以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る伝動ベルト製造装置1の模式的な平面図である。図1を参照して、伝動ベルト製造装置1(以下、単に製造装置1ともいう。)は、動力を伝えるための伝動ベルトとしてのVベルトを製造するために用いられる。このようなVベルトとして、一般産業機械、自動車などの動力伝達用途で用いられるVベルトを例示することができる。より具体的には、上記のVベルトとして、ラップドVベルト、ローエッジVベルト、Vリブドベルトなどを例示することができる。
製造装置1は、無端環状で矩形断面のベルト101の幅方向Wにおける当該ベルト101の両側面を傾斜状にカットすることにより、ベルト101をVベルト102にする。なお、ベルト101とベルト102を総称していう場合、「ベルト100」という場合がある。後述するように、製造装置1でベルト101がVベルト102となる際、Vベルト102とともにカット屑103も生じる。本実施形態では、製造装置1からVベルト102とカット屑103とが別々に排出される。
なお、ベルト101は、無端環状のシートの内部に心線が螺旋状に巻き掛けられた構成を有している。このシートは、たとえば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを用いて形成されている。心線は、ベルト101(Vベルト102)の破断を防止する補強部材として用いられる。心線の材質は、たとえば、ポリエステルである。
製造装置1は、操作盤(制御部)2と、二軸伸張装置3と、バイアスカット装置4と、排出部5と、ベルト搬送システム6と、を有している。
ベルト搬送システム6は、主変位機構20と、挿入ハンド21と、取出ハンド22と、を有している。
本実施形態における製造装置1の動作の概要は、以下のとおりである。すなわち、製造装置1においては、二軸伸張装置3に保持されたベルト101が、ベルト搬送システム6の挿入ハンド21によってバイアスカット装置4に搬送される。そして、バイアスカット装置4がベルト101の両側面を傾斜状にカットする。これにより、ベルト101の断面がV字状に形成され、ベルト101がVベルト102となる。
また、バイアスカット装置4におけるカット動作によって、Vベルト102の両側方にカット屑103が生じる。Vベルト102およびカット屑103は、ベルト搬送システム6の取出ハンド22によって掛け台11に搬送され、Vベルト102とカット屑103とが別々に仕分けられる。
操作盤2は、製造装置1における各種機器の動作を制御するために設けられている。操作盤2は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、および、ROM(Read Only Memory)を含むコンピュータ、または、PLC(Programmable Logic Controller)などを用いて形成されている。操作盤2は、作業員によって操作される操作ボタンを有しており、この操作ボタンが操作されることに基づいて、所定の電気信号を上記各種機器に出力する。操作盤2は、二軸伸張装置3、バイアスカット装置4、および、ベルト搬送システム6に接続されている。
図2(a)は、二軸伸張装置3の側面図である。図2(b)は、二軸伸張装置3の正面図である。図1、図2(a)および図2(b)を参照して、二軸伸張装置3は、ベルト101を所定の長手方向(本実施形態では、上下方向)に沿って細長く伸ばすために設けられている。
二軸伸張装置3は、支柱3aと、主軸3bと、副軸3cと、を有している。
支柱3aは、地面から上方に延びており、主軸3bおよび副軸3cを支持している。主軸3bおよび副軸3cは、ベルト101の内周部が掛けられる部分として設けられている。主軸3bおよび副軸3cは、支柱3aの一側面から延びており、互いに平行に配置されている。副軸3cは、駆動機構(図示せず)を介して支柱3aに支持されており、支柱3aに対して、副軸3cと主軸3bとが向かい合う方向(本実施形態では、上下方向)に相対変位可能である。これにより、副軸3cは、主軸3bに近づく方向(上方向)、および、主軸3bから遠ざかる方向(下方向)に変位可能である。
主軸3bおよび副軸3cには、フィーダー部(図示せず)に貯められたベルト101が、チャック部材(図示せず)を用いて供給される。この際、副軸3cが主軸3b寄りに配置されることで、主軸3bと副軸3cとの距離が短くされている。この状態で、チャック部材がベルト101を主軸3b上に載せる。次に、副軸3cが下方に変位する。これにより、ベルト101は、主軸3bと副軸3cとによって張られて撓み、長手方向(上下方向)に細長い形状となる。
このベルト101は、ベルト搬送システム6の挿入ハンド21を用いて、バイアスカット装置4に搬送される。二軸伸張装置3から挿入ハンド21にベルト101が渡される際、副軸3cは、主軸3b側に変位し、ベルト101への張力の付与を解除する。これにより、ベルト101は、上下に細長い形状から水平方向に膨らむように変形し、挿入ハンド21に挟まれる。
図3は、バイアスカット装置4の側面図である。図1および図3を参照して、バイアスカット装置4は、ベルト101の幅方向両端部を傾斜状にカットすることで、ベルト101の断面形状(ベルト101の周方向と直交する断面での形状)をV字状にするために用いられる。バイアスカット装置4は、二軸伸張装置3に隣接しており、二軸伸張装置3とともに、ベルト搬送システム6の主変位機構20の周囲に並んでいる。
バイアスカット装置4は、ベース4aと、主軸4bと、副軸4cと、カッター4dと、カット屑押し出し部4eと、を有している。
ベース4aは、地面から上方に延びており、主軸4b、副軸4c、カッター4d、および、カット屑押し出し部4eを支持している。主軸4bおよび副軸4cは、ベルト101(Vベルト102)の内周部が掛けられる部分として設けられている。主軸4bおよび副軸4cは、ベース4aの一側面から延びており、互いに平行に配置されている。副軸4cは、駆動機構(図示せず)を介してベース4aに支持されており、ベース4aに対して、副軸4cと主軸4bとが向かい合う方向(本実施形態では、上下方向)に相対変位可能である。これにより、副軸4cは、主軸4bに近づく方向(上方向)、および、主軸4bから遠ざかる方向(下方向)に変位可能である。
主軸4bおよび副軸4cは、円柱状に形成されている。そして、主軸4bの中間部および副軸4cの中間部には、それぞれ、環状の溝が形成されており、これらの溝にベルト101が掛けられる。これにより、ベルト101は、主軸4bおよび副軸4cに安定した姿勢で保持される。
前述したように、主軸4bおよび副軸4cには、二軸伸張装置3からのベルト101が、ベルト搬送システム6の挿入ハンド21を用いて供給される。この際、副軸4cが主軸4b寄りに配置されることで、主軸4bと副軸4cとの距離が短くされる。この状態で、挿入ハンド21がベルト101を主軸4b上に載せる。次に、副軸4cが下方に変位する。
これにより、ベルト101は、主軸4bと副軸4cとによって張られて撓み、長手方向(上下方向)に細長い形状となる。主軸4bは、図示しない電動モータによって回転動作される。主軸4bおよび副軸4cに張られたベルト101は、カッター4dによってカット処理を施される。
カッター4dは、主軸4bおよび副軸4cに掛けられて張力与えられた状態のベルト101の両側面をカットするために設けられている。カッター4dは、たとえば、図示しないアクチュエータに取り付けられており、ベルト101の両側面をカットする位置と、ベルト101から離隔した位置とに変位可能である。カッター4dは、主軸4bおよび副軸4cによって回転駆動された状態のベルト101の両側面に接触することで、ベルト101の両側面をカットする。
これにより、ベルト101は、Vベルト102となる。また、ベルト101の幅方向WにおけるVベルト102の両側方に、無端状のカット屑103が発生する。カット屑103の断面形状(カット屑103の長手方向と直交する断面でのカット屑103の形状)は、三角形状である。Vベルト102およびカット屑103は、ベルト搬送システム6の取出ハンド22を用いて、排出部5に搬送される。
バイアスカット装置4から取出ハンド22にVベルト102およびカット屑103が渡される際、副軸4cは、主軸4b側に変位し、Vベルト102への張力の付与を解除する。これにより、Vベルト102は、上下に細長い形状から水平方向に膨らむように変形し、取出ハンド22に挟まれる。また、カット屑押し出し部4eが、カット屑103を取出ハンド22側に押し出すことで、カット屑103は、バイアスカット装置4から取出ハンド22に受け渡される。カット屑押し出し部4eは、たとえば、主軸4bに隣接して配置されており、ベース4aに支持されている。
