JP2016145439A - 3点ハンモック装着型ヘルメット - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘルメットの衝撃吸収能力を犠牲にすることなくそのヘルメットを軽量化する技術を提供する。
【解決手段】ヘルメット10は、そのヘルメット10の平面視において互いに空間的に隔たった3個の連結部(図示しない)を有する帽体20と、その帽体20の内側に配置されるハンモック30であって、3個の吊りバンド端部72を有し、それら吊りバンド端部72は、帽体の3個の連結部にそれぞれ連結されるものと、帽体20の内側であって、ヘルメット10の側面視においてハンモック30より下方の位置に配置されるインナー32であって、ヘルメット10の着用状態において着用者の頭部に接触するものとを有している。
【選択図】図5
【解決手段】ヘルメット10は、そのヘルメット10の平面視において互いに空間的に隔たった3個の連結部(図示しない)を有する帽体20と、その帽体20の内側に配置されるハンモック30であって、3個の吊りバンド端部72を有し、それら吊りバンド端部72は、帽体の3個の連結部にそれぞれ連結されるものと、帽体20の内側であって、ヘルメット10の側面視においてハンモック30より下方の位置に配置されるインナー32であって、ヘルメット10の着用状態において着用者の頭部に接触するものとを有している。
【選択図】図5
Description
本発明は、着用者の頭部を保護するためにその頭部に装着されるヘルメットに関するものであり、特に、そのヘルメットの衝撃吸収能力を犠牲にすることなくそのヘルメットを軽量化する技術に関するものである。
作業用ヘルメット、防災用ヘルメットなど、危険を伴う現場において、着用者の頭部を保護するためにその頭部に装着されるヘルメット(保護帽)が既に普及している。
この種のヘルメットの基本性能としては、落下物や飛来物が着用者の頭部に衝突したときに、その衝突による衝撃から着用者の頭部を保護するという性能がある。この性能を実現するために、ヘルメットに作用した衝撃を吸収する性能が要求される。
例えば特許文献1に示すように、この種のヘルメットは、一般に、当該ヘルメットの殻の部分である帽体(シェル)と、内装体とを有するように構成される。その内装体は、ヘルメットを調整して着用者の頭周サイズに合せる機能を有するヘッドバンドと、ヘルメットに作用した衝撃を吸収する機能を有するハンモックと、ヘルメットが着用者の頭部から脱落することを防止する機能を有する紐セットとを有する。
この種のヘルメットにおいては、帽体およびハンモックが衝撃吸収を行うが、衝撃開始直後に衝撃吸収を行うのは帽体ではなくハンモックであると言われている。よって、この種のヘルメットにおいて、衝撃吸収という目的のためにハンモックの存在は重要である。
この種のヘルメットのハンモックは、特許文献1および2に示すように、帽体の内側に配置されるとともに、ヘルメットの平面視において放射状に延びる複数本の吊りバンド(脚部)を有し、それら吊りバンドがそれらの複数個の吊りバンド端部において帽体の複数の連結部にそれぞれ連結される。
本発明者らは、ヘルメットの基本性能を犠牲にすることなくそのヘルメットを軽量化する技術について研究を行った。その結果、ハンモックの構造を改良すればヘルメットが軽量化できるという知見を得た。
具体的には、従来、ハンモックは、特許文献1に示すように、4本の吊りバンドおよびそれらの4個の吊りバンド端部を有して、帽体に4箇所において連結されるか、または、特許文献2に示すように、6本の吊りバンドおよびそれらの6個の吊りバンド端部を有して、帽体に6箇所において連結される。
これに対し、本発明者らは、吊りバンドの本数およびそれらの吊りバンド端部の数を減らせば、ヘルメットが軽量化されることに気が付き、さらに、後に詳述するように、吊りバンド端部の数が3個である場合には、それより多い場合より効果的に衝撃を吸収する能力があることにも気が付いた。
それらの知見を背景にして、本発明は、ヘルメットの衝撃吸収能力を犠牲にすることなくそのヘルメットを軽量化する技術を提供することを課題としてなされたものである。
その課題を解決するために、本発明の一側面によれば、着用者の頭部を保護するためにその頭部に装着されるヘルメットであって、
当該ヘルメットの平面視において互いに空間的に隔たった3個の連結部を有する帽体と、
その帽体の内側に配置されるハンモックであって、3個の吊りバンド端部を有し、それら吊りバンド端部は、前記帽体の前記3個の連結部にそれぞれ連結されるものと
を含む3点ハンモック装着型ヘルメットが提供される。
当該ヘルメットの平面視において互いに空間的に隔たった3個の連結部を有する帽体と、
その帽体の内側に配置されるハンモックであって、3個の吊りバンド端部を有し、それら吊りバンド端部は、前記帽体の前記3個の連結部にそれぞれ連結されるものと
を含む3点ハンモック装着型ヘルメットが提供される。
この3点ハンモック装着型ヘルメットの一例は、さらに、前記帽体の内側であって、当該ヘルメットの側面視において前記ハンモックより下方の位置に配置されるインナーであって、当該ヘルメットの着用状態において着用者の頭部に接触するものを含む。
この3点ハンモック装着型ヘルメットの一例は、さらに、前記ハンモックの前記3個の吊りバンド端部のうちの少なくとも一つと、前記帽体の前記3個の連結部のうち、対応するものとの間に設けられた緩衝体を含み、前記帽体に衝撃が作用すると、前記帽体と前記緩衝体と前記ハンモックとが互いに直列に連結される力伝達系が形成され、その力伝達系により、前記衝撃が、前記ハンモックのみならず前記緩衝体によっても吸収される。
