関連出願
本願は、2013年10月10日出願の「TRACHEAL TUBE」と題する米国特許出願第14/051,443号の一部継続出願である、「TRACHEAL TUBE」と題する2014年1月7日出願の米国特許出願第14/149,403号の一部継続出願であり、それらの両方の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書は、概して、気管チューブ及び吸引装置の分野に関する。
背景技術の節で考察される主題は、単に背景技術の節でのその言及の結果として、従来技術であると見なされるべきではない。同様に、背景技術の節で言及される、または背景技術の節の主題と関連する問題及びその原因の理解も、従来技術においてすでに認識されていると見なされるべきではない。背景技術の節における主題は、異なる手法を表すにすぎず、それら自体も発明となり得る。
吸引手段を有する膨張可能なバルーンを備えた気管チューブは、当該技術分野において広く知られている。しかしながら、そのような従来技術の吸引手段は、バルーンの上及び周囲の分泌物を吸引することに関しては非効率であり、したがって、分泌物及び/または病原体をバルーン及び気管壁を通して気管チューブの空気流中へと移動させる。ある特定の状況において、分泌物/病原体は、気管チューブを通って患者の肺の中へと移動する換気した空気の高速度によってエアロゾル化される。高速度で移動するエアロゾル化した病原体は、病原体を肺の奥深くへと送り込む可能性があり、人工呼吸器関連肺炎(VAP)を引き起こす可能性がある。
本発明は、添付の図面の図中に限定ではなく一例として例示される。
気管チューブの一実施形態の図を示す。
図1と同様であるが、気管チューブの別の実施形態を例示する図を示す。
気管チューブのさらに別の実施形態の図を示す。
図1の切断線3−3に沿ってカテーテルを通して長手方向に取られた、図1のカテーテルの一実施形態の断面図を示す。
図1の切断線4−4に沿ってカテーテル及びバルーンを通して長手方向に取られた、図1のカテーテル及びバルーンの一実施形態の断面図を示す。
バルーン組立体の一実施形態の図を示す。
気管内チューブを挿入するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
気管内チューブを除去するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
カフ及び気管領域の境界から分泌物を吸引するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
洗浄流体分注装置が洗浄流体を適用するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
患者を人工的に換気するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
気管チューブを製造する方法の一実施形態のフローチャートを示す。
気管チューブを製造するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
バルーンを作るための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
バルーンを気管内チューブに取り付けるための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
気管チューブの一実施形態を示す。
気管チューブの一実施形態を示す。
バルーン組立体の一実施形態の図を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
気管チューブの一実施形態を示す。
気管チューブの一実施形態を示す。
例示的な切断及び膀胱鏡手術器具の実施形態を示す。
例示的な切断及び膀胱鏡手術器具の実施形態を示す。
気管チューブシステムが気管内に位置付けられた患者の断面図を示す。
気管チューブシステムは、第1及び第2のチューブと膨張可能なバルーンとを含んでもよい。第1のチューブは、可撓性かつ中空であり、第1及び第2の開放端部を有してもよい。膨張可能なバルーンは、第1のチューブの一部分に取り付けられ、かつそれを円周方向に包囲してもよい。第1のチューブの第1の端部は、人工呼吸装置及び第1のチューブに連結されるように構成され、人工呼吸装置によって提供される空気または他のガスが第1のチューブを通って(気管チューブシステムを)挿管された患者の肺内へ流動することを可能にするように構成されてもよい。
膨張可能なバルーンは、第1のチューブの第1及び第2の端部の間に位置付けられ、膨張可能なバルーンが膨張したとき、その中に位置付けられる第2のチューブの一部分を収容するようにサイズ決定され、かつ位置付けられる窪みを含んでもよい。いくつかの実施形態では、窪みは、膨張可能なバルーンの円周または円周の一部分の周囲に延在してもよい。
いくつかの実施形態では、窪みの一部分は、膨張可能なバルーンと第1のチューブとの間の接合部と一致して、またはほぼ一致して、膨張可能なバルーン上に位置付けられる。接合部は、チューブの第1の端部とバルーンとの間に位置付けられてもよい。
第2のチューブは、中空であり、バルーンと接触していない側壁に沿って多数の穴を有してもよい。場合によっては、第2のチューブは、湾曲しているか、または特定の形状(例えば、三角形、円など)に予め構成されていてもよい。第2のチューブは、可撓性、剛性、または両方の組み合わせであってもよい。ある状況においては、第2のチューブは、2つ以上の部品の組立体であってもよい。第2のチューブは、例えば、化学的もしくは熱による接着、スリーブ、ストラップ、及び/またはクランプを介して、窪み内でバルーンに取り付けられてもよい。
第2のチューブは、第2のチューブ内に陰圧を発生させる吸引装置に連結されるように構成されてもよい。時として、第1のチューブは、吸引装置に連結される管腔を有してもよく、管腔内の陰圧は第2のチューブ内に陰圧を発生させてもよい。気管チューブシステムが患者の気管内に挿入されたとき、第2のチューブ内の陰圧は、気管から体液及び他の物質を除去または吸引するように作用してもよい。場合によっては、気管チューブシステムが気管内に配置されたとき、吸引装置によって発生された陰圧は、気管の内面または壁に対して第2のチューブを保持するように作用し、それにより、バルーンを越えた、かつ気管下部及び肺への分泌物の移動を防止してもよい。
いくつかの実施形態では、窪み及び第2のチューブは、気管チューブシステムが気管内に挿入され、バルーンが膨張し、陰圧が吸引装置によって第2のチューブに適用されたとき、第2のチューブが気管壁の後方部分などの気管壁の一部分に対して位置付けられるように、膨張可能なバルーンに対して位置付けられてもよい。
本発明の種々の実施形態が、本明細書の1つ以上の個所で考察または示唆され得る従来技術の種々の欠点によって動機付けられた可能性があるが、本発明の実施形態は、必ずしもこれらの欠点のいずれかに対処するとは限らない。換言すれば、本発明の異なる実施形態は、本明細書で考察され得る異なる欠点に対処し得る。いくつかの実施形態は、本明細書で考察され得るいくつかの欠点または1つの欠点のみに部分的にのみ対処する場合があり、いくつかの実施形態は、これらの欠点のうちのいずれかに対処しない場合がある。
概して、図1〜5のそれぞれの考察の初めに、各要素の簡単な説明があり、それは、考察される図1〜5のうちの1つにおける要素のそれぞれの名前を有するにすぎない場合がある。各要素の簡単な説明の後、各要素は、番号順にさらに考察される。概して、図1〜5のそれぞれは、番号順に考察され、図1〜5内の要素もまた、通常、特定の要素の考察を容易に見つけることを促すために、番号順に考察される。それにもかかわらず、図1〜5の任意の要素の情報の全てが必ずしも見つけられない位置はない。図1〜5のいずれかの任意の特定の要素または任意の他の態様に関する特有の情報は、本明細書のいずれかの部分に見られるか、またはそれによって示唆されてもよい。
図1は、気管チューブシステム100の一実施形態の図を示す。気管チューブシステム100は、少なくとも1つの接続器102と、対向する開放近位端104及び開放遠位端122を有するカテーテル106と、吸引装置108Aと、空気分注装置108Bと、流体分注装置108Cと、流体貯蔵器108Dと、少なくとも1つの吸引チューブ108Eと、少なくとも1つの膨張チューブ110Aと、パイロットバルーン110Bと、膨張流体供給装置110Cと、少なくとも1つの吸引チューブ管腔112と、少なくとも1つの膨張チューブ管腔114と、少なくとも1つの吸引ライン出口116と、少なくとも1つのバルーン118と、少なくとも1つの吸引ライン120と、少なくとも1つの拡大開口部124と、少なくとも1つの拡大空気通路126とを含んでもよい。他の実施形態では、気管チューブシステム100は、列挙された要素もしくは特徴の全てを有しなくてもよく、及び/または列挙されたものの代わりに、もしくはそれらに加えて他の要素もしくは特徴を有してもよい。例えば、バルーン118は、両方の端部で閉鎖されてもよい(すなわち、開放遠位端122に最も近いバルーン118の部分は、拡大空気通路126を密封するために閉鎖されてもよい。
気管チューブシステム100は、360度の吸引ラインと拡大空気流通路とを有する気管チューブである。一実施形態では、吸引は、15mm Hgの陰圧で設定される。気管チューブシステム100は、気管内、気管支内、及び気管切開チューブなど、種々のチューブのために使用されるように適合されてもよい。気管内チューブ100は、開放空気通路を維持するために、もしくは酸素、薬剤を送達するために、または粘液の吸引を可能にするために、もしくは口内分泌物の吸引を可能にするために、口または鼻を通して気管内に挿入されるカテーテルである。気管内チューブ100は、空気が通過することを可能にするために、両端で開放されている、可撓性で中空の円筒状チューブであってもよい。
接続器102は、人工呼吸器に接続するように適合される接続である。接続器102は、気管チューブシステム100を人工呼吸器に取り付ける。一実施形態では、接続器102は、4cmの長さ、1.5cmの近位外径(OD)、1.3cmの近位内径(ID)、及び1.5cmの近位長さを有してもよい。安全装置(カラーである)の断面積は、1.5cm×2.5cmである。一実施形態では、安全装置の長さは、0.5cmである。一実施形態では、接続器102の遠位開口部外径(OD)は、0.8cmである。一実施形態では、接続器102の遠位長さは、2cmである。一実施形態では、本明細書に列挙された寸法の全てに対する許容誤差は、問題の寸法の値の+/−10%である。別の実施形態では、本明細書での許容誤差は、問題の寸法の+/−5%である。一実施形態では、接続器102は、硬質ポリプロピレンから作られる。他の実施形態では、人工呼吸器は、人工呼吸器が利用可能ではない場合、空気袋に置き換えられてもよい。
近位端104は、患者内に挿管されていない気管チューブシステムの端部である。本明細書において、患者に挿管することは、患者内にチューブを配置することを指す。例えば、患者に挿管することは、人工呼吸のために気管内に呼吸チューブを挿入することを指し得る。近位端104は開放しており、人工呼吸器と反対側の接続器102の端部に接続される。一実施形態では、近位端104は、31cmの長さを有する。一実施形態では、近位端104は、可撓性ポリ塩化ビニルから作られる。
カテーテル106は、薬剤の送達を補助するために、体内に挿入されるチューブである。カテーテル106は、酸素を送達するために気管に挿入されてもよい。カテーテル106は、チューブから作られてもよい。カテーテル106は、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル、PVC)から作られてもよい。プラスチック材料は、視覚的に透明または不透明であってもよい。プラスチックは、放射線不透過性であるため、カテーテル106は、チューブを胸部X線上でより見えるようにする放射線不透過性材料のラインを有してもよい。他の実施形態では、カテーテル106は、網入りシリコーンゴムから作られてもよい。さらに他の実施形態では、カテーテル106は、シリコーンゴム、ラテックスゴム、またはステンレス鋼から作られてもよい。気管チューブを作製するために使用される異なる材料は、通常、必要とされるチューブの用途によって決まる。例えば、網入りシリコーンゴムカテーテルは、非常に可撓性であるが、それでもなお圧縮するまたはねじるのが困難であり、気管が長期の持続時間挿管されたままであることが予測される状況に対して、または手術中にネックが可撓性のままである必要がある場合に、網入りシリコーンゴムカテーテルを有用にする。
カテーテル106は、内径及び外径を有し得る。気管チューブの「サイズ」は、カテーテルの内径を指す。例えば、「サイズ6」の気管チューブを要求した場合、6mmの内径を有する気管チューブを要求している。さらに、内径は、カテーテル106上に「ID 6.0」と表示されてもよい。より狭いチューブは、ガス流に対する抵抗を増加させる。例えば、サイズ4mmのチューブは、サイズ8mmのチューブよりもガス流に対して16倍大きい抵抗を有する。さらなる抵抗は、増加した抵抗を克服するためにさらに努力しなければならなくなる、自発呼吸する患者において特に関連性があり得る。したがって、適切な「サイズ」を選択するとき、所与の患者に好適である最大サイズが典型的に推奨される。ヒトに関して、カテーテル106のサイズは、新生児に対して2.0mm〜成人男性に対して10.5mmに及んでもよい。カテーテル106は、0.7cm〜0.9cmのODを有してもよい(患者のサイズに応じて)。
カテーテル106は、カテーテル106を使用している人または物に応じて異なる長さを有してもよい。カテーテル106の長さは、気管に入る端部から測定される。カテーテルの長さは、カテーテル106が口からまたは気管切開瘻を通して挿入される場合に異なり得る。経口挿入を伴うヒトに関して、カテーテル106の長さは、新生児に対して7.5cm〜成人男性に対して23cmに及んでもよい。一実施形態では、カテーテル106は、気管内チューブとして経口または経鼻挿入されてもよい。
別の実施形態では、カテーテル106は、気管切開瘻の中に挿入され、気管切開術で使用されてもよい。気管切開は、効果的な気道を保持し、患者が呼吸するのを補助するためにチューブが挿入され得る、首を通じた気管内への開口部である。気管切開瘻は、実際の開口部である。カテーテルが気管切開術で使用されるとき、カテーテル106の長さはより短くなり得る。
主チャネル107は、患者に酸素を含有するガスを送達するための、または患者から二酸化炭素(CO2)を抽出するためのカテーテル106の主要な通路である。主チャネル107のODは、0.6cm〜0.8cmと異なる。一実施形態では、主チャネル107の直径は、カテーテル106の内径と同じである。
吸引装置108Aは、患者から粘液または他の望ましくない体液を除去するために使用され得る機械である。吸引装置108Aは、患者から粘液または他の望ましくない体液を抽出するために陰圧を発生させる。吸引装置108Aは、異なる吸引力を有してもよい。吸引装置108Aは、一定の吸引を提供するために、低い吸引力設定で連続的に作動してもよい。吸引装置108Aは、用途の状況に応じて、周期的にまたは必要に応じて作動してもよい。
空気分注装置108Bは、空気または他のガスならびにエアロゾル化薬剤(例えば、医薬品)を送り込むために使用され得る機械である。空気分注装置108Bは、電子的に動力供給された空気分注器または空気が充填された注射器などの手動空気ポンプであってもよい。
流体分注装置108Cは、流体を送り込むために使用される機械である。流体分注装置108Cは、変動するまたは固定の分注力を有する電子的に動力供給された流体分注器であってもよい。流体分注装置108Cはまた、空気が充填された注射器などの手動操作装置であってもよい。
流体貯蔵器108Dは、より容易な抽出を可能にするために粘液の蓄積を緩和するのを補助するために、患者内に分注する洗浄流体を保管するための貯蔵器である。流体貯蔵器は、洗浄剤として使用される水であってもよく、及び/もしくは別の洗浄剤を含んでもよく、または生理食塩水もしくは抗生物質洗浄剤であってもよい。流体貯蔵器108Dは、流体分注装置108Cのための流体源であってもよい。いくつかの実施形態では、流体分注装置108Cは、108Dの流体貯蔵器から引き出す必要がなくてもよい。
吸引チューブ108Eは、カフ及び気管チューブの周囲の気管領域の境界内に集まった分泌物を吸引するように適合されるチューブである。カフ及び気管領域の境界は、声帯の下の喉頭腔の部分である。吸引チューブ108Eは、分泌物を吸引するための吸引装置に接続するように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、吸引チューブ108Eは、開放近位端104の近位でカテーテル106に取り付けられてもよい。他の実施形態では、吸引チューブ108Eは、カテーテル106の内壁の中へと延在してもよい。吸引チューブ108E長さは、24cmである。吸引チューブ108Eは、可撓性ポリ塩化ビニルから作られてもよい。
別の実施形態では、吸引チューブ108Eは、吸引チューブを空にするために吸引チューブ108E中に空気を分注するための空気分注装置108Bに接続するように適合されてもよい。
さらに他の実施形態では、吸引チューブ108Eは、洗浄流体を提供するための流体分注装置108Cに接続するように適合されてもよい。流体分注装置は、流体分注貯蔵器108Dから洗浄流体を引き出してもよい。洗浄流体の目的は、気管チューブの周囲に集まり得る粘液を緩和するために、カフ及び気管の周囲の気管領域の境界を包囲する分泌物及び粘液を緩和することであってもよい。いったん洗浄流体が導入されると、吸引力は吸引チューブ108Eに戻されてもよく、緩和または溶解された可能性がある液体及び任意の分泌物は除去され得る。洗浄流体方式の導入は、必要であると見なされる場合に繰り返されてもよく、それは、集まり、吸引を妨げる可能性があり得る分泌物及び他の体液を洗浄するために、介護者または使用者の判断で実施される。洗浄流体は、水、生理食塩水、ならびに他の生体適合性液体もしくは粘液溶解薬を含んでもよい。粘液溶解薬は、濃い粘液を溶解し、通常、呼吸困難を軽減するのを補助するために使用される薬剤である。それは、分泌物内の種々の化学結合を溶解することによって粘液を溶解し、ムチン含有成分を変化させることによって粘度を低減することができる。
膨張チューブ110Aは、膨張流体を供給するために使用されるチューブである。一実施形態では、膨張チューブ110Aの長さは、24cmである。一実施形態では、膨張チューブは、可撓性ポリ塩化ビニルから作られる。
パイロットバルーン110Bは、それが接続される別のバルーン内に存在する空気圧の表示を提供するバルーンである。さらに、パイロットバルーン110Bは、一方向弁の設計によって、パイロットバルーン110B中に膨張した空気が抜けることを防止する一方向弁を有する。パイロットバルーン110Bは、パイロットバルーン110Bが圧縮されたとき、バルーン収縮器として機能し、したがって一方向弁を二方向弁に変えてもよい。
膨張流体供給装置110Cは、膨張流体を送達する装置である。膨張チューブ110Aは、パイロットバルーン110Bを経由して膨張流体供給装置110Cに接続されてもよい。流体供給装置110Cは、注射器またはポンプであってもよい。膨張流体は、膨張流体の所望の機能に応じてガスまたは液体であってもよい。膨張流体は空気であってもよい。膨張流体はまた、メチレンブルー生理食塩水であってもよい。例えば、ある気道手術は、組織を焼灼するためのレーザビームの使用を伴う。これらのビームは、通常の気管内チューブに火を付ける可能性があり、酸素の存在下で、主な気道の発火を引き起こす可能性がある。レーザがバルーンを損傷してしまう場合、着色が裂傷を識別するのに役立ち、生理食塩水が気道の発火を防止するのに役立つ。
