最近では、スマートフォンやタブレットPC(パーソナルコンピュータ)といった携帯端末装置はもとより、ノートPC等の小型の電子情報機器において、表示入力装置を装備した機種が増加している。表示入力装置は、タッチパネルとも呼ばれ、液晶などによって実現される画像を表示する「目視表示装置」と、その下または上に配置された透明な「位置入力装置」とが一体となって、構成される。そして、たとえば、これらの電子情報機器の電源を投入した直後には、ビジネスやゲーム等のアプリケーションソフトウエア(アプリケーションプログラム、略称アプリ、またはソフト)のアイコンが、表示入力装置の表示画面中に所狭しと並んで表示されるようになっている。
電子情報機器の操作者が、画像や文字を視覚情報として得ることができる者、すなわち晴眼者であれば、起動したいアプリのアイコンを容易に見つけ出して、指で触れるだけで簡単に操作できる。晴眼者にとって、タッチパネルだけで電子情報機器の操作が可能になるのは、キーボードやマウスで操作することに比べて、ずっと簡単で便利であると言えるだろう。
それに対して、手で触れていなければ電子情報機器がどこにあるのかさえ分からない視覚障害者、特に全盲者の場合、タッチパネルはいわば暗闇の中のただの黒い板であり、タッチパネルにはボタンのような凹凸がないので、その中から起動したいアプリのアイコンに指を触れることなどできない。僅かに視力が残っていても、アイコンが判別できなければ、アプリの起動すらできない。視覚障害者の立場に立てば、タッチパネルによって、電子情報機器の操作を簡単にするという恩恵が受けられないばかりか、むしろ、タッチパネルは、操作をより困難にさせる結果となっている。
この様な状況では、視覚情報を得ることができない視覚障害者が、タッチパネルで電子情報機器を操作するための残る手段は、触覚と聴覚により必要な情報を得ることである。そこで、たとえば、視覚障害者に適応したタッチパネルとして、目視表示装置である表示器で可視表示される所要説明表示部、及び押圧入力部にそれぞれ対応する所要部位表面に、それぞれ上記所要説明表示及び上記押圧表示部に対応する意味を表示し、かつ手指の感触で感知可能な突起群による記号及び/又は点字を固定的に配設したもの(特許文献1)、さらに、複数の表示を切り替え使用されるタッチパネル表面を移動可能に複数の点字構成部を固定的に形成した点字シートでカバーするように形成する機能を有するもの(特許文献2)に関する技術が開示されている。
しかし、これらは、予め点字の位置パターンが定められた、つまり、特許文献1でいえば、表示器で可視表示される所要説明表示部及び押圧入力部の位置が決められている場合にのみ、適用が可能となる。したがって、たとえば、ウエブ(World Wide Web)サイトの様に画面ごとに所要説明表示部及び押圧入力部(他のウエブページのリンク先への移動の操作など)が不特定に変化するような場合は、当然ながら適用できない。
そこで、さらに弾性体の変形により突起を形成する手段を備えた突起形成部を複数配列して、当該突起が点及び前記点の集合群として触覚により図形を提示する触覚ディスプレイ(たとえば、特許文献3)の技術も開示されている。しかしながら、弾性体に変位を発生させるために、磁気、圧電、電歪、熱、光、などを用いたアクチュエータデバイスが必要となり、装置の製造上、複雑で精密な細工が要求される。さらに最近の携帯端末装置のような小画面で高解像度のタッチパネルに適用させるとなると、上記のような装置の製造上の面でますます困難になる他に、余分に多くの電力の供給が必要となるため、この様な装置は携帯端末装置に、実用上、適用が困難と言わざるをえない。
こういった問題を根本的に解決する方法として、最近では、タッチパネル上で行われる操作を音声で知らせる画面読み上げソフトが利用されている。画面読み上げソフトは、指で触れたアイコンがたとえば電子メールのソフトを起動するためのものであれば、「電子メールソフトを起動します」等と音声で案内を行うほか、テキストの読み上げや実行するプログラムの命令を音声で知らせることを目的として開発され、視覚障害者が電子情報機器を操作できる可能性を大きく広げる役割を果たしている。
とは言え、視覚障害者が聴覚から得られる情報だけでタッチパネルによる操作を行う場合、不備や問題点はまだまだたくさんある。たとえば、ウエブサイトでどのような情報が表示されているかを知るのに、晴眼者であれば画面をスクロール操作しながら、さっと一瞥しただけでほぼその全容が把握できる。しかし、全盲者が音声情報だけをたよりに全容を把握しようとすると、タッチパネルの全表面をくまなく慎重に指で触れ、音声を確認する必要がある。
さらに、画面を少しスクロール操作する等をしてアイコン等の位置が変わってしまうと、それだけで、またその場所を探さねばならなくなる。これは、画面の上端や下端のぎりぎりの部分で、何らかの操作を行うような設定がされている場合に、少し画面をずらして指を触れやすくするという操作すら気軽にできないことを意味する。すなわち、全盲者がタッチパネルを操作するのは、晴眼者にとって、黒色の背景の中で、アイコンやテキスト等の情報が全て黒で表示されているタッチパネルを操作するのに等しいといえば、その困難さが良く理解できるだろう。
それでも、タッチパネルのどこに指が触れているか、位置関係を見ることができるだけ、晴眼者の方がまだましである。なぜなら、たとえば、タッチパネルの全表面をくまなく指でスライドしてなぞるにしても、晴眼者はできるだけ重複等を避けてなぞることが可能で、一度指が触れたアイコン等の位置はこの辺りといった当たりを付けることもできるが、全盲者はどちらも困難である。
さらに複雑な操作が必要である場合は、より困難の度合いは高くなる。例えば、電子情報機器を利用して文書を作成するときに、晴眼者も視覚障害者もワープロソフトで行なうのは同じである。ここで、先に作成した文章を読み返したり、修正しようとする場合、晴眼者であれば文章をざっと目で追いながら、対象とする文章の部分をタッチパネルに表示させ、読み返しや修正をすることになる。
ところが、視覚障害者にとって、画面読み上げソフトの音声を聞くだけで、上記の操作を行うことは大変に大きな負担となる。まず、読み返しや修正の対象となる文章がどこにあるかを探す操作が必要になる。ここで、ワープロや画面読み上げのためのソフトに特別な機能がなければ、少しずつ遡っては、文章の一部を音声で確認しながら、対象となる文章を探し出すことになるため、対象となる文章がずっと前の部分である場合、その箇所に行きあたるだけで多大な手間と時間がかかる。さらに文章を探し当てても、削除や修正をする箇所にカーソル等を正確にあてるとなると、また、困難がある。今後は、晴眼者のためにソフトウエアの面から改善は進められていくだろうが、改善のために少しでも操作が複雑になれば、その分は視覚障害者にとって負担になる。
これは電子書籍においても同様と言える。かつて、書籍といえば、ほとんどが紙に文字や画像の情報をインキで印刷した紙媒体であったが、最近では、文字や画像のデータを電子化し、電子情報機器の目視表示装置で表示する電子書籍のかたちで多数流通するようになっている。それに伴い、視覚障害者の読書の様式も、点字から、電子情報機器によってテキストデータの読み上げソフトを利用した音声に転換されつつある。
書籍が学術書であれ、趣味のものであれ、後から読み返したい(音声で再度聴きたい)文章は必ずと言っていいほどある。そのために、従来では、テキストデータの読み上げソフトの中には、目次のページから各章、節、ページにリンクが設定され、リンク先を画面に表示したり音声で読み上げるシステムが備わったものもある。しかし、上記のシステムを利用して読み返したい文章を探し出す場合には、章、節、頁で当たりをつける必要があるということであり、よほど広い範囲にわたっての文脈を覚えていなければ、当該章、節、頁の中に探している文章が含まれているかを判断することはできない。そうすると、電子情報機器による長い時間にわたる読み上げをしたにも拘らず、探している文章が含まれていなければ、また別のところを探すということになりかねない。
もちろん、電子情報機器において、文節や文章の単位でテキストデータをグループ化して、それぞれのグループのデータの分だけ音声で読み上げる構成が、当業者に容易に考えられるであろう。そうすれば、さらにきめ細やかに文章を探すことは可能になる。しかし、視覚障害者にとって、そういったことを実行するために操作が複雑になる分、タッチパネルでの操作の困難性が増す結果になる。
さらに、画面読み上げソフトの利用についても、電車の中やホテルのロビー等の公共の空間では、電子情報機器から流れる音声を、まわりの人にとって騒音となる音量で、そのまま聴いてタッチパネルを操作することは、エチケット上、はばかられる。また、視覚障害者にとっては、自分の身の回りで聴覚によって得られる情報の中には、タッチパネルでの操作のため以外にも重要なものがたくさんある。こういった点を考慮すると、視覚障害者が電子情報機器を操作する際、簡単な操作については、可能な限り、聴覚に頼らずに触覚だけで完結できることが望ましいが、従来のタッチパネルを備える電子情報機器では、その様なことが配慮されていないというのが現状である。
ところで、触覚を利用して電子情報機器を操作する技術は、視覚障害者を対象にするものとは限らず、晴眼者のためのものとしても開発されている。タッチパネルは、表示された画像と、その操作内容との間に関連性があるために、画像を見た操作者が直感的に操作し易いことで、これまで広く普及している。
たとえば画像として押ボタンが表示され、押ボタンを操作者が押す操作をすると、押ボタンに関連付けられたプログラムが動作する。操作者は、画像で表示された押ボタンを見ただけで、押ボタンの部分を押せば何らかの操作が可能であることが直感的に理解できる。
しかしながら、操作者が接触する表示画面は平坦面であるため、押ボタンが表示されている部分と、それ以外の部分とでは、触覚としては区別されていない。また、操作者が、押ボタンの部分を押す操作をしたときに、画像としては、押ボタンが凹むなどの画像に変化して、操作が入力されたことを視覚的に示すことはできるが、表示画面が実際に凹むことはないので、触覚的には何ら変化がない。
