JP2016108926A - 異形鉄筋のねじ式鉄筋継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】互いに接続される一対の鉄筋1,1の対向する端部に雄ねじ部1c,1cを有し、両雄ねじ部1c,1cに渡って螺合するカプラー2と、一対のロックナット3とを備える。各雄ねじ部1cは、鉄筋本体よりも大径の大径部にねじ溝を形成してなり、前記カプラー2のねじ山径である内径が、突条1bの外径よりも小径である。各鉄筋1,1の雄ねじ部1cに続く部分に、ロックナット3およびカプラー2を螺合状態で逃がし可能とする突条上ねじ部1dを、突条無し区間hを介して設ける。ロックナット3の端面が突条無し区間hに位置すれば、両鉄筋1,1間に許容空き寸法が得られる適正螺合深さとなるように各部の寸法関係を設定する。ロックナット3は、突条上ねじ部1dに螺合させるようにしても良い。
【選択図】図1
Description
そのため、特殊継手として、スリーブ内に鉄筋と共にグラウトを注入する継手が開発されている。このグラウトを注入する特殊継手は、配筋構造の簡略化の面で好ましく、実用化されているが、グラウトの硬化養生の期間が必要になり、工期が長びくという欠点がある。
ねじ式鉄筋継手を構成する異形鉄筋を、ねじ式鉄筋継手として使用せずに、一般の異形鉄筋と同様にコンクリートに埋め込む場合、雄ねじ部の長さ範囲では、異形鉄筋の特徴である節部を有しないため、コンクリートに対する定着力が弱い。そのため、上記雄ねじ部を設けた鉄筋を異形鉄筋として使用することが難しい。建築基準における異形鉄筋の規定では、鉄筋径に対する所定倍数の鉄筋長さの範囲内に、節部を幾つ必要であるかが定められている。この規定を、ロックナットの逃がし可能な長い雄ねじを持つ異形鉄筋で充足させようとすると、雄ねじ部以外の部分の節部の間隔が短くなり、コスト増に繋がる。雄ねじ部付きの異形鉄筋を一般の異形鉄筋として扱えない場合、管理上や、現場での鉄筋の保管、取り扱い上で煩雑さが生じる。
しかも、雄ねじ部の長さが長いと、それだけねじ加工における工具、例えば転造ではダイス、切削加工ではバイトの摩耗が多くなり、この工具の摩耗よる寿命の低下は、ねじ式鉄筋継手のコスト増の大きな要因の一つとなっている。
この発明の他の目的は、互いに接続する一対の鉄筋の対向する端面間に施工誤差の吸収のために設ける中間あき寸法が、誤差許容範囲内となっているか否かを外部からの目視で簡単に行えるようにすることである。
前記一対の鉄筋のうち、少なくとも一方の鉄筋は、鉄筋本体の外周に突条を有する異形鉄筋であり、この異形鉄筋である前記少なくとも一方の鉄筋の前記雄ねじ部は、前記鉄筋本体よりも大径の大径部にねじ溝を形成してなり、
この大径部にねじ溝を形成した前記鉄筋に、前記突条にねじ溝を形成して前記カプラーの少なくとも一部を、ねじ山とねじ溝との嵌まり合い状態で逃がし可能とする突条上ねじ部を設け、
前記雄ねじ部および前記突条上ねじ部のいずれか片方または両方に螺合して前記カプラーを押し付けるロックナットを設けたことを特徴とする。
この逃がし可能とする部分は、ねじ形状である突条上ねじ部として設けるため、突条上ねじ部を設けずに雄ねじ部の径を大きくしてロックナットやカプラーが突条に干渉しないようにして逃がす場合とは異なり、雄ねじ部の径と突条の径との差を小さくできる。そのため、雄ねじ部を形成する大径部を、異形鉄筋の突条のロール成形時に形成することも可能で、雄ねじ部を設ける加工方法の選択範囲が広がる。これにより雄ねじ部の形成が容易となる。
なお、この発明において、いずれか片方の鉄筋は、必ずしも異形鉄筋でなくても良く、例えば丸鋼であっても良く、また特に大径部を有せずに全体が大径であっても良い。
このように、施工の容易のためにカプラーやロックナットを逃がしておくための部分を突条上ねじ部として設けた場合、雄ねじ部に前記逃がしておくための部分を設ける場合に比べて雄ねじ部を短くできる。雄ねじ部を短くできるため、定着力確保のための節部ピッチの問題が緩和でき、雄ねじ部の加工コストも抑えることができる。