吸引チューブ管腔112は、カテーテル106の長さに沿って延在する吸引チューブ108Eの延長である。吸引チューブ管腔112はさらに、吸引チューブ108Eから気管チューブに吸引を提供する。吸引チューブ管腔112は、吸引チューブ108Eに接続されてもよく、またはそれは、カテーテル106に接続される吸引チューブ108Eの延長であってもよい。吸引チューブ管腔112はまた、カテーテル106の長さに沿って、かつその壁の内側に延在してもよい。別の実施形態では、吸引チューブ管腔112は、カテーテル106の外面に取り付けられ、カテーテル106の長さに沿って延在してもよい。他の実施形態では、吸引チューブ管腔112は、吸引チューブ108Eから洗浄流体を提供してもよい。
膨張チューブ管腔114は、カテーテル106の長さに沿って延在する膨張チューブ110の延長である。膨張チューブ管腔114は、膨張チューブ110に接続されてもよい。膨張チューブ管腔114は、カテーテル106の長さに沿って、かつその壁の内側に延在する膨張チューブ110の延長であってもよい。別の実施形態では、膨張チューブ管腔114は、カテーテル106の外面に取り付けられ、カテーテル106の長さに沿って延在してもよい。
吸引管腔出口点116は、吸引管腔114がカテーテル106から出てくる点である。吸引管腔出口点116は、それが、分泌物がカフ及びバルーン上の気管に隣接する領域内で蓄積する位置に近位であるように、カテーテル106の長さに沿って戦略的に位置する。
バルーン118は、膨張可能な弾性カフである。バルーン118は、陽圧換気を可能にするために、気管チューブと患者の気管壁との間の密閉として機能する。陽圧換気は、通常、気管内チューブを介して、空気が陽圧下で気道及び肺に送達され、吸気中に気道陽圧をもたらす人工呼吸である。バルーン118は、ゴムまたは弾性ポリマーポリウレタンの種々の組成物から作られてもよい。ゴム材料の厚さ及び弾性は、バルーン118/気管チューブシステム100の使用目的に応じて異なり得る。一実施形態では、バルーン118は、長さが5cm、及び直径が3cmである。カルシウム代謝におけるまれな異常を除いて、ほとんどのヒト男性及び女性の気管直径は、それぞれ25〜29mm及び23〜27mmの範囲内である。一実施形態では、各チャンバ間の密閉は、空気が1つのバルーンから次へと流動することを可能にするために完全ではない(チャンバ間の開口部は、バルーンの幅であり、かつ0.1〜0.5cmの高さであってもよい)。いくつかの実施形態では、バルーン118は、高圧、小容量バルーンであってもよい。他の実施形態では、バルーン118は、低圧、大容量バルーンであってもよい。バルーンの本来の目的及び使用に応じて、適切な材料が使用される。患者内に導入されたとき、バルーン118は最初収縮している。いったん気管チューブシステム100が患者の気管内に配置されると、膨張チューブ110は、バルーン118を膨張させるための流体供給装置に適合されてもよい。バルーン118は、膨張管腔114に接続される。いったんバルーン118が膨張すると、バルーン118の形状及び拡大したサイズは、気管壁に対して密閉をもたらし、それによりカテーテル106を介して肺内に送り込まれるガスが、チューブの周囲で逆流し、気管チューブを通して逃げることを防止し、それにより陽圧換気を提供する。バルーン118の膨張は、肺を人工的に換気するために必要な陽圧を提供するために、密閉をもたらす。
バルーン118は、吸引管腔出口116と遠位端122との間でカテーテル106に取り付けられる。バルーン118は、吸引管腔出口116の遠位のバルーンの端部で、カテーテル106に完全に密閉している。しかしながら、バルーン118の反対側の端部は、カテーテル106に密閉していない。代わりに、開放遠位端122の近位のバルーン118は、円筒状である。バルーンは、気管チューブに取り付けられていないときに、ボトルの底部分なしのボトルの形状に似ている。バルーンの形状は、バルーンの円形チャンバによってもたらされ、チャンバのサイズは異なり得、最大バルーンが最初であり、バルーンのサイズは、肺に向かう方向に沿って減少する。例えば、一実施形態では、チャンバのバルーン118の直径は、近位から遠位の順序で、それぞれ3cm、1cm、0.6cm、0.4cm、0.2cm、及び0.1cmである。
別の実施形態では、バルーン118は、開放遠位端122から、カテーテル106の長さに沿って、接続器102の近位まで延在してもよい。
バルーン118を有する気管チューブは、バルーン118上で生成される分泌物が食道または気管の通路に沿って流動することができず、それによりバルーン118上に集まり、病原体の考えられる蓄積のための部位を提供する可能性があるという問題を提示し得る。時に、これらの病原体は、バルーン118によってもたらされるカフを通過し、開放遠位端122付近のカフの下に行き着く可能性がある。いったん病原体がバルーン118を通過すると、病原体は、患者の肺内に入り込み、有害な感染をもたらす可能性がある。バルーン118上の分泌物の蓄積は、同様に他の問題も提示し得る。
吸引ライン120は、チューブの側壁に沿って分散される小さい穴を有するチューブである。穴が吸引ライン120の両方の側壁を通るのとは対照的に、吸引ライン120の1つの側壁のみを通ることに留意することが重要である。穴は、任意の適切な配列で分散されてもよく、例えば、密集して、または均一に分散して配列されてもよい。穴の側壁は、V、U、または正方形の形状など、任意の適切な形状をなしてもよい。穴によって形成される吸引ライン120中の開口部は、円形、楕円形、正方形、矩形、またはこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない、任意の適切な形状であってもよい。一実施形態では、吸引ライン120は、長さが1cmである。小さい穴は、吸引ライン120と接触する分泌物の吸引及び除去を可能にする。吸引ライン120は、吸引チューブ108E及び吸引チューブ管腔112の延長であってもよい。吸引ライン120は、吸引管腔出口点116において、カテーテル106の壁内から出てくる。吸引ライン120の近位のバルーン118とカテーテル106との接続点は、カテーテル106へのバルーン118のしっかりとした密閉を確実にするために、バルーン118の5cm〜1.5cm上であってもよい。吸引ライン120は、カテーテル106の周囲及びバルーン118の上に巻き付けられる。吸引ライン120の巻き付きは、バルーンに取り付けられるカフ吸引ラインのレベルで、患者の呼吸に悪影響を及ぼすことなく、バルーン118の上及び患者の気管内の空間(カフ及び気管によって隣接される領域)中に集まる分泌物流体の360度吸引を提供する。
吸引ライン120はまた、バルーン118に巻き付いてもよい。吸引ライン120は、バルーン118の外面の遠位点で終端する前に、複数回バルーン118に巻き付いてもよい。吸引ライン120は、バルーン118と患者の気管との間の空間中に集まる分泌物の吸引を提供する。吸引ライン120はまた、吸引ライン120内に陰圧があるとき、バルーンと患者内の気管壁との間に追加の密閉特性を提供してもよい。
吸引ライン120はまた、バルーン118の外面上の所定のスリーブ内で、バルーン118に巻き付いてもよい。スリーブは、図5及び12Cでさらに考察される。
他の実施形態では、吸引ライン120はまた、吸引チューブ108Eが洗浄流体を分注するための流体分注装置に接続するように適合されるとき、洗浄流体を分配させてもよい。洗浄流体は、吸引ライン120に沿って分散した小さい穴を通って流動する。
開放遠位端122は、気管チューブシステム100の端部における開口部である。ほとんどの実施形態では、開放遠位端122は、患者の気管領域内に存在する端部であり、開放遠位端122は、主チャネル107を通って移動する人工呼吸器の空気が患者の肺に入ることができる場所である。気管チューブシステム100が患者内に挿管されたとき、カテーテル106の開放遠位端122は、患者の上部呼吸器系内に位置する。本使用において、開放遠位端122は、開放遠位端122が遮断された場合に、空気通路の第2の源としてカテーテル106の側壁に開口部を有する、患者を機械的に換気するための主空気通路として機能する。本実施形態では、開放遠位端122は、なお空気通路として機能する。
拡大開口部124は、開放遠位端122が遮断または妨害された場合に、患者の肺への代替の空気流動源を提供する。拡大開口部124は、拡大開口部124が開放遠位端122よりもかなり大きい開口部を有するため、患者の肺内への空気流動の主要源として機能する。拡大開口部124からの空気流は、バルーン118の内部層と接触する。膨張したバルーン118は、患者の肺と気管チューブシステム100との間の空気圧の逃げを防止するために、気管壁に沿ってカフを作る。拡大開口部124から出てくる空気流は、バルーン118の内層の周囲を流動してもよい。拡大開口部124は、開口部124が、吸引管腔出口116の近位のカテーテル106とのバルーン118の360度密閉に近い点から開始し、バルーン118が遠位端122の近位で終端する点を越えて延在するように、バルーン118よりもカテーテル106の長さに沿ってわずかに長い長さを有してもよい。拡大開口部124の幅は、患者の肺とカテーテル106との間を移動する空気流動のより大きい断面積をもたらすように調節されてもよい。
別の実施形態では、バルーン118の長さが開放遠位端122の近位からカテーテル106の長さに沿って延在し、カテーテル開口部104の近位で終端し得る場合、拡大開口部124の長さは、空気流が主チャネル107と患者の肺との間を移動するためのより大きい範囲を提供するために、カテーテル106全体の長さに沿って延在してもよい。
拡大空気通路126は、体液が患者の気管と気管チューブシステム100との間を通過する通路である。拡大空気通路126のサイズは、膨張したバルーン118の内径によって測定された断面積をとり、カテーテル106の断面積を引くことによって決定され得る。拡大空気通路126は、従来の装置と比較してより低い速度で、同量の空気体積が患者の肺内に移動することを可能にする。
ある体積の空気がパイプを通って流動する速度は、パイプの直径に基づき増加または減少し得る。流入速度の減少は、粒子径を増加させ、エアロゾル化を減少させ、マイクロ・スペシエーションを減少させる。パイプの直径は、その体積の空気が流動するのに利用可能な断面積を画定する。通路を通る空気流動のある体積の速度は、通路の直径が増加した場合に減少し得る。同様に、減少した直径の通路を通る空気の同じ固定体積を移動させるために、通路の直径が減少したとき、その体積の空気が流動する速度は、減少した直径の通路を通る空気の同じ固定体積を移動させるために増加しなければならない。増加した通路の直径は、空気が移動するための断面積を増加させる。開放遠位端122の近位のバルーン118の形状によってもたらされる拡大空気通路126に基づく、空気が気管チューブシステム100を通って移動するためのより大きい断面積によって、拡大空気通路126で肺(複数可)内に流動する必要がある同じ体積の空気が、低減した速度で肺(複数可)に送達され得る。バルーン118内に位置する拡大開口部124から流動する空気の体積は、拡大空気通路126を通して肺に送達される。拡大空気通路126における空気流の速度の低減は、人工呼吸器関連肺炎(VAP)など、気管手術に伴う課題の一般的な原因に対処するのに役立つ。VAPは、人工呼吸器の高速から肺の下部へと放たれる異物の「エアロゾル化」を排除することによって最小限に抑えられ得る。現在、肺内へと高速で移動する異物の「エアロゾル化」は、従来の気管チューブの小さい断面積によるものである。チューブの断面積が小さいほど、同体積の空気を移動させるために必要とされる速度は高くなる。拡大空気通路126は、適切な量の空気が空気流の低減した速度で患者の肺内へと移動することを可能にし得、VAPを引き起こす可能性がある、肺に送達される病原体の数を低減するのに役立ち得る。一実施形態では、空気通路126の長さは4.5cmであるが、対照的に、標準的なMurhpy’s Eyeは、1.0〜1.5cmである。
図2A及び2Bは、図1と同様であるが、気管チューブの他の実施形態を例示する図を示す。気管チューブシステム200A及び200Bは、図1で説明されるように、以下の要素、少なくとも1つの接続器102と、対向する開放近位端104及び開放遠位端122を有するカテーテル106と、吸引装置108Aと、空気分注装置108Bと、流体分注装置108Cと、流体貯蔵器108Dと、少なくとも1つの吸引チューブ108Eと、少なくとも1つの膨張チューブ110Aと、パイロットバルーン110Bと、膨張流体供給装置110Cと、少なくとも1つの吸引ライン120と、複数の拡大開口部124と、少なくとも1つの拡大空気通路126と、少なくとも1つのバルーン218a(図2A)または218b(図2B)とを含んでもよい。他の実施形態では、気管チューブシステム200は、列挙された要素もしくは特徴の全てを有しなくてもよく、及び/または列挙されたものの代わりに、もしくはそれらに加えて他の要素もしくは特徴を有してもよい。
さらに、気管チューブシステム200A及び200Bはまた、声帯ヒダ202を含んでもよい。声帯ヒダ202は、狭く、かつ患者の声帯をきれいにするのに必要な量にわたって延在する、バルーン118の一部分である。声帯ヒダ202の目的は、気管チューブシステム200と患者の声帯との間の接触を最小限に抑えることである。本実施形態のバルーン218aまたは218bは、カテーテル106のほぼ全長に沿って延在する。バルーン218aまたは218bの長さ及びバルーン218aまたは218b中のヒダ以外、バルーン218aまたは218bは、図1に記載される実施形態と本質的に同じである。声帯への直接的な圧力を避けるために、バルーンはヒダ内に位置していない。ヒダは、ヒダの両端でバルーンによって声帯から浮いており、一実施形態では、ヒダは、医療関係者がヒダを位置付ける場所を見ることができるように色分けされている。
複数の拡大開口部124は、患者の換気のための主空気流動チャネルである。複数の拡大開口部124は、患者の肺と気管チューブシステム200との間の空気流の速度が、患者が人工呼吸システムなしで経験し得る空気流の速度に相当することを可能にする。
一実施形態では、バルーン218aまたは218bは、カテーテル106の周囲にあり、それに取り付けられるチューブを形成し、それは両端で開放しており、空気がバルーン118によって形成されるチューブの一端に入り、バルーン218aまたは218bによって形成されるチューブのもう一端から出ることができるようにする。気管内チューブシステム200Aまたは200Bの一端が患者内に配置されたとき、空気は、バルーン218aまたは218bのそれぞれによって形成されるチューブ及びカテーテル106の両方を介して、患者内に入ることができ、空気が患者内に入り、バルーン218aまたは218bが存在していないかまたは交差していない場合よりも大きい断面積を通って移動することができるようにする。
気管内チューブシステム200A及び200Bは、バルーン218aの部分が全て同じ直径を有する一方で、バルーン218bの部分が減少していく直径を有するという点で、互いに異なる。一実施形態では、バルーン218bの最大の区分は5cmの外径を有し、最も狭い区分は1.5cmの外径を有し、間の区分は、肺から最も遠い気管内チューブ200Bの端部から始まり、肺に最も近い端部に向かって、5cmから1.5cmまで直径が単調に減少する。
図3は、3−3でカテーテルを通して長手方向に取られた、図1のカテーテルの一実施形態の断面図300を示す。断面図300は、外面302と、内面304と、壁厚306と、カテーテル106と、吸引管腔112と、膨張管腔114と、主チャネル107とを含んでもよい。
カテーテル106、吸引管腔112、膨張管腔114、及び主チャネル107は、図1に関して考察された。外面302は、カテーテル106の外面である。内面304は、カテーテル106の内面である。壁306は、外面302及び内面304によって決定されるチューブの厚さである。壁306の厚さは、気管チューブシステム100の異なる使用及び用途に基づき変化し得る。
吸引管腔112は、吸引チューブ108E(図1から)の延長であってもよく、吸引管腔112は、壁306に沿って、かつその内側を通るように構成される。別の実施形態では、吸引管腔306は、カテーテル106の外面302に沿って通るように取り付けてもよい。
膨張管腔114は、膨張チューブ110A(図1から)の延長であってもよく、膨張管腔114は、壁306に沿って、かつその内側を通るように構成される。膨張管腔114は、吸引管腔112の反対側に位置してもよい。別の実施形態では、膨張管腔114は、カテーテル106の外面302に沿って通るように構成されてもよい。
図4は、4−4で、カテーテル106及びバルーン118を通して長手方向に取られた、図1のカテーテル106及びバルーン118の一実施形態の断面図400を示す。断面図400は、脊椎封止材402と、バルーン内層404と、バルーン厚406と、カテーテル106とを含んでもよい。さらに、断面図400はまた、主チャネル107と、バルーン118と、吸引ライン120と、拡大気道通路126とを含んでもよく、それらの全ては、図1でさらに定義されている。
脊椎封止材402は、カテーテル106の外面及びバルーン118の内面に沿った接触点である。バルーン内層404は、バルーン118の内層である。バルーン厚406は、十分に膨張したときのバルーン118の厚さである。バルーン厚406は、拡大気道通路126において変化してもよい。バルーンが厚いほど、拡大気道通路は小さくなる。同様に、バルーン厚406が薄いほど、拡大気道通路126は大きくなる。バルーン厚406は、適切な量の拡大気道通路126を提供するように変化してもよい。脊椎封止材402は、拡大開口部124と接触しないように設計される。
脊椎封止材402の接続点は、バルーン118とカテーテル106との間のしっかりとした取り付けをもたらすために、カテーテル106(バルーン118内に位置する)の長さに沿って延在してもよい。一実施形態では、脊椎封止材402は、拡大開口部124がバルーン118の内壁と接触しないように、カテーテル106上に位置する拡大開口部124の反対側に位置してもよい。脊椎封止材402は、バルーン118の内壁に接着されてもよい。別の実施形態では、脊椎封止材402は、脊椎封止材402と一緒にバルーン118の内壁を融解させることによって熱注入されてもよい。拡大したMurhpy’s Eyeから出てくる空気流は、主チャネル107を経由してカテーテル106を通って移動し、2つの位置、1)開放遠位端122または2)拡大開口部124のうちの1つにおいて、カテーテル106を出る。拡大開口部124を出る空気は、最終的に拡大空気通路126を通って流動する。
図5は、バルーン組立体500の一実施形態を示す。バルーン組立体500は、外側バルーンシート502と、複数のスリーブ504と、内側バルーンシート506と、チューブ接続点508と、遠位縁部510と、膨張接続点512とを含んでもよい。
外側バルーンシート502は、患者の気管壁と接触しないバルーン118の外部層である。外側バルーンシート502は概して、バルーンの用途に応じて、種々の厚さ及び弾性を有するゴム材料である。例えば、バルーン118は、小容量、高圧カフまたは低圧、大容量カフとして使用されるように適合されてもよい。小容量、高圧の用途において、バルーンの材料がわずかにより厚く、あまり弾性ではない可能性がある一方で、大容量、低圧の用途において、材料は、より薄く、より弾性であり得る。
