JP2016163027A - 圧電組成物、圧電素子およびその製造方法ならびに超音波探触子 - Google Patents

圧電組成物、圧電素子およびその製造方法ならびに超音波探触子 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄酸ビスマスを含む系であっても分極処理後に十分な圧電特性を安定して発現可能な非鉛圧電組成物および非鉛圧電素子を提供する。
【解決手段】BKT−BT−BFOの三元系圧電組成物であり、BKT、BTおよびBFOのモル比をx、yおよびzとしたときの、三角相図における座標(x,y,z)で表される四点A〜Dで囲まれるが、線分AD、線分BC、線分CGおよび線分HIのそれぞれと重複する部分を含まない領域で表される成分を主成分として含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電組成物、圧電素子およびその製造方法ならびに超音波探触子に関する。
鉄酸ビスマス(組成式BiFeO、以下、「BFO」ともいう)系非鉛圧電材料は大きな自発分極を有しているため非鉛圧電組成物の有力な候補物質として検討されている。しかしながら、BiFeO単体では、その異方性が大きく、さらにキュリー温度が830℃程度と非常に高いことやリーク電流が大きいことなどの理由から、その圧電性能を十分に発揮できない(例えば、非特許文献1参照)。
そのため、BFO単体よりは、BFOと、チタン酸バリウム(組成式BaTiO、以下、「BT」ともいう)またはチタン酸ビスマスカリウム(組成式(Bi0.50.5)TiO、以下、「BKT」ともいう)との2元系化合物が主に検討されてきた(例えば、特許文献1〜3および非特許文献2、3参照)。
さらに最近では、これらのBFO、BKT、BTを含めた3元系(例えば、非特許文献5、6参照)や、チタン酸マグネシウム酸ビスマス(組成式Bi(Mg0.5Ti0.5)O、以下、「BMT」ともいう)などの複合酸化物との3元系も検討されている(例えば、特許文献4、5および非特許文献4〜7参照)。
特開2008−69051号公報 特開2010−126421号公報 国際公開第2012/013956号 特開2012−148954号公報 国際公開第2013/175740号
Tadej Rojac et al., "Strong ferroelectric domain-wall pinning in BiFeO 3ceramics", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, 108, 2010, 074107 Serhiy O. Leontsevw and Richard E. Eitel, "Dielectric and Piezoelectric Properties in Mn-Modified (1-x)BiFeO3-xBaTiO3Ceramics", J.Am.Ceram.Soc.92, 2009, p.2957-2961 Zhenyong Cen et al., "Effect of sintering temperature on microstructure and piezoelectric properties of Pb-free BiFeO3-BaTiO3ceramics in the composition range of large BiFeO3 concentrations", J Electroceram, 31, 2013, p.15-20 Hiroki Matsuo et al., "Structural and piezoelectric properties of high-density (Bi0.5K0.5)TiO3-BiFeO3ceramics", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, 108, 2010, 104103 Dunmin Lin et al., "Microstructure, ferroelectric and piezoelectric properties of Bi0.5K0.5TiO3-modified BiFeO3-BaTiO3lead-free ceramics with high Curie temperature", Journal of the European Ceramic Society 33, 2013, p.3023-3036 Yang Wan et al., "Structure, ferroelectric, piezoelectric and ferromagnetic properties of BiFeO3-Ba0.6(Bi0.5K0.5)0.4TiO3lead-free multiferroic ceramics", J Mater Sci: Mater Electron, 25, 2014, p.1534-1541 Ichiro Fujii et al. "Structural, Dielectric, and Piezoelectric Properties of Mn-Doped BaTiO3-Bi(Mg1/2Ti1/2)O3-BiFeO3Ceramics", Japanese Journal of Applied Physics, 50, 2011, 09ND07
しかしながら、上記BFO系の圧電組成物では、電界を印加して大きく歪む組成物は実現されているが(特許文献3)、分極処理して十分に大きな圧電定数をもった圧電組成物または圧電素子は、再現性よく実現できていないのが現状である。これには以下の2つの原因がある。
第1は、分極処理に耐え得る高電圧を十分に印加することが困難と考えられるためである。これは、キュリー温度の高い圧電組成物の分極処理を行う場合、サンプルを高温にして長時間高電圧を印加する必要があるが、高温でのリーク電流は、室温の場合のそれに比べてより厳しくなるためである。
第2は、BFO系の組成物においては、Biの揮発、Feの価数変化、酸素欠損などによる各種欠陥、欠陥ペアによりドメインの移動や反転がピン止めされてしまうためである。上記のような理由で、分極処理後の圧電定数を再現性よく大きくすることが困難であった。
さらに、通常の2元系BT−BFO圧電組成物の分極処理後の圧電定数d33は、130pC/N程度であり(非特許文献3)、また、BT−BFO系の一部を少量BKTに置換した場合の圧電定数d33は、130pC/N(非特許文献5)であり、さらに、BT−BFO系を多量のBKTに置換した場合の圧電定数d33は、最大で48pC/Nである(非特許文献6)。このように、BKTを少量置換した場合は、その圧電定数d33は、BT−BFOの2元系と変わらず、BKTを多量に置換する場合は、その圧電定数d33はむしろ著しく低下することが知られている。
したがって、BKT−BT−BFOの3元系においては、BKT−BFOの2元系かBT−BFOの2元系に他の第3成分を添加することが注目され、BKT−BT−BFOの組み合わせは、ごく一部の組成が検討されたのみで、その他の組成や、この組み合わせで圧電特性を改善する(すなわち圧電定数d33を高める)ことは、全く注目されず、忘れ去られてしまっていた。
また、高温のBFO系圧電組成物を温水に浸漬するクエンチ(非特許文献1、7)や各種条件によるアニール(特許文献5)などを含む圧電組成物の製造方法も開示されているが、分極処理後の圧電定数に関しては、不明か、あるいは十分大きな値が得られていない(特許文献5、非特許文献1、7)のが現状である。
したがって、BKT−BFO、BT−BFO、BKT−BT−BFOを含む3元系の圧電組成物については、分極処理によって十分な圧電性能を安定して発現させられる圧電組成物および圧電素子は未だ知られていないという課題があった。
本発明の目的は、十分な圧電特性を安定して発現可能な非鉛圧電組成物および非鉛圧電素子を提供することである。
本発明は、正方晶である第1のペロブスカイト化合物X:チタン酸ビスマスカリウム、正方晶である第2のペロブスカイト化合物Y:チタン酸バリウム、および、菱面体晶である第3のペロブスカイト化合物Z:鉄酸ビスマス、を含み、前記化合物X、Y、Zを三角形の頂点とする三角相図においてx、y、zを用いた三角座標(x,y,z)で表される下記点A、B、CおよびDを頂点とする四角形ABCDで囲まれる領域のうちの、点Aと点Dを結ぶ線分AD、点Bと点Cを結ぶ線分BC、点Cと下記点Gを結ぶ線分CGと重複する部分、および下記点Hと下記点Iを結ぶ線分HIと重複する部分、を含まない領域で表される成分を主成分として含むことを特徴とする圧電組成物、を提供する。ただし、x、y、zはそれぞれ前記化合物X、Y、Zのモル比であり、かつx+y+z=1である。
点A(0.45,0,0.55)
点B(0,0.40,0.60)
点C(0,0.25,0.75)
点D(0.30,0,0.70)
点G(0.15,0.25,0.60)
点H(0.16,0.24,0.60)
点I(0.08,0.12,0.80)
また、本発明は、本発明における上記の圧電組成物と、当該圧電組成物に電圧を印加するための電極とを有する圧電素子、を提供する。
さらに、本発明は、少なくともチタン、ビスマス、カリウム、バリウムおよび鉄を含む粉体を生成すべき圧電組成物の組成に応じた割合で含有する原料組成物を得る原料準備工程と、前記原料組成物を800〜1300℃に加熱して圧電組成物を得る第1熱処理工程と、前記圧電組成物を−20〜40℃に冷却する第1冷却工程と、冷却された前記圧電組成物に少なくとも二つの電極を配置する工程と、を含み、前記圧電組成物は、正方晶である第1のペロブスカイト化合物X:チタン酸ビスマスカリウム、正方晶である第2のペロブスカイト化合物Y:チタン酸バリウム、および、菱面体晶である第3のペロブスカイト化合物Z:鉄酸ビスマス、を含み、前記化合物X、Y、Zを三角形の頂点とする三角相図においてx、y、z(ただし、x、y、zはそれぞれ前記化合物X、Y、Zのモル比であり、かつx+y+z=1である)を用いた三角座標(x,y,z)で表される下記点A、B、CおよびDを頂点とする四角形ABCDで囲まれる領域のうちの、点Aと点Dを結ぶ線分ADおよび点Bと点Cを結ぶ線分BCを含まない領域で表される成分を主成分として含む、圧電素子の製造方法、を提供する。