なお、前記突条として円周方向に延びる節部を有する場合、前記ロックナットの反カプラー側の端面が前記雄ねじ部の端とこの雄ねじ部から一つ目の前記節部との間に位置すれば、前記大径部にねじ溝を形成した前記雄ねじ部が前記カプラーに対して、少なくとも設定締結長さ分が螺合しかつ前記許容隙間が得られる螺合状態である適正螺合状態になるように、前記雄ねじ部、前記カプラー、前記ロックナット、および前記中間余長の長さの関係が設定されていても良い。
ロックナットの端面が突条無し区間に位置すれば適正螺合深さになるように各部の寸法関係を設定しておくと、カプラーの端面が雄ねじ部と突条無し区間を見るだけで良く、外部からの目視で、適正螺合状態であるか否かが簡単に判断できる。
これにより、施工上の不利を伴うことなく雄ねじ部の長さを短くできて、定着力確保のための突条のピッチの問題が緩和でき、雄ねじ部の加工コストも抑えることができるという利点が、より一層効果的に得られる。また両方の鉄筋につき、雄ねじ部がカプラーに対して適正螺合状態であるか否かが、外部からの目視で簡単に判断できる。
上記のように、ロックナットを設けるため、耐引張力および耐圧縮力上の両方の要件を充足できる。この場合に、ロックナットを突条上ねじ部に噛み合わせるようにした場合、突条上ねじ部は大径部の雄ねじ部に比べてロックナットに対する掛かりが少なくなるが、引張力はロックナットに作用せず、耐圧縮力は降伏点強度の半分で良い。そのため、突条上ねじ部にロックナットを設けても耐圧縮力が充足できる。
また、突条上ねじ部は、ねじ加工が必要であるが、大径部の雄ねじ部に比べて加工量が少なく、ねじ長さに対する工具摩耗は少ない。このように突条上ねじ部の加工では工具摩耗が少なく、かつ大径部の雄ねじ部の長さが前記のように短くて済むため、ねじ加工における工具の摩耗、例えば転造ではダイス、切削加工ではバイトの摩耗が少なくなり、ねじ加工における工具寿命の低下によるコスト増が抑えられる。
このように、この構成の場合のねじ式鉄筋継手は、耐引張力および耐圧縮力上の両方の要件を充足でき、かつ大径部となる雄ねじ部の長さを短くできて、定着力確保のための節部ピッチの問題が緩和でき、雄ねじ部の加工コストの増加も抑えることができる。
この発明において、いずれか片方の鉄筋は、必ずしも異形鉄筋でなくても良く、例えば丸鋼であっても良く、また特に大径部を有せずに全体が大径であっても良いが、上記のように一対の鉄筋の両方が上記のように異形鉄筋であって節上ねじ部およびロックナットを有する構成であると、この発明における、定着力確保のための突条ピッチの問題が緩和でき、雄ねじ部の加工コストの増加も抑えることができるという効果が、より一層顕著となる。
上記のように、耐圧縮力は降伏点強度に対して1/2で済むため、ロックナットの掛かり長さは短くて済み、節上ねじ部のねじ山が2つ噛み合う長さがあれば、要求される耐圧縮力を充足することができる。余裕を見て噛み合い長さを多少増やしても良いが、ねじ山が4つよりも多く噛み合う長さになると、工具摩耗の低減によるコスト低下の効果が低くなる。
突条上ねじ部の溝底部が前記鉄筋本体に形成されていると、そのねじ溝底部においても圧縮力を負担でき、ねじ式鉄筋継手の耐圧縮力が向上する。
リブ付きの異形鉄筋の場合、そのリブ上にも前記突条上ねじ部が設けられることで、ねじ筒の雌ねじ部との掛かりが多くなり、ねじ式鉄筋継手の耐圧縮力が向上する。
雄ねじ部となる大径部の外径が異形鉄筋の突条を含む鉄筋最大外径以下であると、突条いロール成形時に前記大径部が案内ローラに干渉して送りが妨げられることがなく、異形鉄筋の節部の転造時に前記大径部も成形することができる。そのため、雄ねじ部を有する鉄筋の生産性が向上する。
