JP2016173045A - ローリングシリンダ式容積型流体機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動や騒音を低減し、磨耗を抑制し、油膜を維持し、漏れを抑制し、効率を向上する。【解決手段】ピストン自転軸を中心に自転運動し、ピストン自転軸と平行なピストン旋回軸を中心に旋回半径Eで旋回運動する旋回ピストンと、シリンダ回転軸を中心に回転運動し、シリンダ回転軸とシリンダ溝中心軸が直交して側面がシリンダ回転軸と平行なシリンダ溝を備えるローリングシリンダと、ローリングシリンダと旋回ピストンを内蔵するポンプケーシングと、シリンダ回転軸をピストン自転軸の旋回軌跡であるピストン旋回軌跡円上に固定配置するべく、シリンダ回転軸をピストン旋回軸と平行としかつピストン旋回軸に対して旋回半径と等しい偏心量Eで偏心配置させ、旋回ピストンの自転角量であるピストン自転量をローリングシリンダの回転角量であるシリンダ回転量と同期させ、ピストン自転量を旋回ピストンの旋回角量であるピストン旋回量の半分に制御する。【選択図】図5C
Description
本発明は、ローリングシリンダ式容積型流体機械に関する。
ローリングシリンダ式の容積形ポンプにおける回転動作のロック現象を回避して回転動作を継続させる手段に関しては、これまでに本発明者らが検討し、特許文献1において詳細に説明している。特許文献1においては、当該文献の図8及びその説明として図10も用いて、旋回ピストン自転軸β’の旋回軌跡上で、それ以外の位置へ移動させた移動位置固定円柱30p’と、移動位置固定円柱30p’の移動角度の半分だけ設定角度を回転させた移動ガイド溝30g’を設けても、ピストン回動規定手段となるスライダ機構を構成できることを示している。
特許文献1に記載の容積型ポンプにおいては、回転は継続するものの、摩擦対抗トルクゼロ期間(発明を実施するための形態の冒頭で説明する。)で、旋回ピストンとローリングシリンダの衝突が発生し、振動や騒音の増大とともに、磨耗発生による信頼性の低下、また、シール隙間である側面平坦部(ピストンカット面)とポンプ溝(シリンダ溝)の隙間が不規則な変動を起こすために良好な油膜形成が困難となり、漏れ増大によるエネルギー効率低下という問題があった。
本発明は、ローリングシリンダ式容積型流体機械において、旋回ピストンとローリングシリンダとの過度の衝突を防止することにより振動や騒音を低減し、かつ、磨耗を抑制することにより信頼性を高めるとともに、油膜を維持し、漏れを抑制し、エネルギー効率を向上することを目的とする。
本発明のローリングシリンダ式容積型流体機械は、ピストン自転軸を中心に自転運動し、ピストン自転軸と平行なピストン旋回軸を中心に旋回半径Eで旋回運動するべくピストン回動駆動源を備える旋回ピストンと、シリンダ回転軸を中心に回転運動し、シリンダ回転軸とシリンダ溝中心軸が直交して側面がシリンダ回転軸と平行なシリンダ溝を備えるローリングシリンダと、ローリングシリンダと旋回ピストンを内蔵するポンプケーシングと、シリンダ回転軸をピストン自転軸の旋回軌跡であるピストン旋回軌跡円上に固定配置するべく、シリンダ回転軸をピストン旋回軸と平行としかつピストン旋回軸に対して旋回半径と等しい偏心量Eで偏心配置させるローリングシリンダ回転支持部と、旋回ピストンの自転角量であるピストン自転量をローリングシリンダの回転角量であるシリンダ回転量と同期させる回転同期手段と、ピストン自転量を旋回ピストンの旋回角量であるピストン旋回量の半分に制御する自転半減手段と、を備え、旋回ピストンをシリンダ溝に隙間嵌合して旋回ピストンでシリンダ溝を仕切って隔成される2つの作動室のうち、旋回ピストンの旋回運動で容積が増大する作動室に吸込系と繋ぐ吸込流路と、容積が減少する作動室に吐出系と繋ぐ吐出流路を設け、回転同期手段を、ピストンのシリンダ溝の2側面との摺接部に、ピストン自転軸と直交するカット軸を中心軸とする旋回ピストンの側面に設ける互いに平行な一対の平面からなるピストンカット面を設けることで実現し、自転半減手段を、旋回ピストンの端面にピストン自転軸と直交するスライド軸を中心軸としピストン自転軸に平行なスライド溝と、ピストン旋回軌跡円上に固定配置されてピストン旋回軸と平行なピン軸がスライド軸と常に直交するべく、ピン軸を中心軸としてシリンダ溝へ挿入するピン機構からなるピンスライド機構で実現し、ピストン旋回軌跡円上に固定配置するシリンダ回転軸に対して、ピン軸を180度対向位置に配置したときに、スライド軸をピストン自転軸を中心に90度よりも旋回運動の回転方向と反対側に微小修正回転角だけ回転させる。
本発明によれば、旋回ピストンのピストン自転軸とローリングシリンダのシリンダ回転軸が一致する軸一致タイミングを含む摩擦対抗トルクゼロ期間のローリングシリンダの回転速度変動を低減することができるため、振動騒音が低く、信頼性が高く、かつ、エネルギー効率が高いローリングシリンダ式容積型流体機械を提供することができる。
本発明は、旋回する旋回ピストンと、これに連れて回転するローリングシリンダと、これらを組込むポンプケーシングと、を3つの主要な機構要素とする流体機械であって、作動流体の移送を行うポンプや圧縮を行う圧縮機や膨張を行う膨張機などのローリングシリンダ式容積型流体機械に関する。特に、回転動作を継続させるため旋回ピストンの自転角速度とローリングシリンダの回転角速度を同期させる回転同期手段と旋回ピストンの自転角速度を旋回角速度の半分に規定する自転半減手段を備えるローリングシリンダ式容積型流体機械の、滑らかな回転動作の実現による、振動や騒音の低減や信頼性の向上、さらに、漏れ低減による性能向上等に関する。
以下、本発明に関する用語について説明する。
旋回ピストンにローリングシリンダに設けるポンプ溝は、「シリンダ溝」又は「ガイド溝」ともいう。シリンダ溝の2側面と各々摺接する側面平坦部は、「ピストンカット面」ともいう。ピストンカット面を設けて旋回ピストンの自転とローリングシリンダの回転とを同期させる手段は、「回転同期手段」という。言い換えると、回転同期手段は、旋回ピストンの自転角量であるピストン自転量をローリングシリンダの回転角量であるシリンダ回転量と同期させる手段である。位置固定円柱(固定ピン)をガイド溝(スライド溝)に嵌合するピンスライド機構を設けて旋回ピストンの旋回角速度を自転角速度の2倍に規定する(自転角速度を旋回角速度の半分に規定する)ピストン回動規定手段は、「自転半減手段」ともいう。言い換えると、自転半減手段は、ピストン自転量を旋回ピストンの旋回角量であるピストン旋回量の半分に制御する手段である。ローリングシリンダの回転軸は、「シリンダ回転軸」という。シリンダ回転軸を通る旋回ピストンの自転軸は、「ピストン自転軸」という。
ローリングシリンダ式の容積形ポンプにおける回転動作のロック現象を回避して回転動作を継続させる手段は、回転同期手段と、自転半減手段と、から構成される。
旋回ピストンのシリンダ溝をピストンカット面と直交させて(側面平坦部の法線と平行に)設定した場合には、位置固定円柱の設定位置を、ピストン自転軸の軌跡円上でシリンダ回転軸から180度回転した位置に設定する。さらに、位置固定円柱の設定位置を、シリンダ回転軸を通るピストン自転軸の軌跡円上でシリンダ回転軸から180度回転した位置からδだけずれた角度(以後、「ピン軸調整角」と呼称する。)に設定した場合、シリンダ溝はピストンカット面の法線から同一方向にδ/2傾けて設置する。
つぎに、ローリングシリンダ式容積形ポンプの課題について説明する。
ローリングシリンダ式容積形ポンプの主要な構成要素のうち、旋回ピストン及びローリングシリンダは、回動する要素である。
自転しながら旋回運動する旋回ピストンには、作動流体からの流体力やローリングシリンダやポンプケーシングから受ける摩擦力が作用し、旋回軸受にはそれらの力に対抗する駆動力がシャフトを介してモータから供給される。つまり、旋回ピストンには、多様な力がかかるが、回転駆動源が備わっているため、旋回ピストンは旋回動作を含む回転動作を継続できる。さらに、旋回位相角に対して自転角度(姿勢)を規定するピストン回動規定手段が備えられる。
他方の回転運動を行うローリングシリンダには、ローリングシリンダに直結した回転駆動源は備わっていない。動作原理から、ローリングシリンダには作動流体からの流体力によるトルクは作用しないが、回転運動に伴って各部に生じる摩擦力に起因するトルクは発生するため、ローリングシリンダの回転運動の継続には、摩擦トルクに対抗するトルク(以後、「摩擦対抗トルク」と呼称する。)が必要となる。
この摩擦対抗トルクは、次に示す方法で旋回ピストンから供給される。
図19は、ポンプ溝(シリンダ溝)の正規方向と旋回ピストンの移動方向との関係を示したものである。
図19に示すとおり、旋回運動による旋回ピストンの移動方向(ピストン自転軸の移動方向)は、後述する唯一のタイミング(図19のX)を除いて、ローリングシリンダのポンプ溝(シリンダ溝)の正規方向(ピストン自転軸とシリンダ回転軸をつなぐ方向)と異なる。図19においては、説明のため、方向のずれを極端に強調して描いている。ローリングシリンダは、シリンダ溝に挿入されている旋回ピストンのピストンカット面がシリンダ溝の側面を押すことで、摩擦対抗トルクを発生させている。以下では、ピストンカット面がシリンダ溝の側面にかける力を「ピストン付加力」と呼称する。
この状況を、図19のYのタイミングについて図示したものが図20である。
図20に示すように、シリンダ溝とピストンカット面の方向がわずかにずれる場合でも、それらの隙間に介在する油膜151、152によって、ピストンカット面全域で力を及ぼし合う。しかし、油膜151、152の分布から、ピストン付加力は、ピストンカット面の中央部よりも反ピストン旋回軸側にずれる。
上述のように、ローリングシリンダは旋回ピストンに押されて回転するため、ローリングシリンダの回転量は、構成要素間の隙間等で生じる回転量誤差範囲内で、正規回転量よりも小さくなる(回転が遅れる)傾向が生じる。回転量誤差の最大の原因は、シリンダ溝と側面平坦部間の隙間である。この回転遅れの傾向によって、旋回ピストンには回転同期手段のために自転遅れの傾向が生じる。