操作者がタッチパネルを操作したときに、視覚的のみならず、触覚的にも変化があれば、操作に対するリアリティが増加し、より一層直感的な操作が可能となる。
非特許文献1記載の技術は、タッチパネルの表面を、細い導電性繊維で編まれた導電性布で覆い、操作者が、電極を手に把持した状態で導電性布に接触すると、接触した手に電気的な刺激が付与される。この刺激を利用して、ボタンを押したときの触感覚を、疑似的に指先に与えることができる。
非特許文献2記載の技術は、指先に対して特定の周波数と振幅の振動刺激を付与することにより、指先に疑似的な摩擦感を与えている。
ただ、これらの技術は、通常のタッチパネルでは平面でしか表示できない画像に指が触れたときに、実体があるかのような手触り(触覚)を操作者に感じさせるためのものに過ぎない。
たとえば押ボタンの画像であって、指で画面を押す操作をすれば入力操作できるという情報がすでに画像で与えられていれば、操作者が本当に押ボタンに触れ、それを押した感覚を触覚で示すことにより、一応、操作者がボタンを押したことをより確実に実感できるといった程度の事は可能になる。
しかしながら、非特許文献1及び2のように、表示画面に凹凸感を持たせる目的が、単に操作に対するリアリティを増加させることの実現に終始している限り、操作者が必要とする触覚の情報は、表示された画像を実物と感じさせる手触りや、それを動かしたときの感覚の域を出ない。言い換えれば、操作者がタッチパネルに表示された画像の情報、すなわち、視覚情報に基づいて操作を行うことは従来のままであり、タッチパネルの表示画面に指が触れたときに、平面ではなく、あたかも、そこに実体が有るかのように感じるような触覚を疑似的に作り出して付加することによって操作のリアリティをより増加させることができるという技術が開示されているに過ぎない。それは、取りも直さず、非特許文献1及び2で開示された技術を採用したからといって、電子情報機器を操作するため情報の主体は、あくまでも表示された画像によって操作者に与えられる視覚情報であり、これを触覚表示や音響表示される情報に置き換えるといった発想は一切生じないことを意味するものである。
図1は本発明の実施の一形態の電子情報機器1の表示面7を示す平面図であり、図2はこの電子情報機器1の簡略化した断面図である。電子情報機器1は基本的に、機器本体2上に上から下に順に、触覚表示手段3と、その下に入力操作手段4と、さらにその下に液晶などによって実現される目視表示手段5とが積層されて配置される。触覚表示手段3と入力操作手段4とは、光透過性であり、たとえば透明である。触覚表示手段3と入力操作手段4とが一体化されて組合わされて、「触覚表示」と「入力操作」との両方を行なうことができる構成を、タッチパネル6と呼ぶことがある。
触覚表示手段3は、その全体がほぼ平坦な表示面7を有する。この表示面7に臨んで、複数の個別領域8a〜8hが、その位置を可変に設けられる。参照符について、数字に添え字a〜hなどを付して個別的に示し、総括的には数字だけで示す。個別領域には、アイコンやボタンとそれらを複合したコンボボックス、それら以外で表示されるプログラムを実行するための入力部、テキスト情報表示区域(全部または一部)、他の特定のルールに基づく情報の表示区域などの特定部位により設定されている場合の他、単に表示面7をいくつかに分割した結果として示される領域などにより設定されている場合も含む。個別領域8は、少なくも電子情報機器の操作者(以下、操作者と記載することがある)にその領域の存在と範囲が識別できる程度に、凹凸感を生じさせる触覚表示によって表示されるが、典型的には、図1で例示する通り、部分的に囲み部9によってそれぞれ囲まれる。これらの個別領域8内には、個別領域に備わる電子情報機器の操作に関する情報を操作者に伝達する方法として、文字、図形、記号などを含むキャラクタが、凹凸感を生じるように触覚表示される。
図1の例示として、触覚表示手段3で触覚表示された個別領域8a〜8dの直下では、目視表示手段5により、メール、ワープロ(ワードプロセッサ)、インターネット、電子書籍のプログラムを実行するためのアイコンと文字とがそれぞれ目視表示されている。したがって、個別領域8a〜8dはこれらのプログラムを実行するために設けられたものである。そして、操作者に伝達する電子情報機器の操作に関する情報としては、それらのプログラムの名前と、入力操作を行うことにより該当するプログラムが実行されるというものである。また、 同様に触覚表示された個別領域8e、8fの直下では、作文集、住所録のフォルダを表す画像と文字とがそれぞれ目視表示され、個別領域8e、8fはこれらのフォルダを開くために設けられ、操作者に伝達する電子情報機器の操作に関する情報は、それらのフォルダの名前と、入力操作を行うことにより該当するフォルダが開かれるということである。また、同様に触覚表示された個別領域8g、8hの直下では、表示面7による画面を移動させる下へ、上へのボタンと文字がそれぞれ目視表示され、個別領域8g、8hは表示面7による画面を移動させるために設けられ、操作者に伝達する電子情報機器の操作に関する情報は、入力操作を行うことにより表示面7による画面が下へ、または、上へ移動させるということである。すなわち、これらの個別領域8は、タッチパネル6の表示面7上において、入力操作をするとプログラムが実行される領域を示すものであり、そして、情報伝達手段により操作者に伝達する電子情報機器の操作に関する情報は、どの様なプログラムがどの様に動作するかというものである。
触覚表示手段3は、個別領域8を囲む囲み部9を、実行されるプログラムの動作に対応して、好ましくはその種類毎に異なる形状で、触覚表示する。すなわち個別領域8a〜8dを囲む囲み部9a〜9dは、アプリのプログラムの動作に対応して、4角形で触覚表示される。個別領域8e、8fを囲む囲み部9e、9fは、各種データの集合体であるフォルダまたはファイルを開くプログラムの動作に対応して、角が丸くなった4角形(以下、角丸4角形と称する)で触覚表示される。また個別領域8g、8hを囲む囲み部9g、9hは、表示面7の画面を上下に同期してスクロール移動するプログラムの動作に対応して、6角形で触覚表示される。たとえばタッチパネル6内の、アイコンと「メール」の文字とで目視表示されている個別領域8aを囲む囲み部9aについては、4角形の凹凸部で触覚表示して、囲み部9aの内側の個別領域8aに、点字で「メール」という文字を触覚表示する。操作者が4角形の凹凸部の内側に指を這わせて個別領域8aに触れると、そのことによって入力操作手段4の入力操作が行なわれ、後述の図5の音響表示手段22によって、「メールソフトを起動します」という音声が発せられる。
操作者は、囲み部9aにより個別領域8aの存在を、囲み部9aが4角形の凹凸部であることによりプログラムの動作の種類を、個別領域8aに点字で触覚表示された「メール」という文字を判読し、また、「メールソフトを起動します」という音声を聞くことにより、メールソフトを起動させるための入力操作を行う部位であることを知ることができる。この様に、個別領域8自体を状況に応じて異なる形状の囲み部9で触覚表示し、個別領域8内に点字で文字を触覚表示し、さらに音響表示手段22によって起動するアプリケーションソフトの名前や動作の内容を音声表示するというふうに、触覚表示と音声表示の両方の方法で情報を伝達する実施形態は、操作者に電子情報機器を操作するための情報を伝達する本発明の情報伝達手段の好ましい一例である。
図3は、触覚表示手段3の表示面7において凹凸感を疑似的に抱かせる状態を説明するための図である。表示面7における個別領域8は、キャラクタを触覚表示するための複数の触覚出力部14を有する。触覚出力部14は、それが駆動されることによって、視覚障害者などの操作者のたとえば人差し指11の腹12に接触した状態で、または近接した状態で、凹凸感を疑似的に抱かせる。個別領域8、囲み部9、触覚出力部14は、凹凸部または凹凸とも称することがある。
図4は、複数の触覚出力部14を有する個別領域8を示す簡略化した平面図である。各個別領域8には、たとえばJIS規格(日本工業規格)で定められる点字のマス15が、2行4列に配置される。各マス15は行方向に隣接するマス15との間にマス間17が設定され、またマス15は列方向に隣接するマス15との間にマス行間18が設定される。これらの各触覚出力部14は、選択的に駆動され、点字の表示が行われる。
図5は、図1〜図4に示される電子情報機器1の電気的構成を示すブロック図である。中央演算処理装置などから構成される処理回路21には、触覚表示手段3および目視表示手段5が接続されて各表示出力が達成される。タッチパネル6からの入力操作による出力は、処理回路21に与えられる。さらに処理回路21からの出力によって、音響表示手段22から音声、音の音響表示出力が得られる。音響表示手段22は、スピーカ23およびイヤホン24を選択的に駆動する駆動回路25を含む。処理回路21に接続されるメモリ26には、これらの表示手段3、5、22によって表示出力すべきデータおよびタッチパネル6から入力されたデータなどのデータがストアされる。さらに処理回路21には、インターネット、公衆電話回線網などの回路網と信号を授受する通信手段27が接続される。
電子情報機器1の機器本体2には、表示選択スイッチ31が設けられる。電子情報機器1において、常に能動化される触覚表示手段3以外に、目視表示手段5および音響表示手段22を、表示選択スイッチ31の入力操作によって選択的に能動化/不能動化できる構成を有する。したがって、たとえば操作者に音声で伝達可能な情報は音響表示手段22を能動化して伝達し、物の外観や図形等の形状等で、音声だけでは表現し難いものについては、簡単なものであれば触覚表示手段3による凹凸感という触覚表示方法で操作者に伝達することができる。また、たとえばパスワードや暗証番号の入力など、秘密性の高い情報を利用して電子情報機器1を操作する場合、目視表示手段5および音響表示手段22を不能動化し、共に非表示の状態として、触覚表示手段3による点字や記号、線等の凹凸感から成る触覚表示だけで行ない、また入力操作することができる。この実施の形態は、より秘密性が維持できる環境での操作を可能にする。
