JP2017057390A - 微細繊維状セルロース含有物 - Google Patents
微細繊維状セルロース含有物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017057390A JP2017057390A JP2016181457A JP2016181457A JP2017057390A JP 2017057390 A JP2017057390 A JP 2017057390A JP 2016181457 A JP2016181457 A JP 2016181457A JP 2016181457 A JP2016181457 A JP 2016181457A JP 2017057390 A JP2017057390 A JP 2017057390A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fibrous cellulose
- fine fibrous
- mass
- containing material
- cellulose
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Artificial Filaments (AREA)
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【解決手段】微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上である微細繊維状セルロース含有物であって、下記試料が以下の条件A及び条件Bを満たす微細繊維状セルロース含有物。
条件A: B型粘度計を用いて3rpm、25℃で測定される粘度が2800mPa・s以上である。
条件B: ヘーズ値が10%以上50%以下である。
但し、前記試料は、前記微細繊維状セルロース含有物を固形分濃度が0.4質量%となるように純水中に添加し、ディスパーザーにて1500rpm、5分の条件で撹拌した試料である。
【選択図】なし
Description
(1) 微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上である微細繊維状セルロース含有物であって、下記試料が以下の条件A及び条件Bを満たす微細繊維状セルロース含有物:
条件A: B型粘度計を用いて3rpm、25℃で測定される粘度が2800mPa・s以上である。
条件B: ヘーズ値が10%以上50%以下である。
但し、前記試料は、前記微細繊維状セルロース含有物を固形分濃度が0.4質量%となるように純水中に添加し、ディスパーザーにて1500rpm、5分の条件で撹拌した試料である。
(2) 有機溶媒をさらに含む、(1)に記載の微細繊維状セルロース含有物。
(3) 有機溶媒がイソプロピルアルコールである、(2)に記載の微細繊維状セルロース含有物。
(4) 水をさらに含む、(2)又は(3)に記載の微細繊維状セルロース含有物。
(5) 前記微細繊維状セルロースがイオン性置換基を有する、(1)から(4)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(6) 前記微細繊維状セルロースがリン酸基を有する、(1)から(5)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(7) 前記微細繊維状セルロースにおけるリン酸基の量が、0.5mmol/g以上である、(1)から(6)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(8) 微細繊維状セルロースの含有量が、95質量%以下である、(1)から(7)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(9) 平均繊維幅が1μmより大きい粗大繊維状セルロースをさらに含む、(1)から(8)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
(10) 前記粗大繊維状セルロースの繊維長さが10μm以上である、(9)に記載の微細繊維状セルロース含有物。
(11) 粉粒状である、(1)から(10)のいずれかに記載の微細繊維状セルロース含有物。
繊維状セルロースを得るための繊維状セルロース原料としては特に限定されないが、入手しやすく安価である点から、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプから選ばれる。木材パルプとしては例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)、溶解パルプ(DP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ、等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。本実施態様のパルプは上記1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中で、入手のしやすさという点で、セルロースを含む木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。木材パルプの中でも化学パルプはセルロース比率が大きいため、繊維微細化(解繊)時の微細繊維状セルロースの収率が高く、またパルプ中のセルロースの分解が小さく、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる点で好ましいが、特に限定されない。中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択されるが、特に限定されない。この軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを含有するシートは高強度が得られる。
本発明で用いる微細繊維状セルロースは、イオン性置換基を有することが好ましいが、特にこれに限定されない。