これに対して、旋回ピストンは、ピストンカット面にピストン付加力の反力(以後、「ピストン付加反力」と呼称する。)を受ける(図20参照)。このため、旋回ピストンの自転量(姿勢)を規定する位置固定円柱とガイド溝間の隙間で許容される範囲内で、旋回ピストンの自転遅れが生じる。
次に、旋回運動による旋回ピストンの移動方向とローリングシリンダのシリンダ溝の正規方向が一致する唯一のタイミング(図19のXの時点)とその時の問題点について説明する。
旋回ピストンの軌道(ピストン自転軸の軌道)は、ローリングシリンダの回転軸(以後、「シリンダ回転軸」と呼称する。)を通る。このため、ピストン自転軸とシリンダ回転軸が一致するタイミング(上記のロック現象が起こるタイミングと同じであり、以後、「軸一致タイミング」と呼称する。)がある。この軸一致タイミングでは、原理的には、旋回ピストンの移動方向とローリングシリンダのシリンダ溝の正規方向が一致する。さらに、旋回ピストンのピストンカット面がシリンダ溝の正規方向と平行になるため、ピストン付加力は発生しない。これにより、軸一致タイミングでは、原理的には、摩擦対抗トルクは0となる。
上記の説明より、原理的には、軸一致タイミングの一瞬のみ摩擦対抗トルクが0となる。しかし、実際上は、その前後で摩擦対抗トルクが実質的に0となる時間が生じる。なぜならば、軸一致タイミング前後では、旋回ピストン(旋回軸受中心)の移動方向とシリンダ溝の正規方向とのずれが極めて小さくなるためである。
以上より、ピストン付加力による摩擦対抗トルクをローリングシリンダに与えることができない軸一致タイミングを含む期間(「摩擦対抗トルクゼロ期間」と呼称する。)においては、ローリングシリンダの回転速度が最小になる。この結果、シリンダ溝の側面とピストンカット面とが衝突に近い接触を起こす場合があり、その場合には衝撃的な力を与え合う。これにより、摩擦対抗トルクゼロ期間において、ローリングシリンダと旋回ピストンは不規則に弱い衝突を繰り返す場合が起こる。
そして、ローリングシリンダの逆回転という図21で示すような状況が発生する可能性が出てくる。図21の状況とは、旋回ピストンは最大に近い自転遅れを起こす一方、ローリングシリンダは回転遅れが少ない場合である。この状況が生じると、その後、旋回ピストンは、図21における下方へ移動するため、ピストンカット面のA端部が衝突して、ローリングシリンダに衝撃力F(ピストン付加力)を与える。A端部は、シリンダ回転軸と離れた位置であるため、衝撃力Fは、ローリングシリンダに正規回転方向と逆向きの大きなトルクを起こし、ローリングシリンダの回転速度を不連続的に急低下させ、又はマイナス(逆回転)に変化させる。この後、B部、A部と衝突を繰り返し、摩擦対抗トルクゼロ期間が終わるまで継続する。
回転同期手段は、旋回ピストンのシリンダ溝の2側面との摺接部に、ピストン自転軸と直交するカット軸を中心軸とする旋回ピストンの側面に設ける互いに平行な一対の平面からなるピストンカット面を設けることで実現する。
また、自転半減手段は、旋回ピストンの端面にピストン自転軸と直交するスライド軸を中心軸としピストン自転軸に平行なスライド溝と、ピストン旋回軌跡円上に固定配置されピストン旋回軸と平行なピン軸がスライド軸と常に直交するように、ピン軸を中心軸としてシリンダ溝へ挿入するピン機構からなるピンスライド機構で実現する。
以下、本発明の実施形態に係るローリング式容積型流体機械について説明する。
まず、後述のピン軸調整角δが0の場合、前記ローリング式容積型流体機械は、シャフト軸を回転中心とし偏心シャフトを有するクランクシャフトと、クランクシャフトに回転駆動トルクを付与する回転駆動源と、作動流体の吸込及び吐出をするポンプ部と、を備え、ポンプ部は、シリンダ溝を有するローリングシリンダと、シリンダ溝に摺動可能に収容された旋回ピストンと、ローリングシリンダを回転可能に収容した偏心シリンダ穴を有する静止シリンダと、を含み、ローリングシリンダと旋回ピストンと静止シリンダとで囲まれた空間は、ローリングシリンダ及び旋回ピストンの回転に伴い、吸込室及び吐出室として機能し、偏心シャフトは、シャフト軸とは異なる中心線を有し、旋回ピストンは、偏心シャフトの中心線であるピストン自転軸を中心に自転可能に配置され、クランクシャフトの回転に従いピストン旋回軸を中心にピストン自転軸が旋回軌跡であるピストン旋回軌跡円を描くように公転し(図6B)、静止シリンダの偏心シリンダ穴には、シャフト軸とは異なる中心線を有する固定ピンが配置され、旋回ピストンは、スライド溝及びピストンカット面を有し、固定ピンは、スライド溝に摺動可能に嵌合された構成を有し、固定ピンの中心線であるピン軸を、ピストン旋回軌跡円上に固定配置するシリンダ回転軸に対して、ピン軸を180度対向位置に配置し(図6B)、かつ、ピン軸、シリンダ回転軸及びピストン旋回軸を互いに平行となるように配置し、これにより旋回ピストンの自転とローリングシリンダの回転とが同期するように構成するとともに、旋回ピストンの自転角速度をクランクシャフトの回転角速度の半分に調整し、ピストン旋回軌跡円上に固定配置するシリンダ回転軸に対して、ピン軸を180度対向位置に配置したときに(図6B)、スライド軸がピストン自転軸を中心に90度よりもピストン自転軸の旋回方向の反対方向に微小修正回転角だけ回転させた状態となる構成を有する(図5C)。
言い換えると、スライド溝の中心軸であるスライド軸は、ピストンカット面の法線からピストン自転軸の旋回方向(旋回ピストンの公転運動の回転方向)の反対方向に微小修正回転角だけ回転した位置としている(図5C)。
更に言い換えると、クランクシャフトの回転に従いピストン旋回軸を中心に公転し、静止シリンダの偏心シリンダ穴には、シャフト軸とは異なる中心線を有する固定ピンが配置され、旋回ピストンは、スライド溝を有し、固定ピンは、スライド溝に摺動可能に嵌合された構成を有し、固定ピンの中心線であるピン軸を、ピストン旋回軸を中心に、ローリングシリンダの中心線であるシリンダ回転軸から180度の位置に配置し、かつ、ピン軸、シリンダ回転軸及びピストン旋回軸を互いに平行となるように配置し、これにより旋回ピストンの自転とローリングシリンダの回転とが同期するように構成するとともに、旋回ピストンの自転角速度をクランクシャフトの回転角速度の半分に調整し、スライド溝の中心軸であるスライド軸は、ピストンカット面に対して旋回ピストンの公転運動の回転方向と反対側に微小修正回転角だけ傾斜した構成としている。
つぎに、後述のピン軸調整角δが0でない場合、前記ローリング式容積型流体機械は、シャフト軸を回転中心とし偏心シャフトを有するクランクシャフトと、クランクシャフトに回転駆動トルクを付与する回転駆動源と、作動流体の吸込及び吐出をするポンプ部と、を備え、ポンプ部は、シリンダ溝を有するローリングシリンダと、シリンダ溝に摺動可能に収容された旋回ピストンと、ローリングシリンダを回転可能に収容した偏心シリンダ穴を有する静止シリンダと、を含み、ローリングシリンダと旋回ピストンと静止シリンダとで囲まれた空間は、ローリングシリンダ及び旋回ピストンの回転に伴い、吸込室及び吐出室として機能し、偏心シャフトは、シャフト軸とは異なる中心線を有し、旋回ピストンは、偏心シャフトの中心線であるピストン自転軸を中心に自転可能に配置され、クランクシャフトの回転に従いピストン旋回軸を中心にピストン自転軸が旋回軌跡であるピストン旋回軌跡円を描くように公転し(図6B)、静止シリンダの偏心シリンダ穴には、シャフト軸とは異なる中心線を有する固定ピンが配置され、旋回ピストンは、スライド溝及びピストンカット面を有し、固定ピンは、スライド溝に摺動可能に嵌合された構成を有し、固定ピンの中心線であるピン軸を、ピストン旋回軌跡円上に固定配置するシリンダ回転軸に対して、ピン軸を180度対向位置からピストン旋回軸を中心にピン軸調整角δだけ回転した位置に配置し(図6B)、かつ、ピン軸、シリンダ回転軸及びピストン旋回軸を互いに平行となるように配置し、これにより旋回ピストンの自転とローリングシリンダの回転とが同期するように構成するとともに、旋回ピストンの自転角速度をクランクシャフトの回転角速度の半分に調整し、ピストン旋回軌跡円上に固定配置するシリンダ回転軸に対して、ピン軸を180度対向位置からピストン旋回軸を中心にピン軸調整角δだけ回転して配置したときに(図6B)、スライド軸がピストン自転軸を中心に90度+δ/2度よりもピストン自転軸の旋回方向の反対方向に微小修正回転角だけ回転させた状態となる構成を有する(図5C)。
言い換えると、固定ピンの中心線であるピン軸を、ピストン旋回軌跡円上に固定配置するシリンダ回転軸に対して、ピン軸を180度対向位置からピストン旋回軸を中心にピン軸調整角δだけ回転した位置に配置し(図6B)、かつ、ピン軸、シリンダ回転軸及びピストン旋回軸を互いに平行となるように配置し、これにより旋回ピストンの自転とローリングシリンダの回転とが同期するように構成するとともに、旋回ピストンの自転角速度をクランクシャフトの回転角速度の半分に調整し、スライド溝の中心軸であるスライド軸は、ピストンカット面の法線からピストン自転軸の旋回方向(旋回ピストンの公転運動の回転方向)に、δ/2から微小修正回転角を差し引いた角度だけ回転した位置としている(図5C)。
以下、ローリング式容積型流体機械の実施例について、圧縮機を代表例として、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の図を用いて説明する。また、各図における同一符号は同一物または相当物を示し、重複した説明を省略する。
実施例1に係るローリングシリンダ式容積型圧縮機(以後、「RC圧縮機」と略称する。)について、図1乃至図14を用いて説明する。このRC圧縮機は、ピン軸がシリンダ回転軸を通るピストン自転軸の軌跡円上でシリンダ回転軸から180度回転した位置に設定しているものを中心に説明する。すなわち、ピン軸調整角δを0度とした場合である。なお、このピン軸調整に関する説明は、上述の特許文献1でなされている。
