詳細な説明
本開示は、以下の:エーテル(例、環状エーテル等)、アクリルおよびシロキサンのうちの2または3種の組み合わせをベースとする硬化性の梱包用組成物を提供する。その組成物は、ビスフェノールAや関連の化合物を、たとえ含有するとしてもほんの僅かしか含有しない。本開示はまた、組成物の塗布方法および使用方法を提供する。具体的には、その方法は、食品容器および飲料容器の金属表面上の積層および内張りに有用であるが、本開示の範囲は、それに限定するものではない。本明細書に開示される組み合わせから作製されるポリマーは、著しいTg、架橋密度および疎水性を有する。さらに、そのポリマーは、十分な密着性、靭性、可撓性および耐腐食性を提供できる。硬化性組成物は、複数の重合法(ラジカル重合、縮重合、および/またはカチオン重合またはアニオン重合)を同時に行うことが可能である。さらに、その硬化性組成物は、架橋剤としてイソシアネート、ホルムアルデヒドおよびスチレンを使用することを回避する一方、他のアプローチに対してコスト競争力がある。そして硬化性組成物は、それらが接触するようになる製品において感覚刺激剤と最小の相互作用を有する。
以下の記載において、多くの特定の詳細は、実施形態の十分な理解を提供するために付与される。実施形態は、1つもしくは複数の特定の詳細を用いることなく、または他の方法、成分、材料等を用いて、実践することができる。他の例において、実施形態の態様を分かりにくくするのを避けるために、既知の構造も、材料も、操作も詳細に示されないし、記載されていない。「一実施形態(one embodiment)」もしくは「1つの実施形態(an embodiment)」、または「複数の実施形態(embodiments)」に関する本明細書にわたる言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書にわたるこれらの用語の使用は、実施形態が全て同じであることを含意しないし、全ての実施形態がこれらのそれぞれの属性を有することも含意しない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
A.定義
本開示の様々な態様は、本明細書に用いる用語に関する以下の定義を参照することにより、さらに明確に理解され得る。
用語「梱包」は、容器の技術におけるその通例および通常の意味を有し、本明細書で用いられるように、フィルム、コーティングおよび積層の使用をさらに企図し、金属、合成ポリマー、天然材料、ガラス、セラミックおよび関連の材料並びに組み合わせからなる基板層を企図する。
用語「ポリマー」は、多くの繰り返し部分単位(subunits)から構成される大きな分子を指すその通例の意味を有し、部分単位は、それらの重合前には「モノマー」を指し、それらの重合後には「モノマー単位(mers)」として表される。用語「高分子材料」は、熱硬化性樹脂の均質混合物の反応生成物である材料を指す。
本明細書で用いられる用語「熱硬化性樹脂」は、モノマー、ポリマー前駆体および/またはポリマーを含み、かつ硬化中に熱硬化性ポリマーを形成するのに十分な必要量の、開始剤、架橋剤および/または触媒を含む化学組成物を指す。ポリマーを説明するのに用いる用語「熱硬化性」は、ポリマーが熱硬化性樹脂から調製され、熱硬化後にポリマーが溶融できないことを示す。
用語「プレポリマー」、「ポリマー前駆体」および「前駆体ポリマー」は、同義語であり、モノマーと高ポリマーの中間である分子量を達成するように反応するモノマーもしくはモノマー系および/またはオリゴマーを指す。本明細書におけるこの用語の使用は、材料に施す硬化工程中に反応基により、材料がさらに重合または架橋できることを示唆する。
熱硬化性樹脂に対して本明細書で用いられる用語「環状エーテル」は、開環の鎖成長反応によりまたは求核原子からの攻撃により重合可能となる環状エーテルを指す。適切な化合物の例証的な例として、エポキシド、オキセタン、オキソラン(例えば、テトラヒドロフラン)、ジオキソラン、オキセパンおよびジオキセパン等のような1つもしくは複数の環状エーテルを有する化合物(これらに限定されない)が挙げられる。例証的な実施形態において、環状エーテルは、任意選択的に低級アルキルまたは低級アルケニルまたは低級アルキニル置換基を有し、或いは脂肪酸または脂肪酸エステルにおける部位(これらに限定されない)である。環サイズと重合性の関係に関する指針は、高分子化学者ならばよく知っている。いくつかの好適な実施形態において、環状エーテルは、求核攻撃(例、エポキシ樹脂のグリシジルエーテルのオキシラン環における1級および/または第2級アミンの攻撃、或いはフェノール種による攻撃等)により反応する。しかしながら、本開示は限定されず、開環は、カチオン連鎖反応、アニオン連鎖反応またはオレフィンメタテシス(olefin methathesis)により、あり得る。いくつかの実施形態において、樹脂は、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、植物由来のエポキシ化合物、テトラヒドロフラン化合物、ジオキソラン化合物、オキセパン化合物またはジオキセパン化合物である化合物を1種もしくは複数種含有し、アルキレンオキシド環は、任意選択的に低級アルキル置換基を有してもよい。
用語「エポキシ樹脂」は、エポキシドと、ヒドロキシル基を有する別の化合物との共重合により作製され、主にコーティングおよび接着剤に用いられ、エポキシとしても知られている可撓性で、通常(常にではないが)熱硬化性の樹脂を指す。本明細書で用いられる用語「ビス−エポキシ」は、2個のエポキシ基(例、末端エポキシ基等)を有する任意の化合物を指す。
用語「ポリエポキシド」は、エポキシ樹脂の反応(例えば、ジグリシジルと、ジアミン、フェノール、ウレタン、ポリオール、またはオキシラン官能基を攻撃して開環できる部位を有する他の化合物のうちのいずれかとの反応による)から誘導されるポリマーを意味する。用語ポリエポキシドにはまた、開環連鎖反応により形成されるポリマー(例、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド等)が含まれる。
用語「アクリレート」は、アクリルベースのモノマーおよびそのオリゴマー並びにそれらから作製されるポリマーを意味する。本明細書で用いられる、用語アクリルおよびポリアクリレートには、アルカクリル(alkacrylic)種(例えば、メタクリレートおよびエタクリレート)が含まれる。本明細書で用いられる用語アクリルには、アクリル化カルボン酸、アクリル系アミド、およびそれらのそれぞれのエステルが含まれる。従って、それらは、例えば、アクリル酸のモノマーおよびポリマー並びにその塩、アクリルアミド、エチルメタクリレートおよびメチルエタクリルアミドが含まれる。特に明記しない限り、「(メタ)アクリレート」化合物(「メタ」が括弧に入れられている場合)の言及は、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方を含むことを意味する。アクリルモノマーの例証的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸の低級アルキルエステル、メタクリル酸の低級アルキルエステル、エタクリル酸の低級アルキルエステル、アクリル酸の低級アルケニルエステル、メタクリル酸の低級アルキニルエステル、およびエタクリル酸の低級アルケニルエステル(これらに限定されない)が挙げられ、低級アルキル、アルケニルおよびアルキニル部位は、任意選択的にヒドロキシル基と置換されてもよい。
用語「シロキサン」は、Si−O−Si結合を有する種を意味する。用語「シロキサン樹脂」は、樹脂中のケイ素原子が、硬化に先立って共通の酸素原子と結合するかしないにかかわらず、硬化の際にシロキサンを形成できる化学組成物を指す。特定の実施形態において、シロキサン樹脂および生成したポリマーは、Si原子に共有結合した有機置換基を有するが、本開示は、それに限定されない。シロキサン樹脂中のシロキサンの非限定の例証的な例として、Si(R1)(OR2)(OR3)(OR4)および/またはSi(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)〔式中、R1、R2、R3およびR4は、独立して低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、フェニル、フェニル低級アルキル、フェニル低級アルケニル、フェニル低級アルキニル、低級アルキルフェニル、低級アルケニルフェニル、および低級アルキニルフェニルからなる群から選択され、そしてR1、R2、R3およびR4は、任意選択により部分的にまたは完全にフッ素化されてもよい〕を意味する「網目形成シロキサン」で表される種が挙げられる。シロキサン樹脂中のシロキサンの他の例証的な例として、「連鎖延長種」を意味するSi(R1)(R2)(OR3)(OR4)、および/または「連鎖停止種」を意味するSi(R1)(R2)(R3)(OR4)(これらに限定されない)が挙げられ、各々の場合において、R1、R2、R3およびR4は、上述の通りである。いくつかの実施形態において、一部または全てのアルコキシ部位は、任意選択的にハロゲン原子、第1級アミン、および/または第2級アミンで置換されてもよい。
用語「反応生成物」は、いくつかのタイプの化学反応によって生み出される物質を指す。反応に対して本明細書で用いられる用語「の生成物」は、化学反応により生み出される物質を指す。
用語「重合度」は、ポリマー分子中で結合されるモノマー単位の数を示す。
用語「架橋」は、共有結合またはイオン結合によるポリマー鎖と別のポリマー鎖の2つの連結を指す。同様に、用語「架橋剤」は、分子間または分子内化学反応を経て架橋を形成できる少なくとも1つの化学基(例えば、ヒドロキシル、カルボキシル、ビニル、またはブロックイソシアネート)を含有する化学物質を意味する。ある態様および実施形態において、架橋剤は、平均して少なくとも2つのこのような基を含有する。環状エーテル樹脂用の架橋剤の例証的な例として:低級アルキル化メラミン;低級アルキル化およびイミノ混合型エーテルメラミン;低級アルキル化尿素;ホルムアルデヒド無含有の変性尿素;ベンゾグアナミン;アミノプラストポリマー;無水物;二酸;およびグリコールウリル、アミン、ヒドロキシル基、ビニル基またはイソシアネート基で置換される架橋性ポリマー(これらに限定されない)が挙げられる。アクリレート樹脂用の架橋剤の例証的な例として、糖または糖アルコールがアクリルエステル、メタクリルエステルおよびエタクリルエステルからなる群から選択される複数の部位でエステル化される架橋剤(これらに限定されない)が挙げられ、糖または糖アルコールは、1〜6の重合度を特徴とし、オリゴマー中の糖または糖アルコール部位は、互いに同一であるか、または同一でない。シロキサン樹脂用の架橋剤の例証的な例として、上述の網目形成シロキサン、非芳香族の不飽和炭素−炭素結合を有する有機置換基を有するシロキサン(これらに限定されない)もまた挙がられる。ある好適な実施形態において、熱硬化性樹脂および架橋化学は、異なる樹脂間に大きな共有結合を得るように選択される。
用語「結合点(node)」は、ポリマーが、化学的部位から発する少なくとも3つのポリマー鎖セグメントを有する点を意味する。
用語「分岐」は、結合点から発するポリマーセグメントを指す。分岐は、他の結合点を有しても、有さなくてもよい。用語架橋は、分岐が他の結合点を有するかどうかにかかわらず、結合点への分岐の化学結合を説明するために、本明細書で用いる。
本明細書で用いる用語「骨格結合」は、分子内での原子間の関係の経路を定義する、ある意味では、その線形性、分岐または架橋点の生成を定義する結合を指す。従って、本明細書において、用語骨格結合には、まず第一に2原子間の共有結合が含まれるが、水素との結合、パイ結合は除外される。本明細書で用いられる用語骨格結合は、具体的には、これらの用語が当技術分野において一般的に理解されるように、周期表のp−ブロック典型元素の原子間のシグマ結合に適用される。本明細書で用いられる用語骨格結合は、イオン結合が、線状構造、分岐構造および/または架橋構造との関係に比較的安定した経路の一部である場合に特に、イオン結合をさらに含む。
用語「網目形成結合」は、集合的な意味で使われ、網目を形成する3価または4価の原子の特定の結合を同定することにより決まるものではない。3つ以上のポリマー鎖セグメントに結合されている各原子(本明細書において、このような原子を「結合点」と呼ぶ)に関して、2を超えるこのような結合の数は、その原子から由来する網目形成結合の数である。一例として、石英中のシリカは、各ケイ素原子が4個の別個の酸素原子に結合されている高度な架橋系である。各酸素原子は、順に別のケイ素原子に結合されている。従って、各ケイ素原子は、2つの(つまり4−2)網目形成結合を有する。この用語は、1つだけの結合点に結合される2つの鎖セグメントが、別々の結合点で再び一体になり大環状を形成し得るかどうかに関わらず、本明細書において用いられ、鎖セグメントが、結合点からある程度離れた点で架橋または分岐することなく結局終端するかどうかに関わらず、使用される。この指針は、一般的な通念によるものであり、例えば、C−H結合が骨格結合とみなされないとしても、C−ハロゲン結合は、依然として骨格結合とみなされてもよいのであるが、水素原子および通例のハライドの部位は、複数の原子に結合しないので、それらへの結合は、網目形成ではない。複数の原子を有する官能基は、3つ以上の鎖セグメントがそれらの官能基に結合されないならば、網目形成結合を含むとみなされない。従って、1,4−フェニルジイル基が、そのC−1位およびC−4位の各々に結合した3個の原子を有するとしても、その基は、線状の配列の一部であるので、この場合において1,4−フェニルジイル基は、網目形成結合を全く有さない。対照的に、3つの鎖セグメントに結合する1,3,5−フェニルトリイル基は、1つの網目形成結合(つまり3−1)を有するとみなされるだろう。それにもかかわらず、炭素−炭素シグマ結合は、骨格とみなされるだろう。同じ指針が、他の環状基(例、多環芳香族、複素芳香族および複素環種等)に適用する。比較的小さく、2つ以下の鎖セグメントに結合する様々な他の官能基(例、カルボニル、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ニトロ、アミン、低級アルキルよりも大きくない対イオン等)は、ポリマー鎖セグメントであるとみなされないので、それらの骨格結合が依然として骨格とみなされるとしても、網目形成結合の数を数える際に、無視される。故に、例えば、ホモポリ(ジメチルシロキサン)は、架橋も著しい分岐も有さないとみなされるので、網目形成結合を全く有さない。結合点として助力する効果を有するイオン対またはクラスター、例えば、高分子電解質、イオネン、テレケリックアイオノマー(例えばSURLYN(登録商標)プラスチックに類似)に関して、イオンクラスターと結合する鎖末端の平均数は、通常知られており、またはいくつの網目結合がそれから由来するか決定するために、妥当と思われるように推定される。
さらなる例証として、融合した四大環格子柄様の骨格構造に関して下の略図を検討する。頂点(つまり、角)または結合点間の各線分が、p−ブロックの典型元素間の20個の結合(但し、これは20個の原子と同じではない)の線状の配列を表すと仮定する。4つの外側の頂点は、2つのセグメントだけに各々結合されるので、それらは、網目形成結合を全く有さない。まさに中心での結合点は、鎖セグメントへの4つの結合を有し、2つの網目形成結合(つまり、4−2)を有する。その交点が分子の外側で接する結合点は、3つのセグメント各々に結合し、従って、各々は、1つ(つまり、3−2)の網目形成結合を有する。従って、網目形成結合の総数は、[4×(2−2)]+[1×(4−2)]+[4×(3−2)]=6である。線分の総数は、12であり、各線分は、20個の骨格原子を表すので、骨格結合の総数は、240である。網目形成である骨格結合の百分率は、(6/240)×100%=2.5%である。
高度な架橋系にとって、結合数の計算および網目形成の総骨格結合に対する比率の計算は、ポリマー架橋体の理想化された理論上の単位格子が、架橋を形成するように反応または交差反応できるモノマー、架橋剤、およびそれらの部位の数および比率に基づいて、決定される場合に、最も確実である。骨格および網目形成結合の数を算出するためのこれらの簡略化した仮定および推定は、幾分正確でないが、本開示に基づいて調製される全ての高分子材料の化学分析または機器分析を実施するよりも、はるかに実践的である。高分子化学において、単位の各側で1/2結合を有して括弧に入れて繰り返し単位を示すのは一般的である。結合を数える目的上、1/2原子が、繰り返し単位の各末端上に表現されるならば、それはより分かり易いので、曖昧さもなく躊躇もしないで結合を数えることができる。可能であるならば、この方法で分割して示される原子は、2本の鎖セグメントにおよび2本鎖セグメントだけに結合されている原子であるべきであり、その結果、単位格子内の網目形成結合が、見落とされることも、二重に数えられることもない。
下の略図は、高分子反応生成物:(1)2分子のビスフェノールA(または別の方法でイソソルビド、イソソルビドに関して、結合総数がこの系において同じである)と1分子のエピクロルヒドリンとでそれらと結合するグリセリルジエーテルを形成した後、さらに2分子のエピクロルヒドリンの分子を用いてα,ω−ジグリシジルエーテルを提供する、各々独立して反応生成物である2種の巨大分子;(2)1分子の無水マレイン酸(中央に垂直な線分を形成する);および(3)1分子の1,2−エタンジアミン(各側で括弧を交差する水平な線分)から配合されたエポキシド樹脂、の例証的な単位格子の略図を示す。次に、斜め輪郭は、BPA単位により定義される。この構成において、ダイヤモンドの外側の4本の線分の各々が、23の骨格結合を表し;垂直な線分は、単位格子当たり9の骨格結合を表し;そして、2本の水平な線分は、単位格子当たり3骨格結合を集合的に表し、総計104骨格結合である。ここで、4結合点の各々が、3骨格結合を有し、従って、網目形成結合の数は、[4×(3−2)]=4の網目形成結合である。次に、網目形成する骨格結合にとって適切な百分率は、(4/104)×100%=約3.85%である。
用語「触媒」は、反応を加速する化合物もしくは組成物、ポリマーの鎖長を延ばす化合物もしくは組成物、または架橋反応を促進する化合物もしくは組成物を意味する。本開示の目的上の触媒の例証的な例として、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、スズ(II)化合物、亜鉛(II)化合物、チタン(II)およびトリアリールホスフィン(これらに限定されない)が挙げられる。さらに、本開示は、均質混合物中に存在する熱硬化性樹脂を硬化するのに適切である任意の触媒の使用を企図する。
熱硬化性樹脂に対して本明細書で用いられる用語「硬化」は、例えば、化学添加剤、紫外線、電子線または熱で処理して、重合および/または架橋によって強化することまたは硬くすることを意味する。用語「完全な硬化」は、互いに反応させて架橋を形成することができる熱硬化性樹脂中の化学種の量および比率の観点から理論上可能である最大量の硬化を意味する。用語「単離された状態で硬化される場合」は、熱硬化性樹脂に対して本明細書に用いる場合、樹脂が、硬化される前に、いかなる他の樹脂とも混合されていないならば、取得されるだろう材料およびその特性を指す。
用語「芳香族グリシジルエーテル化合物」には、硬化と未硬化状態の両方におけるBADGE、BFDGE、ノボラックグリシジルエーテル(NOGE)、およびそれらの組み合わせ(それらに限定されない)が含まれる。
特定の高分子材料中の化合物に対して使用される用語「移動性」は、化合物が、材料内および材料から離れて拡散できることを意味する。例えば、「移動性」は、コーティングが、最終用途に応じて、いくつかの所定の一連の条件のために試験媒体に暴露される場合、硬化されたコーティングから抽出されることができる化合物を表すために使われる。
特定の移動性化合物の用語「実質的に無含有」は、本開示の組成物が1000パーツ・パー・ミリオン(ppm)未満の上述の移動性化合物を含有することを意味する。特定の移動性化合物の用語「本質的に無含有」は、本開示の組成物が100パーツ・パー・ミリオン(ppm)未満の上述の移動性化合物を含有することを意味する。特定の移動性化合物の用語「本質的に完全に無含有」は、本開示の組成物が50パーツ・パー・ミリオン(ppm)未満の上述の移動性化合物を含有することを意味する。特定の移動性化合物の用語「完全に無含有」は、本開示の組成物が20パーツ・パー・ビリオン(ppb)未満の上述の移動性化合物を含有することを意味する。従って、特定の組成物が特定の移動性化合物を「完全に無含有」である本開示には、その組成物が特定の移動性化合物を「本質的に完全に無含有」、「本質的に無含有」、および「実質的に無含有」等が含まれる。相対的に無含有の化合物に関連する前述の句が、用語「移動性」を除いて使用される(例えば「XYZ化合物を実質的に無含有」)ならば、その場合、本開示の組成物は、化合物が、ポリマー中で移動性であろうと、或いはポリマーが存在する組成物の成分に結合されようと、前述の量よりも少ない量の化合物を含有する。
本明細書で用いられる用語「網目ポリマー」および「網目コポリマー」は、分子規模での網目構造(線状セグメントと多価の結合点とが、交互に現れる)を有するポリマーを指す。いくつかの実施形態において、これらは、熱硬化性であり、他において、それらは、セグメントの長さおよび架橋の程度(つまり、結合点の相対頻度)に応じて、熱可塑性である。網目コポリマーは、それらの構造(組み立て)に応じて、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーまたは分岐のコポリマーであってよく、或いはこれらの任意の組み合わせであってよい。
用語「相互侵入網目」は、網目の絡み合った組み合わせを形成する2種以上のポリマーのブレンドを意味し、それらのうち少なくとも1種のポリマーが、他のポリマーの直接の存在下で合成および/または架橋される。
ポリマーを表すために本明細書で用いられる用語「ハニカム形態」は、網目様配列を示し、網目の列は、1種のポリマーによって構成され、列間の領域は、異なるポリマーによって構成される。
用語「疎水性の」および「超疎水性の」は、「撥水性の」を意味し、化学および高分子技術分野におけるそれらの通例および通常の意味を有する。具体的には、材料に対して本明細書で用いられる用語「疎水性の」は、その材料が、水との接触角が少なくとも90度であることを意味する。
本明細書で用いられる用語「透過性」は、特定のそれぞれの組成物が、特定のそれぞれの化学種よる拡散を可能にする度合を指す。これを説明する目的上、この用語は、特に二酸素、二酸化炭素および水分子それぞれの拡散率(これらに限定されない)に向けられる。