電子情報機器1にはさらに、入力操作態様を選択する入力操作態様選択スイッチ32が備えられる。処理回路21には、入力操作態様選択スイッチ32の操作によって、操作者が、たとえば人指し指でタッチパネル6の表示面7の凹凸部を接触しながらなぞるとき、(1)タッチパネルの表面を押しっぱなしにしたまま指をスライドするドラッグ操作、(2)指を払うように指をスライドしながらすぐ離すフリック操作、および(3)あたかも書籍のページを前後に移動する、ドラッグ操作に類似するスワイプ操作などの各種入力操作態様による入力操作手段4の入力検出を、能動化/不能動化して選択することが可能に構成される。
触覚表示手段3によって触覚表示される個別領域8、囲み部9を、人指し指などで接触または押圧することによって、入力操作手段4は、接触または押圧された個別領域8および囲み部9の位置の2次元座標に応じた入力操作を達成する。処理回路21は、入力操作手段4の各個別領域8、囲み部9にそれぞれ対応する入力操作によって、入力操作手段4から出力される信号を受信する。
図6は、タッチパネル6によるタップ操作を説明するための図である。タッチパネル6自体を見ることのできない程度の視覚障害者が利用すると、タッチパネル6の表示面7に押圧力なしで接触し、または押圧力を作用して接触するタッチ操作と、図6(2)で示されるように、個別領域8の入力操作を実行するためにポンと押すタップ操作とが混同されやすいことが想定される。そこで、これらの操作が混同されないように、通常のタップ操作に代えて、図6(3)に示されるように同一の個別領域8の位置をポンポンと2回続けて押すダブルタップ操作で、または3回以上続けて押して入力操作を行なうように構成される。すなわち図6(1)で示されるように触覚表示手段3によって表示されている状態で、図6(2)に示されるようにタッチパネル6を比較的短い時間W1だけポンと押すタップ操作が行われる。これによって処理回路21は、タップ操作が行われた個別領域8に対応するタッチパネル6の表示面7の位置の2次元座標を検出し、そのタップ操作された個別領域8に対応するプログラムの動作を実行する。図6(3)は、図6(1)のように触覚表示されている状態の個別領域8においてダブルタップ操作が実行される状態を示す。このような図6(3)のダブルタップ操作、または前述の3回以上連続して続けて押される入力操作によって、個別領域に対応したタッチパネル6における位置情報が処理回路21に与えられ、入力操作された個別領域8に対応するプログラムの動作が実行される。
図7(1)は、操作者と処理回路21とを併せた、本発明の動作を説明するためのフローチャートである。フローを開始するとステップa1からステップa2に移り、表示選択スイッチ31の操作に従って目視表示手段5は目視表示を行なう。ステップa3では、触覚表示手段3による触覚表示を行なう。操作者はステップa4において、個別領域8のうちの一つを選択し、表示面7に表示されている囲み部9に接触し、たとえば、囲み部9が4角形であれば、アプリのプログラムの動作に対応する操作(図1に示されるメール、ワープロ、インターネットまたは電子書籍を表すプログラムの動作)であると知ることができる。
ステップa5において、操作者は、囲み部9の形状が、目的のプログラムの実行を行うための個別領域の囲み部の形状(目的の形状)かどうかを判断し、目的の形状である場合はステップa6へ、そうでない場合はステップa11に移る。ステップa6において、操作者は選択した個別領域8において押圧操作すると、タッチパネル6からの出力が処理回路21に与えられ、ステップa7により、その入力操作された個別領域8が表すプログラム動作の種類が、音響表示手段22によってプログラムの動作の内容が音声出力される。このようにして、触覚出力部14の凹凸感を得て読み取り、また、音声出力を聴くことにより、選択した個別領域に対応するプログラムの動作の内容を知った操作者は、ステップa8において、選択した個別領域8に対応するプログラムが、実行しようとしているプログラムである場合は、ステップa9へ、プログラムでない場合は、ステップa11に移る。
ステップa9では、選択した個別領域8に対応するプログラムの動作が実行される。一方、ステップa11において、全個別領域が選択されていない場合は、ステップa12により、選択されていない残りの個別領域の一つが選択され、ステップa5に戻る。このように、実行しようとしているプログラムのための個別領域が見つかるまで、ステップa11、a12を介して、ステップa5〜a9の操作を繰り返し、当該個別領域が見つかれば、ステップa9に移る。こうしてステップa10では一連の動作を終了する。
図7(2)は、操作者と処理回路21とを併せて、本発明の他の形態の動作を説明するためのフローチャートである。なお、ステップb1〜b3は、図7(1)のステップa1〜a3と同じ動作であり、ステップb6〜b13、ステップb16〜b22、ステップb25〜b31は、文言を省略しているところもあるが、図7(1)のステップa4〜a12と同じ動作であるため、説明は省略する。
この形態では、ステップb3により、触覚表示手段3による触覚表示が行なわれた後、操作者は実行しようとしているプログラムの種類に基づいて個別領域の囲み部9の形状を選択し、囲み部9がその形状である個別領域のみを表示面7に表示させる機能を付加する。具体的には、操作者が、たとえば、あるアプリのプログラムを実行しようとしているのであれば、ステップb4において、囲み部が4角形である個別領域を選択すると、ステップb5に移り、囲み部9が4角形である個別領域のみが表示面7に触覚表示される。また、操作者がステップb4において、囲み部9が4角形である個別領域を選択せず、ステップb14にて囲み部9が角丸4角形である個別領域を選択すると、ステップb15に移り、囲み部9が角丸4角形である個別領域のみが表示面7に触覚表示される。さらに、ステップb14にて囲み部9が角丸4角形である個別領域を選択せず、ステップb23にて囲み部9が6角形である個別領域を選択すると、ステップb24に移り、囲み部9が6角形である個別領域のみが表示面7に触覚表示される。ステップb3が終了した段階においては、全ての個別領域が表示面7に触覚表示されている。したがって、異なる形状の囲み部9を有する個別領域が多数表示面に触覚表示されている場合は、ステップb4、b5、b14、b15、b23およびb24の構成により、選択する個別領域の数を絞ることができてより効果的である。
本発明の実施の他の形態では、これらのスイッチ31、32は、表示面7の予め定める入力領域にスイッチ34(図1参照)を触覚表示し、前述の選択機能を達成するようにしてもよい。
図8は、本発明の実施の他の形態における触覚表示手段3の触覚表示動作とタッチパネル6の入力操作の動作とを説明するための図である。この実施の形態は、図1〜7の実施の形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を用いて説明する。処理回路21は、触覚表示手段3による予め定める触覚表示期間W3だけ触覚表示を行い、その後の入力操作期間W4においてタッチパネル6からの入力操作を受信する。たとえばこの図8では、入力操作期間W4において、ダブルタップ操作が行われ、そのダブルタップ操作が行われた個別領域8に対応する位置を表す座標の信号が処理回路21に与えられ、入力操作されたプログラムの動作が実行される。このように触覚表示期間W3と入力操作期間W4とが交互に繰返し設定されて、プログラムの動作が実行される。
図9は、本発明の実施の他の形態のタッチパネル6の平面図である。この実施の形態は、前述の実施の形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。タッチパネル6は、前述のように、全体がほぼ平坦な表示面7を有する。表示面7は、6行6列の各個別領域8を触覚表示することができる。図9(1)は、タッチパネル6の表示面7における最上段の左端、すなわち一番上の行X、一番左の列Yの左上端である基準位置(X―Y)に、後述の図10に示される、予め定める仮想上の画面を行および列のラインで分割することにより行列状に配置された個別領域配列面41上の、基準座標(1―1)を有する個別領域8kが存在して触覚表示されている状態を示す。この図9(1)は、たとえば電源投入による初期の、またはリセット後の表示状態を示す。
図9(2)は、タッチパネル6の表示面7における基準位置に、個別領域配列面上の座標(11―3)を有する個別領域8Lが存在している状態を示す。この図9(2)では、タッチパネル6の表示面7における一番下の行X、一番右の列Yの位置に、個別領域配列面上の座標(16―8)を有する個別領域8mが存在する。
図10は、メモリ26にストアされる個別領域配列面41の構成を簡略化して示す図である。個別領域配列面41は、図9(1)〜(3)に対応して、表示面7の6行6列よりも、行および列ともに多い16行8列の行列状に配置された個別領域8を備える。個別領域配列面41における個別領域8には、識別のために、個別領域配列面41における2次元位置情報である行X、列Yの座標(X―Y)が付与される。個別領域配列面41における各個別領域8は、座標(1―1)〜(16―8)を触覚表示し、これによって個別的に識別される。こうして、タッチパネル6は、表示面7と同一行列分、すなわち6行6列分の個別領域配列面41を取り込み、各個別領域8毎の座標(X―Y)を、その座標が割り当てられた各個別領域8にそれぞれ触覚表示する。したがって、表示面7に触覚表示される複数(=6行×6列)の個別領域8は、個別領域配列面41の一部分である。図10には、個別領域配列面41における図9(1)〜図9(3)によって表示されている表示面7における領域は、中央に(1)〜(3)の符号を示し、参照符43〜45でそれぞれ示される。