このように異形鉄筋の節部の転造時に前記大径部も成形する場合、別部材の雄ねじ部材を摩擦圧接等で接合する構成と異なり、前記大径部の雄ねじ部と節上ねじ部とは同じダイス等の工具で連続して加工されることになるが、その場合に、この発明における上記の工具摩耗の低減の効果が顕著となる。
前記雄ねじ部を形成する大径部の形成を突条のロール成形時に行うと、加工の工程を増やすことなく大径部を形成でき、生産性が向上する。上記のようにカプラーやロックナットの逃がし部は突条上ねじ部で設けるため、前記大径部は突条との径の差を小さくでき、ロール成形が可能である。また、前記突条上ねじ部が転造ねじであると、削り加工する場合と異なり、鉄筋の断面寸法が変わらず、突条に設けながら強度を確保できる。突条上ねじ部だけでなく、前記雄ねじ部も転動ねじとすることで、これら突条上ねじ部と雄ねじ部とを纏めて形成することができ、生産性が向する。
各鉄筋1の突条1bは、この他に図8に示すように、それぞれが螺旋状に延びて菱形の網目状を成す2方向の傾め節部1bc,1bc、および長手方向に延びるリブ1bdからなる形状であっても良い。リブ1bdは、2本が鉄筋本体1aの180°離れた位置に設けられている。傾斜突条部1bc,1bcは、リブ1bdを挟む両側の部分が互いに軸方向にずれていても良い。また突条1bは、この他に図9に示すように螺旋状に延びる形状であっても良い。
b=2*a+d
とされる。
いずれも、ロックナット3の高さは、中間余長の関係から、
PNL=((2*(e)+(d))−(b))/2
とされている。
図2(A)〜(C)は、いずれも適正螺合状態を示し、同図(A)は、中間の空き寸法が最も広くなっている状態、同図(C)は空き寸法が零となり両側の鉄筋1,1が突き合わせられた状態、同図(B)はその中間の状態をそれぞれ示す。同図(A)よりも雄ねじ部1cがロックナット3の端面bから突出していると、不適正な螺合状態とされる。
図5に示すように、素材となる鉄製の丸棒状の線材W0を、成形用ロール11,11間に通すことにより、ロール成形による圧延で突条1b(節部1baおよびリブ1bb)を成形する。この成形は、線材W0を加熱しておいて、熱間で行う。成形用ロール11,11によるロール成形の過程で、大径部W1dを設ける。具体的には、成形用ロール11,11は、成形型面となる外周面に、鉄筋1の突条1bを成形する凹部(図示せず)を設けたものであるが、この成形用ロール11,11の外周面における円周方向の一部を、大径部成形用凹部11aとする。大径部成形用凹部11aの周長は、成形する大径部W1dの長さe、またはその2倍の長さとする。この成形用ロール11でロール成形すると、長さ方向の一部が大径部W1dとされ、残り長さ範囲の部分に突条1bが成形されたものとなる。
このようにして得た所定の長さの拡径部付き異形鉄筋W1は、例えば、住宅等の建物の基礎等に適用する場合、モジュール設計された建物のモジュール(例えば910mm、1000mm等)の倍数、または前記モジュールの1/2の長さの倍数とするのが良い。
また、前記実施形態ではカプラー2の両側にロックナット3を設けたが、ロックナット3がカプラー2の片方1個でも滑り量を制御できる場合は、片方のみに設けても良い。
なお、鉄筋1の前記節上ねじ部1dを形成する前記所定長さL2(図11)は、継手接続作業時に、ロックナット3とカプラー2の全体を前記雄ねじ部1cおよび節上ねじ部1dからなるねじ部分に逃がしておけるように、カプラー2とロックナット3とを合わせた長さよりも、前記大径部全長(雄ねじ部1cの長さ)L1と前記節上ねじ部1dの所定長さL2を合わせた長さが長くなるように、前記所定長さL2を定めることが好ましい。
しかし鉄筋継手において、耐圧縮力は降伏点強度に比べて半分程度で足りる。そのため、鉄筋の前記節部1baに形成された節上ねじ部1dによっても、必要な耐圧縮力が得られる。前記リブ1bbを有する鉄筋1では節上ねじ部1dは前記リブ1bbにも設けられるが、節上ねじ部1dがリブ1bbにも設けられ、また節上ねじ部1dのねじ溝底部が鉄筋本体1aに形成されている場合は、より大きな掛かり代が得られて、より一層耐圧縮力が向上する。