用語「機能性添加物」は、材料の物理特性または化学特性を調節するために、材料内に比較的少量提供される物質を指す。
物質に対して本明細書で用いられる用語「食品グレード」は、物質が、食品または飲料と接触する表面での使用のための規制指針に適合することを意味する。
樹脂、ポリマーまたは形成プラスチックを説明するために本明細書で用いられる用語「熱可塑性」は、硬化を用いるならば、硬化により、その溶融力が排除されないことを示唆する。これらの材料の例証的な例として、熱可塑性型のポリウレタン、ポリ尿素、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリエステル、ポリイミド、ポリシロキサン、不乾性アルキドポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、およびアクリルポリマー(これらに限定されない)が挙げられる。
用語「表面改質剤」は、その中に添加剤が存在する材料表面の物理的特性を調節する機能添加物を意味する。表面改質剤の例証的な例として、平滑剤、湿潤剤、潤滑剤、消泡剤、他の疎水化剤、密着性向上剤および防食剤(これらに限定されない)が挙げられる。本開示の目的上、疎水特性を付与するために使用される機能性添加物の例証的な例として、脂肪酸アミド、パラフィンワックス、エステルワックス、脂肪酸アルコールワックス、脂肪酸せっけん、脂肪酸エステル、炭化水素オイル、植物油、未架橋の環状エーテル樹脂、未架橋のアルキルポリアクリレート、シロキサン界面活性剤、未架橋のシロキサンポリマー、シリコーンオイル、含水シリカ、フッ素化界面活性剤、未架橋のフッ素化ポリマー、およびフルオロシリコーン(これらに限定されない)が挙げられる。本開示の目的上、密着性を向上させるのに使用される機能性添加物の例証的な例として、ポリウレタン、アルキル(トリアルコキシ)シラン、アミノアルキル(トリアルコキシ)シラン、およびアクリルポリマー(これらに限定されない)が挙げられる。本開示の目的上、防食性を向上させるのに使用される機能性添加物の例証的な例として、医薬的に許容される亜鉛(II)塩、医薬的に許容される銅(II)塩、タンニン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)(これらに限定されない)が挙げられる。
コーティングまたは積層フィルムに対して本明細書で用いられる用語「ブラッシュ等級」は、試験中の密着性の損失の程度を意味し、それは、完全な透明性に対して高い(点数10)から完全な不透明性に対して低い(点数1または0)の値範囲の不透明度により明示される。
コーティングまたは積層フィルムに対して本明細書で用いられる用語「密着性等級」は、試験中の密着性の損失の程度を意味し、試験前にコーティングまたは積層フィルムを網状線でけがき(スクライビングし)、試験後の表面でのテープの貼着および剥離が、コーティングを剥離するかどうか評価することにより、測定される。ブラッシュに関して、最上の点数は、10で、最低は、0または1である。
試験後のコーティングの密着性に対して本明細書で用いられる用語「ほぼ元の状態のままである」は、著しい目に見える欠損が全くなく、少なくとも7のブラッシュ等級および少なくとも7の密着性等級を有することを意味する。
試験に関する句「コーティング健全性が実質的に影響されることなく残存する」は、目視での欠損の程度が、著しく増大せず、上述の試験後のブラッシュ等級および密着性等級の各々が、試験前の等級に対して1以下の単位だけ下がることを意味する。
用語「フィルム」および「シート」は、ポリマーに対して本明細書において互いに交換して使用され、任意選択的に曲げられても、折り畳まれても、ねじられても、つなぎ合わされても、もみくちゃに丸められてもよい、或いはそうでなければ、所望の包装材料または他の梱包材料として使用される、独立のまたは積層した薄平面型の材料を指す。用語「コーティング」および「被覆」は、本明細書において互いに交換して使用され、基材上の蒸着層を指すが、この段落の用語の区別により、表面に密着する材料の薄フィルム、および実際の塗布において独立のフィルムとして使用されるのに必要な物理的強靱性を有する場合もあり、或いは別の方法で強靱性を有さない場合もある材料のフィルムを指す。
用語「感覚受容性」は、感覚により体験する飲料および食品の態様を意味し、味覚、香気、外観、音声および食感が挙げられる。本明細書で用いられる、用語感覚受容性は、特に味覚および香気を指すが、他の官能特性を全て除外するものではない。
用語「感覚受容性標識化合物」は、物理的特性が、分析評価の際に感覚受容性化合物の複合混合物の挙動の代表としてまたは代用として処理される化合物を意味する。感覚受容性標識化合物の例証的な例として、以下が挙げられる(これらに限定されない):ベンズアルデヒド、バニリン、(E)−2−ペンテナール、ヘキサナール、ヘプタナール、(E)−2−ヘペンタール(hepental)、オクタナール、ノナナール、(E)−2−ノネナール、(E,E)−2,4−ノナジエナール、デカナール、(E)−2−デセナール、(E,E)−2,4−デカジエナール、(E)−2−ウンデセナール、ドデカナール、酢酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、(E,E)−2,4−ノナジエナール、プロピオン酸メチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、エチル−2−メチルブタノアート、ヘキサン酸エチル、ノナン酸メチル、シネオール、ショウノウ、D−カルボン、2−ヘキサノン、2−ペンタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、エタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ペンタノール、1−オクタノール、3−ペンタノール、1−オクテン−3−オール、2−メチル−プロパノール、2−ヘキサノール、マルトール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フェニルエチルアルコール、(E)−カルベオール、(Z)−カルベオール、チモール、リナロオール、アルファ−テルピネオール、オイゲノール、イソオイゲノール、1−オクテン−3−オン、ベータ−ダマセノン、アルファ−イオノン、ベータ−イオノン、ノオトカトン、1,8−シネオン、p−シメン、デヒドロ−p−シメン、アルファ−ピネン、ミルセン、リモネン、ベータ−フェランドレン、ガンマ−テルピネン、テルピノレン、および2−ペンチルフラン。ある実施形態において、標識化合物は、リモネンおよびC6〜C12アルデヒドである。
完成品での物質の割合に対して本明細書で用いられる用語「主にからなる」は、その物質がその完成品の乾燥重量で少なくとも70%(質量百分率)を組成することを意味する。
化合物に対して使用される用語「合成」は、それらが、天然の生成物ではないことを意味する。化学構造が人工反応によって変えられた天然の生成物は、当の最終生成物が自然界でも発見されない限り、また観察される濃度での食品または飲料へのその生成物の放出が、人類に無害で、規制準拠の目的上許容し得るとみなされない限り、本明細書において合成であるとみなされる。後者の記載に適合する化合物の例は、セルロースまたはデンプンの工業用加水分解によって取得されるグルコースであるだろう。
溶媒に対して使用される用語「除去」は、溶媒が取り除かれることを意味する。除去に対する手段は、加熱、排気、凍結乾燥、熱風蒸気を用いる乾燥、冷凍乾燥または他の手段でによるものでよい。
コーティングに対して使用される用語「剥離」は、物理的な力(例えば、削り);レーザー光線による劣化;熱による劣化;基板用マスクの剥離;オーバーレイマスクを使用しないエッチング;オーバーレイマスクを使用しない溶媒ベースの層剥離;およびオーバーレイマスクの蒸着後に、オーバーレイマスクに保護されていないコーティング部分の劣化等により、影響を受けたコーティング部分が、引き離され、分離され、低減または実質的に削除されることを意味する。様々な手段によるコーティングの剥離は、硬化前でもまたは硬化後でも着手してよい。
水および他の溶媒に対して本明細書において使用される用語「乾燥」は、水および他の溶媒を除去することを意味する。
用語「蒸着する」および「蒸着」は、コーティングの製作におけるそれらの通例および通常の意味を有する。本開示の目的上、蒸着方法の例証的な例として、浸漬、ブラッシング、ロール掛け、溶射、インクジェット印刷、フレキソ印刷、熱ワックス色素転写(hot wax dye transfer)、スクリーン印刷、ブロック印刷、可動型、静電印刷機または輪転機、石版印刷、オフセット印刷、パッド印刷、凸版印刷、輪転グラビア印刷、および凹版印刷(これらに限定されない)が挙げられ、これらの用語は、印刷におけるそれらの通例および通常の意味を有する。
用語「閉鎖部」は、容器の口を閉じる、また任意選択的に密閉するための一片部分を意味する。例証的な例として、王冠、スクリューキャップ、蓋、プルタブ、コルク、ストッパー、ジップロック部(zip-lock part)、スナップ、ジッパー、フック地、ループ地、再シール可能なテープおよびマグネットクローザー(これらに限定されない)が挙げられる。用語フック地およびループ地は、VELCRO(登録商標)片で使用される型の閉鎖部分を指す。
本明細書で用いられる用語「有機基」は、脂肪族基、環状基、または脂肪族と環状基の組み合わせとして分類される、炭化水素基(炭素および水素以外の任意選択の元素(例、酸素、窒素、硫黄、およびケイ素等)を有する)を意味する。用語「脂肪族基」は、飽和もしくは不飽和の直鎖炭化水素基または分岐の炭化水素基を意味する。この用語は、例えば、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を包含するように使用される。用語「アルキル基」は、飽和の直鎖もしくは分岐の炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。用語「アルケニル基」は、1つもしくは複数の炭素−炭素二重結合を有する不飽和の直鎖炭化水素基または分岐の炭化水素基(例、ビニル基等)を意味する。用語「アルキニル基」は、1つもしくは複数の炭素−炭素三重結合を有する不飽和の直鎖炭化水素基または分岐の炭化水素基を意味する。用語「環状基」は、脂環式基または芳香族基として分類される閉環炭化水素基を意味し、それらの両方とも、ヘテロ原子を含むことができる。用語「脂環式基」は、脂肪族基の特性と類似した特性を有する環状炭化水素基を意味する。
用語「低級アルキル」および「低級アルケニル」並びに「低級アルキニル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、アルケニルおよびアルキニル官能基を指す。ある実施形態において、アルキルまたはアルキエニル(alkyenyl)基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、チオール、アルキルチオ基、ハロゲン化物、アミン、置換アミン、アミド、置換アミド、エステル化アミド、カルボン酸もしくはカルボン酸塩もしくはカルボン酸エステル、スルホン酸塩もしくはスルホン酸エステル、ホスホン酸塩もしくはホスホン酸エステル、ニトリル、またはニトロ基によって、置換されるアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基中の炭素原子の総数が、8を超えないとする条件で、置換されてもよい。
用語「Ar」は、2価のアリール基(つまりアリーレン基)を指し、2価のアリール基は、閉鎖芳香環もしくは閉鎖芳香環系(例、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、フルオレニレン、およびインデニル、さらにヘテロアリーレン基(つまり環内の1個もしくは複数個の原子が、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄等)である閉環炭化水素)を指す。ヘテロアリール基として、フリル、チェニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オザゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ナフチリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、プリニル、キナゾリニル、ピラジニル、1−オキシドピリジル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリル(これらに限定されない)が挙げられる。上述のヘテロアリール基が、2価である場合、それらは、通常、「ヘテロアリーレン」基(例えばフリレン、ピリジレン等)と呼ばれる。
置換は、本開示に記載される化合物の有機基上に見込まれる。本開示を通して使用される特定の専門用語の考察および詳述を簡略化する手段として、用語「基」および「部位」は、置換が見込まれる化学種または置換され得る化学種と、置換が見込まれない化学種または同様に置換され得ない化学種を識別するために使用される。従って、用語「基」を用いて化学置換基を記載する場合、記載される化学材料には、未置換の基、例えば、鎖において(アルコキシ基におけるように)O、N、Si、またはS原子を有する基、さらにカルボニル基または他の従来の置換が含まれる。用語「部位」を用いて化学化合物または置換基を記載する場合、未置換の化学材料だけが、含まれることが意図される。例えば、句「アルキル基」は、純然たる開鎖飽和炭化水素のアルキル置換基(例、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル等)だけでなく、当技術分野において既知のさらなる置換基(例、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシル等)を伴うアルキル置換基も含まれると意図される。従って、「アルキル基」として、エーテル基、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキル等が挙げられる。一方、句「アルキル部位」は、未置換の開鎖飽和炭化水素のアルキル置換基(例、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル等)のみの包含に限定される。
本明細書で用いられる用語「酸性」は、媒体中で1種の酸または複数種の酸が、約5未満または約3未満のpKa(または複数種の酸を用いるならば、平均pKa)を有することを指す。硬化ポリマーベースの組成物に使用され得る任意の数の酸触媒を用いる場合、酸性媒体が生じることを理解されたい。
本明細書で用いられる用語「多層被覆用コーティング系」は、少なくとも2種の化学的に別個のコーティング組成物を特定の基板表面に塗布することを採用するコーティング系と定義される。
用語「2層被覆用コーティング系」は、多層被覆用コーティング系のうちで、化学的に別個のコーティング組成物2種のみを特定の基板表面に塗布するコーティング系と定義される。
用語「下塗り被覆組成物」は、基板表面と「上塗り被覆組成物」の間に塗布されるコーティング組成物と定義され、2層被覆系用のベース被覆、プライマーまたはサイズと同義である。
用語「上塗り被覆組成物」は、塗布された下塗り被覆組成物の上に塗布されるコーティング組成物と定義され、2層被覆系用のトップコートまたはラッカーと同義である。
用語「第一被覆組成物」は、基板の表面にまたは基板表面と「第二被覆組成物」の間に塗布されるコーティング組成物と定義され、2層被覆系用のベース被覆、プライマーまたはサイズと同義である。
用語「第二被覆組成物」は、塗布された第一被覆組成物の上に塗布されるコーティング組成物と定義され、2層被覆系用のトップコートまたはラッカーと同義である。
用語「硬化コーティング組成物」は、例えば、フィルム生成、架橋等によって、コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化するまたは硬くすることから生じる基板上に存在する密着性コーティングと定義される。
用語「コーティング固形分」は、硬化後の被覆基板上の「硬化コーティング組成物」に残存する全ての不揮発性材料を含むと定義される。
キャリア液「中に分散」したポリマーに対しての用語「中に分散」は、ポリマーをキャリア液中に混合して巨視的に均一な多相(例えば、個体/液体)流体混合物を形成することができることを意味し、キャリア液の溶媒和化合物が、分散ポリマーを膨張させるまたは部分的に可熔化する混合物を含むと意図される。
用語「実質的に非水性のキャリア液」は、キャリア液を表示するのに使用され、キャリア液中で、水は、多少存在するとしても、キャリア液の僅か約5重量パーセントを構成する。
B.香味の損失または「スカルピング(scalping)」を抑える組成物
当業者には既知のように、「香味のスカルピング」は、梱包材料によってその香気香味が吸収されるか、または梱包された完成品に含有される成分が望ましくない香味を梱包材料から吸収するかのどちらかが起因して、梱包された完成品の品質が損失することを記載する。いくつかの筋書において、化学物質が、梱包材料から梱包材料に包まれる食料品に浸出し、それにより、味覚および/または臭気がなくなる。同様に、食品の香気が、梱包材料に吸収されることがあり、梱包材料に包まれる食料品を所望の臭いおよび/または味覚よりも劣る状態にする。本質的には、食料品と梱包材料間で化学反応が起きて、新たな香気および/または臭気を形成することもある。本開示の組成物およびコーティングは、香味の損失またはスカルピングを抑え、かつ梱包材料から梱包材料に包まれた食料品に化学物質が浸出するのを抑えるまたは最小限に抑える。
本開示の新規の高分子組成物およびコーティングは、前駆体材料(エポキシ、アクリレート、および/またはシロキサン樹脂)の同様な組み合わせをベースとすると思われる以前のコーティング組成物のようではなく、他の樹脂の存在下で、1種もしくは複数種の構成ポリマー樹脂を合成および/または架橋して調製される。少なくとも1種の構成ポリマー樹脂をこのような手法で合成および/または架橋することにより、少なくとも1種のポリマー網目の相互侵入網目または絡み合った組み合わせが生み出され、それが、移動性ビスフェノール化合物を実質的に無含有である高度に安定した高分子網目を提供する。
いかなる特定の理論に制限されることなく、本開示には、以下の要因のため、香味のスカルピングを抑えることを求める、3つのコーティング組成物の基本骨格が含まれる:(a)組成物の高いガラス転移温度Tgおよび高い架橋密度によって、組成物のポリマー網目の空隙率が低減され得る。これにより、小さな香味分子の溶解度および拡散率が下がり、それにより、香味のスカルピングを抑える結果となり得る;(b)疎水性のコーティング表面を用いて基板を被覆し得る。従って、飲料または液状食品は、通常親水性であるが、コーティング表面の組成物からはじかれ、これにより、梱包用組成物による香味の吸収を抑え得る;(c)コーティング組成物の全体的な極性は、長鎖の他の非極性モノマーによって低減されるだろう。従って、香味化合物の溶解度は、低下し得る;(d)香味化合物を添加剤として用いて、組成物のポリマー網目の空孔体積/空隙体積を満たしてもよく、そして全般的な香味の拡散/吸収を減らしてもよい;および(e)コーティング表面は、「シリコーン系剥離ライナー」と類似した剥離特性を有するだろう。従って、組成物のポリマー網目中への香味分子の拡散率は、抑えられ得る。
一態様において、エポキシ樹脂とアリレート樹脂の反応生成物を含む組成物が提供され、エポキシ樹脂とアリレート樹脂は、開始剤、触媒、および/または架橋剤の存在下で接触し、結果として生成する絡み合ったポリマー網目または相互侵入のポリマー網目は、移動性のビスフェノール化合物を実質的に無含有である。
適切な樹脂の組み合わせ 3種類(環状エーテル、アクリレート、およびシロキサン)のうち少なくとも2種から熱硬化性樹脂を組み合わせて均質混合して、それらを硬化することにより、BPAおよびBPA関連の化合物をベースとする高分子組成物に取って代わるのに適切である物品、フィルム、積層およびコーティングに使用するための組成物を生み出すことができる。いくつかの実施形態において、これらの組成物は、環状エーテル/アクリレート(E+A)組成物であり、その組成物は、架橋剤および触媒をさらに含んでもよい。ある実施形態において、これらの組成物は、架橋剤および触媒をさらに含んでもよい環状エーテル/シロキサン(E+S)組成物である。さらに他の実施形態において、これらの組成物は、アクリレート/シロキサン(A+S)組成物である。ある実施形態において、これらの組成物は、環状エーテル/アクリレート/シロキサン(E+A+S)組成物であり、その組成物は、架橋剤、開始剤および触媒をさらに含んでもよい。各々の場合において、組成物は、BPAを実質的に無含有、BPAを本質的に無含有、BPAを本質的に完全に無含有、またはBPAを完全に無含有である手法で調製されてよい。ポリマーに対する重量率は、以下に検討される範囲から選択されてよい;本段落および以下の段落に列挙されるポリマー名の順序は、このような比率における相対的優位性を表さない。
ポリマーの塗布 本開示に基づく組成物は、成形品、独立のフィルム、積層品および表面コーティングにおける使用に適切である。いくつかの態様および実施形態において、本明細書に開示される組成物は、金属基板のための積層および保護表面コーティングに使用される。詳細には、金属表面は、食品および飲料用の缶の金属表面であってよく、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼、鋼合金、スズ、スズ合金、亜鉛、亜鉛合金、クロムおよびクロム合金、並びに他の梱包用金属からなるが、本開示は、それらに限定されない。
本開示に基づく組成物は、同様に、合成ポリマーまたはバイオポリマー(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフラノアート、ナイロン、ポリカーボネート、アクリル、ポリウレタン、シリコーン、天然フェノールポリマー、テルペンポリマー、および脂質ポリマー等)である基板(これらに限定されない)を含む、プラスチック基板のための積層および保護表面コーティングに使用されてよい。さらに、この開示した組成物は、同様に、セルロース、リグノセルロース、ヘミセルロース、デキストラン、グリコーゲン、プルラン、デンプン、クリソールアミナリン、クルドラン、ラミナリン、レンチナン、リケニン、プロイラン、チモサン、ペクチン、キチン、グリコサミノグリカン、カロース、および植物ゴム(これらに限定されない)をはじめとする、ポリサッカリド基板を含む、基板用の積層および保護表面コーティングに使用されてよい。