複数のスリーブ504は、外側バルーンシート502に対して斜めの構成で互いと平行に配列されるチャネルのようなものである。スリーブ504は、外側バルーンシート502が円筒形状に丸められたとき、スリーブ504が外側バルーンシートの円筒形状の周囲に単一の螺旋溝を作るために接続点で並ぶように、斜めに整合される。いったんスリーブ504が整合されると、吸引ライン120がスリーブにきちんと収まるため、スリーブは、吸引ライン120が整理され、かつ予測可能な形態で、バルーン118に巻き付くことを可能にし得る。いったん吸引ライン120がスリーブ504内でバルーン118に巻き付けられると、吸引ライン120は、バルーン表面にわたってわずかな突出を提供し得る。突出は、バルーン118の周囲の吸引ライン120によってもたらされる吸引効果がバルーンを気管壁でしっかりと密閉するのに役立つため、バルーン118と患者の気管壁との間のよりしっかりと安定した密閉を提供する。
内側バルーンシート506は、バルーン118の内層である。内側バルーンシート506は、外側バルーンシート502に取り付けられたときに、バルーン118が形をなすことを可能にする。チューブ接続点508は、バルーン118を気管チューブに取り付けるバルーン118の部分である。チューブ接続点508は、気管チューブに取り付けられるバルーン118の唯一の部分である。取り付けは、チューブの周囲の360度のしっかりとした密閉である。外側バルーンシート502及び内側バルーンシート506が取り付けられたとき、チューブ接続点508は、接続点508の目的がバルーン118を気管チューブに取り付けることであるため、2つのシートの間で空気を移動させないようにしっかりと密閉される。
遠位縁部510は、チューブ接続点508の反対側にある外側バルーンシート502及び内側バルーンシート506の縁部である。遠位縁部510は、バルーン形状をもたらすために一緒に密閉される、外側及び内側バルーンシートの部分である。
長手方向縁部512は、長手方向にバルーンに沿って通る縁部である。縁部の一端は遠位縁部510であり、縁部のもう一端は接続点508である。内側バルーンシート506の長手方向縁部512は、内側バルーンシート506に対して円筒形状をもたらすために、内側バルーンシート506の対向する長手方向縁部512に密閉する縁部になる。同様に、外側バルーンシート502の長手方向縁部512は、外側バルーンシート502に対して円筒形状をもたらすために、外側バルーンシートの対向する長手方向縁部512を密閉する縁部になる。外側バルーンシート502は、外側シートの円筒形状が内側シートの円筒形状の外側に取り付けられ得るように、内側バルーンシート506よりもわずかに大きい。スリーブ504は、外側バルーンシートの円筒形態の外側で外向きである。
膨張接続点512は、バルーン118をそれぞれ膨張及び収縮させるために入る及び出る場所である。膨張接続点512は、膨張管腔114(図1)に接続する。膨張接続点512は、穴であってもよく、またはそれは、膨張管腔114に接続するための実際の小さい弁接続器であってもよい。他の実施形態では、それは、バルーン118のカテーテル106への組み立て及び取り付け時に穴を作るための誘導を提供するための、内側バルーンシート上の印であるだけでもよい。
バルーン118上のスリーブ504は、吸引ラインラップ114がバルーン118にしっかりと取り付けられたままであることを可能にするためのチャネルを作る。いったんバルーン118が膨張すると、吸引ラインラップ114は、バルーン118上で螺旋スリーブ504(図5)にしっかりと収まる。吸引ラインラップ114は、わずかな突出が吸引ラインラップ114のものであるため、患者内のバルーン及び気管チューブシステム100のよりしっかりと安定した密閉を提供するために、バルーンにわたってわずかな突出を提供する。バルーン118の周囲の吸引ラインラップ114によってもたらされる吸引効果は、バルーンを気管壁でしっかりと密閉するのに役立つ。
バルーン118は、バルーンシートの2つの層を一緒に融合させることによって形作られ、外側バルーンシート502は、吸引ライン120が中に存在することを可能にするスリーブ504を有する。バルーン118の一端は、吸引ライン120の近位でカテーテル106に完全に密閉される。バルーンのもう一方の遠位端は、カテーテル106に完全に密閉されない。代わりに、内側バルーン層506は、脊椎封止材402(図4)として表示されるように、カテーテル106の脊椎部分に取り付けられる。
図6Aは、介護者が患者に挿管している、方法600aの一実施形態のフローチャートを示す。最初に、介護者は、患者が経口による高度な気道確保を必要としていることを決定し、次いで、ステップ604において、介護者は、患者の口を開けて、挿管プロセスを開始する。ステップ606において、介護者は、十分な開口部を作るために患者の顎を前方に押して、挿管を実施する。
ステップ608において、介護者は、喉頭蓋の上に気管内チューブを配置するためのガイドとして喉頭鏡を使用してもよい。介護者はまた、挿管プロセスを補助するためにグライドスロープを使用してもよい。場合によっては、誘導ツールが利用可能ではない場合、介護者は、状況が緊急の挿管を必要とする場合は見ないで挿管する可能性がある。喉頭鏡は、声帯及び声門を見るために使用される医療装置である。喉頭鏡検査法(喉頭+鏡検査法)は、気管挿管を促進するために実施されてもよい。グライドスコープは、最初の市販のビデオ喉頭鏡である。グライドスコープは、高解像度LCDモニタにビデオケーブルによって接続される、高解像度デジタルカメラを組み込む。それは、制御された人工呼吸を提供するための気管挿管のために使用されてもよい。挿管を促進するために喉頭鏡またはグライドスコープを使用するとき、介護者は、バルーン118と声帯との間の接触を防止するために、気管チューブを適切に挿管するために、声帯の識別に特に注意を払うべきである。介護者が声帯の下に気管チューブを適切に挿管しない場合、かつバルーン118の膨張後に、カフが声帯の上へと伸張する場合、それは、患者の声帯を損傷する可能性がある。挿管が正しく実施され、いったんバルーン118が膨張すると、声帯がバルーンによる接触がないことを確実にするために、さらなる注意が払われなければならない。可撓性気管内チューブに挿管プロセスを補助するためのある程度の支持及び剛性を提供するために、アルミニウムスタイレットが使用されてもよい。
ステップ610において、介護者は、負傷を引き起こすことなく気管チューブを適切に所定の位置に配置する。負傷は、歯を折ることまたは声帯を損傷することを含み得、挿管プロセスで予期され得る外傷は含まない。ステップ612において、いったん挿管が完了すると、介護者は、気管チューブからアルミニウムスタイレットを除去する。
ステップ614において、介護者は、バルーンを膨張させるために必要とされ得る注射器または任意の他の流体提供装置を取り付けることによって、バルーンを空気で膨張させる。いくつかの実施形態では、空気は、選択される流体であってもよい。他の実施形態では、液体系流体が使用されてもよい。バルーンが膨張したとき、コイル状吸引ライン120の形態が、バルーンの外側でスリーブに収まる。
ステップ615において、介護者は、吸引ライン120を展開し、バルーンは気管の境界まで膨張する。
ステップ616において、介護者は、吸引チューブ108Eを吸引装置108Aに接続して、カフ及びバルーン118上の気管によって隣接される領域に、一定の吸引流を提供する。吸引装置は、所望の吸引を設定するために、吸引力調節可能なノブを有してもよい。吸引チューブ108Eを吸引装置108Aに接続することによって、バルーン118上及び気管壁とバルーンとの間に位置する分泌物蓄積の除去は、介護者が分泌物蓄積に関して患者を常に監視する必要なく、無制限に継続し得る。
ステップ617において、吸引ライン120は、バルーン118と気管との間の密閉をもたらす。
一実施形態では、方法600aのステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図6Aにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ604〜617は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法600aは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法600aのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法600aの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図6は、介護者が気管内チューブを除去している、方法600bの一実施形態のフローチャートを示す。ステップ652において、介護者は、パイロットバルーン110Bを圧迫することによって、バルーン118を収縮させる。ステップ654において、介護者は、経口で患者から気管内チューブを注意深く除去する。
一実施形態では、方法600bのステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図6Bにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ652〜654は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法600bは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法600bのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法600bの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図7Aは、吸引装置がカフ及び気管によって隣接される領域から分泌物を吸引する、方法700aの一実施形態のフローチャートを示す。ステップ702において、吸引チューブ108Eは、吸引装置108Aに接続される。ステップ704において、吸引チューブ108E内の陰圧は、吸引チューブ管腔112を通して吸引ライン120に移される。ステップ706において、陰圧は、吸引ライン120全体を通る吸引穴において陰圧/吸引を発生させる。ステップ708において、蓄積した分泌物は、廃棄のために吸引穴を通して吸引される。ステップ710において、吸引ライン内の陰圧は、バルーン118と患者の気管壁との間に密閉をもたらす。分泌物は、診断及び監視のための培養試料のために回収されてもよい。
一実施形態では、方法700aのステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図7Aにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ702〜710は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法700aは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法700aのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法700aの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図7Bは、洗浄流体分注装置が洗浄流体を適用している、方法700bの一実施形態のフローチャートを示す。ステップ742において、吸引チューブ108Eは、洗浄流体装置108Cに接続される。ステップ744において、洗浄流体は、吸引チューブ108E、吸引チューブ管腔112、及び吸引ライン120を通って移動する。ステップ746において、洗浄流体は、吸引ライン120上の吸引穴を通して分散される。洗浄流体は、粘液ならびにカフ及び気管によって隣接される領域と一時的に相互作用することができる。使用される洗浄流体に応じて、粘液は、それが容易に抽出されることを可能にするために緩和されてもよい。ステップ748において、吸引チューブ108Eは、吸引装置108Aに接続されて、洗浄流体投与プロセス中に回収された可能性がある洗浄流体及び任意の他の分泌物を除去する。
一実施形態では、方法700bのステップのそれぞれは別々のステップである。別の実施形態では、図7Bにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ742〜748は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法700bは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法700bのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法700bの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図7Cは、人工呼吸器が患者を人工的に換気している、方法700cの一実施形態のフローチャートを示す。ステップ762において、気管チューブシステム100は、接続器102を介して人工呼吸器に接続される。ステップ764において、人工呼吸器は、主チャネル107、拡大開口部124、及び開放遠位端122を経由して、患者の肺(複数可)へ/から空気を送り込む。患者の肺内へと流動する酸素及び空気の速度は、拡大開口部124及び拡大空気通路126の結果として低減される。
一実施形態では、方法700cのステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図7Cにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ762〜764は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法700cは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法700cのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法700cの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図8は、システム100の気管チューブが製造される、方法800の一実施形態のフローチャートを示す。ステップ802において、気管チューブが作製される。ステップ804において、バルーン118が作製され、それは、バルーン118を作製するステップを伴う。ステップ806において、バルーン118は、ステップ802からの気管チューブを取り付ける。方法800の他の実施形態では、ステップ804は、ステップ802前に実施されてもよい。しかしながら、ステップ806は、ステップ802及びステップ804が、気管チューブ及びバルーン118を取り付けるために実施されることを必要とする。
一実施形態では、方法800のステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図8において別々のステップとして図示されるが、ステップ802〜806は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法800は、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法800のステップは、別の順序で実施されてもよい。方法800の一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図9は、気管チューブシステム100が製造されるステップ802を実施するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。ステップ902において、気管チューブが作成され、それは、吸引管腔108E、膨張管腔110A、及び主チャネル107を含む3つの管腔を有する、プラスチック(ポリ塩化ビニル、PVC)材料からカテーテル106を作製することを含んでもよい。他の実施形態では、網入りシリコーン、シリコーンゴム、ラテックスゴム、またはステンレス鋼など、カテーテル106を作製するために他の種類の材料が使用されてもよい。カテーテル106の長さ、直径、及び厚さは、対象とするユーザ基盤の種々の年齢、性別、及びサイズに対して作られるカテーテルのサイズに応じて異なり得る。吸引管腔108E及び膨張管腔110Aは、カテーテル106の壁に組み込まれる。他の実施形態では、吸引管腔108E及び膨張管腔110Aは、カテーテル106の外面上に取り付けられるチューブであってもよい。
ステップ904において、吸引管腔出口116を作製する。吸引管腔出口116は、バルーン118の近位の吸引管腔108Eの遠位端における出口穴である。吸引管腔出口116は、バルーン118がカテーテル106に取り付けられる点よりもわずかに上に位置してもよい。
ステップ906において、ベベル切断が開放遠位端122に作製される。カテーテル106のベベル形状は、気管チューブの挿管プロセスに役立つ。
ステップ908において、拡大開口部124が作製される。ステップ908は、カテーテル106の上面の開放遠位端122の近位で、細長い楕円形状の開口部を切断することを伴う。拡大開口部124の長さは、開放遠位端122の近位から開始し、吸引管腔出口穴116の近位まで延在する、カテーテル106の長さに沿って伸びる。
ステップ910において、膨張チューブ110A、吸引チューブ108E、及び吸引ライン120は、カテーテル106に取り付けられる。膨張チューブ110Aは、一端で膨張管腔114に、かつ反対側の端部でパイロットバルーン110Bに取り付けられる。別の実施形態では、膨張チューブ110Aは、膨張管腔114の延長及びステップ902の一部であってもよい。他の実施形態では、パイロットバルーン110Bは、挿管前に膨張チューブに取り付けられてもよい。
吸引チューブ108Eは、吸引チューブ管腔112に取り付けられる。別の実施形態では、吸引チューブ108Eは、吸引チューブ管腔112の延長及びステップ902の一部であってもよい。
吸引ライン120は、吸引管腔出口116に取り付けられる。吸引ライン118は、吸引チューブ108Eと材料、形状、及び直径が同様であってもよい。しかしながら、吸引ライン120は、吸引ライン120の中及び外への流体の伝達を提供するために、吸引ライン120全体を通して分散される多くの小さい穴を含む。別の実施形態では、吸引ライン120は、吸引管腔112の延長及び吸引管腔出口116の一部であってもよい。
ステップ912において、予め形成されたバルーンカフがバルーン118に取り付けられる。
一実施形態では、方法802のステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図9において別々のステップとして図示されるが、ステップ902〜912は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法802は、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法802のステップは、別の順序で実施されてもよい。方法802の一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図10は、バルーンが製造されるステップ804を実施する方法の一実施形態のフローチャートを示す。ステップ1002において、外側バルーンシート502は、気管内チューブのためのバルーン製造で概して使用される、可撓性でゴム系の薄いシートを使用して作製される。外側バルーンシート502は、バルーン118が膨張したとき、吸引ライン120が収まるためのチャネルとして機能するために、シートにわたって斜めに配列された複数のスリーブ504を含む。外側バルーンシート502上の斜めに整合されたスリーブは、縦方向に丸められ、取り付けられたときに、吸引ライン120のための螺旋溝を作る。外側シートの形状は、図5に示される。
