JP2017008242A - 長繊維ペレット、ペレット混合物および成形品 - Google Patents

長繊維ペレット、ペレット混合物および成形品 Download PDF

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和昭 伊藤
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修二 石渡
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Abstract

【課題】炭素繊維の割合が少なくても、引張強度と衝撃強度のバランスに優れる成形品を得ることができる長繊維ペレット、ペレット混合物および成形品の提供。
【解決手段】本発明の長繊維ペレットは、ポリプロピレン樹脂(A1)と、炭素繊維(B)とを含有する長繊維ペレットであって、前記ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量が、無水マレイン酸換算で0.006〜0.025質量%であり、前記炭素繊維(B)の平均長さが4〜50mmである。本発明のペレット混合物は、前記長繊維ペレットと、ポリプロピレン樹脂(A2)を含有するペレットとを含む。本発明の成形品は、前記長繊維ペレットまたは前記ペレット混合物を成形して得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、長繊維ペレット、ペレット混合物および成形品に関する。
ポリプロピレンは、成形加工がしやすく、また、軽量性と機械特性のバランスにも優れているため、生活資材や自動車内外装部品等の各種工業部品などに幅広く使用されている。
工業部品用のポリプロピレンは、剛性や耐熱性といった機械的強度を向上させるために、タルク、マイカ、ガラス繊維等の無機フィラーを配合してポリプロピレン組成物として使用されることがある。特に、タルクが最も代表的な無機フィラーとして幅広く使用されている。
しかし、要求される機械的強度をタルクによって発現させるためには、タルクを多量に配合する必要がある。タルクを多量に配合したポリプロピレン組成物は、比重が大きくなってしまい、補強効率(すなわち、剛性や強度と軽量性のバランス)は不十分である。
そこで、より高い剛性や強度が要求される用途では、ガラス繊維、ウイスカー、炭素繊維といった、アスペクト比の高い繊維状フィラーを配合する方法が知られている。これら繊維状フィラーの中でも、炭素繊維は、ガラス繊維やウイスカーに比べてより高度な補強効率が得られる点で、優れた補強材である。
近年、さらに高度な補強効率が得られる点で、長繊維ペレットが注目されている。
例えば、特許文献1には、炭素繊維にマレイン酸変性ポリプロピレン及び/又は無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂を含浸してなる炭素長繊維強化樹脂ペレットが開示されている。
また、特許文献2には、炭素繊維および酸変性されていないポリプロピレンからなる長繊維ペレットと、酸変性ポリプロピレンのペレットとを含むペレット混合物が開示されている。
特開2005−125581号公報 国際公開第2014/084314号
しかしながら、特許文献1に記載の炭素長繊維強化樹脂ペレットは、炭素繊維と、マレイン酸変性ポリプロピレン及び/又は無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂との界面強度が高い。そのため、炭素長繊維強化樹脂ペレットを成形して得られる成形品の引張強度は高くなるものの、衝撃強度は低くなり、急激に破壊する恐れがある。
特許文献2に記載のペレット混合物を成形して得られる成形品は、必ずしも衝撃強度を十分に満足するものではなかった。
ところで、成形品の軽量化の観点では、炭素繊維の割合が少ない方が好ましい。そのため、成形品には、炭素繊維の割合が少なくても引張強度と衝撃強度のバランスに優れることが求められる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、炭素繊維の割合が少なくても、引張強度と衝撃強度のバランスに優れる成形品を得ることができる長繊維ペレット、ペレット混合物および成形品を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] ポリプロピレン樹脂(A1)と、炭素繊維(B)とを含有する長繊維ペレットであって、前記ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量が、無水マレイン酸換算で0.006〜0.025質量%であり、前記炭素繊維(B)の平均長さが4〜50mmである、長繊維ペレット。
[2] 前記ポリプロピレン樹脂(A1)の含有量が50〜75質量%であり、前記炭素繊維(B)の含有量が25〜50質量%である、[1]に記載の長繊維ペレット。
[3] 前記ポリプロピレン樹脂(A1)が、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)とからなる、[1]または[2]に記載の長繊維ペレット。
[4] [1]〜[3]のいずれか1つに記載の長繊維ペレットと、ポリプロピレン樹脂(A2)を含有するペレットとを含む、ペレット混合物。
[5] [1]〜[3]のいずれか1つに記載の長繊維ペレットを成形して得られる、成形品。
[6] [4]に記載のペレット混合物を成形して得られる、成形品。
[7] ポリプロピレン樹脂(A)82〜96質量%と、炭素繊維(B)4〜18質量%とを含有し、成形品に含まれるポリプロピレン樹脂(A)の酸量が、無水マレイン酸換算で0.002〜0.010質量%である、[6]に記載の成形品。
本発明の長繊維ペレット、ペレット混合物によれば、炭素繊維の割合が少なくても、引張強度と衝撃強度のバランスに優れる成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、炭素繊維の割合が少なくても、引張強度と衝撃強度のバランスに優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