イオン性置換基としては、アニオン性置換基又はカチオン性置換基のいずれでもよいが、好ましくはアニオン性置換基である。
アニオン性置換基を導入する場合、繊維原料と反応する化合物としては、例えば、リン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物、硫酸由来の基を有する化合物、スルホン酸由来の基を有する化合物等が挙げられる。取扱いの容易さ、繊維との反応性から、リン酸由来の基、カルボン酸由来の基および硫酸由来の基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物が好ましい。これらの化合物が繊維とエステルまたは/およびエーテルを形成することがより好ましいが、特に限定されない。
絶乾質量で0.04g程度の固形分を含む微細繊維含有スラリーを分取し、イオン交換水を用いて50g程度に希釈する。この溶液を撹拌しながら、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下した場合の電気伝導度の値の変化を測定し、その値が極小となる時の0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を、滴定終点における滴下量とする。セルロース表面の置換基量XはX(mmol/g)=0.01(mol/l)×V(ml)/W(g)で表される。ここで、V:0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量(ml)、W:微細繊維状セルロース含有スラリーが含む固形分(g)である。
カチオン化剤の具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどのグリシジルトリアルキルアンモニウムハライド或いはそのハロヒドリン型の化合物が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウムが挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
アルカリ金属のリン酸塩としては、リン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属のリン酸塩としては、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。
アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン;
シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド;
ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン;
炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム等。
上記アルカリ化合物は1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
微細繊維状セルローススラリーは、繊維状セルロースを微細化(解繊)処理に供することによって製造することができる。
溶媒の具体例としては、水、有機溶媒単独、並びに水と有機溶媒との混合物を挙げることができる。有機溶媒としては、意図した比誘電率を確保できる限り特に限定されない。例えば、アルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tブチルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル等が挙げられる。有機溶媒は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。上記の中でも好ましくは、溶媒は水である。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。平均繊維幅とはこのように読み取った繊維幅の平均値である。
また、上記した粗大繊維状セルロースの繊維長さは特に限定されないが、10μm以上が好ましい。
上記で得られた微細繊維状セルローススラリーを、脱水処理に供することにより、本発明による微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上である微細繊維状セルロース含有物を調製することができる。即ち、本発明によれば、微細繊維状セルロースを含む希釈液をゲル化させる工程、上記で得られたゲル化物から微細繊維状セルロースを含む濃縮物を得る工程、及び上記濃縮物を加熱する工程を含む、本発明の微細繊維状セルロース含有物の製造方法も提供される。
(1)微細繊維状セルロースを含む希釈液に、濃縮剤を添加してゲル化させ、ろ過後、圧搾して濃縮物を得る。上記濃縮物を酸で処理し、次いでアルカリで処理して濃縮物を得る。上記濃縮物に溶媒を添加してろ過して濃縮物を得て、得られた濃縮物をオーブン等で加熱することにより、本発明の微細繊維状セルロース含有物を得ることができる。
圧搾する装置としては、ベルトプレス、スクリュープレス、フィルタープレスなど一般的なプレス装置を用いることができ、装置は特に限定されない。
使用する濾材は特に限定されないが、ステンレス製、ろ紙、ポリプロピレン製、ナイロン製、ポリエチレン製、ポリエステル製などが使用できる。酸を使用することもあるため、ポリプロピレン製が好ましい。
ろ材の通気度は低いほど歩留りが高まるため、30cm3/cm2・sec以下、より好ましくは10cm3/cm2・sec以下、さらに好ましくは1cm3/cm2・sec以下である。
圧搾工程に供する原料の濃度が低いと、脱水ろ液の増加や脱水工程の長時間化が起こるため、0.5%以上、よりこのましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上である。
圧搾時の圧力は0.2MPa以上、より好ましくは0.4MPa以上である。
本発明の微細繊維状セルロース含有物は、微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上である微細繊維状セルロース含有物であって、下記試料が以下の条件A及び条件Bを満たす微細繊維状セルロース含有物である。
