本発明の実施形態は無線通信装置に関し、特に、携帯電子デバイスにおける無線通信装置に関する。
背景
携帯電子デバイス等の装置は通常、無線通信を可能にする少なくとも1つのアンテナを備えている。装置によっては、装置のハウジングが導電部を備え、その導電部が無線周波数回路に直結してアンテナとして動作する。
それ故、代替装置の提供が望ましいであろう。
摘要
本発明における種々の、ただし全てである必要のない実施形態に従って、次の装置が提供される:装置であって:第1の給電点と;前記第1の給電点に結合される第1の放射部と;前記装置の内装面を画定し、第1の導電カバー部を備えるハウジングであって、前記第1の導電カバー部は前記第1の放射部に結合される、前記ハウジングと;前記第1の導電カバー部に結合され、前記ハウジングの内装面の少なくとも一部に配される接地部材を備える。少なくとも前記第1の導電カバー部及び前記第1の放射部は、第1の動作周波数帯域で共振するように構成される電気長を有し、前記第1の放射部は前記第1の導電カバー部と電磁結合するように構成される、装置。
前記装置は無線通信用でもよい。
前記第1の導電カバー部は、前記装置の側面を少なくとも部分的に画定してもよい。
前記第1の給電点は前記第1の導電カバー部に配され、前記装置は伝送線を更に備え、前記伝送線は、前記第1の導電カバー部の少なくとも一部に沿って設けられ、前記第1の給電点を無線周波数回路に相互接続させるように構成されてもよい。
前記装置は、前記第1の導電カバー部に結合される導電部材を更に備え、前記第1の給電点は前記導電部材に配されてもよい。
前記第1の導電カバー部及び前記接地部材は、該第1の導電カバー部及び接地部材の間に開口部を画定し、前記開口部の大きさは、前記第1の導電カバー部の電気長を少なくとも部分的に決定してもよい。
前記第1の放射部は、前記第1の給電点に接続される第1の端部、及び前記接地部材に隣接して配される第2の端部を有してもよい。
前記第1の放射部は、前記第1の導電カバー部を覆わない位置関係にあってもよい。
前記装置は、第2の導電カバー部を更に備え、前記第2の導電カバー部は、第2の動作周波数帯域で共振する電気長を有し、前記第1の放射部及び前記第1の導電カバー部は、前記第2の導電カバー部と電磁結合するように構成されてもよい。
前記装置は:第2の給電点と;前記第2の給電点に結合される第2の放射部とを更に備え、少なくとも前記第2の導電カバー部及び前記第2の放射部は、第3の動作周波数帯域で共振するように構成される電気長を有し、前記第2の放射部は、前記第2の導電カバー部と電磁結合するように構成されてもよい。
前記第1の導電カバー部は、第4の動作周波数帯域で共振する電気長を有し、前記第2の放射部及び前記第2の導電カバー部は、前記第1の導電カバー部と電磁結合するように構成されてもよい。
本発明における種々の、ただし全てである必要のない実施形態に従って、前段落の何れかに記載の装置を備える携帯電子デバイスが提供される。
本発明における種々の、ただし全てである必要のない実施形態に従って、次の方法が提供される:第1の給電点を設けることと;前記第1の給電点に結合する第1の放射部を設けることと;装置の内装面を画定し、第1の導電カバー部を備えるハウジングであって、前記第1の導電カバー部は前記第1の放射部に結合される、前記ハウジングを設けることと;前記第1の導電カバー部に結合され、前記ハウジングの内装面の少なくとも一部に配される接地部材を設けることとを含み、少なくとも前記第1の導電カバー部及び前記第1の放射部は、第1の動作周波数帯域で共振するように構成される電気長を有し、前記第1の放射部は、前記第1の導電カバー部と電磁結合するように構成される、方法。
前記第1の導電カバー部は、前記装置の側面を少なくとも部分的に画定してもよい。
前記第1の給電点は、前記第1の導電カバー部に配されてもよい。
前記方法は、前記第12の導電カバー部に結合される導電部材を設けることを更に含み、前記第1の給電点は前記導電部材に配されてもよい。
前記第1の導電カバー部及び前記接地部材は、該第1の導電カバー部及び接地部材の間に開口部を画定し、前記開口部の大きさは、前記第1の導電カバー部の電気長を少なくとも部分的に決定してもよい。
前記第1の放射部は、前記第1の給電点に接続される第1の端部、及び前記接地部材に隣接して配される第2の端部を有してもよい。
前記第1の放射部は、前記第1の導電カバー部を覆わない位置関係にあってもよい。
