JP2016090380A - タンパク質を検出するためのマイクロアレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロアレイを使用する者が、検出したいタンパク質を捕捉するためのタンパク質を自由に組み合わせて使用することができる、タンパク質検出用のマイクロアレイを提供すること。
【解決手段】固体支持体、当該固体支持体に固定化された一本鎖DNA(A)、標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質、及び当該標的タンパク質と結合し、且つ、一本鎖DNA(A)に相補的な配列を含む、一本鎖DNA(B)を有するマイクロアレイ;その製造方法及び使用方法。
【選択図】図1
【解決手段】固体支持体、当該固体支持体に固定化された一本鎖DNA(A)、標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質、及び当該標的タンパク質と結合し、且つ、一本鎖DNA(A)に相補的な配列を含む、一本鎖DNA(B)を有するマイクロアレイ;その製造方法及び使用方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、タンパク質を検出するためのマイクロアレイに関する。
近年、ライフサイエンスの研究分野において、多数の生体情報を一括して解析する分析手法としてマイクロアレイ法が開発されている。マイクロアレイとは、マイクロチップのような微小な基板上に、キャプチャープローブとして調べたい物質(標的物質)と結合する物質をアレイ状に複数配置させたものである。
検体をマイクロアレイの基板に配置したプローブ(キャプチャープローブ)に接触させて、標的物質とプローブとを反応させた後、結合したものを検出することで、検体中に多数存在する標的物質の有無又はその含有量を一括して調べることができる。
検体をマイクロアレイの基板に配置したプローブ(キャプチャープローブ)に接触させて、標的物質とプローブとを反応させた後、結合したものを検出することで、検体中に多数存在する標的物質の有無又はその含有量を一括して調べることができる。
既に様々な形態のマイクロアレイが開発されており、基板の2次元表面上でフォトリソグラフィーによりキャプチャープローブ(DNA、ペプチド等)が逐次的に合成されたマイクロアレイ(特許文献1)、予め合成しておいたキャプチャープローブが基板の2次元表面上にスポッティングされたマイクロアレイ(特許文献2)等が知られている。
他の例として、複数の区画を有し、各区画が孔や中空繊維により形成され、キャプチャープローブを含むゲル状物が各区画に保持されている三次元の生体関連物質検出用マイクロアレイが提案されている(特許文献3及び4)。このような三次元の生体関連物質検出用マイクロアレイは、フォトリソグラフィー法やスポッティング法と比較して、製造する際に高価な製造設備を必要とせず、また、安定した品質のマイクロアレイが大量に生産できるという利点を有する。
さらに、このような三次元の生体関連物質検出用マイクロアレイは、キャプチャープローブを含むゲル状物を中空繊維の中空部に保持するため、単に平面基板にキャプチャープローブを保持するマイクロアレイと比較して、一区画により多くの量のキャプチャープローブを保持することができるため、非常に高い検出感度を得ることができる。
キャプチャープローブにより捕捉される物質は、DNAだけでなく、タンパク質、ペプチド、糖鎖、その他の化合物等とすることが可能であり、基礎研究分野を中心に臨床診断分野においても利用されている。
例えば、血中タンパク質である膵臓癌マーカータンパク質を、マイクロアレイ基板上に配置したキャプチャープローブと反応させた後、プローブに結合した膵臓癌マーカータンパク質を質量分析により分析する方法(特許文献5)、肺癌患者の検体中に存在する自己抗体のエピトープとなるペプチドを配置したマイクロアレイを使って肺癌マーカーを検出する方法(特許文献6)が知られている。また、癌マーカーだけでなく、アレルギー反応を引き起こすアレルゲンタンパク質を配置したマイクロアレイを作製し、血清中に存在するアレルギーに特異的なIgE抗体の量を調べる方法(特許文献7)も知られている。
しかしながら、市販されているタンパク質検出用マイクロアレイは、すでに特定の検出用プローブが基板上に固定化されており、研究者が様々なタンパク質を検出したい場合には、その検出したいタンパク質のプローブが搭載されたマイクロアレイを複数組み合わせて購入する必要がある。
また、一般に市販されているタンパク質検出用マイクロアレイでは検出できない種類のタンパク質を検出したい場合や、特定のタンパク質を組み合わせて同一のマイクロアレイ上で検出したい場合には、使用者は特別な製造設備を持っている事業者にマイクロアレイの製造を依頼する必要がある。
従って、本発明は、マイクロアレイを使用する者が、検出したいタンパク質を捕捉するためのタンパク質を自由に組み合わせて使用することができる、タンパク質検出用のマイクロアレイを提供することを主な目的とする。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、固体支持体に結合した一本鎖DNAと結合できるように、標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質を結合させた一本鎖DNAを作成して、これらの一本鎖DNAを結合させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、固体支持体、当該固体支持体に固定化された一本鎖DNA(A)、
標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質、及び当該標的タンパク質と結合し、且つ、一本鎖DNA(A)に相補的な配列を含む、一本鎖DNA(B)を有するマイクロアレイ、その製造方法及びその使用方法に関する。
標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質、及び当該標的タンパク質と結合し、且つ、一本鎖DNA(A)に相補的な配列を含む、一本鎖DNA(B)を有するマイクロアレイ、その製造方法及びその使用方法に関する。
本発明によれば、所望の組合せのタンパク質検出用マイクロアレイを提供することができる。また、本発明によれば、簡便に所望のタンパク質を感度よく検出するマイクロアレイを提供することができる。
本発明のマイクロアレイは、固体支持体に固定化された一本鎖DNA(A)に、当該一本鎖DNA(A)に相補的な配列を含み、かつ、標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質と結合した一本鎖DNA(B)が結合したマイクロアレイである。
