JP2016113803A - 無拡幅agf工法に用いる管引き抜き用治具 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、無拡幅AGF工法は、拡幅部を設ける必要がないので前記問題は生じない。しかし、トンネル切羽の周辺部から鋼管を打ち込む工法であるが故に、末端に打ち込んだ端末管は、その後端部分がトンネル内空断面側へ露出していた。そのため、当該端末管をそのまま残存させておくと、必然的にトンネル切羽の掘削時にブレーカーやバックホウで撤去することになるが、端末管との衝撃等によりブレーカーやバックホウが破損・損傷する虞がある上に、地山に緩みが生じ、想定外の抜け落ち等が発生する問題があった。
この発明によると、樹脂管は鋼管と比し、強度・剛性が弱く壊れやすい(破壊しやすい)ので、端末管との衝撃等によりブレーカーやバックホウが破損・損傷する虞はなく、また、衝撃による振動も緩和されるので地山の緩み等を抑制できる。
しかしながら、破壊された樹脂管は再利用できず産業廃棄物となるほかない。よって、処理費用も嵩み、地球環境にも悪影響を及ぼすという新たな問題が生じていた。
この発明によると、掘削作業時に端末管はもはや存在しないので、ブレーカーやバックホウが破損・損傷する虞はなく、良好な掘削作業を行うことができる。また、撤去した端末管は再利用できるので産業廃棄物を排出することもない。よって、経済性、地球環境性にも優れている。
前記工具が何を指すのかまったく不明であるが、実際の施工現場において、既存の工具では、地山の周面摩擦力(地山と端末管との接触面で回転等の運動を阻止しようとする力)の影響が大きく、端末管を地山から良好に引き抜いて撤去することなど到底できない。
ちなみに、その余の文献等を精査しても、端末管を撤去する具体的手段が開示されたものは見当たらない。
前記管引き抜き用治具は、前記端末管の後端部へ接続する管接続部と、前記回転打撃機構へ接続するロッド部とからなり、前記端末管と前記回転打撃機構との間に一連に接続され、当該回転打撃機構を起動させることにより、前記端末管を、先行の管材から引き抜く構成であることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した管引き抜き用治具において、前記変形バヨネット溝の拡幅溝の奥行き寸法が、前記端末管とその前方に接続した管材との接続代の寸法と同等以上に設定されていることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した管引き抜き用治具において、前記両腕部には、その突起部を前記貫通孔に掛け留めた後、当該両腕部間の間隔を保持するロック機構が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項2〜6のいずれか一に記載した管引き抜き用治具において、前記端末管の後端部の径方向に貫通された貫通孔は、当該端末管の軸方向に長い長円形又は長方形に形成されていることを特徴とする。
このように、前記管引き抜き用治具は、端末管の後端部に確実に強固に接続できるので、ドリフターによる過大な振動が作用しても端末管から抜け外れる虞は一切なく、地山の周面摩擦力の影響にかかわらず、先行の中間管から端末管のみを安全かつ確実に引き抜くことができる。
したがって、機能性、確実性に優れた管引き抜き用治具を提供できると云え、ひいては、端末管を撤去する手段を採用した無拡幅AGF工法の普及に大きく貢献することができる。
前記無拡幅AGF工法とは、図1、図2に概略的に示したように、重機に搭載したドリフター等の回転打撃機構(図示略)により、トンネル切羽11の周辺部からトンネル軸方向やや斜め上方の地山10へ向けて複数(多数)の管材1を放射状に打ち込み、当該管材1に設けた注入孔を通じて地山改良剤(ウレタン系、セメント系、水ガラス系等の注入剤)12を注入して地山10を改良した後にトンネルを掘削する工法である。
前記放射状に打ち込んだ個々の管材1はそれぞれ、複数本の管材(一例として、先導管2、中間管3、4、端末管5の計4本)を順次接続して(継ぎ足して)打ち込んで構成されている。
ちなみに、前記端末管5の前端部と、先行の中間管4の後端部との接続手段は特に限定されない。ねじ式で接続するのが一般的であるが、ソケット式でもバヨネット式でもよく、要するに、前記端末管5と先行の中間管4とは接続状態が解除可能な構成で接続されていればよい。
また、撤去する端末管5の材質はもちろん問わないが、塩化ビニル管等の樹脂製、若しくは金属製等の単一体のほか、管接続部と管本体部とで材質を変えた複合体も存在する。
さらに、前記端末管5を撤去した跡の空間に地盤改良剤12を注入する場合もある。
この管引き抜き用治具26を用いる前提として、当該治具26と接続する端末管5の後端部は、径方向に貫通する貫通孔9が1セット、又は掛け留め作業の高効率性を考慮して2セット以上設けられ、当該貫通孔9へピン13が貫通されて固定されている。因みに図中の符号14は、ピン止めを示している。このピン止め14は必須ではなく、例えばピン13を貫通孔9へねじ込んでセットする場合は無用となる。
