JP2016019542A - 前立腺癌における再発性遺伝子融合 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】患者から試料を採取する工程と、SLC45A3、HERV-K_22qll.23、およびC15ORF21からなる群より選ばれるアンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来の5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有する遺伝子融合の、試料中での存在または非存在を検出する工程とを含み、試料中の遺伝子融合の存在がその患者の前立腺癌を示す、患者の前立腺癌を診断する方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、癌の診断、研究、および治療に関する組成物および方法に関するものであり、これらには限定されないが、癌マーカー等を含む。特に本発明は、診断用マーカーとしての再発性遺伝子融合および前立腺癌に対する臨床標的に関する。
癌研究における主なる目的は、発癌において必然的に発癌に結びつく異常な遺伝子を同定することである。これまで同定された体細胞変異の数種として、塩基置換、挿入、欠失、転位、そして染色体増加および消失があり、これらのいずれもが、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子の異常活性を生じる。1900年代初期に仮説が立てられ、癌における染色体再編成についての原因となる役割に関する有力な証拠が現在ある(Rowley,Nat Rev Cancer 1:245(2001)(非特許文献1))。再発性染色体異常は、主として、白血病、リンパ腫、および肉腫の特徴であると考えられた。より一層一般的で、ヒトの癌に伴う罹患率および死亡率の比較的大部分に寄与する上皮腫瘍(癌腫)は、既知のもの1%未満であり、疾患特異性染色体再編成である(Mitelman,Mutat Res 462:247(2000)(非特許文献2))。血液悪性腫瘍が平衡のとれた疾患特異性染色体再編で特徴付けられることが多いのに対し、多くの固形腫瘍は非特異性染色体異常の過多を有する。固形腫瘍の核型の複雑性は、癌の進化または進行を通じて取得した第2の変化によるものであると考えられている。
[請求項101]
(a)患者から試料を採取する工程と、
(b)SLC45A3、HERV-K_22qll.23、およびC15ORF21からなる群より選ばれるアンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来の5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有する遺伝子融合の、前記試料中での存在または非存在を検出する工程と
を含み、試料中の遺伝子融合の存在がその患者の前立腺癌を示す、患者の前立腺癌を診断する方法。
[請求項102]
前記アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域が、アンドロゲン制御遺伝子のプロモーター領域を含む、請求項101記載の方法。
[請求項103]
ETSファミリーメンバー遺伝子がETV1である請求項101記載の方法。
[請求項104]
前記工程(b)が、アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項101記載の方法。
[請求項105]
前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項104記載の方法。
[請求項106]
前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項104記載の方法。
[請求項107]
前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、およびサザンブロットからなる群から選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項106記載の方法。
[請求項108]
前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項104記載の方法。
[請求項109]
前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項108記載の方法。
[請求項110]
前記工程(b)が、アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来の5´部分とETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項101記載の方法。
[請求項111]
前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項110記載の方法。
[請求項112]
前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項110記載の方法。
[請求項113]
前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイおよびノーザンブロット法からなる群より選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項112記載の方法。
[請求項114]
前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項110記載の方法。
[請求項115]
前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項114記載の方法。
[請求項116]
前記試料が、組織、血液、血漿、血清、尿、尿の上澄み、尿細胞ペレット、精液、前立腺分泌物、および前立腺細胞からなる群より選ばれる、請求項101記載の方法。
[請求項117]
(a)患者から試料を採取する工程と、
(b)ハウスキーピング遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有する遺伝子融合の、前記試料中での存在または非存在を検出する工程と
を含み、試料中の遺伝子融合の存在が患者の前立腺癌を示す、患者の前立腺癌を診断する方法。
[請求項118]
前記ハウスキーピング遺伝子がHNRP A2 B1である請求項117記載の方法。
[請求項119]
前記ETSファミリーメンバー遺伝子がETV1である請求項117記載の方法。
[請求項120]
前記ハウスキーピング遺伝子の転写制御領域が、ハウスキーピング遺伝子のプロモーター領域を含む、請求項117記載の方法。
[請求項121]
前記工程(b)が、ハウスキーピング遺伝子の転写制御領域由来の5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項117記載の方法。
[請求項122]
前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項121記載の方法。
[請求項123]
前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項121記載の方法。
[請求項124]
前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、およびサザンブロット法からなる群より選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項123記載の方法。
[請求項125]
前期工程(b)が、核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項121記載の方法。
[請求項126]
前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項125記載の方法。
[請求項127]
前記工程(b)が、ハウスキーピング遺伝子の転写制御領域由来の5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項117記載の方法。
[請求項128]
前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項127記載の方法。
[請求項129]
前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項127記載の方法。
[請求項130]
前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイおよびノーザンブロット法からなる群から選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項129記載の方法。
[請求項131]
前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項127記載の方法。
[請求項132]
前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項131記載の方法。
