JP2016124325A - 車両のシート構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の衝突後期において、ラップベルトによる乗員の腹部への圧迫を抑制できる車両のシート構造を提供する。
【解決手段】車両のシート構造1Aは、シートクッション21及びシートバック22を有するシート2と、シート2に着座する乗員10の腹部を横切るラップベルト31を有するシートベルト3とを備える。この車両のシート構造1Aは、車両の衝突後期における腹部側ベルト角βが衝突初期における腹部側ベルト角αよりも大きくなるようにラップベルトの伸延経路を可変させる締付状態可変機構5を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両のシートと、ラップベルトを有するシートベルトとを備える車両のシート構造に関する。特に、車両の衝突後期において、ラップベルトによる乗員の腹部への圧迫を抑制できる車両のシート構造に関する。
自動車などの車両には、例えば図7(A),図8(C)に示すように、乗員10(ここではダミー)が着座するシート2と、乗員10をシート2に拘束するシートベルト3とを備えるシート構造100が設けられている(例えば、特許文献1)。図7、8では、シート2は右ハンドルの車両のドライバーシートであり、図7(A),図8(C)では車両の衝突初期の状態を示し、図7(B),図8(D)では車両の衝突後期の状態を示す。
シート2は、乗員10の尻部を支えるシートクッション21と、乗員10の背中を支えるシートバック22と、車両の衝突による衝撃から乗員10の頭部を保護するヘッドレスト23とを備える。シートクッション21の左側には、シートベルト3を装着するためのバックル34が設けられている。
シートベルト3は、3点式シートベルト(連続タイプ)である。即ち、シートベルト3は、乗員10の腹部周辺を右から左に横切るラップベルト31と、乗員10の胸部を右肩から左腹に亘って斜めに掛け渡されてラップベルト31の左端につながるショルダーベルト32とを有する。シートベルト3は、ラップベルト31とショルダーベルト32との境界位置を規定するスリップガイド33を有する。スリップガイド33には、バックル34(図7A)に着脱自在に嵌合するタングプレート(図示略)が一体化されている。ラップベルト31の右端は、Bピラー(図示略)の下部(フロアパネル)に固定されるラップベルトアンカー35に固定される。ショルダーベルト32におけるラップベルト31との反対側は、Bピラーの上部に固定されるショルダーベルトアンカー36に掛け渡されて、Bピラー(図示略)の下部に固定されるリトラクター37に巻き取られる。このリトラクター37は、ショルダーベルト32に一定以上の加速度が作用するとその繰り出しをロックして急激な繰り出しを防止する。そうして、車両の衝突時などで、乗員10の車両前方への慣性力によってショルダーベルト32が急激に繰り出されることを防止し、乗員10の車両前方への飛び出しを抑制する。
また、車両の衝突初期に、ショルダーベルト32を巻き取って、その弛みを取り除くプリテンショナー(図示略)が、例えばリトラクター37に一体に設けられた車両もある。この弛みの除去により、ショルダーベルト32による乗員10の拘束力を高めて、図7(A)、図8(C)に示すように、衝突による乗員10の上体の車両前方への傾斜や、乗員10の車両前方への移動を抑制する。
その他、車両の衝突後期に、ショルダーベルト32を繰り出したりしてショルダーベルト32による乗員10の締め付け具合を緩めるフォースリミッター(図示略)が設けられる車両もある。この締め付け具合の緩和により、乗員10の慣性力によりショルダーベルト32に一定以上の荷重がかかることを抑制することで、図7(B)、図8(D)に示すように、乗員10の上体を車両前方へ傾けられるようにして乗員10の胸部の圧迫を抑制する。
特開2004−299638号公報
