JP2017024427A - 車両の荷室の内装構造 - Google Patents

Abstract

【課題】 車両の荷室の内壁部を覆った非成形布が局所的な張力で伸びて該内壁部から浮き上がるのを防止する。
【解決手段】 車両の荷室の内壁部１１ｂを非成形布１２で覆い、非成形布１２に形成したクリップ孔１２ｂを内壁部１１ｂに形成した固定孔１１ｄにクリップ１７で係止する。内壁部１１ｂの固定孔１１ｄと該内壁部１１ｂから荷室の内部に突出する突出部１５ａとの間に弾性体１８を配置し、弾性体１８を非成形布１２の裏面に当接させたので、弾性体１８で非成形布１２を予め荷室の内壁部１１ｂから離反する方向に付勢して突出部１５ａに馴染ませることで非成形布１２が突出部１５ａから受ける反力を低減し、これにより非成形布１２の伸びを最小限に抑え、非成形布１２の周縁部１２ａが荷室の内壁部１１ｂから浮き上がるのを防止して美観を高めることができる。
【選択図】 図４

Description

本発明は、車両の荷室の内壁部を非成形布で覆い、前記非成形布に形成したクリップ孔を前記内壁部に形成した固定孔にクリップで係止する車両の荷室の内装構造に関する。

フェルト状のシートに熱可塑性樹脂を含浸させて予熱したものを金型により所定形状に加圧成形することで、自動車のトランクルームの内面を覆う内装材を得るものが、下記特許文献１により公知である。

特開平１０−１００８０５号公報

ところで、上記特許文献１に記載されたように、自動車のトランクルームの内装材を金型により所定形状に加圧成形すれば、内装材をトランクルームの三次元の壁面形状に隙間なく沿わせて美観を高めることができる。

しかしながら、内装材を加圧成形するためには高価な金型が必要であり、かつ加工工数が増加するためにコストが上昇する問題がある。そこで加圧成形していない平坦な不織布を例えばトランクリッドの内面形状に沿って裁断し、その不織布の周縁部を複数のクリップでトランクリッドの内面に固定すれば、内装材のコストを大幅に節減することができる。

ところがトランクリッドの内面は平坦ではなく、テールライトのランプを支持するランプハウジングや、トランクリッドを閉位置にロックするラッチ等が突出しており、これらの突出物を覆うように内装材を固定する必要がある。内装材は突出物を覆う部分に作用する局所的な荷重によって引き伸ばされて次第に張力が失われるため、内装材の周縁部がトランクリッドの内面から浮き上がって美観を損ねる可能性がある。

本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車両の荷室の内壁部を覆った非成形布が局所的な張力で伸びて該内壁部から浮き上がるのを防止することを目的とする。

上記目的を達成するために、請求項１に記載された発明によれば、車両の荷室の内壁部を非成形布で覆い、前記非成形布に形成したクリップ孔を前記内壁部に形成した固定孔にクリップで係止する車両の荷室の内装構造であって、前記内壁部の固定孔と該内壁部から前記荷室の内部に突出する突出部との間に弾性体を配置し、前記弾性体を前記非成形布の裏面に当接させたことを特徴とする車両の荷室の内装構造が提案される。

また請求項２に記載された発明によれば、請求項１の構成に加えて、前記クリップ孔は、該クリップ孔および前記突出部を結ぶ方向に長い長孔であることを特徴とする車両の荷室の内装構造が提案される。

また請求項３に記載された発明によれば、請求項１または請求項２の構成に加えて、前記荷室の内壁部はトランクリッドの天井壁部であり、前記非成形布を前記天井壁部の下面に向けて上向きに凸に湾曲するように前記クリップで係止したことを特徴とする車両の荷室の内装構造が提案される。

尚、実施の形態の天井壁部１１ａおよび後壁部１１ｂは本発明の内壁部に対応し、実施の形態の内装材１２は本発明の非成形布に対応し、実施の形態のラッチ１６は本発明の突出部に対応する。

請求項１の構成によれば、車両の荷室の内壁部を非成形布で覆い、非成形布に形成したクリップ孔を内壁部に形成した固定孔にクリップで係止する。内壁部の固定孔と該内壁部から荷室の内部に突出する突出部との間に弾性体を配置し、弾性体を非成形布の裏面に当接させたので、弾性体で非成形布を予め荷室の内壁部から離反する方向に付勢して突出部に馴染ませることで非成形布が突出部から受ける反力を低減し、これにより非成形布の伸びを最小限に抑え、非成形布の周縁部が荷室の内壁部から浮き上がるのを防止して美観を高めることができる。

また請求項２の構成によれば、クリップ孔は、該クリップ孔および突出部を結ぶ方向に長い長孔であるので、非成形布を荷室の内壁部にクリップで固定するときに、非成形布の寸法誤差を吸収するとともに、非成形布に過剰な張力が作用するのを防止することができる。

