JP2016197646A - ナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法及び熱処理装置 - Google Patents

ナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法及び熱処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】材料であるアモルファス合金の温度が熱処理設定温度より高くなることを簡易な構成で確実に抑制することができ、軟磁気特性が良好なナノ結晶軟磁性合金磁心を製造する。【解決手段】平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を含み、軟磁気特性を有するナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法であって、アモルファス合金3により磁心形状の被加熱体1を成形することと、アモルファス合金3よりも熱伝導率が高い被覆部材8により被加熱体1に接触した状態で表面を被覆することと、被覆部材8で被覆した被加熱体1を熱処理することによりアモルファス合金3をナノ結晶化することと、を含むナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法及び熱処理装置に関する。
磁心は、トランスやモータなど電気−磁気変換を利用する製品に広く利用されており、鉄損によるエネルギーロスが少ないものが求められている。鉄損が低い材料の一つとしてナノ結晶軟磁性合金が知られており、このナノ結晶軟磁性合金を用いた磁心が提案されている。ナノ結晶軟磁性合金で磁心を製造するには、アモルファス合金等の材料を適切な温度で熱処理を行って均質なナノレベルの組織を形成させてナノ結晶化することが必要である。このとき、炉内温度を設定して材料を加熱しても、結晶化により材料が発熱し、設定温度を超えて材料が加熱されてしまう場合がある。特に、磁心のサイズが大きくなると、このような事態が生じやすくなる。その結果、製造された磁心において軟磁気特性が低下し、商品価値を低下させてしまう。
これを回避するため、例えば、下記特許文献1では、材料を熱処理する過程で炉内の雰囲気ガスを強制的に移動させ、磁心の表面温度を所定温度に保つ方法が開示されている。また、材料に均一な昇温及び冷却を行う方法として、例えば、下記特許文献2では、当該材料で巻回して形成した巻鉄心を収納容器に収納した後、巻鉄心全体を包み込むように多数の金属球を入れ、この状態で収納容器を加熱することにより、金属球を介して巻鉄心を焼鈍する方法が開示されている。
特許3424767号公報 特開平6−163294号公報
しかしながら、特許文献1の方法は、炉内の雰囲気ガスを強制的に移動させるため、加熱炉にガス移動のための特殊な機構を備える必要があり、さらに、材料温度の監視や雰囲気ガスの移動タイミングの制御など、設備コストを増加させるといった問題がある。また、加熱された雰囲気ガスが炉外から排出されるので、炉内の加熱に要したエネルギの一部が無駄になり、加熱炉の稼働コストを増加させる要因となる。また、特許文献2の方法は、鉄心に多数の金属球が点接触しているだけであり、鉄心と金属球との間の熱移動は限定的である。また、鉄心表面のうち、金属球に接触していない部分が多く残るので、その部分での熱移動は行われず、材料の温度制御としては不十分である。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、アモルファス合金薄帯を巻回して形成した磁心に、良好な軟磁気特性を発現するためのナノ結晶化の熱処理を施す際、材料の温度が熱処理設定温度より高くなることを簡易な構成で確実に抑制することができ、軟磁気特性が良好なナノ結晶軟磁性合金磁心を製造することが可能なナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法及び熱処理装置を提供することを目的とする。
本発明のナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法は、平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を含み、軟磁気特性を有するナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法であって、アモルファス合金により磁心形状の被加熱体を成形することと、アモルファス合金よりも熱伝導率が高い被覆部材により被加熱体に接触した状態で表面を被覆することと、被覆部材で被覆した被加熱体を熱処理することによりアモルファス合金をナノ結晶化することと、を含む。
また、被加熱体が、シート状のアモルファス合金を芯金に巻き付けた状態で成形され、被覆部材は、被加熱体のうち芯金を除いた部分の表面を被覆してもよい。また、被覆部材として、被加熱体を収容可能に形成されたものが用いられ、被覆部材に被加熱体を収容することにより被加熱体の表面を被覆してもよい。また、被覆部材として、銅を含有する材料で形成されたものが使用されてもよい。また、熱処理は、予熱処理を行うことと、結晶化熱処理を行うことと、冷却処理を行うことと、を含んでもよい。また、結晶化熱処理は、予熱処理及び冷却処理と異なる処理室で行ってもよい。また、予熱処理は、結晶化熱処理より長い処理時間で行ってもよい。芯金は、穴部を有してもよい。
本発明の熱処理装置は、平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を含み軟磁気特性を有するナノ結晶軟磁性合金磁心を製造するための熱処理装置であって、アモルファス合金により磁心形状に成形された被加熱体に接触した状態で表面を被覆し、かつ、アモルファス合金よりも熱伝導率が高い被覆部材と、被覆部材に被覆された被加熱体を結晶化熱処理してアモルファス合金をナノ結晶化する第1処理室と、第1処理室に隣接して配置され、被覆部材に被覆された被加熱体に対して予熱処理及び冷却処理の少なくとも一方を行う第2処理室と、を備える。
また、被覆部材は、被加熱体を収容可能に形成されてもよい。また、被覆部材は、銅を含有する材料で形成されてもよい。
