以下、携帯端末装置、測定システムおよび測定システム用プログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1,2に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、測定装置1およびスマートフォン2を備えて構成されている。この場合、「スマートフォン」は、広義には、PDA(携帯情報端末)の機能が備わった携帯電話を意味するが、本明細書では、この広義の「スマートフォン」のうちの「各種プログラムのインストールによって、任意の機能を付加したり、端末の操作環境や表示環境等をカスタマイズしたりすることができるもの」を「スマートフォン」という。また、上記のスマートフォン2は、「携帯端末装置」の一例であって、後述するように、この測定システム100専用の測定システム用プログラムDp(「測定システム用プログラム」の一例)がインストールされた既存の「スマートフォン」で構成されている。
測定装置1は、「測定装置」の一例であるクランプ式電流測定装置であって、図1に示すように、測定部11、操作部12、表示部13、無線通信部14、有線通信部15、制御部16およびメモリ17を備えて構成されている。測定部11は、制御部16の制御に従い、クランプセンサ部11a(図2参照)によってクランプした図示しない測定対象を流れる電流の電流値(「被測定量」の一例)を測定して、測定値(電流値)を制御部16に出力する。
操作部12は、図2に示すように、後述するように測定結果に基づいて逐次更新される表示部13の測定値をホールド/ホールド解除(測定値の表示替えの規制、および規制の解除)するためのHOLDスイッチ12aや、スマートフォン2に対してデータ保存処理の実行を指示するためのデータ保存スイッチ12bなどの複数の操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部16に出力する。表示部13は、制御部16の制御に従い、設定されている測定モードの種類やバッテリの残量等を表示すると共に、測定結果に基づく測定値(電流値)などを表示する。
無線通信部14は、一例として、ブルートゥース(Bluetooth :登録商標)規格に準じた近距離無線通信を実行可能に構成されて、後述するようにスマートフォン2との間でペアリングされた状態において各種の信号やデータを送受信する。また、有線通信部15は、一例として、USB規格に準じた接続コネクタ(図示せず)を備え、この接続コネクタに接続される信号ケーブルC(図1参照)を介してスマートフォン2と接続可能に構成されて信号ケーブルCを介して各種の信号やデータを送受信する。具体的には、図1に示すように、無線通信部14および有線通信部15は、制御部16の制御に従い、スマートフォン2から送信された送信要求信号S0の受信処理、およびスマートフォン2に対する測定結果データDや制御信号S1の送信処理などを実行する。
制御部16は、測定装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部16は、操作部12のスイッチ操作によって設定された測定条件に従って測定部11を制御して電流値の測定処理を実行させる。また、制御部16は、測定部11から出力される測定値に基づいて測定結果データDを生成してメモリ17に記憶させると共に、生成した測定結果データDに基づく測定値(電流値)を表示部13に表示させる。さらに、制御部16は、スマートフォン2から送信される送信要求信号S0に従い、生成した測定結果データDを無線通信部14または有線通信部15からスマートフォン2に送信させる。また、制御部16は、スマートフォン2に測定結果データDを保存させる条件(後述する「保存指示条件」)が満たされたときに、測定結果データDの保存を指示する制御信号S1を無線通信部14または有線通信部15からスマートフォン2に送信させる。メモリ17は、制御部16の動作プログラムや、制御部16によって生成される測定結果データDなどを一時的に記憶する。