(1)固体支持体
固体支持体の種類は、一本鎖DNAが結合することができれば、その種類・材質、形状、サイズ等については限定されない。例えば、ガラス、シリコン、ゲル、樹脂、金属、木材、活性炭、石等を使用することができる。これらの中でも、ガラスを主成分とするスライドガラス、例えばモノマーを重合させて得られるゲルを使用することが好ましく、ゲルを使用することがより好ましい。
固体支持体の種類は、一本鎖DNAが結合することができれば、その種類・材質、形状、サイズ等については限定されない。例えば、ガラス、シリコン、ゲル、樹脂、金属、木材、活性炭、石等を使用することができる。これらの中でも、ガラスを主成分とするスライドガラス、例えばモノマーを重合させて得られるゲルを使用することが好ましく、ゲルを使用することがより好ましい。
また、固体支持体の形状も限定されず、球状;半球状;三角柱、四角柱等の多角柱;三角錐、四角錐等の多角錐;円柱状が挙げられる。これらの中でも、以下の(2)マイクロアレイの製造の項目で述べるように、円柱状の固体支持体が好ましい。上記のように円柱状の固体支持体に一本鎖DNAを含むゲルを充填することにより、3次元的な空間の広がりを利用してキャプチャープローブを高密度に配置でき、また、ゲル中においてキャプチャープローブや標的物質となるDNA、タンパク質等が3次元的に自由に動き回れるため、高い検出感度を得ることができるからである。固体支持体のサイズもマイクロアレイの用途、サイズ、検出器の種類等に応じて、適宜選択することができる。
(2)一本鎖DNA(A)
本発明で使用する一本鎖DNAのうち、固体支持体に固定化された方の一本鎖DNAを一本鎖DNA(A)と呼ぶ。本発明のマイクロアレイは、複数種類のタンパク質を検出することができるようにするために、複数のプローブを使用することができる。すなわち、複数種類の一本鎖DNA(A)使用することができる。
本発明で使用する一本鎖DNAのうち、固体支持体に固定化された方の一本鎖DNAを一本鎖DNA(A)と呼ぶ。本発明のマイクロアレイは、複数種類のタンパク質を検出することができるようにするために、複数のプローブを使用することができる。すなわち、複数種類の一本鎖DNA(A)使用することができる。
一本鎖DNA(A)として異なる配列のDNAを複数使用する場合は、その異なる配列間でTm(二重らせん構造の結合・解離温度)が同一又は実質的に同一となるように設計されていることが好ましい。固体支持体に固定化された複数の一本鎖DNA(A)の配列間において、温度による結合力のばらつきを小さくすることができるからである。
一本鎖DNA(A)の長さは、複数の配列間で同一又は実質的に同一であることが好ましく、また、複数の配列間において配列中のGC含量が同一であることが好ましい。さらに、一本鎖DNA同士の結合・解離を適切に進行させるために、一本鎖DNA(A)はプローブ内で立体構造をとりにくい配列又は長さであることが好ましい。
本発明において、一本鎖DNA(A)の長さは、5〜80塩基長とすることができ、10〜60塩基長とするのが好ましく、15〜50塩基長とするのがより好ましい。一本鎖DNA(A)の長さを5塩基長以上とすることにより、一本鎖DNA(B)と十分な強度で結合することができる。一本鎖DNA(A)の長さを80塩基長以下とすることにより、プローブ内で立体構造を取るのを抑制することができる。
本発明においては、一本鎖DNA(A)は固体支持体に固定化されている。一本鎖DNA(A)の固定化の方法は特には限定されず、固体支持体に十分強固に固定化されればよい。例えば、以下に述べるように、あらかじめ所定の濃度の5’末端をビニル化した一本鎖DNA(A)をゲル前駆体溶液に添加しておき、ゲルを重合することにより、一本鎖DNA(A)を共有結合を介してゲルに固定化することができる。
(3)標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質
標的タンパク質とは、本発明のマイクロアレイにおいて検出対象となる、検体に含まれる生体から採取されたタンパク質を意味する。
標的タンパク質とは、本発明のマイクロアレイにおいて検出対象となる、検体に含まれる生体から採取されたタンパク質を意味する。
本発明の標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質の種類については特に限定されず、標的タンパク質の種類に応じて適宜選択することができる。標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質としては、標的物質と結合する認識部位を有するタンパク質だけでなく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体などの抗体タンパク質、抗体と特異的に結合する抗原タンパク質の他、レクチンタンパク質等を使用することができる。また、標的物質と結合する特異的な認識部位、すなわちエピトープを使用することもできる。
標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質又はそのエピトープを調製する方法は、特には限定されず、公知の方法を使用することができる。例えば、「タンパク質精製と取り扱いのコツ」森山達哉編,羊土社,1267−1271(2010)に記載されているような方法を用いることができる。また、天然物から抽出したものを精製してもよく、蚕などの昆虫、大腸菌を用いて生産させたものでもよい。自動合成装置で人工合成してもよい。
(4)一本鎖DNA(B)
本明細書では、標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質と結合し、且つ、一本鎖DNA(A)の塩基配列と相補的な配列を有する一本鎖DNAを、便宜的に一本鎖DNA(B)と呼ぶ。
本明細書では、標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質と結合し、且つ、一本鎖DNA(A)の塩基配列と相補的な配列を有する一本鎖DNAを、便宜的に一本鎖DNA(B)と呼ぶ。
一本鎖DNA(B)は、一本鎖DNA(A)の塩基配列と相補的な配列を有するため、一本鎖(A)と結合することができる。また、一本鎖DNA(B)は、その末端側に標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質を結合させる。当該タンパク質との結合は、一本鎖DNAの末端にあるアミノ基を介して形成される。アミノ基の位置は結合形成の容易さから5’末端が好ましい。