本発明によれば、アモルファス合金薄帯を巻回して形成した磁心に、良好な軟磁気特性を発現するためのナノ結晶化の熱処理を施す際、材料の温度が熱処理設定温度より高くなることを簡易な構成で確実に抑制することができ、軟磁気特性が良好なナノ結晶軟磁性合金磁心を製造することができる。
また、被加熱体が、シート状のアモルファス合金を芯金に巻き付けた状態で成形され、被覆部材が、被加熱体のうち芯金を除いた部分の表面を被覆する場合、芯金を利用して被加熱体を被覆するので、被覆部材の使用量を低減できる。また、被覆部材として、被加熱体を収容可能に形成されたものが用いられ、被覆部材に被加熱体を収容することにより被加熱体の表面を被覆する場合、被加熱体を収容するといった簡単な作業により被覆部材による被加熱体の被覆を行うことができる。また、被覆部材として、銅を含有する材料で形成されたものが使用される場合、アモルファス合金よりも熱伝導率が高く、被加熱体の熱の移動をスムーズに行うことができる。また、熱処理が、予熱処理を行うことと、結晶化熱処理を行うことと、冷却処理を行うことと、を含む場合、アモルファス合金のナノ結晶化を確実に行うことができる。また、結晶化熱処理が、予熱処理及び冷却処理と異なる処理室で行う場合、被加熱体に対する加熱温度の設定を容易に行うことができる。また、予熱処理が、結晶化熱処理より長い処理時間で行う場合、ナノ結晶化を磁心全体均一に行うことができる。芯金は、穴部を有する場合、芯金の表面積を増加させるので、被加熱体の熱を芯金にスムーズに移動させることができる。
本発明の熱処理装置によれば、軟磁気特性が良好なナノ結晶軟磁性合金磁心を効率よく製造することができる。
また、被覆部材が被加熱体を収容可能に形成される場合、被加熱体を収容するといった簡単な作業により被覆部材による被加熱体の被覆を行うことができる。また、被覆部材が銅を含有する材料で形成される場合、アモルファス合金よりも熱伝導率が高く、被加熱体の熱の移動をスムーズに行うことができる。
実施形態に係るナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法の一例を示すフローチャートである。 (A)は被加熱体の一例を示す斜視図であり、(B)は被加熱体の成形に用いられる芯金について一部を切り欠いた状態を示す斜視図である。 (A)〜(C)は、芯金の他の例を示す図であり、(A)及び(B)は、断面斜視図、(C)は斜視図である。 (A)及び(B)は、芯金の他の例を示す斜視図である。 被加熱体を被覆部材で被覆した一例を示し、(A)は分解斜視図、(B)は被加熱体を被覆した状態を示す斜視図である。 被加熱体を収容可能に形成された被覆部材の一例を示す斜視図である。 予熱処理、結晶化熱処理及び冷却処理の一例を示す図である。 (A)は熱処理装置の一例を示す図、(B)は熱処理装置の他の例を示す図である。 実施例のナノ結晶軟磁性合金磁心の鉄損試験の結果を示すグラフである。 被加熱体の熱処理を、被覆部材で被覆しないで行った場合と、被覆部材で被覆して行った場合とを比較した一例を示す表である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては、実施形態を説明するため、一部または全部を模式的に記載するとともに、一部分を大きくまたは強調して記載する等適宜縮尺を変更して表現した部分を含んでいる。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面に平行な任意の方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向(上下方向)はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
本実施形態のナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法は、平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を含み、軟磁気特性を有するナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法であり、アモルファス合金薄帯を巻回して形成した磁心に、良好な軟磁気特性を発現するためのナノ結晶化の熱処理を施す際、材料の温度が熱処理設定温度より高くなることを簡易な構成で確実に抑制し、軟磁気特性が良好なナノ結晶軟磁性合金磁心を製造することができる。
図1は、実施形態に係るナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明は、製造方法の一例であって、製造方法を限定するものではない。本実施形態に係るナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法は、図1に示すように、アモルファス合金により磁心形状の被加熱体を成形する(ステップS1)。まず、アモルファス合金を準備する。アモルファス合金は、アモルファス状態の金属であり、所定の条件で加熱することにより、ナノ結晶が形成されて良好な軟磁気特性を発現するものである。
本実施形態で用いられるアモルファス合金としては、ナノ結晶軟磁性合金磁心の材料として用いられる公知のものを任意に用いることができる。例えば、アモルファス合金としては、Fe−Nb−B系、Fe−Nb−B−Sn系、Fe−B系、Fe−Si−B系、Fe−Si−B−C系、Fe−Si−B−P系、Fe−Si−B−C−P系、Fe−P−B系等の合金を用いることができる。このようなアモルファス合金は、例えば、単ロール法又は双ロール法の液体急冷法(急冷凝固法)によりシート状に製造したものを用いることができる。シート状のアモルファス合金を用いる場合、厚さは任意であるが、例えば、数10μm〜数100μm程度のものを用いることができる。
上記したアモルファス合金を用いて磁心形状の被加熱体を成形する。被加熱体の磁心形状やその成形方法は、任意である。例えば、成形方法としては、シート状のアモルファス合金(アモルファス合金薄帯)を芯金に巻き付けて成形する方法や、シート状のアモルファス合金を積層して成形する方法等を用いることができる。被加熱体の大きさは、使用するトランス等の大きさに応じて任意に設定される。