この測定装置1では、測定対象を流れている電流値をリアルタイムに測定する通常測定モードによる測定処理だけでなく、測定対象を流れた突入電流の電流値を測定する突入電流測定モードによる測定処理を実行することができるように構成されている。この場合、通常測定モードによる電流値の測定に際しては、例えば、測定処理の開始直後に電流値が小刻みに変動して正確な測定値(電流値)の特定が困難な状態となることがある。したがって、本例の測定装置1では、通常測定モードで測定処理を開始したときに、制御部16が、測定部11から出力される測定値(電流値)の変動に応じて表示部13に表示させる電流値を逐次表示替えすると共に、測定部11から出力される測定値が予め設定された基準を満たす安定状態となったときに、その時点において表示部13に表示させている測定値(電流値)をホールドする「自動ホールド処理」を実行することができるように構成されている。
また、この測定装置1では、通常測定モードによる測定処理の実行中に操作部12のHOLDスイッチ12aが操作されたときには、制御部16が、その時点において表示部13に表示させている測定値(電流値)をホールドする「手動ホールド処理」を実行する構成が採用されている。さらに、この測定装置1では、制御部16が、通常測定モードでの測定処理に際して「自動ホールド処理」または「手動ホールド処理」を実行して測定値をホールドしたときに、「保存指示条件」が満たされたと判別して、最新の測定結果データDを保存する処理の開始を指示する制御信号S1(「予め規定された制御信号」の一例)を無線通信部14または有線通信部15からスマートフォン2に送信させる処理を実行する。
また、突入電流測定モードによる測定処理に際しては、制御部16が、測定部11から出力される測定値(電流値)の変化に応じて表示部13に表示させる測定値(電流値)を逐次表示替えさせつつ、測定部11から出力される測定値に基づいて突入電流値を特定する処理を実行する。さらに、制御部16は、突入電流値の特定が完了したときに、特定した突入電流値を「INRUSH」との文字列と共に表示部13に表示させると共に、「保存指示条件」が満たされたと判別して、最新の測定結果データDを保存する処理の開始を指示する制御信号S1(「予め規定された制御信号」の他の一例)を無線通信部14または有線通信部15からスマートフォン2に送信させる処理を実行する。
また、この測定装置1では、通常測定モードおよび突入電流測定モードのいずれで測定処理を実行しているかに拘わらず、操作部12のデータ保存スイッチ12bが操作されたときにも、制御部16が、「保存指示条件」が満たされたと判別して、最新の測定結果データDを保存する処理の開始を指示する制御信号S1(「予め規定された制御信号」のさらに他の一例)を無線通信部14または有線通信部15からスマートフォン2に送信させる処理を実行する。
一方、スマートフォン2は、上記したように、測定システム用プログラムDpがインストールされた既存の「スマートフォン」で構成されている。具体的には、図1に示すように、スマートフォン2は、本体メモリ21、操作部22、表示部23、無線通信部24、有線通信部25、制御部26およびストレージメモリ装着部27を備えて構成されている。なお、スマートフォン2における「携帯電話としての機能」や「PDAとしての機能」を実現するための構成要素については公知のため、図示および説明を省略する。本体メモリ21(「不揮発性記憶媒体」の一例)は、スマートフォン2の動作プログラムを記憶すると共に、測定システム用プログラムDp等の各種プログラム(利用者がインストールしたプログラム)を記憶する。なお、測定システム用プログラムDp等のプログラムの一部については、ストレージメモリ装着部27に装着されたストレージメモリMにインストールすることもできる。
この場合、本例のスマートフォン2(測定システム用プログラムDp)では、測定装置1から送信される測定結果データDを順次上書きするための記憶領域(以下、「上書き領域」ともいう)、および、後述する「保存条件」に合致する測定結果データDを保存するための記憶領域(以下、「保存領域」ともいう)の2つの記憶領域が本体メモリ21内に規定されると共に、上書き領域を「第1記憶部」とし、かつ保存領域を「第2記憶部」として、後述する「第1処理」、「第2処理」および「第3処理」を実行する構成が採用されている(「第1記憶部」および「第2記憶部」を1つの記憶媒体内に設けた構成の例)。なお、上書き領域および保存領域については、いずれか一方または双方をストレージメモリM(「不揮発性記憶媒体」の他の一例)内に規定することもできる。