車両の衝突後期において、ラップベルト31による乗員10の腹部への圧迫を抑制することが望まれている。車両の衝突による乗員10の車両前方への慣性力が大きい場合、ロック状態を緩和することがある。ロック状態の継続によりショルダーベルト32で乗員10の胸部を圧迫することを抑制するために、フォースリミッターが作動するためである。即ち、慣性力が大きい場合、衝突後期にショルダーベルト32が繰り出されて、図7(B),図8(D)に示すように乗員10の上体が車両前方へ傾斜すると共に乗員10が車両前方へ移動する。リトラクター37がショルダーベルト32側に設けられており、ラップベルト31側はラップベルトアンカー35に固定されているため、ラップベルト31はショルダーベルト32ほど延びない。その結果、シート2を車両の側方から見たとき、水平線とラップベルト31とのなす内角β(図8(D))が、衝突初期の内角α(図8(C))に比較して小さくなり、ラップベルト31により乗員10の腹部に過度な荷重がかかる場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、車両の衝突後期において、ラップベルトによる乗員の腹部への圧迫を抑制できる車両のシート構造を提供することにある。
(1)本発明の一態様に係る車両のシート構造は、シートクッション及びシートバックを有するシートと、シートに着座する乗員の腹部を横切るラップベルトを少なくとも有するシートベルトとを備える。この車両のシート構造は、車両の衝突後期における腹部側ベルト角が衝突初期における腹部側ベルト角よりも大きくなるようにラップベルトの伸延経路を可変させる締付状態可変機構を備える。腹部側ベルト部は、ラップベルトのうち、乗員の腹部に対向する箇所からシートクッションの一側の途中箇所に至る領域を言う。腹部側ベルト角は、シートを車両の側方から見たとき、水平線と腹部側ベルト部とのなす内角を言う。
(2)上記車両のシート構造の一形態としては、締付状態可変機構は、シートクッションの側方に設けられ、衝突時の乗員の前方移動に伴って移動するラップベルトの途中を引っ掛けることで、腹部側ベルト角が端部側ベルト角よりも大きくなるようにラップベルトを屈曲させる掛け止め部を備える。端部側ベルト部は、ラップベルトのうち、シートクッションの一側の途中箇所から引止め端に至る領域を言う。端部側ベルト角は、シートを車両の側方から見たとき、水平線と端部側ベルト部とのなす内角を言う。
上記(1)の車両のシート構造によれば、衝突初期にはラップベルトにより乗員をシートに拘束でき、衝突後期にはラップベルトによる乗員の腹部への圧迫を抑制できる。締付状態可変機構により車両の衝突後期における腹部側ベルト角を衝突初期における腹部側ベルト角よりも大きくすることで、衝突後期のラップベルトによる乗員への荷重が、乗員の腹部よりも乗員の脚部側にかかり易くすることができるからである。そのため、衝突後期のラップベルトによる荷重から圧迫に弱い腹部を保護できる。
上記(2)の車両のシート構造によれば、ラップベルトを屈曲させる掛け止め部を備えることで、腹部側ベルト角を端部側ベルト角よりも大きくできるため、衝突後期のラップベルトによる乗員の腹部への圧迫を、多くの部品を必要とすることなく簡単な構成で効果的に抑制し易い。また、部品点数の増加の抑制により、上記圧迫の抑制を、(a)車両のシート構造の重量の増加を抑制しつつ行える、(b)コストの増加を抑制しつつ行える。更に、重量の増加を抑制できるため、上記圧迫の抑制を燃費の低下を抑制しつつ行える。そして、部品点数の増加の抑制により、車両のシート構造の生産性に優れる。