被加熱体をシート状のアモルファス合金を芯金に巻き付けた状態で成形した場合の一例を以下に説明する。図2(A)は被加熱体1の一例を示す斜視図であり、(B)は被加熱体1の成形に用いられる芯金2について一部を切り欠いた状態を示す斜視図である。被加熱体1は、図2(A)に示すように、シート状のアモルファス合金3を芯金2に複数回巻付けることにより、4つの角が面取りされた矩形の筒状に成形されたものである。芯金2は、例えば、鉄、ニッケル、タングステンなどを含有する金属材料から形成され、後述する被覆部材8(図5(A)参照)としても機能する。芯金2の形成材料が、熱伝導率が高い材料である場合、被加熱体1からの熱の移動をよりスムーズに行うことができる。
芯金2の形状は、製造するナノ結晶軟磁性合金磁心の形状により適宜決定されるものであるが、シート状のアモルファス合金3を巻き付けることができるものであれば、任意の形状のものを用いることができる。例えば、芯金2としては、図2(B)に示すように、穴部4を備えるものが使用されてもよい。穴部4は、芯金の+Z側の部分が凹状に形成されるので、芯金2のXZ平面における断面、及びYZ平面における断面がU字状となる。すなわち、芯金2は、角が面取りされた筒状部の−Z側が閉塞された形状を有する。芯金2が穴部4を有する場合、表面積が大きくなるため、被加熱体1からの熱の移動をスムーズに行うことができる。また、図2に示す芯金2は、穴部4の+Z側を開放することに限定されず、例えば不図示の蓋部等によって穴部4の+Z側を閉じてもよい。なお、芯金2に穴部4を設けるか否かは任意である。例えば、芯金2はバルク(塊)状でもよい。
芯金2に形成する穴部4の形状、大きさ及び数は任意である。図3(A)〜(C)は、芯金2の他の例を示す図であり、(A)及び(B)は、断面斜視図、(C)は斜視図である。例えば、図3(A)に示すように、芯金2aは、+Z側の面及び−Z側の面にそれぞれ穴部4aが形成され、XZ平面における断面、及びYZ平面における断面がH字状に形成されてもよい。すなわち、芯金2は、角が面取りされた筒状部の内部に仕切壁を持った形状を有する。なお、2つの穴部4aの深さ(Z方向の長さ)は、同一であってもよく、また、異なってもよい。また、2つの穴部4aは、例えば不図示の蓋部等によって+Z側及び−Z側の一方または双方を閉じてもよい。
また、図3(B)に示すように、芯金2bは、+Z側の面及び−Z側の面のそれぞれに、2つのスリット状の穴部4bを有するものでもよい。なお、穴部4bは、+Z側の面及び−Z側の面の双方に形成されることに限定されず、例えば、+Z側の面のみに形成されてもよいし、−Z側の面のみに形成されてもよい。また、各面において、穴部4bの数は任意であり、例えば、1〜3個でもよいし、5個以上でもよい。また、穴部4bの形状はスリット状であることに限定されず、断面が円形、楕円形、長円形等であってもよい。また、穴部4bは、外周側面(アモルファス合金3を巻き付ける面)の近傍に配置されるが、これに限定されず、外周側面から離れて形成されてもよい。また、穴部4bは、外周側面に形成されてもよい。
また、図3(C)に示す芯金2cのような形状のものでもよい。芯金2cは、角が面取りされた筒状部の内側に、複数のリブ5a〜5cと、複数の開口部6と、を備え、筒状部に複数の穴部4cを有する。リブ5aは、芯金2cの筒状の内部に、Z方向における中央部分において、XY平面と平行に配置される。リブ5bは、X方向における中央部分において、YZ平面と平行に配置される。リブ5cは、Y方向における中央部分において、ZX平面と平行に配置される。このように複数のリブ5a〜5cを有する場合、芯金2cの強度を保ち且つ表面積を拡大することができる。複数の開口部6は、4つの側面に形成される。開口部6を有する場合、開口部6に面した芯金2cの表面における気相の流動性が高くなり、気相を介して被加熱体1の熱の移動をスムーズに行うことができる。なお、リブ5a〜5cの数は任意である。例えば、リブ5a〜5cは、2個でもよいし、4個以上でもよい。また、開口部6の数は任意である。例えば、開口部6は、1〜3個でもよいし、5個以上でもよい。開口部6の形状も任意であり、図示のような矩形状に代えて、円形状、楕円形状、長円形状、スリット状であってもよい。
また、芯金2は、熱伝導率が高い材料と組み合わせて形成されていてもよい。図4(A)及び(B)は、芯金2の他の例を示す斜視図である。図4(A)に示す芯金2dは、図3(B)に示す芯金2bにおける複数の穴部4bに熱伝導率が高い材料で形成された熱伝導部材7dが挿入されたものである。この場合、芯金2dのうち部分的に熱伝導率が高い部分が形成され、熱伝導部材7dを介して被加熱体1からの熱の移動をスムーズに行うことができる。熱伝導部材7dは、例えば、銅が使用される。また、熱伝導部材7dは、穴部4bと略同様の形状に形成され、穴部4bに対して着脱可能に形成されてもよい。
また、図4(B)に示す芯金2eは、図3(C)に示す芯金2cの4つの開口部6のそれぞれに、熱伝導率が高い材料で形成された熱伝導部材7eが挿入されたものである。この場合も上記と同様に、芯金2eのうち部分的に熱伝導率が高い部分が形成され、熱伝導部材7eを介して被加熱体1の熱の移動をスムーズに行うことができる。熱伝導部材7eは、例えば、上記と同様に銅が使用される。また、熱伝導部材7eは、開口部6と略同様の形状に形成され、開口部6に対して着脱可能に形成されてもよい。
なお、上記した芯金2、2a〜2eは、バルクから削り出して形成されてもよいし、鋳造等により一体的に形成されてもよい。また、芯金2、2a〜2eは、複数の部材を予め作成しておき、これらを組み合わせて(接合して)形成されてもよい。芯金2、2a〜2eは、シート状のアモルファス合金3を巻き付けた被加熱体1の形状を維持可能な剛性を有し、かつ、熱処理に耐えるものであれば、一体的に形成される場合と、組み合わせて形成される場合とのいずれが適用されてもよく、芯金2等の作成コストによって決定されてもよい。