タッチパネル6の表示面7にはまた、格子状の細長い線状のラインと感じる凹凸部が、行ライン47および列ライン48として、設けられる。行ライン47および列ライン48は、スクロール操作等の操作を行なうとき、個別領域配列面41の全ての個別領域8の画像に一体的に連動して移動する。タッチパネル6の表示面7では、個別領域配列面41における各格子ライン47、48によって囲まれた各格子である個別領域8の2次元位置情報を、行X、列Yの座標(X―Y)で付与して点字で個別領域8に触覚表示する。処理回路21は、操作者に、この点字の触覚表示だけでなく、指が接触した個別領域8の座標を、またはタッチパネル6の表示面7における左上端である基準位置に存在する個別領域の座標を、音響表示手段22によって、音声の音響表示もまた、行なう。この様な個別領域の座標は、情報伝達手段により操作者に伝達する、電子情報機器の操作に関する情報である。
図11は、図9および図10に示される実施の形態における、操作者と処理回路21とを併せて動作を説明するためのフローチャートである。フローチャートを開始するとステップc1からステップc2に移り、メモリ26内の個別領域配列面41から表示面7の行列分の各個別領域8の座標を読み出し、タッチパネル6の表示面7に表示する。電源投入の初期には、図9(1)の画面が触覚表示される。ステップb3では、目視表示手段5によって目視表示される。ステップc4において、操作者は表示面7に表示された各個別領域の一つを選択する。ステップc5で、操作者は選択した個別領域において押圧操作すると、タッチパネル6からの出力が処理回路21に与えられ、ステップc6では、その選択された個別領域の座標位置情報と、個別領域の入力操作で何れかのプログラムが実行される場合はその実行される内容とが、音響表示手段22によって音声出力される。この様な個別領域の入力操作でプログラムが実行される内容は、情報伝達手段により操作者に伝達する、電子情報機器の操作に関する情報である。
たとえば、表示される画面がウェブサイトの場合、背景の部分の個別領域については操作者に「X1行、Y1列」といった個別領域の座標位置情報だけが音声出力され、リンク先が設定されている部分の個別領域では、「X2行、Y2列、リンク先の○○○へジャンプ」と個別領域の座標位置情報および実行されるプログラムの内容を音声表示する。
ステップc7において、操作者は音声表示された情報から、すぐに、あるいは後に実行するプログラムの候補とするかどうかを判断し、候補とする場合はステップc8へ、候補としない場合はステップc12に移る。ステップc8において、さらにそのプログラムをすぐに実行するかどうかを判断し、すぐに実行する場合はステップc9へ、そうでない場合はステップc11へ移る。ステップc9では、選択した個別領域の入力操作によりプログラムを実行し、仮想の画面が変更されることになると、ステップc10で一連の動作を終了する。
一方、ステップc11では、後からプログラムを実行する可能性があるために、個別領域の座標位置情報を記憶し、ステップc12において、先に実行するプログラムの候補が選択されているかを判断する。そして、実行するプログラムの候補が選択されている場合は、ステップc13へ、選択されていない場合はステップc14へ移る。ステップc13では、先に選択したプログラムを実行するかどうかを判断し、実行しない場合はステップc14に、実行する場合はステップc16へ移る。ステップc14では、全部の個別領域を選択したかどうかを判断し、選択していない場合はステップc15へ、すでに全部を選択した場合は、実行するプログラムがないということでステップc10へ移り、一連の動作を終了する。
ステップc15では、新たに、残りの個別領域の一つを選択し、ステップc5へ戻る。そして、ステップc5〜c15(ただし、ステップc9およびc10を除く)の操作を繰り返す間において、ステップc13で先に選択したプログラムを実行するケースが発生したら、ステップc16により、実行するプログラムを入力操作するための個別領域の座標位置情報(以後のステップでは操作個別領域と称する)を検索し、ステップc17により、現在、基本位置にある個別領域の座標位置情報を検索し、そして、ステップc18により、両方の個別領域の座標位置情報から操作個別領域を基本位置に配置するための表示面の移動量を算出する。
ステップc19において、算出した移動量の分だけ表示面を移動させて操作個別領域を基本位置に配置し、ステップc20で、基本位置にある個別領域を選択したら、ステップc9において、その個別領域の入力操作によりプログラムを実行し、仮想の画面が変更されることになると、ステップc10で一連の動作を終了する。
なお、ステップc9において、その個別領域の入力操作によりプログラムを実行しても、仮想の画面が変更されなければ、継続してステップc12やステップc15に移っても良く、また、ステップc5〜c15(ただし、ステップc9およびc10を除く)の繰り返しの間に、一連の動作を中止しても良い。
ステップc16からステップc19を経て、ステップc9に至るまでの操作を図9により具体的に説明すると、たとえば、表示面7に図9(2)の画面が触覚表示されている状態において、操作者が個別領域配列面41上の希望する入力操作を実行するための座標(7―2)が付与された個別領域8n(図9(3)参照)を探し当てるためには、先ず、タッチパネル6の表示面7における左上端である基準位置に存在する個別領域8Lに触覚表示されている座標(11―3)を一方の手の指の接触によって読み取り、あるいは音声情報として聴き取る。これによって、表示面7における左上端である基準位置に、個別領域配列面41上の座標(11―3)が付与された個別領域8Lがあることが判る。以下の説明では、個別領域8を、それに付与されて触覚表示される座標によって示すことがある。
次に、目標とする座標(7―2)を表示面7の左上端である基準位置に移動するには、その図9(2)における基準位置の座標(11―3)と、目標とする座標(7―2)との行と列との各数値から、表示面7の基準位置にある個別領域(11―3)を、Xの正方向である下方に4(=11−7)だけ、およびYの正方向である右方に1(=3−2)だけ、スクロール操作によって移動すべきこと(移動量)を、操作者がたとえば暗算によって算出する。
その後、ステップb19においてスクロール操作が行われることが判断されると、すなわち操作者が、基準位置にある個別領域(11―3)に指を接触したままで、タッチパネル6の表示面7内で、個別領域配列面41の画像の全体(全ての個別領域8ならびに個別領域8と一体的な行ライン47および列ライン48)をスクロール操作し、ステップb2において図9(3)のように下から2行目、左から2列目の位置に移動する。図10の中央に(2)が表示された表示面7において、個別領域(11―3)を矢印の方向にスクロール操作を行うと、結果として表示画面7が白ぬき矢印の方向に移動し、中央に(3)が表示された表示面7になる。
タッチパネル6の表示面7における左上端の基準位置で、座標(7―2)が触覚表示されていることを、他方の手の指の接触によって確認する。この確認後、個別領域(11―3)上から前記一方の手の指を離し、スクロール操作を完了する。そこで、個別領域(7―2)において、押圧による入力操作をすることによって、個別領域(7―2)に対応する予め定める動作が処理回路21によって、達成される。
この実施の形態によれば、操作者が視覚障害者であっても、どの座標の位置にどのような情報があるかを、個別領域に触覚表示される点字および音声出力で知り、視覚障害者が記憶しておけば、自在に、個別領域配列面41の表示面7に触覚表示された画面を、上下左右にスクロール操作して各個別領域8の座標を移動した後、個別領域配列面41における記憶した目標とする座標を有する画面上の位置を、基準位置にもたらすなどして、簡単な入力操作で探し当てることができるようになる。
従来では、視覚障害者は、目視表示画面上でのスクロール操作によれば、どれだけ画面が移動するかを全く把握できず、そのために、スクロール操作は極めて大きな制約を有する操作になっている。本発明の実施の形態によれば、個別領域の座標を電子情報機器の操作に関する情報として、情報伝達手段により操作者に伝達することにより、画面である個別領域配列面41における個別領域8の位置関係を常に把握できる。したがって、図9(1)〜図9(3)のように個別領域配列面41の行列が表示面7の行列より大きく、表示面7の複数の画面にわたって情報が表示される場合でも、あるいは何度もスクロール操作をしたことによって、図9(2)に関連して前述したように表示面7の左上端の基準位置から、触覚表示される基準座標(1―1)が大きくずれている場合でも、希望する目標となる個別領域8を、簡単な入力操作で探し出すことができる。そして、どの座標の個別領域の入力操作でどのプログラムが実行されるか、その内容を電子情報機器の操作に関する情報として、情報伝達手段により操作者に伝達しておくことにより、いつの時点でも、希望するプログラムの実行のために、当該プログラムを実行する個別領域を基準位置にもたらすなどして、容易に入力操作ができるようになる。
本発明の実施に他の形態では、個別領域配列面41の行および列の数は、表示面7と同一であってもよく、または行および列のいずれか一方もしくは両者が少なくてもよい。
本発明の実施のさらに他の形態では、たとえば、前述の図9(2)の状態から、タッチパネル6の表示面7におけるスクロール操作をするとき、行ライン47および列ライン48が移動せず、表示面7に固定的に表示されたままであり、個別領域配列面41の個別領域(11―3)だけが移動する構成とすることもできる。この構成では、個別領域配列面41の個別領域(7―2)を探し当てるには、前述と同様に図9(2)のタッチパネル6の表示面7における左上端の基準位置における個別領域8に触覚表示されている座標(11―3)を指の接触によって読み取る。次に、個別領域(11―3)が、図9(3)のように、タッチパネル6の表示面7において下から2行目、左から2列目の位置になるように、個別領域(11―3)に指を接触したままで、その指が行ライン47および列ライン48を乗り越える数を、下方に4および右方に1だけ、順次的に、操作者が計数しつつスクロール操作する。この操作によって、図9(3)のようにタッチパネル6の表示面7における一番上の行の一番左の列、すなわち左上端である基準位置が、目的とする座標(7―2)を有する個別領域8であることが判る。