「長繊維ペレット」
本発明の長繊維ペレットは、ポリプロピレン樹脂(A1)と、炭素繊維(B)とを含有する。
<ポリプロピレン樹脂>
長繊維ペレットに含まれるポリプロピレン樹脂(A1)は、酸量が無水マレイン酸換算で、ポリプロピレン樹脂(A1)の総質量100質量%に対して0.006〜0.025質量%であるポリプロピレン樹脂である。ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量が、上記下限値以上であれば本発明の長繊維ペレットを用いて得られる成形品(以下、単に「成形品」ともいう。)の引張強度が高くなり、上記上限値以下であれば成形品の衝撃強度が高くなる。
ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量は、無水マレイン酸換算で、ポリプロピレン樹脂(A1)の総質量100質量%に対して0.008〜0.020質量%が好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量を上記範囲内とするためには、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)をそのままポリプロピレン樹脂(A1)として用いてもよいが、酸量を制御しやすい観点から、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)とを併用することが好ましい。すなわち、ポリプロピレン樹脂(A1)は、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)とからなることが好ましい。
ここで、ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量(β)は、下記式(1)より求められる値である。下記式(1)中、「α」は、ポリプロピレン樹脂(A1)に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の酸量である。「W1−1」は、ポリプロピレン樹脂(A1)に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の質量である。「W」は、ポリプロピレン樹脂(A1)の質量である。
酸量(β)=α×(W1−1/W) ・・・(1)
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)は、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された、ポリプロピレン系樹脂である。具体的には、ポリプロピレン系樹脂に不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合したもの、プロピレンと不飽和カルボン酸またはその誘導体をランダム重合したもの、プロピレンと不飽和カルボン酸またはその誘導体をブロック共重合したもの、これらランダム共重合体またはブロック共重合体にさらに不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト重合したものなどが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体(例えば、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体等)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(例えば、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−ヘキセンランダム共重合体等)などが挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和カルボン酸の酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、不飽和カルボン酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等)、不飽和カルボン酸アミド(例えば、マレイン酸ジアミド、イタコン酸ジアミド、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド等)、不飽和カルボン酸の金属塩(例えば、メタクリル酸ナトリウム等)などが挙げられる。
これらの中でも、不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)としては、ポリプロピレン系樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合したもの、プロピレンとアクリル酸、メタクリル酸、または無水マレイン酸とを共重合したものなどが好ましい。
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の酸量としては特に制限されないが、無水マレイン酸換算で、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の総質量100質量%に対して0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の酸量が上記範囲内であれば、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と炭素繊維との界面強度が高まり、成形品の引張強度がより向上しやすくなる。
ここで、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の酸量(α)は、下記式(2)より求められる値である。下記式(2)中、「c」は、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の酸価(mgKOH/g)である。「m」は、無水マレイン酸の分子量である。「K」は水酸化カリウムの分子量である。酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の酸価は、JIS K 0070等により測定することができる。
