JP2017072379A - 原子炉および原子力プラント - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的大型の原子炉であっても、原子炉容器壁を介した溶融燃料の崩壊熱除去を長期的に維持し得る原子炉および原子力プラントを提供する。【解決手段】原子炉は、原子炉容器と、前記原子炉容器内に設けられ、少なくとも一部が金属により形成された炉内構造物と、前記原子炉容器を冷却するための冷却流体が貯留されるように前記原子炉容器の周囲に設けられた冷却流体貯留空間と、前記原子炉容器の外表面を覆うように前記冷却流体貯留空間内に設けられ、前記冷却流体の膜沸騰を抑制するための多孔質体を含む冷却促進デバイスと、を備える。前記冷却促進デバイスは、少なくとも、前記原子炉容器内において前記炉内構造物が溶融したときに形成される前記金属の液層が占める高さ方向範囲にわたって設けられる。【選択図】 図3

Description

本開示は、原子炉および原子力プラントに関する。
一般に、原子力プラントにおける過酷事故対策として、炉心溶融時においても原子炉容器内に溶融燃料を保持させる炉内溶融物保持(IVR:In Vessel Retention)技術が知られている。具体的にIVRでは、格納容器内に注水して原子炉容器を水没させることで原子炉容器を冷却し、原子炉容器壁を介して、原子炉容器内に溜まった溶融燃料の崩壊熱除去を行う。
IVRを適切に実施するためには、原子炉容器壁を介した崩壊熱除去を長期的に維持可能なように原子炉容器を冷却する必要がある。
IVRが適切に実施される場合、通常、原子炉容器を水没させると、原子炉容器の外壁面において溶融燃料の崩壊熱によって冷却水が沸騰し、蒸気が発生する。この蒸気によって、原子炉容器の外壁面近傍に気液密度差が生じ、原子炉容器の外壁面に新たな冷却水が供給される。こうして、原子炉容器壁における除熱量を確保し、原子炉容器壁の溶断等による破損を防いでいる。
例えば、特許文献1には、原子炉容器を効果的に冷却するための冷却器が開示されている。この冷却器は、発熱体側に配置される第1の多孔質体と、作動流体側に配置され、第1の多孔質体よりも透過率が大きい第2の多孔質体と、が重ね合わされた構造を有する。そして、第1の多孔質体による毛細管現象により強制的に冷却水を原子炉容器壁面に導くようにし、また、第2の多孔質体によって第1の多孔質体の液枯れの発生を抑制している。
国際公開第2014/052783号
しかしながら、大型の原子炉にIVR技術を適用しようとした場合、溶融燃料の崩壊熱が大きいため十分に除熱しきれず、原子炉容器が溶断等により破損してしまうことがある。そのため、大型の原子炉においても、原子炉容器の破損を回避可能なように溶融燃料の崩壊熱を十分に除去することが要求される。
この点、特許文献1の冷却器は、原子炉容器の効果的な冷却が可能であるが、例えば大型の原子炉のように溶融燃料の崩壊熱が大きい場合にもIVR技術を適用可能なように、より一層優れた除熱効果を有する原子炉が求められている。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、比較的大型の原子炉であっても、原子炉容器壁を介した溶融燃料の崩壊熱除去を長期的に維持し得る原子炉および原子力プラントを提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る原子炉は、
原子炉容器と、
前記原子炉容器内に設けられ、少なくとも一部が金属により形成された炉内構造物と、
前記原子炉容器を冷却するための冷却流体が貯留されるように前記原子炉容器の周囲に設けられた冷却流体貯留空間と、
前記原子炉容器の外表面を覆うように前記冷却流体貯留空間内に設けられ、前記冷却流体の膜沸騰を抑制するための多孔質体を含む冷却促進デバイスと、を備え、
前記冷却促進デバイスは、少なくとも、前記原子炉容器内において前記炉内構造物が溶融したときに形成される前記金属の液層が占める高さ方向範囲にわたって設けられる。
本発明者らの鋭意検討の結果、大型の原子炉においてIVRの適用が困難であった原因として、大型の原子炉では溶融燃料の崩壊熱が大きいため、原子炉容器壁の熱流束が限界熱流束(除熱量が多い核沸騰を維持できなくなり、除熱量が核沸騰よりも低い膜沸騰に遷移する熱流束)を超えてしまい、除熱量が大幅に低下することが一因であることを見出した。さらに、原子力プラントの過酷事故発生時において炉内構造物が溶融して形成される溶融金属層に接する原子炉容器壁の部位において熱流束が最も高くなり、そのため溶融金属層に対応した原子炉容器壁の部位において溶断が発生しやすいことも見出した。
