JP2017011774A - 常温収縮チューブおよびそれに用いるインナーコア - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、常温収縮チューブ101からインナーコア111を引き出すことにより、インナーコア111に加えてフィルム113もゴミとなり、施工後のゴミ量が多くなる、分別処理が必要となる、フィルム113が風により飛ばされることを防止するためにインナーコア111に粘着テープ等で係止させる必要がある等の問題があった。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、架空電線の間接活線工法における被覆電線の接続部の保護作業を確実に行うことができ、かつ、施工後のゴミ処理が容易となる常温収縮チューブと、このような常温収縮チューブに用いるインナーコアを提供することを目的とする。
本発明の好ましい態様として、前記インナーコアの前記長軸方向に対して垂直な方向で、かつ、前記インナーコアから離間する方向となるように、前記引っ張り部材に力を作用させたときに、当接している1対の前記コア半体が、前記筒状弾性体の端部から所望の深さに位置する前記コア半体の端部を支点として離間するような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記引っ張り部材を有していない他方の前記コア半体の端部が前記筒状弾性体の端部から突出する長さは、前記引っ張り部材を有している一方の前記コア半体の端部が前記筒状弾性体の端部から突出する長さよりも大きいような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記筒状弾性体の端部から、前記筒状弾性体から突出している前記インナーコアの前記長軸方向の端部までの距離L1と、前記筒状弾性体の端部から、前記筒状弾性体の所望の深さに位置する前記インナーコアの前記長軸方向の端部までの距離L2との比(L1/L2)は、2以上であるような構成とし、また、前記距離L1は、前記筒状弾性体の端部から、前記引っ張り部材が位置する部位までの距離であるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記筒状弾性体は、200%モジュラスが5MPa以下、切断時伸びが500%以上、永久伸びが標線間距離24mm以下のゴム材料であるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記インナーコアによる拡径前の前記筒状弾性体の両端部側の肉厚は、3〜10mmの範囲であるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記引っ張り部材は、両端部が1つのコア半体に接合された環形状であるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記引っ張り部材は、前記コア半体から突出している形状であるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記コア半体の引っ張り強さは、15MPa以上であるような構成とした。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
このようなインナーコア21の内径dは、常温収縮チューブの装着対象となる被覆電線の外径を考慮して適宜設定することができ、例えば、被覆電線の外径よりも5〜20mm程度大きな寸法とすることができる。
尚、上記の引っ張り強さは、JIS K 7161に準拠して測定する。この場合、厚さ1mm、幅5mmの試験片が切断するまでの最大引張力および切断時の引張力を測定する。測定装置は、(株)東洋精機製作所製 ストログラフRを使用する。通常、切断時の引張力は最大引張力以下となるので、切断時の引張力が上記の引っ張り強さの範囲にあることが好ましい。尚、最大引張力と切断時の引張力の差が大きく、降伏後に急激に引っ張り強さが低下する場合には、最大引張力が上記の引っ張り強さの範囲にあることが好ましい。
上述の常温収縮チューブ11において、筒状弾性体12の端部12aからインナーコア21の端部21bまでの距離L1と、筒状弾性体12の端部12aからインナーコア21の端部21aまでの距離L2との比(L1/L2)は、大きい程、後述するインナーコア21の除去が容易である。この比(L1/L2)は、例えば2以上、好ましくは3以上とすることができる。尚、引っ張り部材26の両端部26aがコア半体23の端部23bからやや離れた箇所に位置している場合、上記の距離L1は筒状弾性体12の端部12aから引っ張り部材26の両端部26aの接合箇所までの距離となる。
