JP2016166135A - 抗ウイルス用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全かつ有効な抗ウイルス用組成物及びその使用、特にファージ汚染を安全かつ簡便に予防又は解決できる抗ウイルス用組成物を提供する。
【解決手段】式(1):
【化7】

〔式中、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子である〕
で表される2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸、そのアルカリ金属塩又はそのアルカリ土類金属塩を有効成分として含む抗ウイルス用組成物、及びその組成物を抗ウイルスを必要とする対象(例えば発酵槽)に添加することを含むウイルス汚染の防止方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な抗ウイルス用組成物及びその使用に関し、より詳細には低濃度でウイルスの不活化する抗ウイルス用組成物及びその使用に関する。
ウイルスには、鳥インフルエンザウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、SARS、コロナウイルス、レトロウイルスのようにヒトに感染するウイルス、タバコモザイクウイルスのように農作物に感染するウイルスを含む病原性ウイルス、及び細菌に感染して溶菌作用を起こす細菌ウイルス(バクテリオファージ又はファージともいう)が存在する。
病原性ウイルスの予防と除去には、一般に、エタノール、次亜塩素酸ナトリウム等を用いた消毒やワクチンの投与が施される。ノロウイルスは、食品媒介性のウイルスであって、ヒトに感染すると非細菌性急性胃腸炎を引き起こすので、ノロウイルスの制御は食品衛生対策上の重要な課題の一つとなっている。ノロウイルスは、抗ウイルス薬の作り難いRNAタイプの無膜ウイルスに属する。このようなウイルスによる食中毒や感染症の患者の治療は、対症療法となる。抗ウイルス薬の開発が難しく、感染後は対症療法しか対策の取れないウイルスに対抗するためには、ウイルスを不活性化してウイルスの感染を未然に防ぐことが大事である。
ファージは、病原性の多剤耐性菌に対する細菌感染症治療(ファージセラピー)を行う、食中毒を起こすリステリア菌に対するファージ製剤としてFDAによる食品添加物の認可を得る等に利用されている。さらには、ファージ由来の酵素エンドリシンを抗菌剤として用いる技術も提案されている。(特許文献1及び2)。
一方、納豆菌、乳酸菌のような有用細菌を用いる発酵工業では、ファージが有用細菌に感染して、発酵及び製品化を妨げるという問題を引き起こす。ファージ汚染の予防策として濾過器やエアフィルターが使用されているが、完全では無い。ファージ汚染が発生した場合、一旦、生産を止めて、殺菌剤でファージを含む全ての雑菌を殺菌してから、生産を再開させるのが一般的な対策である。
ファージ汚染の予防策として、さらし粉(次亜塩素酸カルシウム)、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ホルマリン、ピロ炭酸エチルエステル、昇汞、酢酸鉛、過酸化水素等の抗菌剤が使われてきた(非特許文献1)。L−アスコルビン酸誘導体のような新規な抗ファージ剤の使用も提案されている(特許文献3)。しかし、化学物質の安全性の規制が厳しくなった現在では、使用できない抗菌剤も多い。また、抗菌剤や抗ファージ剤を高濃度で使用することは、有用菌の発酵を妨げる点で好ましくない。
代替菌株やファージ非感受性菌株を維持保管しておき、ファージ汚染時に代替菌株や非感受性菌株での生産に切り替えるといった手法も取られている(非特許文献1)。乳酸発酵でのテンペレートファージによるファージ汚染には、脱溶原株分離による対策も有効である(非特許文献1)。しかし、代替菌株の準備と、発酵槽等の設備が二重に必要であり、負担が大きい。
ファージ耐性菌株の単独使用や混合使用も提案されている。ファージ耐性菌株の作製には、発酵生産用菌にファージを直接作用させることでファージ耐性菌を選択する方法(特許文献4及び5)、ファージを直接作用させることによるファージ耐性菌が溶原菌となる可能性を回避する方法(特許文献6)、及びファージ耐性を付与した遺伝子組み換え菌(特許文献7)がある。しかし、ファージ耐性菌株は、風味等の製品品質に影響を及ぼす。遺伝子組換えの実用化は、微生物に対する規制及び安全性評価の点で課題が多い。
特表2013‐532955 特開2013‐81465 特公平4−72802 特開昭63−216449 特許第3863958 特許3027460 US2006/0019370A 特開2005−278549 特許第5084748 特開2009−082064