しかる後、前記ドリフターを、前記ピン13がバヨネット溝26aの拡幅溝の奥端縁に常時突き当たる方向へ回転駆動させながら引き抜く方向へ作動させると、その前方の中間管4と端末管5との接続部のねじ(右ねじ式)が漸次緩む方向へ回転し、終局的には前記中間管4と端末管5との接続状態が解除され、当該端末管5を安全かつ確実に引き抜いて撤去(回収)することができる。
なお、前記中間管4と端末管5との接続部がねじ式ではなくソケット式又はバヨネット式で実施する場合は、より簡易に端末管5を引き抜くことができる。
すなわち、前記略L字形状のバヨネット溝26aで実施する場合、ドリフターを回転駆動させながら引き抜く方向(手前側)へ作動させる必要があった。そうしないと、現場作業員の熟練度にもよるが、中間管4と端末管5との接続部のねじが緩むことに伴う当該端末管5の手前側への移動(変位)が阻止され、原位置で停滞し、その結果、ネジ山が潰れる虞があるからである。
これに対し、前記変形バヨネット溝26aで実施する場合、前記拡幅溝が奥行き方向に長いので、ドリフターを引き抜く方向へ作動させなくても変形バヨネット溝26aの長尺化した拡幅溝が端末管5の手前側への移動(変位)を受け入れる(許容する)ことができる。この奥行き寸法L(図7B参照)は、端末管5とその前方に接続した管材(中間管4)との接続代の寸法と同等以上に設定することが好ましい。このような構成とすることにより、先ずドリフターを回転駆動させる制御を行って端末管5を中間管4との接続状態を解除し、次に、ドリフターを引き抜く方向へ作動させる制御を行って当該端末管5を撤去することができるのである。
もっとも、前記管引き抜き用治具26’のように治具自体の形態に工夫を施さなくても、撤去される側の端末管5の後端部に形成した貫通孔9、9を、前記ピン13が遊嵌するように当該端末管5の軸方向に長い長円形又は長方形に形成して実施しても同様のシンプル化した制御を実現することはできる。
また、端末管5に管引き抜き用治具26を掛け留める手順は前記のほか、管引き抜き用治具26を端末管5へ内嵌め(又は端末管5より径が大きい場合は外嵌め)して位置決めした後に前記ピン13を貫通させて実施することもできる。
この管引き抜き用治具16を用いる前提として、当該治具16と接続する端末管5の後端部は、径方向に貫通する貫通孔9が1セット、又は掛け留め作業の高効率性を考慮して2セット以上設けられている。
このように、前記管引き抜き用治具16は、端末管5の後端部にその突起部17a、17aを掛け留めることにより確実に接続できるので、ドリフターによる過大な振動が作用しても端末管5から抜け外れる虞はなく、地山10の周面摩擦力の影響にかかわらず、先行の中間管4から端末管5のみを安全かつ確実に引き抜くことができるのである。
なお、前記中間管4と端末管5との接続部がねじ式ではなくソケット式又はバヨネット式で実施する場合は、より簡易に端末管5を引き抜くことができる。
図示例にかかるロック機構17eは、前記両腕部17b、17bの一側面に、一方(図示例では下方)には定着部を、他方(図示例では上方)にはボルト軸受部を、平面方向からみてほぼ一致するように溶接等の接合手段で設けており、当該ボルト軸受部には、内方から外方に向けて頭付きボルトを上下動可能にねじ込む構成で実施される。よって、通常時は、前記頭付きボルトを上方へねじ込んでおき(図12A参照)、前記両腕部17b、17bの突起部17a、17aを端末管5側の貫通孔9、9に掛け留めた段階で頭付きボルトを回して下動させ、当該頭部を前記定着部へ突き当てて当該両腕部17b、17bの間隔を固定するのである(図12B参照)。
前記頭付きボルトをねじ込む方向は逆方向でも実施できる。また、この頭付きボルトを用いた間隔保持手段は一例にすぎず、要するに、端末管5の貫通孔9、9に掛け留めた段階で、前記両腕部17b、17bの間隔を確保できる手段であれば種々のバリエーションで実施可能である。
また、前記突起部17a、17aは、両腕部17b、17bの外方へ突き出した形態で実施しているが、両腕部17b、17bの間隔を拡げ(拡径し)、内方へ突き出した形態で実施することもできる。この場合、前記圧縮バネ17cの代わりに引っ張りバネを用い、端末管5の貫通孔9、9の外側から突起部17a、17aを掛け留めることになる。この引っ張りバネ式の管引き抜き用治具のロック機構は、例えば、前記両腕部17b、17bの一側面に、前記ボルト軸受部を、平面方向からみてほぼ一致するように溶接等の接合手段で設けておき、突起部17a、17aを端末管5側の貫通孔9、9に外側から掛け留めた段階で、ボルトを前記各ボルト軸受部に跨がるようにねじ込み固定する。
この管引き抜き用治具6を用いる前提として、当該治具6と接続する端末管5の後端部は、前記雌ねじ7aへねじ込み可能な雄ねじ5aが形成されている。