点A(0.45,0,0.55)
点B(0,0.40,0.60)
点C(0,0.25,0.75)
点D(0.30,0,0.70)
さらには、上記圧電素子を有する超音波探触子、を提供する。
なお、本願明細書中では、ABO型のぺロブスカイト型化合物について記載するが、当該化合物の組成のA:B:Oの比率は、基本的には1:1:3であるが、ペロブスカイト型構造が安定に保たれる範囲において多少ずれていてもよい。また、当該化合物は、ペロブスカイト型構造の単一相である必要はなく、異相を含んでいてもよい。さらに、本発明に係る圧電組成物は、平均して本発明で特定する組成の範囲内にあれば、必ずしも完全に固溶している必要はなく、部分的に偏析していてもよいし、組成揺らぎがあってもよいし、自然に形成されるコアシェル構造を含んでいてもよい。
本発明によれば、十分な圧電特性を安定して発現可能な非鉛圧電組成物および非鉛圧電素子を提供することができ、当該非鉛圧電素子を有する超音波探触子を提供することができる。
図1Aは、本発明の一実施の形態におけるBKT、BTおよびBFOの三角相図で表される第1の領域および第2の領域を示す図であり、図1Bは、当該圧電組成物の上記三角相図で表される第3の領域を示す図である。 図2Aは、上記圧電組成物の製造方法の第1の例を示す図であり、図2Bは、上記圧電組成物の製造方法の第2の例を示す図である。 上記圧電組成物の製造方法の第3の例を示す図である。 図4Aは、本発明の一実施の形態に係る超音波撮像装置の構成を模式的に示す図であり、図4Bは、当該超音波撮像装置の電気的な構成を示すブロック図である。 上記超音波撮像装置における超音波探触子の構成を模式的に示す図である。 上記超音波探触子における超音波トランスデューサーの構成を模式的に示すための図である。 実施例および比較例の結果および三角相図である。
本発明は、BKT−BFO、BT−BFOの2元系の圧電組成物、および、従来知られているBKT−BT−BFOの3元系の圧電組成物よりも、分極処理特性が良好でかつ分極処理後も再現性よく大きな圧電定数d33が得られる非鉛圧電組成物および非鉛圧電素子を提供する。以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る圧電組成物は、正方晶である第1のペロブスカイト化合物X:チタン酸ビスマスカリウム、正方晶である第2のペロブスカイト化合物Y:チタン酸バリウム、および、菱面体晶である第3のペロブスカイト化合物Z:鉄酸ビスマス、を含む。当該圧電組成物は、化合物X、Y、Zを三角形の頂点とする三角相図において三角座標(x,y,z)で表される特定の領域で表される成分を主成分とする。上記x、y、zは、それぞれ化合物X、Y、Zのモル比であり、かつx+y+z=1である。
ここで、上記三角相図において、下記点A〜Dを頂点とする、四角形A、B、C、Dで囲まれ、かつ点Aと点Dを結ぶ線分ADおよび点Bと点Cを結ぶ線分BCを含まない領域を「第1の領域」とする。また。上記三角相図において、上記第1の領域のうち、点Cと下記点Gを結ぶ線分CGと重複する部分、および下記点Hと下記点Iを結ぶ線分HIと重複する部分、をさらに含まない領域を「第2の領域」とする。上記圧電組成物は、上記第2の領域で表される成分を主成分とする(図1A参照)。
点A(0.45,0,0.55)
点B(0,0.40,0.60)
点C(0,0.25,0.75)
点D(0.30,0,0.70)
点G(0.15,0.25,0.60)
点H(0.16,0.24,0.60)
点I(0.08,0.12,0.80)
上記第1の領域中の点で表される圧電組成物は、その焼結が比較的容易であり、さらに分極処理後の圧電定数(d33)の値を十分に大きくできるので好ましい。線分BC上では、BT−BFO系の2元系の組成物となり、特に分極処理時にリーク電流が増えることがあるか、あるいは残留分極の値が小さくなることがあり、圧電定数が低くなってしまう。
上記zが0.55よりも小さいと、圧電特性が低下する。また、zが0.75よりも大きいと、分極処理時のリーク電流が多くなり、あるいは、ドメインの動きがピンニングされる現象が顕著となることがあり、分極処理による圧電特性の発現におけるばらつきを抑制することが困難になることがある。
上記圧電組成物の上記成分は、図1Bに示されるように、上記第1の領域のうちの上記座標で表される前記点ADおよび下記点EFの四点で囲まれる領域(以下、「第3の領域」とも言う)中の点で表される成分であることが、分極処理後の圧電特性と再現性をより向上する観点でより好ましい。
点E(0.20,0.22,0.58)
点F(0.15,0.13,0.72)
上記三角相図は、正方晶のBKT、BTと、菱面体晶のBFOとを各頂点とし、擬立方晶の領域を含む。上記三角相図において、上記第1の領域は、上記擬立方晶と上記菱面体晶との相境界を含むと考えられる。本発明者らは、BKT−BT−BFOの3元系の相境界が存在すると思われる領域を明らかにした。さらに、分極処理により従来例よりはるかに大きな圧電定数(d33)を再現性よく得られる圧電組成物を初めて実現した。
上記圧電組成物は、上記第2の領域で表される成分を主成分として含有する。ここで、「主成分」とは、上記圧電組成物が実質的に上記第2の領域で表される成分による圧電特性を示すのに十分な量で、上第2の領域で表される成分が上記圧電組成物において含有されていることを意味する。上記第2の領域で表される成分の含有量は、上記の観点から、90〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましい。
上記圧電組成物は、本実施形態の効果が得られる範囲において、さらなる添加物を含有していてもよい。たとえば、上記圧電組成物では、BFOの一部がチタン酸マグネシウム酸ビスマス(BMT)に置換されていてもよい。BFOの一部がBMTに置換されていることは、分極処理後の圧電定数を向上させる観点から好ましい。このような理由から、上記成分におけるBMTの含有量(置換量)は、BKT、BT、BFOおよびBMTの総量に対して0モル%より大きく5モル%以下であることが好ましく、1〜3モル%であることがより好ましい。
また、上記圧電組成物は、マンガンをさらに含有していてもよい。上記圧電組成物がマンガンを含有することは、圧電組成物の絶縁性を高める観点から好ましい。このような理由から、上記圧電組成物におけるマンガンの含有量は、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、0.05〜0.3質量%であることがより好ましい。
また、上記圧電組成物は、銅、ニッケルおよびコバルトからなる群から選ばれる一以上の元素をさらに含有していてもよい。これらの元素は、上記圧電組成物の製造における材料の焼結時に焼結助剤として機能し、焼結時の温度をより低くすることができる。また、銅は、BKT、BT、BFOまたはBMTの結晶構造におけるAサイトに固溶している場合には、ドナーとして機能する効果も期待できる。このような理由から、上記圧電組成物における上記の元素の含有量は、総量で0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3.0質量%であることがより好ましい。
上記圧電組成物は、その各微結晶が特定の面方位を有するセラミックス(いわゆる配向セラミックス)であってもよいし、特定の面方位で切り出されている単結晶であってもよい。上記特定の面方位はいかなる方向でもよいが、擬立方晶表示で(110)または(100)であることが、圧電性をより高める観点から好ましい。
セラミックスの配向方法としては、公知の方法を用いることが可能であり、例えば、テンプレート粒子とマトリクス粒子を用いるTGG法、途中に反応を伴うRTGG法、磁場配向法など用いることができる。
上記成分中におけるBKT、BT、BFO、BMTおよび各種元素の含有量は、例えばセラミックスの場合は、原料の仕込み量より算出可能であり、より精密には誘導結合プラズマ(ICP)発光分析などを用いることできる。同じく単結晶の場合は、仕込み組成とできる結晶との間に差が生じる場合があるので、電子線マイクロアナライザ(EPMA)やICP発光分析などの方法によって求めることが可能である。また、上記成分中における化合物の結晶系は、例えばX線回折法によって確認することが可能である。また、上記成分中の上記面方位は、例えばX線回折法によって、特にロットゲーリング法やロッキングカーブ法によって確認することが可能である。
次に、本実施の形態に係る圧電組成物の製造方法を説明する。上記圧電組成物は、下記製造方法によって製造することが可能である。
本実施の形態における圧電組成物を製造する方法は、少なくともチタン、ビスマス、カリウム、バリウムおよび鉄を含む粉体を生成すべき圧電組成物の組成に応じた割合で含有する原料組成物を得る原料準備工程と、当該組成物を800〜1300℃に加熱して圧電組成物を得る第1熱処理工程と、上記圧電組成物を−20〜40℃に冷却する第1冷却工程と、を含む。上記製造方法における上記圧電組成物は、上記三角相図における上記第1の領域で表される成分を主成分として含有する。ここで言う「主成分」の意味は、前述した圧電組成物のそれと同じである。