また、例えば、移動表示モードを設定して、そのモードに切り替えた時点からスクロールされる行列分「下に三行分、右に一列分移動」というように、表示面7がどれだけ移動したか音声表示するような形態、「基準位置の領域は7行2列」と音声表示するような形態も好ましい。
本発明の実施の他の形態では、図11のステップc11において、操作者が特定のプログラムの実行のための入力操作を行う個別領域8の座標位置情報を自ら記憶する代りに、本件電子情報機器1に自動的に記憶させる構成を備える。たとえば図9(3)のタッチパネル6の表示面7の左上端の基準位置で、目標とする個別領域(7―2)を押圧して入力操作することによって、その入力操作された座標(7―2)が処理回路21によってメモリ26にストアされる構成とする。その後、自動的に座標(7―2)の個別領域を表示面7の基準位置に表示するようにし、記憶させた個別領域8が複数あれば、順番に当該個別領域を表示面7の基準位置に表示するようする。また、電源投入による初期には、直ちに図9(3)の表示状態とすることができるという形態も好ましい。
図12は、本発明の実施の他の形態における処理回路21の動作を説明するためのフローチャートである。この実施の形態は、図1〜11の実施の各形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を用いて説明する。この実施の形態では、図1〜8の構成と図9〜11の構成とが、組み合わされて構成される。図5のスイッチ35の切換え操作によって、タッチパネル6の表示面7で図1と図9との構成による表示面7における画面の凹凸部位を切換えて設けることが可能に構成される。たとえば、先ず、ステップd1からステップd2に移り、図1の画面を表示面7によって触覚表示動作させ、図1のように表示面7における1つまたは複数の画面にわたって、不規則な位置に多くの情報が表示されているウェブサイトの受信動作中において、移動すべき他のウェブページのボタンを触覚表示している目標とする個別領域8の位置を探し当てたとき、ステップd3では、その目標とする個別領域8の押圧による入力操作が図6〜図8のように行われる。次に、ステップd4では、その入力された個別領域8のプログラムの動作を実行する。次に、スイッチ35を操作して、ステップd5では、図9(1)の触覚表示動作に切換えて、個別領域配列面41の行列状に配列される個別領域8のうちの1つを選択して確認し、入力操作する。このことによって、ステップd6では、個別領域配列面41におけるどの行と列の位置に対応させたかが、メモリ26にストアされる。その後の動作は、前述の図11のとおり実行される。
ウェブページを表示するような場合、リンクなどから他の画面に移動した後に、直前に表示されていた画面に戻るなど、一度表示した画面を複数繰り返し表示する場合がよくある。そのような場合に、メモリ26にストアされた個別領域8の座標を、簡単な入力操作で探し出せるようになる。
個別領域配列面41における基準座標(1―1)が表示面7の基準位置にあるとき、個別領域配列面41の個別領域8は、それ以上、左方にも、上方にも移動表示することはできないように、構成される。表示面7の基準位置は、左上端以外の予め定める他の位置であってもよい。
図13は、本発明の実施の他の形態において用いられる文書50の簡略化した正面図である。この実施の形態は、図1〜12の実施の各形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を用いて説明する。文書50は、たとえばワードプロセッサなどで作成した文書や電子書籍等であり、文書50を構成する文章は、メモリ26にストアされる。処理回路21は、その文章を、その文を最小単位とする各部分を、すなわちページ、段落、文を、このページ、段落、文の順序で階層レベルに分けて、ツリー化する。図13には、ページ、段落、文を識別するための番号数字等のキャラクタである符号が、それぞれ付される。
図14は、図13のページ、段落、文に付される符号を示す図である。図14(a)は、文章の第1ページを示す符号であり、図14(b)は第1ページに含まれる第1段落を示す符号であり、図14(c)は第1段落に含まれる第1文を示す符号である。図14(a)〜図14(c)における数字1は、その他の数字に変更される。
図15は、図13に示される文章を、図14に示される符号によってツリー化して表51の形式で触覚表示された状態を示す触覚表示手段3の表示面7を示す正面図である。1つまたは複数の文によって各段落が構成され、1つまたは複数の段落によって各ページが構成される。こうして処理回路21は、文章の文を最小単位とするページ、段落、文を階層レベルによってツリー化した図15の行列状の一覧表51を作成し、文章と表51などとをメモリ26にストアする。メモリ26にストアされる階層レベルを有するページ、段落、文を個別領域8とするツリーは、触覚表示手段3によって表示面7に触覚表示される。
表51は、その全体が矩形枠状の囲み部で触覚表示され、最上行の表題欄には、左端にページを触覚表示する表題用個別領域52が、その右側に隣接して、段落を触覚表示する表題用個別領域53が、およびその右にさらに隣接して、文を触覚表示する表題用個別領域54が、階層レベルの上位から下位に順次的に配置される。この様な個別領域に触覚表示されるページ、段落、文は、情報伝達手段により操作者に伝達する、電子情報機器の操作に関する情報である。表51において、表題用個別領域52、53、54の下部には、囲み部を構成する行ライン57および列ライン58が凹凸状罫線として設けられて触覚表示される。最上行の表題用個別領域52〜54毎に、列ライン58a、58b、58c1〜58c3などが触覚表示される。行ライン57および列ライン58で囲まれて行列状に配置される各個別領域8には、ページ等の符号が点字表記で触覚表示される。この様な個別領域に点字表記で触覚表示されるページ等の符号は、情報伝達手段により操作者に伝達する、電子情報機器の操作に関する情報である。さらに、たとえば第1ページおよび第2ページを表す個別領域8p1、8p2は、行ライン57a、57bによって囲まれて触覚表示される。第1段落および第2段落を表す個別領域8q1、8q2は、行ライン57a1、57a2によって囲まれて触覚表示される。こうして囲み部である行ライン57と列ライン58とによって各個別領域8が、少なくとも部分的にそれぞれ囲まれて、行列状に触覚表示される。
上位レベルである、たとえば第1ページの個別領域8p1を囲む囲み部である行ライン57a、57bは、その第1ページに含まれる下位レベルである第1〜第5段落の個別領域8q1〜8q5の範囲にわたって、表51の上下の列方向に間隔をあけて、延びて触覚表示される。すなわち第1ページを表す個別領域8p1では、図15において、第1〜第5段落毎の列ライン57a1〜57a4が触覚表示されず、列方向に細長く形成される。こうして第1ページの個別領域8p1は、その列方向は、下位レベルの第1〜第5段落を含むことが、階層レベルによってツリー化して触覚表示される。
さらに第1段落に含まれる第1〜第3文の符号は、その第1段落の個別領域8q1の右方の行方向に順次的に形成された個別領域8rに触覚表示される。
図16(1)〜(3)は、図13〜図15に示される実施の形態における操作者と処理回路21とを併せて動作を説明するためのフローチャートである。図16(1)において、フローチャートを開始するとステップe1からステップe2に移り、文章をページ、段落、文の階層レベルによってツリー化してメモリ26にストアする。次のステップe3では、図15の表51の形式で、ページを表示する個別領域にページ番号を、段落を表示する個別領域に段落番号を、文章を表示する個別領域に文章番号を触覚表示する。ステップe4において、操作者が表示したい文章が含まれるページが分かっている場合はステップe5へ、分かっていない場合はステップe21へ移る。
ステップe5では、操作者は該当するページを選択し、ステップe6において、表示したい文章が含まれる段落が分かっている場合はステップe7へ、分かっていない場合はステップe14へ移る。ステップe7では、操作者は該当する段落を選択し、ステップe8において、表示したい文章が段落の何番目に含まれるが分かっている場合はステップe9へ、分かっていない場合はステップe11へ移る。ステップe9では、操作者は表示したい文章を表示し、ステップe10で一連の動作を終了する。
操作者がステップe4の段階で、表示したい文章が含まれるページが分かっていない場合、図16(2)のステップe21〜ステップe36までにより、一からそのページを探すことになる。まず、操作者はステップe21により、表示したい文章が含まれていそうなページの一つ目を選択する。この一つ目の選択は、おおよその見当であってよい。ステップe22で選択したページの第一段落の第一番目の文章を表示し、ステップe23において、選択したページに表示したい文章が含まれるかどうか分かる場合はステップe28へ、分からない場合はステップe24へ移る。そしてステップe24において、現在のページの他の文章の表示を続けて行なう場合はステップe25へ、行わない場合はステップe27へ移る。さらにステップe25において、選択したページの全段落の第一番目の文章を表示している場合はステップe29へ、していない場合はステップe26へ移る。さらにステップe26により、選択したページの次の段落の第一番目の文章を表示した後、ステップe23〜e26の操作を繰り返し、最長の動作は、ステップe25により、選択したページの全段落の第一番目の文章を表示し終えればステップe29へ移ることになる。
また、ステップe28において、選択したページに表示したい文章が含まれる場合はステップe6へ、含まれていない場合はステップe27へ移る。そして、ステップe29において、現在のページの他の文章の表示を続けて行なう場合はステップe30へ、行わない場合はステップe27へ移る。ステップe30により、選択したページの第一段落の全部の文章を表示し、ステップe31において、選択したページに表示したい文章が含まれるかどうか分かる場合はe35へ、分からない場合はステップe32へ移る。さらに、ステップe32において、現在のページの他の文章の表示を続けて行う場合はステップe33へ、行わない場合はステップe27へ移る。ステップe33において、選択したページの全段落の全部の文章を表示した場合はステップe36へ、表示していない場合はステップe34へ移る。さらに、ステップe36において、選択したページに表示したい文章が含まれている場合はステップe6へ、含まれていない場合はステップe27へ移る。ステップe34により、選択したページの次の段落の全部の文章を表示し、ステップe31に戻る。このように、ステップe31〜e34の動作を繰り返して、選択したページに表示したい文章が含まれるかどかを判別する。