カット屑押し出し部4eは、たとえば、エアシリンダー装置を用いて形成されており、可動部4hを有している。可動部4hは、主軸4bと略平行に延びており、ベース4aに対して進退変位可能である。
この可動部4hがベース4aから突出するように変位することで、カット屑103は、主軸4bから押し出される。このようにして、Vベルト102およびカット屑103は、バイアスカット装置4から取出ハンド22に受け渡され、その後、排出部5に搬送される。
図4は、排出部5の側面図である。図1および図4を参照して、排出部5は、製造装置1からVベルト102およびカット屑103が排出される部分として設けられており、Vベルト102およびカット屑103を互いに別個に仕分けた状態で保持する。排出部5は、バイアスカット装置4に隣接しており、バイアスカット装置4とともに、ベルト搬送システム6の主変位機構20の周囲に並んでいる。
排出部5は、掛け台11と、カット屑入れ12と、を有している。
掛け台11は、バイアスカット装置4から取出ハンド22を用いて搬送されたVベルト102が掛けられる部分として設けられている。掛け台11は、支柱11aと、Vベルト掛け部11bと、邪魔板11cと、を有している。支柱11aは、地面から上方に延びており、この支柱11aにVベルト掛け部11bが固定されている。
Vベルト掛け部11bは、支柱11aから主変位機構20側に向けて延びる部分であり、Vベルト102を受ける部分である。Vベルト掛け部11bは、支柱11aから水平に延びた後、支柱11aから遠ざかるに従い上方に向かうように傾斜した形状に形成されている。Vベルト102は、当該Vベルト102の内周面をVベルト掛け部11bの先端部に引っ掛けられることで、Vベルト掛け部11bに保持される。Vベルト掛け部11bの先端部の下部には、邪魔板11cが固定されている。
邪魔板11cは、取出ハンド22から落下したカット屑103がVベルト掛け部11bに引っ掛かることを防止するために設けられている。邪魔板11cは、板状部材であり、Vベルト掛け部11bが延びる方向と平行に延びている。本実施形態では、邪魔板11cは、所定の厚みを有する三角形の板状部分として設けられている。
後述するように、Vベルト102が取出ハンド22からVベルト掛け部11bに排出される際、Vベルト102の高さ位置は、カット屑103の高さ位置よりも高い。このため、Vベルト102が取出ハンド22からVベルト掛け部11bに引っ掛かるように落下する際、カット屑103は、Vベルト掛け部11bには引っ掛からず、邪魔板11cに当たることで、Vベルト掛け部11bのカット屑入れ12に落下する。カット屑入れ12は、取出ハンド22から落下したカット屑103が貯められる容器として設けられている。
以上が、二軸伸張装置3、バイアスカット装置4、および、排出部5の概略構成である。次に、ベルト搬送システム6について、より詳細に説明する。
図1を参照して、ベルト搬送システム6は、前述したように、無端状のベルト101を二軸伸張装置3からバイアスカット装置4へ搬送し、さらに、バイアスカット装置4で形成されたVベルト102およびカット屑103をバイアスカット装置4から排出部5へ搬送するために設けられている。
本実施形態では、平面視において、二軸伸張装置3、バイアスカット装置4、および、排出部5は、時計回り方向に順に配置されている。二軸伸張装置3は、第1位置P1に設置されており、バイアスカット装置4は、第2位置P2に設置されており、排出部5は、第3位置P3に設置されている。第1位置P1と第2位置P2は、互いに隣接した位置である。また、第2位置P2と第3位置P3とは、互いに隣接した位置である。
前述したように、ベルト搬送システム6は、主変位機構(変位機構)20と、挿入ハンド(第1保持機構)21と、取出ハンド(第2保持機構)22と、を有している。
なお、以下では、ベルト100が挿入ハンド21または取出ハンド22に保持された状態を基準として説明する。
挿入ハンド21は、ベルト101を二軸伸張装置3(第1位置P1)からバイアスカット装置4(第2位置P2)へ搬送するために設けられている。また、取出ハンド22は、Vベルト102をバイアスカット装置4(第2位置P2)から排出部5(第3位置P3)へ搬送するために設けられている。主変位機構20は、挿入ハンド21および取出ハンド22に連結され、且つ、ベルト101およびVベルト102を搬送するために挿入ハンド21および取出ハンド22を変位させる。
より詳細に説明すると、挿入ハンド21は、第1位置P1において、ベルト101を二軸伸張装置3(ベルト保持装置)から受け取り、主変位機構20は、ベルト101を保持した挿入ハンド21を第1位置P1から第2位置P2へ変位させる。そして、挿入ハンド21は、第2位置P2においてバイアスカット装置4にベルト101を受け渡す。
取出ハンド22は、バイアスカット装置4でのカットによって形成されたVベルト102、および、バイアスカット装置4でのカットによって生じたカット屑103を、バイアスカット装置4から受け取る。取出ハンド22は、第3位置P3において、Vベルト102を排出部5のVベルト掛け部11bに渡し、且つ、カット屑103をカット屑入れ12に排出するように構成されている。
図5は、主変位機構20の模式的な斜視図である。図1および図5を参照して、主変位機構20は、たとえば、多軸関節機構を用いて形成されている。この多軸関節機構は、たとえば、6軸関節機構である。
主変位機構20は、固定部23と、この固定部23に旋回可能に支持された可動部24と、を有している。
固定部23は、地面に固定されている。この固定部23に、可動部24が連結されている。可動部24は、ロボットアームとして設けられている。可動部24は、旋回動作を用いて、挿入ハンド21を二軸伸張装置3(第1位置P1)とバイアスカット装置4(第2位置P2)との間に変位させ、且つ、取出ハンド22をバイアスカット装置4(第2位置P2)と排出部5(第3位置P3)との間に変位させる。
可動部24は、第1関節部25と、第2関節部26と、第1部分27と、第3関節部28と、第2部分29と、第4関節部30と、ブラケット支持部31と、を有している。
第1関節部25は、固定部23に支持されており、固定部23に対して、鉛直方向に延びる軸線回りを旋回可能である。この第1関節部25に第2関節部26が取り付けられている。第2関節部26は、略水平に延びる軸線回りを第1部分27が旋回可能なように、第1部分27を支持している。
第1部分27は、直線状に延びる梁状に形成されている。第1部分27の先端部に、第3関節部28が取り付けられている。第3関節部28は、たとえば、第2関節部26における旋回軸線と平行な軸線回りを第2部分29が旋回可能なように、第2部分29の基端部を支持している。第2部分29は、直線状に延びる梁状に形成されている。第2部分29の先端部に、第4関節部30が取り付けられている。第4関節部30は、たとえば、第2関節部26における旋回軸線と平行な軸線回りをブラケット支持部31が旋回可能なように、ブラケット支持部31を支持している。ブラケット支持部31は、軸状に形成されており、図示しない電動モータを用いてこの軸回りを旋回可能なように構成されている。
このブラケット支持部31は、挿入ハンド21の後述する第1ブラケット33および取出ハンド22の後述する第2ブラケット50を、ブラケット支持部31回りに旋回可能に支持している。これにより、可動部24のブラケット支持部31(可動部24の先端部)は、挿入ハンド21および取出ハンド22をブラケット支持部31回りに変位可能である。
なお、主変位機構20の一例について説明したけれども、この通りでなくてもよい。主変位機構20は、挿入ハンド21を二軸伸張装置3からバイアスカット装置4へ搬送し、且つ、取出ハンド22をバイアスカット装置4から排出部5へ搬送できる構成であれば、上記の構成でなくてもよい。
図6は、挿入ハンド21および取出ハンド22の平面図である。図7は、図6の挿入ハンド21を拡大した図である。図8は、挿入ハンド21の正面図である。図9は、挿入ハンド21の側面図である。
図1および図6〜図9を参照して、挿入ハンド21と主変位機構20によって、ベルト101を搬送するためのベルト搬送装置32が形成されている。挿入ハンド21は、「ベルト101を当該ベルト101の径方向に撓ませた状態で保持する保持機構」の一例であり、「第1保持機構」の一例である。
挿入ハンド21は、第1ブラケット33と、支持部材34と、加圧部35と、ベルト掴み機構36と、を有している。