また、上記製造方法は、第1冷却工程で冷却された上記圧電組成物を300〜1000℃に再び加熱する第2熱処理工程と、第2熱処理工程で加熱された上記圧電組成物を−20〜40℃に再び冷却する第2冷却工程とをさらに含むことが、圧電組成物の圧電定数を高める観点から好ましい。
さらに、上記製造方法は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、上記以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。
たとえば、上記製造方法は、図2Aに示されるように、熱処理工程および冷却工程が第1熱処理工程と第1冷却工程のみからなる方法であってもよいし、図2Bに示されるように、第2熱処理工程および第2熱処理工程をさらに含む方法であってもよい。さらに、上記製造方法では、図3に示されるように、第2熱処理工程および第2冷却工程は、二回以上行われてもよい。上記製造方法は、以下に説明する材料の種類や温度に関する条件などの特定の条件を満たす範囲で、通常の圧電組成物の製造と同様に行うことが可能である。以下、各工程について説明する。
[原料準備工程]
原料準備工程は、原料組成物、例えば原料粉体またはその成形物、を準備する工程である。以下に具体例を示しつつ原料準備工程を説明する。まず、所望の酸化物や炭酸塩、炭酸水素塩、各種酸塩などの、圧電組成物中の各無機元素の供給源となる粉体を準備する。上記酸化物の例には、Bi、FeおよびTiOが含まれる。また、炭酸塩の例にはKCOが、炭酸水素塩にはKHCOが含まれる。
上記圧電組成物におけるBFOの一部をBMTに置換する場合や、前述したマンガンや、銅、ニッケル、コバルトなどの添加物を添加する場合には、これらに対応する無機元素を含む粉体がさらに添加される。たとえば、マンガンの原料の例には、MnCO、Mn、MnOおよびMnが含まれる。当該添加物の上記粉体は、原料準備工程における適当な時期に添加することが可能である。たとえば、圧電組成物の絶縁性を高める目的でマンガンを添加する場合、原料準備段階で添加してもよいし、仮焼結後に添加してもよい。またマンガンは、全体に固溶していてもよいし、特定の部分に偏析していてもよい。セラミックスの粒境界部により偏析させたい場合には、後述の仮焼結の後の混合物にマンガン含有粉体を添加することも可能である。
次に、必要量を秤量した、各無機元素を含有する粉体を混合して、原料粉体を作製する。原料粉体を作製する方法としては、乾式および湿式のうちのいかなる方法でもよい。当該方法の例には、ボールミルやジェットミルなどの湿式粉砕が含まれる。湿式粉砕をボールミルによって行う場合には、上記原料粉体を分散剤と混合し、粉砕装置に投入する。分散剤の例には、メタノールやエタノールなど各種アルコールおよび純水が含まれる。上記原料粉体がKCOやKHCOなどの水溶性の粉体を含む場合には、上記分散剤は、アルコールであることが好ましい。粉砕装置には、ジルコニアボールなどの粉砕メディアがさらに加えられ、例えば、原料粉体の粒度が微細で実質的に均一となるまで、混合、粉砕が行われる。
次に、得られた混合物から上記粉砕メディアを取り除き、吸引ろ過や乾燥器などの通常の装置を利用して上記混合物から分散剤を除去して原料粉体を得る。
次に、得られた原料粉体を坩堝などの容器に入れて仮焼成を行う。仮焼成は、例えば、600℃〜1000℃で行うことができる。これによって、上記原料粉体の組成の均一化や、焼結密度の向上を図ることができる。ただし、上記の仮焼成は、必ずしも必須ではなく、分散剤を乾燥除去した上記原料粉体を、仮焼成を行わずに以下の成形工程を行ってもよいし、逆に、組成の均一性や焼結密度の向上などのために仮焼成を二回以上行ってもよい。
仮焼成後には、仮焼成後の上記原料粉体を再度粉砕してもよい。また、この再粉砕工程において、上記原料粉体にバインダーをさらに添加してもよい。当該バインダーは、再粉砕工程の最初、途中または最終段階のいずれで添加することができる。上記バインダーを添加した場合には、得られた混合物は、例えば再度乾燥される。上記バインダーの例には、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリビニルブチラール(PVB)が含まれる。
次に、上記混合物を成形して成形物を得る。当該成形は、例えば通常使用される機械を用いて行われ、上記混合物は、例えば円柱状や円板状のペレットに成形される。当該ペレットの大きさは、例えば、直径は10〜50mm程度であり、厚みは1〜5mm程度である。
最後に、得られた成形物を電気炉に入れて、500〜750℃に数時間から20時間程度加熱する。この加熱により、上記成形物からバインダーが除去される。こうして、上記原料組成物の一例である、上記原料粉体を所定の形状に成形してなる成形物が得られる。以上により、原料準備工程が完了する。
なお、当該成形物は、前述したように、仮焼されていなくてもよい。上記の説明では、通常の固相法の場合の原料準備工程を示したが、当該原料準備工程は、例えば、水熱合成法を利用する方法や、アルコキシドを出発原料として用いる方法などにより行うことも可能であり、この場合、仮焼されていない上記成形物が得られうる。
[第1熱処理工程]
第1熱処理工程は、上記原料組成物を坩堝などの加熱炉に入れ、処理温度である800〜1300℃、より好ましくは950℃〜1050℃まで加熱する。加熱速度は、上記原料組成物のサイズにもよるが、通常50〜300℃/hrである。第1熱処理工程により、圧電組成物の焼結体が得られる。当該加熱速度は、第1熱処理工程中において一定であってもよいし、変動してもよい。上記加熱速度は、それを代表する値(例えば平均値)で表示することができる。
第1熱処理工程における処理時間は、従来では、通常、5分間から4時間程度であるが、本実施の形態では、6〜3000時間であることが好ましい。これは、上記圧電組成物が特に単結晶の場合には、第1熱処理工程が結晶成長工程となるためである。上記圧電組成物がセラミックス(多結晶)の場合では、上記処理時間は、6〜300時間であることが好ましく、6〜200時間であることがより好ましい。
特にBKTを含むセラミックスの製造では、上記処理時間により当該セラミックスの粒子サイズを制御することが可能であり、上記処理時間が長いほど当該粒子サイズの大きさは大きくなる。たとえば、上記処理時間が6〜300時間であると、組成にも依存するが0.5〜200μmの粒子サイズが実現される。
なお、上記処理温度は、一定でもよいし、一定でなくてもよい。たとえば、図3に示されるように、第1熱処理工程では、上記処理温度を徐々に降下させてもよい。このような処理温度の降下は、得られる圧電組成物が単結晶の場合に特に有効である。また、例えば2段階焼結の場合には、初期のごく短時間のみを高温で、その後を初期温度よりも50〜250℃程度下げた温度で、焼結を行う。この場合も、上記処理温度は一定とはならない。
[第1冷却工程]
第1冷却工程は、第1熱処理工程で得られた上記圧電組成物を−20〜40℃、より具体的には室温、まで冷却する。第1冷却工程における冷却速度は、0.01〜200℃/秒であることが、生産性とドメインのピン止め防止の観点から好ましい。さらに、第1熱処理工程のみで熱処理を行う場合は、上記冷却速度は、10〜200℃/秒であることが好ましい。第1冷却工程における冷却速度は、一定であってもよいし、当該工程中において変動してもよい。当該冷却速度は、それを代表する値(例えば平均値)で表示することができる。
[第2熱処理工程]
上記第2熱処理工程は、上記圧電組成物を坩堝などの加熱炉に入れ、アニール温度である300〜1000℃まで加熱する。第2熱処理工程により、上記圧電組成物中の欠陥を低減させることができる。加熱速度は、第1熱処理工程と同様に、例えば50〜300℃/hrである。当該加熱速度は、第2熱処理工程中において一定であってもよいし、変動してもよい。上記加熱速度は、それを代表する値(例えば平均値)で表示することができる。
第2熱処理工程におけるアニール時間は、5分間から100時間であることが好ましい。これは、酸素欠損や各種欠陥、欠陥ペアには、比較的短時間でのアニールで消える欠陥がある一方で、消えるまでに長時間を要する欠陥も存在し得るためである。
[第2冷却工程]
第2冷却工程は、第2熱処理工程で処理された上記圧電組成物を−20〜40℃、より具体的には室温、まで再び冷却する。当該工程は、酸素欠損などの各種欠陥がドメイン壁に集合してくることを避ける観点から好ましい。
第2冷却工程における冷却速度は、0.01〜200℃/秒であることが好ましく、5〜100℃/秒であることが、上記の観点からより好ましい。第2冷却工程における冷却速度は、一定であってもよいし、当該工程中において変動してもよい。また、当該冷却速度は、それを代表する値(例えば平均値)で表示することができる。上記冷却速度は、非特許文献1、7で公知のような、例えばアニール温度800℃でアニール処理されている圧電組成物を70℃のお湯に浸漬する超高速クエンチの冷却速度の1/10〜1/100程度以下となるので、急激な温度変化による圧電組成物の破壊を防止する観点からも好ましい。
また、図3に示されるように、上記第2熱処理工程および第2冷却工程を二回以上行うことも可能である。上記の工程を2段階の温度で行うことは、異なる欠陥や欠陥ペアなどを低減させる観点から好ましい。なお、第1冷却工程および第2冷却工程における冷却速度は、一部または全てで同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
