JP2017020332A - 補強構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存建物を補強しつつ、既存建物の窓からの採光を十分に確保する。【解決手段】補強構造物2は、補強柱部9と、補強梁部10と、補強交差部11とを備える。補強柱部9は、既存建物1の外壁面側で且つ柱部4に対応する位置に配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体からなる。補強梁部10は、既存建物1の外壁面側で且つ梁部5に対応する位置に配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体からなる。補強交差部11は、既存建物1の外壁面側で且つ交差部6に対応する位置に配置され、補強柱部9の端部及び補強梁部10の端部に接続され、鉄筋が埋設されたポリマーセメントモルタル硬化体からなる。補強梁部10及び補強交差部11は、既存建物1の外壁面に対して直交し略水平に延びる方向において、補強柱部9よりも外方に突出している。補強梁部10の下端は、対応する梁部5の下端よりも下方に突出していない。【選択図】図2

Description

本開示は、補強構造物に関する。
特許文献1は、工場などで予め製造されたコンクリート部品(プレキャストコンクリート製の補強ユニット)を組み立てながら既存建物の外側(外壁)と一体化させ、既存建物を補強する補強工法を開示している。当該補強工法によって得られる補強構造物は、補強柱ユニットと、補強梁ユニットとを有する。補強柱ユニットは、既存建物の外壁における柱に対応する位置に配置される。補強梁ユニットは、既存建物の外壁における梁に対応する位置に配置される。
特開2005−155137号公報
既存建物の外壁面のうち柱と梁とで囲まれている領域には、一般的に、窓が設けられている。そのため、特許文献1に記載されているような補強構造物が既存建物の外壁面に設置された場合、窓が補強構造物の奥に位置する。従って、窓を通じた既存建物内への採光が阻害される虞がある。
そこで、本開示は、既存建物を補強しつつ、既存建物の窓からの採光を十分に確保することが可能な補強構造物を説明する。
本開示の一つの観点に係る補強構造物は、柱部と、梁部と、柱部及び梁部が交差する箇所に位置する交差部とを備える既存建物を補強するための補強構造物であって、既存建物の外壁面側で且つ柱部に対応する位置に配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体からなる補強柱部と、既存建物の外壁面側で且つ梁部に対応する位置に配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体からなる補強梁部と、既存建物の外壁面側で且つ交差部に対応する位置に配置され、補強柱部の端部及び補強梁部の端部に接続され、鉄筋が埋設されたポリマーセメントモルタル硬化体からなる補強交差部とを備え、補強梁部及び補強交差部は、既存建物の外壁面に対して直交し且つ略水平に延びる垂線方向において、補強柱部よりも外方に突出し、補強梁部の下端は、対応する梁部の下端よりも下方に突出していない。
本開示の一つの観点に係る補強構造物では、補強梁部の下端が、対応する梁部の下端よりも下方に突出していない。そのため、既存建物の外壁面のうち柱部と梁部とで囲まれた領域に窓が設けられている場合に、当該窓からの採光が阻害され難い。
ところで、当業者の間では、補強柱部に埋設されている鉄筋(主筋)の内側に補強梁部の鉄筋を配置させなければ、補強梁部の耐力が十分に得られないとの認識が一般的であった。しかしながら、本発明者らは、補強交差部をポリマーセメントモルタル硬化体によって構成することにより、補強梁部において十分な耐力を得られるという新たな知見を得た。すなわち、補強交差部は、コンクリート硬化体によって構成されている補強柱部及び補強梁部よりも圧縮強度が大きいので、補強柱部に埋設されている鉄筋(主筋)の外側に向けて補強梁部を突出させても、補強梁部の耐力を確保することができるという新たな知見を得た。これにより、補強梁部の下端が、対応する梁部の下端よりも下方に突出していない場合に、補強梁部の鉛直方向における高さが小さくなっても、補強構造物としての強度が十分に保持される。
以上により、本開示の一つの観点に係る補強構造物によれば、既存建物を補強しつつ、既存建物の窓からの採光を十分に確保することが可能となる。
補強梁部及び補強交差部の垂線方向における厚みは、補強梁部及び補強交差部の鉛直方向における高さよりも大きくてもよい。
補強梁部及び補強交差部は、補強梁部の延在方向から見て矩形状を呈してもよい。
補強交差部内に埋設された鉄筋は、補強梁部の延在方向に沿って延びる仮想軸を囲む環状の剪断補強筋を含み、剪断補強筋は補強柱部よりも外方に突出していてもよい。地震等の発生によって補強構造物に対し水平方向(当該延在方向)の外力が付与された(作用した)場合、補強柱部よりも外方に突出した補強交差部に対して、補強交差部を上方又は下方に曲げようとするねじり応力が生ずる。しかしながら、上記のような剪断補強筋が補強交差部内に埋設されていると、当該ねじり応力に対する抵抗として働く。そのため、ねじり破壊が生じ難い。従って、補強梁部及び補強交差部における曲げ耐力を十分に確保することが可能となる。
既存建物は、梁部から外方に向けて突出する張り出し床部をさらに備え、補強梁部及び補強交差部は、張り出し床部の下方に位置していてもよい。既存建物の外壁面側に張り出し床部が存在する場合には、補強梁部の配置領域が狭くなる。しかしながら、本開示の一つの観点に係る補強構造物では、補強梁部の下端が、対応する梁部の下端よりも下方に突出していない。そのため、既存建物の窓からの採光を十分に確保しつつ、補強梁部を張り出し床部の下方に配置することが可能となる。
補強梁部の延在方向における少なくとも一方の側部の高さが、延在方向において両側部の間に位置する部分の高さよりも低くてもよい。この場合、補強構造物は、全体として山型となる。ところで、地震等の発生によって補強構造物に対し水平方向(当該延在方向)の外力が付与された(作用した)場合、補強梁部の一端に上向きの力(引っ張り力)が生じ、補強梁部の他端に下向きの力(圧縮力)が生じ、隣接する補強柱部に変動軸力が付与される(入力される)。補強構造物のうち水平方向における両側部の間に位置する部分では、補強梁部の端に生ずる力はそれと隣り合う補強梁部の端に生ずる力と打ち消し合う。一方、補強構造物のうち水平方向における両側部では、補強梁部の最外端に生ずる力が、他の力と打ち消し合わずに残存する。そのため、補強構造物のうち水平方向における両端に位置する補強柱部に、変動軸力が作用する。すなわち、補強構造物のうち水平方向において両端に位置する補強柱部の一方には上向きの力(引っ張り力)が作用し、他方には下向きの力(圧縮力)が作用する。この変動軸力は下階層ほど重ね合わされて大きくなるので、補強構造物を支える両側部の基礎に集中的に力が加わる。しかしながら、上記のように、当該延在方向における少なくとも一方の側部の高さが他の部分よりも低い補強構造物では、高さの低い側部に対応する位置の補強柱部に対して作用する変動軸力が分散され、当該補強柱部を支持する基礎に集中する力が小さくなる。従って、補強構造物の耐力を効率的に発揮させることが可能となる。
補強梁部の延在方向における両側部の高さが、延在方向において両側部の間に位置する部分の高さよりも低くてもよい。この場合、補強構造物は、全体として山型となる。そのため、当該延在方向における両側部に対応する位置の補強柱部に対して作用する変動軸力が分散され、これらの補強柱部を支持する基礎に集中する力が小さくなる。従って、補強構造物の耐力をより効率的に発揮させることが可能となる。
本開示に係る補強構造物によれば、既存建物を補強しつつ、既存建物の窓からの採光を十分に確保することが可能となる。
図1は、既存建物に補強構造物が施工された補強済建物の一例を示す概略図である。 図2は、図1の補強済建物一部を斜め下方側から見た様子を拡大して示す図である。 図3は、補強構造物内に配筋された鉄筋を示す図である。 図4は、図3のIV−IV線断面図である。 図5は、図3のV−V線断面図である。 図6は、地震力を受ける際に補強構造物に生ずる応力について説明するための図である。 図7は、既存建物に補強構造物が施工された補強済建物の他の例を示す概略図である。 図8は、既存建物に補強構造物が施工された補強済建物の他の例を示す概略図である。 図9は、試験体E1の概要を示す正面図である。 図10は、図9のX−X線断面図である。 図11は、図9のXI−XI線断面図である。 図12(a)は図9のXIIA−XIIA線断面図であり、図12(b)は図9のXIIB−XIIB線断面図である。 図13(a)は図10のXIIIA−XIIIA線断面図であり、図13(b)は図10のXIIIB−XIIIB線断面図である。 図14(a)は加力装置の構成を説明するための正面図であり、図14(b)は加力装置の動作状態を説明するための正面図である。 図15は、試験体E2の概要を示す正面図である。 図16は、図15のXVI−XVI線断面図である。 図17は、図15のXVII−XVII線断面図である。 図18(a)は図15のXVIIIA−XVIIIA線断面図であり、図18(b)は図15のXVIIIB−XVIIIB線断面図である。 