また請求項３の構成によれば、荷室の内壁部はトランクリッドの天井壁部であり、非成形布を天井壁部の下面に向けて上向きに凸に湾曲するようにクリップで係止したので、非成形布が重力で垂れ下がってトランクリッドの天井壁部との間に隙間が発生するのを、非成形布自体の剛性で阻止することができる。

自動車のトランクリッドの内面の斜視図。 図１の２方向矢視図。 図２から内装材を取り除いた図。 図２の４−４線拡大断面図。 図４の５−５線拡大断面図。 図２の６−６線断面図。

以下、図１〜図６に基づいて本発明の実施の形態を説明する。尚、本明細書において前後方向、左右方向（車幅方向）および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。

図１〜図３には自動車のトランクリッド１１の内面（トランクルームに臨む面）が示されており、図１はトランクリッド１１の内面を右前下方から左後上方に向けて見上げた図、図２はトランクリッド１１の内面を前方から後方に向けて見た図である。

金属製のトランクリッド１１は水平面内に配置された天井壁部１１ａと、天井壁部１１ａの後端から下方に垂下する後壁部１１ｂとを備えて断面Ｌ字状に形成されており、天井壁部１１ａの下面および後壁部１１ｂの前面に跨がるように、フェルト等の不織布よりなる内装材１２が固定される（図１および図２参照）。内装材１２は天井壁部１１ａの下面および後壁部１１ｂの前面の形状に合わせて成形されておらず、１枚の平坦な非成形布で構成される。

トランクリッド１１の後壁部１１ｂの車幅方向両端部に形成した開口部１１ｃ，１１ｃには、リヤコンビネーションライト１３，１３（図３参照）のランプ１４，１４を支持するランプハウジング１５，１５が露出する。ランプハウジング１５，１５の突出部１５ａ，１５ａは、トランクリッド１１の後壁部１１ｂの開口部１１ｃ，１１ｃを貫通してトランクルーム内に突出する。

またトランクリッド１１の後壁部１１ｂの車幅方向中央下部には、車体側に設けたストライカ（図示せず）と協働してトランクリッド１１を閉位置に固定するためのラッチ１６が設けられており、このラッチ１６はトランクリッド１１の後壁部１１ｂの前面からトランクルームの内部に向かって前方に突出する。

内装材１２の周縁部１２ａは１２個のクリップ孔１２ｂ…（図４参照）が形成され、トランクリッド１１の内面には前記１２個のクリップ孔１２ｂ…に対応する１２個の固定孔１１ｄ…（図３参照）が形成される。そして１２個の合成樹脂製のクリップ１７…を、内装材１２のクリップ孔１２ｂ…を貫通してトランクリッド１１のクリップ孔１２ｂ…に圧入することで、内装材１２がトランクリッド１１の天井壁部１１ａおよび後壁部１１ｂに内面に装着される。

図２、図４および図５に示すように、各ランプハウジング１５の突出部１５ａを囲む３個のクリップ孔１２ｂ…は、該クリップ孔１２ｂ…と突出部１５ａとを結ぶ方向に細長い長孔とされる（図５参照）。同様に、突出部であるラッチ１６に隣接する２個のクリップ孔１２ｂ，１２ｂは、該クリップ孔１２ｂ，１２ｂとラッチ１６とを結ぶ方向に細長い長孔とされる。クリップ１７は円板状の頭部１７ａと、頭部１７ａから突出する弾性脚部１７ｂとを備え、弾性脚部１７ｂにはトランクリッド１１の固定孔１１ｄに係合可能な係止爪が形成される。

また上述した長孔よりなるクリップ孔１２ｂ…の近傍であって、該クリップ孔１２ｂ…と突出部１５ａ，１５ａとの間、あるいは該クリップ孔１２ｂ…と突出部であるラッチ１６との間には、スポンジ等の弾性体１８…がトランクリッド１１および内装材１２間に挟持されるように装着される。

図６に示すように、トランクリッド１１の天井壁部１１ａの外周部下面にはスチフナ１９が重ね合わされ、このスチフナ１９に形成された固定孔１１ｄ…に内装材１２がクリップ１７…で固定される。このとき、固定孔１１ｄ…の位置は、クリップ１７…で固定された内装材１２に車幅方向内向きの圧縮力Ｆ，Ｆが作用するように設定されており、この圧縮力Ｆ，Ｆによって内装材１２は上向きに凸に湾曲し、車幅方向中央部が天井壁部１１ａの下面に接触する。

次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。

トランクリッド１１に内装材１２を装着するには、トランクリッド１１の内面の所定位置に平坦なシート状の内装材１２を位置決めし、内装材１２のクリップ孔１２ｂ…を貫通するクリップ１７…をトランクリッド１１の固定孔１１ｄ…に圧入すれば良い。このとき、ランプハウジング１５の突出部１５ａを囲む３個のクリップ孔１２ｂ…と、ラッチ１６に隣接する２個のクリップ孔１２ｂ，１２ｂとは長孔で構成されているため（図５参照）、トランクリッド１１の内面から突出する突出部１５ａやラッチ１６に押されて内装材１２が隆起し、そのクリップ孔１２ｂの位置にずれが生じても、長孔で構成されたクリップ孔１２ｂ…にクリップ１７…を貫通させてトランクリッド１１の固定孔１１ｄ…に圧入する作業を容易に行うことができるだけでなく、内装材１２に過剰な張力が作用するのを防止することができる。