開示した組成物は、さらに、ガラス、セラミックおよびガラスセラミック(これらに限定されない)をはじめとする、無機材料を含む基板用の積層および保護表面コーティングに使用されてよい。本開示に基づいて使用され得るガラスの例として、溶融石英ガラス、ソーダ石灰−石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、酸化鉛ガラス、アルミノシリケートガラス、酸化ゲルマニヌム(germaninum oxide)ガラス、およびフォトクロミックガラス等のガラス(これらに限定されない)が、挙げられる。本開示に基づいて使用され得るセラミックの例として、白色陶磁器(例、陶器、せっ器、磁器、ボーンチャイナ等)、工業用セラミック(例、アルミナ、ベリリア、セリアおよびジルコニア等の酸化物);工業用セラミック(例、カーバイド、ホウ化物、窒化物およびケイ化物等)、並びに工業用セラミック(例、粒子または繊維により強化された複合材等および酸化物と非酸化物の複合材等)(これらに限定されない)が挙げられる。本開示に基づいて使用され得るガラス−セラミックの例として、例えば、Li2O×Al2O3×nSiO2−系(LAS−系)、MgO×Al2O3×nSiO2−系(MAS−系)、およびZnO×Al2O3×nSiO2−系(ZAS−系)(これらに限定されない)が挙げられる。
この組成物は、食品および飲料用の容器の内部コーティングと外部コーティングとの両方に適切であり、コーティングが食品または飲料と接触するこのような容器の内部コーティングに特に適切である。
ポリマー成分は、熱可塑性物質または熱硬化性物質を形成し得るが、それは、架橋の程度および幾分か絡み合いの程度に応じるだろう。組成物は、多様であってよい。いくつかの実施形態において、さらに、種類(ポリアクリレート、ポリエポキシドおよびまたはポリシロキサン)のうち少なくとも2種類の各々からのポリマーを含み、複数のポリマーの存在により、少なくとも1種類が、示される。ある実施形態において、組成物は、3種類以外からの少なくとも1種類のポリマー(その種類からの1種もしくは複数種のモノマーまたはポリマーとブレンドされるまたはその種類からの1種もしくは複数種のモノマーまたはポリマーに結合する)を含む。その種類以外からのポリマーの例として、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリイミド、重合アルキド、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、または概して熱硬化性ポリマーの製品用の反応性樹脂が挙げられる。
いくつかの実施形態において、組成物は、移動性BPA、BPF、BADGE、およびBFDGEを実質的に無含有である。他の実施形態において、組成物は、移動性BPA、BPF、BADGE、およびBFDGEを本質的に無含有である。ある実施形態において、組成物は、移動性BPA、BPF、BADGE、およびBFDGEを本質的に完全に無含有である。さらに他の実施形態において、組成物は、BPA、BPF、BADGE、およびBFDGEを完全に無含有である。
C.ポリマー前駆体
いくつかの実施形態において、組成物は、ポリマー前駆体、つまりオリゴマーである分子、またはそうでなければ小分子よりも大きい分子を含み、例えば熱源またはエネルギー源(例、電子線、紫外線、可視光線等)に暴露されることにより、または、水分、化学触媒、もしくは他の薬剤の作用により、硬化性となる1つもしくは複数の官能基を含有する。組成物は、例えば、モノマーのみまたはポリマーのみが存在するならば、上述の前駆体を全く含有せず、或いは任意選択的に、3種類のうちの任意からのポリマー前駆体、または3種類のうちの任意の組み合わせからのポリマー前駆体を含有してもよい。さらに、ある種類からのポリマー前駆体は、別の種類からのモノマー、ポリマーまたは前駆体とハイブリッド形成または結合し得る。非限定の例証的なエポキシ樹脂の前駆体として、アミノポリマーもしくはアミノプラストポリマーを形成する反応性化合物(例、アルキル化尿素−ホルムアルデヒドポリマー、メラミン−ホルムアルデヒドポリマー、アルキル化ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒドポリマー、グリシジルエポキシ樹脂、脂環式エポキシド、およびグリシジルアミンエポキシ樹脂等)(これらに限定されない)が挙げられる。例証的なアクリレート樹脂前駆体として、アクリレートポリマーおよびアルカクリレート(alkacrylate)ポリマー、アルキルアクリレート、アクリル化エポキシ、アクリル化ウレタン、アクリル化ポリエステル、アクリル化ポリエーテル、ビニルエーテル、アクリル化オイル、およびアクリル化シリコーンをベースとするアクリレート樹脂前駆体(これらに限定されない)が挙げられる。例証的なポリシロキサン前駆体として、アルキルアルコキシシランオリゴマー;および反応性ビニルポリシロキサン(これらに限定されない)が挙げられる。いくつかの実施形態において、3種類以外であるポリマー前駆体が、架橋、可塑化、バリア性向上、または別の利点の目的のために提供される。例証的なこのような「種類以外」のポリマーの前駆体として、アルキドポリマー(例、ウレタンアルキドポリマー;ポリエステルポリマー;反応性ウレタンポリマー;フェノールポリマー;フェノール/ラテックスポリマー;等)の前駆体(これらに限定されない)が挙げられる。組成物には、モノマー、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせが含まれてよい。特定の実施形態において、組成物には、硬化の際に架橋を形成し得る少なくとも2種の型のポリマーのモノマーが含まれる。例えば、その組成物は、硬化の際に、エポキシ/アクリルポリマーを形成するエポキシ成分とアクリル成分を含んでもよい。
D.環状エーテル
非エポキシド系環状エーテルの開環 組成物は、非エポキシド系重合性の酸素含有環を有する1種もしくは複数種の成分を含んでよい。例証的な例として、オキセタン化合物、オキソラン(例えば、テトラヒドロフラン)化合物、ジオキソラン化合物、オキセパン化合物およびジオキセパン化合物(これらに限定されない)が挙げられ、それらの化合物において、アルキレンオキシド環は、任意選択的に低級アルキル置換基を有してもよい。
例示的な実施形態において、ポリマー反応成分には、アニオン重合性前駆体およびカチオン重合性前駆体が含まれる。例えば、組成物は、少なくとも1種のカチオン硬化性成分、例えば少なくとも1種の環状エーテル成分、環状ラクトン成分、環状アセタール成分、環状チオエーテル成分、スピロオルトエステル成分、エポキシ官能成分、またはオキセタン官能成分を含んでもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、エポキシ官能成分およびオキセタン官能成分からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む。
エポキシ官能成分 いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも1種のエポキシ官能成分、例えば、脂肪族エポキシ官能成分(「脂肪族エポキシ」)を含む。エポキシ官能成分は、1種もしくは複数種のエポキシ基、つまり、1つもしくは複数の3員環構造(オキシラン)を含む成分である。モノマー混合物は、モノマー混合物の重量を基準として、少なくとも約0.1重量%または少なくとも約1重量%のオキシラン基含有のモノマーを含有してもよい。他の実施形態において、オキシラン基含有のモノマーは、モノマー混合物の約0.1重量%〜約30重量%または約1重量%〜約20重量%を構成してよい。いくつかの実施形態において、モノマー混合物は、オキシラン基含有のモノマーを全く含有しない。
ジエポキシド 式Iの反応生成物を有するポリマーは、式IIの化合物を重合またはさらに重合することを伴う方法によって調製されてよい。式I:−O−Ar−Rn−C(O)−O−R1−O−C(O)−Rn−Ar−O−〔式中、各Arは、独立して2価のアリール基(つまりアリーレン基)またはヘテロアリーレン基であり;R1は、2価の有機基;各Rは、独立して2価の有機基であり;およびnは、0または1である。どれか1種のポリマーは、様々なこのようなセグメントを有してもよく、それは、同じでも異なってもよい〕。式II:HO−Ar−Rn−C(O)−O−R1−O−C(O)−Rn−Ar−OH〔式中、Ar、R、R1、およびnは、上述のとおりである〕。
ある実施形態において、式IIの化合物(例えば2価フェノール)は、ジエポキシドと反応して、分子量を増大させることができる。例えば、式IIの化合物(例えば2価フェノール)は、ビスフェノールAまたはビスフェノールFが反応するのとほぼ同じ手法で、非BPAおよび非BPFベースのジエポキシドと反応して、強固な梱包のためのコーティング用の架橋剤および添加剤と配合されることができるポリマーを生み出すことができる。例えば、式IIの化合物は、ジエポキシドと反応して、−CH2−CH(OH)−CH2−セグメントを含むポリマーを形成してもよい。別の方法として、式IIの化合物は、エピクロルヒドリンと反応して式IIの化合物のジエポキシド類似体を形成した後、そのジエポキシド類似体が、他の式IIの化合物と反応して−CH2−CH(OH)−CH2−セグメントを含むポリマーを形成してもよい。
式IIの化合物のジエポキシド類似体(例えば、2価フェノールのグリシジルポリエーテル)は、式IIの化合物(例えば2価フェノール)とエピクロルヒドリンとを適切な割合でアルカリ性媒体中で反応させて、調製されてもよい。塩基性物質(例、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等)を好ましくは化学量論的に過剰にエピクロルヒドリンに加えることにより、所望のアルカリ度が取得され得る。反応は、約50℃〜約150℃の温度で達成され得る。加熱を数時間続けて反応をもたらした後、生成物を洗浄して塩および塩基を除去する。このような反応の手順は、一般的によく知られており、例えば、米国特許第2,633,458号に開示されている。
本開示で用いる適切なジエポキシド(式IIの化合物のジエポキシド類似体以外)は、BPAまたはBPF無含有の、好ましくは1つもしくは複数のエーテル結合を有するジエポキシドを含んでよい。適切なジエポキシドは、様々なプロセスにより、例えばジヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンの縮合により、調製されてよい。適切なジエポキシド(式IIの化合物のジエポキシド類似体以外)の例として、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(CHDMDGE)、レソルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、および2−メチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル(これらに限定されない)が挙げられる。
結果として生成される式Iのポリマーは、例えばエポキシ末端またはフェノキシ末端であってよい。それらは、市販のBPAベースのエポキシ材料(例えば、Resolution Performance Products, Houston, Texas USAからのEPON828、1001、1007、1009のような銘柄の元で入手可能であるBPAベースのエポキシ材料)の分子量等のような様々な分子量において作製されてよい。いくつかの実施形態において、本開示のポリマーは、少なくとも約2,000、少なくとも約3,000、または少なくとも約4,000の数平均分子量(Mn)を有する。
ポリマーの分子量はまた、ジエポキシド(式IIの類似体と別のジエポキシドのどちらでも)を式(II)の化合物と反応させる際に、触媒を使用することにより、増大されてもよい。本開示のエポキシ材料の分子量の増大に使用できる適切な触媒として、アミン、水酸化物(例えば水酸化カリウム)、ホスホニウム塩等が挙げられる。いくつかの実施形態において、触媒は、ホスホニウム触媒である。
別の方法として、式Iのエポキシ末端ポリマーは、脂肪酸と反応して、不飽和(例えば、空気酸化性)反応基を有するポリマーを形成してもよく、或いはアクリル酸またはメタクリル酸と反応して、フリーラジカル硬化性ポリマーを生成してもよい。
ポリマーの分子量はまた、式Iのエポキシ末端ポリマーと適切な二酸(例、アジピン酸等)との反応により、増大され得る。
生物源の成分 ある実施形態において、エポキシ樹脂は、生物源の化合物を用いて、取得される。例えば、エピクロルヒドリンは、植物油から得られるグリセロールから生成され得る。また、剛直なジオールBPAは、2環式ジアンヒドロC6糖アルコール(例、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド、イソガラクチド、イソフシド(isofucide)およびイソイノシド等)からの剛直なジオールと置換されてもよい。イソソルビドは、容易に入手でき、コーンスターチの生成物なので、特に魅力的である。さらに、植物由来のエポキシ樹脂(例、エポキシ化大豆油等)も使用してもよい。
脂肪族エポキシ成分 脂肪族エポキシ成分は、1つもしくは複数のエポキシ基を有し、芳香環を伴わなくてよい。組成物は、1種もしくは複数種の脂肪族エポキシを含んでよい。脂肪族エポキシの例として、C2〜C30アルキルのグリシジルエーテル;C3〜C30アルキルの1,2エポキシ;脂肪族アルコールまたは脂肪族ポリオール(例、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジブロモネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、グリセロール、およびアルコキシル化脂肪族アルコール等)のモノ−グリシジルエーテルまたはマルチ−グリシジルエーテル;またはポリオール(これらに限定されない)が挙げられる。
一実施形態において、脂肪族エポキシは、1つもしくは複数の脂環式の環構造を含む。例えば、脂肪族エポキシは、1つもしくは複数のシクロヘキセンオキシド構造、例えば、2つのシクロヘキセンオキシド構造を有してもよい。環構造を含む脂肪族エポキシの例として、水素化、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタンジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エタンジオールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−1,3−ジオキサン、または1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(これらに限定されない)が挙げられる。
ビス−エポキシのエポキシ基は、フェノールカルボン酸および/またはエステルのヒドロキシ基と反応してビス−カルボン酸またはビス−エステルを形成することを理解されたい。次に、ビス−カルボン酸またはビス−エステルは、ポリオールと反応してポリエステルを形成する。ビス−エポキシは、1.1:2(例、約1.5:2、約1:1.5、約1:1〜約1:2、または約1:2等)の比率において、フェノールカルボン酸および/またはエステルと反応してもよい。いくつかの実施形態において、モノ−フェノールカルボン酸/エステルが使用され、パラヒドロキシ安息香酸または「パラベン」のエステル(例、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベンおよび/またはベンジルパラベン等)が含まれる。ある実施形態において、ジ−フェノールカルボン酸/エステルには、ジフェノール酸が含まれる。複数の−OH基を有するフェノールカルボン酸および/またはエステルを用いる場合、生成物のゲル化を回避するために、条件は、維持されるべきであることを理解されたい。
ポリオール いくつかの実施形態において、組成物には、脂肪族アルコール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールの、1種もしくは複数種のモノ−グリシジルエーテルまたはポリ−グリシジルエーテルが含まれる。このような成分の例として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、分子量約200〜約10,000のポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレングリコールまたはトリオールのグリシジルエーテル;ポリテトラメチレングリコールまたはポリ(オキシエチレン−オキシブチレン)ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーのグリシジルエーテル(これらに限定されない)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、市販のグリシジルエーテルには、エポキシ系改質剤(例:Heloxy48、Heloxy67、Heloxy68、Heloxy107、Grilonit F713、Heloxy71、Heloxy505、Heloxy7、Heloxy8、またはHeloxy61(Resolution Performancesにより販売)等)が含まれ得る。
いくつかの実施形態において、適切なジオール、トリオール、およびポリオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、1,4−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、約500Da以下の重量平均分子量(MW)を有するポリエチレンまたはポリプロピレングリコール、イソプロピリデンビス(p−フェニレン−オキソプロパノール−2)、およびそれらの混合物(これらに限定されない)が挙げられる。
ある実施形態において、ポリオール混合物は、少なくとも1種のトリ−ヒドロキシアルコール(例えばトリオール)を含むが、大部分、1種もしくは複数種のジ−ヒドロキシアルコール(例えばグリコールまたはジオール)で構成される。適切なトリ−ヒドロキシアルコールは、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロプロパン(trimethylopropane)、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、グリセロール、およびそれらの混合物を含むことがある。いくつかの実施形態において、トリオールは、トリメチロールエタンおよびトリメチロプロパンである。特定の実施形態において、ジ−ヒドロキシアルコールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−および/または1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブチルエチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、1,4−ベンジルジメタノールおよび−1,4−ベンジルジエタノール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、およびそれらの混合物が含まれる。ジオールは、ある実施形態において使用され得る。ジオールの例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびそれらの混合物(これらに限定されない)が挙げられ得る。
E.ポリアクリレート
アクリレート:いくつかの実施形態において、エチレン性不飽和ヒドロキシル−官能性モノマーとして、反応性の炭素−炭素二重結合およびヒドロキシル基を有するモノマー(これに限定されない)が挙げられる。適切なアルキル(メタ)アクリレートエステルの例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ラウリル、およびイソボルニル(メタ)アクリレート(これらに限定されない)が挙げられる。芳香族(メタ)アクリレートエステルコモノマー(例えば、シクロヘキシルおよびベンジル(メタ)アクリレート)も同様に使用され得る。ある実施形態において、(メタ)アクリルエステルは、メタクリル酸のメチルエステルおよびエチルエステルまたはこのようなエステルの混合物である。
適切なアルキル(メタ)アクリレートとして、構造:CH2=C(R1)−CO−OR2〔式中、R1は、水素またはメチルであり、R2は、1〜16個の炭素原子を含有するアルキル基である〕を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ得る。R2基は、1つもしくは複数の、通常1〜3つの部位(例えば、ヒドロキシル、ハロ、フェニル、およびアルコキシ等)と置換されてもよい。適切なアルキル(メタ)アクリレートは、従ってヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを包含する。アルキル(メタ)アクリレートは、通常、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである。いくつかの実施形態において、R1は、水素またはメチルであり、R2は、2〜8個の炭素原子を有するアルキル基である。他の実施形態において、R1は、水素またはメチルであり、R2は、2〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
適切なアルキル(メタ)アクリレートの例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPMA)(これらに限定されない)が挙げられる。
架橋性モノマー単位(Mers)(ラジカル型):2官能性(メタ)アクリレートモノマーは、モノマー混合物にも同様に使用され得る。例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート等が挙げられる。いくつかの実施形態において、本開示は、無水イタコン酸の存在下、アクリレート種を硬化して、さらに大きいMWを実現し最終ポリマーの鎖組成を変えるために、マイクロ波の使用を備える。