条件A: B型粘度計を用いて3rpm、25℃で測定される粘度が2800mPa・s以上である。
条件B: ヘーズ値が10%以上50%以下である。
但し、前記試料は、前記微細繊維状セルロース含有物を固形分濃度が0.4質量%となるように純水中に添加し、ディスパーザーにて1500rpm、5分の条件で撹拌した試料である。
ディスパーザーとしては、一般的な分散機であれば特に限定されないが、ホモミキサーやスリーワンモータなどの攪拌機を使用する。後述するヘーズの測定においても同様である。
濃縮剤としては、多価金属の塩、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤などが挙げられるが、特に限定されない。濃縮剤として多価金属の塩を使用した場合には、本発明の微細繊維状セルロース含有物は、多価金属をさらに含み得る。多価金属としては、アルミニウム、カルシウム、又はマグネシウムなどが挙げられるが、特に限定されない。多価金属の塩としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられるが、特に限定されない。
酸としては、例えば、無機酸、スルホン酸、カルボン酸等を用いることができる。無機酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸等が挙げられる。
アルカリとしては、無機アルカリ又は有機アルカリのいずれでもよい。
無機アルカリとしては、例えば、以下のものが挙げられるが、特に限定されない。水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム。
有機アルカリとしては、例えば、以下のものが挙げられるが、特に限定されない。
アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン;
シクロヘキシルアミン、アニリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド;
ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等。
上記試料のpHが7以上であることにより、微細繊維状セルロースの官能基の対イオンがナトリウムイオンとなり、微細繊維状セルロース同士が静電反発し、溶媒中で容易に分散する。
上記試料のpHが11以下とすることにより、系内のアルカリ濃度を抑え、微細繊維状セルロースの静電反発力による溶媒中での分散性を向上させることができる。
本発明の微細繊維状セルロース含有物を、溶媒に再懸濁させることによって微細繊維状セルロース再分散物を得ることができる。
本発明の微細繊維状セルロース含有物には、界面活性剤が含まれてもよい。界面活性剤を含めることにより、表面張力が低下して、工程基材に対する濡れ性を高めることができ、微細繊維状セルロース含有シートをより容易に形成できる。
本発明による微細繊維状セルロース含有物の用途は特に限定されない。一例としては、微細繊維状セルロース再分散スラリーを用いて製膜し、各種フィルムとして使用することができる。別の例としては、微細繊維状セルロース再分散スラリーは、増粘剤として各種用途(例えば、食品、化粧品、セメント、塗料、インクなどへの添加物など)に使用することができる。さらに、樹脂やエマルションと混合し補強材としての用途にしようすることもできる。
尿素100g、リン酸二水素ナトリウム二水和物55.3g、リン酸水素二ナトリウム41.3gを109gの水に溶解させてリン酸化試薬を調製した。
乾燥した針葉樹晒クラフトパルプの抄上げシートをカッターミルおよびピンミルで処理し、綿状の繊維にした。この綿状の繊維を絶乾質量で100g取り、リン酸化試薬をスプレーでまんべんなく吹きかけた後、手で練り合わせ、薬液含浸パルプを得た。
得られた薬液含浸パルプを140℃に加熱したダンパー付きの送風乾燥機にて、120分間加熱処理し、リン酸化パルプを得た。
得られたリン酸化パルプをパルプ質量で100g分取し、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。ここで得られた脱水シートを脱水シートAと称する。
イオン交換水を添加し、2質量%スラリーを調製した。このスラリーをクリアランスを100μmに設定したシングルディスクリファイナーを3回パスさせCNF1を得た。
上記の脱水シートAについて、次に示す滴定法でリン酸基の導入量を測定した。
[置換基導入量(リン酸基導入量)の測定]
置換基導入量は、繊維原料へのリン酸基の導入量であり、この値が大きいほど、多くのリン酸基が導入されている。置換基導入量は、対象となる微細繊維状セルロースをイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定した。イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離した。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測した。すなわち、図1に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とした。
製造例1において、シングルディスクリファイナーを3回パスさせることに代えて、シングルディスクリファイナーを4回、5回、6回、7回、8回、9回、又は10回パスさせることによって、CNF2〜8をそれぞれ調製した。
製造例1において、送風乾燥機による加熱処理時間を120分から80分に変更し、シングルディスクリファイナーを3回パスさせることに代えてシングルディスクリファイナーを5回又は10回パスさせることによって、CNF9及び10をそれぞれ調製した。
製造例1において、送風乾燥機による加熱処理時間を120分から160分に変更することによって、CNF11を調製した。
製造例1において、送風乾燥機による加熱処理時間を120分から160分に変更した。また、製造例1において、シングルディスクリファイナーを3回パスさせることに代えて、シングルディスクリファイナーを4回、5回、6回、7回、8回、9回、又は10回パスさせた。上記により、CNF12〜CNF18をそれぞれ調製した。
