JP2016142468A - 希釈冷凍装置 - Google Patents

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Yoshihiro Yamanaka
良浩 山中
佳明 鈴木
Yoshiaki Suzuki
佳明 鈴木
琢司 伊藤
Takuji Ito
琢司 伊藤
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Abstract

【課題】本発明は、希釈冷凍装置の大型化を抑制した上で、希釈冷凍装置と接続され、間接的に被冷却物を冷却する冷却板の自由度を向上させることの可能な希釈冷凍装置を提供することを課題とする。
【解決手段】被冷却物11と対向するように配置された冷却板12と、被冷却物11と対向する第1の面12aとは反対側に位置する冷却板12の第2の面12bに接続され、冷却板12を冷却することで、間接的に被冷却物11を冷却する複数の希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷却板を介して、被冷却物を冷却する希釈冷凍装置に関する。
希釈冷凍機は、ヘリウムガスの同位体(具体的には、HeとHe)を冷媒に用い、これらの同位体の物理的性質を利用して、0.1K以下の超低温を作り出す装置である。
HeとHeの混合液は、0.87K以下の低温で相分離を起こすため、Heが100%に近いHe濃厚相と、He中にHeが6%程度混合されたHe希薄相と、に分離して共存する。He濃厚相は、He希薄相よりも密度が小さいため、He希薄相の上部に分離して存在する。
そして、He濃厚相にあるHeがHe希薄相に溶け込む際にエンタルピー差に応じた冷却が起こる。希釈冷凍機は、この2相間(後述する図10に示すHe濃厚相209とHe希薄相211との間)のエンタルピー差を利用した冷凍機である(例えば、特許文献1,2参照。)。
図10は、従来の希釈冷凍機の概略構成の一例を模式的に示す断面図である。
ここで、図10を参照して、従来の希釈冷凍機200の構成について簡単に説明する。
従来の希釈冷凍機200は、He供給ライン201と、He排出ライン203と、1K溜室205と、混合室207と、熱交換器213,215,217と、分留室219と、副インピーダンス221と、真空断熱容器222と、主インピーダンス223と、を有する。
He供給ライン201は、1K溜室205、主インピーダンス223、分留室219、副インピーダンス221、及び熱交換器217,215,213を介して、混合室207にHeを供給する。
He排出ライン203は、分留室219からHeを排出し、図示していない真空ポンプを有する循環ラインを介してHe供給ライン201と接続されている。
1K溜室205は、分留室219の前段に位置するHe供給ライン201に設けられている。1K溜室205は、液体ヘリウムを減圧することで1K台に冷却されている。
なお、Heの循環に圧縮機を用い、主インピーダンス223の値を大きくすることでジュール・トムソン(JT)効果によりHeを凝縮することで1K溜室を無くすこともできる。
混合室207は、その内部にHe濃厚相209とHe希薄相211(6%程度のHeを含む相)とが形成されている。混合室207では、液体のHeを液体のHeに希釈させることで0.1K以下の低温を得る。
熱交換器213,215,217は、混合室207と分留室219との間に配置されている。熱交換器213,215,217は、混合室207に流入するHeと、混合室207から流出するHeとHeとの混合液と、を熱交換させる。
熱交換器213,215は、平型熱交換器である。熱交換器213,215は、板部材225の両面に固定された銀パウダー焼結部材226が配置されている。このような構成とすることで、0.01K以下の超低温を実現することができる。
熱交換器217としては、例えば、チューブインチューブ型の熱交換器を用いることができる。
分留室219は、HeとHeとの混合液からHeを分離させる。分離させたHeは、He排出ライン203を介して、真空断熱容器222外に排出される。
主インピーダンス223は、1K溜室205と分留室219との間に位置するHe供給ライン201に設けられている。
副インピーダンス221は、熱交換器217と分留室219との間に位置するHe供給ライン201に設けられている。副インピーダンス221は、Heの流れが不安定にならないようにするためのものである。副インピーダンス221の値は、主インピーダンス223よりも1桁程度低い値とされている。
真空断熱容器222は、He供給ライン201の一部、He排出ライン203の一部、1K溜室205、混合室207、熱交換器213,215,217、及び分留室219を収容するように配置されている。
従来、希釈冷凍機は、0.1K以下の超低温での基礎物性測定に用いられてきた。特に、希釈冷凍機は、電磁波等を検出する超伝導素子を有する低温検出器の冷却に有効である。
該低温検出器は、従来の検出器と比較して、10倍以上の検出能力を有しているため、次世代の検出器として注目されている。このような低温検出器は、希釈冷凍機の性能の改善によって検出精度が大きく改善される。
上記説明した従来の希釈冷凍機200と比較して小型化を図ることの可能な希釈冷凍機として、シリンダー型希釈冷凍機がある(例えば、特許文献3,4参照。)。
シリンダー型希釈冷凍機は、凝縮器、分溜器、熱交換器、及び混合器が一体に構成されている。このため、構成要素の数を少なくすることが可能となるので、容易に製造することが可能で、かつ配管等の接続箇所を少なくすることが可能となる。
また、配管等の接続箇所が少なくなることで、リークの発生を抑制可能となるので、シリンダー型希釈冷凍機を安定して動作させることができる。
しかしながら、シリンダー型希釈冷凍機は、従来の希釈冷凍機200と比較して、冷凍能力が劣るため、高い冷凍能力が要求される用途には不向きであった。
このような問題を解決可能な従来のシリンダー型希釈冷凍機として、混合室を2段構成にしたシリンダー型希釈冷凍機がある(例えば、特許文献5,6参照。)。
特開2005−90928号公報 特開2008−232455号公報 特開2001−304709号公報 特開平8−271076号公報 特開2004−257719号公報 特開2004−293996号公報
しかしながら、特許文献5,6に開示されたシリンダー型希釈冷凍機のように、混合室の数を増加させても、シリンダー型希釈冷凍機の構造上、十分な冷凍能力を得ることが困難であった。
一般的に、冷却板は、熱伝導の良い無酸素銅等の材料で製作される。熱伝導度は、温度に比例して小さくなる。冷却源である混合室の面積が冷却板より小さくなると、冷凍能力の不足と冷却板の熱伝導度が温度の低下とともに悪くなっていく。
したがって、冷却ヘッド(混合室)の面積に対し、冷却板の面積が大きい場合や、細長い冷却板の端の方に冷却ヘッドが配置されている場合において、特許文献3〜6に開示された1つのシリンダー型希釈冷凍機を用いて冷却板を冷却すると、該冷却板に温度差(温度勾配)が生じるため、均一に冷却板を冷却することが困難となる。
このため、上記場合において、特許文献3〜6に開示された1つのシリンダー型希釈冷凍機を用いると、所定の温度となるように被冷却物を冷却できない。
特許文献1,2に開示された希釈冷凍機を用いて、外形の大きな冷却板を介して、複数の被冷却物、或いは形状の大きな被冷却物を冷却する場合、混合室の面積を大きくしていくと、冷熱源冷凍能力が大きくなり、かつ冷却板の温度を均一にすることが可能となる。
よって、このような場合には、所定の温度となるように被冷却物を冷却することは可能となる。しかしながら、この場合、混合室の面積を大きくすることで、希釈冷凍機装置が大型化してしまう。
また、特許文献1,2に開示された希釈冷凍機を用いて、幅が狭く、かつ長さの長い冷却板を介して、複数の被冷却物を冷却する場合も冷却板の温度が不均一になるため、所定の温度となるように複数の被冷却物を均一に冷却することが困難であった。
つまり、特許文献1,2に開示された希釈冷凍機、及び特許文献3〜6に開示されたシリンダー型希釈冷凍機単体の使用では、冷却板の自由度を向上させることが困難であった。