官能性のエチレン性不飽和成分:1官能性のエチレン性不飽和成分の例として、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、またはそれらの組み合わせ(これらに限定されない)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、多官能性のエチレン性不飽和成分として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート−官能性ペンタエリトリトール誘導体(例えば、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、またはジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート等)、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
組成物はまた、(メタ)アクリル(コ)ポリマー(例えば、カルボキシ−官能性、ヒドロキシ−官能性、またはオキシラン−官能性(メタ)アクリル(コ)ポリマー)を含有してもよい。一実施形態において、(メタ)アクリル(コ)ポリマーは、他のエチレン性不飽和(例えばビニル(メタ)アクリル)コモノマーと反応して官能性(メタ)アクリル(コ)ポリマーを形成する、少なくとも1種の官能性のエチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー(例えば、カルボキシル−官能性、ヒドロキシル−官能性またはオキシラン−官能性ビニルモノマーまたはオリゴマー)から形成される。官能性(メタ)アクリル(コ)ポリマーは、不揮発性の固形分基準で上塗り被覆組成物の約2.5〜約30パーセント、約5〜約20パーセント、または約7.5〜18重量パーセントの量において、上塗り被覆組成物中に存在してもよい。
(メタ)アクリル(コ)ポリマーは、約1,000〜約50,000Da、約2,000〜約25,000Da、または約5,000〜約10,000Daの重量平均分子量(MW)を有してもよい。(メタ)アクリル(コ)ポリマーのガラス転移温度は、約−24℃〜約105℃または約50℃〜約90℃の範囲であってよい。
(メタ)アクリル(コ)ポリマーは、1種もしくは複数種の上塗り被覆用架橋剤、下塗り被覆用架橋剤、および/またはポリエステル(コ)ポリマーを用いて、架橋を施されることが可能であり得る。いくつかの実施形態において、(メタ)アクリル(コ)ポリマーは、カルボキシル、ヒドロキシル、およびオキシランから選択される1つもしくは複数の官能基を含有する(コ)ポリマーである。ある実施形態において、(メタ)アクリル(コ)ポリマーは、少なくとも1つのカルボキシル基または1つのオキシラン官能基を、任意選択的に1つもしくは複数のヒドロキシル基と組み合わせて、含有する。
実施形態において、(メタ)アクリル(コ)ポリマーは、メタクリル酸(MA)およびアクリル酸(AA)とエチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートとのコポリマー;2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とエチルメタクリレートとのコポリマー;グリシジルメタクリレート(GMA)とエチルメタクリレートとのコポリマー、またはグリシジルメタクリレートとヒドロキシプロピルメタクリレートおよびスチレンとのコポリマーである。ある実施形態において、MA、AAまたはHEMAは、乾燥固形分基準で(コ)ポリマーの約0.5〜約10パーセント、約1〜約7.5パーセント、または約2〜約5重量パーセントの量において、(コ)ポリマー中に存在する。特定の実施形態において、GMAは、乾燥固形分基準で(コ)ポリマーの約0.5〜約40パーセント、約10〜約25パーセント、または約15〜約20重量パーセントの量で、(コ)ポリマー中に存在する。
いくつかの実施形態において、カルボキシル−官能性(メタ)アクリル(コ)ポリマーには、ポリ酸またはポリ無水物ポリマーが含まれる。このようなポリマーの例として、エチレン性不飽和酸または無水物モノマーから調製される(コ)ポリマー(例えば、カルボン酸または無水カルボン酸モノマー)および他のエチレン性不飽和コモノマー(例えば、ビニル−官能性コモノマー、特に(メタ)アクリルコモノマー)(これらに限定されない)が挙げられる。
種々のカルボキシル官能性および無水物官能性モノマーが、使用され得る;それらの選択は、所望の最終のカルボキシル−官能性(メタ)アクリル(コ)ポリマーの特性に応じる。いくつかの実施形態において、エチレン性不飽和カルボキシル官能性モノマーおよび無水物官能性モノマーは、反応性の炭素−炭素二重結合および酸性基または無水物基を有するモノマーを含む。ある実施形態において、このようなモノマーは、3〜20個の炭素、1〜4ヶ所の不飽和部位、および1〜5個の酸もしくは無水物基またはそれらの塩を有する。特定の実施形態において、カルボキシル官能性モノマーは、メタクリル酸および/またはアクリル酸である。
モノマーの異形体(variants) 本開示に基づいて使用されるポリアクリレートは、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリル(コ)ポリマーを含んでもよく、このような(コ)ポリマーは、ヒドロキシル官能性のエチレン性不飽和モノマーを他のエチレン性不飽和コモノマー(例えば、ビニル官能性のコモノマー、特に(メタ)アクリルコモノマー)と重合することにより、得られる。ある実施形態において、ヒドロキシル官能性モノマーは、3〜20個の炭素、1〜4ヶ所の不飽和部位、および1〜5個のヒドロキシル基を有する。ヒドロキシル基を含有するモノマーの特定の例は、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、および3−ヒドロキシプロピルメタクリレート等)である。
重合開始剤 触媒または開始剤は、アクリレートモノマーの重合に適切な量で、使用されてもよい。適切な例として、コモノマー混合物および任意選択のキャリア液に十分に溶解でき、特定の温度まで加熱された際に分解してラジカルを形成するフリーラジカル開始剤が挙げられる。例証的な例として、アゾアルカン、パーオキシド、t−ブチルパーベンゾアート、t−ブチルパーオキシピバレート、およびt−ブチルパーオキシイソブチレート(これらに限定されない)が挙げられる。特定の実施形態において、開始剤として、アゾビス−イソブチロニトリル(Trigonox B, Atofina Chemical Co)および/またはベンゾイルパーオキシドが挙げられる。さらなる例として、パースルファート(例、アンモニウムまたはアルカリ金属(カリウム、ナトリウムまたはリチウム)パースルファート)をはじめとする水溶性および水不溶性種;アゾ化合物(例、2,2’−アゾ−ビスイソブチロニトリル)、2,2’−アゾ−ビス2,4−ジメチルバレロニトリル)、および1−t−ブチル−アゾシアノシクロヘキサン等);ヒドロパーオキシド(例、t−ブチルヒドロパーオキシド、過酸化水素、t−アミルヒドロパーオキシド、メチルヒドロパーオキシド、およびクメンヒドロパーオキシド等);パーオキシド(例、ベンゾイルパーオキシド、カプリリルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、エチル3,3’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、エチル3,3’−ジ(t−アミルパーオキシ)ブチレート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノアート、およびt−ブチルパーオキシピビレート;パーエステル(例、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーフタレート、およびt−ブチルパーベンゾアート等);さらにパーカルボネート(例、ジ(1−シアノ−1−メチルエチル)パーオキシジカルボネート等);パーホスファート等;およびそれらの組み合わせ(これらに限定されない)が挙げられる。
このような開始剤は、単独でまたはレドックス系の酸化成分として、例えば、還元成分(例、アスコルビン酸、リンゴ酸、グリコール酸、シュウ酸、乳酸、チオグリコール酸、またはアルカリ金属亜硫酸塩、さらに詳細には、ハイドロサルファイト、次亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩(例、ナトリウムハイドロサルファイト、次亜硫酸カリウムおよびメタ重亜硫酸カリウム、またはナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、およびそれらの組み合わせ等)と組み合わせて、使用されてもよい。還元成分は、促進剤または触媒活性化剤と呼ばれることが多い。
開始剤および促進剤は、共重合させるために、モノマーの重量を基準として各々約0.001%〜約5%の割合で、使用されてよい。所望ならば、助触媒(例、コバルト、鉄、ニッケルまたは銅の塩化物塩および硫酸塩)を少量において使用してもよい。レドックス系触媒の例として、t−ブチルヒドロパーオキシド/ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート/過硫酸Fe(II)および過硫酸アンモニウム/重硫酸ナトリウム/次亜硫酸ナトリウム/Fe(II)(これらに限定されない)が挙げられる。
ラジカル成長速度および鎖長を調節する薬剤 所望ならば、連鎖移動剤および他の型のラジカル重合速度調節剤を使用して、ラジカル連鎖反応速度およびポリマーの分子量もを制御してもよい。非限定の例証的な例として、粘稠化剤(例、フュームシリカ等);反応して共役安定化したラジカル(conjugation-stabilized radicals)を形成するモノマー(例、アントラセンおよびジビニルベンゼン等);反応してキャプトデイティブ効果によって安定化したラジカル(captodatively-stabilized radicals)を形成するモノマー(例、1−メトキシ−1−ジメチルスルホニウム−エテン等);連鎖移動剤(例、有機チオール、二ヨウ素、およびハロゲン化アルキルおよびN,N,N’,N,Nペンタメチルジエチレントリアミンを有するハロゲン化銅等);連鎖移動触媒(例、Cr(I)、Mo(III)、Fe(I)、V(0)、Ti(III)およびCo(II)の塩;可逆的付加開裂連鎖移動剤(例、ジチオエステル、チオカルバメート、およびキサンテート等のようなチオカルボニルチオ化合物等);リビング基移動重合剤(living group transfer polymerization agents)(例、トリス(ジアルキルアミノ)スルホニウムビフルオリドまたはテトラブチルアンモニウムビベンゾエート(bibenzoate)等のようなビフルオリドまたはビオキシアニオンによって任意選択的に触媒処理されたシリルケテンアセタール等);重合を媒介するイニファータ(polymerization-mediating iniferters)(例、ジチオカルバメート等)、および重合を媒介する安定性フリーラジカル(例、ニトロキシド等)(これらに限定されない)が挙げられる。いくつかの実施形態において、組成物はまた、ポリオール、ポリアミン、直鎖もしくは分岐のポリグリコールエーテル、ポリエステルおよびポリラクトンからなる群から選択される1種もしくは複数種の連鎖移動剤を含んでもよい。
F.ポリシロキサン
ポリシロキサンの反応性種 組成物は、メチル−シラン、直鎖アルキルシラン、分岐のアルキルシラン、芳香族シラン、フッ素化アルキルシラン、およびジアルキルシラン(これらに限定されない)を含むシロキサン類を含んでもよい。オルガノシランの特に例証的な例として、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリス(ジメチルアミノ)シラン、およびそれらの組み合わせ(これらに限定されない)が挙げられる。
反応媒体は、Si(R1)(R2)(R3)(R4)と本明細書に明示される種々のシロキサンを含んでよい。いくつかの実施形態において、反応媒体は、連鎖停止シロキサンを含んでよく、ここで、R1、R2およびR3が、独立して、一部独立してまたは全く一致して、アルキル、アリール、アリールアルキルおよびアルキアリール(alkyaryl)からなる群から選択され、R4が、H、ハロゲン化物、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシおよびアルキルアリールオキシからなる群から選択される。ある実施形態において、組成物は、直鎖形成シロキサンを含み、ここで、R1およびR2は、独立して、一部独立してまたは全く一致してアルキル、アリール、アリールアルキルおよびアルキアリールからなる群から選択され、およびR3およびR4は、独立して、一部独立してまたは全く一致して、H、ハロゲン化物、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシおよびアルキルアリールオキシからなる群から選択される。さらなる実施形態において、組成物は、3価の結合点を形成するシロキサンを含み、ここで、R1は、アルキル、アリール、アリールアルキルおよびアルキアリールからなる群から選択され、R2、R3およびR4は、独立して、一部独立してまたは全く一致して、H、ハロゲン化物、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシおよびアルキルアリールオキシからなる群から選択される。特定の実施形態において、組成物は、4価の結合点を形成するシロキサンを含み、R1、R2、R3およびR4は、独立して、一部独立してまたは全く一致して、H、ハロゲン化物、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシおよびアルキルアリールオキシからなる群から選択される。
ポリシロキサンのための触媒 組成物は、以下の非限定な例によって例証されるように、ポリシロキサン生成のための触媒を任意選択的に含んでもよい。シラザンおよびシロキサンための重合触媒として、米国特許第3,355,475号により教示される通り、ヨウ素を使用してよい。P.C. HupfieldおよびR.G. Taylorによる「J. Inorg. Organomet. Polymers, (1999), 9(1):17-34」により教示される通り、ホスファゼンベースの触媒を開環重合に使用してよい。ポリビニルピロリドンでキャップした銀ナノ粒子は、Q. Weiらの「J. Mater. Chem., 2006, 16, 3606-3608」により教示される通り、アルキシランをポリシロキサンに重合するのを触媒するために使用されてよい。金ナノ粒子は、B.L. Prasadらの「J. Am. Chem. Soc., 2003, 125(35):10488-9」により教示される通り、アルキルシラン(例、C18H35SiH3等)および類似化合物の重合に使用されてもよい。
G.ハイブリッドモノマーおよび樹脂
架橋を促進するために、いくつかの実施形態において、均質混合物は、シロキサン型、アクリル型および環状アルキレンオキシド型から選択される2個以上の官能基の組み合わせを有するモノマーを含む。
適切なオキシラン官能性(メタ)アクリル(コ)ポリマーの例として、オキシラン官能基を有する、アクリレート、メタクリレート、および/またはビニルポリマーおよびコポリマー(例えばペンダントのグリシジル基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを含む)(これらに限定されない)が挙げられる。一実施形態において、オキシラン官能性(メタ)アクリル(コ)ポリマーは、1種もしくは複数種のオキシラン官能性モノマー、任意選択のヒドロキシ官能性モノマーと、1種もしくは複数種の他のモノマー(例えば非官能性モノマー)とを反応させることにより、形成される。ある実施形態において、オキシラン官能性(メタ)アクリル(コ)ポリマーは、約0.5〜約40、約10〜約25、または約15〜約20重量パーセントの不飽和オキシラン官能性モノマーを釣り合う量の他のエチレン性不飽和コモノマーと従来のフリーラジカル重合することにより調製される(コ)ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、グリシジル基を含有するオキシラン官能性モノマーは、グリシジル(メタ)アクリレート(つまり、グリシジルメタクリレートおよびグリシジルアクリレート)、モノ−グリシジルイタコネートおよびジ−グリシジルイタコネート、モノ−グリシジルマレエートおよびジ−グリシジルマレエート、並びにモノ−グリシジルホルメートおよびジ−グリシジルホルメートである。
ある実施形態において、エポキシドまたはシロキサンは、アクリル型以外であるが、水性媒体中で重合を開始することができるフリーラジカルのエチレン性不飽和基に結合してもよい。このようなエチレン性不飽和モノマーの例証的な例は、ビニル基(これに限定されない)である。いくつかの実施形態において、モノマー混合物は、α,β−エチレン性不飽和モノマーを含有する少なくとも1種のオキシラン官能性モノマーを含有する。
反応性の炭素−炭素二重結合およびオキシラン(つまり、グリシジル)基を有する、追加の適切なオキシラン官能性モノマーとして、以下が挙げられる。いくつかの実施形態において、モノマーは、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル、またはそれらの無水物(つまり、オキシラン基を含有するα,β−エチレン性不飽和モノマー)である。適切なα,β−不飽和酸として、モノカルボン酸またはジカルボン酸(これらに限定されない)が挙げられる。このようなカルボン酸の例として、アクリル酸、メタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステアリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、無水マレイン酸、およびそれらの混合物(これらに限定されない)が挙げられる。
グリシジル基を含有する適切なモノマーの例として、グリシジル(メタ)アクリレート(つまり、グリシジルメタクリレートおよびグリシジルアクリレート)、モノ−グリシジルイタコネートおよびジ−グリシジルイタコネート、モノ−グリシジルマレエートおよびジ−グリシジルマレエート、並びにモノ−グリシジルホルメートおよびジ−グリシジルホルメート、アリルグリシジルエーテル、そしてビニルグリシジルエーテル(これらに限定されない)が挙げられる。特定の実施形態において、モノマーは、グリシジルメタクリレート(「GMA」)である。
オキシラン官能性モノマーはまた、適切な他のモノマーとモノマー混合物中で反応し得る。これらは、エチレン性不飽和モノマーおよびヒドロキシ官能性モノマーであってよい。適切なエチレン性不飽和モノマーとして、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルモノマー、マレイン酸またはフマル酸のアルキルエステル(これらに限定されない)が挙げられ得る。
H.架橋剤の成分(縮合型)
本開示に基づくコーティング組成物は、不揮発性固形分基準(つまり、任意選択の溶媒またはキャリア液を除いて)でコーティング組成物の約0.1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約5重量%、または約2重量%〜約4重量%の量において、架橋剤を同様に含有してもよい。いくつかの実施形態において、架橋剤は、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂およびおよび/または任意選択のクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂の1種もしくは複数種と化学反応することができる2個以上の官能基を含む。
本開示に基づく架橋剤は、同じ型のポリマーの鎖の間(例えば、2種のポリエポキシド鎖の間)の結合を形成するために、および任意選択的に異なる型のポリマーの鎖の間(例えば、ポリアクリル鎖とシロキサン鎖の間)の結合を形成するために、或いは任意の組み合わせのため、利用されてもよい。従って、異なる種類のポリマーとの架橋反応性は、架橋剤を選択する際に、考慮される。
架橋剤の選択はまた、所望の生成物の性質に応じて決まる。例えば、あるコーティング組成物は、かなり着色され(例えば、金色着色のコーティング)または不透明容器の内部に置かれる。そこで、コーティング架橋剤が帯黄色であってもよい。対照的に、一般的に、無黄変の架橋剤だけが、白色または透明コーティングに採用され、または黄変性の架橋剤を少量だけ使用する。好適な架橋剤は、移動性BPA、BPF、BADGE、およびBFDGEを実質的に無含有である。
適切な縮合型の架橋樹脂の例として、メチル化メラミンおよびブチル化メラミン、アルキル化エーテルメラミンおよびイミノ混合型エーテルメラミン、アルキル化尿素、ホルムアルデヒド無含有の変性尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル等(これらに限定されない)が挙げられる。
架橋剤は、例えば、単一分子、2量体、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの混合物を含む任意の適切な化合物であってよい。いくつかの実施形態において、架橋剤は、高分子材料またはポリマーである。任意の適切なアミノ−、ヒドロキシル−、ビニル−またはイソシアネート−官能性架橋性ポリマーを使用してよい。例えば、活性水素(例えば、アミノまたはヒドロキシル)基を2個以上含有するアミノプラストおよびフェノプラスト(つまり、フェノール)架橋性ポリマーが、使用され得る。
架橋性アミノプラストポリマーの例として、アルデヒド(例、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、およびベンズアルデヒド等)と、アミノ基含有物質またはアミド基含有物質(例、尿素、メラミンおよびベンゾグアナミン等)との縮合生成物(これらに限定されない)が挙げられる。適切な架橋アミノプラストポリマーの例として、2個以上のアミノ官能基を含有するポリマー(これに限定されない)が挙げられる。いくつかの実施形態において、適切なアミノプラストポリマー架橋剤は、市販されており、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒドポリマー、メラミン−ホルムアルデヒドポリマー、エステル化メラミン−ホルムアルデヒドポリマー、および尿素−ホルムアルデヒドポリマーを含んでよい。一実施形態において、アミノプラスト架橋剤は、メラミンベース、尿素ベース、またはベンゾグアナミンベースであることが可能である。メラミン架橋剤は、Cytec Industries, Inc.(Woodland Park, New Jersey)等からCYMEL 303、1130、325、327、および370として市販されている。他の実施形態において、フェノール架橋剤が使用されており、例えば、ノボラック、およびレゾールを含む。ある実施形態において、最終生成物が依然として「BPAを実質的に無含有」であるならば、ビスフェノールAも同様に、架橋剤として使用されることができる。食品用の缶での使用のために、ビスフェノールAから誘導されていないフェノールレゾールが、特に適切であり得る。