[請求項133]
前記試料が、組織、血液、血漿、血清、尿、尿の上澄み、尿細胞ペレット、精液、前立腺分泌物、および前立腺細胞からなる群より選ばれる、請求項117記載の方法。
[請求項134]
(a)患者から試料を採取する工程と、
(b)アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETV5由来の3´部分とを有する遺伝子融合の、前記試料中での存在または非存在を検出する工程と
を含み、試料中の遺伝子融合の存在が患者の前立腺癌を示す、患者の前立腺癌を診断する方法。
[請求項135]
前記アンドロゲン制御遺伝子が、TMPRSS2とSLC45A3とからなる群より選ばれる、請求項134記載の方法。
[請求項136]
前記アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域が、アンドロゲン制御遺伝子のプロモーター領域を含む、請求項134記載の方法。
[請求項137]
前記工程(b)が、アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETV5由来の3´部分とを有するゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項134記載の方法。
[請求項138]
前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項137記載の方法。
[請求項139]
前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項137記載の方法。
[請求項140]
前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、およびサザンブロットからなる群より選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項139記載の方法。
[請求項141]
前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項137記載の方法。
[請求項142]
前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項141記載の方法。
[請求項143]
前記工程(b)が、アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETV5由来の3´部分とを有するキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項134記載の方法。
[請求項144]
前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項143記載の方法。
[請求項145]
前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項143記載の方法。
[請求項146]
前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイおよびノーザンブロット法からなる群より選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項145記載の方法。
[請求項147]
前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項143記載の方法。
[請求項148]
前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項147記載の方法。
[請求項149]
前記試料が、組織、血液、血漿、血清、尿、尿の上澄み、尿細胞ペレット、精液、前立腺分泌物、および前立腺細胞からなる群より選ばれる、請求項134記載の方法。
本発明をより理解しやすくするため、いくつかの用語および表現を以下のように定義する。
本発明は、前立腺癌における再発性遺伝子融合の発見に基づく。本発明は、遺伝子融合を直接的または間接的に検出または標的する診断、研究、および治療法を提供する。本発明はまた、診断、研究、および治療目的のための組成物も提供する。
本発明は、前立腺癌の指標となる再発性遺伝子融合を同定する。遺伝子融合は、アンドロゲン制御遺伝子(ARG)またはハウスキーピング遺伝子(HG)とETSファミリーメンバー遺伝子の染色体再編の結果によるものである。これらの再発にもかかわらず、ARGまたはHGがETSファミリーメンバー遺伝子に融合する接合部は多様である。この遺伝子融合は、通常ARGまたはHGの転写制御領域由来の5´部分とETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有する。再発性遺伝子融合は、前立腺癌の診断マーカーおよび臨床用標的としての用途を有する。
アンドロゲンにより制御される遺伝子は、ヒト前立腺腺の正常な生理機能に大変重要である。これらは、前立腺癌腫の発生および進行にも寄与している。認識されているARGとして、これらには限らないが、TMPRSS2、SLC45A3、HERV-K_22ql1.23、C15ORF21、PSA、PSMA、KLK2、SNRK、Seladin-1、およびFKBP51(Paoloni―Giacobino et al,ゲノムs 44:309(1997);Velasco et al.,Endocrinology 145(8):3913(2004))がある。
ハウスキーピング遺伝子は、構成的に発現され、一般に全組織で広範に発現する。これらの遺伝子は、すべての細胞が生存するのに必要な基本的必須機能を与えるタンパク質をコードする。ハウスキーピング遺伝子は、通常すべての細胞および組織内で同じレベルで発現するが、特に細胞増殖および生命体の発達時にいくぶんかの差異を伴う。ヒト細胞が有するハウスキーピング遺伝子の正確な数はわかっていないが、推定の多くのは300〜500の範囲にある。
転写因子のETSファミリーは、遺伝子発現をコントロールする細胞内シグナル経路を制御する。下流エフェクターとして、これらは所定の標的遺伝子を活性化または抑制する。上流エフェクターとして、これらは数々の増殖因子受容体の空間的および時間的発現に関与している。このファミリーのほぼ30のメンバーが、同定されており、生理学的および病理学的過程の広い範囲に関与している。このようなものとして、これらには限らないが、ERG、ETV1(ER81)、FL11、ETS1、ETS2、ELK1、ETV6(TELl)、ETV7(TEL2)、GABPα、ELFl、ETV4(ElAF;PEA3)、ETV5(ERM)、ERF、PEA3/E1AF、PU.1、ESE1/ESX、SAPl(ELK4)、ETV3(METS)、EWS/FLI1、ESE1、ESE2(ELF5)、ESE3、PDEF、NET(ELK3;SAP2)、NERF(ELF2)、およびFEVが挙げられる。ETSファミリーメンバー配列の例を図9に示す。
TMPRSS2:ETS遺伝子融合の最初の同定を含み、前立腺癌のETS再配列の5つのクラスが同定されている(図43)。本発明は、特定の機構に限定されるものではない。実際、機構の理解は本発明を実施するのに必要ではない。にもかかわらず、ARGまたはHGとの融合または癌内で増加した発現を伴う座位への挿入を介したETSファミリーメンバーの上方制御された発現は、前立腺癌に関する機構を与えると考えられている。特定の個体に存在する再配列のクラスに関する知見は、オーダーメイド型の癌治療を可能にする。
TMPRSS2:ETS遺伝子融合(クラスI)は、前立腺癌におけるETS再配列の優勢なクラスを表す。SLC45A3およびHERV-K_22ql1.23等の、非翻訳領域との融合が関与するその他の前立腺特異性アンドロゲン誘導遺伝子(クラスHa)および内在性レトロウイルス要素(クラス11b)からの再配列は、ETS再配列内の5´パートナーとTMRPSS2と同様に機能する。クラスIおよびII再配列の5´パートナーと同様に、C15ORF21は前立腺癌内で顕著に過剰発現される。しかしながら、クラスIおよびII再配列の融合パートナーとは異なり、C15ORF21はアンドロゲンにより抑制され、前立腺特異性アンドロゲン抑制された5´融合パートナーを含むETS再配列の新規クラス(クラスIII)を表す。一方、HNRPA2B1は、前立腺特異性発現またはアンドロゲン応答性を提示しなかった。従って、HNRPA2B1:ETV1は、非組織特異性プロモーターエレメントを含む融合ETS発現を誘発するETS再配列の新規クラス(クラスIV)を表す。クラスV再配列においては、その全ETS遺伝子は、前立腺特異性領域に再配列されている。
上述のように、本発明は、ARGのETSファミリーメンバー遺伝子への融合を提供する。遺伝子融合配列の例を図36、51、および52に示す。TMPRSS2、ERG、ETV1、およびETV4については、GenBank参照配列番号を示し、それらのエクソンは、UCSCヒトゲノムの2004年5月のアセンブリを用いて配列比較している。すべての同定された融合について、図36は、TMPRSS2遺伝子の最初から融合までの完全配列およびETSファミリーメンバー遺伝子の停止コドンを示している。公表されている変異体の各々について供託されたGenBank配列も示してある。いくつかのTMPRSS2:ERGおよびTMPRSS2:ETV1融合は、TMPRSS2とETSファミリーメンバー遺伝子のブレークポイントエクソンにより記載してある。例えば、TMPRSS2のエクソン1をエクソン4にERGの11を通して融合するTMPRSS2:ERGaは、TMPRSS2:ERG(1,4)として同定される。