本発明の常温収縮チューブ11は、筒状弾性体12の細径部14にインナーコア21が直接挿入されたものである。したがって、フィルムを介在させてインナーコアを挿入する従来の常温収縮チューブに比べて、インナーコアにフィルムを固着する等の工程が不要であり、また、インナーコア挿入時にフィルムの損傷防止等の煩雑な工程管理が不要であり、筒状弾性体12を拡径状態とすることが容易である。
また、上述のように、本発明の常温収縮チューブ11は、筒状弾性体12の細径部14にインナーコア21が直接挿入されたものであり、フィルム等を介在させていないので、インナーコア21を除去して、被覆電線1の接続部2を保護するように筒状弾性体12を配設した後のゴミ量が少なく、分別処理も不要であり、また、フィルム等が風により飛ばされるというような問題も生じない。
インナーコア21′では、コア半体23が備える引っ張り部材26は、一方の端部26aがコア半体23の軸端部23b近傍の外壁面に接合されており、他方の端部26a′が、コア半体23の円筒長軸方向で軸端部23bから離れた位置の外壁面に接合されている。この引っ張り部材26の端部26a,26a′は、コア半体23の円筒長軸方向で同一の線上に位置している。また、引っ張り部材26の端部26a′がコア半体23の外壁面に接合される位置は、インナーコア21′が常温収縮チューブに挿入された際に、常温収縮チューブから突出する部位である。図示例では、引っ張り部材26の端部26a,26a′が位置する円筒長軸方向の同一線は、コア半体23の2本の当接端部23cから最も離間するように設定されているが、この同一線はコア半体23の周方向のいずれに位置していてもよく、例えば、2本の当接端部23cの一方と平行に隣接するものであってもよい。
このようなインナーコア21′は、上述のインナーコア21と同様に、本発明の常温収縮チューブに使用することができる。そして、常温収縮チューブからインナーコア21′を除去する時には、インナーコア21′の長軸方向に対して略垂直な方向であってインナーコア21′から離間する方向(図8に矢印Pで示す方向)となるように、引っ張り部材26に力を作用させる。
コア半体43が備える引っ張り部材46は、コア半体43の軸端部43b近傍の外壁面に突設されており、コア半体43から突出する基部46aと、この基部46aの先端に位置する係合用凸部46bを有している。この引っ張り部材46は、コア半体43と一体的に形成されたものであってよい。また、引っ張り部材46は、コア半体43の端部43b近傍の外壁面に接合されたものであってもよく、この場合、所望の強度を有し、コア半体43に接合可能な材料を適宜選択して使用することができる。
尚、引っ張り部材46の形状は、図示例に限定されるものではなく、矢印Pで示す方向となるように引っ張り部材46に力を作用させることができる形状であれば特に制限はない。
尚、このようなインナーコア51のコア半体53が備える引っ張り部材56は、上述のインナーコア21′が備える引っ張り部材26、インナーコア31が備える引っ張り部材36、インナーコア41が備える引っ張り部材46であってもよい。
尚、このようなインナーコア61のコア半体63が備える引っ張り部材66は、上述のインナーコア21′が備える引っ張り部材26、インナーコア31が備える引っ張り部材36、インナーコア41が備える引っ張り部材46であってもよい。
引っ張り部材76′は、引っ張り部材76とともに、上述のインナーコア21を構成する引っ張り部材26と同様とすることができる。
尚、このようなインナーコア71のコア半体73,74が備える引っ張り部材76,76′は、上述のインナーコア21′が備える引っ張り部材26、インナーコア31が備える引っ張り部材36、インナーコア41が備える引っ張り部材46であってもよい。
エチレンプロピレンゴムからなる筒状弾性体を準備した。この筒状弾性体は、図2に示されるような形状であり、太径部の内径d1は11mm、細径部の内径d2は5.3mm、細径部の軸方向の長さLは6mm、細径部の肉厚は7mmであった。また、筒状弾性体を構成するエチレンプロピレンゴムの200%モジュラスは2MPa、切断時伸びは700%、永久伸びは標線間距離22mmであった。尚、200%モジュラスは、JIS K 6251に準拠し、ダンベル状3号形の試験片に線間20mmの標線を引き、線間60mmに達した時の引張力を、(株)東洋精機製作所製 ストログラフRを使用して測定した。また、切断時伸びは、JIS K 6251に準拠し、ダンベル状3号形の試験片に線間20mmの標線を引き、切断時の標線間距離を測定して伸び率を算出した。また、永久伸びは、JIS K 6273に準拠し、ダンベル状3号形の試験片に線間20mmの標線を引き、標線間距離60mmの状態にして70℃、24時間保持し、室温まで冷却した後解放し、30分後の標線間距離を測定した。
次いで、この常温収縮チューブを、外径8mmの被覆電線に、その接続部が筒状弾性体の略中央に位置するように配置した。