さらに、一回目の第1冷却工程と一回目の第2冷却工程との間、または、一回目の第2冷却工程と二回目の第2熱処理工程との間に、上記圧電組成物を所望の大きさに加工する工程をさらに含むことが好ましい。このようなタイミングによる上記加工工程を行うことにより、より小さい形状の圧電組成物をアニール処理することが可能となり、当該圧電組成物の熱衝撃による破壊を防止する観点からより好ましい。また、上記の加工工程において、圧電素子を作製するための切断、研磨などの加工を行うことにより、その後の第2熱処理工程により加工歪を低減させることが可能となるので、好ましい。
上記圧電組成物は、圧電素子に好適に用いられる。当該圧電素子は、公知の圧電組成物と同様の方法によって所期の形態に形成される。たとえば、上記圧電組成物は、上記圧電組成物に電極を配置する工程と、上記圧電組成物に電界を印加する工程と、を含む方法によって製造される。
上記電極は、通常、圧電組成物に対して少なくとも二つ、配置される。当該電極の配置は、圧電組成物に電極の配置する通常の方法と同様に行うことができる。例えば銀や銀-パラジウムペーストを約付ける方法でもよいし、前記電極材料の他、金、パラジウム、ニッケル、銅、のスパッタや蒸着でもよい。また圧電組成物との密着性を向上するために前記電極と組成物の間にチタンなどのバッファ電極を先に配置してもよい。
上記の電界を印加する工程は、上記圧電組成物の分極処理のための工程(以下、この工程を「分極工程」とも言う)である。当該分極工程は、高温のオイルバス中で行うことが可能であるが、他の方法としては、高真空中や絶縁性の高い紛体中でも行うことも可能である。当該分極工程は、圧電組成物に電極を配置する前に行ってもよいし、圧電組成物に電極を配置した後に行ってもよい。分極処理のためには、例えば、20〜250℃で10〜100kV/cmの電界を、さらに好ましくは80℃〜180℃で温度であり、20〜70kV/cmの電界を印加する。印加電界は必ずしも直流である必要はなく、矩形波、のこぎり波、バースト波などの高周波でもよいし、直流成分に上記の電界を重畳させてもよい。
上記圧電素子の製造方法は、圧電素子の所期の態様に応じて、さらなる他の工程を含んでいてもよい。たとえば、上記製造方法は、上記圧電組成物を所望の形状に加工する工程をさらに含んでいてもよい。上記圧電組成物の加工は、研磨や切削などの公知の加工法により行うことができる。圧電組成物の上記加工は、通常、上記電極が作製される前に行われるが、上記電極が作製された後に行われてもよい。
上記圧電組成物の圧電定数d33が200pC/N以上であることが、圧電素子の性能向上の観点から好ましく、250pC/N以上であることがより好ましい。当該圧電定数d33は、例えば、等方的なセラミックスから所望の面方位に配向した配向セラミックスや単結晶とすることによってより高められる。
上記圧電素子は、分極処理を再現性よく行うことが可能となるので、所期の圧電定数を呈する圧電素子を生産性よく得ることが可能である。上記圧電素子は、各種アクチュエータ、インクジェットヘッド、センサーに用いることが可能であるが、特に、超音波探触子に好適に利用することができる。
上記超音波探触子は、上記圧電素子を有する以外は、公知の超音波探触子と同様に構成することが可能である。たとえば、各圧電素子には、フレキシブルプリント基板(FPC)にて電極が取り付けられ、当該超音波探触子が接続された超音波撮像装置で制御される超音波の送受信駆動により、任意のビームフォーミングが可能となる。そして、上記超音波トランスデューサーは、音響性能を適宜改良する観点から、上記圧電組成物以外に、上記FPCおよび電極や、上記圧電素子を担持する担体であって超音波を吸収するバッキング材、超音波の反射を防ぐ音響整合層、さらには超音波ビームを焦点に集めるための音響レンズなどの他の構成をさらに有していてもよい。上記超音波探触子は、これらの他の構成および上記圧電組成物の層を適宜に積層し、層状構成物として構成され得る。
さらに、当該超音波探触子は、水中もしくは含水環境にて用いることができるように、パリレンコーティングなどの防水加工を、例えば音響レンズを接着する前の超音波探触子の前面に、施してもよい。なお、「パリレン」は、日本パリレン合同会社の登録商標である。
上記超音波探触子は、例えば、いわゆるアレイ型の超音波探触子であってよい。当該超音波探触子は、一般に、超音波を照射する部分が小さくなりやすく、そのため圧電素子が配列する部分の面積が小さくなりやすい。このため、超音波を送受信する際のインピーダンスをより容易に整合させる観点から、上記圧電素子は、複数の上記圧電組成物の層と複数の上記電極とが交互に重ねられて構成されている、多層構造の圧電素子であることが好ましい。当該多層構造の圧電素子は、圧電素子におけるインピーダンスを低減させ、従来型のPZTの圧電素子と同様の機構を用いて効率よく超音波の送受信を行う観点から好ましい。
上記超音波探触子は、超音波撮像装置に好適に用いられる。当該超音波撮像装置は、上記超音波探触子以外の部分は、公知の超音波撮像装置と同様に構成し得る。当該超音波撮像装置は、例えば、医療用超音波診断装置や非破壊超音波検査装置などに好適である。
図4Aは、本実施の形態に係る超音波撮像装置の構成を模式的に示す図であり、図4Bは、当該超音波撮像装置の電気的な構成を示すブロック図である。
超音波撮像装置200は、図4Aに示されるように、装置本体201と、装置本体201にケーブル203を介して接続されている超音波探触子202と、装置本体201上に配置されている入力部204および表示部209と、を有する。
装置本体201は、図4Bに示されるように、入力部204に接続されている制御部205と、制御部205およびケーブル203に接続されている送信部206および受信部207と、受信部207および制御部205のそれぞれと接続されている画像処理部208と、を有する。なお、制御部205および画像処理部208は、それぞれ表示部209と接続されている。
入力部204は、例えば、診断開始などを指示するコマンドや被検体の個人情報などのデータを入力するための装置であり、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネルやキーボードなどである。
制御部205は、例えば、マイクロプロセッサや記憶素子、その周辺回路などを備えて構成され、超音波探触子202、入力部204、送信部206、受信部207、画像処理部208および表示部209を、それぞれの機能に応じて制御することによって超音波診断装置200の全体の制御を行う回路である。
送信部206は、例えば、制御部205からの信号を超音波探触子202に送信する。受信部207は、例えば、超音波探触子202からの信号を受信して制御部205または画像処理部208へ出力する。
画像処理部208は、例えば、制御部205の制御に従い、受信部207で受信した信号に基づいて被検体内の内部状態を表す画像(超音波画像)を形成する回路である。たとえば、画像処理部208は、被検体の超音波画像を生成するDigital Signal Processor(DSP)、および、当該DSPで処理された信号をディジタル信号からアナログ信号へ変換するディジタル−アナログ変換回路(DAC回路)などを有している。
表示部209は、例えば、制御部205の制御に従って、画像処理部208で生成された被検体の超音波画像を表示するための装置である。表示部209は、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどの表示装置や、プリンタなどの印刷装置などである。
図5は、超音波探触子202の構成を模式的に示す図である。超音波探触子202は、図5に示されるように、超音波トランスデューサー100と、超音波トランスデューサー100を収容するホルダ210とを有する。ホルダ210は、超音波探触子202の表面に音響レンズ170が露出するように、超音波トランスデューサー100を保持している。超音波トランスデューサー100のFPC120は、ケーブル203の先端に配置されたコネクタ211に接続されている。なお、図5中、超音波トランスデューサー100の構成の一部は、省略されている。
図6は、超音波トランスデューサー100の構成を模式的に示すための図である。超音波トランスデューサー100は、バッキング層110、フレキシブルプリント基板(FPC)120、圧電組成物130、溝140、141、充填材150、音響整合層160、音響レンズ170および接着剤層180を有する。
バッキング層110は、圧電組成物130を支持し、不要な超音波を吸収し得る超音波吸収体である。すなわち、バッキング層110は、圧電組成物130における被検体、例えば生体、に超音波を送受信する方向と反対の面(裏面)に装着され、被検体の方向の反対側に発生する超音波を吸収する。
バッキング層110の材料の例には、天然ゴム、エポキシ樹脂、熱可塑性樹脂、および、これらの材料の少なくともいずれかと酸化タングステンや酸化チタン、フェライトなどの粉末との混合物をプレス成形した樹脂系複合材、が含まれる。上記熱可塑性樹脂の例には、塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ABS樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリエチレングリコール、および、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体、が含まれる。中でも樹脂系複合材、その中でも特にゴム系複合材料またはエポキシ樹脂系複合材が好ましい。バッキング層110の形状は、圧電組成物130の平面形状や超音波トランスデューサー100、これを含む超音波探触子200などの形状に応じて、適宜に決めることができる。