第1ブラケット33は、たとえば、金属板を用いて形成されており、所定の長手方向N1に細長く延びている。第1ブラケット33の一端部は、ボルトおよびナットなどの固定部材を用いて、主変位機構20の可動部24の先端に設けられたブラケット支持部31に連結されている。第1ブラケット33の他端部には、支持部材34が固定されている。
支持部材34は、矩形状の金属板などを用いて形成されている。本実施形態では、支持部材34は、第1ブラケット33と直交するように配置されている。支持部材34は、加圧部35を支持している。
加圧部35は、ベルト101の外周面を当該外周面の径方向内方へ加圧させてベルト101を撓ませるために設けられている。加圧部35がベルト101を撓ませることで、ベルト101は、当該ベルト101の径方向外方に向かう弾性反発力を生じる。これにより、ベルト101は、加圧部35に押し付けられるようにして保持される。加圧部35は、支持部材34と直交するように延びている。
加圧部35は、複数の加圧片35a〜35dを有している。各加圧片35a〜35dは、ベルト101が加圧部35に保持されているときにおけるベルト101の周方向に離隔して配置されベルト101の外周面に接触可能である。各加圧片35a〜35dは、支持部材34に固定されており、これらの加圧片35a〜35dが一括して支持部材34に支持されている。各加圧片35a〜35dは、何れも、ベルト101の外周面に直接接触する。加圧片35a〜35dは、協働してベルト101を保持する。
加圧片35aは、支持部材34の4つの隅部のうちの1つに隣接して配置されており、支持部材34の1つの縁部34aに隣接している。加圧片35aは、矩形の平板状部材を用いて形成されている。加圧片35aは、ベルト101と接触する内側面が、平坦面を形成している。加圧片35aとはベルト101の周方向に離隔して並ぶようにして、加圧片35bが配置されている。
加圧片35bは、支持部材34の4つの隅部のうちの1つに隣接して配置されており、支持部材34の縁部34aに隣接している。加圧片35aと加圧片35bは、加圧部35でベルト101を保持しているときにおいて、鉛直方向に離隔して並んでいる。
加圧片35bは、矩形の平板状部材を用いて形成されている。加圧片35bは、ベルト101と接触する内側面が、平坦面を形成している。加圧片35bとはベルト101の周方向に離隔して並ぶようにして、加圧片35cが配置されている。
加圧片35cは、支持部材34の4つの隅部のうちの1つに隣接して配置されており、支持部材34の1つの縁部34bに隣接している。縁部34aと縁部34bは平行である。加圧片35cは、矩形の平板状部材を用いて形成されている。加圧片35cは、ベルト101と接触する内側面が、平坦面を形成している。加圧片35cとはベルト101の周方向に離隔して並ぶようにして、加圧片35dが配置されている。
加圧片35dは、支持部材34の4つの隅部のうちの1つに隣接して配置されており、支持部材34の縁部34bに隣接している。加圧片35cと加圧片35dは、鉛直方向に離隔して並んでいる。加圧片35dは、円柱状部材を用いて形成されている。加圧片35dの外周面が、ベルト101と接触する。
加圧片35a〜35dは、ベルト101を挟んで互いに向かい合うように配置された構成を有している。具体的には、加圧片35a,35dは、ベルト101を挟んで略水平に向かい合うように配置されている。同様に、加圧片35b,35cは、ベルト101を挟んで向かい合うように配置されている。
また、加圧片35a〜35dは、対角状に配置された構成を有している。具体的には、加圧片35aの内側面の中心と、加圧片35cの内側面の中心とを結ぶ仮想の線分が、対角線X1として規定される。また、加圧片35bの内側面の中心と、加圧片35dの外周面とを結ぶ仮想の線分が、対角線X2として規定される。これら対角線X1,X2は、ベルト101の内側で交差する。上記の構成により、加圧片35a,35cが対角状に配置されるととともに、加圧片35b,35dが対角状に配置される。
また、挿入ハンド21は、ベルト101を所定の長手方向(本実施形態では、上下方向)に細長く撓ませ、且つ、この所定の長手方向におけるベルト101の中間部をベルトの径方向内方へ撓ませて保持する。具体的には、加圧片35a,35bの内側面が、支持部材34の中心から遠ざかるに従い縁部34aに近づくように傾斜している。また、加圧片35cの内側面が、支持部材34の中心から遠ざかるに従い縁部34bに近づくように傾斜している。
この構成により、ベルト101は、加圧片35a,35bの間でV字状に撓むとともに、加圧片35c,35dの間で略V字状に撓む。その結果、ベルト101は、上下方向に細長く撓み、且つ、上下方向におけるベルト101の中間部がベルト101の径方向内方へ撓む。上記の構成を有する加圧部35にベルト101が保持された状態において、ベルト掴み機構36は、ベルト101を当該ベルト101の幅方向Wに挟んで保持することで、ベルト101の落下を防止する。
ベルト掴み機構36は、第1受け部37と、第2受け部38と、変位機構39と、を有している。
第1受け部37は、ベルト101の幅方向Wにおけるベルト101の一対の側面の一方を受けるために設けられている。本実施形態では、第1受け部37は、加圧部35に設けられている。具体的には、第1受け部37は、複数(本実施形態では、2つ)設けられており、加圧片35a,35cにそれぞれ配置されている。2つの第1受け部37は、ベルト101の周方向において離隔して配置されている。
一方の第1受け部37は、加圧片35aの先端部に設けられており、当該加圧片35aの内側面から突出する小片状に形成されている。また、他方の第1受け部37は、加圧片35cの先端部に設けられており、当該加圧片35cの内側面から突出する小片状に形成されている。
上記の構成により、第1受け部37を幅方向Wから見て、第1受け部37は、ベルト101を挟むように複数設けられている。また、第1受け部37は、加圧片35a、35cに設けられていることにより、対角状に配置されている。第1受け部37と向かい合うようにして、第2受け部38が配置されている。
第2受け部38は、ベルト101の幅方向Wにおけるベルト101の一対の側面の他方を受けるために設けられている。本実施形態では、第2受け部38は、変位機構39に設けられている。具体的には、第2受け部38は、複数(本実施形態では、2つ)設けられている。本実施形態では、第2受け部38の数は、第1受け部37の数と同じである。各第1受け部37は、対応する第2受け部38と幅方向Wに並んで対に配置されている。
各第2受け部38は、平板状に形成されており、対応する第1受け部37と幅方向Wに向かい合うように配置されている。一方の第2受け部38は、加圧片35aの内側面と重なるように配置されている。他方の第2受け部38は、加圧片35cの内側面と重なるように配置されている。各第2受け部38は、変位機構39の動作によって、幅方向W(長手方向N1)に変位される。変位機構39は、第2受け部38を第1受け部37に対して幅方向Wに相対変位させるために設けられている。
変位機構39は、可動ベース40と、アクチュエータ41と、を有している。
可動ベース40は、2つの第2受け部38を支持する部分として設けられている。可動ベース40は、支持部材34に隣接して配置されている。可動ベース40は、板部材を用いて形成されており、幅方向Wから見て、支持部材34の中心から加圧片35aに延びるともに、加圧片35cに延びる形状に形成されている。本実施形態では、幅方向Wから見て、可動ベース40は、略S字状に形成されている。可動ベース40の一端部に、一方の第2受け部38が固定されている。また、可動ベース40の他端部に、他方の第2受け部38が固定されている。これにより、可動ベース40は、第2受け部38と幅方向Wに一体的に変位可能である。可動ベース40は、アクチュエータ41によって幅方向Wに変位される。
アクチュエータ41は、たとえば、エアシリンダ装置であり、空気などの作動流体を用いて動作するように構成されている。アクチュエータ41は、固定部41aと、可動部41bとを有している。固定部41aは、たとえば、第1ブラケット33に固定されている。固定部41aは、可動部41bを、幅方向W1に変位可能に支持している。可動部41bは、支持部材34に形成された貫通孔を貫通している。可動部41bの先端部に可動ベース40が固定されている。
以上が、挿入ハンド21の概略構成である。次に、取出ハンド22の概略構成を説明する。
図10は、図6の取出ハンド22を拡大した図である。図11は、取出ハンド22の側面図である。