これらのステップe21〜e36により選択したページに表示したい文章が含まれるかどうかを判別する方法は、選択したページの各段落の第一番目の文章を表示し、それで判別できなければ、選択したページの各段落の全文を表示することによるが、各段落の表示する文章の長さに制約されるものではない。もちろん、文章の表示の途中で、選択したページに表示したい文章が含まれているかどうかが分かった時点で、ステップe28またはe35に移っても良い。また、ステップe24またはe32で、一旦、別のページを選択した後、前のページを選択しても良い。
ステップe21〜e36により、表示したい文章が含まれるページを選択した後、ステップe6に移り、表示したい文章が含まれる段落が分かっている場合は先に記載の通りステップe7に、分かっていない場合はステップe14に移る。ステップe14により、選択したページの第一段落の第一番目の文章を表示し、ステップe15において、それが表示したい文章であればステップe9へ、違えばステップe16に移る。そして、ステップe16において、その段落に表示したい文章が含まれるかどうか分かった場合はステップe19へ、分からない場合はステップe17へ移る。
さらに、ステップe17において、選択した段落の全部の文章を表示した場合は、必然的に表示したい文章がその段落に含まれるかどうかが分かるのでステップe19へ、全部の文章を表示していない場合はステップe18へ移る。ステップe18により選択した段落の次の文章を表示し、ステップe15に戻る。また、ステップe19において、その段落に表示したい文章が含まれる場合はステップe8へ、含まれない場合はステップe20へ移る。ステップe20により、選択したページの次の段落の第一番目の文章を表示して、ステップe15に戻る。この様にステップe15〜e18およびステップe15〜e20の動作を繰り返して、表示したい文章が含まれる段落を判別する。
また、ステップe8において、表示したい文章がその段落の何番目の文章か分かっていない場合はステップe11に移る。ステップe11で、選択した段落の第一番目の文章を表示し、ステップe12により、表示したい文章であればステップe9へ、そうでない場合はステップe13へ移る。ステップe13では、選択した段落の次の文章を表示し、ステップe11からe13の動作を繰り返して、表示したい文章がその段落の何番目にあるかを判別する。
なお、図では、ステップe5において、該当するページを選択するという操作のみ記載したが、そのための操作の一例をさらに図16(3)の(イ)で記載する。まず、ステップe37により、表示したい文章が含まれていそうなページの一つ目を選択し、ステップe38により、何ページ目かを表示する個別領域で入力操作して、ステップe39により、何ページ目かを音声表示する。操作者は、ステップe40において、何ページ目かを表示す個別領域で示されている触覚表示および上記の音声表示などから、選択したページが何ページかを確認する。さらに、ステップe42において、選択したページが、表示したい文章が含まれるページである場合はステップe42によりそのページを選択し、そうでない場合はステップe43に移る。ステップe42により、表示したい文章が含まれていそうな別のページの一つを選択した後、ステップe38に戻る。そして、ステップe38〜e43の動作を繰り返して、表示したい文章が含まれるページを選択する。本例において、音声表示される“何ページ目か”は、情報伝達手段により操作者に伝達する、電子情報機器の操作に関する情報である。
さらに、図では「の文章を表示」とのみ記載している、ステップe11、e13、e14、e18、e20、e22、e25、e30およびe34において、文章を表示するための操作の一例をさらに図16(3)の(ロ)で記載する。まず、操作者は、ステップe44により、段落を示す個別領域の囲み部の触覚表示や音声表示等から目的の段落を示す個別領域を選択し、ステップe45により、その選択した段落における文章を示す個別領域の、囲み部の触覚表示や音声表示等から目的の文章を示す個別領域を選択する。さらに、操作者は、ステップe46により、選択した個別領域の段落における文章を触覚表示および音声表示するための入力操作を行うことにより、ステップe47により、目的とする文章の触覚表示や音声表示を行う。本例において、個別領域の入力操作により触覚表示や音声表示される文章は、情報伝達手段により操作者に伝達する、電子情報機器の操作に関する情報である。
本形態の個別領域における入力操作と触覚表示は以下の様にして行うことが好ましい。たとえば、表51におけるページ、段落、文を表す個別領域8における識別のための触覚表示される符号を指でタップする等の押圧による入力操作が行われたかどうかが判断される。入力操作が行われたとき、表51を表示していた表示面7の画面が切換わり、その入力操作された個別領域8の階層レベルよりも下位レベルに含まれる文または文章の全てを、順次的に点字で触覚表示する。たとえば第1ページの個別領域8pを押圧操作されたとき、その1ページに含まれる全ての下位の階層レベルの第1〜第5段落8qに含まれる全ての文が触覚表示される。あるいはまた第1段落の個別領域8qが押圧されて入力操作されると、その第1段落に含まれる全ての第1〜第3文が触覚表示される。また第1段落に含まれる第1文の個別領域が押圧によって入力操作されると、その第1文が次の画面で触覚表示される。
さらに、点字表記される内容は、音響表示手段22によって、同時に音声出力されることも好ましい。表示面7に一度に触覚表示できる情報量には限度があるため、特に一つのページの全ての文章を表示するような場合、操作者は音声出力される方が簡単に情報を得ることができる。
本形態により、文毎の触覚表示、さらには音声出力が可能であり、より簡単な操作で、1つひとつの文単位での頭出しができ、視覚障害者が自ら作成した文書においては修正したい個所等の文をすぐに検索したりでき、探し出しやすく、その探し出した文の修正がさらに容易であり、電子書籍の読み返したい文を何度も繰り返して読んだり、さらに朗読させることもできる。このことにより、視覚障害者でも「何ページ目の何番目の段落の何番目の文」と、その文が「どの様な内容か」を、簡単に把握できる。
表示選択スイッチ31によって、音響表示手段22を不能動化すれば、音声を発することがはばかられるような場所でも、たとえば電子書籍の読書が可能になる。
実施の他の形態において、文章を、さらに上位から下位のレベルに順に、たとえば部、章、節、項、段落、文ごとに分けて、識別符号を付し、その一覧表51を、前述と同様にして作成してもよい。実施の他の形態では、前述の実施の形態とは、行および列の配置が、前述の実施の形態とは、逆であってもよい。
図17は、本発明の実施の他の形態における電子情報機器1の表示面7aを示す正面図である。この実施の形態は、図1〜16の実施の各形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を用いて説明する。視覚障害者が現金自動預け払い機を操作したり、スマートフォンなどによってインターネットバンキング等を行なう場合を考慮した、操作手法の一例が示される。表示面7aの画面の最上段に、図17における上から下の案内方向67の始点位置が常に設けられ、この始点位置には、四角形の凹凸部から成る囲み部61が触覚表示される。囲み部61の内側の個別領域62には、始点であることを、点字で「この画面で行う操作をご案内します」と触覚表示される。囲み部61の図17における左端部から鎖線または点線で線状の凹凸状罫線である個別案内表示部64、および個別案内表示部64に連なって接続される主案内表示部65aが触覚表示される。主案内表示部65は、案内方向67に延びる。罫線の個別案内表示部64および主案内表示部65に指を這わせてなぞって辿ってゆけば、目的とする入力操作を完了できる。この様な個別領域が始点であることを示す、点字で触覚表示される「この画面で行う操作をご案内します」という情報は、情報伝達手段により操作者に伝達する、電子情報機器の操作に関する情報である。
主案内表示部65aには、さらに複数(たとえば図17では、合計6)の個別案内表示部64a1〜64a6が、案内方向67に沿って間隔をあけて順次的に枝分かれして連なる。各個別案内表示部64a1〜64a6には、4角形の凹凸部の囲み部69a1〜69a6によってそれぞれ囲まれた個別領域66a1〜66a6が連なって触覚表示される。主案内表示部65aは、図17において案内方向67に、個別案内表示部64、64a1〜64a6が連なる接続位置の長さSにわたって細長く延びる。個別領域66a1〜66a6には、それを入力操作する内容であるボタンなどを含むアイコンが触覚表示される。個別領域66a1〜66a6に触覚表示される点字で操作の内容および選択の内容等は、音響表示手段22によって、音声出力される。この様な、個別領域において点字で触覚表示される、また、音声出力される内容は、情報伝達手段により操作者に伝達する、電子情報機器の操作に関する情報である。また、触覚表示される主案内表示部及び個別案内表示部は、次の個別領域に指が辿りつくための、情報伝達手段により操作者に伝達する、電子情報機器の操作に関する情報である。