また、節上ねじ部1dは、ねじ加工が必要であるが、大径部W1dの雄ねじ部1cに比べて加工量が少なく、ねじ長さに対する工具摩耗が少ない。このように節上ねじ部1dの加工では工具摩耗が少なく、かつ大径部W1dの雄ねじ部1cの長さが前記のように短くて済むため、ねじ加工における工具の摩耗、例えば転造ではダイス、切削加工ではバイトの摩耗が少なくなり、ねじ加工における工具寿命の低下によるコスト増が抑えられる。ねじ式鉄筋では、ねじ加工の工具寿命がコスト増の大きな要因となるが、これを抑えてコスト低下を図ることができる。
このように、この実施形態の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手は、耐引張力および耐圧縮力上の両方の要件を充足でき、かつ大径部W1dに形成される雄ねじ部1cの長さを短くできて、定着力確保のための節部ピッチの問題が緩和でき、雄ねじ部の加工コストの増加も抑えることができる。
図12に示すように、素材となる鉄製の丸棒状の線材W0を、成形用ロール11,11間に通すことにより、ロール成形による圧延で突条1b(節部1baおよびリブ1bb)を成形する。この成形は、線材W0を加熱しておいて、熱間で行う。成形用ロール11,11によるロール成形の過程で、大径部W1dを設ける。具体的には、成形用ロール11,11は、成形型面となる外周面に、鉄筋1の突条1bを成形する凹部(図示せず)を設けたものであるが、この成形用ロール11,11の外周面における円周方向の一部を、大径
部成形用凹部11aとする。大径部成形用凹部11aの周長は、成形する大径部W1dの長さL1(図11参照)かまたはその2倍とする。この成形用ロール11でロール成形すると、長さ方向の一部が大径部W1dとされ、残り長さ範囲の部分に突条1bが成形されたものとなる。
このようにして得た所定の長さの拡径部付き異形鉄筋W1は、例えば、住宅等の建物の基礎等に適用する場合、モジュール設計された建物のモジュール(例えば910mm、1000mm等)の倍数、または前記モジュールの1/2の長さの倍数とするのが良い。
また、前記実施形態ではカプラー2の両側にロックナット3を設けたが、ロックナット3がカプラー2の片方1個でも滑り量を制御できる場合は、片方のみに設けても良い。
1a…鉄筋本体
1b…突条
1ba…節部
1bb…リブ
1c…雄ねじ部
1d…突条上ねじ部
2…カプラー
2a…雌ねじ部
3…ロックナット
3a…雌ねじ部
h…突条無し区間
前記一対の鉄筋のうち、少なくとも一方の鉄筋は、鉄筋本体の外周に突条を有する異形鉄筋であり、この異形鉄筋である前記少なくとも一方の鉄筋の前記雄ねじ部は、前記鉄筋本体よりも大径の大径部にねじ溝を形成してなり、
この大径部にねじ溝を形成した前記鉄筋に、前記突条にねじ溝を形成して前記カプラーの少なくとも一部を、ねじ山とねじ溝との嵌まり合い状態で逃がし可能とする突条上ねじ部が設けられ、
前記雄ねじ部および前記突条上ねじ部の両方または前記突条上ねじ部のみに螺合して前記カプラーを押し付けるロックナットが設けられ、前記突条上ねじ部に前記ロックナットの全体または一部が設けられていることを特徴とする。
また、前記実施形態ではカプラー2の両側にロックナット3を設けたが、ロックナット3がカプラー2の片方1個でも滑り量を制御できる場合は、片方のみに設けても良い。
また、参考提案例に係る異形鉄筋のねじ式鉄筋継手の各例を以下に示す。
前記ロックナットは、全体が前記雄ねじ部に螺合し、前記カプラーおよびロックナットの雌ねじ部のねじ山径である内径が、前記鉄筋の前記突条外径よりも小径であり、前記突条上ねじ部は、このねじ式鉄筋継手の接続作業時に前記ロックナットの全体および少なくとも前記カプラーの一部を前記突条上ねじ部に逃がし可能な長さを有するようにしても良い。