この例においては、例えば、前記ハンモックが、自身の伸長(伸び)によって衝撃を吸収するのに対し、前記緩衝体は、自身の圧縮(縮み)によって衝撃を吸収する。
また、この例においては、例えば、前記緩衝体は、自身の縮みによって衝撃を吸収し、前記力伝達系は、当該ヘルメットに衝撃が作用すると、前記ハンモックが前記緩衝体を第1方向に圧縮(圧迫)する一方、前記帽体が、前記緩衝体を前記第1方向とは交差する第2方向に圧縮(圧迫)するように、それらハンモック、緩衝体および帽体が互いに連結されることによって構成される。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 着用者の頭部を保護するためにその頭部に装着されるヘルメットであって、
概して半球殻状を成す帽体であって、当該ヘルメットの平面視において互いに空間的に隔たった3個の連結部を有するものと、
前記帽体に衝撃が作用すると、その衝撃を吸収するハンモックであって、前記帽体の内側に配置されるとともに、当該ヘルメットの平面視において放射状に延びる3個の吊りバンド端部を有し、それら吊りバンド端部が前記帽体の前記3個の連結部にそれぞれ連結されるものと、
前記帽体の内側であって、当該ヘルメットの側面視において前記ハンモックより下方の位置に配置されるインナーであって、当該ヘルメットの着用状態において着用者の頭部の上部に接触し、それにより、当該ヘルメットの着用状態において前記ハンモックが着用者の頭部に接触することを制限するものと、
前記帽体の内側であって、当該ヘルメットの側面視において前記インナーより下方の位置に配置されるヘッドバンドであって、当該ヘルメットの着用状態において着用者の頭部を水平方向から包囲する状態で保持するものと
を含む3点ハンモック装着型ヘルメット。
概して半球殻状を成す帽体であって、当該ヘルメットの平面視において互いに空間的に隔たった3個の連結部を有するものと、
前記帽体に衝撃が作用すると、その衝撃を吸収するハンモックであって、前記帽体の内側に配置されるとともに、当該ヘルメットの平面視において放射状に延びる3個の吊りバンド端部を有し、それら吊りバンド端部が前記帽体の前記3個の連結部にそれぞれ連結されるものと、
前記帽体の内側であって、当該ヘルメットの側面視において前記ハンモックより下方の位置に配置されるインナーであって、当該ヘルメットの着用状態において着用者の頭部の上部に接触し、それにより、当該ヘルメットの着用状態において前記ハンモックが着用者の頭部に接触することを制限するものと、
前記帽体の内側であって、当該ヘルメットの側面視において前記インナーより下方の位置に配置されるヘッドバンドであって、当該ヘルメットの着用状態において着用者の頭部を水平方向から包囲する状態で保持するものと
を含む3点ハンモック装着型ヘルメット。
(2) 前記3個の連結部のうちの少なくとも1つは、
前記3個の吊りバンド端部のうち対応するものを、その吊りバンド端部の長さ方向に、所定範囲内において相対変位可能に保持するホルダと、
そのホルダと、対応する吊りバンド端部との間に配置された緩衝体であって、前記相対変位に伴って変形することによって前記衝撃を少なくとも部分的に吸収する(1)項に記載の3点ハンモック装着型ヘルメット。
前記3個の吊りバンド端部のうち対応するものを、その吊りバンド端部の長さ方向に、所定範囲内において相対変位可能に保持するホルダと、
そのホルダと、対応する吊りバンド端部との間に配置された緩衝体であって、前記相対変位に伴って変形することによって前記衝撃を少なくとも部分的に吸収する(1)項に記載の3点ハンモック装着型ヘルメット。
(3) 前記緩衝体は、前記帽体および前記ハンモックより高い衝撃吸収効率を有する(2)項に記載の3点ハンモック装着型ヘルメット。
(4) 前記3個の連結部は、当該ヘルメットの平面視において、当該ヘルメットの中心点を通過する前後方向基準線に関して実質的に対称となるように配置される(1)ないし(3)項のいずれかに記載の3点ハンモック装着型ヘルメット。
(5) 前記インナーは、当該ヘルメットの着用状態において、当該ヘルメットに衝撃が作用しない場合には、前記ハンモックに接触しないが、当該ヘルメットに衝撃が作用すると、前記ハンモックに接触することを許可される(1)ないし(4)項のいずれかに記載の3点ハンモック装着型ヘルメット。
(6) 前記ハンモックおよび前記インナーは、いずれも、前記ヘッドバンドに装着される(1)ないし(5)項のいずれかに記載の3点ハンモック装着型ヘルメット。
本発明によれば、ハンモックが3個の吊りバンド端部を有するように構成されるとともに、そのハンモックが、それら3個の吊りバンド端部において、帽体のうち、当該ヘルメットの平面視において互いに空間的に隔たった3個の位置にそれぞれ連結される。
ところで、3次元空間内においては、任意の3点を同時に通過する1つの平面は必ず存在するのに対し、任意の4個以上の点を同時に通過する1つの平面は必ずしも存在するとは限らない。
このことを、ヘルメットの帽体という部品とハンモックという部品に当てはめると、図6(a)に模式的に示すように、ハンモックが3本の吊りバンドを有し、それら吊りバンドがそれぞれの一端(基端)において互いに結束され、それら吊りバンドのそれぞれの他端(自由端)が帽体のうちの、互いに空間的に異なる3個の位置にそれぞれ連結される場合、すなわち、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、それら3個の吊りバンド端部を同時に通過する1つの平面が必ず存在することになる。