次に、図1に示すように、アモルファス合金3よりも熱伝導率が高い被覆部材8により被加熱体1に接触した状態で表面を被覆する(ステップS2)。これにより、被覆部材8は、被加熱体1に対して熱移動が可能な状態となる。図5は、被覆部材8により被加熱体1を被覆する一例を示し、(A)は分解斜視図、(B)は被加熱体1を被覆した状態を示す斜視図である。被覆部材8の形状は、被加熱体1の形状や大きさに合わせて適宜設定され、被加熱体1に接触して被覆することができるものであれば、任意の形状や大きさのものを用いることができる。
例えば、図5(A)に示すように、複数の被覆部材8を用いて被加熱体1を被覆することができる。被覆部材8は、被加熱体1の+Z側に接触して被覆する第1部材10と、被加熱体1の外周側面に接触して被覆する第2部材11と、被加熱体1の−Z側に接触して被覆する第3部材12と、を備える。これら第1部材10、第2部材11及び第3部材12は、被加熱体1を被覆した際、第1部材10と第2部材11とが互いに接触し、かつ、第2部材11と第3部材12とが互いに接触するような寸法に形成される。被覆部材8は、アモルファス合金3よりも熱伝導率が高い材料で形成される。例えば、被覆部材8は、銅、タングステンなどの熱伝導率が高いものを含有する材料で形成される。中でも、銅を含有する材料で形成される場合、熱伝導率が高いので、被加熱体1に対する熱の移動を効率よく行うことができる。
第1部材10は、中央に貫通穴13を有する矩形板状に形成されている。貫通穴13は、芯金2の穴部4の開口形状と略同様に開口するように形成される。第1部材10は、被加熱体1のうち芯金2を除いた部分の+Z側の面を被覆する(図5(B)参照)。第2部材11は、帯状に形成され、被加熱体1の外周側面に巻き付けられることにより、被加熱体1の外周側面を被覆する(図5(B)参照)。このとき、第2部材11の端部同士を突き合わせた状態としてもよく、また、端部同士を一部重ね合わせた状態としてもよい。第3部材12は、第1部材10と同様に、中央に貫通穴14を有する矩形板状に形成されている。貫通穴14は、芯金2の穴部4の開口形状と略同様に開口するように形成される。第3部材12は、被加熱体1のうち芯金2を除いた部分の−Z側の面を被覆する(図5(B)参照)。
被覆部材8は、図5(B)に示すように、第1部材10、第2部材11及び第3部材12により被加熱体1を被覆する。これにより、アモルファス合金3よりも熱伝導率が高い被覆部材8を用いて、芯金2以外の被加熱体1に接触した状態で表面を被覆することができる。なお、被覆部材8による被覆の形態は、図5に示すものに限定されない。例えば、芯金2を含めて被覆部材8で被加熱体1を被覆してもよい。また、例えば、膜厚が薄いテープ状の被覆部材8を用いて、被加熱体1を螺旋状に巻き付けて被覆させるものでもよい。
また、第1部材10と第2部材11との間や、第2部材11と第3部材12との間は、例えば、接合材等により接合されてもよく、また、図5(B)に示すように、クランプC1、C2により保持されてもよい。クランプC1、C2は簡略して図示している。クランプC1は、第1部材10と第3部材12とを挟み込んで、これらを被加熱体1に密着させかつ被加熱体1から外れないように保持している。クランプC2は、芯金2と第2部材11とを挟み込んで、これらを被加熱体1に密着させかつ被加熱体1から外れないように保持している。また、これらクランプC1、C2は、一定間隔または所定間隔で複数個配置されてもよい。
図6は、被加熱体1を収容可能に形成された被覆部材8Aの一例を示す斜視図である。図6に示すように、被覆部材8Aは、蓋部となる第1部材10Aと、底部となる第3部材12Aと、第3部材12Aの外周から+Z方向に起立して壁部となる第2部材11Aと、を備えている。これら第1部材10A、第2部材11A、及び第3部材12Aは、上記した被覆部材8と同様に、例えば銅など、アモルファス合金3よりも熱伝導率が高い材料で形成される。また、第1部材10Aは、芯金2の穴部4の開口形状と略同様に開口する貫通穴13Aを備える。同様に、第3部材12Aは、芯金2の穴部4の開口形状と略同様に開口する貫通穴14Aを備える。
被加熱体1は、第2部材11Aの内側に収容され、第1部材10Aによって閉じされることにより、被加熱体1の+Z側の面、外周側面、及び−Z側の面が、それぞれ第1部材10A、第2部材11A、及び第3部材12Aにより接触した状態で被覆される。なお、第1部材10Aと第2部材11Aとの間は、接合材等によって接合されてもよく、また、図5(B)に示すようなクランプC2が使用されてもよい。また、被覆部材8Aは、貫通穴13A、14Aが形成されなくてもよい。
上記した被覆部材8、8Aは、被加熱体1の少なくとも一部と接触して被覆するものであれば、被加熱体1の表面全てを被覆しなくてもよい。例えば、被覆部材8、8Aは、被加熱体1の+Z側の面、−Z側の面及び外周側面のうち、少なくとも1つを覆うものでもよい。
図6に示す被覆部材8Aが使用されることにより、被加熱体1を被覆部材8Aに収容するといった簡単な作業により、被覆部材8による被加熱体1の被覆を行うことができる。また、被覆部材8、8Aは、被加熱体1のうち芯金2を除いた部分の表面を被覆するので、芯金2を被覆部材の一部として利用し、被覆部材8、8Aの使用量を低減できる。
次に、図1に示すように、被覆部材8で被覆した被加熱体1を熱処理することによりアモルファス合金3をナノ結晶化する(ステップS3)。本ステップにより、平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を少なくとも一部に含み、良好な軟磁気特性を有するナノ結晶軟磁性合金磁心が完成する。なお、本実施形態における「ナノ結晶軟磁性合金」とは、平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を少なくとも一部に含んだ合金を意味する。
ステップS3の熱処理は、予熱処理(ステップS31)、結晶化熱処理(ステップS32)、及び冷却処理(ステップS33)を含んで実施される。ステップS31の予熱処理とは、アモルファス合金3がナノ結晶化する温度より低い温度で加熱を行う処理を意味する。ステップS32の結晶化熱処理とは、アモルファス合金3をナノ結晶化するために加熱する処理を意味する。ステップS33の冷却処理とは、ナノ結晶化した被加熱体1を冷却する処理を意味する。ただし、ステップS3の熱処理として、図1に示すようなステップS31〜S33の処理を行うことは一例であり、他の熱処理が適用されてもよい。