そこで、本発明は、希釈冷凍装置の大型化を抑制した上で、希釈冷凍装置と接続され、間接的に被冷却物を冷却する冷却板の自由度を向上させることの可能な希釈冷凍装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、被冷却物と対向するように配置された冷却板と、前記被冷却物と対向する第1の面とは反対側に位置する前記冷却板の第2の面に接続され、該冷却板を冷却することで、間接的に前記被冷却物を冷却する複数の希釈冷凍機ユニットと、前記被冷却物、前記冷却板、及び前記希釈冷凍機を収容する輻射シールドと、前記輻射シールドを収容する真空断熱容器と、を有し、前記複数の希釈冷凍機は、前記輻射シールドの延在方向と同じ方向に延在し、下部に液体のHe及び液体のHeを含む混合液体ヘリウムを収容する筒状容器と、前記筒状容器内の下部に該筒状容器と接触しないように配置され、下端が開放端とされた筒状部材と、前記筒状部材内の上部に配置されたプランジャーと、前記筒状部材の下部と前記プランジャーの下端とで区画され、He濃厚相と前記液体のHeを含むHe希薄相とが形成される混合室と、前記筒状容器の上方に位置する前記筒状容器内に配置された熱伝導ブロックと、前記熱伝導ブロックと前記筒状部材との間に位置する前記筒状容器内に配置され、前記混合液体ヘリウムからHeを分離する分留室と、前記筒状容器のうち、前記筒状部材、及び前記分留室の配設位置に対応する部分の外面を覆う断熱部材と、前記筒状部材の周囲に配置された熱交換器と、前記熱伝導ブロックに内設された凝縮器と、前記筒状断熱容器と前記断熱部材との間に配置された液体ヘリウム、または機械式冷凍機と、前記凝縮器、及び前記熱交換器を介して、前記混合室に液体のHeを供給するHe供給ラインと、前記筒状容器の上部と接続され、前記分留室で分離された液体のHeを前記筒状断熱容器の外に回収するHe回収ラインと、含み、前記液体ヘリウム及び前記機械式冷凍機は、前記筒状容器を4.2K以下に冷却することを特徴とする希釈冷凍装置が提供される。
また、請求項2に係る発明によれば、前記液体のHeを貯留するバッファタンクと、前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記He供給ライン、及び前記バッファタンクと接続された冷媒供給ラインと、前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記He回収ライン、及び前記バッファタンクと接続された冷媒回収ラインと、を有し、前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記He供給ラインは、前記冷媒供給ラインから分岐したラインであり、前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記He回収ラインは、前記冷媒回収ラインから分岐したラインであることを特徴とする請求項1記載の希釈冷凍装置が提供される。
また、請求項3に係る発明によれば、前記冷却板に接続された前記複数の希釈冷凍機ユニットは、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の希釈冷凍装置が提供される。
また、請求項4に係る発明によれば、前記冷却板を複数有し、同一の前記冷却板に接続された複数の前記希釈冷凍機ユニットは、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の希釈冷凍装置が提供される。
また、請求項5に係る発明によれば、前記冷却板を複数有し、同一の前記冷却板に接続された複数の前記希釈冷凍機ユニットは、異なる冷却性能を有する構成であることを特徴とする請求項1または2記載の希釈冷凍装置が提供される。
また、請求項6に係る発明によれば、前記冷媒供給ラインに設けられ、前記バッファタンクから供給されたガス状態のHeを圧縮する圧縮機と、前記圧縮機の後段に位置する前記冷媒供給ラインに設けられたフィルターと、前記冷媒回収ラインに設けられたポンプと、を有することを特徴とする請求項2ないし5のうち、いずれか1項記載の希釈冷凍装置が提供される。
また、請求項7に係る発明によれば、前記冷却板の第1の面に配置され、該冷却板の温度を検出する温度検出器を有することを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の希釈冷凍装置が提供される。
本発明の希釈冷凍装置によれば、複数の希釈冷凍機ユニットの構成を、筒状容器内において、筒状容器の延在方向に混合室、プランジャー、熱交換器、分留室、熱伝導ブロック、凝縮器が配置された構成にすることで、複数の希釈冷凍機ユニットの小型化を図ることが可能となる。
これにより、冷却板のサイズや形状等に依存することなく、希釈冷凍装置の大型化を抑制した上で、冷却板が均一な温度で冷却されるように、冷却板の第2の面に、筒状容器を4.2K以下に冷却する液体ヘリウム、或いは機械式冷凍機を有する複数の希釈冷凍機ユニットを配置させることが可能となる。
つまり、希釈冷凍装置の大型化を抑制した上で、複数の希釈冷凍機ユニットと接続され、間接的に被冷却物を冷却する冷却板の自由度を向上させることができる。
具体的には、例えば、S字形状のようなカーブを有する冷却板や、一方向に延在する帯状の冷却板や、縦の幅及び横の幅が広く、大型の冷却板等にも対応することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。 図1に示す冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。 図2に示す希釈冷凍機ユニットのA−A線方向の断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。 図4に示す複数の冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。 第2の実施の形態の変形例に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。 図6に示す複数の冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。 図8に示す複数の冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。 従来の希釈冷凍機の概略構成の一例を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の希釈冷凍機ユニット及び希釈冷凍装置の寸法関係とは異なる場合がある。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。
図1を参照するに、第1の実施の形態の希釈冷凍装置10は、冷却板12と、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3(複数の希釈冷凍機ユニット)と、輻射シールド14と、真空断熱容器15と、バッファタンク17と、冷媒供給及び回収ライン18と、冷媒供給ライン21と、圧縮機23と、フィルター24と、冷媒回収ライン27と、ポンプ28と、を有する。
図2は、図1に示す冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。図2において、図1に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
図1及び図2を参照するに、冷却板12は、被冷却物11と対向し、被冷却物11が接触する第1の面12aと、第1の面12aの反対側に配置された第2の面12bと、を有する。被冷却物11は、冷却板12に固定されている。
冷却板12の材料としては、熱伝導性の良い材料を用いるとよい。具体的には、冷却板12の材料としては、例えば、直金メッキされた高純度の無酸素銅、高純度銀等を用いることができる。
このような材料で構成された冷却板12の厚さは、例えば、5〜20mmの範囲内で適宜設定することができる。
なお、第1の実施の形態では、図2に示すように、冷却板12の形状が平面視長方形の場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3は、その下端が冷却板12の第2の面12bと接触するように、冷却板12に固定(接続)されている。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3は、平面視長方形とされた冷却板12の長手方向に、希釈冷凍機ユニット13−1、希釈冷凍機ユニット13−2、希釈冷凍機ユニット13−3の順で配列されている。
図3は、図2に示す希釈冷凍機ユニットのA−A線方向の断面図である。図3において、図1及び図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
図1及び図3を参照するに、希釈冷凍機ユニット13−1は、筒状断熱容器35と、筒状容器37と、断熱部材38と、真空排気管41と、筒状部材43と、プランジャー45と、混合室47と、熱伝導ブロック49と、回収用カバー53と、回収管54と、分留室55と、He供給ライン57−1と、凝縮器59と、主インピーダンス61と、分留室熱交換器62と、熱交換器64と、He回収ライン66−1と、を有する。