このことは、たとえ各吊りバンドの長さ寸法が互いに厳密に一致しなくても、また、たとえ各吊りバンドと帽体との各連結位置が空間的に厳密に設計通りでなくても、帽体が空間内で任意の姿勢(向き)を取ることが許されさえすれば、3本の吊りバンドは必ず、たるみなく伸び、帽体に作用する衝撃(図においては、下向きの力)が確実に各吊りバンドに伝達され、各吊りバンドの伸張によって前記衝撃が少なくとも部分的に吸収される。帽体に作用する衝撃が各吊りバンドに伝達されると、各吊りバンドには、みかけ上、上向きの力Fが作用することになる。
これに対し、図6(b)に模式的に示すように、ハンモックの吊りバンド端部の数が4個以上である場合には、それら4個以上の吊りバンド端部を同時に通過する1つの平面が必ずしも存在するとは限らず、通常は、ほとんどのケースにおいて、それら4個以上の吊りバンド端部のうち、3個の吊りバンド端部のみが、同時に通過する1つの平面を定義するように作用し、対応する3本の吊りバンドはたるみなく伸びるが、残りの1本の吊りバンドにはたるみが発生し、衝撃吸収に寄与せずに遊んでいることになる。
このことは、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、ヘルメットに作用した衝撃が、それら3個の吊りバンド端部のいずれにも分配されることを意味し、ひいては、それら3個の吊りバンド端部のいずれも衝撃吸収作用を発揮することを意味する。
このことは、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、吊りバンド端部の数が4個以上である場合より、すべての吊りバンド端部が衝撃吸収に効果的に寄与することを意味し、ひいては、衝撃吸収に寄与せずに遊んでしまう吊りバンドが存在せずに済むことを意味する。
したがって、本発明によれば、吊りバンド端部の数が4個以上である場合とは異なり、衝撃吸収に寄与せずに遊んでしまう吊りバンド端部が存在せずに済む。その結果、本発明によれば、衝撃作用時に遊んでしまう吊りバンドが存在しないようにすることにより、吊りバンド端部の数が4個以上であるハンモックと同等の衝撃吸収能力を実現しつつ、ハンモックを軽量化することが可能となる。
このことを敷衍するに、ヘルメットの衝撃吸収特性を、外部からの衝撃が着用者の頭部に与える損傷を減らすという側面で検討すると、衝撃が作用する全衝撃期間のうち、落下物や飛来物がヘルメットに衝突してから約2msecという長さの初期フェーズにおいてヘルメットが急速に衝撃を吸収することが重要であると言われている。
これに対し、吊りバンドの本数が4本以上である場合には、前記初期フェーズにおいて、3本の吊りバンドしか衝撃吸収を行わず、残りの1本の吊りバンドは衝撃吸収に寄与せずに遊んでしまう状態を取る。
一方、吊りバンドの本数が3本である場合には、前記初期フェーズにおいて、その全区間を通じて、3本の吊りバンドのいずれも衝撃吸収を行う状態を取る。その初期フェーズの終了後も、全衝撃期間の終了時まで継続して、3本の吊りバンドが予定通り衝撃吸収を行う状態を取る。
このように、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、吊りバンド端部の数が4個以上である場合とは異なり、衝撃作用の開始時から終了時までの全期間を通じて、3本の吊りバンドすなわちハンモックの全体が衝撃吸収を行う状態を継続的に取る。このことからも、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、吊りバンド端部の数が4個以上である場合より効果的に衝撃吸収を行うことが分かる。
ところで、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、吊りバンド端部の数が4個以上である場合より、ハンモックの平面視において、互いに隣接した吊りバンド端部間の間隔が長くなり、ひいては、互いに隣接した吊りバンド間の隙間が広くなる傾向がある。
一方、従来、ヘルメットの着用状態においては、ハンモックが着用者の頭部にダイレクトに接触するようになっていた。そのため、ハンモックの平面視において、互いに隣接した吊りバンド間の隙間が広くなると、着用者は、自身の頭部がその隙間から部分的に突き出てしまい、頭部がハンモックから抜け出してしまう感覚を覚える可能性がある。
そのため、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、吊りバンド端部の数が4個以上である場合より、ヘルメットの被り心地(フィット性)が悪化し、ハンモックが着用者の頭部をしっかりとホールドしているという感覚が弱くなる。
すなわち、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、衝撃吸収というヘルメットの動的特性が向上する反面、ヘルメットのフィット性およびホールド性という静的特性が犠牲にされる可能性があるのである。
その結果、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、吊りバンド端部の数が4個以上である場合より、着用者は、その頭部に対して帽体の姿勢が不安定であるという感覚が強くなってしまう。
すなわち、ハンモックの吊りバンド端部の数が3個である場合には、吊りバンド端部の数が4個以上である場合より、ヘルメットの被り心地およびホールド性が低下すると着用者が感じる傾向が強くなるのである。
