JP2016142468A - 希釈冷凍装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被冷却物11と対向するように配置された冷却板12と、被冷却物11と対向する第1の面12aとは反対側に位置する冷却板12の第2の面12bに接続され、冷却板12を冷却することで、間接的に被冷却物11を冷却する複数の希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3と、を有する。
【選択図】図1
Description
3Heと4Heの混合液は、0.87K以下の低温で相分離を起こすため、3Heが100%に近い3He濃厚相と、4He中に3Heが6%程度混合された3He希薄相と、に分離して共存する。3He濃厚相は、3He希薄相よりも密度が小さいため、3He希薄相の上部に分離して存在する。
ここで、図10を参照して、従来の希釈冷凍機200の構成について簡単に説明する。
従来の希釈冷凍機200は、3He供給ライン201と、3He排出ライン203と、1K溜室205と、混合室207と、熱交換器213,215,217と、分留室219と、副インピーダンス221と、真空断熱容器222と、主インピーダンス223と、を有する。
3He排出ライン203は、分留室219から3Heを排出し、図示していない真空ポンプを有する循環ラインを介して3He供給ライン201と接続されている。
なお、3Heの循環に圧縮機を用い、主インピーダンス223の値を大きくすることでジュール・トムソン(JT)効果により3Heを凝縮することで1K溜室を無くすこともできる。
熱交換器213,215は、平型熱交換器である。熱交換器213,215は、板部材225の両面に固定された銀パウダー焼結部材226が配置されている。このような構成とすることで、0.01K以下の超低温を実現することができる。
熱交換器217としては、例えば、チューブインチューブ型の熱交換器を用いることができる。
主インピーダンス223は、1K溜室205と分留室219との間に位置する3He供給ライン201に設けられている。
副インピーダンス221は、熱交換器217と分留室219との間に位置する3He供給ライン201に設けられている。副インピーダンス221は、3Heの流れが不安定にならないようにするためのものである。副インピーダンス221の値は、主インピーダンス223よりも1桁程度低い値とされている。
真空断熱容器222は、3He供給ライン201の一部、3He排出ライン203の一部、1K溜室205、混合室207、熱交換器213,215,217、及び分留室219を収容するように配置されている。
該低温検出器は、従来の検出器と比較して、10倍以上の検出能力を有しているため、次世代の検出器として注目されている。このような低温検出器は、希釈冷凍機の性能の改善によって検出精度が大きく改善される。
シリンダー型希釈冷凍機は、凝縮器、分溜器、熱交換器、及び混合器が一体に構成されている。このため、構成要素の数を少なくすることが可能となるので、容易に製造することが可能で、かつ配管等の接続箇所を少なくすることが可能となる。
また、配管等の接続箇所が少なくなることで、リークの発生を抑制可能となるので、シリンダー型希釈冷凍機を安定して動作させることができる。
このような問題を解決可能な従来のシリンダー型希釈冷凍機として、混合室を2段構成にしたシリンダー型希釈冷凍機がある(例えば、特許文献5,6参照。)。
したがって、冷却ヘッド(混合室)の面積に対し、冷却板の面積が大きい場合や、細長い冷却板の端の方に冷却ヘッドが配置されている場合において、特許文献3〜6に開示された1つのシリンダー型希釈冷凍機を用いて冷却板を冷却すると、該冷却板に温度差(温度勾配)が生じるため、均一に冷却板を冷却することが困難となる。
このため、上記場合において、特許文献3〜6に開示された1つのシリンダー型希釈冷凍機を用いると、所定の温度となるように被冷却物を冷却できない。
よって、このような場合には、所定の温度となるように被冷却物を冷却することは可能となる。しかしながら、この場合、混合室の面積を大きくすることで、希釈冷凍機装置が大型化してしまう。
つまり、特許文献1,2に開示された希釈冷凍機、及び特許文献3〜6に開示されたシリンダー型希釈冷凍機単体の使用では、冷却板の自由度を向上させることが困難であった。
これにより、冷却板のサイズや形状等に依存することなく、希釈冷凍装置の大型化を抑制した上で、冷却板が均一な温度で冷却されるように、冷却板の第2の面に、筒状容器を4.2K以下に冷却する液体ヘリウム、或いは機械式冷凍機を有する複数の希釈冷凍機ユニットを配置させることが可能となる。