筒状断熱容器35は、筒状断熱容器本体35−1と、蓋体35−2と、を有する。筒状断熱容器本体35−1は、鉛直方向に延在する断熱容器である。筒状断熱容器本体35−1は、筒状容器37と、断熱部材38と、液体ヘリウム36(液体のHe)と、を収容する。
液体ヘリウム36(液体のHe)は、筒状容器37と断熱部材38との間、及び断熱部材38と筒状断熱容器本体35−1との間に配置されている。液体ヘリウム36は、筒状容器37を4.2K以下の温度まで冷却する。
筒状断熱容器本体35−1は、その上部側壁に筒状断熱容器本体35−1内に存在するガスを排出するためのガス排出口35−1Aを有する。ガス排出口35−1Aは、ガスを排出することで、筒状断熱容器本体35−1内の圧力を調整する。筒状断熱容器本体35−1の上端は、開放端とされている。
上記筒状断熱容器本体35−1の形状は、例えば、円筒形状とすることができる。この場合、筒状断熱容器本体35−1の外径は、例えば、100mmとすることができる。
蓋体35−2は、円形の薄板であり、その中央部に後述する筒状容器本体37−1が挿入される貫通穴35−2Aを有する。
蓋体35−2は、筒状断熱容器本体35−1に対して固定(例えば、フランジ接合等の手法により固定)されている。
貫通孔35−2Aに筒状容器本体37−1が挿入され、かつ蓋体35−2が筒状断熱容器本体35−1に対して固定された状態において、筒状断熱容器35内は気密されている。
上記構成とされた筒状断熱容器35は、例えば、真空断熱部材で構成することができる。
筒状容器37は、輻射シールド14の延在方向と同じ方向に延在し、下部に液体のHe及び液体のHeを含む混合液体ヘリウム39を収容する容器である。
筒状容器37は、筒状容器本体37−1と、蓋体37−2と、を有する。筒状容器本体37−1は、鉛直方向(筒状断熱容器35の延在方向と同じ方向、言い換えれば、輻射シールド14の延在方向と同じ方向)に延在する容器である。
筒状容器本体37−1は、蓋体35−2に設けられた貫通穴35−2Aを介して、筒状断熱容器35内に挿入されている。
筒状容器本体37−1は、その下端が筒状断熱容器本体35−1の底面よりも上方に位置するように配置されている。
筒状容器本体37−1は、He回収口37−1Aを有する。He回収口37−1Aは、蓋体35−2から突出した筒状容器本体37−1の側壁に設けられている。He回収口37−1Aは、He回収ライン66−1と接続されている。
筒状容器本体37−1は、真空排気管41の一部、筒状部材43、プランジャー45、混合室47、熱伝導ブロック49、回収用カバー53、回収管54、分留室55と、He回収ライン57−1の一部、凝縮器59、主インピーダンス61、分留室熱交換器62、及び熱交換器64を収容している。
筒状容器本体37−1の下部には、液体のHe、及び液体のHeを含む混合液体ヘリウム39が収容されている。混合液体ヘリウム39は、混合室47内に存在し、6%程度のHeを含むHe希薄相39−1と、混合室47内に存在し、Heの濃度の高いHe濃厚相39−2と、を含む。
上記筒状容器本体37−1の形状は、例えば、円筒形状とすることができる。この場合、筒状断熱容器本体37−1の外径は、例えば、30mmとすることができる。
蓋体37−2は、円形の薄板であり、その中央部に後述する真空排気管41が挿入される貫通穴37−2Aを有する。
蓋体37−2は、筒状容器本体37−1に対して固定(例えば、フランジ接合等の手法により固定)されている。
貫通孔37−2Aに真空排気管41が挿入され、かつ蓋体37−2が筒状容器本体37−1に対して固定された状態において、筒状容器37内は気密されている。
上記構成とされた筒状容器37と筒状断熱容器35との間の空間には、液体ヘリウム36が収容されている。このため、該空間の温度は、4.2K程度の低温に保たれている。
断熱部材38は、混合液体ヘリウム39の収容領域に対応する筒状容器本体37−1の外面を覆うように配置されている。断熱部材38と筒状断熱容器本体35−1との間には、液体ヘリウム36が配置されている。
真空排気管41は、蓋体37−2に設けられた貫通穴37−2Aを通過することで、筒状容器37内において、鉛直方向に延在している。真空排気管41の下端は、筒状部材43の上端と接続されている。これにより、真空排気管41は、筒状容器37内に配置される筒状部材43を支持する機能を有する。
真空排気管41は、真空ポンプ及びバルブ(共に図示せず)と接続されている。該真空ポンプ(図示せず)は、筒状部材43内を排気することで、筒状部材43内に収容されるプランジャー45を鉛直方向に動作させる。
筒状部材43は、下端が開放端とされており、筒状容器37内の下部に配置されている。筒状部材43は、下端が筒状容器37の底面から上方に離間するように配置されている。
プランジャー45は、筒状容器37内に差し込まれることで、筒状部材43内の上部に配置されている。プランジャー45は、その下端部がスカート状とされた筒状容器である。プランジャー45の表面には、HeまたはHeの流路と配管・配線の導入路となるらせん状の溝(図示せず)が設けられている。
混合室47は、筒状部材43の下部とプランジャー45の下端とで区画されており、He濃厚相39−2と、液体のHeを含むHe希薄相39−1と、が形成されている。
He濃厚相39−2は、He希薄相39−1とプランジャー45の下端との間に形成される。
混合室47内に位置するHe濃厚相39−2には、He供給ライン57−1を介して、凝縮器59(コンデンサ)、主インピーダンス61、分留室熱交換器62、及び熱交換器64を経由することでさらに冷却された液体のHeが供給される。
筒状容器37は、ヘリウム36により4.2K以下の温度となるように冷却されている。このため、筒状容器37内に存在する混合室47内温度は、冷却の初期段階では4.2K程度となる。混合室47では、He濃厚相39−2に含まれるHeがHe希薄相39−1に溶け込む際にエンタルピーに応じた冷却が発生することで、さらに混合室47内が冷却され、混合室47内の温度は、0.1K程度の超低温となる。
熱伝導ブロック49は、分留室55と分留室55よりも上方に配置される空間とを区画するように、筒状部材43の上方に位置する筒状容器37内に設けられている。熱伝導ブロック49は、筒状容器37との間に隙間が形成されないように配置されている。
熱伝導ブロック49は、液体ヘリウム36により間接的に冷却されることで、4.2K程度に冷却される。熱伝導ブロック49は、He供給ライン57−1内を流れるHeを冷却することで、Heを液化させる。
熱伝導ブロック49の材料としては、例えば、無酸素銅を用いることができる。
回収用カバー53は、筒状容器37内に収容されており、分留室55の上方に配置されている。回収用カバー53は、分留室55で蒸発したHeを回収して、回収管54に導く。
回収管54は、熱伝導ブロック49を貫通するように配置されており、熱伝導ブロック49の下方に延在している。回収管54の下端は、回収用カバー53と接続されている。回収管54は、分留室55で蒸発したHeをHe回収口37−1Aに導くための管路である。
分留室55は、熱伝導ブロック49と筒状部材43との間に位置する筒状容器37内に配置されており、混合液体ヘリウム39のうち、He希薄相39−1で満たされている。
分留室55では、1K以下の低温であるため、HeとHeとの大幅な飽和蒸気圧の差により、Heが優先的に蒸発する。これにより、分留室55では、He希薄相39−1からHeが分離される。
分留室55は、He希薄相39−1を介して、混合室47と連結されている。なお、分留室55にヒーター(図示せず)を設けてもよい。
分留室55においてHeが排気されると、分留室55内のHeの濃度が低下し、このHeの濃度が低下に伴って、混合室47内のHe希薄相39−1のHeの濃度も低下する。このHe希薄相39−1のHeの濃度の低下分を補うように、He濃厚相39−2からHeがHe希薄相39−1に溶け込んでいく。
He供給ライン57−1は、冷媒供給ライン21から分岐したラインであり、蓋体37−2を貫通し、筒状容器37の延在方向と同じ方向に延在している。
He供給ライン57−1の先端57−1Aは、混合室47内に位置するHe濃厚相39−2に液化されたHeを供給可能な位置に配置されている。
He供給ライン57−1は、バッファタンク17内に貯留されたHeを、He濃厚相39−2に供給するためのラインである。
凝縮器59は、熱伝導ブロック49に内設されている。凝縮器59は、その上端が熱伝導ブロック49の直上に位置するHe供給ライン57−1と接続されており、下端が熱伝導ブロック49の直下に位置するHe供給ライン57−1と接続されている。