操作部22は、「操作部」の一例であって、図示しない電源スイッチなどの他に、表示部23の表面側に配設されたタッチパネルを備えて構成されて、これらの操作に応じた操作信号を制御部26に出力する。表示部23は、制御部26の制御に従って各種の表示画面を表示する。この場合、本例のスマートフォン2では、後述するように測定システム用プログラムDpが起動されたときに、図2に示すように、測定処理用画面30が表示部23に表示される。
この測定処理用画面30には、一例として、測定装置1から送信された測定結果データDに基づく測定結果(電流値)を表す測定結果表示31や、後述するように測定装置1から順次送信される測定結果データDに基づいて逐次表示替えされる測定結果表示31(測定値)のホールドおよびホールドの解除(表示替えの規制、および規制の解除)を行うためのHOLDスイッチ32a、および最新の測定結果データDを本体メモリ21の保存領域に保存するデータ保存処理の実行を指示するデータ保存スイッチ32bなどの各種の操作スイッチ(タッチパネルを介して操作可能な疑似スイッチ)を有する操作スイッチ表示32が表示される。なお、後述するように、本例のスマートフォン2(測定システム用プログラムDp)では、データ保存スイッチ32bに対するタッチ操作が「第2処理の開始を指示するスイッチ操作」に相当する。
無線通信部24は、測定装置1の無線通信部14と同様にして、ブルートゥース規格に準じた近距離無線通信を実行可能に構成されて、後述するように測定装置1との間でペアリングされた状態において各種の信号やデータを送受信する。また、有線通信部25は、測定装置1の有線通信部15と同様にして、USB規格に準じた接続コネクタを備え、この接続コネクタに接続される信号ケーブルCを介して測定装置1と接続可能に構成されて信号ケーブルCを介して各種の信号やデータを送受信する。具体的には、無線通信部24および有線通信部25は、制御部26の制御に従い、測定装置1に対する送信要求信号S0の送信処理、および測定装置1から送信された測定結果データDや制御信号S1の受信処理などを実行する。
制御部26は、「処理部」の一例であって、スマートフォン2を総括的に制御する。具体的には、制御部26は、測定システム用プログラムDpに従い、測定処理用画面30を表示部23に表示させると共に、無線通信部24または有線通信部25を介して測定装置1に送信要求信号S0を送信する処理を実行する。また、制御部26は、無線通信部24または有線通信部25によって測定結果データDが受信されたときに、受信された測定結果データDを本体メモリ21の上書き領域に記憶させる処理(測定結果データDの上書き:「一時的に記憶させる」との「第1処理」の一例)を実行する。さらに、制御部26は、本体メモリ21の上書き領域に記憶させた測定結果データDに基づく測定結果(電流値)を測定処理用画面30に測定結果表示31として数値表示させる処理を実行する。
また、制御部26は、測定装置1から送信された制御信号S1(「予め規定された制御信号」の一例)」が無線通信部24または有線通信部25によって受信されたか否かを監視する処理(「第3処理」の一例)を継続的に実行する。さらに、制御部26は、測定装置1から送信された制御信号S1が無線通信部24または有線通信部25によって受信されたときに、「開始条件」が満たされたと判別して、上書き領域に記憶されている最新の測定結果データDを保存領域に記憶させるデータ保存処理(「第2処理」の一例)を実行する。また、制御部26は、データ保存スイッチ32bが操作されたときにも、「開始条件」が満たされたと判別して、上書き領域に記憶されている最新の測定結果データDを保存領域に記憶させるデータ保存処理(「第2処理」の他の一例)を実行する。
この場合、本例のスマートフォン2(測定システム用プログラムDp)では、上記したように、「上書き領域に記憶されている最新の測定結果データD」を「予め規定された保存条件に合致する測定結果データ」として保存領域に記憶させる(保存する)構成が採用されているが、このような構成に代えて、「制御信号S1の送信後に測定装置1から送信される最新の測定結果データD」を「予め規定された保存条件に合致する測定結果データ」として保存領域に記憶させる(保存する)構成を採用することもできる。