そこで、上記(1)の原子炉は、少なくとも、原子炉容器内において炉内構造物が溶融したときに形成される金属の液層(溶融金属層)が占める高さ方向範囲にわたって冷却促進デバイスが設けられた構成としている。これにより、熱流束が大きい金属の液層に対応した高さ方向範囲において、冷却促進デバイスによって原子炉容器壁の限界熱流束を高めることができる。このため、例えば崩壊熱が大きい大型の原子炉においても、原子炉容器壁での熱流束を限界熱流束より低く抑えることができる。これにより、原子炉容器の外表面における膜沸騰を抑制可能であり、原子炉での高い除熱量を維持できる。よって、比較的大型の原子炉であっても、原子炉容器壁を介した溶融燃料の崩壊熱除去を長期的に維持可能であり、IVRを成立させることができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記原子炉容器内において前記炉内構造物が溶融したときに形成される前記金属の前記液層の上面の高さをHとしたとき、前記冷却促進デバイスの前記高さ方向範囲の最高位置hは1.2H以上である。
上記(2)の構成によれば、冷却促進デバイスの前記高さ方向範囲の最高位置hを、金属液層の上面の高さHの1.2倍以上としたので、原子炉容器壁のうち熱流束が高い領域(溶融金属層近傍の領域)を確実にカバーすることができ、原子炉容器壁の溶断等の破損を防止できる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記原子炉容器内において前記炉内構造物が溶融したときに形成される前記金属の前記液層の下面の高さをHとしたとき、前記冷却促進デバイスの前記高さ方向範囲の最低位置hは0.7H以下である。
上記(3)の構成によれば、冷却促進デバイスの高さ方向範囲の最低位置hを、金属液層の下面の高さHの0.7倍以下としたので、原子炉容器壁のうち熱流束が高い領域(溶融金属層近傍の領域)を確実にカバーすることができ、原子炉容器壁の溶断等の破損を防止できる。
なお、上記(2)又は(3)において、金属の液層の上面の高さ又は下面の高さは、原子炉容器下端からの高さである。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記原子炉容器の底部は、開口部を有しない閉じた形状である。
上記(4)の構成によれば、原子炉容器の底部に例えば計装管等の機器が設けられておらず、原子炉容器の底部が閉じた形状であるため、原子炉容器の底部を均一に冷却することができ、原子炉容器の底部に開口(例えば計装管を挿入するための管台)が設けられている場合に比べて、原子炉容器壁の部分的な溶断を防止するうえで有利である。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記原子炉容器は、
前記原子炉容器内に冷却材を導くための冷却材入口部と、
前記冷却材を前記原子炉容器から排出するための冷却材出口部と、
を含み、
前記冷却促進デバイスは、前記冷却材入口部又は前記冷却材出口部の下端の高さをHとしたとき、前記冷却促進デバイスは少なくとも0≦h≦Hの前記高さ方向範囲にわたって設置される。
上記(5)の構成によれば、冷却材入口部又は冷却材出口部の下端の高さHに対して、冷却促進デバイスが少なくとも0≦h≦Hの高さ方向範囲にわたって設置されるようにしたので、原子炉容器壁のうち熱流束が高い領域(溶融金属層近傍の領域)を確実にカバーすることができ、原子炉容器壁の溶断等の破損を防止できる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記冷却流体貯留空間は、前記冷却流体が、少なくとも前記炉内構造物の溶融時に前記冷却流体貯留空間を含む循環路内を流れて循環するように構成される。
上記(6)の構成によれば、原子炉容器周囲の冷却流体貯留空間において冷却流体が循環するようになっているので、原子炉容器壁を介した除熱効果をより一層高めることができる。
(7)一実施形態では、上記(6)の構成において、
前記循環路に設けられ、前記冷却流体貯留空間を通過する間に蒸発した前記冷却流体を凝縮させるためのコンデンサをさらに備える。
上記(7)の構成によれば、冷却流体を凝縮させるためのコンデンサを循環路に設けることによって、コンデンサによって凝縮された冷却流体の液面と冷却流体貯留空間とのヘッド差により、ポンプを設置することなく冷却流体を自然循環させることができる。よって、動力を削減できるとともに、例えば災害時等のように動力確保が困難な場合であっても原子炉容器を効果的に冷却することができる。
(8)一実施形態では、上記(7)の構成において、
前記コンデンサによって凝縮させた前記冷却流体を下方に導くためのリターン流路と、
前記冷却流体貯留空間を前記原子炉容器の周囲に形成するように前記原子炉容器の周りに設けられた流路形成部材をさらに備え、
前記流路形成部材の底部には、前記リターン流路からの前記冷却流体を前記冷却流体貯留空間に取り込むための開口が設けられている。
上記(8)の構成によれば、冷却流路を原子炉容器の周囲に形成するように原子炉容器の周りに流路形成部材を設け、流路形成部材の底部の開口から冷却流体を冷却空間に取り込むようにしたので、冷却流体を原子炉容器外表面近傍に適切に導くことができ、原子炉容器の冷却効果をより一層高めることができる。また、流路形成部材の形状を適切に設定することで、冷却流体貯留空間における冷却流体の上昇流を効果的に形成することができる。これにより、循環路における冷却流体の自然循環を実現しやすくなる。
(9)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る原子力プラントは、
