドラム幅方向(y1方向)の中心を通る中心線に対して対称な形状に形成されており、互いに合致させることによって、ドラム幅方向(y1方向)の中央部に、吸収性コア40の輪郭形状に対応する形状の空間部40Aが形成される。吸収体パターン形成プレート455は、この空間部40Aを除き、空気を通さない非通気性の部材となっている。吸収体パターン形成プレート455としては、例えば、ステンレスあるいはアルミ等の金属又は樹脂製の板に機械加工を施したプレート、金型を用いて成形したプレート等を用いることができる。尚、吸収体パターン形成プレート455の厚みは、一定に形成されており、吸収性コア40の厚みを決定する要素の1つとなる。
製造装置400においては、図7及び図8に示すように、回転ドラム450の外周面4fを形成する部材451が、以上のように構成されたメッシュプレート454及び吸収体パターン形成プレート455を重ね合わせた重合体を、フレーム体453の各貫通口453bに配し、リブ453cにボルトあるいは接着剤等の公知の固定手段によって、固定されて形成されている。このようにして形成された各集積用凹部459の底面は、メッシュプレート454で構成されるようになる。各集積用凹部459の底面は、製造装置400においては、メッシュプレート454を構成する多孔性部材の微細な通気孔が、集積用凹部459が負圧に維持された空間A上を通過している間、吸引孔として機能する。
ダクト460は、図6に示すように、その一端側が、負圧に維持される空間456上に位置する回転ドラム450の外周面4fを覆っており、図示しない他端側には、繊維材料導入装置を有している。繊維材料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプとし、その解繊したパルプ(繊維材料)をダクト内に送り込む粉砕器を備え、ダクト460の途中に吸水性ポリマーを導入する吸水性ポリマー散布管(不図示)を備えている。
トランスファーロール470は、図6に示すように、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部がR2方向に回転する。トランスファーロール470の内側(回転軸側)の非回転部分には、内部を減圧可能な空間471が形成されている。空間471には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間471内を負圧に維持可能である。
バキュームボックス465は、回転ドラム450の回転方向R1において、ダクト460の下流側端部461と、トランスファーロール470との間に配置されている。バキュームボックス465は、箱状の形状を有し、回転ドラム450に対向する部位に、回転ドラム450方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス465は、排気管465aを介して、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス465内を負圧に維持可能である。
メッシュベルト475は、網目を有する帯状の通気性ベルトが無端状に連結されたものであり、複数のフリーロール及びトランスファーロール470に案内されて所定の経路を連続的に移動する。メッシュベルト475は、トランスファーロール470の回転によって駆動される。メッシュベルト475は、バキュームボックス465の前記開口部の前を通過している間は、回転ドラム450の外周面4fに接触しており、トランスファーロール470と回転ドラム450とが最も接近している最接近部付近で、回転ドラム450の外周面4fから離れてトランスファーロール470上へと移行する。
バキュームコンベア480は、駆動ロール481及び従動ロール482に架け渡された無端状の通気性ベルト483と、通気性ベルト483を挟んでトランスファーロール470と対向する位置に配されたバキュームボックス484とを備えている。
上述した吸収体の製造装置400を用いて吸収体4(吸収性コア40)を連続的に製造する方法について説明する。
先ず、回転ドラム450内の空間456及びバキュームボックス465,484内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。このように、空間456内を負圧にすることで、ダクト460内に、吸収性材料44を回転ドラム450の外周面4fに搬送させる空気流が生じるからである。
次に、回転ドラム450及びトランスファーロール470を回転させ、バキュームコンベア480を作動させる。そして、前記繊維材料導入装置を作動させて、ダクト460内に、解繊したパルプ(繊維材料)及び吸水性ポリマーを供給する。これらの吸収性材料44は、ダクト460内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム450の外周面4fに向けて供給される。
回転ドラム450の外周面4fでは、ダクト460に覆われた部分に搬送されている間に、図9に示すように、回転ドラム450の集積用凹部459に、吸収性材料44が吸引される。吸収性材料44は、集積用凹部459のメッシュプレート454上に徐々に堆積する。こうして得られた堆積物46においては、難通気性部材43A上に吸収性材料44が堆積してなる部位(難通気性部材43A対応部)が、最も吸収性材料44の堆積量が少なく、隆起部分42A上に吸収性材料44が堆積してなる部位(隆起部分42A対応部)が、難通気性部材43A対応部よりも吸収性材料44の堆積量が多く、隆起部分42A及び難通気性部材43Aを除くメッシュプレート454の部位が、吸収性材料44の堆積量が最も多くなっている。このように、堆積物46は凹凸のあるブロック構造を有するようになる。
そして、回転ドラム450が回転して、図6に示すように、集積用凹部459がバキュームボックス465の対向位置にくると、集積用凹部459内の堆積物46がバキュームボックス465からの吸引によって、メッシュベルト475に吸い付けられた状態となる。集積用凹部459内の堆積物46は、その状態で、トランスファーロール470と回転ドラム450との最接近部の直前まで搬送され、該最接近部付近で、トランスファーロール470側からの吸引により、メッシュベルト475に吸い付けられた状態のまま集積用凹部459より離型し、トランスファーロール470上へと移行する。
こうして、図6に示すように、メッシュベルト475と共にトランスファーロール470上に移行したブロック構造を有する堆積物46は、トランスファーロール470上のメッシュベルト475に吸着されたまま、バキュームコンベア480との受け渡し部(トランスファーロール470の最下端部)まで搬送され、該受け渡し部において、バキュームボックス484による吸引によりバキュームコンベア480上へと移行する。
製造装置400では、図6に示すように、堆積物46が載置される前のバキュームコンベア480上に、コアラップシート41が導入され、コアラップシート41上に堆積物46が移行する。そして、更に、折り返し板(図示せず)によりコアラップシート41が折られて堆積物46をコアラップシート41で包んだ後、コアラップシート41で包まれた状態の堆積物46を、搬送方向に隣り合う堆積物46,46どうしの間毎に切断して、1個分の吸収体4の寸法に切断された吸収体前駆体4bを連続的に製造する。
そして、吸収体の製造装置400では、こうして得られた吸収体前駆体4bを加圧手段490によって圧縮し、吸収体前駆体4bを構成する堆積物46の厚みを積極的に減少させて、目的とする吸収体4を得る。加圧手段490は、図6に示すように、少なくとも一方が表面平滑なロール491,492を備え、ロール491,492間に導入された吸収体前駆体4bを厚み方向に圧縮可能に構成されている。
加圧手段490によって堆積物46を圧縮すると、隆起部分42A及び難通気性部材43Aを除くメッシュプレート454の部位に対応する吸収性材料44の堆積量が最も多く厚みの大きい部位が、難通気性部材43A対応部及び隆起部分42A対応部よりも強く圧縮される。この強く圧縮された部分が、吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側部4S,4Sを含む、窪み部42を囲む周囲の部分となる。また、上述した製造装置400を用いて製造された吸収体4の吸収性コア40においては、隆起部分42A対応部が窪み部42となり、難通気性部材43A対応部が流路溝43の横流路溝43Yとなる。従って、製造された吸収性コア40においては、窪み部42の密度(流路溝43の部分を除く)が、吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側部4S,4S(流路溝43の部分を除く)それぞれの密度よりも低く形成されるようになる。そして、横流路溝43Yを有する流路溝43の密度が最も低く形成されるようになる。
上述した失禁パッド10は、帯状の表面シート2と帯状の裏面シート3との間に、窪み部42及び流路溝43を備える吸収性コア40を、表面シート2側に窪み部42が対向するように吸収体4を配置した後、個々の物品の形状に裁断することにより得られる。
次に、失禁パッド10の表面シート2について詳述すると、表面シート2は、図10に示すように、縦方向Xに延びる筋状の凸条部13及び凹条部14が横方向Yに交互に配された凹凸構造の不織布1から構成されている。また、図2に示すように、表面シート2は、その凹条部14において、隣接する下側シート7と接合されており、凸条部13は下側シート7との間に中空構造を有している。また、表面シート2を構成する不織布1は、図12に示すように、繊維径が相互に異なる大径部17及び小径部16,16を有する繊維11を含んでいる。
表面シート2を構成する不織布1についてより詳細に説明する。