実施形態1に係る車両のシート構造を示し、(A)は車両の衝突初期の状態を示す概略斜視図であり、(B)は車両の衝突後期の状態を示す概略斜視図である。 実施形態1に係る車両のシート構造を示し、(C)は車両の衝突初期の状態を示す概略側面図であり、(D)は車両の衝突後期の状態を示す概略側面図である。 実施形態2に係る車両のシート構造を示し、(A)は車両の衝突初期の状態を示す概略斜視図であり、(B)は車両の衝突後期の状態を示す概略斜視図である。 実施形態2に係る車両のシート構造を示し、(C)は車両の衝突初期の状態を示す概略側面図であり、(D)は車両の衝突後期の状態を示す概略側面図である。 実施形態3に係る車両のシート構造を示し、(A)は車両の衝突初期の状態を示す概略斜視図であり、(B)は車両の衝突後期の状態を示す概略斜視図である。 実施形態3に係る車両のシート構造を示し、(C)は車両の衝突初期の状態を示す概略側面図であり、(D)は車両の衝突後期の状態を示す概略側面図である。 従来の車両のシート構造を示し、(A)は車両の衝突初期の状態を示す概略斜視図であり、(B)は車両の衝突後期の状態を示す概略斜視図である。 従来の車両のシート構造を示し、(C)は車両の衝突初期の状態を示す概略側面図であり、(D)は車両の衝突後期の状態を示す概略側面図である。
本発明の車両のシート構造の実施形態を、以下に説明する。図面において、同一符号は同一名称物を示す。なお、図7,図8を参照して説明した従来の車両のシート構造100と同じ構成については、図7,図8と同じ符号を付してその詳しい説明は省略する。
《実施形態1》
〔車両のシート構造〕
図1、図2を参照して、実施形態1に係る車両のシート構造1Aを説明する。車両のシート構造1Aは、シート2とシートベルト3を備える。シート2は、図7,図8を参照して説明した構成と同様である。シートベルト3は、図7、8を参照して説明した構成と同様、3点式シートベルトであり、ラップベルト31を有する。車両のシート構造1Aの主たる特徴とするところは、衝突後期に、シート2を車両側方から見たとき、水平線とラップベルト31のうち特定の領域とのなす内角β(図2(D))が、衝突初期の内角α(図2(C))に比較して大きくなるようにラップベルト31の伸延経路を可変させる締付状態可変機構5を備える点にある。それにより、詳しくは後述するが、衝突後期においてラップベルト31の乗員10の腹部への圧迫を抑制できる。衝突初期とは、衝突してから乗員10が車両(シート2)に対して前方へ移動し始めるまでの間を言い、衝突後期とは、乗員10が車両(シート2)に対して前方へ移動し始めてからその移動が停止するまでを言う。以下、詳細を説明する。図1、図2の見方は、図7、図8と同じである。なお、図2(D)の二点鎖線は、比較のため図8(D)に示す従来のラップベルト31の位置を示している。この点は、図4(D),図6(D)でも同様である。
[シート]
シート2のシートクッション21の両サイドには、シートガーニッシュ4が取り付けられている。シートガーニッシュ4は、主として、シートクッション21の下側(シートレール(図示略)など)を隠す装飾品である。このシートガーニッシュ4には、シートバック22の傾きを調整するリクライニングハンドルや、シートクッション21を車両前後にスライドさせるスライドレバーなどが一体に取り付けられることもある(いずれも図示略)。車内側のシートガーニッシュ4(紙面奥側)には、シートベルト3のタングプレート(図示略)が着脱自在に嵌合されるバックル34が固定されている。車外側のシートガーニッシュ4(紙面手前側)には、ラップベルト31の途中が接触している。
[シートベルト]
シートベルト3は、図7、図8を参照して説明した構成と同様、3点式シートベルトである。即ち、シートベルト3は、乗員10の腹部を右から左に横切るラップベルト31と、乗員10の胸部を右肩から左腹に斜めに掛け渡されるショルダーベルト32とを有する。ラップベルト31とショルダーベルト32との取り回し方は、左側のシートの場合、右側のシートの場合と左右が逆転する。
ラップベルト31は、腹部側ベルト部31bと、端部側ベルト部31eとを備える。腹部側ベルト部31bは、ラップベルト31のうち、乗員10の腹部に対向する箇所からシートクッション21の一側の途中箇所に至る領域を言う。端部側ベルト部31eは、ラップベルト31のうち、シートクッション21の一側の途中箇所から引止め端(ここではラップベルトアンカー35)に至る領域を言う。腹部側ベルト部31bと端部側ベルト部31eとは、一連に形成されている。