上記(1)乃至(8)の何れかに記載の原子炉を備える。
上記(9)の原子力プラントによれば、比較的大型の原子炉を備える場合であってもIVRを成立させることができ、信頼性の高い原子力プラントを提供することができる。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、原子炉容器の外表面における膜沸騰を抑制可能であり、原子炉での高い除熱量を維持できる。したがって、比較的大型の原子炉であっても、原子炉容器壁を介した溶融燃料の崩壊熱除去を長期的に維持可能であり、IVRを成立させることができる。
一実施形態に係る原子力プラントの概略構成図である。 一実施形態に係る原子炉の断面図である。 一実施形態に係る原子炉容器および該原子炉容器の冷却機構の概略構成を示す側面図である。 一実施形態に係る原子炉容器の底部を示す概要図である。 他の実施形態に係る原子炉容器の底部を示す概要図である。 さらに他の実施形態に係る原子炉容器の底部を示す概要図である。 一実施形態(冷却促進デバイスあり)における過酷事故発生時の原子炉容器底部の厚さを示すグラフである。 従来例(冷却促進デバイスなし)における過酷事故発生時の原子炉容器底部の厚さを示すグラフである。 一実施形態に係る冷却促進デバイスの概略構成図である。 他の実施形態に係る冷却促進デバイスの概略構成図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は、一実施形態に係る原子力プラント1の概略構成図である。図1に示すように、原子力プラント1は、核分裂反応で発生する熱エネルギーにより蒸気を生成するための原子炉2と、原子炉2で生成された蒸気により駆動される蒸気タービン4と、蒸気タービン4の回転軸の回転により駆動される発電機6と、を備える。なお、図1に示す原子炉2は、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。他の実施形態では、原子炉2は沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)であってもよく、あるいは、加圧水型原子炉及び沸騰水型原子炉を含む軽水炉とは異なり、減速材又は冷却材として軽水以外の物質を用いるタイプの原子炉であってもよい。
原子炉2は、一次冷却水(一次冷却材)が流れる一次冷却ループ10と、一次冷却ループ10に設けられる原子炉容器(圧力容器)11、加圧器14、蒸気発生器16及び一次冷却材ポンプ18と、を含む。一次冷却材ポンプ18は、一次冷却ループ10において一次冷却水を循環させるように構成される。また、加圧器14は、一次冷却ループ10において、一次冷却水が沸騰しないように、一次冷却水を加圧するように構成される。なお、原子炉2を構成する原子炉容器11、加圧器14、蒸気発生器16及び一次冷却材ポンプ18は、原子炉格納容器19に格納される。
原子炉容器11にはペレット状の核燃料(例えばウラン燃料やMOX燃料等)を含む燃料棒12が収容されており、この燃料の核分裂反応で発生する熱エネルギーにより、原子炉容器11の中の一次冷却水が加熱される。原子炉容器11には、原子炉出力を制御するために、核燃料を含む炉心で生成される中性子数を吸収して調整するための制御棒13が設けられている。なお、原子炉容器11内で加熱された一次冷却水は蒸気発生器16に送られ、熱交換により二次冷却ループ20を流れる二次冷却水(二次冷却材)を加熱して蒸気を発生させる。
蒸気発生器16において生成された蒸気は、高圧タービン21及び低圧タービン22を含む蒸気タービン4に送られて、蒸気タービン4を回転駆動させる。また、蒸気タービン4は回転軸を介して発電機6と連結されており、発電機6は該回転軸の回転により駆動されて、電気エネルギーを生成する。なお、高圧タービン21と低圧タービン22との間には湿分分離加熱器23が設けられており、高圧タービン21で仕事をした後の蒸気を再度加熱してから低圧タービン22に送るようになっている。
二次冷却ループ20には、復水器24、低圧給水加熱器26、脱気器27及び高圧給水加熱器29が設けられており、低圧タービン22で仕事をした後の蒸気がこれらの機器を通る過程で凝縮されるとともに加熱され、蒸気発生器16に戻るようになっている。二次冷却ループ20には、復水ポンプ25及び給水ポンプ28が設けられており、これらのポンプにより二次冷却ループ20において二次冷却水が循環するようになっている。また、復水器24には、低圧タービン22からの蒸気を熱交換により冷却するための冷却水(例えば海水)がポンプ15を介して供給されるようになっている。
次に、図2〜図5を参照して、幾つかの実施形態に係る原子炉2(主として原子炉容器11及び炉内構造物80)の具体的な構成について説明する。なお、図2は、一実施形態に係る原子炉2の断面図である。図3は、一実施形態に係る原子炉容器11および該原子炉容器11の冷却機構の概略構成を示す側面図である。図4〜図6は、各実施形態に係る原子炉容器11の底部を示す概要図である。なお、図2において、図中の矢印は冷却材の流れを示している。また、図2では、冷却促進デバイス100は省略している。