図19は、試験体E3のうち既存建物部分の概要を示す正面図である。 図20は、図19の上面図である。 図21は、図19のXXI−XXI線断面図である。 図22(a)は図19のXXIIA−XXIIA線断面図であり、図22(b)は図19のXXIIB−XXIIB線断面図であり、図22(c)は図19のXXIIC−XXIIC線断面図である。 図23は、試験体E3のうち補強構造物部分の概要を主として示す正面図である。 図24は、図23の上面図である。 図25は、図23のXXV−XXV線断面図である。 図26(a)は図23のXXVIA−XXVIA線断面図であり、図26(b)は図23のXXVIB−XXVIB線断面図であり、図26(c)は図23のXXVIC−XXVIC線断面図である。 図27(a)は加力装置の構成を説明するための正面図であり、図27(b)は加力装置の動作状態を説明するための正面図である。 図28は、試験体E1に対する加力サイクル試験、実施例4(条件A1)、実施例8(条件C1〜C3)及び比較例における、層間変形角に対する水平耐力の各結果を示すグラフである。 図29(a)は図13(a)の上側に位置するひずみゲージの測定結果であり、図29(b)は図13(b)の下側に位置するひずみゲージの測定結果である。 図30は、試験体E2に対する加力サイクル試験及び実施例5(条件A1)における、層間変形角に対する水平耐力の各結果を示すグラフである。 図31は、試験体E3に対する加力サイクル試験、実施例7(条件B3)及び実施例9における、層間変形角に対する水平耐力の各結果を示すグラフである。
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
既存建物1に補強構造物2が施工された補強済建物3の構造について、図1及び図2を参照して説明する。既存建物1は、柱部4と、梁部5と、交差部6と、外壁7と、窓Wと、張り出し床部Bと、図示しないスラブ部とを備える。柱部4、梁部5、交差部6及びスラブ部は、例えば鉄筋コンクリートによって構成される。
柱部4は、基礎部8上に設けられ、鉛直方向に沿って延びる。梁部5は、隣り合う柱部4の間に配設され、水平方向に沿って延びる。そのため、柱部4と梁部5とが組み立てられた組物は、格子状を呈している。柱部4及び梁部5は、例えば矩形断面を有する四角柱状を呈する。柱部4の厚み(奥行)は、400mm〜1000mm程度であってもよい。柱部4の幅は、400mm〜1000mm程度であってもよい。梁部5の厚み(奥行)は、例えば200mm〜500mm程度であってもよい。梁部5の幅は、500mm〜1200mm程度であってもよい。
本実施形態では、水平方向において5つの柱部4が並んでいる。以下では、これらの柱部4を、図1の左側から順に柱部4a〜4eと呼ぶことがある。本実施形態では、鉛直方向において8つの梁部5が並んでいる。これらの梁部5を、図1の下側から順に梁部5a〜5hと呼ぶことがある。最下方に位置する梁部5aの一部は、地中に配置されている。
スラブ部は、柱部4及び梁部5の間において水平面に沿って延びている。スラブ部は、床や天井として機能する。本実施形態においては、梁部5a〜5hの位置に対応して、柱部4の上端と下端との間に8つのスラブ部が鉛直方向に沿って並んでいる。すなわち、図1に例示される既存建物1は、7階建ての建物である。
柱部4a〜4eは、基礎部8から既存建物1の7階天井に相当する高さまで延びている。梁部5a〜5hは、柱部4aと柱部4eとの間に延びている。
交差部6は、柱部4と梁部5とが交差する箇所に位置する部分である。交差部6は、柱部4の一部としても機能する。外壁7は、柱部4及び梁部5の間において鉛直面に沿って延びている。外壁7のうち柱部4と梁部5とで囲まれる領域には、窓Wが設けられている。
張り出し床部Bは、既存建物1の外壁面上で且つ梁部5b〜5gに対応する位置にそれぞれ配置されている。張り出し床部Bは、梁部5b〜5gから外方に向けて突出している。張り出し床部Bは、既存建物1の外壁面に対して略直交するように略水平に延びている。張り出し床部Bは、例えばベランダやバルコニーである。
補強構造物2は、既存建物1の外壁面(補強構造物2の施工面)上に設けられている。補強構造物2は、図1及び図2に示されるように、補強柱部9と、補強梁部10と、補強交差部11とを備える。図1において、補強柱部9、補強梁部10及び補強交差部11は太線で示されている。補強柱部9、補強梁部10及び補強交差部11は、例えば矩形断面を有する四角柱状を呈する。補強柱部9は、その延在方向から見て、正方形状又は矩形状を呈する。補強梁部10及び補強交差部11は、補強梁部10の延在方向から見て、矩形状を呈する。
補強柱部9は、既存建物1の外壁面上で且つ柱部4に対応する位置に配置されている。以下では、柱部4a〜4eに対応する補強柱部9を、それぞれ補強柱部9a〜9eと呼ぶことがある。補強柱部9は、柱部4の延在方向と同一方向に沿って延びている。すなわち、補強柱部9は、張り出し床部Bを貫通しつつ鉛直方向に沿って延びている。補強柱部9の厚み(奥行)は、例えば350mm〜600mm程度であってもよい。補強柱部9の幅は、500mm〜800mm程度であってもよい。
図1に示される例では、補強柱部9aは、柱部4aの表面において、基礎部8から既存建物1の3階天井(4階床)に相当する高さまで延びている。補強柱部9bは、柱部4bの表面において、基礎部8から既存建物1の4階天井(5階床)に相当する高さまで延びている。補強柱部9cは、柱部4cの表面において、基礎部8から既存建物1の4階天井(5階床)に相当する高さまで延びている。補強柱部9dは、柱部4dの表面において、基礎部8から既存建物1の4階天井(5階床)に相当する高さまで延びている。補強柱部9eは、柱部4eの表面において、基礎部8から既存建物1の3階天井(4階床)に相当する高さまで延びている。
補強梁部10は、既存建物1の外壁面上で且つ梁部5に対応する位置に配置されている。以下では、梁部5a〜5eに対応する補強梁部10を、それぞれ補強梁部10a〜10eと呼ぶことがある。補強梁部10b〜10eは、張り出し床部Bの下方に位置している。補強梁部10は、梁部5の延在方向と同一方向に沿って延びている。すなわち、補強梁部10は、水平方向に沿って延びている。補強梁部10は、既存建物1の外壁面の直交方向において補強柱部9よりも外方に突出している。そのため、既存建物1の外壁面の垂線方向において、補強梁部10の厚み(奥行)は、補強柱部9の厚みよりも大きい。補強梁部10の厚みは、例えば600mm〜1200mm程度であってもよい。補強梁部10は、水平方向において隣り合う補強柱部9の間に位置している。補強梁部10の高さは、300mm〜450mm程度であってもよい。補強梁部10の下端は、対応する梁部5の下端よりも下方に突出していない。図2及び図5には、補強梁部10の下端が、対応する梁部5の下端と略一致している例が示されている。
図1に示される例では、補強梁部10aは、梁部5aに対応して、補強柱部9a,9b間、補強柱部9b,9c間、補強柱部9c,9d間、及び補強柱部9d,9e間にそれぞれ位置している。補強梁部10bは、梁部5bに対応して、補強柱部9a,9b間、補強柱部9b,9c間、補強柱部9c,9d間、及び補強柱部9d,9e間にそれぞれ位置している。補強梁部10cは、梁部5cに対応して、補強柱部9a,9b間、補強柱部9b,9c間、補強柱部9c,9d間、及び補強柱部9d,9e間にそれぞれ位置している。補強梁部10dは、梁部5dに対応して、補強柱部9a,9b間、補強柱部9b,9c間、補強柱部9c,9d間、及び補強柱部9d,9e間にそれぞれ位置している。補強梁部10eは、梁部5eに対応して、補強柱部9b,9c間、及び補強柱部9c,9d間に位置している。
本実施形態では、補強柱部9a〜9e及び補強梁部10a〜10eが以上のように位置しているので、図1に示されるように、補強構造物2が全体として山型状、より具体的には凸型状を呈している。すなわち、補強構造物2のうち水平方向(補強梁部10の延在方向)における両側部の高さが、補強構造物2のうち水平方向(補強梁部10の延在方向)における両側部の間に位置する部分(中央部)の高さよりも低くなっている。
補強交差部11は、既存建物1の外壁面上で且つ交差部6に対応する位置に配置されている。補強交差部11は、補強柱部9及び補強梁部10の端部同士を接続している。そのため、補強交差部11は、補強柱部9と補強梁部10との交点に位置している。従って、補強構造物2は、補強柱部9、補強梁部10及び補強交差部11によって格子状に構成されている。補強交差部11は、既存建物1の外壁面の直交方向(垂線方向)において補強柱部9よりも外方に突出している。そのため、補強交差部11の厚み(奥行)は、補強梁部10と同程度であってもよく、例えば600mm〜1200mm程度であってもよい。補強交差部11の幅は、補強柱部9の幅と同程度であってもよく、例えば500mm〜800mm程度であってもよい。補強交差部11の高さは、補強梁部10と同程度か補強梁部10よりも下方に向けて突出していてもよく、例えば300mm〜700mmであってもよい。
補強柱部9及び補強梁部10は、例えば鉄筋コンクリート(鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体)によって構成されている。補強交差部11は、例えば鉄筋が埋設されたモルタル硬化体によって構成されている。モルタル硬化体は、ポリマーセメントモルタルが硬化されてなる。本実施形態において、モルタル硬化体の圧縮強度は、同日の材齢で比較した場合、コンクリート硬化体の圧縮強度よりも大きい。