上述のように、ERGを有する遺伝子融合は、前立腺癌において最も一般的な遺伝子融合であることがわかっている。本発明の開発過程において実施した実験により、21番染色体q22.2-3上のTMPRSS2とERGとの間に位置する顕著なゲノム欠失を同定した。欠失は、TMPRSS2:ERG融合陽性PCA試料に見られた。この欠失は、共通領域に見られるが、この領域内での変異性を示している。Paris et al.(Hum.Mol.Genet.13:1303-13(2004))による過去の報告によれば、CGH分析は、TMPRSS2由来の6kbセントロメアであるCTD-2103O7BAC中の欠失を検出した。これらの欠失は、臨床的に局在化したPCA試料の12.5%(9/72)および転移性PCA試料の33%(5/15)で観察された。これらの結果は、本検討で得られたSNPアレイデータを支持し、PCAの欠失が癌の進行と共により一般的となるか、あるいは、より迅速に進行する傾向のあるPCAにおいて欠失がより頻繁に確認されることを示している。TMPRSS2:ERG再配列の著しい腫瘍内均一性を考えると、これらの分子サブタイプは、異なる疾患進行特徴に関連している可能性が高い。
本発明のいくつかの実施形態の展開の過程で実施したさらなる検討により、ETV1アウトライアー発現およびTMPRSS2:ETV1陽性前立腺癌の頻度間の不一致を調べた。この結果、TMPRSS2:ERG遺伝子融合を前立腺癌におけるERG過剰発現を誘発する優勢機構として同定する過去の研究を確認した。しかしながら、ETV1を過剰発現している前立腺癌においては、新規5´融合パートナーが同定された。本発明は特定の機構に限定されるものではない。実際、機構の理解は、本発明の実施に必要ではない。にもかかわらず、ERGとETV1の関与する融合についての5´パートナーの不一致に関する理由は明らかではないが、TMPRSS2およびERGがおよそ3MB離れて21番染色体上に位置するので、これらの近接性は、ERGに対する5´パートナーとしてTMPRSS2に有利であるかもしれない。
Oncomineデータベースからの前立腺癌プロファイル研究でモニターした全てのETSファミリーメンバーの発現を調べるため、いくつかの実験を行った(上記Rhodes et al.)。ETSファミリーメンバーETV4の顕著な過剰発現が、全体解剖組織をプロファイルしたもの(上記Lapointe et al.)(図7A)およびレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)組織1をプロファイルしたもの(図7B)の2つの研究の各々から単一の前立腺癌の症例で同定された。ETV4は、癌性組織内のTMPRSS2に融合することがわかった。
さらなる実験実験により、TMPRSS2:ETV5およびSLC45A3:ETV5遺伝子融合(例20)を確認した。ETV5は、前立腺癌試料内でアウトライアー発現を有することがわかり、その後、遺伝子融合内に存在することがわかった。
さらなる実験により、前立腺癌内でのHNRPA2B1:ETV1遺伝子融合を確認した。HNRPA2B1は、前立腺特異性発現またはアンドロゲン制御を示さず、その代わり、全ての腫瘍のタイプにわたり強く発現されている。HNRPA2B1は、広範に発現されたヘテロ核リボ核タンパク質のメンバーをコードし、そのプロモーターは、その他のハウスキーピング遺伝子に対して構造的類似性を共有している(Antoniou et al.,Genomics 82,269-79(2003))。さらにまた、このHNRPA2B1プロモーターは、非メチル化されて導入遺伝子内でのCMVプロモーターの転写抑制を防ぐことが示されてきた(Williams et al.,BMC Biotechnol 5、17(2005))。従って、HNRPA2B1:ETV1は、非組織特異的プロモーターエレメントが癌遺伝子の発現を誘発する通常の上皮癌腫における遺伝子融合の新規クラスを示している。TMPRSS2:ETS融合がB細胞悪性腫瘍内のIGH-MYC再配列に機能的に類似しているのに対し、HNRPA2B1 :ETV1は、構成的に発現されたRPNl遺伝子のエンハンサーエレメントの制御下でEVIの配置を生じると考えられている、急性骨髄性白血病におけるinv(3)(q21q26)およびt(3;3)(q21;q26)に、より類似している(Suzukawa et al.,Blood 84、2681-8(1994);Wieser et al.,Leuk Lymphoma 43,59-65(2002))。
その断片、誘導体、および類似体を含む本発明の遺伝子融合タンパク質は、下記の診断、研究、および治療法における用途を有する抗体を生成する免疫原として使用できる。この抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル、キメラ、ヒト化、一本鎖、またはFab断片であってもよい。当業者に既知の様々な手順は、このような抗体および断片の生成や標識に用いることができる。例えば、Burns,ed.,Immunochemical Protocols,3rd ed.,Humana Press(2005);HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988);Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983);KohlerおよびMilstein,Nature 256:495(1975)を参照のこと。切断されたETSファミリーメンバータンパク質またはキメラタンパク質およびこれらそれぞれの未変性タンパク質との違いを活用する抗体または断片が特に好ましい。
ARGまたはHGのETSファミリーメンバー遺伝子への融合は、DNA、RNAまたはタンパク質として検出できる。最初に、この遺伝子融合は、ARGまたはHGの転写制御領域由来の5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するゲノムDNAの染色体再編として検出できる。転写されると、この遺伝子融合は、ARGまたはHGの転写制御領域由来の5´部分とETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するキメラmRNAとして検出できる。翻訳されると、この遺伝子融合は、ARGまたはHGの転写制御領域のETSファミリーメンバー遺伝子への融合により生じたアミノ末端で切断されたETSファミリーメンバータンパク質、ARGまたはHGの転写制御領域由来のアミノ末端部分とETSファミリーメンバー遺伝子由来のカルボキシ末端部分とを有するキメラタンパク質、あるいは上方制御されているが、それ以外は区別のできない、未変性ETSファミリーメンバータンパク質として検出できる。この切断ETSファミリーメンバータンパク質およびキメラタンパク質は、アミノ酸配列、翻訳後処理および/または2次、3次または4次構造において、それぞれの未変性タンパク質とは異なる可能性がある。このような違いは、遺伝子融合が存在する場合、その存在を同定するのに使用することができる。検出に関する具体的な方法は、以下により詳しく記載する。
遺伝子融合を有する疑いのある任意の患者試料を本発明の方法に従って試験できる。非限定例として、該試料は、組織(例えば、前立腺生検試料または前立腺切除術により得た組織試料)、血液、尿、精液、前立腺液、またはこれらの画分(例えば、血漿、血清、尿の上澄み、尿細胞ペレットまたは前立腺細胞)であってもよい。尿試料は、好ましくは、前立腺腺から前立腺細胞を尿路に流す、注意深い直腸診(DRE)の直後に採取される。
本発明の遺伝子融合は、これらには限られないが、核酸配列決定、核酸ハイブリッド形成、および核酸増幅等の当業者に既知の様々な核酸手法を利用してゲノムDNAまたはキメラmRNAの染色体再編成として検出することができる。
核酸配列決定法の説明的な非限定例として、これらには限らないが、鎖終結(Sanger)による配列決定およびダイターミネーターによる配列決定が挙げられる。当業者ならば、RNAは細胞内で安定が損なわれており実験的にヌクレアーゼの攻撃をより受けやすいので、RNAは通常、配列決定の前にDNAに逆転写されることがわかるであろう。
核酸ハイブリッド形成法の説明的な非限定例として、これらには限らないが、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、およびサザンまたはノーザンブロット法がある。
いくつかの実施形態において、融合配列は、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)により検出される。本発明に好ましいFISHアッセイでは、バクテリア人工染色体(BAC)を利用する。これらはヒトゲノム配列決定プロジェクト(Nature 409:953-958(2001)を参照)で広く使用されており、特定のBACを有するクローンは、例えば、NCBI等の多くの源にわたって存在する販売業者から入手できる。ヒトゲノム由来の各BACクローンには、それを明確に同定する参照名が与えられている。これらの名称は、対応するGenBank配列を見つけたり、販売業者にクローンの複製物を購入するのに使用できる。