図1はRC圧縮機の縦断面図であり、図中に示すA−AまたはB−Bにおける横断面図(図2、3)のC1−C2−O−C3を通る縦断面図である。ここで、C2は、図2、3中に二箇所あるが、これは二箇所のC2の間を省略したことを意味する。また、図2、3は図1のA−A断面図(圧縮室形成部)とB−B断面図(静止シリンダと旋回ピストンおよびローリングシリンダ間の軸方向隙間部)である。ここで、図3には、B−B断面のすぐ上にある吸込溝2s2が二点鎖線によって図示される。図4A、4Bはローリングシリンダの斜視図と上面図を示す。図4C、4Dは、シリンダ端板を別体とした変形例を示す。図5A、5Bは旋回ピストンの斜視図と上面図である。また、図5Cは、スライド溝付近(図5BのQ部)の拡大上面図であり、ここには、ピン軸が、ピストン旋回軌跡円上でシリンダ回転軸から180度回転した位置からピン軸調整角δだけ回転した変形例におけるスライド溝も示している。ここで、微小修正回転角λは、説明のため、極端に大きく描いてあり、実際の場合は、目視できない程度の角度である。また、図6Aはピン機構を装着した静止シリンダの底面図、図6Bはピン機構付近の拡大底面図であり、ここには、ピン軸が、ピストン旋回軌跡円上でシリンダ回転軸から180度回転した位置からピン軸調整角δだけ回転した変形例のピン機構も示している。なお、ピン軸調整角δは、特に限定されるものではないが、絶対値が60度以下であることが望ましい。この範囲であれば、衝突時にピンに加わる衝撃力が急激に大きくならないからである。
図6Cはピン機構の縦断面図である。図7はフレームの斜視図である。そして、これらとクランクシャフトを合わせた圧縮要素部の組立てを説明する斜視図が図8である。そして、図9は図1のB−B断面よりもわずかに下方の断面を用いた圧縮動作説明図である。ここで、図9にはB−B断面のすぐ上にある吸込溝2s2が破線によって図示される。図10は図9のクランク角0度の拡大図である。これは、吐出行程から吸込行程へ移行する容積が0の作動室と吸込行程から圧縮行程へ移行する最大容積の作動室が共存するタイミングである。図11は一方の作動室が圧縮行程から吐出行程に移行するタイミングの拡大図であり、図9のクランク角180度と225度との間にある状態を示したものである。図12は背圧流路が配されている図3のM部の拡大横断面図であり、図13は図12のO−G縦断面図である。最後に、図14はローリングシリンダまたは旋回ピストンの表面近くの拡大断面図である。
まず、RC圧縮機の圧縮部の内部を除く全体構成を説明した後、圧縮部以外での作動流体と油の流れを説明する。次に、圧縮部の構成と作動流体と油の流れを詳細に説明する。
最初に、圧縮部内部を除く全体構成を、図1を用いて説明する。圧縮部は、上部を静止シリンダ2、下部をフレーム4で覆われ、フレーム4に設けられる上主軸受24aと下主軸受24bからなる主軸受24で回転支持されるクランクシャフト6が下方へ突き出ている。この圧縮部をチャンバ円筒部8aに溶接等によって固定配置しつつ、このクランクシャフト6にモータ7を設ける。モータ7は、チャンバ円筒部8aに固定配置されるステータ7bと、クランクシャフト6に固定配置されるロータ7aとによって構成される。ここで、ロータ7aには、上部に主バランス80、下部にカウンタバランス82が固定されている。これらは、圧縮部の解説で説明するクランクシャフト6に固定配置されるシャフトバランス81とともに、圧縮動作で旋回運動する圧縮要素(旋回ピストン3)の不釣り合いを動的にバランスさせる役目を担う。
副軸受25は、ボール25aと、そのボール25aを全方位で回転支持するボールホルダ25bとから構成される。クランクシャフト6の下部をボール25aへ挿入し、そのボール25aをボールホルダ25bへ装着した後、ボールホルダ25bをチャンバ円筒部8aに溶接された下フレーム35に固定配置する。これにより、副軸受25はクランクシャフト6下部を回転支持する。また、クランクシャフト6の下端には給油ピース6xが圧入される。クランクシャフト6には、中心軸方向に中央を貫通する給油縦穴6bが設けられている。さらに、クランクシャフト6には、副軸受25や下主軸受24bや上主軸受24aへ繋がる給油横穴(給油副横穴6g、給油下主横穴6f、給油上主横穴6e)が設けられている。
なお、本明細書において、「中心線」とは、円柱形状又は円筒形状を有する部材の中心を通る直線をいう。以下では、「中心軸」又は「軸」を「中心線」の意味で使用する場合もある。
チャンバ円筒部8aの下部には、チャンバ下フタ8cが溶接により付設されている。ここで、RC圧縮機組立ての適当な段階で油を封入し、最下部となるチャンバ下フタ8c付近に油を溜める貯油部125が形成されている。貯油部125の油には、常に給油ピース6xが浸かるようにする。貯油部125の油は、給油ピース6x、クランクシャフト6の給油縦穴6b及び給油横穴を介して各部に送られるようになっている。
さらに、チャンバ円筒部8aの上部にはチャンバ上フタ8bが溶接され、前記したチャンバ下フタ8cとともに密閉されたチャンバ8(図12、13に記載)を形成する。この密閉されたチャンバ8の内部に設けられる前記圧縮部へ外部から作動流体を導入する吸込パイプ50をチャンバ上フタ8bに設ける。さらに、チャンバ上フタ8bには、圧縮部で昇圧された作動流体をRC圧縮機外部へ吐出する吐出パイプ55と、モータ7へ電力を供給するための外部電源線(図示せず)とステータ7bへ繋がるモータ線7b3が接続するハーメチック端子220が設けられる。
次に、気体である作動流体の流れを説明する。作動流体は、吸込パイプ50を通って圧縮部へ入り、そこで後で詳細に説明する圧縮要素の圧縮動作によって昇圧する。昇圧した作動流体は、圧縮部側面の吐出流路2dからRC圧縮機内部へ吐出され、チャンバ8内を吐出圧とする。その後、作動流体は、チャンバ上フタ8bに設けられる吐出パイプ55へ向かうため、圧縮部上部側へ流れ、最後に吐出パイプ55からRC圧縮機外部へ吐出される。
次に、油の流れを説明する。前記した通り、貯油部125に常時浸かっている給油パイプ6x、給油縦穴6b、給油横穴(給油副横穴6g、給油下主横穴6f、給油上主横穴6e)によって、貯油部125から各軸受へ繋がる給油路が設けられている。前記したとおり貯油部125内の圧力は吐出圧であるため、貯油部125の油も吐出圧となる。後の圧縮部の説明で詳細に述べるが、主軸受24や旋回軸受23からの油の出口側を吐出圧と吸込圧との中間となる背圧に保持する背圧室110を設け、吐出圧と背圧との差圧で主軸受24と旋回軸受23へ油を供給する。また、副軸受25は給油副横穴6gから遠心給油で油が供給され、潤滑後の油は貯油部125へ直接戻る。
一方、主軸受24や旋回軸受23を潤滑して背圧室110へ入った油は、圧縮部内の各部の潤滑やシールを行った後、作動流体とともに、吐出流路2dからRC圧縮機内部へ吐出される。ここでは、圧縮部内の給油路のうち、背圧室110を経由する給油路のみ説明したが、それに限らず、他の給油路も存在する。しかし、最後は全て作動流体とともに、吐出流路2dからRC圧縮機内部へ吐出される。これらは、後の圧縮部の説明で詳細に述べる。
吐出流路2dから作動流体とともにRC圧縮機内へ吐出された油は、チャンバ円筒部8a内壁へ衝突した際、大部分の油は、粘性によって内壁へ付着し、作動流体から分離する。チャンバ円筒部8a内壁へ分離した油は、油流下カット面4gを通って圧縮部下部空間へ流下する。そして、油は、ステータカット面7b1やステータ巻き線7b2を通す穴を通ってステータ下部空間へ流下し、最後に、下フレーム35の油滴下周囲穴35aと油滴下中央穴35bを通って、貯油部125へ戻る。ここで、滴下中央穴35bを通る油は、副軸受25への給油も兼ねる。特に、ボール25aとボールホルダ25bとの隙間への給油となる。
次に、圧縮部の構成について、図1乃至図14を用いて詳細に説明する。
まず、圧縮部のベースとなるフレーム4を図7で説明する。フレーム4は、後に静止シリンダ2を取付けるフレーム取付面4aを上面とし、中央部に主軸受穴4bを設けた構成を有する。この主軸受穴4bには、上主軸受24aと下主軸受24b(図1参照)を圧入して、クランクシャフト6を回転支持する主軸受24を形成する。その主軸受穴4bの上面周囲には、シャフトスラスト面4cを設け、その一か所または複数個所に主軸受24を潤滑した油の出口路となるシャフトスラスト面溝4c1を設ける。そして、シャフトスラスト面4cを取り囲んだ位置に、ローリングシリンダ1を載せるベッド面4dを設ける。このベッド面4dには油の通路となるベッド放射溝4eとベッド外周溝4fを設ける。一方、フレーム4の外周には、前記した通り、作動流体から分離した油の通路である油流下カット面4gを設ける。
次に、旋回ピストン3を図5で説明する。旋回ピストン3は、中央に旋回軸受穴3aを設けた構成を有する。この旋回軸受穴3aに旋回軸受23を圧入する。また、旋回ピストン3の側面には、互いに平行な2つのピストンカット面3cと中心がずれた2つの円筒周面3eとを設ける。さらに、上下には、お互いに平行な平坦面であるピストン上面3dとピストン下面3fとを設ける。このうち、ピストン上面3dには、旋回軸受23の中心軸であるピストン自転軸と交差し、さらにピストンカット面3cと直交するスライド軸を中心軸とするスライド溝3bを設ける。このスライド溝3bは、旋回軸受穴3aと通じる深さに設定する。また、スライド溝3bは、ピストンカット面3cの外周まで延在されている。これにより、溝加工時の刃具の動きが一様になるために、溝の形状精度が向上するという効果がある。
また、旋回ピストン3の表面全域には、図14で示すような馴染み性が母材と不連続になる不連続性馴染み皮膜85を設ける。このような皮膜の例としては、母材がアルミ合金の場合、ニッケルリンメッキ等の、母材とは異なる材料を表面に付加して形成する皮膜がある。これは、母材に関係なく最適な馴染み皮膜をほとんど制約なく選定することができるため、馴染み性の高い皮膜を旋回ピストン3上に設けることが可能となる。よって、旋回ピストン3の形状精度を緩めても高性能を実現できるため、コスト低減という効果がある。
次に、ローリングシリンダ1を図4A及び4Bで説明する。
ローリングシリンダ1は、基本的には、ローリング円柱1bと、このローリング円柱1bよりも直径が大きいローリング端板1aとを合わせた構成を有する。このため、ローリング端板1aは、ローリング円柱1bの下面部に一様にはみ出した状態である。そして、ローリング円柱1bの上面側には、シリンダ溝1cを設ける。シリンダ溝1cの中心軸(シリンダ溝中心軸)は、ローリングシリンダ1の中心軸であるローリングシリンダ軸(シリンダ回転軸)と直交する。