FPC120は、例えば、圧電組成物130のための一対の電極と接続される、後述の圧電素子に対応したパターンの配線を有する。たとえば、FPC120は、一方の電極となる信号引き出し配線と、図示しない他方の電極に接続されるグランド引き出し配線とを有する。FPC120は、上記の適当なパターンを有していれば、市販品であってもよい。
上記電極の材料の例には、金、白金、銀、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、および、これらの金属元素を含む合金、が含まれる。たとえば、上記電極は、まず、チタンやクロムなどの下地金属をスパッタ法により0.002〜1.0μmの厚さに形成し、次いで、上記材料を、さらには必要に応じて絶縁材料を部分的に、スパッタ法、蒸着法その他の適当な方法で0.02〜10μmの厚さに形成することによって作製される。上記電極は、微粉末の金属粉末と低融点ガラスを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法によって当該導電ペーストの層を形成することによって作製することも可能である。
なお、バッキング層110とFPC120は、例えば、当該技術分野で通常使用される接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)で接着され得る。
圧電組成物130は、前述した本実施の形態に係る圧電組成物である。たとえば、圧電組成物130は、圧電組成物の層と電極との積層構造からなり、圧電組成物130の厚さは、例えば0.05〜0.4mmである。圧電組成物130は、FPC120に、例えば導電性接着剤によって接着されている。当該導電性接着剤は、例えば、銀粉や銅粉、カーボンファイバーなどの導電性材料を含有する接着剤である。
溝140は、圧電組成物130の表面からバッキング層110に至る深さを有し、溝141は、圧電組成物130の表面から圧電組成物130内に至る深さを有している。溝140は、圧電素子の主素子を区画しており、溝141は、1主素子中に並列する三つの副素子を区画している。溝140、141は、いずれも、例えばダイシングソーによる溝切り加工によって形成されており、その幅は、例えば15〜30μmである。
なお、上記主素子におけるピッチ(溝140の中心間距離)は、例えば0.15〜0.30mmであり、上記副素子におけるピッチ(隣り合う溝(溝141または溝140)の中心間距離)は、例えば0.05〜0.15mmである。
充填材150は、溝140および141に充填されている。また、充填材150は、圧電組成物130と音響整合層160との間にも介在しているが、図6ではその存在を強調しており、圧電組成物130と音響整合層160との間では、実際は両者を接着するための接着剤として機能する程度の厚さで存在している。
充填材150の材料の例には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン、天然ゴムおよびこれらの混合物が含まれる。上記エポキシ樹脂は、例えば、エポキシ樹脂のプレポリマーと、当該プレポリマー間に架橋ネットワークを形成するための硬化剤とを含有するプレポリマー組成物の硬化物として構成される。
上記プレポリマーの例には、フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ビフェニレン骨格を含む)樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂などのフェノール樹脂が含まれる。
上記硬化剤の例には、アミン系硬化剤が含まれ、当該アミン系硬化剤の例には、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンなどのトリアジン化合物、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、および、トリエタノールアミンが含まれる。
充填材150は、弾性樹脂粒子をさらに含有していてもよい。当該弾性樹脂粒子は、充填材150の耐久性を高める観点から、その表面に反応性官能基を有することが好ましい。当該反応性官能基は、反応性官能基同士の反応性を有する基であってもよいし、エポキシ樹脂中の特定の分子構造に対する反応性を有する基であってもよい。当該弾性樹脂粒子の例には、変性シリコーンゴム粒子が含まれる。当該変性シリコーンゴム粒子の例には、シリコーンエラストマーの粒子と、当該粒子を覆う(例えばポリシロキサンなどの)シェルと、当該シェルの表面に配置されている反応性官能基とを有する粒子が含まれる。
上記プレポリマー組成物における当該弾性樹脂粒子の含有量は、プレポリマーおよび硬化剤の種類や、エポキシ樹脂の所期の体積弾性率などに応じて適宜に決められ、例えば変性シリコーンゴム粒子であれば、プレポリマーおよび硬化剤の総量に対して8〜35質量%である。
充填材150は、例えば、上記プレポリマー、硬化剤および弾性樹脂粒子を含有する市販品の樹脂組成物から作製することが可能である。当該市販品の例には、ALBIDUR EP2240AおよびALBIDUR EP5340(いずれもエボニク社製)が含まれる。
音響整合層160は、圧電組成物130と後述の音響レンズ170との音響特性を整合させるための層である。音響整合層160は、圧電組成物130と音響レンズ170との概ね中間の音響インピーダンスZa(×10kg/(m秒))を有し、圧電組成物130の上記被検体側(表面側)に、例えば、前述の他方の電極を介して配置される。
音響整合層160は、単層でも積層でもよいが、音響特性の調整の観点から、音響インピーダンスが異なる複数の層の積層体であることが好ましく、例えば2層以上、より好ましくは4層以上である。音響整合層160の厚さは、λ/4であることが好ましい。λは、超音波の波長である。音響整合層160は、例えば、種々の材料で構成することが可能である。音響整合層160のZaは、音響レンズに向けて音響レンズのZaに、段階的または連続的により近づくように設定されていることが好ましく、例えば、当該材料に添加する添加剤の種類および含有量によって調整することが可能である。
上記材料の例には、アルミニウム、アルミニウム合金(例えばAl−Mg合金)、マグネシウム合金、マコールガラス、ガラス、溶融石英、コッパーグラファイトおよび樹脂が含まれる。当該樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ナイロン6やナイロン66などのナイロン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂およびウレタン樹脂が含まれる。上記添加剤の例には、亜鉛華、酸化チタン、シリカやアルミナ、ベンガラ、フェライト、酸化タングステン、酸化イットリビウム、硫酸バリウム、タングステン、モリブデン、ガラス繊維およびシリコーン粒子が含まれる。
音響整合層160のZaを調整する観点から、例えば、音響整合層160の表面部は、エポキシ樹脂で構成されているとともにシリコーン粒子を含有していることが好ましい。後述するように、音響レンズ170の材料であるシリコーンを音響整合層160の基材中に分散して存在させると、音響整合層160のZaを音響レンズ170のそれに近づけることが可能である。
なお、音響整合層160の各層は、例えば、当該技術分野で通常使用される接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)で接着されている。
音響レンズ170は、例えば、被検体と音響整合層160との中間のZaを有する軟質の高分子材料により構成される。当該高分子材料の例には、シリコーン系ゴム、ブタジエン系ゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、および、エチレンとプロピレンとを共重合させてなるエチレン−プロピレン共重合体ゴム、が含まれる。中でも、上記高分子材料は、シリコーン系ゴムおよびブタジエン系ゴムからなることが好ましい。
上記シリコーン系ゴムの例には、シリコーンゴムおよびフッ素シリコーンゴムが含まれる。特に、音響レンズの特性の観点からは、シリコーンゴムが好ましい。当該シリコーンゴムとは、Si−O結合からなる分子骨格を有し、そのSi原子に複数の有機基が主結合したオルガノポリシロキサンをいい、通常は、その主成分はメチルポリシロキサンで、その全体の有機基のうち90%以上がメチル基である。上記シリコーンゴムは、上記メチルポリシロキサンのメチル基の少なくとも一部が、水素原子、フェニル基、ビニル基またはアリル基も置き換わっていてもよい。
上記シリコーンゴムは、例えば、高重合度のオルガノポリシロキサンに過酸化ベンゾイルなどの硬化剤(加硫剤)を混練し、加熱加硫し硬化させることにより得ることができる。音響レンズ170における音速の調整や密度の調整などの目的に応じ、シリカやナイロン粉末などの有機または無機の充填剤や、硫黄や酸化亜鉛などの加硫助剤などがさらに添加されてもよい。
上記ブタジエン系ゴムの例には、ブタジエンのホモポリマーであるブタジエンゴム、および、ブタジエンを主体としこれに少量のスチロールまたはアクリロニトリルが共重合した共重合ゴム、が含まれる。特に、音響レンズの特性の観点から、ブタジエンゴムであることが好ましい。ブタジエンゴムとは、共役二重結合を有するブタジエンの重合により得られる合成ゴムをいう。ブタジエンゴムは、共役二重結合を有するブタジエンが1,4位で、または1,2位で、単独で重合することにより得ることができる。ブタジエンゴムは、さらに、硫黄などにより加硫させてもよい。
シリコーン系ゴムおよびブタジエン系ゴムからなる音響レンズ170は、例えば、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとを混合し、加硫硬化させることにより生成することが可能である。たとえば、音響レンズ170は、シリコーンゴムとブタジエンゴムとを適宜割合で混練ロールにより混合し、過酸化ベンゾイルなどの加硫剤を添加して加熱加硫して架橋(硬化)させることにより、得ることができる。