ETV1:RP11-692L4用のBAC
TMPRSS2:RP11-121A5、(RP11-120C17、PR11-814F13、RR11-535H11)用のBAC。
・c‐ERG:t‐ERG分解物に関して1組のプローブを用いてERG転移を試験する場合、
c‐ERG:RP11-24A11用のBAC、
t‐ERG:RP11-372017、RP11-137J13用のBAC
が使用できる。
・1つがETV1座位にまたがり、1つの基準プローブが7番染色体上にある1組のプローブを用いてETV1欠失/増幅の試験する場合、
ETV1:RP11-692L4に対するBAC
が使用できる。
ERG欠失/増幅を試験する場合、以下の、1つがERG座位にまたがり、1つの基準プローブが21番染色体上にある1組のプローブを用いる:
ERG:RP11-476D17用のBAC、
21番染色体上の基準プローブ用のBAC。*
・TMPRSS2欠失/増幅を試験する場合、以下の、1つがTMPRSS2座位にまたがり、1つの基準プローブが21番染色体上にある1組のプローブを用いる:
TMPRSS2:RP11-121A5用のBAC、(RP11-120C17、PR11-814F13、RR11-535H11)、
21番染色体上の基準プローブ用のBAC:PR11-32L6、RP11-752M23、RP11-1107H21、RP11-639A7、(RP11-1077M21)。
異なる種類の生物学的アッセイは、これらには限られないが、DNAマイクロアレイ(例えば、cDNAマイクロアレイおよびオリゴヌクレオチドマイクロアレイ)、タンパク質マイクロアレイ、組織マイクロアレイ、トランスフェクトまたは細胞マイクロアレイ、化学化合物マイクロアレイ、および抗体マイクロアレイ等、マイクロアレイと称する。遺伝子チップ、DNAチップ、またはバイオチップとして通常知られるDNAマイクロアレイは、発現のプロファイリングの目的、または数千もの遺伝子について発現レベルを同時にモニターするためにアレイを形成する固体表面(例えば、ガラス、プラスチックまたはシリコンチップ)に付着させた微視的なDNAの斑点の集合である。これらのDNAセグメントは、プローブとして知られており、このうちの数千は単一のDNAマイクロアレイ内で使用できる。マイクロアレイは、疾患および正常細胞における遺伝子発現を比較することで疾患遺伝子を同定するのに使用できる。マイクロアレイは、これらには限らないが、細い先端を有するピンでスライドガラス上に印刷したり、あらかじめ作製したマスクを用いたフォトリソグラフィ、動的マイクロミラーを用いたフォトリソグラフィ、インクジェット印刷、あるいは微小電極アレイ上の電気化学等の種々の技術によって加工できる。
ゲノムDNAとキメラmRNAの染色体再編成は、検出の前あるいは検出と同時の増幅であってもよい。核酸増幅手法の説明的な非限定例として、これらには限らないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)がある。当業者ならば、その他の増幅手法は直接的にRNAを増幅する(例えば、TMAおよびNASBA)のに対し、ある種の増幅手法(例えば、PCR)は、DNAが増幅前にDNA(例えば、RT‐PCR)に対して逆転写されることが必要であることがわかるであろう。
非増幅または増幅遺伝子融合核酸は、各種の従来手段により検出できる。例えば、遺伝子融合は、検出可能に標識されたプローブを用いたハイブリッド形成およびその結果得られるハイブリッドの測定により検出できる。例示的な検出法の非限定例を以下に示す。
本発明の遺伝子融合は、これらには限られないが、タンパク質配列決定やイムノアッセイ等の当業者には既知の様々なタンパク質手法を用いて、切断されたETSファミリーメンバータンパク質またはキメラタンパク質として検出できる。
タンパク質配列決定法の説明的な非限定例として、これらには限らないが、質量分析およびエドマン分解がある。
イムノアッセイの説明的な非限定例として、これらには限らないが、免疫沈降、ウェスタンブロット、ELISA、免疫組織化学的検査、免疫細胞化学、フローサイトメトリ、および免疫PCRがある。当業者に既知の様々な手法(例えば、比色、蛍光、化学発光または放射性)を用いて検出可能に標識したポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、イムノアッセイにおける使用に好適である。
いくつかの実施形態において、コンピュータベースの解析プログラムは、検出アッセイにより作製された生データ(例えば、所定の遺伝子融合またはその他のマーカーの存在、非存在、または量)を、臨床医のための予測値データに翻訳するのに使用される。臨床医は、任意の好適な手段を用いて予測データを利用できる。従って、いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、遺伝学または分子生物学についておそらく学んでいないような臨床医が生データを理解する必要がないという、さらなる長所を提供する。本データは、最も有用な形態で臨床医に直接提示される。そうすると、臨床医は、患者のケアを最適化するための情報を即座に利用できる。
本発明の遺伝子融合は、インビボイメージング手法により検出することもでき、これらには限られないが、放射性核種イメージング、陽電子放射断層撮像(PET)、コンピュータ体軸断層撮像、X線または磁気共鳴イメージング法、蛍光検出、および化学発光検出が挙げられる。いくつかの実施形態において、インビボイメージング手法は、動物(例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物)における癌マーカーの存在または発現を描出するのに使用される。例えば、いくつかの実施形態において、癌マーカーmRNAまたはタンパク質は、癌マーカーに特異的な標識抗体を用いて標識される。特異的に結合し標識された抗体は、これらには限られないが、放射性核種イメージング、陽電子放射断層撮像、コンピュータ体軸断層撮像、X線または磁気共鳴イメージング法、蛍光検出、および化学発光検出等のインビボイメージング法を用いることで、個体中で検出できる。本発明の癌マーカーに対する抗体の生成法を以下に述べる。
本発明の診断法において用いるための組成物として、これらには限らないが、プローブ、増幅オリゴヌクレオチド、および抗体がある。特に好ましい組成物は、ARGまたはHGがETSファミリーメンバー遺伝子と融合するときのみに産物を検出する。これらの組成物は、ARGまたはHGの転写制御領域由来の5´部分がETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分に融合している接合部とハイブリッド形成する配列(すなわち、遺伝子融合接合部に広がる);第1の増幅オリゴヌクレオチドがARGまたはHGの転写制御領域とハイブリッド形成する配列を含み、第2の増幅オリゴヌクレオチドがETSファミリーメンバー遺伝子とハイブリッド形成する配列を含む、1対の増幅オリゴヌクレオチド;ETSファミリーメンバー遺伝子へのARGまたはHGの転写制御領域の融合から生じた、アミノ末端で切断されたETSファミリーメンバータンパク質に対する抗体;あるいはARGまたはHGの転写制御領域由来のアミノ末端部分とETSファミリーメンバー遺伝子由来のカルボキシ末端部分とを有するキメラタンパク質に対する抗体を含む、単一の標識されたプローブを含む。しかしながらその他の有用な組成物は、第1の標識されたプローブがARGまたはHGの転写制御領域とハイブリッド形成する配列を含み、第2の標識されたプローブがETSファミリーメンバー遺伝子とハイブリッド形成する配列を含む、1対の標識されたプローブを含む。
本発明の開発の過程で実施した実験は、本発明の遺伝子融合と前立腺癌を有する患者の予後との間の緊密な相関関係を実証した(例えば、以下の実施例5を参照)。TMPRSS2とERGとの間にあるゲノムDNAの欠失から融合が起こっている症例においては特に、癌細胞がより侵襲性表現型をとることがわかってきた。従って、いくつかの実施形態において、介在DNAの欠失のある、TMPRSS2とERGとの間の遺伝子融合を検出できるアッセイは、予後を提供し、医師が適切な治療法を決定する手助けとして用いられる。例えば、いくつかの実施形態において、この特定の再配列有する腫瘍をもつ患者はこれらの予後が再配列のない患者に比べて著しく悪いので、より集中的に治療される。