図7は、ステップS31の予熱処理、ステップS32の結晶化熱処理、及びステップS33の冷却処理の一例を示す図である。図7に示すように、まず、被加熱体1に対して常温から予熱処理温度まで昇温させて加熱する。予熱処理前の昇温の条件は任意である。図7では、被加熱体1を約45分で20℃(常温)から400℃まで加熱しており、被加熱体1の昇温速度が約8.44℃/分の例を示している。ただし、昇温速度はこれに限定されず、例えば、昇温速度が8.44℃/分より大きくてもよく、また、小さくてもよい。
ステップS31の予熱処理は、上記した予熱処理温度(例えば400℃)で被加熱体1を所定時間加熱することにより行う。予熱処理を行うことにより、アモルファス合金3(被加熱体1)を常温から徐々に加熱して確実に高温状態にすることができ、次のステップである結晶化熱処理に確実に移行することが可能となる。予熱処理の目的は、磁心全体を均一にナノ結晶化熱処理させるためであり、結晶化熱処理を行う前にナノ結晶化温度より低い温度で磁心全体を均一な温度で保持することである。
ステップS31の予熱処理の条件は、アモルファス合金3の組成、大きさ等により適宜決定されるものであるが、アモルファス合金3がナノ結晶化する温度より低い温度で、ナノ結晶化が進行しない条件であれば、任意の条件で行うことができる。例えば、予熱処理の条件は、ナノ結晶化が開始する温度より50〜200℃程度低い温度で、30分以上の条件で実施することができる。例えば、Fe−Nb−B系やFe−Nb−B−Sn系のアモルファス合金3の場合、予熱処理は、300〜450℃で、30分以上の処理で行うことができる。図7では、被加熱体1を約400℃で約60分程度加熱している例を示しているが、これに限定されない。また、ステップS31の予熱処理は、後のステップS32の結晶化熱処理より長い時間で行ってもよい。これにより、アモルファス合金3をナノ結晶化に向けて確実に準備することができる。
予熱処理に続いて、ステップS32の結晶化熱処理が行われる。結晶化熱処理を行うことにより、アモルファス合金3の少なくとも一部がナノ結晶化される。結晶化熱処理の条件は、アモルファス合金3の組成等により適宜決定されるものであるが、ナノ結晶化が行われる温度であれば、任意の条件で行うことができる。例えば、ステップS32の結晶化熱処理は、アモルファス合金3のナノ結晶化を開始する温度より高い温度で、30〜60分の処理で実施することができる。図7では、被加熱体1を約650℃で約30分程度加熱している例を示しているが、これに限定されない。この結晶化熱処理により、アモルファス合金3の少なくとも一部がナノ結晶化される。なお、結晶化熱処理により、アモルファス合金3の全部またはほぼ全部がナノ結晶化されてもよい。本明細書において「少なくとも一部」は、アモルファス合金3の全部またはほぼ全部を含む意味で用いており、良好な軟磁気特性を得るために必要な部分がナノ結晶化されることを意図している。
例えば、Fe−Nb−B系やFe−Nb−B−Sn系のアモルファス合金の場合、ステップS32の結晶化熱処理は、500〜700℃の温度で、30〜60分の処理で行われる。なお、ステップS32の結晶化熱処理は、ステップS31の予熱処理、及び後述するステップS33の冷却処理と異なる処理室で行ってもよい。これにより、被加熱体1に対する加熱温度の設定を容易に行うことができる。
このステップS32の結晶化熱処理において、被加熱体1は、被覆部材8(芯金2を含む)により被覆された状態で加熱される。これにより、被加熱体1は、被覆部材8を介して加熱されることにより間接的に加熱され、被覆部材8がない場合と比較して加熱による被加熱体1への影響が緩和された状態となっている。すなわち、被覆部材8は、被加熱体1の加熱に対する緩衝機能を有する。また、被加熱体1(アモルファス合金3)が加熱されて結晶化する際に被加熱体1が発熱しても、その熱が被覆部材8に移動して放熱される。これにより、被加熱体1が適正な熱処理条件を超えて加熱されることを防止し、ナノ結晶軟磁性合金の軟磁気特性が低下するのを抑制することができる。
結晶化熱処理に続いて、ステップS33の冷却処理が行われる。これにより、平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を含み、良好な軟磁気特性を有するナノ結晶軟磁性合金磁心が完成する。冷却処理は、任意の条件で行うことができる。例えば、所定の処理室内において被加熱体1を室温で放置することにより冷却してもよいし、処理室内の加熱温度を徐々に低下させて冷却してもよい。なお、冷却速度は任意に設定可能である。図7では、ステップS32の結晶化熱処理後に室温で放置する冷却処理を示しているが、これに限定されない。また、ステップS33の冷却処理は、流体を用いて被加熱体1を冷却してもよい。例えば、冷却処理は、空気、窒素ガス、炭酸ガス等の気体や、水、油、フロリナート等の液体を被加熱体1に直接的または間接的に接触させることにより被加熱体1を冷却してもよい。例えば、気体の場合は、ファンなどにより吹き付けることにより、被加熱体1を冷却してもよい。
以上のように、被加熱体1の熱処理を、ステップS31の予熱処理と、ステップS32の結晶化熱処理と、ステップS33の冷却処理とで行うことにより、アモルファス合金3のナノ結晶化を確実に行うことができる。なお、ステップS3の熱処理は、上記した予熱処理、結晶化熱処理、及び冷却処理(ステップS31〜S33)を含む方法で行うか否かは任意である。
なお、上記した各熱処理の際における、雰囲気ガスは任意である。雰囲気ガスとしては例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど、被加熱体1に対して不活性なガスが使用されてもよく、また、必要に応じてその他のガス、空気(乾燥空気)が使用されてもよい。また、各熱処理の際における雰囲気ガスは、必要に応じて適宜炉内に供給されてもよく、また、炉内から排気されてもよい。