前記方法は、第2の導電カバー部を更に含み、前記第2の導電カバー部は、第2の動作周波数帯域で共振する電気長を有し、前記第1の放射部及び前記第1の導電カバー部は、前記第2の導電カバー部と電磁結合するように構成されてもよい。
前記方法は:第2の給電点を設けることと;前記第2の給電点に結合される第2の放射部を設けることとを更に含み、少なくとも前記第2の導電カバー部及び前記第2の放射部は、第3の動作周波数帯域で共振するように構成される電気長を有し、前記第2の放射部は、前記第2の導電カバー部と電磁結合するように構成されてもよい。
前記第1の導電カバー部は、第4の動作周波数帯域で共振する電気長を有し、前記第2の放射部及び前記第2の導電カバー部は、前記第1の導電カバー部と電磁結合するように構成されてもよい。
前述の簡単な説明を理解するために有用な種々の実施例の理解に資するべく、例として次の添付図面を参照する。
種々の実施例による携帯電子デバイスの概略図を示す。
種々の実施例による装置の概略図を示す。
種々の実施例による別の装置の平面図を示す。
図3に示す装置に関する反射損失(dB)対周波数のグラフを示す。
種々の実施例によるまた別の装置の平面図を示す。
種々の実施例による更にまた別の装置の平面図を示す。
種々の実施例による装置の作成方法のフロー図を示す。
詳細説明
以下の記述において、「接続する(connect)」及び「結合する(couple)」という表現並びにそれらの派生語は、協働可能なように接続または結合されることを意味する。当然のことながら、介在するコンポーネントは(介在するコンポーネントが何もない場合も含め)任意の数または組合せで存在できる。さらに、当然のことながら、こうした接続又は結合は、物理的ガルバーニ接続及び/又は電磁接続であってもよい。
図2、3、5及び6は、装置12、121、122、123、124を示している。これらの装置は:第1の給電点26;第1の給電点26に結合される第1の放射部28;装置の内装面30を画定し、第1の放射部28に結合される第1の導電カバー部24;第1の導電カバー部24に結合され、第1の導電カバー部24の内装面30の中に少なくとも部分的に位置する接地部材18を備える。少なくとも第1の導電カバー部24と第1の放射部28は、第1の動作周波数帯域で共振するように構成される所定の電気長を有し、第1の放射部28は第1の導電カバー部24と電磁結合するように構成される。
より詳細には、図1は電子デバイス10を示している。この電子デバイス10は、携帯型電子デバイス(例えば、セルラ方式携帯電話やタブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末又はハンドヘルドコンピュータ)や据置型電子デバイス(例えば、パーソナルコンピュータやセルラネットワークの基地局)、携帯マルチメディアデバイス(例えば、音楽プレーヤーやビデオプレーヤー、ゲームコンソール等)、又はこうしたデバイス用のモジュールといった装置であれば如何なるものでもよい。本明細書では、「モジュール」という用語は、末端製造業者又はユーザによって追加される所定のパーツ又はコンポーネントを除くユニットまたは装置を表わす。
電子デバイス10は、装置12と無線周波数回路14、回路16、接地部材18、ハウジング20を備える。装置12は、電磁信号の送受信、送信のみ又は受信のみを行うように構成される1つ又は複数のアンテナを備える。無線周波数回路14は、装置12とコントローラ16との間に接続され、受信機、送信機、送受信機のうち少なくとも1つを備えることができる。回路16は、無線周波数回路14に信号を提供したり、そこから信号を受け取ったりすることができる。電子デバイス10は、装置12と無線周波数回路14との間での1つ又は複数の整合回路やフィルター、スイッチ、他の無線周波数回路要素、又はこれらの組合せを備えることもできる。
無線周波数回路14及び装置12は、複数の動作共振周波数帯域で1つ又は複数のプロトコルを介して動作するように構成されてもよい。例えば、動作周波数帯域は、(以下には限定されないが)ロング・ターム・エボリューション(Long Term Evolution、LTE。