このように、施工の容易のためにカプラーやロックナットを逃がしておくための部分を突条上ねじ部として設けた場合、雄ねじ部に前記逃がしておくための部分を設ける場合に比べて雄ねじ部を短くできる。雄ねじ部を短くできるため、定着力確保のための節部ピッチの問題が緩和でき、雄ねじ部の加工コストも抑えることができる。
この提案例において、前記一対の鉄筋の端面間に許容隙間を与える中間余長を前記カプラーに設け、前記鉄筋の前記雄ねじ部と前記突条上ねじ部との間に、前記突条のうち、円周方向または螺旋方向に延びる突条を有しない突条無し区間を設け、前記ロックナットの反カプラー側の端面が前記突条無し区間に位置すれば、前記雄ねじ部が前記カプラーに対して、少なくとも設定締結長さ分が螺合しかつ前記許容空き寸法が得られる螺合状態である適正螺合深さになるように、前記雄ねじ部、前記カプラーの全体、前記ロックナット、および前記中間余長の長さの関係が設定されていても良い。
なお、前記突条として円周方向に延びる節部を有する場合、前記ロックナットの反カプラー側の端面が前記雄ねじ部の端とこの雄ねじ部から一つ目の前記節部との間に位置すれば、前記大径部にねじ溝を形成した前記雄ねじ部が前記カプラーに対して、少なくとも設定締結長さ分が螺合しかつ前記許容隙間が得られる螺合状態である適正螺合状態になるように、前記雄ねじ部、前記カプラー、前記ロックナット、および前記中間余長の長さの関係が設定されていても良い。
カプラーに前記中間余長を設け、互いに接続する一対の鉄筋の対向端面間の許容隙間を設定しておくと、長さ調整機能が得られ、配筋の現場施工における誤差を吸収できる。鉄筋端面間の空き寸法が実際に適正範囲内になっているか否かは、カプラーに隠れて外部からは見えない。雄ねじ部のカプラーに対するねじ込み量が浅いと、必要な締結長さを得られず、またねじ込み両が深過ぎて前記中間余長を超えると、他方の鉄筋の雄ねじ部を必要深さまでねじ込むことができない。しかし、上記のようにロックナットの端面が突条無し区間に位置すれば適正螺合深さになるように各部の寸法関係を設定しておくと、カプラーの端面が雄ねじ部と突条無し区間を見るだけで良く、外部からの目視で、適正螺合状態であるか否かが簡単に判断できる。
この構成の場合に、前記一対の鉄筋の両方が前記異形鉄筋であって、前記大径部にねじ溝を形成した前記雄ねじ部を有し、かつ前記両鉄筋が前記突条上ねじ部を有し、前記両方の鉄筋とも、前記ロックナットの反カプラー側の端面が前記突条無し区間に位置すれば前記適正螺合深さになるようにしても良い。
これにより、施工上の不利を伴うことなく雄ねじ部の長さを短くできて、定着力確保のための突条のピッチの問題が緩和でき、雄ねじ部の加工コストも抑えることができるという利点が、より一層効果的に得られる。また両方の鉄筋につき、雄ねじ部がカプラーに対して適正螺合状態であるか否かが、外部からの目視で簡単に判断できる。
Claims (11)
- 一対の鉄筋を接続する鉄筋継手であって、互いに接続される一対の鉄筋の対向する端部に雄ねじ部を有し、両鉄筋の前記雄ねじ部に螺合する筒状のカプラーを備え、
前記一対の鉄筋のうち、少なくとも一方の鉄筋は、鉄筋本体の外周に突条を有する異形鉄筋であり、この異形鉄筋である前記少なくとも一方の鉄筋の前記雄ねじ部は、前記鉄筋本体よりも大径の大径部にねじ溝を形成してなり、
この大径部にねじ溝を形成した前記鉄筋に、前記突条にねじ溝を形成して前記カプラーの少なくとも一部を、ねじ山とねじ溝との嵌まり合い状態で逃がし可能とする突条上ねじ部を設け、
前記雄ねじ部および前記突条上ねじ部のいずれか片方または両方に螺合して前記カプラーを押し付けるロックナットを設けたことを特徴とする異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。 - 請求項1に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記ロックナットは、全体が前記雄ねじ部に螺合し、前記カプラーおよびロックナットの雌ねじ部のねじ山径である内径が、前記鉄筋の前記突条外径よりも小径であり、前記突条上ねじ部は、このねじ式鉄筋継手の接続作業時に前記ロックナットの全体および少なくとも前記カプラーの一部を前記突条上ねじ部に逃がし可能な長さを有する異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