ここで、ポリマーセメントモルタルについて説明する。ポリマーセメントモルタルは、ポリマーセメント組成物と水との混合物である。
<ポリマーセメント組成物>
本実施形態のポリマーセメント組成物は、補強工法用のポリマーセメント組成物であって、セメント、細骨材、流動化剤、再乳化形粉末樹脂、無機系膨張材、及び、合成樹脂繊維を含有する。
セメントは、水硬性材料として一般的なものであり、いずれの市販品も使用することができる。それらの中でも、JIS R 5210:2009「ポルトランドセメント」に規定されるポルトランドセメントを含むことが好ましい。流動性と速硬性の観点から、早強ポルトランドセメントを含むことがより好ましい。
強度発現性の観点からセメントのブレーン比表面積は、
好ましくは3000cm/g〜6000cm/gであり、
より好ましくは4000cm/g〜5000cm/gであり、
さらに好ましくは4200cm/g〜4800cm/gである。
細骨材としては、珪砂、川砂、陸砂、海砂及び砕砂等の砂類を例示することができる。細骨材は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、ポリマーセメントモルタルの型枠への充填性を一層円滑にする観点から、珪砂を含むことが好ましい。
細骨材をJIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」に規定される方法でふるい分けた場合、連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が、ふるい目開き2000μmにおいて、0質量%であることが好ましい。ふるい目開き2000μmのふるいを細骨材がすべて通過する場合、上記質量分率は0質量%である。
連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が、
ふるい目開き1180μmにおいて、5.0〜25.0であり、
ふるい目開き600μmにおいて、20.0〜50.0であり、
ふるい目開き300μmにおいて、20.0〜50.0であり、
ふるい目開き150μmにおいて、5.0〜25.0であり、
ふるい目開き75μmにおいて、0〜10.0であることが好ましい。
連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が、
ふるい目開き1180μmにおいて、10.0〜20.0であり、
ふるい目開き600μmにおいて、25.0〜45.0であり、
ふるい目開き300μmにおいて、25.0〜45.0であり、
ふるい目開き150μmにおいて、10.0〜20.0であり、
ふるい目開き75μmにおいて、0〜5.0であることがより好ましい。
細骨材を上記規定でふるい分けた場合、連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が上述の範囲内であることにより、より良好な材料分離抵抗性及び流動性を有するモルタルや、より高い圧縮強度を有する硬化体を得ることができる。
細骨材をJIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」に規定される方法でふるい分けた場合、細骨材の粗粒率が
好ましくは、1.60〜3.00であり、
より好ましくは、1.90〜2.80であり、
さらに好ましくは、2.10〜2.70であり、
特に好ましくは2.30〜2.60である。
細骨材の粗粒率が上述の範囲であることにより、より良好な材料分離抵抗性や流動性を有するポリマーセメントモルタルや、より良好な強度特性を有する硬化体を得ることができる。
上記ふるい分けは、JIS Z 8801−1:2006「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に規定される目開きの異なる数個のふるいを用いて行うことができる。
細骨材の含有量は、セメント100質量部に対して、80〜130質量部であり、
好ましくは85質量部〜125質量部であり、
より好ましくは90質量部〜120質量部であり、
さらに好ましくは95質量部〜115質量部であり、
特に好ましくは100質量部〜110質量部である。
細骨材の含有量を上述の範囲とすることにより、より高い圧縮強度を有する硬化体を得ることができる。
流動化剤は、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、及びポリカルボン酸系のもの等を例示することができる。流動化剤は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、高い減水効果を得る観点から、ポリカルボン酸系の流動化剤を含むことが好ましい。ポリカルボン酸系の流動化剤を用いることによって、水粉体比を低減して、モルタル硬化体の強度発現性を一層良好にすることができる。
流動化剤の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは0.04質量部〜0.55質量部であり、
より好ましくは0.10質量部〜0.45質量部であり、
さらに好ましくは0.15質量部〜0.35質量部であり、
特に好ましくは0.20質量部〜0.30質量部である。
流動化剤の含有量を上述の範囲とすることにより、より良好な流動性を有するポリマーセメントモルタルを得ることができる。また、一層高い圧縮強度を有するモルタル硬化体を得ることができる。
再乳化形粉末樹脂は、特にその種類及び製造方法は限定されず、公知の製造方法で製造されたものを用いることができる。また、再乳化形粉末樹脂は、表面にブロッキング防止剤を有していてもよい。モルタル硬化体の耐久性の観点から、再乳化形粉末樹脂は、アクリルを含有することが好ましい。さらに、接着性及び圧縮強度の観点から、再乳化形粉末樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−5℃〜20℃の範囲であることが好ましい。
再乳化形粉末樹脂の含有量は、セメント100質量部に対して、
0.2質量部〜6.0質量部であり、
好ましくは0.5質量部〜3.5質量部であり、
より好ましくは0.7質量部〜2.8質量部であり、
さらに好ましくは0.9質量部〜2.1質量部であり、
特に好ましくは1.1質量部〜1.8質量部である。
再乳化形粉末樹脂の含有量を上述の範囲とすることにより、ポリマーセメントモルタルの接着性と、モルタル硬化体の圧縮強度を一層高水準で両立することができる。
無機系膨張材としては、生石灰−石膏系膨張材、石膏系膨張材、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、及び生石灰−石膏−カルシウムサルフォアルミネート系膨張材等を例示することができる。無機系膨張材は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、硬化体の圧縮強度をより向上する観点から、生石灰−石膏−カルシウムサルフォアルミネート系膨張材を含むことが好ましい。
無機系膨張材の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは2.0質量部〜10.0質量部であり、
より好ましくは3.0質量部〜9.0質量部であり、
さらに好ましくは4.0質量部〜8.0質量部であり、
特に好ましくは5.0質量部〜7.0質量部である。
無機系膨張材の含有量を上述の範囲とすることにより、一層適正な膨張性が発現され、モルタル硬化体の収縮を抑制することができる。
合成樹脂繊維としては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ビニロン及びポリ塩化ビニル等を例示することができる。合成樹脂繊維は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
合成樹脂繊維の繊維長は、モルタル中での分散性、及びモルタル硬化体の耐クラック性向上の点から、
好ましくは4mm〜20mmであり、
より好ましくは6mm〜18mmであり、
さらに好ましくは8mm〜16mmであり、
特に好ましくは10mm〜14mmである。
合成樹脂繊維の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは0.11質量部〜0.64質量部であり、
より好ましくは0.21質量部〜0.53質量部であり、
さらに好ましくは0.28質量部〜0.47質量部であり、
特に好ましくは0.32質量部〜0.43質量部である。
合成樹脂繊維の繊維長及び含有量を上述の範囲にすることにより、モルタル中での分散性やモルタル硬化体の耐クラック性をより向上することができる。
本実施形態のポリマーセメント組成物は、用途に応じて、凝結調整剤、増粘剤、金属系膨張材、及び消泡剤等を含有してもよい。
<ポリマーセメントモルタル>