このようにしてトランクリッド１１の内面に内装材１２を装着すると、トランクリッド１１の内面から突出する突出部１５ａやラッチ１６に押されて内装材１２が局所的に滑らかに隆起することで、内装材１２がトランクリッド１１の内面の凹凸形状に馴染んで美観が確保される。本実施の形態によれば、予め加圧成形した高価な内装材を必要とせず、加圧成形していない安価な不織布よりなる内装材１２を使用することができるため、コストダウンに寄与することができる。

ところで、内装材１２を装着した状態で、トランクリッド１１の内面から突出する突出部１５ａに押された内装材１２は局所的に隆起して張力が高まるため、時間の経過と共に内装材１２が伸び変形して弛みが発生する場合がある。このように内装材１２が伸び変形して弛みが発生すると、図４に鎖線で示すように、内装材１２の周縁部１２ａがトランクリッド１１の内面から浮き上がってしまい、美観を損ねる問題がある。

しかしながら、本実施の形態によれば、トランクリッド１１の固定孔１１ｄ…とランプランプハウジング１５の突出部１５ａとの間に弾性体１８を配置し、弾性体１８を内装材１２の裏面に当接させたので、弾性体１８で内装材１２を予めトランクリッド１１の内面から離反する方向に付勢して突出部１５ａに馴染ませることで、内装材１２が突出部１５ａから受ける反力を低減することができる。これにより内装材１２の伸びを最小限に抑え、該内装材１２の周縁部１２ａがトランクリッド１１の内面から浮き上がるのを防止して美観を高めることができる。また圧縮された弾性体１８の反力Ｆ１（図４参照）は内装材１２の周縁部１２ａをトランクリッド１１の内面に押し付ける方向に作用するため、内装材１２の周縁部１２ａがトランクリッド１１の内面から浮き上がるのを一層確実に防止することができる。

トランクリッド１１の内面から突出するラッチ１６の周辺においても、同様の作用で内装材１２の周縁部１２ａの浮き上がりを防止して美観を高めることができる。

またトランクリッド１１の天井壁部１１ａでは、内装材１２が重力で下方で垂れ下がる可能性があるが、図６に示すように、内装材１２をクリップ１７…で固定するときに、内装材１２がトランクリッド１１の天井壁部１１ａに向けて上向きに凸に湾曲するように予め車幅方向内向きの圧縮力Ｆ，Ｆを作用させることで、内装材１２が重力で垂れ下がってトランクリッド１１の天井壁部１１ａとの間に隙間が発生するのを防止して美観を高めることができる。

以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。

例えば、本発明の荷室の内壁部は実施の形態のトランクリッド１１の天井壁部１１ａおよび後壁部１１ｂに限定されず、トランクルームの内壁部であっても良い。

また本発明の突出部は実施の形態のリヤコンビネーションライト１３のランプハウジング１５の突出部１５ａやラッチ１６に限定されるものではない。

１１ トランクリッド
１１ａ 天井壁部（内壁部）
１１ｂ 後壁部（内壁部）
１１ｄ 固定孔
１２ 内装材（非成形布）
１２ｂ クリップ孔
１５ａ 突出部
１６ ラッチ（突出部）
１７ クリップ
１８ 弾性体

Claims (3)

1. 車両の荷室の内壁部（１１ａ，１１ｂ）を非成形布（１２）で覆い、前記非成形布（１２）に形成したクリップ孔（１２ｂ）を前記内壁部（１１ａ，１１ｂ）に形成した固定孔（１１ｄ）にクリップ（１７）で係止する車両の荷室の内装構造であって、
   前記内壁部（１１ａ，１１ｂ）の固定孔（１１ｄ）と該内壁部（１１ａ，１１ｂ）から前記荷室の内部に突出する突出部（１５ａ，１６）との間に弾性体（１８）を配置し、前記弾性体（１８）を前記非成形布（１２）の裏面に当接させたことを特徴とする車両の荷室の内装構造。
2. 前記クリップ孔（１２ｂ）は、該クリップ孔（１２ｂ）および前記突出部（１５ａ，１６）を結ぶ方向に長い長孔であることを特徴とする、請求項１に記載の車両の荷室の内装構造。
3. 前記荷室の内壁部はトランクリッド（１１）の天井壁部（１１ａ）であり、前記非成形布（１２）を前記天井壁部（１１ａ）の下面に向けて上向きに凸に湾曲するように前記クリップ（１７）で係止したことを特徴とする、請求項１または請求項２に記載の車両の荷室の内装構造。

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