図1、図6、図10および図11を参照して、取出ハンド22は、第2位置P2において、Vベルト102およびカット屑103をバイアスカット装置4から受け取るように構成されている。取出ハンド22と主変位機構20によって、Vベルト102およびカット屑103をバイアスカット装置4から取り出して搬送するためのVベルト搬送装置45が形成されている。取出ハンド22は、「カット装置から受け取ったVベルトおよびカット屑を互いに異なる位置に配置した状態で保持する保持機構」の一例である。Vベルト搬送装置32は、Vベルト102の高さ位置と、カット屑103の高さ位置とが異なるようにVベルト102およびカット屑103を保持する。
取出ハンド22は、第2ブラケット50と、第1ベース部材51と、第2ベース部材52と、Vベルト保持部53と、カット屑保持部54と、を有している。
第2ブラケット50は、取出ハンド22のうち主変位機構20に連結される部分として設けられている。第2ブラケット50は、たとえば、金属板を用いて形成されており、所定の長手方向N2に細長く延びている。第2ブラケット50の一端部は、ボルトおよびナットなどの固定部材を用いて、主変位機構20の可動部24の先端に設けられたブラケット支持部31に固定されている。
本実施形態では、ブラケット支持部31から第1ブラケット33が延びる方向(長手方向N1)と、ブラケット支持部31から第2ブラケット50が延びる方向(長手方向N2)とは、異なっている。本実施形態では、平面視(図6に示す状態)において、長手方向N1と長手方向N2とは、劣角θにおいて、たとえば、110度程度の角度をなして交差している。なお、劣角θは、上記例示した値に限定されない。第2ブラケット50の他端部には、第1ベース部材51が固定されている。
第1ベース部材51は、第2ブラケット50の一側面(図11における裏面)にねじなどの固定部材を用いて固定されている。第1ベース部材51は、第2ブラケット50から長手方向N2に沿って当該第2ブラケット50から遠ざかるように延びている。第1ベース部材51には、第2ベース部材52が固定されている。
第2ベース部材52は、第1ベース部材51のうち、第2ブラケット50に固定されている一側面とは反対の他側面に取り付けられている。第2ベース部材52は、長手方向N2に沿って、第2ブラケット50から遠ざかるように延びている。第1ベース部材51および第2ベース部材52に、Vベルト保持部53が取り付けられている。
Vベルト保持部53は、取出ハンド22においてVベルト102を保持するための部分として設けられている。Vベルト保持部53は、Vベルト102を当該Vベルト102の径方向に撓むように変形させた状態でVベルト102の外周面を保持するように構成されている。
Vベルト保持部53は、一対のVベルト保持プレート55と、一対の保持プレート用アクチュエータ56と、一対の爪部材57と、一対の爪部材用アクチュエータ58と、Vベルト掴み機構59と、を有している。
一対の保持プレート用アクチュエータ56は、一対のVベルト保持プレート55を開閉動作させるために設けられている。一対の保持プレート用アクチュエータ56は、平面視において、長手方向N2と直交する方向(バイアスカット装置4の左右方向と平行な左右方向LR)に離隔して配置されている。
各保持プレート用アクチュエータ56は、たとえば、ロータリーアクチュエータであり、空気圧などの流体圧を用いて動作するように構成されている。各保持プレート用アクチュエータ56は、第2ベース部材52に支持されている。各保持プレート用アクチュエータ56は、対応するVベルト保持プレート55を、上下方向UDに延びる軸部56a回りに回転させることが可能である。軸部56aは、ブラケット支持部31と平行である。
一対のVベルト保持プレート55は、Vベルト102の外周面を受けてVベルト102を挟むように配置されている。一対のVベルト保持プレート55は、対応するベルト保持プレート用アクチュエータ56の軸部56aに固定されており、軸部56aと一体的に、軸部56a回りを揺動可能に構成されている。一対のVベルト保持プレート55の揺動動作によって、一対のVベルト保持プレート55が開閉動作される。
一対のVベルト保持プレート55は、平面視において、長手方向N2と直交する方向(左右方向LR)に離隔して配置されている。各Vベルト保持プレート55は、金属板などを用いて形成されている。各Vベルト保持プレート55においては、互いに向かい合う一側面が内側面55aとして規定されており、内側面55aとは反対向きの一側面が外側面55bとして規定されている。本実施形態では、一側面55aおよび他側面55bは、互いに平行な平坦面である。
各Vベルト保持プレート55は、第1部分55cと、第2部分55dと、第3部分55eと、を有している。
第1部分55c、第2部分55dおよび第3部分55eは、長手方向N2に沿ってこの順に配列されている。第1部分55c、第2部分55dおよび第3部分55eは、それぞれ、略矩形状に形成されている。第1部分55cは、Vベルト保持プレート55の基端部を構成している。第1部分55cの内側面55aは、ねじなどの固定部材を用いて軸部56aに固定されている。第1部分55cは、第2部分55dに連続している。
第2部分55dは、Vベルト保持プレート55の中間部を形成している。上下方向UDにおいて、第2部分55dの長さは、第1部分55cの長さよりも長く設定されている。第2部分55dの上端部は、第1部分55cの上端部と面一に延びている。第2部分55dの下端部は、第1部分55cの下端部の下方に位置している。第2部分55dは、第3部分55eに連続している。
第3部分55eは、Vベルト保持プレート55の先端部を形成している。上下方向UDにおいて、第3部分55eの長さは、第2部分55dの長さよりも長く設定されている。第3部分55eの上端部は、第2部分55dの上端部の上方に位置している。第3部分55eの下端部は、第2部分55dの下端部と面一に延びている。
第3部分55eは、Vベルト102が直接接触する部分である。第3部分55eにおける内側面55aがVベルト102を撓ませることで、Vベルト102は、当該Vベルト102の径方向外方に向かう弾性反発力を生じる。これにより、Vベルト102は、Vベルト保持プレート55に押し付けられるようにして保持される。
上記の構成を有する一対のVベルト保持プレート55に隣接するようにして、一対の爪部材57が配置されており、また、一対のベルト保持プレート用アクチュエータ56に隣接するようにして、一対の爪部材用アクチュエータ58が配置されている。
一対の爪部材用アクチュエータ58は、一対の爪部材57を開閉動作させるために設けられている。一対の爪部材用アクチュエータ58は、平面視において、左右方向LRに離隔して配置されている。
各爪部材用アクチュエータ58は、たとえば、エアシリンダであり、空気圧などの流体圧を用いて動作するように構成されている。各爪部材用アクチュエータ58は、たとえば、第1ベース部材51に支持されている。各爪部材用アクチュエータ58は、対応する爪部材57、特に爪部材57の先端部を、対応するVベルト保持プレート55に対して近接する方向または離隔する方向に変位させる。
一対の爪部材57は、一対のVベルト保持プレート55間に配置されている。各爪部材57は、対応するVベルト保持プレート55との協働によって、Vベルト102が通される通し孔部60を形成する。
各爪部材57の基端部は、対応する爪部材用アクチュエータ58に支持されている。これにより、一対のVベルト保持プレート55と対応する爪部材57とは、互いに接近する方向および互いに離隔する方向に相対変位可能に構成されている。
一対の爪部材57は、平面視において、左右方向LRに離隔して配置されている。各爪部材57は、金属棒などを用いて形成されている。各爪部材57は、長手方向N2に沿って延びており、一対のVベルト保持プレート55のうち、上下方向UDの中間部の間を通っている。各爪部材57は、略V字状に形成されている。
各爪部材57は、第1部分57aと、第2部分57bと、を有している。
第1部分57aは、爪部材57の基端部および中間部を構成している。第1部分57aは、対応する軸部56aから延びるに従い、一対の第1部分57a間の間隔が狭くなるように延びている。第1部分57aは、一対のVベルト保持プレート55の第3部分55eにまで延びている。第1部分57aの先端部から、第2部分57bが延びている。
第2部分57bは、爪部材57の先端部を構成している。第2部分57bは、対応する第1部分57aから延びるに従い、一対の第2部分57b間の間隔が拡がるように延びている。第2部分57bの先端部は、一対のVベルト保持プレート55の先端部間から長手方向N2の一方(バイアスカット装置4側)に突出している。上記の構成を有する爪部材57に隣接して、Vベルト掴み機構59が配置されている。
