JP2017057459A - バリアフィルムの製造方法及びプラズマcvd装置 - Google Patents

バリアフィルムの製造方法及びプラズマcvd装置 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマCVD法でのバリア層の成膜において、装置構成の大がかりな変更を伴うことなく成膜速度を増加できる技術を提供する。
【解決手段】本発明は、プラズマCVD法によって、基材フィルムの片面もしくは両面にケイ素、炭素及び酸素を含むバリア層を形成するバリアフィルムの製造方法であって、
前記プラズマCVD法のバリア層形成用ガスは、有機ケイ素化合物ガス及び酸化性ガスを含有し、
前記有機ケイ素化合物を完全に酸化した場合の化学反応式において、酸化反応によって生成する分子の全分子数をA、前記有機ケイ素化合物中のケイ素の原子数をBとするとき、(A−B)/Bの値が6.75以下であることを特徴とするバリアフィルムの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL照明、有機ELディスプレイ、太陽電池のバックシート、食品や医薬品の包装等に用いられ、または有機EL素子、太陽電池素子等の電子素子の封止に用いられるバリアフィルムの製造方法、及びその製造に用いるプラズマCVD装置に関する。
樹脂フィルムに、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの金属酸化物の薄膜や、アルミニウムなどの金属の薄膜を形成したフィルムは、水蒸気や酸素などによる食品や医薬品等の変質を防止するガスバリアフィルムとして広く利用されている。
近年、エレクトロニクス分野において、有機EL照明、有機ELディスプレイ、有機太陽電池など、有機分子を用いた素子開発、実用化が進んでいる。ここでは、軽量、低コストの観点から、ガラス基板に代わって樹脂フィルム基材を用いたバリアフィルムの利用ニーズが高まっている。しかし、樹脂基材のバリアフィルムは、ガラス基板に比較して水蒸気バリア性が遙かに低く、有機分子素子の特性劣化を抑制できないとの問題を抱えている。
このような問題を解決するため、よりバリア性の高いフィルムの開発が進められている。例えば、特許文献1には、無機バリア層と有機層とを複数層積層させた構成とすることにより、バリア性を高める技術が開示されている。一方で、このような多層構造とした場合には、有機・無機の各層をそれぞれに形成する必要がある。すなわち、製造工程が追加されることによって所要時間が増加し、更にはコストも増加するという問題がある。
このような特許文献1に対し、特許文献2、3には、単層で高いバリア性を得る技術が開示されている。バリア層を単層とすることで前記の製造工程の追加の問題を解消することができる。これらの技術では、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマ化学的気相成長法。以下、プラズマCVD法と呼ぶ。)によるバリア膜形成が行われており、バリア膜として特許文献2では炭化酸化珪素膜、特許文献3では珪素、酸素及び炭素を含有した薄膜層を形成しているが、いずれの技術においても、十分な成膜速度が得られているとは言い難い。
特開2013−121702号公報 特開2011−42835号公報 特開2012−81630号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的はプラズマCVD法でのバリア層の成膜において、装置構成の大がかりな変更を伴うことなく成膜速度を増加できる技術を提供することにある。
上記課題を達成した本発明は、プラズマCVD法によって、基材フィルムの片面もしくは両面にケイ素、炭素及び酸素を含むバリア層を形成するバリアフィルムの製造方法であって、
前記プラズマCVD法のバリア層形成用ガスは、有機ケイ素化合物ガス及び酸化性ガスを含有し、
前記有機ケイ素化合物を完全に酸化した場合の化学反応式において、酸化反応によって生成する分子の全分子数をA、前記有機ケイ素化合物中のケイ素の原子数をBとするとき、(A−B)/Bの値が6.75以下であることを特徴とするバリアフィルムの製造方法である。
前記バリア層形成用ガスは、有機ケイ素化合物ガス及び酸化性ガスのみからなることが好ましい。また、前記有機ケイ素化合物が、ケイ素原子を構成員とする環状構造を有することが好ましく、環状シロキサン化合物及び環状シラザン化合物の少なくとも1種であることがより好ましい。前記環状シロキサン化合物は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びヘキサメチルシクロトリシロキサンの少なくとも1種であることが好ましい。また前記環状シラザン化合物が、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチルシクロトリシラザンであることが好ましい。
前記有機ケイ素化合物は、モノメチルシラン及びジメチルシランの少なくとも1種であることも好ましい。
本発明は、上記製造方法に用いられるプラズマCVD装置も包含し、具体的には、
耐圧容器と、
前記耐圧容器内に設けられ、バリア層形成基板を支持するためのサセプタと、
前記耐圧容器内を減圧に維持するための排気手段と、
前記耐圧容器に接続する、バリア層形成用ガスの供給手段と、
プラズマ発生手段を備えるプラズマCVD装置であって、
前記バリア層形成用ガスは有機ケイ素化合物ガス及び酸化性ガスを含有し、
前記有機ケイ素化合物を完全に酸化した場合の化学反応式において、酸化反応によって生成する分子の全分子数をA、前記有機ケイ素化合物中のケイ素の原子数をBとするとき、(A−B)/Bの値が6.75以下であるプラズマCVD装置である。
本発明の製造方法によれば、所定の要件を満たす排気負荷の小さい有機ケイ素化合物ガスをバリア層の原料ガスとしてプラズマCVDを行っているため、バリア層の成膜速度を向上できる。
図1は、各種有機ケイ素化合物に対するバルブ開度と成膜レートとの関係を表したグラフである。 図2は、酸化性ガスの供給量を変化させた際の、各種有機ケイ素化合物に対するバルブ開度と成膜レートとの関係を表したグラフである。
上述した通り、プラズマCVD法によるバリア膜形成では、従来、十分な成膜速度が得られていなかった。プラズマCVD法の成膜速度を向上させたいとのニーズは高いものの、種々の制約があり容易ではない。成膜速度を高める方法としては、主に(1)電力律速の場合には、プラズマの投入電力を増加させること、(2)原料供給律速の場合には、原料供給量を増加させることの2点が考えられる。しかしながら、上記(1)の場合には、電力を増加させると発熱によってフィルム基材がダメージを受けるため、許容される電力の上限が決まる。また上記(2)の場合には、ポンプの排気容量とのバランスで、原料供給量の上限が決まる。すなわち、上記(1)、(2)のいずれの場合にも、装置の構成によって成膜速度の限界が決まり、(1)に対しては冷却システムの改善、(2)に対してはポンプ数量の増加が必要となり、装置のサイズ及びコストの大幅な増加が避けられない。
そこで、本発明では、基材フィルムの片面もしくは両面にケイ素、炭素及び酸素を含むバリア層を形成するバリアフィルムの製造方法において、原料ガスである有機ケイ素化合物ガスとして、排気負荷を低減できる所定の化合物を用いれば、装置サイズやコストを増加させることなく成膜速度を向上できることを見出した。
排気負荷を低減できる有機ケイ素化合物とは、具体的には、該有機ケイ素化合物を完全に酸化した場合の化学反応式において、酸化反応によって生成する分子の全分子数をA、前記有機ケイ素化合物中のケイ素の原子数をBとするとき、(A−B)/Bの値が6.75以下である。
有機ケイ素化合物を完全に酸化した場合に生成される分子としては、該有機ケイ素化合物に含まれる原子の種類にもよるが、主としてSiO2、CO2、H2O、NO2などが考えられ、これらの全分子数が上記したAに相当する。またBは有機ケイ素化合物中のケイ素の原子数、すなわちSiO2の分子数に相当する。従って、A−Bの値とは、上記した生成分子のうち、CO2、H2O、NO2などのガス成分の分子数の総量に相当する。よって、(A−B)/Bの値はSiO2を1分子生成した際に生じるガス成分の分子量の総量に相当し、SiO2を1分子生成する際の排気負荷の指標となる。
この排気負荷を低減する観点から(A−B)/Bの値は小さい方が好ましく、この値を6.75以下と定めた。上述した特許文献2及び3の実施例において開示されているヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を完全に酸化した場合の化学反応式は下記式(1)で表され、Aの値は17、Bの値は2であり、(A−B)/Bの値は7.5である。後述する実施例で示す通り、(A−B)/Bの値が6.75以下である本発明の有機ケイ素化合物を原料ガスとして用いると、この値が7.5であるヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用いる場合よりもプラズマCVDにおける成膜速度が向上できる。
O[Si(CH332+12O2 → 2SiO2+6CO2+9H2O ・・・(1)