ポリマーセメントモルタルは、上述のポリマーセメント組成物と水とを含む。ポリマーセメントモルタルは、上述のポリマーセメント組成物と水とを配合し混練することによって調製することができる。このようにして調製されるポリマーセメントモルタルは、優れた流動性(フロー値)を有する。このため、補強構造物を形成するための型枠内への充填を円滑に行うことができる。したがって、既存建物の補強構造物用のポリマーセメントモルタルとして好適に用いることができる。ポリマーセメントモルタルを調製する際に、水粉体比(水量/ポリマーセメント組成物量)を適宜変更することによって、ポリマーセメントモルタルのフロー値を調整することができる。
水粉体比は、
好ましくは、0.135〜0.175であり、
より好ましくは、0.140〜0.170であり、
更に好ましくは、0.143〜0.167であり、
特に好ましくは、0.145〜0.165である。
本明細書におけるフロー値は、以下の手順で測定する。厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ100mmの円筒形状の塩化ビニル製パイプを配置する。このとき、塩化ビニル製パイプの一端がみがき板ガラスと接触し、他端が上向きとなるように配置する。他端側の開口からポリマーセメントモルタルを注入して、塩化ビニル製パイプ内にポリマーセメントモルタルを充填した後、塩化ビニル製パイプを垂直に引き上げる。モルタルの広がりが静止した後、互いに直交する2つの方向における直径(mm)を測定する。測定値の平均値をフロー値(mm)とする。
ポリマーセメントモルタルのフロー値は、
好ましくは、160mm〜270mmであり、
より好ましくは、165mm〜260mmであり、
さらに好ましくは、170mm〜250mmである。
フロー値が上述の範囲であることにより、材料分離抵抗性及び充填性に優れたポリマーセメントモルタルを得ることができる。
<モルタル硬化体>
モルタル硬化体は、ポリマーセメントモルタルを硬化して形成することができる。このようにして形成されるモルタル硬化体は、既存建物の補強構造物を構成するコンクリートの柱や梁と一体化するに際し、強度発現性に優れる。このため、補強工法の工期を短縮することができる。また、高い圧縮強度を有することから、既存建物の耐震性を向上することができる。
圧縮強度とは、内径5cm、高さ10cmの円筒型枠にモルタルを充填し、24時間後に脱型した後、所定材齢まで水中養生した試験体をJIS A 1108:2006「コンクリートの圧縮試験方法」に準拠して測定される値(N/mm)である。
上述の試験方法で測定されるモルタル硬化体の材齢7日において圧縮強度は、
好ましくは、60N/mm以上であり、
より好ましくは、61N/mm以上であり、
さらに好ましくは、62N/mm以上である。
特に好ましくは、63N/mm以上である。
材齢7日で上述の圧縮強度に到達できるような強度発現性を有するモルタル硬化体を用いることによって、補強工法の工期を一層短縮することができる。
上述の試験方法で測定されるモルタル硬化体の材齢28日の圧縮強度は、
好ましくは、65N/mm以上であり、
より好ましくは、70N/mm以上であり、
さらに好ましくは、71N/mm以上である。
特に好ましくは、72N/mm以上である。
圧縮強度が上述の範囲であることにより、補強用のコンクリートの柱や梁と一体化した際に、一層優れた耐震性能を発揮することができる。
続いて、図3〜図5を参照して、補強構造物2についてより詳しく説明する。図3及び図4に示されるように、補強柱部9内には、その延在方向に沿って延びる鉄筋12が埋設されている。鉄筋12は、主筋12aと、剪断補強筋12bとを有する。主筋12aは、鉄筋12(補強柱部9)の延在方向に沿って延びている。主筋12aは、補強柱部9の延在方向から見て、補強柱部9の隅部近傍にそれぞれ位置している。剪断補強筋12bは、矩形状を呈しており、主筋12aを外側から囲んでいる。剪断補強筋12bは、例えば結束線等で主筋12aと接続されている。
図3〜図5に示されるように、補強梁部10及び補強交差部11内には、補強梁部10の延在方向に沿って延びる鉄筋13が埋設されている。鉄筋13は、主筋13aと、剪断補強筋13bとを有する。主筋13aは、鉄筋13(補強梁部10)の延在方向に沿って延びている。主筋13aは、図4及び図5に示されるように、補強梁部10の延在方向から見て、補強梁部10及び補強交差部11の上辺及び下辺に沿って並んでいる。剪断補強筋13bは、補強梁部10の延在方向に沿って延びる仮想軸(図示せず)を囲む環状(例えば、矩形状)を呈している。剪断補強筋13bは、主筋13aを外側から囲んでいる。剪断補強筋13bは、例えば結束線等で主筋13aと接続されている。すなわち、既存建物1の外壁面の直交方向において、補強梁部10及び補強交差部11が補強柱部9よりも
外方に突出しているので、鉄筋13(剪断補強筋13b)も当該方向において鉄筋12よりも外方に突出している。
以上のような本実施形態では、補強梁部10の下端が、対応する梁部5の下端よりも下方に突出していない。そのため、既存建物1の外壁7のうち柱部4と梁部5とで囲まれた領域に窓Wが設けられている場合に、窓Wからの採光が阻害され難い。
加えて、本実施形態では、補強交差部11がポリマーセメントモルタル硬化体によって構成されている。そのため、補強交差部11は、コンクリート硬化体によって構成されている補強柱部9及び補強梁部10よりも圧縮強度が大きい。従って、補強柱部9に埋設されている鉄筋12(主筋12a)の外側に向けて補強梁部10を突出させても、補強梁部10の耐力を十分に確保することができる。これにより、補強梁部10の下端が、対応する梁部5の下端よりも下方に突出していない場合に、補強梁部10の鉛直方向における高さが小さくなっても、補強構造物2としての強度が十分に保持される。
以上より、本実施形態係る補強構造物2によれば、既存建物1を補強しつつ、既存建物1の窓Wからの採光を十分に確保することが可能となる。
ところで、図6(a)に示されるように、補強構造物2に対して例えば図6(a)の左側から右側に向かう水平方向に地震力が作用した場合、補強交差部11の上側に位置する補強柱部9に対して曲げ応力Mcuが作用し、当該補強柱部9が右方向に曲げられる。補強交差部11の下側に位置する補強柱部9に対して曲げ応力Mcdが作用し、当該補強柱部9が左方向に曲げられる。補強交差部11の右側に位置する補強梁部10に対して曲げ応力Mbrが作用し、当該補強梁部10が上方向に曲げられる。補強交差部11の左側に位置する補強梁部10に対して曲げ応力Mblが作用し、当該補強梁部10が下方向に曲げられる。図6(b)に示されるように、補強柱部9、補強梁部10及び補強交差部11の厚み(奥行)がいずれも略同一の場合、補強交差部11では、補強柱部9において曲げ応力が生じている領域と、補強梁部10において曲げ応力が生じている領域とに、位置的なずれが生じない。従って、補強柱部9及び補強梁部10まわりに生ずる曲げ応力が釣り合う(Mcu+Mcd=Mbr+Mbl)。
しかしながら、図6(c)において本実施形態に係る補強構造物2を模式的に示すように、補強梁部10及び補強交差部11が補強柱部9よりも外側に突出する場合、補強交差部11では、補強柱部9において曲げ応力が生じている領域と、補強梁部10において曲げ応力が生じている領域とに、位置的なずれが生ずる。そのため、補強梁部10のうち補強柱部9よりも外側に突出する部分に生ずる曲げ応力は、補強柱部9の曲げ応力と釣り合う過程で、補強交差部11のうち補強柱部9よりも外側に突出する部分をねじりながら、補強柱部9に伝達する。このとき、図6(c)に示されるように、補強交差部11のうち補強柱部9よりも外側に突出する部分には、当該部分を上側に曲げようとするねじり応力Tu又は当該部分を下側に曲げようとするねじり応力Tdが作用する。
本実施形態では、補強交差部11内に埋設された鉄筋13は、補強梁部10の延在方向に沿って延びる仮想軸を囲む環状の剪断補強筋13bを含んでいる。剪断補強筋13bは、補強柱部9よりも外方に突出している。そのため、剪断補強筋13bのうち水平方向に延びる上側部分13b(図4及び図5参照)は、補強交差部11のうち補強柱部9よりも外側に突出する部分を下側に曲げようとするねじり応力Tdに対する抵抗として働く。一方、剪断補強筋13bのうち水平方向に延びる下側部分13b(図4及び図5参照)は、補強交差部11のうち補強柱部9よりも外側に突出する部分を上側に曲げようとするねじり応力Tuに対する抵抗として働く。従って、ねじり破壊が生じ難い。その結果、補強梁部及び補強交差部における曲げ耐力を十分に確保することが可能となる。
本実施形態においては、既存建物1の外壁面側に張り出し床部Bが存在しているので、補強梁部10の配置領域が狭くなる。しかしながら、本実施形態に係る補強構造物2では、補強梁部10の下端が、対応する梁部5の下端よりも下方に突出していない。そのため、既存建物1の窓Wからの採光を十分に確保しつつ、補強梁部10を張り出し床部Bの下方に配置することが可能となる。
地震等の発生によって補強構造物2に対し水平方向の外力が付与された(作用した)場合、補強梁部10の一端に上向きの力(引っ張り力)が生じ、補強梁部10の他端に下向きの力(圧縮力)が生じ、隣接する補強柱部9に変動軸力が付与される(入力される)。ここで、一例として、補強構造物2に対し水平方向(図1の左から右方向)の外力が作用し、補強梁部10の左端に上向きの力が生じ、補強梁部10の右端に下向きの力が生ずる場合を仮定する。補強柱部9c,9d間にある補強梁部10a〜10eの左端に生ずる上向きの力は、補強柱部9b,9c間にある補強梁部10a〜10eの右端に生ずる下向きの力と打ち消し合う。補強柱部9c,9d間にある補強梁部10a〜10dの右端に生ずる下向きの力は、補強柱部9d,9e間にある補強梁部10a〜10dの左端に生ずる上向きの力と打ち消し合う。補強柱部9b,9c間にある補強梁部10a〜10dの左端に生ずる上向きの力は、補強柱部9a,9b間にある補強梁部10a〜10dの右端に生ずる下向きの力と打ち消し合う。