凝縮器59を流れるHeは、4.2K程度に冷却された熱伝導ブロック49により、冷却されて液化する。液化したHeは、凝縮器59の下方に配置されたHe供給ライン57−1により、分留室熱交換器62に供給される。
凝縮器59としては、例えば、コイル管状、若しくは銅粉を焼結させた熱交換器を用いることができる。
主インピーダンス61は、回収用カバー53よりも上方で、かつ熱伝導ブロック49よりも下方に位置するHe供給ライン57−1に設けられている。主インピーダンス61は、He希薄相39−1から露出されている。
主インピーダンス61は、He供給ライン57−1を流れるHeガス流量を適切な値に制限する機能、ジュール・トムソン効果によりHe供給ライン57−1を流れるHeガスを冷却する機能、又は当該Heガスの一部若しくは全部を液化する機能を有する。
分留室熱交換器62は、分留室55内に配置されている。分留室熱交換器62は、He希薄相39−1に浸漬されている。分留室熱交換器62は、その上端がHe供給ライン57−1と接続されており、下端が熱交換器64と接続されている。分留室熱交換器62では、凝縮器59により液化されたHeを冷却する。
分留室熱交換器62としては、例えば、コイル管状の熱交換器を用いることができる。
熱交換器64は、筒状部材43と筒状容器本体37−1との間に配置されている。熱交換器64の上端は、分留室熱交換器62と接続されている。
熱交換器64の下端は、混合室47のHe濃厚相39−2の上部に位置するように設けられており、解放口として機能する。熱交換器64は、He濃厚相39−2にHeを供給する。
熱交換器64は、He希薄相39−1に浸漬されている。熱交換器64では、分留室55の温度(例えば、1K程度)まで冷却されたHeをさらに混合室47の温度(例えば、0.1K程度)に近い温度まで冷却する。熱交換器64としては、例えば、プランジャー45の表面に形成されたらせん状の溝(図示せず)に沿って巻き付けたコイル管状の熱交換器を用いることができる。
He回収ライン66−1は、冷媒回収ライン27から分岐したラインであり、He回収口37−1Aと接続されている。
He回収ライン66−1は、筒状容器37内から回収したHeを冷媒回収ライン27に導くためのラインである。
上記構成とされた希釈冷凍機ユニット13−1(シリンダー型希釈冷凍機ユニット)は、筒状容器37の延在方向に混合室47、プランジャー45、熱交換器64、分留室熱交換器62、分留室55、熱伝導ブロック49、及び凝縮器59が一体化されて配置されているため、特許文献1,2に開示された希釈冷凍機よりも小型化(例えば、筒状断熱容器本体35−1の外径が100mm)を図ることができる。
また、希釈冷凍機ユニット13−1は、特許文献1,2に開示された希釈冷凍機よりも部品(構成要素)の数が少ないため、容易に製造することが可能である。また、部品(構成要素)の数が少ないことにより、配管等の接続箇所を少なくなり、リークの発生を抑制可能となるので、希釈冷凍機ユニット13−1を安定して動作させることができる。
図1に示す希釈冷凍機ユニット13−2を構成するHe供給ライン57−2、及び希釈冷凍機ユニット13−3を構成するHe供給ライン57−3は、希釈冷凍機ユニット13−1を構成するHe供給ライン57−1と同様な構成とされている。
また、図1に示す希釈冷凍機ユニット13−2を構成するHe回収ライン66−2、及び希釈冷凍機ユニット13−3を構成するHe回収ライン66−3は、希釈冷凍機ユニット13−1を構成するHe回収ライン66−1と同様な構成とされている。
希釈冷凍機ユニット13−2,13−3は、上記説明した希釈冷凍機ユニット13−1と同一の材料、及び同一の形状とされた部品(構成要素)で構成されている。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3は、冷却板12を冷却することで、所定の温度となるように、間接的に被冷却物11を冷却する。
このように、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3を同一の材料、及び同一の形状とされた部品(構成要素)で構成することで、希釈冷凍機ユニット13−1を経由するHe供給ライン57−1からHe回収ライン66−1までの区間、希釈冷凍機ユニット13−2を経由するHe供給ライン57−2からHe回収ライン66−2までの区間、及び希釈冷凍機ユニット13−3を経由するHe供給ライン57−3からHe回収ライン66−3までの区間の配管抵抗(以下、「圧力損失」という)が等しくなるため 希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3の各混合室47内に供給される液化したHeの供給量を等しくすることが可能となる。
これにより、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3(シリンダー型希釈冷凍機の構成を含むユニット)の冷却性能が等しくなるので、冷却板12の第1の面12a内において温度がばらつくことを抑制可能となる。したがって、被冷却物11を均一に冷却することができる。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3間において、圧力損失に多少の差異があった場合、各混合室47に導入されるHeの流量に差異が生じるが、シリンダー型希釈冷凍機の性質上、上記Heの流量の差異により、各希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3の冷凍能力が影響を受けることはほとんどない。
シリンダー型希釈冷凍機の構成を含む希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3を構成する筒状容器37の分留室55及びその下部のHe濃厚相39−2とHe希薄相39−1に存在するHeとHeの中で、Heの割合は1割程度である。一方、例えば図10に示す希釈冷凍機ではその割合は3割程度となる。
定常状態において、Heはほとんど筒状断熱容器35内に留まっており、温度に応じてHeが溶け込んで平衡状態になっている。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3(シリンダー型希釈冷凍機を含むユニット)は、同一の材料、及び同一の形状とされた部品(構成要素)で構成されているため、熱侵入の差はほとんどなく、各希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3の分留室55に形成されるHe希薄槽39−1の液面はいずれもほぼ一定に保たれる。
このように、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3は、He−He混合ガスに含まれるHeの量が少なく、Heが液化される前の段階で分留室55の液面が略決まるため、その後のHeによる分留室55の液面の変動が小さくて済む。したがって、分留室55のHe希薄相39−1の液面の調整を容易に行うことができる。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3では、混合室47に導入されたHeは、Heに溶け込むが、He希薄相39−1におけるHeの濃度は温度によって決まっており、混合室47内のHe濃厚相39−2とHe希釈相39−1の2相は略平衡状態にある。実際は、分留室55からHeが排出されるため、分留室55のHeの濃度が減少して、分留室55内のHe希薄相39−1が非平衡状態になる。この平衡状態は、混合室47でも発生し、不足したHeを補うために、He濃厚相39−2からHe希薄相39−1にHeが溶け込んでいく。
Heを導入する側は、主インピーダンス61で、排気側はポンプ28の容量できまるため、主インピーダンス61を精度良く作製することで、混合室47へのHeの供給量と混合室でのHeの消費量とのバランスを保つことができる。
排気側が一定の場合、Heの供給量が不足すると、混合室47では、Heの量が減少して、Heを吸い込む力が増加することで、Heの供給量が増加する。
また、排気側が一定の場合、Heの供給量が過剰になると、混合室47では、Heの量が増加して温度が上昇し、Heを吸い込む力が弱くなるため、Heの供給量が減少する。
このように少量の不均一であれば、混合室47へのHeの供給量と混合室でのHeの排出量とのバランスを保つことができる。
また、分留室55は、同一のポンプ28で排気しているので、一定温度(蒸気圧)となるように働く。Heの排出量が増加すると、分留室55のHeの濃度が減少し、混合室47からHeをくみ上げる力が増加(浸透圧が増加)する。
これにより、混合室47のHeの濃度が減少し、HeへのHeの溶け込み量が増加することで、Heを吸い込む力が増加し、分留室55のHeの濃度の減少が補われる。