これに対し、ヘルメットであって、側面視においてハンモックより下方の位置に配置され、当該ヘルメットの着用状態において着用者の頭部に接触するインナーを含むものによれば、当該ヘルメットの着用状態において、ハンモックが着用者の頭部に接触するのではなく、そのハンモックより下方に位置して実質的に専ら着用者の頭部に接触するインナーが着用者の頭部に接触する。
そのインナーの形状およびサイズは、ハンモックの形状およびサイズに依存しない。よって、そのインナーの形状およびサイズを、ハンモックとは無関係に、ヘルメットの被り心地およびホールド性を向上させるという観点で設計することが可能となる。
以下、本発明のさらに具体的で例示的な実施の形態のうちの一つを図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の例示的な一実施形態に従うヘルメット10を示す分解斜視図である。図1に示すように、このヘルメット10は、半球殻状を成す帽体(例えば、ABSの如き硬質合成樹脂製)20と、その帽体20の内側に配置される衝撃吸収ライナー(例えば、発泡スチロール製)22と、ヘルメット10の側面視において衝撃吸収ライナー22より下方に配置される内装体24とを有する。
その内装体24は、複数の部品から構成されており、具体的には、内装体24は、ヘルメット10の側面視において衝撃吸収ライナー22より下方に配置されるハンモック(例えば、PPの如き軟質合成樹脂製)30と、ヘルメット10の側面視においてハンモック30より下方に配置されるインナー(例えば、プラスチック・メッシュ材の如き軟質合成樹脂製)32と、ヘルメット10の側面視においてインナー32より下方に配置されるヘッドバンド(例えば、PPの如き軟質合成樹脂製)34とを有する。図5(a)には、ハンモック30、インナー32およびヘッドバンド34が組立て状態で示されている。
ハンモック30は、ヘルメット10に作用した衝撃を吸収する機能を有する。そのため、このハンモック30は、帽体20の外周縁36から、その帽体20の中央部(着用者の頭頂部に対向する部分)に向かって、かつ、その中央部に接触せずに浮上する姿勢となるように吊るされる。そのようなレイアウトのおかげで、ヘルメット10の着用状態で帽体20が外部から衝撃を上方から受けると、その衝撃がダイレクトに着用者の頭部に入力されるのではなく、ハンモック30を媒介とし、かつ、そのハンモック30によって前記衝撃が部分的に吸収ないしは緩和された状態で、着用者の頭部に間接的に入力されるようになる。その結果、最終的に着用者の頭部に入力される衝撃が緩和ないしは軽減される。
インナー32は、ハンモック30よりフレキシブルであるとともに、ハンモック30より大きい表面積を有する。具体的には、インナー32のうち、着用者の頭部に接触する領域の面積は、ハンモック30が着用者の頭部に直に接触すると仮定した場合のハンモック30の接触領域の面積より広い。
また、インナー32のうち、着用者の頭部に接触する領域の形状は、概して半球面状を成すのに対し、ハンモック30が着用者の頭部に直に接触すると仮定した場合のハンモック30の接触領域は、概して三又状を成すというように、ハンモック30の接触領域より、着用者の頭部をより全体的にすっぽりと包み込むのにより適した形状となっている。
よって、被り心地および頭部ホールド性に関し、インナー32の方が、ハンモック30が着用者の頭部に直に接触すると仮定した場合のハンモック30より高い。
ハンモック30と同様に、インナー32は、帽体20の外周縁36から、ハンモック30の中央部70(着用者の頭頂部に対向する部分であり、図2を参照されたい)に向かって、かつ、その中央部70に接触せずに浮上する姿勢となるように吊るされる。よって、ヘルメット10の着用状態においては、着用者の頭部の頭頂部は、インナー32の内面には接触するが、ハンモック30の内面には接触しない。
図1および図5に示すように、インナー32は、中央部40と、その中央部40から放射状に外向きに延び出た複数の脚部42とを有する。
それら脚部42のそれぞれの先端部44が、ヘッドバンド34に着脱可能かつ位置調節可能に装着される。具体的には、図5(b)に示すように、各脚部42の先端部44と、ヘッドバンド34のうち、その先端部44が着脱可能に装着される部分とに、パイルアンドフック構造ないしは面ファスナ構造、すなわち、互いに着脱可能に結合される雄側面(フック面)と雌側面(パイル面またはループ面)とを有するものが設置されている。
具体的には、本実施形態においては、インナー32の全体または少なくとも先端部44の表面(片面または両面)が雌側面(パイル面またはループ面)として作用し、これに対し、ヘッドバンド34に雄側面(フック面)46が形成されている。
インナー32の先端部44の雌側面のうちの任意の位置に雄側面46が着脱可能に装着される。装着状態においては、インナー32がヘッドバンド34から離脱することが阻止される。これにより、インナー32が、ヘッドバンド34およびハンモック30を介して、帽体20の外周縁36から吊り下げられることになる。
ハンモック30と同様に、インナー32は、帽体20の外周縁36とほぼ同じ位置から、ハンモック30の中央部70(着用者の頭頂部に対向する部分であり、図2を参照されたい)に向かって、かつ、その中央部70に接触せずに浮上する姿勢となるように吊るされる。よって、ヘルメット10の着用状態においては、着用者の頭部の頭頂部は、インナー32の内面には接触するが、ハンモック30の内面には接触しない。
インナー32の各脚部42の先端部44における雌側面とヘッドバンド34の雄側面46とが互いに装着されるときの両者間の相対位置は着用者によって調節可能である。その調節により、インナー32の各脚部42の有効長さ(ヘッドバンド34からインナー32の中央部40の中心点までの長さ)が調節される。よって、ヘルメット10によれば、インナー32の各脚部42の有効長さの調節により、ヘルメット10の被りの深さを自由に調節することが可能である。