このインナーコアの除去作業における被覆電線に対する常温収縮チューブの位置ズレは観察されず、インナーコアが除去された後は、被覆電線の接続部が筒状弾性体の略中央に位置していた。
12…筒状弾性体
12a…筒状弾性体の端部
21,31,41,51,61,71,81…インナーコア
23,24,33,34,43,44,53,54,63,64,73,74,83,84…コア半体
26,36,46,56,66,76,76…引っ張り部材
Claims (14)
- 拡径状態から縮径可能な筒状弾性体と、該筒状弾性体の両端部側を拡径するように位置するインナーコアとを有し、
前記インナーコアは、円筒の長軸を含む平面で2分割した形状を有する1対のコア半体が離間可能に当接され組み合わされた円筒形状体であり、
前記インナーコアの前記長軸方向の一方の端部は、前記筒状弾性体の端部から所望の深さに位置し、前記インナーコアの前記長軸方向の他方の端部は、前記筒状弾性体の端部から突出していることを特徴とする常温収縮チューブ。 - 前記インナーコアは、1対の前記コア半体の少なくとも一方に引っ張り部材を有し、該引っ張り部材は前記筒状弾性体の端部から突出している前記インナーコアの端部あるいは端部近傍に位置することを特徴とする請求項1に記載の常温収縮チューブ。
- 前記インナーコアの前記長軸方向に対して垂直な方向で、かつ、前記インナーコアから離間する方向となるように、前記引っ張り部材に力を作用させたときに、当接している1対の前記コア半体が、前記筒状弾性体の端部から所望の深さに位置する前記コア半体の端部を支点として離間することを特徴とする請求項2に記載の常温収縮チューブ。
- 前記引っ張り部材を有していない他方の前記コア半体の端部が前記筒状弾性体の端部から突出する長さは、前記引っ張り部材を有している一方の前記コア半体の端部が前記筒状弾性体の端部から突出する長さよりも大きいことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の常温収縮チューブ。
- 前記筒状弾性体の端部から、前記筒状弾性体から突出している前記インナーコアの前記長軸方向の端部までの距離L1と、前記筒状弾性体の端部から、前記筒状弾性体の所望の深さに位置する前記インナーコアの前記長軸方向の端部までの距離L2との比(L1/L2)は、2以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の常温収縮チューブ。
- 前記距離L1は、前記筒状弾性体の端部から、前記引っ張り部材が位置する部位までの距離であることを特徴とする請求項5に記載の常温収縮チューブ。
- 円筒形状体である前記インナーコアの外径Dと、前記筒状弾性体の端部から、前記筒状弾性体の所望の深さに位置する前記インナーコアの前記長軸方向の端部までの距離L2との比(D/L2)は、1以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の常温収縮チューブ。
- 前記筒状弾性体は、200%モジュラスが5MPa以下、切断時伸びが500%以上、永久伸びが標線間距離24mm以下のゴム材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の常温収縮チューブ。
- 前記インナーコアによる拡径前の前記筒状弾性体の両端部側の肉厚は、3〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の常温収縮チューブ。
- 拡径状態から縮径可能な筒状弾性体の端部側を拡径するためのインナーコアにおいて、
前記インナーコアは、円筒の長軸を含む平面で2分割した形状を有する1対のコア半体を有し、
1対の該コア半体は、離間可能に当接して組み合わすことにより円筒形状体を構成可能であり、
1対の前記コア半体の少なくとも一方は、前記長軸方向の一方の端部あるいは端部近傍に引っ張り部材を有することを特徴とするインナーコア。 - 前記引っ張り部材を有していない前記コア半体の前記長軸方向の長さは、前記引っ張り部材を有している前記コア半体の前記長軸方向の長さよりも大きいことを特徴とする請求項10に記載のインナーコア。
- 前記引っ張り部材は、両端部が1つのコア半体に接合された環形状であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のインナーコア。
- 前記引っ張り部材は、前記コア半体から突出している形状であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のインナーコア。
- 前記コア半体の引っ張り強さは、15MPa以上であることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれかに記載のインナーコア。
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