(A−B)/Bの値は、6.5以下が好ましく、より好ましくは6.0以下であり、5.0以下が更に好ましい。(A−B)/Bの値の下限は特に限定されず、例えば3であっても良い。
上記要件を満足する有機ケイ素化合物としては、例えばケイ素原子を構成員とする環状構造を有する化合物が挙げられる。環状構造とすることで、ケイ素原子の官能基結合サイトを低減でき、分子全体として結合される官能基を少なくでき、その結果酸化反応により生成される分子数を低減できる。環状構造を有する化合物は、好ましくは環状シロキサン化合物、環状シラザン化合物であり、これらの少なくとも1種を用いることが好ましい。前記環状シロキサン化合物としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HMCT Siloxane)などが挙げられ、前記環状シラザン化合物としては2,2,4,4,6,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン(HMCT Silazane)が挙げられる。上述のように環状構造を有する有機ケイ素化合物も好ましいが、環状構造でなくとも分子中に含まれる官能基が少ないものであれば良く、例えばモノメチルシラン、ジメチルシランも好適に用いることができる。
本発明の製造方法では、バリア層を成膜するためのガスは、原料ガスとして前記した有機ケイ素化合物ガスを含有する他、反応性ガスとして酸化性ガスを含有している。酸化性ガスとしては、例えば酸素、オゾン、水蒸気などが挙げられ、好ましくは酸素である。
本発明においては、酸化性ガスの量を適切な範囲に制御することが好ましい。本発明の製造方法では、有機ケイ素化合物と酸化性ガスとの酸化反応が起こり、酸化性ガスの量は有機ケイ素化合物を化学量論的に完全に酸化するのに十分な量が存在すれば良いと考えられるが、排気負荷を低減することを考慮すると、酸化性ガスの量は少ない方が好ましい。酸化性ガスの量は、原子比で、有機ケイ素化合物を化学量論的に完全に酸化できる量の1.2倍以下が好ましく、より好ましくは1.0倍以下であり、下限は特に限定されないが例えば0.7倍程度である。またこのようにすることによって、ケイ素、炭素及び酸素を含むバリア層を形成することができ、バリア層に柔軟性を付与できる。ケイ素、炭素及び酸素を含むバリア層は、各原子間の距離が小さいため、ガスバリア性に優れる。本発明では、生成されたプラズマにより原料ガスが分解され、分解された原料ガスと反応性ガスによる層(例えば酸化シリコン)や、この層に更に分解された原料ガス中の原子が取り込まれた層(例えば酸化炭化シリコン)、また分解された原料ガス中の原子同士が結合した層(例えば炭化シリコン)などが形成される。本発明のバリア層は、例えば酸化シリコン及び炭化シリコンを含むことが好ましい。バリア層の膜厚は、例えば50nm〜1μm程度とできる。
バリア層形成用ガスは、上記した有機ケイ素化合物ガスと酸化性ガスの他、キャリアガスとしてアルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性ガスを含んでいても良いが、有機ケイ素化合物ガスと酸化性ガスのみであることが好ましい。このようにすることによって排気負荷をより低減でき、プラズマCVD法における成膜速度を向上できる。
プラズマCVD法としては、容量結合性プラズマ、誘導結合性プラズマ、表面波プラズマ、マグネトロンプラズマ、電子サイクロトロン共鳴プラズマ、磁気中性線放電プラズマ、ヘリコン波プラズマ等が利用できる。
バリア層を形成する基材フィルムは特に限定されないが、例えば樹脂フィルムが挙げられ、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリアクリロニトリル系樹脂:シクロオレフィン系樹脂などが挙げられる。基材フィルムの厚みは特に限定されないが、通常50〜200μm程度である。本発明の製造方法では、バリア層は基材フィルムの片面に形成されていても良いし、両面に形成されていても良い。
本発明は、上記したバリアフィルムの製造方法に用いるプラズマCVD装置も包含する。本発明のプラズマCVD装置は、
耐圧容器と、
前記耐圧容器内に設けられ、バリア層形成基板を支持するためのサセプタと、
前記耐圧容器内を減圧に維持するための排気手段と、
前記耐圧容器に接続する、バリア層形成用ガスの供給手段と、
プラズマ発生手段を備えるプラズマCVD装置であって、
前記バリア層形成用ガスは有機ケイ素化合物ガス及び酸化性ガスを含有し、
前記有機ケイ素化合物を完全に酸化した場合の化学反応式において、酸化反応によって生成する分子の全分子数をA、前記有機ケイ素化合物中のケイ素の原子数をBとするとき、(A−B)/Bの値が6.75以下であることを特徴とするプラズマCVD装置である。