乾燥質量200g相当分の未乾燥の針葉樹晒クラフトパルプとTEMPO2.5gと、臭化ナトリウム25gを水1500mlに分散させた。その後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が5.0mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応を終了した。
13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が8.0mmolになるように加えて反応を開始したこと以外は、製造例19(CNF19)の調製と同様にして、CNF20を調製した。
製造例1において、送風乾燥機による加熱処理時間を120分から160分に変更し、スラリーを湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて10回パスさせることによって、CNF21を調製した。
CNF1〜CNF21の繊維幅を下記の方法で測定した。
セルロース懸濁液の上澄み液を濃度0.01〜0.1質量%に水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。
また、セルロース懸濁液の上澄み液を濃度0.01〜0.1質量%に水で希釈し、スライドガラスに滴下した。カバーガラスをかぶせ、デジタルマイクロスコープ(Hirox製、KH−7700)により観察した。
CNF1を0.4質量%に希釈し、希釈液100mLに対して濃縮剤として塩化カルシウム1gを加えてゲル化させた。濾過後、ろ紙にて圧搾し、固形分濃度21.4質量%の濃縮物を得た。前記濃縮物を0.1N塩酸水溶液100mLに30分間浸漬後、イソプロパノール2gと6%水酸化ナトリウム水溶液2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度23.0質量%の濃縮物を得た。前記濃縮物にイソプロパノール2gとイオン交換水2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度26.7%の濃縮物を得た。得られた濃縮物を60℃に設定したオーブンに入れ、30分加熱した。得られた濃縮物の固形分濃度は95質量%であった。
CNF1の代わりに、CNF2〜18を使用すること以外は実施例1と同様にして、濃縮物を調製した。固形分濃度は何れも95質量%であった。
CNF1の代わりにCNF18を使用し、実施例1と同様に濃縮操作を行い、固形分22.2質量%の濃縮物を作製した後、それぞれ60℃に設定したオーブンにて0分、5分、10分、15分加熱を行った。上記以外は、実施例1と同様にして実施例19〜22の濃縮物を調製した。実施例19〜22の濃縮物の固形分濃度はそれぞれ、22.2質量%、30.1質量%、44.3質量%、56.3質量%であった。
CNF18を0.4質量%に希釈し、希釈液100mLに対して濃縮剤として塩化カルシウム1gを加えてゲル化させた。濾過後、ろ紙にて圧搾し、固形分濃度22.4質量%の濃縮物を得た。この濃縮物を0.1N塩酸水溶液100mlに30分間浸漬後、濾過し、60℃に設定したオーブンに入れ、30分加熱した。得られた濃縮物の固形分濃度は95質量%であった。
CNF18を0.4質量%に希釈し、希釈液100mLに対して濃縮剤として塩化アルミニウム1gを加えてゲル化させた。濾過後、ろ紙にて圧搾し、固形分濃度20.1質量%の濃縮物を得た。イソプロパノール2gと6%水酸化ナトリウム水溶液2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度22.0質量%の濃縮物を得た。前記濃縮物にイソプロパノール2gとイオン交換水2gを添加し、薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度26.9%の濃縮物を得た。得られた濃縮物にイソプロパノール2gを添加し薬さじでよく混合した後、濾過し、固形分濃度32.4%の濃縮物を得た。60℃に設定したオーブンに入れ、15分加熱した。得られた濃縮物の固形分濃度は95質量%であった。
CNF1の代わりに、CNF19及びCNF20を使用すること以外は実施例1と同様にして、実施例25及び実施例26の濃縮物を調製した。実施例25の濃縮物の固形分濃度は94.3質量%であり、実施例26の濃縮物の固形分濃度は93.2質量%であった。
CNF1を0.4質量%に希釈し、希釈液100mLをテフロン(登録商標)製シャーレに注ぎ、60℃に設定したオーブンにいれ120分加熱した。得られた濃縮物の固形分濃度は98.7質量%であった。
加熱時間を40分とした以外は比較例1と同様に行った。得られた濃縮物の固形分濃度は24.1質量%であった。
CNF21を比較例1と同様に行った。得られた濃縮物の固形分濃度は96.2質量%であった。
下記表に示す。
イオン交換水100mLに対して各実施例及び各比較例で調製した濃縮物を添加し、ディスパーサー(撹拌TKロボミクス、特殊機化工業製)にて1500rpmで5分攪拌し、0.4質量%水溶液(再分散液とも言う)を調製した。
上記0.4質量%分散液のヘーズを、光路長1cmの液体用ガラスセル(藤原製作所製、MG−40、逆光路)に上記分散液を入れ、JIS規格K7136に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製「HM−150」)を用いて測定した。ゼロ点測定は、同ガラスセルに入れたイオン交換水で行った。
イオン交換水100mLに対して各実施例及び各比較例で調製した濃縮物を添加し、ディスパーサー(撹拌TKロボミクス、特殊機化工業製)にて1500rpmで5分攪拌し、0.4質量%水溶液(再分散液とも言う)を調製した。
上記0.4質量%水溶液100mLに疎水化酸化チタン(STV−455、チタン工業株式会社製)を1.0質量%添加した後、ホモミキサーを用いて回転数4,000rpmで5分間攪拌した。30分間静置し、疎水化酸化チタンが水層と分離するか観察した。