図2〜図5に例示的に示すように、幾つかの実施形態に係る原子炉2は、原子炉容器11と、炉内構造物80と、原子炉容器11の周囲に設けられた冷却流体貯留空間90と、原子炉容器11の外表面を覆うように冷却流体貯留空間90内に設けられた冷却促進デバイス100(図3〜図6参照)と、を備える。
炉内構造物80は、原子炉容器11内に設けられ、少なくとも一部が金属により形成されている。図2に示すように炉内構造物80は、例えば、燃料集合体50の位置決め機能又は支持機能を有する構造物、制御棒13の案内機能又は位置決め機能を有する構造物、あるいは、原子炉容器11内の冷却材流路を形成するための構造物を含む。この炉内構造物80は、内部構造物と呼ばれる場合もある。例えば、図2に示す実施形態では、炉内構造物80は、上部炉心支持板68、下部炉心支持板69、炉心支持ロッド70、上部炉心板71、炉心槽72、下部炉心板73、または、制御棒クラスタ案内管75を含む。
なお、他の実施形態において、原子炉2が沸騰水型原子炉である場合、内部構造物(炉内構造物)は、蒸気中の湿分を除去する機能を有する構造物を含む。
図3に示すように、冷却流体貯留空間90は、原子炉容器11を冷却するための冷却流体が貯留されるように、原子炉容器11の周囲に設けられている。
図3〜図6に示すように、冷却促進デバイス100は、原子炉容器11の外表面を覆うように冷却流体貯留空間90内に設けられ、冷却流体の膜沸騰を抑制するための多孔質体を含む。なお、冷却促進デバイス100の具体的な実施形態については図4〜図9を用いて後述する。
ここで、図2に示す実施形態における原子炉2について具体的に説明する。
原子炉容器11は、原子炉容器本体60と、開閉可能な原子炉容器蓋(上鏡)61とを含む。
原子炉容器本体60は、下部が半球形状をなす下鏡65により閉塞された円筒形状となっている。そして、原子炉容器本体60は、上部に一次冷却水としての軽水(冷却材)を供給する冷却材入口部(入口管台)66と、軽水を排出する冷却材出口部(出口管台)67とが形成されている。また、原子炉容器本体60は、冷却材入口部66及び冷却材出口部67とは別に、図示しない注水ノズル(注水管台)が形成されている。
原子炉容器本体60の内部には、冷却材入口部66及び冷却材出口部67より上方に上部炉心支持板68が固定されており、下方の下鏡65の近傍に位置するように下部炉心支持板69が固定されている。上部炉心支持板68及び下部炉心支持板69は、円板形状をなしており、図示しない多数の連通孔が形成されている。そして、上部炉心支持板68の下方には、複数の炉心支持ロッド70を介して、図示しない多数の連通孔が形成された上部炉心板71が連結されている。
原子炉容器本体60の内部には、該原子炉容器本体60の内壁面と所定間隔をもって、円筒形状をなす炉心槽72が配置されている。炉心槽72は、上部が上部炉心板71に連結され、下部に下部炉心板73が連結されている。下部炉心板73は、円板形状をなし、図示しない多数の連通孔が形成されており、下部炉心支持板69に支持されている。
炉心74は、上部炉心板71と炉心槽72と下部炉心板73により形成されている。
炉心74の内部には、多数の燃料集合体50及び多数の制御棒13が配置されている。多数の制御棒13は、上端部がまとめられて制御棒クラスタ51となり、燃料集合体50内に挿入可能となっている。上部炉心支持板68には、該上部炉心支持板68を貫通するように、多数の制御棒クラスタ案内管75が固定されている。各制御棒クラスタ案内管75は、下端部が燃料集合体50内の制御棒クラスタ51まで延出されている。
燃料集合体50は、複数の燃料棒が格子状に配列された状態で支持板(不図示)に支持されている。燃料集合体50に含まれる複数の燃料棒における核分裂反応は、複数の制御棒13を備える制御棒クラスタ51により制御されるようになっている。制御棒クラスタ51は制御棒駆動装置76により駆動されて、制御棒クラスタ51の備える複数の制御棒13が燃料集合体50の内部において上下に移動するようになっている。
原子炉容器11を構成する原子炉容器蓋61は、上部が半球形状をなし、磁気式ジャッキの制御棒駆動装置76が設けられており、原子炉容器蓋61と一体をなすハウジング77内に収容されている。多数の制御棒クラスタ案内管75は、上端部が制御棒駆動装置76まで延出され、該制御棒駆動装置76から延出された制御棒クラスタ駆動軸78が、制御棒クラスタ案内管75内を通って燃料集合体50まで延出され、制御棒クラスタ51を把持可能に構成されている。制御棒駆動装置76は、上下方向に延設されて制御棒クラスタ51に連結され、制御棒クラスタ駆動軸78を上下動させることで、原子炉2の出力を制御している。
上記構成を有する原子炉2においては、制御棒駆動装置76により制御棒クラスタ駆動軸78を移動して燃料集合体50から制御棒13を所定量引き抜くことで、炉心74内での核分裂を制御し、発生した熱エネルギーにより原子炉容器11内に充填された軽水が加熱され、高温の軽水が冷却材出口部67から排出され、上述したように、蒸気発生器16に送られる。すなわち、燃料集合体50を構成する原子燃料が核分裂することで中性子を放出し、減速材及び一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギーを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくするとともに、発生した熱を奪って冷却する。一方、制御棒13を燃料集合体50に挿入することで、炉心74内で生成される中性子数を調整し、また、制御棒13を燃料集合体50に全て挿入することで、原子炉を緊急に停止することができる。
