JP2016040444A - 床用化粧シートおよびそれを用いた床用化粧材 - Google Patents

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孝史 冨永
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一喜 木下
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【課題】一般の床材としての耐久性を備え、防滑性能を損なうことなく、ペット等の歩行に伴う不快な擦り音の発生を防止することのできる床用化粧シートおよびそれを用いた床用化粧材を提供することを課題とする。【解決手段】表面に多数の凸部を形成してなる床用化粧シートであって、前記凸部がランダムに配置されていることを特徴とする防滑床用化粧シートであり、前記凸部が乱数計算によってランダムに配置してあることを特徴とする防滑床用化粧シートである。また前記床用化粧シートの表面に、熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂、もしくはそのうちの複数の混合からなる表面保護層を設けてあることを特徴とする防滑床用化粧シートである。【選択図】図1

Description

本発明は、防滑床用化粧シートおよびそれを用いた床用化粧材に関するものである。特に犬などのペットに対しての防滑性や擦り音の抑制に効果のある床用化粧シートおよびそれを用いた床用化粧材に関するものである。
近年の屋内あるいは屋外の建造物床面にはフローリング材が多く用いられている。フローリング材の多くは突き板に塗装を施したものであるが、木目のデザイン性や自然な風合いを持つ一方で、実用に際しては耐傷性、耐汚染性、耐候性などの表面性能が要求されることから、最近の床材は木質系基材に化粧シートをラミネートしたものも多く用いられる傾向にある。
建築材料である床材への要求品質には建築基準法をはじめとした法令に基づくもの、またエコマークやJIS等の規格に基づくものなどがあり、さらに実用上の耐候性、耐傷性、耐汚染性などさまざまな要求品質にあわせて材料設計を行い、また表面形状や光沢などの仕上げを選ぶ必要がある。
一方実用上の要求性能を満たすと同時に、利用者の住環境に対する意識の高まりから、床材に対しても安全性や快適性あるいは環境配慮の観点から新たな要求が出始めている。
そのひとつが防滑性である。これはたとえばJIS−A1454「高分子系張り床材試験方法」によって測定され、C.S.R.値によって示される歩行を想定したすべりにくさの基準値で表現される。
屋外特に階段やバルコニー、マンション廊下などの用いられる床用のシートに関しては従来より表面に凹凸を施したさまざまな床材が実用化されている。そのひとつとして基材上に盛り上がり印刷模様部を形成しこの印刷模様部の表面に架橋樹脂からなる点状防滑小突起群を印刷を用いて形成して一体的に固着したノンスリップ床材が知られている。
防滑に対する要求は別の角度からも提起されており、例えば室内でペット特に犬を飼う際に、フローリングのすべりがペットの歩行を妨げ脚の骨や関節に異常をきたしたり、ストレスになっているという問題がある。これはフローリングのみならず床用シートにも共通の課題である。
これに対応してフローリングまたは床用シートの表面に専用のスリップ防止ワックスを塗るという対応もなされているが、床全体の塗布にはコストがかかる上煩雑であり、その上定期的に塗りなおさなくてはならないという問題がある。
ペットとフローリング、床用シートの問題はそれだけにとどまらず、特に犬を室内で飼育する場合には、歩行に際してのフローリングおよび床用シートと脚の爪の接触音や擦り音が不快な音として聞こえることが問題とされる場合が出ている。
特開2007−135482号公報 特開2013−217066号公報
本発明はこのような状況に鑑み、一般の床材としての耐久性を備え、防滑性能を損なうことなく、ペット等の歩行に伴う不快な擦り音の発生を防止することのできる床用化粧シートおよびそれを用いた床用化粧材を提供することを課題とするものである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、表面に多数の凸部を形成してなる床用化粧シートであって、前記凸部がランダムに配置されていることを特徴とする防滑床用化粧シートである。
また、請求項2に記載の発明は、前記凸部が乱数計算によってランダムに配置してあることを特徴とする請求項1に記載の防滑床用化粧シートである。
