JP2017051907A - イオン濃度調整装置およびイオン濃度調整方法 - Google Patents

イオン濃度調整装置およびイオン濃度調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】通液方式のイオン濃度調整装置においてイオン濃度を適切に調整する。
【解決手段】通液を遮断した状態で両電極間に電圧を印加したときの液体の導電率の変化を検出する導電率検出部(33)と、導電率の変化の検出結果に基づいて通液状態でイオン濃度を調整するときの両電極への電力供給条件を設定する条件設定部(34)とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体のイオン濃度を調整するイオン濃度調整装置およびイオン濃度調整方法に関するものである。
従来、液体のイオン濃度(例えばpH値)を調整するイオン濃度調整装置が知られている。
例えば、特許文献1には、液体のpH値を調整する方法であって、(i)水素イオンおよび水酸化物イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む水溶液(A)中において、イオンを吸着できる導電性物質(C1)を含むイオン吸着電極(E1)と、イオンを吸着できる導電性物質(C2)を含むイオン吸着電極(E2)との間に、前記イオン吸着電極(E1)がアノードとなるように電圧を印加することによって、前記導電性物質(C1)に前記水溶液(A)中の陰イオンを吸着させ、前記導電性物質(C2)に前記水溶液(A)中の陽イオンを吸着させる工程と、(ii)水を含む液体中において、前記イオン吸着電極(E1)または前記イオン吸着電極(E2)のいずれか一方と、対極との間に電圧を印加することによって、前記液体のpHを変化させる工程とを含む方法が開示されている。
また、特許文献2には、イオン濃度を調整する方法であって、(i)容器内において、水素イオンおよび水酸化物イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液に、イオンを吸着できる第1の導電性物質を含む第1のイオン吸着電極と、イオンを吸着できる第2の導電性物質を含む第2のイオン吸着電極とを浸漬させた状態で、前記第1のイオン吸着電極がアノードとなるように、前記第1のイオン吸着電極と前記第2のイオン吸着電極との間に電圧を印加することによって、前記溶液中の陰イオンを前記第1のイオン吸着電極に吸着させ、前記溶液中の陽イオンを前記第2のイオン吸着電極に吸着させる工程を含み、前記(i)の工程において前記溶液がバッチ方式で処理され、前記電圧が、前記溶液による電圧降下がないと仮定した場合に前記溶液の溶媒が電気分解する電圧よりも高い電圧である方法が開示されている。
特許第3994417号明細書(2006年12月14日公開) 特許第3994418号明細書(2007年4月5日公開)
しかしながら、上記特許文献1,2の技術では、目的のイオン濃度に調整するためには、処理対象の液体全体のイオン濃度をモニタリングしながら目的のイオン濃度に到達するまで処理を行う必要がある。このため、バッチ方式の場合にはイオン濃度を適切に調整できるものの、処理対象の液体を通液させながら連続的に処理する通液方式(いわゆるワンパス方式)の場合にはイオン濃度を適切に調整することが困難であった。
すなわち、バッチ方式によりイオン濃度の調整処理を行う場合には、イオン濃度をモニタリングしながら目的のイオン濃度に到達するまで時間をかけて処理を継続することができる。ところが、通液方式では、処理対象の液体が電極による電荷供給領域を通過し終わるまでの期間中に通過する液体に適切な量の電荷を供給する必要がある。このため、通液方式では、イオン濃度をモニタリングしながら供給する電荷の量を調整することが困難であり、イオン濃度を適切に調整することが困難であった。
また、イオン濃度をモニタリングしながら目的のイオン濃度に到達するまで処理を行う場合、イオン濃度を測定するためのセンサを設置する必要があるので、装置サイズおよび装置コストが増大するという問題もあった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通液方式のイオン濃度調整装置において、イオン濃度を適切に調整することにある。
本発明の一態様にかかるイオン濃度調整装置は、液体を通液させる通液状態と通液を遮断する遮断状態とを切り替える切替部と、前記切替部に対して通液方向の上流側に配置された第1および第2電極と備え、前記両電極の少なくとも一方はイオンを吸脱着する特性を有する導電性物質を含み、前記両電極間に電圧を印加することで前記液体のイオン濃度を調整するイオン濃度調整装置であって、前記遮断状態で前記両電極間に電圧を印加したときの前記液体の導電率に対応する物理量の変化を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記通液状態で前記液体のイオン濃度を調整するときの前記両電極への電力供給条件を設定する条件設定部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、通液方式のイオン濃度調整装置において、処理対象の液体の特性が異なる場合であっても、所望のイオン濃度の液体を生成するために必要な液体への電力供給条件を予め見積ることができる。これにより、通液方式のイオン濃度調整装置において、イオン濃度を適切に調整することができる。また、イオン濃度をモニタリングするためのセンサを設けたり、バッチ式処理のように処理対象の液体全量を蓄える容器を設けたりする必要がないので、装置構成の複雑化や装置サイズの増大を招くことなく、所望のイオン濃度の液体を生成することのできるイオン濃度調整装置を提供できる。