ステップ1004において、内側バルーンシート506は、外側バルーンシート502を作製するときのステップ1002で使用される材料と同様の材料を使用して作製される。内側バルーンシート506は、外側バルーンシート502と同じ形状である。内側バルーン506は、シートにわたって斜めに配列されたスリーブは含まない。
ステップ1006において、内側バルーンシート506は、円筒形状に丸められ、長手方向縁部512に沿って密閉される。ステップ1008において、外側バルーンシート502は、円筒形状に丸められ、その長手方向縁部512沿って密閉される。
ステップ1010において、外側バルーンシート502及び内側バルーンシート506は、遠位縁部510及びバルーン接続点508に沿って互いに密閉される。外側バルーンシート502は、外向きのスリーブ504との接続の外側にある。バルーン接続点508は、バルーン組立体の接続点508領域で空気が膨張するための空間がないことを確実にするために、完全に密閉される。
一実施形態では、方法804のステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図10において別々のステップとして図示されるが、ステップ1002〜1010は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法804は、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法804のステップは、別の順序で実施されてもよい。方法804の一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図11は、バルーンが気管チューブに取り付けられる、ステップ806を実施するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。ステップ804から組み立てられたバルーン118及びステップ802から組み立てられた気管チューブの取り付け。ステップ1102において、バルーン118は、バルーン118を通して接続点508から遠位縁部510に向かって遠位端122を挿入することによって、ステップ802から組み立てられた気管チューブに取り付けられる。接続点508は、吸引管腔出口116と接触することなく、吸引管腔出口116の近位のカテーテル106の周囲で完全に密閉される。
ステップ1104において、バルーン118の内面は、脊椎シール402に沿ってカテーテル106の脊椎長さまで密閉される。脊椎シール402は、拡大開口部124と接触せず、または妨害しない。膨張管腔114は、膨張接続点512でバルーン118に接続される。ステップ1106において、吸引ライン120は、吸引管腔出口116から遠位端122に向かって、カテーテル106に巻き付けられる。吸引ライン120は、スリーブ504によって作られる螺旋溝によって誘導される収縮したバルーン118にさらに巻き付けられる。
ステップ1108において、吸引ライン120は、バルーン118の遠位端の外面に取り付けられる。取り付けられた点は、密閉された遠位縁部510と実際に接触することなく、バルーンの遠位縁部510に沿って近位であってもよい。
一実施形態では、方法806のステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図11において別々のステップとして図示されるが、ステップ1102〜1108は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法806は、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法806のステップは、別の順序で実施されてもよい。方法806の一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図12A及び12Bは、気管チューブシステム100の代替の実施形態、気管チューブシステム1200を示す。より具体的には、図12Aは、気管チューブシステム1200の側面図を示し、図12Bは、気管チューブシステム1200の正面図を示す。
気管チューブシステム1200において、バルーン118の両端は、空気または他のガスがバルーン118から逃げないように、カテーテル106に連結される。バルーン118は、上の吸引ライン120の一部分の配置に適応するように形状決定され、かつ位置付けられる、窪み1210を含む。窪み1210は、図12A及び12Bに示されるように、開放遠位端122から最も離れたバルーン118の一部分に対応するように位置付けられてもよく、かつバルーン118の外面の上部にわたって円周方向に(すなわち、開放遠位端122から離れて)、吸引ライン120の位置付けに適応するようにサイズ決定されてもよい。例えば、窪み1210は、バルーン118の上部外面の60°〜270°(すなわち、16.7%〜75%)にわたって円周方向に、吸引ライン120の位置付けに適応するようにサイズ決定されてもよい。
いくつかの実施形態では、窪み1210が、所望の構成へと吸引ライン120の形状及び/または位置付けを誘導するように作用してもよい一方で、他の実施形態では、吸引ライン120は、窪み1210に収まるように形状決定されるように、例えば、成形プロセスによって予め構成されてもよい。例示目的で、図12A及び12Bに示される窪みは、図14Aに関して以下に記載されるように、三角形状に形状決定された吸引ライン120に適応するように構成される。しかしながら、窪み1210は、以下により詳細に記載されるように、図14B〜14Eの例示的な形状の吸引ライン120など、あらゆる形状の吸引ライン120に適応するようにサイズ決定する、形状決定する、及び/または位置付けることができることが、当業者によって理解されるであろう。
図13は、バルーン組立体500の代替の実施形態、バルーン組立体1300を示す。バルーン組立体1300は、窪み1210と、チューブ接続点508と、遠位縁部510と、膨張接続点512とを有する、例示的なバルーン組立体を示す。場合によっては、窪み1210の態様は、バルーン118が組み立てられたとき、窪み1210がその上に位置付けられるように、図5に関して上記に考察されるスリーブ504に似ていてもよい。加えて、バルーン組立体1300は、図5に関して記載されるものと同様の方法で、バルーン118を作るために組み立てられてもよい。
図14A〜14Eは、吸引ライン120のための種々の例示的な構成を示す。場合によっては、吸引ライン120は、剛性及び/または可撓性材料から作られてもよく、かつシングルピースまたはマルチピース構造であってもよい。吸引ライン120は、任意の適切な形状に構成されてもよい。場合によっては、吸引ライン120は、特定の形状を有するように予め構成されてもよく、及び/または窪み1210などの窪み内に位置付けられる結果として、特定の形状をとってもよい。例えば、吸引ライン120は、図14Aに示されるような三角形の形状、または図14Bに示されるような湾曲した蛇行型の形状に構成されてもよい。図14A及び14Bの実施形態では、吸引ライン120は、窪み1210の形状をとるように予め成形されてもよい。図14A及び14Bの吸引ライン120は、穴1410を介して吸引ライン120によって適用される陰圧によって、体液または他の物質が患者の気管から除去され得る、多数の穴1410を有してもよい。穴1410は、特定の用途に対して適切であるように、均一、密集、及び/または無作為パターンで吸引ライン120内に配置されてもよい。
いくつかの実施形態では、吸引ライン120は、穴1410が上に配列される、図14C及び14Dに示されるような平坦な平面型構成要素を有してもよい。図14Cは、穴1410が無作為パターンで配列される、吸引ライン120の平坦な平面構成要素を示し、図14Dは、穴が平坦な平面構成要素の縁部に沿って配列される、吸引ライン120の平坦な平面構成要素を示す。図14Dの平坦な平面構成要素はまた、吸引ライン120によって供給される流体に適用される陰圧による、気管からの最終的な吸引のために、穴1410への体液及び分泌物の方向を補助するように構成及び/または配列され得る、チャネルまたは溝1425を含んでもよい。
図14Eは、複数の吸引突出または吸引ポート1430を有する、例示的な三角形の形状で構成される、例示的な吸引ライン120を示す。吸引突出/ポート1430が図14E中で一定の縮尺で図示されておらず、例えば、数マイクロメートル(例えば、5または10マイクロメートル)〜数ミリメートル(例えば、0.5〜5mm)、吸引チューブ120から延在してもよいことに留意することが重要である。吸引突出/ポート1430は、例えば、接触した組織、体液、または他の物質への陰圧の適用を促進するために、吸引ライン120から延在してもよい。
図15A及び15Bは、形状決定された吸引ライン120が窪み1210内に位置付けられる、気管チューブシステム1200を示す。より具体的には、図15Aは、形状決定された吸引ライン120が窪み1210内に位置付けられる、気管チューブシステム1200の側面図を示し、図12Bは、形状決定された吸引ライン120が窪み1210内に位置付けられる、気管チューブシステム1200の正面図を示す。
例示目的で、図15A及び15Bは、窪み1210内に位置付けられるものとして、図14Aの三角形状に形状決定された吸引ライン120を示すが、しかしながら、窪み1210は、あらゆる形状決定された吸引ライン120にも適応するようにサイズ決定する、形状決定する、及び/または位置付けることができることが、当業者によって理解されるであろう。
いくつかの実施形態では、吸引バルーン118は、予め作製された窪み1210を含まなくてもよく、これらの実施形態では、吸引ライン120は、バルーン118の表面上に位置付けられてもよい。時として、これらの実施形態では、吸引ライン120は、例えば、気管チューブシステム1200または100が気管内に挿入されたとき、膨張したバルーン118の一部分を押すことによって、窪み1210を形成してもよい。
本明細書に記載されるように、バルーン118の表面上に吸引ライン120を位置付けることは、吸引ライン120(またはその一部分)が、例えば、化学、圧力、及び/または熱によって生じた接着を介してバルーン118に永久的に取り付けられる実施形態を含んでもよい。他の実施形態では、吸引ライン120は、例えば、フレキシブルグルー及び/または潤滑剤によってもたらされた可撓性接着剤を介して、バルーン118の表面上に位置付けられてもよい。さらに、吸引ライン120は、バルーン118の表面上への吸引ライン120の単純な配置を介して、バルーン118の表面上に取り外し可能に位置付けられてもよい(すなわち、バルーン118の表面と吸引ライン120との間に接着なし、または摩擦接合のみ)。加えて、吸引ライン120は、連続的もしくは断続的スリーブもしくはクランプ、及び/または1つ以上のストラップのような保持器具を介して、窪み1210内に位置付けられてもよく、及び/または保持されてもよい。場合によっては、スリーブ(複数可)、クランプ(複数可)、及び/またはストラップ(複数可)は、所定の位置で吸引ライン120を保持するために、位置付けられた吸引ライン120の頂部に配置されてもよい。加えて、ある状況においては、吸引ライン120の一部分は、気管チューブシステム1200が配置される気管壁によって所定の位置で保持されてもよい。
吸引ライン120は、その中の穴1410がバルーン118の表面と接触しないように、バルーン118上に位置付けられてもよい。このようにして、穴1410は、吸引ライン120を介した陰圧の適用によって、患者の気管から体液または他の物質の排出を促進するために、気管内に挿入されたときに、穴1410が気管開口部の組織と接触する、またはほぼ接触するように、(バルーン118の表面に対して)外側を向いてもよい。
図16A及び16Bは、切断先端1620及び焼灼先端1625のそれぞれを有する、例示的な切断手術器具1610及び膀胱鏡手術器具1615の先端部を示し、それらの両方は、それに取り付けられる吸引ライン120を有する。切断及び膀胱鏡手術器具は、患者の体から望ましくない組織を除去するために、切断先端1620及び焼灼先端1625などの切断または焼灼先端を用いて望ましくない組織(例えば、癌性または嚢腫性)を焼くことを伴う外科手術を実施するための器具として、当該技術分野において既知である。切断及び/または焼灼外科技術の使用の望ましくない副産物は、手術野を視覚的にわかりにくくする煙ならびに組織片及び体液(例えば、血液、膿など)の生成である。これらの切断/焼灼副産物を除去する従来の方法は、吸引装置(典型的には、手術用吸引カニューレ)が切断/焼灼副産物を除去するために外科的空洞内に挿入され得るように、外科的空洞からの切断/膀胱鏡手術器具の除去を伴う。
しかしながら、切断及び膀胱鏡手術器具1610及び1615は、切断/焼灼副産物が、吸引ライン120の穴1410及び/または及び開放もしくは部分的開放端部のいずれかを介して適用される陰圧によって生成されるため、切断/焼灼副産物を外科的空洞から除去され得るように、それらに取り付けられる吸引ライン120を有する。切断及び膀胱鏡手術器具1610及び1615への吸引ライン120の取り付けは、切断または膀胱鏡手術を伝統的に実施するために必要とされるような、手術を実施するための時間、ならびに外科的空洞の中/外への切断または膀胱鏡手術器具及び吸引装置の繰り返される挿入及び除去によって引き起こされる、手術部位周囲の組織の外傷を低減するように作用し得る。加えて、またはあるいは、切断及び膀胱鏡手術器具1610及び1615への吸引ライン120の取り付けは、手術野から煙、灰、組織片、及び/または体液を連続的に、またはほぼ連続的に除去することによって、切断及び膀胱鏡外科手術を実施するときの視界を改善するように作用し得る。
多くの種類の手術器具(メス、内視鏡、マイクロはさみ、クランプなど)が、例えば、手術野からの組織、液体、血液、及び/または煙の除去を補助するために、それに取り付けられる吸引ライン120のような吸引ラインを有することから利益を得ることができ、それにより外科手術を実施するときの可視度を改善することが、当業者によって理解されるであろう。
図17は、気管チューブシステム1200が気管1720内に位置付けられた、患者の断面図である。図17が一定の縮尺で図示されていないことに留意されるべきである。図17の実施形態では、バルーン118、窪み1210、及び吸引ライン120の組立体は、患者の声帯1710の下に位置付けられる。組立体は、そうでなければ気管1720に適用される重力によって、その後壁上に集まる、または溜まる可能性がある気管からの
体液、排出物などの排出のために、吸引ライン120またはその一部分が気管壁1725の後方部分と接触しているように、位置付けられてもよい。場合によっては、バルーン118とカテーテル106との間の上部接合部が声帯1710の(例えば、0.1cm〜1.5cm)下に位置し得るように、気管チューブシステム1200組立体を位置付けることが好ましくあり得る。好ましくは、上部接合部は、声帯1710の0.5cm下に位置する。
したがって、気管チューブ、気管チューブシステム、及び手術器具、ならびにそれらに取り付けられた吸引装置が本明細書に記載されてきた。本明細書に記載される気管チューブの種々の実施形態によって(連続的に、周期的に、または必要に応じて)適用される陰圧または吸引は、本明細書に記載される気管チューブのいずれかが挿管されている間の患者の気管から、細菌及びバクテリアのための繁殖場所、ならびにエアロゾル化病原体のための捕集剤として機能し得る、貯留している体液及び分泌物ならびに病原体及び異物を抽出する。気管からの貯留している体液及び分泌物の抽出は、それらが吸引ライン120を超えて、かつ肺内へと移動しないため、VAP及び他の疾病の事例を減少させる働きをし得る。
加えて、本明細書に開示される気管チューブの使用は、吸引ライン120によって適用される吸引及び陰圧が吸引ライン120に沿った複数の穴にわたって分散され、単一の穴に集中していないため、伝統的な気管チューブが挿管されることに典型的に関連した不快感を減少させる働きをし得る。結果として、分泌物及び他の体液を除去するために使用される、特定の気管位置に適用される吸引/陰圧の量は、(単一の吸引穴の場合のような)気管内の1つの位置のみに適用される吸引/陰圧の量と比較して比較的小さい。これは、気管組織に及ぼされる力がより大きい面積にわたって分散されるため、臨床的に有意である。その結果として、気管組織のいずれか一点に及ぼされる力はより小さく、このようにして、気管組織に力を加えることによって引き起こされ得る外傷及び不快感は低減される。これは、陰圧または吸引が、敏感な気管組織の損傷ならびに患者の刺激及び不快感を引き起こすことなく、より長い期間、気管に適用されることを可能にする。
加えて、本明細書に記載される気管チューブの実施形態は、患者の向き(例えば、仰臥位、腹臥位、または側臥位)にかかわらず、患者の気管内で展開され得る。例えば、気管チューブ実施形態100、200A、及び200Bに関して、吸引ライン120は、バルーン118の円周全体に巻き付き、したがって、挿管された患者の向き及び患者内に位置付けられたときの気管チューブの向きにかかわらず、陰圧または吸引を気管壁に適用することができる。加えて、気管チューブ実施形態1200に関して、窪み1210及び吸引ライン120は、バルーン118の部分的円周(60°〜270°)に巻き付き、窪み1210及び吸引ライン120によって覆われるバルーン118の円周の一部分のサイズに応じて、吸引ライン120は、挿管された患者の向き及び患者内に位置付けられたときの気管チューブの向きにかかわらず、貯留している体液及び他の物質を抽出するために、陰圧または吸引を患者の気管壁に適用することができるが、気管チューブ1200と反対の方向に向けられた患者は除外する可能性があり、その場合、重力が、液体/他の物質を、吸引ライン120によって接触されていない、またはそれに十分に近くない気管壁の一部分に貯留させる可能性がある(例えば、患者がうつぶせになっている場合、窪み1210及び吸引ライン120は、患者の後ろ側に向かって向けられる)。しかしながら、この例外の発生は、臨床的にまれであり、もし発生した場合、気管チューブ1200は、気管壁の前方部分に貯留し得る体液及び他の物質に陰圧を提供するように位置付けられるために、わずかに回転させられ得る。
さらに、本明細書に開示される気管チューブ実施形態の吸引ライン120は、気管壁に付着することによって、いったん患者内に挿入されると、気管チューブに対する所望の位置を維持するように作用し得、それにより、気管に沿った気管チューブの滑りを防止する。
本明細書に開示される各実施形態が使用されてもよく、または別様に、開示される他の実施形態のいずれかと組み合わされてもよい。いずれの実施形態のいずれの要素も、いずれの実施形態で使用され得る。
本発明は特定の実施形態を参照して記載されてきたが、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、かつ同等物がその要素の代わりになり得ることが、当業者によって理解されるであろう。加えて、本発明の本質的な教示から逸脱することなく、修正が行われ得る。
関連出願