そのため、補強構造物2が全体として凸形状(山型状)を呈する本実施形態では、補強柱部9a,9b間にある補強梁部10a〜10dの左端に生ずる上向きの力は、他の力と打ち消し合わずに残存し、補強柱部9aに上向きの引っ張り力が作用し、補強柱部9aを支持する基礎部8に集中的に加わる。補強柱部9d,9e間にある補強梁部10a〜10dの右端に生ずる下向きの力は、他の力と打ち消し合わずに残存し、補強柱部9eに下向きの圧縮力が作用し、補強柱部9eを支持する基礎部8に集中的に加わる。補強柱部9b,9c間にある補強梁部10eの左端に生ずる上向きの力は、他の力と打ち消し合わずに残存し、補強柱部9bに上向きの引っ張り力が作用し、補強柱部9bを支持する基礎部8に変動軸力が作用する。補強柱部9c,9d間にある補強梁部10eの右端に生ずる下向きの力は、他の力と打ち消し合わずに残存し、補強柱部9dに下向きの圧縮力が作用し、補強柱部9dを支持する基礎部8に変動軸力が作用する。このことから、本実施形態に係る補強構造物2では、補強柱部9a,9eを支持する基礎部8に作用する変動軸力が補強柱部9b,9dを支持する基礎部8に分散される。従って、補強柱部と補強梁部とが全体として四角形状を呈する補強構造物の場合には、補強構造物のうち水平方向における両側部において、鉛直方向に並ぶ補強梁部の数だけ基礎部に力が集中的に加わるが、全体として凸形状(山型状)を呈する本実施形態に係る補強構造物2の場合には、補強構造物2の耐力(補強済建物3の耐力)をより効率的に発揮させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、既存建物1が張り出し床部Bを備えていなくてもよい。
補強構造物2のうち水平方向における少なくとも一方の側部の高さが、補強構造物2のうち水平方向における両側部の間に位置する部分(中央部)の高さよりも低くなっていればよい。すなわち、補強構造物2は、凸型状以外の山型状を呈していてもよいし、山型状を呈していなくてもよい。
図7に示される補強済建物3は、既存建物1が柱部4f,4gをさらに備えている点で図1に示される補強済建物3と相違するが、図1に示される補強済建物3と同様の補強構造物2を備えている点で一致する。すなわち、図7に示される補強構造物2は、山型状(凸型状)を呈する。一方、図7に示される既存建物1は、柱部4f、4gをさらに備える。柱部4fは、図7において既存建物1の左端に位置しており、柱部4aと隣り合っている。柱部4gは、図7において既存建物1の右端に位置しており、柱部4eと隣り合っている。柱部4a,4f間及び柱部4e,4g間にはそれぞれ、梁部5a〜5h及びスラブ部が延在している。すなわち、図7に示される補強構造物2の例では、幅方向(図1の左右方向)における補強構造物2の両側部は、当該幅方向における既存建物1の両側部よりも内側に位置している。この場合、地震等の発生によって既存建物1及び補強構造物2に対し水平方向の外力が付与された(作用した)ときに、幅方向における既存建物1の両側部に位置する基礎部8には、補強柱部9a及び9eに対して作用する変動軸力が加わらなくなる。そのため、当該基礎部8には、既存建物1の両端側に位置する柱部4f,4gに対して作用する変動軸力のみが加わる。一方、柱部4f,4gの内側に位置する柱部4a,4eには変動軸力が作用しないので、補強柱部9a,9eを支持する基礎部8には、補強柱部9a,9eに対して作用する変動軸力のみが加わる。そのため、幅方向における既存建物1の両側部に位置する基礎部8に力が集中しなくなり、当該基礎部8の浮き上がりまたは沈み込みによる地震抵抗力の頭打ちが生じ難くなる。従って、既存建物1及び補強構造物2の耐力をより効率的に発揮させることが可能となる。
図8に、山型状を呈していない補強構造物2の例を示す。図8に示される補強済建物3は、図1に示される補強済建物3において、既存建物1のうち柱部4dよりも外側の部分が存在していないと共に補強構造物2のうち補強柱部9dよりも外側の部分が存在していない点で、図1に示される補強済建物3と相違する。
以下に実施例1〜9及び比較例に基づいて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、補強構造物2の一部を取り出した十字型の試験体E1を用意した。具体的には、試験体E1は、図9〜図12に示されるように、補強柱部9と、補強梁部10と、これらが交差する部分である補強交差部11とを備えていた。補強柱部9及び補強梁部10は、鉄筋コンクリートによって構成されていた。補強交差部11は、ポリマーセメントモルタルが硬化したモルタル硬化体内に鉄筋が埋設されることによって構成されていた。
補強交差部11には、C字形状を呈するC字状補強筋及び環状を呈する環状補強筋が埋設されていた。C字状補強筋は、図10及び図11に示されるように、水平方向(補強交差部11の突出方向)において補強交差部11の全体にわたって延在していた。環状補強筋は、図10及び図11に示されるように、補強交差部11のうち補強柱部9よりも突出する領域に配置されていた。図10〜図12に示されるように、補強柱部9の中央部分、補強梁部10の中央部分、及び補強交差部11のうち補強柱部9よりも突出する領域の中央部分には、幅止め筋が配置されていた。
試験体E1の寸法は、以下のとおりであった。
・補強柱部9
高さ :1820mm(図11参照)
幅 : 400mm(図12(a)参照)
奥行 : 300mm(図11及び図12(a)参照)
主筋 :14−D16(SD390)
補強柱部9の奥行き方向に5本ずつ2列配置
補強柱部9の幅方向に4本ずつ2列配置
引張鉄筋比pt=1.15%
剪断補強筋 :3−U7.1@50(SBPD1275)
剪断補強筋比pw=0.80%
・補強梁部10
高さ : 250mm(図12(b)参照)
幅 :2200mm(図10参照)
奥行 : 600mm(図10及び図12(b)参照)
主筋 :9−D16(SD490)(上下)
引張鉄筋比pt=1.65%
剪断補強筋 :4−U7.1@100(SBPD1275)
剪断補強筋比pw=0.27%
・補強交差部11
高さ : 250mm(図11参照)
幅 : 400mm(図10参照)
奥行 : 600mm(図10参照)
C字状補強筋:D13(SD345)
環状補強筋 :3−U7.1@100(SBPD1275)
・圧縮強度(材齢28日)
モルタル硬化体 :94.7N/mm(補強交差部11)
コンクリート硬化体:43.7N/mm(補強柱部9の下側及び補強梁部10)
コンクリート硬化体:38.7N/mm(補強柱部9の上側)
図10及び図13に示されるように、補強梁部10と補強交差部11との境界部分において、補強梁部10の主筋にひずみゲージSGが取り付けられていた。具体的には、図13に示されるように、ひずみゲージSGは、補強柱部9よりも突出する領域に位置する全ての主筋に取り付けられていると共に、補強柱部9に対応する領域に位置する主筋のうち水平方向において一つ置きに取り付けられていた。ここで、図13(a)に示されるように、補強梁部10の左端側で且つ上側に位置するひずみゲージSGについて、補強柱部9側から離れるにつれて、便宜的に、ひずみゲージSGU1,SGU2,SGU3,SGU4,SGU5,SGU6,SGU7と呼ぶこととする。図13(b)に示されるように、補強梁部10の右端側で且つ下側に位置するひずみゲージSGについて、補強柱部9側から離れるにつれて、便宜的に、ひずみゲージSGL1,SGL2,SGL3,SGL4,SGL5,SGL6,SGL7と呼ぶこととする。
次に、図14(a)に示される加力装置100を用意した。ここで、加力装置100の構成を説明する。加力装置100は、下端拘束部101と、右端拘束部102と、左端拘束部103と、上端拘束部104と、油圧ジャッキ105とを備える。下端拘束部101は、床面上に固定された固定部材101aと、拘束部材101bとを有する。拘束部材101bは、固定部材101aに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。
右端拘束部102は、床面上に固定された固定部材102aと、拘束部材102bと、鉛直方向に沿って延びる接続部材102cとを有する。接続部材102cの下端は、固定部材102aに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。接続部材102cの上端は、拘束部材102bに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。
左端拘束部103は、床面上に固定された固定部材103aと、拘束部材103bと、鉛直方向に沿って延びる接続部材103cとを有する。接続部材103cの下端は、固定部材103aに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。接続部材103cの上端は、拘束部材103bに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。
