真水(淡水)の資源が、ますます欠乏しつつあり、多くの国は、塩で汚染された水、最も顕著には海水を、清浄な飲み水に転換し得る解決策を、求めている。
水の脱塩のための既存技術は、4つの大分類、すなわち、蒸留、イオン処理(ionic processes)、膜処理及び結晶化、に入る。これらの技術の最も効率的で最も利用されているものは、多段フラッシュ蒸発(MSF)、多重効用蒸発(MEE)及び逆浸透(RO)である。これらの全てのプロセスにとってコストが駆動要因であり、エネルギー及び資本のコストが両者とも重要である。RO及びMSF/MEEの両者の技術は、完全に発達している。現在、最良の脱塩の解決法は、単純な水の蒸発によって立証されている、3から7KJ/kgの範囲である理論上の最小限のエネルギーの2倍乃至4倍を、必要とする。蒸留の脱塩方法は、多段フラッシュ蒸発、多重効用脱塩(multiple effect desalination)、蒸気圧縮、太陽熱加湿(solar humidification)及び地熱脱塩(geothermal desalination)を含む。これらの方法は、脱塩を実行するための水の状態変化である共通のアプローチを、共有している。これらのアプローチは、塩水の溶液を蒸発させるために、熱伝達及び/または真空圧力を使用する。水蒸気は、その後、濃縮され、真水として回収される。イオン処理による脱塩方法の例は、イオン交換、電気透析及び容量性脱イオン(capacitive deionization)を含む。
イオン交換は、固形の高分子イオンまたはミネラルイオン交換体を塩水中に、導入する。当該イオン交換体は、それらが容易に濾過して除去され得るように、溶液中の所望のイオンと結合する。電気透析は、カチオン及びアニオンの選択膜、及び、真水及び塩水の切替チャネルを生成するために、電圧ポテンシャルを使用する処理である。容量性脱イオンは、溶液から荷電イオンを引っ張るための電圧ポテンシャルの使用であり、当該イオンを捕らえる一方で、水分子の通過を許容する。
膜による脱塩処理は、濾過及び圧力を使用してイオンを溶液から除去する。逆浸透(RO)は、イオン溶液の浸透圧を克服するために塩水に圧力を適用する、広く使用されている脱塩技術である。圧力は、多孔性の膜を通じて水分子を真水の区画へと押す一方で、イオンが捕らえられて高濃度の塩水が生成される。真水を獲得するために浸透圧を克服することが必要とされるため、圧力が、これらのアプローチのコスト推進要素(driving cost factor)である。
結晶化による脱塩は、結晶が、含有されるイオンなしで優先的に形成されるという現象に、基づいている。結晶化された水を生成することにより、氷またはメチル水和物のいずれかとして、純水が溶存イオンから孤立され得る。単純な氷結の場合、水は、その氷結点より低く冷却され、これにより氷を生成する。当該氷は、その後、純水を形成するために溶解される。メチル水和物の結晶化処理は、メタン水和物を形成するために塩水に浸透されるメタンガスを使用する。当該浸透は、水が氷結する温度よりも低い温度で生じる。メチル水和物は浮かび上がり、分離を容易にし、その後メタンと脱塩された水とに分離するために温められる。当該脱塩された水は回収され、メタンは再利用される。
脱塩のための蒸発及び濃縮は、一般に、エネルギー効率が高いと考えられているが、集中的な熱源を必要とする。大規模に運転される場合、脱塩のための蒸発及び濃縮は、一般に発電プラントと共に設置され、地理的な分布及び大きさで制限される傾向にある。
容量性脱イオンは、広くは使用されていない。これは、恐らく、容量性電極が除去された塩で汚れ、頻繁な保守点検を必要とする傾向にあるためである。必要な電圧は、極板の間隔及び流量に依存する傾向にあり、及び、当該電圧は、危険であり得る。
逆浸透(RO)フィルタは、浄水のために広く使用されている。ROフィルタは、典型的には200ミクロンを超える全体厚さを有し、典型的にはアセチルセルロースまたはポリアミド薄膜複合物から製造される、多孔性のまたは半透性の膜を、使用する。当該膜は、便利な取り扱い及び膜の支持のために、しばしば、チューブ状の型の内部においてスパイラル状に束ねられている。当該膜は、ランダムな大きさの開口の分布を示し、最大サイズの開口は、水分子の通過を許容し、水中に溶存する塩等のイオンの通過を許容しないまたはブロックするために、十分に小さい。典型的な1mmの厚さのRO膜にもかかわらず、当該RO膜固有のランダム構造は、膜を通流する水のための、長く遠回りのまたは曲がりくねった通路を規定しており、これらの通路は、長さ1mmよりも一段と長い。当該通路の長さ及びランダムな構成は、表面において水分子をイオンから引き離すために、及び、その後に水分子を浸透圧に逆らって膜を通じて移動させるために、実質的な圧力を必要とする。従って、ROフィルタは、エネルギー効率が低い傾向にある。
図1は、RO膜10の概念的な断面図である。図1において、膜10は、上流のイオン水溶液に面する上流表面12と、下流表面14と、を規定している。上流側に図示されているイオンは、+の電荷を有するナトリウム(Na)、及び、−の電荷を有する塩素(Cl)として、選択されている。ナトリウムは、4つの溶媒の水分子(H2O)と関連付けられて図示されている。各水分子は、1つの酸素原子と2つの水素(H)原子とを含んでいる。図1のRO膜10内の水流のための通路20の1つが、上流表面12上の開口20uから下流表面14上の開口20dまで延在するものとして、図示されている。通路20は、入り組んだものとして図示されているが、実際の曲がりくねった実物(nature)を示すことは不可能である。また、20として図示されている通路は、複数の上流の開口及び複数の下流の開口と相互接続されていると予想され得る。RO膜10を貫通する通路20は、入り組んでいるだけではなく、開口のいくつかが不可避のデブリによってブロックされるため、時間と共に変化する。
代替的な水の脱塩法、脱イオン法または流体分離法が、望まれている。