このように個別領域62、66a1〜66a6を囲み部61、69a1〜69a6で囲み、個別案内表示部64、64a1〜64a6、主案内表示部65によって順次的に連ねて接続する。したがって、視覚障害者であっても、表示面7に触覚表示された画面の最上段の4角形の凹凸部から成る囲み部61内の個別領域62を始点として、個別案内表示部64を経て、さらに主案内表示部65を、さらに個別案内表示部64、64a1〜64a6を指でなぞっていけば、個別案内表示部64a1〜64a6を読み取ることができる。画面ごとに行なう図17の“手続の種類”、後述の図19の“金融機関の種類”、図20〜22の“金融機関名”、図23、24、25の“預金、口座、金額”、図26の“手続の確認”の選択および入力操作を順次的に完結できる。
図18は、図17、19〜26に示される本発明の実施の形態における、操作者と処理回路21とを併せて、動作の一部を示すフローチャートである。なお、図18の説明を行うにおいて、図17の表示面7aと図19以降の表示面7b〜7iとをまとめて、表示面7a等と記載する。同様に主案内表示部をまとめて主案内表示部65a等、個別案内表示部をまとめて個別案内表示部64a等、個別領域66a1〜66i1を個別領域66a1等、個別領域66a2以降〜66i2以降を個別領域66a2以降等と記載する。
ステップf1からステップf2に移り、表示面7a等が目視表示され、ステップf3では、表示面7a等が触覚表示される。ステップf4では、操作者は表示面7a等の最上段にある個別領域62を読取った後、個別領域62の「この画面で行う操作を説明します」という文字情報を触覚表示により確認する。さらに、ステップf5では、操作者は表示面7a等の個別案内表示部64を経て主案内表示部65a等を辿り、その主案内表示部65a等に連なる一つ下の個別案内表示部64a1等から個別領域66a1等において触覚表示されている内容を読み取る。ステップf6において、個別領域66a1等で触覚表示されている内容が、何かの選択に関するものである場合(本形態では、図17、19〜23、26)はステップf7へ、そうでない場合(本形態では、図24、25)はステップf16に移る。
操作者は、ステップf7により、個別領域66a1等から個別案内表示部64a1等、主案内表示部65a等および個別案内表示部64a2を辿り、個別領域66a1等の一つ下の個別領域(最初は個別領域66a2以降等の一番上段)に移動した後、その個別領域で触覚表示されている内容を読み取る。そして、ステップf8において、その個別領域で触覚表示されている内容が五十音の選択である場合(本形態で該当するのは図21)はステップf14へ、そうでない場合はステップf9へ移る。さらに、ステップf9において、ステップf7による個別領域の表示の内容が、ステップf6の個別領域66a1等の“何かの選択”に対応する場合はステップf10へ移り、そうでない場合はステップf7へ戻る。
操作者は、ステップf10に至るまで、ステップf7〜f9の操作を繰り返す。また、ステップf8からステップf13に移った場合は、ステップf14により、個別案内表示部64a2以降等、主案内表示部65a等および一つ下の個別案内表示部64a2以降等を辿り、ステップf7による個別領域より一つ下の個別領域(図20では個別領域66c8、図21では個別領域66d3)に移動する。この個別領域は、50音のひらがなの各文字を触覚表示する個別領域が行列状に配置されて五十音一覧表を構成している。ステップf15により、該当する五十音の個別領域を五十音一覧表から選択し、ステップf10へ移る。ステップf10により、操作者が選択した個別領域による、選択の実行を入力処理すると、当該操作画面により行う手続が終了し、ステップf11に移る。
一方、ステップf6からステップf16に移った場合、操作者は、ステップf16により、個別領域(図24では66g1、図25では66h1)から個別案内表示部(図24では64g1、図25では64h1)、主案内表示部(図24では65g、図25では65h)および個別案内表示部(図24では64g2、図25では64h2)を辿って、一つ下の個別領域(図24では66g2、図25では66h2)に移動する。個別領域66g2および66h2は、1から0までを触覚表示する10個の個別領域が一列に配置されて数字一覧表を構成している。
操作者は、ステップf17により、まず、入力する番号(図24では口座番号、図25では振り込む金額)の一番目の数字に該当する個別領域を選択し、ステップf18により、選択実行のための入力操作を行う。さらに、ステップf19において、全部の数字が入力操作されていない場合はステップf20へ移り、次の数字に該当する個別領域を数字一覧表から選択し、ステップf18へ戻る。操作者は、全ての数字を入力操作するまでステップf18〜f20の操作を繰り返し、その入力操作が終わると、当該操作画面により行う手続が終了し、ステップf19からステップf11に移る。
ステップf11において、全部の操作画面を操作していない場合は、ステップf13に移る。ステップf13では、次の操作画面に移るために、表示面7に次の操作画面が表示され、ステップf4に戻る。操作者は、ステップf11において全ての操作画面を操作したと判断されるまで、ステップf4〜f10(ステップf8からステップf14、15へのフローも含む)およびステップf4〜f6からf16〜f20までの操作を繰り返し、その入力操作が終わるとステップf12により一連の操作は終了する。
図19は、図17の個別領域66a4が入力操作されることによって、触覚表示される表示面7bを示す正面図である。図17の個別領域66a4が選択されて振り込みのための入力操作がなされると、図19の画面が触覚表示される。操作者は囲み部61の個別領域62から個別案内表示部64を経て主案内表示部65bに移り、最初の個別案内表示部64b1から個別領域62b1の触覚表示された内容を読取る。その後、個別案内表示部64b1から主案内表示部65bに戻り、案内方向67における次の分岐された個別案内表示部64b2から囲み部69b2によって囲まれた個別領域66b2を読み取る。銀行を選択するために、この個別領域66b2を押圧して入力操作する。
図20は、図19の個別領域66b2が入力操作されることによって、触覚表示される表示面7cを示す正面図である。始点位置の個別領域61を読み取った後、個別案内表示部64を経て主案内表示部65cを辿り、最初の分岐された個別案内表示部64c1から個別領域66c1を読み取る。銀行名の選択をすべきことを理解した操作者は、個別案内表示部64c1から主案内表示部65cに戻り、各個別領域66c2〜62c4を前述と同様に辿り、この個別領域66c4において触覚表示された△△△銀行を選択して押圧し、入力操作する。
主案内表示部65cを辿って個別領域66c6までに希望する銀行が見つからないとき、主案内表示部65cから個別案内表示部64c7に移り、操作手順を個別領域66c7において読み出す。これによって主案内表示部65cに戻って個別案内表示部64c8から個別領域66c8に移る。この個別領域66c8は、50音順でひらがなの各文字を、行列状に行ライン71と列ライン72とによって囲まれた領域に触覚表示する。操作者は、この個別領域66c8における希望する銀行名の最初の一文字を読み取って押圧して入力操作することができる。
図21は、図20の個別領域66c4が入力操作されることによって、触覚表示される表示面7dを示す正面図である。前述の図20における△△△銀行を選択するために選択個別領域66c4が入力操作されることによって、対応するプログラムの動作が実行され、表示面7dが得られる。前述と同様にして個別領域62から個別領域66d1に移り、支店名の選択をすべきことを読み出し、その後、個別領域66d2において最初の一文字を選択すべきことを読み出し、したがって主案内表示部65dから個別案内表示部64c3を経て個別領域66d3における50音のひらがなの各文字を触覚表示する行列状の表のうち、たとえばこの実施の形態では、ひらがな文字「ふ」の領域74を押圧によって入力操作する。
図22は、図21の個別領域66d3においてひらがな文字「ふ」の領域74が入力操作されることによって、触覚表示される表示面7eを示す正面図である。始点となる個別領域62から個別案内表示部64、主案内表示部65e、個別案内表示部64e1を経て個別領域66e1を読み出す。これによって操作者は、支店名を選び出す入力操作をすべきことが判る。そこで個別案内表示部64e1から主案内表示部65eを経て個別案内表示部64e2から支店名の一覧表である個別領域66e2に到達する。この個別領域66e2において、触覚表示された支店名を探し出して入力操作する。たとえばこの実施の形態では、富士見支店の領域75を入力操作する。
図23は、図22の個別領域66e2において富士見支店の領域75が入力操作されることによって、触覚表示される表示面7fを示す正面図である。表示面7fにおける始点となる個別領域62から個別領域66f1に移り、普通預金か当座預金かの預金の種類を選択すべきことを読み取る。前述と同様にして、個別案内表示部64f1から主案内表示部65fを経て個別案内表示部64f2から個別領域66f2へ、あるいはさらに主案内表示部65fに戻って個別案内表示部62f3から個別領域66f3へ移り、普通預金または当座預金のいずれかを選択するための入力操作が行なわれる。
図24は、図23の個別領域66f2または66f3が入力操作されることによって、触覚表示される表示面7gを示す正面図である。預金の種類が選択された後、表示面7gの始点の個別領域62から個別案内表示部64を経て主案内表示部65gから個別案内表示部64g1を辿り、個別領域66g1において口座番号の入力すべきことを読み出す。個別案内表示部64g1から主案内表示部65gを経て個別案内表示部64g2を辿り、個別領域66g2において、10個の各数字1〜0が表示された領域を口座番号の複数桁分、順次的に入力操作する。
図25は、図24の個別領域66g2による口座番号が入力操作されることによって、触覚表示される表示面7hを示す正面図である。表示面7gの始点の個別領域62から個別案内表示部64を経て主案内表示部65hから個別案内表示部64h1を辿り、個別領域66h1において振り込み金額の入力すべきことを読み出す。前述と同様に次の個別領域62h2に移り、10個の各数字1〜0が表示された領域を振り込み金額の複数桁分、順次的に入力操作する。