腹部側ベルト部31bと端部側ベルト部31eとは、衝突初期では、図1(A),図2(C)に示すように、屈曲することなく略同一直線状に形成されており、衝突後期では、図1(B),図2(D)に示すように、腹部側ベルト部31bと端部側ベルト部31eとの境界位置が屈曲する。この屈曲は、詳しくは、後述する衝突時のラップベルトの動作で説明するが、ラップベルト31が掛け止め部51(締付状態可変機構5)に引っ掛かることで形成される。この屈曲により衝突後期の腹部側ベルト角β(図2(D))は、衝突初期のラップベルト角α(図2(C))に比べて大きく、かつ衝突後期の端部側ベルト角γ(図2(D))に比べて大きい。それにより、衝突後期にラップベルト31による乗員100の腹部への圧迫を抑制できる。衝突後期の腹部側ベルト角βとは、シート2を車両の側方から見たとき、水平線と腹部側ベルト部31bとのなす内角であり、衝突後期の端部側ベルト角γとは、水平線と端部側ベルト部31eとのなす内角である。衝突初期の腹部側ベルト角αとは、水平線と腹部側ベルト部31bとのなす内角である。上述のように、衝突初期は腹部側ベルト部31bと端部側ベルト部31eとは略同一直線上であるため、衝突初期の腹部側ベルト角(水平線と腹部側ベルト部31bとのなす内角)と、衝突初期の端部側ベルト角(水平線と端部側ベルト部31eとのなす内角)は、実質的に同一であり、αである(図2(C))。
[締付状態可変機構]
締付状態可変機構5は、車両の衝突後期における腹部側ベルト角βが衝突初期における腹部側ベルト角αよりも大きくなるようにラップベルト31の伸延経路を可変させる。それにより、衝突後期において、従来は乗員10の腹部側にかかっていたラップベルト31の荷重を小さくする、即ち、腹部側にかかっていた荷重の一部を脚部側へ分けることで、乗員10の腹部への圧迫を抑制する。締付状態可変機構5は、「衝突初期の腹部側ベルト角α<衝突後期の腹部側ベルト角β」を満たせば、特に限定されない。ここでは、締付状態可変機構5は、掛け止め部51で構成する。
(掛け止め部)
掛け止め部51は、ラップベルト31の途中を引っ掛けて屈曲させる。この屈曲によりラップベルト31は、腹部側ベルト部31bと端部側ベルト部31eとが同一直線状に形成されず、両ベルト部31b、31eの境界位置が屈曲して形成される。それにより、衝突後期の腹部側ベルト角βを衝突初期の腹部側ベルト角αよりも大きくすると共に、端部側ベルト角γよりも大きくする。
掛け止め部51の形成箇所は、シートクッション21のラップベルトアンカー35側とする。バックル34側にはスリップガイド33が配置されているため、バックル34側は、ラップベルトアンカー35側に比べてラップベルト31が延びやすい。即ち、ラップベルトアンカー35側の方がバックル34側よりも腹部への荷重がかかり易いことがあると考えられるからである。そのため、掛け止め部51をラップベルトアンカー35側に設けることで、ラップベルト31による腹部への圧迫を効果的に抑制し易い。勿論、バックル34側にもラップベルトアンカー35側の掛け止め部51と同様の機能の掛け止め部(締付状態可変機構)を設けることが好ましい。ここでは、図1に示すように、左右両方のシートガーニッシュ4に掛け止め部51を形成している。
掛け止め部51は、ラップベルト31の途中を引っ掛けられる段差状に形成されていればよく、この段差はシートガーニッシュ4から突出する凸部で構成してもよいし、シートガーニッシュ4の一部を切り欠いた凹部で構成してもよい。ここでは、掛け止め部51は各シートガーニッシュ4から突出する凸部で構成し、その形状は衝突後期においてラップベルト31が摺接しながら前方移動し易いように、シート2を車両の上方と側方のいずれからみても、前方に向かって先細るように傾斜している。掛け止め部51の前端は、衝突後期においてラップベルト31を引っ掛け易いように、平坦に形成されている。