一方、Heの排出量が不足すると、分留室55のHeの濃度が増加し、混合室47からHeをくみ上げる力が低下(浸透圧が低下)する。これにより、混合室47のHeの濃度が増加し、HeへのHeの溶け込み量が低下することで、Heを吸い込む力が低下し、分留室55のHeの濃度の増加が抑制される。
これでも、混合室47へのHeの供給量と混合室でのHeの消費量とのバランスが悪い場合には、分留室55にヒーター(図示せず)を配置し、該ヒーターを用いてHeの排出量を調整することで、混合室47へのHeの供給量と混合室でのHeの消費量とのをバランスさせるとよい。
希釈冷凍装置10は、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3に供給されるHeの流量が編流した場合でも、Heの流量を均一化させる機能を有する。
例えば、希釈冷凍機ユニット13−1の圧力損失(インピーダンス)が小さい場合、希釈冷凍機ユニット13−1内には、希釈冷凍機ユニット13−2,13−3よりも多くのHeが導入される。すると、希釈冷凍機ユニット13−1の混合器47では、Heの量が増加すると共に、He中に溶け込むHeの量が多くなるため、Heの濃度が増加する。
この希釈冷凍機ユニット13−1の混合器47のHeの濃度の増加によって、分留器55内のHeが増加傾向となる。分留室55は1K以下の温度とされているため、主にHeが蒸発する。このため、Heの濃度が高くなると排出されやすくなり、Heの濃度(液量)を減らす方向に働き、希釈冷凍機ユニット13−1内のHeの量が一定の範囲に収まることで、He濃厚相39−2の割合とHe希薄相39−1の割合とのバランスが保たれるため、分留室55内の液面及び混合室47内の界面の位置が一定の範囲内に保たれる。
希釈冷凍機ユニット13−2,13−3においても希釈冷凍機ユニット13−1と同様の作用が起こるので、すべての希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3で分留室55内の液面及び混合室47内の界面の位置が略同じ位置となる。
分留器55内に貯液されるHeが希薄な液体ヘリウムが分留器55の容量を超えた場合、該液体ヘリウムは、分留器55より高温で運転される凝縮器59に導入され、該液体ヘリウムは気化される。この結果、該液体ヘリウムの液面はどこかで安定する。
また、分留器55の制御方法として、分留室55の希薄相39−1の液面が一定になる様にヒーター(図示せず)で蒸発量を制御することで、Heの循環量を調整することもできる。
一方、例えば、希釈冷凍機ユニット13−1の圧力損失(インピーダンス)が大きい場合、希釈冷凍機ユニット13−1内に導入されるHeは、希釈冷凍機ユニット13−2,13−3内に導入されるHeより減少する。
その結果、希釈冷凍機ユニット13−1の冷却能力が他の希釈冷凍機ユニット13−2,13−3よりも減少する。但し、元々Heの量が少ないため、Heによる分留室55の液面の変動自体が大きくないので、分留室55の液面と混合室47の下方に存在するHe希薄相39−1と上方に存在するHe濃厚相39−2との境界の位置に及ぼす影響は小さい。
Heの量が少なくなるが、分留器55内のHeの濃度が小さくなっているため、Heの排出量も少なくなるので、分留室55に形成されるHe希薄相39−1の液面と、混合室47に形成されるHe濃厚相39−2とHe希薄相39−1との界面の位置と、がバランスする。
したがって、圧力損失(インピーダンス)をある一定の大きさの範囲で決めておけば、この性質に依り、冷却板12に、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3と同様な構成とされた希釈冷凍機ユニットを数十台接続させた場合において、一部の希釈冷凍機ユニットの循環量が少なく冷凍能力が小さくても、他の希釈冷凍機ユニットの循環量が多くなり、他の希釈冷凍機ユニットの冷凍能力が増加して不足分を補うことが可能となるので、各希釈冷凍機ユニット間の冷却能力の偏心が問題となることを回避できる。
輻射シールド14は、希釈冷凍装置10のうち、被冷却物11、冷却板12、及び希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3を収容している。輻射シールド14は、輻射シールド本体14−1と、窓部14−2と、を有する。窓部14−2は、輻射シールド本体14−1のうち、被冷却物11と対向する部分に設けられている。窓部14−2は、例えば、X線を透過可能な材料で構成することができる。
真空断熱容器15は、輻射シールド14を収容するように配置されている。真空断熱容器15は、真空断熱容器本体15−1と、窓部15−2と、を有する。窓部15−2は、真空断熱容器本体15−1のうち、窓部14−2と対向する部分に設けられている。窓部15−2は、例えば、X線を透過可能な材料で構成することができる。
図1を参照するに、バッファタンク17は、真空断熱容器15の外側に配置されている。バッファタンク17は、冷媒供給及び回収ライン18の一端と接続されている。バッファタンク17は、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3内から回収したHeを貯留するためのタンクである。
冷媒供給及び回収ライン18は、その一端がバッファタンク17の上端と接続されており、他端が冷媒供給ライン21及び冷媒回収ライン27の一端と接続されている。冷媒供給及び回収ライン18は、冷媒供給ライン21にバッファタンク17内のHeを供給する際、及び冷媒回収ライン27内を流れる回収したHeをバッファタンク17内に導入する際に使用するラインである。
冷媒供給ライン21は、一端が冷媒供給及び回収ライン18の他端と接続されている。冷媒供給ライン21は、He供給ライン57−1,57−2,57−3を介して、各希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3を構成する混合室47内に液化したHeを供給する。
圧縮機23は、He供給ライン57−1の分岐位置よりも上流側に位置する冷媒供給ライン21に設けられている。圧縮機23は、バッファタンク17から供給されたHeガスを圧縮する。
フィルター24は、He供給ライン57−1の分岐位置と圧縮機23との間に位置する冷媒供給ライン21に設けられている。フィルター24は、圧縮されたHeに含まれる塵や埃等を除去する。
なお、上記フィルター24の他に、冷媒供給ライン21に、水分を取り除くモリキュラーシーブや液体窒素で冷却した低温トラップ(例えば、活性炭等により構成)を設けてもよい。
冷媒回収ライン27は、その一端が冷媒供給及び回収ライン18の他端と接続されている。冷媒回収ライン27は、He回収ライン66−1,66−2,66−3を介して、各希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3内から回収したHeを輸送する機能を有する。
ポンプ28は、真空断熱容器15の外側に配置されている。ポンプ28は、He回収ライン66−1の分岐位置と冷媒回収ライン27の一端との間に位置する冷媒回収ライン27に設けられている。ポンプ28は、Heを減圧排気して分留器55の温度を下げるため希釈冷凍装置10の起動中は常に駆動する。
第1の実施の形態の希釈冷凍装置によれば、被冷却物11と対向するように配置された冷却板12と、冷却板12の第2の面12bに接続され、冷却板12を冷却することで、間接的に被冷却物11を冷却する希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3(複数の希釈冷凍機ユニット)と、を有し、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3として、筒状容器37内において、筒状容器37の延在方向に混合室47、プランジャー45、熱交換器64、分留室熱交換器62、分留室55、熱伝導ブロック49、及び凝縮器59が配置されたシリンダー型希釈冷凍機ユニット(特許文献1,2に開示された希釈冷凍機ユニットよりも小型化された希釈冷凍機ユニット)を用いることにより、冷却板12のサイズや形状等に依存することなく、希釈冷凍装置10の大型化を抑制した上で、冷却板12が均一な温度で冷却されるように、冷却板12の第2の面12bに希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3を配置させることが可能となる。
これにより、希釈冷凍装置10の大型化を抑制した上で、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3が接続され、間接的に被冷却物11を冷却する冷却板12の自由度を向上させることができる。