本発明では、様々な種類の標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質を結合させた一本鎖DNA(B)を調製することにより、マイクロアレイを使用する者が、自由に所望のマイクロアレイを簡便に製造、使用することができる。
一本鎖DNA(B)の配列及び長さも特には限定されず、マイクロアレイやタンパク質の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、一本鎖DNA(B)の長さは10〜150塩基長とすることができ、15〜140塩基長が好ましく、20〜120塩基長がより好ましい。一本鎖DNA(B)の長さを10塩基長以上とすることにより、一本鎖DNA(A)とより強固に結合することができる。一本鎖DNA(B)の長さを150塩基長以下とすることにより、安定的にタンパク質を固定化することができ、また、標的タンパク質を効率良く捕捉することができる。
一本鎖DNA(B)とタンパク質を結合させる方法は、特には限定されず、例えば、Innova Biosciences社のThunder−Link(登録商標)oligo conjugation systemなどの市販のキットを用いることもできるし、例えば国際公開第07/086619号パンフレットに記載された方法のように公知の方法によって結合させることもできる。
(5)本発明のマイクロアレイの製造
本発明のマイクロアレイの製造方法について、具体例により詳述する。ここでは、固体支持体としてゲルを用いたマイクロアレイを例に挙げて説明する。
本発明のマイクロアレイの製造方法について、具体例により詳述する。ここでは、固体支持体としてゲルを用いたマイクロアレイを例に挙げて説明する。
(5−1)中空繊維束の製造
まず、中空繊維束(以下、「ブロック」ということがある。)を製造する。中空繊維束を製造する方法は、特には限定されず、複数の繊維が固定されていればよい。例えば、特開2001−133453号公報に記載されたように、中空繊維を同軸方向に配列させた後、樹脂で固める方法を利用することができる。
まず、中空繊維束(以下、「ブロック」ということがある。)を製造する。中空繊維束を製造する方法は、特には限定されず、複数の繊維が固定されていればよい。例えば、特開2001−133453号公報に記載されたように、中空繊維を同軸方向に配列させた後、樹脂で固める方法を利用することができる。
(5−1−1)中空繊維
中空繊維は、種々の材料を用いることができるが、有機材料が好ましい。
中空繊維は、種々の材料を用いることができるが、有機材料が好ましい。
有機材料からなる中空繊維としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系中空繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート等のポリエステル系中空繊維、ポリアクリロニトリル等のアクリル系中空繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系中空繊維、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート系中空繊維、ポリビニルアルコール系中空繊維、ポリ塩化ビニリデン系中空繊維、ポリ塩化ビニル系中空繊維、ポリウレタン系中空繊維、フェノール系中空繊維、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等からなるフッ素系中空繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系中空繊維等が挙げられる。
当該中空繊維の製造方法は限定されず、公知の方法で製造することができる。例えば、溶融紡糸法が好ましく、ノズルとしては馬蹄型やC型ノズル、2重管ノズルなどを使用することができる。本発明においては、連続した均一な中空部を形成させることができる点で2重管ノズルを用いるのが好ましい。
本発明で使用する中空繊維は多孔質であってもよく、溶融紡糸法又は溶液紡糸法に延伸法、ミクロ相分離法、抽出法などの公知の多孔化技術を組み合わせることにより得ることができる。多孔度は特に限定されるものではないが、繊維材料単位長さ辺りに固定化される生体高分子の密度を高めるという観点から、比表面積が大きくなるように高い多孔度であることが望ましい。
中空繊維の内径は任意に設定できる。好ましくは10〜2000μm、より好ましくは150〜1000μmとすることができる。内径を10μm以上とすることにより、多くのプローブを固定化することができる。内径を2000μm以下とすることにより、中空繊維の内空に十分な強度でゲルを保持することができる。
また、必要に応じて、中空繊維にはカーボンブラック等の黒色顔料を適量含有させたものを用いることもできる。黒色顔料を含有することにより、検出する際にゴミ等の夾雑物由来の光学的ノイズを軽減することができたり、樹脂の強度を上げたりすることができる。顔料の含有量は限定されず、中空繊維のサイズやマイクロアレイの使用目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%とすることができる。
(5−1−2)ブロック
ブロックに貫通孔を形成させるには、上記中空繊維の複数本を、中空繊維の各繊維軸が同一方向となるように3次元に配列し、その配列が乱れないように接着剤等の樹脂で固定する方法が利用できる。
ブロックに貫通孔を形成させるには、上記中空繊維の複数本を、中空繊維の各繊維軸が同一方向となるように3次元に配列し、その配列が乱れないように接着剤等の樹脂で固定する方法が利用できる。
例えば、粘着シート等のシート状物に複数本の中空繊維を所定の間隔をもって平行に配置し、シート状とした後、このシートを螺旋状に巻き取る方法(特開平11−108928号公報)が挙げられる。
また、複数の孔が所定の間隔をもって設けられた多孔板2枚を孔部が一致するように重ねあわせ、それらの孔部に、中空繊維を通過させ、2枚の多孔板の間隔を開き、2枚の多孔板間の、中空繊維の周辺に硬化性樹脂原料を充満させ硬化させる方法(特開2001−133453号公報)が挙げられる。
硬化性樹脂原料としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の有機材料からなるものが好ましい。具体的には、有機高分子等から構成される1種類以上の材料から形成されているものが好ましい。
有機高分子としては、ポリウレタン、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などのゴム材料や、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等からなるフッ素系樹脂、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系樹脂等が挙げられる。