いくつかの実施形態において、本発明は、薬剤スクリーニングアッセイ(例えば、抗癌剤のスクリーニング)を提供する。本発明のこのスクリーニング法は、本発明の方法、例えばこれらには限られないが、本発明の遺伝子融合)により同定したがんマーカーを利用するものである。例えば、いくつかの実施形態において、本発明は、遺伝子融合の発現を変化させる(例えば減少させる)化合物のスクリーニング法を提供する。これらの化合物または作用物質は、例えばプロモーター領域との、相互作用によって転写を妨げる可能性がある。このような化合物または作用物質は、融合により生成されたmRNAを阻害する可能性がある(例えば、RNA干渉、アンチセンス技術等)。これらの化合物または作用物質は、融合に関する生物学的活性の上流または下流である経路を妨げる可能性がある。いくつかの実施形態において、候補化合物は、癌マーカーに対するアンチセンスまたは干渉RNA剤(例えば、オリゴヌクレオチド)である。その他の実施形態において、候補化合物は、癌マーカー制御因子または本発明の発現産物に特異的に結合し、その生物学的機能を阻害する抗体または小分子である。
いくつかの実施形態において、本発明は、癌(例えば、前立腺癌)の治療法を提供する。いくつかの実施形態において、治療法は、本発明の遺伝子融合を直接的または間接的に標的とする。
いくつかの実施形態において、本発明は、遺伝子融合の発現を標的とする。例えば、いくつかの実施形態において、本発明は、オリゴマーアンチセンスまたはRNAi化合物、特にオリゴヌクレオチド(例えば、上述の薬物スクリーニング法で同定されたもの)を含有する組成物を、本発明の癌マーカーをコードする核酸分子の機能を調節し、究極的には発現される癌マーカーの量を調節する際の使用に用いる。
いくつかの実施形態において、RNAiは、融合タンパク質機能を阻害するのに用いられる。RNAiは、ヒトを含む多くの真核生物における外来遺伝子の発現を制御するために、進化の過程で保存された細胞性生体防御を表す。RNAiは典型的に2本鎖RNA(dsRNA)により誘発されて、dsRNAに応答して相同な1本鎖標的RNAの配列特異的なmRNA分解を引き起こす。mRNA分解の介在物質は、通常、長鎖dsRNAから細胞中の酵素切断により産生される、低分子干渉RNA(siRNA)2本鎖である。siRNAは一般的に、およそ21ヌクレオチドの長さ(例えば21〜23ヌクレオチドの長さ)であり、2つのヌクレオチド3´-オーバーハングで特徴づけられる塩基対構造を有する。小分子RNAまたはRNAiの細胞中への導入後、この配列は、RISC(RNA誘導型サイレンシング複合体)とよばれる酵素複合体に送達されると考えられている。RISCは標的を認識し、エンドヌクレアーゼで切断する。より大きなRNA配列が細胞に送達された場合、RNaseIII酵素(Dicer)は、より長いdsRNAを21〜23ntのds-siRNA断片に変換することがよく知られている。いくつかの実施形態において、RNAiオリゴヌクレオチドは融合タンパク質の接合部領域を標的するように設計される。
その他の実施形態において、融合タンパク質発現は、本発明の癌マーカーをコードする1またはそれ以上の核酸と特異的にハイブリッド形成する、アンチセンス化合物を用いて調節される。オリゴマー化合物の標的核酸との特異的ハイブリッド形成は、核酸の正常機能に影響を及ぼす。標的核酸の機能をそれと特異的にハイブリッド形成する化合物により調整することを、一般的に「アンチセンス」という。影響を受けるDNAの機能として、複製および転写がある。影響を受けるRNAの機能は、例えば、タンパク質翻訳の部位への転位、タンパク質のRNAからの翻訳、1またはそれ以上のmRNA種を与えるようなRNAのスプライシング、およびRNAに関与するまたはRNAに促進される触媒活性等のすべての重要な機能を含む。標的核酸機能に対するこのような阻害の総合的な効果は、本発明の癌マーカーの発現の調整である。本発明において、「調整」とは、遺伝子の発現における増大(促進)または減少(阻害)を意味する。例えば、発現は、腫瘍増殖を強力に防ぐために阻害されるかもしれない。
本発明は、本発明の遺伝子融合の発現を調節する際に利用するための各種の遺伝子操作の利用を意図している。遺伝子操作の例として、これらには限らないが、遺伝子ノックアウト(例えば、例えば、組換えを利用して、染色体から融合遺伝子を除去)、誘導性プロモーター有り/無しのアンチセンスコンストラクトの発現等が挙げられる。インビトロまたはインビボにおける核酸コンストラクトの細胞への送達は、各種の好適な方法を利用して実施できる。好適な方法とは、所望の事象が起こるように核酸コンストラクトを細胞に導入するものである(例えば、アンチセンスコンストラクトの発現)。遺伝子療法は、インビボで発現されるsiRNAまたはその他の妨害分子を送達するのにも(例えば、誘導性プロモーター(例えば、アンドロゲン応答性プロモーター)による促進の際に)用いることができる。
いくつかの実施形態において、本発明は本発明の遺伝子融合を発現する抗体を提供する。好適な抗体(例えば、モノクローナル、ポリクローナル、または合成)のいずれもが、本願明細書において開示の治療法に使用できる。好ましい実施形態において、癌治療に用いられる抗体はヒト化抗体である。抗体をヒト化する方法は、当該技術分野においてよく知られている(例えば、米国特許第6,180,370号、同5,585,089号、同6,054,297号、および同5,565,332号を参照し、ここで各文献を参照により援用する)。
本発明は、(例えば、本発明の遺伝子融合の発現または活性を調節する薬剤を含有する)薬学的組成物をさらに提供する。本発明の薬学的組成物は、局所または全身治療が望ましいかどうか、および治療する領域によって、いくつかの方法により投与できる。投与としては、局所(点眼および、膣内や直腸送達等を含む粘膜)、肺(例えば、 粉末またはエアロゾルの吸入またはガス注入や噴霧吸入器により、気管内、鼻腔内、上皮、および経皮へ投与)、経口または非経口投与がある。非経口投与として、静脈、動脈、皮下、腹腔内または筋肉内注射または点滴、あるいは頭蓋内、例えば、くも膜下腔内または脳室内への投与がある。
本発明は、本発明の外来性癌マーカー遺伝子(例えば、遺伝子融合)または変異体およびその異種(例えば、切断または一塩基遺伝子多型)を有する遺伝子導入動物の作製を意図している。好ましい実施形態において、この遺伝子導入動物は、野生型の動物と比較して、変化した表現型(例えば、マーカーの存在の増大または減少)を示す。このような表現型の存在または非存在を分析する方法として これらには限らないが、本願明細書に開示のものがある。いくつかの好ましい実施形態において、遺伝子導入動物は、腫瘍の増殖の増大または減少、または癌の証拠をさらに提示する。
以下の実施例は、ある好ましい実施形態および本発明の態様を実証しさらに概説するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。
A.材料および方法
癌の例外事象の解析(Cancer Outlier Profile Analysis:COPA)
COPA解析を10,486のマイクロアレイ実験を含むOncomine3.0の132の遺伝子発現データセット上で行った。さらにまた、99個の増幅された、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションで採取した前立腺組織試料からのデータを、COPA解析に含めた。COPAは3つの工程を有する。まず第1工程として、遺伝子発現値は中央値を中心にし、各遺伝子の中央値発現をゼロに設定する。第2工程で、中央値絶対偏差(MAD)を計算し、各遺伝子発現値をそのMADで割ることで、1に縮尺調整する。中央値およびMADを、平均および標準的な偏差とは対照的に、アウトライアー発現値が分布推定値に対して過度に影響を与えず、したがって正規化後もこれらが保たれるように、変換に用いた。第3工程で、変換された発現値の75、90、および95パーセンタイルを各遺伝子について一覧にまとめて、遺伝子をこれらのパーセンタイル値スコアでランク付けし、例外プロファイルについて優先順位付けされた一覧を得る。
使用した組織は、共に米国ミシガン大学の前立腺癌専門優良研究プログラム(Specialized Program of Research Excellence:SPORE)組織コアの一部である、米国ミシガン大学の根治的前立腺切除系列由来および迅速剖検プログラム由来(Shah et al.,Cancer Res 64,9209(2004年12月15日))のものである。
定量PCR(QPCR)を、基本的に記載されているように、SYBR緑色素を用いて、アプライドバイオシステム社の7300リアルタイムPCRシステム上で行った(Chinnaiyan et al.,Cancer Res 65、3328(2005);Rubin et al.,Cancer Res 64、3814(2004))。要約すると、1〜5μgの全RNAを、ランダムプライマーまたはランダムプライマーおよびオリゴdTプライマーの存在下で、スーパースクリプトIII(インビトロジェン社)を用いて、cDNAに逆転写した。すべての反応は、SYBRグリーンマスターミックス(アプライドバイオシステム社)および25ngの順方向および逆方向プライマーの両者を製造業者の推奨する熱サイクル条件を用いて、実施した。すべての反応を融解曲線分析し、および選択した実験から得た産物を1.5%アガロースゲル上で電気泳動させることで分離した。各実験について、閾値を、配列検出ソフト、バージョン1.2.2(アプライドバイオシステム社)を用いて、QPCR反応の指数期において設定した。各試料について、ハウスキーピング遺伝子グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)と比較した各標的遺伝子の量を、cDNA試料を図説の各実験について検量用試料として用いて、比較閾値サイクル(threshold cycle:Ct)法(アプライドバイオシステム社ユーザーブリテン#2)により決定した。すべてのオリゴヌクレオチドプライマーは、インテグレイテッドDNAテクノロジーズ社により合成されたものであった。