具体的には、例えば、S字形状のようなカーブを有する冷却板や、一方向に延在する帯状の冷却板や、縦の幅及び横の幅が広く、大型の冷却板等にも対応することができる。
なお、第1の実施の形態では、図1に示すように、冷却板12に対して3つの希釈冷凍機ユニットを接続された場合を例に挙げて説明したが、冷却板12に接続する希釈冷凍機ユニットの数は、2つ以上であればよく、図1に示す構成に限定されない。
また、第1の実施の形態において、Heを循環させるポンプ28や圧縮機23を大型化させることで、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3の数を増加させた場合でも、その都度、ポンプ28や圧縮機23以外に、別途、ポンプ及び圧縮機を設置する必要はない。
また、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3を動作させる低温環境は、無冷媒型の場合、液体ヘリウムに替えて、4.2K以下の低温を得ることの可能な後述する図8に示す機械式冷凍機113(例えば、GM冷凍機やパルス管冷凍機等)を用いるとよい。
さらに、被冷却物11の形状や集中して冷却させたい場所が存在する場合には、その目的に応じて、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3を配置させてもよい。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。図4において、図1に示す第1の実施の形態に係る希釈冷凍装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。
図4に示すHe供給ライン57−4〜57−9は、He回収ライン57−1と同様な構成とされたラインであり、He回収ライン66−4〜66−9は、He回収ライン66−1と同様な構成とされたラインである。
図5は、図4に示す複数の冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。図5において、図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図4及び図5を参照するに、第2の実施の形態の希釈冷凍装置70は、異なる温度となるように、被冷却物11,72,73を冷却する装置であり、第1の実施の形態に係る希釈冷凍装置10の構成の他に、冷却板75,76、及び希釈冷凍機ユニット81〜86を有するとともに、さらに、複数の希釈冷凍機ユニット群(具体的には、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3よりなる希釈冷凍機ユニット群、希釈冷凍機ユニット81〜83よりなる希釈冷凍機ユニット群、及び希釈冷凍機ユニット84〜86よりなる希釈冷凍機ユニット群)を有し、該希釈冷凍機ユニット群がそれぞれ輻射シールド14に収容され、さらに、各輻射シールド14が真空断熱容器15に収納された構成とされている。
冷却板75は、冷却板12,76とは異なる温度で冷却される冷却板であり、被冷却物72が固定される第1の面75aと、第1の面75aの反対側に配置された第2の面75bと、を有する。
冷却板76は、冷却板12,75とは異なる温度で冷却される冷却板であり、被冷却物73が固定される第1の面76aと、第1の面76aの反対側に配置された第2の面76bと、を有する。
冷却板75,76は、例えば、冷却板12と同様な形状にすることができる。
希釈冷凍機ユニット81〜83は、その下端が冷却板75の第2の面75bと接続されている。希釈冷凍機ユニット81〜83は、冷却板75の長手方向に配置されている。希釈冷凍機ユニット81〜83は、冷却板75を介して、被冷却物72を冷却する。希釈冷凍機ユニット81〜83は、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成されている。
希釈冷凍機ユニット84〜86は、その下端が冷却板76の第2の面76bと接続されている。希釈冷凍機ユニット84〜86は、冷却板76の長手方向に配置されている。希釈冷凍機ユニット84〜86は、冷却板76を介して、被冷却物73を冷却する。希釈冷凍機ユニット84〜86は、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成されている。
例えば、被冷却物11,72,73を異なる温度で冷却する場合には、冷却板12,75,76にそれぞれ取り付けられたヒーター及び温度計(ともに図示せず)により、被冷却物11,72,73の冷却温度の調整を行う。
上記ヒーター及び温度計は、例えば、被冷却物11,72,73に取り付けることが可能である。希釈冷凍機ユニット81〜86の構成は、希釈冷凍機ユニット15−1〜15−3と同様な構成とすることができる。
また、各冷却板12,75,76の温度を異なる温度に制御する場合、一つの装置に異なる検出器(センサ)を配置することが可能となる。
つまり、被冷却物として検出対象が異なる複数の検出器を接続し、各冷却板の温度を各検出器の適切な温度に制御することによって、1台の希釈冷凍装置70で複数の観測対象物の検知を行うことができる。
具体的には、1台の希釈冷凍装置70で、X線、サブミリ波、放射線等の検出エネルギーレンジが異なる検出器を置くことができる。
このように、異なる種類の検出器を設置することにより、構成成分が未知の物質がある場合において、複数の観点から観測することが可能となるので、観測効率を向上させることができる。
また、複数の放射能が含まれている場合、1種類の検出器では分析しきれないが、本願を採用した希釈冷凍装置70では対応が可能となる場合がある。
また、この場合、検出器(センサ)毎に特性にバラつきがあった際、それぞれを最適な温度に調整することで検出器の性能を向上させることができる。
つまり、同一の検出器であっても、検出器を構成する素子の作製条件によって、高効率となる運転温度が異なる場合がある。其々の該素子の特徴を把握し、該素子毎に適切な温度に調整することで能力を向上させることができる。
また、各冷却板12,75,76に接続された複数の希釈冷凍機ユニットのそれぞれの冷却性能を異ならせてもよい。この場合、複数の上記検出器を設けた場合と同様な効果を得ることができる。
第2の実施の形態の希釈冷凍装置によれば、冷却板12,75,76(複数の冷却板)と、冷却板12に接続された希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3と、冷却板75に接続された希釈冷凍機ユニット81〜83と、冷却板76に接続された希釈冷凍機ユニット84〜86と、を有し、同一の冷却板に接続された複数(図4の場合、一例として3つ)の希釈冷凍機ユニットを、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成することで、別途、他の希釈冷凍装置を準備することなく、1台の希釈冷凍装置70を用いて、複数の被冷却物11,72,73を異なる温度に冷却することができる。
また、各冷却板12,75,76に、異なる種類の検出器(具体的には、例えば、電波、赤外線、可視光、X線、γ線、β線等の検出器)を配置することで、観測(分析)できる物質の種類が拡大等、検出範囲を拡大させることが可能となる。
つまり、測定対象を構成する物質が、直接、電磁波や光を放出している場合には、各冷却板12,75,76に配置された複数種類の検出器によって、電磁波や光等を同時に検出し、その物質の構成元素の解明や、土壌や食品内の有害物質(重金属等毒物、放射能)のモニター、貨物内の危険物の検査等に使用できる。
また、測定対象を構成する物質が、直接、電磁波や光を放出していない場合には、測定対象を構成する物質に赤外線等を照射し、そのときの散乱波を観測することでも、同じ効果を得ることができる。
また、検出器を構成する検出素子が個々の特性の違いで一番良い性能が出る温度が異なる場合には、個々の希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3,81〜86で最適な温度に調整することで、各検出器の精度を向上させることが可能なことは上述した通りである。
また、第2の実施の形態では、複数の希釈冷凍機ユニット群(具体的には、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3よりなる希釈冷凍機ユニット群、希釈冷凍機ユニット81〜83よりなる希釈冷凍機ユニット群、及び希釈冷凍機ユニット84〜86よりなる希釈冷凍機ユニット群)がそれぞれ輻射シールド14に収納された場合(つまり、希釈冷凍機ユニット群の数と輻射シールド14の数とが同じ場合)を例に挙げて説明したが、複数の希釈冷凍機ユニット群を1つの輻射シールド14内に収容し、該輻射シールド14を収容するように1つの真空断熱容器15を設けてもよい。