◎:全く疎水化酸化チタンが分離せず、均一性を維持している。
○:やや分離した疎水化酸化チタンが存在しているが、全体としては均一性を維持している。
×:疎水化酸化チタン粒子が沈殿もしくは水面に存在し、水層と分離している。
イオン交換水100mLに対して各実施例及び各比較例で調製した濃縮物を添加し、ディスパーサー(撹拌TKロボミクス、特殊機化工業製)にて1500rpmで5分攪拌し、0.4質量%水溶液(再分散液とも言う)を調製した。
上記の0.4質量%水溶液について、25℃にてB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて回転数3 rpm(3分)で粘度を測定した。
Claims (11)
- 微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上である微細繊維状セルロース含有物であって、下記試料が以下の条件A及び条件Bを満たす微細繊維状セルロース含有物:
条件A: B型粘度計を用いて3rpm、25℃で測定される粘度が2800mPa・s以上である。
条件B: ヘーズ値が10%以上50%以下である。
但し、前記試料は、前記微細繊維状セルロース含有物を固形分濃度が0.4質量%となるように純水中に添加し、ディスパーザーにて1500rpm、5分の条件で撹拌した試料である。 - 有機溶媒をさらに含む、請求項1に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 有機溶媒がイソプロピルアルコールである、請求項2に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 水をさらに含む、請求項2又は3に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 前記微細繊維状セルロースがイオン性置換基を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 前記微細繊維状セルロースがリン酸基を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 前記微細繊維状セルロースにおけるリン酸基の量が、0.5mmol/g以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 微細繊維状セルロースの含有量が、95質量%以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 平均繊維幅が1μmより大きい粗大繊維状セルロースをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 前記粗大繊維状セルロースの繊維長さが10μm以上である、請求項9に記載の微細繊維状セルロース含有物。
- 粉粒状である、請求項1から10のいずれか一項に記載の微細繊維状セルロース含有物。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015183931 | 2015-09-17 | ||
JP2015183931 | 2015-09-17 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017057390A true JP2017057390A (ja) | 2017-03-23 |
JP2017057390A5 JP2017057390A5 (ja) | 2017-09-07 |
JP6418213B2 JP6418213B2 (ja) | 2018-11-07 |
Family
ID=58389861
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016181457A Active JP6418213B2 (ja) | 2015-09-17 | 2016-09-16 | 微細繊維状セルロース含有物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6418213B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020153023A (ja) * | 2019-03-19 | 2020-09-24 | 王子ホールディングス株式会社 | シート及びシートの製造方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013163773A (ja) * | 2012-02-13 | 2013-08-22 | Oji Holdings Corp | 微細繊維状セルロースの製造方法 |
WO2013176033A1 (ja) * | 2012-05-21 | 2013-11-28 | 王子ホールディングス株式会社 | 微細繊維の製造方法と微細繊維及び不織布並びに微細繊維状セルロース |
WO2014024876A1 (ja) * | 2012-08-10 | 2014-02-13 | 王子ホールディングス株式会社 | 微細繊維状セルロース凝集物、微細繊維状セルロース凝集物の製造方法及び微細繊維状セルロース分散液の再製造方法 |
-
2016
- 2016-09-16 JP JP2016181457A patent/JP6418213B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013163773A (ja) * | 2012-02-13 | 2013-08-22 | Oji Holdings Corp | 微細繊維状セルロースの製造方法 |
WO2013176033A1 (ja) * | 2012-05-21 | 2013-11-28 | 王子ホールディングス株式会社 | 微細繊維の製造方法と微細繊維及び不織布並びに微細繊維状セルロース |