上端拘束部104は、側壁面に固定された固定部材104aと、拘束部材104bと、水平方向に沿って延びる接続部材104cとを有する。接続部材104cの右端(接続部材104cのうち拘束部材104bに対する近位端)は、拘束部材104bに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。接続部材104cの左端(接続部材104cのうち拘束部材104bに対する遠位端)は、固定部材104aに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。
油圧ジャッキ105は、接続部材104cの中間部分に取り付けられている。油圧ジャッキ105は、図示しない制御部(コントローラ)からの制御信号に基づいて、接続部材104cを伸縮させる。そのため、油圧ジャッキ105は、接続部材104cを介して拘束部材104bを水平方向に沿って変位させる機能を有する。
次に、加力装置100に対して補強柱部9が垂直材となり且つ補強梁部10が水平材となるように、試験体E1を加力装置100に取り付けた。具体的には、補強柱部9の下端を拘束部材101bに固定した。補強柱部9の上端を拘束部材104bに固定した。補強梁部10の右端を拘束部材102bに固定した。補強梁部10の左端を拘束部材103bに固定した。
次に、この状態で、加力サイクル試験を行った。具体的には、油圧ジャッキ105によって拘束部材104bに対し繰り返しの水平力を印加した(図14(b)参照)。加力サイクルに関して、既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・同解説(一般財団法人・日本建築防災協会発行)に示されている靱性指標F値との対応を考慮し、層間変形角Rを以下に示す第1〜第9の順に変化させた。
第1:R=±1/800radを1サイクル
第2:R=±1/500rad(F=0.80)を2サイクル
第3:R=±1/250rad(F=1.00)を2サイクル
第4:R=±1/150rad(F=1.27)を2サイクル
第5:R=±1/100rad(F=1.75)を2サイクル
第6:R=±1/67rad(F=2.24)を2サイクル
第7:R=±1/50rad(F=2.59)を2サイクル
第8:R=±1/33rad(F=3.09)を2サイクル
第9:R=±1/25rad(F=3.5)を2サイクル
なお、層間変形角Rは、補強交差部11の中心を通り且つ補強柱部9の軸心に対する垂線と補強梁部10の軸心の右端との間の鉛直方向における長さ(変位)をσとし、補強交差部11の中心を通り且つ補強柱部9の軸心に対する垂線と補強梁部10の軸心の左端との間の鉛直方向における長さ(変位)をσとしたときに、これらの鉛直変位の差(σσ)を補強梁部10の長さLで除算した値であり、式1で表される。
=(σσ)/L ・・・(1)
試験体E1に対する加力サイクル試験の結果を図28に示す。試験体E1は、層間変形角R=±1/33のときに正負ともに最大耐力を迎えた。正側の最大耐力は、177.0kNであった。負側の最大耐力は、−172.5kNであった。試験体E1の破壊形式は、梁曲げ破壊であった。
試験体E1に対する加力サイクル試験の際に、ひずみゲージSGU1〜SGU7によって測定された各主筋のひずみの変化を、図29(a)に示す。最大耐力時の層間変形角R=1/33のときに、ひずみゲージSGU1〜SGU4が取り付けられていた主筋が降伏したが、ひずみゲージSGU5〜SGU7が取り付けられていた主筋は降伏しなかった。同様に、試験体E1に対する加力サイクル試験の際に、ひずみゲージSGL1〜SGL7によって測定された各主筋のひずみの変化を、図29(b)に示す。最大耐力時の層間変形角R=1/33のときに、ひずみゲージSGL1〜SGL4が取り付けられていた主筋が降伏していたが、ひずみゲージSGL5〜SGL7が取り付けられていた主筋は降伏しなかった。従って、補強柱部9よりも突出する領域に位置する主筋のうち補強柱部9寄りの2本の主筋は、補強梁部10の耐力を向上させる機能を有していることが確認された。一方、補強柱部9よりも突出する領域に位置する主筋のうち残余の主筋は、補強梁部10の耐力向上に寄与していないことが確認された。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様に、補強構造物2の一部を取り出した十字型の試験体E2を用意した。ただし、試験体E2は、補強柱部9を梁として用い、補強梁部10を柱として用いた点で、試験体E1と異なる。具体的には、試験体E2は、図15〜図18に示されるように、柱として機能する補強梁部10と、梁として機能する補強柱部9と、これらが交差する部分である補強交差部11とを備えていた。補強柱部9及び補強梁部10は、鉄筋コンクリートによって構成されていた。補強交差部11は、ポリマーセメントモルタルが硬化したモルタル硬化体内に鉄筋が埋設されることによって構成されていた。
補強交差部11には、C字形状を呈するC字状補強筋及び環状を呈する環状補強筋が埋設されていた。C字状補強筋は、図16及び図17に示されるように、水平方向(補強交差部11の突出方向)において補強交差部11の全体にわたって延在していた。環状補強筋は、図16及び図17に示されるように、補強交差部11のうち補強柱部9よりも突出する領域に配置されていた。図18(a)に示されるように、補強梁部10の中央部分には幅止め筋が配置されていた。
試験体E2の寸法は、以下のとおりであった。
・補強梁部10
高さ :1820mm(図17参照)
幅 : 250mm(図18(a)参照)
奥行 : 600mm(図17及び図18(a)参照)
主筋 :9−D16(SD490)(上下)
引張鉄筋比pt=1.65%
剪断補強筋 :4−U7.1@100(SBPD1275)
剪断補強筋比pw=0.27%
・補強柱部9
高さ : 400mm(図18(b)参照)
幅 :2060mm(図16参照)
奥行 : 300mm(図16及び図18(b)参照)
主筋 :8−D16(SD390)
補強柱部9の奥行き方向に4本ずつ2列配置
引張鉄筋比pt=0.96%
剪断補強筋 :2−U7.1@50(SBPD1275)
剪断補強筋比pw=0.53%
・補強交差部11
高さ : 400mm(図17参照)
幅 : 250mm(図16参照)
奥行 : 600mm(図16参照)
C字状補強筋:D13(SD345)
環状補強筋 :3−U7.1@100(SBPD1275)
・圧縮強度(材齢28日)
モルタル硬化体 :98.5N/mm(補強交差部11)
コンクリート硬化体:45.8N/mm(補強柱部9の一端側及び補強梁部10)
コンクリート硬化体:40.8N/mm(補強柱部9の他端側)
次に、図14(a)に示される加力装置100を用意し、加力装置100に対して補強柱部9が水平材となり且つ補強梁部10が垂直材となるように、試験体E2を加力装置100に取り付けた。具体的には、補強梁部10の下端を拘束部材101bに固定した。補強梁部10の上端を拘束部材104bに固定した。補強柱部9の右端を拘束部材102bに固定した。補強柱部9の左端を拘束部材103bに固定した。次に、この状態で、加力サイクル試験を行った。具体的には、実施例1と同様の加力サイクルにて、試験体E2に対して繰り返しの水平力を印加した(図14(b)参照)。
試験体E2に対する加力サイクル試験の結果を図30に示す。試験体E2は、層間変形角R=±1/33のときに正負ともに最大耐力を迎えた。正側の最大耐力は、132.4kNであった。負側の最大耐力は、−123.9kNであった。そのため、補強柱部9の最大耐力は、補強梁部10の最大耐力よりも小さかった。このことから、試験体E2、すなわち補強柱部9及び補強梁部10で構成された補強構造物2は、柱曲げ破壊であることが確認された。
(実施例3)
実施例3では、既存建物1に補強構造物2が施工された補強済建物3のうち一構面を取り出した試験体E3を用意した。具体的には、試験体E3のうち既存建物1は、図19〜図22に示されるように、柱部4と、梁部5と、基礎梁部5FBと、これらが交差する部分である交差部6と、基礎部8と、スラブ部SLを備えていた。基礎梁部5FBは、基礎部8に近接して位置する梁部5である。既存建物1は全体として、鉄筋コンクリートによって構成されていた。
試験体E3のうち既存建物1の寸法は、以下のとおりであった。
・柱部4(図22(a)参照)
断面形状 :200mm×240mm
主筋 :10−D13
剪断補強筋:2−D4@150
・梁部5(図20及び図22(b)参照)
断面形状 :160mm×320mm
主筋 :5−D13(上下)
剪断補強筋:2−D4@100
スラブ筋 :D4@100(タテヨコ)
・基礎梁部5FB(図22(c)参照)
断面形状 :160mm×400mm
主筋 :5−D13(上下)
剪断補強筋:2−D4@100
・スパン :2000mm(図19参照)
・内法スパン :1760mm(図19参照)
・階高 :1140mm(図19参照)
・内法高さ :820mm(図19参照)
・圧縮強度(材齢28日)
コンクリート硬化体:42.6N/mm(基礎部8)
19.2N/mm(柱部4、梁部5、基礎梁部5FB及び交差部6)