なお、インナー32も、衝撃吸収能力を有するが、通常は、ハンモック30や後述の緩衝体130ほどに高い衝撃吸収能力を有しない。とはいえ、インナー32も、衝撃吸収能力を積極的に有するようにヘルメット10を設計することは可能である。
ヘッドバンド34は、着用者の後頭部に当たる位置に長さ調節部50(図5参照)を有し、その長さ調節部50により、着用者がヘッドバンド34の周長を調整して着用者の頭周に合せることを可能にする機能を有する。
このヘルメット10は、さらに、ヘルメット10が、着用状態で、着用者の頭部から脱げてしまうことを防止するために、紐セット60を有する。その紐セット60は、ヘッドバンド34から垂下する左右の耳紐62,62と、それら左右の耳紐62,62からそれぞれ垂下する左右両端を有する顎紐64とを有する。左右の耳紐62,62は、着用者の左右の耳にひっかけられ、また、顎紐64は、着用者の顎にひっかけられ、両者の共同作用により、ヘルメット10が着用者の頭部から脱げてしまうことが防止される。
次に、主に図2ないし図4を参照しつつ、ハンモック30をさらに具体的に説明する。
図2(a)は、ハンモック30を平面展開状態で示す図である。このハンモック30は、自身の中央部(着用者の頭頂部に対向する部分)70と、その中央部70から放射状にかつほぼ等角度間隔で外向きに延びる3本の吊りバンド72とを有する。それら3本の吊りバンド72の3個の端部(中央部70に連結されていない自由端部)74が、「3個の吊りバンド端部」の一例を構成する。
このハンモック30の一例においては、図2(a)に示すように、中央部70が、軽量化や通気性向上のために、いくつかの貫通穴を有するが、別の例においては、図示しないが、中央部70が、貫通穴を有しない。
このハンモック30の一例においては、図2(a)に示すように、3本の吊りバンド72が中央部70から幾何学的に連続的に延び出しているが、別の例においては、図示しないが、中央部70が、いくつかの貫通穴を有するリングとして構成され、そのリングのうち、空間的に互いに異なる3か所からそれぞれ、3本の吊りバンド72が放射状に外向きに延び出している。
図2(a)に示すように、ハンモック30の3本の吊りバンド72は、ヘルメット10の平面視においてほぼ等角度間隔で並ぶように、配列されている。さらに、それら3本の吊りバンド72は、ヘルメット10の平面視において、ヘルメット10の中心点を通過する前後方向基準線に関して実質的に対称となるように配置されている。
具体的には、3本の吊りバンド72のうち、図2(a)において最も上側に示すものが、ヘルメット10の平面視において、帽体20の前頭部に配置され、残りの2本の吊りバンド72がそれぞれ、帽体20の左右側部に配置されるように、ハンモック30がヘルメット10に装着される。
図2(a)に示すように、このハンモック30は、軽量化や通気性向上のために、中央部70以外の部分においても、いくつかの貫通穴を有する。
図2(b)、図3(a)および図3(b)は、ハンモック30の各吊りバンド72の吊りバンド端部74が帽体20の各連結部80に連結される様子を示す斜視図である。帽体20の内面81のうち、外周縁36に近い部分に連結部80が3個、ヘルメット10の平面視においてほぼ等角度間隔で並ぶように、形成されている。さらに、それら3個の連結部80は、ヘルメット10の平面視において、ヘルメット10の中心点を通過する前後方向基準線に関して実質的に対称となるように配置されている。
各連結部80は、片持ち状かつ薄板状の可動片82を有し、その可動片82は、自由端部84と基端部86とを有する。その基端部86は、弾性ヒンジ88を介して帽体20の内面81に結合されており、それにより、可動片82が片持ち状に帽体20の内面81に結合されている。自由端部84は、外力が作用すると、帽体20の内面81に対して弾性的に撓む。
自由端部84には、雄部90が形成される一方、基端部86には、雌部92が形成されている。
このように構成された連結部80との着脱可能な連結を可能にするため、対応する吊りバンド端部74に、貫通穴100と、雄部102を有する可動片104と、雌部106と、穴部108と、ホルダ110とを有する。
貫通穴100は、対応する吊りバンド端部74を厚さ方向に貫通する。可動片104は、貫通穴100の内部に位置し、対応する吊りバンド端部74のうち、その貫通穴100を形成する部分のうちの上側の部位114に片持ち状に結合されている。可動片104と部位114との連結部は弾性ヒンジとして機能する。この可動片104の自由端部に雄部102が、帽体20の内面81に向かって突出する姿勢で形成されている。この雄部102は、帽体20側の雌部92に着脱可能に係合する。
吊りバンド端部74のうち、貫通穴100より下側の部位に雌部106が形成されている。この雌部106に、帽体20の雄部90が着脱可能に係合する。
吊りバンド端部74のうち、雄部102と雌部106との間の部分に、穴部108が形成されている。この穴部108に、帽体20の可動片82の自由端部84が挿通させられる。吊りバンド端部74が帽体20の内面81から半径方向内向きに離間する限度が、吊りバンド端部74のうち、穴部108を形成する部分と帽体20の可動片82の背面との当接により、規定されている。その結果、ハンモック30が帽体20の内面81から半径方向内向きに離脱することが阻止される。