酸量(α)=(c×m)/(2×1000×K) ・・・(2)
なお、上記式(1)に上記式(2)を代入すると、ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量(β)は、下記式(3)より求められる。下記式(3)中、「c」は、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の酸価(mgKOH/g)である。「m」は、無水マレイン酸の分子量である。「K」は水酸化カリウムの分子量である。「W」は、ポリプロピレン樹脂(A1)の質量である。「W1−1」は、ポリプロピレン樹脂(A1)に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の質量である。
酸量(β)=(c×m)/(2×1000×K)×(W1−1/W) ・・・(3)
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)としては市販品を用いてもよく、例えば、ポリボンド3200、ポリボンド3150(以上、ケムチュラ社製)、ユーメックス1001、ユーメックス1010、ユーメックス1003、ユーメックス1008(以上、三洋化成工業社製)、アドマーQE800、アドマーQE810(以上、三井化学社製)、トーヨータックH−1000P(以上、東洋化成工業社製)などが挙げられる。
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の形状としては、ペレット、粉末、水分散液などの形状が挙げられる。これらの中でも、取扱い性に優れる観点から、ペレットが好ましい。
酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)としては、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の説明において先に例示したポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体が好ましく、ポリプロピレン単独重合体がより好ましい。
酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)として、エチレン−プロピレン共重合体またはプロピレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)を構成する全単位の総質量100質量%に対して、プロピレン単位の割合は50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上である。
酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)のメルトフローレート(MFR)は、5〜70g/10分が好ましく、30〜70g/10分がより好ましい。酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)のMFRが、上記下限値以上であれば成形性が良好となり、上記上限値以下であれば成形品の衝撃強度がより向上する。
ここで、MFRは、JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)としては市販品を用いてもよく、例えば、MA1B(日本ポリプロ社製、MFR=21g/10分)、MA3(日本ポリプロ社製、MFR=11g/10分)、MA04A(日本ポリプロ社製、MFR=40g/10分)、MA06A(日本ポリプロ社製、MFR=60g/10分)、MG03B(日本ポリプロ社製、MFR=30g/10分)、BC2E(日本ポリプロ社製、MFR=16g/10分)、BC03B(日本ポリプロ社製、MFR=30g/10分)、BC06C(日本ポリプロ社製、MFR=60g/10分)、J−2003GP(出光石油化学社製、MFR=20g/10分)、J−3000GP(プライムポリマー社製、MFR=30g/10分)、J106MG(プライムポリマー社製、MFR=15g/10分)、J708UG(プライムポリマー社製、MFR=45g/10分)などが挙げられる。
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)とを併用する場合、ポリプロピレン樹脂(A1)の総質量100質量%に対して、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の含有量は、0.1〜4質量%が好ましく、0.2〜2質量%がより好ましい。また、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の含有量は、96〜99.9質量%が好ましく、98〜99.8質量%がより好ましい。なお、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)との合計を100質量%とする。
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の含有量が上記範囲内であれば、ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量の制御が容易となる。また、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の優れた機械特性を十分に発揮することができる。
ポリプロピレン樹脂(A1)の含有量は、長繊維ペレットの総質量100質量%に対して、50〜75質量%が好ましく、60〜73質量%がより好ましく、65〜71質量%がさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂(A1)の含有量が上記範囲内であれば、生産性が向上する。
<炭素繊維>