このような構成とされた希釈冷凍装置は、第2の実施の形態の希釈冷凍装置70と同様な効果を得ることができる。
図6は、第2の実施の形態の変形例に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。図7は、図6に示す複数の冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。
図6及び図7において、図4及び図5に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図6及び図7を参照するに、第2の実施の形態の変形例に係る希釈冷凍装置100は、被冷却物101〜103の形状が図4に示す被冷却物11,72,73の形状と異なり、平面視長方形とされた冷却板12,75,76に替えて、平面視円形の冷却板105〜107を有し、かつ希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3,81〜86の配列を変更させたこと以外は、第2の実施の形態の希釈冷凍装置70と同様に構成される。
このように、小型化された希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3,81〜86を用いることで、冷却板105〜107の形状や目的に応じて、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3,81〜86の配列を自由に変更することができる。
(第3の実施の形態)
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。図9は、図8に示す複数の冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。
図8及び図9において、図1に示す第1の実施の形態に係る希釈冷凍装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。
図8及び図9を参照するに、第3の実施の形態の希釈冷凍装置110は、第1の実施の形態の希釈冷凍装置10を構成する冷却板12、輻射シールド14、及び真空断熱容器15に替えて、冷却板117、第1の輻射シールド14A、第2の輻射シールド14B、及び真空断熱容器15Aを有すると共に、さらに、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7と、機械式冷凍機113と、低温検出器118と、ステージ121と、を有する。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7は、冷却板117の第2の面117bと接続されている。希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7は、一方向に延在する帯状の冷却板117の第2の面117bに、一列で配置されている。希釈冷凍機ユニット13−4〜13−7は、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3と同様な構成とされている。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7は、冷媒供給ライン21から分岐したライン、及び冷媒回収ライン28から分岐したラインと接続されている。
第1の輻射シールド14Aは、冷却板117、低温検出器118、及び希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7を収容している。
第1の輻射シールド14Aは、フィルター24と希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7とを接続する導入用ラインを第1の輻射シールド14A内に導入するためのライン導入口111を有し、後述する機械式冷凍機113のヘッド113−3によって冷却されていること以外は、図1で説明した輻射シールド14と同様な構成とされている。
第1の輻射シールド14Aを構成する窓部14−2は、輻射シールド本体14−1のうち、低温検出器118とステージ121との間に位置する部分に設けられている。
第2の輻射シールド14Bは、第1の輻射シールド14A、並びに後述する2段目冷却部113−3及び第2のシリンダー部113−5(機械式冷凍機113の構成要素の一部)を収容している。
第2の輻射シールド14Bは、フィルター24と希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7とを接続する導入用ラインを第2の輻射シールド14B内に導入するためのライン導入口112を有し、後述する機械式冷凍機113のヘッド113−2によって冷却されていること以外は、図1で説明した輻射シールド14と同様な構成とされている。
第2の輻射シールド14Bを構成する窓部14−2は、輻射シールド本体14−1のうち、低温検出器118とステージ121との間に位置する部分に設けられている。
真空断熱容器15Aは、第2の輻射シールド14B、並びに後述する段目冷却部113−2及び第1のシリンダー部113−4(機械式冷凍機113の構成要素の一部)を収容している。
真空断熱容器15Aは、フィルター24と希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7とを接続する導入用ラインを真空断熱容器15A内に導入するためのライン導入口15−3と、ポンプ28と希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7とを接続する導出用ラインを真空断熱容器15Aの外に導出するためのライン導出口15−4と、を有すること以外は、図1で説明した真空断熱容器15と同様な構成とされている。
真空断熱容器15Aを構成する窓部15−2は、真空断熱容器本体15−1のうち、低温検出器118とステージ121との間に位置する部分に設けられている。
機械式冷凍機113は、冷凍機本体113−1と、1段目冷却部113−2と、2段目冷却部113−3と、第1のシリンダー部113−4と、第2のシリンダー部113−5と、を有する。
冷凍機本体113−1は、真空断熱容器15A上に設けられている。1段目冷却部113−2は、冷凍機本体113−1と対向するように、第2の輻射シールド14B上に設けられている。
2段目冷却部113−3は、1段目冷却部113−2と対向するように、第2の輻射シールド14B上に設けられている。
第1のシリンダー部113−4は、冷凍機本体113−1と1段目冷却部113−2とを接続するように、真空断熱容器15Aと第2の輻射シールド14Bとの間に設けられている。
第2のシリンダー部113−5は、1段目冷却部113−2と2段目冷却部113−3とを接続するように、第1の輻射シールド14Aと第2の輻射シールド14Bとの間に設けられている。
機械式冷凍機113としては、例えば、2段のGM冷凍機や2段のパルス管冷凍機等を用いることができるが、機械式冷凍機113は、冷却プレート114を介して、真空断熱容器15A内の第1の輻射シールド14Aを4.2K程度に冷却するものであればよい。
機械式冷凍機113として、2段構成とされたGM冷凍機を用いる場合、1段目冷却部113−2は、第1の輻射シールド14Aとライン内のガスを室温から40K近くまで冷却するのに使用される。
この場合、2段目冷却部113−3は、第2の輻射シールド14B、及び1段目冷却部113−2で冷却されたライン内のガスを、4.2K近くまで冷却する。
上述した第1の実施の形態、第2の実施の形態、及び第2の実施の形態の変形例の希釈冷凍装置10,70,100では、筒状容器37を4.2K以下に冷却する際に液体ヘリウム39を用いたが、第3の実施の形態では、液体ヘリウム39に替えて、機械式冷凍機113を用いる点が異なる。
冷却板117は、ステージ121の延在方向に延在しており、平坦な第1及び第2の面117a,117bを有する。第2の面117bは、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7が接続される側の面であり、第1の面117aの反対側に位置している。
低温検出器118は、冷却板117の第1の面117aに設けられている。低温検出器118は、冷却板117の第1の面117aの温度を検出するための検出器である。
低温検出器118としては、例えば、超伝導転移端カロリーメーター(TES)、超伝導トンネル接合(STJ)検出器等を用いることができる。