図2は、本開示の例示的な一実施の形態または特徴による、基本的な淡水化、塩分除去または脱イオンの装置200の概念図である。図2では、チャネル210が、イオン含有水を支持チャンバ214内に装着されている濾過膜212まで、運ぶ。イオン含有水は、例えば、海水または塩水であり得る。例示的な一実施の形態では、濾過膜212は、既知の態様でチューブ状に巻かれ得る。図2のチャネル210を通流するイオン含有水の流れの勢いまたは圧力は、タンク216からの重力またはポンプ218によって、与えられ得る。弁230及び238は、イオン含有水の出所の選択を許容する。設備または装置200において、濾過膜212は、有孔グラフェンシートである。グラフェンは、炭素原子の単一原子層厚の層であり、図3に示されているように、シート310を規定するべく相互に結合されている。単一のグラフェンシートの厚さは、約0.2から0.3ナノメートル(nm)である。多層のグラフェンシートが形成され得て、より大きな厚みと対応するより大きな強度とを有する。多層のグラフェンシートは、当該シートが成長または形成されるに従って、複数の層で提供され得る。あるいは、多層のグラフェンシートは、1枚のシートを他のシートの上に積層する、または、位置付けることによって、達成され得る。ここで開示される全ての実施の形態に対して、単一のシートのグラフェンまたは多層のグラフェンシートが使用され得る。自己粘着性の結果として多層のグラフェンがそれらの一体性及び機能を維持するということを、試験が明らかにしている。このことは、シートの強度、及び、いくつかの場合では電流性能(flow performance)、を向上させる。図3のグラフェンシート310の炭素原子は、6個の炭素原子から構築される六角形の環状構造(ベンゼン環)の繰り返しのパターンを規定しており、これが炭素原子のハニカム格子を形成している。各6個の炭素原子の環状構造によって格子間開口308がシート内に形成されており、この格子間開口308は、1ナノメートル未満の幅である。実際、当業者は、格子間開口308はその最長の寸法に亘っては約0.23ナノメートルであると信じられているということを、理解するであろう。従って、開口308の寸法及び形態、並びに、グラフェンの選択特性(election nature)は、孔が無いならば、当該グラフェンの厚みを横切るあらゆる分子の移動を排除する。この寸法は、水やイオンの通過を許容するには、あまりにも小さい。図2の有孔グラフェンシート212を形成するために、図3に示されているように、1以上の開口が形成される。代表的な、一般的または名目的な円形の開口312が、グラフェンシート310を貫通して規定されている。開口312は、約0.6ナノメートルの名目的な直径を有している。0.6ナノメートルの寸法は、食塩水中または塩水中に通常想定される最小のイオンであるナトリウムイオンをブロックするために、選択されている。開口312の全体的に円形の形状は、開口の縁部が、部分的にグラフェンシート310の炭素の六角形の環状構造によって規定されているという事実によって、影響される。
開口312は、選択的酸化によって作られ得て、当該選択的酸化とは、選択された時間に亘り酸化剤に曝すことが意味される。開口312はまた、レーザーによって穴あけされ得る、ということが信じられている。刊行物Nano Lett. 2008, Vol.8, No. 7, pp 1965-1970で説明されているように、最も簡単な穿孔手法は、アルゴン内に希釈された酸素を用いて、高温でグラフェンフィルムを処理することである。そこで説明されているように、500℃で2時間に亘り1気圧(atm)のアルゴン内の350mTorrの酸素を用いると、20から180nmの範囲の貫通孔がグラフェン内にエッチングされる。文献は、孔の数がグラフェンシート内の欠陥に関連し、孔の寸法が滞留時間に関連する、ということを合理的に提唱している。このことは、単一のシートまたは複数のシートを有するグラフェンの構造内に所望の孔を形成するための好ましい方法であると信じられている。前記構造は、グラフェンナノプレートレット(graphen nanoplatelets)及びグラフェンナノリボンであり得る。従って、所望の範囲の孔が、より短い酸化時間によって形成され得る。Kimらの“Fabrication and Characterization of Large Area, Semiconducting Nanoperforated Graphene Materials,”Nano Letters 2010 Vol.10, No. 4, 2010年3月1日, pp 1125-1131に記載されたような、より入り組んだ他の方法は、反応性イオンエッチングを使用したパターニングに好適なマスクを生成する自己組織化ポリマ(self assembling polymer)を使用する。P(S−ブロックMMA)ブロック共重合体は、再構築(redeveloping)の際にRIEのためのビアを形成するPMMAコラムの配列を形成する。孔のパターンは、非常に密集している。孔の数及び大きさは、PMMAブロックの分子量及びP(S−MMA)内のPMMAの重量分率によって、制御される。どちらの方法も、有孔グラフェンシートを生産するための可能性を有している。
前述の通り、図3のグラフェンシート310は、ほんの単一の原子の厚みを有している。従って、当該シートは、柔軟な傾向にある。グラフェンシートの柔軟性は、当該シート212に裏打構造を適用することによって、または、複数のグラフェンシートを提供することによって、向上され得る。図2において、有孔グラフェンシート212の裏打構造は、220として図示されている。本実施の形態における裏打構造220は、四フッ化エチレン樹脂の有孔のシートであり、時にはポリテトラフルオロエタンとして知られている。構造220はまた、有孔ポリカーボネートフィルム、ナノ構造化炭素、他の適切な重合体材料または焼結多孔質金属であり得る。裏打シートの厚さは、例えば、100ミクロンから1ミリメートル(mm)までであり得る。