具体的には、例えば、S字形状のようなカーブを有する冷却板や、一方向に延在する帯状の冷却板や、縦の幅及び横の幅が広く、大型の冷却板等にも対応することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。
図1を参照するに、第1の実施の形態の希釈冷凍装置10は、冷却板12と、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3(複数の希釈冷凍機ユニット)と、輻射シールド14と、真空断熱容器15と、バッファタンク17と、冷媒供給及び回収ライン18と、冷媒供給ライン21と、圧縮機23と、フィルター24と、冷媒回収ライン27と、ポンプ28と、を有する。
冷却板12の材料としては、熱伝導性の良い材料を用いるとよい。具体的には、冷却板12の材料としては、例えば、直金メッキされた高純度の無酸素銅、高純度銀等を用いることができる。
このような材料で構成された冷却板12の厚さは、例えば、5〜20mmの範囲内で適宜設定することができる。
なお、第1の実施の形態では、図2に示すように、冷却板12の形状が平面視長方形の場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3は、平面視長方形とされた冷却板12の長手方向に、希釈冷凍機ユニット13−1、希釈冷凍機ユニット13−2、希釈冷凍機ユニット13−3の順で配列されている。
液体ヘリウム36(液体の4He)は、筒状容器37と断熱部材38との間、及び断熱部材38と筒状断熱容器本体35−1との間に配置されている。液体ヘリウム36は、筒状容器37を4.2K以下の温度まで冷却する。
筒状断熱容器本体35−1は、その上部側壁に筒状断熱容器本体35−1内に存在するガスを排出するためのガス排出口35−1Aを有する。ガス排出口35−1Aは、ガスを排出することで、筒状断熱容器本体35−1内の圧力を調整する。筒状断熱容器本体35−1の上端は、開放端とされている。
上記筒状断熱容器本体35−1の形状は、例えば、円筒形状とすることができる。この場合、筒状断熱容器本体35−1の外径は、例えば、100mmとすることができる。
蓋体35−2は、筒状断熱容器本体35−1に対して固定(例えば、フランジ接合等の手法により固定)されている。
貫通孔35−2Aに筒状容器本体37−1が挿入され、かつ蓋体35−2が筒状断熱容器本体35−1に対して固定された状態において、筒状断熱容器35内は気密されている。
上記構成とされた筒状断熱容器35は、例えば、真空断熱部材で構成することができる。
筒状容器37は、筒状容器本体37−1と、蓋体37−2と、を有する。筒状容器本体37−1は、鉛直方向(筒状断熱容器35の延在方向と同じ方向、言い換えれば、輻射シールド14の延在方向と同じ方向)に延在する容器である。
筒状容器本体37−1は、蓋体35−2に設けられた貫通穴35−2Aを介して、筒状断熱容器35内に挿入されている。
筒状容器本体37−1は、その下端が筒状断熱容器本体35−1の底面よりも上方に位置するように配置されている。
筒状容器本体37−1は、3He回収口37−1Aを有する。3He回収口37−1Aは、蓋体35−2から突出した筒状容器本体37−1の側壁に設けられている。3He回収口37−1Aは、3He回収ライン66−1と接続されている。
筒状容器本体37−1の下部には、液体の3He、及び液体の4Heを含む混合液体ヘリウム39が収容されている。混合液体ヘリウム39は、混合室47内に存在し、6%程度の3Heを含む3He希薄相39−1と、混合室47内に存在し、3Heの濃度の高い3He濃厚相39−2と、を含む。
上記筒状容器本体37−1の形状は、例えば、円筒形状とすることができる。この場合、筒状断熱容器本体37−1の外径は、例えば、30mmとすることができる。
蓋体37−2は、筒状容器本体37−1に対して固定(例えば、フランジ接合等の手法により固定)されている。
貫通孔37−2Aに真空排気管41が挿入され、かつ蓋体37−2が筒状容器本体37−1に対して固定された状態において、筒状容器37内は気密されている。
上記構成とされた筒状容器37と筒状断熱容器35との間の空間には、液体ヘリウム36が収容されている。このため、該空間の温度は、4.2K程度の低温に保たれている。
真空排気管41は、真空ポンプ及びバルブ(共に図示せず)と接続されている。該真空ポンプ(図示せず)は、筒状部材43内を排気することで、筒状部材43内に収容されるプランジャー45を鉛直方向に動作させる。