[衝突時のラップベルトの動作]
上述した車両のシート構造1の衝突時の動作を説明する。ここでは、車両が正面衝突(前面衝突)した場合を例に説明する。
(衝突初期)
衝突初期は、シートベルト3により乗員10をシート2に拘束する。ショルダーベルト32は、上述したように一定以上の加速度が作用するとリトラクター37によりロックされて急激な引き出しが防止される。それにより、衝突による乗員10の車両前方への慣性力によってショルダーベルト32が急激に繰り出されることが防止され、図1(A)、図2(C)に示すようにシートベルト3が乗員10に密着する。例えば、リトラクター37にプリテンショナー(図示略)を一体に備える場合には、プリテンショナーによりショルダーベルト32を巻き上げることで、ショルダーベルト32の弛みが取り除かれる。それにより、図1(A)、図2(C)に示すようにシートベルト3が乗員10に密着する上に、ショルダーベルト32による乗員10への拘束力が高められる。そのため、衝突に伴う乗員10の車両前方への慣性力に抗することができ、乗員10の上体が車両前方へ傾くことを抑制すると共に、乗員10の車両前方への移動を抑制する。
(衝突後期)
衝突後期は、ショルダーベルト32による乗員10の胸部への圧迫と、ラップベルト31による乗員10の腹部への圧迫とを抑制する。
ショルダーベルト32は、上述したように乗員10の車両前方への慣性力により一定以上の荷重がかかると、フォースリミッターによりリトラクター37によるロック状態が緩和される。それにより、ショルダーベルト32による乗員10の胸部への過度な圧迫を抑制し、図1(B)、図2(D)に示すように、乗員10の上体が車両前方へ傾く。そのため、ショルダーベルト32により乗員10の胸部に過度な荷重がかかることを抑制する。
ラップベルト31は、このときの乗員10の車両前方への慣性力により延びる。それにより、図1(B)、図2(D)に示すように、乗員10が車両前方へ移動する。この移動の際、ラップベルト31のシートガーニッシュ4との接触領域がシートガーニッシュ4の表面上を摺接して掛け止め部51に引っかかり、腹部側ベルト部31bと端部側ベルト部31eとの境界位置で屈曲する。それにより、衝突後期の腹部側ベルト角βは、衝突初期の腹部側ベルト角αに比較して大きくなるとともに、衝突後期の端部側ベルト角γよりも大きくなる(図2)。そのため、ラップベルト31により腹部にかかる荷重を、衝突初期に比較して車両下方(乗員10の脚部側)に作用させると共に、掛け止め部51(締付状態可変機構5)を備えない従来に比較して車両下方(乗員10の脚部側)に作用させられる。
〔作用効果〕
以上説明した車両のシート構造1Aは、以下の効果を奏することができる。
(1)衝突初期にはラップベルト31により乗員10をシート2に拘束でき、衝突後期にはラップベルト31による乗員10の腹部への圧迫を抑制できる。衝突後期のラップベルト31による乗員10への荷重が、乗員10の腹部よりも乗員10の脚部側にかかり易くすることができるからである。そのため、圧迫に弱い腹部を衝突後期のラップベルト31による荷重から保護できる。
(2)上記圧迫の抑制を、シートクッション21の側方のシートガーニッシュ4に設けた掛け止め部51により行えるため、簡単な構成で効果的に行える。
(3)後述する実施形態2や実施形態3に比較して、上記圧迫を抑制するために多くの部材を必要としないため、部品点数の増加を抑制しつつ上記圧迫を抑制し易い。また、部品点数の増加の抑制により、上記圧迫の抑制を、(a)車両のシート構造1Aの重量の増加を抑制しつつ行える、(b)コストの増加を抑制しつつ行える。更に、重量の増加を抑制できるため、上記圧迫の抑制を燃費の低下を抑制しつつ行える。そして、部品点数の増加の抑制により、車両のシート構造1Aの生産性に優れる。
《実施形態2》
〔車両のシート構造〕