図2の設備または装置では、有孔膜212に対して通路210を通じて適用されるイオン含有水の圧力は、タンク216からの重力によって与えられ得て、それにより、装置200の1つの特徴を強調している、ということが述べられるべきである。すなわち、RO膜とは異なり、有孔膜212を形成する有孔グラフェンシート312は、疎水性であり、貫通されている開口(図3Aの312)を通流する水は、濡れによる引力によって邪魔されない。また、前述の通り、グラフェンシート310における開口312を貫通する流路の長さは、シートの厚みと同一であり、約0.2から0.3nmである。この長さは、RO膜を貫通して延在するランダム流路の長さよりも極めて短い。その結果として、流体が流れるために極めて小さな圧力が必要とされ、あるいは反対に、所定の圧力における流れは、有孔グラフェンシート310においてより大きい。これは、今度は、イオンの分離のための低いエネルギーの必要につながる。浸透圧に対抗して水に膜を通過させるためにRO膜において必要とされる圧力は、膜を加熱する結果となる摩擦の成分を含んでいる、ということが信じられている。その結果、RO膜に適用される圧力のいくらかは、浸透圧の克服に向かわず、その代わりに熱になる。シミュレーション結果は、有孔グラフェンシートが必要な圧力をかなり減少させるということを、示している。更に、減少された前処理に起因するエネルギーの節約、及び、グラフェンの化学的及び生物学的な中立性に起因する継時的に削減された汚れはまた、非常な節約に帰結する。前述の通り、図2のグラフェンシート212(または、同等に、図3のグラフェンシート310)内の開口312は、源水(source water)において予想される最小のイオンの通過を禁じるように、寸法決めされている。その結果、当該最小のイオンと等しい大きさの、または、それよりも大きい大きさのあらゆるイオンは、有孔グラフェンシート212を通過せず、そのようなイオンは、グラフェンシートの支持チャンバ214の上流側226において蓄積することが、予想され得る。この「チャンバ」226の上流におけるイオンの蓄積は、ここでは、「スラッジ」と呼ばれ、結局は有孔グラフェンシート212を通流する水流を減少させることになる。これにより、それ(有孔グラフェンシート212)を脱イオンにとって効果の無いものにする傾向にある。図2に示されているように、スラッジをパージまたは放出することを許容するために、放出弁232と共に更なる通路230が提供されている。従って、図2の設備または装置200の運転は、「バッチ(batch)」モードであり得る。バッチ運転の第1のモードは、流れを妨げるために放出弁232が閉じられた状態で、通路210を通流するイオン含有水の流れと共に生じる。当該イオン含有水は、支持チャンバ214の上流側226を満たす。水分子は、支持チャンバ214の下流側227まで、図2の有孔グラフェンシート212及び裏打シート220を通流することが許容される。従って、脱イオンされた水は、一定期間、下流部分227に蓄積し、通路222を通じてタンク224として図示されている捕獲容器に排出されて入手できる。やがて、支持チャンバの上流部分226におけるイオンの蓄積または濃縮が、有孔グラフェンシート212を通流する水流を減少させがちになる。上流のチャンバまたは上流側226上の、あるいは、その内部に蓄積されたイオン/水の濃縮混合物をパージするために、弁232が開けられる。それは、当該イオン/水の濃縮混合物がパージされることを許容する一方で、上流部分226にはタンク216またはポンプ218からイオン含有水が補充される。弁232はその後閉じられて、他の濾過サイクルが始まる。これは、脱イオン水の生産及び容器224における脱イオン水の蓄積をもたらす。
図4は、図3のそれのような開口を複数有しているグラフェンシートの図である。図4のシートは、(3、4または5個の)開口を規定している。原理的には、流量は開口の密度に比例するであろう。開口の密度が上昇するにつれて、当該開口を通流する流れは、「激しく」なり得る。これは、所定の圧力において流れに悪影響を及ぼす。また、開口の密度が上昇するにつれて、基礎をなすグラフェンシートの強度が局所的に低下し得る。そのような強度の低下は、いくつかの状況下では、膜の破断をもたらし得る。開口間の中心から中心までの間隔は、0.6ナノメートルの開口にとって、15ナノメートルの値で最適に近いと信じられている。
図5は、図2のグラフェンシートと共に使用され得る裏打シートの構造の簡略図である。図5では、裏打シート220は、ポリテトラフルオロエタンとしても知られている、四フッ化エチレン樹脂のフィラメント520から作られており、長方形の格子として配置されてそれらの交点で接合または融合されている。裏打シート220は、有孔ポリカーボネートフィルム、ナノ構造化炭素、他の適切な重合体材料または焼結多孔質金属でもあり得る。有孔グラフェンシートと同様に、裏打シートの寸法は、十分な強度と比例して、最大の流れのために可能な限り大きくされるべきである。同じ方向に向けられている相互に隣接するフィラメント520間の間隔は、名目的には100nmであり得て、フィラメントは、40nmの名目上の直径を有している。グラフェンシートの引張強度は大きく、従って、裏打シート内のかなり大きな支持されていない領域は、問題を引き起こさない。