架橋性フェノプラスト(コ)ポリマーの例として、アルデヒドとフェノールの縮合生成物(これに限定されない)が挙げられる。いくつかの実施形態において、アルデヒドは、ホルムアルデヒドおよび/またはアセトアルデヒドである。フェノール、クレゾール、p−フェニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、およびシクロペンチルフェノール(これらに限定されない)を含む種々のフェノールを使用してよい。適切な架橋フェノプラスト(つまり、フェノール)(コ)ポリマーの例として、移動性BPA、BPF、BADGE、およびBFDGEを実質的に無含有であり得るヒドロキシル官能基を2個以上含有する(コ)ポリマー(これに限定されない)が挙げられる。
官能性ポリエステル樹脂および架橋剤に加えて、コーティング組成物は、フェノール樹脂をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、フェノール樹脂は、不揮発性固形分基準でコーティング組成物の約0.5%〜約10%または約1%〜約5重量%の量で組成物に存在する。特定のフェノール樹脂の選択は、通常、配合される特定の生成物に応じて決まる。例えば、あるコーティング組成物は、かなり着色される(例えば、金色着色のコーティング)。これらのコーティングは、通常、赤色または帯黄色を有する傾向があるフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を用いて配合されてよい。対照的に、白色または透明のコーティングは、一般的に、無黄変のレゾール−ホルムアルデヒド樹脂を用いて、または黄変性樹脂を少量だけ用いて配合される。好適なフェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、移動性BPA、BPF、BADGE、およびBFDGEを実質的に無含有である。
いくつかの実施形態において、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、高分子材料である。ある実施形態において、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、(コ)ポリマーである。特定の実施形態において、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、少なくとも1種もしくは複数種の官能性ポリエステル樹脂および/または架橋剤と化学反応を施すことができる少なくとも2個のヒドロキシル基を含有し、それによって、硬化の際にコーティング組成物内での架橋をもたらす。
いくつかの実施形態において、レゾール型のフェノール架橋剤(例えば、フェノール、ブチルフェノール、キシレノール−ホルムアルデヒドおよびクレゾール−ホルムアルデヒド型等)が、使用されてもよい。ある実施形態において、存在するブタノールでエーテル化されるフェノール架橋剤が、保護容器のコーティング用に使用される[例えば、Zeno Wicks, Jr., Frank N. JonesおよびS. Peter Pappasの「Organic Coatings: Science and Technology, Vol. 1, pp. 184-186 (John Wiley & Sons: New York, 1992)」を参照されたい]。
いくつかの実施形態において、市販のフェノール架橋剤が使用される。市販のフェノール架橋剤の例として、DUREZ Corp(Dallas, Tex.)またはReichhold Chemical AG(Austria)からの商標名DUREZ(商標)およびVARCUM(商標);Monsanto Chemical Co.(St. Louis, Mo.)からの(CO)POLYMEROX(商標);Ashland Chemical Co.(Dublin, Ohio)からのAROFENE(商標)およびAROTAP(商標);およびBakelite A.G.(Iserlohn, Germany)からのBAKELITE(商標)で知られているフェノール架橋剤(これらに限定されない)が挙げられる。いくつかの実施形態において、レゾールフェノール架橋剤は、BAKELITE PF 6470 LB(商標)、BAKELITE 9989LB(商標)、および/またはVARCUM 2227 B 55(商標)である。追加の実施形態において、2種のBAKELITE(商標)フェノール樹脂のうち1種が、VARCUM 2227 B 55と共に、一般的にBAKELITE(商標)のVARCUM(商標)フェノール架橋剤に対する重量比1/3から3/1で、下塗り被覆コーティング組成物において、混合物として使用される。
ある実施形態において、架橋剤は、コーティング組成物の少なくとも1種の成分と架橋できる、イソシアネート官能基2つ以上、またはイソシアネート基1つおよびビニル基1つを有するブロックイソシアネートであるように選択される。いくつかの実施形態において、ブロックイソシアネートは、脂肪族および/または脂環式ブロックポリイソシアネート(例えば、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、HMDI(ビス[4−イソシアナトシクロヘキシル]メタン)、TMXDI(テトラメチレン−m−キシリデンジイソシアネート)、M−TMI(イソプロペニルジメチル−ベンジルイソシアネート)、それらの2量体または3量体、およびそれらの組み合わせ等)である。ある実施形態において、ブロック剤として、例えば、n−ブタノンオキシム、ε−カプロラクタム、マロン酸ジエチル、および/または第2級アミンが挙げられる。
いくつかの実施形態において、市販のブロックイソシアネート架橋剤が使用され、例えば、VESTANAT(商標)B 1358 A、VESTANAT(商標)EP B 1186 A、VESTANAT(商標)EP B 1299 SV(全て、Degussa Corp., Marl, Germanyから入手可能)およびDESMODUR(商標)BL 3175(Bayer A.G., Leverkusen, Germanyから入手可能)が挙げられる。
架橋剤としての酸および無水塩 酸−官能性ポリマーまたは無水物−官能性ポリマーの塩(完全塩であり得るまたは部分塩であり得る)は、ポリマーの酸基(酸−官能性ポリマー中に初めに存在するか、無水物−官能性ポリマーを水に加える際に形成されるかに関わらず)を適切な塩基(例えば、第3級アミン等のようなアミン)を用いて中和または部分的に中和することにより、形成され得る。適切な第3級アミンのいくつかの例として、トリメチルアミン、ジメチルエタノールアミン(ジメチルアミノエタノールとしても知られている)、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルメチルエタノールアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチル3−ヒドロキシ−1−プロピルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチル2−ヒドロキシ−1−プロピルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチル1−ヒドロキシ−2−プロピルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリンおよびそれらの混合物等(これらに限定されない)が挙げられる。いくつかの実施形態において、トリエチルアミンまたはジメチルエタノールアミンが、第3級アミンとして使用されてよい。
所望のポリマー塩を形成するために使用される中和度は、ポリマー中に含まれる酸の量、および所望の塩の溶解度または分散度に応じてかなり異なる。通常、ポリマーを水分散性にする際に、ポリマーの酸性度は、アミン水溶液を用いて、少なくとも約25%中和され、少なくとも約30%中和され、または少なくとも約35%中和される。アニオン塩形成基(酸もしくは無水物基以外)またはカチオン塩形成基を用いる場合、中和度は、上述したことに従ってよい。いくつかの実施形態において、水性分散体のポリマーは、安定した水性分散体を形成するために、十分な数の水分散基を含む。
既に考察したように、任意の適切な塩形成基または水分散基が、酸基または無水物基の代わりに、または酸基または無水物基に追加して、使用されてもよい。このような基をさらに考察するために、例えば、米国特許第4,147,679号を参照されたい。アニオン塩の基のさらなるいくつかの例として、硫酸塩の基、リン酸塩の基、スルホン酸塩の基、ホスフィン酸塩の基、ホスホン酸塩の基、およびそれらの組み合わせが挙げられる。適切なカチオン塩の基のいくつかの例として、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基、第3級スルフェート基、およびそれらの組み合わせ(これらに限定されない)が挙げられる。非イオン性の水分散基のいくつかの例として、エチレンオキシド基等のような親水性基(これに限定されない)が挙げられる。前述の基をポリマーに導入するための化合物が、当技術分野において既知である。アニオン塩の基を形成するための、中和塩の基のいくつかのさらなる例として、無機塩基および有機塩基(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの混合物等)(これらに限定されない)が挙げられる。カチオン塩の基を形成するための、中和化合物のいくつかの例として、有機酸および無機酸(例、ギ酸、酢酸、塩酸、硫酸、およびそれらの組み合わせ等)(これらに限定されない)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、重合に使用される、酸−官能性または無水物−官能性ポリマーの塩の量は、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、または少なくとも15重量%である。いくつかの実施形態において、重合に使用される、酸−官能性または無水物−官能性ポリマーの塩の量は、約95重量%以下、約50重量%以下、または約40重量%以下である。これらの百分率は、酸基含ポリマーの、重合性のエチレン性不飽和モノマー成分および塩の総重量を基準とする。ポリマーが中和された酸基または無水物基以外の水分散性基を含む実施形態において、重合に使用されるポリマーの総量は、通常、エチレン性不飽和モノマー成分と水分散性ポリマーとの総重量に基づいて基準にする上述の百分率を有する上述のパラメーターの範囲であるだろう。
第3級アミンと、オキシラン基を含有する材料との反応は、水の存在下で実施される場合、ヒドロキシル基と水酸化第4級アンモニウムとの両方を含有する生成物をもたらし得る。いくつかの実施形態において、酸基、オキシラン基、およびアミンは、第4級塩を形成する。酸基およびオキシラン基は、またエステルも形成することを留意されたい。水分散性が求められる場合、この結合は望まれないが、この反応のうちの一部は、可能である。
ヒドロキシ官能成分 上述のように、ポリオールは、エポキシ樹脂の生成に使用されてもよい。しかしながら、それらは、例えばシロキサン、アクリルポリマーまたはエポキシでの架橋にも使用されてもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、追加の成分(例、ヒドロキシ官能成分またはアミン官能成分および添加剤等)を含んでもよい。特定の実施形態において、ヒドロキシ官能成分には、硬化性基(例えば、アクリレート基、エポキシ基、またはオキセタン基)がない。
いくつかの実施形態において、組成物は、1種もしくは複数種のヒドロキシ官能成分を含む。ヒドロキシ官能成分は、硬化の際にバインダー配合物の機械的特性をさらに合わせるのに有用であることがある。ある実施形態において、ヒドロキシ官能成分として、モノオール(ヒドロキシ基を1つ含むヒドロキシ官能成分)またはポリオール(ヒドロキシ基を複数含むヒドロキシ官能成分)(これらに限定されない)が挙げられる。
ヒドロキシ官能成分の例として、アルカノール、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル、アルキレングリコールのモノアルキルエーテル、アルキレングリコールおよびアリールアルキレングリコール(例、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘプタントリオール、2,6−ジメチル−1,2,6−ヘキサントリオール、(2R,3R)−(−)−2−ベンジルオキシ−1,3,4−ブタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,3−ブタントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−シクロヘキサントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、3,7,11,15−テトラメチル−1,2,3−ヘキサデカントリオール、2−ヒドロキシメチルテトラヒドロピラン−3,4,5−トリオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、トランス−1,2−シクロオクタンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−または1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1−フェニル−1,2−エタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,5−デカリンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2−7−ジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレングリコール等)または分子量が約200〜約10,000のトリオール、分子量の異なるポリテトラメチレングリコール、ポリ(オキシエチレン−オキシブチレン)ランダムまたはブロックコポリマー、ビニルアセテートコポリマーの加水分解または部分的加水分解により形成されるペンダントヒドロキシ基を含有するコポリマー、ペンダントヒドロキシル基を含有するポリビニルアセタール樹脂、ヒドロキシ官能性(例えば、ヒドロキシ末端)ポリエステルまたはヒドロキシ−官能性(例えば、ヒドロキシ末端)ポリラクトン、脂肪族ポリカーボネートポリオール(例えば、脂肪族ポリカーボネートジオール)、ヒドロキシ官能性(例えば、ヒドロキシ末端)ポリエーテル(例えば、150〜4000g/モル、150〜1500g/モル、または150〜750g/モルの範囲の数平均分子量を有するポリテトラヒドロフランポリオール)、またはそれらの組み合わせ(これらに限定されない)が挙げられる。例示的なポリオールとして、脂肪族ポリオール(例、グリセロール、トリメチロールプロパン等)、またはさらに、糖アルコール(例、エリトリトール、キシリトール、マンニトールまたはソルビトール等)がさらに挙げられる。特定の実施形態において、バインダー配合物の外相または外層は、1種もしくは複数種の脂環式ポリオール(例、1,4−シクロヘキサン−ジメタノール、スクロース、または4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ(5,2,1,0)デカン等)を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、ポリオールの存在下、環状エーテルの開環重合により取得可能な直鎖もしくは分岐のポリグリコールエーテルを含み、例えば、前述のポリオールは、ポリグリコールエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール、またはそれらのコポリマーである。
I.他のポリマー
ポリマーは、環状エーテル以外の、アクリルまたはシロキサン官能基を有する組成物に含まれてよく、ポリマーとして最初に存在してよく、または均質混合物の硬化中に生成されてもよい。これらは、架橋剤(例えば、ポリアミンをエポキシ樹脂と共に)として、可塑剤(例えば、ポリアルキレンオキシド)として、および透明性の高い薬剤(例えば、ポリエステル)として特に有用であることがある。いくつかの実施形態において、ポリマーは、各末端において官能基で末端処理されている。当業者は、典型的なポリエステル末端基(例えば、ヒドロキシルまたはカルボキシル基)が、当技術分野で既知の従来の化学合成方法を用いて、化学的に反応してまたは交換されて、末端アミノ官能性、アミド官能性または尿素−ポリエステルポリマーを生成することを理解する。
いくつかの実施形態において、官能基は、化学的に同一であり、末端ヒドロキシル基または末端カルボキシル基であるように、選択される。ポリマーの官能基は、ヒドロキシル基であるように選択されてよい。ポリマーは、ヒドロキシル数が不揮発性固形分基準で、ポリマーのグラム当たり約1〜約40mgKOHを呈するように選択されてよい。
ある実施形態において、他の官能基を有するポリマーは、約500〜約10,000ダルトン(Da)、約1,000〜約7,500Da、または約3,000〜約5,000Daの数平均分子量(Mn)を呈する高分子である。ポリマーは、約50℃超、約60℃超、約100℃未満、または約90℃未満のガラス転移温度(Tg)を呈することがある。他の実施形態において、ポリマーは、約50℃〜約100℃、約60℃〜約90℃、または約50℃〜約60℃の範囲のガラス転移温度を呈することがある。
他の官能基を有するポリマーが、ポリエステルである場合、それらは、通常、既知のプロセスに基づく縮合(エステル化)により、調製される[例えば、Zeno Wicks, Jr., Frank N. Jones およびS. Peter Pappasの「Organic Coatings: Science and Technology, Vol. 1, pp. 122-132 (John Wiley & Sons: New York, 1992)」を参照のこと]。ポリマーは、通例、少なくとも1種のジカルボン酸または無水物(一般的に芳香族ジカルボン酸または無水物)の混合物の過剰の当量でエステル化される、少なくとも1種のポリ−官能性アルコール(ポリオール)(一般的にジヒドロキシまたはトリヒドロキシアルコール)の混合物から誘導される。
いくつかの実施形態において、官能性ポリエステル樹脂は、芳香族または脂肪族ポリカルボン酸または無水物と、芳香族または脂肪族ジオール、トリオール、またはポリオールとから調製される。実施形態において、ジオール、ポリカルボン酸および/または無水物は、正確な割合で混ぜ合わされて、標準なエステル化(縮合)手順を用いて反応し、ポリエステル樹脂の末端に官能基を有するポリエステルを提供する。ある実施形態において、ポリエステル樹脂の末端の官能基は、ヒドロキシル基である。ヒドロキシル基は、エステル化反応において、過剰のジオール、トリオール、またはポリオールを用いて、ポリエステルの末端に位置決めされてもよい。ある実施形態において、トリオールまたはポリオールを用いて、線状に対するものとして分岐のポリエステルを提供する。
ポリカルボン酸および無水物 適切なポリカルボン酸または無水物は、飽和アルキル基または不飽和アルキル基を有してもよく、例として、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水コハク酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、無水フタル酸、5−tert−ブチルイソフタト酸(butyl isophthatic acid)、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、テトラクロロ−フタル酸無水物、クロレンド酸、イソフタル酸、無水トリメリト酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサン−ジカルボン酸、グルタル酸、それらの無水物および酸、並びにそれらの混合物(これらに限定されない)が挙げられる。ポリカルボン酸のエステル化可能な誘導体(例、ポリカルボン酸のジメチルエステルまたは無水物等)を用いて、ポリエステルを調製できることもまた理解される。
ジカルボン酸およびそれらのエステル化可能な誘導体を使用してもよい。このような化合物の例として、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、ナフタレンジカルボン酸、ピロメリト酸および/または2量体の脂肪酸、それらの酸無水物および/または低級アルキルエステル(例えば、メチルエステル)(これらに限定されない)が挙げられる。トリ−カルボン酸(例えば、トリメリト酸)も同様に使用され得る。
いくつかの実施形態において、ポリカルボン酸およびそれらのエステル化可能な誘導体は、芳香族官能基を含有する。芳香族ジカルボン酸の例として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、および2量体の脂肪酸(これらに限定されない)が挙げられる。いくつかの実施形態において、トリメリト酸は、芳香族トリカルボン酸である。他の実施形態は、テレフタル酸およびイソフタル酸を使用する。酸が無水物として存在するならば、これらの酸の無水物の誘導体も使用してもよい。
ある実施形態において、10重量%未満のジカルボン酸含有率は、他の脂肪族多官能性カルボン酸を含む。他の脂肪族多官能性カルボン酸の例として、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、2量体の脂肪酸、マレイン酸、および2量体の脂肪酸(これらに限定されない)が挙げられる。ヒドロキシ酸は、また、ポリエステルに含まれてよい(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、乳酸、および2−ヒドロキシブタン酸等)。
いくつかの実施形態において、酸官能性ポリマーまたは無水物官能性ポリマーが使用され、式I:−O−Ar−Rn−C(O)O−R1−O−C(O)−Rn−Ar−O−〔式中、各Arは、独立して2価のアリール基(つまりアリーレン基)またはヘテロアリーレン基であり、R1は、2価の有機基であり、各Rは、独立して2価の有機基であり、およびnは、0または1である〕の1つもしくは複数のセグメントを有する。どんなポリマーも、種々のこのようなセグメントを有し、セグメントは同一でも異なってもよい。
