JP2016052255A - 核酸検出カセット - Google Patents
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Abstract
【課題】膨出部にシリンジロッドを押し込んだ時、液残りの最小化を図ることが可能なシリンジを備える核酸検出カセットを提供する。
【解決手段】硬質材料から作られる下部プレートと、弾性材料から作られるパッキンと、前記下部プレートと共に前記パッキンを密封する硬質材料から作られる上部プレートとを備えた積層構造体を有し、当該積層構造体内に流路と、当該流路に接続されるシリンジとを少なくとも形成した、使用時に検査装置に装填される核酸検出カセットであって、シリンジ幅をWB、シリンジロッド幅をWR、膨出部の厚さをtEとすると、前記シリンジ幅は次式: WR+3tE≦WB≦WR+4tE…(1)の関係を満たす。
【選択図】図13
Description
前記シリンジは、内部に筒状空間を形成するように前記下部プレートに形成された細長状の窪みと、当該窪みに対向して前記パッキンに形成された、前記窪みに対して反対方向に突出した細長状の膨出部とから構成され、
前記シリンジの前記筒状空間内の液体は、前記送液制御機構に設けられる細長状のシリンジロッドを前記膨出部に荷重を加えて押し潰すことにより前記流路に送出され、
シリンジ幅をWB、シリンジロッド幅をWR、前記膨出部の膜厚をtEとすると、前記シリンジ幅は次式:
WR+3tE≦WB≦WR+4tE… (1)
の関係を満たすように設定されることを特徴とする核酸検出カセットが提供される。
図1は、実施の形態に係る核酸検査装置8のブロックを示している。この核酸検査装置8は、サンプルの増幅からサンプルの電気化学反応の検出までを完全に自動化可能に構成されている。核酸検査装置8は、液密に密閉された核酸検出カセット10と、この核酸検出カセット10と電気的に接続される測定部12、核酸検出カセット10内に設けられた流路系を外部から物理的に駆動制御する送液制御機構16及び核酸検出カセット10の各部を温度制御する温度制御機構14等を備える。核酸検出カセット10は、後に詳述するように、その内部にDNAチップ6が収納されている。このDNAチップ6上には、後に詳細に説明するように、サンプル等の溶液が流れる検出流路が設けられる。DNAチップ6上の検出流路は、例えばSNP(1)〜SNP(N)(一塩基多型:Single Nucleotide Polymorphism)を検出する為の検出用核酸プローブが電極に固定された作用電極が一定間隔で配列されている。また、検出流路には、これらの作用電極に対向されるような配置で少なくとも1つの対向電極及び参照電極が設けられている。図1に示す測定部12は、DNAチップ6に接続され、DNAチップ6内の作用電極及び対向電極間への入力電圧の印加に応じて参照極の電圧をフィードバック(負帰還)させる3電極方式のポテンシオ・スタットとして構成されている。従って、この測定部12によれば、核酸検出カセット10におけるセル内の電極、或いは、溶液などの各種条件の変動によらずに溶液中に所望の電圧を印加することができ、電気化学的反応による電流(以下において「電気化学的電流」と言う。)を電気化学的に測定することができる。
図2に示すように、核酸検出カセット10は、矢印5に示す方向で核酸検査装置8に装着され、また、取り出される矩形カッセト形状の外観を有している。ここで、核酸検出カセット10は、核酸検査装置8に装着する際の向きを定める為に、その一部に切欠部22を設けている。図2に示す実施の形態では、装置への挿入(装着)方向5を基準に矩形核酸検出カセット10における前方右側のコーナが切欠されて切欠部22が設けられている。ユーザ(オペレータ)は、この切欠部22を先端側として確認することによって核酸検出カセット10を正しく核酸検査装置8に装着することができる。尚、このようにコーナを切欠する形態に限らず、他の箇所が切欠されて矩形核酸検出カセット10の上面が特定され、核酸検出カセット10の装着方向が特定されても良い。以下の説明において、核酸検出カセット10の切欠部22を先端側とする装着方向を基準に、先端側と反対側を後方と称し、核酸検出カセット10にキャップ20が取り付けられた面を上面と称する。
核酸検出カセット内の送液系を図4、図5および図6を参照して説明する。図4は、核酸検出カセット10の内部に設けられる送液系を透視して示している。また、図5および図6は、図4に示す核酸検出カセット10内に形成される送液系の配置を示している。