本願は、2013年10月10日出願の「TRACHEAL TUBE」と題する米国特許出願第14/051,443号の一部継続出願である、「TRACHEAL TUBE」と題する2014年1月7日出願の米国特許出願第14/149,403号の一部継続出願であり、それらの両方の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書は、概して、気管チューブ及び吸引装置の分野に関する。
背景技術の節で考察される主題は、単に背景技術の節でのその言及の結果として、従来技術であると見なされるべきではない。同様に、背景技術の節で言及される、または背景技術の節の主題と関連する問題及びその原因の理解も、従来技術においてすでに認識されていると見なされるべきではない。背景技術の節における主題は、異なる手法を表すにすぎず、それら自体も発明となり得る。
吸引手段を有する膨張可能なバルーンを備えた気管チューブは、当該技術分野において広く知られている。しかしながら、そのような従来技術の吸引手段は、バルーンの上及び周囲の分泌物を吸引することに関しては非効率であり、したがって、分泌物及び/または病原体をバルーン及び気管壁を通して気管チューブの空気流中へと移動させる。ある特定の状況において、分泌物/病原体は、気管チューブを通って患者の肺の中へと移動する換気した空気の高速度によってエアロゾル化される。高速度で移動するエアロゾル化した病原体は、病原体を肺の奥深くへと送り込む可能性があり、人工呼吸器関連肺炎(VAP)を引き起こす可能性がある。
本発明は、添付の図面の図中に限定ではなく一例として例示される。
気管チューブの一実施形態の図を示す。
図1と同様であるが、気管チューブの別の実施形態を例示する図を示す。
気管チューブのさらに別の実施形態の図を示す。
図1の切断線3−3に沿ってカテーテルを通して長手方向に取られた、図1のカテーテルの一実施形態の断面図を示す。
図1の切断線4−4に沿ってカテーテル及びバルーンを通して長手方向に取られた、図1のカテーテル及びバルーンの一実施形態の断面図を示す。
バルーン組立体の一実施形態の図を示す。
気管内チューブを挿入するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
気管内チューブを除去するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
カフ及び気管領域の境界から分泌物を吸引するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
洗浄流体分注装置が洗浄流体を適用するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
患者を人工的に換気するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
気管チューブを製造する方法の一実施形態のフローチャートを示す。
気管チューブを製造するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
バルーンを作るための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
バルーンを気管内チューブに取り付けるための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
気管チューブの一実施形態を示す。
気管チューブの一実施形態を示す。
バルーン組立体の一実施形態の図を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
形状決定された吸引チューブの実施形態を示す。
気管チューブの一実施形態を示す。
気管チューブの一実施形態を示す。
例示的な切断及び膀胱鏡手術器具の実施形態を示す。
例示的な切断及び膀胱鏡手術器具の実施形態を示す。
気管チューブシステムが気管内に位置付けられた患者の断面図を示す。
気管チューブシステムは、第1及び第2のチューブと膨張可能なバルーンとを含んでもよい。第1のチューブは、可撓性かつ中空であり、第1及び第2の開放端部を有してもよい。膨張可能なバルーンは、第1のチューブの一部分に取り付けられ、かつそれを円周方向に包囲してもよい。第1のチューブの第1の端部は、人工呼吸装置及び第1のチューブに連結されるように構成され、人工呼吸装置によって提供される空気または他のガスが第1のチューブを通って(気管チューブシステムを)挿管された患者の肺内へ流動することを可能にするように構成されてもよい。
膨張可能なバルーンは、第1のチューブの第1及び第2の端部の間に位置付けられ、膨張可能なバルーンが膨張したとき、その中に位置付けられる第2のチューブの一部分を収容するようにサイズ決定され、かつ位置付けられる窪みを含んでもよい。いくつかの実施形態では、窪みは、膨張可能なバルーンの円周または円周の一部分の周囲に延在してもよい。
いくつかの実施形態では、窪みの一部分は、膨張可能なバルーンと第1のチューブとの間の接合部と一致して、またはほぼ一致して、膨張可能なバルーン上に位置付けられる。接合部は、チューブの第1の端部とバルーンとの間に位置付けられてもよい。
第2のチューブは、中空であり、バルーンと接触していない側壁に沿って多数の穴を有してもよい。場合によっては、第2のチューブは、湾曲しているか、または特定の形状(例えば、三角形、円など)に予め構成されていてもよい。第2のチューブは、可撓性、剛性、または両方の組み合わせであってもよい。ある状況においては、第2のチューブは、2つ以上の部品の組立体であってもよい。第2のチューブは、例えば、化学的もしくは熱による接着、スリーブ、ストラップ、及び/またはクランプを介して、窪み内でバルーンに取り付けられてもよい。
第2のチューブは、第2のチューブ内に陰圧を発生させる吸引装置に連結されるように構成されてもよい。時として、第1のチューブは、吸引装置に連結される管腔を有してもよく、管腔内の陰圧は第2のチューブ内に陰圧を発生させてもよい。気管チューブシステムが患者の気管内に挿入されたとき、第2のチューブ内の陰圧は、気管から体液及び他の物質を除去または吸引するように作用してもよい。場合によっては、気管チューブシステムが気管内に配置されたとき、吸引装置によって発生された陰圧は、気管の内面または壁に対して第2のチューブを保持するように作用し、それにより、バルーンを越えた、かつ気管下部及び肺への分泌物の移動を防止してもよい。
いくつかの実施形態では、窪み及び第2のチューブは、気管チューブシステムが気管内に挿入され、バルーンが膨張し、陰圧が吸引装置によって第2のチューブに適用されたとき、第2のチューブが気管壁の後方部分などの気管壁の一部分に対して位置付けられるように、膨張可能なバルーンに対して位置付けられてもよい。
本発明の種々の実施形態が、本明細書の1つ以上の個所で考察または示唆され得る従来技術の種々の欠点によって動機付けられた可能性があるが、本発明の実施形態は、必ずしもこれらの欠点のいずれかに対処するとは限らない。換言すれば、本発明の異なる実施形態は、本明細書で考察され得る異なる欠点に対処し得る。いくつかの実施形態は、本明細書で考察され得るいくつかの欠点または1つの欠点のみに部分的にのみ対処する場合があり、いくつかの実施形態は、これらの欠点のうちのいずれかに対処しない場合がある。
概して、図1〜5のそれぞれの考察の初めに、各要素の簡単な説明があり、それは、考察される図1〜5のうちの1つにおける要素のそれぞれの名前を有するにすぎない場合がある。各要素の簡単な説明の後、各要素は、番号順にさらに考察される。概して、図1〜5のそれぞれは、番号順に考察され、図1〜5内の要素もまた、通常、特定の要素の考察を容易に見つけることを促すために、番号順に考察される。それにもかかわらず、図1〜5の任意の要素の情報の全てが必ずしも見つけられない位置はない。図1〜5のいずれかの任意の特定の要素または任意の他の態様に関する特有の情報は、本明細書のいずれかの部分に見られるか、またはそれによって示唆されてもよい。
図1は、気管チューブシステム100の一実施形態の図を示す。気管チューブシステム100は、少なくとも1つの接続器102と、対向する開放近位端104及び開放遠位端122を有するカテーテル106と、吸引装置108Aと、空気分注装置108Bと、流体分注装置108Cと、流体貯蔵器108Dと、少なくとも1つの吸引チューブ108Eと、少なくとも1つの膨張チューブ110Aと、パイロットバルーン110Bと、膨張流体供給装置110Cと、少なくとも1つの吸引チューブ管腔112と、少なくとも1つの膨張チューブ管腔114と、少なくとも1つの吸引ライン出口116と、少なくとも1つのバルーン118と、少なくとも1つの吸引ライン120と、少なくとも1つの拡大開口部124と、少なくとも1つの拡大空気通路126とを含んでもよい。他の実施形態では、気管チューブシステム100は、列挙された要素もしくは特徴の全てを有しなくてもよく、及び/または列挙されたものの代わりに、もしくはそれらに加えて他の要素もしくは特徴を有してもよい。例えば、バルーン118は、両方の端部で閉鎖されてもよい(すなわち、開放遠位端122に最も近いバルーン118の部分は、拡大空気通路126を密封するために閉鎖されてもよい。
気管チューブシステム100は、360度の吸引ラインと拡大空気流通路とを有する気管チューブである。一実施形態では、吸引は、15mm Hgの陰圧で設定される。気管チューブシステム100は、気管内、気管支内、及び気管切開チューブなど、種々のチューブのために使用されるように適合されてもよい。気管チューブシステム100は、開放空気通路を維持するために、もしくは酸素、薬剤を送達するために、または粘液の吸引を可能にするために、もしくは口内分泌物の吸引を可能にするために、口または鼻を通して気管内に挿入されるカテーテルである。気管チューブシステム100は、空気が通過することを可能にするために、両端で開放されている、可撓性で中空の円筒状チューブであってもよい。
接続器102は、人工呼吸器に接続するように適合される接続である。接続器102は、気管チューブシステム100を人工呼吸器に取り付ける。一実施形態では、接続器102は、4cmの長さ、1.5cmの近位外径(OD)、1.3cmの近位内径(ID)、及び1.5cmの近位長さを有してもよい。安全装置(カラーである)の断面積は、1.5cm×2.5cmである。一実施形態では、安全装置の長さは、0.5cmである。一実施形態では、接続器102の遠位開口部外径(OD)は、0.8cmである。一実施形態では、接続器102の遠位長さは、2cmである。一実施形態では、本明細書に列挙された寸法の全てに対する許容誤差は、問題の寸法の値の+/−10%である。別の実施形態では、本明細書での許容誤差は、問題の寸法の+/−5%である。一実施形態では、接続器102は、硬質ポリプロピレンから作られる。他の実施形態では、人工呼吸器は、人工呼吸器が利用可能ではない場合、空気袋に置き換えられてもよい。
近位端104は、患者内に挿管されていない気管チューブシステムの端部である。本明細書において、患者に挿管することは、患者内にチューブを配置することを指す。例えば、患者に挿管することは、人工呼吸のために気管内に呼吸チューブを挿入することを指し得る。近位端104は開放しており、人工呼吸器と反対側の接続器102の端部に接続される。一実施形態では、近位端104は、31cmの長さを有する。一実施形態では、近位端104は、可撓性ポリ塩化ビニルから作られる。
カテーテル106は、薬剤の送達を補助するために、体内に挿入されるチューブである。カテーテル106は、酸素を送達するために気管に挿入されてもよい。カテーテル106は、チューブから作られてもよい。カテーテル106は、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル、PVC)から作られてもよい。プラスチック材料は、視覚的に透明または不透明であってもよい。プラスチックは、放射線不透過性であるため、カテーテル106は、チューブを胸部X線上でより見えるようにする放射線不透過性材料のラインを有してもよい。他の実施形態では、カテーテル106は、網入りシリコーンゴムから作られてもよい。さらに他の実施形態では、カテーテル106は、シリコーンゴム、ラテックスゴム、またはステンレス鋼から作られてもよい。気管チューブを作製するために使用される異なる材料は、通常、必要とされるチューブの用途によって決まる。例えば、網入りシリコーンゴムカテーテルは、非常に可撓性であるが、それでもなお圧縮するまたはねじるのが困難であり、気管が長期の持続時間挿管されたままであることが予測される状況に対して、または手術中にネックが可撓性のままである必要がある場合に、網入りシリコーンゴムカテーテルを有用にする。
カテーテル106は、内径及び外径を有し得る。気管チューブの「サイズ」は、カテーテルの内径を指す。例えば、「サイズ6」の気管チューブを要求した場合、6mmの内径を有する気管チューブを要求している。さらに、内径は、カテーテル106上に「ID 6.0」と表示されてもよい。より狭いチューブは、ガス流に対する抵抗を増加させる。例えば、サイズ4mmのチューブは、サイズ8mmのチューブよりもガス流に対して16倍大きい抵抗を有する。さらなる抵抗は、増加した抵抗を克服するためにさらに努力しなければならなくなる、自発呼吸する患者において特に関連性があり得る。したがって、適切な「サイズ」を選択するとき、所与の患者に好適である最大サイズが典型的に推奨される。ヒトに関して、カテーテル106のサイズは、新生児に対して2.0mm〜成人男性に対して10.5mmに及んでもよい。カテーテル106は、0.7cm〜0.9cmのODを有してもよい(患者のサイズに応じて)。
カテーテル106は、カテーテル106を使用している人または物に応じて異なる長さを有してもよい。カテーテル106の長さは、気管に入る端部から測定される。カテーテルの長さは、カテーテル106が口からまたは気管切開瘻を通して挿入される場合に異なり得る。経口挿入を伴うヒトに関して、カテーテル106の長さは、新生児に対して7.5cm〜成人男性に対して23cmに及んでもよい。一実施形態では、カテーテル106は、気管内チューブとして経口または経鼻挿入されてもよい。
別の実施形態では、カテーテル106は、気管切開瘻の中に挿入され、気管切開術で使用されてもよい。気管切開は、効果的な気道を保持し、患者が呼吸するのを補助するためにチューブが挿入され得る、首を通じた気管内への開口部である。気管切開瘻は、実際の開口部である。カテーテルが気管切開術で使用されるとき、カテーテル106の長さはより短くなり得る。
主チャネル107は、患者に酸素を含有するガスを送達するための、または患者から二酸化炭素(CO2)を抽出するためのカテーテル106の主要な通路である。主チャネル107のODは、0.6cm〜0.8cmと異なる。一実施形態では、主チャネル107の直径は、カテーテル106の内径と同じである。
吸引装置108Aは、患者から粘液または他の望ましくない体液を除去するために使用され得る機械である。吸引装置108Aは、患者から粘液または他の望ましくない体液を抽出するために陰圧を発生させる。吸引装置108Aは、異なる吸引力を有してもよい。吸引装置108Aは、一定の吸引を提供するために、低い吸引力設定で連続的に作動してもよい。吸引装置108Aは、用途の状況に応じて、周期的にまたは必要に応じて作動してもよい。
空気分注装置108Bは、空気または他のガスならびにエアロゾル化薬剤(例えば、医薬品)を送り込むために使用され得る機械である。空気分注装置108Bは、電子的に動力供給された空気分注器または空気が充填された注射器などの手動空気ポンプであってもよい。
流体分注装置108Cは、流体を送り込むために使用される機械である。流体分注装置108Cは、変動するまたは固定の分注力を有する電子的に動力供給された流体分注器であってもよい。流体分注装置108Cはまた、空気が充填された注射器などの手動操作装置であってもよい。
流体貯蔵器108Dは、より容易な抽出を可能にするために粘液の蓄積を緩和するのを補助するために、患者内に分注する洗浄流体を保管するための貯蔵器である。流体貯蔵器は、洗浄剤として使用される水であってもよく、及び/もしくは別の洗浄剤を含んでもよく、または生理食塩水もしくは抗生物質洗浄剤であってもよい。流体貯蔵器108Dは、流体分注装置108Cのための流体源であってもよい。いくつかの実施形態では、流体分注装置108Cは、108Dの流体貯蔵器から引き出す必要がなくてもよい。
吸引チューブ108Eは、カフ及び気管チューブの周囲の気管領域の境界内に集まった分泌物を吸引するように適合されるチューブである。カフ及び気管領域の境界は、声帯の下の喉頭腔の部分である。吸引チューブ108Eは、分泌物を吸引するための吸引装置に接続するように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、吸引チューブ108Eは、開放近位端104の近位でカテーテル106に取り付けられてもよい。他の実施形態では、吸引チューブ108Eは、カテーテル106の内壁の中へと延在してもよい。吸引チューブ108E長さは、24cmである。吸引チューブ108Eは、可撓性ポリ塩化ビニルから作られてもよい。
別の実施形態では、吸引チューブ108Eは、吸引チューブを空にするために吸引チューブ108E中に空気を分注するための空気分注装置108Bに接続するように適合されてもよい。
さらに他の実施形態では、吸引チューブ108Eは、洗浄流体を提供するための流体分注装置108Cに接続するように適合されてもよい。流体分注装置は、流体分注貯蔵器108Dから洗浄流体を引き出してもよい。洗浄流体の目的は、気管チューブの周囲に集まり得る粘液を緩和するために、カフ及び気管の周囲の気管領域の境界を包囲する分泌物及び粘液を緩和することであってもよい。いったん洗浄流体が導入されると、吸引力は吸引チューブ108Eに戻されてもよく、緩和または溶解された可能性がある液体及び任意の分泌物は除去され得る。洗浄流体方式の導入は、必要であると見なされる場合に繰り返されてもよく、それは、集まり、吸引を妨げる可能性があり得る分泌物及び他の体液を洗浄するために、介護者または使用者の判断で実施される。洗浄流体は、水、生理食塩水、ならびに他の生体適合性液体もしくは粘液溶解薬を含んでもよい。粘液溶解薬は、濃い粘液を溶解し、通常、呼吸困難を軽減するのを補助するために使用される薬剤である。それは、分泌物内の種々の化学結合を溶解することによって粘液を溶解し、ムチン含有成分を変化させることによって粘度を低減することができる。
膨張チューブ110Aは、膨張流体を供給するために使用されるチューブである。一実施形態では、膨張チューブ110Aの長さは、24cmである。一実施形態では、膨張チューブは、可撓性ポリ塩化ビニルから作られる。
パイロットバルーン110Bは、それが接続される別のバルーン内に存在する空気圧の表示を提供するバルーンである。さらに、パイロットバルーン110Bは、一方向弁の設計によって、パイロットバルーン110B中に膨張した空気が抜けることを防止する一方向弁を有する。パイロットバルーン110Bは、パイロットバルーン110Bが圧縮されたとき、バルーン収縮器として機能し、したがって一方向弁を二方向弁に変えてもよい。
膨張流体供給装置110Cは、膨張流体を送達する装置である。膨張チューブ110Aは、パイロットバルーン110Bを経由して膨張流体供給装置110Cに接続されてもよい。流体供給装置110Cは、注射器またはポンプであってもよい。膨張流体は、膨張流体の所望の機能に応じてガスまたは液体であってもよい。膨張流体は空気であってもよい。膨張流体はまた、メチレンブルー生理食塩水であってもよい。例えば、ある気道手術は、組織を焼灼するためのレーザビームの使用を伴う。これらのビームは、通常の気管内チューブに火を付ける可能性があり、酸素の存在下で、主な気道の発火を引き起こす可能性がある。レーザがバルーンを損傷してしまう場合、着色が裂傷を識別するのに役立ち、生理食塩水が気道の発火を防止するのに役立つ。