特定の実施形態において、R1は、隣接するエステル結合(−C(O)−O−と−O−C(O)−)の少なくとも1つに、好ましくはそれらの両方に加水分解安定性を提供する。これに関連して、「加水分解安定性」は、R1が、同一条件下の−CH2−CH2−部位と比較して、隣接するエステル結合の水との反応性を低下させる(好ましくは少なくとも半分まで)ことを意味する。これは、エステルの酸素に近接する(好ましくは2原子の距離内に)立体的に嵩高い基を含むR1を選択することにより、実現される。いくつかの実施形態において、ポリマーは、(エステル結合の総数を基準として)約70%超、約80%超、または約90%超の加水分解安定性のエステル結合を含む。
式Iのセグメントにおいて、R1は、少なくとも3個の炭素原子、少なくとも4個の炭素原子、少なくとも5個の炭素原子、または少なくとも8個の炭素原子を有する2価の有機基であってよい。
式Iのある実施形態において、R1は、式−C(R2)2−Yt−C(R2)2−〔式中、各R2は、独立して水素または有機基(例えば、脂環式基または分岐または非分岐のアルキル基)であり、Yは、2価の有機基であり、およびtは、0または1である〕である。ある実施形態において、各R2は、独立して水素である。
ある実施形態において、Yは、1つもしくは複数のエーテル結合またはエステル結合を任意選択的に含んでもよい。ある実施形態において、Yは、2価の飽和脂肪族基(つまり分岐または非分岐のアルキレン基)、2価の脂環式基、または2価の芳香族基(つまりアリーレン基)、またはそれらの組み合わせである。
ある実施形態において、Yは、2価のアルキル基(つまりアルキレン基)であり、2価のアルキル基は、分岐でも非分岐でもよく、少なくとも1個の炭素原子、少なくとも2個の炭素原子、少なくとも3個の炭素原子、または少なくとも6個の炭素原子を有する。ある実施形態において、Yは、2価の脂環式基である。特定の実施形態において、Yは、シクロヘキシレンである。
ある実施形態において、R1は、式−(C(R2)2)s−〔式中、sは、少なくとも2または少なくとも3であり、各R2は、上述のとおりである〕を有する。このようなR1基の例として、例えば、ネオペンチレン、ブチルエチルプロピレン、および−CH2−CH(CH3)CH2−が挙げられる。
ある実施形態において、Yは、式−[Zw−C(R2)2−O−C(O)−R3−C(O)−O−C(R2)2−]vZw−〔式中、wは、0または1であり、vは、1〜10であり、各R2は、上述のとおりであり、各R3は、独立して2価の有機基であり、各Zは、独立して2価の有機基である〕を有する。
ある実施形態において、R3は、2価の飽和脂肪族基(つまり分岐または非分岐のアルキレン基)、2価の脂環式基、アリーレン基、またはそれらの組み合わせである。ある実施形態において、R3は、(C3〜C20)アルキレン(分岐または非分岐の)基またはフェニレン基である。
ある実施形態において、Zは、2価の飽和脂肪族基(つまり分岐または非分岐のアルキレン基)、2価の脂環式基、2価の芳香族基(つまりアリーレン基)、またはそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態において、式Iのセグメントにおいて、nは0である(つまりRが存在しない)。しかしながら、nが1でRが存在するならば、Rは、(C1〜C4)アルキレン基または(C1〜C4)アルキレン部位である。
いくつかの実施形態において、式Iのセグメントにおいて、各Arは、約20個未満の炭素原子、約11個未満の炭素原子、または約8個未満の炭素原子を有する。特定の実施形態において、Arは、少なくとも4個の炭素原子、少なくとも5個の炭素原子、または少なくとも6個の炭素原子を有する。
ある実施形態において、各Arは、フェニレン基である。ある実施形態において、各Arは、式−C6(R4)4−〔式中、各R4は、独立して水素、ハロゲン、または有機基であり、および2つのR4基が、結合して、任意選択的に1つもしくは複数のヘテロ原子を含有する環を形成することができる〕のフェニレン基である。ある実施形態において、R4は、水素または有機基であり、そこで、2つのR4基が、結合して、6員環を形成できる。いくつかの実施形態において、R4は、水素である。
このようなポリエステルポリマーは、式II:HO−Ar−Rn−C(O)O−R1O−C(O)Rn−Ar−OH〔式中、Ar、R、R1、およびnは、上述のとおりである〕の化合物から様々な方法により、作製されることができる。このような化合物は、例えば、1モルのジオール(例えば、HO−R1−OH、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、または2−メチル−1,3−プロパンジオール等)と2モルの酸(例えば、4−ヒドロキシ安息香酸)とのエステル化反応によって、作製されてよい。別の方法として、このような化合物は、例えば、1モルのジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、または2−メチル−1,3−プロパンジオール)と2モルのエステル(例えば、4−ヒドロキシメチルベンゾエート、4−ヒドロキシエチルベンゾエート、または4−ヒドロキシブチルベンゾエート)とのエステル交換反応によって、作製されてよい。
ポリマーは、エステル化反応混合物の化学量論に応じて、カルボキシル末端またはヒドロキシ末端であってよい。ヒドロキシ末端のポリエステルを提供するために、ジカルボン酸よりも当量過剰のポリオールは、モル基準で約0.02〜約0.784または約0.04〜約0.554で維持されてよい。同様に、カルボキシル−末端のポリエステルを提供するために、2工程のプロセスが、使用されてよい。ある実施形態において、ヒドロキシ−ポリエステルを調製した後、末端のヒドロキシル基を1モル過剰のジカルボン酸と反応させる。ポリオールよりも当量過剰のジカルボン酸は、一般的にモル基準で約0.02〜約0.784または約0.04〜約0.554で維持されてよい。適度の量(例えば1〜5重量パーセント)のトリ−官能性モノマー(例えば無水トリメリット酸)を加えて、ポリエステル(コ)ポリマーの数平均のカルボキシル−官能基を増大させてもよい。
いくつかの実施形態において、ポリマーは、ヒドロキシ末端のポリマーである。いくつかの実施形態において、ヒドロキシ−ポリエステルポリマーのヒドロキシル数は、通常、約1〜約50ミリグラムまたは約1〜約20mgKOH/g(コ)ポリマーの範囲である。代替的な実施形態において、ポリマーは、カルボキシル末端のポリマーである。カルボキシル末端のポリマーは、約1〜約50mgまたは約1〜20mgKOH/g(コ)ポリマーの酸価(AN)を呈し得る。酸価は、ISO標準XP−000892989に記載される滴定法を用いて、決定されてよい。ヒドロキシル数は、同標準の試験方法を用いて決定されてよく、水酸化カリウムエタノール滴定液の代わりに塩酸エタノール溶液を用い、KOHのモル当量の点から、塩酸の中和終点での当量を表す。
様々な市販の官能性ポリエステル樹脂は、本開示における使用に適切であり得る。例えば、VITEL(商標)ポリエステル(コ)ポリマー(例えば、Goodyear Tire & Rubber Co., Akron, Ohioから入手可能なVITEL(商標)PE-100およびPE-200飽和ポリエステル樹脂)、URALAC(商標)ポリエステル樹脂(例えば、DSM Resins U.S., Inc., Augusta, Gaから入手可能なURALAC ZW5000SH(商標))、およびDynapol(商標)ポリエステル樹脂(例えば、Degussa, Corp., Parsippany, N.Jから入手可能なDynapol(商標)LおよびLH飽和ポリエステル樹脂)。
J.縮合硬化を加速する触媒
任意選択的に、触媒を用いて、組成物での硬化速度または架橋速度を増大させてもよい。いくつかの実施形態において、触媒は、非揮発性材料の約0.05〜約5パーセントまたは約0.1〜約1.5重量パーセントの量で存在する。
適切な触媒の例として、第4級アンモニウム化合物、リン化合物、並びにスズおよび亜鉛化合物(これらに限定されない)が挙げられる。さらに具体的には、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアルキルホスホニウムもしくはヨウ化テトラアリールホスホニウムまたは酢酸テトラアルキルホスホニウムもしくは酢酸テトラアリールホスホニウム、オクタン酸スズ、オクタン酸亜鉛、トリフェニルホスフィン、それらの組み合わせ、および同様な触媒が挙げられ、当業者は、これらが有用であることを既知である。これらは、(トランス)エステル化反応を触媒する際に、特に効果的である。
ある実施形態において、触媒は、例えば、リン酸溶液(例えば、1:1の重量比でブチルグリコールに溶かした85%の水性リン酸溶液)、リン酸エステル溶液(例えば、Cytec Surface Specialties, Inc., West Paterson, N.Jから入手可能なADDITOL XK 406(商標))、およびドデシルベンゼンスルホン酸(例えば、Cytec Surface Specialties, Inc., West Paterson, N.Jから入手可能なCYCAT 600(商標))である。追加の方法または別の方法として、スズ触媒を使用してもよい。特定の実施形態において、スズ触媒は、モノオクチルスズメルカプチドとジオクチルスズメルカプチドとの混合物(例えば、AKZO-Nobel Chemicals, Inc., Chicago, Ill.から入手可能なTINSTAB OTS 17 MS(商標))またはジブチルスズジラウレート(例えば、Atofina Chemicals, Inc., Philadelphia, Paから入手可能なFASCAT(商標))である。
他の実施形態において、組成物の硬化速度を加速するための触媒として、例えば、アルミニウム触媒(例えば、アルミニウムsec−ブトキシド(AKZO-Nobel Chemicals, Inc., Chicago, Illinois)が挙げられる。
特定の実施形態において、触媒として、強酸(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸(CytecからCYCAT 600として入手可能なDDBSA)、メタンスルホン酸(MSA)、p−トルエンスルホン酸(pTSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA)、およびトリフル酸)(これらに限定されない)が挙げられる。例証的な濃度範囲は、非揮発性材料の重量を基準として少なくとも約0.01重量%または少なくとも約0.1重量%を含む。使用するならば、触媒は、非揮発性材料の重量を基準として、約3重量%以下または約1重量%以下の量で存在してもよい。
K.他の成分
溶媒 いくつかの実施形態において、組成物は、キャリア液を含む。特定の実施形態において、キャリア液は、留去および硬化を早めるために、揮発性で実質的に非水の有機溶媒または溶媒ブレンドである。硬化の前か後かのどちらかに、比較的低量の水が、最終上塗り被覆の防食特性を損なうことなく、コーティング組成物の総重量の約5パーセントまで含まれてもよい。水を組成物に意図して添加することは可能であり、またはコーティング配合中に成分を加える際等に、意図しないで導入してもよい。
ある実施形態において、組成物は、約176℃〜約205℃で8〜12分間の熱硬化中に本質的に完全に留去するほど十分に揮発性である、実質的に非水のキャリア液を含む。適切な非限定の例として、脂肪族炭化水素(例えば、ミネラルスピリット、灯油、高引火点VM&Pナフサ等);芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、溶媒ナフサ100、150、200等);アルコール(例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール等);ケトン(例えば、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、メチルアリールケトン、エチルアリールケトン、メチルイソアミルケトン等);エステル(例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート等);グリコール(例えば、ブチルグリコール);プロピレングリコールエーテル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールのエーテル);エチレングリコールエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等);グリコールエステル(例えば、ブチルグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテート等);およびそれらの混合物(これらに限定されない)が挙げられる。
コーティング組成物に含まれる非水キャリアの量は、基板への塗布のための所望の適切なまたは好適なレオロジー特性により制限される。十分な量の非水キャリアは、短い硬化サイクルにおける、軽便な処理、金属基板への容易で均一な塗布、および本質的に完全な剥離を可能にするように、組成物に含まれてもよい。
従って、実質的に非水のキャリアに対する適切な判定基準は:組成物の成分の妥当な分散および/または可溶性;他の組成物の成分に対しての不活性;化学安定性;密着性と防食効果と両立性;および迅速な留去である。
潤滑剤 組成物は、潤滑剤も含んでよく、つまり、缶内部用の保護コーティングには、長鎖脂肪族ワックス、カルナウバワックス等のような天然または合成潤滑剤(例えば、L. P. Bader & Co., GmbH, Rottweil, Germanyから入手可能のLuba-Print 887/C Wax Dispersion)、合成ワックス分散体(例えば、Lubrizol, Corp., Wickliffe, Ohioから入手可能なLanco Glidd 4518V)、ポリ(テトラフルオロエチレン)ワックス、およびそれらの混合物、ブレンドまたは分散体が含まれる。
顔料 いくつかの実施形態において、顔料は、下塗り被覆用、上塗り被覆用、または両方のための組成物に添加される。アルミニウムフレーク、二酸化チタン、および酸化亜鉛等のような適切な顔料は、保護コーティングの外観を改良するために、または食料品により放出される硫化水素に捕捉剤として作用するために、添加されてもよく、添加しなければ、保護コーティングを変形させるかまたは暗くする。アルミニウムフレークは、下塗り被覆のコーティング組成物と上塗り被覆のコーティング組成物のどちらかかまたは両方に、不揮発性の固形分基準で組成物の約2〜約15重量パーセントまたは約5〜約10重量パーセントの濃度で、存在してもよい。別の一実施形態において、二酸化チタンは、一方または両方の組成物に、コーティング組成物の約35〜約50重量パーセントまたは約40〜約45重量パーセントの量で存在する。さらなる実施形態において、酸化亜鉛は、一方または両方の組成物に、コーティング組成物の約0.5〜約30重量パーセントまたは約5〜約15重量パーセントの量で存在する。種々の添加剤 任意に、組成物には、水、凝集溶媒、平滑剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤(例えばレシチン)、脱泡剤(例えば、変性(ポリ)シロキサン)、増稠剤(例えばメチルセルロース)、硬化促進剤、沈殿防止剤、密着向上剤、架橋剤、腐食抑制剤、充填剤(例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、および/またはアルミニウム)、艶消剤(例えば、沈降シリカ)、耐衝撃改良剤等、およびそれらの組み合わせのような他の添加剤が含まれてよい。ある実施形態において、添加剤には、BYK-357(BYK-Chemie, GmBH, Wesel, Germanyから入手可能)およびPOLYSLIP VS 86(Rohm & Haas Corp. Philadelphia Pennsylvaniaから入手可能)が、含まれる。
本開示のコーティング組成物は、それから生成するコーティング組成物または硬化コーティング組成物に悪影響を与えない他の任意選択のポリマーを含んでもよい。このような任意のポリマーは、架橋材料として含まれることがあり、または所望の特性を提供し得るが、このような任意選択のポリマーは、充填剤の材料として、コーティング組成物中に含まれてよい。1種もしくは複数種の任意のポリマー(例えば、充填剤ポリマー)は、本来の目的を果たすように、十分な量(しかし、任意選択のポリマーから生成されるコーティング組成物または硬化コーティング組成物に影響を及ぼすことのない量)で含まれてよい。
このような追加の高分子材料は、非反応性であってよく、そして故に、充填剤としての単純な機能であってよい。このような任意選択の非反応性の充填剤ポリマーとして、例えば、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリエーテル、およびノボラックが挙げられ得る。別の方法として、このような追加の高分子材料またはモノマーは、組成物の他の成分(例えば、酸−官能性ポリマー)と反応性があることがある。所望ならば、反応性ポリマーが、本開示の組成物に組み込まれ、架橋をはじめとする様々な目的のために、追加の官能性を提供することがある。このような反応性ポリマーの例として、例えば、官能化ポリエステル、アクリル、ポリアミド、およびポリエーテルが挙げられる。特定の実施形態において、任意選択のポリマーは、移動性BPAおよび芳香族グリシジルエーテル化合物(例えば、BADGE、BFDGEおよびエポキシノボラック)を実質的に無含有である。
L.金属シートに接合するための製作法
食品容器および飲料容器を製作するための保護コーティングは、金属基板に塗布されて、例えば高速被覆ライン(例えば、コイルコーティングライン)上でフィルムに硬化され得る。コーティング剤は、連続的にコイルライン上または回分式でシートコーティングライン上のどちらかでローラーコーティングプロセスにおいて、薄い金属(例、アルミニウム、ブリキ、ティンフリースチール、またはクロム鋼等)に塗布された後、高温で反応する。このように生産される被覆金属は、例えば、延伸および扱き加工、絞り−再絞り、深絞り、プレス加工、水切り、金型成形(die reducing)、およびフランジング等のプロセスにより、所望の金属梱包物品を形成するように成形されてよい。
適切な基板金属として、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウムおよびその合金等(これらに限定されない)が挙げられる。組成物は、従来の手段(例えば、ブラッシング、ローラー被覆、または溶射等)によりフィルムとして、塗布されてよい。ある実施形態において、ローラーコーティングは、平らな金属缶を被覆するのに使用される。他の実施形態において、溶射は、予備形成した缶を被覆するのに使用される。
特定のシート焼付の実施形態において、大型のロール被覆した金属シートは、到達板温度約180℃〜約205℃を実現するように、炉内の棚に約10分間立設配置される。別の実施形態において、薄板金属(例えば、鋼またはアルミニウム)の大型コイル被覆ロールは、巻き出され、ロール被覆または溶射され、熱硬化され、そして巻き戻される;硬化炉内での全滞留時間は、約215℃〜約300℃の到達板温度で約2〜約20秒である。
コイルコーティングは、金属(例えば、鋼またはアルミニウム)からなる連続コイルのコーティングを指し、その後、急速硬化され、熱、紫外線、および/または電磁気手段によって乾燥される。被覆コイルは、成形物品(例、2ピース缶、3ピース缶、缶蓋等)に製作するのに有用である。
シートコーティングは、正方形または長方形シート(殆どの場合、約1平方メートルのサイズ)に事前に切断されている、様々な材料(例えば、鋼またはアルミニウム)の別個の片のコーティングを指す。シートは、乾燥および硬化後、成形物品(例、2ピース缶、3ピース缶、缶蓋、スチール製絞りしごき缶等)に製作され得る。
一実施形態において、本開示の方法は、下塗り被覆コーティング組成物を金属基板の表面に塗布して第一コーティング層を形成し、被覆基板を加熱し、その結果、第一コーティング層が、少なくとも部分的に硬化し、基板表面に密着した硬化フィルムを形成し、上塗り被覆コーティング組成物を第一コーティング層に塗布し、第二コーティング層を形成し、被覆基板を加熱し、その結果、第二コーティングが少なくとも部分的に硬化し、第一コーティング層に密着した硬化フィルムを形成することを含む。第一および第二コーティング層は、一回の通過で、複数回の通過で、または金属基板と第一コーティング層(例えば、プライマーもしくは下引き層)の間に、または第二コーティング層の上面に配置された追加のコーティング層と組み合わせて、塗布されてよい。いくつかの実施形態において、第一コーティング層と第二コーティング層は、1つもしくは複数の中間層によって、分離されている。
ある実施形態において、コーティング組成物は、(例えば、ダイレクトロールコーティング、リバースロールコーティング、輪転グラビア印刷コーティング等により)金属基板上にロール被覆される。非限定の例証的な例において、コーティング組成物は、ロール被覆されて、約8g/m2〜約28g/m2の範囲から選択される総体的な多層被覆フィルムの重量を有する硬化フィルムを生成する。
いくつかの実施形態において、下塗り被覆および上塗り被覆組成物は、金属基板に塗布された後に、熱、活性エネルギー線(例えば、紫外線または赤外線硬化)、電磁放射(例えば、電子線硬化)、それらの組み合わせ等に暴露されることにより、少なくとも部分的に硬化(つまり、硬くまたは架橋)される。ある実施形態において、金属基板上の下塗り被覆組成物は、上塗り被覆を塗布する前に、少なくとも部分的に架橋される。
塗布された下塗り被覆および上塗り被覆組成物は、少なくとも一部の任意のキャリア液を留去するためにおよび/または架橋を加速するために、加熱により乾燥および硬化されてよい。被覆組成物は、約150〜220℃で、1〜20分間加熱されて乾燥硬化フィルムを形成し得る。
いくつかの実施形態において、コーティングは、シート焼付プロセスにより、塗布され、被覆金属基板は、175℃〜約205℃の温度で8〜10分間、硬化される。代替的実施形態において、コーティングは、金属基板上にコイル被覆され、約2〜約20秒間、約230℃〜約300℃の温度で加熱されることにより、硬化される。
M.接触角