図3,図4を参照して、実施形態2に係る車両のシート構造1Bを説明する。実施形態2では、締付状態可変機構5を、シート2の一側においてシートクッション21に対して車両の前後方向に沿って固定される第一レールと、車両の衝突後期に、引止め端を第一レール沿いに前方へスライドさせる第一スライド機構とで構成する点が実施形態1と相違する。ここでは、引止め端がラップベルトアンカー35である形態を説明する。即ち、ラップベルトアンカー35をBピラーの下部(フロアパネル)に固定することなく、衝突後期に車両前方へ移動可能な構成とする点と、掛け止め部51(図1など)を備えない点とが実施形態1と相違する。以下の説明は、実施形態1との相違点を中心に行う。図3,図4の見方は、図1、図2と同様である。
[締付状態可変機構]
(第一レール)
第一レール52は、ラップベルトアンカー35自体を前方へ移動可能なレールである。第一レール52の固定箇所は、車両のフロアパネルのシートクッション21よりも右側である。第一レール52には、衝突後期以前にラップベルトアンカー35が前進しないように固定する第一ストッパー(図示略)を備えていることが好ましい。それにより、衝突後期以前には、ラップベルト31により乗員10をシート2に拘束できる。
(第一スライド機構)
第一スライド機構は、ラップベルトアンカー35を第一レール52沿いに前方へスライドさせる。第一スライド機構は、例えば、第一スライダと、駆動源と、衝突検知センサと、制御部とを備えることが挙げられる(いずれも図示略)。
第一スライダは、ラップベルトアンカー35に一体に固定されて第一レール52沿いにラップベルトアンカー35を前方へスライド可能にする。
駆動源は、第一スライダを車両前方へスライドさせる。この駆動源には、例えば、インフレータ、モータ、シリンダなどを用いることができる。駆動源にインフレータを用いる場合には、インフレータ内に装備される火薬の爆発を利用して、上記ストッパーによる第一スライダの固定を解除することが挙げられる。それにより、乗員10の慣性力で第一スライダを前進可能にすることができる。
衝突検知センサは、車両の衝突を検知する。検知するパラメータは、特に限定されず、例えば、加速度、圧力、振動などが挙げられる。即ち、衝突検知センサには、これらのパラメータを検知できる適当なセンサが利用できる。
制御部は、センサの衝突検知に応じて駆動源に駆動指令を出す。制御部は、エンジンコントロールユニット(ECU)に兼備させることが挙げられる。
(衝突時のスライド機構の動作)
衝突検知センサにより車両の衝突を検知する。次に、制御部が、センサの検知結果に応じて衝突後期になると駆動源に駆動指令を出す。駆動指令を受けた駆動源が第一スライダを前進させる。そして、第一スライダの前進と共にラップベルトアンカー35が前進する。それにより、衝突後期の腹部側ベルト角βは、衝突初期の腹部側ベルト角αに比べて大きくなる(図4)。
〔作用効果〕
以上説明した車両のシート構造1Bは、衝突後期の腹部側ベルト角βを衝突初期の腹部側ベルト角αよりも大きくするのにラップベルトアンカー35自体を前方へ移動させるため、衝突後期のラップベルト31による乗員10の腹部への圧迫をより確実に抑制し易い。
なお、図示は省くが、締付状態可変機構5は、上述の第一レール52及び第一スライド機構に代えて、シート2の他側(車内側)において、シートクッション21に対して車両の前後方向に沿って固定される第二レールと、車両の衝突後期に、バックル34を第二レール沿いに前方へスライドさせる第二スライド機構とで構成することもできる。また、上述の第一レール52及び第一スライド機構に加えて、上記第二レール及び第二スライド機構を備えることもできる。そうすれば、衝突後期において、シートクッション21の左右両方でラップベルト31を前進させられるため、ラップベルト31による乗員10の腹部への圧迫を抑制できる。この第二スライド機構の構成及び動作は、第一スライド機構の構成及び動作と同様とすることができる。
《実施形態3》
〔車両のシート構造〕