有機高分子にはカーボンブラック等の黒色顔料を適量含有させることもできる。黒色顔料を添加することにより、検出する際にゴミ等の夾雑物由来の光学的ノイズを軽減することができたり、また、樹脂の強度を上げたりすることができる。顔料の含有量は限定されず、中空繊維のサイズやマイクロアレイの使用目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%とすることができる。
また、有機系のブロックを使用することもでき、有機系ブロックにレーザー等により複数の貫通孔を形成させることもできる。各貫通孔は有機系のブロックに互いに平行に配置され、所定の間隔をもって形成されることが好ましい。貫通孔の形状は、正方形、長方形、円形等である。円形の場合、その直径は10〜2000μm程度である。また貫通孔の配置は、同心円状、らせん状等である。貫通孔は10〜10,000孔/cm2の密度でブロックに形成される。
更に、隣接する中空繊維の外表面を相互に融着することによって中空繊維束を製造する
こともできる。
こともできる。
配列の固定は、配列した中空繊維の全長又は所定部分に対して行う。配列した中空繊維
の少なくとも一方の端部から適当な長さの部分は固定しない状態とすることもできる。
の少なくとも一方の端部から適当な長さの部分は固定しない状態とすることもできる。
本発明で配列する中空繊維の数、すなわちスポットの数は限定されず、目的とする実験
等に応じて適宜選択することができる。従って、中空繊維同士の距離も、マイクロアレイ
の面積と配列する中空繊維の数等に応じて適宜選択することができる。
等に応じて適宜選択することができる。従って、中空繊維同士の距離も、マイクロアレイ
の面積と配列する中空繊維の数等に応じて適宜選択することができる。
(5−2)ゲル
本発明に用いるゲルの種類は、特に限定されず、天然物から得られるゲルであれば、アガロース、アルギン酸ナトリウムなどの多糖類の他、ゼラチン、ポリリジン等のタンパク質などが利用できる。
本発明に用いるゲルの種類は、特に限定されず、天然物から得られるゲルであれば、アガロース、アルギン酸ナトリウムなどの多糖類の他、ゼラチン、ポリリジン等のタンパク質などが利用できる。
好ましい合成高分子としては、例えば、ポリアクロイルスクシンイミドなど反応性官能基を有するポリマーと、反応性を示す架橋剤を反応させて得られるゲルが利用できる。他には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルアミノエトキシエタノール、N−アクリロイルアミノプロパノール、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸及びアリルデキストリン等の重合性モノマーを単量体として、多官能性単量体、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等との共重合により得られる合成高分子ゲルが好ましい。
本発明のマイクロアレイに用いるゲルの濃度は特には限定されず、使用するタンパク質等の種類や量、標的物質の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、単量体成分の濃度に換算して、2質量%以上が好ましく、より好ましくは2〜10質量%、更により好ましくは3〜7質量%、特に好ましくは、3.5〜5質量%である。2質量%以上で、タンパク質等を確実に固定化することができ、標的物質の検出を効率良く行うことができる。また、該濃度を10質量%以上としても飛躍的な効果が得られにくい傾向がある。
合成高分子ゲルを前記の貫通孔基板のマイクロアレイに保持させる場合は、前記ブロックに合成高分子のゲル前駆体溶液を充填させた後、ブロック内でゲル化させて保持させることができる。その後、ブロックの貫通孔の配向方向に対し、垂直な方向に薄片化することで、貫通孔基板にゲルを保持させたマイクロアレイを得ることができる。ここでゲル前駆体溶液とは、架橋構造を形成してゲル化をもたらす化学物質を含む溶液をいう。例えば、単量体、多官能性単量体、重合開始剤及び水等を含む溶液と定義することができる。
ゲル前駆体溶液をブロックの貫通孔内に充填する方法は、例えば、微細な針を有するシリンジに前記溶液を吸引し、各中空繊維の中空部に針を差し込むことにより導入することができる。
また、中空繊維束を樹脂で固めて製造するブロックを用いる場合において、中空繊維束の一方の端部が固定されていない場合は、次の方法によりゲル前駆体溶液を中空繊維内へ導入することもできる。まず中空繊維束の固定されている端部の中空部を封止し、もう一方の固定されていない端部の中空部を開放しておく。次に標的物質と結合する前記タンパク質を含むゲル前駆体溶液を調製し、該ゲル前駆体溶液及び前記中空繊維束をデシゲーター内に設置し、次いで中空繊維束の中空繊維が固定されていない端部を、この溶液中に浸し、デシゲーター内を減圧状態にした後、常圧に戻すことにより、中空繊維の溶液に浸した端部より、この溶液を中空繊維中空部へ導入することができる。
中空繊維の中空部に導入されたゲル前駆体溶液を重合(反応)させることにより、一本鎖DNAを含むゲル状物を中空繊維の中空部に保持させる。重合条件は特には限定されず、使用したゲル前駆体の種類等により適宜選択することができる。例えば、アクリルアミド系の単量体であれば、ラジカル開始剤を使用して重合することができ、好ましくは、アゾ系開始剤を利用した熱重合反応により重合させることができる。
(5−3)一本鎖DNA(A)の固定化
一本鎖DNA(A)の固定化の方法は特には限定されず、固体支持体に十分強固に固定化されればよい。例えば、前記ゲルに一本鎖DNA(A)を固定化する場合は、あらかじめ所定の濃度の5’末端をビニル化した一本鎖DNA(A)をゲル前駆体溶液に添加しておき、上記した方法でゲルを重合することにより、ゲルに共有結合を介して一本鎖DNA(A)を固定化することができる。
一本鎖DNA(A)の固定化の方法は特には限定されず、固体支持体に十分強固に固定化されればよい。例えば、前記ゲルに一本鎖DNA(A)を固定化する場合は、あらかじめ所定の濃度の5’末端をビニル化した一本鎖DNA(A)をゲル前駆体溶液に添加しておき、上記した方法でゲルを重合することにより、ゲルに共有結合を介して一本鎖DNA(A)を固定化することができる。
(5−4)ブロックの薄片化
上記の方法で得られた貫通孔を有するブロックの各貫通孔中に、標的物質と結合するタンパク質を、ゲルを介して保持させた後、貫通孔が配向する方向と垂直方向に切断することにより、基板に貫通孔が配列されたマイクロアレイを得ることができる。