プランジャー45は、筒状容器37内に差し込まれることで、筒状部材43内の上部に配置されている。プランジャー45は、その下端部がスカート状とされた筒状容器である。プランジャー45の表面には、3Heまたは4Heの流路と配管・配線の導入路となるらせん状の溝(図示せず)が設けられている。
3He濃厚相39−2は、3He希薄相39−1とプランジャー45の下端との間に形成される。
混合室47内に位置する3He濃厚相39−2には、3He供給ライン57−1を介して、凝縮器59(コンデンサ)、主インピーダンス61、分留室熱交換器62、及び熱交換器64を経由することでさらに冷却された液体の3Heが供給される。
筒状容器37は、ヘリウム36により4.2K以下の温度となるように冷却されている。このため、筒状容器37内に存在する混合室47内温度は、冷却の初期段階では4.2K程度となる。混合室47では、3He濃厚相39−2に含まれる3Heが3He希薄相39−1に溶け込む際にエンタルピーに応じた冷却が発生することで、さらに混合室47内が冷却され、混合室47内の温度は、0.1K程度の超低温となる。
熱伝導ブロック49は、液体ヘリウム36により間接的に冷却されることで、4.2K程度に冷却される。熱伝導ブロック49は、3He供給ライン57−1内を流れる3Heを冷却することで、3Heを液化させる。
熱伝導ブロック49の材料としては、例えば、無酸素銅を用いることができる。
回収管54は、熱伝導ブロック49を貫通するように配置されており、熱伝導ブロック49の下方に延在している。回収管54の下端は、回収用カバー53と接続されている。回収管54は、分留室55で蒸発した3Heを3He回収口37−1Aに導くための管路である。
分留室55では、1K以下の低温であるため、3Heと4Heとの大幅な飽和蒸気圧の差により、3Heが優先的に蒸発する。これにより、分留室55では、3He希薄相39−1から3Heが分離される。
分留室55は、3He希薄相39−1を介して、混合室47と連結されている。なお、分留室55にヒーター(図示せず)を設けてもよい。
分留室55において3Heが排気されると、分留室55内の3Heの濃度が低下し、この3Heの濃度が低下に伴って、混合室47内の3He希薄相39−1の3Heの濃度も低下する。この3He希薄相39−1の3Heの濃度の低下分を補うように、3He濃厚相39−2から3Heが3He希薄相39−1に溶け込んでいく。
3He供給ライン57−1の先端57−1Aは、混合室47内に位置する3He濃厚相39−2に液化された3Heを供給可能な位置に配置されている。
3He供給ライン57−1は、バッファタンク17内に貯留された3Heを、3He濃厚相39−2に供給するためのラインである。
凝縮器59を流れる3Heは、4.2K程度に冷却された熱伝導ブロック49により、冷却されて液化する。液化した3Heは、凝縮器59の下方に配置された3He供給ライン57−1により、分留室熱交換器62に供給される。
凝縮器59としては、例えば、コイル管状、若しくは銅粉を焼結させた熱交換器を用いることができる。
主インピーダンス61は、3He供給ライン57−1を流れる3Heガス流量を適切な値に制限する機能、ジュール・トムソン効果により3He供給ライン57−1を流れる3Heガスを冷却する機能、又は当該3Heガスの一部若しくは全部を液化する機能を有する。
分留室熱交換器62としては、例えば、コイル管状の熱交換器を用いることができる。
熱交換器64の下端は、混合室47の3He濃厚相39−2の上部に位置するように設けられており、解放口として機能する。熱交換器64は、3He濃厚相39−2に3Heを供給する。
熱交換器64は、3He希薄相39−1に浸漬されている。熱交換器64では、分留室55の温度(例えば、1K程度)まで冷却された3Heをさらに混合室47の温度(例えば、0.1K程度)に近い温度まで冷却する。熱交換器64としては、例えば、プランジャー45の表面に形成されたらせん状の溝(図示せず)に沿って巻き付けたコイル管状の熱交換器を用いることができる。
3He回収ライン66−1は、筒状容器37内から回収した3Heを冷媒回収ライン27に導くためのラインである。
上記構成とされた希釈冷凍機ユニット13−1(シリンダー型希釈冷凍機ユニット)は、筒状容器37の延在方向に混合室47、プランジャー45、熱交換器64、分留室熱交換器62、分留室55、熱伝導ブロック49、及び凝縮器59が一体化されて配置されているため、特許文献1,2に開示された希釈冷凍機よりも小型化(例えば、筒状断熱容器本体35−1の外径が100mm)を図ることができる。