日本乳酸菌学会編、「乳酸菌とビフィズス菌のサイエンス」、2010年、11月、京都大学学術出版会発行 フォルカーフィンテルマン等、「植物療法事典」、第12版、ガイアブックス発行 Phytochemistry Vol.58,Issue 3,p.441−449,2001
本発明の目的は、ウイルスを不活化する技術が確立していない状況にあって、新規に安全かつ有効な抗ウイルス用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、天然由来で安全な化合物に抗ウイルス性を見出し、抗ウイルス性を必要とする対象に適用できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、式(1):
〔式中、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子である〕
で表される2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸、そのアルカリ金属塩又はそのアルカリ土類金属原子を有効成分として含む抗ウイルス用組成物を提供する。特許文献9は、2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸又はそのアルカリ金属塩の抗菌剤及び殺菌剤としての用途を開示する。しかし、特許文献9は、抗ウイルス剤は記載も示唆もしない点で、本発明は新規性を有する。本明細書で、2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸、そのアルカリ金属塩又はそのアルカリ土類金属塩を、PDC等という。
前記ウイルスは、例えばファージである。
本発明は、また、式(1):
〔式中、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す〕
で表される2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸、そのアルカリ金属塩又はそのアルカリ土類金属塩を有効成分とする抗ウイルス用組成物を、抗ウイルスを必要とする対象に添加することを含む、ウイルス汚染の防止方法を提供する。
前記抗ウイルス用組成物を使用は、PDC等の濃度がウイルスを必要とする対象の容量(例えば発酵槽内の発酵物の容量)に対して、10〜300μg/mLになるようにすることが好ましい。
前記抗ウイルスを必要とする対象は、例えば有用菌を用いた発酵食品の原料である。
前記ウイルスは、例えばファージである。
PDC等を配合した本発明の抗ウイルス用組成物によれば、安全かつ簡便にウイルスを不活化することができる。本発明の組成物は、無膜及び有膜ウイルスのいずれにも適用可能である。特に、ウイルスを不活性化する有効手段の少ない無膜ウイルスへも適用可能であるという優れた特徴を有する。この特性を利用して、本発明の組成物は、抗ウイルス用消毒剤としての用途の他に、医薬品、工業製品、食品等へ抗ウイルス性を付与することが期待される。
特許文献9から、PDC又はそのアルカリ金属塩が殺菌活性を有することが公知である。その抗菌・殺菌活性は、高濃度にて初めて発揮される。例えばPDCの細菌に対する最小発育阻止濃度は、大腸菌で2,500μg/mLであり、そして黄色ブドウ球菌で1,250μg/mLである。枯草菌の最小殺菌濃度は、1,000μg/mL以上である。したがって、PDC又はそのアルカリ金属塩を抗菌・殺菌用に使用するためには、細菌に応じて0.1〜5%の最小使用濃度が必要である。一方、PDC又はそのアルカリ金属塩が抗ウイルス活性を示す最小濃度は、250μg/mL程度という低い最小使用濃度で発揮される。抗ウイルス性を示す濃度の至適範囲が抗菌性より低いことを利用して、本発明のウイルス汚染の防止方法は、有用菌を生かしウイルスのみを殺傷したいという用途に用いることができる。例えば、乳酸菌、枯草菌のような有用菌を含む発酵槽に、本発明に抗ウイルス用組成物を低濃度で直接投入し、発酵に寄与する有用菌に影響を与えることなくファージ汚染を防ぐ。