米国では734〜746 MHz及び869〜894 MHz、それ以外の国では791〜821 MHz及び925〜960 MHz。);振幅変調無線(AM、0.535-1.705 MHz);周波数変調無線(FM、76〜108 MHz);Bluetooth(登録商標)(2400〜2483.5MHz);ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)(2400〜2483.5MHz);高性能ローカルエリアネットワーク(HLAN:hiper local area network)(5150〜5850MHz);全地球測位システム(GPS:global positioning system)(1570.42〜1580.42MHz);米国移動体通信用グローバル・システム(US−GSM:US−Global system for mobile communications)850(824−894MHz)および1900(1850〜1990MHz);欧州移動体通信用グローバル・システム(EGSM:European global system for mobile communications)900(880〜960MHz)および1800(1710〜1880MHz);欧州広帯域符号分割多重接続(EU−WCDMA:European wideband code division multiple access)900(880〜960MHz);パーソナル通信ネットワーク(PCN:personal communications network/DCS)1800(1710〜1880MHz);米国広帯域符号分割多重接続(US−WCDMA)1700(送信:1710〜1755MHz,受信:2110〜2155MHz)および1900(1850〜1990MHz); 広帯域符号分割多重接続(WCDMA)2100(送信:1920〜1980MHz,受信:2110〜2180MHz);パーソナル通信サービス(PCS:personal communications service)1900(1850〜1990MHz);時分割同期符号分割多重接続(TD−SCDMA:time division synchronous code division multiple access)(1900MHz〜1920MHz,2010MHz〜2025MHz);超広帯域(UWB:ultra wideband)低域側(3100〜4900MHz);UWB高域側(6000〜10600MHz);デジタル・ビデオ・ブロードキャスト−ハンドヘルド(DVB−H:digital video broadcasting−handheld)(470〜702MHz);DVB−H米国(1670〜1675MHz); デジタル・ラジオ・モンディエール(DRM:digital radio mondiale)(0.15〜30MHz);ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロ ウェーブ・アクセス(WiMax:Worldwide interoperability for microwave access)(2300〜2400MHz,2305〜2360MHz,2496〜2690MHz,3300〜3400MHz,3400〜3800MHz,5250〜5875MHz);デジタルオーディオ放送(DAB:digital audio broadcasting)(174.928〜239.2MHz,1452.96〜1490.62MHz);無線自動識別低周波(RFID LF:radio frequency identification low frequency)(0.125〜0.134MHz);無線自動識別高周波(RFID HF:radio frequency identification high frequency)(13.56MHz);無線自動識別超高周波(RFID UHF:radio frequency identification ultra high frequency)(433MHz,865〜956MHz,2450MHz)を含むことができる。
所定のプロトコルを用いてアンテナが効率的に動作できる周波数帯域とは、アンテナの反射損失が動作閾値より小さい周波数範囲である。例えば、こうした効率的な動作は、アンテナの反射損失が-4dB又は-6dBより良好な(即ち、より小さい)ときに生じうる。
電子デバイス10が(携帯電話等の)携帯電子デバイスである実施形態において、回路16は、プロセッサとメモリ、入出力デバイスを備えてもよい。入出力デバイスはオーディオ入力デバイス(例えば、マイクロフォン)やオーディオ出力デバイス(例えば、ラウドスピーカー)、ディスプレイ等である。