また、図1に示す希釈冷凍機ユニット13−2を構成する3He回収ライン66−2、及び希釈冷凍機ユニット13−3を構成する3He回収ライン66−3は、希釈冷凍機ユニット13−1を構成する3He回収ライン66−1と同様な構成とされている。
希釈冷凍機ユニット13−2,13−3は、上記説明した希釈冷凍機ユニット13−1と同一の材料、及び同一の形状とされた部品(構成要素)で構成されている。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3は、冷却板12を冷却することで、所定の温度となるように、間接的に被冷却物11を冷却する。
これにより、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3(シリンダー型希釈冷凍機の構成を含むユニット)の冷却性能が等しくなるので、冷却板12の第1の面12a内において温度がばらつくことを抑制可能となる。したがって、被冷却物11を均一に冷却することができる。
定常状態において、4Heはほとんど筒状断熱容器35内に留まっており、温度に応じて3Heが溶け込んで平衡状態になっている。
このように、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3は、3He−4He混合ガスに含まれる3Heの量が少なく、3Heが液化される前の段階で分留室55の液面が略決まるため、その後の3Heによる分留室55の液面の変動が小さくて済む。したがって、分留室55の3He希薄相39−1の液面の調整を容易に行うことができる。
3Heを導入する側は、主インピーダンス61で、排気側はポンプ28の容量できまるため、主インピーダンス61を精度良く作製することで、混合室47への3Heの供給量と混合室での3Heの消費量とのバランスを保つことができる。
また、排気側が一定の場合、3Heの供給量が過剰になると、混合室47では、3Heの量が増加して温度が上昇し、3Heを吸い込む力が弱くなるため、3Heの供給量が減少する。
このように少量の不均一であれば、混合室47への3Heの供給量と混合室での3Heの排出量とのバランスを保つことができる。
これにより、混合室47の3Heの濃度が減少し、4Heへの3Heの溶け込み量が増加することで、3Heを吸い込む力が増加し、分留室55の3Heの濃度の減少が補われる。
例えば、希釈冷凍機ユニット13−1の圧力損失(インピーダンス)が小さい場合、希釈冷凍機ユニット13−1内には、希釈冷凍機ユニット13−2,13−3よりも多くの3Heが導入される。すると、希釈冷凍機ユニット13−1の混合器47では、3Heの量が増加すると共に、4He中に溶け込む3Heの量が多くなるため、3Heの濃度が増加する。
希釈冷凍機ユニット13−2,13−3においても希釈冷凍機ユニット13−1と同様の作用が起こるので、すべての希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3で分留室55内の液面及び混合室47内の界面の位置が略同じ位置となる。
分留器55内に貯液される3Heが希薄な液体ヘリウムが分留器55の容量を超えた場合、該液体ヘリウムは、分留器55より高温で運転される凝縮器59に導入され、該液体ヘリウムは気化される。この結果、該液体ヘリウムの液面はどこかで安定する。
その結果、希釈冷凍機ユニット13−1の冷却能力が他の希釈冷凍機ユニット13−2,13−3よりも減少する。但し、元々3Heの量が少ないため、3Heによる分留室55の液面の変動自体が大きくないので、分留室55の液面と混合室47の下方に存在するHe希薄相39−1と上方に存在する3He濃厚相39−2との境界の位置に及ぼす影響は小さい。
3Heの量が少なくなるが、分留器55内の3Heの濃度が小さくなっているため、3Heの排出量も少なくなるので、分留室55に形成される3He希薄相39−1の液面と、混合室47に形成される3He濃厚相39−2と3He希薄相39−1との界面の位置と、がバランスする。
なお、上記フィルター24の他に、冷媒供給ライン21に、水分を取り除くモリキュラーシーブや液体窒素で冷却した低温トラップ(例えば、活性炭等により構成)を設けてもよい。
具体的には、例えば、S字形状のようなカーブを有する冷却板や、一方向に延在する帯状の冷却板や、縦の幅及び横の幅が広く、大型の冷却板等にも対応することができる。