最も一般的な測定として、水との接触角は、平坦で非常に清浄な上向き面を有する水平面として注目の材料を提供し、高度に浄化した水の液滴を表面に導入した後、液滴を静止するまで放置して、最終的には、液滴のすぐ真下にある表面領域と、表面から生じる液体/気体の界面との間の角度を測定することにより、測定される。つまりその角度は液体を通る。所与の温度および圧力での、固体、液状、および気体の所与の系は、固有な平衡接触角を有する。平衡接触角は、液状、固体および気体間の相互作用の相対的な重要性を示す。しかしながら、実験測定では、いわゆる前進(最大)接触角およびいわゆる後退(最小)接触角に起因する接触角ヒステリシスを被る。平衡接触は、これらの値の中間であり、それらから算出できる。
表面が水を引き付ける場合、酸化されていない金属表面またはセラミック表面上の水に関して、液滴が広がり、基板と接触する液滴の界面積を最大になるにつれて、接触角は、0度に近づく。表面が水をはじく場合、液滴は、さらに球体になり、基板と接触する液滴の界面積を低減させる。接触角が90度を超える時点で、疎水性が始まるとみなされる。接触角は、大気の相対湿度に多少敏感であると知られているが、しかしながら、その影響は非常に小さいので、通常、実施においてこの要因を無視している。当業者ならば、その方法および理論は、既知であるので、本明細書においてそれをされに詳細に記載しない。
本開示に基づく高分子材料に関して、水との接触角が少なくとも70度であることが望まれる。90、95、105または115度の接触角は、水性生成物の注出を促進し、炭酸飲料の発砲を抑えるので、それらは、同様に望まれる。一実施形態において、接触角は、少なくとも70度である。別の一実施形態において、接触角は、少なくとも85度である。さらなる実施形態において、接触角は、少なくとも90度である。一実施形態において、接触角は、90度を超える。いくつかの実施形態において、接触角は、少なくとも95度である。特定の一実施形態において、接触角は、95〜115度である。ある実施形態において、接触角は、100〜110度である。別の特定の一実施形態において、接触角は、約105度である。後者の実施形態は、シロキサン樹脂が、乾燥重量で、均質混合組成物の約40%である場合に、特に期待される。いくつかの実施形態において、接触角は、105±3度である。
N.組成物の量的範囲および特性
樹脂組成物 モノマー、反応性オリゴマー、ポリマー前駆体または反応性ポリマーに対して、本開示に基づく硬化の役割を担う架橋剤および触媒は、樹脂中の、高分子材料の反応生成物の組成(重量パーセント)を決定する目的上、対応する樹脂の一部であるとみなされる。
高分子材料組成物 各実施形態において、高分子材料は、均質混合物の反応生成物および硬化による他の化学的残渣として定義される。従って、高分子材料は、以下の種の反応生成物(化学残渣を含む)が、環状エーテル、アクリレート、およびシロキサンとの反応に関与し、例えば硬化後の留去により除去されない程度まで、以下の種(モノマー;オリゴマー;前駆体ポリマー;反応性ポリマー;架橋剤;開始剤;触媒;および反応速度変調剤;)(各々が硬化反応に関与する程度まで)の反応生成物(化学残渣を含む)含む。機能性添加物は、高分子材料が梱包用組成物を形成する際の重量パーセントを算出する目的上、高分子材料と別個で異なるとみなされる。
いくつかの実施形態において、高分子材料は、本開示の熱硬化性樹脂2種の反応生成物からなり、各々は、乾燥重量での測定で高分子材料の10%〜90%を組成し、それらの百分率は、互いに逆相関している。さらなる実施形態において、それらの組成物の百分率の範囲は、各々それぞれ20%〜80%、30%〜70%、40〜60%、または約50%である。特定の一実施形態において、それらは、30%〜70%または40%〜60%である。
ある実施形態において、高分子材料は、全3種の熱硬化性樹脂の反応生成物からなり、熱硬化性樹脂のうちの2種は、互いに対して上に示す割合範囲のうち1つを有し、一緒にして乾燥重量での測定で高分子材料の少なくとも66.7%を組成し、3番目の熱硬化性樹脂の反応生成物は、残りを組成する。その例において、3番目の熱硬化性樹脂の反応生成物は、高分子材料の33.3%までを組成する。さらなる実施形態において、3番目の熱硬化性樹脂の反応生成物は、組成物の30%まで、25%まで、20%まで、15%まで、10%まで、または5%までを組成し、他の2種の樹脂の反応生成物が、残りを組成し、上の段落に示される一対の割合範囲を互いに対して反対に有する。
特定の実施形態において、少なくとも2種の熱硬化性樹脂の各々からの反応生成物は、乾燥重量で、樹脂当たり高分子材料の20%を組成する。ある実施形態において、環状エーテル樹脂およびアクリレート樹脂の反応生成物が、乾燥重量でそれぞれ少なくとも1.33:1の比率において高分子材料内に存在する。追加の実施形態において、環状エーテル樹脂およびシロキサン樹脂の反応生成物が、乾燥重量でそれぞれ少なくとも1.33:1の比率において高分子材料内に存在する。さらなる実施形態において、アクリレート樹脂およびシロキサン樹脂の反応生成物は、乾燥重量でそれぞれ少なくとも1.33:1の比率において高分子材料内に存在する。
梱包用組成物 いくつかの実施形態において、本開示の高分子材料は、乾燥重量で測定して、食品および飲料の梱包用組成物の少なくとも10%を組成する。さらなる実施形態において、組成物中でのその百分率は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。一実施形態において、組成物中でのその百分率は、少なくとも約99%である。
架橋密度 架橋の相対頻度および効果は、様々な方法で表わすことができ、網目ポリマーだけでなくグラフ理論への基本的な課題を長い間提起してきた。本開示の目的上、架橋密度を定量化する特に有用な方法は、分子の骨格結合に焦点を当てる。明確にする目的のため、ある定義をこの項で繰り返し、詳しく記載する。
丁度示している例の各々において、網目形成する骨格結合の百分率は、増大できる。例えば、より短い結合点間の鎖セグメントを用いることが可能である。その他にまたは別の方法として、配合者は、結合点当たりの網目形成結合の平均数をより高くする架橋剤(または鎖セグメント末端基)を用いることもでき得る。配合者は、樹脂、例えば、丁度説明しているエポキシを、さらに広範囲に架橋し同一または異なる型の重合性基を有する第二樹脂と混合してもよく、例えば第二樹脂は、さらに広範囲にわたって熱硬化性のエポキシ樹脂であってもよく、または、例えばシロキサン樹脂(例、ベンジルトリエトキシシラン等)であってもよい。例証的な非限定の例として、ベンジルトリエトキシシランを水と縮合して、完全に硬化して、乾燥させることによって、単独で形成される樹脂に関して、単位格子は、11個の骨格結合を有し、そのうちの1個(つまり約9.1%)が、網目形成されている。類似した例として、メチルトリエトキシシランの加水分解から単独で形成される樹脂に関して、単位格子は、4個の骨格結合を有し、そのうちの1個(つまり25%)が、網目形成されている。さらなるこのような例として、ジペンタエリトリトールペンタアクリレートのラジカル重合により単独で形成される樹脂は、単位格子内に43個の骨格結合を有し、そのうちの8個(つまり約18.6%)が、網目形成されている。ジ(アクリル酸)無水物またはジ(アクリロイル)メタンのラジカル重合により単独で形成される樹脂は、単位格子当たり10個の骨格結合を有し、そのうち2個(つまり20.0%)が、網目形成されている。
骨格結合中の網目形成結合の百分率は、例えば、直鎖だけを形成するかなりの量のモノマーを利用することにより、より長い前駆体ポリマーを用いて結合点間の鎖セグメントを形成することにより、適切な連鎖移動試薬または末端封止剤等を用いることにより、下げられ得る。ポリシロキサンの縮合におけるアルコール分子の損失を通してのような、樹脂が部位を損失する場合の混合樹脂の計算において、その相対モル重量が変化し、このことが、ハイブリッドポリマーの網目形成結合の平均%を計算するのに影響を与えることを記憶にとどめておくべきである。
イオン結合が考慮される場合、イオン結合を確実な方法で数に入れるべきである。第4級アンモニウムと有機スルフェート間のイオン結合に関して、これは、純然たるイオン結合であり得る。
本開示の様々な実施形態において、網目形成する高分子材料中の骨格結合の百分率は、4〜40%、5〜25%、6〜20%、または7〜10%の範囲で選択される。ある実施形態において、その百分率は、4〜8%の範囲にある。代替的な実施形態において、その百分率は、7〜12%の範囲にある。特定の実施形態において、その百分率は、10〜15%の範囲にある。他の実施形態において、その百分率は、15〜20%の範囲にある。様々な実施形態において、その百分率は、20〜25%の範囲にある。いくつかの実施形態において、その百分率は、25〜30%の範囲にある。さらなる実施形態において、その百分率は、30〜40%の範囲にある。
架橋密度の代替的な測定 代替的なアプローチにおいて、均質混合物中の化学種当たりの該当の反応性官能基の比率および架橋剤当たりの比較的多数の該当の反応基に基づいて、完全に硬化した材料の架橋密度を計算できることは、当業者ならば、既知である。これから、最終生成物の重量(計算の目的上、生成物を単一分子と仮定する)を用いて、架橋当たりの対応する数平均重量を算出できる。BPAベースのエポキシコーティングにおいて、対応する値は、一般的に架橋当たり約300以上の原子質量単位である。アクリル架橋体コーティングは、さらにより高い値を有する傾向がある。シリコーンは、より低い値を有するが、食品および飲料コーティングにおいてエポキシ系として広くまたは首尾よく使用されてきたわけではない。本開示に基づく高分子組成物は、架橋当たり300以下の原子質量単位を有する。特定の実施形態において、その値は、50〜300、75〜275、100〜250、または150〜200である。ある実施形態において、その値は、150+25である。
梱包用組成物 いくつかの実施形態において、本開示の高分子材料は、乾燥重量での測定で食品および飲料梱包用組成物の少なくとも10%を組成する。さらなる実施形態において、組成物中でのその百分率は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。一実施形態において、組成物中でのその百分率は、少なくとも約99%である。
架橋部位(cross-linker) いくつかの実施形態において、架橋部位は、特定の分子骨格から誘導される。一般的および本開示に関しての定義により、架橋は、架橋がポリマー内の少なくとも3つの他の構造単位への結合を生み出すように反応できる。ある実施形態において、均質混合物は、ポリマー内の少なくとも4または少なくとも5の他の構造単位への結合を生み出すように反応できる架橋剤を含む。特定の実施形態において、均質混合物は、結果として架橋構造の生成のために多くの適切な反応性官能基を含むオリゴマー架橋剤またはポリマー架橋剤を含む。本開示に基づく架橋剤の例証的な実施形態は:エポキシ化大豆油;ジアミン、並びにオリゴマーアルキレンアミンおよびポリマーアルキレンアミン;ビスエポキシド;ビスジオキソラン;トリ−アルコキシシロキサンおよびテトラ−アルコキシシロキサン;ジ−アミンシラザン、トリ−アミンシラザンおよびテトラ−アミンシラザン;そして1〜6の重合度を有する糖または糖アルコールを含むサッカリド(サッカリドは、アクリル種のエステルであるまたは環状エーテル(例えば、グリシジルエーテル)に共有結合している)を含む(これらに限定されない)。いくつかの実施形態において、サッカリドは、1〜4、1〜3、または1〜2の重合度を有する。ある実施形態において、均質混合物は、その他の点では同一の型の架橋剤(ポリマー内のある特定数の構造単位への結合を形成する架橋剤もあり、ポリマー内の異なる特定数の構造単位への結合を形成する架橋剤もある)を含む。非限定の例証的な例として:エポキシ化大豆油を使用してもよく、試料の分子は、それらが分子当たりエポキシド単位をいくつ有するかで異なる;同様にジ−アミン、トリ−アミンおよびテトラ−アミンの混合物も使用してよい;同様に、オリゴ−官能化サッカリドの混合物も使用してよい;同様に、トリ−アルコキシシランとテトラ−アルコキシシランの混合物も使用してよい;等。
ある実施形態において、均質混合物中の全てのアクリレート部位は、架橋部位に共有結合されている。様々な他の実施形態において、均質混合物は、100:1〜1:100;50:1〜1:50;20:1〜1:20;10:1〜1:10;5:1〜1:5;2:1〜1:2;または約1:1の範囲から選択される、アクリルモノマー分子の対応する架橋部位の分子に対するモル比を有する。特定の実施形態において、その比率は、50:1〜1:50の範囲から選択される。
特定の他の実施形態において、均質混合物中の全ての環状エーテル部位は、架橋部位に共有結合されている。様々な他の実施形態において、均質混合物は、100:1〜1:100;50:1〜1:50;20:1〜1:20;10:1〜1:10;5:1〜1:5;2:1〜1:2;または約1:1の範囲から選択される、環状エーテルモノマー分子の対応する架橋部位の分子に対するモル比を有する。ある実施形態において、その比率は、10:1〜1:10の範囲から選択される。
追加の実施形態において、均質混合物中の全てのシロキサン形成部位は、網目形成シロキサンに共有結合されている。様々な他の実施形態において、均質混合物は、100:1〜1:100;50:1〜1:50;20:1〜1:20;10:1〜1:10;5:1〜1:5;2:1〜1:2;または約1:1の範囲から選択される、シロキサンモノマー分子の対応する架橋部位の分子に対するモル比を有する。いくつかの実施形態において、その比率は、20:1〜1:20の範囲から選択される。
アルコールがごく近くにある際にエステルを形成するまたはエステル交換するカルボキシル基の反応性が弱い傾向であるため、シロキサン中心と反応するヒドロキシル基の反応性が弱い傾向であるため、またポリエーテルは、アルコール、およびまたはこれらのカルボキシル基とヒドロキシル基のいずれかを攻撃できるアミン官能基を含有する傾向があるので、いくらかの架橋が、少なくとも痕跡レベルであるのは避けられないようである。
相互侵入網目 いくつかの態様において、高分子材料は、相互侵入のポリマー網目である。ある実施形態において、均質混合物中の少なくとも1種の樹脂架橋体の反応生成物は、他の樹脂から形成されるポリマーへの架橋を全く含まない。他の実施形態において、少なくとも1種の樹脂の反応生成物中の少なくとも10%の架橋が、他の2種の樹脂の一方または両方からのある型のポリマーに結合している。さらなる実施形態において、その値は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%である。型間での架橋が実質的に存在しない非限定の例は、均質混合物が2工程(例えば最初に、メチルメタクリル樹脂をラジカル重合して、そして架橋した後、オキセタン樹脂を高温開環重合する)で硬化される場合である。実質的に全ての架橋が異なる型の構造単位間である場合の非限定の例は、例えば、エチルアクリレートがラジカル重合される場合、ジメチルジメトキシシランが縮合により重合される場合、採用される唯一の架橋種がジビニルジメトキシシランである場合であり、これは、1相または2相硬化プロセスのどちらかにより起こり得る。当業者は、多くの変形および置換により、型間での架橋の程度を制御できることを認めるだろう。特定の実施形態において、形態特性および物理的特性の統一が望まれる場合は、相分離やドメインサイズの相違が、処理を必要としないように、100%の型間での架橋が好ましい。特定の実施形態において、形態特性および物理的特性の統一が望まれる場合は、相分離やドメインサイズの相違が、処理を必要としないように、本質的に100%の型間での架橋が好ましい。両親媒性表面が望まれる場合の実施形態において、ハニカム形態が生じ、疎水性において通常の微小規模の変形を提供するように、本質的に100%の型内での架橋が好ましい。当業者が理解する類似の置換および変形は、本開示により企図される。
透過性 本開示の高分子材料は、ボトリングプラスチックまたはコーティングとして用いる際に、ポリエチレンテレフタレート(PET)のガス透過性を2倍以下にするのを可能にする手法で調製され得る。多くの場合において、本開示の材料は、PETに見られる相対拡散率の半分以下にまで相対拡散率を制限する手法で調製され得る。特に、二酸素、二酸化炭素および水に対する材料の透過性は、10−13cm3cm cm−2s−1Pa−1の単位で表されるとみられるが、簡潔にするために、この段落において単純に「ユニット(units)」と記載される。従って、ある実施形態において、本明細書に開示される高分子材料は、多くとも200ユニット、多くとも150ユニット、多くとも100ユニットまたは多くとも50ユニットの水に対する透過性を有する。特定の実施形態において、本開示の高分子材料は、多くとも0.4ユニット、多くとも0.2ユニット、多くとも0.1ユニット、または多くとも0.05ユニットの二酸化炭素に対する透過性を有する。さらなる実施形態において、本開示の高分子材料は、多くとも0.6ユニット、多くとも0.03ユニット、多くとも0.015ユニット、多くとも0.009ユニット、または多くとも0.003ユニットの二酸化炭素に対する透過性を有する。水、二酸化炭素および酸素の相対透過性は、ポリマーの型によって異なる;本開示は、特定のバリア機構により限定されないが、本開示の高分子材料は、ひとつには密度がより高いことにより、二酸化炭素および二酸素に対するPETのバリア性を特に改良するとみられる。
フィルムおよびコーティング 本開示に基づくフィルムは、それらの厚さが特定の塗布に適するように調製されてよい。例証的なフィルム厚の範囲は、1〜2,500ミクロン;2〜2000ミクロン;3〜1500ミクロン;4〜1000ミクロン;5〜500ミクロン;6〜400ミクロン;7〜300ミクロン;8〜200ミクロン;10〜100ミクロン;15〜75ミクロン;および20〜50ミクロンを含む(これらに限定されない)。特定の実施形態において、フィルム厚は、10〜100ミクロンである。
本開示に基づくコーティングは、それらの厚さが特定の塗布に適するように調製されてよい。例証的なコーティング厚の範囲は、0.1〜20ミクロン;0.5〜15ミクロン;1〜10ミクロン;および2〜5ミクロンを含む(これらに限定されない)。特定の実施形態において、コーティング厚は、2〜5ミクロンである。
ある実施形態において、フィルムまたはコーティングは、虹彩性を有する多層のプラスチックフィルムとして提供され得る。多層の虹彩性フィルムの調製法は、良く知られており、例えば、J.A. Radfordらによる「Polym. Eng. & Sci., (1973) 13(3): 216-221」に記載されている。このような実施形態において、フィルムまたはコーティングは、2〜500層;2〜250層;3〜100層;4〜50層;または5〜10層を含む積層体において提供されてよい。ある実施形態において、多層の虹彩性フィルムは、2〜5層を有し、任意選択的に層の間にエア溜まりを含んでもよい。特定の実施形態において、多層プラスチックの個々の層の厚さは、以下、0.01〜20ミクロン厚、0.1〜10ミクロン厚、1〜8ミクロン厚、または2〜5ミクロン厚の範囲のうちの1つから選択される。一実施形態において、個々の層の各々の厚さは、少なくとも2ミクロンであるが、5ミクロン厚以下である。ある実施形態において、各層は、本開示に基づく高分子材料を含むが、代替的実施形態において、全ての層でなく一部の層が、高分子材料を含む。
密着品質 本開示に基づくコーティングおよび積層は、それらの密着品質により評価されてよい。いくつかの実施形態において、開示される高分子材料は、金属表面、殊にアルミニウムまたはアルミニウム合金表面に密着される場合、少なくとも7のブラッシュ等級を有する。特定の実施形態において、生成されて最初に密着される材料のブラッシュ等級は、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9であり、或いは、10または約10である。ある好適な実施形態において、ブラッシュ等級は、9以上である。いくつかの実施形態において、DOWFAX(登録商標)試験において処理した後のブラッシュ等級は、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9であり、或いは、10または約10である。
さらなる実施形態において、生成されて最初に同じ金属に密着される高分子材料は、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、或いは、10または約10の、ASTM D 3359−97の試験法Bにより測定した密着性等級を有する。さらなる実施形態において、高分子材料は、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、或いは、10または約10の、DOWFAX(登録商標)試験条件(つまり、水に5mLのアニオン界面活性剤DOWFAX(登録商標)2A1を含有する煮沸水溶液3リットル中に被覆金属を15分間滞在させた後、脱イオン水中で冷却し、乾燥する)によって試料を処理した後に同じ試験方法により測定した密着性等級を有する。
追加の実施形態において、コーティングの密着性等級は、Taber(登録商標)摩耗試験またはスチールウール試験を実施する場合に、3、2、1または0.5ユニット以下だけ下がる。ある実施形態において、コーティングの密着性等級は、Taber(登録商標)摩耗試験またはスチールウール試験を実施する場合に、実質的に影響を受けない。
ある実施形態において、生成されて最初に同じ金属に密着されるポリマー材料の密着性は、基板の幅およびまたは長さ1cm当たり0.50mm基板を撓めた後に、ほぼ元の状態のままである。追加の実施形態において、同じ測定による撓みの程度が、1.00mm/cm、1.50mm/cm、2.00mm/cm、2.50mm/cm、3.00mm/cm、3.50mm/cm、4.00mm/cm、4.50mm/cmまたは5.00mm/cmである場合、密着性は、ほぼ元の状態のままである。
特定の実施形態において、生成されて最初に同じ金属に密着されるポリマー材料の密着性は、基板の幅およびまたは長さ1cm当たり0.50mm基板を撓めた後に、ほぼ元の状態のままである。
さらに他の実施形態において、基板の裏面が、サイズで10cm2である表面積にわたって物体によって均一に衝撃(25μN/sの運動量を有する)を受け、衝撃の少なくとも24時間前から衝撃の少なくとも24時間後までの期間、コーティングを炭酸水溶液または炭酸無含有の水溶液に暴露した後、基板表面へのコーティングの密着性は、ほぼ元の状態のままである。さらに他の実施形態において、他の要因が同じで、運動量が、30μN/s、35μN/s、40μN/s、45μN/sまたは50μN/sである場合、密着性は、ほぼ元の状態のままである。