また、請求項3に記載の発明は、表面に、熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂、もしくはそのうちの複数の混合からなるトップコート層を設けてあることを特徴とする請求項1または2に記載の防滑床用化粧シートである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の防滑床用化粧シートを床用基材に貼付することを特徴とする床用化粧材である。
本発明によれば、一般の床材としての防滑性能を損なうことなく、ペット等の歩行等に伴う不快な擦り音の発生を防止することのできる床用化粧シートを凸部をランダムな配置にすることによって提供することができる。
請求項2の発明によれば、凸部のランダムな配置に乱数計算を適用することによってより効果的に、ペット等の歩行等に伴う不快な擦り音の発生を防止することのできる床用化粧シートを提供することができる。
請求項3の発明によれば、耐候性、耐傷性、耐汚染性を備え、防滑性能を損なうことなく、ペット等の歩行等に伴う不快な擦り音の発生を防止することのできる床用化粧シートを提供することができる。
図1は本発明に係る床用化粧材の一実施形態の部分断面模式図である。 図2は本発明に係る防滑床用化粧シートの凸部のランダム配置のイメージである。
以下本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明を加える。図1は本発明に係る床用化粧材の一実施形態の部分断面模式図である。
本発明における床用基材(7)としては、南洋材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(以後MDF)、日本農林規格に規定される普通合板が使用可能である。また、木紛添加オレフィン系樹脂からなる基材も使用可能である。厚みは3〜25mm程度が好適である。
防滑床用化粧シート(1)は多数の凸部(5)を有しており、その表面にはトップコート層(6)が設けられている。トップコート層(6)によって防滑床用化粧シートの耐候性、耐傷性、耐汚染性などが強化される。またこの防滑床用化粧シートを床用基材(7)に貼付することで床用化粧材(8)となる。
凸部(5)は図2に示す配置イメージのようにランダム配置となっている。凸部がランダム配置となっているために、ペット等の歩行等に伴う不快な擦り音が抑制される。
防滑床用化粧シート(1)はポリプロピレン原反層(2)に印刷層(3)を設けて基材層とする。印刷は通常知られている例えばグラビア印刷法などを用いることができる。
ポリプロピレン原反層(2)には、たとえば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、またポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂あるいはポリエチレン樹脂、などを用いることができる。なかでも環境適合性や加工性、価格の点でポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。樹脂のグレードや組成は、そのほかにシーティングの容易さや印刷適性、曲げ加工に対する適性を考慮して選択することができる。
印刷層(3)の上にポリプロピレンクリア層(4)を設け表面に凸部(5)を形成する。ポリプロピレンクリア層(4)の形成には、ポリプロピレンのフィルムを貼りあわせるのでもよく、ポリプロピレンクリア層(4)を押し出し機を用いて印刷層の上に形成するのでもよい。凸部(5)を形成するには例えばエンボス型を用いて加熱、加圧して表面の凹凸形状を形成するいわゆるエンボス加工などを用いることができる。押し出し機によるポリプロピレンクリア層(4)の形成の場合には、押し出しの直後にエンボスロールなどによって表面に凸部(5)を形成することができる。
この凸部(5)が、例えば千鳥格子のような等間隔で規則性のある配置の場合には、ペット等の歩行等に伴う擦り音が同じ周波数で発生し共鳴し増幅して、不快な擦り音として人間の耳に感じられる。凸部(5)がランダムに配置されていることによって、擦り音の周波数は均一ではなくなり、共鳴、増幅は起こることがなくなるために耳に聞こえる不快な擦り音の抑制を実現することができる。
凸部(5)のランダムな配置は、規則性を持たないように考慮して配置するのでもよく一定の効果が期待できるが、乱数計算をもちいて無作為の配置をすることによってより効果的なものとなる。