長繊維ペレットに含まれる炭素繊維(B)としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維(標準弾性率(HT)、中弾性率(IM)、高弾性率(HM))、ピッチ系炭素繊維(汎用(GP)、高性能(HM))、レーヨン系炭素繊維などが挙げられる。これらの中でも、PAN系炭素繊維が好ましい。
長繊維ペレット中の炭素繊維(B)の平均長さは4〜50mmであり、5mm以上が好ましい。また、15mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましい。炭素繊維(B)の平均長さが、上記下限値以上であれば成形品の衝撃強度が向上し、上記上限値以下であれば成形品中で炭素繊維(B)が十分に分散し、良好な外観となる。
炭素繊維(B)は、長繊維ペレット中で撚りがかかるため長繊維ペレットの長さより長いものでもよいが、平行に引き揃えられ、ほぼ同じ長さであることが好ましい。
ここで、炭素繊維(B)の平均長さは、10本の炭素繊維の長さを測定し、これらの値を平均したものである。炭素繊維(B)の平均長さの測定は、定規、巻尺またはノギスなどを用いてもよく、光学顕微鏡などを用いてもよい。
炭素繊維(B)の平均繊維径は、5〜12μmが好ましく、6〜8μmがより好ましい。炭素繊維(B)の平均繊維径が、上記下限値以上であれば繊維の表面積が小さくなり、成形性が向上し、上記上限値以下であれば繊維のアスペクト比が大きくなり、より高い補強効果が得られやすくなる
炭素繊維(B)の平均繊維径は、10本の炭素繊維の繊維径を電子顕微鏡を用いて測定し、これらの値を平均したものである。
上記範囲内の平均繊維径を有する炭素繊維を製造する方法としては、例えば、特開2004−11030号公報、特開2001−214334号公報、特開平5−261792号公報等に記載の方法などが挙げられる。
炭素繊維(B)は、表面処理、特に電解処理されたものが好ましく、さらに表面処理剤を用いて表面処理されたものがより好ましい。
表面処理剤としては、例えば、エポキシ系サイジング剤、ウレタン系サイジング剤、ナイロン系サイジング剤、オレフィン系サイジング剤などが挙げられる。これらの中でも、エポキシ系サイジング剤が好ましい。
炭素繊維(B)を表面処理することによって、成形品の引張強度、曲げ強度がより向上しやすくなる。
表面処理された炭素繊維(B)としては、市販品を用いてもよい。
炭素繊維(B)としては市販品を用いてもよく、例えば、パイロフィル(登録商標)CFトウ TR50S 6L、TRH50 12L、TRH50 18M、TR50S 12L、TR50S 15L、MR40 12M、MR60H 24P、MS40 12M、HR40 12M、HS40 12P、TRH50 60M、TRW40 50L(以上、三菱レイヨン社製)などが挙げられる。これらの中でも、パイロフィル(登録商標)CFトウ TR50S 15L、TRH50 60M、TRW40 50Lが好ましい。
炭素繊維(B)の含有量は、長繊維ペレットの総質量100質量%に対して、25〜50質量%が好ましく、27〜40質量%がより好ましく、29〜35質量%がさらに好ましい。炭素繊維(B)の含有量が上記下限値未満であると、成形品を得るために必要な長繊維ペレットの量が増えるため、生産効率が低下する。一方、炭素繊維(B)の含有量が上記上限値以下であれば、成形品中で炭素繊維(B)が十分に分散し、良好な外観となる。
<任意成分>
長繊維ペレットは、必要に応じて、任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、金属不活性剤、カーボンブラック、造核剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ガラス繊維、無機フィラー、耐衝撃性改質剤、溶融張力向上剤、難燃剤等の樹脂添加剤などが挙げられる。
任意成分の含有量は、長繊維ペレットの総質量100質量%に対して、10質量%以下が好ましい。なお、ポリプロピレン樹脂(A1)と炭素繊維(B)と任意成分との合計を100質量%とする。
<製造方法>
長繊維ペレットの製造方法としては、例えばポリプロピレン樹脂(A1)を押出機で溶融し、炭素繊維(B)のトウをダイス部分に供給して引き抜き、冷却してカッティングする方法などが挙げられる。
引き抜きの方法としては、ポリプロピレン樹脂(A1)を炭素繊維(B)の内部まで含侵させる含侵法、炭素繊維(B)の周囲をポリプロピレン樹脂(A1)で覆う電線被覆法などが挙げられる。これらの中でも、生産性の観点からは電線被覆法が好ましく、外観の観点からは含侵法が好ましい。
カッティングの方法としては、サイドカット方式のペレタイザーを用いる方法、ドラム式カッターを用いる方法、ホットカットペレタイザーを用いる方法などが挙げられる。これらの中でも、サイドカット方式のペレタイザーを用いる方法が好ましい。サイドカット方式のペレタイザーを用いることで、炭素繊維(B)が所望の長さに切断されないカット不良ペレットを減らすことができる。
<作用効果>
本発明の長繊維ペレットは、特定の酸量のポリプロピレン樹脂(A1)と、特定の長さの炭素繊維(B)とを含有するので、炭素繊維の割合が少なくても、引張強度と衝撃強度のバランスに優れる成形品を得ることができる。
「ペレット混合物」
本発明のペレット混合物は、上述した本発明の長繊維ペレット(以下、長繊維ペレット(X)」ともいう。)と、ポリプロピレン樹脂(A2)を含有するペレット(以下、ペレット(Y)」ともいう。)とを含む。
<ペレット(Y)>
ペレット(Y)は、ポリプロピレン樹脂(A2)を含有する。
ペレット(Y)に含まれるポリプロピレン樹脂(A2)は、酸変性ポリプロピレン樹脂(A2−1)および酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)の少なくとも一方からなる。酸変性ポリプロピレン樹脂(A2−1)および酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)の2種類を使用する場合には両方を計量する必要があるため、成形が簡便になりやすいことから、ポリプロピレン樹脂(A2)は、酸変性ポリプロピレン樹脂(A2−1)および酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)の何れか一方を用いることが好ましく、比較的安価であることから、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)からなることがより好ましい。