図3〜図6に示すように、冷却流体貯留空間90は、原子炉容器11の周囲に設けられており、少なくとも原子炉容器11の下部が冷却流体(例えば冷却水)によって浸漬されるように構成される。図示される例では、冷却材入口部66及び冷却材出口部67の上部まで冷却流体が満たされるように、冷却流体貯留空間90が設けられている。冷却流体貯留空間90には、原子炉2の外部に設けられた不図示の冷却流体貯留タンクから冷却流体が供給されるようになっている。
幾つかの実施形態では、冷却流体貯留空間90は、原子炉容器壁30に沿って冷却流体が通流するように構成される。なお、原子炉容器壁30は、側壁部31と、底部32(下鏡65:図2参照)と、を含む。
次に、幾つかの実施形態に係る冷却促進デバイス100の具体的構成について説明する。
図3〜図6に示すように、原子力プラントにおいて過酷事故が発生して燃料(図2に示す燃料集合体50)や炉内構造物80が溶融したとき、典型的には、これらの比重差によって、溶融燃料が原子炉容器11の下部プレナム(下部空間)に溜まって燃料層55が形成され、その上方に金属の液層(以下、溶融金属層85と称する)85が形成される。なお、燃料層55又は溶融金属層85は、原子炉容器壁30に近い領域において一部固化している場合もある。例えば、燃料層55は、原子炉容器壁30に近い領域において固化した固化部56と、溶融した燃料からなる燃料プール部57と、を含む。
幾つかの実施形態では、図3〜図6に例示的に示すように、冷却促進デバイス100は、原子炉容器11の外表面、すなわち原子炉容器壁30の外表面を覆うように冷却流体貯留空間90内に設けられ、冷却流体の膜沸騰を抑制するための多孔質体を含む。
また、冷却促進デバイス100は、少なくとも、原子炉容器11内において炉内構造物80が溶融したときに形成される溶融金属層85が占める高さ方向範囲HRにわたって設けられる。なお、冷却促進デバイス100の具体的な構成については後述する。
上記構成によれば、少なくとも、原子炉容器11内において炉内構造物80が溶融したときに形成される溶融金属層85が占める高さ方向範囲にわたって冷却促進デバイス100が設けられた構成としている。これにより、熱流束が大きい溶融金属層85に対応した高さ方向範囲HRにおいて、冷却促進デバイス100によって原子炉容器壁30の限界熱流束を高めることができる。このため、例えば崩壊熱が大きい大型の原子炉2においても、原子炉容器壁30での熱流束を限界熱流束より低く抑えることができる。これにより、原子炉容器11の外表面における膜沸騰を抑制可能であり、原子炉2での高い除熱量を維持できる。したがって、比較的大型の原子炉2であっても、原子炉容器壁30を介した溶融燃料の崩壊熱除去を長期的に維持可能であり、炉内溶融物保持(IVR:In Vessel Retention)を成立させることができる。すなわち、過酷事故発生時、原子炉容器壁30において溶融燃料の崩壊熱によって冷却流体が沸騰し、蒸気が発生する。この蒸気によって、原子炉容器壁30の近傍に気液密度差が生じ、原子炉容器壁30の外表面に新たな冷却流体が供給される。こうして、原子炉容器壁30における除熱量を確保し、原子炉容器壁30の溶断等による破損が発生することなく、過酷事故発生時に燃料を流出させずに原子炉2を冷却することが可能となる。
図7Aは、一実施形態(冷却促進デバイスあり)における過酷事故発生時の原子炉容器底部の厚さを示すグラフである。図7Bは、従来例(冷却促進デバイスなし)における過酷事故発生時の原子炉容器底部の厚さを示すグラフである。
なお、これらのグラフにおいて、角度とは、図4〜図6に示す原子炉容器11の下端Pを0°とし、上方に向かう矢印A方向に大きくなる角度をいう。
図7Bに示すように冷却促進デバイスが設けられていない従来例の原子炉においては、過酷事故発生時、原子炉容器11の底部32の厚さは、燃料層55の高さにおいてはある程度確保されているものの、溶融金属層85の高さにおいて0となっている。すなわち、溶融金属層85において原子炉容器壁30が溶断されていることがわかる。この場合、溶断された部分から溶融燃料が流出し、IVRが成立しない。
一方、図7Aに示すように冷却促進デバイス100が少なくとも高さ方向範囲HR(図4〜図6参照)に設けられた原子炉2においては、過酷事故発生時、原子炉容器11の底部32の厚さは、燃料層55の高さにおいてある程度確保されており、また溶融金属層85の高さにおいても厚さが0とはなっていない。すなわち、溶融金属層85においても原子炉容器壁30が溶断されていないことがわかる。このように、本実施形態によれば、比較的大型の原子炉2であっても、IVRを成立させることができる。
図4に示す実施形態では、原子炉容器11内において炉内構造物80が溶融したときに形成される金属の液層(溶融金属層)85の上面の高さをHとしたとき、冷却促進デバイス100の高さ方向範囲HRの最高位置hはH以上である。