上記の方法で得られた貫通孔を有するブロックの各貫通孔中に、標的物質と結合するタンパク質を、ゲルを介して保持させた後、貫通孔が配向する方向と垂直方向に切断することにより、基板に貫通孔が配列されたマイクロアレイを得ることができる。
切断方法は、薄片化することができれば限定されない。例えば、ミクロトーム、レーザー等により行うことができる。得られる薄片の厚みは限定されず、実験の目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、5mm以下、好ましくは0.1〜1mmとすることができる。
(5−5)一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)との結合
一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)とは、お互いに相補的な配列を有するので、その相補的な配列において結合させることができる。一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)とを結合させる方法や条件も特には限定されず、公知の方法で結合させることができる。すなわち、一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)とをハイブリダイゼーションすることができればよい。
一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)とは、お互いに相補的な配列を有するので、その相補的な配列において結合させることができる。一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)とを結合させる方法や条件も特には限定されず、公知の方法で結合させることができる。すなわち、一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)とをハイブリダイゼーションすることができればよい。
例えば、緩衝液中で、上記(5−4)で得られた一本鎖DNA(A)が固定化されたマイクロアレイと、タンパク質が結合した一本鎖DNA(B)とを接触させればよい。緩衝液の種類も、一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)との結合を妨げなければ限定されない。例えば、トリス塩酸緩衝液を用いることができる。
緩衝液中の塩濃度も、一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)との結合を妨げなければ限定されない。緩衝液中の塩濃度は、例えば0.01〜0.25Mが好ましく、0.02〜0.2Mがより好ましく、0.03〜0.15Mがさらに好ましい。緩衝液中の塩濃度を0.01M以上とすることにより、一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)との結合が促進される。緩衝液中の塩濃度を0.25M以下とすることにより、一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)との結合の阻害が抑制される。
本発明の場合は、タンパク質が結合した一本鎖DNAとこれに相補な一本鎖DNAとを結合させるため、タンパク質の活性を維持したまま一本鎖DNA同士が特異的に結合する温度で反応させることが好ましい。当該反応は20〜44℃の温度で行うことが好ましく、25〜37℃の温度で行うことがより好ましい。反応温度を20℃以上とすることにより、一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)との特異的な結合が促進される。反応温度を44℃以下とすることにより、一本鎖DNA(B)に結合させたタンパク質の活性の低下を抑制することができる。
(6)本発明マイクロアレイの使用
本発明のマイクロアレイの使用方法は、検体中の標的タンパク質が検出できれば特には限定されない。
本発明のマイクロアレイの使用方法は、検体中の標的タンパク質が検出できれば特には限定されない。
(6−1)マイクロアレイと検体との接触(反応)
まず、マイクロアレイと検体とを接触させる。このとき、マイクロアレイに検体を滴下してマイクロアレイに検体を接触させても良いし、検体を含む溶液(以下、「検体溶液」ということがある。)にマイクロアレイを浸漬することにより検体をマイクロアレイに接触させても良い。
まず、マイクロアレイと検体とを接触させる。このとき、マイクロアレイに検体を滴下してマイクロアレイに検体を接触させても良いし、検体を含む溶液(以下、「検体溶液」ということがある。)にマイクロアレイを浸漬することにより検体をマイクロアレイに接触させても良い。
検体溶液の調製方法は特には限定されず、公知の方法を用いることができる。当業者であれば、マイクロアレイに適した検体溶液を調製することができる。検体溶液は、必要に応じて、塩や界面活性剤等の添加物を含むことができる。塩の種類は限定されず、実験の目的等に応じて適宜選択することができる。
塩としては、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが好ましい。検体溶液中の塩濃度は、0.001〜0.1Mが好ましく、0.005〜0.08Mがより好ましく、0.01〜0.06Mがさらに好ましい。検体溶液中の塩濃度を0.001M以上とすることにより、マイクロアレイと生体関連物質との非特異的な相互作用が形成されにくい。検体溶液中の塩濃度を0.1M以下とすることにより、生体関連物質とプローブとの特異的な相互作用による結合が形成されやすい。
界面活性剤の種類は、起泡性や標準物質の検体溶液への溶解度などを考慮して選択するが、検体溶液が種々の緩衝液を含むことから、陽イオン系界面活性剤又は非イオン系界面活性剤から選択することが好ましい。界面活性剤濃度は0.01〜0.1質量%が好ましく、0.015〜0.05質量%がより好ましく、0.02〜0.05質量%がさらに好ましい。
接触させる際の検体の温度は限定されず、4〜35℃、好ましくは20〜30℃程度とすることができる。また、接触させる時間も限定されず、標的物質などの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、60秒〜24時間、好ましくは1〜8時間、より好ましくは2〜4時間とすることができる。
(6−2)マイクロアレイの洗浄
その後、必要に応じて、マイクロアレイを洗浄することができる。マイクロアレイを洗浄することにより、マイクロアレイ中のゲルやタンパク質等に非特異的に結合した検体中の標的物質以外の物質が洗い流され、プローブに特異的に結合している標的物質だけを検出することができる。