このシリンダ溝1cは、平坦で互いに平行な側面を有し、底面はシリンダ円柱1bやローリング端板1aの各上面と平行になっている。また、シリンダ溝1cはローリング円柱1bの外周まで延在されている。これにより、溝加工時の刃具の動きが一様になるために、溝の形状精度が向上するという効果がある。そして、このシリンダ溝1cの側面へ前記ピストンカット面3cを隙間嵌合させ、ローリングシリンダ1を旋回ピストン3と噛み合わせる。ここで、旋回ピストン3はクランクシャフト6で旋回運動させられるため、シリンダ溝1cの底面中央に偏心シャフト挿入穴1dを設ける。また、ローリングシリンダ1の表面全域には、旋回ピストン3と同様に、図14で示すような付加性馴染み皮膜85を設けてもよい。これにより、旋回ピストン3に付加性馴染み皮膜85を設けた場合と同様の作用効果がある。
次に、静止シリンダ2を図1、6A及び8を用いて説明する。
静止シリンダ2は、基本的に円柱形状であり、下面のシリンダ取付面2aに円形のシリンダ穴2b(偏心シリンダ穴)を開ける。さらに、このシリンダ穴2bにシリンダ穴2b中心から2Eだけ離れた位置(図22に示す。)にピン機構としては、最も単純な固定ピン5を固定配置する。この固定ピン5は、シリンダ穴2bの穴底に小穴をあけ、そこへ圧入している。固定ピン5の他の配置方法としては、接着や溶接やねじ止めなども挙げられる。また、上面からシリンダ穴2bに繋がる吸込穴2s1とシリンダ穴2sに繋がるシリンダ穴2b上面の吸込溝2s2を設ける。これらの吸込穴2s1と吸込溝2s2で吸込流路2sを構成する。さらに、外周側面に縦方向のシリンダ外部吐出溝2d3、シリンダ穴2bの円筒周面にシリンダ内部吐出溝2d1、そして、それら2つの吐出溝を繋ぐシリンダ吐出穴2d2を設け、吐出流路2dを構成する。
さらに、静止シリンダ2の上面からシリンダ穴2bへ貫通するバイパス穴2eをシリンダ穴2bの側面近くに2個設ける。それらの静止シリンダ2の上面側にはバイパス弁22が設けられている。このバイパス弁22は、図1に示す通り、弁座に弁板を投入し上部から弁板をばねで軽く押さえる構成となっている。これにより、バイパス弁22はシリンダ穴2bから上部へ抜ける方向の流れだけを許容する一方向弁となる。
さらに、背圧直流路200を設ける(符号210で示す背圧弁流路は、後述するため、ここでは無視する。)。この背圧直流路200は、後で詳細に説明するが、圧縮室側背圧縦穴2h1、背圧横穴2h2及び背圧室側背圧縦穴2h3を繋いだものであり、中間的な圧力区間の圧縮室100と旋回ピストン3やローリングシリンダ1の背面側に設ける背圧室110を繋ぐ流路である。これは、背圧室110に圧縮室100から中間圧を導入する役割とともに、背圧室110に流入する油を圧縮室100へ流出して、圧縮部内の油循環を促す役割と、圧縮室100への給油で圧縮室100内のシール性向上を実現する役割も担う。
最後に、クランクシャフト6を図1で説明する。
シャフト上部に大径部であるシャフトつば部6dを設け、それより上部に偏心量Eの偏心シャフト6aと、偏心シャフト6aよりも小径のシャフトネック6cとからなる偏心部を設ける。そして、クランクシャフト6の下端部から上部の偏心部も含む全域を通して軸方向に貫通する給油縦穴6bを設ける。そして、給油縦穴6bの下端部には給油ピース6xを圧入するとともに、横方向に給油上主横穴6eと給油下主横穴6fと給油副横穴6gを設ける。これらの給油横穴は、クランクシャフト6をRC圧縮機に組込んだ場合、軸受に向かう位置に設置される。また、偏心シャフト6aは、クランクシャフト6をRC圧縮機に組込んだ場合、旋回ピストン3の旋回軸受23に挿入する。また、シャフトつば部6dには、前記したシャフトバランス81を偏心シャフト6aと正反対の方向に圧入する。
次に、これまでに説明した圧縮部構成要素の組立てについて、図1、2、3及び8を用いて説明する。まず、図8を用いて組立て方法を説明する。
前記したとおり、フレーム4の主軸受24で回転支持されるクランクシャフト6は、シャフトつば部6dをシャフトスラスト面4cにのせることで軸方向の位置決めがなされている。そして、ローリングシリンダ1の偏心シャフト挿入穴1dへ偏心シャフト6aを挿入することで偏心シャフト6aをシリンダ溝1c内に突出させた後、その偏心シャフト6aを旋回軸受23に挿入させるべく旋回ピストン3をクランクシャフト6へ組込む。それにより、旋回ピストン3は偏心シャフト1aの中心軸を中心に自転可能となる。つまり、偏心シャフト1aの中心軸は旋回ピストン3の自転軸であるピストン自転軸88と一致する。
偏心シャフト6aとシャフトつば部6dとの間には、偏心シャフト6aよりも小径の部分であるシャフトネック6cを設け、偏心シャフト挿入穴1dを通るようにする。さらに、旋回ピストン3は、ピストンカット面3cをシリンダ溝1cの側面へ隙間嵌合させ、シリンダ溝1c内を摺動可能な状態でローリングシリンダ1へ組込む。これにより、シリンダ溝1cは旋回ピストン3によって2個の作動室に仕切られる。
ピン機構を組込んだ静止シリンダ2(固定ピン5を有する静止シリンダ2)は、以上のようにして形成されたクランクシャフト6とローリングシリンダ1と旋回ピストン3のアセンブリを以下に記載する方法で組み合わせた後、ピン軸61とシリンダ穴2bの中心軸62(後述のローリングシリンダ軸89(シリンダ回転軸)と一致する。)との中間線63をシャフト軸87(ピストン旋回軸)と一致するようにした状態でシリンダボルト90(図1参照)によりフレーム4に装着する。
まず、固定ピン5を旋回ピストン3のスライド溝3bへ挿入して、スライド溝3bの中心軸であるスライド軸とピン軸61とを直交させてピンスライド機構を構成する。さらに、ローリングシリンダ1のローリング円柱1bをシリンダ穴2bへ装着し、シリンダ穴2bの中心線とローリングシリンダ軸89とを一致させる。以上のように組合せた結果、シャフト軸87とピン軸61との軸間距離及びシャフト軸87とローリングシリンダ軸89との軸間距離はともにEとなり、さらに、シャフト軸87を中心としてピン軸61とローリングシリンダ軸89は、点対称の位置に配置される。そして、ピストン自転軸88は、クランクシャフト6の回転(図2及び3においては、圧縮機上方から見て時計回り)によって、シャフト軸87を中心にピン軸61及びローリングシリンダ軸89を通る旋回半径Eの円運動を行う。
ところで、後述するが、旋回ピストン3は、シリンダ溝1c内を往復運動する。このため、旋回ピストン3がシリンダ溝1cの端に寄った場合でも偏心シャフト挿入穴1dが旋回ピストン3で隠れるように旋回ピストン3の長さを伸ばす必要がある。旋回ピストン3の長さが伸びると、シリンダ溝1cの長さを伸ばすことが必要になり、ローリングシリンダ1の直径が増大する。ローリングシリンダ1の直径が増大すると、それを組込む静止シリンダ2の直径が増大するため、チャンバ8の直径が増大し、RC圧縮機が大径化してしまうという問題が生じる。図1で示すとおり、偏心シャフト6aよりも小径部のシャフトネック6cで偏心シャフト挿入穴1dを通すようにシャフトネック6cを設けている。この結果、偏心シャフト挿入穴1dを小さくできるため、RC圧縮機の大径化を抑制できるという効果がある。
以上のようにして圧縮要素を組込んだRC圧縮機の圧縮部の構成を、図2、3の横断面で説明する。
圧縮動作の途中においては旋回ピストン3の2つのピストン円筒周面3eに各々隣接して作動室が2つ形成されるが、図2、3はともに、作動室の一つが容積0となり、他方の作動室が最大の容積となる状態である。すなわち、容積0となる作動室は、吐出行程が完了する吐出室105または吸込行程を開始する吸込室95であり、容積が最大となる作動室は吸込行程が完了する吸込室95または圧縮行程を開始する圧縮室100である。後述するが、クランクシャフト6の回転方向とローリングシリンダ1の回転方向とは同一である。図中、クランクシャフト6は時計回りに回転するため、ローリングシリンダ1も時計回りに回転する(図2、3にローリングシリンダ1の回転方向を示す矢印を記載)。よって、ローリングシリンダ1が時計回りに回転すると、図2、3で容積0の作動室(旋回ピストン3の左側作動室)が吸込行程を開始するべく吸込流路2sを設ける。具体的には、図2、3で示す通り、静止シリンダ2における吸込穴2s1の位置は、吸込穴2s1の側面が作動室と連通開始するように決定する。また、ローリングシリンダ1が反時計回りにわずかに回ったとき(図2、3の時刻をわずかにさかのぼったとき)、図2、3で容積最大となっている作動室が吸込行程中となるように吸込流路2sを設ける。具体的には、図2、3で示す通り、吸込穴2s1と繋がるシリンダ穴2b穴底の吸込溝2s2が吸込室95である作動室(旋回ピストン3の右側作動室)と連通を継続するべく延伸した構成である(図3の二点鎖線参照)。図3においては、吸込穴2s1を縦方向に設けたが、それに限らず、横方向に設けてもよい。このようにした場合、吸込穴2s1とチャンバ8が近くなるため、RC圧縮機内の吸込パイプ50を短くすることが可能となり、吸込過熱を抑制でき、性能を高くすることができるという効果がある。
さらに、ローリングシリンダ1が時計回りに回転すると、図2、3で容積最大の作動室が圧縮行程を継続するべく吐出流路2dにも吸込流路2sにも通じさせない密閉状態を開始する。その密閉状態は、圧縮室100が固有容積比(吸込行程完了時の吸込室95の容積/吐出行程開始時の圧縮室100の容積)の容積まで縮小し吐出行程を開始するまで続ける。図2、3の吐出流路2dは、固有容積比が2.2の場合を示している。すなわち、圧縮室100の容積が吸込行程完了時の吸込室95の容積÷2.2まで縮小した時にシリンダ貫通吐出穴2d2とシリンダ外部吐出溝2d3とともに吐出流路2dを構成するシリンダ内部吐出溝2d1が圧縮室100と連通開始する位置に設けられる。そして、その時から圧縮室100は吐出室105となり、シリンダ内部吐出溝2d1は吐出行程の全期間で吐出室105と連通するように設けられる。なお、ここでは、固有容積比が2.2の場合を示したが、固有容積比は、この数値に限定されるものではなく、圧縮機として圧縮及び吐出の機能が得られればよい。