酸変性ポリプロピレン樹脂(A2−1)としては、長繊維ペレット(X)の説明において先に例示した酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)などが挙げられる。
酸変性ポリプロピレン樹脂(A2−1)は、上述した酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−1)と同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)としては、長繊維ペレット(X)の説明において先に例示した酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)などが挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体が好ましく、エチレン−プロピレンブロック共重合体がより好ましい。
酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)として、エチレン−プロピレン共重合体またはプロピレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)を構成する全単位の総質量100質量%に対して、プロピレン単位の割合は50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上である。
酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)は、上述した酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)と同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)のメルトフローレート(MFR)は、3〜60g/10分が好ましく、3〜50g/10分がより好ましく、15〜35g/10分がさらに好ましい。酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)のMFRが、上記下限値以上であれば成形性が良好となり、上記上限値以下であれば成形品の衝撃強度がより向上する。
ここで、MFRは、JIS K 7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される。
酸変性ポリプロピレン樹脂(A2−1)、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)としては、それぞれ市販品を用いてもよい。各市販品としては、長繊維ペレット(X)の説明において先に例示した各市販品などが挙げられる。
ポリプロピレン樹脂(A2)の含有量は、ペレット(Y)の総質量100質量%に対して、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂(A2)の含有量が上記範囲内であれば、生産性が向上する。
ペレット(Y)は、必要に応じて、任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、例えば、長繊維ペレット(X)の説明において、任意成分として先に例示した樹脂添加剤などが挙げられる。
任意成分の含有量は、ペレット(Y)の総質量100質量%に対して、10質量%以下が好ましい。なお、ポリプロピレン樹脂(A2)と任意成分との合計を100質量%とする。
ペレット(Y)の製造方法としては、例えばポリプロピレン樹脂(A2)を押出機で溶融し、冷却してカッティングする方法、ポリプロピレン樹脂(A2)を含有する粉を加圧圧縮する方法、ポリプロピレン樹脂(A2)を含有するシートを切断する方法、ポリプロピレン樹脂(A2)を含有する塊を粉砕する方法などが挙げられる。
ペレット混合物中の長繊維ペレット(X)とペレット(Y)との質量比((X):(Y))は、2:1〜1:5が好ましく、1:1〜1:3がより好ましい。長繊維ペレット(X)とペレット(Y)との質量比が上記範囲内であれば、生産効率が高まる。
<任意成分>
ペレット混合物は、必要に応じて、種々の樹脂添加剤を配合したマスターバッチを含有してもよい。
樹脂添加剤としては、長繊維ペレット(X)の説明において、任意成分として先に例示した樹脂添加剤などが挙げられる。
マスターバッチのベース樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられ、好ましくはポリプロピレン系樹脂である。
マスターバッチの形状としては、ペレット状が好ましい。
<製造方法>
ペレット混合物は、例えば長繊維ペレット(X)とペレット(Y)とを混合、好ましくはドライブレンドすることで得られる。
ここで、ドライブレンドとは、溶融や溶解などを伴わないブレンドである。
<作用効果>
本発明のペレット混合物は、上述した本発明の長繊維ペレット(X)を含有するので、炭素繊維の割合が少なくても、引張強度と衝撃強度のバランスに優れる成形品を得ることができる。
「成形品」
<第一の態様>
本発明の第一の態様の成形品は、本発明の長繊維ペレット(X)を成形して得られるものである。
成形の方法としては、長繊維ペレット(X)を加熱シリンダーとスクリューにより溶融可塑化した後に、金型内で賦形する溶融成形法が好ましい。具体的には射出成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形等が挙げられる。これらの中でも、機械的強度により優れた成形品が得られやすい点で、射出成形が好ましい。
第一の態様の成形品は、この成形品の総質量100質量%に対して、ポリプロピレン樹脂(A’)50〜75質量%と、炭素繊維(B)25〜50質量%とを含有する。