本発明の実施形態1にかかるイオン濃度調整装置の構成を示す説明図である。 図1に示したイオン濃度調整装置に備えられる制御部の構成を示すブロック図である。 図1に示したイオン濃度調整装置が行う供給電力算出処理の流れを示すフローチャートである。 電解時間と導電率およびpH値の変化との関係を調べるために行った実験に用いた実験装置の概略構成を示す説明図である。 (a)〜(c)は、3種類の水を図4に示した実験装置で電解処理したときの電解時間と導電率およびpH値の変化との関係を示すグラフである。 遮断状態でイオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値を一定値とする定電流駆動を行った場合の、電解時間と駆動電圧の変化との関係を示すグラフである。 遮断状態でイオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値を一定値とする定電流駆動を行った場合の、導電率が極小値(極値)に到達するまでの時間と所望のpH値に到達するまでの注入電荷密度との関係を測定した結果を示すグラフである。 通液状態でイオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値を一定値とする定電流駆動を行った場合の、電解時間とpH値の変化との関係を示すグラフである。 遮断状態で導電率が極小値に到達するまでに必要な注入電荷密度と、通液状態で所望のpH値に到達するまでに必要な注入電荷密度との関係を測定した結果を示すグラフである。 本発明の実施形態3にかかるイオン濃度調整装置の構成を示す説明図である。 本発明の実施形態4にかかるイオン濃度調整装置の構成を示す説明図である。 図11を用いて水の電解処理を行った結果を示すグラフであり、(a)は電解時間と電流値との関係を、(b)は電解時間とpH値との関係を示している。 図11に示したイオン濃度調整装置における処理の流れを示すフローチャートである。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について説明する。
(1−1.イオン濃度調整装置1の構成)
図1は、本実施形態にかかるイオン濃度調整装置1の構成を示す説明図である。この図に示すように、イオン濃度調整装置1は、本体部10および給水タンク20を備えている。
なお、本実施形態では、イオン濃度調整装置1を用いて水の電解処理を行って酸性水を生成する構成について説明するが、処理対象の液体は水に限るものではない。また、液体を酸性化する構成に限らず、アルカリ性化する構成であってもよい。
給水タンク20は、給水口21、貯水部22、スリット部23、電極部24、および排水部25を備えている。なお、本実施形態では、給水口21、貯水部22、スリット部23、電極部24、および排水部25が鉛直方向上方から下方に向かってこの順で配置されている構成について説明するが、これに限るものではない。少なくとも電極部24が排水部25に対して通液方向の上流側に配置されていればよく、例えば、給水口21、貯水部22、スリット部23、電極部24、および排水部25が水平方向、あるいは水平方向および鉛直方向に対して傾斜した方向に並ぶように配置されていてもよい。
給水口21は、給水タンク20に設けられた開口部であり、この給水口21を介して給水タンク20内に水が給水される。なお、給水口21は、開閉可能な蓋、シャッター、バルブ等を備えていてもよい。また、給水口21に配管、ホース等の水供給手段が接続されていてもよい。
貯水部22は、給水口21から給水された水を貯水する。
スリット部23は、貯水部22と電極部24との間に設けられており、貯水部22に貯水された水が電極部24へ向けて通過することを許容しつつ、貯水部22と電極部24との間で水が循環することを制限するためのスリットを備えている。これにより、後述する供給電力算出処理を行う際に、貯水部22におけるスリット部23の上方の電極部24とは異なる領域に貯水された水が電極部24近傍の水の導電率に影響を及ぼすことを抑制できる。
電極部24は、イオンを吸脱着する特性を有する導電性物質を含むイオン吸脱着電極(第1電極)と対極(第2電極)とを備えている。これにより、イオン吸脱着電極と対極との間に電圧を印加することで、イオン吸脱着電極に含まれる導電性物質に水中の溶存イオンを吸着またはイオン吸脱着電極に含まれる導電性物質に吸着されたイオンを水中に放出させるとともに、対極で水素イオンまたは水酸化物イオンを発生させて水のpHを変化させる。
なお、イオン吸脱着電極は、可逆的にイオンを吸着・放出できる特性を有する電極である。イオン吸脱着電極としては、例えば、溶液内でイオンを吸着することによって表面に電気二重層を形成する電極を用いることができる。この電気二重層は、導電性物質の表面の電荷と、その表面電荷に引き寄せられたイオンとによって構成される。電気二重層を構成するイオンは、そのイオンを吸着している導電性物質の表面電荷と反対の符号の電荷を有する。例えば、表面電荷がプラス電荷である場合には陰イオンが吸着され、表面電荷がマイナス電荷である場合には陽イオンが吸着される。
イオンを吸着できる導電性物質としては、例えば活性炭などのカーボンを含有する物質を用いることができる。より具体的には、例えば、イオン吸脱着電極として、粒状活性炭を凝集させて導電性シートとしたもの、粒状活性炭と導電性カーボンとを凝集させて導電性シートとしたもの、活性炭繊維クロス、活性炭粒子を固めて得られる活性炭ブロックなどを用いることができる。
また、対極としては、水の電気分解時に水素ガスまたは酸素ガスが発生しやすい電極が用いられる。例えば、対極として、白金(Pt)からなる電極や、チタン(Ti)等の他の金属材料の表面を白金(Pt)でコーティングした電極などを用いることができる。
排水部(切替部)25は、電極部24によってイオン濃度が調整された水を給水タンク20の外部に排出する通液状態と、給水タンク20内の水の外部への排出を遮断して給水タンク20内に閉じ込める遮断状態とに切り替えられる切替手段を備えている。上記切替手段としては、例えば、バルブあるいはポンプなどを用いることができる。
本体部10は、水槽11、水位センサ12、ウィック13、および超音波振動子14を備えている。
水槽11は、イオン濃度を調整されて給水タンク20から排出された水を貯水する。
水位センサ12は、水槽11内の水の水位を検出する。
ウィック13は、水槽11に貯水された水を毛細管現象により吸い上げ、超音波振動子14に供給する。なお、水槽11に貯水された水をポンプによって組み上げて超音波振動子14に供給するようにしてもよい。