DNAチップ6について、図3および図9を参照しながら説明する。図3に示すように、DNAチップ6は、パッキン40の背面の溝111によってガラス製或いはシリコン製の基板の平坦面上の流路形成部100Aを覆うように定められる検出流路100およびこの検出流路100の両側に配置された電極パッド領域110、112を有している。この検出流路100には、図9に示すように、一定間隔で作用電極940が設けられている。また、電極パッド領域110、112には、電極パッド942が配列され、この電極パッド942が夫々対応する作用電極940に電気的に接続されている。また、検出流路100のU字形の頂部には、参照電極944および対向電極946、948が設けられ、夫々対応する電極パッド942に接続されている。図9においては、図を簡略化する目的から、電極パッド942と作用電極940、参照電極944および対向電極946、948との間の結線を省略している。
再び図2を参照し、また、新たに図9を参照して核酸検出カセット10の上面構造について、より詳細に説明する。図9は、図2に示す核酸検出カセット10からカバープレート60が取り外された外観を示している。
シリンジ部70における4つのシリンジ702、704、706、708の構造を前述した図4および図10〜図14を参照して詳細に説明する。
WR+3tE≦WB≦WR+4tE… (1)
の関係を満たすように設定している。ここで、膨出部の膜厚はカセット寸法にもよるが、0.1〜1.0mmにする好ましい。このようにシリンジ幅WBを設定することによって、核酸検出カセット10の薬液の有効活用(薬液コストの最小化)のために送液後のシリンジ内の液残りを最小化することができる。
シリンジロッド幅WRを3.0mm、膨出部の膜厚tEを0.5mmに固定(一定に)し、シリンジ幅WBを4.0mm、4.5mm、5.0mmおよび5.5mmに変化させた(例11〜14)。シリンジ内に試薬を200μL注入し、満充填した。その後、シリンジロッドを1kgfの力で1mm/sの速度でシリンジのエラストマ(硬度:60)から作られた膨出部に荷重を加えて押し潰し、シリンジに接続されている流路からシリンジ内の試薬を押し出した。シリンジロッドが停止した後にシリンジ内に残った試薬の液量を計測した。この計測は、各シリンジ幅WBについて5回行った。その結果を下記表1に示す。
シリンジロッド幅WRを3.0mm、膨出部の膜厚tEを0.5mmとし、シリンジ幅WBが前記式(1)を満たすように4.5mm、に設定した。シリンジ内に試薬を200μL注入し、満充填した。その後、シリンジロッドを液残り量が5〜8μLになるようにシリンジのエラストマ(硬度:60)から作られた膨出部に荷重を加えて押し潰す操作を10回繰り返す試験を行ってシリンジロッドによる荷重を計測した。その結果、図15の(B)に示す。
増幅部80には、既に説明したように、増幅流路812、816の入力ポート側及び出力ポート側には、常開バルブ810、820が設けられている。この常開バルブ810、820は、図18及び図19に示すように上部プレート50のロッド穴52、54内に可撓性パッキン40の筒状部55として形成されている。パッキン40には、上部プレート50のロッド穴52、54に一致される窪み57が形成され、その窪み57内に筒状部55が配置されている。筒状部55とこの筒状部55が配置される下部プレート30の上面との間に常開バルブ810、820の為の空洞部(流路)が形成され、この空洞部は、流路802及び増幅流路812或いは増幅流路816及び流路806を連通している。この構造から明らかなように、筒状部55は、窪み57内にパッキン40と一体に形成されていることから、パッキン40の膜厚T1よりも十分薄く、より好ましくは、膜厚T2(T1>T2)よりも薄く形成される。ここで、膜厚T1は、凸部領域及び凹部領域で形成されるパッキン40の凸部領域膜厚に相当し、膜厚T2は、凹部領域膜厚に相当している。従って、図20に示すように筒状部55の内部に設けた空洞部を外部から挿入されたロッド59で押し潰すことができ、筒状部55を押し潰すことで空洞部を閉塞することができる。空洞部を閉塞によって、流路802と増幅流路812との間の流路或いは増幅流路816と流路806との間の流路が遮断される。また、筒状部55が可撓性を有することから、増幅部80が加熱されてサンプル内のターゲットDNAが増幅された後に、ロッド59を退避することによって、押し潰された筒状部55を再びその内に空洞が形成させるような原形状の筒状部に戻すことができる。従って、この筒状部55内の空洞を介して流路802及び増幅流路812或いは増幅流路816及び流路806を連通させることができる。
常閉バルブ718、728、738、748は、図20に示される常開バルブがカバープレート60の裏面に設けた突起部43によって閉塞されて構成されている。より詳細には、常閉バルブ718、728、738、748は、突起部43が上部プレート50に設けた貫通孔を介してパッキン40に設けた溝に進入され、この溝内の可撓性筒状部を押し潰して筒状部の流路を閉塞するように構成される。カバープレート60の裏面に設けた突起部43は、基部がカバープレート60に枢支固定され、基部から延びる舌片が可動可能にカバープレート60に切欠支持された片持梁構造に形成される。常閉バルブ718、728、738、748の開放時には、片持梁構造の舌片がロッドで持ち上げられて突起部43が筒状部から取り除かれて筒状部に流路が確保されることによって開放される。