また、第1の実施の形態において、3Heを循環させるポンプ28や圧縮機23を大型化させることで、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3の数を増加させた場合でも、その都度、ポンプ28や圧縮機23以外に、別途、ポンプ及び圧縮機を設置する必要はない。
さらに、被冷却物11の形状や集中して冷却させたい場所が存在する場合には、その目的に応じて、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3を配置させてもよい。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。図4において、図1に示す第1の実施の形態に係る希釈冷凍装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。
図4に示す3He供給ライン57−4〜57−9は、3He回収ライン57−1と同様な構成とされたラインであり、3He回収ライン66−4〜66−9は、3He回収ライン66−1と同様な構成とされたラインである。
図5は、図4に示す複数の冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。図5において、図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
冷却板76は、冷却板12,75とは異なる温度で冷却される冷却板であり、被冷却物73が固定される第1の面76aと、第1の面76aの反対側に配置された第2の面76bと、を有する。
冷却板75,76は、例えば、冷却板12と同様な形状にすることができる。
希釈冷凍機ユニット84〜86は、その下端が冷却板76の第2の面76bと接続されている。希釈冷凍機ユニット84〜86は、冷却板76の長手方向に配置されている。希釈冷凍機ユニット84〜86は、冷却板76を介して、被冷却物73を冷却する。希釈冷凍機ユニット84〜86は、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成されている。
上記ヒーター及び温度計は、例えば、被冷却物11,72,73に取り付けることが可能である。希釈冷凍機ユニット81〜86の構成は、希釈冷凍機ユニット15−1〜15−3と同様な構成とすることができる。
つまり、被冷却物として検出対象が異なる複数の検出器を接続し、各冷却板の温度を各検出器の適切な温度に制御することによって、1台の希釈冷凍装置70で複数の観測対象物の検知を行うことができる。
具体的には、1台の希釈冷凍装置70で、X線、サブミリ波、放射線等の検出エネルギーレンジが異なる検出器を置くことができる。
このように、異なる種類の検出器を設置することにより、構成成分が未知の物質がある場合において、複数の観点から観測することが可能となるので、観測効率を向上させることができる。
また、複数の放射能が含まれている場合、1種類の検出器では分析しきれないが、本願を採用した希釈冷凍装置70では対応が可能となる場合がある。
つまり、同一の検出器であっても、検出器を構成する素子の作製条件によって、高効率となる運転温度が異なる場合がある。其々の該素子の特徴を把握し、該素子毎に適切な温度に調整することで能力を向上させることができる。
また、各冷却板12,75,76に接続された複数の希釈冷凍機ユニットのそれぞれの冷却性能を異ならせてもよい。この場合、複数の上記検出器を設けた場合と同様な効果を得ることができる。
つまり、測定対象を構成する物質が、直接、電磁波や光を放出している場合には、各冷却板12,75,76に配置された複数種類の検出器によって、電磁波や光等を同時に検出し、その物質の構成元素の解明や、土壌や食品内の有害物質(重金属等毒物、放射能)のモニター、貨物内の危険物の検査等に使用できる。
また、測定対象を構成する物質が、直接、電磁波や光を放出していない場合には、測定対象を構成する物質に赤外線等を照射し、そのときの散乱波を観測することでも、同じ効果を得ることができる。
また、検出器を構成する検出素子が個々の特性の違いで一番良い性能が出る温度が異なる場合には、個々の希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3,81〜86で最適な温度に調整することで、各検出器の精度を向上させることが可能なことは上述した通りである。
このような構成とされた希釈冷凍装置は、第2の実施の形態の希釈冷凍装置70と同様な効果を得ることができる。
図6及び図7において、図4及び図5に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