吸引チューブ管腔112は、カテーテル106の長さに沿って延在する吸引チューブ108Eの延長である。吸引チューブ管腔112はさらに、吸引チューブ108Eから気管チューブに吸引を提供する。吸引チューブ管腔112は、吸引チューブ108Eに接続されてもよく、またはそれは、カテーテル106に接続される吸引チューブ108Eの延長であってもよい。吸引チューブ管腔112はまた、カテーテル106の長さに沿って、かつその壁の内側に延在してもよい。別の実施形態では、吸引チューブ管腔112は、カテーテル106の外面に取り付けられ、カテーテル106の長さに沿って延在してもよい。他の実施形態では、吸引チューブ管腔112は、吸引チューブ108Eから洗浄流体を提供してもよい。
膨張チューブ管腔114は、カテーテル106の長さに沿って延在する膨張チューブ110Aの延長である。膨張チューブ管腔114は、膨張チューブ110Aに接続されてもよい。膨張チューブ管腔114は、カテーテル106の長さに沿って、かつその壁の内側に延在する膨張チューブ110Aの延長であってもよい。別の実施形態では、膨張チューブ管腔114は、カテーテル106の外面に取り付けられ、カテーテル106の長さに沿って延在してもよい。
吸引管腔出口116は、吸引チューブ管腔114がカテーテル106から出てくる点である。吸引管腔出口116は、それが、分泌物がカフ及びバルーン上の気管に隣接する領域内で蓄積する位置に近位であるように、カテーテル106の長さに沿って戦略的に位置する。
バルーン118は、膨張可能な弾性カフである。バルーン118は、陽圧換気を可能にするために、気管チューブと患者の気管壁との間の密閉として機能する。陽圧換気は、通常、気管内チューブを介して、空気が陽圧下で気道及び肺に送達され、吸気中に気道陽圧をもたらす人工呼吸である。バルーン118は、ゴムまたは弾性ポリマーポリウレタンの種々の組成物から作られてもよい。ゴム材料の厚さ及び弾性は、バルーン118/気管チューブシステム100の使用目的に応じて異なり得る。一実施形態では、バルーン118は、長さが5cm、及び直径が3cmである。カルシウム代謝におけるまれな異常を除いて、ほとんどのヒト男性及び女性の気管直径は、それぞれ25〜29mm及び23〜27mmの範囲内である。一実施形態では、各チャンバ間の密閉は、空気が1つのバルーンから次へと流動することを可能にするために完全ではない(チャンバ間の開口部は、バルーンの幅であり、かつ0.1〜0.5cmの高さであってもよい)。いくつかの実施形態では、バルーン118は、高圧、小容量バルーンであってもよい。他の実施形態では、バルーン118は、低圧、大容量バルーンであってもよい。バルーンの本来の目的及び使用に応じて、適切な材料が使用される。患者内に導入されたとき、バルーン118は最初収縮している。いったん気管チューブシステム100が患者の気管内に配置されると、膨張チューブ110Aは、バルーン118を膨張させるための流体供給装置に適合されてもよい。バルーン118は、膨張チューブ管腔114に接続される。いったんバルーン118が膨張すると、バルーン118の形状及び拡大したサイズは、気管壁に対して密閉をもたらし、それによりカテーテル106を介して肺内に送り込まれるガスが、チューブの周囲で逆流し、気管チューブを通して逃げることを防止し、それにより陽圧換気を提供する。バルーン118の膨張は、肺を人工的に換気するために必要な陽圧を提供するために、密閉をもたらす。
バルーン118は、吸引管腔出口116と遠位端122との間でカテーテル106に取り付けられる。バルーン118は、吸引管腔出口116の遠位のバルーンの端部で、カテーテル106に完全に密閉している。しかしながら、バルーン118の反対側の端部は、カテーテル106に密閉していない。代わりに、開放遠位端122の近位のバルーン118は、円筒状である。バルーンは、気管チューブに取り付けられていないときに、ボトルの底部分なしのボトルの形状に似ている。バルーンの形状は、バルーンの円形チャンバによってもたらされ、チャンバのサイズは異なり得、最大バルーンが最初であり、バルーンのサイズは、肺に向かう方向に沿って減少する。例えば、一実施形態では、チャンバのバルーン118の直径は、近位から遠位の順序で、それぞれ3cm、1cm、0.6cm、0.4cm、0.2cm、及び0.1cmである。
別の実施形態では、バルーン118は、開放遠位端122から、カテーテル106の長さに沿って、接続器102の近位まで延在してもよい。
バルーン118を有する気管チューブは、バルーン118上で生成される分泌物が食道または気管の通路に沿って流動することができず、それによりバルーン118上に集まり、病原体の考えられる蓄積のための部位を提供する可能性があるという問題を提示し得る。時に、これらの病原体は、バルーン118によってもたらされるカフを通過し、開放遠位端122付近のカフの下に行き着く可能性がある。いったん病原体がバルーン118を通過すると、病原体は、患者の肺内に入り込み、有害な感染をもたらす可能性がある。バルーン118上の分泌物の蓄積は、同様に他の問題も提示し得る。
吸引ライン120は、チューブの側壁に沿って分散される小さい穴を有するチューブである。穴が吸引ライン120の両方の側壁を通るのとは対照的に、吸引ライン120の1つの側壁のみを通ることに留意することが重要である。穴は、任意の適切な配列で分散されてもよく、例えば、密集して、または均一に分散して配列されてもよい。穴の側壁は、V、U、または正方形の形状など、任意の適切な形状をなしてもよい。穴によって形成される吸引ライン120中の開口部は、円形、楕円形、正方形、矩形、またはこれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない、任意の適切な形状であってもよい。一実施形態では、吸引ライン120は、長さが1cmである。小さい穴は、吸引ライン120と接触する分泌物の吸引及び除去を可能にする。吸引ライン120は、吸引チューブ108E及び吸引チューブ管腔112の延長であってもよい。吸引ライン120は、吸引管腔出口116において、カテーテル106の壁内から出てくる。吸引ライン120の近位のバルーン118とカテーテル106との接続点は、カテーテル106へのバルーン118のしっかりとした密閉を確実にするために、バルーン118の5cm〜1.5cm上であってもよい。吸引ライン120は、カテーテル106の周囲及びバルーン118の上に巻き付けられる。吸引ライン120の巻き付きは、バルーンに取り付けられるカフ吸引ラインのレベルで、患者の呼吸に悪影響を及ぼすことなく、バルーン118の上及び患者の気管内の空間(カフ及び気管によって隣接される領域)中に集まる分泌物流体の360度吸引を提供する。
吸引ライン120はまた、バルーン118に巻き付いてもよい。吸引ライン120は、バルーン118の外面の遠位点で終端する前に、複数回バルーン118に巻き付いてもよい。吸引ライン120は、バルーン118と患者の気管との間の空間中に集まる分泌物の吸引を提供する。吸引ライン120はまた、吸引ライン120内に陰圧があるとき、バルーンと患者内の気管壁との間に追加の密閉特性を提供してもよい。
吸引ライン120はまた、バルーン118の外面上の所定のスリーブ内で、バルーン118に巻き付いてもよい。スリーブは、図5及び12Cでさらに考察される。
他の実施形態では、吸引ライン120はまた、吸引チューブ108Eが洗浄流体を分注するための流体分注装置に接続するように適合されるとき、洗浄流体を分配させてもよい。洗浄流体は、吸引ライン120に沿って分散した小さい穴を通って流動する。
開放遠位端122は、気管チューブシステム100の端部における開口部である。ほとんどの実施形態では、開放遠位端122は、患者の気管領域内に存在する端部であり、開放遠位端122は、主チャネル107を通って移動する人工呼吸器の空気が患者の肺に入ることができる場所である。気管チューブシステム100が患者内に挿管されたとき、カテーテル106の開放遠位端122は、患者の上部呼吸器系内に位置する。本使用において、開放遠位端122は、開放遠位端122が遮断された場合に、空気通路の第2の源としてカテーテル106の側壁に開口部を有する、患者を機械的に換気するための主空気通路として機能する。本実施形態では、開放遠位端122は、なお空気通路として機能する。
拡大開口部124は、開放遠位端122が遮断または妨害された場合に、患者の肺への代替の空気流動源を提供する。拡大開口部124は、拡大開口部124が開放遠位端122よりもかなり大きい開口部を有するため、患者の肺内への空気流動の主要源として機能する。拡大開口部124からの空気流は、バルーン118の内部層と接触する。膨張したバルーン118は、患者の肺と気管チューブシステム100との間の空気圧の逃げを防止するために、気管壁に沿ってカフを作る。拡大開口部124から出てくる空気流は、バルーン118の内層の周囲を流動してもよい。拡大開口部124は、開口部124が、吸引管腔出口116の近位のカテーテル106とのバルーン118の360度密閉に近い点から開始し、バルーン118が遠位端122の近位で終端する点を越えて延在するように、バルーン118よりもカテーテル106の長さに沿ってわずかに長い長さを有してもよい。拡大開口部124の幅は、患者の肺とカテーテル106との間を移動する空気流動のより大きい断面積をもたらすように調節されてもよい。
別の実施形態では、バルーン118の長さが開放遠位端122の近位からカテーテル106の長さに沿って延在し、開放近位端104の近位で終端し得る場合、拡大開口部124の長さは、空気流が主チャネル107と患者の肺との間を移動するためのより大きい範囲を提供するために、カテーテル106全体の長さに沿って延在してもよい。
拡大空気通路126は、体液が患者の気管と気管チューブシステム100との間を通過する通路である。拡大空気通路126のサイズは、膨張したバルーン118の内径によって測定された断面積をとり、カテーテル106の断面積を引くことによって決定され得る。拡大空気通路126は、従来の装置と比較してより低い速度で、同量の空気体積が患者の肺内に移動することを可能にする。
ある体積の空気がパイプを通って流動する速度は、パイプの直径に基づき増加または減少し得る。流入速度の減少は、粒子径を増加させ、エアロゾル化を減少させ、マイクロ・スペシエーションを減少させる。パイプの直径は、その体積の空気が流動するのに利用可能な断面積を画定する。通路を通る空気流動のある体積の速度は、通路の直径が増加した場合に減少し得る。同様に、減少した直径の通路を通る空気の同じ固定体積を移動させるために、通路の直径が減少したとき、その体積の空気が流動する速度は、減少した直径の通路を通る空気の同じ固定体積を移動させるために増加しなければならない。増加した通路の直径は、空気が移動するための断面積を増加させる。開放遠位端122の近位のバルーン118の形状によってもたらされる拡大空気通路126に基づく、空気が気管チューブシステム100を通って移動するためのより大きい断面積によって、拡大空気通路126で肺(複数可)内に流動する必要がある同じ体積の空気が、低減した速度で肺(複数可)に送達され得る。バルーン118内に位置する拡大開口部124から流動する空気の体積は、拡大空気通路126を通して肺に送達される。拡大空気通路126における空気流の速度の低減は、人工呼吸器関連肺炎(VAP)など、気管手術に伴う課題の一般的な原因に対処するのに役立つ。VAPは、人工呼吸器の高速から肺の下部へと放たれる異物の「エアロゾル化」を排除することによって最小限に抑えられ得る。現在、肺内へと高速で移動する異物の「エアロゾル化」は、従来の気管チューブの小さい断面積によるものである。チューブの断面積が小さいほど、同体積の空気を移動させるために必要とされる速度は高くなる。拡大空気通路126は、適切な量の空気が空気流の低減した速度で患者の肺内へと移動することを可能にし得、VAPを引き起こす可能性がある、肺に送達される病原体の数を低減するのに役立ち得る。一実施形態では、空気通路126の長さは4.5cmであるが、対照的に、標準的なMurhpy’s Eyeは、1.0〜1.5cmである。
図2A及び2Bは、図1と同様であるが、それぞれ気管チューブシステム200A及び200Bの他の実施形態を例示する図を示す。気管チューブシステム200A及び200Bは、図1で説明されるように、以下の要素、少なくとも1つの接続器102と、対向する開放近位端104及び開放遠位端122を有するカテーテル106と、吸引装置108Aと、空気分注装置108Bと、流体分注装置108Cと、流体貯蔵器108Dと、少なくとも1つの吸引チューブ108Eと、少なくとも1つの膨張チューブ110Aと、パイロットバルーン110Bと、膨張流体供給装置110Cと、少なくとも1つの吸引ライン120と、複数の拡大開口部124と、少なくとも1つの拡大空気通路126と、少なくとも1つのバルーン218a(図2A)または218b(図2B)とを含んでもよい。他の実施形態では、気管チューブシステム200A及び200Bは、列挙された要素もしくは特徴の全てを有しなくてもよく、及び/または列挙されたものの代わりに、もしくはそれらに加えて他の要素もしくは特徴を有してもよい。
さらに、気管チューブシステム200A及び200Bはまた、声帯ヒダ202を含んでもよい。声帯ヒダ202は、狭く、かつ患者の声帯をきれいにするのに必要な量にわたって延在する、バルーン118の一部分である。声帯ヒダ202の目的は、気管チューブシステム200A及び200Bと患者の声帯との間の接触を最小限に抑えることである。本実施形態のバルーン218aまたは218bは、カテーテル106のほぼ全長に沿って延在する。バルーン218aまたは218bの長さ及びバルーン218aまたは218b中のヒダ以外、バルーン218aまたは218bは、図1に記載される実施形態と本質的に同じである。声帯への直接的な圧力を避けるために、バルーンはヒダ内に位置していない。ヒダは、ヒダの両端でバルーンによって声帯から浮いており、一実施形態では、ヒダは、医療関係者がヒダを位置付ける場所を見ることができるように色分けされている。
複数の拡大開口部124は、患者の換気のための主空気流動チャネルである。複数の拡大開口部124は、患者の肺と気管チューブシステム200A及び200Bとの間の空気流の速度が、患者が人工呼吸システムなしで経験し得る空気流の速度に相当することを可能にする。
一実施形態では、バルーン218aまたは218bは、カテーテル106の周囲にあり、それに取り付けられるチューブを形成し、それは両端で開放しており、空気がバルーン118によって形成されるチューブの一端に入り、バルーン218aまたは218bによって形成されるチューブのもう一端から出ることができるようにする。気管チューブシステム200Aまたは200Bの一端が患者内に配置されたとき、空気は、バルーン218aまたは218bのそれぞれによって形成されるチューブ及びカテーテル106の両方を介して、患者内に入ることができ、空気が患者内に入り、バルーン218aまたは218bが存在していないかまたは交差していない場合よりも大きい断面積を通って移動することができるようにする。
気管チューブシステム200A及び200Bは、バルーン218aの部分が全て同じ直径を有する一方で、バルーン218bの部分が減少していく直径を有するという点で、互いに異なる。一実施形態では、バルーン218bの最大の区分は5cmの外径を有し、最も狭い区分は1.5cmの外径を有し、間の区分は、肺から最も遠い気管チューブ200Bの端部から始まり、肺に最も近い端部に向かって、5cmから1.5cmまで直径が単調に減少する。
図3は、3−3でカテーテルを通して長手方向に取られた、図1のカテーテルの一実施形態の断面図300を示す。断面図300は、外面302と、内面304と、壁厚306と、カテーテル106と、吸引チューブ管腔112と、膨張チューブ管腔114と、主チャネル107とを含んでもよい。
カテーテル106、吸引チューブ管腔112、膨張チューブ管腔114、及び主チャネル107は、図1に関して考察された。外面302は、カテーテル106の外面である。内面304は、カテーテル106の内面である。壁厚306は、外面302及び内面304によって決定されるチューブの厚さである。壁厚306の厚さは、気管チューブシステム100の異なる使用及び用途に基づき変化し得る。
吸引チューブ管腔112は、吸引チューブ108E(図1から)の延長であってもよく、吸引チューブ管腔112は、壁厚306に沿って、かつその内側を通るように構成される。別の実施形態では、吸引チューブ管腔112は、カテーテル106の外面302に沿って通るように取り付けてもよい。
膨張チューブ管腔114は、膨張チューブ110A(図1から)の延長であってもよく、膨張チューブ管腔114は、壁厚306に沿って、かつその内側を通るように構成される。膨張チューブ管腔114は、吸引チューブ管腔112の反対側に位置してもよい。別の実施形態では、膨張チューブ管腔114は、カテーテル106の外面302に沿って通るように構成されてもよい。
図4は、4−4で、カテーテル106及びバルーン118を通して長手方向に取られた、図1のカテーテル106及びバルーン118の一実施形態の断面図400を示す。断面図400は、脊椎封止材402と、バルーン内層404と、バルーン厚406と、カテーテル106とを含んでもよい。さらに、断面図400はまた、主チャネル107と、バルーン118と、吸引ライン120と、拡大気道通路126とを含んでもよく、それらの全ては、図1でさらに定義されている。
脊椎封止材402は、カテーテル106の外面及びバルーン118の内面に沿った接触点である。バルーン内層404は、バルーン118の内層である。バルーン厚406は、十分に膨張したときのバルーン118の厚さである。バルーン厚406は、拡大気道通路126において変化してもよい。バルーンが厚いほど、拡大気道通路は小さくなる。同様に、バルーン厚406が薄いほど、拡大気道通路126は大きくなる。バルーン厚406は、適切な量の拡大気道通路126を提供するように変化してもよい。脊椎封止材402は、拡大開口部124と接触しないように設計される。
脊椎封止材402の接続点は、バルーン118とカテーテル106との間のしっかりとした取り付けをもたらすために、カテーテル106(バルーン118内に位置する)の長さに沿って延在してもよい。一実施形態では、脊椎封止材402は、拡大開口部124がバルーン118の内壁と接触しないように、カテーテル106上に位置する拡大開口部124の反対側に位置してもよい。脊椎封止材402は、バルーン118の内壁に接着されてもよい。別の実施形態では、脊椎封止材402は、脊椎封止材402と一緒にバルーン118の内壁を融解させることによって熱注入されてもよい。拡大したMurhpy’s Eyeから出てくる空気流は、主チャネル107を経由してカテーテル106を通って移動し、2つの位置、1)開放遠位端122または2)拡大開口部124のうちの1つにおいて、カテーテル106を出る。拡大開口部124を出る空気は、最終的に拡大空気通路126を通って流動する。
図5は、バルーン組立体500の一実施形態を示す。バルーン組立体500は、外側バルーンシート502と、複数のスリーブ504と、内側バルーンシート506と、チューブ接続点508と、遠位縁部510と、膨張接続点514とを含んでもよい。