Vベルト掴み機構59は、Vベルト102をVベルト102の幅方向W(長手方向N2)に挟んで保持するために設けられている。
Vベルト掴み機構59は、第1受け部61と、第2受け部62と、Vベルト掴み機構用変位機構63と、を有している。
第1受け部61は、Vベルト102の幅方向WにおけるVベルト102の一対の側面の一方を受けるために設けられている。本実施形態では、第1受け部61は、Vベルト保持プレート55の第3部分55eの内側面55aに設けられている。本実施形態では、第1受け部61は、複数(本実施形態では、2つ)設けられており、各Vベルト保持プレート55の内側面55aにそれぞれ配置されている。
なお、第1受け部61は、一対のVベルト保持プレート55の何れか一方にのみ設けられていてもよい。各第1受け部61は、上下方向UDに沿って延びる突起状に形成されており、内側面55aの上端部から下端部にかけて延びている。各第1受け部61は、対応する爪部材57の第2部分57bと左右方向LRに向かい合うように配置されている。第1部分57aと向かい合うようにして、第2部分57bが配置されている。
第2受け部62は、Vベルト102の幅方向WにおけるVベルト102の一対の側面の他方を受けるために設けられている。本実施形態では、第2受け部62は、Vベルト掴み機構用変位機構63に支持されている。具体的には、第2受け部62は、複数(本実施形態では、2つ)設けられている。本実施形態では、第2受け部62の数は、第1受け部61の数と同じである。即ち、第2受け部62は、一対の第1受け部61と長手方向N2に対向するように一対設けられている。
各第2受け部62は、金属板を用いて平板状に形成されている。各第2受け部62の一側面は、対応するVベルト保持プレート55の内側面55aに沿わされており、この内側面55aと摺動可能である。各第2受け部62は、Vベルト掴み機構用変位機構63の動作によって、長手方向N2に変位される。
Vベルト掴み機構用変位機構63は、第2受け部62を第1受け部61に対して幅方向Wに相対変位させるために設けられている。Vベルト掴み機構用変位機構63は、「第2受け部を第1受け部に対してVベルトの幅方向に変位させるための変位機構」の一例である。
Vベルト掴み機構用変位機構63は、可動ベース64と、この可動ベース64を幅方向Wに変位させるためのVベルト掴み機構用アクチュエータ65と、を有している。
可動ベース64は、第1部分64aと、第2部分64bとを有している。第1部分64aは、各第2受け部62に取り付けられている。第1部分64aは、たとえば、平面視においてL字状に形成されており、当該第1部分64aの一側面が、対応する第2受け部62の一側面に固定されている。
各第1部分64aのうち、第2ブラケット50側を向く一側面に、第2部分64bが固定されている。第2部分64bは、左右方向LRに延びる平板状に形成されている。左右方向LRにおける第2部分64bの両端部が、対応する第1部分64aに固定されている。左右方向LRにおける第2部分64bの中間部は、Vベルト掴み機構用アクチュエータ65に連結されている。
Vベルト掴み機構用アクチュエータ65は、たとえば、エアシリンダ装置であり、空気などの作動流体を用いて動作するように構成されている。Vベルト掴み機構用アクチュエータ65は、固定部65aと、可動部65bとを有している。固定部65aは、第2ブラケット50に固定されている。固定部65aは、可動部65bを、幅方向W(長手方向N2)に変位可能に支持している。可動部65bは、固定部65aから可動ベース64側に突出しており、可動部65bにスライド可能に支持されている。可動部65bの先端部に、可動ベース64の第2部分64bが固定されている。上記の構成を有するVベルト保持部53とともに、カット屑保持部54が設けられている。
カット屑保持部54は、バイアスカット装置4から取出ハンド22に渡されたカット屑103を垂れ下がるように保持する。
カット屑保持部54は、一対のVベルト保持プレート55と、一対の保持プレート用アクチュエータ56と、一対の爪部材57と、一対の爪部材用アクチュエータ58と、一対のガイド部材66と、を有している。
すなわち、カット屑保持部54は、Vベルト保持部53の構成要素としての一対のVベルト保持プレート55と、一対の保持プレート用アクチュエータ56と、一対の爪部材57と、一対の爪部材用アクチュエータ58と、を有している。よって、以下では、カット屑保持部54のうちVベルト保持部53の構成要素と同じ構成要素については、再度の詳細な説明を省略する。
カット屑保持部54においては、各Vベルト保持プレート55と対応する爪部材57との協働によって、カット屑103が通される通し孔部60が形成される。すなわち、通し孔部60は、カット屑103が通されるとともに、Vベルト102が通される孔部として形成されている。通し孔部60は、各爪部材57の先端が対応するVベルト保持プレート55に接触しているときにおいて、各爪部材57と対応するVベルト保持プレート55との間に形成される。
各爪部材57は、前述したように、長手方向N2(Vベルト102の幅方向W)に沿って延びる棒状に形成されており、Vベルト保持部53に保持されたVベルト102に対してVベルト102の幅方向Wの両側に亘って延びるように配置されている。これにより、取出ハンド22がバイアスカット装置4からVベルト102およびカット屑103を受け取る際、各爪部材57は、Vベルト102の両側のカット屑103を受けることができる。爪部材57に隣接して、一対のガイド部材66が配置されている。
ガイド部材66は、カット屑保持部54からのカット屑103の排出方向(長手方向N2の一方)に沿って延び当該排出方向へのカット屑103の変位を案内するために設けられている。なお、本実施形態では、ガイド部材66が一対設けられているけれども、この通りでなくてもよい。ガイド部材66の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
各ガイド部材66は、長手方向N2に沿って延びる棒状に形成されている。各ガイド部材66の基端部は、第1ベース部材51に固定されている。各ガイド部材66は、左右方向LRに離隔して配置されており、一対の爪部材57の上側に位置している。一対の爪部材57が対応するVベルト保持プレート55から離隔している状態において、一対のガイド部材66は、平面視で一対の爪部材57を挟むように配置されている。
以上が、ベルト搬送システム6の概略構成である。次に、ベルト搬送システム6の動作の一例を説明する。
図12は、二軸伸張装置3および挿入ハンド21の側面図であり、図12(a)、図12(b)および図12(c)は、それぞれ、ベルト101を二軸伸張装置3から挿入ハンド21へ受け渡す状態を示している。図13は、挿入ハンド21にベルト101が保持された状態を示す模式的な斜視図である。
図14は、バイアスカット装置4および挿入ハンド21の側面図であり、図14(a)、図14(b)および図14(c)は、それぞれ、ベルト101を挿入ハンド21からバイアスカット装置4へ受け渡す状態を示している。
図15は、バイアスカット装置4および取出ハンド22の側面図であり、図15(a)、図15(b)および図15(c)は、それぞれ、Vベルト102およびカット屑103をバイアスカット装置4から取出ハンド22へ受け渡す状態を示している。図16は、取出ハンド22がVベルト102およびカット屑103を保持している状態を示す平面図である。
図17は、取出ハンド22および排出部5の側面図であり、図17(a)、図17(b)および図17(c)は、それぞれ、Vベルト102およびカット屑103を取出ハンド22から排出部5へ受け渡す状態を示している。
図12(a)を参照して、ベルト製造装置1において、ベルト搬送システム6は、二軸伸張装置3からベルト101を受け取る。具体的には、まず、二軸伸張装置3は、主軸3bと副軸3cとが所定の距離をあけて配置されており、ベルト101は、主軸3bおよび副軸3cに所定の張力を付与された状態で細長く延びる形状に張られている。この状態において、挿入ハンド21は、主変位機構20の動作によって、二軸伸張装置3側へ変位される。
これにより、図12(a)に示すように、挿入ハンド21の加圧部35が、ベルト101の側方に配置される。次に、図12(b)に示すように、二軸伸張装置3の副軸3cが、主軸3b側へ変位する。これにより、ベルト101への張力の付与が解除される。その結果、ベルト101は、円形状になるように弾性変形し、加圧部35の加圧片35a〜35dに接触する。これにより、ベルト101は、加圧片35a〜35dに押し当てられた状態となり、挿入ハンド21に保持される。