超音波振動子14は、電圧を印加されることによって超音波の振動エネルギを生成し、生成した振動エネルギをウィック13から供給される水に伝達することにより、水をミスト化(霧化)させてイオン濃度調整装置1の外部に放出させる。これにより、イオン濃度調整装置1によってイオン濃度が調整された水(本実施形態では酸性水)のミストがイオン濃度調整装置1の外部空間に放出される。
図2は、イオン濃度調整装置1に備えられる制御部30の構成を示すブロック図である。この図に示すように、制御部30は、通液制御部31、通電制御部32、導電率検出部(検出部)33、条件設定部34、および振動制御部35を備えている。また、制御部30には、水位センサ12、操作入力部15、および相関情報記憶部36が接続されている。
操作入力部15は、イオン濃度調整装置1に対するユーザからの指示入力を受け付けて制御部30に伝達する。
通液制御部31は、水位センサ12による水槽11の水位検出結果、および/または操作入力部15に対するユーザからの指示入力に応じて、排水部25に備えられる切替手段の動作を制御する。
通電制御部32は、電極部24に備えられるイオン吸脱着電極と対極との間の通電量を制御する。
導電率検出部33は、電極部24に供給された水の導電率に対応する物理量、すなわち水の導電率の変化に応じて変化する物理量を検出する。具体的には、本実施形態では、上記物理量としてイオン吸脱着電極と対極との間に印加される電圧値を検出する。なお、上記物理量としてイオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流の電流値を検出するようにしてもよく、導電率を直接測定するようにしてもよい。
条件設定部34は、後述する供給電力算出処理により、通液状態で電解処理を行う場合の電極部24の制御条件を設定する。
相関情報記憶部36には、後述する供給電力算出処理で用いられる、排水部25を遮断状態にして電解処理を行う場合のデータと、排水部25を通液状態として電解処理を行う場合のデータとの相関関係を示す情報が記憶されている。
振動制御部35は、超音波振動子14の動作を制御する。
(1−2.供給電力算出処理)
図3は、供給電力算出処理の流れを示すフローチャートである。
まず、制御部30は、通液状態で電解処理を行う場合の電極部24の制御条件を設定するための処理である供給電力算出処理を行うか否かを判断する(S1)。供給電力算出処理を行うか否かの判断基準は、特に限定されるものではないが、例えば、(i)イオン濃度調整装置1の電源が投入される毎に行うようにしてもよく、(ii)操作入力部15を介してユーザが指示したときに行うようにしてもよく、(iii)水槽11の水位が所定水位以下である状態でミストの生成が指示された場合に行うようにしてもよい。
S1において供給電力算出処理を行うと判断した場合、通液制御部31は、排水部25に備えられる切替手段の動作を制御し、排水部25を遮断状態に切り替えさせる(S2)。
次に、通電制御部32は、電極部24のイオン吸脱着電極と対極との間に電圧を印加してこれら両電極間の通電を開始させる(S3)。なお、本実施形態では、イオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値(導電率に対応する物理量の1つ)が一定値になるようにイオン吸脱着電極と対極との間に印加する電圧値(導電率に対応する物理量の1つ)を制御する定電流駆動を行う。
また、導電率検出部33は、イオン吸脱着電極と対極との間の通電が開始されると、これら両電極間の導電率の変化および通電時間の測定を開始する(S4)。なお、本実施形態では、上述したように、イオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値を一定値とする定電流駆動を行う。このため、導電率検出部33は、イオン吸脱着電極と対極との間の電圧値を測定し、測定した電圧値とイオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値(一定値)とに基づいて両電極間の導電率を検出する。
次に、導電率検出部33は、検出した導電率が極小値(ピーク値)に達したか否かを判断する(S5)。
なお、導電率がピーク値に達したか否かは、例えば、微分演算により電圧値の微分値を算出し、算出した微分値に基づいて判断するようにしてもよい。あるいは、所定周期毎の電圧値の差分値を算出し、算出した差分値の極性(プラス/マイナス)が変化したか否かに応じて判断するようにしてもよい。
また、電解処理の開始直後には測定結果にノイズが含まれる可能性があるため、電解処理を開始してから所定時間(例えば5秒程度)経過後に、導電率の測定あるいはS5の判断を開始するようにしてもよい。
また、本実施形態では、検出した電圧値に基づいて導電率を算出し、算出した導電率に基づいて導電率が極小値に到達したか否かを判定しているが、これに限るものではない。例えば、導電率の算出処理を省略し、検出した電圧値が極大値に到達したか否かを判断するようにしてもよい。
S5において極小値に達していないと判断した場合、導電率検出部33は、S4に戻って導電率の変化および通電時間の測定を継続する。
一方、S5において極小値に達したと判断した場合、条件設定部34は、通電開始から導電率が極小値に達するまでの水に対する供給電力量(供給電荷量)を算出する(S6)。
その後、条件設定部34は、S6で算出した供給電力量と、相関情報記憶部36に予め記憶している遮断状態における供給電力量と通液状態における供給電力量との相関関係に基づいて、通液状態において電極部24を通過する水を所望のイオン濃度に調整するために電極部24で水に供給すべき電力量を算出する(S7)。
相関情報記憶部36には、例えば、遮断状態において通電開始から導電率が極小値に達するまでに水に供給する必要のある電力量と、通液状態において電極部24を通過する水を所望のイオン濃度に調整するために電極部24で水に供給する必要がある電力量との対応関係を示す情報が予め実験等により生成され、記憶されている。
そして、条件設定部34は、S7で算出した電力量に基づいて、通液状態における電極部24による処理対象の水への電力供給条件を設定し(S8)、処理を終了する。
(1−3.実験1)