外側バルーンシート502は、患者の気管壁と接触しないバルーン118の外部層である。外側バルーンシート502は概して、バルーンの用途に応じて、種々の厚さ及び弾性を有するゴム材料である。例えば、バルーン118は、小容量、高圧カフまたは低圧、大容量カフとして使用されるように適合されてもよい。小容量、高圧の用途において、バルーンの材料がわずかにより厚く、あまり弾性ではない可能性がある一方で、大容量、低圧の用途において、材料は、より薄く、より弾性であり得る。
複数のスリーブ504は、外側バルーンシート502に対して斜めの構成で互いと平行に配列されるチャネルのようなものである。スリーブ504は、外側バルーンシート502が円筒形状に丸められたとき、スリーブ504が外側バルーンシートの円筒形状の周囲に単一の螺旋溝を作るために接続点で並ぶように、斜めに整合される。いったんスリーブ504が整合されると、吸引ライン120がスリーブにきちんと収まるため、スリーブは、吸引ライン120が整理され、かつ予測可能な形態で、バルーン118に巻き付くことを可能にし得る。いったん吸引ライン120がスリーブ504内でバルーン118に巻き付けられると、吸引ライン120は、バルーン表面にわたってわずかな突出を提供し得る。突出は、バルーン118の周囲の吸引ライン120によってもたらされる吸引効果がバルーンを気管壁でしっかりと密閉するのに役立つため、バルーン118と患者の気管壁との間のよりしっかりと安定した密閉を提供する。
内側バルーンシート506は、バルーン118の内層である。内側バルーンシート506は、外側バルーンシート502に取り付けられたときに、バルーン118が形をなすことを可能にする。チューブ接続点508は、バルーン118を気管チューブに取り付けるバルーン118の部分である。チューブ接続点508は、気管チューブに取り付けられるバルーン118の唯一の部分である。取り付けは、チューブの周囲の360度のしっかりとした密閉である。外側バルーンシート502及び内側バルーンシート506が取り付けられたとき、チューブ接続点508は、接続点508の目的がバルーン118を気管チューブに取り付けることであるため、2つのシートの間で空気を移動させないようにしっかりと密閉される。
遠位縁部510は、チューブ接続点508の反対側にある外側バルーンシート502及び内側バルーンシート506の縁部である。遠位縁部510は、バルーン形状をもたらすために一緒に密閉される、外側及び内側バルーンシートの部分である。
長手方向縁部512は、長手方向にバルーンに沿って通る縁部である。縁部の一端は遠位縁部510であり、縁部のもう一端は接続点508である。内側バルーンシート506の長手方向縁部512は、内側バルーンシート506に対して円筒形状をもたらすために、内側バルーンシート506の対向する長手方向縁部512に密閉する縁部になる。同様に、外側バルーンシート502の長手方向縁部512は、外側バルーンシート502に対して円筒形状をもたらすために、外側バルーンシートの対向する長手方向縁部512を密閉する縁部になる。外側バルーンシート502は、外側シートの円筒形状が内側シートの円筒形状の外側に取り付けられ得るように、内側バルーンシート506よりもわずかに大きい。スリーブ504は、外側バルーンシートの円筒形態の外側で外向きである。
膨張接続点514は、バルーン118をそれぞれ膨張及び収縮させるために入る及び出る場所である。膨張接続点514は、膨張チューブ管腔114(図1)に接続する。膨張接続点514は、穴であってもよく、またはそれは、膨張チューブ管腔114に接続するための実際の小さい弁接続器であってもよい。他の実施形態では、それは、バルーン118のカテーテル106への組み立て及び取り付け時に穴を作るための誘導を提供するための、内側バルーンシート上の印であるだけでもよい。
バルーン118上のスリーブ504は、吸引ラインラップ114がバルーン118にしっかりと取り付けられたままであることを可能にするためのチャネルを作る。いったんバルーン118が膨張すると、吸引ラインラップ114は、バルーン118上で螺旋スリーブ504(図5)にしっかりと収まる。吸引ラインラップ114は、わずかな突出が吸引ラインラップ114のものであるため、患者内のバルーン及び気管チューブシステム100のよりしっかりと安定した密閉を提供するために、バルーンにわたってわずかな突出を提供する。バルーン118の周囲の吸引ラインラップ114によってもたらされる吸引効果は、バルーンを気管壁でしっかりと密閉するのに役立つ。
バルーン118は、バルーンシートの2つの層を一緒に融合させることによって形作られ、外側バルーンシート502は、吸引ライン120が中に存在することを可能にするスリーブ504を有する。バルーン118の一端は、吸引ライン120の近位でカテーテル106に完全に密閉される。バルーンのもう一方の遠位端は、カテーテル106に完全に密閉されない。代わりに、内側バルーン層506は、脊椎封止材402(図4)として表示されるように、カテーテル106の脊椎部分に取り付けられる。
図6Aは、介護者が患者に挿管している、方法600aの一実施形態のフローチャートを示す。最初に、介護者は、患者が経口による高度な気道確保を必要としていることを決定し、次いで、ステップ604において、介護者は、患者の口を開けて、挿管プロセスを開始する。ステップ606において、介護者は、十分な開口部を作るために患者の顎を前方に押して、挿管を実施する。
ステップ608において、介護者は、喉頭蓋の上に気管内チューブを配置するためのガイドとして喉頭鏡を使用してもよい。介護者はまた、挿管プロセスを補助するためにグライドスロープを使用してもよい。場合によっては、誘導ツールが利用可能ではない場合、介護者は、状況が緊急の挿管を必要とする場合は見ないで挿管する可能性がある。喉頭鏡は、声帯及び声門を見るために使用される医療装置である。喉頭鏡検査法(喉頭+鏡検査法)は、気管挿管を促進するために実施されてもよい。グライドスコープは、最初の市販のビデオ喉頭鏡である。グライドスコープは、高解像度LCDモニタにビデオケーブルによって接続される、高解像度デジタルカメラを組み込む。それは、制御された人工呼吸を提供するための気管挿管のために使用されてもよい。挿管を促進するために喉頭鏡またはグライドスコープを使用するとき、介護者は、バルーン118と声帯との間の接触を防止するために、気管チューブを適切に挿管するために、声帯の識別に特に注意を払うべきである。介護者が声帯の下に気管チューブを適切に挿管しない場合、かつバルーン118の膨張後に、カフが声帯の上へと伸張する場合、それは、患者の声帯を損傷する可能性がある。挿管が正しく実施され、いったんバルーン118が膨張すると、声帯がバルーンによる接触がないことを確実にするために、さらなる注意が払われなければならない。可撓性気管内チューブに挿管プロセスを補助するためのある程度の支持及び剛性を提供するために、アルミニウムスタイレットが使用されてもよい。
ステップ610において、介護者は、負傷を引き起こすことなく気管チューブを適切に所定の位置に配置する。負傷は、歯を折ることまたは声帯を損傷することを含み得、挿管プロセスで予期され得る外傷は含まない。ステップ612において、いったん挿管が完了すると、介護者は、気管チューブからアルミニウムスタイレットを除去する。
ステップ614において、介護者は、バルーンを膨張させるために必要とされ得る注射器または任意の他の流体提供装置を取り付けることによって、バルーンを空気で膨張させる。いくつかの実施形態では、空気は、選択される流体であってもよい。他の実施形態では、液体系流体が使用されてもよい。バルーンが膨張したとき、コイル状吸引ライン120の形態が、バルーンの外側でスリーブに収まる。
介護者は、次いで、吸引ライン120を展開し、バルーンは気管の境界まで膨張する。
ステップ616において、介護者は、吸引チューブ108Eを吸引装置108Aに接続して、カフ及びバルーン118上の気管によって隣接される領域に、一定の吸引流を提供する。吸引装置は、所望の吸引を設定するために、吸引力調節可能なノブを有してもよい。吸引チューブ108Eを吸引装置108Aに接続することによって、バルーン118上及び気管壁とバルーンとの間に位置する分泌物蓄積の除去は、介護者が分泌物蓄積に関して患者を常に監視する必要なく、無制限に継続し得る。
吸引ライン120は、バルーン118と気管との間の密閉をもたらす。
一実施形態では、方法600aのステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図6Aにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ604〜617は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法600aは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法600aのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法600aの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図6は、介護者が気管内チューブを除去している、方法600bの一実施形態のフローチャートを示す。ステップ652において、介護者は、パイロットバルーン110Bを圧迫することによって、バルーン118を収縮させる。ステップ654において、介護者は、経口で患者から気管内チューブを注意深く除去する。
一実施形態では、方法600bのステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図6Bにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ652〜654は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法600bは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法600bのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法600bの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図7Aは、吸引装置がカフ及び気管によって隣接される領域から分泌物を吸引する、方法700aの一実施形態のフローチャートを示す。ステップ702において、吸引チューブ108Eは、吸引装置108Aに接続される。ステップ704において、吸引チューブ108E内の陰圧は、吸引チューブ管腔112を通して吸引ライン120に移される。ステップ706において、陰圧は、吸引ライン120全体を通る吸引穴において陰圧/吸引を発生させる。ステップ708において、蓄積した分泌物は、廃棄のために吸引穴を通して吸引される。ステップ710において、吸引ライン内の陰圧は、バルーン118と患者の気管壁との間に密閉をもたらす。分泌物は、診断及び監視のための培養試料のために回収されてもよい。
一実施形態では、方法700aのステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図7Aにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ702〜710は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法700aは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法700aのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法700aの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図7Bは、洗浄流体分注装置が洗浄流体を適用している、方法700bの一実施形態のフローチャートを示す。ステップ742において、吸引チューブ108Eは、洗浄流体分注装置108Cに接続される。ステップ744において、洗浄流体は、吸引チューブ108E、吸引チューブ管腔112、及び吸引ライン120を通って移動する。ステップ746において、洗浄流体は、吸引ライン120上の吸引穴を通して分散される。洗浄流体は、粘液ならびにカフ及び気管によって隣接される領域と一時的に相互作用することができる。使用される洗浄流体に応じて、粘液は、それが容易に抽出されることを可能にするために緩和されてもよい。ステップ748において、吸引チューブ108Eは、吸引装置108Aに接続されて、洗浄流体投与プロセス中に回収された可能性がある洗浄流体及び任意の他の分泌物を除去する。
一実施形態では、方法700bのステップのそれぞれは別々のステップである。別の実施形態では、図7Bにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ742〜748は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法700bは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法700bのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法700bの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図7Cは、人工呼吸器が患者を人工的に換気している、方法700cの一実施形態のフローチャートを示す。ステップ762において、気管チューブシステム100は、接続器102を介して人工呼吸器に接続される。ステップ764において、人工呼吸器は、主チャネル107、拡大開口部124、及び開放遠位端122を経由して、患者の肺(複数可)へ/から空気を送り込む。患者の肺内へと流動する酸素及び空気の速度は、拡大開口部124及び拡大空気通路126の結果として低減される。
一実施形態では、方法700cのステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図7Cにおいて別々のステップとして図示されるが、ステップ762〜764は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法700cは、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法700cのステップは、別の順序で実施されてもよい。方法700cの一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図8は、システム100の気管チューブが製造される、方法800の一実施形態のフローチャートを示す。ステップ802において、気管チューブが作製される。ステップ804において、バルーン118が作製され、それは、バルーン118を作製するステップを伴う。ステップ806において、バルーン118は、ステップ802からの気管チューブを取り付ける。方法800の他の実施形態では、ステップ804は、ステップ802前に実施されてもよい。しかしながら、ステップ806は、ステップ802及びステップ804が、気管チューブ及びバルーン118を取り付けるために実施されることを必要とする。
一実施形態では、方法800のステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図8において別々のステップとして図示されるが、ステップ802〜806は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法800は、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法800のステップは、別の順序で実施されてもよい。方法800の一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図9は、気管チューブシステム100が製造されるステップ802を実施するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。ステップ902において、気管チューブが作成され、それは、吸引チューブ108E、膨張チューブ110A、及び主チャネル107を含む3つの管腔を有する、プラスチック(ポリ塩化ビニル、PVC)材料からカテーテル106を作製することを含んでもよい。他の実施形態では、網入りシリコーン、シリコーンゴム、ラテックスゴム、またはステンレス鋼など、カテーテル106を作製するために他の種類の材料が使用されてもよい。カテーテル106の長さ、直径、及び厚さは、対象とするユーザ基盤の種々の年齢、性別、及びサイズに対して作られるカテーテルのサイズに応じて異なり得る。吸引チューブ108E及び膨張チューブ110Aは、カテーテル106の壁に組み込まれる。他の実施形態では、吸引チューブ108E及び膨張チューブ110Aは、カテーテル106の外面上に取り付けられるチューブであってもよい。
ステップ904において、吸引管腔出口116を作製する。吸引管腔出口116は、バルーン118の近位の吸引チューブ108Eの遠位端における出口穴である。吸引管腔出口116は、バルーン118がカテーテル106に取り付けられる点よりもわずかに上に位置してもよい。
ステップ906において、ベベル切断が開放遠位端122に作製される。カテーテル106のベベル形状は、気管チューブの挿管プロセスに役立つ。
ステップ908において、拡大開口部124が作製される。ステップ908は、カテーテル106の上面の開放遠位端122の近位で、細長い楕円形状の開口部を切断することを伴う。拡大開口部124の長さは、開放遠位端122の近位から開始し、吸引管腔出口116の近位まで延在する、カテーテル106の長さに沿って伸びる。
ステップ910において、膨張チューブ110A、吸引チューブ108E、及び吸引ライン120は、カテーテル106に取り付けられる。膨張チューブ110Aは、一端で膨張チューブ管腔114に、かつ反対側の端部でパイロットバルーン110Bに取り付けられる。別の実施形態では、膨張チューブ110Aは、膨張チューブ管腔114の延長及びステップ902の一部であってもよい。他の実施形態では、パイロットバルーン110Bは、挿管前に膨張チューブに取り付けられてもよい。
吸引チューブ108Eは、吸引チューブ管腔112に取り付けられる。別の実施形態では、吸引チューブ108Eは、吸引チューブ管腔112の延長及びステップ902の一部であってもよい。
吸引ライン120は、吸引管腔出口116に取り付けられる。吸引ライン118は、吸引チューブ108Eと材料、形状、及び直径が同様であってもよい。しかしながら、吸引ライン120は、吸引ライン120の中及び外への流体の伝達を提供するために、吸引ライン120全体を通して分散される多くの小さい穴を含む。別の実施形態では、吸引ライン120は、吸引チューブ管腔112の延長及び吸引管腔出口116の一部であってもよい。
予め形成されたバルーンカフがバルーン118に取り付けられてもよい。
一実施形態では、方法802のステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図9において別々のステップとして図示されるが、ステップ902〜910は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法802は、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法802のステップは、別の順序で実施されてもよい。方法802の一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図10は、バルーンが製造されるステップ804を実施する方法の一実施形態のフローチャートを示す。ステップ1002において、外側バルーンシート502は、気管内チューブのためのバルーン製造で概して使用される、可撓性でゴム系の薄いシートを使用して作製される。外側バルーンシート502は、バルーン118が膨張したとき、吸引ライン120が収まるためのチャネルとして機能するために、シートにわたって斜めに配列された複数のスリーブ504を含む。外側バルーンシート502上の斜めに整合されたスリーブは、縦方向に丸められ、取り付けられたときに、吸引ライン120のための螺旋溝を作る。外側シートの形状は、図5に示される。