さらに、ベルト掴み機構36の第2受け部38が、ベルト掴み機構用アクチュエータ41の動作によって、二軸伸張装置3側へ前進する。これにより、ベルト101は、ベルト掴み機構36の各第1受け部37と対応する第2受け部38とによって掴まれる。すなわち、ベルト101は、加圧部35とベルト掴み機構36の双方によって保持され、挿入ハンド21からの落下を防止される。次に、図12(c)に示すように、主変位機構20の動作によって、挿入ハンド21は、二軸伸張装置3から後退するように変位する。図12(c)および図13を参照して、この際、前述したように、ベルト101は、加圧部35ベルト掴み機構36によって保持される結果、上下方向に細長く撓み、且つ、上下方向におけるベルト101の中間部がベルト101の径方向内方へ撓んだ状態となる。本実施形態では、ベルト101は、挿入ハンド21において、8の字状に保持される。これにより、ベルト101は、挿入ハンド21に高い保持力で保持される。
この挿入ハンド21は、主変位機構20の動作によって、図14(a)に示すように、バイアスカット装置4へ搬送される。図14(a)を参照して、主変位機構20は、主軸4bと副軸4cとが互いに近接した状態のバイアスカット装置4に、挿入ハンド21を挿入する。これにより、ベルト101は、バイアスカット装置4の主軸4bおよび副軸4cを取り囲むように配置される。この状態で、ベルト掴み機構36の第2受け部38は、第1受け部37から遠ざかるように変位される。これにより、ベルト掴み機構36によるベルト101の保持が解除される。
次に、バイアスカット装置4の副軸4cが、主軸4bから遠ざかるように変位する。これにより、図14(b)に示すように、ベルト101は、主軸4bと副軸4cとによって張力を付与され、細長く延びた形状となる。これにより、ベルト101は、加圧部35の各加圧片35a〜35dとの接触を解除され、加圧部35によるベルト101の保持が解除される。
その後、図14(c)に示すように、主変位機構20は、挿入ハンド21をバイアスカット装置4から離隔させるように後退させる。この状態で、バイアスカット装置4は、ベルト101にバイアスカット処理を施す。
次に、主変位機構20は、ブラケット支持部31を回転させることで、バイアスカット装置4に挿入ハンド21が向かい合っている状態から、バイアスカット装置4に取出ハンド22を向かい合わせる。そして、図15(a)に示すように、主変位機構20は、取出ハンド22をバイアスカット装置4に挿入する。
これにより、図15(a)に示すように、取出ハンド22の一対のVベルト保持プレート55は、ベルト101から生じたVベルト102およびVベルト102の幅方向Wの両側方のカット屑103を挟むように配置される。次に、一対のカット屑103のうち主軸4bの奥側のカット屑103が、バイアスカット装置4のカット屑押し出し部4eによって主軸4bの先端側(取出ハンド22側)に押し出される。
次に、図16に示すように、取出ハンド22の一対の爪部材57が、一対の爪部材用アクチュエータ58の動作によって対応するVベルト保持プレート55側に変位する。これにより、各爪部材57と対応するVベルト保持プレート55とによって通し孔部60が形成され、カット屑103およびVベルト102がこの通し孔部60に通される。これにより、一対のVベルト保持プレート55と一対の爪部材57とが協働して、Vベルト102およびカット屑103を掴む。
この状態で、図15(b)および図16に示すように、バイアスカット装置4の副軸4cが、主軸4b側へ変位する。これにより、Vベルト102への張力の付与が解除される。その結果、Vベルト102は、円形状になるように弾性変形し、一対のVベルト保持プレート55の内側面55aに接触する。これにより、Vベルト102は、一対のVベルト保持プレート55に押し当てられた状態となり、取出ハンド22に保持される。
さらに、Vベルト掴み機構59の第2受け部62が、Vベルト掴み機構用アクチュエータ65の動作によって、バイアスカット装置4側へ前進する。これにより、Vベルト102は、Vベルト掴み機構59の各第1受け部61と対応する第2受け部62とによって掴まれる。すなわち、Vベルト102は、一対のVベルト保持プレート55とVベルト掴み機構59の双方によって保持され、取出ハンド22からの落下を防止される。
次に、図15(c)に示すように、主変位機構20の動作によって、取出ハンド22は、上昇しながらバイアスカット装置4から後退するように変位する。この際、主変位機構20は、取出ハンド22を一度上下に振動させるように主変位機構20を動作させる。これにより、カット屑103は、Vベルト102から確実に離され、一対の爪部材57および一対のガイド部材66に掛けられる。すなわち、主変位機構20は、Vベルト保持部53およびカット屑保持部54に振動を加える震動源として動作する。その結果、カット屑103は、Vベルト102の下方に位置した状態で、取出ハンド22に保持される。
この取出ハンド22は、主変位機構20の動作によって、図17(a)に示すように、排出部5へ搬送される。主変位機構20は、Vベルト102が排出部5の掛け台11を取り囲むように、且つ、カット屑103の上端部が排出部5の邪魔板11cに向かい合うように、取出ハンド22を配置する。
次に、Vベルト掴み機構用アクチュエータ65の動作により、Vベルト掴み機構59の第2受け部62が第1受け部61から後退するように変位する。これにより、Vベルト掴み機構59によるVベルト102の保持が解除される。次いで、一対のVベルト保持プレート用アクチュエータ56の動作によって、図17(b)に示すように、一対のVベルト保持プレート55が開かれる。なお、図17(b)および図17(c)では、取出ハンド22は、簡略化して示されている。
これにより、一対のVベルト保持プレート55に保持されていたVベルト102は、落下することで掛け台11に掛けられ、掛け台11に保持される。次に、図17(c)に示すように、主変位機構20の動作により、取出ハンド22(カット屑保持部54)は、カット屑保持部54の先端を下向きに変位させる動作によって、カット屑103をカット屑保持部54から落下させる。
この際、カット屑103は、掛け台11の先端の下方に位置しており、且つ、邪魔板11cと向かい合っている。このため、カット屑103は、掛け台11に誤って掛けられることがなく、カット屑入れ12に落下する。この際、カット屑103は、ガイド部材66に案内されながら、略真っ直ぐに落下する。
以上説明したように、本実施形態によると、ベルト搬送装置32は、挿入ハンド21を有している。この構成によると、ベルト101は、当該ベルト101の径方向に撓まされた状態で挿入ハンド21によって搬送される。これにより、バイアスカット装置4へ、ベルト101を掛け易くできる。このように、挿入ハンド21を用いることで、バイアスカット装置4へのベルト101の受け渡し作業をより容易にできる。よって、無端状のベルト101の搬送に対してより適した構成を有するベルト搬送装置32を提供することができる。
また、ベルト搬送装置32によると、挿入ハンド21は、加圧部35を含んでいる。この構成によると、加圧部35がベルト101を加圧した状態で保持することで、ベルト101は、弾性反発力を加圧部35に付与する。これにより、加圧部35とベルト101との間で摩擦力が生じる結果、加圧部35は、ベルト101を保持することができる。
また、ベルト搬送装置32によると、加圧部35は、複数の加圧片35a〜35dを有している。この構成によると、複数の加圧片35a〜35dの協働によってベルト101を保持することができる。
また、ベルト搬送装置32によると、複数の加圧片35a〜35dを支持部材34によって堅固に支持できる。これにより、加圧片35a〜35dは、より大きな重量のベルト101を保持することができる。
また、ベルト搬送装置32によると、加圧片35a,35dおよび加圧片35b,35cは、それぞれ、ベルト101を挟んで互いに向かい合うように配置されている。この構成によると、互いに向かい合う加圧片35a,35dおよび加圧片35b,35cによって、ベルト101をより安定した姿勢で保持することができる。
また、ベルト搬送装置32によると、加圧片35a,35cおよび加圧片35b,35dは、それぞれ、対角状に配置されている。この構成によると、対角状に配置された加圧片35a,35cおよび加圧片35b,35dによって、ベルト101をより安定した姿勢で保持することができる。