一方、試験体E3のうち補強構造物2は、図23〜図26に示されるように、補強柱部9と、補強梁部10と、補強基礎梁部10FBと、これらが交差する部分である補強交差部11とを備えていた。補強交差部11は、ポリマーセメントモルタルが硬化したモルタル硬化体内に鉄筋が埋設されることによって構成されていた。
試験体E3のうち補強構造物2の寸法は、以下のとおりであった。
・補強柱部9(図26(a)参照)
断面形状 :200mm×320mm
主筋 :6−D19(SD390)
補強柱部9の幅方向に3本ずつ2列配置
剪断補強筋:U7.1@50
・補強梁部10(図24及び図26(b)参照)
断面形状 :400mm×200mm
主筋 :5−D16(SD490)(上下)
剪断補強筋:U7.1@100(SBPD1275)
・補強基礎梁部10FB(図26(c)参照)
断面形状 :250mm×350mm
主筋 :4−D16(SD490)(上下)
剪断補強筋:3−D7.1@100(SBPD1275)
・スパン :2000mm(図23参照)
・内法スパン :1680mm(図23参照)
・階高 :1180mm(図23参照)
・内法高さ :980mm(図23参照)
・圧縮強度(材齢28日)
モルタル硬化体 :91.6N/mm(補強柱部9と補強基礎梁部10FBとが交差する補強交差部11)
モルタル硬化体 :91.7N/mm(補強柱部9と補強梁部10とが交差する補強交差部11)
コンクリート硬化体:42.7N/mm(補強基礎梁部10FB
コンクリート硬化体:38.2N/mm(補強柱部9及び補強梁部10)
次に、図27(a)に示される加力装置200を用意した。ここで、加力装置200の構成を説明する。加力装置200は、梁拘束部201と、柱拘束部202と、油圧ジャッキ203,204とを備える。梁拘束部201は、側壁面に固定された固定部材201aと、一対の拘束部材201b,201cと、水平方向に沿って延びる接続部材201dと、水平方向に沿って延びる連結部材201eとを有する。一対の拘束部材201b,201cは、試験体E3の梁部5及び補強梁部10を間に置くように水平方向において並んでいる。接続部材201dの右端(接続部材201dのうち拘束部材201bに対する近位端)は、拘束部材201bに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。接続部材201dの左端(接続部材201dのうち拘束部材201bに対する遠位端)は、固定部材201aに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。連結部材201eは、一対の拘束部材201b,201cを連結する。
柱拘束部202は、天井面に沿って移動自在に取り付けられた可動部材202aと、一対の拘束部材202b,202cと、鉛直方向に沿って延びる接続部材202dと、連結部材202eとを有する。接続部材202dの上端は、可動部材202aに対して取り付けられている。接続部材202dの下端は、連結部材202eに対して回転自在に取り付けられている(ピン接合)。連結部材202eは、一対の拘束部材202b,202cをそれぞれ回転自在に連結する(ピン接合)。
油圧ジャッキ203は、接続部材202dの中間部分に取り付けられている。油圧ジャッキ203は、図示しない制御部(コントローラ)からの制御信号に基づいて、接続部材202dを伸縮させる。そのため、油圧ジャッキ203は、接続部材202d及び連結部材202eを介して拘束部材202b,202cを鉛直方向に沿って変位させる機能を有する。
油圧ジャッキ204は、接続部材201dの中間部分に取り付けられている。油圧ジャッキ204は、図示しない制御部(コントローラ)からの制御信号に基づいて、接続部材201dを伸縮させる。そのため、油圧ジャッキ204は、接続部材201dを介して拘束部材201bを水平方向に沿って変位させる機能を有する。このとき、拘束部材201cは連結部材201eによって拘束部材201bに連結されているので、拘束部材201bの変位に伴って、拘束部材201cも水平方向に沿って変位する。
次に、試験体E3を加力装置200に取り付けた。具体的には、基礎部8を床面に固定した。梁部5の左端を拘束部材201bに固定した。梁部5の右端を拘束部材201cに固定した。右側に位置する柱部4の上端を拘束部材202bに固定した。左側に位置する柱部4の上端を拘束部材202cに固定した。
次に、この状態で、加力サイクル試験を行った。具体的には、油圧ジャッキ203によって柱部4に対して一定の軸力(288kN)を印加しつつ、油圧ジャッキ204によって拘束部材201bに対し繰り返しの水平力を印加した(図27(b)参照)。加力サイクルに関して、既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・同解説(一般財団法人・日本建築防災協会発行)に示されている靱性指標F値との対応を考慮し、層間変形角Rを以下に示す第1〜第8の順に変化させた。
第1:R=±1/800radを1サイクル
第2:R=±1/500rad(F=0.80)を2サイクル
第3:R=±1/250rad(F=1.00)を2サイクル
第4:R=±1/150rad(F=1.27)を2サイクル
第5:R=±1/100rad(F=1.75)を2サイクル
第6:R=±1/67rad(F=2.24)を2サイクル
第7:R=±1/50rad(F=2.59)を2サイクル
第8:R=±1/33rad(F=3.09)を2サイクル
なお、層間変形角Rは、梁部5の水平変位δを基礎梁部5FBの上面から梁部5の上面までの高さHで除算した値であり、式2で表される。
=δ/H ・・・(2)
試験体E3に対する加力サイクル試験の結果を図31に示す。試験体E3は、層間変形角R=1/33のときに正側の最大耐力を迎え、層間変形角R=−1/67のときに負側の最大耐力を迎えた。正側の最大耐力は、478.4kNであった。負側の最大耐力は、−469.4kNであった。試験体E3の破壊形式は、既存建物1が柱剪断破壊であり、補強構造物2が柱曲げ破壊であった。
(実施例4)
実施例4では、下記の3つの条件A1〜A3のもとで、節点振り分け法により試験体E1の終局耐力(水平耐力)を求めた。ただし、実施例1において、試験体E1は補強梁部10の曲げ破壊であったことから、同様に補強梁部10の曲げ破壊を仮定して計算を行った。本明細書において、節点振り分け法での終局耐力の算出方法は、「2001年改訂版 既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・同解説」(財団法人日本建築防災協会発行、pp.276−278)の例による。
具体的には、まず、式3に基づいて補強梁部10の終局曲げモーメントを求めた。
=0.9・a・σ・d ・・・(3)
ただし、パラメータa、σ、dはそれぞれ、
:引張主筋断面積[mm
σ:鉄筋の材料強度[N/mm]であり、規格降伏強度の1.1倍(主筋がSD490の場合には1.05倍)
:梁の有効せい[mm]
と定義される。
次に、式4に基づいて補強梁部10の曲げ耐力muを求めた。
mu/Lsp ・・・(4)
ただし、パラメータLsp
sp:補強梁部10のスパン(=(補強梁部10の幅−補強柱部9の幅)/2)
と定義される。梁曲げ破壊を仮定している(補強梁部10は曲げ破壊以前に剪断破壊しない)ので、曲げ耐力muは、補強梁部10の終局耐力でもある。すなわち、式5が成り立つ。
mu ・・・(5)
次に、式6に基づいて、補強梁部10の終局耐力時における補強柱部9の剪断力guを求めた。
・(Lsp+D)/(Hsp+D) ・・・(6)
ただし、パラメータD,Hsp,Dはそれぞれ、
:補強柱部9の幅の1/2
sp:補強柱部9のスパン(=(補強柱部9の高さ−補強梁部10の高さ)/2)
:補強梁部10の幅の1/2
と定義される。梁曲げ破壊を仮定している(補強梁部10の終局耐力は補強柱部9及び補強交差部11の各終局耐力よりも小さい)ので、剪断力は、試験体E1の終局耐力でもある。すなわち、式7が成り立つ。
・・・(7)
・条件A1
(1)補強梁部10の全ての主筋が引っ張り力に有効であること。
(2)補強梁部10の奥行き方向全体にわたって圧縮力が作用すること。
(3)補強梁部10に圧縮破壊が生じないこと。
(4)補強梁部10の主筋に引張降伏が生ずること。
・条件A2
(1)補強梁部10の全ての主筋が引っ張り力に有効であること。
(2)補強梁部10のうち補強柱部9に対応する部分に圧縮力が作用すること。
(3)補強梁部10に圧縮破壊が生ずること。すなわち、補強梁部10の終局曲げモーメントとして、補強梁部10を構成するコンクリート硬化体が圧縮降伏するときの曲げモーメントと、補強梁部10の主筋が引張降伏するときの曲げモーメントとで小さい値を用いた。本明細書において、コンクリート硬化体が圧縮降伏するときの曲げモーメントの算出方法は、「鉄筋コンクリート造建物の靱性保証型耐震設計指針・同解説」(一般社団法人日本建築学会発行、pp.91−106)の例による。
(4)補強梁部10の主筋に圧縮降伏が生ずること。
・条件A3
(1)補強梁部10の主筋のうち補強柱部9に近い側から80%の主筋が引っ張り力に有効であること。すなわち、式3において、「σ」に代えて「0.8σ」を用いた。
(2)補強梁部10のうち補強柱部9に対応する部分に圧縮力が作用すること。
(3)補強梁部10に圧縮破壊が生じないこと。
(4)補強梁部10の主筋に引張降伏が生ずること。