第一の態様の成形品に含まれるポリプロピレン樹脂(A’)は、前記ポリプロピレン樹脂(A1)であり、前記酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と、前記酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)とからなることが好ましい。
また、第一の態様の成形品に含まれるポリプロピレン樹脂(A’)の酸量は、無水マレイン酸換算で、ポリプロピレン樹脂(A’)の総質量100質量%に対して0.006〜0.025質量%である。
<第二の態様>
本発明の第二の態様の成形品は、本発明のペレット混合物を成形して得られるものである。
成形の方法としては、第一の態様において先に例示した成形方法が挙げられる。
第二の態様の成形品は、この成形品の総質量100質量%に対して、ポリプロピレン樹脂(A)82〜96質量%と、炭素繊維(B)4〜18質量%とを含有することが好ましく、ポリプロピレン樹脂(A)87〜93質量%と、炭素繊維(B)7〜13質量%とを含有することがより好ましい。炭素繊維(B)の割合が、上記下限値以上であれば十分な機械的強度が得られ、上記上限値以下であれば成形品を軽量化できる。
第二の態様の成形品に含まれるポリプロピレン樹脂(A)は、前記ポリプロピレン樹脂(A1)と前記ポリプロピレン樹脂(A2)とを含み、前記酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と、前記酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)と、前記ポリプロピレン樹脂(A2)とからなることが好ましく、前記酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と、前記酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)と、前記酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)とからなることがより好ましい。
これら各樹脂の質量比については特に制限されないが、生産効率が高まる観点から、ポリプロピレン樹脂(A)の総質量100質量%に対して、前記酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の含有量が0.02〜2.67質量%であり、前記酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の含有量が16.00〜66.60質量%であり、前記酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)の含有量が33.33〜83.33質量%であることが好ましく、前記酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の含有量が0.05〜1.00質量%であり、前記酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の含有量が24.50〜49.90質量%であり、前記酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)の含有量が50.00〜75.00質量%であることがより好ましい。なお、これら各樹脂の合計を100質量%とする。
第二の態様の成形品に含まれるポリプロピレン樹脂(A)の酸量は、無水マレイン酸換算で、ポリプロピレン樹脂(A)の総質量100質量%に対して0.002〜0.010質量%が好ましく、0.0025〜0.0050質量%がより好ましい。ポリプロピレン樹脂(A)の酸量が上記範囲内であれば、機械的強度がより向上する。
ここで、ポリプロピレン樹脂(A)の酸量(γ)は、下記式(4)より求められる値である。下記式(1)中、「β」は、ポリプロピレン樹脂(A)に含まれるポリプロピレン樹脂(A1)の酸量である。「W」は、ポリプロピレン樹脂(A)に含まれるポリプロピレン樹脂(A1)の質量である。「W」は、ポリプロピレン樹脂(A)の質量である。
酸量(γ)=β×(W/W) ・・・(4)
なお、上記式(4)に上記式(3)を代入すると、ポリプロピレン樹脂(A)の酸量(γ)は、下記式(5)より求められる。下記式(5)中、「c」は、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の酸価(mgKOH/g)である。「m」は、無水マレイン酸の分子量である。「K」は水酸化カリウムの分子量である。「W1−1」は、ポリプロピレン樹脂(A1)に含まれる酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の質量である。「W」は、ポリプロピレン樹脂(A)の質量である。
酸量(γ)=(c×m)/(2×1000×K)×(W1−1/W) ・・・(5)
<作用効果>
本発明の第一の態様および第二の態様の成形品は、上述した本発明の長繊維ペレット(X)を用いて得られるので、引張強度と衝撃強度のバランスに優れる。
特に、第二の態様の成形品は、第一の態様の成形品に比べて、ペレット(Y)の分だけ多く樹脂成分を含むため、炭素繊維(B)の割合が少ない。しかし、第二の態様の成形品は、炭素繊維の割合が少なくても、引張強度と衝撃強度のバランスに優れる。かかる理由については以下のように考えられる。
本発明の長繊維ペレット(X)は、上述したポリプロピレン樹脂(A1)と炭素繊維(B)とを含む。よって、長繊維ペレット(X)とペレット(Y)とを混合することで炭素繊維(B)の割合が少なくなっても、長繊維ペレット(X)中の炭素繊維(B)とポリプロピレン樹脂(A1)の界面強度が適切であるため、引張強度と衝撃強度のバランスに優れる成形品が得られると考えられる。
しかも、第二の態様の成形品は、第一の態様の成形品に比べて炭素繊維(B)の割合が少ないので、軽量である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の記載において、特に断らない限り「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
「測定・評価方法」