なお、このスマートフォン2にインストールされている測定システム用プログラムDpは、制御部26に対して、測定装置1から送信された制御信号S1が無線通信部24または有線通信部25によって受信されたか否かを監視する「第3処理」を実行させつつ、測定装置1から測定結果データDが送信される都度、無線通信部24または有線通信部25によって受信された測定結果データDを本体メモリ21の上書き領域に記憶させる「第1処理」を実行させると共に、無線通信部24または有線通信部25によって制御信号S1が受信されたとき(測定装置1から制御信号S1が送信されたとき)、およびデータ保存スイッチ32bが操作されたときに、「第2処理」を開始する「開始条件」が満たされたとして、本体メモリ21の上書き領域に記憶されている最新の測定結果データDを本体メモリ21の保存領域に記憶させる「第2処理」を実行させる手順が記録されている。
この測定システム100の使用に際しては、まず、スマートフォン2に測定システム用プログラムDpをインストールする。この測定システム用プログラムDpについては、一例として、測定装置1の附属品としてインストール用光ディスクを提供したり、インターネット内の任意のサイトからダウンロードして使用するようにしたりすることができる。なお、測定システム用プログラムDpのインストール作業に関しては、「スマートフォン」に対する各種プログラムのインストール作業と同様のため、詳細な説明を省略する。次いで、測定装置1とスマートフォン2との間においてブルートゥースのペアリングを行う。なお、ペアリング作業に関しては、公知の各種ブルートゥース機器のペアリング作業と同様のため、詳細な説明を省略する。これにより、測定システム100を使用する準備が整う。
また、測定システム100を使用して測定対象についての測定処理を実施するには、まず、測定装置1の操作部12を制御して測定処理の条件を設定する。この際には、一例として、突入電流測定モードで測定処理を実行するように設定する。次いで、スマートフォン2の操作部22を操作して、一例として、無線通信部24をオン状態にする(通信可能な状態とする)。この際には、前述したペアリング作業によってペアリングされた測定装置1の無線通信部14とスマートフォン2の無線通信部24とが相互に通信可能な状態となる。続いて、操作部22を操作して測定システム用プログラムDpを起動させる。この際に、制御部26は、測定システム用プログラムDpに従い、表示部23に測定処理用画面30を表示させる。
この場合、本例のスマートフォン2(測定システム用プログラムDp)では、一例として、スマートフォン2による測定結果データDの自動保存処理(スマートフォン2における「第2処理」の実行)を行うように設定されている。したがって、スマートフォン2による測定結果データDの自動保存処理が不要なとき(スマートフォン2のデータ保存スイッチ32bを操作したときだけ測定結果データDが保存される使用態様を希望するとき)には、操作部22を操作して測定処理用画面30上に動作条件設定画面(図示せず)を重ねて表示させ、自動保存処理を実行しないように設定する。なお、本例では、自動保存処理を行うように設定された状態を維持する。
一方、制御部26は、測定システム用プログラムDpに従って測定処理用画面30を表示させたとき(上記の動作条件設定画面を表示させたときには、操作部22の操作によってその動作条件設定画面が閉じられて測定処理用画面30が再表示されたとき)に、無線通信部24を制御して、測定装置1に対して測定結果データDの送信を要求する送信要求信号S0(測定結果データDの受信準備が整った旨を報知する信号)を送信させる。また、制御部26は、後述するように測定装置1から送信される測定結果データDや制御信号S1が無線通信部24等によって受信されたか否かの監視を開始する。なお、本例のスマートフォン2(測定システム用プログラムDp)では、無線通信部24によって制御信号S1が受信されたか否か(測定装置1から制御信号S1が送信されたか否か)を監視する処理が「第3処理」に相当する。
次いで、測定装置1の操作部12を操作して測定部11による電流値の測定処理を開始させると共に、電流が供給されていない状態の測定対象をクランプセンサ部11aによってクランプする。この際に、制御部16は、設定された測定条件に従って測定部11を制御して測定部11に測定処理を開始させる。これに応じて、測定部11が、電流値の測定処理を開始すると共に、「0A」との測定値を制御部16に出力する。また、制御部16は、測定部11から出力された測定値に基づいて測定結果データDを生成してメモリ17に記憶させると共に、表示部13を制御して「0A」との電流値を測定結果として表示させる。また、この時点においては、上記したようにスマートフォン2から最初の送信要求信号S0が送信されているため、制御部16は、無線通信部14からスマートフォン2に測定結果データDを送信させる。