ステージ121は、真空断熱容器15Aの下方に配置されている。ステージ121の一部は、窓部15−2と対向するように配置されている。ステージ121上には、複数の被検査物122が配列されている。
ステージ121は、冷却板117の長手方向に延在しており、冷却板117の長手方向に移動可能な構成とされている。
第3の実施の形態の希釈冷凍装置によれば、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7と、第2の面117bに希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7が接続され、かつ一方向に延在する冷却板117と、冷却板117の第1の面117aに配置された被冷却物である低温検出器118と、冷却板117と対向するように配置されるとともに冷却板117の延在方向に延在し、冷却板117の延在方向に移動可能なステージ121と、を有することで、複数の被検査物122を移動させながら検査をする検査装置をして使用することができる。
また、低温検出器118として、例えば、放射線、X線、赤外線、サブミリ波等を検出可能な検出器を用いるとよい。低温検出器118として、放射線、X線、赤外線、サブミリ波等を検出可能な検出器を用いることで、一度に大量の被検査物122を連続して検査することが可能となる。
低温検出器118は、一般的に非常に高感度である。このため、例えば、低温検出器118として放射線用の検出器を用い、かつ被検査物122として食品を用いる場合、該食品中に含まれる微量の放射能の検査を行うことができる。また、被検査物122にX線やサブミリ波等を照射し、散乱或いは透過される電磁波を検出することで、被検査物122に含まれる異物の検査、及びセキュリティーゲートでの荷物の検査等にも利用可能である。
また、図8において、低温検出器118に替えて検出対象が異なる検出器を複数配置することで、一度の処理で、複数の検査を行うことができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、図8に示す第1の輻射シールド14A、第2の輻射シールド14B、真空断熱容器15A、機械式冷凍機113、及び低温検出器118を、先に説明した希釈冷凍装置10,70,100の構成要素として用いてもよい。
また、第1ないし第3の実施の形態では、平面視長方形、或いは平面視円形の冷却板を用いた場合を例に挙げて説明したが、冷却板の形状は、これに限定されない。例えば、S字形状のようなカーブを有する冷却板や、縦の幅及び横の幅が広く、大型の冷却板等にも適用できる。
本発明は、冷却板を介して、被冷却物を冷却する希釈冷凍装置に適用可能である。
10,70,100,110…希釈冷凍装置、11,72,73,101〜103,122…被冷却物、12,75,76,105〜107,117…冷却板、12a,75a,76a,117a…第1の面、12b,75b,76b,117b…第2の面、13−1〜13−7,81〜86…希釈冷凍機ユニット、14…輻射シールド、14−1…輻射シールド本体、14−2,15−2…窓部、14A…第1の輻射シールド、14B…第2の輻射シールド、15,15A…真空断熱容器、15−1…真空断熱容器本体、15−3,111,112…ライン導入口、15−4…ライン導出口、17…バッファタンク、18…冷媒供給及び回収ライン、21…冷媒供給ライン、23…圧縮器、24…フィルター、27…冷媒回収ライン、28…ポンプ、35…筒状断熱容器、35−1A…ガス排出口、35−1…筒状断熱容器本体、35−2,37−2…蓋体、35−2A,37−2A…貫通穴、36…液体ヘリウム、37…筒状容器、37−1…筒状容器本体、37−1A…He回収口、38…断熱部材、39…混合液体ヘリウム、39−1…He希薄相、39−2…He濃厚相、41…真空排気管、43…筒状部材、45…プランジャー、47…混合室、49…熱伝導ブロック、53…回収用カバー、54…回収管、55…分留室、57−1〜57−9…He供給ライン、57−1A…先端、59…凝縮器、61…主インピーダンス、62…分留室熱交換器、64…熱交換器、66−1〜66−9…He回収ライン、113…機械式冷凍機、113−1…冷凍機本体、113−2…1段目冷却部、113−3…2段目冷却部、113−4…第1のシリンダー部、113−5…第2のシリンダー部、114…冷却プレート、118…低温検出器、121…ステージ、122…被検査物

Claims (7)

  1. 被冷却物と対向するように配置された冷却板と、
    前記被冷却物と対向する第1の面とは反対側に位置する前記冷却板の第2の面に接続され、該冷却板を冷却することで、間接的に前記被冷却物を冷却する複数の希釈冷凍機ユニットと、
    前記被冷却物、前記冷却板、及び前記希釈冷凍機を収容する輻射シールドと、
    前記輻射シールドを収容する真空断熱容器と、
    を有し、
    前記複数の希釈冷凍機は、前記輻射シールドの延在方向と同じ方向に延在し、下部に液体のHe及び液体のHeを含む混合液体ヘリウムを収容する筒状容器と、
    前記筒状容器内の下部に該筒状容器と接触しないように配置され、下端が開放端とされた筒状部材と、
    前記筒状部材内の上部に配置されたプランジャーと、
    前記筒状部材の下部と前記プランジャーの下端とで区画され、He濃厚相と前記液体のHeを含むHe希薄相とが形成される混合室と、
    前記筒状容器の上方に位置する前記筒状容器内に配置された熱伝導ブロックと、
    前記熱伝導ブロックと前記筒状部材との間に位置する前記筒状容器内に配置され、前記混合液体ヘリウムからHeを分離する分留室と、
    前記筒状容器のうち、前記筒状部材、及び前記分留室の配設位置に対応する部分の外面を覆う断熱部材と、
    前記筒状部材の周囲に配置された熱交換器と、
    前記熱伝導ブロックに内設された凝縮器と、
    前記筒状断熱容器と前記断熱部材との間に配置された液体ヘリウム、または機械式冷凍機と、前記凝縮器、及び前記熱交換器を介して、前記混合室に液体のHeを供給するHe供給ラインと、
    前記筒状容器の上部と接続され、前記分留室で分離された液体のHeを前記筒状断熱容器の外に回収するHe回収ラインと、含み、
    前記液体ヘリウム及び前記機械式冷凍機は、前記筒状容器を4.2K以下に冷却することを特徴とする希釈冷凍装置。
  2. 前記液体のHeを貯留するバッファタンクと、
    前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記He供給ライン、及び前記バッファタンクと接続された冷媒供給ラインと、
    前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記He回収ライン、及び前記バッファタンクと接続された冷媒回収ラインと、
    を有し、
    前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記He供給ラインは、前記冷媒供給ラインから分岐したラインであり、
    前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記He回収ラインは、前記冷媒回収ラインから分岐したラインであることを特徴とする請求項1記載の希釈冷凍装置。
  3. 前記冷却板に接続された前記複数の希釈冷凍機ユニットは、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の希釈冷凍装置。
  4. 前記冷却板を複数有し、
    同一の前記冷却板に接続された複数の前記希釈冷凍機ユニットは、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の希釈冷凍装置。
  5. 前記冷却板を複数有し、
    同一の前記冷却板に接続された複数の前記希釈冷凍機ユニットは、異なる冷却性能を有する構成であることを特徴とする請求項1または2記載の希釈冷凍装置。
  6. 前記冷媒供給ラインに設けられ、前記バッファタンクから供給されたガス状態のHeを圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機の後段に位置する前記冷媒供給ラインに設けられたフィルターと、
    前記冷媒回収ラインに設けられたポンプと、
    を有することを特徴とする請求項2ないし5のうち、いずれか1項記載の希釈冷凍装置。
  7. 前記冷却板の第1の面に配置され、該冷却板の温度を検出する温度検出器を有することを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の希釈冷凍装置。
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