無線周波数回路14及び回路16を提供する装置12及び電子コンポーネントは、接地部材18(例えば、プリント配線基板)を介して相互接続されていてもよい。接地部材18は、プリント配線基板18の1つ又は複数の層を用いることで、装置12の接地面として使用することができる。他の実施形態では、電子デバイス10の別の導電部(例えば、バッテリカバーやハウジング20の内装のシャーシ)が装置12の接地部材18として使用されることもある。実施例によっては、接地部材18は、電子デバイス10の複数の導電部で形成され、各部がプリント配線基板を備えていてもよい。接地部材18は平面でもよく、非平面でもよい。
ハウジング20は電子デバイス10の1つ又は複数の外装可視面を画定する外装面を有し、空洞22を画定する内装面も有する。空洞22は、装置12や無線周波数回路14、回路16、接地部材18のような電子デバイス10の電子コンポーネントを収めるように構成される。実施例によっては、装置12が複数の別個のハウジング20を備えることもある。
装置12は、以降の段落で複数の実施例を参照しながら説明する。
図2は、種々の実施例による装置121の概略図を示す。装置121は、接地部材18と導電カバー部24、給電点26、放射部28を備える。
導電カバー部24はハウジング20の少なくとも一部を形成し、任意の形状を有することができる。例えば、導電カバー部24はデバイス10の側面を形成し、(図3に示すように)平面から見るとU字形であってもよい。他の実施例では、導電カバー部24はデバイス10の背面を形成し、方形であってもよい。また別の実施例では、導電カバー部24は絶縁ハウジング部の内装に取り付けられ、蛇行形状をしていてもよい。
ハウジング20は複数の導電カバー部24を備えてもよい。これらの導電カバー部は互いにガルバーニ接続されていてもよく、そうでなくてもよい。導電カバー部24は任意の導電部材を備えることができ、例えば、1つ又は複数の金属及び/又は1つ又は複数の導電ポリマーを備えてもよい。
導電カバー部24は、装置121及びデバイス10の内装面30を画定してもよい。実施例によっては、他の部材(例えば、双極子部材や絶縁部材、ハウジング20の構造強度を高める部材など)の1つ又は複数の層が導電カバー部24の内装面30に備えられてもよい。他の実施例では、内装面30に他の部材の層を追加しない構成にすることもできる。
導電カバー部24は装置121及びデバイス10の外装面32を画定することもできる。その結果、導電カバー部24が装置121及びデバイス10の外装可視面の少なくとも一部を形成することができる。実施例によっては、他の絶縁部材(例えば、保護プラスチックコーティングやカバー)の1つ又は複数の層が導電カバー部24の外装面32に備えられてもよい。他の実施例では、外装面32に他の部材の層を追加しない構成にすることもできる。
導電カバー部24は、接地点34を介して接地部材18と結合される。図2では、接地点34が導電カバー部24の第1の端部36に接続されるが、他の実施例では、導電カバー部24の任意の位置で接続されてもよい。接地部材18はハウジング20の内装面内に位置するため、導電カバー部24の内装面30内に位置することになる。他の実施例では、導電カバー部24が接地部材18を覆うこともできる。
放射部28は給電点26に結合されるため、無線周波数回路14に信号を提供したり、及び/又はそこから信号を受け取ったりすることができる。伝送線37(同軸ケーブル等)は給電点26と無線周波数回路14を相互接続し、給電点26と無線周波数回路14との間で信号を伝達できるように構成される。伝送線37は、(図2に示すように)導電カバー部24の少なくとも一部に備えられ、物理的に結合されてもよい。
放射部28は導電カバー部24の第2の端部38にも結合され、導電カバー部24から端部40まで延びている。実施例によっては、放射部28は第2の端部38に結合されず、導電カバー部24の第1の端部36と第2の端部38との間で結合されていてもよい。あるいは、(図5に示すように)導電カバー部24に接続される導電部材に結合されていてもよい。放射部28は任意適当な形状を有し、例えば、モノポール又は折り返しモノポールであってもよい。実施例によっては、放射部28は平面でもよく、他の実施例では、非平面でもよい。
放射部28は、導電カバー部24に電磁結合するように構成される(即ち、導電カバー部24は放射部28に寄生結合していてもよい)。導電カバー部24及び放射部28は、第1の動作周波数帯域で共振するように構成される所定の電気長を有する(第1の動作周波数帯域は前段落で記述した動作周波数帯域の何れかであってもよいが、そうした帯域に限られるものではない)。導電カバー部24及び放射部28の電気長には、接地点34と放射部28の端部40との間で測定される導電カバー部24及び放射部28の物理的長さと、その間でのリアクタンスコンポーネント(1つ又は複数のコンデンサ及び/又は1つ又は複数のインダクタ等)が含まれる。導電カバー部24及び放射部28の電気長には、接地面18に対して、給電点26から最も遠い点までの長さも含まれうる。