帽体20の雌部92と吊りバンド端部74の雄部102とにより、第1の係合部が形成され、また、帽体20の雄部90と吊りバンド端部74の雌部106とにより、第2の係合部が形成されている。いずれの係合部においても、互いに対応する雄部と雌部との間の、吊りバンド72の長さ方向に沿った方向における相対変位が許容されるように、隙間が形成されている。その結果、吊りバンド72は、帽体20の内面81との連結状態において、その内面81に対して、吊りバンド72の長さ方向(帽体20の内面81の周方向)に沿って一定範囲で相対変位することが可能となっている。
吊りバンド72と帽体20とのこのようなルーズな連結を前提にして、すべての連結部80において、帽体20と吊りバンド端部74との間に緩衝体130が介在する。一例においては、具体的には、図3(b)に示すように、可動片82の前向き面と、吊りバンド端部74の先端部120のうち、可動片82の前向き面に対向する後向き面との間に緩衝体130が介在する。この緩衝体130は、吊りバンド端部74の先端部120に形成されたホルダ110によって保持される。そのホルダ110は、底部を有し、その底部の上面は、前記後向き面を構成する。
したがって、帽体20にその上方から衝撃が作用しない状態(無負荷時)においては、図4(a)に示すように、緩衝体130に圧縮力がまったく作用しないかまたはわずかな圧縮力しか作用しない。
これに対し、帽体20にその上方から衝撃が作用すると、図4(b)に示すように、帽体20は、ハンモック30に対して相対的に下降し、一方、ハンモック30は、帽体20に対して相対的に上昇し、いずれにしても、緩衝体130が圧縮される方向に、それら帽体20とハンモック30との間の相対変位が発生する。
緩衝体130が圧縮されると、運動エネルギーが歪みエネルギーに変換され、その歪みエネルギーが衝撃吸収エネルギーとして緩衝体130に蓄積される。その結果、帽体20に入力された衝撃がそのままハンモック30に伝達されるのではなく、帽体20に入力された衝撃が緩衝体130によって部分的に吸収されてハンモック30に伝達される。ハンモック30自身、衝撃吸収作用を有するから、本実施形態によれば、緩衝体130が追加されることにより、ヘルメット10の全体衝撃吸収能力が緩衝体130が存在しない場合より向上する。
すなわち、帽体20に衝撃が作用すると、帽体20と緩衝体130とハンモック30とが互いに直列に連結される力伝達系が形成され、その力伝達系により、前記衝撃が、ハンモック30のみならず緩衝体130によっても吸収されるのである。
本実施形態においては、ハンモック30が、自身の伸長(伸び)によって衝撃を吸収するのに対し、緩衝体130は、自身の圧縮(縮み)によって衝撃を吸収する。
さらに、本実施形態においては、そのような衝撃吸収方向の違いを考慮し、前記力伝達系が、このヘルメット10に衝撃が作用すると、ハンモック30が緩衝体130を第1方向に圧縮(圧迫)する一方、帽体20が、緩衝体130を前記第1方向とは交差する第2方向に圧縮(圧迫)するように、それらハンモック30、緩衝体130および帽体20が互いに連結されることによって構成される。
具体的には、図4に示す力伝達系においては、前記第1方向が上向きであるのに対し、前記第2方向は、下向きであるというように、それら方向は互いに逆向きである。
緩衝体130の材料は、例えば、エチレンゴム(MISUMI RBPM5-30),シリコン(MISUMI RBAM5-30),D3O−lab社が開発したD3O(登録商標),株式会社タイカにより市販されているアルファゲル(登録商標),株式会社タイカにより市販されているNPゲル(前記アルファゲルの発泡体)であり、また、厚さは、例えば、5mm,10mm,15mmである。
ところで、本実施形態においては、ハンモック30が、伸張によって衝撃吸収を行うのに対し、緩衝体130が、圧縮によって衝撃吸収を行うために、緩衝体130は、圧縮力を吸収する材料を用いて製造されている。そのため、緩衝体130と同じ材料を用いてハンモック30を製造することは不可能である。
よって、本実施形態においては、ヘルメット10への衝撃に伴ってそのヘルメット10の各部位に発生する力を、ハンモック30には引張力として作用し、緩衝体130には圧縮力として作用するというように、ハンモック30と緩衝体130とで、作用する力の向きを互いに異ならせ、それにより、同じ衝撃に対して、ハンモック30も緩衝体130も、同時に衝撃吸収を行うことが可能となる。このことを達成するために、前記力伝達系が上述のように構成されている。
図2(a)に示すように、このハンモック30は、さらに、ヘッドバンド34との着脱可能な連結を可能にするために、複数の係止部150を有する。係止部150は、各吊りバンド72ごとに、少なくとも1個設けられている。図2(c)は、ハンモック30にヘッドバンド34が装着される様子を示す斜視図である。
図2(c)に示すように、各係止部150は、雄部152を有する。雄部152の先端部は、幅広部であるのに対し、基端部は、幅狭部である。これに対し、ヘッドバンド34は、雌部154を有する。その雌部154に雄部152が、着脱可能かつスライド可能に装着される。
雌部154は、雄部152の離脱を許容する領域、すなわち、図2(c)において左側に位置する幅広領域と、その離脱を阻止する領域、すなわち、図2(c)において右側に位置する幅狭領域とを有する。
雌部154の幅広領域は、雄部152の幅広部がヘッドバンド34をそれの厚さ方向に通過することを許容する。一方、雌部154の幅狭領域は、雄部152の幅狭部がヘッドバンド34をそれの厚さ方向に通過することは許容するが、雄部152の幅広部がヘッドバンド34をそれの厚さ方向に通過することを阻止する。