また、スマートフォン2では、測定装置1(無線通信部14)から送信された測定結果データDが無線通信部24によって受信されたときに、制御部26が、その測定結果データDを本体メモリ21の上書き領域に記憶させる処理(「第1処理」の一例)を実行すると共に、表示部23を制御して、受信された測定結果データDに基づく測定結果(この例では、「0A」との電流値)を測定結果表示31として測定処理用画面30に表示させる。さらに、制御部26は、無線通信部24を制御して、次の測定結果データDの送信を要求する送信要求信号S0を測定装置1に送信させる。
これに応じて、測定装置1では、制御部16が、測定部11から出力された測定値に基づいて新たに生成した測定結果データD(測定対象に電流が供給されていないこの時点においては、「0A」との電流値の測定結果データD)を無線通信部14からスマートフォン2に送信させる。また、スマートフォン2では、測定装置1から送信された測定結果データDが無線通信部24によって受信されたときに、制御部26が「第1処理」を実行して本体メモリ21の上書き領域に上書きし、かつ受信された測定結果データDに基づく測定結果(この例では、「0A」との電流値)で測定処理用画面30の測定結果表示31を表示替えすると共に、次の測定結果データDの送信を要求する送信要求信号S0を無線通信部24から送信させる。この後、測定装置1による電流値の測定および測定結果データDの送信と、スマートフォン2による測定結果データDの上書きおよび「0A」との測定結果の表示とが繰り返して実行される
次いで、測定装置1のクランプセンサ部11aによってクランプしている測定対象に対する電流の供給を開始する。この際に、測定装置1では、測定部11が、測定対象を流れる電流値を測定して制御部16に出力し、制御部16が、測定部11から出力された測定値(電流値)に基づく測定結果データDの生成処理(メモリ17への記憶)、測定結果データDに基づく表示部13への測定値の表示処理、およびスマートフォン2からの送信要求信号S0に応じての測定結果データDの送信処理を実行する。また、スマートフォン2では、制御部26が、測定システム用プログラムDpに従い、測定装置1からの制御信号S1の送信の有無を監視する「第3処理」を継続しつつ、無線通信部24によって受信された測定結果データDの上書き領域への記憶(「第1処理」の実行)、受信された測定結果データDに基づく測定結果表示31(電流値)の表示替え、および測定装置1に対する送信要求信号S0の送信処理を繰り返し実行する。
一方、測定装置1では、制御部16が、上記の各処理と並行して、測定部11から出力される測定値に基づき、測定対象を流れた突入電流値を特定する処理を行う。また、制御部16は、突入電流値の特定が完了したときに、特定した電流値(突入電流値)に基づいて測定結果データDを生成し、図2に示すように、その測定結果データDに基づく電流値(一例として、「95.8A」との値)を「INRUSH」との文字列と共に表示部13に表示させる。さらに、制御部16は、無線通信部14から測定結果データDを送信させると共に、突入電流値の特定が完了したことで「保存指示条件」が満たされたと判別して無線通信部14からスマートフォン2に制御信号S1を送信させる。
一方、スマートフォン2では、制御部26が、測定装置1から送信されて無線通信部24によって受信された測定結果データDを本体メモリ21の上書き領域に記憶させ、その測定結果データDに基づいて測定結果表示31を「95.8A」との値に表示替えさせる。また、制御部26は、測定結果データDに続いて測定装置1から送信された制御信号S1が無線通信部24によって受信されたときに、「処理開始条件」が満たされたと判別する。
この際に、制御部26は、その時点において上書き領域に記憶されている測定結果データD(この例では、「95.8A」との電流値の測定結果データD)を保存領域に記憶させる処理(「第2処理」の一例)を実行する。また、制御部26は、測定処理用画面30に「INRUSH」との文字列を表示させる。これにより、例えば、クランプセンサ部11aによって測定対象をクランプしている測定装置1を手で支えている状態においても、スマートフォン2を操作することなく、測定装置1によって測定された突入電流値の測定結果データDがスマートフォン2の本体メモリ21における保存領域に保存される。