図6は、本開示の他の実施の形態または特徴に従った脱イオンまたは脱塩の装置600の概念図であり、異なって穿孔された複数層のグラフェンシートが、使用されている。図6では、図2のそれらに対応する要素が、同様の参照英数字によって示されている。図6における各「層」は単層のグラフェンまたは多層のグラフェンであり得る、ということが認められるであろう。図6の支持チャンバ614の内部で、上流及び下流の有孔グラフェンシート612a及び612bが、それぞれ、当該チャンバを3つの体積乃至部分、すなわち、上流部分または上流チャンバ626a、下流部分または下流チャンバ627a、及び、中間部分または中間チャンバ629に、分割している。各有孔グラフェンシート612a及び612bは、裏打シートに結合されている。特には、有孔グラフェンシート612aは、シート620aによって裏打されており、有孔グラフェンシート612bは、シート620bによって裏打されている。有孔グラフェンシート612a及び612bの開口は、相互に異なっている。特に、上流のグラフェンシート612aは、塩素イオンの流れを禁止または不可化するように、及び、ナトリウムイオンを含有する水の流れを可能にするように選択された開口612acによって、穿孔されている。これらの開口は、名目上の直径が0.9ナノメートルである。従って、0.9ナノメートルよりも大きい事実上の直径を有している塩素イオンは、有孔グラフェンシート612aを通過できず、ただ上流部分または上流チャンバ626aに残存する。ナトリウムイオンを含有する水は、有孔グラフェンシート612aを通じて中間チャンバ629内に、流れ得る。下流の有孔グラフェンシート612bは、ナトリウムイオンの流れを禁止または不可化するように、及び、水分子の流れを許容するように選択された開口652bsで、穿孔されている。これらの開口は、名目上の直径において0.6nmである。従って、0.9ナノメートルよりも大きい事実上の直径を有する塩素イオンは、有孔グラフェンシート612aの開口612acを通過できないが、ナトリウムイオンを含有する水は、有孔グラフェンシート612aの開口612acを通じて、中間チャンバ629内に流れ得る。ナトリウムイオンは、下流の有孔グラフェンシート612bを通過できず、従って中間チャンバ629内に残存または蓄積する。少なくとも塩素及びナトリウムのイオンを含まない水分子(H2O)は、有孔グラフェンシート612bの開口652bsを通じて、中間部分または中間チャンバ629から下流部分または下流チャンバ626bに流れ得て、そこから、通路222及び回収容器224を通じて、脱イオン水が回収され得る。
図2の脱イオンの装置200の場合と同様に、図6の設備または装置600は、脱塩化の運転の間にイオンを蓄積または濃縮する。しかしながら、図2の設備または装置とは異なり、脱イオン装置600は、少なくとも部分的に分離されたイオンの濃縮物を生成する。特には、塩素及びナトリウムのイオンを含有する水の流れから、設備600の上流部分または上流チャンバ626aは、主として塩素イオンからなるスラッジの濃縮物を蓄積し、及び、中間部分または中間チャンバ629は、主としてナトリウムイオンの濃縮物を蓄積する。これらの濃縮されたイオンは、それぞれ、パージ接続630a及び630b、並びに、それらのパージ弁632a及び632bの選択的制御によって、分離して抽出され得る。特には、弁632aは、濃縮された塩素イオンを上流部分または上流チャンバ626aからタンク634aとして図示されている回収容器まで流れることを許容するために開けられ得て、及び、弁632bは、濃縮されたナトリウムイオンを中間部分または中間チャンバ629からタンク634bとして図示されている回収容器まで流れることを許容するために開けられ得る。理想的には、パージ弁632aは、ナトリウムイオンに富むスラッジを中間チャンバ629から洗い流すことを援助するために有孔グラフェンシート612aを通流する水流を提供するべく、有孔グラフェンシート612aを横断していくらかの圧力が維持されるように、中間部分または中間タンク629のパージが開始される前に、閉じられる。パージ弁632a及び632bは、脱塩処理に先立ち、閉じられる。ナトリウムイオンの場合における固形状への転換、あるいは、塩素の場合における気体状への転換に関しては、パージされて回収される濃縮されたイオンは、経済的価値を有する。海水は大量のベリリウム塩を含有しており、これらの塩は、優先的に濃縮されるならば触媒として医薬産業にとって価値を有する、ということが述べられるべきである。
更に、横断流(cross-flow)弁654a及び654bが図6に示されており、流路658と上流部分または上流チャンバ626aと中間部分または中間チャンバ629とを、それぞれ連絡している。複数のイオンを含有する未濾過水201が、弁652を開けることによって流路658に送られ得る、あるいは、脱イオン水202が、ポンプ660を駆動することによってタンク224から供給され得る。ポンプ660から、脱塩水は、チェック弁656を通じて流路658に流れる。横断流弁654a及び654bは、パージ弁632a及び632bと同時にそれぞれ開閉され、これにより、チャンバからのスラッジのパージを促進する。
図7は、本開示の特徴に従った脱イオンまたはイオン分離の装置の簡略図である。図6のそれらと対応する図7の要素は、同様の参照英数字によって示されている。図7では、有孔グラフェンシート612a及び612bは、円筒状の型の内部で丸められてまたはスパイラル状に巻かれており、それぞれ、RO膜の技術から知られているように、712a及び712bとして図示されているハウジング内に、挿入されている。他の実施の形態のように、グラフェンシート612a及び612bは、単層のグラフェンシートまたは多層のグラフェンシートであり得る。更に、前述の実施の形態のように、多層のシートは、それらの回収時の強度及び流れの性能を、向上させる。
当業者は、塩素及びナトリウム以外のイオンは、選択的に穿孔されたグラフェンシートによって水から除去され得る、ということを理解するであろう。