上記の場合、加硫助剤として、酸化亜鉛をさらに添加することが好ましい。酸化亜鉛は、音響レンズ170のレンズ特性を実質的に損なわずに加硫を促進し、加硫時間を短縮することできる。他に、着色剤や音響レンズの特性を損なわない範囲内で他の添加剤を添加してもよい。シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合割合は、適宜設定することができる。たとえば、音響レンズ170のZaは、被検体のそれに近似するとともに、音響レンズ170内における音速が被検体のそれよりも小さく、音響レンズ170のZaの減衰がより少なくなるように設定されていることが好ましい。このような観点から、シリコーン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合割合は、1:1が好ましい。
接着剤層180は、シリコーン系接着剤の層である。前述したように、音響レンズ170は、シリコーン系ゴムを含むことが多い。このため、当該シリコーン系接着剤によって接着剤層180を構成することは、音響整合層160と音響レンズ170との接着性を高める観点から好適である。
上記シリコーン系接着剤とは、シリコーンを基材に含む硬化性の化合物または組成物である。当該シリコーン系接着剤は、音響整合層160および音響レンズ170の両方に対する親和性を高めるための添加剤や、音響整合層160と音響レンズ170との両者の音響特性を整合させるための添加剤などの種々の添加剤をさらに含有していてもよい。
上記シリコーン系接着剤は、室温で硬化する液状ゴム(RTVゴム)でもよいし、加熱によって硬化させる液状ゴムであってもよい。また、上記シリコーン系接着剤は、一液型であってもよいし、二液型であってもよい。上記シリコーン系接着剤の例には、KE−441、KE−445、KE−471W、KE−1600、KE−1604、KE−1884、KE−1885、KE−1886、KE−4895、KE−4896、KE−4897、およびKE−4898(いずれも信越化学工業株式会社製)や、TN3005、TN3305、TN3705、TSE3976−B、ECS0600、およびECS0601(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などが含まれる。
接着剤層180は、音響整合層160のZaと音響レンズ170のZaとの間のZaを有することが、超音波トランスデューサー100の音響特性の観点から好ましい。接着剤層180の材料の一部または全部に、音響整合層160のZaまたは音響レンズ170のZaと同じ音響インピーダンスを有する材料を用いることによって、音響整合層160のZaまたは音響レンズ170のZaと接着剤層180のZaとのギャップを小さくすることが可能である。なお、音響整合層160のZaは、音響整合層160の上記表面部(音響整合層160における接着剤層180との界面を形成する表面またはそれを含む部分)のZaである。
なお、超音波トランスデューサー100は、超音波トランスデューサー100における音響レンズ170以外の部分を封止する保護層を含んでいてもよい。当該保護層は、例えば、超音波トランスデューサー100における音響整合層160およびそれよりも圧電組成物130側の構成を一体的に覆う層であり、これらの構成への物理的または化学的な刺激から上記の構成を保護するための層である。上記保護層は、物理的および化学的な安定性を有する材料で構成されていることが好ましく、例えば、エポキシ樹脂やポリパラキシリレンなどの、物理的および化学的に比較的安定な樹脂で構成され得る。当該保護層は、例えば、前述したパリレンコーティングにより作製される。
上記保護層の厚さは、その所期の機能を発現するとともに、超音波トランスデューサー100における所期の音響特性を発現可能な範囲で、適宜に決めることができる。当該保護層の厚さは、例えば、2〜4μmである。当該厚さであれば、保護層の音響インピーダンスが、音響整合層160および音響レンズ170のそれよりも高かったとしても、超音波トランスデューサー100の所期の音響特性を十分に発現させることが可能である。
超音波トランスデューサー100が上記保護層を有する場合では、音響レンズ170は、上記保護層に接着剤層180を介して接着される。この場合、接着剤層180の厚さと上記保護層の厚さとの総和が、超音波トランスデューサー100の所期の音響特性を実現する観点から、可能な限りで十分に薄いことが好ましい。
超音波撮像装置200では、制御部205が入力部204からの信号を受信し、生体などの被検体に対して超音波(第1超音波信号)を送信させる信号を送信部206に出力するとともに、当該第1超音波信号に基づく被検体内から来た超音波(第2超音波信号)に応じた電気信号を受信部207に受信させる。
超音波探触子202の超音波トランスデューサーには、超音波トランスデューサー100が使用されている。圧電組成物130から超音波が送信されると、当該超音波は、音響整合層160、接着剤層180および音響レンズ170を伝わり、人体などの被検体に送られる。そして、当該被検体内で反射し、音響レンズ170、接着剤層180および音響整合層160を伝わり、圧電組成物130に受信される。たとえば、受信された超音波は、その振幅および周波数帯域に応じた電気信号に、圧電組成物130によって変換される。圧電組成物130は、鋭い主ピークとして超音波成分を検出する。
受信部207で受信した電気信号は、画像処理部208に送られて当該電気信号に応じた画像信号に処理される。当該画像信号は、表示部209に送られて、当該画像信号に応じた画像が表示部209に表示される。表示部209は、また、入力部204から入力された、制御部205を介して送られる情報に基づき、当該情報に応じた画像および操作(文字の表示、表示された画像の移動や拡大など)も表示する。
超音波撮像装置200では、超音波成分の電気信号が検出される。このため、超音波撮像装置200は、高い空間分解能による精密かつ信頼性がより高い測定結果を得ることができる。当該測定は、非鉛系の圧電組成物130を用いて行われるので、非鉛系かつ高性能な超音波撮像装置200が提供され得る。
超音波撮像装置200は、医療用の超音波診断装置に適用される。超音波撮像装置200は、この他にも、魚群探知機(ソナー)や非破壊検査用の探傷機などの、超音波による探査結果を画像や数値などで表示する装置に適用され得る。前述したように、圧電組成物130が鉛を含有しない組成を有することから、圧電組成物130、超音波探触子202および超音波撮像装置200を鉛フリーで構成することができ、これらの使用および製造における環境負荷を、PZT圧電組成物を用いる従来の技術に比べてより一層低減することができる。
以上の説明から明らかなように、正方晶である第1のぺロブスカイト化合物X:チタン酸ビスマスカリウム、正方晶である第2のペロブスカイト化合物Y:チタン酸バリウム、および、菱面体晶である第3のペロブスカイト化合物Z:鉄酸ビスマス、を含み、化合物X、Y、Zを三角形の頂点とする三角相図においてx、y、zを用いた三角座標(x,y,z)で表される下記点A〜点Dを頂点とする、四角形ABCDで囲まれる領域のうちの、点Aと点Dを結ぶ線分AD、点Bと点Cを結ぶ線分BC、点Cと下記点Gを結ぶ線分CGと重複する部分、および下記点Hと下記点Iを結ぶ線分HIと重複する部分、を含まない領域で表される成分を主成分として含む。よって、十分な圧電特性を安定して発現可能な非鉛圧電組成物が提供される。なお、上記x、y、zはそれぞれ化合物X、Y、Zのモル比であり、かつx+y+z=1である。
点A(0.45,0,0.55)
点B(0,0.4,0.6)
点C(0,0.25,0.75)
点D(0.3,0,0.7)
点G(0.15,0.25,0.60)
点H(0.16,0.24,0.60)
点I(0.08,0.12,0.80)
上記圧電組成物が、上記座標で表される上記点ADおよび下記点EFの四点で囲まれ領域のうちの、線分ADを含まない領域で表される成分を主成分として含むことは、圧電定数d33の向上や再現性向上の観点からより一層効果的である。
点E(0.20,0.22,0.58)
点F(0.15,0.13,0.72)
また、上記圧電組成物が、上記鉄酸ビスマスに置き換えられたチタン酸マグネシウム酸ビスマスをさらに含有し、上記チタン酸マグネシウム酸ビスマスの含有量は、上記チタン酸ビスマスカリウム、上記チタン酸バリウム、上記鉄酸ビスマスおよび上記チタン酸マグネシウム酸ビスマスの総量に対して0モル%超5モル%以下であることは、圧電定数d33の向上の観点からより一層効果的である。
また、上記圧電組成物がマンガンをさらに含有し、当該マンガンの含有量が0.01〜0.5質量%であることは、圧電組成物の絶縁性を高める観点からより一層効果的である。
また、上記圧電組成物が銅、ニッケルおよびコバルトからなる群から選ばれる一以上の元素をさらに含有し、上記元素の含有量が総量で0.01〜5質量%であることは絶縁性の向上やd33の向上の観点からより一層効果的である。
また、上記圧電組成物が、上記三角相図における菱面体晶と擬立方晶との相境界で表される組成を主成分として含有することは、圧電定数を高める観点からより一層効果的である。
また、上記圧電組成物が、特定の面方位を有するセラミックスか、または、特定の面方位で切り出されている単結晶であることは、d33の向上の観点からより一層効果的である。
また、上記特定の面方位が擬立方晶表示で(110)または(100)であることは、d33の向上の観点からより一層効果的である。