図3は、種々の実施例による別の装置122の平面図を示す。装置122は図2に示された装置121と類似するものであり、その構成も類似している。そのため、同一の参照番号が使用されている。
装置122は第1の導電カバー部24及び第2の導電カバー部42を備え、この点で装置121とは異なっている。第1の導電カバー部24は平面から見てU字形であり(第1の端部36及び第2の端部38が「U」の両端である)、装置122の側面を形成する。第2の導電カバー部42も平面から見てU字形であり(「U」の両端である第1の端部44及び第2の端部46を有する)、装置122の別の側面を形成する。第2の導電カバー部42は、装置122及び電子デバイス10の内装面45及び外装面47を画定する。
第1の導電カバー部24の第1の端部36及び第2の導電カバー部42の第1の端部44は、それらの間に間隙48を画定する。その間隙48では、(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタやオーディオコネクタ等の)電子コンポーネントを有利に配置することができる。
他の実施例では、間隙48がなく、第1の導電カバー部24の第1の端部36及び第2の導電カバー部42の第1の端部44が単一導電カバー部24・42を形成することもできる。こうした他の実施例でも、この単一導電カバー部24・42に形成される開口部内で、単一導電カバー部の長さ方向に沿った任意の位置に電子コンポーネントを配置することができる。
第1の導電カバー部24の第2の端部38及び第2の導電カバー部42の第2の端部46もまた、それらの間に間隙50を画定する。その間隙50でも電子コンポーネントを配置することができる。間隙48・50は電子デバイス10の横方向両端に画定される。その結果、電子デバイス10の縦方向端部は、(金属等の)切れ目のない導電部材によって有利に形成することができる。こうした切れ目のない導電部材は、デバイス10のエンドユーザにとっては見た目にも美しいものになる。間隙48・50は、そこにある電子コンポーネントを隠し保護する扉や他のカバーによって覆うことができる。導電性(例えば金属)の扉や他のカバーが使用される場合、それは第1の端部36・44とは物理的に離隔されていてもよい(即ち、導電性の扉又は他のカバーは電気的に浮いている)。
接地部材18は、第1及び第2の導電カバー部24・42のそれぞれの内装面30・45の中に配置される。接地部材18は、第1及び第2の導電カバー部24・42の第2の端部38・46(即ち、導電カバー部24・42の下横断面)から離隔していて、その間に第1の開口部52を画定する。
接地部材18は、第1及び第2の導電カバー部24・42の第1の端部36・44(即ち、導電カバー部24・42の上横断面)から離隔していて、その間に別の開口部53を画定する。
接地部材18は導電カバー部24・42の縦断面に結合され、それによって、少なくとも1点で導電カバー部24・42を接地する。第1の導電カバー部24及び接地部材18の縦断面は、その間に第2の開口部54(この実施例では溝)を画定する。実施例によっては、接地部材18の一部を取り除くことで第2の開口部54が形成されてもよい。あるいは、又は加えて、第1の導電カバー部24の内装面30を変更することで第2の開口部54が形成されてもよい。例えば、第1の導電カバー部24の一部を第1の導電カバー部24の残りの部分よりも薄くすることにより、第2の開口部54が形成されてもよい。第2の開口部54の近接端は、第1の導電カバー部24の接地点34を与える。第2の開口部54の大きさは、第1の導電カバー部24が所望の電気長を持つように、装置122の作成中に選択されてもよい。
第2の導電カバー部42及び接地部材18の縦断面は、その間に第3の開口部56(この実施例では同じく溝)を画定する。実施例によっては、接地部材18の一部を取り除くことで第3の開口部56が形成されてもよい。第3の開口部56の近接端は、第2の導電カバー部42の接地点58を与える。第3の開口部56の大きさは、第3の導電カバー部42が所望の電気長を持つように、装置122の作成中に選択されてもよい。