なお、金属の液層(溶融金属層)85の上面の高さH及び最高位置hは、原子炉容器下端Pからの高さである。
他の実施形態では、原子炉容器11内において炉内構造物80が溶融したときに形成される金属の液層(溶融金属層)85の上面の高さをHとしたとき、冷却促進デバイス100の高さ方向範囲HRの最高位置hは1.2H以上であってもよい。
このように、冷却促進デバイス100の高さ方向範囲HRの最高位置hを、溶融金属層85の上面の高さHの1.2倍以上とした場合、原子炉容器壁30のうち熱流束が高い領域(溶融金属層85近傍の領域)を確実にカバーすることができ、原子炉容器壁30の溶断等の破損を防止できる。
一実施形態では、原子炉容器11内において炉内構造物80が溶融したときに形成される金属の液層(溶融金属層)85の下面の高さをHとしたとき、冷却促進デバイス100の高さ方向範囲HRの最低位置hはH以下である。
なお、金属の液層(溶融金属層)の下面の高さH及び最低位置hは、原子炉容器下端Pからの高さである。
他の実施形態では、原子炉容器11内において炉内構造物80が溶融したときに形成される金属の液層(溶融金属層)85の下面の高さをHとしたとき、冷却促進デバイス100の高さ方向範囲HRの最低位置hは0.7H以下であってもよい。
このように、冷却促進デバイス100の高さ方向範囲HRの最低位置hを、溶融金属層85の下面の高さHの0.7倍以下とした場合、原子炉容器壁30のうち熱流束が高い領域(溶融金属層85近傍の領域)を確実にカバーすることができ、原子炉容器壁30の溶断等の破損を防止できる。
図5に示す実施形態では、冷却促進デバイス100は、冷却材入口部66又は冷却材出口部67の下端の高さをHとしたとき、冷却促進デバイス100は少なくとも0≦h≦Hの高さ方向範囲HRにわたって設置される。他の実施形態では、冷却促進デバイス100は少なくとも0≦h≦0.9Hの高さ方向範囲HRにわたって設置されてもよい。
なお、冷却材入口部66又は冷却材出口部67の下端の高さをHは、原子炉容器下端Pからの高さである。
この実施形態は、上述の図2の説明に記載したように、原子炉2が、原子炉容器11内に冷却材を導くための冷却材入口部66と、冷却材を原子炉容器11から排出するための冷却材出口部67と、を含む場合に適用される。
このように、冷却材入口部66又は冷却材出口部67の下端の高さHに対して、冷却促進デバイスが少なくとも0≦h≦Hの高さ方向範囲HRにわたって設置されることにより、原子炉容器壁30のうち熱流束が高い領域(溶融金属層85近傍の領域)を確実にカバーすることができ、原子炉容器壁30の溶断等の破損を防止できる。また、冷却材入口部66又は冷却材出口部67の下端の高さHに対して、冷却促進デバイスが少なくとも0≦h≦0.9Hの高さ方向範囲HRにわたって設置されることによって、より効果的に原子炉容器壁30の溶断等の破損を防止できる。
また、図4及び図5に示すように、冷却促進デバイス100は、高さ方向範囲HRの原子炉容器壁30、および、該高さ方向範囲HRよりも下方の原子炉容器壁30の全面にわたって設置されていてもよい。
これにより、過酷事故発生時における原子炉容器壁30の溶断をより一層確実に防ぐことができる。
図6に示す実施形態では、冷却促進デバイス100は、少なくとも溶融金属層85が占める高さ方向範囲HRに沿って、原子炉容器壁30の周囲に環状に設けられている。すなわち、この実施形態では、原子炉容器壁30のうち、高さ方向範囲HRより下方の少なくとも一部領域には冷却促進デバイス100が設けられていない。例えば、燃料層55のうち固化部56の厚さが大きい底部32の領域(熱流束が比較的小さい領域)には、冷却促進デバイス100が設けられなくてもよい。
一実施形態において、原子炉容器11の底部32は、開口部を有しない閉じた形状である。
この実施形態によれば、原子炉容器11の底部32に例えば計装管等の機器が設けられておらず、原子炉容器11の底部32が閉じた形状であるため、原子炉容器11の底部32を均一に冷却することができ、原子炉容器11の底部32に開口(例えば計装管を挿入するための管台)が設けられている場合に比べて、原子炉容器壁30の部分的な溶断を防止するうえで有利である。
また、幾つかの実施形態に係る原子炉2は、以下の構成をさらに備えていてもよい。
図3に示すように、幾つかの実施形態において、冷却流体貯留空間90は、冷却流体が、少なくとも炉内構造物80の溶融時に冷却流体貯留空間90を含む循環路92内を流れて循環するように構成される。
この実施形態によれば、原子炉容器11周囲の冷却流体貯留空間90において冷却流体が循環するようになっているので、原子炉容器壁30を介した除熱効果をより一層高めることができる。
一実施形態では、循環路92に設けられ、冷却流体貯留空間を通過する間に蒸発した冷却流体を凝縮させるためのコンデンサ94をさらに備える。例えば、コンデンサ94は、冷却流体を間接的に冷却するように構成された熱交換器であってもよい。