次に、電解時間と導電率およびpH値の変化との関係を調べるために行った実験の結果について説明する。
図4は、この実験に用いた実験装置100の概略構成を示す説明図である。この図に示すように、実験装置100は、水槽101、電極部102、循環配管103、およびポンプ104を備えている。
水槽101は容量5Lの水槽である。電極部102は、容量90ccの電極セルであり、水槽101の底部に備えられている。循環配管103は、水槽101から電極部102を通過した水をポンプ104により吸引し、水槽101の上部に循環させる。循環させる水量、すなわち電極部102を通過する水量は2260cc/分とした。また、電極部102として、イオンを吸脱着できる導電性物質である活性炭を含むイオン吸脱着電極と、白金からなる対極とを有する電極セルを用いた。また、イオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値を一定値(2A)とする定電流駆動を行った。なお、導電率については、イオン吸脱着電極と対極との間の電圧値を測定し、測定した電圧値と上記の一定の電流値とに基づいて算出した。
図5の(a)〜(c)は、以下に示す3種類の水(サンプルA1〜A3)を実験装置100で電解処理したときの電解時間と導電率およびpH値の変化との関係を示すグラフである。
サンプルA1:大阪府八尾市の水道水。硬度約45。
サンプルA2:硬水ミネラルウォーターを大阪府八尾市の水道水で約6倍に希釈。硬度約90。
サンプルA3:硬水ミネラルウォーターを大阪府八尾市の水道水で約3倍に希釈。硬度約130。
図5の(a)〜(c)に示したように、電解によって水を酸性化する処理を行う場合、所望のpH値になるまでに水に供給すべき電力量は水の性質によって異なる。すなわち、水の酸性化しやすさは、水の性質によって異なる。例えば、pH値が3.5になるまでの時間は、サンプルA1では約8分、サンプルA2では約21.3分、サンプルA3では約42.5分であった。
一方、導電率については、いずれのサンプルにおいても、電解開始から低下していき、極小値に達すると上昇していく。なお、導電率が極小値に達したときのpH値は、サンプルA1〜A3のいずれにおいても5.4〜5.9の範囲内であった。
(1−4.実験2)
次に、(i)遮断状態で電解処理を行った場合の導電率が極小値に達するまでの時間、およびこれにより算出される注入電荷密度と、所望のpH値に到達するまでの注入電荷密度との関係を調べるために行った実験の結果について説明する。
この実験では、水槽101の容量を500ccとし、電極部102の電解セルの容量を18ccとした以外は図4に示した構成と同様の構成の実験装置100を用いた。
まず、実験装置100のポンプ104を停止させて遮断状態でイオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値を一定値(0.1A)とする定電流駆動を行い、以下に示すサンプルB1〜B4のそれぞれについて、電解開始から導電率が極小値に到達するまでの時間(ピーク到達時間)を測定し、要した注入電荷密度を算出した。なお、導電率および注入電荷量密度については、イオン吸脱着電極と対極との間の電圧値を測定し、測定した電圧値と上記の一定の電流値とに基づいて算出した。
サンプルB1:大阪府八尾市の水道水を純水で2倍に希釈。硬度約22.5。
サンプルB2:大阪府八尾市の水道水。硬度約45。
サンプルB3:硬水ミネラルウォーターを大阪府八尾市の水道水で10倍に希釈。硬度約75。
サンプルB4:硬水ミネラルウォーターを大阪府八尾市の水道水で5倍に希釈。硬度約95。
図6は、サンプルB1について遮断状態で電解処理を行ったときの電解時間とイオン吸脱着電極と対極との間に印加される電圧値である駆動電圧の変化との関係を示すグラフである。この図に示すように、サンプルB1では駆動電圧がピークに到達するまでの時間、すなわち導電率が極小値に到達するまでの時間は6.1秒であった。同様の測定をサンプルB2〜B4についても行い、導電率がピークに到達するまでの時間をそれぞれ測定した。また、サンプルB1〜B4のそれぞれについて、注入電荷量密度とpH値の変化との関係をそれぞれ測定した。本実施例では、ポンプ104により200cc/分で循環する通水を行い、遮断状態と同様にイオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値を一定値(0.1A)として定電流駆動を行う。この時のpH値の変化をモニタリングすると共に、経過時間と駆動電流値から、それまでに水に注入した電荷量の密度を算出し、目的のpH値を得るために必要な注入電荷密度の相関データを取得している。
図7は、このようにして得られた、サンプルB1〜B4を遮断状態で電解処理したときの、導電率がピークに到達するまでの時間と、所望のpH値(5.0、4.4、4.2、4.0、3.8、3.6、3.5)に到達するのに要した注入電荷量密度との関係を測定した結果を示すグラフである。この図に示すように、導電率がピークに到達するまでの時間と所望のpH値に到達するまでに要する注入電荷量密度との間には強い相関関係がある。
図8は、サンプルB1について通液状態で電解処理を行ったときの電解時間とpH値の変化との関係を示すグラフである。なお、サンプルB1〜B4のそれぞれについて、同様の実験を行った。
図9は、図7で得た相関関係について、横軸に示していた遮断状態における導電率のピーク到達までに要した時間を、その時間と電解セルの容積より算出される注入電荷密度に置き換えたものである。電解セルの容量が変わった場合や、別の駆動電流値で電解を行った場合は、導電率がピークに到達する時間の絶対値は変化するが、注入した電荷密度は一定で変化しない。これにより、所望のpHを得る為に必要な注入電荷密度との相関関係を一般化して共有することができ、遮断状態における導電率が極小値に到達するまでの所要注入電荷密度と通液時に所望のpH値まで電解処理する際の所要注入電荷密度との関係を算出することができる。