また、上記圧電素子は、前述の圧電組成物と、当該圧電組成物に電圧を印加するための電極とを有する。よって、十分な圧電特性を安定して発現可能な非鉛圧電素子が提供される。
また、上記圧電組成物の圧電定数d33が200pC/N以上であることは、圧電素子の性能向上の観点およびその優れた圧電特性を再現性よく得られる観点からより効果的であり、上記圧電定数d33が250pC/Nであることは、上記の観点からより一層効果的である。
また、上記圧電素子の製造方法は、少なくともチタン、ビスマス、カリウム、バリウムおよび鉄を含む粉体を生成すべき圧電組成物の組成に応じた割合で含有する原料組成物を得る原料準備工程と、当該原料組成物を800〜1300℃に加熱して圧電組成物を得る第1熱処理工程と、上記圧電組成物を−20〜40℃に冷却する第1冷却工程と、冷却された上記圧電組成物に電極を配置する工程と、を含み、当該圧電組成物は、上記点A、B、CおよびDを頂点とする四角形ABCDで囲まれる領域のうちの、点Aと点Dを結ぶ線分ADおよび点Bと点Cを結ぶ線分BCを含まない領域で表される成分を主成分として含む。よって、十分な圧電特性を安定して発現可能な非鉛圧電素子を提供することができる。
また、上記第1冷却工程の冷却速度が0.01〜200℃/秒、であることは、圧電組成物の高い圧電定数d33を再現性よく発現させる観点からより一層効果的である。
また、上記製造方法が、冷却された上記圧電組成物を300〜1000℃に、より好ましくは500〜900℃に再び加熱する第2熱処理工程と、当該第2熱処理工程によって加熱された上記圧電組成物を−20〜40℃に再び冷却する第2冷却工程と、をさらに含むことは、ドメインのピン止め防止や各種欠陥、欠陥ペアを低減させ、圧電組成物の高い圧電定数d33を発現させる観点からより一層効果的である。
また、上記第2冷却工程の冷却速度が独立して0.01〜200℃/秒、より好ましくは5〜100℃/秒であることは、圧電組成物の高い圧電定数d33を再現性よく発現させる観点および圧電組成物の急激な温度変化による破壊を防止する観点からより一層効果的である。
また、上記製造方法が上記圧電組成物を所望の形状に加工する工程をさらに含むことは、圧電素子の性能および汎用性の向上の観点からより一層効果的である。
また、上記製造方法において、圧電組成物が特定の面方位に配向しているか、あるいは、特定の面方位で切り出されている単結晶であることは、圧電定数d33を向上させる観点からより効果的であり、当該特定の面方位が、擬立方晶表示で(110)または(100)であることは、上記の観点からより一層効果的である。
また、上記製造方法が、上記圧電組成物に20〜250℃で10〜100kV/cmの電圧を印加して上記圧電組成物を得る工程をさらに含むことは、高い圧電定数を有する圧電組成物を生産性よく得る観点からより効果的であり、当該工程が20〜250℃で10〜100kV/cmの電圧を印加して圧電組成物を得る工程であることは、上記の観点からより一層効果的であり、上記の工程が、80〜180℃で20〜70kV/cmの電圧を印加して圧電組成物を得る工程であることは、上記の観点からさらに効果的である。そして、上記製造方法が上記の工程を含むことは、圧電定数d33が200pC/N以上の、より好ましくは250pC/N以上の圧電組成物を得る観点から、より一層効果的である。
上記超音波探触子は、上記圧電素子を有する。よって、所期の性能を有する非鉛圧電素子を有する超音波探触子が提供される。
上記超音波探触子が、上記圧電素子を担持するバッキング材と、上記圧電素子上に配置される音響整合層とをさらに有することは、パルス幅の短い超音波パルスを発生または受信する観点からより一層効果的である。
また、上記超音波探触子において、上記圧電素子が複数の上記圧電組成物と複数の上記電極とが交互に重ねられて構成されていることは、圧電素子の超音波の送受信におけるインピーダンスを低減させる観点からより一層効果的である。
以下、本発明に関してさらに詳細に実施例を用いて説明する。なお、以下の実施例では、本発明におけるBKT−BT−BFOの組成を有する圧電組成物およびそれを有する圧電素子の標準的な製造方法を説明する。以下では、バルクセラミックに関して説明するが、本発明における圧電組成物は、特にセラミックス(多結晶)に限るわけではなく、配向セラミック、厚膜、単結晶の場合にも適用され得る。また、当該圧電組成物がセラミックスや単結晶の場合には、セラミックスや単結晶の熱処理は、所望の大きさに切断してから行ってもよい。
[実施例1]
(原料準備工程)
チタン酸ビスマスカリウム(X)のモル比をx、チタン酸バリウム(Y)のモル比をy、鉄酸ビスマス(Z)のモル比をzとしたときに、x:y:zが0.39:0.06:0.56となる割合で、Bi、KHCO、BaCO、TiO、Feの各粉体を、全体で30gとなるように秤量した。
上記粉体と、0.1質量%となる量のMnCOの粉体と、150mLのエタノールと、適量のZrOボールとをポットに入れ、上記粉体をボールミルで16時間粉砕した。次いで、得られた混合粉体を、炉内温度800℃で4時間加熱することで仮焼した。得られた粉体をさらに上記と同様の条件でボールミルによってさらに粉砕して仮焼粉体1を得た。
100質量部の仮焼粉体1に対して3質量部のPVBを仮焼粉体1に添加し、混合し、プレス成形によって円板状に成形して成形体1を得た。成形体1の直径は10mmであり、高さ(厚み)は1.5mmである。
(第1熱処理工程)
成形体1からの原料成分の揮発を抑えるために成型体1を坩堝に入れて、炉内温度を室温から1000℃まで、昇温速度200℃/hrで昇温した。次いで、成形体1を炉内温度1000℃で20時間加熱した。
(第1冷却工程)
当該熱処理後の成形体1を冷却速度0.05〜0.3℃/秒で室温まで冷却し、第1熱処理を施した成形体1を得た。
(第2熱処理工程)
次いで、第1熱処理後の成形体1を第1熱処理工程と同様に坩堝に入れ、炉内温度を200℃/hrで昇温した。次いで、成形体1を炉内温度900℃で10時間加熱した。
(第2冷却工程)
次いで、20℃/秒の冷却速度で室温まで冷却し、成形体1に第2熱処理を施すことにより円板状の圧電組成物1を得た。
(電極形成工程)
そして、圧電組成物1を研磨し、スパッタによって電極を配置し、ダイアモンドカッターにて所望の大きさ(4mm×1.5mm×0.4mm)に切断した。
(分極工程)
次に、分極処理を、オイルバス中の120℃のオイル中で40kV/cmの電圧を30分間印加することで行い、こうして圧電素子1を得た。
[評価]
(1)圧電定数d33の測定
圧電素子1を用いて、上記圧電組成物の圧電定数d33を、ベルリンコート式のd33メータを用いて測定した。その結果、圧電素子1のd33は164pC/Nであった。
(2)分極処理の再現性
上記の方法での分極処理において、分極処理中にリークなど発生して圧電素子を分極処理できない場合がしばしばあるので、その場合を△として表し、その他の場合を○として表す。圧電素子1の分極処理の再現性は「○」であった。
[実施例2〜13および比較例1〜6]
x:y:zが下記表に示す割合となるようにBi、KHCO、BaCO、TiO、Fe3、MnCOの各粉体を秤量し、また成形体を炉内温度960〜1040℃の範囲内で20時間加熱した以外は実施例1と同様にして、圧電素子2〜13およびC1〜C6を作製し、実施例1と同様にして評価した。なお、圧電素子2〜13およびC1〜C6の作製において、第2冷却工程における冷却速度は、いずれも10〜100℃/秒の範囲内であり、分極処理において、温度はいずれも100〜200℃の範囲内であり、印加電圧は20〜70kV/cmの範囲内であり、電圧印加時間は10〜30分間の範囲内であった。
[実施例14]
x:y:zが下記表に示す割合となるようにBi、KHCO、BaCO、TiO、Fe3、の各粉体を秤量した(すなわちMnCOを添加しなかった)以外は実施例1と同様にして、圧電素子を作製し、実施例1と同様にして評価した。なお、第2冷却工程における冷却速度は40℃/秒であり、分極処理の温度は60℃、印加電圧は30kV/cmであり、電圧印加時間は10分間であった。
[実施例15]
x:y:zが下記表に示す割合となるようにBi、KHCO、BaCO、TiO、Fe、の各粉体と、0.1質量%となる量のMnCOの粉体とを秤量し、ただし、全BFO56モル%のうちの2.5モル%をBMTに置換した以外は実施例1と同様にして、圧電素子を作製し、実施例1と同様にして評価した。なお、第2冷却工程における冷却速度は40℃/秒であり、分極処理の温度は150℃、印加電圧は45kV/cmであり、電圧印加時間は10分間であった。
圧電素子1〜13におけるX、Y、Zのモル比、d33および分極処理の再現性の結果を表1および図7に、圧電素子C1〜C6におけるX、Y、Zのモル比、d33および分極処理の再現性の結果を表2および図7に、それぞれ示す。表1中、実施例15におけるzの「0.56」は、0.56モル比のBFOの内の0.025モル比はBMTに置換されていることを表している。
Figure 2016163027
Figure 2016163027
表1から明らかなように、圧電素子1〜13は、いずれも、分極処理後においても十分に高い圧電定数d33を示している。よって、上記三角相図の四角形ABCDで囲まれる領域で表される圧電組成物から構成される圧電素子は、十分な圧電特性を有することがわかる。また、当該圧電特性は再現性よく得られることもわかる。
特に、例えば、圧電素子3、7、10の対比や、圧電素子2、5、8の対比などから明らかなように、上記四角形ABCDにおけるBCよりの領域よりもAD寄りの領域中の点で表される圧電組成物から構成される圧電素子は より高い圧電定数d33を有することがわかる。