凸部(5)としては、例えば、一辺が15〜300μmの正方形状の凸部を好ましく使用できる。中でも、一辺が120μmの正方形状の凸部が好ましい。凸部の高さは10〜100μmであることが好ましい。
防滑床用化粧シート(1)の外側の表面にはトップコート層(6)を設ける。トップコート層(6)には、熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂もしくは電子線硬化型樹脂などの架橋型の樹脂を用いることで、防滑床用化粧シートの耐候性、耐傷性、耐汚染性などを強化することができる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。塗布方法は既知のコーティング機を用いて塗布すればよく、架橋のタイプに合わせて熱あるいは紫外線、もしくは電子線の照射を行って硬化させる。
<実施例>
本発明による防滑床用化粧シート(1)を下記の材料と手順で作成した。層構成は図1に示したとおりである。
ポリプロピレン原反層(2)として厚さ70μmの顔料配合ランダムポリプロピレンシート(リケンテクノス社製)を用い、グラビア印刷によってウレタンインキ(東洋インキ製造製ラミスター)を用いて木目柄を印刷層(3)として形成した。
この印刷層(3)上にポリプロピレンクリア層(4)としてホモポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製)を押し出し機によって形成し、押し出すと同時にエンボス版を用いて凸部(5)を形成した。
エンボス版は、凹エンボス版であってセル形状が120μm角の正方形であり、30μmの深度である。配置は正規乱数によってランダムな配置とした。
さらにトップコート層(6)として紫外線硬化型樹脂(DICグラフィック社製ウレタンアクリレート樹脂)を5μmの厚さになるよう塗布し、メタルハライドランプにて紫外線照射を行って硬化させた。
<比較例>
120μm角の凸部(5)が、X軸方向に200μm間隔、Y軸方向に200μmで千鳥格子状に規則正しく配置されており、高さが50μmである以外は実施例と同じ材料と手順で防滑床用化粧シート(1)を作成した。
<評価方法および評価基準>
実施例および比較例に記載の防滑床用化粧シート(1)を床用基材(7)である厚み3mmのMDF(広葉樹)の表面に接着剤として2液水性エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製「リカボンド」(重量比BA−10L/BA−11B=100:2.5))をウェット状態で100g/m2に塗工した後貼り合わせ、24時間養生することで床用化粧材(8)とした。これらの床用化粧材(8)を以下の方法により評価した。
(1)防滑性能:JIS−A1454に準じて試験を行い、C.S.R.値を求めた。
(2)擦り音:官能試験にて評価した。評価は10人の試験員で行った。
評価基準は、良いとした人0人・・・×、1〜6人・・・△、7〜10人・・・○とした。
評価結果を表1に示す。
Figure 2016040444
表1の結果から、本発明による防滑床用化粧シートおよびそれを用いた床用化粧材は、防
滑性能を損じることなく擦り音を抑制することができることを検証することができた。
本発明によれば、一般の床材としての耐久性を備え、防滑性能を損なうことなく、ペッ
ト等の歩行に伴う不快な擦り音の発生を防止することのできる床用化粧シートおよびそれ
を用いた床用化粧材を提供することができる。
1・・・防滑床用化粧シート
2・・・ポリプロピレン原反層
3・・・印刷層
4・・・ポリプロピレンクリア層
5・・・凸部
6・・・トップコート層
7・・・床用基材
8・・・床用化粧材

Claims (4)

  1. 表面に多数の凸部を形成してなる床用化粧シートであって、前記凸部がランダムに配置
    されていることを特徴とする防滑床用化粧シート。
  2. 前記凸部が乱数計算によってランダムに配置してあることを特徴とする請求項1に記載
    の防滑床用化粧シート。
  3. 表面に、熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂または電子線硬化型樹脂、もしくはその
    うちの複数の混合からなるトップコート層を設けてあることを特徴とする請求項1または
    2に記載の防滑床用化粧シート。
  4. 請求項1〜3に記載の防滑床用シートを床用基材に貼り合わせた床用化粧材。
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