また、ベルト搬送装置32によると、挿入ハンド21は、ベルト掴み機構36を含んでいる。この構成によると、ベルト101を搬送している最中において、ベルト101が挿入ハンド21から落下することをより確実に抑制できる。この場合、挿入ハンド21がベルト101を受け取る際、または、ベルト101を受け渡す際には、ベルト掴み機構36によるベルト101の保持を解除しつつ、加圧部35によって、ベルト101を挿入ハンド21に出し入れし易い状態で保持しておくことも可能である。
また、ベルト搬送装置32によると、ベルト掴み機構用変位機構39の動作によって、第1受け部37と第2受け部38とでベルト101が掴まれた状態と、第2受け部38をベルト101から離隔してベルト掴み機構36によるベルト101の保持が解除された状態とを、切り替えることができる。また、ベルト掴み機構36は、ベルト101の種類やサイズ(ベルト101の厚み、周長など)の制限をうけずに、ベルト101を掴むことができる。これにより、ベルト搬送装置32の汎用性をより高くできる。
また、ベルト搬送装置32によると、ベルト掴み機構36の第1受け部37は、加圧片35a,35cに設けられている。この構成によると、加圧部35がベルト101を保持する位置と、ベルト掴み機構36がベルト101を保持する位置とを揃えることができる。これにより、ベルト掴み機構36がベルト101を保持する動作の前後、および、ベルト101の保持を解除する動作の前後において、ベルト101の姿勢変化を抑制できる。その結果、挿入ハンド21は、ベルト101をより安定した姿勢で、受け取りおよび受け渡しすることができる。
また、ベルト搬送装置32によると、ベルト掴み機構36において、1つの第1受け部37毎に1つの第2受け部38が設けられる。これにより、第1受け部37と第2受け部38との協働によってベルト101をより確実に掴むことができる。
また、ベルト搬送装置32のベルト掴み機構36によると、対をなす第1受け部37および第2受け部38が複数箇所(2箇所)に設けられることとなり、ベルト掴み機構36によってベルト101をより安定した姿勢で保持することができる。
また、ベルト搬送装置32のベルト掴み機構36によると、第1受け部37をベルト101の幅方向Wから見て、第1受け部37は、ベルト101を挟むように複数設けられている。この構成によると、ベルト掴み機構36は、ベルト101をよりバランス良く保持することができる。その結果、ベルト掴み機構36は、ベルト101をより安定した姿勢で保持することができる。これにより、挿入ハンド21は、ベルト101をより高速で搬送することができる。
また、ベルト搬送装置32によると、ベルト掴み機構36の第1受け部37は、対角状に配置されている。この構成によると、第1受け部37および第2受け部38の協働によって、ベルト101をより安定した姿勢で保持できる。
また、ベルト搬送装置32によると、ベルト掴み機構用アクチュエータ41の動作によって、第2受け部38がベルト101の側面を受けて第1受け部37と第2受け部38とでベルト101を掴んだ状態と、第2受け部38がベルト101から離隔してベルト101の掴み動作が解除された状態と、を容易に切り替えることができる。
また、ベルト搬送装置32によると、挿入ハンド21は、ベルト101を上下方向に細長く、且つ、上下方向におけるベルト101の中間部をベルト101の径方向内方に撓ませて保持する。この構成によると、作業員の手作業でベルト101をバイアスカット装置4に挿入するときのベルト101の形状に近い形状で、ベルト101を保持できる。これにより、ベルト101の搬送を作業員の手作業に代えてベルト搬送システム6の動作で行うようにしても、ベルト搬送システム6以外の装置の構成を変更する必要が無い。
また、Vベルト搬送装置45によると、取出ハンド22は、バイアスカット装置4で形成されたVベルト102およびカット屑103を一括して搬送できる。また、取出ハンド22においては、Vベルト102およびカット屑103は、互いに異なる高さ位置に配置した状態で保持される。これにより、取出ハンド22からVベルト102とカット屑103とを別個に取り出す動作を行い易くできる。その結果、取出ハンド22によって、Vベルト102およびカット屑103を迅速に自動搬送できるので、Vベルト102の生産効率をより高くできる。以上の次第で、Vベルト102およびVベルト102の形成に伴って生じるカット屑103の搬送に対してより適した構成を有するVベルト搬送装置45を実現できる。
前述したように、取出ハンド22は、Vベルト102の高さ位置と、カット屑103の高さ位置とが異なるようにVベルト102およびカット屑103を保持する。これにより、取出ハンド22から排出部5の掛け台11へVベルト102が受け渡される際のVベルト102の高さ位置と、取出ハンド22から排出部5のカット屑入れ12へカット屑103が受け渡される際のカット屑103の高さ位置とが異なっている。これにより、Vベルト102が取出ハンド22から排出部5に受け渡される際に、カット屑103が当該排出部5に誤って受け渡されることを抑制できる。
また、Vベルト搬送装置45によると、取出ハンド22は、Vベルト102を保持するためのVベルト保持部53と、カット屑103を保持するためのカット屑保持部54と、を有している。この構成によると、取出ハンド22は、Vベルト102とカット屑103とをより確実に別々に保持しておくことができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、Vベルト保持部53は、Vベルト102をVベルト102の径方向に撓むように変形させた状態でVベルト102の外周面を保持するように構成されている。これにより、Vベルト102は、弾性反発力をVベルト保持部53に付与する。Vベルト保持部53とVベルト102との間で摩擦力が生じる結果、Vベルト保持部53は、Vベルト102を保持することができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、一対のVベルト保持プレート55によってVベルト102を挟むという簡易な構成でVベルト102を保持できる。
また、Vベルト搬送装置45によると、一対のVベルト保持プレート55の揺動動作(開閉動作)によって、Vベルト保持部53がVベルト102を保持した状態と、この保持を解除する状態とを、容易に切り替えることができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、各Vベルト保持プレート55と対応する爪部材57との協働によって、Vベルト102が通される通し孔部60が形成される。この構成によると、Vベルト保持プレート55と対応する爪部材57によって、Vベルト102を挟むようにしてVベルト102を保持できる。これにより、一対のVベルト保持プレート55に対するVベルト102の不用意な位置ずれが生じることを抑制できる。よって、取出ハンド22は、Vベルト102をより安定した姿勢で搬送できる。
また、Vベルト搬送装置45によると、Vベルト保持プレート55と爪部材57との相対変位によって、Vベルト保持プレート55と対応する爪部材57とでVベルト102が挟まれた状態と、この挟んだ状態が解除された状態と、を切り替えることができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、Vベルト保持部53は、Vベルト掴み機構59を含んでいる。この構成によると、Vベルト102を搬送している最中において、Vベルト102が取出ハンド22から落下することをより確実に抑制できる。この場合、取出ハンド22がVベルト102を受け取る際、または、Vベルト102を受け渡す際には、Vベルト掴み機構59がVベルト102を掴んだ状態を解除することで、Vベルト102を取出ハンド22から取り外し易い状態でVベルト102をVベルト保持部53で保持しておくことも可能である。
また、Vベルト搬送装置45によると、Vベルト掴み機構用変位機構63の動作によって、第1受け部61と第2受け部62とでVベルト102が掴まれた状態と、第2受け部62をVベルト102から離隔してVベルト掴み機構59によるVベルト102の保持が解除された状態とを、切り替えることができる。また、Vベルト掴み機構59は、Vベルト102の種類やサイズ(Vベルト102の厚み、周長など)の制限をうけずに、Vベルト102を掴むことができる。これにより、Vベルト搬送装置32の汎用性をより高くできる。