このため、本実施形態では、遮断状態における導電率が極小値に到達するまでの所要注入電荷密度と、通液状態において所望のpH値に到達させるために必要な所要注入電荷密度との関係を予め実験等によって特定し、両者の相関関係を示す情報を相関情報記憶部36に記憶させておく。そして、上述したS7の処理では、S6の処理で算出した供給電力量と、相関情報記憶部36に予め記憶させておいた上記相関関係とに基づいて、通液状態において電極部24を通過する水を所望のイオン濃度に調整するために電極部24で水に供給すべき電力量を算出する。なお、上記の相関関係の記憶形態は特に限定されるものではなく、例えば、演算式として記憶させておいてもよく、ルックアップテーブルとして記憶させておいてもよい。
また、上述したS8の処理では、S7で算出した通液時における所望のpH値に到達するまでの所要注入電荷密度を達成するように、通電制御部32がイオン濃度調整装置1の電力供給条件を設定する。具体的には、本実施形態では、通電制御部32が、通液状態で電解処理を行う際、S7で算出した通液時における所望のpH値に到達するまでの所要注入電荷密度を達成するようにイオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値を設定し、設定した電流値で定電流駆動を行うように電極部24に印加する電圧を制御する。
以上のように、本実施形態では、通液方式で電解処理を行うイオン濃度調整装置において、遮断状態で電解処理を行った場合に導電率が極小値(極値)に到達するまでに要する注入電荷量を測定し、予め記憶している、遮断状態における極小値に到達するまでに要した注入電荷量と通液状態において所望のpH値を得るために注入すべき電荷量との関係に基づいて、通液状態で電解処理する際の電力供給条件を設定する。
なお、所望のpH値に到達させるために水に供給すべき電力量と水の導電率の変化との相関関係は、溶存イオン量のバラツキ、電解処理に用いる電極自体の抵抗値の劣化変動、電気分解活性の劣化等の影響により一定ではない。このため、所望のpH値に到達させるために供給すべき電力量を導電率の絶対値から直接推測することは困難である。
これに対して、本実施形態では、遮断状態における導電率の変化態様に応じて通液状態において所望のpH値を得るために注入すべき電荷量を算出する。
これにより、通液方式(ワンパス方式)のイオン濃度調整装置において、処理対象の水の水質が異なる場合であっても、所望のpH値の水を生成するために必要な制御条件を予め見積ることができ、所望のpH値の水を適切に生成することができる。また、pH値をモニタリングするためのセンサを設けたり、バッチ式処理のように処理対象の水全量を蓄える容器を設けたりする必要がないので、装置構成の複雑化や装置サイズの増大を招くことなく、所望のpH値の水を生成することができる。
また、通液方式を採用することにより、生成した酸性水と電解処理に用いられる電極とを分離することができるので、酸性水の水質変化を避けることができ、生成された酸性水を使用しながら電極のリフレッシュ処理を並列作業として行うことができる。
なお、本実施形態では、遮断状態で電解処理を行った場合に導電率が極小値に到達するまでに要する注入電荷量に基づいて通液状態で電解処理する際の電力供給条件を設定しているが、これに限るものではない。例えば、遮断状態で電解処理を開始してから導電率が一旦低下した後、電解処理の開始時の値に回復するまでの注入電荷量に基づいて通液状態で電解処理する際の電力供給条件を設定するようにしてもよい。この場合、遮断状態において導電率が電解処理の開始時の値に回復するまでに要する注入電荷量と通液状態において所望のpH値を得るために注入すべき電荷量との関係を示す情報を予め相関情報記憶部36に記憶させておき、遮断状態での検出結果と相関情報記憶部36に記憶されている上記情報とに基づいて通液状態で電解処理する際の電力供給条件を設定すればよい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態で説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態1では、通電制御部32が電極部24を定電流駆動する構成について説明した。これに対して、本実施形態では、通電制御部32が電極部24を定電圧駆動する。
具体的には、通電制御部32は、S3の処理において、電極部24のイオン吸脱着電極と対極との間に印加される電圧が一定値になるように制御する定電圧駆動を行う。
また、導電率検出部33は、S4の処理において、イオン吸脱着電極と対極との間を流れる電流値を測定し、測定した電流値とイオン吸脱着電極と対極との間に印加される電圧値(一定値)とに基づいて両電極間の導電率を検出する。
また、導電率検出部33は、S5において、検出した導電率が極小値(ピーク値)に達したか否かを判断する際、電流値の微分値、あるいは所定時間毎の電流値の差分値の極性(プラス/マイナス)が変化したか否かに応じて判断する。
また、通電制御部32は、通液状態で電解処理を行う際、S7で算出した通液時における所望のpH値に到達するまでの所要注入電荷密度を達成するようにイオン吸脱着電極と対極との間に印加する電圧値を設定し、設定した電圧値で定電圧駆動を行うように電極部24を流れる電流を制御する。
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態で説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図10は、本実施形態にかかるイオン濃度調整装置1の概略構成を示す説明図である。この図に示すように、本実施形態では、給水タンク20が本体部10に対して着脱可能になっている。なお、本体部10における給水タンク20を装着したときに給水タンク20と対向する面の一部には給電端子16が設けられており、給水タンク20における本体部10に装着されたときに給電端子16と当接する位置には受電端子26が設けられている。これにより、給水タンク20が本体部10に装着されると、本体部10を介して給水タンク20に電力が供給される。
なお、制御部30は、本体部10に設けられていてもよく、給水タンク20に設けられていてもよい。
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態で説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