上記実施形態によれば、冷却流体を凝縮させるためのコンデンサ94を循環路92に設けることによって、コンデンサ94によって凝縮された冷却流体の液面と冷却流体貯留空間90とのヘッド差により、ポンプを設置することなく冷却流体を自然循環させることができる。よって、動力を削減できるとともに、例えば災害時等のように動力確保が困難な場合であっても原子炉容器11を効果的に冷却することができる。
一実施形態では、原子炉2は、コンデンサ94によって凝縮させた冷却流体を下方に導くためのリターン流路96と、冷却流体貯留空間90を原子炉容器11の周囲に形成するように原子炉容器11の周りに設けられた流路形成部材98をさらに備える。
この流路形成部材98の底部には、リターン流路96からの冷却流体を冷却流体貯留空間に取り込むための開口97が設けられている。
上記実施形態によれば、冷却流体貯留空間90を原子炉容器11の周囲に形成するように原子炉容器11の周りに流路形成部材98を設け、流路形成部材98の底部の開口97から冷却流体を冷却流体貯留空間90に取り込むようにしたので、冷却流体を原子炉容器11の外表面に適切に導くことができ、原子炉容器11の冷却効果をより一層高めることができる。
具体的には、原子炉容器11は、原子炉格納容器19(図1参照)内に設けられた原子炉容器収容部93に少なくとも原子炉容器11の下部が収容されるように配置されている。原子炉容器壁30の外表面と原子炉容器収容部93との間には空間が設けられており、この空間に、冷却流体貯留空間90が形成されている。流路形成部材98は、原子炉容器収容部93内において原子炉容器11の少なくとも下部を覆うように設けられている。原子炉容器壁30の外表面と流路形成部材98との間には、冷却流体貯留空間90が設けられている。また、原子炉容器収容部93の下部に連通するように、リターン流路96が設けられている。
冷却流体は、冷却流体貯留空間90を上方に向けて流れて原子炉容器11を冷却する。原子炉容器11を冷却した後の冷却流体は、少なくとも一部が気化して蒸気となって原子炉容器収容部93の上部(冷却流体貯留空間90の出口)から排出される。そして、排出された蒸気は回収されてコンデンサ94に導入され、コンデンサ94において凝縮された後に液層の冷却流体としてリターン流路96に導かれる。リターン流路96を下降した冷却流体は、原子炉容器収容部93に導かれ、開口97から冷却流体貯留空間90に導入される。こうして、冷却流体は、冷却流体貯留空間90、コンデンサ94、およびリターン流路96を循環するようになっている。
なお、上述した実施形態では、コンデンサ94を用いた冷却流体の自然循環について説明したが、勿論、ポンプを用いて冷却流体を強制循環させてもよい。
ここで、図8及び図9を参照して、幾つかの実施形態に係る冷却促進デバイス100(100A,100B)の概略構成について説明する。
図8に示す実施形態では、冷却促進デバイス100Aは、原子炉容器壁30(図3〜図5参照)側に設けられる第1の多孔質体110と、冷却流体貯留空間90側に設けられる第2の多孔質体112と、が積層された構造を有する。第1の多孔質体110は、原子炉容器壁30の外表面に接触するように配置されてもよい。また、第2の多孔質体112は、第1の多孔質体110よりも透過率が大きい。
第1の多孔質体110は、毛細管現象により作動流体を原子炉容器壁30との接触部に供給した後、この接触部で発生した蒸気を第2の多孔質体112側へ排出するように構成されている。
第2の多孔質体112は、冷却流体貯留空間90の作動流体を第1の多孔質体110側へ供給し、第1の多孔質体110から排出された蒸気を冷却流体貯留空間90の作動流体中へ排出するように構成されている。
この実施形態によれば、第1の多孔質体110と原子炉容器壁30との接触部において蒸気が発生すると、毛細管現象により強制的に作動流体が接触部に供給されるので、原子炉容器壁30における限界熱流束を大幅に向上することができ、原子炉2を効果的に冷却することができる。また、第1の多孔質体110と冷却流体貯留空間90内の作動流体との間に第2の多孔質体112が設けられているので、液枯れの発生が抑制され、限界熱流束が小さくなることを防止できる。したがって、この冷却促進デバイス100Aを上述した原子炉容器壁30の少なくとも高さ方向範囲HRに設けることで、大型の原子炉2においても適切にIVRを成立させることが可能となる。
図9に示す実施形態では、冷却促進デバイス100Bは、原子炉容器壁30(図3〜図5参照)の外表面に設けられる一種類の多孔質体114を含む。すなわち、多孔質体114は、一面側が原子炉容器壁30の外表面に当接し、他面側が冷却流体貯留空間90内の作動流体に接するように設けられている。
この実施形態によれば、多孔質体114と原子炉容器壁30との接触部において蒸気が発生すると、毛細管現象により強制的に作動流体が接触部に供給されるので、原子炉容器壁30における限界熱流束を大幅に向上することができ、原子炉2を効果的に冷却することができる。したがって、この冷却促進デバイス100Bを上述した原子炉容器壁30の少なくとも高さ方向範囲HRに設けることで、大型の原子炉2においても適切にIVRを成立させることが可能となる。