さらに、例えば、圧電素子2、4、6および9は、擬立方晶と菱面体晶との相境界またはその近傍に存在すると考えられ、いずれも250pC/Nの高い圧電定数d33を示している。よって、上記四角形ABCD内に相境界が含まれ、上記四角形ABCDの圧電組成物から構成される圧電素子は高い圧電定数d33を有することがわかる。
また、圧電素子14の分極処理後の圧電定数d33は、160pC/Nであった。圧電素子14の圧電組成物は、Mnをまったく含まないため、その分極処理温度は小さくなったが、分極処理後の圧電定数は、比較的大きかった。これは、上記圧電組成物の絶縁性が劣化するため、分極温度は十分に高くできないが、Mnを添加することによる、ドメインのピン止め効果が無視できるため、比較的大きな圧電性を保った、と考えられる。
また、圧電素子15の分極処理後の圧電定数d33は、183pC/Nであった。このように、BFOの一部をBMTに置換することにより、無置換の圧電素子(圧電素子1)に比べて、分極処理後のd33の値を10%以上も向上可能であった。
一方で、表2から明らかなように、上記四角形ABCDで表される領域よりも擬立方晶側および菱面体晶側のいずれの領域中の点で表される圧電組成物から構成される圧電素子C1〜C6は、いずれも、分極処理後の圧電定数d33が低く、圧電特性が不十分であることがわかる。
以上の説明から明らかなように、本発明によるBKT−BT−BFOおよびBFOの一部をBMTに置換した組成の圧電素子は、分極処理後の従来にはない優れた圧電特性と分極処理再現性とを実現できる。
本発明によれば、広帯域かつ高感度な超音波探触子を非鉛系材料で構成することが可能となる。したがって、本発明によれば、超音波撮像装置の環境負荷のさらなる低減と、当該超音波撮像装置のさらなる普及とが期待される。
100 超音波トランスデューサー
110 バッキング層
120 フレキシブルプリント基板(FPC)
130 圧電組成物
140、141 溝
150 充填材
160 音響整合層
170 音響レンズ
180 接着剤層
200 超音波撮像装置
201 装置本体
202 超音波探触子
203 ケーブル
204 入力部
205 制御部
206 送信部
207 受信部
208 画像処理部
209 表示部
210 ホルダ
211 コネクタ

Claims (28)

  1. 正方晶である第1のペロブスカイト化合物X:チタン酸ビスマスカリウム、
    正方晶である第2のペロブスカイト化合物Y:チタン酸バリウム、および、
    菱面体晶である第3のペロブスカイト化合物Z:鉄酸ビスマス、を含み、
    前記化合物X、Y、Zを三角形の頂点とする三角相図においてx、y、z(ただし、x、y、zはそれぞれ前記化合物X、Y、Zのモル比であり、かつx+y+z=1である)を用いた三角座標(x,y,z)で表される下記点A、B、CおよびDを頂点とする四角形ABCDで囲まれる領域のうちの、点Aと点Dを結ぶ線分AD、点Bと点Cを結ぶ線分BC、点Cと下記点Gを結ぶ線分CGと重複する部分、および下記点Hと下記点Iを結ぶ線分HIと重複する部分、を含まない領域で表される成分を主成分として含むことを特徴とする圧電組成物。
    点A(0.45,0,0.55)
    点B(0,0.4,0.6)
    点C(0,0.25,0.75)
    点D(0.3,0,0.7)
    点G(0.15,0.25,0.60)
    点H(0.16,0.24,0.60)
    点I(0.08,0.12,0.80)
  2. 前記座標で表される前記点ADおよび下記点EFの四点で囲まれる領域のうちの、前記線分ADを含まない領域で表される成分を主成分として含む、請求項1に記載の圧電組成物。
    点E(0.20,0.22,0.58)
    点F(0.15,0.13,0.72)
  3. 前記鉄酸ビスマスと置き換えられたチタン酸マグネシウム酸ビスマスをさらに含有し、
    前記チタン酸マグネシウム酸ビスマスの含有量は、前記チタン酸ビスマスカリウム、前記チタン酸バリウム、前記鉄酸ビスマスおよび前記チタン酸マグネシウム酸ビスマスの総量に対して5モル%以下である、
    請求項1または2に記載の圧電組成物。
  4. マンガンをさらに含有し、
    前記マンガンの含有量は、0.01〜0.5質量%である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧電組成物。
  5. 銅、ニッケルおよびコバルトからなる群から選ばれる一以上の元素をさらに含有し、
    前記元素の含有量は、総量で0.01〜5質量%である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧電組成物。
  6. 前記三角相図における菱面体晶と擬立方晶との相境界で表される成分を主成分として含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧電組成物。
  7. 特定の面方位に配向しているセラミックスである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電組成物。
  8. 特定の面方位で切り出されている単結晶である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電組成物。
  9. 前記特定の面方位は、擬立方晶表示で(110)または(100)である、請求項7または8に記載の圧電組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧電組成物と、前記圧電組成物に電圧を印加するための電極とを有する圧電素子。
  11. 前記圧電組成物の圧電定数d33は、200pC/N以上である、請求項10に記載の圧電素子。
  12. 前記圧電定数d33は、250pC/Nである、請求項11に記載の圧電素子。
  13. 少なくともチタン、ビスマス、カリウム、バリウムおよび鉄を含む粉体を生成すべき圧電組成物の組成に応じた割合で含有する原料組成物を得る原料準備工程と、
    前記原料組成物を800〜1300℃に加熱して圧電組成物を得る第1熱処理工程と、
    前記圧電組成物を−20〜40℃に冷却する第1冷却工程と、
    冷却された前記圧電組成物に電極を配置する工程と、
    を含み、
    前記圧電組成物は、
    正方晶である第1のペロブスカイト化合物X:チタン酸ビスマスカリウム、
    正方晶である第2のペロブスカイト化合物Y:チタン酸バリウム、および、
    菱面体晶である第3のペロブスカイト化合物Z:鉄酸ビスマス、を含み、
    前記化合物X、Y、Zを三角形の頂点とする三角相図においてx、y、z(ただし、x、y、zはそれぞれ前記化合物X、Y、Zのモル比であり、かつx+y+z=1である)を用いた三角座標(x,y,z)で表される下記点A、B、CおよびDを頂点とする四角形ABCDで囲まれる領域のうちの、点Aと点Dを結ぶ線分ADおよび点Bと点Cを結ぶ線分BCを含まない領域で表される成分を主成分として含む、
    圧電素子の製造方法。
    点A(0.45,0,0.55)
    点B(0,0.4,0.6)
    点C(0,0.25,0.75)
    点D(0.3,0,0.7)
  14. 前記第1冷却工程における冷却速度は、0.01〜200℃/秒である、請求項13に記載の圧電素子の製造方法。
  15. 冷却された前記圧電組成物を300〜1000℃に再び加熱する第2熱処理工程と、
    前記第2熱処理工程で加熱された前記圧電組成物を−20〜40℃に再び冷却する第2冷却工程と、
    をさらに含む、請求項13または14に記載の圧電素子の製造方法。
  16. 前記第2冷却工程における冷却速度は、独立して0.01〜200℃/秒である、請求項15に記載の圧電素子の製造方法。
  17. 前記第2冷却工程における冷却速度は、独立して5〜100℃/秒である、請求項16に記載の圧電素子の製造方法。
  18. 前記圧電組成物を所望の形状に加工する工程をさらに含む、請求項13〜17のいずれか一項に記載の圧電素子の製造方法。
  19. 前記圧電組成物が特定の面方位に配向しているセラミックスであることを特徴とする請求項13〜18のいずれか一項に記載の圧電素子の製造方法。
  20. 前記圧電組成物が特定の面方位で切り出されている単結晶である請求項13〜18のいずれか一項に記載の圧電素子の製造方法。
  21. 前記特定の面方位は、擬立方晶表示で(110)または(100)である、請求項19または20に記載の圧電素子の製造方法。
  22. 前記圧電組成物に20〜250℃で10〜100kV/cmの電圧を印加する工程をさらに含む、請求項13〜21のいずれか一項に記載の圧電素子の製造方法。
  23. 前記圧電組成物に80〜180℃で20〜70kV/cmの電圧を印加する工程をさらに含む、請求項22に記載の圧電素子の製造方法。
  24. 前記圧電組成物の圧電定数d33は、200pC/N以上である、請求項22または23に記載の圧電素子の製造方法。
  25. 前記圧電定数d33は、250pC/N以上である、請求項24に記載の圧電素子の製造方法。
  26. 請求項10〜12のいずれか一項に記載の圧電素子を有する、超音波探触子。
  27. 前記圧電素子を担持するバッキング材と、前記圧電素子上に配置される音響整合層とをさらに有する、請求項26に記載の超音波探触子。
  28. 前記圧電素子は、前記圧電組成物の層と前記電極とが交互に重ねられて構成されている、請求項26または27に記載の超音波探触子。
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