上述した各実施形態では、通液方式のイオン濃度調整装置について説明した。これに対して、本実施形態では、容器に貯水された液体のイオン濃度を調整するバッチ方式のイオン濃度調整装置において、pH値を測定するためのセンサ等を設けることなく、所望のpH値の水を生成する構成について説明する。
図11は、本実施形態にかかるイオン濃度調整装置50の概略構成を示す説明図である。この図に示すように、イオン濃度調整装置50は、容器51、イオン吸脱着電極(陰極)52、対極(陽極)53、操作入力部54、相関情報記憶部55、および制御部60を備えている。また、制御部60は、通電制御部61、電流値検出部62、微分値算出部63、および制御条件算出部64を備えている。
容器51は水wを貯水するためのものであり、容器51内に貯水された水w中にイオン吸脱着電極52および対極53が配置される。これにより、イオン吸脱着電極52と対極53との間に電圧を印加することで、イオン吸脱着電極52に含まれる導電性物質に水中の溶存イオンを吸着、またはイオン吸脱着電極52に含まれる導電性物質に吸着されたイオンを水中に離脱させるとともに、対極53で水素イオンまたは水酸化物イオンを発生させて水のpHを変化させる。なお、イオン吸脱着電極52としては、例えば活性炭からなる電極を用いることができる。また、対極53としては、例えば白金等の金属電極を用いることができる。
操作入力部54は、イオン濃度調整装置50に対するユーザからの指示入力を受け付けて制御部60に伝達する。
通電制御部61は、イオン吸脱着電極52と対極53との間の通電量を制御する。
電流値検出部62は、イオン吸脱着電極52と対極53との間を流れる電流量を検出する。
微分値算出部(検出部)63は、電流値検出部62によって検出された電流値の微分値を算出する。
制御条件算出部64は、操作入力部54を介して入力される目標pH値と、制御情報記憶部55に記憶されている制御情報とに応じて、通電制御部61における制御条件を算出する。制御情報記憶部55には、後述する制御条件情報が記憶されている。
図12の(a)は、イオン吸脱着電極52と対極53との間に電圧を印加して容器51内の水wの電解処理を行う場合の電解時間とイオン吸脱着電極52と対極53との間を流れる電流の電流値との関係を示すグラフであり、(b)はその場合の電解時間と容器51内の水wのpH値との関係を示すグラフである。
図12の(b)に示したように電解時間に応じて水wのpH値は低下していく。この際、図12の(a)に示したように、電流値は電解開始直後から電解時間の経過に応じて低下していき、極小値aを超えると電解時間の経過に応じて増加していく。なお、電流値が極小値aに到達したときの水wのpH値は、電解開始時の水wの水質にもよるが、概ね5.5程度になる。
その後、電流値は一定値に漸近していき、所定値bを超えると電解時間が経過しても電流値はそれ以上ほとんど増加しなくなる。なお、電流値が所定値bに到達したときの水wのpH値は、電解開始時の水wの水質にもよるが、概ね3.0〜3.5程度になる。
図13は、本実施形態にかかるイオン濃度調整装置50における処理の流れを示すフローチャートである。
まず、制御条件算出部64は、操作入力部54を介してユーザから入力される目標pH値を受け付けると(S11)、受け付けた目標pH値と制御情報記憶部55に記憶されている情報とに基づいて目標制御条件を特定する(S12)。
制御情報記憶部55には、電流値の微分値の変化と容器51内の水wのpH値との対応関係を示す制御条件情報を予め記憶させておく。本実施形態では、上記の制御条件情報には、(i)電流値の微分値が極小値aになったときの水のpH値、および(ii)電流値の微分値が所定値bになったときの水のpH値が含まれている。
なお、水質の異なる複数種類の水についての制御条件情報を制御情報記憶部55に記憶させておき、操作入力部54を介して入力されるユーザからの指示等に応じて、容器51内の水wの水質に応じた制御条件情報を用いるようにしてもよい。
次に、通電制御部61は、イオン吸脱着電極52と対極53との間に電圧を印加して容器51内の水wの電解処理を開始させる(S13)。なお、本実施形態では、イオン吸脱着電極52と対極53との間に印加する電圧を一定電圧とする定電圧駆動を行う。
そして、電流値検出部62がイオン吸脱着電極52と対極53との間に流れる電流の電流値を検出し(S14)、微分値算出部63が電流値検出部62の検出した電流値の微分値を算出する(S15)。
そして、通電制御部61は、微分値算出部63が算出した微分値がS12で特定した目標制御条件に到達したか否かを判断し(S16)、到達していないと判断した場合にはS14以降の処理を継続し、到達したと判断した場合には電解処理(イオン濃度の調整処理)を終了する。すなわち、通電制御部61は、微分値算出部63の検出結果に応じてイオン濃度の調整処理の完了タイミングを決定する。
これにより、例えば、目標pH値が5.5の場合、イオン吸脱着電極52と対極53との間を流れる電流の電流値が極小値aになるまで電解処理を行うようにすればよい。また、目標pH値がイオン濃度調整装置50によって達成できる最小値である場合、イオン吸脱着電極52と対極53との間を流れる電流の電流値が変曲点dに達した後、所定値bになるまで電解処理を行うようにすればよい。
また、制御情報記憶部55に記憶させる制御条件情報に、(i)電流値の微分値が極小値aになったときの水のpH値、および(ii)電流値の微分値が所定値bになったときの水のpH値に加えて、(iii)電解処理を開始してから電流値が最初の変曲点c(図12参照)に到達したときの水wのpH値、および(iv)電流値が極小値aに到達した後、変曲点d(図12参照)に到達したときの水wのpH値を含めてもよい。