そして最後に、吐出室105の容積が0となる吐出行程の完了時(図2、3の容積0の作動室参照)にシリンダ内部吐出溝2d1は吐出室105から外れるような位置と大きさに設けられる。図2においては、吐出室105と直接連通する吐出部は、シリンダ穴2bの円筒周面に設けるシリンダ内部吐出溝2d1としたが、それに限らず、吸込溝2s2のようなシリンダ穴2b穴底に設ける溝としてもよい。このようにした場合、固有容積比が大きく、吐出行程開始時の圧縮室100の容積を小さくするまで圧縮しなければならない場合でも吐出流路2dを設定することが可能となる。
以上で圧縮部の構成の説明を終え、次に圧縮部の動作を、図9、10及び11(ともに図1のB−B断面よりもわずかに下方の断面)を用いて説明する。ここで、吸込溝2s2は図1のB−B断面よりも手前にあるため、本来ならば想像線として二点鎖線で表さなければならない。しかし、小さな図中の二点鎖線は実線と判別しにくいため、図9〜11においては便宜的に破線で示す。
まず、圧縮動作を含む作動流体の流れを説明する。ピンスライド機構を自転半減機構とするRC圧縮機の圧縮動作は、吸込行程終了と吐出行程開始との時間差を極めて小さく設定する以外は同一とみなすことができるポンプ動作が特許文献1で詳細に説明されているため、本明細書においては概略説明だけを行う。また、特許文献1には記載していない過圧縮抑制手段についても説明する。
図9は、クランクシャフト6がシャフト軸87(各図の中心線の交点)を中心に時計回りに一回転する間の45度毎の圧縮要素の状態を示したものである。圧縮動作の全行程(吸込行程、圧縮行程、吐出行程)は、クランクシャフト6が2回転して完了する。このため、図9は、行程の半分しか示していないが、並行して2つの作動室がクランク角で一回転ずれた変化をすることを利用し、二回転目の行程を他方の作動室の変化を使って説明する。説明は、図9の左上図で旋回ピストン3の左側にある作動室の行程を説明する。そして、このときのクランク角を0度とする。
クランク角が0度となる図9の左上図(その拡大図である図10参照)は、ピストン自転軸88がピン軸61と重なっている。そして、容積が0となる。これは一つ前の吐出行程が終了して吸込行程を開始する移行時である。厳密に容積を0にすることができれば、両流路とこの作動室が通じていても大きな問題にはならない。しかし、ピストン円筒周面3eがシリンダ穴2bの内周面に衝突した場合、信頼性が損なわれるとともに、騒音や振動の増大や、衝突箇所の摺動損失増大による効率低下という問題が生じる。
このため、最悪でもピストン円筒周面3eがシリンダ穴2bの内周面に衝突しないような公差設定が必要となる。よって、実際にはわずかな容積が残る。つまり、ピストン円筒周面3eとシリンダ穴2bの内周面の間に他の箇所(ローリング円柱1bの外周面とシリンダ穴2bの内周面との間)よりも大きな隙間が形成される。このため、仮にこの作動室に両方の流路が通じていると、ピストン円筒周面3eとシリンダ穴2bの内周面の隙間が内部漏れ流路となり、吐出するべき作動流体が吸込側へ戻り、効率低下を起こす。
よって、実際の設定では、両流路2s、2dに通じさせないようにする。しかし、この両流路2s、2dを作動室へ通じさせない期間は、極めて短時間であるため、図10、11等には明示されていない。
この後、クランクシャフト6が時計回りにわずかに回転した時点で、作動室は吸込流路2sと通じて吸込パイプ50から作動流体が流入し吸込室95となる。そして、その後、クランク角が増大するにつれて、クランク角の増大と同一の量だけ旋回ピストン3が旋回する。一方、旋回ピストン3が隙間嵌合するシリンダ溝1cは、図9から明らかなように、旋回量の半分の回転量で連れ回る。この旋回ピストン3の旋回とシリンダ溝1cの回転すなわちローリングシリンダ1の回転とによって、旋回ピストン3はシリンダ溝1c内を他方の端部へ向かって移動する。つまり、吸込室95の容積は増大し続け、吸込行程が継続する。この動きは、クランク角が360度のところ、すなわちクランクシャフト6が1回転を完了するまで継続する。この間に、ピストン自転軸88は、図9に示す旋回軌跡円96を描く。
ここで、クランク角が180度の時、ピストン自転軸88とローリングシリンダ軸89とが一致する。このため、ローリングシリンダ1は、旋回ピストン3の旋回量の半分で連れ回る正規の回転とは異なる非正規の回転を起こしても噛み合いが成立する。
実際の場合、ローリングシリンダ1や旋回ピストン3や静止シリンダ2相互の隙間からくる理想的な回動からのずれにより、上記のローリングシリンダ1の非正規回転が頻発する。そして、一旦この非正規回転が生じると、特許文献1において指摘したとおり、力学的に正規回転へ自動復帰することは不可能となり、圧縮動作は停止してしまう。そのようなロック状態を常時回避して、滑らかな圧縮動作を継続するため、本実施例では、ローリングシリンダ1の回転と旋回ピストン3の自転とを同期させる回転同期手段を設けたうえで、旋回ピストン3の自転量を旋回量の半分にする自転半減手段を設けている。
まず、回転同期手段でローリングシリンダ1の回転が常に旋回ピストン3の自転で規定される。これは、旋回ピストン3のピストンカット面3cをシリンダ溝1cの側面へ隙間嵌合させることで実現する。そして、自転半減手段を組み合わせることによって、旋回ピストン3の自転と同期したローリングシリンダ1の回転量を旋回ピストン3の旋回量の半分に規定することができる。すなわち、ローリングシリンダ1の回転を常に正規回転に規定可能となる。
旋回ピストン3の自転半減手段は、特許文献1に記載されている通り、旋回ピストン3の上面であるピストン上面3dに設けるスライド溝3bへ、静止シリンダ2に固定配置される固定ピン5を挿入させて構成するピンスライド機構によって実現する。このピンスライド機構による旋回ピストン3の自転量を旋回量の半分に規定する規定の度合い(規定度)は、クランク角で変化する。特許文献1で記載されているとおり、クランク角が180度で最大となる一方、クランク角が0度の時(特許文献1の図11参照)、ピン軸61とピストン自転軸88が一致し、旋回ピストン3の自転量はピンスライド機構によって規定されないことから、規定度は最小となることがわかる。しかし、クランク角が0度の場合は、ピストン自転軸88とシリンダ回転軸89は最も離れているため、元々、圧縮動作に問題はなく、ピンスライド機構は不要であった。
以上より、ピンスライド機構の規定度は、必要性の高まるクランク角が180度付近で高くなり、必要性の低下するクランク角0度付近で低下するという理想的な変化を示す。これにより、圧縮機構を構成する圧縮要素の寸法公差や組立て精度の高度化を行う必要がなく、製作コストを低減できるという効果がある。
また、これにより、ピンスライド機構は、クランク角が180度付近で圧縮要素の動きを規定する頻度が高まることがわかる。すなわち、クランク角が180度付近に集中して、ピン機構である固定ピン5やスライド溝3bに負荷がかかり、さらに負荷の大きさは、各部の隙間から生じる予測困難な圧縮要素の理想的な動きからのずれを原因とするため、不規則で衝撃的な変化を伴う。
以上より、ピンスライド機構には、不規則で衝撃的な負荷がかかるため、確実な潤滑を行うことが必須となる。ところで、スライド溝3bにかかる負荷は固定ピン5から作用するため、ピンスライド機構への潤滑は、ピン機構へ給油すればよい。よって、滑らかな圧縮動作を回転同期手段とピンスライド機構による自転半減手段により実現するRC圧縮機において、ピン機構への給油は必須となる。このピン給油機構に関する説明は、後述する油の流れの説明の中で行う。
このピンスライド機構にかかる不規則で衝撃的な負荷は、上述のように詳細に説明したとおり、軸一致タイミングにおいて、旋回ピストン3とローリングシリンダ1との衝突的な接触と、それを基とする衝突とが原因である。旋回ピストン3とローリングシリンダ1の衝突対策を行うことにより、その現象で生じる振動騒音、磨耗及びエネルギー効率低下の解決とともに、ピン機構への給油も少量ですむという効果が生じる。
この対策は、図21で示す軸一致タイミングの状況を回避することで達成される。つまり、旋回ピストン3が、軸一致タイミングで、シリンダ溝の正規方向に移動した際に、ローリングシリンダ1と逆回転するような衝突を起こさないようにすればよい。
上述のとおり、ローリングシリンダは、一般に、回転遅れを生じる。つまり、反旋回方向となる場合が多い。このような場合、旋回ピストン3の衝突で逆回転を起こさないようにするには、ピストンカット面が反旋回方向に回転しなければ良い。つまり、各寸法から生じる隙間を主要な原因とする最大の許容回転ずれ時でも、ピストンカット面がシリンダ溝の正規方向(図21では垂直方向)から反旋回方向へ回転できないように、あらかじめ、旋回方向へ傾斜させて置けばよいことになる。つまり、図21の二点鎖線のようにピストンカット面3cを傾斜させればよい。これは、見方を変えると、スライド軸3bを反旋回方向へ回転させればよいことになる。
つまり、図5Cで示すように、各隙間によって許容される微小な旋回方向回転量を打ち消すように、微小修正回転角λだけ回転させたスライド軸を有するスライド溝3bを設ける。言い換えると、ピストンカット面3cに対して反旋回方向に微小修正回転角λだけ傾斜させたスライド軸を有するスライド溝3bを設ける。これにより、軸一致タイミングを含む摩擦対抗トルクゼロ期間において、ローリングシリンダ1を逆方向に回転させる向きのトルクを発生することがなくなる。これにより、旋回ピストン3とローリングシリンダ1の衝突が回避でき、振動や騒音の低減とともに、磨耗回避による信頼性の向上、また、シール隙間であるピストンカット面3cとシリンダ溝1cの隙間量が安定し、良好な油膜形成が行われ、漏れ抑制によるエネルギー効率の向上という効果がある。
図5Cに示す微小修正回転角λは、極端に大きく描いてあり、実際の場合は、目視できない程度の角度である。微小修正回転角λの範囲については、図22に示す変数を用いて、次の式(1)〜(3)で表される。
MINλ≦λ≦MAXλ …(1)
MINλ=arctan((2C)/(2E))=arctan(C/E) …(2)
MAXλ=arctan(G/L) …(3)
ただし、λは微小修正回転角であり、MINλはλの最小値であり、MAXλはλの最大値であり、Cは、2つのピストンカット面から等距離でかつ平行であるカット軸がピン軸から外れたときの最大距離であり、Eは、旋回ピストンの旋回半径であり、Gは、軸一致タイミングにカット軸がシリンダ溝中心軸から外れたときの最大距離であり、Lは、ピストンカット面の長さである。