要するに、前記端末管5と管引き抜き用治具6とドリフターとを一連に接続し、当該ドリフターを左ねじ式(右ねじ式)が締まる方向へ回転駆動させると、当該一連の接続部のねじは締まる方向へ回転し、その前方の中間管4と端末管5との接続部のねじは緩む方向へ回転するように実施している。
もとより、前記各接続部材5、6等は、それぞれの軸芯が一致する構造設計とされている。
しかる後、前記ドリフターを当該ねじが締まる方向へ回転駆動させながら引き抜く方向へ作動させると、その前方の中間管4と端末管5との接続部のねじが漸次緩む方向へ回転し、終局的には前記中間管4と端末管5との接続状態が解除され、当該端末管5を引き抜いて撤去(回収)することができる。
このように、前記管引き抜き用治具6は、端末管5の後端部にきっちりねじ込んで接続できるので、ドリフターによる過大な振動が作用しても端末管5から抜け外れる虞は一切なく、地山10の周面摩擦力の影響にかかわらず、先行の中間管4から端末管5のみを安全かつ確実に引き抜くことができるのである。
また、図15A、Bに示したように、管引き抜き用治具6の管接続部7の接続部位を雄ねじ7bに形成しても同様に実施することもできる。この場合、当該治具6と接続する端末管5の後端部は、必然的に、前記雄ねじ7bへねじ込み可能な雌ねじ5bに形成して実施する。
なお、端末管5の後端部の形態を、ねじ式で形成し、かつ当該ねじ部の径方向に貫通孔を穿設しておくと、上記実施例1〜3のすべての管引き抜き用治具26、16、6を現場で適宜採択して使用することができる。
2 先導管
3 中間管
4 中間管
5 端末管
5a 雄ねじ
5b 雌ねじ
6 管引き抜き用治具
7 管接続部
7a 雌ねじ
7b 雄ねじ
8 ロッド部
8a 雌ねじ
8b 雄ねじ
9 貫通孔
10 地山
11 トンネル切羽
12 地山改良剤
13 ピン
14 ピン止め
16 管引き抜き用治具
16’ 管引き抜き用治具
17 管接続部
17a 突起部
17b 両腕部
17c 圧縮バネ
17d 軸受け部
17e ロック機構
18 ロッド部
18a 雄ねじ
26 管引き抜き用治具
26’ 管引き抜き用治具
26V 管引き抜き用治具
26a バヨネット溝
27 管接続部
28 ロッド部
28a 雌ねじ
Claims (8)
- 重機に搭載したドリフター等の回転打撃機構により、トンネル切羽の周辺部からトンネル軸方向やや斜め上方の地山へ向けて複数の管材を打ち込み、当該管材内を通じて地山改良剤を注入して地山を改良した後にトンネルを掘削する無拡幅AGF工法における、末端に打ち込んだ管材である端末管を引き抜いて撤去する管引き抜き用治具であって、
前記管引き抜き用治具は、前記端末管の後端部へ接続する管接続部と、前記回転打撃機構へ接続するロッド部とからなり、前記端末管と前記回転打撃機構との間に一連に接続され、当該回転打撃機構を起動させることにより、前記端末管を、先行の管材から引き抜く構成であることを特徴とする、管引き抜き用治具。 - 前記端末管の後端部に径方向に貫通する貫通孔が形成され当該貫通孔にピンが貫通されて固定されているときに、前記端末管の後端部へ接続する前記管接続部は、前記径方向に貫通させたピンに掛け留め可能な、案内溝と拡幅溝とからなる略L字形状のバヨネット溝を設けた有底筒状に形成され、前記ロッド部と連設されてなることを特徴とする、請求項1に記載した管引き抜き用治具。
- 前記バヨネット溝は、前記拡幅溝が奥行き方向に長い変形バヨネット溝であることを特徴とする、請求項2に記載した管引き抜き用治具。
- 前記変形バヨネット溝の拡幅溝の奥行き寸法が、前記端末管とその前方に接続した管材との接続代の寸法と同等以上に設定されていることを特徴とする、請求項3に記載した管引き抜き用治具。
- 前記端末管の後端部に径方向に貫通する貫通孔が形成されているときに、前記端末管の後端部へ接続する前記管接続部は、前記貫通孔に掛け留め可能な突起部を設けた両腕部と、同両腕部を拘束する圧縮バネと、同両腕部を同方向に回動可能に軸支する軸受け部とからなり、当該軸受け部が前記ロッド部と連設されてなることを特徴とする、請求項1に記載した管引き抜き用治具。
- 前記両腕部には、その突起部を前記貫通孔に掛け留めた後、当該両腕部間の間隔を保持するロック機構が設けられていることを特徴とする、請求項5に記載した管引き抜き用治具。
- 前記端末管の後端部の径方向に貫通された貫通孔は、当該端末管の軸方向に長い長円形又は長方形に形成されていることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一に記載した管引き抜き用治具。
- 前記端末管の後端部に雄ねじ又は雌ねじが形成されているときに、前記端末管の後端部へ接続する前記管接続部は、接続部位に雌ねじ又は雄ねじを設けた有底筒状に形成され、前記ロッド部と連設されてなることを特徴とする、請求項1に記載した管引き抜き用治具。
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