その後、必要に応じて、マイクロアレイを洗浄することができる。マイクロアレイを洗浄することにより、マイクロアレイ中のゲルやタンパク質等に非特異的に結合した検体中の標的物質以外の物質が洗い流され、プローブに特異的に結合している標的物質だけを検出することができる。
当該洗浄に使用する洗浄液の種類は、マイクロアレイや貫通孔内に非特異的に結合した生態関連物質を効率良く洗い流すことができれば、特には限定されない。例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどの塩を含むことが好ましい。
洗浄液中の塩濃度は0.01〜0.4M(mol/L)が好ましく、0.02〜0.3Mがより好ましく、0.03〜0.25Mがさらに好ましい。洗浄液中の塩濃度を0.01M以上とすることにより、効率良く非特異的に結合した物質を除去することができる。また、洗浄液中の塩濃度を0.4M以下とすることにより、特異的に結合した生体関連物質が除去されるのを避けることができる。
洗浄の方法は限定されない。例えば、0.05% Tween−20を含む0.12MTris−HCl、0.12M塩化ナトリウム溶液中に浸漬させ、20〜30℃の室温下で、10〜20分間振とうさせる操作を、1回以上繰り返すなどの方法により洗浄することができる。
(6−3)検出
洗浄後、マイクロアレイに結合した標的物質を種々の標識剤で標識する。例えば、標識剤の水溶液を調整し、標識剤溶液中に洗浄後のマイクロアレイを10分間から30分間浸漬させることで標識することができる。標識剤溶液の濃度は任意に決めることができる。標識剤は限定されず、例えば一般に市販されている西洋ワサビペルオキシダーゼのような発光性の標識剤、Cy3、Cy5、アレクサ680などの蛍光標識剤を利用することができる。
洗浄後、マイクロアレイに結合した標的物質を種々の標識剤で標識する。例えば、標識剤の水溶液を調整し、標識剤溶液中に洗浄後のマイクロアレイを10分間から30分間浸漬させることで標識することができる。標識剤溶液の濃度は任意に決めることができる。標識剤は限定されず、例えば一般に市販されている西洋ワサビペルオキシダーゼのような発光性の標識剤、Cy3、Cy5、アレクサ680などの蛍光標識剤を利用することができる。
また蛍光や発光を検出することができる機器、例えば蛍光顕微鏡または蛍光スキャナーなどが利用できる。ただし、検出する場合は、検出環境を暗室にするなど遮光することが好ましい。外部からの光が検出環境に照射されると、それがノイズとなり、標識剤の光量を正確に検出できないことがあるからである。
<実施例1:抗BSA抗体固定化マイクロアレイ>
本実施例では、標的タンパク質を捕捉するタンパク質として抗BSA(牛血清アルブミン)抗体を固定化したマイクロアレイを製造し、標的タンパク質としてBSA(牛血清アルブミン)を検出した。
本実施例では、標的タンパク質を捕捉するタンパク質として抗BSA(牛血清アルブミン)抗体を固定化したマイクロアレイを製造し、標的タンパク質としてBSA(牛血清アルブミン)を検出した。
(1)中空繊維束の製造
図1に示す配列固定器具を利用して中空繊維束を製造した。なお、図中のx、y、zは直交の3次元軸であり、x軸は繊維の長手方向と一致する。
図1に示す配列固定器具を利用して中空繊維束を製造した。なお、図中のx、y、zは直交の3次元軸であり、x軸は繊維の長手方向と一致する。
まず、直径0.32mmの孔(1l)が、孔の中心間距離を0.42mmとして、縦12列、横各19列で合計228個設けられた厚さ0.1mmの多孔板(2l)2枚を準備した。これらの多孔板を重ね合わせて、そのすべての孔に、Mitsubishi Engineering Plastics Corporation製ポリカーボネート樹脂ユーピロンE−2000を原料として溶融紡糸により作成した外径280μm、内径180μm、長さ150mmのポリカーボネート中空繊維(3l)を1本ずつ、通過させた。
X軸方向に各繊維に0.1Nの張力をかけた状態で2枚の多孔板の位置を移動させて、中空繊維の一方の端部から20mmの位置と100mmの位置の2ヶ所に固定した。即ち、2枚の多孔板の間隔を80mmとした。次いで、多孔板間の空間の周囲3面を板状物(4l)で囲った。このようにして上部のみが開口状態にある容器を得た。
次に、この容器の上部から容器内に樹脂原料を流し込んだ。樹脂としては、ポリウレタン樹脂接着剤(日本ポリウレタン工業(株)ニッポラン4276、コロネート4403)の総質量に対し、2.5質量%のカーボンブラックを添加したものを使用した。25℃で1週間静置して樹脂を硬化させた。次いで多孔板と板状物を取り除き、中空繊維束を得た。得られた中空繊維束をデシケーター中に入れ内部を窒素置換した後、16時間静置した。
(2)一本鎖DNA(A)の固定化
ビニル化された222種類の一本鎖DNA(A)について1種類につき1本のゲル前駆体溶液を表1に記載の組成にて調製し、それぞれの一本鎖DNA(A)を含むゲル前駆体溶液を222本得た。このゲル前駆体溶液を図2に示す通りにウェルプレートの各ウェルに80μL分注した。当該ウェルプレートをデシゲーター内に設置し、中空繊維の端部から各ウェルに分注したゲル前駆体溶液を吸引し、中空繊維の中空部に導入した。
ビニル化された222種類の一本鎖DNA(A)について1種類につき1本のゲル前駆体溶液を表1に記載の組成にて調製し、それぞれの一本鎖DNA(A)を含むゲル前駆体溶液を222本得た。このゲル前駆体溶液を図2に示す通りにウェルプレートの各ウェルに80μL分注した。当該ウェルプレートをデシゲーター内に設置し、中空繊維の端部から各ウェルに分注したゲル前駆体溶液を吸引し、中空繊維の中空部に導入した。
一本鎖DNA(A)はBex社製の5’末端ビニル化オリゴDNAを購入して用いた。
配列は以下の表2に示すとおりである。なお、配列の左端が5’末端、右端が3’末端である。
配列は以下の表2に示すとおりである。なお、配列の左端が5’末端、右端が3’末端である。
次いで、前記の中空繊維束を前記デシケーター内に設置し、デシケーター内を窒素雰囲気下、55℃まで昇温して、55℃で3時間、重合反応を実施した。
重合反応終了後、ミクロトームを用い、中空繊維束を中空繊維の長手方向に直角方向に厚さ250μmで薄片化した。このようにして、222個の一本鎖DNA(A)が固定化されたゲルスポットを搭載した厚さ250μmのマイクロアレイを300枚作製した。
(3)一本鎖DNA(B)
一本鎖DNA(B)はBex社製の5’末端アミノ化オリゴDNAを購入して用いた。配列は以下に示す表3のとおりである。なお、配列の左端が5’末端、右端が3’末端である。