cDNA末端のRNAリガーゼ介在性迅速増幅をジーン・レーサーRLM-RACEキット(インビトロジェン社)を製造業者の使用説明書に従って用いて実施した。最初に、試料をERGまたはETV1の発現に基づき、QPCRにより選択した。全RNAの5μgを仔ウシ腸由来ホスファターゼで処理し、切断されたmRNAおよび非mRNAから5´ホスフェートを除去し、タバコ酸性フィロホスファターゼでキャップ構造を除去する。ジーン・レーサーRNAオリゴを全長転写物に連結し、スーパースクリプトIIIを用いて逆転写した。5´末端を得るため、第1の鎖のcDNAを、ETV1に対してジーンレーサー5´プライマーおよびETV1エクソン4-5_r、あるいはERGに対してジーンレーサー5´プライマーおよびERGエクソン4a_rまたはERGエクソン4b_rを用いて、プラチナTaqハイフィデリティ(Platinum Taq High Fidelity)(インビトロジェン社)で増幅した。プライマー配列を表S2に示す。産物を1.5%アガロースゲル上で電気泳動により分離し、バンドを切除、精製し、TOPO TAをpCR4-TOPOにクローン化した。少なくとも4つの結腸からの精製プラスミドDNAを、米国ミシガン大学DNA配列決定コアのABIモデル3730自動配列決定装置で、M13逆方向およびM13順方向(-20)プライマーまたはT3およびT7プライマーを双方向で用いて、配列決定した。RLM-RACEd cDNAは、その他のアッセイに使用しなかった。
上述のようにQPCRを用いた場合のTMPRSS2:ERG陽性を同定後、同一のcDNA試料を、プラチナTaqハイフィデリティおよびTPRSS2:ERGプライマーを用いてPCR増幅した。産物を電気泳動で分離し、pCR4-TOPOクローン化し、上述のように配列決定した。
ヒトアンドロゲン受容体で安定的にトランスフェクトしたRWPE、LNCaP、VCaP DuCaP、PC3およびPC3細胞(PC3+AR)(3)を、1%エタノール対照または1nMの合成アンドロゲンR1881で24時間処理した。全RNAを単離し、ERGエクソン5-6_fおよび_rプライマーを用いて逆転写とQPCRを行った。各試料についてERG/GAPDHの相対量をRWPE対照試料に対して較正した。
ホルマリン固定パラフィン包理(FFPE)組織切片と転移性前立腺癌試料MET‐26およびMET‐28を、間期蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)解析に用いた。さらにまた、間期FISHを、13の臨床的に局在化した前立腺癌と16の転移性前立腺癌試料のFFPE部分由来のコアを含む組織マイクロアレイ上で実施した。2色、2シグナルアプローチをTMPRSS2とETV1の融合を評価するのに用い、プローブはそれぞれの遺伝子座位のほとんどにまたがっていた。ビオチン-14-dCTP BACクローンRP11-124L22をETV1座位に対して用い、ジゴキシン-dUTP標識BACクローンRPP11-35CDをTMPRSS2座位に対して用いた。ERGを含む遺伝子再配列を解析するには、2つのプローブがERG座位(ビオチン-14-dCTP標識BACクローンRP11-476D17およびジゴキシン-dUTP標識BACクローンRP11-95I21)にまたがる、分断シグナルプローブ手法を利用した。すべてのBACクローンは、オークランド研究所小児科病院(CHORI)より入手したものである。組織分析の前に、すべてのプローブの完全性と純度を、正常な末梢リンパ球の分裂中期スプレッドのハイブリッド形成により確認した。組織ハイブリッド形成、洗浄および色検出を、(Rubin et al.,Cancer Res 64、3814(2004);Garraway et al.,Nature 436、117(2005))に記載のように実施した。
癌の例外事象解析
近年において、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現のプロファイリングは、癌トランスクリトームを研究するための通常的な方法となってきている。マイクロアレイ研究は、癌の分子多様性に対する膨大な知見を与えており、多くの場合に、腫瘍組織像、患者予後、および治療応答に対応する疾患の新規分子サブタイプを同定してきた(Valk et al.,N Engl J Med 350、1617(2004))。しかしながら、一般に、トランスクリトーム解析は、新規の癌の原因となる遺伝子の発見にはつながらなかった。癌遺伝子の著しい過剰発現を生じる再配列および高レベルの複製数変化は、トランスクリトームデータで顕著だが、必ずしも従来の解析アプローチで顕著であるわけではなかったと仮定される。
次に、新規COPA予測を検討した。いくつかの独立したデータセットにおいて、COPAは、ユーイング肉腫および骨髄性白血病における発癌転位に関与していることが知られる2つのETSファミリー転写因子、ERGとETV1、について前立腺癌における強い例外プロファイルを同定した(Lapointe et al.,Proc Natl Acad Sci USA 101、811(2004);Tian et al.,N Engl J Med 349、2483(2003))。Dhanasekaranら(Keats et al.,Blood 105、4060(2005))、Welshら(Dhanasekaran et al.,Faseb J 19、243(2005))、およびLapointeら(Wang et al.,Lancet 365、671(2005))の前立腺癌遺伝子発現データセットにおいては、ERGは、75パーセンタイルで最高スコアの例外プロファイルを示し(表1)、Lapointe et al.およびTomlins et al.(Welsh et al.,Cancer Res 61、5974(2001))データセットでは、ETV1が90パーセンタイルで最高スコアの例外プロファイルを示した(表1)。これらのことから、COPAは、7つの独立した前立腺癌プロファイリング研究において、ERGまたはETV1をアウトライアー遺伝子の上位10番以内に9回ランク付けした。ERGとETV1の両者は、ユーイング肉腫における発癌転位に関与している。EWS遺伝子の5´活性化領域の、ERG(t(21;22)(q22;ql2))またはETV1(t(7;22)(p21;ql2))等のETSファミリーメンバーの高保存3´DNA結合領域への融合は、ユーイング肉腫の特徴である(上述のLapoint et al.,Zhan et al.,Blood 99、1745(2002);Fonseca et al.,Cancer Res 64、1546(2004))。ETSファミリーメンバーの関与する転移は発癌形質転換において機能的に重複するので、転移の1種のみが、ユーイング肉腫の各症例において通常観測される。
次に、個々の前立腺癌試料におけるERGとETV1過剰発現の機構を決定した。ERGまたはETV1を過剰発現した前立腺癌細胞株および臨床試料を、定量PCR(QPCR)を実施して、同定した(図2A)。LNCaP前立腺癌細胞株およびホルモン抵抗性転移性前立腺癌で死亡した患者から入手した2試料(前立腺における残存原発癌腫であるMET‐26RPおよび、リンパ節転移であるMET‐26LN)は、QPCRにより、ETV1を顕著に過剰発現した(図2A)。異なる解剖学的位置由来の5つの独立した転移性病巣のほかに、同患者の前立腺における残存癌腫も、DNAマイクロアレイ解析でETV1を過剰発現し(上記既出のWelshらの文献を参照)、ETV1活性化が広範な転移の前に原発性腫瘍で起こったことを示唆している。リンパ節転移はホルモン抵抗性転移性前立腺癌(MET‐28LN)で死亡した第2の患者、および、過剰発現されたERGを過剰発現した、VCaPおよびDuCaPの2つの前立腺癌細胞株からも同定された(図2A)。これらの細胞株は、椎骨転移(VCaP)、およびホルモン抵抗性前立腺癌を有する第3の患者由来の硬膜転移(DuCaP)から独立に単離された(Golub et al.,Science 286、531(1999);Rosenwald et al.,Cancer Cell 3,185(2003))。繰り返しとなるが、これらの2つの細胞株におけるERGの通常の過剰発現は、ERG活性化が広範な転移の前に起こったことを示唆する。これらを総合すると、これらの結果は、特定の遺伝現象が、前立腺腫瘍形成の前に個々の試料においてERGまたはETV1を活性化しているかもしれないことを示唆していることになる。