ステップS3の熱処理として、予熱処理、結晶化熱処理、及び冷却処理(ステップS31〜S33)とを行う装置は、任意の装置を用いて行うことができる。図8(A)は熱処理装置の一例を示す図、(B)は熱処理装置の他の例を示す図である。図8(A)及び(B)では、各熱処理装置15、15aを模式的に示している。図8(A)に示すように、熱処理装置15は、被覆部材8に被覆された被加熱体1に熱処理を行う装置である。熱処理装置15は、被覆部材8と、テーブル16と、第1処理室17と、第2処理室18と、を含んで構成される。被覆部材8は、上記した図5に示すものと同様であり、これに代えて、図6に示す被覆部材8Aが使用されてもよい。テーブル16、第2処理室18及び第1処理室17は、この順番で+X方向に並んで、互いに隣接して配置される。この配置により、被加熱体1に対して迅速に熱処理を行うことができる。
テーブル16は、被加熱体1を第1処理室17に搬入または搬出するために用いられる。なお、熱処理装置15がテーブル16を備えるか否かは任意である。また、テーブル16の上面や、第1処理室17及び第2処理室18の底部には、複数のローラRが一定間隔または所定間隔で配置される。複数のローラRのうち一部または全部は、不図示の駆動装置によって回転駆動し、載置された被加熱体1を+X方向または−X方向に移送可能としている。なお、被加熱体1の移送にローラRが使用されることに限定されず、被加熱体1を移送可能な任意の構成が適用される。例えば、ローラRに代えて、X方向に沿ってテーブル16上や第1処理室17及び第2処理室18の底部にレールが敷設され、このレールに沿って移動可能なステージが使用されてもよい。この場合、ステージ上に被加熱体1が載置され、ステージの移動によって被加熱体1の移送を行う。
第1処理室17は、被覆部材8に被覆された被加熱体1を結晶化熱処理(図1のステップS32)してアモルファス合金をナノ結晶化する。第2処理室18は、被加熱体1に対して予熱処理(図1のステップS31)及び冷却処理(図1のステップS33)の少なくとも一方を行う。このように、予熱処理、結晶化熱処理を結晶化熱処理とは別の処理室で行う場合、それぞれの処理に適した状態に処理室を設定することができ、各処理を効率的に行うことができる。
第1処理室17及び第2処理室18は、被加熱体1を所定温度に加熱可能に形成される。例えば、第1処理室17及び第2処理室18は、それぞれ、炉室19、20と、電気ヒータ等の加熱装置21、22を備え、加熱装置21、22によって炉室19、20を所定温度に設定可能である。炉室19、20の内壁または外壁等には、例えば、断熱材等が配置され、炉内温度を保つように構成されてもよい。また、炉室19、20には、不図示のガス導入口やガス排出口が設けられてもよい。ガス導入口を介してガスを導入することにより、炉室19、20内の雰囲気を調整することができる。第1処理室17及び第2処理室18は、不図示の開閉可能な扉部が設けられており、扉部を閉じることにより炉室19、20を密閉し、扉部を開くことにより炉室19、20に被加熱体1を搬入または搬出することができる。
また、テーブル16や第1処理室17、第2処理室18には、流体を用いて外部に露出する部分を冷却する装置が設けられてもよい。また、第2処理室18には、例えば、ファンなどの気体撹拌装置や、エアを噴出するノズル装置など、被加熱体1に冷却用の気体を吹き付けるような装置が設けられてもよいし、水などの冷却用の液体を被加熱体1に噴射するような装置が設けられてもよい。
熱処理装置15は、被加熱体1の熱処理(図1のステップS3)を行う場合、先ず、テーブル16の−X側に載置された被加熱体1に対して、ローラRを駆動して被加熱体1を+X方向に移送し、第2処理室18に搬入する。被加熱体1を第2処理室18に搬入後、加熱装置22を駆動して炉室20内を昇温する。炉室20内が予熱処理に必要な温度まで昇温された後、予め設定された加熱時間で被加熱体1に対して予熱処理を行う。このとき第1処理室17の加熱装置21を駆動させ、炉室19を結晶化熱処理に必要な温度まで昇温しておく。
続いて、予熱処理の後、ローラRを駆動して被加熱体1を第2処理室18から+X方向に移送し、第1処理室17に搬入する。第1処理室17の炉室19内は、結晶化熱処理に必要な温度まで昇温されているので、被加熱体1の結晶化熱処理が炉室19への搬入とほぼ同時に開始される。このとき、第2処理室18の加熱装置22の駆動が停止され、例えば、炉室20に外気等が導入されることにより、炉室20内が常温となるように炉室20内の冷却が開始される。
続いて、結晶化熱処理の後、ローラRを駆動して被加熱体1を第1処理室17から−X方向に移送し、第2処理室18に搬入する。第2処理室18は、常温まで炉室20内が冷却されているので、被加熱体1の冷却処理が炉室20への搬入とほぼ同時に開始される。続いて、被加熱体1の冷却後、ローラRを駆動して被加熱体1を−X方向に移送し、第2処理室18から搬出する。このように、被加熱体1は、熱処理が完了した後、熱処理前の位置に戻った状態となる。
このように、上記した熱処理装置15によれば、被覆部材8に被覆された被加熱体1に対する熱処理を効率よく行うことができる。また、結晶化熱処理が他の処理とは別の処理室で行われるので、ナノ結晶化に必要な炉室19内の温度を精度よく設定することができる。
次に、図8(B)に示すように、熱処理装置15aは、被覆部材8と、テーブル16と、第1処理室17と、第2処理室18と、第3処理室23と、を備えて構成される。この熱処理装置15は、図8(A)に示す熱処理装置15と異なり、第1処理室17の+X側に第3処理室23が配置されている。テーブル16、第2処理室18、第1処理室17及び第3処理室23は、この順にX方向に並んで、互いに隣接して配置される。被覆部材8、テーブル16、第1処理室17及び第2処理室18は、上記した熱処理装置15と同様である。第3処理室23は、炉室24と、加熱装置25とを備え、被加熱体1を搬送するための複数のローラRが設けられている。また、第3処理室23は、被加熱体1を搬入または搬出するための不図示の扉部や、外気を炉室24に導入するための給気装置などが設けられてもよい。
この熱処理装置15aでは、第2処理室18において被加熱体1の予熱処理を行い、第1処理室17において被加熱体1の結晶化熱処理を行い、第3処理室23において冷却処理を行う。熱処理装置15aは、被加熱体1の熱処理(図1のステップS3)を行う場合、先ず、テーブル16の−X側に載置された被加熱体1に対して、ローラRを駆動して被加熱体1を+X方向に移送し、第2処理室18に搬入する。第2処理室18での被加熱体1の予熱処理については、上記した熱処理装置15と同様である。続いて、予熱処理の後、ローラRを駆動して被加熱体1を第2処理室18から+X方向に移送し、第1処理室17に搬入する。第1処理室17での被加熱体1の結晶化熱処理については、上記した熱処理装置15と同様である。
続いて、結晶化熱処理の後、ローラRを駆動して被加熱体1を+X方向に移送し、第1処理室17から第3処理室23に搬入する。第3処理室23は、炉室24が常温に設定されているので、被加熱体1の冷却処理が炉室24への搬入とほぼ同時に開始される。続いて、被加熱体1の冷却後、ローラRを駆動して被加熱体1を+X方向に移送し、第3処理室23から搬出する。なお、図示しないが、第3処理室23の+X側に、被加熱体1を搬出するためのテーブルが配置されてもよい。
このように、被加熱体1は、熱処理が完了した後、熱処理前の位置と異なる位置に搬出される。また、ローラRは、熱処理装置15と異なり、被加熱体1を+X方向のみに移送させるだけで足りる。従って、ローラRの駆動制御が簡単であり、装置構成を簡素化することができる。
また、被加熱体1は+X方向に移送されるので、被加熱体1に対する予熱処理、結晶化熱処理及び冷却処理を同時に行うことも可能である。例えば、被加熱体1を第1処理室17で結晶化熱処理する間に、別の被加熱体1を第2処理室18に搬入して予熱処理を行ってもよい。また、例えば、被加熱体1を+X方向に一定速度で移送する場合、第1処理室17の炉室19、第2処理室18の炉室20、第3処理室23の炉室24の、それぞれのX方向の長さを変えることにより各処理における処理時間を設定可能である。このように、予熱処理、結晶化熱処理及び冷却処理のうち少なくとも2つを同時に行うことにより、複数の被加熱体1に対して効率よく熱処理を行うことができる。
このように、上記した熱処理装置15aによれば、上記した熱処理装置15と同様の効果を有する。さらに、被加熱体1が一方向に移送され、各処理が特定の処理室により行われるので、各処理における温度管理が容易であり、被加熱体1の熱処理を容易に行うことができる。なお、熱処理装置15aにおいて、第3処理室23を設けるか否かは任意である。例えば、第3処理室23を設けずに、被加熱体1の冷却処理を単に外気中に放置することで行ってもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
[実施例]
上記したナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法により製造したナノ結晶軟磁性合金磁心の性能評価試験を行った。
ナノ結晶軟磁性合金磁心の製造は、以下のように行った。まず、図2(A)に示す磁心形状の被加熱体1を成形した。被加熱体1は、シート状のアモルファス合金3を芯金2に巻き付けた状態で成形した。なお、芯金2としては、鉄を主成分とする金属材料から形成され、図2(A)に示す、Y方向の長さが50mm、X方向の長さが144mm、Z方向の厚さが25mmのものを用いた。また、アモルファス合金3としては、Fe−Nb−B系合金からなる50mm幅のシート状のものを用いた。成形した被加熱体1のサイズは、図2(A)に示す、Y方向の長さが194mm、X方向の長さが100mm、Z方向の厚さが25mmであった。
次に、図5(A)及び(B)に示す被覆部材8により被加熱体1に接触した状態で、被加熱体1の芯金2を除いた表面を被覆した。なお、被覆部材8は、銅を主成分とする金属材料により形成され、厚みが約10mmのものを用いた。評価用のサンプルとして、被覆部材8で被覆した複数の被加熱体1と、被覆部材8で被覆しない複数の被加熱体1(比較例)とを用意した。
次に、各被加熱体1を熱処理することによりアモルファス合金3をナノ結晶化した。熱処理は、図8(A)に示す熱処理装置15を用い、予熱処理と、結晶化熱処理と、冷却処理とを行うことにより実施した。被加熱体1の熱処理については、図7とほぼ同様に行った。まず、第2処理室18で被加熱体1を室温から400℃まで、約10℃/minの昇温速度にて昇温し、被加熱体1を400℃で60分間保持することにより予熱処理を行った。予熱処理後、直ちに、被加熱体1を複数の結晶化熱処理温度で複数の処理時間保持することにより結晶化熱処理を行った。結晶化熱処理後、直ちに被加熱体1を室温に放置することにより冷却処理を行った。以上の工程により、平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を含有するナノ結晶軟磁性合金磁心を製造した。
次に、ナノ結晶軟磁性合金磁心の性能評価試験を行った。性能評価試験は、ナノ結晶軟磁性合金磁心の鉄損を測定することにより行った。鉄損の測定は、製造したナノ結晶軟磁性合金磁心の芯金を外したものに、1次コイル及び2次コイルを装着し、交流BH測定装置により、磁束密度1.33T、周波数50Hzの正弦波の交流磁界を与えることにより行った。なお、すべてのサンプルの鉄損の測定は、結晶化熱処理の温度及び時間を除いて、同一条件により行った。各サンプルの結晶化熱処理の温度及び時間は図9に示すとおりである。また、図9のグラフは、各サンプルについて、結晶化熱処理の温度と鉄損との関係を示している。図9に示すように、被覆部材8を用いたナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法により製造したものは、試験を行ったすべての結晶化熱処理温度及び結晶化熱処理時間の条件において、被覆部材8を用いない被加熱体1と比較して、鉄損が少ないことが確認された。
また、一部のサンプルについては、結晶化熱処理時のアモルファス合金3部分の温度を測定した。その結果を図10に示す。なお、図10では、被覆部材8を使用したサンプルと、使用しないサンプルと、を用い、異なる温度で結晶化熱処理している。図10に示すように、被覆部材8を被覆せずに結晶化熱処理を行った場合、結晶化熱処理時のアモルファス合金3の最大温度は、結晶化熱処理温度が560℃と低いにもかかわらず673℃まで上昇し、結晶化熱処理温度より約113℃高いものであった。これは、結晶化熱処理による結晶形成に伴いアモルファス合金3が発熱し、温度が上昇したことを意味する。一方、結晶化熱処理時に被覆部材8で被覆した場合、結晶化熱処理時のアモルファス合金3の最大温度は、結晶化熱処理温度が650℃と高いものの、結晶化熱処理温度より約24℃高いだけにとどまっている。この結果から、被覆部材8が、結晶化熱処理による結晶形成に伴うアモルファス合金3の温度上昇を抑制することが確認される。
すなわち、被覆部材8で被覆しない被加熱体1では、結晶化熱処理に際して材料の発熱により被加熱体1の温度が結晶化熱処理の温度より大幅に高くなっている。その結果、被加熱体1の温度が適正な熱処理条件を超えてしまい、図9に示すような鉄損の増加を招いている。一方、被覆部材8で被覆した被加熱体1では、結晶化熱処理を行ったときでも、材料の発熱を抑制、または材料の発熱を被覆部材8が吸収するので、被加熱体1の温度が熱処理設定温度より大幅に高くなることが抑制されている。
この性能評価試験の結果、被覆部材8により被加熱体1を被覆することにより、アモルファス合金3の結晶化に伴う温度上昇を効果的に抑制し、目的とする結晶化熱処理温度に近い温度でアモルファス合金の結晶化熱処理を行うことで、得られるナノ結晶軟磁性合金磁心の軟磁気特性の低下を防止できる。このことから、ナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法は、軟磁気特性が良好なナノ結晶軟磁性合金磁心を製造できることがわかる。
以上のように、実施形態に係るナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法によれば、ナノ結晶軟磁性合金磁心の材料であるアモルファス合金を熱処理する際、材料の温度が熱処理設定温度より高くなることを簡易な構成で確実に抑制することができ、軟磁気特性が良好なナノ結晶軟磁性合金磁心を製造することができる。
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、本発明の技術範囲は、上記の実施形態や実施例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態や実施例で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記の実施形態や実施例で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、上記した実施形態では、複数の処理室を持つ熱処理装置15、15aを示しているが、1つの処理室を持つ熱処理装置であってもよい。
1…被加熱体、2、2a〜2e…芯金、3…アモルファス合金、4、4a〜4c…穴部、8、8A…被覆部材、15、15a…熱処理装置、17…第1処理室、18…第2処理室

Claims (11)

  1. 平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を含み、軟磁気特性を有するナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法であって
    アモルファス合金により磁心形状の被加熱体を成形することと、
    前記アモルファス合金よりも熱伝導率が高い被覆部材により前記被加熱体に接触した状態で表面を被覆することと、
    前記被覆部材で被覆した前記被加熱体を熱処理することにより前記アモルファス合金をナノ結晶化することと、を含むナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法。
  2. 前記被加熱体は、シート状の前記アモルファス合金を芯金に巻き付けた状態で成形され、
    前記被覆部材は、前記被加熱体のうち前記芯金を除いた部分の表面を被覆する、請求項1に記載のナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法。
  3. 前記被覆部材として、前記被加熱体を収容可能に形成されたものが用いられ、
    前記被覆部材に前記被加熱体を収容することにより前記被加熱体の表面を被覆する、請求項1又は請求項2に記載のナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法。
  4. 前記被覆部材として、銅を含有する材料で形成されたものが使用される、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法。
  5. 前記熱処理は、予熱処理を行うことと、結晶化熱処理を行うことと、冷却処理を行うことと、を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法。
  6. 前記結晶化熱処理は、前記予熱処理及び前記冷却処理と異なる処理室で行う、請求項5に記載のナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法。
  7. 前記予熱処理は、前記結晶化熱処理より長い処理時間で行う、請求項5又は請求項6に記載のナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法。
  8. 前記芯金は、穴部を有する請求項2〜請求項7に記載のナノ結晶軟磁性合金磁心の製造方法。
  9. 平均結晶粒径が100nm以下の結晶粒を含み、軟磁気特性を有するナノ結晶軟磁性合金磁心を製造するための熱処理装置であって、
    アモルファス合金により磁心形状に成形された被加熱体に接触した状態で表面を被覆し、かつ、前記アモルファス合金よりも熱伝導率が高い被覆部材と、
    前記被覆部材に被覆された前記被加熱体を結晶化熱処理して前記アモルファス合金をナノ結晶化する第1処理室と、
    前記第1処理室に隣接して配置され、前記被覆部材に被覆された前記被加熱体に対して予熱処理及び冷却処理の少なくとも一方を行う第2処理室と、を備える熱処理装置。
  10. 前記被覆部材は、前記被加熱体を収容可能に形成される、請求項9に記載の熱処理装置。
  11. 前記被覆部材は、銅を含有する材料で形成される、請求項9又は請求項10に記載の熱処理装置。
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