図26は、図25の個別領域66h2による振り込み金額が入力操作されることによって、触覚表示される表示面7iを示す正面図である。表示面7iの始点の個別領域62から個別案内表示部64を経て主案内表示部65iから個別案内表示部64i1を辿り、個別領域66i1において振り込み手続をするか、変更するかの選択を入力すべきことを読み出す。前述と同様に次の個別領域62i2、またはさらに62i3に移り、前記選択のための入力操作をする。こうして、現金自動預け払い機による振り込み動作を完了する。
図17〜26の画面は、あくまでも一連の入力操作の例示であって、その間に他の操作を含む画面が設定されていることは何ら差し支えない。
本発明の実施の他の形態では、たとえば、図20において、金融機関の種類に銀行を選択した後の画面として、銀行を選択したことを触覚表示して告知するとともに、その選択が正しいとき「次の画面に進む」か、または他の選択に変更するために「前の画面に戻る」かを触覚表示し、このように何らかの選択がされた後には、その都度、選択が正しいかどうかの確認の画面が挿入されていてもよい。この確認の画面の場合でも、図17と同様に、画面の最上段に始点の囲み部61を設け、その内側の個別領域62に点字で「この画面で行う操作をご案内します」と触覚表示し、また、音声出力でも案内を行なう。さらに囲み部61の左側に、個別案内部64を設け、主案内表示部65に連なるように接続する。主案内表示部65からは、案内方向67に沿って、操作する内容とその内容に沿って選択する項目等について、個別案内表示部64から囲み部69に枝分かれして、個別領域66が接続される。この構成によって、左側の下方67に主案内表示部65を指でなぞっていけば、個別案内表示部64に分岐し、もしも希望する個別領域66でなければ、もとの主案内表示部65に戻り、案内方向67の下流に存在する次の個別案内表示部64から希望する個別領域66の選択を確認する入力操作が可能になる。
また、セキュリティーなどに配慮が不要な操作や環境においては、各操作を行う際のガイダンスとして、音声による音響表示を行っても良い。
触覚表示手段3の触覚出力部14は、近接または接触する操作者に対して疑似的に凹凸感を抱かせるように触覚表示することが可能な構成であれば、特に限定されない。以下では、触覚表示手段13について3つの構成を例として説明する。
図27は、本発明の実施の一形態の一部の触覚出力部14を簡略化して示す斜視図である。タッチパネル6の表示面7に形成される個別領域における複数の触覚出力部14である部位のうち、或る部位を超音波振動させたとき、たとえば人指し指11の腹(掌面)12との間の空間に発生する高圧力の空気層が存在する部位(低い抵抗感)と、超音波振動させないことによって高圧力の空気層が存在しない他の部位(高い抵抗感)とを設け、それらの部位に指が触れたときの抵抗感の差から、疑似的に、すなわち等価的に、凹凸感を抱かせることができる。触覚出力部14は、超音波振動子81によって実現される。
超音波振動子81は、超音波の周波数の交流駆動源によって個別的に選択して駆動される。超音波振動子81は、たとえば透明圧電材料82と透明電極材料83とが積層されてなる透明圧電素子84と、これを支持する支持部85とからなる。透明圧電材料82としては、セラミック材料のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)または高分子材料のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)やPLLA(ポリL乳酸)とPDLA(ポリD乳酸)との積層体などを使用することができる。透明電極材料83としてはZnO、SnO2またはITO(酸化インジウムスズ)などを使用することができる。
支持部85は、弾発的に変形可能であり、片持ち梁状に形成される透明の電気絶縁材料から成り、入力操作手段4の表面に透明圧電素子84を支持する。
操作者の人差し指11が超音波振動子81に近接すると、既知のスクイーズ膜効果によって、操作者の人差し指11の腹12と超音波振動子81の表面との間に圧縮された空気層が発生する。発生した空気層は、操作者の人差し指11を超音波振動子81の表面から浮揚させた状態とするので、操作者の人差し指11には、相対的に動摩擦係数の小さい低摩擦領域であるという皮膚感覚が付与される。
触覚出力部14である超音波振動子81が動作していない状態では、超音波振動が発生していないので、超音波振動子81に近接する操作者の人差し指11は、浮揚されることはなく、動作していない超音波振動子81の表面に接触する。そうすると、相対的に動摩擦係数の大きい高摩擦領域であるという皮膚感覚が付与される。タッチパネル6の表面は平坦で一様であるが、指11に付与される皮膚感覚から高摩擦領域が凸部分であるものと認識し、低摩擦領域が凹部分であるものと認識する。このように、触覚出力部14を選択的に制御することによって、触覚表示手段3の触覚表示が可能となる。
本発明の実施の他の形態の触覚出力部14は、タッチパネル6の表示面7の複数の部位のうち、振動する部位と振動しない部位とを設け、それらの部位に指11が触れたときの振動の伝達の有無から疑似的に凹凸感を抱かせる構成を有する。この実施の形態は、前述の図27の実施の形態に類似する。触覚出力部14は、振動子によって実現される。振動子は、音波の周波数の交流駆動源によって個別的に選択して駆動される。触覚出力部14である振動子を、前述の超音波振動子81の動作周波数よりも低い周波数で駆動して振動させ、触覚出力部14に直接接触する操作者のたとえば人差し指11に振動刺激を付与する。
触覚出力部14である振動子を動作させた状態で、操作者の人差し指11が振動子に接触すると操作者の人差し指11には、特定周波数の振動刺激が付与される。振動子が動作していない状態で操作者の人差し指11が振動子に接触しても操作者の手指Fには振動刺激は付与されない。このように、触覚出力部14の動作を制御することによって、触覚表示手段3は、疑似的に凹凸感を抱かせて触覚表示する。
本発明の実施のさらに他の形態では、振動子の動作条件を変更し、振動刺激によって操作者に摩擦感を付与することもできる。皮膚が固体表面を滑るときには、皮膚表面と固体表面との間ではスティックスリップ振動が生じる。この振動が皮膚感覚受容器に対する刺激となり、手指が摩擦感を感じる。触覚出力部14である振動子を、予め定める特定の周波数で予め定める特定の振幅で駆動し、操作者の指11が振動子に接触すると、指11の皮膚感覚受容器に振動刺激が付与される。このとき、人差し指11が感じる摩擦感を高めて、操作者の指11には、タッチパネル6の表示面7において、振動刺激が付与された領域が、相対的に動摩擦係数の大きい高摩擦領域との皮膚感覚が付与される。触覚出力部14である振動子が駆動されていなければ、指11に振動刺激が付与されないので、タッチパネル6の表示面7において、指11には、相対的に動摩擦係数の小さい低摩擦領域との皮膚感覚が付与される。こうして、タッチパネル6の表面は平坦で一様であるが、操作者は、指11に付与される皮膚感覚から高摩擦領域が凸部分であるものと認識し、低摩擦領域が凹部分であるものと認識する。
本発明の実施のさらに他の形態では、発生する振動刺激の周波数および振幅を変化させて、上記の例とは逆に、振動刺激が付与された領域を低摩擦領域と認識し、振動刺激が付与されない領域を高摩擦領域と認識するように構成することも可能である。
図28は、本発明の実施の他の形態の一部の触覚出力部14を簡略化して示す斜視図である。触覚出力部14は、透明電極86によって実現される。タッチパネル6の表示面7の複数の部位のうち、静電気の帯電する部位と帯電しない部位とを設け、それらの部位に指が触れたときに指に伝わる電気的な刺激の有無から疑似的に凹凸感を抱かせる。触覚出力部14である透明電極86に低周波信号を供給する。タッチパネル6に近接する操作者のたとえば人差し指11と透明電極86とを容量結合させ、指先のメルケル細胞などの皮膚感覚受容器に対して電気的刺激を付与する。皮膚感覚受容器は、電気的刺激を受けることによって、実際には受けていない圧力やその他の刺激などを受けたかのような感覚を抱かせる。透明電極86は、ZnO、SnO2またはITOなどの透明電極材料を使用することができる。
触覚出力部14である透明電極86は、入力操作手段4の接触面とは反対側の面である裏面に設けられる。触覚出力部14である透明電極86に低周波信号を供給して駆動し、指11が入力操作手段4を挟んで透明電極86とは反対側の接触面に近接また接触すると、人差し指11と透明電極とが容量結合し、人差し指11の皮膚感覚受容器に電気的刺激が付与される。触覚出力部14である透明電極86に低周波信号が供給されなければ、指11が入力操作手段4を挟んで透明電極86とは反対側の接触面に近接また接触しても皮膚感覚受容器には電気的刺激が付与されない。
操作者が、人差し指11でタッチパネル6の表面に接触し、そのまま接触させながら人差し指11を移動させるとき、タッチパネル6の表面において、動作している触覚出力部14に対応する領域と、動作していない触覚出力部14に対応する領域とで付与される皮膚感覚が異なるので、タッチパネル6の表面は平坦で一様であるが、操作者は、タッチパネル6表示面7に凹凸があるかのような感覚を抱く。
入力操作手段4は、指11と導電膜との間での静電容量の変化を捉えて2次元位置の座標を検出する静電容量方式の構成であってもよく、対向する2枚の抵抗膜のうち一方に予め定める電圧を印加しておき、指で押圧されたとき他方と接触して挿通したときに得られる電圧を、2次元の位置で検出する抵抗膜方式の構成であってもよく、その他の構成によって実現されてもよい。
本発明は、もちろん、図1〜図28の実施の態様に限定されることは、意図されていない。前述の実施の各態様から、電子情報機器の操作者が視覚障害者である場合、操作者の指が表示面7に触れたとき、触覚情報として疑似的に点字、記号、線や図形等の特定のキャラクタの形状で凹凸感を操作者に抱かせる部位、たとえば触覚出力部などを、タッチパネルの表示面の任意の位置に設け、操作者は当該部位に指が触れたときに得られる触覚情報に基づいて電子情報機器を操作すれば、電子情報機器の入力操作が如何に簡単になるかがわかるであろう。