MINλ=arctan((2C)/(2E))=arctan(C/E) …(2)
MAXλ=arctan(G/L) …(3)
ただし、λは微小修正回転角であり、MINλはλの最小値であり、MAXλはλの最大値であり、Cは、2つのピストンカット面から等距離でかつ平行であるカット軸がピン軸から外れたときの最大距離であり、Eは、旋回ピストンの旋回半径であり、Gは、軸一致タイミングにカット軸がシリンダ溝中心軸から外れたときの最大距離であり、Lは、ピストンカット面の長さである。
ここで、MINλは、回転中心がずれないとする近似を用いて求めたものである。また、λが大きすぎると、シリンダ溝に挿入できないため、MAXλは、その制約を考慮して求めたものである。
ところで、回転同期手段とする旋回ピストン3のピストンカット面3cをシリンダ溝1cの側面へ隙間嵌合させる方法は、旋回ピストン3で仕切られて、圧力差のある作動室間のシール部としても機能している。このため、特許文献2のような線シールよりも格段にシール性が向上し、圧縮機効率が向上するという効果がある。
2回転目以降の行程は、上述したとおり、図9のもう一方の作動室(右上図の右側作動室)で説明する。これまで吸込室95であった作動室は、吸込流路2sが外れて密閉空間となる。この結果、圧縮行程が開始され、作動室内の作動流体は容積が縮小して圧縮される。つまり作動室は圧縮室100となる。この圧縮行程は、圧縮室100の容積が0に近づく図9の左下図へ至る前に圧縮室100が吐出流路2dと連通することで完了し、吐出行程が開始されて昇圧して吐出圧となった作動流体は、吐出流路2dを通ってRC圧縮機の機内へ吐出される。
例えば、吐出時の圧縮室容積が吸込行程完了時の吸込室95容積の2.2分の1になる場合、すなわち固有容積比が2.2の場合の圧縮行程完了から吐出行程開へ移行するタイミングを図11に拡大して示す。この吐出行程は、図9のクランク角が360度すなわちクランク角0度で示す状態まで継続する。また、圧縮行程中の圧縮室100には、常時バイパス穴2eが臨む。これにより、過圧縮時、バイパス穴2eとその上部に設ける一方向弁のバイパス弁22は、圧縮室100内の作動流体を吐出圧であるチャンバ8の機内空間へ流す動作を行う。すなわち、過圧縮抑制手段を構成する。これにより、過圧縮運転時には、余分な圧縮を回避できるため、圧縮機効率が向上するという効果がある。
ところで、このバイパス穴2eは、圧縮室100が吐出室105へ移行した後も暫くの間は、吐出室105へ臨む位置に配されている。これは、図9の吐出行程となるクランク角225度の図で、バイパス穴2eが吐出室105に臨んでいることからわかる。これより、この時点でのバイパス穴2eは、吐出流路の役割を果たしていることになる。よって、吐出流路抵抗を低減できるため、圧縮機効率が向上するという効果がある。
さらに、このバイパス穴2eは作動室が吸込室95の時もそこへ臨んでいることがわかる。それは、図10のクランク角0度の図中で、吸込行程を完了した直後で圧縮行程を開始した右側の作動室にバイパス穴2eが全開していることから明らかである。これにより、液化した作動流体や油を大量に含む作動流体の吸込に伴う液圧縮が生じても、液圧縮を起こしている流体をバイパス穴2eで圧縮室100から排出できるため、過大な圧力上昇による圧縮部の損傷を回避でき、信頼性が向上するという効果がある。
本実施例では、バイパス弁として、フラッパタイプの弁を用いている。これにより、圧縮室100からバイパス弁22の弁板までの距離を短く設定できるため、再膨張損失を抑制できるという効果がある。ここで、バイパス弁をリード弁タイプとしてももちろんよい。この場合、構造が単純となるため、コスト低減という効果がある。
次に、圧縮部の油の流れを、図9、図12(図1のB−B断面で図3のM部拡大図)及び図13を用いて説明する。ここでは、旋回軸受23及び主軸受24への給油及び本件の特徴であるピン機構への給油路とそれらの給油路へ油を流すための差圧給油に関して説明する。そして差圧給油で用いる背圧を使って、ピン機構への給油による隙間拡大の弊害を回避する背圧支持手段について説明を行う。さらに、背圧設定のための背圧流路による圧縮室への給油についても説明を行う。
前記した通り、貯油部125に常時浸かっている給油パイプ6x、給油縦穴6b、給油下主横穴6f、給油上主横穴6eによって、貯油部125から主軸受24へ繋がる給油路が設けられる。さらに、給油縦穴6bは、クランクシャフト6の上端にある偏心シャフト6aも貫通する穴としてあるため、これによって旋回ピストン3に圧入されている旋回軸受23へ繋がる給油路と、旋回ピストン3のスライド溝3bを通ってピン機構である固定ピン5へ繋がる給油路とが形成される。
前記したとおり、貯油部125内の圧力は吐出圧であるため、貯油部125の油も吐出圧となる。給油パイプ6x及び給油縦穴6bの内径はともに大きく、スライド溝3bもそれ以上に開口断面積が大きい(図12参照)。さらに、固定ピン5は給油縦穴6bのほとんど真上に設けられている(図12参照)ため、貯油部125から固定ピン5へ至る流路は直線状となる。よって、固定ピン5へ至る給油路であるピン給油路の流路抵抗は極めて小さく、固定ピン5へ吐出圧の油を供給することが可能となる。固定ピン5には、吐出圧となる吐出室105やそれに近い高圧の圧縮室100が隣接している。
しかし、それらの領域と固定ピン5との間(ピストン上面3dとシリンダ穴2b底面の隙間)は狭い隙間に設定されているため、作動流体等の流体はこれらの隙間から固定ピン5へ流入できない。これにより、固定ピン5への流路抵抗が実質0のピン給油路によって固定ピン5へ給油が行われる可能性が高くなる。ここで、ピストン上面3dとシリンダ穴2bの底面との隙間は、旋回ピストン3が設置されるシリンダ溝1cの底面高さに依存する。すなわち、ローリングシリンダ1の組み込み高さに依存する。
図13からわかるように、ローリングシリンダ1の下面は、フレーム4のベッド面4dと対向する。よって、ベッド面4dの高さが、ピストン上面3dとシリンダ穴2bの底面との隙間を規定する。この例では、ピストン上面3dとシリンダ穴2bの底面との隙間が最大でも50μm程度となるように、ベッド面4dの高さを設定する。これにより、作動流体が高圧領域から固定ピン5側へ流れようとしても、流路抵抗が大きいために流れることができず、ピン給油は阻害されない。
ところで、給油路へ油を流すためには、油へ駆動力を与える手段が必要となる。この例では、旋回軸受23の下端と主軸受24の上端との間、すなわち旋回ピストン3及びローリングシリンダ1の下方に形成される空間(以後、「背圧室110」と呼称する。)に吐出圧以下となる圧力(以後、「背圧」と呼称する。当然、吸込圧以上となる。)をかける。これは、その空間が各給油路の上流の空間となっており、下流の空間である吐出圧の貯油部125よりも圧力を低くすることで差圧給油が実現するからである。これにより、主軸受24とともに旋回軸受23にも油が供給され、両軸受の信頼性を向上させる効果がある。
さらに、旋回軸受23への給油経路途中にある偏心シャフト6a上部にも油が潤沢に供給される。よって、偏心シャフト6a上部にある固定ピン5までのピン給油路の流路抵抗は、上記のとおり、実質0であるため、吐出圧油が固定ピン5へ潤沢に供給される。これにより、ピンスライド機構の課題であるピン機構への確実な給油を実現でき、RC圧縮機の信頼性を向上させるという効果がある。
ところで、ピン給油路によって、スライド溝3bにも油が流入するため、通常、スライド溝3bは油で満杯の状態となる。図9より、相対的にみると、固定ピン5はスライド溝3b内を往復運動するととらえることができるため、密閉性を緩和させて、油圧縮を回避する必要がある。そこで、この例では、図13に示すとおり、偏心シャフト6aの上部空間を大きくして、油圧縮を回避する構成している。
ところで、スライド溝3b内における固定ピン5の相対的な移動の向きは、吸込流路2sを設定しない吐出流路2dを設定する側に常に向かう(図9の各図で下側へ移動する)。このことから、スライド溝3b内の油圧縮をあえて若干発生させるべく、偏心シャフト6aの上部空間を狭めた構成も考えられる。この場合、油の圧力が吐出圧よりも若干高い吐出圧以上の圧力となり、吐出流路2d付近の吐出圧領域への給油が可能となるため、吐出圧領域からの作動流体の漏れを抑制可能となる。これにより、圧縮機効率が向上するという効果がある。
以上で差圧給油による各部への給油の説明を終わり、次に、前記ピン給油路の設置で生じる弊害とその対策を説明する。
ピン給油路によって、ピン機構へ吐出圧の油を潤沢に流し込むことができるようになるため、固定ピン5の信頼性が向上するが、この結果、旋回ピストン3のピストン上面3d付近が吐出圧となる。さらに、ピストン上面3dと隣接するローリングシリンダ1の上面であるローリング円柱1bの上面にも吐出圧の領域が広がる。これにより、旋回ピストン3及びローリングシリンダ1は下方へ移動しようとする。この移動が生じてしまうと、ピストン上面3d及びローリング円柱1bの上面とシリンダ穴2bの底面との隙間(これ以降、「上部隙間」と呼称する。)が拡大してしまう。こうなると、吐出室105や吐出圧に近い高圧の圧縮室100から作動流体が上部隙間を通って低圧各部へ漏れ出てしまう。低圧空間である吸込室95へも漏れ出てしまい、内部漏れとなって圧縮機効率を低下させる。
さらに、前記したピン機構へ作動流体が流れ込むため、ピン給油が不確実になり、最悪の場合、給油ができなくなる。そうなると、旋回軸受23への給油も不確実となり、ピン機構である固定ピン5や旋回軸受23の信頼性が損なわれる。以上より、ピン機構への給油を行っても、上部隙間を拡大させない対策が必須となる。
この例では、差圧給油による給油量が必要給油を確保できるように各部の隙間を調整しつつ、背圧室110の圧力である背圧を上げ、背圧でローリングシリンダ1及び旋回ピストン3を静止シリンダへ常時付勢させる背圧支持手段を用いる(この背圧設定の方法は後述)。これにより、上部隙間の拡大を回避できるため、ピン機構である固定ピン5や旋回軸受23や主軸受24の給油を確実に行うことができ、RC圧縮機の信頼性を向上できるとともに、上部隙間を漏れ流路とする内部漏れを抑制できるため、RC圧縮機の圧縮機効率を向上できるという効果がある。
背圧の設定方法を以下に説明する。