- 請求項1に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記一対の鉄筋の端面間に許容空き寸法を与える中間余長を前記カプラーに設け、前記鉄筋の前記雄ねじ部と前記突条上ねじ部との間に、前記突条のうち、円周方向または螺旋方向に延びる突条を有しない突条無し区間を設け、前記ロックナットの反カプラー側の端面が前記突条無し区間に位置すれば、前記雄ねじ部が前記カプラーに対して、少なくとも設定締結長さ分が螺合しかつ前記許容空き寸法が得られる螺合状態である適正螺合深さになるように、前記雄ねじ部、前記カプラーの全体、前記ロックナット、および前記中間余長の長さの関係が設定されている異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
- 請求項3に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記一対の鉄筋の両方共が、前記異形鉄筋であって、前記大径部にねじ溝を形成した前記雄ねじ部を有し、かつ前記両鉄筋が前記突条上ねじ部を有し、前記両方の鉄筋とも、前記ロックナットの反カプラー側の端面が前記突条無し区間に位置すれば前記適正螺合深さになる異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
- 請求項1に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記突条上ねじ部に前記ロックナットの全体を設けた異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
- 請求項5に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記一対の鉄筋の両方が前記異形鉄筋であって、これら両方の鉄筋につき、前記雄ねじ部が前記大径部に形成され、かつ前記突条上ねじ部および前記ロックナットが設けられた異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
- 請求項5または請求項6に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記ロックナットは、軸方向に沿う断面において、前記突条上ねじ部のねじ山が2〜4つ噛み合う長さである異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記突条上ねじ部は溝底径が前記鉄筋本体の外周面よりも小径であり、前記突条上ねじ部のねじ溝底部が前記鉄筋本体に形成された異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記異形鉄筋が長手方向に延びるリブを有し、前記突条上ねじ部は前記リブ上にも前記ねじ溝を有する異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記異形鉄筋は、前記大径部の外径が前記異形鉄筋の前記突条を含む鉄筋最大外径以下である異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の異形鉄筋のねじ式鉄筋継手において、前記各鉄筋が、素材となる鉄製の線材のロール成形により、前記突条および前記大径部が形成され、前記各雄ねじ部および前記突条上ねじ部が転造ねじである異形鉄筋のねじ式鉄筋継手。
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