前記耐圧容器は、気密性を有する容器であり、該耐圧容器内にはバリア層形成基板を支持するためのサセプタを備えている。サセプタの温度は室温〜100℃程度とすることができる。また、該耐圧容器には耐圧容器内の気体を容器外部に排気して、耐圧容器を減圧できる真空ポンプなどの排気手段が接続されている。該排気手段によって、耐圧容器内を例えば0.5〜20Pa程度(好ましくは1〜5Pa)の真空状態にすることが好ましい。基板は板状やフィルム状の他、複雑な形でも良い。フィルム状の場合は巻物形状で供給されるロールトゥロールで連続処理する形態も考えられる。
更に、該耐圧容器には、バリア層形成のためのガスを供給する手段が設けられる。ガスの供給手段は、マスフローコントローラなどの流量調整手段を備えていることが好ましく、原料ガスである有機ケイ素化合物の供給量は例えば5〜20sccm程度としても良い。ロールトゥロールでの連続処理の場合は、基材の幅1mあたり50〜300sccmとすると良い。バリア層形成用のガスは、上記した通り、原料ガスである有機ケイ素化合物ガスと、反応性ガスである酸化性ガスを含み、その他キャリアガスを含んでいても良い。成膜用ガス(原料ガス、反応性ガス、キャリアガス)の好ましい態様は、本発明の製造方法において説明した通りである。
プラズマ発生手段には、交流電源を用いることができる。交流電源を用いる場合、その投入電力は、例えば100〜400Wである。ロールトゥロールでの連続処理の場合は、基材の幅1mあたり1〜10kWとすると良い。好ましいプラズマ源は、本発明の製造方法において説明した通りである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
各種有機ケイ素化合物を用いて、プラズマCVD法によって基板フィルムにバリア層の成膜を行い、排気負荷と成膜レートとの関係を調べた。
実施例1
各種有機ケイ素化合物と、これらを完全酸化した場合の化学反応式、及びこの化学反応式から求められるA、B及び(A−B)/Bの値を表1に示す。
Figure 2017057459
表1に示した有機ケイ素化合物のうちテトラエトキシシランとモノシランを除く化合物を用いて、下記の条件にてバリア層を成膜した。
成膜装置:アネルバ製 プラズマCVD装置(型式:PED−401)
RF投入電力:180W
基板:Siウエハ
バリア層膜厚:100〜500nm
サセプタ温度:60℃
圧力:15Pa(成膜中、常に本圧力となるよう、背圧側のバルブ開度を調整した。バルブ開度を排気負荷の指標として測定した。すなわち、バルブ開度が大きいことは排気負荷が大きいことを意味し、バルブ開度が小さいことは排気負荷が小さいことを意味する。)
有機ケイ素化合物供給量:5〜20sccm(マスフローコントローラにて制御)
酸化性ガス:酸素
酸化性ガス供給量:有機ケイ素化合物1分子に対する酸化性ガスの分子量を表1に示した。
バリア層の膜厚は、ジェー・エー・ウーラム製 分光エリプソメーター(型式:M−2000)を用いて測定、解析した。
図1に、各種有機ケイ素化合物に対するバルブ開度(すなわち、排気負荷)と成膜レートとの関係を表す。各有機ケイ素化合物について、原料供給の流量を変化させて複数点のデータを得た。
図1より、一定のバルブ開度に対して、成膜レートはヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルシクロトリシラザン(HMCT Silazane)、ジメチルシラン(SiH2(CH32)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HMCT Siloxane)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、モノメチルシラン(SiH3CH3)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)の順に増加している。これは、表1に示した通り、排気負荷の指標である(A−B)/Bの値が低下していく順と同じである。つまり、排気負荷の低減に伴い、成膜レートが向上したと考えられる。
本実施例では用いていないが、上記表1では、有機シロキサンとして汎用的に用いられるテトラエトキシシラン(TEOS)、及び酸化シリコンをCVD法にて形成する際に広く用いられるモノシランの排気負荷も示した。TEOSは、本発明の有機ケイ素化合物に比べて排気負荷が遙かに高いため、成膜速度が非常に遅いと予測される。またモノシランは排気負荷が小さく、成膜速度は良好であると考えられるが、炭素源を含んでいないため、バリア層としてそのまま利用することは難しい。