<引張試験>
幅10mm、厚さ4mm、平行部長さ80mmのダンベル試験片を用い、ISO 527に準じて実施した。
<シャルピー衝撃試験>
ノッチを切削したもので、ISO 179に準じて実施した。
<比重の測定>
ISO 1183に準じて、アルキメデス法で測定した。
<曲げ試験>
幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmの短冊試験片を用い、ISO 178に準じて3点曲げ試験を実施した。
<酸量の測定>
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の酸量と、希釈倍率から計算した。具体的には、上記式(1)または上記式(4)より計算した。
<炭素繊維(B)の平均長さの測定>
炭素繊維(B)が長繊維ペレット(X)中で一方向に引き揃えられているため、長繊維ペレット(X)の平均長さを炭素繊維(B)の平均長さとした。
長繊維ペレット(X)の平均長さは、10個の長繊維ペレットについて、その長さを定規用いて測定し、これらの値を平均して求めた。
「原料」
・A1−1:酸変性ポリプロピレン樹脂(三洋化成社製、「ユーメックス1001」、酸量2.3%)。
・A1−2:酸変性されていないポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、「ノバテックPP MA04A」、プロピレン単独重合体、MFR40g/10分)。
・A2−2:酸変性されていないポリプロピレン樹脂(サンアロマー社製、「PM854X」、エチレン−プロピレンブロック共重合体、MFR20g/10分)。
・炭素繊維(B):エポキシ系サイジング剤で表面処理された炭素繊維(三菱レイヨン社製、「パイロフィルCFトウ TR50S 15L」、目付1,000mg/m、引張強度4,900MPa、引張弾性率240GPa、平均繊維径7μm)。
「実施例1」
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)0.35%と、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)69.65%とを30φ二軸押出機で可塑化し、280℃に設定した含侵ダイスで、20m/分のライン速度で炭素繊維(B)30%と複合化し、切断することで、炭素繊維の平均長さ6mmの長繊維ペレット(X−1)を製造した。
得られた長繊維ペレット(X−1)を、シリンダー温度230℃、金型温度80℃で射出成形して、ダンベル試験片の成形体を得た。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例2」
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の量を0.7%、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の量を69.3%に変更した以外は、実施例1と同様にして長繊維ペレット(X−2)を製造し、得られた長繊維ペレット(X−2)を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「比較例1」
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)を用いず、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の量を70%に変更した以外は、実施例1と同様にして長繊維ペレット(X−3)を製造し、得られた長繊維ペレット(X−3)を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「比較例2」
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の量を1.4%、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の量を68.6%に変更した以外は、実施例1と同様にして長繊維ペレット(X−4)を製造し、得られた長繊維ペレット(X−4)を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
「実施例3」
実施例1で得られた長繊維ペレット(X−1)100部と、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A2−2)からなるペレット(Y−1)200部とをドライブレンドして、ペレット混合物を得た。
得られたペレット混合物を、シリンダー温度230℃、金型温度80℃で射出成形して、ダンベル試験片の成形体を得た。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表2に示す。
「実施例4」
実施例2で得られた長繊維ペレット(X−2)を用いた以外は、実施例3と同様にしてペレット混合物を製造し、得られたペレット混合物を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表2に示す。
「比較例3」
比較例1で得られた長繊維ペレット(X−3)を用いた以外は、実施例3と同様にしてペレット混合物を製造し、得られたペレット混合物を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表2に示す。
「比較例4」
比較例2で得られた長繊維ペレット(X−4)を用いた以外は、実施例3と同様にしてペレット混合物を製造し、得られたペレット混合物を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表2に示す。
「比較例5」
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の量を1.05%、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の量を68.95%に変更した以外は、実施例1と同様にして長繊維ペレット(X−5)を製造した。組成を表1に示す。