一本鎖DNA(B)はBex社製の5’末端アミノ化オリゴDNAを購入して用いた。配列は以下に示す表3のとおりである。なお、配列の左端が5’末端、右端が3’末端である。
(4)一本鎖DNA(B)と抗BSA抗体の結合反応
抗BSA抗体と一本鎖DNA(B)との結合反応をInnova Biosciences社のhunder−Link(登録商標)oligo conjugation systemを用いて以下のとおり行った。
抗BSA抗体と一本鎖DNA(B)との結合反応をInnova Biosciences社のhunder−Link(登録商標)oligo conjugation systemを用いて以下のとおり行った。
・活性化オリゴヌクレオチド溶液の調製
図2に示した配列図の100番に搭載した一本鎖DNA(A)に対して相補的な配列を有する一本鎖DNA(B)(5’末端アミノ化DNA)をTris・HCl緩衝溶液を用いて濃度60〜100μLの範囲で100μL調製しoligo activation reagent vialに加えゆっくりと振とうし、室温で1時間静置した。
図2に示した配列図の100番に搭載した一本鎖DNA(A)に対して相補的な配列を有する一本鎖DNA(B)(5’末端アミノ化DNA)をTris・HCl緩衝溶液を用いて濃度60〜100μLの範囲で100μL調製しoligo activation reagent vialに加えゆっくりと振とうし、室温で1時間静置した。
・活性化抗体溶液の調製
Applied Biosystems社製の1×PBS緩衝溶液を用いてAbcam社製Anti Bovine Serum Albumin antibody[BSA−7G10]ab3781を濃度1mg/mLの範囲で100μL調製しantibody activation reagent vialに加えゆっくりと振とうし、室温で1時間静置した。
Applied Biosystems社製の1×PBS緩衝溶液を用いてAbcam社製Anti Bovine Serum Albumin antibody[BSA−7G10]ab3781を濃度1mg/mLの範囲で100μL調製しantibody activation reagent vialに加えゆっくりと振とうし、室温で1時間静置した。
・カラムによる脱塩工程
脱塩用カラム2本を垂直に固定し、カラムに入っていた液をカラムを通過させた後、キット付属の洗浄用バッファーを3mL加えカラムを洗浄した。この作業を4回繰り返した後、活性化したオリゴ溶液および抗体溶液それぞれ100μLを別々のカラムに吸収させ、600μLの洗浄用バッファーを加え、さらにカラムの下にサンプル分取用の容器を設置し洗浄用バッファー200μLを加えて各サンプルをチューブに分取した。
脱塩用カラム2本を垂直に固定し、カラムに入っていた液をカラムを通過させた後、キット付属の洗浄用バッファーを3mL加えカラムを洗浄した。この作業を4回繰り返した後、活性化したオリゴ溶液および抗体溶液それぞれ100μLを別々のカラムに吸収させ、600μLの洗浄用バッファーを加え、さらにカラムの下にサンプル分取用の容器を設置し洗浄用バッファー200μLを加えて各サンプルをチューブに分取した。
・オリゴDNAと抗体の反応と生成物の精製工程
このようにして得られた活性化オリゴ溶液と活性化抗体溶液それぞれ200μLを混合し室温で一晩静置し、その後、キット付属のconjugate clean up reagent320μLを加え15000gで5分間遠心器にかけ上澄みを除去しantibody suspension bufferを100μL加えた。
このようにして得られた活性化オリゴ溶液と活性化抗体溶液それぞれ200μLを混合し室温で一晩静置し、その後、キット付属のconjugate clean up reagent320μLを加え15000gで5分間遠心器にかけ上澄みを除去しantibody suspension bufferを100μL加えた。
(5)一本鎖DNA(A)と一本鎖DNA(B)との結合(ハイブリダイゼーション)
抗BSA抗体と一本鎖DNA(B)を結合したサンプルを0.4pmol/μLになるようにPBS緩衝溶液で希釈し、20μLを分取し、さらに以下の表4に記載のハイブリダイゼーションmaster mix(0.06M)180μLと混合することにより、0.04pmol/μLの反応用液を200μL分調製した。
抗BSA抗体と一本鎖DNA(B)を結合したサンプルを0.4pmol/μLになるようにPBS緩衝溶液で希釈し、20μLを分取し、さらに以下の表4に記載のハイブリダイゼーションmaster mix(0.06M)180μLと混合することにより、0.04pmol/μLの反応用液を200μL分調製した。
ハイブリダイゼーション用ウェルプレートに、この反応溶液を注入し、先に作製した一本鎖DNA(A)を固定化したマイクロアレイを1枚ゆっくり挿入し、37℃で16時間ハイブリダイズさせ抗BSA抗体をゲルに固定化した。
(6)マイクロアレイの評価
作製した抗BSA抗体を固定化したマイクロアレイを使って、BSAの検出を試みた。
作製した抗BSA抗体を固定化したマイクロアレイを使って、BSAの検出を試みた。
・検体の調製及び反応
アルドリッチ社製BSA66mgを秤量し1×PBS緩衝溶液1mLに溶解させた。これに1×PBS緩衝溶液をさらに加え1000倍希釈し、66μg/mlの溶液を調製した。希釈用液から200μLを分取し検体溶液とした。
アルドリッチ社製BSA66mgを秤量し1×PBS緩衝溶液1mLに溶解させた。これに1×PBS緩衝溶液をさらに加え1000倍希釈し、66μg/mlの溶液を調製した。希釈用液から200μLを分取し検体溶液とした。
三菱レイヨン社製ジェノパール(登録商標)用ハイブリダイゼーション用チャンバーにこの検体溶液を注入し、先に作製したマイクロアレイを1枚ゆっくり挿入し、チャンバーの蓋を閉め、室温で2時間静置反応させた。
・反応後の洗浄
0.5%Tween−20を1×PBS緩衝溶液を用いて10倍希釈し、0.05%PBST溶液とした。容量8mLのチューブ(Sarstedt社製)に0.05%PBST溶液を6mL注入し、そこに反応後にチャンバーから取り出したマイクロアレイを完全に液中に浸漬するように挿入した。
0.5%Tween−20を1×PBS緩衝溶液を用いて10倍希釈し、0.05%PBST溶液とした。容量8mLのチューブ(Sarstedt社製)に0.05%PBST溶液を6mL注入し、そこに反応後にチャンバーから取り出したマイクロアレイを完全に液中に浸漬するように挿入した。
次に、チューブの蓋を閉めて室温で、20分間ローテーターを使って回転させた(10rpm)。その後、マイクロアレイをチューブから取り出し、1×PBS緩衝溶液の入ったチューブに入れ替えて、室温で10分間ローテーターを使って回転させた(10rpm)。