なお、測定装置1において、突入電流測定モードに代えて通常測定モードでの測定処理を実行させたときには、測定部11によって測定された測定値(電流値)に基づいて制御部16によって生成された測定結果データDが測定装置1(無線通信部14)からスマートフォン2に送信され、制御部26が、無線通信部24によって受信された測定結果データDを本体メモリ21の上書き領域に上書きする「第1処理」を実行する。また、測定部11から出力される測定値(電流値)が予め設定された基準を満たす安定状態となったときに、制御部16が、その時点において表示部13に表示させている測定値(電流値)をホールドする「自動ホールド処理」を実行すると共に、「保存指示条件」が満たされたと判別して無線通信部14からスマートフォン2に制御信号S1を送信させる。
また、スマートフォン2では、制御部26が、無線通信部24によって制御信号S1が受信されたときに、「処理開始条件」が満たされたと判別し、その時点において上書き領域に記憶されている測定結果データDを保存領域に記憶させる処理(「第2処理」の他の一例)を実行する。これにより、前述した突入電流値の測定時と同様にして、スマートフォン2を操作することなく、測定装置1によって測定された電流値の測定結果データDがスマートフォン2の本体メモリ21における保存領域に保存される。
さらに、突入電流測定モードによる測定処理、および通常測定モードによる測定処理のいずれを実行しているかに拘わらず、測定装置1のデータ保存スイッチ12bが操作されたときには、制御部16が、「保存指示条件」が満たされたと判別して無線通信部14からスマートフォン2に制御信号S1を送信させ、これに応じて、スマートフォン2の制御部26が、「処理開始条件」が満たされたと判別し、その時点において上書き領域に記憶されている測定結果データDを保存領域に記憶させる処理(「第2処理」のさらに他の一例)を実行する。また、スマートフォン2のデータ保存スイッチ32bが操作されたときには、制御部26が、「処理開始条件」が満たされたと判別し、その時点において上書き領域に記憶されている測定結果データDを保存領域に記憶させる処理(「第2処理」のさらに他の一例)を実行する。これにより、この測定システム100では、出願人が開示している従来の測定システムと同様にして、利用者が希望する任意のタイミングでスマートフォン2の保存領域に測定結果データDを保存することが可能となっている。
なお、送信要求信号S0、測定結果データDおよび制御信号S1などの各種の信号やデータを無線通信部14,24間での無線通信によって送受信させる使用方法を例に挙げて説明したが、この測定システム100では、有線通信部15,25の間を信号ケーブルCで接続した状態において、信号ケーブルCを介して各種の信号やデータを送受信させることもできる。このように、信号ケーブルCを介して送受信させたときにも、測定装置1およびスマートフォン2によって上記の各処理と同様の処理が実行される。
このように、このスマートフォン2では、制御部26が、「第2処理」を開始する処理開始条件が満たされたか否か(本例では、測定装置1から制御信号S1が送信されたか否か)を監視する「第3処理」を実行しつつ、測定装置1から測定結果データDが送信される都度、その測定結果データDを本体メモリ21の上書き領域に一時的に記憶させる「第1処理」を実行すると共に、測定装置1から制御信号S1が送信されたときに「処理開始条件」が満たされたと判別して、上書き領域に記憶されている測定結果データDのうちの「予め規定された保存条件」に合致する測定結果データD(上書き領域に測定結果データDを上書きする本例では、その時点において上書き領域に記憶されている最新の測定結果データD))を本体メモリ21の保存領域に記憶させる「第2処理」を実行する。
また、この測定システム100では、上記のスマートフォン2と、測定対象についての被測定量(本例では、電流値)を測定すると共に、測定結果に基づいて測定結果データDを生成してスマートフォン2に送信し、かつ「予め規定された保存指示条件」が満たされたときに制御信号S1をスマートフォン2に送信する測定装置1とを備えている。