追加の実施形態において、生成されて最初に同じ金属に密着されるポリマー材料の密着性は、基板を炭酸水溶液または炭酸無含有の水溶液(例、コーラまたは他のソーダ飲料等)に暴露した後(pH2.4〜2.5、温度が20〜25℃で、暴露時間が、6か月まで、12か月まで、18か月までまたは24か月までである場合)、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または10もしくは約10の等級のままである。ある実施形態において、暴露期間後、コーティングは、目視での欠損(例、ひび割れ、細孔、穿孔、表面エッチング等)が無いままである。特定の実施形態において、ポリマー材料の密着性は、暴露期間が7日間で、温度が30℃である場合、同じ判定基準を満たす。他の実施形態において、ポリマー材料の密着性は、暴露期間が10日間で、温度が40℃で、溶液が、エタノールを20重量%含む場合、同じ判定基準を満たす。
さらに他の実施形態において、生成されて最初に同じ金属に密着される高分子材料の密着性は、基板を高温溶液に長時間、暴露した後、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または10もしくは約10の等級のままである。特定の実施形態において、溶液の温度は、85℃〜130℃の範囲内であり、密着したポリマー材料の暴露期間は、1.5時間であり、溶液は、水であり、そして暴露は、0.65〜1.10kg/cm2の範囲から選択される圧力で起こる。
機能性添加物 ある実施形態において、機能性添加物は、乾燥重量で最終組成物の50%までの範囲で提供される。様々な実施形態において、添加剤は、40%まで、30%まで、20%まで、10%までおよび5%までの範囲で提供される。特定の実施形態において、添加剤は、0.01〜20.0%、0.1〜10.0%、0.5〜8.0%、0.75〜6.0%、1.0〜4.0%、または2.0〜3.0%の範囲で或いは約2.5%で提供される。一実施形態において、添加剤は、0.1〜10.0%の範囲で提供される。
ガラス転移温度 様々な実施形態において、熱硬化性樹脂および添加剤さらにそれらの硬化スケジュールは、結果としてTgの範囲になるように選択される。各種類の樹脂からの代表的なポリマーの値は、多様である。中程度Tgのエポキシポリマーは、およそ75℃の範囲においてである。アクリレートは、ガラス状になる傾向があり、従って、直鎖のポリ(アクリルエステル)は、10〜35℃の範囲のTgを有し、直鎖のポリ(メタクリルエステル)は、アルキルエステルのアルキル基の長さに応じて20〜100℃の範囲のTgを有し;PMMAは、100℃のTgを有し;アクリルアミドのTgの範囲は、実質的により高い対応する温度(例えば165℃)である(他の構造因子は同じである)。シリコーン(例、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等)およびシリコーンゴムは、非常に低いTgを有する傾向があり、一般的に−125℃付近で引用されるが、しかしながら広範囲にわたる架橋により、この値は増大する。その違いは、シロキサンの架橋(石英中のシリカ)の最大限でTg=1,200℃で明らかなように、非常に効果的であり得る。
硬化の際に、架橋を有する均質混合の熱硬化性樹脂は、型間での架橋が大部分を占めるならば、単一のTgを有する傾向があるようである。好適なTgは、密着性、可撓性および不透過性の実践的バランスを得る範囲により、決定される。いくつかの実施形態において、混合の熱硬化性エポキシ樹脂およびアクリレート樹脂は、特に望ましくは20〜100℃のTg範囲、尚さらに望ましくは40〜80℃のTg範囲、または約60℃であるが、本開示は、それらに限定されない。Tgを決定する方法は、当技術分野ではよく知られている。Tgに影響を与える外的要因(例、大気湿度等)は、同様に知られているが、実質的に乾燥している硬化ポリマーのTgに軽度の影響があるだけである。この段落および前段落におけるTg値は、例証的なものであり、限定されない。
密度 様々な実施形態において、熱硬化性樹脂および添加剤は、23℃の温度で、特定の範囲に収まる密度値を提供するように選択される。特定の実施形態において、密度範囲は、以下の0.8〜1.8g/mL;0.9〜1.7g/mL;1.0〜1.6g/mL;1.1〜1.5g/mL;1.2〜1.4g/mL;または約1.3g/mLの範囲に収まるように選択される。
感覚受容性化合物の吸収 食品および飲料からの感覚受容性化合物の損失に気付く消費者の能力は、化合物により異なり、また消費者の感受性により幾分異なる。一般的に、このような損失は、留去、容器材料への吸収、例えば光暴露の際の他の化合物への自然変換、または他の手段による損失によるかどうかに関わらず、約20%の化合物が損失して、結果として香味強度が低下する際および/または異臭を生じる際に検出できるようになる。香味化合物は、多様で複雑な混成であることが多いので、殆どの場合、標識化合物を用いて、容器材料と接触している香味化合物の相対持続性を評価する。特定の実施形態において、本開示の高分子材料を含む組成物が、食品または飲料容器の内部でのコーティングである場合、30℃での4週間の暴露期間の間に、コーティングは、飲料に存在する感覚受容性標識化合物の20%以下を吸収する。様々な実施形態において、他の要因が同じで、コーティングは、試験において、15%以下、10%以下、5%以下、2.5%以下、または1%以下を吸収する。ある実施形態において、標識は、極性化合物である。ある実施形態において、標識は、非極性化合物である。特定の実施形態において、コーティングは、試験中に、5%以下の極性標識化合物を吸収し、5%以下の無極性標識化合物を吸収する。
合成化合物の放出 特に好適な実施形態において、本開示に基づく組成物は、組成物が接触している水性飲料中に多くても痕跡量の合成化合物を放出する。様々な実施形態において、組成物は、飲料が充填された容器の内部コーティングとして提供され、室温で6か月間、保持された場合、200mg/L以下;150mg/L以下;100mg/L以下;90mg/L以下;80mg/L以下;70mg/L以下;60mg/L以下;50mg/L以下;40mg/L以下;30mg/L以下;20mg/L以下;または10mg/L以下の量で合成化合物を放出する。ある実施形態において、組成物は、炭酸水性飲料または炭酸無含有の水性飲料に関してこのような条件下で、60mg/L未満の不揮発性合成有機化合物を放出する。
実施例
以下の実施例は、本開示の実施形態を例証することを意図とし、決して、本開示を限定すると解釈されるべきではない。
ASTMの通し番号を用いて本明細書に引用するいかなる試験方法も、ASTM International(以前はAmerican Society for Testing and Materialsとして知られている)により公布され維持される標準試験プロトコルを参照する。ASTM D4060−10に準拠してTaber(登録商標)摩耗試験を実施する。
感覚受容性標識の比較保持試験のプロトコル 本開示に基づく高分子材料を含む硬化組成物の層(2〜5ミクロン厚)で内部被覆されるアルミニウム缶をコーラ飲料で満たし、30℃で保管する。飲料の相対的な香味の損失を1週間および4週間の間隔で測定し、飲料中のリモネンおよびオクタナールの標準初期濃度対する変化を基準として、従来のエポキシで被覆した缶の性能と比較する。損失の判定基準に対する水準点は、30℃で1週間後に約1%未満の損失および4週間後に約3%未満の損失である。
水との接触角 本開示に基づく高分子材料を含む組成物をそれらの水との接触角に関して試験する。限界水準点は、70度である。限界疎水性に対する水準点は、90度を超えている。実質的な疎水性に対する水準点は、105度である。
水吸収 本開示に基づく高分子材料を含む組成物をそれらの水吸収に関して試験する。組成物を酸素バリア梱包材料の上に積層し、ほぼ無酸素下で、30℃に保った水溶液に暴露する。暴露は、試料の表面積1.0cm2当たり0.50mLの水溶液に相当する。試験基準は、試料が6か月間を超えて、5重量%以下の水を吸収するかどうかである。
実施例1〜15
下の表において、樹脂は、熱硬化性樹脂であり、E=環状エーテル樹脂、A=アクリレート樹脂、かつS=シロキサン樹脂である。明示のNF%は、完全な硬化混合物に関して反応生成物の骨格結合のうちの網目形成結合のおよその理論百分率を意味する。しかしながら、合成手順は、硬化された場合に達成される網目形成結合のこの理論百分率に基づいて決まるものではない。加重平均は、重量パーセントで算出したNF%値の加重平均であり、副産物(例、シロキサン縮合により生じるエタノール等)は、ポリマーの一部ではなく、従って、出発モノマーおよび架橋剤の重量百分率は、本明細書のように高分子材料のみを考慮する場合、各樹脂の反応生成物に対する重量の積と必ずしも同じではない。コーティングの目標厚さは、2〜5ミクロンである。
本実施例おけるエポキシ−アクリレート相互侵入ポリマー樹脂の実験詳細およびガラス転移温度を表に示す。
実施例16.1
試料のエポキシ(1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(CHDMGEまたはCHDMEP))9.48g、アクリルモノマー(トリプロピレングリコールジアクリレート)4.74g、別のアクリルモノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)4.74g、エアロゾルOT(ジオクチルナトリウムスルホスクシネート界面活性剤)1g、およびエタノール14gを秤量し、150mLのガラス製試料バイアル中で合わせて、手動で徐々に撹拌した。この穏やかな撹拌は、これらの材料の普遍的な混和性のお蔭で、完全な混合を実現するのに殆どの場合十分であった。試料の2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール0.24gをこの混合物に加えた後、再び穏やかに振り混ぜて、普遍的な分散性を確保した。最終的に、0.8gのt−ブチルパーオキシベンゾエート(t−ブチルベンゾペルオキソエート、PhCO2O−t−Buとも呼ぶ)と、65gの水とを加え、最初は手動で振り混ぜた後、磁気攪拌棒を用い約250rpmで1時間撹拌した。次に、下記のように、生成した組成物からコーティングを調製した。
コーティング線材を用いて、アルミニウムプレート(Alcoa 5182 H19クロム処理したアルミニウムまたはGardco 3003 H14アルミニウム試験パネルの3インチ×6インチの切り取り試片)上にコーティングを作製した。次に、220℃の設定値で10分間、コーティングを炉内で硬化した。乾燥フィルムの厚さは、約2〜5ミクロンであった。
TA Q2000 DSC測定器において、示差走査熱量(DSC)測定を実施した。典型的な実行において、計量基準に沿って、3〜14mgの試料を秤量し規定のDSCパン内に封入した。T4法を用いて、加熱サイクルでは10℃/分そして冷却サイクルでは5℃/分で、DSCにおいて試料を分析した。加熱−冷却−加熱サイクルを用いて、試料から熱履歴を除去した。つまり、試料を室温から150℃まで加熱して、−75℃まで冷却し、そして150℃まで再加熱した。各痕跡に対して、Tg(ガラス転移温度)の出現において純粋な屈曲点を認め、どの試料もTgピークの終わりに、いかなる偽ピークも示さず、それは、別な方法で、熱老化が無いことを示唆したであろう。屈曲点の中心としてTgを測定した。DSC痕跡において、他の熱転移は、認められなかった。
この試料のTg値は、75℃であることが判明した。
実施例16.2
試料のエポキシ(1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(CHDMGEまたはCHDMEP))9.48g、アクリルモノマー(トリプロピレングリコールジアクリレート)4.74g、別のアクリルモノマー、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(プロポキシル化NPGジアクリレート)4.74g、エアロゾルOT 1g、およびエタノール14gを秤量し、150mLのガラス製試料バイアル中で合わせて、手動で徐々に撹拌した。この穏やかな撹拌は、これらの材料の普遍的な混和性のお蔭で、完全な混合を実現するのに殆どの場合十分であった。試料の2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール0.24gをこの混合物に加えた後、再び穏やかに振り混ぜて、普遍的な分散性を確保した。最終的に、0.8gのt−ブチルパーオキシベンゾエート(t−ブチルベンゾペルオキソエート)と、65gの水とを加え、最初は手動で振り混ぜた後、磁気攪拌棒を用い約250rpmで1時間撹拌した。次に、下記のように、生成した組成物からコーティングを調製した。
コーティング線材を用いて、アルミニウムプレート(Alcoa 5182 H19クロム処理したアルミニウムまたはGardco 3003 H14アルミニウム試験パネルの3インチ×6インチの切り取り試片)上にコーティングを作製した。次に、220℃の設定値で10分間、コーティングを炉内で硬化した。乾燥フィルムの厚さは、約2〜5ミクロンであった。
TA Q2000 DSC測定器において、示差走査熱量(DSC)測定を実施した。典型的な実行において、計量基準に沿って、3〜14mgの試料を秤量し規定のDSCパン内に封入した。T4法を用いて、加熱サイクルでは10℃/分そして冷却サイクルでは5℃/分で、DSCにおいて試料を分析した。加熱−冷却−加熱サイクルを用いて、試料から熱履歴を除去した。つまり、試料を室温から150℃まで加熱して、−75℃まで冷却し、そして150℃まで再加熱した。各痕跡に対して、Tg(ガラス転移温度)の出現において純粋な屈曲点を認め、どの試料もTgピークの終わりに、いかなる偽ピークも示さず、それは、別な方法で、熱老化が無いことを示唆したであろう。屈曲点の中心としてTgを測定した。DSC痕跡において、他の熱転移は、認められなかった。
この試料のTg値は、62℃であることが判明した。
以下の実施例に基づいて作製され、分析されるエポキシ−アクリレート相互侵入ポリマー樹脂の実験詳細を表に示す。
実施例17.1−樹脂の調製
試料のエポキシ(1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(CHDMGEまたはCHDMEP))9.48g、アクリルモノマー(トリプロピレングリコールジアクリレート)4.74g、別のアクリルモノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)4.74g、エアロゾルOT 1g、ベンジルトリエトキシシラン1g、およびエタノール14gを秤量し、150mLのガラス製試料バイアル中で合わせて、手動で徐々に撹拌した。この穏やかな撹拌は、これらの材料の普遍的な混和性のお蔭で、完全な混合を実現するのに殆どの場合十分であった。試料の2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール0.24gをこの混合物に加えた後、再び穏やかに振り混ぜて、普遍的な分散性を確保した。最終的に、0.8gのt−ブチルパーオキシベンゾエートと、65gの水とを加え、最初は手動で振り混ぜた後、磁気攪拌棒を用い約250rpmで1時間撹拌した。次に、下記のように、生成した組成物からコーティングを調製した。
コーティング線材を用いて、ガラススライド(3インチ×1インチ)上にコーティングを作製した。次に、220℃の設定値で10分間、コーティングを炉内で硬化した。乾燥フィルムの厚さは、約2〜5ミクロンであった。
水との接触角は、105°であると観測した。
実施例17.2−樹脂試験
1ppmのアルデヒド溶液(pH3)を以下のように調製した。
工程1 エタノールは、アルデヒドを溶解させるのに良好な溶媒であり、生成される溶液は、酸性水に可溶であるので、純(200品質プルーフ)エタノール中で既知量の3種のアルデヒド(オクタナール、ノナナールおよびデカナール)を希釈して、中間体アルデヒド原液(約10,000ppm)を調製した。
工程2 75%リン酸1.5mLを10リットルのDI(脱イオン)水に加え、pH試験紙を用いてpHを調べて、pHが約pH3であるのを確保することにより、pH3に酸性化した水を調製した。以下の試験のために、さらにリン酸またはDI水を用いて、約2.5〜約3の最終pHまでpHを調整する。次に、既知量のアルデヒド原液を約10,000の希釈倍率で酸性水に加えて、約1ppmの最終アルデヒド濃度を得る。
試料の調製およびコンディショニング 上述の1ppmのアルデヒド溶液で満たされた琥珀色のバイアル中に上述のように調製した被覆ガラススライドを浸し、40℃で7日間維持する。具体的には、PTFE内張りのキャップ(VWR:16189-121)を用いて、試料スライドを8フルイドオンスのQorpak, Wide-Mouth, French Square Bottlesに垂直に立設した。4mmのHollow Glass Beads (Fisher Scientific:11-311A)の層を瓶の底に用いて、スライド間に空間を確保した。1ppmのアルデヒド溶液(1ppmオクタナール、1ppmノナナール、および1ppmデカナールをD.I.(脱イオン)水(pH3)に溶かした)の160mLの部分を試料瓶に加えた。試料を簡単にかき混ぜて、スライド上に溶液の良好なコーティングを確保した。試料を40℃で7日間保管した。
アルデヒドの損失の分析 ヘッドスペース固相ミクロ抽出(HS−SPME)法を用いて、香味のスカルピング性能を評価した。GCの注入口に0.75mm内径インサート管(Supelco)を備え付けて、ピーク幅を最小限に抑えた。ヘッドスペースの分析のため、スプリットモード(1:40)、250℃で8分間注入を実施した。炉の温度を45℃の定温に5分間セットした後、1℃/分の勾配で51℃まで上げて、5分間51℃で保持した後、5℃/分で160℃まで増大させ、最終的に12℃/分で250℃まで上げて、最終温度で15分間保持した。キャリアガスとしてヘリウムを流速1.1ml/分で用いた。注入器および検出器の温度は、それぞれ250℃および270℃であった。
各試料を2度重複して試験し、各瓶の内側で5mLの溶液をピペットで採取して20mLのSPMEスクリューキャップのバイアルに入れて、シリコーン/PTFE隔壁を有するマグネティックスクリューキャップで直ちに蓋をした。次に、固相マイクロ抽出(SPME)−GC/MSにより、試料を試験した。
結果 試料における全ピーク面積の減少に関する量的結果を表1に要約する。主な面積減少は、デカナール溶液によりもたらされた。
表1のエポキシ対照コーティング等の従来のBPA含有のエポキシコーティングは、ビスフェノールA、BADGEおよび誘導体、スチレン、並びに架橋剤を含む。任意選択的に、成分の一部として少量のアクリレートラテックスを用いて、混合物中のエポキシと反応させることができる。しかしながら、使用する場合、アクリレートラテックスは、混合物に混合される前は、ポリマーである。従って、アクリレートラテックスは、エポキシポリマー網目とゆるく結合または連結しているので、これらの従来のエポキシコーティングにおける総体的なポリマー網目の特性は、主にBPA含有のエポキシにより決まる。
この特徴は、従来のBPA含有のエポキシコーティングを本開示のエポキシ/アクリレート相互侵入網目(IPN)(例、実施例17.1の組成物等)と区別し、識別する。なぜならば、アクリレートモノマーが、反応の初めから、エポキシ/アクリレートIPNに加わっているからである。この型のIPNの特性は、組成物中のエポキシとアクリレートの両方によって変わるだろう。
本開示において、特に明記しない限り、任意のタイプの範囲(例えば、炭素原子の数、粘度、温度等の範囲)が、開示または特許請求される場合、このような範囲が、それに包含される任意の下位の範囲(sub-ranges)も含めて正当に包含し得る可能な各数字をそれぞれ個別に開示または特許請求することを意図する。例えば、炭素原子の数の範囲を記載する場合、その範囲が含む原子の整数の間の各々可能な個々の整数および範囲は、それらに包含される。従って、C1〜C10アルキル基または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または10個「までの」炭素原子と開示することにより、出願者の意図は、アルキル基が1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子を有することができることを列挙することであり、上述の群を記載するこれらの方法は、互いに交換できる。測定値の範囲を記載する場合、このような範囲が正当に包含し得る全ての可能な数は、例えば、範囲の端点に存在するよりも1桁多い有効数字を有する範囲内の値を指すことができる。出願者の意図は、範囲を記載するこれらの2つの方法が、互いに交換できることである。
さらに、値の範囲が開示または特許請求される場合、出願者らは、このような範囲が、合理的に包含し得る可能な各数字をそれぞれ個別に反映することを意図し、出願者らはまた、反映するための範囲、互いに交換できる範囲を開示することを意図し、そこに包含される任意および全ての下位の範囲並びに下位の範囲の組み合わせを開示する。この態様において、C1〜C10アルキル基の出願者らの開示は、C1〜C6アルキル、C4〜C8アルキル、C2〜C7アルキル、C1〜C3アルキルとC5〜C7アルキルの組み合わせ等を文字通り包含することを意図する。従って、出願者らは、任意のこのような群(その群の中の下位の範囲または下位の範囲の組み合わせを含む)の任意の個々の数を但し書きで排除するかまたは除く権利を留保し、どのような理由の為であったとしても、例えば、出願者らが出願の時点で知らない参考文献を記載するために、出願者らは、開示の全限度よりも少ないものを特許請求することを選択する。
特に明記しない限り、ある用語が、本開示において使用され、本明細書において詳細に定義されないならば、「the IUPAC Compendium of Chemical Terminology, 2nd Ed (1997)」からの定義が、その定義が本明細書において適用される任意の他の開示または定義と矛盾しない限り、或いはその定義が適用される特許請求に不確定また不可能な任意の特許請求を与えない限り、適用できる。参照により本明細書に組み込まれる任意の文献により提供される任意の定義または使用法が、本明細書に提供される定義または使用法と矛盾する程度まで、本明細書に提供される定義または使用法は、制御する。
本明細書に採用され得る任意の題目は、特許請求の範囲を解釈するために使用される意図はなく、本明細書に開示される内容の範囲を制限するために使用される意図もない。実施例を記載するための過去形のいかなる使用も、推定または予言として指示されないならば、推定または予言の例が、実際に実行されていることを表すことを意図しない。