これらの結果に基づき、QPCRプライマー対は、TMPRSS2においては順方向プライマーで、ERGとETV1のエクソン4においては逆方向プライマーで設計された。SYBRグリーンQPCRを、両プライマー対を臨床的に局在化した前立腺癌および転移性前立腺癌の42の症例より得た試料のパネルにわたって用いて行い、代表的な結果を描出した(図2DおよびE)。これらの結果は、高レベルのETV1またはERGを有する試料のみがTMPRSS2を有するそれぞれの融合産物を発現することを実証している。QPCRがいくつかの陰性試料において35サイクル後に測定可能な産物を生じたにもかかわらず、融解曲線分析は、陽性および陰性試料中の個別の産物を明らかにし、40サイクルのQPCR解析後の産物のゲル電気泳動は陰性融合試料のプライマーダイマーのみを明らかにした(図2、DおよびE)。プライマーダイマーの形成は、高GC含有量(80.3%)に起因するTMPRSS2のエクソン1全体でプライマーを設計する困難さで部分的に説明できる。しかしながら、TMPRSS2:ERGa、TMPRSS2:ETV1a、およびTMPRSS2:ETV1b融合の特異的発現をタックマン(Taqman)QPCRでそれぞれの融合にまたがる順方向プライマーを用いて確認し、各症例において産物はSYBRグリーンQPCRと同じ症例でのみ検出された(上記Sotiriou et al.)。SYBRグリーンQPCRと増幅産物に対して用いたプライマーの特異性をさらに確認するため、標準的な逆転写PCRを、TMPRSS2:ERGaを発現した試料のパネル上でSYBRグリーンQPCRと同じプライマーでおこなった。同様の大きさの産物が得られ、クローン化産物の配列決定はTMPRSS2:ERGaの存在を確認した。高レベルのETV1またはERGをそれぞれ発現したが、QPCRによる転位の証拠を示さなかったPCA16およびPCA17の2症例(図2DおよびE)を同定した。PCA16においてETV1プライマーで産生された産物の配列決定が融合転写物の証拠を示さず、PCA17においてはERGプライマーで産物は得られなかったので、RLM-RACEはこれらの結果を裏付けた。同様の結果はLNCaP細胞についても得られ、RLMRACEまたはQPCRによる融合の証拠はなく、上記のエクソンウォーキングQPCRと矛盾しなかった。
RLM-RACE産物の配列決定、RT‐PCR産物のQPCRおよび配列決定を含む、TMPRSS2:ERGおよびTMPRSS2:ETV1融合転写物についての3つの異なるアッセイから得られた結果を表2にまとめる。すべての試料におこなったTMPRSS2融合に対するQPCRに加え、これらの融合の存在を、選択した試料についていくつかの手法を用いて確認した。例えば、PCA1(前立腺癌試料1)において、TMPRSS2:ERGaを、RLMRACE産物の配列決定、RT‐PCR産物のQPCRおよび配列決定により同定した。QPCR産物のQPCR融解曲線分析およびゲル電気泳動により、PCA4は予想より大きな増幅産物を産生した。続くRLM-RACE解析で、TMPRSS2の完全エクソン1の、ERGのエクソン2の初めとの融合(TMPRSS2:ERGb)を確認した(図6)。TMPRSS2:ERGb接合部にまたがる順方向プライマーを用いたタックマンQPCRはTMPRSS2:ERGbがPCA4のみに存在することを確認し、TMPRSS2:ERGa接合部にまたがる順方向プライマー を用いたタックマンQPCRは、この試料中で産物を産生しなかった(27)。TMPRSS2:ERGおよびTMPRSS2:ETV1融合の証拠は、過剰発現したERGまたはETV1をそれぞれ発現した症例のみに、QPCRまたはDNAマイクロアレイにより見られた。これらの結果は、アウトライアー解析で観察された排他的な発現と一致している。
TMPRSS2:ETV1およびTMPRSS2:ERG融合転写物の存在確認後、染色体レベルでのこれらの再配列の証拠を、間期蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)をホルマリン固定パラフィン包理(FFPE)試料上で用いて得た。2つの異なるプローブ手法を用いた。すなわち、TMPRSS2:ETV1転位を検出するのに2色、融合-シグナルアプローチ、およびERG座の再配列を検出するのに2色、分断シグナルアプローチを用いた。これらのプローブ手法は、RLM-RACE、MET26およびMET28に当初使用した2症例で検証した(図3)。TMPRSS2とETV1に対するプローブを用いて、正常な末梢リンパ球(NPLs)は1対の赤と1対の緑のシグナルを示した(図3A)。MET26は、プローブの重複の指標である一対のシグナルの融合を示し(図3B、黄色矢印)、本試料中におけるTMPRSS2:ETV1転写物の発現と一致していた。さらにまた、ETV1に対する残りの2つのシグナルにより示されるように(図3B、赤矢印)、ETV1座位の一貫した低レベル増幅を確認した。同様に、ERG座位の5´および3´領域にわたるプローブを用いて、NPLにおける一対の黄色のシグナルを観測した(図3C)。MET28においては、一対のプローブは緑と赤の別々のシグナルに分かれ、ERG座位での再配列を示している(図3D、緑および赤の矢印)。この結果は、本症例におけるTMPRSS2:ERG転写物の発現と一致している。これらの結果に基づき、上述の個々のFISH解析を、局在化した前立腺癌の13症例および転移性前立腺癌の16症例(図3E)由来のコアを含む連続組織マイクロアレイでおこなった。マトリックスで示すように、29の症例中23症例(79.3%)が、TMPRSS2:ETV1融合(7症例)またはERG再配列(16症例)の証拠を示した。さらにまた、29症例のうちの12症例で(41.4%)ETV1座位での低レベル増幅の証拠を示した。過去の報告では、ETV1、7pのゲノム位置を、局在化したおよび転移性前立腺癌において最もよく増幅された領域の1つとして同定した(Slamon et al.,Science 235、177(1987))。しかしながら、ETV1増幅がERG再配列を有する6症例で起こり、本発明者らの転写物データが、高いERG発現およびTMPRSS2:ERG融合を有する試料のうち高いETV1発現も有するものは19試料のうち0試料であることを実証しているので、7p増幅はETV1発現を誘発していないようである。さらにまた、ETV1増幅およびTMPRSS2:ETV1融合の両者がFISHにより存在した場合、融合シグナルではなく、個々のETV1シグナルのみが増幅された。にもかかわらず、このFISH解析結果は、 上述の転写物データと一致した、ゲノムレベルでのTMPRSS2:ETV1およびERG再配列の存在を実証している。
強度の例外プロファイルを有する癌において原因となる変異が起こることが知られている遺伝子。「X」は、後天性病原ゲノム(pathogenomic)転位についての文献証拠を示す。「XX」は、転位について特性決定した具体的な研究における例と、具体的な転位についての文献証拠を示す。「Y」は、既知の増幅との一致を示す。「**」は、前立腺癌におけるERGとETV1の例外プロファイルを示す。
Oncomineでの検討で上位10位に入る例外プロファイルを有する癌における原因となる変異が起こることが知られている遺伝子を示す。「X」は、後天性病原ゲノム転位に関する文献証拠を示す。「XX」は転位について特性決定した具体的な研究における例と、具体的な転位についての文献証拠を示す。「Y」は、既知の増幅との一致を示す。「**」は、前立腺癌におけるERGとETV1の例外プロファイルを示す。
すべてのプライマーについて、遺伝子、塩基、およびエクソン(UCSCゲノムブラウザーを用いた、2004年5月のヒトゲノムのアセンブリと本文中に記載の参照配列のアラインメントに従う)を列挙する。順方向プライマーを「f」でおよび逆方向プライマーを「r」で示す。
A.材料および方法
プロファイリング研究におけるETSファミリーの発現
前立腺癌におけるETSファミリーメンバーの発現を調べるため、Oncomineデータベース(Rhodes et al.,Neoplasia 2004;6:1-6)にある、2つの前立腺癌プロファイリング研究を利用した(Lapointe et al.,Proc Natl Acad Sci USA 2004;101 :811-6およびTomlins et al.,Science 2005;310:644-8)。ETS領域を有する遺伝子をインタープロフィルター「Ets」(インタープロID:IPR000418)により同定した。ヒートマップ表示を「遺伝子ごとに中央値を中心」のオプションを用いてOncomine中に作製し、その色の対比を、ERGとETV1の発現差異を強調するように設定した。
前立腺癌組織(PCAl-5)は、米国ミシガン大学前立腺癌専門優良研究プログラム(SPORE)組織コアの一部である、米国ミシガン大学の根治的前立腺切除術系列から得た。すべての試料は、患者らのインフォームドコンセントおよび事前の研究所審査委員の承認を得て収集した。全RNAをトリゾール(インビトロジェン社、米国カリフォルニア州カールスバッド)を製造業者の使用説明に従って用いて単離した。良性前立腺組織全RNAの市販のプール(CPP、Clontech社、米国カリフォルニア州マウンテンビュー)も用いた。