図8は、本開示の特徴に従った横断流の分離装置の単純化された図である。本分離装置は、全体として数字700によって示されており、脱イオン、脱塩、またはその他には、選択された成分を他の成分、例えば気体、微粒子、溶質、分子から分離するように、及び、炭化水素または他のあらゆるナノサイズもしくはマイクロサイズの成分を媒体から分離するように、構成されている。本実施の形態では、未濾過のまたは前濾過された媒体702が適切な大きさの容器704内に供給される。前記媒体は、互いに分離されるべき成分を含む流体、気体またはそれらの組合せを、含み得る。未濾過の媒体702は、重力によって、またはそうでない場合には、弁708を含み得るまたは含み得ない流路またはパイプに沿って前記媒体を推進する高圧ポンプ706によって、供給される。弁708が設けられており開状態にある場合、未濾過の媒体は、全体として数字710で示されている横断流チャンバに進入する。このチャンバには一方の端部に横断流入口712が設けられており、反対側の端部には横断流出口714が設けられている。チャンバ710内において前記入口及び前記出口よりも相対的に下方の位置に位置付けられているのが、グラフェン膜720である。
前述の実施の形態のように、単層または多層のいずれかであるグラフェン膜720は、媒体の選択された一部を通過させることを許容する一方で、当該媒体の他の部分が通過することを禁じるのに適するように寸法決めされた複数の穿孔された開口721を、有している。一般に、気体分離のための穿孔開口の直径は0.2乃至0.6nmの範囲であり、塩のためには0.6乃至2nmであり、炭化水素分子では10乃至100nmである。前述の実施の形態のように、膜720は、シートを規定するように互いに結合された炭素原子の単一原子層厚の層である。単一のグラフェンシートの厚さは、約0.2から0.3ナノメートル(nm)である。前記膜は、加圧された媒体の流れに曝される第1面または上面722と、前記面722の反対側にある第2面または下面723と、を有している。前述の実施の形態において説明されたグラフェンシートの全ての特徴及び特質は、本実施の形態において提供される。しかしながら、本実施の形態においては、提供される媒体の濾過または分離のために適するように、開口は0.6ナノメートルの実効的な直径から1.2ナノメートルの実効的な直径の範囲である。換言すると、開口のいくつかは0.6ナノメートルの直径を有し得て、いくつかは0.9ナノメートルの直径を有し得て、更に他のものは1.2ナノメートルの直径を有し得る。異なる大きさの開口が任意の組み合わせ及び割合で利用され得る。水の脱塩または脱イオンの場合においては、開口のこの範囲は、大部分のナトリウムイオン及び塩素イオンがグラフェン膜を通過することを禁止する一方、水分子が通過することを許容するのに十分である、と信じられている。他の実施の形態では、横断流の幾何学的装置(geometry apparatus)のために、気体分離のための開口直径は0.2乃至0.6nmの範囲であり、塩の分離のためには0.6乃至2nmであり、炭化水素分子の分離のためには10乃至100nmである。0.2乃至100nmという他の選択された範囲が、媒体の構成及び通過が禁じられる成分に応じて使用され得る。更に、0.2nm乃至100nmの範囲内の特定の範囲の直径も、使用され得る。
いくつかの実施の形態では、裏打シートまたは裏打構造体、例えば支持膜724が、グラフェン膜722の下方に当該膜を支持するために配置され得る。換言すれば、支持膜724は、膜720の表面723に隣接して配置される。裏打膜は、開口721よりも実質的に大きな開口726が穿孔されている。支持膜724は、時にはポリテトラフルオロエタンとして称される四フッ化エチレン樹脂で、構成され得る。膜724のための他の材料は、有孔ポリカーボネートフィルム、ナノ構造化炭素、他の適切な重合体材料、または、焼結多孔質金属、であり得る。
チャンバ710内に挿入されて位置付けられたグラフェン膜720によって、上方流路730が形成されている。この上方流路は、加圧された流体が入口712から出口714に向かって、前記膜に実質的に平行な方向に流れることを許容する。結果として、前記媒体は、前記膜を接線方向に横切って流れ、様々な開口721、及び、提供される場合には支持膜724を通過するような大きさの一部の媒体は、グラフェン膜の下の下方流路732内に流れる。開口を通流しない成分は、出口714を介して、弁734が設けられ得る流路733に沿って方向付けられる。弁からの濾過されなかった媒体(通過が禁じられた成分)は、その後、特定の最終使用に方向付けられる。例えば、媒体が水であれば、回収されたナトリウムイオン及び塩素イオンは、エネルギー回復の用途、例えばガルバーニ電池または任意の他の応用のために、回収される。下方流路内に回収される純化された媒体は、その後、純化された材料または媒体742を保持する回収容器740に、方向付けられる。
前述の説明から、膜と実質的に平行な方向における媒体の加圧された流れ、すなわち、換言すれば接線方向に方向付けられた流れは、媒体が開口を通流することを許容する一方で、回収された通過が禁じられた材料が出口に向かって移動されることをも許容する、ということが認められるであろう。そのような膜の「清掃」は、濾滓が固まること(caking)、または、その他の、通過が禁じられた材料の膜上への不所望の集積を、妨げる。これは、容器740内に回収されるべき通過が許容された材料または純化された材料742の通流を援助する、と信じられている。