・捕捉したBSAの標識
調製した0.05%PBST溶液を用いてAbcam社製Rabbit polyclonal to Bovine Serum Albumin(Biotin)ab7636を0.005mg/mLになるように希釈し、希釈用液から200μLを分取し検体溶液とした。
調製した0.05%PBST溶液を用いてAbcam社製Rabbit polyclonal to Bovine Serum Albumin(Biotin)ab7636を0.005mg/mLになるように希釈し、希釈用液から200μLを分取し検体溶液とした。
三菱レイヨン社製ジェノパール(登録商標)用ハイブリチャンバーに、この検体溶液を注入し、BSAを固定したマイクロアレイ1枚をゆっくり挿入し、チャンバーの蓋を閉め、室温で1時間静置反応させた。
・反応後の洗浄
容量8mLのチューブ(Sarstedt社製)に0.05%PBST溶液を6mL注入し、そこに反応後にチャンバーから取り出したマイクロアレイを完全に液中に浸漬するように挿入した。
容量8mLのチューブ(Sarstedt社製)に0.05%PBST溶液を6mL注入し、そこに反応後にチャンバーから取り出したマイクロアレイを完全に液中に浸漬するように挿入した。
次に、チューブの蓋を閉めて室温で、20分間ローテーターを使って回転させた(10rpm)。その後、マイクロアレイをチューブから取り出し、1×PBS緩衝溶液の入ったチューブに入れ替えて、室温で10分間ローテーターを使って回転させた(10rpm)。
・反応後の標識
Jackson Immunoresearch Laboratoies,Inc.社製Streptavidin−Cy5(1mg)にNuclease−free waterを1mL加えて、溶解させた。10000Gで3分間遠心処理して、沈殿物を除いた後、Streptavidin−Cy5溶液12μLを調整した。
Jackson Immunoresearch Laboratoies,Inc.社製Streptavidin−Cy5(1mg)にNuclease−free waterを1mL加えて、溶解させた。10000Gで3分間遠心処理して、沈殿物を除いた後、Streptavidin−Cy5溶液12μLを調整した。
Streptavidin−Cy5溶液12μLを、1×PBS緩衝溶液6mLで希釈して標識液とした。
先に洗浄したマイクロアレイを標識液中に浸漬させ、室温で30分間静置した。標識処理後のマイクロアレイを0.05%PBST溶液に浸漬させ、室温下で20分間ローテーターを用いて回転させた(10rpm)。その後、マイクロアレイを1×PBS緩衝溶液に浸漬させた。
・検出
DNAチップ用蛍光検出器(横河電機社製 MB−V1)の試料台に、標識後のマイクロアレイを載せ、波長633nmの励起光を露光させ、タンパク質マイクロアレイの各スポットの蛍光シグナルを検出した。露光時間は、0.1秒、1秒、4秒、40秒の4条件で測定を行い、単位秒当りの蛍光シグナル強度を蛍光シグナル強度データとして採用した。
DNAチップ用蛍光検出器(横河電機社製 MB−V1)の試料台に、標識後のマイクロアレイを載せ、波長633nmの励起光を露光させ、タンパク質マイクロアレイの各スポットの蛍光シグナルを検出した。露光時間は、0.1秒、1秒、4秒、40秒の4条件で測定を行い、単位秒当りの蛍光シグナル強度を蛍光シグナル強度データとして採用した。
(3)結果
上記蛍光検出器を用いて露光時間40秒で撮像したときの蛍光検出画像を図3に示す。
また、検出された蛍光シグナル強度を数値化しグラフ化したものを図4に示す。
図3に示すように抗BSA抗体を固定化したスポットからBSAを検出したことを表す蛍光シグナルが検出され、蛍光強度は図4に示す通りであった。
この結果から抗BSA抗体が結合した一本鎖DNA(B)が所定の一本鎖DNA(A)のみと特異的に結合し、所望のタンパク質を簡便に基板上に固定化できることが確認された。さらに基板上に固定化したタンパク質により標的タンパク質であるBSAを感度よく検出できることが確認された。
上記蛍光検出器を用いて露光時間40秒で撮像したときの蛍光検出画像を図3に示す。
また、検出された蛍光シグナル強度を数値化しグラフ化したものを図4に示す。
図3に示すように抗BSA抗体を固定化したスポットからBSAを検出したことを表す蛍光シグナルが検出され、蛍光強度は図4に示す通りであった。
この結果から抗BSA抗体が結合した一本鎖DNA(B)が所定の一本鎖DNA(A)のみと特異的に結合し、所望のタンパク質を簡便に基板上に固定化できることが確認された。さらに基板上に固定化したタンパク質により標的タンパク質であるBSAを感度よく検出できることが確認された。
1 配列固定器具
11 孔部
21 多孔板
31 中空繊維
41 板状物_
B ブランク(一本鎖DNAを含まないゲルスポット)
11 孔部
21 多孔板
31 中空繊維
41 板状物_
B ブランク(一本鎖DNAを含まないゲルスポット)
Claims (4)
- 固体支持体、
当該固体支持体に固定化された一本鎖DNA(A)、
標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質と結合し、且つ、一本鎖DNA(A)の塩基配列と相補的な配列を含む、一本鎖DNA(B)
を有するマイクロアレイ。 - 固体支持体が中空繊維の中空部分に保持されたゲルである、請求項1記載のマイクロアレイ。
- 下記工程を含む、マイクロアレイの製造方法。
(1)複数本の中空繊維を中空繊維の各繊維軸が同一方向となるように配列し、その配列を樹脂で固定することにより、中空繊維束を製造する工程、
(2)一本鎖DNA(A)を含むゲル前駆体溶液を中空繊維束の各中空繊維の中空部に導入する工程、
(3)中空繊維束の中空部に導入したゲル前駆体溶液を重合させ、一本鎖DNA(A)が固定化されたゲルを中空繊維の中空部に保持する工程、
(4)中空繊維束を繊維の長手方向に交叉する方向で切断して薄片化する工程、
(5)標的タンパク質を捕捉するためのタンパク質を結合させた一本鎖DNA(B)と一本鎖DNA(A)を結合させる工程。 - 請求項1又は2に記載のマイクロアレイと検体とを接触させることにより、マイクロアレイに固定化されたタンパク質と検体中の標的物質とを結合させる工程を含む、生体関連物質の検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014224846A JP2016090380A (ja) | 2014-11-05 | 2014-11-05 | タンパク質を検出するためのマイクロアレイ |
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