このように、小型化された希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3,81〜86を用いることで、冷却板105〜107の形状や目的に応じて、希釈冷凍機ユニット13−1〜13−3,81〜86の配列を自由に変更することができる。
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る希釈冷凍装置の概略構成を示す図である。図9は、図8に示す複数の冷却板及び複数の希釈冷凍機ユニットの平面図である。
図8及び図9において、図1に示す第1の実施の形態に係る希釈冷凍装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。
希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7は、冷媒供給ライン21から分岐したライン、及び冷媒回収ライン28から分岐したラインと接続されている。
第1の輻射シールド14Aは、フィルター24と希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7とを接続する導入用ラインを第1の輻射シールド14A内に導入するためのライン導入口111を有し、後述する機械式冷凍機113のヘッド113−3によって冷却されていること以外は、図1で説明した輻射シールド14と同様な構成とされている。
第1の輻射シールド14Aを構成する窓部14−2は、輻射シールド本体14−1のうち、低温検出器118とステージ121との間に位置する部分に設けられている。
第2の輻射シールド14Bは、フィルター24と希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7とを接続する導入用ラインを第2の輻射シールド14B内に導入するためのライン導入口112を有し、後述する機械式冷凍機113のヘッド113−2によって冷却されていること以外は、図1で説明した輻射シールド14と同様な構成とされている。
第2の輻射シールド14Bを構成する窓部14−2は、輻射シールド本体14−1のうち、低温検出器118とステージ121との間に位置する部分に設けられている。
真空断熱容器15Aは、フィルター24と希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7とを接続する導入用ラインを真空断熱容器15A内に導入するためのライン導入口15−3と、ポンプ28と希釈冷凍機ユニット13−1〜13−7とを接続する導出用ラインを真空断熱容器15Aの外に導出するためのライン導出口15−4と、を有すること以外は、図1で説明した真空断熱容器15と同様な構成とされている。
真空断熱容器15Aを構成する窓部15−2は、真空断熱容器本体15−1のうち、低温検出器118とステージ121との間に位置する部分に設けられている。
冷凍機本体113−1は、真空断熱容器15A上に設けられている。1段目冷却部113−2は、冷凍機本体113−1と対向するように、第2の輻射シールド14B上に設けられている。
2段目冷却部113−3は、1段目冷却部113−2と対向するように、第2の輻射シールド14B上に設けられている。
第2のシリンダー部113−5は、1段目冷却部113−2と2段目冷却部113−3とを接続するように、第1の輻射シールド14Aと第2の輻射シールド14Bとの間に設けられている。
機械式冷凍機113として、2段構成とされたGM冷凍機を用いる場合、1段目冷却部113−2は、第1の輻射シールド14Aとライン内のガスを室温から40K近くまで冷却するのに使用される。
この場合、2段目冷却部113−3は、第2の輻射シールド14B、及び1段目冷却部113−2で冷却されたライン内のガスを、4.2K近くまで冷却する。
上述した第1の実施の形態、第2の実施の形態、及び第2の実施の形態の変形例の希釈冷凍装置10,70,100では、筒状容器37を4.2K以下に冷却する際に液体ヘリウム39を用いたが、第3の実施の形態では、液体ヘリウム39に替えて、機械式冷凍機113を用いる点が異なる。
低温検出器118は、冷却板117の第1の面117aに設けられている。低温検出器118は、冷却板117の第1の面117aの温度を検出するための検出器である。
低温検出器118としては、例えば、超伝導転移端カロリーメーター(TES)、超伝導トンネル接合(STJ)検出器等を用いることができる。
ステージ121は、冷却板117の長手方向に延在しており、冷却板117の長手方向に移動可能な構成とされている。