背圧弁流路210は、シリンダ穴2bの穴底及びシリンダ取付面2aから、縦に各々圧縮室側背圧弁用縦穴2h4及び背圧室側背圧縦穴2h3を開け、それらを背圧横穴2h2で結んでコの字型の流路を形成する(図13参照)。ここで、背圧横穴2h2は静止シリンダ2の外周側から開けるため、加工後に止め栓92で封止する。連通する圧縮室100は後述する背圧弁26による昇圧分があるため、低圧側の圧縮室100と連通させる。さらに、圧力差の設定は後述する背圧弁26が担うため、各穴の径を大きくする。これにより、加工に用いるドリル刃を太いものに変更できるため、損傷の危険性が低減し、加工が容易となって囲うコストが低減するという効果がある。
以上のようにして構成したコの字形状の流路に、この例では背圧弁穴2h5を静止シリンダ2条面側から加工し、その内部に背圧弁26を以下のように設置し、背圧弁流路210を構成する。
図13より、まず、背圧弁穴2h5の底に背圧弁ピース26aを圧入固定する。そしてその上に背圧弁板26bを置き、上に背圧弁ばね26cを配置して、背圧弁キャップ26dで背圧弁穴2h5を封止する。この際、背圧弁ばね26cは圧縮され、背圧弁板26bを所定の力で背圧弁ピース26aへ押付ける。
これによって、背圧が連通する圧縮室100の平均圧力よりも背圧弁ばね26cの背圧弁ピース26aへの押付け力に応じた一定値だけ、高くなったときに、背圧弁26が開口し、背圧を制御する。
ここで、背圧室110の圧力を高くする流体として、前記した背圧室110へ流入する油を用いる。つまり、背圧室流体導入路は、背圧室110へ流入する油の流入路全てとする。具体的には、主軸受24から流入してくる流路と旋回軸受23から流入してくる流路である。
以上のような、背圧弁流路による背圧設定により、背圧値は、連通する圧縮室の圧力よりも概略一定値だけ高い圧力となる。これは、前記したバイパス弁22等による過圧縮抑制手段を採用した場合、旋回ピストン3やローリングシリンダ1を静止シリンダ2へ付勢するために最低限必要な圧力に近い圧力に近い値となるため、付勢に伴って発生する摺動損失を低減できる。よって、圧縮機効率を向上させることができるという効果がある。
さらに、各部への給油を継続することができ、給油を行う各部の信頼性と給油によるシール性を継続して確保でき、安定な圧縮機の運転を可能にするという効果がある。
この例では、背圧弁流路210は、吸込室95へは臨まない位置に設定したが、場合によっては、背圧弁流路210の連通初期において吸込室95に臨む位置としてもよい。この場合、背圧弁流路210によって吸込室95への給油を行うことができるため、体積効率の向上による圧縮機効率向上を図ることができる。しかし、油温が高い場合には、吸込加熱が大きくなり、逆に体積効率を低下させる可能性もある。よって、運転条件により、背圧弁流路210の連通区間を調整する必要がある。
以上のように、背圧弁流路210によって圧縮室100へ流入した油は、圧縮室100のシール性を向上させる。よって、圧縮行程の内部漏れを抑制し、圧縮効率の向上させる効果がある。このようにして圧縮室100へ流入した油は、最終的に作動流体とともに吐出行程へ移行し、前記したとおり、吐出流路2dを通って、圧縮機内部へ吐出される。
ここで、本実施例では、ローリングシリンダ1のシリンダ溝1cの反対側である下方端部に、シリンダ回転軸に垂直な平板状のローリング端板1aがローリング端部として設けてある。これは、前記した背圧支持によるローリングシリンダ1の静止シリンダ2側への付勢によって、ローリング端板1aの上面である端板おもて面がシリンダ取付面2aへ付勢される。これにより、背圧室110と、吸込室95や圧縮室100や吐出室105とのシール性が向上し、内部漏れが抑制されて圧縮機効率が向上するという効果が得られる。しかし、そのシール性は完全ではなく、若干の漏れが発生する。その場合には、背圧室110へ流入した油が背圧よりも圧力が低い吸込室95や圧縮室100へ流れる。これによって、シール性の改善が図られる。また、吸込室95へ流入した油は、吸込室95のシール性を向上させるため、体積効率向上による圧縮機効率を向上させる効果がある。
ところで、図4C、4Dで示すように、ローリング端板を別部材とした、平板の別体ローリング端板1a’を端板ネジ1wで本体側に固定する構成としてもよい。この場合、端板の仕上げ加工に平研が可能となり、精度向上とともに、コスト低減を図ることが可能となる。さらに、本体とのネジ固定には位置精度は要求されないため、ネジ固定によるコスト上昇も限定的となり、総合的に、コスト低減効果が生じる。
さらに、本実施例では、旋回ピストン3またはローリングシリンダ1の表面に不連続性馴染み皮膜85を設けているため、上部隙間や端板おもて面(ローリング端板1aの上面)とシリンダ取付面2a間やピストン下面3fとシリンダ溝1c底面間の隙間が形状補正を伴って全体的に縮小し、漏れ損失が低減するとともに、互いの形状が滑らかになって摺動損失が低減し、圧縮機効率が向上するという効果がある。また、背圧支持による付勢がなされない対向面(例えば、ローリング円柱1b外周面とシリンダ穴2b内周面間やピストンカット面3cとシリンダ溝1c側面間)においても、馴染み切った後では、馴染み皮膜を設けない場合よりも隙間が縮小するため、シール性が向上し、圧縮機効率が向上するという効果がある。
さらに、本実施例では、端板おもて面をシリンダ溝1c底面よりもローリングシリンダ1の背面寄りに設ける。つまり、端板おもて面(ローリング端板1aの上面)よりもシリンダ溝1c底面を高くし、段差をつける(図4A、4C参照)。これにより、円環状の端板おもて面をシリンダ溝1cと切り離して旋盤による加工が可能となり、加工コストが低減するという効果がある。さらに、段差部の外周面とシリンダ穴2b内周面間の隙間がシリンダ溝1cに形成される作動室(吸込室95や圧縮室100や吐出室105)と背圧室110間のシール隙間となるため、その隙間の漏れを抑制し、圧縮機効率が向上するという効果もある。
さらに、図4A、4Bに示す通り、厚肉部を取った中空穴1v(中空部)を設けることも考えられる。これにより、ローリングシリンダ1の慣性モーメントが低減するため、旋回ピストン3によって容易に回転させることが可能となり、不要な衝突の低減により、振動騒音の低減、磨耗の低減による信頼性向上、良好な油膜形成によるエネルギー効率向上を図ることが可能となる。
本実施例では、ピン軸調整角を0度としたが、図6Bに示すようにピン軸調整角をδとしてもよい。この場合、スライダ溝3bは、旋回回転方向と逆向きに微小修正回転角をλとする以外に、図5Cの二点鎖線で示す通り、ピン軸調整角δの半分だけ同じ向きに傾斜させることで、旋回ピストンの自転量を旋回量の半分に規定する自転半減手段を実現できる。図5Cに示す二点鎖線に平行な一点鎖線は、ピストンカット面に対して前記旋回ピストンの公転運動の回転方向に90度+δ/2から微小修正回転角λを差し引いた角度だけ傾斜している。これを用いると、バイパス弁や背圧弁の設定位置との重ならないように、δをプラス方向やマイナス方向に設定できるため、設計の自由度が向上する。しかし、自転半減手段の規定度合いを高めるにはδを0とすることが最良であることは、特許文献1で詳細に説明されている。結局、δの絶対値を大きくすると、前記した摩擦対抗トルクゼロ期間において旋回シリンダが旋回動作不能となるロック現象の回避が困難になってくる。よって、ピン軸調整角δを0とすることにより、滑らかな運転が可能になるという効果がある。
次に、実施例2に係るRC圧縮機について、図15を用いて説明する。
図15はローリングシリンダ1または旋回ピストン3の表面近くの拡大断面図であり、表面から内側へ入るにつれて馴染み性が連続的に低下していく連続性馴染み皮膜86とする以外は、実施例1と同様なので、同様な箇所に関する説明は省略する。なお、連続性馴染み皮膜86も、摺動する表面全域に形成することが望ましい。
このような皮膜の例としては、処理剤に浸して表面を改質する表面改質馴染み皮膜があげられる。これは図15で示すように、元の母材表面から構成物が表面上へ析出して処理剤と反応し馴染み性の高い析出層を形成するとともに、元の母材側は侵食されて多孔性となったところへ処理剤が侵食して母材よりは馴染み性がわずかに高いが析出層よりは馴染み性の低い侵食層を形成することで実現できる。例えば、母材が鋳鉄の場合、燐酸マンガン処理による皮膜がある。これによって、不連続性馴染み皮膜85の場合よりも皮膜はがれが生じにくくなり、信頼性が向上するという効果がある。
また、母材の元表面位置でもある程度の馴染み性が発生するため、馴染み皮膜を設ける母材寸法の管理が容易となる。例えば、母材における旋回ピストン3の高さが母材におけるシリンダ溝1cの深さより多少大きくなっても、旋回ピストン3の連続性馴染み皮膜86により、母材寸法以下まで磨耗させることができる。つまり、母材寸法の公差を互いの干渉を許容する設定にできるため、馴染み切ったときの稠密な表面間(母材の元表面間)の距離が小さくなり、シール性が一層向上して圧縮機効率が向上するという効果がある。
次に、実施例3に係るRC圧縮機について、図16及び図17を用いて説明する。
図16は、図1のP部の拡大縦断面図である。また、図17は、図16のF−F断面図であり、固定ピン5を転動体5eにより、固定側であるスライダ柱5dに対してスライダ5cを転がり軸受支持した構造である。転動体5eは、ボールベアリング、ニードルベアリング、ローラベアリング等である。これにより、スライダ5cはピン軸を中心として非常に滑らかに回転するとともに、スライダ溝3bとスライダ5cが平面摺動するため、摺動部に良好な油膜を形成できるため、磨耗の危険性が回避され、信頼性が向上するという効果がある。また、軸部の摩擦も低減し、摩擦損失が低減するため、RC圧縮機のエネルギー効率が向上するという効果もある。
次に、実施例4に係るRC圧縮機について、図18を用いて説明する。
図18は、図1のP部の拡大縦断面図である。
本図においては、ピン軸フランジ5fを設けた固定ピン5を用い、ピンネジ5gで静止シリンダ2にねじ固定している。この点以外は、第1乃至3の実施形態と同様なので、同様な箇所に関する説明は省略する。