いくつかの実施の形態では、装置700は任意の数の下流の横断流チャンバ710を有し得て、各チャンバ及び関連部品は、アルファベットの接尾辞が付されている。従って、チャンバ出口714を通流する通過が禁じられた流体材料は、流体をチャンバ710と実質的に同じ態様で構築されているチャンバ710a内に方向付ける第2高圧ポンプ706aまで、方向付けられる。結果として、以前に通過が禁じられた成分及び媒体は、容器740a内に回収するために更に純化される一方、通過が禁じられた材料は、何らかの他の最終使用のために、出口を介して通過が禁じられた材料を回収する弁734aに方向付けられる。例えば、選択された特定の大きさのイオン、被検体または微粒子の除去のために、まず、第1チャンバ710及びそれに関連付けられたグラフェンシートが媒体に曝される。第1グラフェンシートは、第2チャンバ710a及びそれに関連付けられたグラフェンシートよりも大きな直径寸法の開口と分布とを有しており、当該第2チャンバ710a及び関連付けられたグラフェンシートは、より小さい直径寸法の開口と分布とを有している。提供される場合には、追加のチャンバ710b−xが、開口寸法を更に縮小した対応するグラフェンシートを提供する。換言すれば、段階的な横断流チャンバ710が配置され得て、それらは、第1チャンバにおいては低い選択性を有しており、下流のチャンバにおいては次第により高いイオンの選択性を有している。結果として、媒体の所望の濾過の水準を得るために、各段階において必要とされる労力またはポンピング力が、一層少なくなる、ということが信じられている。これは、塩の除去ステップが進むごとに、装置が一層少ないエネルギー需要によって一層改善された濾過を提供する、という点で有利である。
不所望のイオン(201)を含有する水を脱イオン化するための方法は、有孔グラフェン(212)を作製するために、水分子の通過を許容するように、及び、不所望のイオンの1つ(例えばNa)の通過を禁じるように選択された複数の開口(例えば312)をグラフェンのシート(310)に穿孔する工程を、備えている。あるいは、そのように穿孔されたグラフェンシートが提供されても良い。加圧水を生成するために、不所望のイオン(201)を含有する水が加圧される(216、218)。この加圧された水は、イオンよりも先に水分子が有孔グラフェンシートの第2面(212d)まで流れるように、有孔グラフェン(212)の第1(212u)面に適用される。水分子(202)は、グラフェンシートの第2面(212d)において回収される。本方法の1つの形態において、選択された1つのイオンは塩素であり、塩素イオンの通過を禁じるための開口は、0.9ナノメートルの名目上の直径であり、当該開口は、名目上は15ナノメートルだけ間隔が空けられている。本方法の他の形態においては、選択された1つのイオンはナトリウムであり、ナトリウムイオンの通過を禁ずる開口は0.6ナノメートルの名目上の直径であり、当該開口は、名目上は15ナノメートルだけ間隔が空けられている。本方法は、ポリ四フッ化エチレンの格子(520)であり得る裏打材(220)で有孔グラフェン(212)のシートを補強する工程を、含み得る。
不所望のイオンを含有する水(201)を脱イオン化するための方法は、第1の有孔グラフェン(612a)を作製するために、選択された第1の1つの不所望のイオン(例えば塩素)の通過を禁じるように、及び、選択された第2の1つの不所望のイオン(例えばナトリウム)を帯びた水分子の通過を許容するように選択された直径の複数の開口(312)を有するグラフェンのシート(612a)を穿孔する工程を、備えている。第2グラフェンのシート(612b)は、開口が有孔グラフェンの第1シート(612a)の開口よりも小さい直径を有する、有孔グラフェンの第2シート(612b)を作製するために、水分子の通過を許容するように、及び、選択された第2の1つの不所望のイオンの通過を禁じるように選択された複数の開口が、穿孔されている。有孔グラフェンの第1シート(612a)により規定された第1側、有孔グラフェンの第2シート(612b)により規定された第2側、及び、それらの間の液体の流れのための流路(629)、を有する隣接したシートを形成するために、有孔グラフェンの第1(612a)及び第2(612b)シートは、並置されている。不所望のイオンを含有する水は、名目的に脱イオン化された水を生成するために、並置されたシートの第1側(612a)に適用され、水分子が並置されたシート(612a)及び流路(629)を、イオンよりも先に並置されたシートの第2側まで通流する。この名目的に脱イオン化された水分子は、並置されたシートの第2側(612b)から、回収される。
水の脱イオン装置(deionizer)は、水分子の流れを許容するように、及び、特定のタイプのイオン(例えばナトリウム)の流れを禁じるように寸法決めされた開口(312)が穿孔されたグラフェンシート(212)を、備えている。特定のタイプのイオンを帯びた水の供給源が提供されている。開口(212)が穿孔されたグラフェンシートを通じての特定のタイプのイオンを帯びた水の流れのために、流路(210、226、227)が提供される。この脱イオン装置の特定の実施の形態において、流れを開口(212)が穿孔されたグラフェンシートから逸らすために、流路にパージ装置(220、232)が結合されている。
セパレータ(600)が、水分子の流れを許容するように、及び、第1タイプのイオン(612a)の流れを禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された第1グラフェンシートと、水分子の流れを許容するように、及び、第2タイプ(612b)のイオンの流れを禁じるように寸法決めされた第2グラフェンシートと、を備えている。第2タイプのイオン(Na)は、第1タイプのイオン(Cl)よりも小さい。第1及び第2タイプのイオン(201)を帯びた水の供給源(210、216、218)が、提供されている。第1タイプのイオンの流れ(612a)を禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された第1グラフェンシートに、第1及び第2タイプのイオン(210)を帯びた水の流れを適用するために、流路(216、626a)が提供されている。結果として、(a)第1タイプのイオン(Cl)が、当該第1タイプのイオンの流れ(612a)を禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された第1グラフェンシートの上流側(626a)に蓄積し、(b)第2タイプのイオン(Na)を帯びた水が、第1タイプのイオンの流れ(612a)を禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された第1グラフェンシートを通じて、第1タイプのイオン(612a)の流れを禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された第1グラフェンシートの下流側(629)まで、流れる。