以下、本発明の一実施の形態をより詳細に説明する。本発明の対象となるウイルスは、特に制限されない。ウイルスは、ゲノムがDNA又はRNAかによって二種類に大別され、カプシドが脂質二重膜からなるエンベロープで覆われている有膜ウイルスと、エンベロープで覆われていない無膜ウイルスかによってさらに分類される。具体的には、DNAタイプの有膜ウイルスにはヒトヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルス等;DNAタイプの無膜ウイルスにはアデノウイルス、B19ウイルス等;RNAタイプの有膜ウイルスにはインフルエンザウイルス、SARSコロナウイルス等;そして、RNAタイプの無膜ウイルスにはノロウイルス、ポリオウイルス、エンテロウイルス等が含まれる。細菌に感染するファージにも、φ6ファージのような有膜ウイルスとQβファージ、MS2ファージのような無膜ウイルスが存在する。
本発明の抗ウイルス用組成物は、式(1):
〔式中、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す〕
で表される2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸(以下、PDCという)、そのアルカリ金属塩又はそのアルカリ土類金属塩を必須の有効成分とする。
上記アルカリ金属の例には、リチウム、ナトリウム及びカリウムが挙げられる。上記アルカリ土類金属の例には、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムが挙げられる。
PDC等の製造方法は、特に限定されない。例えば天然植物からの抽出、微生物発酵又は化学合成により得ることができる。PDCを含有する天然植物(学名Geum urbanum:英名Wood avens)は、古くからフィトセラピーに使用されている(非特許文献2や3)。これらの植物から、常法により、PDCを直接抽出することができる。
PDCは例えば特許文献10に記載の製造方法に準じて、糖類を出発物質として、大腸菌XL1−Blue株(STRATEGENE,CA,USA)にPDCの発酵生産プラスミドpCDFDuet−qutC及びpULABCを導入した形質転換細胞を培養することで得られる。もしくは特許文献8に記載の微生物発酵法に従って、バニリン、シリンガアルデヒド、バニリン酸、シリンガ酸又はプロトカテク酸を出発物質として、シュードモナス属細菌(Pseudomonas putida PbY1100)に、PDCの発酵生産プラスミドpKTVLABCを導入した形質転換細胞を培養しても良い。培養物からPDCを定法により抽出精製すればよい。特許文献8、10に記載の内容を参照のために、本明細書に挿入する。
PDC等は、高い水溶性を示す。本発明の抗ウイルス用組成物は、水等の水性媒体中にPDC等を任意の濃度に溶解させることにより、容易に調製することができる。
抗ウイルス用組成物中の式(1)の濃度は、通常、0.001〜0.09重量%でよく、好ましくは0.002〜0.05重量%であり、特に好ましくは0.002〜0.03重量%である。
本発明の抗ウイルス用組成物には、式(1)の有効成分以外に、抗ウイルス剤の助剤として汎用のものを特に制限なく本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。このような助剤の例には、公知の抗ウイルス剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、乳化剤、香料、着色料、水溶性高分子、アルコール類、蛍光増白剤、粘度調整剤、発泡剤等が挙げられる。
本発明の組成物の形態は、特に制限されず、水溶液、スプレー、クリーム、ペースト、ゲル、ジェル等を含む。本発明の組成物は、水溶性であることから、水溶液、スプレー形態の抗ウイルス剤として使用することが特に有利である。
本発明は、また、式(1):
〔式中、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す〕
で表される2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸、そのアルカリ金属塩又はそのアルカリ土類金属塩を有効成分とする抗ウイルス用組成物を、抗ウイルスを必要とする対象に添加することからなる、ウイルス汚染の防止方法を提供する。ウイルス汚染の防止方法の使用態様を、以下に例示する。
前記抗ウイルスを必要とする対象には、医薬品、農薬、除菌剤等の医薬品及び医薬部外品;空気清浄化関連用品、消臭剤、香粧品、洗浄剤、樹脂成形物、コーティング剤、接着剤等の工業製品;食品、飼料等が含まれる。
抗ウイルス消毒剤は、手動又は自動のディスペンサーに詰められた状態で手指等を消毒する、紙、不織布、布、スポンジ等の担体に含浸した状態(ウエットワイパー等)で便座、台所、テーブル、床等の基体を消毒するために用いられる。抗ウイルス消毒剤は、本発明の組成物を水、アルコール等の水性溶媒に溶解又は分散させ、必要に応じて、抗ウイルス消毒剤で公知の助剤を添加することにより製造される。