また、目標pH値に対応する微分値の目標値が制御情報記憶部55に記憶されている制御条件情報に含まれていない場合、補間演算により微分値の目標値を算出するようにしてもよい。また、制御情報記憶部55に記憶させる制御条件情報に、電解時間の経過に応じた電流値の変化プロファイルと水wのpH値との関係を示す関数を含めておき、この関数を用いて目標pH値に対応する電流値の目標制御条件を設定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、電解処理時における電極間を流れる電流の電流値(導電率に対応する物理量)の微分値に基づいてイオン濃度が目標値に到達したか否かを判断する構成について説明したが、これに限るものではない。すなわち、液体の導電率の変化と1対1に対応して変化する物理量を検出し、検出した物理量に基づいてイオン濃度が目標値に到達したか否かを判断する構成であればよい。例えば、イオン吸脱着電極52と対極53との間を流れる電流を一定値とする定電流駆動を行うとともに、電解処理時における電極間に印加される電圧の電圧値(導電率に対応する物理量)の微分値に基づいてイオン濃度が目標値に到達したか否かを判断するようにしてもよい。
〔まとめ〕
本発明の態様1にかかるイオン濃度調整装置1は、液体を通液させる通液状態と通液を遮断する遮断状態とを切り替える切替部(排水部25)と、前記切替部(排水部25)に対して通液方向の上流側に配置された第1および第2電極とを備え、前記両電極の少なくとも一方はイオンを吸脱着する特性を有する導電性物質を含み、前記両電極間に電圧を印加することで前記液体のイオン濃度を調整するイオン濃度調整装置1であって、前記遮断状態で前記両電極間に電圧を印加したときの前記液体の導電率に対応する物理量の変化を検出する検出部(導電率検出部33)と、前記検出部(導電率検出部33)の検出結果に基づいて、前記通液状態で前記液体のイオン濃度を調整するときの前記両電極への電力供給条件を設定する条件設定部34とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、通液方式のイオン濃度調整装置において、処理対象の液体の特性が異なる場合であっても、所望のイオン濃度の液体を生成するために必要な液体への電力供給条件を予め見積ることができる。これにより、通液方式のイオン濃度調整装置において、イオン濃度を適切に調整することができる。また、イオン濃度をモニタリングするためのセンサを設けたり、バッチ式処理のように処理対象の液体全量を蓄える容器を設けたりする必要がないので、装置構成の複雑化や装置サイズの増大を招くことなく、所望のイオン濃度の液体を生成することのできるイオン濃度調整装置を提供できる。
本発明の態様2にかかるイオン濃度調整装置1は、上記態様1において、前記検出部(導電率検出部33)は、前記両電極間に印加する電圧を一定値に制御したときの前記両電極間を流れる電流の電流値の変化を前記物理量の変化として検出する構成である。
上記の構成によれば、第1電極と第2電極との間を流れる電流の電流値の変化を検出することにより、その検出結果を用いてイオン濃度を適切に調整することができる。
本発明の態様3にかかるイオン濃度調整装置1は、上記態様1において、前記検出部(導電率検出部33)は、前記両電極間を流れる電流の電流値を一定値に制御したときの前記両電極間の電圧値の変化を前記物理量の変化として検出する構成である。
上記の構成によれば、第1電極と第2電極との間の電圧値の変化を検出することにより、その検出結果を用いてイオン濃度を適切に調整することができる。
本発明の態様4にかかるイオン濃度調整装置1は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記条件設定部34は、前記検出部(導電率検出部33)の検出結果に基づいて前記物理量が極値に到達したことを検出し、前記遮断状態で前記両電極間への電圧の印加を開始してから前記物理量が極値に到達するまでの前記両電極から前記液体への供給電力量に基づいて、前記電力供給条件を設定する構成である。
上記の構成によれば、処理対象の液体の特性が異なる場合であっても、所望のイオン濃度の液体を生成するために必要な液体への電力供給条件を適切に見積り、イオン濃度を適切に調整することができる。
本発明の態様5にかかるイオン濃度調整装置1は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記条件設定部34は、前記検出部(導電率検出部33)の検出結果に基づいて前記物理量が前記両電極への電圧の印加を開始した直後の値に回復したことを検出し、前記遮断状態で前記両電極間への電圧の印加を開始してから前記物理量が前記両電極への電圧の印加を開始した直後の値に回復するまでの前記両電極から前記液体への供給電力量に基づいて、前記電力供給条件を設定する構成である。
上記の構成によれば、処理対象の液体の特性が異なる場合であっても、所望のイオン濃度の液体を生成するために必要な液体への電力供給条件を適切に見積り、イオン濃度を適切に調整することができる。
本発明の態様6にかかるイオン濃度調整装置1は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記両電極間に電圧を印加することにより、前記液体のpH値を酸性側に変化させる構成である。
上記の構成によれば、pH値を適切に調整した酸性水を生成することができる。
本発明の態様7にかかるイオン濃度調整装置50は、液体を収容する容器51と、前記容器51内に収容された液体中に配置される第1電極(イオン吸脱着電極52)および第2電極(対極53)とを備え、前記両電極の少なくとも一方(イオン吸脱着電極52)はイオンを吸脱着する特性を有する導電性物質を含み、前記両電極間に電圧を印加することで前記液体のイオン濃度を調整するイオン濃度調整装置50であって、前記両電極間に電圧を印加したときの前記液体の導電率に対応する物理量の変化を検出する検出部(微分値算出部63)と、前記検出部の検出結果に応じて、前記イオン濃度の調整処理の完了タイミングを決定する通電制御部61とを備えている構成である。
上記の構成によれば、イオン濃度をモニタリングするためのセンサを用いなくても、所望のイオン濃度の液体を生成することができる。したがって、構成が簡単で装置サイズが小さく、所望のイオン濃度の液体を生成することが可能なイオン濃度調整装置50を提供できる。