固定ピン5には、前記したとおり、衝撃的な荷重がかかる。このため、円筒面だけの固定の場合、衝撃荷重を線状の領域で受けるため、少しずつ穴が拡大してピン機構5が静止シリンダ2から脱落する危険性があった。本実施例のように、ピン固定フランジ5aを設けることで、衝撃荷重をピン軸フランジ5fの面及びピンネジ5gで受けることができるため、ピン機構5の脱落を回避でき、圧縮機の信頼性が向上するという効果がある。ところで、図18では、ピンネジ5gは1本のみであるが、複数本でももちろんよい。
以上の実施例においては、冷凍空調用の冷媒等の圧縮性流体を作動流体とし、この作動流体の吸込、圧縮及び吐出をする機能を有するローリングシリンダ式容積型圧縮機について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、非圧縮性流体である潤滑油等の吸込及び吐出をする機能を有するローリングシリンダ式容積型ポンプその他のローリングシリンダ式容積型流体機械にも適用可能である。この場合、上記の実施例における圧縮部は、吸込及び吐出の機能を有するポンプ部と呼ぶべきものである。ポンプ部の構造は、上記の実施例の圧縮部と同様であり、構成要素として、シリンダ溝を有するローリングシリンダと、シリンダ溝に摺動可能に収容された旋回ピストンと、ローリングシリンダを回転可能に収容した偏心シリンダ穴を有する静止シリンダと、を含む。
1:ローリングシリンダ、1a:ローリング端板、1a’:別体ローリング端板、1b:ローリング円柱、1c:シリンダ溝、1d:偏心シャフト挿入穴、1h:ローリング円筒端部、1v:中空穴、1w:端板ネジ、2:静止シリンダ、2a:シリンダ取付面、2b:シリンダ穴、2d:吐出流路、2d1:シリンダ内部吐出溝、2d2:シリンダ貫通吐出穴、2d3:シリンダ外部吐出溝、2e:バイパス穴、2h1:圧縮室側背圧縦穴、2h2:背圧横穴、2h3:背圧室側背圧縦穴、2h4:圧縮室側背圧弁用縦穴、2h5:背圧弁穴、2s:吸込流路、2s1:吸込穴、2s2:吸込溝、3:旋回ピストン、3a:旋回軸受穴、3b:スライド溝、3b1:スライド溝両端封止部、3c:ピストンカット面、4:フレーム、4d:ベッド面、4v:中空穴、4w:中空穴、5:固定ピン、5a:ピンスライド部、5b:スライダ保持フランジ、5c:スライダ、5d:スライダ柱、5e:転動体、5f:ピン固定フランジ、5g:ピンネジ、5c1:スライダピストンカット面、6:クランクシャフト、6a:偏心シャフト、6b:給油縦穴、6c:シャフトネック、6d:シャフトつば部、7:モータ、7a:ロータ、7b:ステータ、8:チャンバ、8a:チャンバ円筒部、8b:チャンバ上フタ、8c:チャンバ下フタ、22:バイパス弁、23:旋回軸受、24:主軸受、25:副軸受、26:背圧弁、26a:背圧弁ピース、26b:背圧弁板、26c:背圧弁ばね、26d:背圧弁キャップ、35:下フレーム、50:吸込パイプ、55:吐出パイプ、85:不連続性馴染み皮膜、86:不連続性馴染み皮膜、90:シリンダボルト、95:吸込室、100:圧縮室、105:吐出室、110:背圧室、110a:ベッド背圧室、125:貯油部、200:背圧直流路、210:背圧弁流路、220:ハーメチック端子。
Claims (5)
- ピストン自転軸を中心に自転運動し、前記ピストン自転軸と平行なピストン旋回軸を中心に旋回半径Eで旋回運動するべくピストン回動駆動源を備える旋回ピストンと、
シリンダ回転軸を中心に回転運動し、前記シリンダ回転軸とシリンダ溝中心軸が直交して側面が前記シリンダ回転軸と平行なシリンダ溝を備えるローリングシリンダと、
前記ローリングシリンダと旋回ピストンを内蔵するポンプケーシングと、
前記シリンダ回転軸を前記ピストン自転軸の旋回軌跡であるピストン旋回軌跡円上に固定配置するべく、前記シリンダ回転軸を前記ピストン旋回軸と平行としかつ前記ピストン旋回軸に対して前記旋回半径と等しい偏心量Eで偏心配置させるローリングシリンダ回転支持部と、
前記旋回ピストンの自転角量であるピストン自転量を前記ローリングシリンダの回転角量であるシリンダ回転量と同期させる回転同期手段と、
前記ピストン自転量を前記旋回ピストンの旋回角量であるピストン旋回量の半分に制御する自転半減手段と、を備え、
前記旋回ピストンを前記シリンダ溝に隙間嵌合して前記旋回ピストンで前記シリンダ溝を仕切って隔成される2つの作動室のうち、前記旋回ピストンの旋回運動で容積が増大する前記作動室に吸込系と繋ぐ吸込流路と、容積が減少する前記作動室に吐出系と繋ぐ吐出流路を設け、
前記回転同期手段を、前記ピストンの前記シリンダ溝の2側面との摺接部に、前記ピストン自転軸と直交するカット軸を中心軸とする前記旋回ピストンの側面に設ける互いに平行な一対の平面からなるピストンカット面を設けることで実現し、
前記自転半減手段を、前記旋回ピストンの端面に前記ピストン自転軸と直交するスライド軸を中心軸とし前記ピストン自転軸に平行なスライド溝と、前記ピストン旋回軌跡円上に固定配置されて前記ピストン旋回軸と平行なピン軸が前記スライド軸と常に直交するべく、前記ピン軸を中心軸としてシリンダ溝へ挿入するピン機構からなるピンスライド機構で実現し、
前記ピストン旋回軌跡円上に固定配置する前記シリンダ回転軸に対して、前記ピン軸を180度対向位置に配置したときに、前記スライド軸を前記ピストン自転軸を中心に90度よりも前記旋回運動の回転方向と反対側に微小修正回転角だけ回転させる、ローリングシリンダ式容積型流体機械。 - ピストン自転軸を中心に自転運動し、前記ピストン自転軸と平行なピストン旋回軸を中心に旋回半径Eで旋回運動するべくピストン回動駆動源を備える旋回ピストンと、
シリンダ回転軸を中心に回転運動し、前記シリンダ回転軸とシリンダ溝中心軸が直交して側面が前記シリンダ回転軸と平行なシリンダ溝を備えるローリングシリンダと、
前記ローリングシリンダと旋回ピストンを内蔵するポンプケーシングと、
前記シリンダ回転軸を前記ピストン自転軸の旋回軌跡であるピストン旋回軌跡円上に固定配置するべく、前記シリンダ回転軸を前記ピストン旋回軸と平行としかつ前記ピストン旋回軸に対して前記旋回半径と等しい偏心量Eで偏心配置させるローリングシリンダ回転支持部と、
前記旋回ピストンの自転角量であるピストン自転量を前記ローリングシリンダの回転角量であるシリンダ回転量と同期させる回転同期手段と、
前記ピストン自転量を前記旋回ピストンの旋回角量であるピストン旋回量の半分に制御する自転半減手段と、を備え、
前記旋回ピストンを前記シリンダ溝に隙間嵌合して前記旋回ピストンで前記シリンダ溝を仕切って隔成される2つの作動室のうち、前記旋回ピストンの旋回運動で容積が増大する前記作動室に吸込系と繋ぐ吸込流路と、容積が減少する前記作動室に吐出系と繋ぐ吐出流路を設け、
前記回転同期手段を、前記ピストンの前記シリンダ溝の2側面との摺接部に、前記ピストン自転軸と直交するカット軸を中心軸とする前記旋回ピストンの側面に設ける互いに平行な一対の平面からなるピストンカット面を設けることで実現し、
前記自転半減手段を、前記旋回ピストンの端面に前記ピストン自転軸と直交するスライド軸を中心軸とし前記ピストン自転軸に平行なスライド溝と、前記ピストン旋回軌跡円上に固定配置されて前記ピストン旋回軸と平行なピン軸が前記スライド軸と常に直交するべく、前記ピン軸を中心軸としてシリンダ溝へ挿入するピン機構からなるピンスライド機構で実現し、
前記ピストン旋回軌跡円上に固定配置する前記シリンダ回転軸に対して、前記ピン軸を180度対向位置から前記ピストン旋回軸を中心にピン軸調整角δだけ回転して配置したときに、前記スライド軸を前記ピストン自転軸を中心に90度+δ/2度よりも前記旋回運動の回転方向と反対側に微小修正回転角だけ回転させる、ローリングシリンダ式容積型流体機械。 - 前記旋回ピストンは、両側面に平坦な2つのピストンカット面を有し、
前記微小修正回転角は、次の式(1)〜(3)で表される、請求項1又は2に記載のローリングシリンダ式容積型流体機械。
MINλ≦λ≦MAXλ …(1)
MINλ=arctan((2C)/(2E))=arctan(C/E) …(2)
MAXλ=arctan(G/L) …(3)
(ただし、λは前記微小修正回転角であり、MINλはλの最小値であり、MAXλはλの最大値であり、Cは、前記2つのピストンカット面から等距離でかつ平行であるカット軸が前記ピン軸から外れたときの最大距離であり、Eは、前記旋回ピストンの旋回半径であり、Gは、軸一致タイミングに前記カット軸が前記シリンダ溝中心軸から外れたときの最大距離であり、Lは、前記ピストンカット面の長さである。) - シャフト軸を回転中心とし偏心シャフトを有するクランクシャフトと、
前記クランクシャフトに回転駆動トルクを付与する回転駆動源と、
作動流体の吸込及び吐出をするポンプ部と、を備え、
前記ポンプ部は、シリンダ溝を有するローリングシリンダと、前記シリンダ溝に摺動可能に収容された旋回ピストンと、前記ローリングシリンダを回転可能に収容した偏心シリンダ穴を有する静止シリンダと、を含み、
前記ローリングシリンダと前記旋回ピストンと前記静止シリンダとで囲まれた空間は、前記ローリングシリンダ及び前記旋回ピストンの回転に伴い、吸込室及び吐出室として機能し、
前記偏心シャフトは、前記シャフト軸とは異なる中心線を有し、
前記旋回ピストンは、前記偏心シャフトの前記中心線であるピストン自転軸を中心に自転可能に配置され、前記クランクシャフトの回転に従いピストン旋回軸を中心に公転し、
前記静止シリンダの前記偏心シリンダ穴には、前記シャフト軸とは異なる中心線を有する固定ピンが配置され、
前記旋回ピストンは、スライド溝を有し、前記固定ピンは、前記スライド溝に摺動可能に嵌合された構成を有し、
前記旋回ピストンの自転と前記ローリングシリンダの回転とが同期するように構成するとともに、前記旋回ピストンの自転角速度を前記クランクシャフトの回転角速度の半分に調整し、
前記ローリングシリンダは、ローリング円柱と、ローリング端板と、を有し、
前記ローリング円柱は、中空部を有する、ローリングシリンダ式容積型流体機械。 - 前記ローリングシリンダは、ローリング円柱と、別部材である別体ローリング端板と、を結合した構成である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のローリングシリンダ式容積型流体機械。
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