本発明の組成物を含む消臭剤は、消臭剤に抗ウイルス性が付与される。この消臭剤は、本発明の組成物を水性溶媒に溶解又は分散させ、適宜、香料、マスキング剤等の助剤を添加することにより製造される。抗ウイルス性の付与された消臭剤は、例えばスプレーに詰められた後、室内空間(居室、トイレ等)、衣類、寝具、カーテン、家具等に噴霧される。
本発明の組成物を、ポリウレタンやメラミン樹脂でてきた樹脂成形物中に練り込んで使用することもできる。予めポリオール、製泡剤、発泡剤、触媒等を混合した原液に本発明の組成物を配合した後、イソシアネート化合物と混合することにより、発泡硬化させてポリウレタン発泡体を製造する。ポリオール成分の一部と本発明の組成物を予め混合してマスターバッチを調製し、これを発泡直前に他の成分と混合して、発泡体を製造することもできる。また、硬化前のメラミン樹脂液に本発明の組成物を溶解又は分散させておき、これを化粧紙等に含浸させた後、加熱硬化させて化粧板を形成する。硬化前のメラミン樹脂液に充填剤を加えて、加圧・加熱硬化させて、器等の形状に成形することもできる。発泡体は、例えばマットレス、枕等の寝具、泡クリーナー等として用いられ、メラミン樹脂は、什器や化粧板として用いられる。
本発明の組成物を、マスク、空気清浄機、空調機等の空気清浄化関連用品に添加して抗ウイルス性を付与する場合、不織布や発泡体でできたマスク、フィルター、スクラバー液等の空気清浄用部材に本発明の組成物の水溶液又は水分散液を含浸、滴下、噴霧又は添加する、あるいはマスクやフィルターの基となる繊維や発泡体自体に本発明の組成物を練り込むことで、抗ウイルス用マスク、抗ウイルス用フィルターや抗ウイルス用スクラバー液を作製する。
本発明の組成物を、塗料、インキ等のコーティング剤に添加したり、樹脂成型物中に練り込んだりして抗ウイルス性を付与することもできる。これらが使用される場所は、例えば住居、オフィス、自動車、鉄道車両、航空機の壁、床、天井といった内装材;並びにテーブル、テーブルクロス、キッチン台等の什器が挙げられる。また、塗料、インキ等のコーティング剤に添加する場合、例えばメラミン樹脂のような水溶性樹脂、あるいはアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等の水性分散液に添加するとよい。
上記各種製品に抗ウイルス性を付与する使用態様では、抗ウイルスを必要とする対象の容量に対する前記PDC等の濃度の下限は、通常、10μg/mLでよく、好ましくは25μg/mL、より好ましくは30μg/mLである。上限は特にないが、通常、500μg/mLでよく、好ましくは300μg/mLである。
本発明のウイルス汚染の防止方法は、好ましくは有用菌を用いた発酵食品の製造時のウイルス汚染、特にファージ汚染を防止するために実施される。有用菌/発酵食品の具体例としては、酵母菌/ぶどう酒、ビール、日本酒等;乳酸菌/ヨーグルト;イースト菌/パン類;枯草菌(特に納豆菌)/納豆;麹菌/日本酒、味噌、甘酒等;並びに酢酸菌/酢が挙げられる。有用菌を用いた発酵食品の製造時に、PDC濃度が下記範囲に収まるように、本発明の抗ウイルス剤組成物を発酵原料中に添加する。
上記の有用菌を生かしたままウイルスを不活化する使用態様では、抗ウイルスを必要とする対象の容量(例えば発酵槽内の発酵物の容量)に対する前記PDC等の濃度の下限は、通常、10μg/mLであり、好ましくは25μg/mL、特に好ましくは50μg/mLである。上限は、通常、1,000μg/mLであり、好ましくは500μg/mL、特に好ましくは300μg/mLである。上限が1,000μg/mLを超えると、有用菌の種類によっては有用菌を殺傷する場合がある。
以下に、本発明の実施例を示して、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕無膜ファージに対する抗ウイルス試験
1.抗ウイルス用組成物の調製
特許文献10に記載の微生物発酵法に従って合成及び精製したPDCを水に希釈することにより、PDC濃度10μg/mL、25μg/mL、50μg/mL、250μg/mL、500μg/mL、及び2500μg/mLの組成物を調製した。また、PDC500μg/mLの組成物(pH3.0/Na調整)は、調製時に、NaOH水溶液により、pH3.0に調整した。
2.抗ウイルス試験
Qβファージ(NBRC 20012)のファージ液10μL(6.5×10PFU/mL:表1,3.5×1010PFU/mL:表2)を、水(ブランク)又は本発明の組成物1mLに加えて、表1,2に示す時間放置した。
その後、直ちに中和剤を加えて、ウイルスに対する本発明の組成物の作用を停止させた。