したがって、雄部152の幅広部を雌部154の幅広領域内に挿入し、その状態で雄部152をスライドさせると、今度は、雄部152の幅狭部が雌部154の幅狭領域に挿入され、その結果、雄部152が雌部154から離脱することが阻止される。
ヘッドバンド34は、上下に並んだ2個の雌部154を有するが、それら雌部154のうち、着用者によって選択されたものに雄部152が装着されることにより、ヘルメット10の側面視において、ヘッドバンド34に対するハンモック30の高さが着用者によって調節可能となっている。
このヘルメット10の衝撃吸収メカニズムを時系列的に解析すると、ヘルメット10への衝撃が開始されると、まず、このヘルメット10の複数の部品のうち、ハンモック30が伸びて衝撃吸収を開始し、同時に、緩衝体130が縮んで衝撃を吸収することも重畳的に行われる。
その後、帽体20が衝撃を受け止めて歪み、それにより、帽体20がその衝撃を緩和し、さらに、衝撃吸収ライナー22が衝撃を吸収することも行われる。
いずれにしても、このヘルメット10においては、ハンモック30および緩衝体130の性能が、衝撃が着用者の頭部(特に、脳)に与える障害を軽減する効果を支配的に決定する。
より具体的には、以上のように構成されたヘルメット10は、衝撃作用時に次のように作用する。
すなわち、図4に示すように、帽体20に落下物や飛来物が衝突した結果、帽体20に衝撃が作用すれば、帽体20の3個の連結部80がほぼ同時に、ハンモック30の3個の吊りバンド端部74にそれぞれ接近し、その結果、それら吊りバンド端部74にそれぞれ設置された緩衝体130が圧縮させられる。このとき、帽体20に作用した衝撃は、緩衝体130を経由してハンモック30に伝達される。
本実施形態によれば、ヘルメット10への衝撃が開始されてから終了するまでの全衝撃期間にわたり、ハンモック30の3本の吊りバンド72がいずれも引張状態に維持され、それにより、いずれの吊りバンド72も、その全衝撃期間にわたり、衝撃吸収作用を行う。また、その全衝撃期間のうちの最初の約2msecのフェーズ、すなわち、その衝撃が着用者の頭部に与える損傷の程度を左右する重要な初期フェーズにおいて、ハンモック30の3本の吊りバンド72がいずれも、ほぼ同時に、弛緩状態から引張状態に遷移し、いずれかの吊りバンド72が弛緩状態で遊んでしまうということはない。
帽体20から緩衝体130に伝達された衝撃は、その緩衝体130によって少なくとも部分的に吸収される。また、緩衝体130からハンモック30に伝達された衝撃は、そのハンモック30によって少なくとも部分的に吸収される。よって、このヘルメット10の全体衝撃吸収能力(すなわち、このヘルメット10の各部位によって実現される複数の衝撃吸収能力の総合値)は、主に、ハンモック30の衝撃吸収能力に緩衝体130の衝撃吸収能力が追加されたものと等しくなる。
したがって、ハンモック30の全体衝撃吸収能力(すなわち、ハンモック30の各部位によって実現される複数の衝撃吸収能力の総合値)が従来のヘルメットにおけるハンモックの全体衝撃吸収能力と同じであるようにこのヘルメット10が設計される場合には、このヘルメット10の全体衝撃吸収能力の方が、緩衝体130を有しない従来のヘルメットの全体衝撃吸収能力より高い。
一般に、物体が急激な引張または圧縮を受ける場合にその物体が吸収するエネルギーである衝撃エネルギーUは、応力を「σ」、前記物体の断面積を「A」、前記物体の長さを「L」、前記物体のヤング率を「E」でそれぞれ表記することとすると、U=σ2・A・L/(2・E)で表される。
この式をハンモック30および緩衝体130に適用すると、緩衝体130に用いた材料のヤング率E(例えば、20kPa−1,500kPa)がハンモック30に用いた材料のヤング率E(例えば、1.5GPa−3GPa)よりはるかに小さく、よって、この式における「1/E」という項に関し、緩衝体130がハンモック30よりはるかに大きい。
一方、前記式において、「A・L」という項は、前記物体の体積を表し、一方、その体積が大きいほど、前記物体の重量が増加する。したがって、ヤング率Eが同じである物体同士の間では、物体が重いほど、その物体の衝撃吸収エネルギーが大きいということになる。
本実施形態においては、上述のように、前記式における「1/E」という項に関し、緩衝体130に用いた材料がハンモック30に用いた材料よりはるかに大きいため、緩衝体130は、ハンモック30より少ない重量で、同じ衝撃吸収エネルギーを実現することが可能となる。
よって、説明の便宜上、単位重量当たりの衝撃吸収エネルギーを「衝撃吸収効率」と称すると、その衝撃吸収効率に関し、緩衝体130に用いた材料の方がハンモック30に用いた材料よりはるかに大きいということになる。
よって、このヘルメット10の全体衝撃吸収能力が、緩衝体130を有しない従来のヘルメットの全体衝撃吸収能力と同じであるようにこのヘルメット10が設計されれば足りる場合には、このヘルメット10は、従来のヘルメットにおけるハンモックの衝撃吸収エネルギーの一部を緩衝体130の衝撃吸収エネルギーによって実現することになる。
この場合、このヘルメット10におけるハンモック30は、従来のヘルメットにおけるハンモックより小形で軽量なものとなり、その代わりに、緩衝体130が追加されるものの、ハンモック30の材料より衝撃吸収効率が高い材料で緩衝体130が構成される。
その結果、ハンモックのみで衝撃吸収を行う従来のヘルメットに比較すれば、ヘルメット10は、同じ全体衝撃吸収能力を実現するために必要なハンモック30および緩衝体130の合計重量が少なくて済む。よって、このヘルメット10によれば、緩衝体130を有しない従来のヘルメットに比較し、軽量化が容易となる。