放射部28は、給電点26を介して第1の導電カバー部24の第2の端部38に結合される。放射部28は給電点26から延び、導電カバー部24・42と接地部材18との間に画定された第1の開口部52の中まで延びている。こうして、放射部28の端部40は接地部材18に隣接して配置される。他の実施例では、放射部28の端部40が、接地部材18から離れて配置されてもよい(即ち、それらは互いに隣接していない)。その結果、装置122を平面で見ると、放射部28は第1の導電カバー部24を覆わない位置関係にある。他の実施例では、装置122を平面で見ると、放射部28が第1の導電カバー部24の少なくとも一部を覆う位置関係にあってもよい。実施例によっては、放射部28が接地部材18と同一平面上にあってもよい。他の実施例では、放射部28が接地部材18とは別の平面上に少なくとも部分的にあって、接地部材18を少なくとも部分的に覆っていてもよい。
図4は、図3に示す装置122に関する反射損失(dB)対周波数のグラフを示す。このグラフには、周波数を表わすX軸60と反射損失(Sパラメータ、S11)を表わすY軸62がある。
またグラフには、装置122の反射損失が動作周波数によってどのように変化するかを表わす曲線64も示されている。曲線64は、装置122の共振モードを表わす第1の極小66、第2の極小68、第3の極小70、第4の極小72、第5の極小74、第6の極小76及び第7の極小78を有する。
第1の極小66は、放射部28及び第1の導電カバー部24の電気長(即ち、放射部28の端部40と接地点34との間の電気長)を横断する4分の1(1/4)波長共振モードに対応する。第1の極小66では周波数0.8GHzで反射損失は-7dBである。
第2の極小66は、放射部28及び第1の導電カバー部24の電気長を横断する2分の1(1/2)波長共振モードに対応する。放射部28及び第1の導電カバー部24の1/2波長共振モードは、第2の導電カバー部42に結合し、具体的には第2の導電カバー部42の電気長(即ち、第2の端部46と接地点58との間の電気長)を横断する4分の1(1/4)波長共振モードと結合する。その結果、第2の導電カバー部42は装置122の放射パターンに有利に貢献し、第2の極小68にも貢献する。第2の極小68では周波数1.5GHzで反射損失は-20dBである。
第3の極小70は、放射部28及び第1の導電カバー部24の電気長を横断する4分の3(3/4)波長共振モードに対応する。第3の極小70では周波数1.9GHzで反射損失は-30dBである。
第4の極小72は、放射部28及び第1の導電カバー部24の電気長を横断する1と4分の1(1+1/4)波長共振モードに対応する。第4の極小72では周波数3.4GHzで反射損失は-12dBである。
第5の極小74は、放射部28及び第1の導電カバー部24の電気長を横断する1と4分の3(1+3/4)波長共振モードに対応する。第5の極小74では周波数3.4GHzで反射損失は-16dBである。
第6の極小76は、放射部28及び第1の導電カバー部24の電気長を横断する2と4分の1(2+1/4)波長共振モードに対応する。第6の極小76では周波数5.5GHzで反射損失は-2dBである。
第7の極小78は、放射部28及び第1の導電カバー部24の電気長を横断する2と4分の3(2+3/4)波長共振モードに対応する。第7の極小78では周波数6.5GHzで反射損失は-19dBである。
図5は、種々の実施例によるまた別の装置123の平面図を示す。装置123は図3に示された装置122と類似するものであり、その構成も類似している。そのため、同一の参照番号が使用されている。
装置123は放射部28が導電部材80を介して第1の導電カバー部24に結合されており、この点で装置122とは異なっている。導電部材80は、第1の導電カバー部24の第2の端部38から開口部52の中に入って端部82まで延びている。給電点26は、導電部材80の端部82に位置し、放射部28は給電点26に結合されている。実施例によっては、給電点26が導電部材80の端部82に配置されず、導電部材80の長さ方向に沿って配置されてもよい。
導電部材80には、放射部28と導電部材80、第1の導電カバー部24、及びこれらの組合せに所望の電気長を与えるために、導電部材80の長さ及び/又は導電部材80にある給電点26の位置が選択できるという利点がある。
加えて、導電部材80には、装置のインピーダンスが対象の特性インピーダンス(Zo)によく合うように選択できるという利点もある。給電点26の位置は、装置が動作する1つ又は複数の帯域に亘って達成されるインピーダンス整合に影響を及ぼす可能性がある。給電点26の位置は、所望のインピーダンス整合が達成されるまで、導電部材80及び/又は導電カバー部24の長さ及び/又は幅に沿って変化させることができ、装置に合った導電部材80(又は導電カバー部24)における点が選択される。