図21を参照してパッキン40の構造を説明する。図21は、パッキン40の背面形状を示している。パッキン40の背面では、膨出部144が窪みとして示され、開口突起141、143、145、147に相当する箇所には、貫通孔141A、143A、145A、147Aが空けられている。また、パッキン40には、上部プレート50の下面に設けたスタッドピン158が挿入される挿通孔148が穿けられている。そして、パッキン40の背面は、流路系に対応して凹凸の領域を有する形状に形成されている。パッキン40の背面の凸部領域は、比較的厚い膜厚T1を有し、凸部領域間の凹部領域は、膜厚T1に比べて薄い膜厚T2を有している。具体的には、シリンジ702、704、706および708を定める膨出部144の周囲を囲むように、厚い膜厚T1を有するフレーム部144Bがパッキン40の背面に形成されている。貫通孔141A、143A、145A、147Aの周囲も、膜厚T1を有するリング状突出部141B、143B、145B、147Bに形成されている。また、下部プレート30の窪み136と共にタンク930、932を定める縦長貫通溝146の周囲にも、厚い膜厚T1を有するフレーム部146Bが形成されている。更にまた、流路712、714、722、724、732、734、742、744、802、804、806、908、926を定める、下部プレート30の溝132が密着される帯状の領域712B、714B、722B、724B、732B、734B、742B、744B、802B、804B、806B、908Bも、厚い膜厚T1を有するように形成されている。従って、下部プレート30が膜厚T1を有する領域に液密に密着され、送液系の液密な密閉を確実に確保することができる。
図22、図23及び図24を参照して図2に示す核酸検出カセットの組み立て工程について説明する。
図25は、図2に示される核酸検出カセット10が装着される検査装置の内部構造を示している。この検査装置内には、装着された核酸検出カセット10の背面側に、増幅部80を加熱する為のヒータ850およびDNAチップ6の検出流路100を反応温度に維持する為のペルチェ素子852が夫々リフト機構854,856によって矢印で示すように上下動可能に設けられている。ヒータ850およびペルチェ素子852並びにリフト機構854,856は、図1に示す温度制御機構14を構成している。
図26に示されるフローチャートおよび図27から図30に示される送液動作を参照して、図1に示される核酸検査装置におけるサンプルの電気化学的検査を説明する。
Claims (3)
- 硬質材料から作られる下部プレートと、弾性材料から作られるパッキンと、前記下部プレートと共に前記パッキンを密封する硬質材料から作られる上部プレートとを備えた積層構造体を有し、当該積層構造体内に流路と、当該流路に接続されるシリンジとを少なくとも形成した、使用時に送液制御機構を備えた検査装置に装填される核酸検出カセットであって、
前記シリンジは、内部に筒状空間を形成するように前記下部プレートに形成された細長状の窪みと、当該窪みに対向して前記パッキンに形成された、前記窪みに対して反対方向に突出した細長状の膨出部とから構成され、
前記シリンジの前記筒状空間内の液体は、前記送液制御機構に設けられる細長状のシリンジロッドを前記膨出部に荷重を加えて押し潰すことにより前記流路に送出され、
シリンジ幅をWB、シリンジロッド幅をWR、前記膨出部の膜厚をtEとすると、前記シリンジ幅は次式:
WR+3tE≦WB≦WR+4tE… (1)
の関係を満たすように設定されることを特徴とする核酸検出カセット。 - 前記シリンジは、積層構造体内に複数形成されることを特徴とする請求項1記載の核酸検出カセット。
- 増幅流路および検出流路は、前記積層構造体内にさらに形成され、互いに流路を介して接続され、かつ前記複数のシリンジは前記増幅流路に接続されるサンプルシリンジおよび第1洗浄液シリンジ、並びに前記検出流路に接続される挿入剤シリンジおよび第2洗浄液シリンジであることを特徴とする請求項2記載の核酸検出カセット。
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A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
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C211 | Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings |
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