上述したように、本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、原子炉容器11の外表面における膜沸騰を抑制可能であり、原子炉2での高い除熱量を維持できる。したがって、比較的大型の原子炉2であっても、原子炉容器壁30を介した溶融燃料の崩壊熱除去を長期的に維持可能であり、IVRを成立させることができる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上記実施形態では、図1に示す原子炉2が加圧水型原子炉である場合について説明したが、他の実施形態では、原子炉2は沸騰水型原子炉であってもよい。
また、図1に示す原子力プラント1は、発電を行うための原子力発電プラントを例示したが、動力等のように電力以外のエネルギーを生成するように構成された原子力プラントであってもよい。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
1 原子力プラント
2 原子炉
4 蒸気タービン
6 発電機
10 一次冷却ループ
11 原子炉容器
12 燃料棒
13 制御棒
16 蒸気発生器
19 原子炉格納容器
20 二次冷却ループ
21 高圧タービン
22 低圧タービン
30 原子炉容器壁
31 側壁部
32 底部
50 燃料集合体
55 燃料層
66 冷却材入口部
67 冷却材出口部
72 炉心槽
74 炉心
80 炉内構造物
85 溶融金属層
90 冷却流体貯留空間
92 循環路
93 原子炉容器収容部
94 コンデンサ
96 リターン流路
97 開口
98 流路形成部材
100,100A,100B 冷却促進デバイス
110 第1の多孔質体
112 第2の多孔質体
114 多孔質体

Claims (9)

  1. 原子炉容器と、
    前記原子炉容器内に設けられ、少なくとも一部が金属により形成された炉内構造物と、
    前記原子炉容器を冷却するための冷却流体が貯留されるように前記原子炉容器の周囲に設けられた冷却流体貯留空間と、
    前記原子炉容器の外表面を覆うように前記冷却流体貯留空間内に設けられ、前記冷却流体の膜沸騰を抑制するための多孔質体を含む冷却促進デバイスと、を備え、
    前記冷却促進デバイスは、少なくとも、前記原子炉容器内において前記炉内構造物が溶融したときに形成される前記金属の液層が占める高さ方向範囲にわたって設けられることを特徴とする原子炉。
  2. 前記原子炉容器内において前記炉内構造物が溶融したときに形成される前記金属の前記液層の上面の高さをHとしたとき、前記冷却促進デバイスの前記高さ方向範囲の最高位置hは1.2H以上であることを特徴とする請求項1に記載の原子炉。
  3. 前記原子炉容器内において前記炉内構造物が溶融したときに形成される前記金属の前記液層の下面の高さをHとしたとき、前記冷却促進デバイスの前記高さ方向範囲の最低位置hは0.7H以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の原子炉。
  4. 前記原子炉容器の底部は、開口部を有しない閉じた形状であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の原子炉。
  5. 前記原子炉容器は、
    前記原子炉容器内に冷却材を導くための冷却材入口部と、
    前記冷却材を前記原子炉容器から排出するための冷却材出口部と、
    を含み、
    前記冷却促進デバイスは、前記冷却材入口部又は前記冷却材出口部の下端の高さをHとしたとき、前記冷却促進デバイスは少なくとも0≦h≦Hの前記高さ方向範囲にわたって設置されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の原子炉。
  6. 前記冷却流体貯留空間は、前記冷却流体が、少なくとも前記炉内構造物の溶融時に前記冷却流体貯留空間を含む循環路内を流れて循環するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の原子炉。
  7. 前記循環路に設けられ、前記冷却流体貯留空間を通過する間に蒸発した前記冷却流体を凝縮させるためのコンデンサをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の原子炉。
  8. 前記コンデンサによって凝縮させた前記冷却流体を下方に導くためのリターン流路と、
    前記冷却流体貯留空間を前記原子炉容器の周囲に形成するように前記原子炉容器の周りに設けられた流路形成部材をさらに備え、
    前記流路形成部材の底部には、前記リターン流路からの前記冷却流体を前記冷却流体貯留空間に取り込むための開口が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の原子炉。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項に記載の原子炉と、
    前記原子炉で回収した熱を利用して発電を行うための発電機と、
    を備えることを特徴とする原子力プラント。
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