また、図8において、低温検出器118に替えて検出対象が異なる検出器を複数配置することで、一度の処理で、複数の検査を行うことができる。
また、第1ないし第3の実施の形態では、平面視長方形、或いは平面視円形の冷却板を用いた場合を例に挙げて説明したが、冷却板の形状は、これに限定されない。例えば、S字形状のようなカーブを有する冷却板や、縦の幅及び横の幅が広く、大型の冷却板等にも適用できる。
Claims (7)
- 被冷却物と対向するように配置された冷却板と、
前記被冷却物と対向する第1の面とは反対側に位置する前記冷却板の第2の面に接続され、該冷却板を冷却することで、間接的に前記被冷却物を冷却する複数の希釈冷凍機ユニットと、
前記被冷却物、前記冷却板、及び前記希釈冷凍機を収容する輻射シールドと、
前記輻射シールドを収容する真空断熱容器と、
を有し、
前記複数の希釈冷凍機は、前記輻射シールドの延在方向と同じ方向に延在し、下部に液体の3He及び液体の4Heを含む混合液体ヘリウムを収容する筒状容器と、
前記筒状容器内の下部に該筒状容器と接触しないように配置され、下端が開放端とされた筒状部材と、
前記筒状部材内の上部に配置されたプランジャーと、
前記筒状部材の下部と前記プランジャーの下端とで区画され、3He濃厚相と前記液体の3Heを含む3He希薄相とが形成される混合室と、
前記筒状容器の上方に位置する前記筒状容器内に配置された熱伝導ブロックと、
前記熱伝導ブロックと前記筒状部材との間に位置する前記筒状容器内に配置され、前記混合液体ヘリウムから3Heを分離する分留室と、
前記筒状容器のうち、前記筒状部材、及び前記分留室の配設位置に対応する部分の外面を覆う断熱部材と、
前記筒状部材の周囲に配置された熱交換器と、
前記熱伝導ブロックに内設された凝縮器と、
前記筒状断熱容器と前記断熱部材との間に配置された液体ヘリウム、または機械式冷凍機と、前記凝縮器、及び前記熱交換器を介して、前記混合室に液体の3Heを供給する3He供給ラインと、
前記筒状容器の上部と接続され、前記分留室で分離された液体の3Heを前記筒状断熱容器の外に回収する3He回収ラインと、含み、
前記液体ヘリウム及び前記機械式冷凍機は、前記筒状容器を4.2K以下に冷却することを特徴とする希釈冷凍装置。 - 前記液体の3Heを貯留するバッファタンクと、
前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記3He供給ライン、及び前記バッファタンクと接続された冷媒供給ラインと、
前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記3He回収ライン、及び前記バッファタンクと接続された冷媒回収ラインと、
を有し、
前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記3He供給ラインは、前記冷媒供給ラインから分岐したラインであり、
前記複数の希釈冷凍機ユニットを構成する前記3He回収ラインは、前記冷媒回収ラインから分岐したラインであることを特徴とする請求項1記載の希釈冷凍装置。 - 前記冷却板に接続された前記複数の希釈冷凍機ユニットは、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の希釈冷凍装置。
- 前記冷却板を複数有し、
同一の前記冷却板に接続された複数の前記希釈冷凍機ユニットは、同一の材料、及び同一の形状とされた部品で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の希釈冷凍装置。 - 前記冷却板を複数有し、
同一の前記冷却板に接続された複数の前記希釈冷凍機ユニットは、異なる冷却性能を有する構成であることを特徴とする請求項1または2記載の希釈冷凍装置。 - 前記冷媒供給ラインに設けられ、前記バッファタンクから供給されたガス状態の3Heを圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機の後段に位置する前記冷媒供給ラインに設けられたフィルターと、
前記冷媒回収ラインに設けられたポンプと、
を有することを特徴とする請求項2ないし5のうち、いずれか1項記載の希釈冷凍装置。 - 前記冷却板の第1の面に配置され、該冷却板の温度を検出する温度検出器を有することを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の希釈冷凍装置。
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