装置121・122・123には、導電カバー部24・42に接触しようとする(ユーザの手などの)外部物体によって比較的影響を受けにくいという利点がある。これは、放射部28が装置の内部まで延びていて、放射部28の性能を低下させる外部物体とは接触できないためである。
また装置121・122・123には、第2の導電カバー部42が放射部28及び第1の導電カバー部24に寄生結合し、前段落で記述した第2の極小68を少なくとも部分的に与えるという利点もある。さらに、第2の導電カバー部42は、放射部28及び第1の導電カバー部24の共振モードの帯域を広げることもできる。
装置121・122・123には、複数の動作周波数帯域で共振できるという利点もある。こうした装置は、LTE周波数帯域に加えて、(CDMA等の)音声通信を可能にする動作周波数帯域でも動作できるように構成されてもよい。その結果、装置121・122は、音声(CDMA)とデータ(LTE)の両性能を同時に提供することができる(SV-LTEと呼ばれる)。
図6は、種々の実施例による更にまた別の装置124の平面図を示す。装置124は図3に示された装置122と類似するものであり、その構成も類似している。そのため、同一の参照番号が使用されている。
装置124は第2の給電点84及び第2の放射部86を更に備え、この点で装置122とは異なっている。第2の給電点84は、第2の導電カバー部42の第2の端部46に配置される。他の実施例では、第2の給電点84が第2の導電カバー部42の任意の別位置に配置されてもよい。第2の給電点84は無線周波数回路14に結合されるため、無線周波数回路14に信号を提供したり、及び/又は無線周波数回路14から信号を受け取ったりすることができる。例えば、伝送線(同軸ケーブル等)は第2の給電点84と無線周波数回路14を相互接続し、第2の給電点84と無線周波数回路14との間で信号を伝達できるように構成される。伝送線は、第2の導電カバー部42の少なくとも一部に備えられてもよい。
第2の放射部86は折り返しモノポールで、第2の給電点84を介して第2の導電カバー部42に結合される。第2の放射部86は第2の給電点84から延び、接地部材18と導電カバー部24の間に画定された開口部54の中に入って端部88まで延びている。第2の放射部86の端部88は接地部材18に隣接している。他の実施例では、第2の放射部86の端部88は接地部材18から離隔され(即ち、これらは互いに隣接していない)、第1の導電カバー部24又は第2の導電カバー部42を覆うように配置されてもよい。他の実施例では、第2の放射部86は別の構造を有し(例えば、第2の放射部86がモノポールでもよい)、平面又は非平面でもよい。
第2の放射部86は、第2の導電カバー部42に電磁結合するように構成される(即ち、第2の導電カバー部42は第2の放射部86に寄生結合していてもよい)。第2の導電カバー部42及び第2の放射部86は、少なくとも1つの動作周波数帯域で共振するように構成される所定の電気長を有する(こうした動作周波数帯域は前段落で記述した動作周波数帯域の何れかであってもよいが、そうした帯域に限られるものではない)。実施例によっては、第2の導電カバー部42及び第2の放射部86は複数の動作周波数帯域で共振するように構成される所定の電気長を有し、図4を参照して前段落に記述した共振モードを有してもよい。 第2の導電カバー部42及び第2の放射部86の電気長には、接地点58と第2の放射部86の端部88との間で測定される第2の導電カバー部42及び第2の放射部86の物理的長さと、その間でのリアクタンスコンポーネント(1つ又は複数のコンデンサ及び/又は1つ又は複数のインダクタ等)が含まれる。
第2の放射部86及び第2の導電カバー部42の少なくとも1つの共振モードは、第1の導電カバー部24(例えば、第1の導電カバー部24における第2の端部38と接地点34との間の電気長を横断する4分の1(1/4)波長共振モード)と電磁結合する。その結果、第1の導電カバー部24は、第2の放射部86及び第2の導電カバー部42の放射パターンに有利に貢献し、少なくとも1つの共振モードの帯域を広げる。