また、Vベルト搬送装置45によると、Vベルト掴み機構59の第1受け部61は、各Vベルト保持プレート55に設けられている。この構成によると、Vベルト保持プレート55がVベルト102を保持する位置と、Vベルト掴み機構59がVベルト102を保持する位置とを揃えることができる。これにより、Vベルト掴み機構59がVベルト102を保持する動作の前後、および、Vベルト102の保持の解除する動作の前後において、Vベルト102の姿勢変化を抑制できる。その結果、取出ハンド22は、Vベルト102をより安定した姿勢で、受け取りおよび受け渡しすることができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、Vベルト掴み機構59の第1受け部61および第2受け部62は、何れも、2つのVベルト保持プレート55のそれぞれに設けられている。これにより、Vベルト掴み機構59は、2箇所でVベルト102を保持することができるので、Vベルト102をより安定して保持することができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、Vベルト掴み機構用アクチュエータ65の動作によって、第2受け部62がVベルト102の側面を受けて第1受け部61と第2受け部62とでVベルト102が掴まれた状態と、第2受け部62がVベルト102から離隔してVベルト102の掴み動作が解除された状態と、を容易に切り替えることができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、カット屑保持部54は、カット屑103を垂れ下がるように保持する。この構成によると、取出ハンド22は、カット屑103をより低い高さ位置で保持できる。これにより、取出ハンド22は、Vベルト102の高さ位置とカット屑103の高さ位置とをより確実に異ならせることができる。その結果、取出ハンド22は、Vベルト102とカット屑103とを異なる箇所に仕分けて排出する動作をより行い易くなる。
また、Vベルト搬送装置45によると、カット屑保持部54においては、Vベルト102の幅方向Wに延びるように配置された爪部材57によって、カット屑103を保持できる。
また、Vベルト搬送装置45によると、爪部材57は、Vベルト保持部53に保持されたVベルト102に対してVベルト102の幅方向Wの両側に亘って延びている。この構成によると、Vベルト102の幅方向両側で生じたカット屑103の双方を、爪部材57によってより確実に保持できる。
また、Vベルト搬送装置45によると、カット屑保持部54においては、各Vベルト保持プレート55と対応する爪部材57との協働によってカット屑103が通される通し孔部60が形成されている。この構成によると、一対のVベルト保持プレート55によって、Vベルト102を挟むという簡易な構成でVベルト102を保持できる。また、Vベルト保持プレート55と対応する爪部材57によって、カット屑103を挟むようにしてカット屑103を保持できる。これにより、一対のVベルト保持プレート55に対するカット屑103の不用意な位置ずれが生じることを抑制できる。よって、取出ハンド22は、カット屑103をより意図した通りの姿勢で搬送できる。
また、Vベルト搬送装置45によると、Vベルト保持プレート55と爪部材57との相対変位によって、Vベルト保持プレート55と対応する爪部材57とでカット屑103が挟まれた状態と、この挟んだ状態が解除された状態と、を切り替えることができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、カット屑保持部54からカット屑103が排出される際、ガイド部材66によって、カット屑103の変位を案内できる。これにより、カット屑保持部54は、カット屑103をより確実にカット屑入れ12へ受け渡すことができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、カット屑保持部54の先端が下向きに変位するようにカット屑保持部54が動作するという簡易な動作で、カット屑保持部54からカット屑103を排出することができる。
また、Vベルト搬送装置45によると、主変位機構20が取出ハンド22に振動を与えることで、Vベルト保持部53に保持されているVベルト102と、カット屑保持部54に保持されているカット屑103とを、より確実に分離させることができる。
また、ベルト搬送システム6によると、挿入ハンド21および取出ハンド22によって、ベルト100(ベルト101)は、第1位置P1から、第2位置P2および第3位置P3へと順に搬送される。また、主変位機構20は、挿入ハンド21および取出ハンド22の双方を動作させる。これにより、挿入ハンド21と取出ハンド22とを別々の機構によって変位させる必要がなく、ベルト100(ベルト101およびVベルト102)をより効率的に自動搬送することができる。その結果、ベルト100の搬送効率をより高くできる。以上の次第で、無端状のベルト100の搬送に対してより適した構成を有するベルト搬送システム6を提供することができる。
また、ベルト搬送システム6によると、主変位機構20の可動部24は、旋回動作を用いて、挿入ハンド21を第1位置P1と第2位置P2との間に変位させ、且つ、取出ハンド22を第2位置P2と第3位置P3との間に変位させる。この構成によると、主変位機構20の可動部24が変位する領域を、固定部23の周囲の比較的狭い領域に限定することができる。これにより、可動部24の変位量を少なくできる。すなわち、ベルト100の搬送長さをより短くできる。これにより、ベルト搬送システム6の搬送効率をより高くできる。また、ベルト搬送システム6をよりコンパクトにできる。
また、ベルト搬送システム6によると、主変位機構20の可動部24の先端部のブラケット支持部31は、挿入ハンド21および取出ハンド22をブラケット支持部31回りに変位可能に構成されている。この構成によると、可動部24が固定部23に対して旋回動作する構成に加えて、可動部24の先端は、挿入ハンド21および取出ハンド22をブラケット支持部31回りに変位させることが可能である。これにより、主変位機構20は、挿入ハンド21および取出ハンド22の移動経路をより短くできる。したがって、ベルト100の搬送長さをより短くできる。これにより、主変位機構20を用いたベルト100の搬送効率をより高くできる。また、ベルト搬送システム6をよりコンパクトにできる。
また、ベルト搬送システム6によると、主変位機構20は、複数の関節機構を含んでいる。この構成によると、可動部24の先端の経路、すなわち、挿入ハンド21および取出ハンド22の経路の自由度を格段に高くできる。これにより、ベルト搬送システム6におけるベルト搬送経路の設定の自由度をより高くできる。
また、ベルト搬送システム6によると、第1ブラケット33および第2ブラケット50をブラケット支持部31に取り付けることで、挿入ハンド21および取出ハンド22を主変位機構20の可動部24に取り付けることができる。
また、ベルト搬送システム6によると、ブラケット支持部31から第1ブラケット33が延びる方向(長手方向N1)と、ブラケット支持部31から第2ブラケット50が延びる方向(長手方向N2)とは、異なっている。この構成によると、第1ブラケット33とブラケット支持部31との連結位置と、第2ブラケット50とブラケット支持部31との連結位置とを同じにできる。これにより、ブラケット支持部31をよりコンパクトにできる。
また、ベルト搬送システム6によると、挿入ハンド21は、第1位置P1でベルト101を受け取った後に、このベルト101を第2位置P2へ搬送できる。
また、ベルト搬送システム6によると、挿入ハンド21からバイアスカット装置4へベルト101が渡された後、このベルト101にカット処理が施されることでVベルト102およびカット屑103が形成される。そして、これらVベルト102およびカット屑103は、取出ハンド22が受け取る。これにより、ベルト101をVベルト102にするカット処理(バイアスカット)に伴うベルト100の搬送を自動化できる。
また、ベルト搬送システム6によると、取出ハンド22は、第3位置P3において、Vベルト102を排出部5の掛け台11に渡し、且つ、カット屑103をカット屑入れ12に排出する。この構成によると、取出ハンド22は、第3位置P3において、ベルト101とカット屑103とを別々に排出できる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施の形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。たとえば、次のように変更してもよい。
上述の実施形態では、ベルト搬送システムは、ベルトにバイアスカットを施すために用いられた。しかしながら、この通りでなくてもよい。ベルト搬送装置は、ベルトを2つの軸で伸張して作業を行う装置(たとえば、研磨機、検尺機、結束機など)に適用されてもよい。