計算結果を条件A1〜A3ごとに示す。
・条件A1
試験体E1の終局耐力 214.6kN(図28参照)
補強交差部11の剪断余裕度 1.05
柱梁曲げ耐力比 1.10
・条件A2
試験体E1の終局耐力 183.1kN
補強交差部11の剪断余裕度 1.31
柱梁曲げ耐力比 1.14
・条件A3
試験体E1の終局耐力 161.4kN
補強交差部11の剪断余裕度 1.31
柱梁曲げ耐力比 1.47
(実施例5)
実施例5でも、実施例4と同様に、上記の条件A1〜A3のもとで、節点振り分け法により補強柱部9の終局耐力(水平耐力)を求めた。試験体E2において柱部9Aが水平材であるので、試験体E2の縦横比(試験体E2の高さを試験体E2の幅で割った値)を補強柱部9の終局耐力に乗算し、試験体E2(架構)としての終局耐力を算出した。ただし、実施例2において試験体E2は補強柱部9から見て柱曲げ破壊であったことから、同様に補強柱部9の曲げ破壊を仮定して計算を行った。なお、梁部10A(補強柱部9)の終局曲げモーメントについては、実施例4と同様に、式3を基礎式として用いた。
計算結果を、条件A1〜A3ごとに以下に示すと共に、図30に示す。
・条件A1
試験体E1の終局耐力 133.1kN
補強交差部11の剪断余裕度 1.60
柱梁曲げ耐力比 0.47
・条件A2
試験体E1の終局耐力 133.1kN
補強交差部11の剪断余裕度 1.95
柱梁曲げ耐力比 1.67
・条件A3
試験体E1の終局耐力 133.1kN
補強交差部11の剪断余裕度 1.60
柱梁曲げ耐力比 0.64
(実施例6)
実施例6では、節点振り分け法により試験体E3の既存建物1の終局耐力(水平耐力)を求めた。ただし、実施例3において、試験体E3の既存建物1が柱剪断破壊であったことから、計算においても柱剪断破壊を仮定し、他の破壊形式は考慮しなかった。その結果、試験体E3の既存建物1の終局耐力は、137.8kNであった。
(実施例7)
実施例7では、下記の3つの条件B1〜B3のもとで、節点振り分け法により試験体E3の補強構造物2及び補強済建物3の終局耐力(水平耐力)を求めた。ただし、実施例3において、試験体E3の補強構造物2が柱曲げ破壊であったことから、計算においても柱曲げ破壊を仮定し、他の破壊形式は考慮しなかった。なお、補強済建物3の終局耐力は、補強構造物2の終局耐力に、実施例6で得られた既存建物1の終局耐力を加算した値である。
・条件B1
(1)補強梁部10の全ての主筋が引っ張り力に有効であること。
(2)補強梁部10の奥行き方向全体にわたって圧縮力が作用すること。
(3)補強梁部10に圧縮破壊が生じないこと。
(4)補強梁部10の主筋に引張降伏が生ずること。
・条件B2
(1)補強梁部10の全ての主筋が引っ張り力に有効であること。
(2)補強梁部10のうち補強柱部9に対応する部分に圧縮力が作用すること。
(3)補強梁部10に圧縮破壊が生じないこと。
(4)補強梁部10の主筋に圧縮降伏が生ずること。
・条件B3
(1)補強梁部10の主筋のうち補強柱部9に近い側から80%の主筋が引っ張り力に有効であること。すなわち、式3において、「σ」に代えて「0.8σ」を用いた。
(2)補強梁部10のうち補強柱部9に対応する部分に圧縮力が作用すること。
(3)補強梁部10に圧縮破壊が生じないこと。
(4)補強梁部10の主筋に圧縮降伏が生ずること。
計算結果を条件B1〜B3ごとに示す。
・条件B1
試験体E3の補強構造物2の終局耐力 214.4kN
試験体E3の補強済建物3の終局耐力 352.2kN
・条件B2
試験体E3の補強構造物2の終局耐力 214.4kN
試験体E3の補強済建物3の終局耐力 352.2kN
・条件B3
試験体E3の補強構造物2の終局耐力 209.3kN
試験体E3の補強済建物3の終局耐力 347.2kN(図31参照)
(実施例8)
実施例8では、下記の3つの条件C1〜C3のもとで、任意形状立体フレームの弾塑性解析ソフト「SNAP」(株式会社構造システム製)を用いて、増分解析法により試験体E1の水平耐力を求めた。その結果を図29に示す。
・条件C1
補強梁部10の全ての主筋が引っ張り力に有効であること。
・条件C2
補強梁部10の主筋のうち補強柱部9に近い側から上側及び下側共に7本ずつが引っ張り力に有効であること。
・条件C3
(1)補強梁部10の主筋のうち補強柱部9に近い側から上側及び下側共に7本ずつが引っ張り力に有効であること。
(2)補強梁部10の奥行きが450mmであること(補強梁部10の補強柱部9から突出長さが150mmであること)。
(実施例9)
実施例9では、下記の条件Dのもとで、任意形状立体フレームの弾塑性解析ソフト「SNAP」(株式会社構造システム製)を用いて、増分解析法により試験体E3の水平耐力を求めた。その結果を図31に示す。なお、メカニズム時の試験体E3の耐力は、474kNであった。
・条件D
補強梁部10の全ての主筋が引っ張り力に有効であること。
(比較例)
比較例では、試験体E1のうち、補強梁部10の奥行を300mmに変更すると共に、補強梁部10内の主筋の数を4本に変更した試験体E4を想定し、節点振り分け法により、試験体E4の終局耐力(水平耐力)を求めた。すなわち、試験体E4では、補強柱部9及び補強梁部10の奥行が同一であり、既存建物1の外壁面の垂線方向において補強梁部10が補強柱部9から突出していなかった。計算に際しては、梁曲げ破壊を仮定し、他の破壊形式は考慮しなかった。なお、補強梁部10の終局曲げモーメントについては、式3を基礎式として用いた。その結果、試験体E4の終局耐力は95.4kNであった。
(結果)
以上の実施例1,3,4,7〜9と比較例とを対比すると、いずれの実施例においても、終局耐力が比較例よりも高いことが確認された。従って、既存建物1の外壁面の垂線方向において補強梁部10の厚み(奥行)が補強柱部9の厚みよりも大きいと、当該垂線方向において補強梁部10の厚み(奥行)が補強柱部9の厚みと同程度の場合と比較して、補強構造物2が優れた耐震性能を発揮することが確認された。
実施例1,8によれば、実施例8における条件C2,C3の結果が、実施例1における加力サイクル試験の結果と適合することが確認された。
実施例2,5によれば、実施例5における条件A1での試験体E2の終局耐力が、実施例2における加力サイクル試験での試験体E2の終局耐力と適合することが確認された。
実施例3,7によれば、実施例3における加力サイクル試験での試験体E3の終局耐力が、実施例7における条件B3での試験体E3の終局耐力を上回ることが確認された。
1…既存建物、2…補強構造物、3…補強済建物、4,4a〜4g…柱部、5,5a〜5h…梁部、6…交差部、7…外壁、9,9a〜9e…補強柱部、10,10a〜10g…補強梁部、11…補強交差部、12,13…鉄筋、B…張り出し床部、W…窓。

Claims (7)

  1. 柱部と、梁部と、前記柱部及び前記梁部が交差する箇所に位置する交差部とを備える既存建物を補強するための補強構造物であって、
    前記既存建物の外壁面側で且つ前記柱部に対応する位置に配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体からなる補強柱部と、
    前記既存建物の外壁面側で且つ前記梁部に対応する位置に配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体からなる補強梁部と、
    前記既存建物の外壁面側で且つ前記交差部に対応する位置に配置され、前記補強柱部の端部及び前記補強梁部の端部に接続され、鉄筋が埋設されたポリマーセメントモルタル硬化体からなる補強交差部とを備え、
    前記補強梁部及び前記補強交差部は、前記既存建物の外壁面に対して直交し且つ略水平に延びる垂線方向において、前記補強柱部よりも外方に突出し、
    前記補強梁部の下端は、対応する前記梁部の下端よりも下方に突出していない、補強構造物。
  2. 前記補強梁部及び前記補強交差部の前記垂線方向における厚みは、前記補強梁部及び前記補強交差部の鉛直方向における高さよりも大きい、請求項1に記載の補強構造物。
  3. 前記補強梁部及び前記補強交差部は、前記補強梁部の延在方向から見て矩形状を呈する、請求項2に記載の補強構造物。
  4. 前記補強交差部内に埋設された前記鉄筋は、前記補強梁部の延在方向に沿って延びる仮想軸を囲む環状の剪断補強筋を含み、
    前記剪断補強筋は前記補強柱部よりも外方に突出している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の補強構造物。
  5. 前記既存建物は、前記梁部から外方に向けて突出する張り出し床部をさらに備え、
    前記補強梁部及び前記補強交差部は、前記張り出し床部の下方に位置している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の補強構造物。
  6. 前記補強梁部の延在方向における少なくとも一方の側部の高さが、前記延在方向において両側部の間に位置する部分の高さよりも低い、請求項1〜5のいずれか一項に記載の補強構造物。
  7. 前記補強梁部の延在方向における両側部の高さが、前記延在方向において両側部の間に位置する部分の高さよりも低い、請求項6に記載の補強構造物。
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