さらに、このヘルメット10によれば、ハンモック30の吊りバンド端部74の数が3であるため、吊りバンド端部74の数が4個以上である場合とは異なり、衝撃吸収に寄与せずに遊んでしまう吊りバンド端部が存在せずに済む。その結果、このヘルメット10によれば、吊りバンド端部74の数が4個以上であるハンモックと同等の衝撃吸収能力を実現しつつ、ハンモック30の軽量化、ひいては、ヘルメット10の軽量化が可能となる。
さらに、このヘルメット10においては、当該ヘルメット10の着用状態において、ハンモック30が着用者の頭部に接触するのではなく、そのハンモック30より下方に位置して実質的に専ら着用者の頭部に接触するインナー32が着用者の頭部に接触する。そのインナー32の形状およびサイズは、ハンモック30の形状およびサイズに依存しない。よって、そのインナー32の形状およびサイズを、ハンモック30とは無関係に、ヘルメット10の被り心地およびホールド性を向上させるという観点で設計することが可能となる。
したがって、このヘルメット10によれば、ハンモック30の吊りバンド端部74の数が3個であることに起因して発生するかもしれない欠点を、インナー32の適切な設計によって解消し、それにより、このヘルメット10の衝撃吸収能力はもとより、このヘルメット10の被り心地およびホールド性も犠牲にすることなく、このヘルメット10を軽量化することが可能となる。
ところで、一般に、ヘルメットについては、保護帽に関する規格により、ハンモックの長さの調節を禁止される場合がある。この場合には、ヘルメットの被りの深さをハンモックによって調節することができない。
これに対し、本実施形態に従うヘルメット10は、ハンモック30ではなくインナー32がヘルメット10の被りの深さを決める。前述のように、インナー32の各脚部42の有効長さは自由に調節可能である。よって、このヘルメット10によれば、保護帽に関する規格の影響を受けることなく、着用者がヘルメット10の被りの深さを自由に調節することが可能となり、これにより、ヘルメット10の被り心地および使い勝手が向上する。
なお付言するに、本実施形態においては、ハンモック30の吊りバンド端部74の数を3にするという技術と、帽体20とハンモック30より衝撃吸収効率が高い緩衝体130を帽体20とハンモック30との間に設置するという技術と、インナー32をハンモック30の下方に設置し、それにより、ヘルメット10の被り心地を向上させる技術と、インナー32をヘッドバンド34に、ヘルメット10の側面視において高さ調節可能な状態で設置し、それにより、ヘルメット10の被りの深さを着用者が自由に調節することを可能にする技術とが組み合わされて実施されているが、それら技術の各々は、他の技術から切り離して単独で実施したり、それら技術のうちの任意の2つまたは3つの技術を選択してそれら2つまたは3つの技術を組み合わせて実施することが可能である。
以上、本発明の例示的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
Claims (2)
- 着用者の頭部を保護するためにその頭部に装着されるヘルメットであって、
当該ヘルメットの平面視において互いに空間的に隔たった3個の連結部を有する帽体と、
その帽体の内側に配置されるハンモックであって、3個の吊りバンド端部を有し、それら吊りバンド端部は、前記帽体の前記3個の連結部にそれぞれ連結されるものと、
前記ハンモックの前記3個の吊りバンド端部のうちの少なくとも1つに設けられた穴部であって、前記3個の連結部のうち対応するものから延び出す可動片が挿通され、その可動片と当該穴部との当接により、前記少なくとも1つの吊りバンド端部が前記帽体から半径方向内向きに離間する限度が規定されるものと
を含む3点ハンモック装着型ヘルメット。 - さらに、
前記帽体の内側であって、当該ヘルメットの側面視において前記ハンモックより下方の位置に配置されるインナーであって、当該ヘルメットの着用状態において着用者の頭部に接触するものと、
前記帽体の内側であって、当該ヘルメットの側面視において前記インナーより下方の位置に配置されるヘッドバンドであって、当該ヘルメットの着用状態において着用者の頭部を水平方向から包囲する状態で保持するものと
を含み、
前記インナーおよび前記ヘッドバンドは、パイル面またはループ面より成る雄側面と、フック面より成る雄側面とが任意の位置にかつ着脱可能に結合されて成る面ファスナ構造を介して着脱可能かつ位置調節可能に装着され、それにより、ユーザが当該ヘルメットの被りの深さを調節することが可能である請求項1に記載の3点ハンモック装着型ヘルメット。
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KR200486291Y1 (ko) * | 2018-02-06 | 2018-06-04 | 노인환 | 군용 방탄모의 이마보호대 |
JP2019218663A (ja) * | 2018-06-21 | 2019-12-26 | 加賀産業株式会社 | ヘルメット、および高さ調節機構 |
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- 2015-09-09 JP JP2015177895A patent/JP2016145439A/ja active Pending
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