WO2014024876A1 (ja) * | 2012-08-10 | 2014-02-13 | 王子ホールディングス株式会社 | 微細繊維状セルロース凝集物、微細繊維状セルロース凝集物の製造方法及び微細繊維状セルロース分散液の再製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020153023A (ja) * | 2019-03-19 | 2020-09-24 | 王子ホールディングス株式会社 | シート及びシートの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6418213B2 (ja) | 2018-11-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2017047768A1 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物 | |
JP6613771B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物 | |
JP7196051B2 (ja) | リン酸エステル化微細セルロース繊維及びその製造方法 | |
JP6418212B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物 | |
JP6601088B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物 | |
JP6561607B2 (ja) | 微細繊維状セルロース濃縮物の製造方法、および微細繊維状セルロースを含む組成物 | |
JP6907489B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物 | |
JP5910786B1 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物 | |
JP7095595B2 (ja) | 繊維状セルロース含有物及び繊維状セルロース含有物の製造方法 | |
JP6361836B1 (ja) | 繊維状セルロース含有物及び繊維状セルロース含有物の製造方法 | |
JP5950012B1 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物の製造方法 | |
JP2017052943A (ja) | 微細繊維状セルロース再分散スラリーの製造方法および微細繊維状セルロース再分散スラリー | |
JP7172033B2 (ja) | 繊維状セルロース、繊維状セルロース含有組成物、繊維状セルロース分散液及び繊維状セルロースの製造方法 | |
JP7355028B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有組成物およびその製造方法 | |
JP6418213B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物 | |
JP7131296B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有組成物およびその製造方法 | |
JP2020033398A (ja) | 微細繊維状セルロース含有組成物およびその製造方法 | |
JP6504094B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物 | |
JP7127005B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有物 | |
WO2021107147A1 (ja) | 繊維状セルロース、繊維状セルロース分散液及びシート | |
JP6780729B2 (ja) | 微細繊維状セルロース含有組成物およびその製造方法 | |
WO2021107146A1 (ja) | 繊維状セルロース、繊維状セルロース分散液及びシート | |
WO2018110525A1 (ja) | 繊維状セルロース含有組成物 | |
JP2018030966A (ja) | 繊維状セルロース含有物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170724 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170724 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20170724 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20170907 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170912 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20171109 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20171226 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20180220 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180518 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180628 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20180703 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180911 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180924 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6418213 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |