JP2016189781A - 内分泌治療下における乳癌再発を予測するための方法 - Google Patents

内分泌治療下における乳癌再発を予測するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乳癌の疾患転帰の予後診断のための方法、キット及びシステムの提供。【解決手段】(a)上記患者由来の腫瘍試料において、以下の9つの遺伝子:UBE2C、BIRC5、RACGAP1、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPの少なくとも2つのRNA発現レベルを決定すること、(b)前記セットの遺伝子の発現レベル値であって、前記腫瘍試料において決定した当該値を数学的に組合せて、組合せスコアを得ること、但し、前記組合せスコアは前記患者の予後を示す、を含み、前記患者が、内分泌療法を受けているか、又は内分泌治療を受けることが予定されている、方法。;並びに前記キット及びシステムは前記方法を実施するためのものである。【選択図】なし

Description

本発明は、乳癌の疾患転帰の予後診断のための方法、キット及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、乳癌患者の腫瘍試料中のマーカー遺伝子の発現レベルの測定に基づく乳癌の予後診断に関する。
乳癌は、西側諸国において、女性における癌による死亡の主因の1つである。より具体的には、乳癌は、米国だけで、およそ40,000人の女性の生命を奪い、そして毎年およそ200,000人の女性において診断されている。最近数十年に渡り、全身性アジュバント療法は、早期乳癌において顕著な生存率の向上に繋がっている。この臨床上の経験により、大半の乳癌患者に対して全身性アジュバント療法を提案すると言う推奨の一致に繋がっている(EBCAG)。乳癌においては、一般的に実施される腫瘍の外科的除去及びそれに続く腫瘍床の放射線照射に加えて適用され得る、多数の治療オプションが利用可能である。3つの主な、そして概念的に異なる戦略は、内分泌治療、化学療法、及び標的療法を用いた治療である。内分泌剤(endocrine agents)を用いた治療のための必要条件は、腫瘍組織において、ホルモン受容体、すなわちエストロゲン受容体若しくはプロゲステロン受容体のいずれか、又はその両方が発現していることである。大規模な患者群において試験した際に異なる作用様式と疾患転帰における相違を有する、いくつかの内分泌剤が利用可能である。タモキシフェンは、過去30年、内分泌治療の主力であった。大規模臨床試験によって、タモキシフェンが腫瘍再発リスクを有意に減少させることが示された。さらなる治療オプションは、新規内分泌薬剤クラスに属するアロマターゼ阻害剤に基づくものである。エストロゲン結合の競合阻害剤であるタモキシフェンとは対照的に、アロマターゼ阻害剤は、エストロゲン自体の産生を遮断し、それによって、エストロゲン受容体陽性腫瘍細胞に対する増殖刺激を減少させる。それでも、内分泌治療にもかかわらず再発を経験する患者もあり、そして特に、これらの患者はさらなる療法薬剤から効果を得る可能性がある。アントラサイクリン、タキサン及びその他薬剤を用いた化学療法が、エストロゲン受容体陽性患者並びにエストロゲン受容体陰性患者において、疾患再発を減少させるのに効果があることが示されている。NSABP−20試験では、リンパ節転移陰性エストロゲン受容体陽性患者において、タモキシフェン単独と、タモキシフェンを追加した化学療法とが比較されたが、併用治療の方が、タモキシフェン単独よりも効果があることが示された。しかしながら、タモキシフェン単独と、タモキシフェンを追加した化学療法とが比較された、IBCSG IX試験は、細胞傷害性剤の添加について、何ら有意な効果は示されなかった。近年、腫瘍細胞表面上のHER2/neu抗原に対する抗体の全身投与が、Her2neu過剰発現腫瘍を有する患者において、再発リスクを数倍減少させることが示されている。さらに、全てではないとしても様々な薬剤治療の殆どのものは、患者の生活の質を著しく損ない得る多くの潜在的な副作用を有する(シャピロ(Shapiro)及びレヒト(Recht)、2001;ガンズ(Ganz)ら、2002)。このため、過剰治療並びに過少治療を回避するために、個々の患者に関し、注意深いリスク評価に基づいて治療戦略を選択することを余儀なくされる。HER2/neu陰性及びエストロゲン受容体陽性の腫瘍(管腔型)と比較して、HER2/neu陽性腫瘍、並びにHER2/neu及びエストロゲン受容体発現の欠如によって特徴付けられる腫瘍(基底型)において、化学療法の利点が相対的に大きいことから、治療決定が最も困難となるのは、悪性度分類、腫瘍サイズ又はリンパ節病変のような古典的な臨床要因が、化学療法を用いるべきか否かという疑問に明確な答えを提供しない管腔腫瘍に関係する。この医学的なニーズに対処するために、21遺伝子アッセイ、ゲノム・グレード指標アッセイ(genome grade index assay)並びその他、新規の分子ツールが開発されている。
治療ガイドラインは、通常、その分野において有名な専門家によって開発される。欧州においては、2009年以来、セント・ガレン(St Gallen)ガイドラインでは、HER2陽性乳癌患者、並びにHER2陰性及びER陰性疾患の患者に対して、化学療法が推奨されている。HER2陰性及びER陽性疾患の患者において、化学療法の有用性に関する不確実性が生じている。個人に対してバランスが取れた治療決定を行うため、癌再発の可能性が最も有用な基準として用いられている。リンパ節状態、腫瘍悪性度分類、腫瘍サイズ及びその他の臨床基準は、再発のリスクに関する情報を提供するため、有用である。最近になって、複数遺伝子アッセイは、標準臨床リスク因子よりも優れた情報、或いは該因子に対する付加的な情報を提供することが示されている。増殖マーカーは有力な予後情報を提供するものと思われると、一般に認識されている。こうした予測因子の優れた例としては、アジェンディア(Agendia)社のマンマプリント(Mammaprint)試験、ベリデックス(Veridex)社の再発スコア(Relapse Score)、及びジュール・ボルデ(Jules Bordet)研究所で開発され、そしてイプソジェン(Ipsogen)社にライセンス供与されたゲノム・グレード・インデックス(Genomic Grade Index)がある。これらアッセイは全て、少なくとも70個の遺伝子の発現レベルの決定に基づいており、そして、全て、ホルマリン固定及びパラフィン包埋によってひどく分解はを受けておらず、[アールエヌレーター(商標)(RNLaterTM)中で輸送]新鮮な組織から単離されたRNA用に開発されている。別の優れた複数遺伝子アッセイは、ジェノミック・ヘルス社(Genomic Health Inc.)の再発スコア試験(Recurrence Score test)である。該試験は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料からRNAを抽出後、16個の癌関連遺伝子及び5個の参照遺伝子の発現レベルを決定する。
しかしながら、現在のツールは、最も重要な臨床リスク群、即ち標準的な臨床パラメータに基づいて中間の再発リスクを有する乳癌患者において、臨床的有効性及び有用性に欠けている。従って、患者予後診断に基づいて、治療決定を最適化する、より優れたツールが必要である。化学療法を回避する臨床的有用性に関しては、術後、終には遠隔転移を発症してしまう患者を過少治療しないために、高い感度及び高い陰性適中率の試験が必要である。
アジュバント療法について臨床的決定を行うのに有用な材料及び方法の継続的な必要性に関し、本発明は、容易にアクセス可能な臨床的及び実験的データに基づいて、乳癌の予後診断のための進歩した方法の必要性を満たす。
定義
特段に定義しない限り、本明細書で用いる技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。
「癌」と言う用語は、如何なる、病期、悪性度分類、組織形態学的特徴、侵襲性、或いは罹患組織又は細胞凝集の悪性度にも限定されるものではない。
疾患の「転帰を予測する」と言う用語は、本明細書において、所定の療法を受けている患者の転帰の予測、及び治療されていない患者の予後診断の両方を含むものと意図される。「転帰の予測」と言う用語は、特に、患者が、転移若しくは局所再発を発症するか、又は死するリスクに関係する。
「予測」と言う用語は、本明細書において、腫瘍を所定の療法で治療した際の、腫瘍悪性度の個別評価、又は予測される患者の生存率[全生存(overall survival;OAS)若しくは無病生存率(disease free survival;DFS)]に関する。これとは対照的に、「予後診断」と言う用語は、腫瘍が未治療のままであった際の、腫瘍悪性度の個別評価、又は予測される患者の生存率[全生存(overall survival;OAS)若しくは無病生存率(disease free survival;DFS)]に関する。
本発明の意義の範囲内において「転帰」とは、疾患経過において到達する所定の状態である。この疾患転帰は、例えば、臨床状態であってもよく、例えば「疾患の再発」、「転移の発症」、「リンパ節転移の発症」、「遠隔転移の発症」、「生存」、「死亡」、「腫瘍寛解率」、病期又は悪性度分類等の臨床状態であってもよい。
「リスク」とは、被験体又は患者が特定の疾患転帰を発症又は到達する可能性に関する数値であると解される。「リスク」という用語は、本発明の背景において、患者の健康状態に関する、任意の肯定的意味合い又は否定的意味合いを有するとは解されず、単に、所定の状態の発生又は進行の可能性又は尤度を指す。
「臨床データ」と言う用語は、患者の健康状態に関する入手可能なデータ及び情報の全体に関するものであり、限定されるものでは無いが、年齢;性別;体重;閉経/ホルモン状態;疾病学的データ(etiopathology data);既往歴データ;組織病理学;血液検査若しくは尿検査などのインビトロ診断法によって得られたデータ;X線、コンピュータ断層撮影、MRI、PET、スペクト(spect)、超音波等の画像検査法;電気生理学的データ、遺伝子解析、遺伝子発現解析、生検評価、術中所見が含まれる。
「リンパ節陽性」、「リンパ節陽性と診断される」、「結節転移」又は「リンパ節転移」と言う用語は、リンパ節転移があると以前診断されている患者を意味する。これは、排出リンパ節、近傍リンパ節、及び遠位リンパ節転移の両方を含むものとする。この過去の診断法自体は、本発明の方法の一部を形成しない。寧ろ、これは、患者を選択するための前提条件であり、その患者の試料が本発明の一実施形態に用いられ得る。この過去の診断法は、当該技術分野に知られる任意の適切な方法によって為されるかもしれず、その方法には、限定される訳ではないが、リンパ節切除及び病理分析、生検分析、転移を示すバイオマーカーのインビトロ解析、画像診断法(例えば、コンピュータ断層撮影、X線、磁気共鳴イメージング、超音波)、及び術中所見が含まれる。
本発明の背景において、「生体試料」とは、生物有機体に由来するか、又は生物有機体と接触している試料である。生体試料の例としては、細胞、組織、体液、洗浄液、塗抹標本試料、生検標本、血液、尿、唾液、痰、血漿、血清、細胞培養上清等がある。
「腫瘍試料」とは、無傷(インタクト;intact)であるか、或いは分解されている腫瘍細胞を含有する生体試料である。該試料は、任意の生物組織又は体液であってもよい。こうした試料には、限定されるわけではないが、痰、血液、血清、血漿、血球(例えば、白血球)、組織、針生検試料若しくは細針生検試料、細胞含有体液、尿、腹水、及び胸水、脳脊髄液、涙液、又はそれらから単離された細胞が含まれる。これにはまた、組織切片も含まれてもよく、例えば組織学的目的のために採取された凍結切片又は固定切片、或いは顕微解剖された細胞又はその細胞外部分も含まれ得る。分析すべき腫瘍試料は、吸引若しくは穿刺、切除によって、或いは生検若しくは切除された細胞材料を導くそn他任意の外科的方法によって採取された新生物病変由来の組織材料であってもよい。こうしたものは、患者から得られる腫瘍細胞又は腫瘍細胞断片を含む。細胞は、例えば乳頭吸引、乳管洗浄細胞診、細針生検によって採取した、或いは誘発性乳頭分泌物若しくは自発性乳頭分泌物から採取した、細胞「塗抹標本(スメア;smear)」中で見られてもよい。別の実施形態においては、試料は体液である。こうした液には、例えば、血液、血清、血漿、リンパ液、腹水、婦人科体液、又は尿が含まれるが、これらの液に限定されるものではない。
「遺伝子」とは、機能性RNA産物を産生するのに必要な情報を含有する核酸セグメントのセットである。「遺伝子産物」とは、遺伝子の転写又は発現を通じて産生される生体分子であり、例えば、mRNA、cDNA又は翻訳されたタンパク質がある。
「mRNA」とは、遺伝子の転写産物であり、当業者によって理解される一般的な意味を有するものである。「mRNA由来の分子」は、mRNA鋳型から化学的に又は酵素的に得られる分子であり、例えばcDNAがある。
「発現レベル」と言う用語は、遺伝子発現の決定されたレベルを指す。これは、絶対値として決定された遺伝子発現レベルであってもよいし、或いは参照遺伝子(例えばハウスキーピング遺伝子)と比較して決定された遺伝子発現レベルであってもよいし、2個以上の参照遺伝子の平均と比較して決定された遺伝子発現レベルであってもよいし、或いは(例えばDNAチップ解析において)平均発現値と比較して決定された遺伝子発現レベルであってもよいし、或いは参照試料を用いること無く別の情報を与える、情報提示遺伝子(インフォマティブ遺伝子;informative gene)と比較して決定された遺伝子発現レベルであってもよい。遺伝子発現レベルは、例えばその遺伝子のmRNA転写物の量にシグナル強度が相関するシグナルを得ることによって直接に測定されてもよいし、或いは例えば免疫組織化学法、CISH法、ELISA法又はRIA法によって、タンパク質レベルで間接に、遺伝子発現レベルを得てもよい。発現レベルは、また、参照試料に対する競合反応によって得てもよい。アッセイにおいて、何らかの物理的パラメータ、例えば蛍光発光を測定することによって決定される発現値を、さらなる情報プロセシングのために用いられ得る数値として割り当ててもよい。
本発明の意義の範囲内において「発現レベルの参照パターン」とは、発現レベルの別のパターンと比較するために用いられ得る、発現レベルの任意のパターンとして解される。本発明の好ましい実施形態においては、発現レベルの参照パターンは、例えば、参照群の役割を果たす、健常個体群、疾患罹患個体群、又は特定種類の治療法を受けている疾患罹患個体群、或いは転帰良好若しくは転帰不良である個体群で観察される発現レベルの平均パターンである。
本発明の意義の範囲内において「発現レベルを数学的に組合せる」と言う用語は、決定した遺伝子発現レベルから数値を得ること、並びに1以上の当該数値にアルゴリズムを適用し、組合せ数値(combined numerical value)又は組合せスコア(combined score)を得ることであると解される。
「アルゴリズム」とは、ある一連の演算を実施し、情報を生じるプロセスである。
「スコア」とは、アルゴリズムを用いて発現レベルを数学的に組合せることによって得られた数値である。スコアはまた、発現レベル、並びに例えば臨床データ等のその他情報から得てもよい。スコアは、患者の疾患の転帰に関連し得る。
「識別関数」は、対象又は事象を分類するのに用いられる変数セットの関数である。従って、識別関数は、患者、試料又は事象から入手可能なデータ又はパラメータに応じて、患者、試料又は事象を、一のカテゴリー又は複数のカテゴリーに分類することを可能にする。こうした分類は、当業者に周知の統計分析の標準的手段である。例えば、患者は、上記患者、試料又は事象から得られたデータに応じて、「高リスク」若しくは「低リスク」、「転移の可能性が高い」若しくは「転移の可能性が低い」、「治療が必要」若しくは「治療が不要」と分類され得る。分類は、「高いに対して低い」に限定されず、複数のカテゴリー、グレード決定等で実施され得る。分類はまた、広義には識別スコアとして解され、この場合、例えば相対的に高いスコアが遠隔転移の可能性が比較的高いこと、例えば遠隔転移の(全)リスクを表す。分類を可能にする識別関数の例には、これらに限定されるものでは無いが、サポート・ベクタ・マシン(support vector machines;SVM)、k近傍法(k-nearest neighbors;kNN)、(単純)ベイズモデル[(naive) Bayes models]、線形回帰モデルによって定義される関数、又は、例えばサブグループ発見において、決定木(ディシジョン・ツリー)において、データの論理的分析(logical analysis of data;LAD)等において、区分的に定義される関数が含まれる。広義には、数学的方法又はアルゴリズムの連続スコア値が説明のため例示され、例えば相関係数、予測、サポート・ベクタ・マシン・スコア、その他の類似性に基づく方法、これらの組合せ等が挙げられる。
「治療方法(therapy modality)」、「治療様式(therapy mode)」、「レジメン(regiomen)」並びに「治療レジメン(therapy regimen)」と言う用語は、癌療法のための、抗腫瘍剤、及び/又は抗血管形成剤、及び/又は免疫刺激剤、及び/又は血球増殖剤、及び/又は放射線療法、及び/又は温熱療法、及び/又は低体温法の適時連続した若しくは同時の投与又は適用を指す。これらの投与は、アジュバント様式及び/又はネオアジュバント様式で実施し得る。こうした「プロトコル」の構成は、単一薬剤の投与量、適用の時間枠、及び定義された療法ウインドウ(therapy window)内での投与頻度において、変化し得る。現在、様々な薬剤及び/又は様々な物理的方法の多様な組合せ、並びに多様なスケジュールが研究されている。
「細胞毒性化学療法」は、細胞増殖及び/又は細胞生存に影響を及ぼす様々な治療法を指す。治療には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、並びにモノクローナル抗体及びキナーゼ阻害剤を含むその他抗腫瘍剤の投与が含まれ得る。特に、細胞毒性治療は、タキサン治療と関連し得る。タキサンは、微小管機能を阻害することによって、細胞分裂を遮断する植物アルカロイドである。原型のタキサンは、元来はタキソールとして知られる天然物のパクリタキセル(paclitaxel)であり、タイヘイヨウイチイ(Pacific Yew)の樹木の樹皮から初めて得られたものである。ドセタキセル(docetaxel)はパクリタキセルの半合成類似体である。タキサンは、微小管の安定性を増進させ、分裂後期中の染色体の分離を防止する。
「内分泌治療」又は「ホルモン治療」(ときに「抗ホルモン治療」ともまた称される)は、ホルモンシグナル伝達を標的とする治療を指し、例えば、ホルモン阻害、ホルモン受容体阻害、ホルモン受容体アゴニスト又はアンタゴニストの使用、スカベンジャー受容体又はオーファン受容体の使用、ホルモン誘導体の使用、及びホルモン産生への干渉がある。特定の例としては、エストロゲン受容体のシグナル伝達を調節するタモキシフェン(tamoxifen)療法、又はステロイドホルモン産生を干渉するアロマターゼ治療がある。
タモキシフェンは、乳癌の治療に用いられる経口活性選択的エストロゲン受容体調節薬(selective estrogen receptor modulator;SERM)であり、そして現在、この目的のために、世界で最も販売実績がある薬剤である。タモキシフェンは、ノバデックス(Nolvadex)、イスツバル(Istubal)、及びバロデックス(Valodex)と言う商標名で販売されている。しかしながら、該薬剤は、特許満了前であっても、一般名「タモキシフェン」の一般名で広く参照されていたし、さらに、依然として広くそのように参照されている。タモキシフェン及びタモキシフェン誘導体は、腫瘍及びその他標的組織上のエストロゲン受容体に競合的に結合し、RNA合成を減少させ、かつエストロゲン効果を阻害する核複合体を生成する。
ステロイド受容体は、ステロイドホルモンに関するシグナル伝達を行う細胞内受容体(典型的には細胞質)である。例には、I型受容体、特に性ホルモン受容体、例えばアンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体;グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体;及びII型受容体、例えばビタミンA受容体、ビタミンD受容体、レチノイド受容体、甲状腺ホルモン受容体が含まれる。
「ハイブリダイゼーションに基づく方法」と言う用語は、本明細書において、相補的な一本鎖核酸又はヌクレオチド類似体を結合し、単一の二本鎖分子にするプロセスを与える方法を指す。ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体は、通常の条件下でその相補体に結合し、その結果、2つの完全に相補的な鎖は、互いに容易に結合する。生物解析においては、相補的な標的配列を見出すため、頻繁に標識された一本鎖プローブが用いられる。こうした配列が試料中に存在するならば、プローブは上記配列にハイブリダイズし、次いでこれを標識によって検出することが出来る。ハイブリダイゼーションに基づくその他の方法は、マイクロアレイ法及び/又はバイオチップ法を含む。これらの方法では、プローブは固相に固定されており、該固相を次いで試料に曝露する。相補的な核酸が試料中に存在する場合、これらはプローブにハイブリダイズし、従って検出することが出来る。これらの手法はまた、「アレイに基づく方法」として知られている。ハイブリダイゼーションに基づくさらに別の方法は、以下に記載されるPCRである。発現レベルの決定の場合、例えばハイブリダイゼーションに基づく方法を用いて、所定の遺伝子に関するmRNAの量を決定し得る。
遺伝子又はその断片の配列に特異的に結合することが可能であるオリゴヌクレオチドは、遺伝子又は遺伝子産物、例えば遺伝子のmRNA若しくはcDNA、又はそれらの断片に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドに関する。遺伝子又は遺伝子産物を特異的に検出するために、遺伝子の全配列を検出する必要はない。約20〜150塩基の断片は、特異的ハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な配列特異的情報を含む。
「PCRに基づく方法」という用語は、本明細書において、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む方法に関する。これは、インビトロの酵素による複製によって、核酸、例えばDNAを指数関数的に増幅する方法である。PCRは、インビトロ技術であるため、DNAと言う形態に制限されることなく実施可能であり、大幅に改変し、広範囲の遺伝子操作を実施することが可能である。発現レベルの決定に関しては、例えば、PCRに基づく方法を用いて、(1)逆転写酵素を用いて、完全mRNAプール(いわゆるトランスクリプトーム)をcDNAに逆転写し、さらに(2)各プライマーを用いて、所定のcDNAの存在を検出することによって、所定のmRNAの存在を検出することも出来る。この手法は、一般に、逆転写酵素PCR(rtPCR)として知られている。
さらに、PCRに基づく方法は、例えばリアルタイムPCRを含み、発現レベルの解析、キネティックPCR又は定量的PCR(qPCR)に特に適している。
「定量的PCR」(qPCR)と言う用語は、試料中の鋳型の定量を可能にする任意の種類のPCR法を指す。定量リアルタイムPCRは、例えばタックマン(TaqMan)技術又はライトサイクラー(LightCycler)技術のような性能又は産物検出の様々な技術を含む。タックマン(TaqMan)技術では、例えば、二重標識蛍光プローブを用いる。タックマン(TaqMan)リアルタイムPCRでは、従来のPCRにおけるような終点ではなくて、PCRの指数関数段階の間でのフルオロフォアを介した産物の蓄積を測定する。産物の指数関数的増加を用いて、閾値サイクルのCT、即ち蛍光における有意な指数関数的増加が検出されるPCRサイクルの数が決定されるが、このCTは、反応に存在するDNA鋳型のコピー数に直接相関するものである。反応の設定は、従来のPCRに非常に類似するものであるが、PCRチューブ中の蛍光分子の測定を可能にするリアルタイムサーマルサイクラー中で実施される。通常のPCRとは異なり、タックマン(7TaqMan)リアルタイムPCRにおいては、プローブが、すなわちDNA鋳型内の20〜60個のヌクレオチドのセグメントに相補的であり、かつ2つのプライマーの間に位置する一本鎖オリゴヌクレオチドが、反応に添加される。蛍光レポーター又はフルオロフォア(例えば6−カルボキシフルオレセイン、頭字語:FAM、又はテトラクロロフルオレセイン、頭字語:TET)及び消光剤(例えばテトラメチルローダミン、頭字語:TAMRA、又はジヒドロシクロピロロインドール・トリペプチド「ブラックホール消光剤」、頭字語:BHQ)を、プローブの5’末端及び3’末端それぞれに共有結合させる[2]。プローブに結合させたフルオロフォア及び消光剤の間が非常に近接していると、フルオロフォアからの蛍光が阻害される。PCRの間、DNA合成が開始すると、Taqポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性が、鋳型にアニーリングしているプローブのその部分を分解する。プローブの分解によって、プローブから蛍光が放出され、消光剤への近接状態が解除されることにより消光効果が軽減され、かつフルオロフォアの蛍光放出が可能になる。従って、リアルタイムPCRサーマルサイクラーにおいて検出される蛍光は、放出されたフルオロフォア及びPCR中に存在するDNA鋳型の量に直接比例する。
「アレイ」又は「マトリックス」は、装置上のアドレス可能な位置又は「アドレス」の配置を意味する。位置は、二次元アレイ、三次元アレイ、又はその他マトリックス形式で配置されてもよい。位置の数は、数個から少なくとも数十万の範囲であり得る。最も重要ことは、各位置は、完全に独立な反応部位に相当する。アレイには、限定されるものでも無いが、核酸アレイ、タンパク質アレイ及び抗体アレイが含まれる。「核酸アレイ」とは、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド類似体のポリマー、モルホリノ又は遺伝子のより大きい部分等の核酸プローブを含有するアレイを指す。アレイ上の核酸及び/又は類似体は、好ましくは一本鎖である。プローブがオリゴヌクレオチドであるアレイは、「オリゴヌクレオチド・アレイ」又は「オリゴヌクレオチド・チップ」と称される。本明細書において「マイクロアレイ」はまた、少なくとも約100/cm2、好ましくは少なくとも約1000/cm2の密度の不連続部位を有する領域のアレイである、「バイオチップ」又は「生物学的チップ」も指す。
本発明の意義の範囲内において「プライマー対」及び「プローブ」とは、分子生物学の分野において当業者に周知である、これら用語の一般的な意味を有するものとする。本発明の好ましい実施形態においては、「プライマー対」及び「プローブ」は、検出し又は定量しようとする標的ポリヌクレオチドの領域に同一であるか、相補的であるか、相同であるか、又は該領域の相補体に相同である配列を有するポリヌクレオチド分子と解される。さらに別の実施形態においては、ヌクレオチド類似体はまた、プライマー及び/又はプローブとしての使用のためにも構成される。キネティックPCR又はリアルタイムPCRのアプリケーションのために用いられるプローブ技術は、例えば、アプライド・バイオシステムズ社(Applied Biosystems)から入手可能なタックマン(TaqMan)(登録商標)システム、スコーピオン(Scorpion)(登録商標)プライマー等の伸長プローブ、デュアル・ハイブリダイゼーション・プローブ(Dual Hybridisation Probes)、ケミコン・インターナショナル社(Chemicon International, Inc)から入手可能なアンプリフルア(Amplifluor)(登録商標)、又は小溝結合剤(minor groove binder)であり得る。
本発明の意義の範囲内において、「個々に標識されたプローブ」とは、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド又はヌクレオチド類似体、並びにプローブの検出又は定量に有用な標識を含む分子プローブと解される。好ましい標識は、蛍光分子、発光分子、放射性分子、酵素分子、及び/又は消光分子である。
本発明の意義の範囲内において、「アレイ化プローブ」とは、固定されたプローブの集合であると解され、好ましくは規則的な配置で固定されたものである。本発明の好ましい実施形態においては、個々の「アレイ化プローブ」は、固体支持体上、例えば「チップ」上のそれら各位置によって特定され得る。
「実質的に相同な」と言う用語は、一本鎖核酸配列に関係して用いられる場合、上記のような低ストリンジェンシーの条件下で、一本鎖核酸配列にハイブリダイズ可能な(すなわちその相補体である)任意のプローブを指す。
発明の概要
一般論としては、本発明は、結節陰性又は結節陽性、エストロゲン受容体陽性、かつHER2/NEU陰性の乳癌患者、特に内分泌療法を受けている患者、例えばタモキシフェンで治療されている患者の再発リスクを評価する方法を提供する。エストロゲン受容体状態は、一般に、免疫組織化学法を用いて決定され、HER2/NEU(ERBB2)状態は、一般に、免疫組織化学及び蛍光インサイチュ・ハイブリダイゼーションを用いて決定される。しかしながら、エストロゲン受容体状態及びHER2/NEU(ERBB2)状態は、本発明のためには、例えば免疫組織化学法、蛍光インサイチュー・ハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization;FISH)、又はRNA発現解析等の任意の適切な方法によって決定され得る。
本発明は、乳癌患者の、エストロゲン受容体陽性かつHER2陰性である腫瘍において乳癌の転帰を予測するための方法であって、
(a)上記患者由来の腫瘍試料において、以下の9つの遺伝子:UBE2C、BIRC5、RACGAP1、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPの少なくとも2つのRNA発現レベルを決定すること、
(b)上記セットの遺伝子の発現レベル値であって、上記腫瘍試料において決定した当該値を数学的に組合せて、組合せスコアを得ること、但し、上記組合せスコアは上記患者の予後を示す、
を含む、上記方法に関する。一の実施形態においては、少なくとも3個、4個、5個又は6個の遺伝子が選択される。
本発明のさらなる実施形態においては、当該方法は、以下を含む:
(a)上記患者由来の腫瘍試料において、以下の8つの遺伝子:UBE2C、RACGAP1、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPのRNA発現レベルを決定すること、
(b)上記セットの遺伝子の発現レベル値であって、上記腫瘍試料において測定した当該値を数学的に組合せて、組合せスコアを得ること、但し、上記組合せスコアは上記患者の予後を示す。
さらなる実施形態においては、本発明の方法は、以下を含む:
(a)上記患者由来の腫瘍試料において、以下の8つの遺伝子:UBE2C、BIRC5、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPのRNA発現レベルを測定すること、
(b)上記セットの遺伝子の発現レベル値であって、上記腫瘍試料において測定した当該値を数学的に組合せて、組合せスコアを得ること、但し、上記組合せスコアは上記患者の予後を示す。
本発明のさらに別の実施形態においては、
BIRC5は、UBE2C又はTOP2A又はRACGAP1又はAURKA又はNEK2又はE2F8又はPCNA又はCYBRD1又はDCN又はADRA2A又はSQLE又はCXCL12又はEPHX2又はASPH又はPRSS16又はEGFR又はCCND1又はTRIM29又はDHCR7又はPIP又はTFAP2B又はWNT5A又はAPOD又はPTPRTによって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
UBE2Cは、BIRC5又はRACGAP1又はTOP2A又はAURKA又はNEK2又はE2F8又はPCNA又はCYBRD1又はADRA2A又はDCN又はSQLE又はCCND1又はASPH又はCXCL12又はPIP又はPRSS16又はEGFR又はDHCR7又はEPHX2又はTRIM29によって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
DHCR7は、AURKA、BIRC5、UBE2C、又は、BIRC5若しくはUBE2Cを置換し得る任意のその他遺伝子によって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
STC2は、INPP4B又はIL6ST又はSEC14L2又はMAPT又はCHPT1又はABAT又はSCUBE2又はESR1又はRBBP8又はPGR又はPTPRT又はHSPA2又はPTGER3によって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
AZGP1は、PIP又はEPHX2又はPLAT又はSEC14L2又はSCUBE2又はPGRによって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
RBBP8は、CELSR2又はPGR又はSTC2又はABAT又はIL6STで置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
IL6STは、INPP4B又はSTC2又はMAPT又はSCUBE2又はABAT又はPGR又はSEC14L2又はESR1又はGJA1又はMGP又はEPHX2又はRBBP8又はPTPRT又はPLATによって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
MGPは、APOD又はIL6ST又はEGFRによって置換されてもよい、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される。
本発明の一態様によれば、上記のような方法であって、上記組合せスコアが、細胞毒性化学療法の効果を示す、当該方法が提供される。
患者が内分泌療法を受ける前に、本発明の方法を用いると、内分泌療法の有効性の予測が可能になる。
以下の表2には、上記マーカー遺伝子のそれぞれの過剰発現が、内分泌療法を受けている患者において、転帰良好又は転帰不良を示すかどうかが示されている。従って、当業者は、所定の遺伝子の効果を考慮に入れた数学的組合せ、即ちアルゴリズムを構築することも可能である。例えば、その過剰発現が転帰良好を示す遺伝子の和又は加重和は、高いリスクスコアが転帰良好を示すアルゴリズムとなる。アルゴリズムの有効性は、臨床記録とともに患者の腫瘍試料を分析することによって調べてもよく、例えば、転帰良好の患者及び転帰不良の患者についてスコアを別々に決定し、そして比較してもよい。当業者となる生物統計学者は、さらなる数学的方法、例えば識別関数を適用して、最適化されたアルゴリズムを得ることを知っている。アルゴリズムは、例えば感度又は特異性に関して最適化され得る。アルゴリズムは、マーカー遺伝子の遺伝子発現を測定するために用いられる特定の解析プラットフォーム、例えば定量的PCRに適応され得る。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、上記内分泌療法がタモキシフェン又はアロマターゼ阻害剤を含む、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、再発するリスクが予測される、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、、上記の如く方法であって、上記発現レベルが非タンパク質発現レベルとして決定される、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、上記発現レベルがRNA発現レベルとして決定される、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、上記発現レベルが以下の少なくとも1つによって決定される、当該方法が提供される:
PCRに基づく方法、
マイクロアレイに基づく方法、及び
ハイブリダイゼーションに基づく方法。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、発現レベルの上記決定が、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍試料又は新鮮凍結腫瘍試料におけるものである、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現レベルが、少なくとも1つの参照遺伝子又は計算平均発現値に対する発現パターンとして決定される、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、数学的に組合せる上記工程が、所定の遺伝子の発現レベルを表す値にアルゴリズムを適用する工程を含む、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、上記アルゴリズムが、所定の遺伝子の発現レベルを表す上記値の線形結合(linear combination)である、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、所定の遺伝子の発現レベルの代表値に関する値に係数が乗じられる、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であり、1つ、又は2つ以上の閾値が上記組合せスコアに関して決定される方法であって、該閾値が、該組合せスコアに当該閾値を適用することによって、高リスク及び低リスク;高リスク、中間リスク及び低リスク;又はそれより多いリスク群に識別する、上記方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、高い組合せスコアは、より積極的な療法、例えば細胞毒性化学療法の効果を示す、当該方法が提供される。当業者は、この点で「高スコア」が、参照値又はカットオフ値に関連すると理解する。当業者はさらに、組合せスコアを得るために用いる特定のアルゴリズムに応じて、カットオフ値又は参照値よりも低い「低」スコアもまた、より積極的な療法、例えば細胞毒性化学療法の効果を示し得ることを理解する。これは、転移の高リスクと正の相関を有する遺伝子をアルゴリズムの要素として考慮し、その結果、全体の高スコアが、高リスクとの正の相関を有する遺伝子の高発現を示す場合である。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、上記遺伝子の発現レベル値を数学的に組合せて、組合せスコアを得る工程において、患者の結節状態に関する情報が処理される、当該方法が提供される。
本発明の一態様によれば、上記の如く方法であって、上記結節状態が陰性である場合、結節状態に関する上記情報は≦0の数値であり、並びに、上記結節状態が陽性であるか又は未知である場合、当該情報は>0の数値である、上記方法が提供される。本発明の例示的な実施形態においては、陰性の結節状態は値0を割り当てられ、未知の結節状態は値0.5を割り当てられ、並びに陽性の結節状態は値1を割り当てられる。アルゴリズム内では、結節状態の異なる加重を反映するのに、その他の値を選択し得る。
本発明はさらに、上記の如く方法を実施するためのキットであって、該キットは、遺伝子の組合せにおける該遺伝子の配列に又は該遺伝子の断片の配列に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドセットを含み、
(i)上記組合せが、以下の少なくとも8つの遺伝子:UBE2C、BIRC5、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPを含むか;又は
(ii)上記組合せが、以下の少なくとも10の遺伝子:BIRC5、AURKA、PVALB、NMU、STC2、RBBP8、PTGER3、CXCL12、CDH1、及びPIPを含むか;又は
(iii)上記組合せが、以下の少なくとも9つの遺伝子:BIRC5、DHCR7、RACGAP1、PVALB、STC2、IL6ST、PTGER3、CXCL12、及びABATを含むか;又は
(iv)上記組合せが、以下の少なくとも9つの遺伝子:DHCR7、RACGAP1、NMU、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPを含む、
上記キットに関する。
本発明はさらに、請求項1から17の何れか1項に記載の方法を実施するためのキットの使用であって、該キットは、遺伝子の組合せにおける該遺伝子の配列に又は該遺伝子の断片の配列に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドセットを含み、
(i)上記組合せが、以下の少なくとも8つの遺伝子:UBE2C、BIRC5、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPを含むか;又は
(ii)上記組合せが、以下の少なくとも10の遺伝子:BIRC5、AURKA、PVALB、NMU、STC2、RBBP8、PTGER3、CXCL12、CDH1、及びPIPを含むか;又は
(iii)上記組合せが、以下の少なくとも9つの遺伝子:BIRC5、DHCR7、RACGAP1、PVALB、STC2、IL6ST、PTGER3、CXCL12、及びABATを含むか;又は
(iv)上記組合せが、以下の少なくとも9つの遺伝子:DHCR7、RACGAP1、NMU、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPを含む、
上記使用に関する。19.AKR1C3遺伝子、MAP4遺伝子及びSPR1遺伝子の発現レベルを表す値を処理し、組合せスコアを得ることが可能なコンピュータプログラム製品であって、該装置は、上記値を数学的に組合せることによって該値を処理し、組合せスコアを得ることが可能であり、上記組合せスコアは、患者における細胞毒性化学療法の効果を示す、上記コンピュータプログラム製品。
本発明はさらに、遺伝子の組合せの発現レベルを表す値を処理することが可能なコンピュータプログラム製品であって、上記値を数学的に組合せることによって該値を処理し、組合せスコアを得ることが可能であり、上記組合せスコアは、患者における細胞毒性化学療法の効果を示す、上記コンピュータプログラム製品に関する。
上記コンピュータプログラム製品は、データ記憶媒体上に保存されてもよいし、又は所定の遺伝子の発現レベルを表す値を出力することが可能な診断システム上に実装されてもよく、例えばリアルタイムPCRシステム上に実装されてもよい。
コンピュータプログラム製品が、データキャリアー上に保存されるか、又はコンピュータ上で実行される場合、操作する者は、各遺伝子の発現レベルに関して得られた発現値を入力することが出来る。次いで、コンピュータプログラム製品は、アルゴリズムを適用して、所定の患者に関して、細胞毒性化学療法の効果を示す組合せスコアを生成し得る。
本発明の方法は、少数の遺伝子のみ用いることに基づいて、疾患転帰の信頼性が高い予測を提供するという利点を有する。本発明の方法は、特に、内分泌治療、例えばタモキシフェンによるものに対する、ESR1陽性及びERBB2陰性と分類される腫瘍を有する患者の反応を分析するのに適していることが見出されている。
図1は、組合せ群におけるT5スコアの95%信頼区間を伴う補正ハザード単位比のフォレストForrestプロット)、並びに遠隔転移を終点として用いた、ABCSG06及び08研究の個々の治療群を示す。 図2は、T5スコア値に従って、高リスク又は低リスクとして階層化した、組合せABCSG06及び08群に由来のER+、HER−、N0−3患者のカプラン・マイヤー(Kaplan Meier)分析を示す。 図3は、訓練データにける発現の結合分布を示す。
本発明を、例示的実施形態及び付随する図とともに説明する。
図1は、組合せ群におけるT5スコアの95%信頼区間を伴う補正ハザード単位比のフォレストForrestプロット)、並びに遠隔転移を終点として用いた、ABCSG06及び08研究の個々の治療群を示す。
図2は、T5スコア値に従って、高リスク又は低リスクとして階層化した、組合せABCSG06及び08群に由来のER+、HER−、N0−3患者のカプラン・マイヤー(Kaplan Meier)分析を示す。
本明細書において提示される新規予測試験のためのアルゴリズムとするために組合せることが出来るマーカー遺伝子の特有な組合せが、本明細書において開示される。技術的には、本発明の方法は、以下の2つの技術を用いて実施され得る:1)新鮮腫瘍組織又は固定腫瘍組織からのトータルRNAの単離、並びに2)上記単離核酸のキネティックRT−PCR。或いは、代替技術を用いることによって、例えばマイクロアレイによって、又はタンパク質レベルでの測定によって、発現レベルを測定することも考慮される。
本発明の方法は、発現値を得ることを目的とした腫瘍から単離したRNA種の定量、並びにそれに続く、上記決定された発現値のバイオインフォマティクス解析に基づく。RNA種は、任意の種類の腫瘍試料から単離することが可能であり、例えば生検試料、塗抹標本試料、切除腫瘍材料、新鮮凍結腫瘍組織又はパラフィン包埋ホルマリン固定腫瘍組織から単離することが可能である。まず、UBE2C遺伝子、BIRC5遺伝子、DHCR7遺伝子、RACGAP1遺伝子、AURKA遺伝子、PVALB遺伝子、NMU遺伝子、STC2遺伝子、AZGP1遺伝子、RBBP8遺伝子、IL6ST遺伝子、MGP遺伝子、PTGER3遺伝子、CXCL12遺伝子、ABAT遺伝子、CDH1遺伝子、及びPIP遺伝子の特定の組合せ、又は表記されるようなそれらの特定の組合せをコードする遺伝子のRNAレベルを決定する。これらの発現値に基づいて、数学的組合せ、例えば式T5、T1、T4、又はT5b(以下を参照されたい)に従って、予後スコアが計算される。高スコア値は、遠隔転移の発症に関する高リスクを示し、低スコア値は遠隔転移の低リスクを示す。その結果、高スコア値はまた、患者が、より積極的な療法、例えば細胞毒性化学療法の効果を得るであろう高リスク患者であることも示す。
本実施例は、タモキシフェンを用いてアジュバント設定で均質に治療された複数患者の腫瘍を用いた予後遺伝子の同定に基づくものである。さらに、関連遺伝子の同定は、RNA発現レベルに基づいてESR1陽性かつERBB2陰性と分類される腫瘍に限定された。加えて、中間リスク、例えばグレード2の腫瘍を分離することを可能にする遺伝子が、アルゴリズム開発のために考慮された。最後に、アフィメトリクス(Affymetrix)HG_U133aアレイから定量リアルタイムPCRへのプラットフォームの移行、並びに新鮮凍結組織からFFPE組織への試料種類の移行を行って、プラットフォーム及び組織の種類には依存しない、強固なアルゴリズム性能を確保した。その結果、上述のような原発性腫瘍由来のRNA種の発現レベル決定、並びにそれに続く複素多変量解析(complex and multivariate analysis)によって、アジュバント設定でタモキシフェンのみで治療した際の、リンパ節陰性又は陽性初期乳癌と診断された患者における疾患再発の尤度を予測するための優れた方法が提供される。従って、該試験は、競合者のものよりも少ない遺伝子に依存するものであるが、特に標準的臨床因子に基づいて中間の再発リスクを示すと考えられる腫瘍について、高い感度及び陰性適中率に関する、優れた情報を提供する。
ハミルトン社製マイクロラボ・スターレット(Hamilton MICROLAB STARlet)液体処理ロボット上で、1つ10μmの全FFPE組織切片から、シリカビーズに基づき、かつ完全に自動化された、シーメンス(Siemens)社のRNA単離法を用いて、トータルRNAを抽出した(17)。該ロボット、バッファー、及び化学薬品は、シーメンス(Siemens)社のヴァーサント(VERSANT)(登録商標)kPCR分子システム[シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティクス(Siemens Healthcare Diagnostics)社、ニューヨーク州タリータウン;米国においては商業的に入手不可能]の一部であった。簡潔に説明すると、150μLのFFPEバッファー(FFPEバッファー、研究試薬、シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティクス社)を各切片に添加し、振盪しながら80℃で30分間インキュベートして、パラフィンを融解した。冷却した後、プロテイナーゼKを添加し、そして65℃で30分間インキュベートした。溶解後、40μLのシリカコーティング酸化鉄ビーズとともに、65℃で15分間インキュベートする工程によって、組織残屑を溶解液から除去した。組織破片が表面に結合したビーズを磁石で分離し、溶解物を、標準的な2mLディープ・ウェルプレートに移した(96ウェル)。ここで、トータルRNA及びDNAを40μLの未使用ビーズに結合させ、室温でインキュベートした。600μLの溶解バッファーを添加することによって、カオトロピック条件を生じさせた。次いで、ビーズを磁気的に分離し、上清を廃棄した。その後、表面に結合した核酸を3回洗浄した後、磁化を行い、吸引し、そして上清を廃棄した。その後、振盪しながらビーズを100μLの溶出バッファーとインキュベートすることによって、核酸を溶出させた。最後に、ビーズを分離して、そして上清を12μLのDNアーゼIミックス[2μL DNアーゼI(RNアーゼ非含有);10μLの10xDNアーゼIバッファー;アンビオン/アプライド・バイオシステムズ社(Ambion/Applied Biosystems)、ドイツ・ダルムシュタット]とインキュベートして、混入するDNAを除去した。37℃で30分間インキュベートした後、DNA非含有トータルRNA溶液を分注し、−80℃で保存するか、又は逆転写キネティックPCR(RTkPCR)によるmRNA発現解析に直接用いた。最大3つの参照遺伝子(RPL37A、CALM2、OAZ1)、並びに最大16個の標的遺伝子の遺伝子発現に関し、エー・ビー・アイ・プリズム(ABI PRISM)(登録商標)7900HT[アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社、ドイツ・ダルムシュタット]において、一工程RT−kPCRで、全ての試料を解析した。製造元の指示に従って、ROX(6−カルボキシ−X−ローダミン)を伴うスープ―スクリプト(SuperScript)(登録商標)IIIプラチナ(Platinum)(登録商標)一工程定量RT−PCRシステム(インビトロジェン(Invitrogen)社、ドイツ・カールスルーエ)を用いた。各プローブ及びプライマーを表1に示す。PCR条件は以下の通りであった:50℃30分間、95℃2分間、その後、95℃15秒間及び60℃30秒間を40サイクル。全てのPCRアッセイはトリプリケートで行った。RNA収量に関する代理マーカーとして、ハウスキーピング遺伝子であるRPL37Aのサイクル閾値(Ct)を別の箇所に記載されるように用いた(17)。標的遺伝子の相対遺伝子発現レベルを、以下の式を用い、デルタCt法によって計算した:
20−(Ct(標的)−平均(Ct(参照遺伝子)))。
アフィメトリクス(Affymetrix)HG_U133aアレイ(新鮮凍結組織)から定量的リアルタイムPCR(FFPE組織)へのプラットフォーム移行を、以下のように計算した。両プラットフォームを用いて、158人の患者に由来する材料を測定して、対を成す試料を得た。デルタCt値をPCRデータから計算した。下限(下限未満のすべての値を下限に設定する)を適用し、次いで底2の対数を計算することによってLog2発現値を計算した。下限の適用によって、低発現遺伝子/試料に関する相対的測定ノイズ増加の影響を減少させる;20の下限を用い、0.1〜200の間の下限もまた上手く機能する。デルタCt値(PCR由来)とlog2発現値(アフィメトリクス;Affymetrix由来)との間のピアソン相関係数(Pearson correlation coefficient)を最大化することによって、各PCR測定遺伝子に関して、HG_U133aプローブセットを選択した。他の相関測定値、例えばスピアマン相関係数(Spearman correlation coefficient)もまた上手く機能するであろう。大抵の場合、最適相関プローブセットは意図される遺伝子に属し、残りの場合に関しては、さらなる処理のためにはPCR遺伝子を除外した。プラットフォーム間で不良な相関を示す遺伝子もまた除外したが、ここでは0.7のピアソン相関係数に対する閾値を用いた(0.5〜0.8の間の値も上手く機能する)。両プラットフォームに関して、教師なしz変換値を計算し、それらを組合せることによって、プラットフォーム変換を完了させ、次いで、単一のPCRデルタCt値を以下の工程によって、アフィメトリクス(Affymetrix)スケールに変換する:(i)係数が、PCRデータのz変換によって決定される、アフィン線形変換(affine linear transformation)を適用し、(ii)係数が、アフィメトリクス(Affymetrix)データのz変換によって決定される、逆アフィン線形変換(inverse affine linear transformation)を適用し、(iii)log2を反転させる、すなわち底2に対して指数関数を計算する。2倍z変換(two-fold z-transformation)の代替法は、線形回帰又はより高次の回帰、ロバスト回帰又は主成分に基づく方法であり、これらもまた、上手く機能するであろう。
プライマー及びプローブの配列は以下の通りであった。
以下の表2には、本発明の方法で用いられた遺伝子であり、特定の実施形態T5、T1、T4、及びT5bで用いられた遺伝子が列挙されている。表2にはまた、所定の遺伝子の過剰発現が、タモキシフェン療法下で転帰良好又は転帰不良を示すかどうかも示されている。表2には、遺伝子の機能、細胞内領域局在性及び該遺伝子が関与する細胞プロセスが列挙されている。
以下の表3は、各アルゴリズムに用いた遺伝子の組合せを示す。
以下の表4は、本発明のマーカー遺伝子のAffyプローブセットID及びタックマン(TaqMan)デザインIDマッピングを示す。
以下の表5には、本発明のマーカー遺伝子の正式名称、アントレ遺伝子ID(Entrez GeneID)、遺伝子バンクアクセション番号(gene bank accession number)及び染色体位置が示されている。
アルゴリズム例T5:
アルゴリズムT5は、各メンバーが2つの遺伝子の線形組合せである4つのメンバーのコミッティである。T5の数式を以下に示す。表記法はT1に関するものと同じである。T5は、遺伝子発現データのみから計算可能である。
riskMember1 = 0.434039 [0.301..0.567] * (0.939 * BIRC5 -3.831)
-0.491845 [-0.714..-0.270] * (0.707 * RBBP8 -0.934)
riskMember2 = 0.488785 [0.302..0.675] * (0.794 * UBE2C -1.416)
-0.374702 [-0.570..-0.179] * (0.814 * IL6ST -5.034)
riskMember3 = -0.39169 [-0.541..-0.242] * (0.674 * AZGP1 -0.777)
+0.44229 [0.256..0.628] * (0.891 * DHCR7 -4.378)
riskMember4 = -0.377752 [-0.543..-0.212] * (0.485 * MGP +4.330)
-0.177669 [-0.267..-0.088] * (0.826 * STC2 -3.630)
risk = riskMember1 + riskMember2 + riskMember3 + riskMember4
各行の左の係数は、COX比例ハザード回帰係数として計算され、角括弧中の数字は、これらの係数に関する95%信頼限界を示す。言い換えると、(0.939*BIRC5−3.831)の項に0.434039を乗じる代わりに、0.301と0.567との間における任意の係数を乗じてもよく、それでもなお95%信頼限界内の予測結果を生じ得る。各行右側の丸括弧中の項は、PCRからアフィメトリクス(Affymetrix)へのプラットフォーム移行を示し、変数PVALB、CDH1、・・・は、参照遺伝子によって正規化されたPCRに基づく発現(デルタCt値)を示し、丸括弧内の全項は、対応するプローブセットのアフィメトリクス(Affymetrix)マイクロアレイ発現値の対数(底2)に対応する。
アルゴリズムT5の性能は、無作為臨床試験であるABCSG06(n=332)又はABCSG08(n=1244)に参加した、陽性リンパ節が3より多くなく、そしてER+、HER2−腫瘍を有する、タモキシフェン(Tamoxifen)又はアナストロゾール(Anastrozole)治療患者において試験した。図1に示すように、Cox回帰分析によって、T5スコアは、全ての試験群において遠隔転移の発症と有意な関連性を有することが明らかにされている。
T5スコアに関する予め定義したカットオフ値を用いて、組合せABCSG群の患者を分類した後、カプラン・マイヤー(Kaplan Meier)分析を行った。遠隔転移の発症リスクが低い患者は、≦−9.3のT5スコアを有していたのに対し、遠隔転移の発症リスクが高い患者は、−9.3を超えるT5スコアを有していた。図2に示すように、両リスク群の非常に有意な分離が観察される。
重要なことに、腫瘍サイズ、腫瘍悪性度及び結節状態などの臨床的パラメータの入力に基づき療法選択を補助するオンラインツールである「アジュバント!オンライン(Adjuvant! Online)」に対して、T5スコアを評価及び比較した。アジュバント!オンライン(Adjuvant!Online)の再発リスクスコアに対して、T5スコアを、二変量Cox回帰によって試験した場合、両スコアは、遠隔転移の発症と有意な関連性が依然としてあった。T5(カットオフ値−9.3)に従って、それぞれ、アジュバント!オンライン(Adjuvant!Online)(カットオフ値8)に対して階層化した、二分されたデータを用いて二変量Cox回帰を行ったところ、再び、臨床エンドポイントとなる転移までの時間と、極めて有意で、かつ独立した関連性が得られた。
例示のカプラン・マイヤー(Kaplan Meyer)曲線が図1に示されているが、高い(High)=高リスク群、低い(Low)=低リスク群である(予め定義したカットオフ値に応じたものである)。
T5スコアの高い値は、所定の期間における遠隔転移の発生リスクの増加を示す。
これは、タモキシフェンで治療されていた患者に対して、さらにアロマターゼ阻害剤で治療されていた患者に対しても当てはまることが示されている。
アルゴリズム例T1:
アルゴリズムT1は、各メンバーが最大4つの変数の線形組合せである3つのメンバーのコミッティである。一般に、変数は、遺伝子発現又は臨床変数であってもよい。T1においては、唯一の非遺伝子変数として、患者がリンパ節陰性であれば、0とコード化されるリンパ節状態があり、患者がリンパ節陽性であれば1とコード化されるリンパ節状態がある。T1の数式を以下に示す。
riskMember1 = +0.193935 [0.108..0.280] * (0.792 * PVALB -2.189)
-0.240252 [-0.400..-0.080] * (0.859 * CDH1 -2.900)
-0.270069 [-0.385..-0.155] * (0.821 * STC2 -3.529)
+1.2053 [0.534..1.877] * nodalStatus
riskMember2 = -0.25051 [-0.437..-0.064] * (0.558 * CXCL12 +0.324)
-0.421992 [-0.687..-0.157] * (0.715 * RBBP8 -1.063)
+0.148497 [0.029..0.268] * (1.823 * NMU -12.563)
+0.293563 [0.108..0.479] * (0.989 * BIRC5 -4.536)
riskMember3 = +0.308391 [0.074..0.543] * (0.812 * AURKA -2.656)
-0.225358 [-0.395..-0.055] * (0.637 * PTGER3 + 0.492)
-0.116312 [-0.202..-0.031] * (0.724 * PIP + 0.985)
risk = + riskMember1 + riskMember2 + riskMember3
各行の左の係数は、COX比例ハザード回帰係数として計算され、角括弧中の数字は、これらの係数に関する95%信頼限界を示す。各行右側の丸括弧中の項は、PCRからアフィメトリクス(Affymetrix)へのプラットフォーム移行を示し、変数PVALB、CDH1、・・・は、参照遺伝子によって正規化されたPCRに基づく発現を示し、丸括弧内の全項は、対応するプローブセットのアフィメトリクス(Affymetrix)マイクロアレイ発現値の対数(底2)に対応する。
アルゴリズム例T4:
アルゴリズムT4は、モチーフの線形組合せである。アフィメトリクス(Affymetrix)データセット及びPCRデータの数回の解析における上位10の遺伝子をモチーフにクラスター化した。クラスターに属していない遺伝子を単一遺伝子モチーフとして用いた。Cox比例ハザード回帰係数は多変量分析において見出された。
一般に、モチーフは、単一遺伝子発現、又は相関のある遺伝子の平均遺伝子発現であってよい。T4の数式を以下に示す。
prolif = ((0.84 [0.697..0.977] * RACGAP1 -2.174) + (0.85 [0.713..0.988] *DHCR7 -3.808)+ (0.94 [0.786..1.089] * BIRC5 -3.734)) / 3
motiv2 = ((0.83 [0.693..0.96] * IL6ST -5.295) + (1.11 [0.930..1.288] * ABAT -7.019) + (0.84 [0.701..0.972] * STC2 -3.857)) / 3
ptger3 = (PTGER3 * 0.57 [0.475..0.659] + 1.436)
cxcl12 = (CXCL12 * 0.53 [0.446..0.618] + 0.847)
pvalb = (PVALB * 0.67 [0.558..0.774] -0.466)
各遺伝子に関する因数及び補正値は、PCRからアフィメトリクス(Affymetrix)へのプラットフォーム移行を示し、変数RACGAP1、DHCR7、・・・は、CALM2及びPPIAによって正規化されたPCRに基づく発現を示し、丸括弧内の全項は、対応するプローブセットのアフィメトリクス(Affymetrix)マイクロアレイ発現値の対数(底2)に対応する。
角括弧中の数字は、これらの因数に関する95%信頼限界を示す。
該アルゴリズムは、臨床変数と組合せるとさらに優れた性能を示すため、結節状態を付加した。T4においては、結節状態は、患者がリンパ節陰性であれば、0とコード化され、そして患者がリンパ節陽性であれば1とコード化される。これを伴うと、アルゴリズムT4は以下となる。
risk = -0.32 [-0.510..-0.137] * motiv2
+ 0.65 [0.411..0.886] * prolif
- 0.24 [-0.398..-0.08] * ptger3
- 0.05 [-0.225..0.131] * cxcl12
+ 0.09 [0.019..0.154] * pvalb
+ nodalStatus
Cox比例ハザード回帰係数としてリスク係数を計算したが、角括弧中の数字はこれらの係数に関する95%信頼限界を示す。
アルゴリズムT5bは、各メンバーが4つの遺伝子の線形組合せである2つのメンバーのコミッティである。T5bの数式を以下に示すが、表記法はT1及びT5に関するものと同じである。T5bにおいて、非遺伝子変数は、患者がリンパ節陰性であれば、0とコード化される結節状態であり、患者がリンパ節陽性であれば1とコード化される結節状態であり、さらにリンパ節状態が未知である場合、0.5とコード化されるリンパ節状態である。T5bは以下によって定義される。
riskMember1 = 0.359536 [0.153..0.566] * (0.891 * DHCR7 -4.378)
-0.288119 [-0.463..-0.113] * (0.485 * MGP + 4.330)
+0.257341 [0.112..0.403] * (1.118 * NMU -5.128)
-0.337663 [-0.499..-0.176] * (0.674 * AZGP1 -0.777)

riskMember2 = -0.374940 [-0.611..-0.139] * (0.707 * RBBP8 -0.934)
-0.387371 [-0.597..-0.178] * (0.814 * IL6ST -5.034)
+0.800745 [0.551..1.051] * (0.860 * RACGAP1 -2.518)
+0.770650 [0.323..1.219] * Nodalstatus
risk = riskMember1 + riskMember2
当業者は、これらのアルゴリズムが特定の例を表していること、そして表2に示すような転帰を伴う遺伝子発現の関連性に関する情報に基づき、ルーチン的な技術を用い、代替アルゴリズムを確立可能であることを理解する。
遺伝子のサブセットを用いることによるアルゴリズムの単純化
「アルゴリズム例T5」は、それぞれ目的の2遺伝子を有する4つのメンバーからなるコミッティ予測因子である。各メンバーは、独立かつ自己完結型の遠隔再発予測因子であり、さらなる各メンバーは、アルゴリズムが、乳癌患者の転移までの時間、死までの時間又は生存可能性を予測することに関する安定性(ロバスト性)及び予測力に寄与する。以下の方程式は「アルゴリズム例T5」を示し、読み取りを容易にするため、小数点以下の数値を2桁で切り捨てとし、角括弧中の範囲は係数の概算範囲を列挙したものである(平均+/−3標準偏差)。
T5アルゴリズム:
+0.41 [0.21..0.61] * BIRC5 -0.33 [-0.57..-0.09] * RBBP8
+0.38 [0.15..0.61] * UBE2C -0.30 [-0.55..-0.06] * IL6ST
-0.28 [-0.43..-0.12] * AZGP1 +0.42 [0.16..0.68] * DHCR7
-0.18 [-0.31..-0.06] * MGP -0.13 [-0.25..-0.02] * STC2
c-indices: trainSet=0.724,
アルゴリズム中の遺伝子名は、上記のような1個以上のハウスキーピング遺伝子と比較した、遺伝子のmRNA発現相違を示す。
調査群(finding cohort)とは異なる群を分析すると(234腫瘍試料)、驚くべきことに、「元のT5アルゴリズム」を幾何か単純化してもなお、元のT5アルゴリズムに有意には劣らない診断性能が得られることが判った。最も簡易な単純化は、コミッティ予測因子を1つのメンバーのみに減らすことであった。
「1メンバー・コミッティ」の性能に関する例を以下に示す。
member 1 only:
+0.41 [0.21..0.61] * BIRC5 -0.33 [-0.57..-0.09] * RBBP8
c-indices: trainSet=0.653, independentCohort=0.681

member 2 only:
+0.38 [0.15..0.61] * UBE2C -0.30 [-0.55..-0.06] * IL6ST
c-indices: trainSet=0.664, independentCohort=0.696

member 3 only:
-0.28 [-0.43..-0.12] * AZGP1 +0.42 [0.16..0.68] * DHCR7
c-indices: trainSet=0.666, independentCohort=0.601

member 4 only:
-0.18 [-0.31..-0.06] * MGP -0.13 [-0.25..-0.02] * STC2
c-indices: trainSet=0.668, independentCohort=0.593
234個の試料の独立した群において示されるような1メンバー・コミッティの性能は、完全アルゴリズムの性能に比較すると、顕著に低下している。それでもなお、より少ないメンバーからなるコミッティを用いれば、より単純でかつ費用の掛からない乳癌再発又は乳癌死のリスク予測が可能であり、このようなリスク予測は特定の診断目的には許容され得る。
1より多いが4より少ないメンバーを次第に組合せて新規予後コミッティ予測因子アルゴリズムとすれば、しばしば、1メンバー・コミッティと比較して、診断性能において小さいものの有意な増加に繋がる。驚くべきことに、コミッティメンバーのある組合せによっては顕著な改善があったのに対し、他の組合せでは殆ど改善が無かったことが分かった。当初は、利用する遺伝子が反映する生物学的モチーフが類似するようなメンバーの組合せは、非常に異なる生物学的モチーフを反映するメンバーの組合せよりも、より小さな改善しか生じないと言う仮説を立てていた。それにもかかわらず、この仮定は当てはまらなかった。ある遺伝子の組合せが、遺伝子の別の組合せよりもより高い予後診断力を示すアルゴリズムを生じることを予測するための規則性は特定出来なかった。有望な組合せは、実験データに基づいてのみ選択可能であった。
単純化されているが、なお強力なアルゴリズムが得られる、組合せたコミッティメンバーの組合せであって、特定された組合せを以下に示す。
members 1 and 2 only:
+0.41 [0.21..0.61] * BIRC5 -0.33 [-0.57..-0.09] * RBBP8
+0.38 [0.15..0.61] * UBE2C -0.30 [-0.55..-0.06] * IL6ST
c-indices: trainSet=0.675, independentCohort=0.712

members 1 and 3 only:
+0.41 [0.21..0.61] * BIRC5 -0.33 [-0.57..-0.09] * RBBP8
-0.28 [-0.43..-0.12] * AZGP1 +0.42 [0.16..0.68] * DHCR7
c-indices: trainSet=0.697, independentCohort=0.688

members 1 and 4 only:
+0.41 [0.21..0.61] * BIRC5 -0.33 [-0.57..-0.09] * RBBP8
-0.18 [-0.31..-0.06] * MGP -0.13 [-0.25..-0.02] * STC2
c-indices: trainSet=0.705, independentCohort=0.679

members 2 and 3 only:
+0.38 [0.15..0.61] * UBE2C -0.30 [-0.55..-0.06] * IL6ST
-0.28 [-0.43..-0.12] * AZGP1 +0.42 [0.16..0.68] * DHCR7
c-indices: trainSet=0.698, independentCohort=0.670

members 1, 2 and 3 only:
+0.41 [0.21..0.61] * BIRC5 -0.33 [-0.57..-0.09] * RBBP8
+0.38 [0.15..0.61] * UBE2C -0.30 [-0.55..-0.06] * IL6ST
-0.28 [-0.43..-0.12] * AZGP1 +0.42 [0.16..0.68] * DHCR7
c-indices: trainSet=0.701, independentCohort=0.715
完全にコミッティメンバーを除外するのでは無く、異なるコミッティメンバー由来の単一遺伝子又は複数遺伝子を省略することも可能であるが、全アルゴリズムの再訓練が必要である。それでもなお、これもまた実行する利点が有り得る。全メンバー又は個々の遺伝子を省略することによって生じる単純化アルゴリズムの性能は、大部分が同程度のものである。
遺伝子置換によるアルゴリズム変形
上記アルゴリズム、例えば上記の「アルゴリズム例T5」はまた、1以上の遺伝子を1以上のその他遺伝子で置換することによっても改変することも出来る。こうした改変目的としては、特定のプラットフォーム上で測定するのが困難な遺伝子を、このプラットフォーム上のアッセイにより適している遺伝子で置換することがある。こうした移行は、出発アルゴリズムと比較して、性能の改善を必ずしも生じない可能性もあるが、特定の診断プラットフォームに予後診断アルゴリズムを移植する手がかりが得られ得る。一般に、予測アルゴリズムの診断力を保持しつつ、1つの遺伝子を別の遺伝子に置換することは、一の遺伝子を、[例えばピアソン(Pearson)相関係数によって示される]高い相関性で共発現する遺伝子に置換することにより、最適に達成可能である。それでもなお、1つのプラットフォーム上では高度に相関する2つの遺伝子のmRNA発現が、別のプラットフォーム上で評価した場合には、互いに極めて独立したものであるかもしれないことに留意しなければならない。従って、こうした見かけ上容易な置換は、実験的に実行に移した際に、失望するほど劣った結果、並びに驚くほど強力な結果を生じ得るが、これは常に、使用するプラットフォームが評価不能であることによる。この手順を反復することによって、幾つかの遺伝子を置換し得る。
こうしたアプローチの有効性は、バリデーション群に対するT5アルゴリズムスコア及びその変形の予測性能を評価することによって証明することが出来る。以下の表には、2つのバリデーション群における終点遠隔再発に関するc指数(c-index)が示されている。
ここでは、例としてBIRC5が示されているが、T5遺伝子の1つを省略すると、予測性能が顕著に減少することが分かる。この遺伝子を別の遺伝子で置換すると、ほぼ同じ性能が得られる。
遺伝子を置換する、より良い方法は、アルゴリズムを再訓練することである。T5は、4つの独立のコミッティメンバーからなるため、置換された遺伝子を含有するメンバーのみを再訓練することになる。以下の方程式は、上記のT5アルゴリズムの遺伝子の置換が、234人の乳癌患者の群において訓練されたことを示す。以下にはc指数の計算に関して1つのメンバーのみが示され、残りのメンバーは元のT5アルゴリズムから変化させずに用いられた。角括弧中の範囲は、係数の概算範囲を列挙する:平均+/−3標準偏差。
Member 1 of T5:
Original member 1:
+0.41 [0.21..0.61] * BIRC5 -0.33 [-0.57..-0.09] * RBBP8
c-indices: trainSet=0.724, independentCohort=0.705
replace BIRC5 by TOP2A in member 1:
+0.47 [0.24..0.69] * TOP2A -0.34 [-0.58..-0.10] * RBBP8
c-indices: trainSet=0.734, independentCohort=0.694
replace BIRC5 by RACGAP1 in member 1:
+0.69 [0.37..1.00] * RACGAP1 -0.33 [-0.57..-0.09] * RBBP8
c-indices: trainSet=0.736, independentCohort=0.743
replace RBBP8 by CELSR2 in member 1:
+0.38 [0.19..0.57] * BIRC5 -0.18 [-0.41..0.05] * CELSR2
c-indices: trainSet=0.726, independentCohort=0.680
replace RBBP8 by PGR in member 1:
+0.35 [0.15..0.54] * BIRC5 -0.09 [-0.23..0.05] * PGR
c-indices: trainSet=0.727, independentCohort=0.731

Member 2 of T5:
Original member 2:
+0.38 [0.15..0.61] * UBE2C -0.30 [-0.55..-0.06] * IL6ST
c-indices: trainSet=0.724, independentCohort=0.725
replace UBE2C by RACGAP1 in member 2:
+0.65 [0.33..0.96] * RACGAP1 -0.38 [-0.62..-0.13] * IL6ST
c-indices: trainSet=0.735, independentCohort=0.718
replace UBE2C by TOP2A in member 2:
+0.42 [0.20..0.65] * TOP2A -0.38 [-0.62..-0.13] * IL6ST
c-indices: trainSet=0.734, independentCohort=0.700
replace IL6ST by INPP4B in member 2:
+0.40 [0.17..0.62] * UBE2C -0.25 [-0.55..0.05] * INPP4B
c-indices: trainSet=0.725, independentCohort=0.686
replace IL6ST by MAPT in member 2:
+0.45 [0.22..0.69] * UBE2C -0.14 [-0.28..0.01] * MAPT
c-indices: trainSet=0.727, independentCohort=0.711

Member 3 of T5:
Original member 3:
-0.28 [-0.43..-0.12] * AZGP1 +0.42 [0.16..0.68] * DHCR7
c-indices: trainSet=0.724, independentCohort=0.705
replace AZGP1 by PIP in member 3:
-0.10 [-0.18..-0.02] * PIP +0.43 [0.16..0.70] * DHCR7
c-indices: trainSet=0.725, independentCohort=0.692
replace AZGP1 by EPHX2 in member 3:
-0.23 [-0.43..-0.02] * EPHX2 +0.37 [0.10..0.64] * DHCR7
c-indices: trainSet=0.719, independentCohort=0.698
replace AZGP1 by PLAT in member 3:
-0.23 [-0.40..-0.06] * PLAT +0.43 [0.18..0.68] * DHCR7
c-indices: trainSet=0.712, independentCohort=0.715
replace DHCR7 by AURKA in member 3:
-0.23 [-0.39..-0.06] * AZGP1 +0.34 [0.10..0.58] * AURKA
c-indices: trainSet=0.716, independentCohort=0.733

Member 4 of T5:
Original member 4:
-0.18 [-0.31..-0.06] * MGP -0.13 [-0.25..-0.02] * STC2
c-indices: trainSet=0.724, independentCohort=0.705
replace MGP by APOD in member 4:
-0.16 [-0.30..-0.03] * APOD -0.14 [-0.26..-0.03] * STC2
c-indices: trainSet=0.717, independentCohort=0.679
replace MGP by EGFR in member 4:
-0.21 [-0.37..-0.05] * EGFR -0.14 [-0.26..-0.03] * STC2
c-indices: trainSet=0.715, independentCohort=0.708
replace STC2 by INPP4B in member 4:
-0.18 [-0.30..-0.05] * MGP -0.22 [-0.53..0.08] * INPP4B
c-indices: trainSet=0.719, independentCohort=0.693
replace STC2 by SEC14L2 in member 4:
-0.18 [-0.31..-0.06] * MGP -0.27 [-0.49..-0.06] * SEC14L2
c-indices: trainSet=0.718, independentCohort=0.681
キネティックPCRを用いた定量に関して実験的に同定された単一遺伝子の置換は、通常、c指数によって評価すると、T5アルゴリズムの予測性能に有意には影響を与えないことが判る。
以下の表(表8)には、T5アルゴリズムの遺伝子に関し想定される置換遺伝子候補が示されている。各遺伝子候補は1つの表のセル中に示されているが、遺伝子名の後に、括弧書きでT5アルゴリズム中の元の遺伝子及び置換候補の発現の絶対ピアソン(Pearson)相関係数、並びにHG−U133AプローブセットIDが記載されている。
以下の表(表9)には、上記表のために用いられるqRT−PCRプライマー及びプローブ配列が列挙されている。
可能な遺伝子置換候補の教師無し選択の第二の代替法は、アフィメトリクス(Affymetrix)データのみに基づくものである。これは、すでに公表されたデータ(例えばwww.ncbi.nlm.nih.gov/geo/からのもの)のみに基づいて実施可能であるという利点を有する。以下の表(表10)には、アルゴリズムT1〜T5において用いられるプローブセットに関し、HG−U133aプローブセット置換候補が列挙されている。これは、これらのアルゴリズムの訓練データに基づくものである。列の見出しは、遺伝子名及びプローブセットIDを太字で含む。次いで、10の最適相関プローブセットが列挙され、表の各セルは、プローブセットID、括弧書きで相関係数、及び遺伝子名を含む。
遺伝子又はプローブセットを選択した後、置換される遺伝子の発現値と新規遺伝子の発現値との間で数学的マッピングを定義しなければならない。幾つかの代替法があるが、ここでは「BIRC5のデルタCt値をRACGAP1によって置換する」例に基づいて説明される。訓練データにおいて、発現の結合分布は図3におけるようなものである。
ピアソン(Pearson)相関係数は0.73である。
1つのアプローチは、RACGAP1からBIRC5へのマッピング関数を回帰によって生成することである。線形回帰が第一選択であり、そしてこの例では
BIRC5=1.22 * RACGAP1−2.85
を生じる。
この方程式を用いて、例えばアルゴリズムT5におけるBIRC5変数を、右辺によって容易に置換することが出来る。その他の例では、ロバスト回帰、多項式回帰又は一変量非線形前変換(univariate nonlinear pre-transformation)が適切でありうる。
回帰法は、BIRC5に対する測定ノイズを仮定するが、RACGAP1に対するノイズは仮定しない。従って、2つの変数の交換可能性に関して、マッピングは対称的ではない。対称的マッピングアプローチは、2つの一変量z変換に基づくであろう。
z = (BIRC5 - mean(BIRC5)) / std(BIRC5) and
z = (RACGAP1 - mean(RACGAP1)) / std(RACGAP1)
z = (BIRC5 - 8.09) / 1.29 = (RACGAP1 - 8.95) / 0.77
BIRC5 = 1.67 * RACGAP1 + -6.89
その他例においてもなお、以下、その他の変換が適切であり得る:中央値及び/又はmadによる正規化、非線形マッピング、又はその他。

Claims (21)

  1. 乳癌患者の、エストロゲン受容体陽性かつHER2陰性である腫瘍において乳癌の転帰を予測するための方法であって、
    (a)上記患者由来の腫瘍試料において、以下の9つの遺伝子:UBE2C、BIRC5、RACGAP1、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPの少なくとも2つのRNA発現レベルを決定すること、
    (b)上記セットの遺伝子の発現レベル値であって、上記腫瘍試料において決定した当該値を数学的に組合せて、組合せスコアを得ること、但し、上記組合せスコアは上記患者の予後を示す、
    を含む、上記方法。
  2. 上記患者由来の腫瘍試料において、以下の9つの遺伝子:UBE2C、BIRC5、RACGAP1、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPの少なくとも3、4、5又は6のRNA発現レベルを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. (a)上記患者由来の腫瘍試料において、以下の8つの遺伝子:UBE2C、RACGAP1、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPのRNA発現レベルを決定すること、
    (b)上記セットの遺伝子の発現レベル値であって、上記腫瘍試料において決定した当該値を数学的に組合せて、組合せスコアを得ること、但し、上記組合せスコアは上記患者の予後を示す、
    を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. (a)上記患者由来の腫瘍試料において、以下の8つの遺伝子:UBE2C、BIRC5、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPのRNA発現レベルを決定すること、
    (b)上記セットの遺伝子の発現レベル値であって、上記腫瘍試料において決定した当該値を数学的に組合せて、組合せスコアを得ること、但し、上記組合せスコアは上記患者の予後を示す、
    を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  5. BIRC5は、UBE2C又はTOP2A又はRACGAP1又はAURKA又はNEK2又はE2F8又はPCNA又はCYBRD1又はDCN又はADRA2A又はSQLE又はCXCL12又はEPHX2又はASPH又はPRSS16又はEGFR又はCCND1又はTRIM29又はDHCR7又はPIP又はTFAP2B又はWNT5A又はAPOD又はPTPRTによって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
    UBE2Cは、BIRC5又はRACGAP1又はTOP2A又はAURKA又はNEK2又はE2F8又はPCNA又はCYBRD1又はADRA2A又はDCN又はSQLE又はCCND1又はASPH又はCXCL12又はPIP又はPRSS16又はEGFR又はDHCR7又はEPHX2又はTRIM29によって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
    DHCR7は、AURKA、BIRC5、UBE2C、又は、BIRC5若しくはUBE2Cを置換し得る任意のその他遺伝子によって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
    一方、STC2は、INPP4B又はIL6ST又はSEC14L2又はMAPT又はCHPT1又はABAT又はSCUBE2又はESR1又はRBBP8又はPGR又はPTPRT又はHSPA2又はPTGER3によって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
    AZGP1は、PIP又はEPHX2又はPLAT又はSEC14L2又はSCUBE2又はPGRによって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
    RBBP8は、CELSR2又はPGR又はSTC2又はABAT又はIL6STで置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
    IL6STは、INPP4B又はSTC2又はMAPT又はSCUBE2又はABAT又はPGR又はSEC14L2又はESR1又はGJA1又はMGP又はEPHX2又はRBBP8又はPTPRT又はPLATによって置換されてもよく、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される;かつ
    MGPは、APOD又はIL6ST又はEGFRによって置換されてもよい、但し、置換後、8つの異なる遺伝子が選択される、
    請求項4に記載の方法。
  6. 上記患者が、内分泌療法を受けているか、又は内分泌治療を受けることが予定されている、請求項1から5に記載の方法。
  7. 上記内分泌療法がタモキシフェン又はアロマターゼ阻害剤を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 乳癌再発又は癌関連死を生じるリスクが予測される、請求項1から7の何れか1項に記載の方法。
  9. 上記発現レベルが、メッセンジャーRNA発現レベルとして決定される、請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
  10. 上記発現レベルが、以下の少なくとも1つによって決定される、請求項8に記載の方法:
    PCRに基づく方法、
    マイクロアレイに基づく方法、及び
    ハイブリダイゼーションに基づく方法。
  11. 発現レベルの上記決定が、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍試料又は新鮮凍結腫瘍試料におけるものである、上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  12. 少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現レベルが、少なくとも1つの参照遺伝子又は計算平均発現値に対する発現パターンとして決定される、上記請求項の何れか1項に記載の方法。
  13. 数学的に組合せる上記工程が、所定の遺伝子の発現レベルを表す値にアルゴリズムを適用する工程を含む、上記請求項の何れか1項に記載の方法。
  14. 上記アルゴリズムが、所定の遺伝子の発現レベルを表す上記値の線形結合である、請求項13に記載の方法。
  15. 既定の遺伝子の発現レベルの代表値に関する値に係数が乗じられる、請求項14に記載の方法。
  16. 1つ、又は2つ以上の閾値が上記組合せスコアに関して決定される、上記請求項の何れか1項に記載の方法であって、該閾値は、該組合せスコアに該閾値を適用することによって、高リスク及び低リスク;高リスク、中間リスク及び低リスク;又はそれより多いリスク群に識別するものである、上記方法。
  17. 高い組合せスコアが、細胞毒性化学療法の効果を示す、請求項1から16の何れか1項に記載の方法。
  18. 遺伝子の発現レベル値を数学的に組合せて、組合せスコアを得る上記工程において、患者の結節状態に関する情報が処理される、上記請求項の何れか1項に記載の方法。
  19. 上記結節状態が陰性である場合には結節状態に関する上記情報はある数値であり、かつ上記結節状態が陽性である場合には該情報は異なる数値であり、かつ上記結節状態が未知である場合には該情報は異なるか又は同一の数値である、請求項17及び18に記載の方法。
  20. 請求項1から19の何れか1項に記載の方法を実施するためのキットであって、
    該キットは、遺伝子の組合せにおける該遺伝子の配列に、又は該遺伝子の断片の配列に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドセットを含み、
    上記組合せは、UBE2C、BIRC5、RACGAP1、DHCR7、STC2、AZGP1、RBBP8、IL6ST、及びMGPの9つの遺伝子のうちの少なくとも2つを含む、上記キット。
  21. 請求項1から17の何れか1項に記載の方法に従って、遺伝子セットの発現レベルを表す値を処理することが可能であり、かつ上記値を数学的に組合せて組合せスコアを生じることが可能である、コンピュータプログラム製品であって、上記組合せスコアが、上記患者における内分泌療法の有効性を示す、上記コンピュータプログラム製品。
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