ステップ1004において、内側バルーンシート506は、外側バルーンシート502を作製するときのステップ1002で使用される材料と同様の材料を使用して作製される。内側バルーンシート506は、外側バルーンシート502と同じ形状である。内側バルーン506は、シートにわたって斜めに配列されたスリーブは含まない。
ステップ1006において、内側バルーンシート506は、円筒形状に丸められ、長手方向縁部512に沿って密閉される。ステップ1008において、外側バルーンシート502は、円筒形状に丸められ、その長手方向縁部512沿って密閉される。
ステップ1010において、外側バルーンシート502及び内側バルーンシート506は、遠位縁部510及びバルーン接続点508に沿って互いに密閉される。外側バルーンシート502は、外向きのスリーブ504との接続の外側にある。バルーン接続点508は、バルーン組立体の接続点508領域で空気が膨張するための空間がないことを確実にするために、完全に密閉される。
一実施形態では、方法804のステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図10において別々のステップとして図示されるが、ステップ1002〜1010は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法804は、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法804のステップは、別の順序で実施されてもよい。方法804の一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図11は、バルーンが気管チューブに取り付けられる、ステップ806を実施するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。ステップ804から組み立てられたバルーン118及びステップ802から組み立てられた気管チューブの取り付け。ステップ1102において、バルーン118は、バルーン118を通して接続点508から遠位縁部510に向かって遠位端122を挿入することによって、ステップ802から組み立てられた気管チューブに取り付けられる。接続点508は、吸引管腔出口116と接触することなく、吸引管腔出口116の近位のカテーテル106の周囲で完全に密閉される。
ステップ1104において、バルーン118の内面は、脊椎シール402に沿ってカテーテル106の脊椎長さまで密閉される。脊椎シール402は、拡大開口部124と接触せず、または妨害しない。膨張チューブ管腔114は、膨張接続点514でバルーン118に接続される。ステップ1106において、吸引ライン120は、吸引管腔出口116から遠位端122に向かって、カテーテル106に巻き付けられる。吸引ライン120は、スリーブ504によって作られる螺旋溝によって誘導される収縮したバルーン118にさらに巻き付けられる。
ステップ1108において、吸引ライン120は、バルーン118の遠位端の外面に取り付けられる。取り付けられた点は、密閉された遠位縁部510と実際に接触することなく、バルーンの遠位縁部510に沿って近位であってもよい。
一実施形態では、方法806のステップのそれぞれは、別々のステップである。別の実施形態では、図11において別々のステップとして図示されるが、ステップ1102〜1108は、別々のステップではなくてもよい。他の実施形態では、方法806は、上記のステップの全てを有しなくてもよく、及び/または上記に列挙されたものに加えて、もしくはそれらの代わりに他のステップを有してもよい。方法806のステップは、別の順序で実施されてもよい。方法806の一部として上記に列挙されたステップのサブセットは、それら自体の方法を形成するために使用されてもよい。
図12A及び12Bは、気管チューブシステム100の代替の実施形態、気管チューブシステム1200を示す。より具体的には、図12Aは、気管チューブシステム1200の側面図を示し、図12Bは、気管チューブシステム1200の正面図を示す。
気管チューブシステム1200において、バルーン118の両端は、空気または他のガスがバルーン118から逃げないように、カテーテル106に連結される。バルーン118は、上の吸引ライン120の一部分の配置に適応するように形状決定され、かつ位置付けられる、窪み1210を含む。窪み1210は、図12A及び12Bに示されるように、開放遠位端122から最も離れたバルーン118の一部分に対応するように位置付けられてもよく、かつバルーン118の外面の上部にわたって円周方向に(すなわち、開放遠位端122から離れて)、吸引ライン120の位置付けに適応するようにサイズ決定されてもよい。例えば、窪み1210は、バルーン118の上部外面の60°〜270°(すなわち、16.7%〜75%)にわたって円周方向に、吸引ライン120の位置付けに適応するようにサイズ決定されてもよい。
いくつかの実施形態では、窪み1210が、所望の構成へと吸引ライン120の形状及び/または位置付けを誘導するように作用してもよい一方で、他の実施形態では、吸引ライン120は、窪み1210に収まるように形状決定されるように、例えば、成形プロセスによって予め構成されてもよい。例示目的で、図12A及び12Bに示される窪みは、図14Aに関して以下に記載されるように、三角形状に形状決定された吸引ライン120に適応するように構成される。しかしながら、窪み1210は、以下により詳細に記載されるように、図14B〜14Eの例示的な形状の吸引ライン120など、あらゆる形状の吸引ライン120に適応するようにサイズ決定する、形状決定する、及び/または位置付けることができることが、当業者によって理解されるであろう。
図13は、バルーン組立体500の代替の実施形態、バルーン組立体1300を示す。バルーン組立体1300は、窪み1210と、チューブ接続点508と、遠位縁部510と、膨張接続点514とを有する、例示的なバルーン組立体を示す。場合によっては、窪み1210の態様は、バルーン118が組み立てられたとき、窪み1210がその上に位置付けられるように、図5に関して上記に考察されるスリーブ504に似ていてもよい。加えて、バルーン組立体1300は、図5に関して記載されるものと同様の方法で、バルーン118を作るために組み立てられてもよい。
図14A〜14Eは、吸引ライン120のための種々の例示的な構成を示す。場合によっては、吸引ライン120は、剛性及び/または可撓性材料から作られてもよく、かつシングルピースまたはマルチピース構造であってもよい。吸引ライン120は、任意の適切な形状に構成されてもよい。場合によっては、吸引ライン120は、特定の形状を有するように予め構成されてもよく、及び/または窪み1210などの窪み内に位置付けられる結果として、特定の形状をとってもよい。例えば、吸引ライン120は、図14Aに示されるような三角形の形状、または図14Bに示されるような湾曲した蛇行型の形状に構成されてもよい。図14A及び14Bの実施形態では、吸引ライン120は、窪み1210の形状をとるように予め成形されてもよい。図14A及び14Bの吸引ライン120は、穴1410を介して吸引ライン120によって適用される陰圧によって、体液または他の物質が患者の気管から除去され得る、多数の穴1410を有してもよい。穴1410は、特定の用途に対して適切であるように、均一、密集、及び/または無作為パターンで吸引ライン120内に配置されてもよい。
いくつかの実施形態では、吸引ライン120は、穴1410が上に配列される、図14C及び14Dに示されるような平坦な平面型構成要素を有してもよい。図14Cは、穴1410が無作為パターンで配列される、吸引ライン120の平坦な平面構成要素1420を示し、図14Dは、穴が平坦な平面構成要素の縁部に沿って配列される、吸引ライン120の平坦な平面構成要素を示す。図14Dの平坦な平面構成要素はまた、吸引ライン120によって供給される流体に適用される陰圧による、気管からの最終的な吸引のために、穴1410への体液及び分泌物の方向を補助するように構成及び/または配列され得る、チャネルまたは溝1425を含んでもよい。
図14Eは、複数の吸引突出または吸引ポート1430を有する、例示的な三角形の形状で構成される、例示的な吸引ライン120を示す。吸引突出/ポート1430が図14E中で一定の縮尺で図示されておらず、例えば、数マイクロメートル(例えば、5または10マイクロメートル)〜数ミリメートル(例えば、0.5〜5mm)、吸引チューブ120から延在してもよいことに留意することが重要である。吸引突出/ポート1430は、例えば、接触した組織、体液、または他の物質への陰圧の適用を促進するために、吸引ライン120から延在してもよい。
図15A及び15Bは、形状決定された吸引ライン120が窪み1210内に位置付けられる、気管チューブシステム1200を示す。より具体的には、図15Aは、形状決定された吸引ライン120が窪み1210内に位置付けられる、気管チューブシステム1200の側面図を示し、図12Bは、形状決定された吸引ライン120が窪み1210内に位置付けられる、気管チューブシステム1200の正面図を示す。
例示目的で、図15A及び15Bは、窪み1210内に位置付けられるものとして、図14Aの三角形状に形状決定された吸引ライン120を示すが、しかしながら、窪み1210は、あらゆる形状決定された吸引ライン120にも適応するようにサイズ決定する、形状決定する、及び/または位置付けることができることが、当業者によって理解されるであろう。
いくつかの実施形態では、吸引バルーン118は、予め作製された窪み1210を含まなくてもよく、これらの実施形態では、吸引ライン120は、バルーン118の表面上に位置付けられてもよい。時として、これらの実施形態では、吸引ライン120は、例えば、気管チューブシステム1200または100が気管内に挿入されたとき、膨張したバルーン118の一部分を押すことによって、窪み1210を形成してもよい。
本明細書に記載されるように、バルーン118の表面上に吸引ライン120を位置付けることは、吸引ライン120(またはその一部分)が、例えば、化学、圧力、及び/または熱によって生じた接着を介してバルーン118に永久的に取り付けられる実施形態を含んでもよい。他の実施形態では、吸引ライン120は、例えば、フレキシブルグルー及び/または潤滑剤によってもたらされた可撓性接着剤を介して、バルーン118の表面上に位置付けられてもよい。さらに、吸引ライン120は、バルーン118の表面上への吸引ライン120の単純な配置を介して、バルーン118の表面上に取り外し可能に位置付けられてもよい(すなわち、バルーン118の表面と吸引ライン120との間に接着なし、または摩擦接合のみ)。加えて、吸引ライン120は、連続的もしくは断続的スリーブもしくはクランプ、及び/または1つ以上のストラップのような保持器具を介して、窪み1210内に位置付けられてもよく、及び/または保持されてもよい。場合によっては、スリーブ(複数可)、クランプ(複数可)、及び/またはストラップ(複数可)は、所定の位置で吸引ライン120を保持するために、位置付けられた吸引ライン120の頂部に配置されてもよい。加えて、ある状況においては、吸引ライン120の一部分は、気管チューブシステム1200が配置される気管壁によって所定の位置で保持されてもよい。
吸引ライン120は、その中の穴1410がバルーン118の表面と接触しないように、バルーン118上に位置付けられてもよい。このようにして、穴1410は、吸引ライン120を介した陰圧の適用によって、患者の気管から体液または他の物質の排出を促進するために、気管内に挿入されたときに、穴1410が気管開口部の組織と接触する、またはほぼ接触するように、(バルーン118の表面に対して)外側を向いてもよい。
図16A及び16Bは、切断先端1620及び焼灼先端1625のそれぞれを有する、例示的な切断手術器具1610及び膀胱鏡手術器具1615の先端部を示し、それらの両方は、それに取り付けられる吸引ライン120を有する。切断及び膀胱鏡手術器具は、患者の体から望ましくない組織を除去するために、切断先端1620及び焼灼先端1625などの切断または焼灼先端を用いて望ましくない組織(例えば、癌性または嚢腫性)を焼くことを伴う外科手術を実施するための器具として、当該技術分野において既知である。切断及び/または焼灼外科技術の使用の望ましくない副産物は、手術野を視覚的にわかりにくくする煙ならびに組織片及び体液(例えば、血液、膿など)の生成である。これらの切断/焼灼副産物を除去する従来の方法は、吸引装置(典型的には、手術用吸引カニューレ)が切断/焼灼副産物を除去するために外科的空洞内に挿入され得るように、外科的空洞からの切断/膀胱鏡手術器具の除去を伴う。
しかしながら、切断及び膀胱鏡手術器具1610及び1615は、切断/焼灼副産物が、吸引ライン120の穴1410及び/または及び開放もしくは部分的開放端部のいずれかを介して適用される陰圧によって生成されるため、切断/焼灼副産物を外科的空洞から除去され得るように、それらに取り付けられる吸引ライン120を有する。切断及び膀胱鏡手術器具1610及び1615への吸引ライン120の取り付けは、切断または膀胱鏡手術を伝統的に実施するために必要とされるような、手術を実施するための時間、ならびに外科的空洞の中/外への切断または膀胱鏡手術器具及び吸引装置の繰り返される挿入及び除去によって引き起こされる、手術部位周囲の組織の外傷を低減するように作用し得る。加えて、またはあるいは、切断及び膀胱鏡手術器具1610及び1615への吸引ライン120の取り付けは、手術野から煙、灰、組織片、及び/または体液を連続的に、またはほぼ連続的に除去することによって、切断及び膀胱鏡外科手術を実施するときの視界を改善するように作用し得る。
多くの種類の手術器具(メス、内視鏡、マイクロはさみ、クランプなど)が、例えば、手術野からの組織、液体、血液、及び/または煙の除去を補助するために、それに取り付けられる吸引ライン120のような吸引ラインを有することから利益を得ることができ、それにより外科手術を実施するときの可視度を改善することが、当業者によって理解されるであろう。
図17は、気管チューブシステム1200が気管1720内に位置付けられた、患者の断面図である。図17が一定の縮尺で図示されていないことに留意されるべきである。図17の実施形態では、バルーン118、窪み1210、及び吸引ライン120の組立体は、患者の声帯1710の下に位置付けられる。組立体は、そうでなければ気管1720に適用される重力によって、その後壁上に集まる、または溜まる可能性がある気管からの体液、排出物などの排出のために、吸引ライン120またはその一部分が気管壁1725の後方部分と接触しているように、位置付けられてもよい。場合によっては、バルーン118とカテーテル106との間の上部接合部が声帯1710の(例えば、0.1cm〜1.5cm)下に位置し得るように、気管チューブシステム1200組立体を位置付けることが好ましくあり得る。好ましくは、上部接合部は、声帯1710の0.5cm下に位置する。
したがって、気管チューブ、気管チューブシステム、及び手術器具、ならびにそれらに取り付けられた吸引装置が本明細書に記載されてきた。本明細書に記載される気管チューブの種々の実施形態によって(連続的に、周期的に、または必要に応じて)適用される陰圧または吸引は、本明細書に記載される気管チューブのいずれかが挿管されている間の患者の気管から、細菌及びバクテリアのための繁殖場所、ならびにエアロゾル化病原体のための捕集剤として機能し得る、貯留している体液及び分泌物ならびに病原体及び異物を抽出する。気管からの貯留している体液及び分泌物の抽出は、それらが吸引ライン120を超えて、かつ肺内へと移動しないため、VAP及び他の疾病の事例を減少させる働きをし得る。
加えて、本明細書に開示される気管チューブの使用は、吸引ライン120によって適用される吸引及び陰圧が吸引ライン120に沿った複数の穴にわたって分散され、単一の穴に集中していないため、伝統的な気管チューブが挿管されることに典型的に関連した不快感を減少させる働きをし得る。結果として、分泌物及び他の体液を除去するために使用される、特定の気管位置に適用される吸引/陰圧の量は、(単一の吸引穴の場合のような)気管内の1つの位置のみに適用される吸引/陰圧の量と比較して比較的小さい。これは、気管組織に及ぼされる力がより大きい面積にわたって分散されるため、臨床的に有意である。その結果として、気管組織のいずれか一点に及ぼされる力はより小さく、このようにして、気管組織に力を加えることによって引き起こされ得る外傷及び不快感は低減される。これは、陰圧または吸引が、敏感な気管組織の損傷ならびに患者の刺激及び不快感を引き起こすことなく、より長い期間、気管に適用されることを可能にする。
加えて、本明細書に記載される気管チューブの実施形態は、患者の向き(例えば、仰臥位、腹臥位、または側臥位)にかかわらず、患者の気管内で展開され得る。例えば、気管チューブシステム100、200A、及び200Bに関して、吸引ライン120は、バルーン118の円周全体に巻き付き、したがって、挿管された患者の向き及び患者内に位置付けられたときの気管チューブの向きにかかわらず、陰圧または吸引を気管壁に適用することができる。加えて、気管チューブ実施形態1200に関して、窪み1210及び吸引ライン120は、バルーン118の部分的円周(60°〜270°)に巻き付き、窪み1210及び吸引ライン120によって覆われるバルーン118の円周の一部分のサイズに応じて、吸引ライン120は、挿管された患者の向き及び患者内に位置付けられたときの気管チューブの向きにかかわらず、貯留している体液及び他の物質を抽出するために、陰圧または吸引を患者の気管壁に適用することができるが、気管チューブ1200と反対の方向に向けられた患者は除外する可能性があり、その場合、重力が、液体/他の物質を、吸引ライン120によって接触されていない、またはそれに十分に近くない気管壁の一部分に貯留させる可能性がある(例えば、患者がうつぶせになっている場合、窪み1210及び吸引ライン120は、患者の後ろ側に向かって向けられる)。しかしながら、この例外の発生は、臨床的にまれであり、もし発生した場合、気管チューブ1200は、気管壁の前方部分に貯留し得る体液及び他の物質に陰圧を提供するように位置付けられるために、わずかに回転させられ得る。
さらに、本明細書に開示される気管チューブ実施形態の吸引ライン120は、気管壁に付着することによって、いったん患者内に挿入されると、気管チューブに対する所望の位置を維持するように作用し得、それにより、気管に沿った気管チューブの滑りを防止する。
本明細書に開示される各実施形態が使用されてもよく、または別様に、開示される他の実施形態のいずれかと組み合わされてもよい。いずれの実施形態のいずれの要素も、いずれの実施形態で使用され得る。
本発明は特定の実施形態を参照して記載されてきたが、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、かつ同等物がその要素の代わりになり得ることが、当業者によって理解されるであろう。加えて、本発明の本質的な教示から逸脱することなく、修正が行われ得る。