図5,6を参照して、実施形態3に係る車両のシート構造1Cを説明する。実施形態3では、締付状態可変機構5を、衝突後期において、腹部側ベルト角βが端部側ベルト角γよりも大きくなるようにラップベルト31の途中を屈曲させる屈曲機構を備える構成とする。即ち、実施形態1とは、ラップベルトアンカー35をBピラーの下部(フロアパネル)に固定する点、及びラップベルト31の途中を屈曲させる点は同じであるが、その途中を屈曲させる手法が相違する。ここでは、掛け止め部51(図1など)以外の構成で屈曲させる形態を説明する。以下の説明は、実施形態1との相違点を中心に行う。図5,図6の見方は、図1,図2と同様である。
[締付状態可変機構]
(屈曲機構)
屈曲機構53によるラップベルト31の途中の屈曲は、ラップベルト31の途中を前進させることで行える。上述のようにラップベルトアンカー35がBピラーの下部(フロアパネル)に固定されているので、ラップベルトアンカー35はラップベルト31の途中の前進に追随することがないからである。ラップベルト31の途中を前進させる手法としては、上述した第一レール及び第一スライダ機構と同様のレール及び機構で構成してもよいし、上述以外の手法でラップベルト31の途中を押圧したり引っ張ったりすることで前進させる構成としてもよい。
ラップベルト31の途中を押圧する場合、屈曲機構53は、例えば、棒やフックなどの押圧部材を備えることが挙げられる。この屈曲機構53による屈曲動作は、押圧部材をラップベルト31の途中の車両後方側へ当て止めしておき、衝突後期にインフレータの火薬の爆発により押圧部材を前進させてラップベルト31の途中を押圧することで行うことが挙げられる。
ラップベルト31の途中を引っ張る場合、屈曲機構53は、例えば、ワイヤと発射部材とを備えることや、ワイヤと巻取装置とを備えることが挙げられる。前者の場合の屈曲機構53による屈曲動作は、次のように行える。まず、ラップベルト31の途中の前方又は下方に発射部材を配置し、その途中にワイヤの一端をラップベルト31沿いに摺動自在に取り付け、発射部材にワイヤの他端を取り付ける。次に、衝突後期にインフレータの火薬の爆発により発射部材を前方又は下方へ発射させて、ワイヤがラップベルト31の途中を前方又は下方へ引っ張る。一方、後者の場合の屈曲機構53による屈曲動作は、次のように行える。まず、ラップベルト31の途中の前方又は下方に巻取装置を配置し、その途中にワイヤの一端を取り付け、巻取装置にワイヤの他端を取り付ける。次に、衝突後期に巻取装置でワイヤを巻き取ることで、ワイヤがラップベルト31の途中を引っ張る。
ここでは、屈曲機構53は、実施形態2と同様の構成とする。即ち、屈曲機構53は、シートクッション21の側方にシートクッション21に対して車両の前後方向に沿って固定されるラップベルトレール531と、ラップベルト31の途中をラップベルトレール531沿いに前方へスライドさせるスライド機構とで構成する。ラップベルトレール531は、シートガーニッシュ4に形成した溝レールで構成している。ラップベルトレール531には、上述の第一レールと同様、ストッパー(図示略)を備えていることが好ましい。スライド機構は、ラップベルトスライダ532と、駆動源と、衝突検知センサと、制御部とを備えることが挙げられる(ラップベルトスライダ532を除き図示略)。ラップベルトスライダ532は、ラップベルトレール531の溝にスライド自在に嵌められている。駆動源と衝突検知センサと制御部とは、上述と同様のものを用いることができる。屈曲機構53は、図5では、シートクッション21の右側にのみ示しているが、勿論、左側にも設けることが好ましい。
(衝突時の屈曲機構の動作)
ラップベルトスライダ532の前進は、実施形態2のスライド機構の動作と同様とすることができる。まず、衝突検知センサにより車両の衝突を検知する。次に、制御部がセンサの検知結果に応じて衝突後期になると駆動源に駆動指令を出す。駆動指令を受けた駆動源がラップベルトスライダ532を前進させる。そして、ラップベルトスライダ532の前進と共にラップベルト31の途中が前進して屈曲する。それにより、衝突後期の腹部側ベルト角βは、衝突初期の腹部側ベルト角αに比較して大きくなる(図6)と共に、衝突後期の端部側ベルト角γに比べても大きくなる。