作用を停止させた液を感染価測定用試料原液として、プラークカウント法でファージの感染価測定を行なった。具体的には、原液をPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で段階的に希釈したものをシート状に培養した宿主菌E.Coli(NBRC 106373)に接触させた後、全体を寒天で被いウイルスが広がらないように培養した。ウイルスに感染した細胞は形状が変化(細胞変性)するため、この感染細胞(プラーク)を計数することで、ウイルスの感染価を定量化した。
さらに、Qβファージによるブランク及びサンプルの感染価を以下の式に挿入することにより、感染価対数減少値を求めた。
〔実施例2〕有膜ファージに対する抗ウイルス試験
実施例1において、ウイルスをφ6ファージ(NBRC 105899)のファージ液10μL(3.9×10PFU/mL:表3、3.9×10PFU/mL:表4)に変更し、宿主菌をP.Syringae(NBRC 105640)に変更した以外は、実施例1と同様の手順で、抗ウイルス試験を実施した。φ6ファージの感染価及び感染価対数減少値の測定結果を表3及び4に示す。
〔実施例3〕A型インフルエンザウイルス(H3N2)に対する抗ウイルス試験
1.抗ウイルス用組成物の調製
実施例1で合成及び精製したPDCを水に希釈することにより、PDC濃度250μg/mL、及び25μg/mLの組成物を調製した。
2.抗ウイルス試験
A型インフルエンザウイルス(H3N2)の試験ウイルス懸濁液1mL(4.5×10PFU/mL)を、PBS(対照)又は本発明の組成物9mLに加えて、25℃で5分間、放置した。放置後、混合液0.5mLを薬剤不活性化剤(SCDLP培地)4.5mLに加えて混合した。宿主細胞であるMDCK細胞(イヌ腎臓由来細胞)へのこれらの混合液によるウイルス感染価を、実施例1と同様の手順で、プラーク測定法により測定した。表5に結果を示す。
本発明の抗ウイルス用組成物は、250μg/mL以下、すなわち種々の菌類に対する抗菌効果の発現する濃度よりも低い濃度で抗ウイルス性を示すことが確認された。これにより、発酵工業のファージ汚染に対して、有効かつ利便性の高い抗ウイルス剤を提供することが可能となった。
エタノールのような従来の消毒薬による無膜ウイルスやファージの不活化は、有膜ウイルスやファージよりも効きにくいとされる。実施例1及び2の対比から、本願発明の組成物による無膜ウイルスやファージの不活化は、有膜ウイルスやファージ以上の効果を奏することが判明した。
エタノールのような従来の消毒薬による無膜ウイルスやファージの不活化は、有膜ウイルスやファージよりも効きにくいとされる。実施例1及び2の対比から、本願発明の組成物による無膜ウイルスやファージの不活化は、有膜ウイルスやファージ以上の効果を奏することが判明した。

Claims (6)

  1. 式(1):
    〔式中、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子である〕
    で表される2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸、そのアルカリ金属塩又はそのアルカリ土類金属塩を有効成分として含む抗ウイルス用組成物。
  2. 前記ウイルスがファージである、請求項1に記載の抗ウイルス用組成物。
  3. 式(1):
    〔式中、M及びMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を示す〕
    で表される2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸、そのアルカリ金属塩又はそのアルカリ土類金属塩を有効成分とする抗ウイルス用組成物を、抗ウイルスを必要とする対象に添加することを含む、ウイルス汚染の防止方法。
  4. 前記2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸、そのアルカリ金属塩又はそのアルカリ土類金属塩の濃度が、前記抗ウイルスを必要とする対象の容量に対して10〜1000μg/mLになるように、抗ウイルス用組成物を使用することを特徴とする、請求項3に記載のウイルス汚染の防止方法。
  5. 前記抗ウイルスを必要とする対象は、有用菌を用いた発酵食品の原料であることを特徴とする、請求項4に記載のウイルス汚染の防止方法。
  6. 前記ウイルスが、ファージである、請求項4に記載のウイルス汚染の防止方法。
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