同様に、第1の放射部28及び第1の導電カバー部24の特定の共振モードは、第2の導電カバー部42(例えば、第1の導電カバー部24における第2の端部38と接地点34との間の電気長を横断する4分の1波長共振モード)と電磁結合する。その結果、第2の導電カバー部42は、第1の放射部28及び第1の導電カバー部24の放射パターンと帯域に有利に貢献する。
図7は、種々の実施例による装置12・121・122・123・124の作成方法のフロー図を示す。
ブロック90で、本方法は、第1の給電点26を設けることを含む。
ブロック92で、本方法は、第1の放射部28を設け、第1の放射部28を第1の給電点26に結合することを含む。
ブロック94で、本方法は、第1の導電カバー部24を設けることを含む。(選択的に)導電部材80を設けることを含んでもよい。実施例によっては、第1の給電点26は第1の導電カバー部24に設けられる。他の実施例では、第1の給電点26は第1の導電部材80に設けられる。
ブロック96で、本方法は、第1の導電カバー部24の内装面30に接地部材18を設け、接地部材18を第1の導電カバー部24に結合することを含む。
ブロック98で、本方法は、第2の導電カバー部42を設けることを含んでもよい。
ブロック100で、本方法は、第2の給電部84及び第2の放射部86を設けることを含んでもよい。実施例によっては、第2の給電点84は第2の導電カバー部42に設けられる。他の実施例では、第2の給電点84は、(図5に示すように)導電部材に配置されてもよい。
図7に示されるブロックは、方法におけるステップ及び/又はコンピュータプログラムにおけるコード区分を表してもよい。例えば、図7に示したブロックを実行する機構を制御するために、コントローラがコンピュータプログラムを使用してもよい。ブロックを特定の順序で図示することは、必須順序又は推奨順序の存在を必ずしも示唆していない。こうしたブロックの順序や配置構成は変更することができる。また、一部のブロックを省略することも可能である。
本明細書において「含む、備える(comprise)」という用語は、排他的な意味ではなく、包括的な意味で使用される。「Yを含むX」に関してはすべて、「Xは1つのYしか含むことができない」または「複数のYを含むことができる」を意味する。排他的な意味を有する「含む、備える(comprise)」を意図する場合は、「〜を1つのみ含むこと」または「〜から成る」と言及することにより、文脈内で明確にするであろう。
本発明の詳細な説明では、リファレンスを様々な実施例にしている。実施例に関する特徴または機能の説明は、これらの特徴または機能が、その実施例に認められることを示す。本明細書中の「実施例(example)」「例えば(for example)」「〜できる、〜場合がある(may)」といった単語の使用は、明示的であれ非明示的であれ、特徴及び機能が、少なくとも記載された実施例に存在することを意味する。実施例としての記載及び不記載にかかわらず、これら特徴及び機能が、他の一部または全ての実施例に存在する可能性があるが、必ずしもそうではないことを意味する。このように、「実施例」「例えば」「〜できる、〜の場合がある」は、ある例示群における特定の事例であることを指す。上記特定の事例の特性は、その事例のみの特性である場合、または上記例示群に属する一部の群の特性である場合がある。すなわち、上記特定の事例の特性は、例示群中の例示の全特性とは限らないが特性の一部を含む。
前述の通り、本発明の様々な実施形態が様々な実施例と共に説明されてきたが、当然のこととして、特許請求の範囲にある本発明の範囲を逸脱することなく実施例の変形が可能である。例えば、給電点26は、導電カバー部24の端部34と端部38の間の任意の位置にあってよい。加えて、放射部28は平面で見ると、導電カバー部24を覆う位置関係にあってもよい。さらに、導電部材80は、導電カバー部24の端部34と端部38の間のどの位置から延びていてもよい。
これまでに記述してきた事項は、明示的に記述された組合せだけでなく、それ以外の組合せで用いられてもよい。
特定の事項を参照して種々の機能を記述してきたが、こうした機能は、記述の有無を問わずその他の事項によって遂行可能であってもよい。
特定の実施形態を参照して種々の事項を記述してきたが、こうした事項は、記述の有無を問わずその他の実施形態で用いられてもよい。
前述のように本明細書において、とりわけ重要であると考えられる本発明のこうした事項に注目するように努めてきた。しかし、前述した特許されうる全ての事項およびそれらの組合せに対して、参照された添付の図面にそうした事項が特段強調されていたかどうかにかかわらず、本出願人はその保護を求めるものである点を理解されたい。