〔作用効果〕
以上説明した車両のシート構造1Cは、上述の車両のシート構造1Bと同様、衝突後期のラップベルト31による乗員10の腹部への圧迫をより確実に抑制し易い。
本発明はこれらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、掛け止め部をクッションシートの側面自体に形成することができる。本発明の車両のシート構造はフォースリミッターを備えていなくてもよく、フォースリミッターを備えていなくても、上述の締付状態可変機構を備えていれば、衝突後期のラップベルトによる腹部の圧迫を抑制できることは言うまでもない。フォースリミッターを備えない場合でも衝突後期に例えばシートクッションが凹んだりラップベルトアンカーが損傷したりすることで、上述した従来のように上述の締付状態可変機構を備えなければ衝突後期の腹部側ベルト角が衝突初期の腹部側ベルト角よりも小さくなる場合がある。そのような場合であっても、上述の締付状態可変機構を備えていれば、腹部側ベルト角が衝突初期の腹部側ベルト角よりも大きくできる。
本発明の車両のシート構造は、衝突後期における乗員の腹部の保護に好適に利用できる。
1A,1B,1C 車両のシート構造 100 従来の車両のシート構造
10 乗員(ダミー)
2 シート
21 シートクッション 22 シートバック 23 ヘッドレスト
3 シートベルト
31 ラップベルト
31b 腹部側ベルト部 31e 端部側ベルト部
32 ショルターベルト
33 スリップガイド 34 バックル
35 ラップベルトアンカー(引止め端) 36 ショルダーベルトアンカー
37 リトラクター
4 シートガーニッシュ
5 締付状態可変機構
51 掛け止め部
52 第一レール
53 屈曲機構
531 ラップベルトレール 532 ラップベルトスライダ

Claims (2)

  1. シートクッション及びシートバックを有するシートと、シートに着座する乗員の腹部を横切るラップベルトを少なくとも有するシートベルトとを備える車両のシート構造であって、
    前記ラップベルトのうち、乗員の腹部に対向する箇所から前記シートクッションの一側の途中箇所に至る領域を腹部側ベルト部とし、
    前記シートを車両の側方から見たとき、水平線と腹部側ベルト部とのなす内角を腹部側ベルト角とするとき、
    前記車両の衝突後期における前記腹部側ベルト角が衝突初期における前記腹部側ベルト角よりも大きくなるように前記ラップベルトの伸延経路を可変させる締付状態可変機構を備える車両のシート構造。
  2. 前記ラップベルトのうち、前記シートクッションの一側の途中箇所から引止め端に至る領域を端部側ベルト部とし、
    前記シートを車両の側方から見たとき、水平線と端部側ベルト部とのなす内角を端部側ベルト角とするとき、
    前記締付状態可変機構は、
    シートクッションの側方に設けられ、衝突時の乗員の前方移動に伴って移動するラップベルトの途中を引っ掛けることで、前記腹部側ベルト角が前記端部側ベルト角よりも大きくなるように前記ラップベルトを屈曲させる掛け止め部を備える請求項1に記載の車両のシート構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018090224A (ja) * 2016-12-07 2018-06-14 トヨタ自動車株式会社 シートベルト内蔵車両用シート
US10723309B2 (en) 2018-01-23 2020-07-28 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle seat belt device

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