本発明の態様8にかかるイオン濃度調整方法は、液体を通液させる通液状態と通液を遮断する遮断状態とを切り替える切替部(排水部25)と、前記切替部(排水部25)に対して通液方向の上流側に配置された第1および第2電極とを備え、前記両電極の少なくとも一方がイオンを吸脱着する特性を有する導電性物質を含んでいるイオン濃度調整装置1を用い、前記両電極間に電圧を印加することで前記液体のイオン濃度を調整するイオン濃度調整方法であって、前記遮断状態で前記両電極間に電圧を印加したときの前記液体の導電率に対応する物理量の変化を検出する検出工程と、前記検出工程の検出結果に基づいて、前記通液状態で前記液体のイオン濃度を調整するときの前記両電極への電力供給条件を設定する条件設定工程とを含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、通液方式のイオン濃度調整装置1を用いて、イオン濃度を適切に調整することができる。
本発明の態様9にかかるイオン濃度調整方法は、液体を収容する容器51と、前記容器51内に収容された液体中に配置される第1電極(イオン吸脱着電極52)および第2電極(対極53)とを備え、前記両電極の少なくとも一方(イオン吸脱着電極52)がイオンを吸脱着する特性を有する導電性物質を含んでいるイオン濃度調整装置50を用い、前記両電極間に電圧を印加することで前記液体のイオン濃度を調整するイオン濃度調整方法であって、前記両電極間に電圧を印加したときの前記液体の導電率に対応する物理量の変化を検出する検出工程と、前記検出工程の検出結果に応じて、前記イオン濃度の調整処理の完了タイミングを決定する通電制御工程とを含む方法である。
上記の構成によれば、イオン濃度をモニタリングするためのセンサを用いなくても、所望のイオン濃度の液体を生成することができる。
本発明の態様10にかかるイオン濃度調整方法は、上記態様8または9において、前記液体は水道水である方法である。
上記の構成によれば、水道水のイオン濃度を適切に調整することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
1 イオン濃度調整装置
10 本体部
11 水槽
12 水位センサ
13 ウィック
14 超音波振動子
15 操作入力部
16 給電端子
20 給水タンク
21 給水口
22 貯水部
23 スリット部
24 電極部
25 排水部(切替部)
26 受電端子
30 制御部
31 通液制御部
32 通電制御部
33 導電率検出部(検出部)
34 条件設定部
35 振動制御部
36 相関情報記憶部
50 イオン濃度調整装置
51 容器
52 イオン吸脱着電極(第1電極)
53 対極(第2電極)
54 操作入力部
55 相関情報記憶部
60 制御部
61 通電制御部
62 電流値検出部
63 微分値算出部(検出部)
64 制御条件算出部

Claims (7)

  1. 液体を通液させる通液状態と通液を遮断する遮断状態とを切り替える切替部と、前記切替部に対して通液方向の上流側に配置された第1および第2電極とを備え、前記両電極の少なくとも一方はイオンを吸脱着する特性を有する導電性物質を含み、前記両電極間に通電することで前記液体のイオン濃度を調整するイオン濃度調整装置であって、
    前記遮断状態で前記両電極間に電圧を印加したときの前記液体の導電率に対応する物理量の変化を検出する検出部と、
    前記検出部の検出結果に基づいて、前記通液状態で前記液体のイオン濃度を調整するときの前記両電極への電力供給条件を設定する条件設定部とを備えていることを特徴とするイオン濃度調整装置。
  2. 前記検出部は、前記両電極間に印加する電圧を一定値に制御したときの前記両電極間を流れる電流の電流値の変化を前記物理量の変化として検出することを特徴とする請求項1に記載のイオン濃度調整装置。
  3. 前記検出部は、前記両電極間を流れる電流の電流値を一定値に制御したときの前記両電極間の電圧値の変化を前記物理量の変化として検出することを特徴とする請求項1に記載のイオン濃度調整装置。
  4. 前記条件設定部は、前記検出部の検出結果に基づいて前記物理量が極値に到達したことを検出し、前記遮断状態で前記両電極間への電圧の印加を開始してから前記物理量が極値に到達するまでの前記両電極から前記液体への供給電力量に基づいて、前記電力供給条件を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のイオン濃度調整装置。
  5. 前記条件設定部は、前記検出部の検出結果に基づいて前記物理量が前記両電極への電圧の印加を開始した直後の値に回復したことを検出し、前記遮断状態で前記両電極間への電圧の印加を開始してから前記物理量が前記両電極への電圧の印加を開始した直後の値に回復するまでの前記両電極から前記液体への供給電力量に基づいて、前記電力供給条件を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のイオン濃度調整装置。
  6. 液体を収容する容器と、前記容器内に収容された液体中に配置される第1および第2電極とを備え、前記両電極の少なくとも一方はイオンを吸脱着する特性を有する導電性物質を含み、前記両電極間に電圧を印加することで前記液体のイオン濃度を調整するイオン濃度調整装置であって、
    前記両電極間に電圧を印加したときの前記液体の導電率に対応する物理量の変化を検出する検出部と、
    前記検出部の検出結果に応じて、前記イオン濃度の調整処理の完了タイミングを決定する通電制御部とを備えていることを特徴とするイオン濃度調整装置。
  7. 液体を通液させる通液状態と通液を遮断する遮断状態とを切り替える切替部と、前記切替部に対して通液方向の上流側に配置された第1および第2電極とを備え、前記両電極の少なくとも一方がイオンを吸脱着する特性を有する導電性物質を含んでいるイオン濃度調整装置を用い、前記両電極間に電圧を印加することで前記液体のイオン濃度を調整するイオン濃度調整方法であって、
    前記遮断状態で前記両電極間に電圧を印加したときの前記液体の導電率に対応する物理量の変化を検出する検出工程と、
    前記検出工程の検出結果に基づいて、前記通液状態で前記液体のイオン濃度を調整するときの前記両電極への電力供給条件を設定する条件設定工程とを含むことを特徴とするイオン濃度調整方法。
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