図10には、本実施形態の失禁パッド10において、表面シート2として用いた不織布1(以下、「不織布1」ともいう。)の斜視図が示されている。図11は、図10に示す不織布1の厚み方向の断面を示す模式図である。図12は、図10に示す不織布1の構成繊維11の拡大模式図である。不織布1は、図12に示すように、構成繊維11同士の交点を熱融着して形成された融着部12を複数備えた不織布である。また、表面シート2を構成する不織布1においては、凸条部13及び凹条部14が延びる「一方向」は、失禁パッド10の縦方向Xと同方向であり、不織布1において、凸条部13及び凹条部14が延びる「一方向」をX方向とも表記する。
より具体的には、不織布1は、図11に示すように、表裏両面a,bの断面形状が共に厚み方向(Z方向)の上方に向かって凸状をなす複数の凸条部13と、隣り合う凸条部13,13どうしの間に位置する凹条部14とを有している。凹条部14は、表裏両面a,bの断面形状が共に不織布の厚み方向(Z方向)の上方に向かって凹状をなしている。言い換えれば、凹条部14は、表裏両面a,bの断面形状が共に不織布の厚み方向(Z方向)の下方に向かって凸状をなしている。そして、複数の凸条部13は、それぞれ、不織布1の一方向(X方向)に連続して延びており、複数の凹条部14も、不織布1の一方向Xに連続して延びる溝状をなしている。凸条部13及び凹条部14は、互いに平行であり、前記一方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に交互に配されている。
不織布1は、後述するように、繊維シート1aに、互いに噛み合う一対の凹凸ロール131,132を用いて凹凸加工を施して製造されたものである。上述した不織布1の一方向(X方向)とは、繊維シート1aに凹凸加工を施して不織布1を製造する際の機械方向(MD,流れ方向)と同じ方向であり、上述した不織布1の一方向(X方向)に直交する方向(Y方向)とは、前記機械方向(MD,流れ方向)に直交する直交方向(CD,ロール軸方向)と同じ方向である。
不織布1の構成繊維11は、高伸度繊維が含まれている。ここで、構成繊維11が含む高伸度繊維とは、原料の繊維の段階で高伸度である繊維のみならず、製造された不織布1の段階でも高伸度である繊維を意味する。「高伸度繊維」としては、弾性(エラストマー)を有して伸縮する伸縮性繊維を除き、例えば特開2010−168715号公報の段落[0033]に記載のように低速で溶融紡糸して複合繊維を得た後に、延伸処理を行わずに加熱処理及び/又は捲縮処理を行うことにより得られる加熱により樹脂の結晶状態が変化して長さの延びる熱伸長性繊維、或いは、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂を用いて比較的紡糸速度を低い条件にして製造した繊維、又は、結晶化度の低い、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体、若しくはポリプロピレンに、ポリエチレンをドライブレンドし紡糸して製造した繊維等が挙げられる。それらの繊維の内でも高伸度繊維は、熱融着性のある芯鞘型複合繊維であることが好ましい。芯鞘型複合繊維は、同心の芯鞘型でも、偏心の芯鞘型でも、サイド・バイ・サイド型でも、異形型でもよいが、特に同心の芯鞘型であることが好ましい。繊維がどのような形態をとる場合であっても、柔軟で肌触り等のよい不織布等を製造する観点からは、高伸度繊維の繊度は、原料の段階で、1.0dtex以上10.0dtex以下が好ましく、2.0dtex以上8.0dtex以下であることがより好ましい。
不織布1の構成繊維11は、高伸度繊維に加えて、他の繊維を含んで構成されていてもよいが、高伸度繊維のみから構成されていることが好ましい。他の繊維としては、例えば融点の異なる2成分を含み且つ延伸処理されてなる非熱伸長性の芯鞘型熱融着性複合繊維、或いは、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)等が挙げられる。不織布1が高伸度繊維に加えて他の繊維も含んで構成されている場合、該不織布1における高伸度繊維の割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
高伸度繊維である熱伸長性繊維は、原料の段階で、未延伸処理又は弱延伸処理の施された複合繊維であり、例えば、芯部を構成する第1樹脂成分と、鞘部を構成する、ポリエチレン樹脂を含む第2樹脂成分とを有しており、第1樹脂成分は、第2樹脂成分より高い融点を有している。第1樹脂成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であり、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。第1樹脂成分及び第2樹脂成分の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用い、細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定し、その融解ピーク温度で定義される。第2樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合、その樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、第2樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に第2樹脂成分が融着する温度を軟化点とし、これを融点の代わりに用いる。
鞘部を構成する第2樹脂成分としては、上述の通りポリエチレン樹脂を含んでいる。該ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。特に、密度が0.935g/cm3以上0.965g/cm3以下である高密度ポリエチレンであることが好ましい。鞘部を構成する第2樹脂成分は、ポリエチレン樹脂単独であることが好ましいが、他の樹脂をブレンドすることもできる。ブレンドする他の樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられる。ただし、鞘部を構成する第2樹脂成分は、鞘部の樹脂成分中の50質量%以上が、特に70質量%以上100質量%以下が、ポリエチレン樹脂であることが好ましい。また、該ポリエチレン樹脂は、結晶子サイズが10nm以上20nm以下であることが好ましく、11.5nm以上18nm以下であることがより好ましい。
芯部を構成する第1樹脂成分としては、鞘部の構成樹脂であるポリエチレン樹脂より融点が高い樹脂成分を特に制限なく用いることができる。芯部を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂を除く)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂等が挙げられる。更に、ポリアミド系重合体や樹脂成分が2種以上の共重合体等も使用することができる。複数種類の樹脂をブレンドして使用することもでき、その場合、芯部の融点は、融点が最も高い樹脂の融点とする。不織布の製造が容易となることから、芯部を構成する第1樹脂成分の融点と、鞘部を構成する第2樹脂成分の融点との差(前者−後者)が、20℃以上であることが好ましく、また150℃以下であることが好ましい。
高伸度繊維である熱伸長性繊維における第1樹脂成分の好ましい配向指数は、用いる樹脂により自ずと異なるが、例えば第1樹脂成分がポリプロピレン樹脂の場合は、配向指数が60%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下であり、更に好ましくは25%以下である。第1樹脂成分がポリエステルの場合は、配向指数が25%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下であり、更に好ましくは10%以下である。一方、第2樹脂成分は、その配向指数が5%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上であり、更に好ましくは30%以上である。配向指数は、繊維を構成する樹脂の高分子鎖の配向の程度の指標となるものである。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数は、特開2010−168715号公報の段落〔0027〕〜〔0029〕に記載の方法によって求められる。また、熱伸長性複合繊維における各樹脂成分が前記のような配向指数を達成する方法は、特開2010−168715号公報の段落〔0033〕〜〔0036〕に記載されている。
また、高伸度繊維の伸度は、原料の段階で、100%以上800%以下であることが好ましく、より好ましくは200%以上500%以下、更に好ましくは250%以上400%以下である。この範囲の伸度を有する高伸度繊維を用いることで、該繊維が延伸装置内で首尾よく引き伸ばされて、先に述べた小径部から大径部への変化点が融着部に隣接され、肌触りが良好となる。
高伸度繊維の伸度はJISL−1015に準拠し、測定環境温湿度20±2℃、65±2%RH、引張試験機のつかみ間隔20mm、引張速度20mm/min の条件での測定を基準とする。なお、既に製造された不織布から繊維を採取して伸度を測定するときを始めとして、つかみ間隔を20mmにできない場合、つまり測定する繊維の長さが20mmに満たない場合には、つかみ間隔を10mm又は5mmに設定して測定する。
高伸度繊維における第1樹脂成分と第2樹脂成分との比率(質量比、前者:後者)は、原料の段階で、10:90〜90:10、特に20:80〜80:20、とりわけ50:50〜70:30であることが好ましい。高伸度繊維の繊維長は、不織布の製造方法に応じて適切な長さのものが用いられる。不織布を例えば後述するようにカード法で製造する場合には、繊維長を30〜70mm程度とすることが好ましい。
高伸度繊維の繊維径は、原料の段階で、不織布の具体的な用途に応じ適切に選択される。不織布を吸収性物品の表面シート等の吸収性物品の構成部材として用いる場合には、10μm以上35μm以下、特に15μm以上30μm以下のものを用いることが好ましい。前記の繊維径は、次の方法で測定される。
〔繊維の繊維径の測定〕
繊維の繊維径として、繊維の直径(μm)を、走査電子顕微鏡(日本電子(株)社製JCM−5100)を用いて、繊維の断面を200倍〜800倍に拡大観察して測定する。繊維の断面は、フェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)を用い、繊維を切断して得る。抽出した繊維1本について円形に近似したときの繊維径を5箇所測定し、それぞれ測定した値5点の平均値を繊維の直径とする。
原料の段階で、高伸度繊維である熱伸長性繊維としては、上述の熱伸長性繊維の他に、特許第4131852号公報、特開2005−350836号公報、特開2007−303035号公報、特開2007−204899号公報、特開2007−204901号公報及び特開2007−204902号公報等に記載の繊維を用いることもできる。
失禁パッド10では、不織布1は、図12に示すように、不織布1の構成繊維11の内の1本の構成繊維11に着目して、該構成繊維11が、隣り合う融着部12,12どうしの間に、繊維径の小さい2個の小径部16,16に挟まれた繊維径の大きい大径部17を有している。具体的には、図12に示すように、不織布1の構成繊維11の内の1本の構成繊維11に着目して、他の構成繊維11との交点を熱融着して形成された融着部12から、繊維径の小さい小径部16が略同じ繊維径で延出して形成されている。そして、該1本の構成繊維11に着目して、隣り合う融着部12,12それぞれから延出する小径部16,16どうしの間に、小径部16よりも繊維径の大きい大径部17が略同じ繊維径で延出して形成されている。詳述すると、不織布1は、1本の構成繊維11に着目して、隣り合う融着部12,12の内の一方の融着部12から他方の融着部12に向かって、一方の融着部12側の小径部16、1個の大径部17、他方の融着部12側の小径部16の順に配されている構成繊維11を有している。
上述したように不織布1の剛性が高まる融着部12に隣り合うように低剛性の小径部16が存在することにより、不織布1の柔軟性が向上し、肌触りが良好になる。また、大径部17を複数備える、言い換えると構成繊維11に低剛性の小径部16が多く存在するほど、不織布1の柔軟性が更に向上し、肌触りが更に良好になる。
不織布1は、図12に示すように、不織布1の構成繊維11の内の1本の構成繊維11に着目して、隣り合う融着部12,12どうしの間に、大径部17を複数(不織布1においては2個)備える構成繊維11を有している。詳述すると、不織布1は、1本の構成繊維11に着目して、隣り合う融着部12,12の内の一方の融着部12から他方の融着部12に向かって、一方の融着部12側の小径部16、1個目の大径部17、小径部16、2個目の大径部17、他方の融着部12側の小径部16の順に配されている構成繊維11を有している。不織布1は、1本の構成繊維11に着目して、隣り合う融着部12,12どうしの間に、大径部17を、肌触り向上の観点と不織布強度低下の観点から、好ましくは1個以上5個以下備え、更に好ましくは1個以上3個以下備えている。
大径部17の繊維径(直径L17)に対する小径部16の繊維径(直径L16)の比率(L16/L17)は、好ましくは0.5以上0.8以下、更に好ましくは0.55以上0.7以下である。具体的に、小径部16の繊維径(直径L16)は、肌触り向上の観点から、好ましくは5μm以上28μm以下、更に好ましくは6.5μm以上20μm以下、特に好ましくは7.5μm以上16μm以下である。大径部17の繊維径(直径L17)は、肌触り向上の観点から、好ましくは10μm以上35μm以下、更に好ましくは13μm以上25μm以下、特に好ましくは15μm以上20μm以下である。
小径部16及び大径部17の繊維径(直径L16,L17)は、上述した繊維の繊維径の測定と同様にして測定する。
また、失禁パッド10では、不織布1は、図12に示すように、不織布1の構成繊維11の内の1本の構成繊維11に着目して、融着部12に隣接する小径部16から大径部17への変化点18が、該融着部12から隣り合う融着部12,12どうしの間隔Tの1/3の範囲内に配されている。ここで、本発明の不織布の変化点18とは、小さい繊維径で延出する小径部16から、小径部16よりも繊維径の大きい繊維径で延出する大径部17へ、連続的に漸次変化する部位或いは連続的に複数段階に亘って変化する部位を含まず、極端に一段で繊維径が変化する部位を意味する。また、前記1本の構成繊維11が熱伸長性複合繊維の場合には、本発明の不織布の変化点18とは、芯部を構成する第1樹脂成分と、鞘部を構成する第2樹脂成分との間で剥離することによって繊維径が変化する状態を含まず、あくまで、延伸により繊維径が変化している部位を意味する。
また、変化点18が、融着部12から隣り合う融着部12,12どうしの間隔Tの1/3の範囲内に配されているとは、不織布1の構成繊維11をランダムに抽出し、該構成繊維11を、図12に示すように、走査電子顕微鏡として日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)を用いて構成繊維11の隣り合う融着部12、12間が観察できるように(100倍〜300倍)に拡大する。次いで、隣り合う融着部12,12の中心どうしの間隔Tを3等分して、一方の融着部12側の領域AT、他方の融着部12側の領域BT、中央の領域CTに区分する。そして、変化点18が、前記領域AT又は前記領域BTに配されていることを意味する。また、変化点18が、該融着部12から隣り合う融着部12,12どうしの間隔Tの1/3の範囲内に配されている不織布1とは、不織布1の構成繊維11を20本ランダムに抽出した際に、変化点18を前記領域AT又は前記領域BTに配している構成繊維11が、20本の構成繊維11の内に少なくとも1本以上ある不織布を意味する。具体的に、肌触り向上の観点から、好ましくは1本以上、更に好ましくは5本以上、特に好ましくは10本以上である。
失禁パッド10では、不織布1は、図11に示すように不織布1を厚み方向Zに沿って断面視したとき、頂部域13a、底部域13b、及びこれらの間に位置する側部域13cとから構成される。頂部域13a、底部域13b及び側部域13cは、不織布1の一方向(X方向)に連続して延びている。頂部域13a、底部域13b及び側部域13cは、不織布1を厚み方向Zに沿って断面視したとき、不織布1のZ方向の厚みを三等分して、厚み方向Zの上方の部位を頂部域13a、中央の部位を側部域13c、下方の部位を底部域13bとして区別する。不織布1は、凸条部13の頂部が頂部域13aから形成され、凹条部14の底部が底部域13bから形成されている。
図11に示すとおり、不織布1をその厚み方向Zに沿って観察したとき、側部域13cの繊維密度は、頂部域13aの繊維密度及び底部域13bの繊維密度よりも低くなっている。繊維密度とは、不織布1の断面における単位面積当たりの繊維の本数のことである。したがって、側部域13cは、頂部域13a及び底部域13bに比べて繊維の本数が少ない(繊維間距離の大きい)、疎な領域になっており、不織布1全体として、通気性が向上すると共に通液性も向上する。更に、側部域13cの繊維密度が最も小さく形成されることにより、凸条部13が着用者の肌の動きに追従しやすくなり、良好な肌当たりを実現することができる。このような繊維密度を側部域13cに付与するには、後述する製造方法に従い不織布1を製造すればよい。
頂部域13aでの繊維密度(D13a)、又は底部域13bでの繊維密度(D13b)に対する側部域13cの繊維密度(D13c)の比率(D13c/D13a,D13c/D13a)は、好ましくは0.15以上0.9以下、更に好ましくは0.2以上0.8以下である。具体的に、不織布1の繊維密度の具体的な値は、頂部域13aでの繊維密度(D13a)は、好ましくは90本/mm2以上200本/mm2以下、更に好ましくは100本/mm2以上180本/mm2以下である。また、底部域13bでの繊維密度(D13b)は、好ましくは80本/mm2以上200本/mm2以下、更に好ましくは90本/mm2以上180本/mm2以下である。また、側部域13cの繊維密度(D13c)は、好ましくは30本/mm2以上80本/mm2以下、更に好ましくは40本/mm2以上70本/mm2以下である。繊維密度の測定方法は以下のとおりである。
〔頂部域13a、底部域13b及び側部域13cでの繊維密度の測定方法〕
フェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)を用いて不織布を厚み方向Zに沿って切断する。頂部域13aでの繊維密度に関しては、不織布の切断面の厚みをZ方向に三等分した際の上方の部位である頂部域13aを、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30〜60本程度計測できる倍率に調整;150〜500倍)し、一定面積当たり(0.5mm2程度)の前記切断面によって切断されている繊維の断面数を数える。次に1mm2当たりの繊維の断面数に換算し、これを頂部域13aでの繊維密度とする。測定は3箇所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とする。同様に、底部域13bでの繊維密度に関しては、不織布の切断面の厚みをZ方向に三等分した際の下方の部位を測定して求める。同様に、側部域13cの繊維密度に関しては、不織布の切断面の厚みをZ方向に三等分した際の中央の部位を測定して求める。なお、走査電子顕微鏡としては、日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)を用いる。
また、失禁パッド10の不織布1は、側部域13cを構成する構成繊維における、変化点を有する繊維の本数が、頂部域13aを構成する構成繊維における、変化点18を有する繊維の本数、及び底部域13bを構成する構成繊維における、変化点18を有する繊維の本数よりも多く形成されている。頂部域13aを構成する構成繊維における変化点18を有する繊維の本数(N13a)、又は底部域13bを構成する構成繊維における変化点18を有する繊維の本数(N13b)に対する側部域13cを構成する構成繊維における変化点を有する繊維の本数(N13c)の比率(N13c/N13a,N13c/N13b)は、好ましくは2以上20以下、更に好ましくは5以上20以下である。具体的に、不織布1の変化点18を有する繊維の本数の具体的な値に関し、頂部域13aを構成する構成繊維における変化点18を有する繊維の本数(N13a)は、好ましくは1本以上15本以下、更に好ましくは5本以上15本以下である。また、底部域13bを構成する構成繊維における変化点18を有する繊維の本数(N13b)は、好ましくは1本以上15本以下、更に好ましくは5本以上15本以下である。また、側部域13cを構成する構成繊維における変化点18を有する繊維の本数(N13c)は、好ましくは5本以上20本以下、更に好ましくは10本以上20本以下である。変化点18を有する繊維の本数の測定方法は以下のとおりである。
〔頂部域13a、底部域13b又は側部域13cを構成する構成繊維における変化点18を有する繊維の本数の測定方法〕
頂部域13aを構成する構成繊維11における変化点18を有する繊維の本数に関しては、不織布の厚みをZ方向に3等分した際の上方の部位である頂部域13aの頂点付近を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30〜60本程度計測できる倍率に調整;50〜500倍)し、頂部域13aを構成する構成繊維11を20本ランダムに抽出し、20本の構成繊維11の内に変化点18を有する繊維数を数える。これを頂部域13aを構成する構成繊維における変化点18を有する繊維の本数とする。測定は3箇所行い、平均してそのサンプルの頂部域13aを構成する構成繊維における変化点18を有する繊維の本数とする。同様に、底部域13bを構成する構成繊維11における変化点18を有する繊維の本数に関しては、不織布の厚みをZ方向に3等分した際の下方の部位である底部域13bの底点付近を測定して求める。同様に、側部域13cを構成する構成繊維11における変化点18を有する繊維の本数に関しては、不織布の厚みをZ方向に3等分した際の中央の部位を測定して求める。尚、走査電子顕微鏡としては、日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)を用いる。
不織布1の厚さについては、不織布1の側面視したときの全体の厚さをシート厚みTSとし、その凹凸に湾曲した不織布1の局部的な厚さを層厚みTLとする。シート厚みTSは、0.5mm以上7mm以下が好ましく、1.0mm以上5mm以下がより好ましい。この範囲とすることにより、使用時の体液吸収速度が速く、吸収体からの液戻りを抑え、更に、適度なクッション性を実現することができる。
層厚みTLは、不織布1内の各部位において異なっていてもよく、頂部域13aの層厚みTL1は0.1mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上2.0mm以下がより好ましい。底部域13bの層厚みTL2は0.1mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上2.0mm以下がより好ましい。側部域13cの層厚みTL3は0.1mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上2.0mm以下がより好ましい。各層厚みTL1、TL2、TL3の関係は、この範囲とすることにより、使用時の体液吸収速度が速く、吸収体からの液戻りを抑え、更に、適度なクッション性を実現することができる。
シート厚みTS及び層厚みTLは以下の方法で測定される。
シート厚みTSの測定方法は、不織布1に0.05kPaの荷重を加えた状態で、厚み測定器を用いて測定する。厚み測定器にはオムロン社製のレーザー変位計を用いる。厚み測定は、10点測定し、それらの平均値を算出して厚みとする。
層厚みTLの測定法は、シートの断面をキーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−900により約20倍程度で拡大することで、各層の厚みを測定する。
不織布1を平面視したときに、Y方向に隣り合う凸条部13の頂部どうしのピッチは、1mm以上15mm以下が好ましく、1.5mm以上10mm以下がより好ましい。凸条部13の高さH〔図2参照〕は、0.5mm以上5mm以下が好ましく、1mm以上3mm以下がより好ましい。高さHは、不織布1の厚み方向Zの断面を顕微鏡観察し、無荷重下に測定する。
また不織布1の坪量は、シート全体の平均値で15g/m2以上50g/m2以下が好ましく、20g/m2以上40g/m2以下がより好ましい。
また、不織布1の構成繊維11の表面には、原料の段階で、繊維着色剤、静電気防止特性剤、潤滑剤、親水剤等の繊維処理剤が、少量付着されていてもよい。
繊維処理剤を構成繊維11の表面に付着させる方法としては、各種公知の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、ロール転写による塗布、繊維処理剤への浸漬等が挙げられる。これらの処理は、ウエブ化する前の繊維に対して行ってもよいし、繊維を各種の方法でウエブ化した後に行ってもよい。ただし、後述する熱風吹き付け処理よりも前に処理を行う必要がある。繊維処理剤が表面に付着した繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、ポリエチレン樹脂の融点より十分に低い温度(例えば120℃以下)で乾燥される。
本実施形態の失禁パッド10における表面シート2は、図2に示すように、表面シート2を構成する不織布1の凹条部14のそれぞれにおいて、隣接する下側シート7と熱融着によって接合されている。不織布1が繊維径の相互に異なる大径部及び小径部を有する繊維を含んでいるのに加え、隣接する下側シート7と接合されていることによって、着用者の動きに対する追従変形性に優れる。本実施形態における下側シート7は、表面シート2と吸収体4との間に配された、不織布からなるセカンドシートである。
表面シート2の凹条部14は、失禁パッド10の縦方向において、セカンドシートに接合されており、その接合部14sは、失禁パッド10の縦方向Xに連続して形成されていてもよいが、肌との追従性及び肌触りの観点からは、図1に示すように、縦方向Xに間欠的に形成されていることが好ましい。尚、図1に示す例においては、接合部14sが縦方向Xに等間隔に形成されている。
また、表面シート2を熱融着によりセカンドシート等の下側シート7に接合するのに代えて、ホットメルト型接着剤等の接着剤により接合する等、他の接合手段によってセカンドシート(下側シート)に接合しても良い。
セカンドシートを構成する不織布としては、各種製法による不織布を用いることができ、例えば、カード法又はエアレイド法により得た繊維ウエブにエアースルー法で繊維同士の熱融着点を形成したエアースルー不織布、カード法により得た繊維ウエブにヒートロール法で繊維同士の熱融着点を形成したヒートロール不織布、ヒートエンボス不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等の種々の不織布を用いることができる。セカンドシートの坪量は、10g/m2以上40g/m2以下が好ましく、15g/m2以上30g/m2以下がより好ましい。
上述した表面シート2として用いる不織布1は、高伸度繊維を含む繊維ウエブの構成繊維同士の交点を融着部にて熱融着して繊維シートを形成する融着工程と、前記繊維シートを一方向に延伸する延伸工程とを備える不織布の製造方法によって製造される。表面シート2として用いる不織布1の製造方法の一実施態様について、上述した不織布1の好ましい製造方法を例に挙げ、図13を参照しながら説明する。図13には、不織布1の製造方法に用いられる好ましい製造装置100が模式的に示されている。製造装置100は、エア−スルー不織布の製造に好適に用いられるものである。製造装置100は、製造工程の上流側から下流側に向けて、ウエブ形成部110、熱風処理部120、延伸部130、及び下側シート接合部140をこの順で備えている。
ウエブ形成部110には、図13に示すように、ウエブ形成装置111が備えられている。ウエブ形成装置111としては、カード機が用いられている。カード機としては、吸収性物品の技術分野において通常用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。不織布1の具体的な用途に応じ、カード機に代えて、他のウエブ製造装置、例えばエアレイド装置を用いることもできる。
熱風処理部120は、図13に示すように、フード121を備えている。フード121内では、エアースルー方式で熱風を吹き付けることができるようになっている。また、熱風処理部120は、通気性ネットからなる無端状のコンベアベルト122を備えている。コンベアベルト122は、フード121内を周回している。コンベアベルト122は、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂、或いは金属から形成されている。
フード121内にて吹き付けられる熱風の温度及び熱処理時間は、繊維ウエブ1bの構成繊維11の含む高伸度繊維の交点が熱融着するように調整することが好ましい。より具体的には、熱風の温度は、繊維ウエブ1bの構成繊維11の内の最も融点が低い樹脂の融点に対して、0℃〜30℃高い温度に調整することが好ましい。熱処理時間は、熱風の温度に応じて、1秒〜5秒に調整することが好ましい。また、構成繊維11同士の更なる交絡を促す観点から、熱風の風速は0.3m/秒〜1.5m/秒程度であることが好ましい。また、搬送速度は、5m/min〜100m/min程度であることが好ましい。
延伸部130は、図13,図14に示すように、互いに噛み合いが可能になっている一対の凹凸ロール131,132を備えている。一対の凹凸ロール131,132は、加熱可能に形成されており、それぞれ、大径凸部133,134と小径凹部(図示せず)とがロール軸方向に交互に配されて形成されている。凹凸ロール131,132は加熱してもしなくても良いが、凹凸ロール131,132を加熱する場合の加熱温度は、後述する繊維シート1aの構成繊維11の含む高伸度繊維を延伸し易くする観点から、高伸度繊維内の最もガラス転移点が高い樹脂のガラス転移点以上、高伸度繊維内の最も融点が低い樹脂の融点以下にすることが好ましい。より好ましくは繊維のガラス転移点より10℃高い温度以上、融点よりも10℃低い温度以下であり、更に好ましくは繊維のガラス転移点より20℃高い温度以上、融点よりも20℃低い温度以下である。例えば、繊維に芯/鞘構造の繊維として、ガラス転移点67℃、融点258℃のPET(芯)/ガラス転移点−20℃、融点135℃のPE(鞘)を用いた際に加熱する場合には、67℃以上、135℃以下が好ましく、より好ましくは77℃以上、125℃以下、更に好ましくは87℃以上、115℃以下に加温する。
また、製造装置100においては、図13に示すように、凹凸ロール131のロール軸方向に隣り合う大径凸部どうし133,133の間隔(ピッチ)、及び凹凸ロール132のロール軸方向に隣り合う大径凸部どうし134,134の間隔(ピッチ)が同じ間隔(ピッチ)wであり、間隔(ピッチ)wは、繊維シート1aの構成繊維11の含む高伸度繊維が延伸装置内で首尾よく引き伸ばされて、先に述べた小径部から大径部への変化点が融着部に隣接され、肌触りが良好となる観点から、好ましくは1mm以上10mm以下であり、特に好ましくは1.5mm以上8mm以下である。同様の観点から、図14に示すように、一対の凹凸ロール131,132の押し込み量t(ロール軸方向に隣り合う大径凸部133の頂点と大径凸部134の頂点との間隔)は、好ましくは1mm以上3mm以下であり、特に好ましくは1.2mm以上2.5mm以下である。そして機械延伸倍率は、同様の観点から、好ましくは1.5倍以上3.0倍以下であり、特に好ましくは1.7倍以上2.8倍以下である。
下側シート接合部140は、凹凸ロール132と表面平滑なフラットロール141とを備えており、凹凸ロール132の大径凸部134とフラットロール141の周面との間で、凹凸形状とされた不織布1と下側シート7とを、加熱及び加圧することにより接合する。
以上の構成を有する製造装置100を用いた不織布1の製造方法について説明する。
先ず、図13に示すように、ウエブ形成部110にて、高伸度繊維を有する短繊維状の構成繊維11を原料として用い、カード機であるウエブ形成装置111によって繊維ウエブ1bを形成する(ウエブ形成工程)。ウエブ形成装置111によって製造された繊維ウエブ1bは、その構成繊維11どうしが緩く絡合した状態にあり、シートとしての保形性を獲得するには至っていない。
次いで、図13に示すように、高伸度繊維を含む繊維ウエブ1bの構成繊維11同士の交点を融着部12にて熱融着して繊維シート1aを形成する(融着工程)。具体的には、繊維ウエブ1bは、コンベアベルト122上に搬送され、熱風処理部120にて、フード121内を通過する間に、熱風がエアースルー方式で吹き付けられる。このようにエアースルー方式で熱風が吹き付けられると、繊維ウエブ1bの構成繊維11同士が更に交絡すると同時に、絡合した繊維の交点が熱融着して(図16(a)参照)、シート状の保形性を有する繊維シート1aが製造される。
次いで、図13に示すように、融着された繊維シート1aを一方向に延伸する(延伸工程)。具体的には、シートとしての保形性を有する融着された繊維シート1aを、一対の凹凸ロール131,132の間に搬送して、図16(a)〜図16(c)に示すように、繊維シート1aを延伸して、隣り合う融着部12,12どうしの間の1本の構成繊維11に、繊維径の小さい2個の小径部16,16に挟まれた繊維径の大きい大径部17を形成すると共に、該小径部16から該大径部17への変化点18を、該融着部12から隣り合う該融着部12,12どうしの間隔Tの1/3の範囲内に形成する。詳述すると、図16(a)に示すような、構成繊維11同士の交点が融着部12にて熱融着している繊維シート1aを、一対の凹凸ロール131,132の間に搬送して、繊維シート1aを、機械方向(MD,流れ方向)に直交する直交方向(CD,ロール軸方向)に延伸する。繊維シート1aが直交方向(CD,ロール軸方向)に延伸される際には、図16(a)に示す、構成繊維11同士を固定している隣り合う該融着部12,12どうしの間の領域が、直交方向(CD,ロール軸方向)に積極的に引き伸ばされる。特に、図16(b)に示すように、構成繊維11同士を固定している各融着部12の近傍で、先ず局部収縮が起こり易く、隣り合う融着部12,12どうしの間の1本の構成繊維11に関しては、両端に2個の小径部16,16が形成され、該2個の小径部16,16に挟まれた部分が大径部17となり、2個の小径部16,16に挟まれた大径部17が形成される。このように、各融着部12の近傍で、先ず局部収縮が起こり易いので、小径部16から大径部17への変化点18が、該融着部12から隣り合う該融着部12,12どうしの間隔Tの1/3の範囲内に形成される。
そして、一部の隣り合う融着部12,12どうしの間の1本の構成繊維11に関しては、図16(c)に示すように、伸長できる余地(伸びしろ)を残した状態で、更に直交方向(CD,ロール軸方向)に延伸され、該隣り合う融着部12,12どうしの間の大径部17が延伸され、大径部17の中に小径部16が複数形成されるようになる。
以上のように、製造装置100を用いた不織布1の製造方法によれば、図12に示す構成繊維11を備える不織布1を連続的に効率よく製造することができる。また、製造された不織布1は、凹凸ロール132によって、凹凸形状に変形された状態のまま、下側シート接合部140のシート合流部に搬送される。シート合流部には、ロール状巻回物7’から巻き出されたセカンドシート用の帯状の下側シート7が供給されており、凹凸形状の不織布1は、帯状の下側シート7と重ねた状態とされて、凹凸ロール132とフラットロール141との間に導入される。凹凸ロール134とフラットロール141との間においては、凹凸形状の不織布1における凹条部部分と帯状の下側シート7とが、凹凸ロール132の大径凸部133とフラットロール141の周面との間で加熱及び加圧されて接合する。このようにして、不織布1からなる表面シート2が、凹条部14において下側シート7に接合された帯状の複合シートが得られる。帯状の複合シートは、巻き取った後に、失禁パッド10の製造ラインに導入されるか、巻き取ることなく、失禁パッド10の製造ラインに導入される。
上述した失禁パッド10は、帯状の複合シートと帯状の裏面シート3との間に、肌対向面に形成された窪み部42及び体液を拡散する流路溝43を備える吸収性コア40から形成された吸収体4を配置した後、個々の物品の形状に裁断することにより得られる。
上述した失禁パッド10の作用効果について説明する。
失禁パッド10では、図1、図3(a)、図4及び図5に示すように、吸収性コア40は、肌対向面に形成された窪み部42と、体液を拡散する流路溝43とを備えている。そして、窪み部42が、排泄部対向部Bで且つ横方向Yの中央部4Cに、縦方向Xに延びて形成されている。また、横方向Yに延びる複数の横流路溝43Yが、吸収性コア40を横断面視して、窪み部42を横切って、吸収性コア40の縦方向に沿う両側部4S,4Sに跨っている。その為、失禁パッド10の着用時に、着用者から排泄された体液を窪み部42で一旦保持することができる。そして窪み部42で一旦保持吸収した体液を、複数の横流路溝43Yで吸収体4の縦方向Xに沿う両側部4S,4S側に素早く移行することができる。従って、窪み部42での液戻りがし難くなっている。また、窪み部42で一旦保持吸収した体液を、複数の横流路溝43Yで吸収体4の縦方向Xに沿う両側部4S,4S側に素早く移行することができるので、体液吸収後においても窪み部42がくぼんだ形を維持でき、体液の横漏れを防止することができる。特に、失禁パッド10では、窪み部42及び流路溝43を備える吸収性コア40が一体成形されているので、窪み部42で一旦保持吸収した体液を、複数の横流路溝43Yで吸収体4の縦方向Xに沿う両側部4S,4S側に素早くスムーズに移行することができる。
また、失禁パッド10では、図3(a)、図4及び図5に示すように、窪み部42の密度(流路溝43の部分を除く)が、吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側部4S,4S(流路溝43の部分を除く)それぞれの密度よりも低く形成されている。その為、体液吸収後の窪み部42の復元力が弱く、体液吸収後においても窪み部42がくぼんだ形を維持できる。また、粗密構造によって、窪み部42で一旦保持吸収した体液を、複数の横流路溝43Yで吸収体4の縦方向Xに沿う両側部4S,4S側に素早くスムーズに移行することができると共に、移行した体液を吸収した吸水性ポリマーの膨潤によって両側部4S,4Sが膨らみ易い。その為、窪み部42がくぼんだ形を更に維持でき、体液の横漏れを抑制することができる。
また、失禁パッド10では、図3(a)及び図4に示すように、窪み部42及び流路溝43を構成する横流路溝43Yが肌対向面に形成されている。そして、横流路溝43Yが、窪み部42よりも更に非肌対向面側に向かって窪んで形成されている。その為、窪み部42で一旦保持吸収した体液を、複数の横流路溝43Yで吸収体4の縦方向Xに沿う両側部4S,4S側に素早くスムーズに移行することができる。また、各横流路溝43Yが、吸収性コア40の縦方向に沿う両側部4S,4Sの側縁4S1にまでは至っていないので、横流路溝43Yに起因して、体液の横漏れが発生し難い。
移行した体液を吸収した吸水性ポリマーの膨潤によって両側部4S,4Sが膨らみ易く、窪み部42がくぼんだ形を更に維持でき、体液の横漏れを抑制することができる観点から、吸収性コア40は、吸水性ポリマーの混合比率が、窪み部42に比べて縦方向Xに沿う両側部4S,4Sそれぞれの方が大きいことが好ましい。尚、側部4Sにおける吸水性ポリマーの混合比率とは、流路溝43の部分を除いた部分の混合比率を意味する。吸水性ポリマーの混合比率の調整は、吸収体4の製造装置400の備える吸水性ポリマー散布管(不図示)の配置位置、配置本数、吸水性ポリマーの導入量を変更することにより調整できる。
〔混合比率の測定方法〕
混合比率の測定は、遠心保持量(吸水量)の測定に用いられているJIS K 7223(1996)に準拠して行う。具体的には、下記(1)〜(4)の手順で測定する。
(1)ナイロン製の織布(三力製作所販売、品名:ナイロン網、規格:250メッシュ)を、幅10cm、長さ40cmの長方形に切断し、長手方向中央で二つ折りにした後、幅方向の両端をヒートシールして、幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。
(2)吸収性コアから吸液性繊維と吸収性ポリマーの単体、及び吸収性コアそのものを、それぞれ1.00g量り採り、そのそれぞれを、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。入れる前に吸収性コアのみ体積を測定する。吸収性コアの試料は、吸収性コアの厚み方向の全域に亘る範囲を切り出す。また、吸収性コアの体積は、コアラップシートを含む吸収体にプレートを載せて荷重100kPa以下に吸収性コアの厚みを測定し、その厚みに、内部に含まれる吸収性コアの質量が1.00gとなる吸収体の面積を乗じて算出する。
「厚みの測定には、2つの平行な加圧面(固定加圧面と可動加圧面)を持つマイクロメーターであるピーコック式精密測定器(型式R1−C)を用い、測定子可動加圧面の直径は5mm、圧力は100kPa以下で測定する。試験片上に20mm×20mmのプレートを置き、測定子可動加圧面を2mm/sの速度で操作し、該プレートに当て、安定直後の値を読み取る。」
(3)試料の入ったナイロン袋を、25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)に浸漬させ、浸漬開始1時間後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン(株)製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で10分間とする。
(4)脱水後、吸液性繊維、吸水性ポリマー及び吸収性コアの各試料の質量をそれぞれ測定し、浸漬前と浸漬後の、吸液性繊維、吸水性ポリマー及び吸収性コアの各試料の質量の関係から吸水性ポリマーの含有量を算出する。
そして、算出された吸水性ポリマーの含有量と浸漬する前に測定した吸収性コアの体積から混合比率を算出する。以下に吸収性コア1.00gに含まれている吸液性繊維の含有量を計算する連立方程式の立て方を記載する。
x+y=1.00
ax+by=Z
(ただし、式中のaは吸液性繊維だけで遠心保持量を測定した場合に1.00gの吸液性繊維が何倍増加したかを表す定数、bは吸水性ポリマーだけで遠心保持量を測定した場合に1.00gの吸水性ポリマーが何倍増加したかを表す定数、Zは吸収性コアの1.00g遠心保持量の値を表す。また、x、yは吸収性コアの試料1.00gに含まれている吸液性繊維と吸水性ポリマーのそれぞれの質量を表している。)
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。
なお、浸漬前の各試料の質量の測定は、温度23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
次に、本発明の第2〜4実施形態の吸収性物品である失禁パッド10B〜10Dについて説明する。第2〜4実施形態の失禁パッド10B〜10Dは、吸収体4を構成する吸収性コア40の形態が、上述した実施形態の失禁パッド10の吸収性コア40の形態と異なる。第2〜4実施形態の失禁パッド10B〜10Dの吸収性コア40については、上述した実施形態の失禁パッド10の吸収性コア40と異なる点について主として説明し、同様の点については同一の符号を付して説明を省略する。特に言及しない点については、上述した実施形態の失禁パッド10の吸収性コア40に関する説明が適宜適用される。また、第2〜4実施形態の失禁パッド10B〜10Dの吸収性コア40の効果については、上述した実施形態の失禁パッド10の効果と異なる点について説明し、特に説明しない点は、上述した実施形態の失禁パッド10の効果と同様であり、上述した実施形態の失禁パッド10の効果の説明が適宜適用される。
第2実施形態の失禁パッド10Bでは、図17(a)、図17(b)、図18及び図19に示すように、吸収性コア40は、肌対向面に形成された窪み部42と、体液を拡散する流路溝43とを備えている。失禁パッド10Bでは、窪み部42は、排泄部対向部Bで且つ横方向Yの中央部4Cに、縦方向Xに延びて形成されている。また、失禁パッド10Bでは、流路溝43は、横方向Yに延びる横流路溝43Yと、縦方向Xに延びる縦流路溝43Xとを有している。複数の横流路溝43Yは、それぞれ、吸収性コア40を横断面視して、窪み部42を横切って、吸収性コア40の縦方向に沿う両側部4S,4Sに跨っている。また、縦流路溝43Xは、窪み部42を通過して、吸収性コア40の縦方向Xの両端部4A,4Cに跨っている。失禁パッド10Bでは、縦流路溝43Xは、2本であり、各縦流路溝43Xが中心線CLに平行に配されており、2本の縦流路溝43Xが縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に配されている。縦流路溝43Xは、液吸収に伴う窪み部の吸収性能低下に対する縦方向への液の拡散性の観点から、好ましくは1本以上、更に好ましくは2本以上、そして、好ましくは5本以下、更に好ましくは4本以下、具体的には、好ましくは1本以上5本以下、更に好ましくは2本以上4本以下である。
縦流路溝43Xが複数である場合には、失禁パッド10Bを展開して伸長した状態を平面視して、各縦流路溝43Xの縦方向Xの長さ、及び横方向Yに隣り合う縦流路溝43X,43Xどうしの間隔は、一定でなくてもよいが、失禁パッド10Bでは、図17に示すように、一定に形成されている。失禁パッド10Bでは、各縦流路溝43Xは、縦方向Xに平行に帯状に延びており、縦方向の両端部4A,4Cに亘っている。尚、各縦流路溝43Xは、吸収性コア40の縦方向の両端部4A,4Cの端縁4A1,4C1にまでは至っていない。
失禁パッド10Bでは、流路溝43を構成する横流路溝43Y及び縦流路溝43Xは、図17(a)、図17(b)、図18及び図19に示すように、吸収性コア40の非肌対向面に形成されている。失禁パッド10では、非肌対向面に形成された横流路溝43Y及び縦流路溝43Xの深さは、同じ深さで一定に形成されている。非肌対向面に形成された横流路溝43Y及び縦流路溝43Xの深さは、肌対向面に形成された窪み部42の深さよりも深く形成されていても、同じ深さに形成されていてもよいが、失禁パッド10Bでは、浅く形成されている。
失禁パッド10Bを展開して伸長した状態を平面視して、窪み部42の肌対向面の面積(S42)に対する各縦流路溝43Xの非肌対向面の面積(S43X)の比率(S43X/S42)は、液吸収に伴う窪み部の吸収性能低下に対する縦方向への液の引き込み性向上の観点から、好ましくは6/80以上、更に好ましくは11/80以上、そして、好ましくは28/80以下、更に好ましくは22/80以下、具体的には、好ましくは6/80以上28/80以下、更に好ましくは11/80以上22/80以下である。ここで、各縦流路溝43Xの非肌対向面の面積(S43X)とは、前記平面視した際の各縦流路溝43Xの底部の輪郭で囲まれた領域の面積を意味する。
詳述すると、各縦流路溝43Xの非肌対向面の面積(S43X)は、上記観点から、好ましくは500mm2以上、更に好ましくは1100mm2以上、そして、好ましくは2800mm2以下、更に好ましくは2200mm2以下、具体的には、好ましくは500mm2以上2800mm2以下、更に好ましくは1100mm2以上2200mm2以下である。
また、横方向Yに隣り合う縦流路溝43X,43Xどうしの間隔t2(図17(b)参照)は、上記観点から、好ましくは5mm以上、更に好ましくは10mm以上、そして、好ましくは20mm以下、更に好ましくは15mm以下、具体的には、好ましくは5mm以上20mm以下、更に好ましくは10mm以上15mm以下である。
失禁パッド10Bでは、窪み部42は、その密度が、図17(a)、図17(b)及び図18に示すように、吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側部4S,4Sそれぞれの密度よりも低く形成されている。また、失禁パッド10Bでは、窪み部42は、その密度が、図17(a)、図17(b)及び図19に示すように、吸収性コア40の縦方向Xの両端部4A,4Cそれぞれの密度よりも低く形成されている。即ち、失禁パッド10Bでは、窪み部42は、その密度が、窪み部42を囲む周囲における密度よりも低く形成されている。そして、横流路溝43Y及び縦流路溝43Xを有する流路溝43の部分の密度が、最も低く形成されている。
失禁パッド10Bの有する吸収体4は、上述した失禁パッド10の吸収体4と同様に製造する。そして、失禁パッド10Bは、帯状の表面シート2と帯状の裏面シート3との間に、窪み部42及び流路溝43を備える吸収性コア40を、裏面シート3側に窪み部42が対向するように吸収体4を配置した後、個々の物品の形状に裁断することにより得られる。このように製造された失禁パッド10Bでは、着用時に、窪み部42の部分が自重により裏面シート3側に垂れ下がるようになり、失禁パッド10Bの有する吸収体4が形成される。
また、失禁パッド10Bの有する吸収体4は、矢印R1方向に回転駆動される回転ドラム450を2個用い、メッシュプレート454上に難通気性部材43Aを所定位置に配置して形成された集積用凹部459を有する1個目の回転ドラム450によって、横流路溝43Y及び縦流路溝43Xを裏面シート3側に有する流路溝43を備える下層吸収性コア40を形成する。そして、メッシュプレート454上に隆起部分42Aが形成された集積用凹部459を有する2個目の回転ドラム450によって窪み部42を表面シート2側に備える上層吸収性コア40を形成し、下層吸収性コア40上に上層吸収性コア40を重ね合わせる。その後、得られた吸収体前駆体4bを加圧手段490によって圧縮して、目的とする失禁パッド10Bの有する吸収体4が形成される。
上述した第2実施形態の失禁パッド10Bの作用効果について説明する。
失禁パッド10Bでは、図17(a)、図17(b)、図18及び図19に示すように、吸収性コア40は、肌対向面に形成された窪み部42と、体液を拡散する流路溝43とを備えている。そして、窪み部42が、排泄部対向部Bで且つ横方向Yの中央部4Cに、縦方向Xに延びて形成されている。また、横方向Yに延びる複数の横流路溝43Yが、吸収性コア40を横断面視して、窪み部42を横切って、吸収性コア40の縦方向に沿う両側部4S,4Sに跨っている。更に縦方向X延びる複数の縦流路溝43Xが、窪み部42を通過して、縦方向の両端部4A,4Cに跨っている。その為、失禁パッド10の着用時に、着用者から排泄された体液を窪み部42で一旦保持することができる。そして窪み部42で一旦保持吸収した体液を、複数の横流路溝43Yで吸収体4の縦方向Xに沿う両側部4S,4S側に素早く移行することができると共に、複数の縦流路溝43Xで吸収体4の縦方向Xの両端部4A,4C側に素早く移行することができる。従って、窪み部42での液戻りがし難くなっている。また、そして窪み部42で一旦保持吸収した体液を、複数の横流路溝43Yで吸収体4の縦方向Xに沿う両側部4S,4S側に素早く移行することができると共に、複数の縦流路溝43Xで吸収体4の縦方向Xの両端部4A,4C側に素早く移行することができるので、体液吸収後においても窪み部42がくぼんだ形を維持でき、体液の横漏れを防止することができる。
次に、第3実施形態の失禁パッド10Cでは、図20(a)、図20(b)、図21及び図22に示すように、吸収性コア40は、肌対向面に形成された窪み部42と、体液を拡散する流路溝43とを備えている。失禁パッド10Cでは、窪み部42は、排泄部対向部Bで且つ横方向Yの中央部4Cに、縦方向Xに延びて形成されている。また、失禁パッド10Cでは、流路溝43は、横方向Yに延びる横流路溝43Yを有している。複数の横流路溝43Yは、それぞれ、吸収性コア40を横断面視して、窪み部42を横切って、吸収性コア40の縦方向に沿う両側部4S,4Sに跨っている。各横流路溝43Yは、吸収性コア40の肌対向面に形成されている。
失禁パッド10Cは、吸収体4が裏面シート3側に向かって凹陥してなるエンボス部8を備えている。エンボス部8は、図20(a)、図20(b)、図21及び図22に示すように、吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側部4S,4Sに、間欠的に複数配されている。各エンボス部8は、平面視して、その形状が特に限定されるものではなく、円形状、多角形状、楕円形状等であってもよいが、失禁パッド1Cでは、円形状に形成されている。各エンボス部8は、平面視して、その面積が、好ましくは400mm2以上、更に好ましくは800mm2以上、そして、好ましくは3000mm2以下、更に好ましくは2000mm2以下、具体的には、好ましくは400mm2以上3000mm2以下、更に好ましくは800mm2以上2000mm2以下である。
エンボス部8は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工(いわゆるエンボス加工)、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工等を施すことによって、吸収体4、すなわち吸収性コア40及びコアラップシート41を裏面シート3側に向かって凹んだ状態とすることができる。
上述した第3実施形態の失禁パッド10Cの作用効果について説明する。
失禁パッド10Cでは、図20(a)、図20(b)、図21及び図22に示すように、吸収性コア40は、吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側部4S,4Sにエンボス部8を備えている。そして、各エンボス部8の部分の密度が周辺部よりも高い為、吸収性コア40の両側部4S,4Sへの体液の移行性が更に向上する。
次に、第4実施形態の失禁パッド10Dでは、図23(a)、図23(b)、図24及び図25に示すように、吸収性コア40は、肌対向面に形成された窪み部42と、体液を拡散する流路溝43とを備えている。失禁パッド10Dでは、窪み部42は、排泄部対向部Bで且つ横方向Yの中央部4Cに、縦方向Xに延びて形成されている。また、失禁パッド10Dでは、流路溝43は、横方向Yに延びる横流路溝43Yと、縦方向Xに延びる縦流路溝43Xとを有している。複数の横流路溝43Yは、それぞれ、吸収性コア40を横断面視して、窪み部42を横切って、吸収性コア40の縦方向に沿う両側部4S,4Sに跨っている。また、縦流路溝43Xは、窪み部42を通過して、吸収性コア40の縦方向Xの両端部4A,4Cに跨っている。各横流路溝43Y及び各縦流路溝43Xは、吸収性コア40の非肌対向面に形成されている。
失禁パッド10Dは、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状溝としての一対の線状圧搾溝9,9を備えている。一対の線状圧搾溝9,9は、図23(a)、図23(b)、図24及び図25に示すように、縦方向Xに延びる中心線CLに対して対称に配されている。各線状圧搾溝9は、中心線CLに向かって凸状に湾曲しており、吸収性コア40の縦方向Xに沿う側部4Sから窪み部42に延びている。各線状圧搾溝9は、中心線CLに向かって凸状に湾曲していれば、連続線でもよいが、失禁パッド10Dでは、破線に形成されている。即ち、失禁パッド10Dの各線状圧搾溝9は、不連続な多数の点エンボスのなす列から構成されている。
一対の線状圧搾溝9,9は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工(いわゆるエンボス加工)、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することで、裏面シート3側に向かって凹んだ状態とすることができる。
上述した第4実施形態の失禁パッド10Dの作用効果について説明する。
失禁パッド10Dでは、図23(a)、図23(b)、図24及び図25に示すように、吸収性コア40は、一対の線状圧搾溝9,9を備えている。そして、各線状圧搾溝9の部分の密度が周辺部よりも高い為、吸収性コア40の体液の吸収性が向上する。
本発明の吸収性物品は、上述の第1〜第4実施形態の失禁パッド10,10B,10C,10Dに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1〜第4実施形態の失禁パッド10,10B,10C,10Dにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
例えば、失禁パッド10の有する表面シート2は、図1、図10及び図11に示すように、縦方向Xに延びる筋状の凸条部13及び凹条部14が横方向Yに交互に配された凹凸構造の不織布1から構成されているが、表面シート2としては、当該技術分野において通常用いられているものを特に制限無く用いることができ、親水性且つ液透過性の不織布や、開孔フィルムを用いることができる。
また、失禁パッド10では、図2に示すように、表面シート2は、その凹条部14において下側シート7であるセカンドシートに接合部14sを介して接合されているが、セカンドシートが配されていなくてもよい。また、セカンドシートの代わりに、表面シート2は、その凹条部14において、隣接する下側シート8であるコアラップシート41と接合されていてもよい。
また、本発明の吸収性物品は、失禁パッドの他、生理用ナプキン、パンティーライナー(おりものシート)等であってもよい。
上述した実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品を開示する。
<1>
肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備する吸収性本体を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、吸水性ポリマーを有する吸収性コアと、該吸収性コアを包むコアラップシートとから構成されており、
前記吸収性コアは、肌対向面に形成された窪み部と、肌対向面又は非肌対向面に形成された流路溝とを備え、
前記窪み部は、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部で且つ横方向の中央部に、縦方向に延びて形成されており、
前記流路溝は、横方向に延びる横流路溝を縦方向に間隔を空けて複数有し、各該横流路溝は、前記吸収性コアを横断面視して、前記窪み部を横切って、該吸収性コアの縦方向に沿う両側部に跨っている吸収性物品。
<2>
前記窪み部は、その密度が、前記吸収性コアの縦方向に沿う両側部それぞれの密度よりも低い前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記横流路溝は、肌対向面に形成されており、
前記横流路溝は、前記窪み部よりも更に非肌対向面側に向かって窪んでいる前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記横流路溝は、前記吸収性コアの縦方向に沿う両側部の側縁にまで至っていない前記<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5>
前記流路溝は、縦方向に延びる縦流路溝を有し、該縦流路溝は、前記吸収性コアを縦断面視して、該吸収性コアの縦方向の両端部に跨っている前記<1>〜<4>の何れか1に記載の吸収性物品。
<6>
前記縦流路溝は、前記吸収性コアの縦方向の両端部の端縁にまで至っていない前記<5>に記載の吸収性物品。
<7>
前記縦流路溝は、1本以上、好ましくは2本以上、そして、5本以下、好ましくは4本以下、具体的には、1本以上5本以下、好ましくは2本以上4本以下である前記<5>又は<6>に記載の吸収性物品。
<8>
前記流路溝を構成する前記横流路溝及び前記縦流路溝は、前記吸収性コアの非肌対向面に形成されている前記<5>〜<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9>
前記窪み部の肌対向面の面積(S42)に対する前記各縦流路溝の非肌対向面の面積(S43X)の比率(S43X/S42)は、6/80以上、好ましくは11/80以上、そして、28/80以下、好ましくは22/80以下、具体的には、6/80以上28/80以下、好ましくは11/80以上22/80以下である前記<5>〜<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10>
前記各縦流路溝の非肌対向面の面積(S43X)は、500mm2以上、好ましくは1100mm2以上、そして、2800mm2以下、好ましくは2200mm2以下、具体的には、500mm2以上2800mm2以下、好ましくは1100mm2以上2200mm2以下である前記<5>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
<11>
横方向に隣り合う前記縦流路溝どうしの間隔は、5mm以上、好ましくは10mm以上、そして、20mm以下、好ましくは15mm以下、具体的には、5mm以上20mm以下、好ましくは10mm以上15mm以下である前記<5>〜<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記吸収性物品は、前記吸収体が前記裏面シート側に向かって凹陥してなるエンボス部を備え、
前記エンボス部は、前記吸収性コアの縦方向に沿う両側部に、間欠的に複数配されている前記<1>〜<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
<13>
前記各エンボス部は、平面視して、その面積が、400mm2以上、好ましくは800mm2以上、そして、3000mm2以下、好ましくは2000mm2以下、具体的には、400mm2以上3000mm2以下、好ましくは800mm2以上2000mm2以下である前記<12>に記載の吸収性物品。
<14>
前記吸収性物品は、前記表面シート及び前記吸収体が前記裏面シート側に向かって一体的に凹陥してなる一対の線状圧搾溝を備え、
一対の前記線状圧搾溝は、縦方向に延びる中心線に対して対称に配されており、各該線状圧搾溝は、該中心線に向かって凸状に湾曲しており、前記吸収性コアの縦方向に沿う側部から前記窪み部に延びている前記<1>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15>
前記吸収性コアは、前記吸水性ポリマーの混合比率が、前記窪み部に比べて縦方向に沿う両側部それぞれの方が大きい前記<1>〜<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
<16>
前記吸収性コアの肌対向面の面積(S40)に対する前記窪み部の肌対向面の面積(S42)の比率(S42/S40)は、4/30以上、好ましくは6/30以上、そして、12/30以下、好ましくは10/30以下、具体的には、4/30以上12/30以下、好ましくは6/30以上10/30以下である前記<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17>
前記吸収性コアの肌対向面の面積(S40)は、20000mm2以上、好ましくは24000mm2以上、そして、30000mm2以下、好ましくは28000mm2以下、具体的には、20000mm2以上30000mm2以下、好ましくは24000mm2以上28000mm2以下である前記<1>〜<16>の何れか1に記載の吸収性物品。
<18>
前記窪み部の肌対向面の面積(S42)は、2000mm2以上、好ましくは4000mm2以上、そして、11000mm2以下、好ましくは8000mm2以下、具体的には、2000mm2以上11000mm2以下、好ましくは4000mm2以上8000mm2以下である前記<1>〜<17>の何れか1に記載の吸収性物品。
<19>
前記流路溝の幅が、前記窪み部の幅よりも狭い前記<1>〜<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
<20>
前記横流路溝は、2本以上、好ましくは5本以上、そして、15本以下、好ましくは12本以下、具体的には、2本以上15本以下、好ましくは5本以上12本以下である前記<1>〜<19>の何れか1に記載の吸収性物品。
<21>
前記窪み部の肌対向面の面積(S42)に対する各前記横流路溝の肌対向面の面積(S43Y)の比率(S43Y/S42)は、2/40以上、好ましくは3/40以上、そして、9/40以下、好ましくは6/40以下、具体的には、2/40以上9/40以下、好ましくは3/40以上6/40以下である前記<1>〜<20>の何れか1に記載の吸収性物品。
<22>
各前記横流路溝の肌対向面の面積(S43Y)は、400mm2以上、好ましくは600mm2以上、そして、1800mm2以下、好ましくは1200mm2以下、具体的には、400mm2以上1800mm2以下、好ましくは600mm2以上1200mm2以下である前記<1>〜<21>の何れか1に記載の吸収性物品。
<23>
縦方向に隣り合う前記横流路溝どうしの間隔は、10mm以上、好ましくは20mm以上、そして、50mm以下、好ましくは40mm以下、具体的には、10mm以上50mm以下、好ましくは20mm以上40mm以下である前記<1>〜<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
<24>
前記吸収性コアの縦方向に沿う両側部の密度(d4S)に対する前記窪み部の密度(d42)の比率(d42/d4S)は、3/10以上、好ましくは4/10以上、そして、8/10以下、好ましくは7/10以下、具体的には、3/10以上8/10以下、好ましくは4/10以上7/10以下である前記<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
<25>
前記吸収性コアの縦方向に沿う両側部の密度(d4S)に対する前記流路溝の密度(d43)の比率(d43/d4S)は、2/10以上、好ましくは3/10以上、そして、6/10以下、好ましくは5/10以下、具体的には、2/10以上6/10以下、好ましくは3/10以上5/10以下である前記<1>〜<24>の何れか1に記載の吸収性物品。
<26>
前記吸収性コアの縦方向に沿う両側部の密度(d4S)は、0.035g/cm3以上、好ましくは0.04g/cm3以上、そして、0.055g/cm3以下、好ましくは0.05g/cm3以下、具体的には、0.035g/cm3以上0.055g/cm3以下、好ましくは0.04g/cm3以上0.05g/cm3以下である前記<1>〜<25>の何れか1に記載の吸収性物品。
<27>
前記窪み部の密度(d42)は、0.0135g/cm3以上、好ましくは0.018g/cm3以上、そして、0.036g/cm3以下、好ましくは0.0315g/cm3以下、具体的には、0.0135g/cm3以上0.036g/cm3以下、好ましくは0.018g/cm3以上0.0315g/cm3以下である前記<1>〜<26>の何れか1に記載の吸収性物品。
<28>
前記流路溝の密度(d43)は、0.009g/cm3以上、好ましくは0.0135g/cm3以上、そして、0.036g/cm3以下、好ましくは0.0315g/cm3以下、具体的には、0.009g/cm3以上0.036g/cm3以下、好ましくは0.0135g/cm3以上0.0315g/cm3以下である前記<1>〜<27>の何れか1に記載の吸収性物品。
<29>
前記表面シートは、縦方向に延びる筋状の凸条部及び凹条部が横方向に交互に配された凹凸構造の不織布から構成されている前記<1>〜<28>の何れか1に記載の吸収性物品。
<30>
前記表面シートは、前記凹条部において、隣接する下側シートと接合されており、前記凸条部は前記下側シートとの間に中空構造を有している前記<29>に記載の吸収性物品。
<31>
前記表面シートを構成する不織布は、繊維径が相互に異なる大径部及び小径部を有する繊維を含んでいる前記<29>又は<30>に記載の吸収性物品。
<32>
前記凸条部の側壁部を形成する側部域の繊維密度が、前記凹条部の頂部を形成する頂部域の繊維密度及び凹条部の底部を形成する底部域の繊維密度よりも低くなっている前記<29>〜<30>の何れか1に記載の吸収性物品。