セパレータ(600)は、第1タイプのイオンの流れ(612a)を禁じるように寸法決めされた開口が穿孔されたグラフェンシートの上流側に第2タイプのイオンを帯びた水の流れを適用するための流路(629)を、更に有している。結果として、(a)第2タイプのイオンが、当該第2タイプのイオンの流れ(612b)を禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された第2グラフェンシートの上流側(629)に蓄積し、(b)第1及び第2タイプのイオンを含まない水が、第2タイプのイオン(612b)の流れを禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された第2グラフェンシートを通流する。第1及び第2タイプのイオンを含まない水(202)を受容するために、回収装置(222、224)が連結されている。更なる回収装置(630a、632a、634a;630b、632b、634b)が、イオンの蓄積物を別々に回収するために接続され得る。
水が含有する不所望のイオンを脱イオンするための方法は、流体の通過を許容するように、及び、不所望のイオンの少なくとも1つの通過を禁じるように選択された複数の穿孔された開口を有する、少なくとも1枚のグラフェンを提供する工程と、前記少なくとも1枚のグラフェンを円筒状に形成する工程と、当該円筒状のグラフェンをハウジング内に挿入する工程と、ハウジングを通流するような加圧流体を生成するべく不要なイオンを含有する流体を加圧する工程と、イオンよりも先に流体が少なくとも1枚の円筒状の有孔グラフェンの第2側に流れるように、加圧流体を円筒状の有孔グラフェンの第1面に適用する工程と、少なくとも1枚のグラフェンの第2側から流体を回収する工程と、を備えている。本方法は、少なくとも1つのイオンが塩素であり、当該塩素イオンの通過を禁じるための開口は、名目的には0.9ナノメートルであり、前記開口は、名目的には15ナノメートルの間隔が空けられている、という状態で継続する。本方法は更に、少なくとも1つのイオンはナトリウムであり、当該ナトリウムイオンの通過を禁じるための開口は、名目的には0.6ナノメートルであり、前記開口は、名目的には15ナノメートルの間隔が空けられている、という状態で継続する。本方法は、流体の通過を許容するように、及び、他の1以上の不要なイオンの通過を禁じるように選択された複数の穿孔された開口を有する、少なくとも1枚のグラフェンの第2セットをも提供し得て、少なくとも1枚のグラフェンの第2セットを第2の円筒状に形成し、当該円筒状のグラフェンを第2ハウジング内に挿入し、第2ハウジングを通流するような加圧流体を生成するべく不要なイオンを含有する流体を加圧し、イオンよりも先に流体が第2の円筒状の少なくとも1枚の有孔グラフェンの第2セットの第2側に流れるように、加圧流体を、第2の円筒状の少なくとも1枚の有孔グラフェンの第2セットの第1面に、提供する。本方法は、不要な塩素イオンの通過を禁じるための少なくとも1枚のグラフェンの穿孔された開口は、名目的には0.9ナノメートルであり、不要なナトリウムイオンの通過を禁じるための少なくとも1枚のグラフェンの第2セットの穿孔された開口は、名目的には0.6ナノメートルである、という状態で継続する。本方法はまた、第2ハウジングよりもイオンの排除の選択性が小さい第1ハウジングも備え得る。
流体の脱イオン装置は、流体の流れを許容するように、及び、少なくとも1つの特定のタイプのイオンの流れを禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された、円筒状の少なくとも1枚のグラフェンと、前記特定のタイプのイオンを帯びた流体の供給源と、開口が穿孔された円筒状の少なくとも1枚のグラフェンを通じての、前記特定のタイプのイオンを帯びた流体の流れのための流路と、を備えている。脱イオン装置は、流体の流れを許容するように、及び、他の特定のタイプのイオンの流れを禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された、第2の円筒状の少なくとも1枚のグラフェンを、更に含み得る。この第2の円筒状のグラフェンは、流体の流れのための流路内にある。少なくとも1枚の円筒状のグラフェンシートは、丸められているか、または、渦巻き状である。脱イオン装置は、円筒状のグラフェンシートによって通過が禁じられた濃縮イオンが回収容器まで流れることを許容するために、各円筒状のグラフェンシート及び流体の流れのための流路に関連付けられたパージ弁を、更に含み得る。
流体の脱イオン装置はまた、流体の流れを許容するように、及び、当該流体の流れに含まれる少なくとも1つの特定のタイプのイオンの通過を禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された、少なくとも1枚のグラフェンシートと、前記少なくとも1枚のグラフェンシートを受容する上流部分を有する支持チャンバと、前記少なくとも1つの特定のタイプのイオンを帯びた流体の供給源と、開口が穿孔された少なくとも1枚のグラフェンシートを通じての、少なくとも1つの特定のタイプのイオンを帯びた流体の流れのための流路と、前記上流部分に関連付けられたパージ弁と、を含んでおり、前記パージ弁は、前記少なくとも1枚のグラフェンシートによって通過が禁じられた前記少なくとも1つの特定のタイプのイオンを回収するために、開位置にある。流体の脱イオン装置は、開口が穿孔された前記少なくとも1枚のグラフェンシートを裏打ちする多孔質の媒体を、含み得る。