得られた長繊維ペレット(X−5)を用いた以外は、実施例3と同様にしてペレット混合物を製造し、得られたペレット混合物を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表2に示す。
「実施例5」
含侵ダイスの代わりに電線被覆ダイスを用い、ライン速度を40m/分とした以外は、実施例1と同様にして長繊維ペレット(X−6)を製造した。組成を表1に示す。
得られた長繊維ペレット(X−6)を用いた以外は、実施例3と同様にしてペレット混合物を製造し、得られたペレット混合物を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表2に示す。
「実施例6」
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の量を0.7%、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の量を69.3%に変更し、含侵ダイスの代わりに電線被覆ダイスを用い、ライン速度を40m/分とした以外は、実施例1と同様にして長繊維ペレット(X−7)を製造した。組成を表1に示す。
得られた長繊維ペレット(X−7)を用いた以外は、実施例3と同様にしてペレット混合物を製造し、得られたペレット混合物を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表2に示す。
「比較例6」
酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)の量を1.75%、酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)の量を68.25%に変更し、含侵ダイスの代わりに電線被覆ダイスを用い、ライン速度を40m/分とした以外は、実施例1と同様にして長繊維ペレット(X−8)を製造した。組成を表1に示す。
得られた長繊維ペレット(X−8)を用いた以外は、実施例3と同様にしてペレット混合物を製造し、得られたペレット混合物を用いて成形体を製造した。
得られた成形体について、各種測定・評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2017008242
Figure 2017008242
実施例1、2、比較例1、2では、含浸法により長繊維ペレット(X)を製造した。
表1から明らかなように、実施例1、2で得られた成形体は、引張強度と衝撃強度のバランスに優れていた。
対して、ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量が少ない長繊維ペレット(X−3)を用いた比較例1の成形体は、引張強度が低かった。ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量が多い長繊維ペレット(X−4)を用いた比較例2の成形体は、衝撃強度が低かった。
実施例3、4、比較例3〜5では、含浸法により製造した長繊維ペレット(X)を用いてペレット混合物を製造した。
表2から明らかなように、実施例3、4で得られた成形体は、実施例1、2で得られた成形体に比べて炭素繊維(B)の割合が少ないが、引張強度と衝撃強度のバランスに優れていた。
対して、ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量が少ない長繊維ペレット(X−3)を含むペレット混合物を用いた比較例3の成形体は、この成形体に含まれるポリプロピレン樹脂(A)の酸量が少なく、引張強度が低かった。ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量が多い長繊維ペレット(X−4)、(X−5)を含むペレット混合物を用いた比較例4、5の成形体は、これら成形体に含まれるポリプロピレン樹脂(A)の酸量が多く、衝撃強度が低かった。
実施例5、6、比較例6では、電線被覆法により製造した長繊維ペレット(X)を用いてペレット混合物を製造した。
表2から明らかなように、実施例5、6で得られた成形体は、実施例1、2で得られた成形体に比べて炭素繊維(B)の割合が少ないが、引張強度と衝撃強度のバランスに優れていた。
対して、ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量が多い長繊維ペレット(X−8)を含むペレット混合物を用いた比較例6の成形体は、この成形体に含まれるポリプロピレン樹脂(A)の酸量が多く、衝撃強度が低かった。

Claims (7)

  1. ポリプロピレン樹脂(A1)と、炭素繊維(B)とを含有する長繊維ペレットであって、
    前記ポリプロピレン樹脂(A1)の酸量が、無水マレイン酸換算で0.006〜0.025質量%であり、
    前記炭素繊維(B)の平均長さが4〜50mmである、長繊維ペレット。
  2. 前記ポリプロピレン樹脂(A1)の含有量が50〜75質量%であり、前記炭素繊維(B)の含有量が25〜50質量%である、請求項1に記載の長繊維ペレット。
  3. 前記ポリプロピレン樹脂(A1)が、酸変性ポリプロピレン樹脂(A1−1)と酸変性されていないポリプロピレン樹脂(A1−2)とからなる、請求項1または2に記載の長繊維ペレット。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の長繊維ペレットと、ポリプロピレン樹脂(A2)を含有するペレットとを含む、ペレット混合物。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の長繊維ペレットを成形して得られる、成形品。
  6. 請求項4に記載のペレット混合物を成形して得られる、成形品。
  7. ポリプロピレン樹脂(A)82〜96質量%と、炭素繊維(B)4〜18質量%とを含有し、
    成形品に含まれるポリプロピレン樹脂(A)の酸量が、無水マレイン酸換算で0.002〜0.010質量%である、請求項6に記載の成形品。
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