さらに、この測定システム用プログラムDpでは、スマートフォン2の制御部26に対して、「第2処理」を開始する「処理開始条件」が満たされたか否かを監視する「第3処理」を実行させつつ、測定装置1から測定結果データDが送信される都度、その測定結果データDを本体メモリ21の上書き領域に一時的に記憶させる「第1処理」を実行させると共に、測定装置1から制御信号S1が送信されたときに「処理開始条件」が満たされたとして、本体メモリ21に記憶されている測定結果データDのうちの「予め規定された保存条件」に合致する測定結果データD(本例では、上書き領域に記憶されている最新の測定結果データD)を本体メモリ21の保存領域に記憶させる「第2処理」を実行させる手順が記録されている。
したがって、このスマートフォン2、測定システム100および測定システム用プログラムDpによれば、測定結果データDを保存すべきときに測定装置1から制御信号S1が出力されるように規定しておくことで、測定結果データDを保存すべきときに測定装置1からスマートフォン2に制御信号S1が送信され、これに応じて、スマートフォン2の上書き領域に記憶されている測定結果データDが保存領域に自動的に記憶されるため、スマートフォン2の操作が困難な状況であっても、保存すべき測定結果データDを確実かつ容易に保存することができる。
また、このスマートフォン2および測定システム100によれば、制御部26が、操作部22に対するスイッチ操作(データ保存スイッチ32bの操作)によって「第2処理」の開始を指示されたときに、「処理開始条件」が満たされたと判別して「第2処理」を実行することにより、測定システム用プログラムDpに従っての自動保存だけでなく、利用者が希望する任意のタイミングでデータ保存スイッチ32bを操作することで上書き領域に記憶されている測定結果データDを保存領域に保存することができる。
なお、携帯端末装置、測定システムおよび測定システム用プログラムの構成は、上記の例示に限定されない。例えば、「不揮発性記憶媒体」で構成された本体メモリ21やストレージメモリMに規定した「上書き領域」を「第1記憶部」として使用する例について説明したが、この「第1記憶部」については、RAMなどの「揮発性記憶媒体」で構成することができる。また、本体メモリ21やストレージメモリMに規定した「保存領域」を「第2記憶部」として使用する例について説明したが、この「第2記憶部」については、HDDや光ディスク等の各種の「不揮発性記憶媒体」で構成することができる。
さらに、送信要求信号S0、測定結果データDおよび制御信号S1などの各種の信号やデータを、ブルートゥース規格に準じた近距離無線通信によって送受信する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、この構成に加えて)、無線LANに接続可能な無線通信部、ZigBee(登録商用)規格に準じた近距離無線通信が可能な無線通信部、およびIrDA規格に準じた赤外線通信を実行可能な無線通信部を備えて各種の信号やデータを送受信する構成を採用することもできる。
また、USB規格に準じた接続コネクタを有する有線通信部15,25の間で各種の信号やデータを送受信する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、この構成に加えて)、IEEE488規格や、IEEE1394規格などに準じた各種の有線通信規格で各種の信号やデータを送受信する構成を採用することもできる。さらに、測定装置1およびスマートフォン2間の通信手段としては、近距離無線通信や有線通信等に限定されず、公衆回線網やインターネット通信網等を利用した遠距離通信を利用することもできる。
また、測定結果を表示可能な表示部13を備えた測定装置1を例に挙げて説明したが、「測定装置」に「表示部」が存在しない構成を採用することもできる。さらに、測定結果データDに基づく測定結果表示31をスマートフォン2の表示部23(測定処理用画面30)に表示させる構成を例に挙げて説明したが、「携帯端末装置」において測定結果データDに基づく測定結果の表示を行わない構成を採用することもできる。さらに、「被測定量」として電流値を測定して「測定結果データ」を保存する構成を例に挙げて説明したが、電圧値、抵抗値、位相、電力値、温度、湿度、歪み、輝度(光度)、照度、雨量および流量等の各種のパラメータを「被測定量」として測定して「測定結果データ」を保存する構成を採用することもできる。加えて、「携帯端末装置」は、「スマートフォン」に限定されず、「タブレット端末」や「ノート型パーソナルコンピュータ」に「測定システム用プログラム」をインストールして「携帯端末装置」として使用することもできる。