実施例2
有機ケイ素化合物として、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を用い、下記の成膜条件にてバリア層を成膜した。
プラズマ源:誘導結合性プラズマ
RF投入電力:300W
基板:Siウエハ
バリア層膜厚:100〜500nm
サセプタ温度:室温
圧力:4Pa(実施例1と同様に、常に本圧力となるよう、背圧側のバルブ開度を調整した。)
有機ケイ素化合物供給量
HMDSO:7〜300sccm(マスフローコントローラにて制御)
OMCTS:0.1〜0.4g/min(液体マスフローコントローラにて液流量を制御し、キャリアガスとして窒素を用いて、キャブレーター式の気化器で気化させて成膜チャンバに導入した。窒素流量は10sccmとした。)
酸化性ガス:酸素
酸化性ガス供給量:HMDSOについては、HMDSOの原子量の10倍、OMCTSについては、OMCTSの16倍または13.3倍の酸素を供給した。
バリア層の膜厚は、実施例1と同様に、ジェー・エー・ウーラム製 分光エリプソメーター(型式:M−2000)を用いて測定、解析した。
図2に、各有機ケイ素化合物に対するバルブ開度(すなわち、排気負荷)と成膜レートとの関係を表す。各有機ケイ素化合物について、原料供給の流量を変化させて複数点のデータを得た。
図2より、一定のバルブ開度に対して、OMCTSの成膜レートはHMDSOの約1.5倍であることが分かる。これは、表1に示した排気負荷の指標である(A−B)/Bの値の比に相当している。すなわち、排気負荷の低減に伴い、成膜レートが向上したと考えられる。
本発明によれば、プラズマCVD法によってケイ素、炭素及び酸素を含むバリア層を速い成膜速度で形成できるので、有機EL照明、有機ELディスプレイ、太陽電池のバックシート、食品や医薬品の包装等に用いられ、または有機EL素子、太陽電池素子等の電子素子の封止に用いられるバリアフィルムの製造に有用である。

Claims (8)

  1. プラズマCVD法によって、基材フィルムの片面もしくは両面にケイ素、炭素及び酸素を含むバリア層を形成するバリアフィルムの製造方法であって、
    前記プラズマCVD法のバリア層形成用ガスは、有機ケイ素化合物ガス及び酸化性ガスを含有し、
    前記有機ケイ素化合物を完全に酸化した場合の化学反応式において、酸化反応によって生成する分子の全分子数をA、前記有機ケイ素化合物中のケイ素の原子数をBとするとき、(A−B)/Bの値が6.75以下であることを特徴とするバリアフィルムの製造方法。
  2. 前記バリア層形成用ガスが、有機ケイ素化合物ガス及び酸化性ガスのみからなる請求項1に記載のバリアフィルムの製造方法。
  3. 前記有機ケイ素化合物が、ケイ素原子を構成員とする環状構造を有する請求項1または2に記載のバリアフィルムの製造方法。
  4. 前記有機ケイ素化合物が、環状シロキサン化合物及び環状シラザン化合物の少なくとも1種である請求項3に記載のバリアフィルムの製造方法。
  5. 前記環状シロキサン化合物が、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びヘキサメチルシクロトリシロキサンの少なくとも1種である請求項4に記載のバリアフィルムの製造方法。
  6. 前記環状シラザン化合物が、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチルシクロトリシラザンである請求項4または5に記載のバリアフィルムの製造方法。
  7. 前記有機ケイ素化合物が、モノメチルシラン及びジメチルシランの少なくとも1種である請求項1または2に記載のバリアフィルムの製造方法。
  8. 耐圧容器と、
    前記耐圧容器内に設けられ、バリア層形成基板を支持するためのサセプタと、
    前記耐圧容器内を減圧に維持するための排気手段と、
    前記耐圧容器に接続する、バリア層形成用ガスの供給手段と、
    プラズマ発生手段を備えるプラズマCVD装置であって、
    前記バリア層形成用ガスは有機ケイ素化合物ガス及び酸化性ガスを含有し、
    前記有機ケイ素化合物を完全に酸化した場合の化学反応式において、酸化反応によって生成する分子の全分子数をA、前記有機ケイ素化合物中のケイ素の原子数をBとするとき、(A−B)/Bの値が6.75以下であることを特徴とするプラズマCVD装置。
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