当該媒体は、ポリ四フッ化エチレン、ポリテトラフルオロエタン、ポリカーボネート、ナノ構造化炭素、または、焼結多孔質金属、から構成される群から選択されている。脱イオン装置は、流体の流れを許容するように、及び、前記流体の流れに含まれる他の特定のタイプのイオンの通過を禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された、第2の少なくとも1枚のグラフェンシートを提供し得る。前記支持チャンバは、前記少なくとも1枚のグラフェンシートと前記第2の少なくとも1枚のグラフェンシートとの間の中間チャンバと、前記第1の少なくとも1枚のグラフェンシートの下の下流のチャンバと、を形成するために、前記第2の少なくとも1枚のグラフェンシートを保持しており、前記下流のチャンバは、グラフェンシートによって通過が禁じられた前記特定のタイプのイオンを含まない流体の流れを回収する。流体の脱イオン装置は、第2パージ弁を有し得る。当該第2パージ弁は、中間チャンバに関連付けられており、開位置にある時には、前記第2の少なくとも1枚のグラフェンシートによって通過が禁じられた他の特定のタイプのイオンを回収する。脱イオン装置は、上流部分に関連付けられた横断流弁を更に含み得て、パージ弁及び横断流弁は、通過が禁じられたタイプのイオンを支持チャンバからパージすることを促進するために、同時に開閉される。
媒体から成分を分離するための方法は、媒体の通過を許容するように、及び、当該媒体中の選択された成分の通過を禁じるように選択された複数の穿孔された開口を有する少なくとも1層のグラフェンの第1シートを提供する工程と、前記少なくとも1層のグラフェンの第1シートを第1チャンバ内に提供する工程と、を含んでいる。第1チャンバは、第1入口と第1出口と第1下方流路とを含んでいる。本方法は、当該媒体を、媒体が第1入口から第1出口まで流路内を少なくとも1層のグラフェンの第1シートに実質的に平行に流れるように、加圧することによって、継続される。流体は、少なくとも1層のグラフェンの第1シートの第1面上に流れ、当該媒体の一部が複数の穿孔された開口を通じて当該少なくとも1層のグラフェンの第1シートの第2側に流れる一方、媒体の残りの部分及び当該媒体中の通過が禁じられた選択された成分が第1出口から流出する。本方法は、ナトリウム及び塩素の脱イオンのために、0.6乃至1.2ナノメートルの範囲内の複数の穿孔された開口を提供する工程を伴って継続する。本方法はまた、イオン、微粒子、検体、気体、及び、炭化水素、からなる群から選択された任意の選択された成分の通過を選択的に禁じるような寸法の複数の穿孔された開口を、提供し得る。本方法はまた、少なくとも1層のグラフェンの第1シートの、流路とは反対の一方の側上に、支持膜を提供し得て、当該支持膜は、ポリ四フッ化エチレン、有孔ポリカーボネートフィルム、及び、焼結多孔質金属、からなる群から選択される。本方法は更に、第1出口を第2分離装置に接続し、当該第2装置に、前記出口から受容された媒体の通過を許容するように、及び、当該媒体中の選択された成分の通過を禁じるように選択された複数の穿孔された開口を有する少なくとも1層のグラフェンの第2シートを提供し、対応する入口、出口及び下方流路を有する第2チャンバ内に、前記少なくとも1層のグラフェンの第2シートを提供し、前記第2入口を通じて第1出口から受容された媒体を、少なくとも1層のグラフェンの第2シートに実質的に平行な流路内で第2入口から第2出口まで流れるように、加圧し、前記媒体は、少なくとも1層のグラフェンの第2シートの第1面上に流れ、当該媒体の一部が複数の穿孔された開口を通じて当該少なくとも1層のグラフェンの第2シートの第2側まで流れる一方、前記媒体の残りの部分及び当該媒体中の通過が禁じられた選択された媒体が第2出口から流出する。
分離装置は、入口と出口と下方流路とを有する少なくとも1つのチャンバと、媒体の通過を許容するように、及び、当該媒体中の選択された成分の通過を禁じるように寸法決めされた開口が穿孔された少なくとも1枚のグラフェンと、入口を有する前記少なくとも1つのチャンバに接続された媒体の加圧源と、を備え、前記少なくとも1枚のグラフェンは、少なくとも1つのチャンバ内に配置され、前記加圧源は、少なくとも1枚のグラフェンに実質的に平行な流路に沿って入口から出口まで、前記媒体を方向付け、前記媒体は、少なくとも1枚のグラフェンの第1面上を流れ、前記媒体の一部が複数の穿孔された開口を通じて少なくとも1枚のグラフェンの第2側まで流れる一方、前記媒体の残りの部分及び当該媒体中の通過が禁じられた選択された成分が出口から流出する。本装置は、0.6乃至1.2ナノメートルの範囲内の大きさの複数の穿孔された開口を、更に含み得る。流路とは反対側の、少なくとも1層のグラフェンの一方の側上に、支持膜が提供され得て、当該支持膜は、ポリ四フッ化エチレン、有孔ポリカーボネートフィルム、及び、焼結多孔質金属、からなる群から選択される。本装置は、少なくとも1つのチャンバの出口に連続的に接続された追加のチャンバを、含み得る。当該追加のチャンバは、先行するチャンバよりも小さい開口の直径を有する、対応する少なくとも1つのグラフェンシートを用いて、媒体から特定の成分を漸次除去する。本装置は、少なくとも1つのチャンバの出口に連続的に接続された追加のチャンバをも、含み得る。追加のチャンバは、当該追加のチャンバ内の、イオンの更なる選択的な排除を利用する、対応する少なくとも1つのグラフェンシートを用いて、先行するチャンバの出口に接続された追加の加圧源から与えられる圧力を漸次低下させることを許容している。
従って、上述された構造及びその使用方法によって、本発明の目的が満足されることが理解される。特許法に従って、最良の実施の形態及び好ましい実施の形態のみが示され、詳細に説明されているが、本発明はそれらにまたはそれらによって限定されない、ということが理解されるべきである。従って、本発明の真の範囲及び幅の理解のために、以下の特許請求の範囲が参照されるべきである。