QPCRを、既述のように(上記Tomlins et al.)、SYBRグリーン色素をアプライドバイオシステム社7300リアルタイムPCRシステム(アプライドバイオシステム社、米国カリフォルニア州フォスターシティ)上で用いて実施した。各試料についての、ハウスキーピング遺伝子グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)に対する各標的遺伝子の量を報告した。これらの標的遺伝子の相対量を、良性前立腺組織(CPP)のプール由来量に対する値に対して較正した。すべてのオリゴヌクレオチドプライマーは、インテグレイテッドDNAテクノロジーズ(米国アイオワ州コーラルビル)により合成されたものである。GAPDHプライマーについては、文献(Vandesompele et al.,Genome Biol 2002;3:RESEARCH0034)に記載のとおりである。ETV4のエクソンに対するプライマーは以下のとおりである(5´→3´方向に列挙)。すなわち、
である。エクソンを、UCSCゲノムブラウザーを用いて2004年5月凍結のヒトゲノムで、ETV4(NM001986.1)に関するRefSeqのアラインメントにより番号付けした。TMPRSS2:ETV4融合転写物のQPCR確認のため、TMPRSS2:ETV4aおよびTMPRSS2;ETV4b転写物の両者を検出する
を、ETV4_エクソン4-rと共に用いた。
RLM-RACEを、ジーンレーサーRLM-RACEキット(インビトロジェン社)を用いて、記載の製造業者の使用説明書に従い(上記Tomlins et al.)実施した。ETV4の5´末端を得るために、PCA5由来の第1の鎖cDNAを、ジーンレーサー5´プライマーおよびETV4_エクソン4-rまたはETV4_エクソン7-r
を用いて増幅した。産物をクローン化し、記載のように配列決定した(上記Tomlins et al.)。TMPRSS2:ETV4転写物の等価物5´末端を両プライマー対から得た。
ホルマリン固定したパラフィン包理(FFPE)組織切片を間期FISHに用いた。パラフィンを除去した組織を、0.2MのHClで10分間、2倍濃度のSSCで80℃で10分間処理し、プロテアーゼK(インビトロジェン社)で10分間消化した。これらの組織とBACプローブを5分間94℃で共に変性し、一晩37℃でハイブリッド形成させた。ハイブリッド形成後洗浄を0.1%ツイーン20を含む2倍濃度のSSCで5分間行い、蛍光検出を、フルオレセインに結合した抗ジゴキシゲニン(Roche Applied Science社、米国インディアナ州インディアナポリス)、およびAlexa Fluor594に結合したストレプトアビジン(インビトロジェン社)を用いて実施した。スライドを対比染色し、DAPI含有のProLong Gold退色防止試薬(インビトロジェン社)中においた。スライドをLeica DMRA蛍光顕微鏡(Leica社、米国イリノイ州ディアフィールド)を用いて観察し、サイトビジョンソフトウェアシステム(アプライドイメージング社、米国カリフォルニア州サンタクララ)を用いてCCDカメラで撮像した。
最初のCOPAスクリーニングは、ERGまたはETV1とのTMPRSS2融合の特性決定に至った(実施例1)。これらの遺伝子融合に対して陰性な前立腺癌は、その他のETSファミリーメンバーを含む再配列を有しているとさらに考えられる。Oncomineデータベース(上記既出のRhodes et al.)からの前立腺癌プロファイリング研究においてモニターされたすべてのETSファミリーメンバーの発現を調べることで、ETSファミリーメンバーETV4の著しい過剰発現を、1つは全体解剖組織のプロファイリング(Lapointe et al.,上記)(図7A)であり、もう1つがレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)組織のプロファイリング(図7B)である、2つの研究の各々から単一の前立腺癌の症例で同定した。これらの症例はERGまたはETV1を過剰発現せず、いずれの良性前立腺組織も過剰発現を示さなかったので、TMPRSS2との融合がこれらの症例におけるETV4の過剰発現に関与したと考えられた。ELF3が前立腺癌の症例のうちのわずかでも過剰発現されたにも拘わらず、これらの両研究で、正常な前立腺組織試料も著しいELF3過剰発現を示しており、良性および癌性組織の両者での発現を引き起こす遺伝子融合の可能性が低いことを示している。従って、このETV4過剰発現の事例(PCA5として表す)をさらに分析した。
本実施例では、4つの異なる定性的アッセイにおける、4つの遺伝子融合配列を有するRNA(IVT)を標的とした捕捉、増幅および定性的検出(TMPRSS2:ETV1a、TMPRSS2:ETV1b、TMPRSS2:ERGa、およびTMPRSS2:ERGb、APTIMA製剤試薬を使用)、ならびに各々を適当な標的特異的なオリゴヌクレオチド、プライマー、およびプローブを加えたHPA検出について説明する。表5は、アッセイに用いたオリゴヌクレオチドの配列を示す。
RNA標的捕捉
溶解緩衝液は、15mMのリン酸1ナトリウム(1水塩)、15mMのリン酸2ナトリウム(無水)、1.0mMのEDTA2ナトリウム2水和物、1.0mMのEGTA遊離酸、および110mMのラウリル硫酸リチウムをpH6.7を含有した。標的捕捉試薬は、250mMのヘペス(HEPES)、310mMの水酸化リチウム、1.88Mの塩化リチウム、100mMのEDTA遊離酸(pH6.4)、および250μg/mLの1ミクロンの、共有結合したオリゴマー(dT)14を有するカルボキシレート改変磁性粒子であるSERA-MAG MG-CM(Seradyn社、米国インディアナ州インディアナポリス)を含んだ。洗浄液は、10mMのヘペス、6.5mMの水酸化ナトリウム、1mMのEDTA、0.3%(v/v)エタノール、0.02%(w/v)メチルパラベン、0.01%(w/v)プロピルパラベン、150mMの塩化ナトリウム、0.1%(w/v)ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)をpH7.5で含有する。
増幅試薬は、26.7mMのrATP、5.0mMのrCTP、33.3mMのrGTPおよび5.0mMのrUTP、125mMのヘペス、8%(w/v)トレハロース2水和物、1.33mMのdATP、1.33mMのdCTP、1.33mMのdGTP、および1.33mMのdTTPを、pH7.5で含有する3.6mLの溶液の凍結乾燥させた形態である。この増幅試薬は、9.7mLの増幅試薬再構成溶液(下記参照)中で再構成した。使用前に、各15pmolのプライマーオリゴマーを加えた。増幅試薬再構成溶液は、0.4%(v/v)エタノール、0.10%(w/v)メチルパラベン、0.02%(w/v)プロピルパラベン、33mMのKCl、30.6mMのMgCl2、0.003%フェノールレッドを含んでいた。酵素試薬は、20mMのヘペス、125mMのN-アセチル-L-システイン、0.1mMのEDTA2ナトリウム2水和物、0.2%(v/v)トリトン7X100洗浄液、0.2Mのトレハロース2水和物、0.90 RTU/mLのモロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素、および0.20U/mLのT7 RNAポリメラーゼをpH7.0で含有する1.45mLの溶液の凍結乾燥された形態のものである。1単位(RTU)の活性を、5.75fmolのcDNAの、37℃15分間におけるMMLV逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼに対する合成および遊離と定義し、1単位(U)の活性を、37℃20分間での5.0fmolのRNA転写物の産生と定義する。酵素試薬を、3.6mLの酵素試薬再構成溶液(下記参照)中で再構成した。酵素試薬再構成溶液は、50mMのヘペス、1mMのEDTA、10%(v/v)トリトン7X100、120mMの塩化カリウム、20%(v/v)無水グリセリンをpH7.0で含有する。ハイブリッド形成試薬は、100mMのコハク酸遊離酸、2%(w/v)ラウリル硫酸リチウム、100mMの水酸化リチウム、15mMのアルドリチオール-2、1.2Mの塩化リチウム、20mMのEDTA遊離酸、3.0%(v/v)エタノールを、pH4.7で含有した。
標的捕捉
1.反応管1本につき400μLの試料に対して示される複製レベルで、IVTストック溶液をSTMに希釈することで試料を調製する。
2.連続分注器を用いて、TCOを有するTCR100μLを適切な反応管に添加する。
3.マイクロピペットを用いて各試料400μLを加えて、適切に標識する。
4.反応管をシーリングカードでカバーして、ラックを緩やかに手で振とうする。ボルテックスしない。ラックを62±1℃ウォーターバス中で30±5分間インキュベートする。
5.ウォーターバスからラックを取り出し、反応管の底を吸収性材料で拭いて乾かす。
6.シーリングカードがしっかりと固定されていることを確認する。必要に応じて、シーリングカードを新しいものと取替え、しっかりと密封する。
7.シーリングカードを取り外さずに、ラックを室温で30±5分間インキュベートする。
8.ラックを5〜10分間TCSマグネチックベース上に置く。
9.APTIMA洗浄液を分注マニフォールドを通してポンプでくみあげて、分注装置のポンプラインを準備する。ライン中の気泡がなくすべての10個のノズルが安定な流れの液体を送液するように、ポンプで十分に液体をシステム内に通す。
10.真空ポンプを始動し、吸引マニフォールドとトラップ瓶の間の第一のコネクターで吸引マニフォールドの接続を切る。真空計の読みが、25in.Hgを超えないようにする。真空計の読みには15秒かかる可能性がある。マニフォールドを再び接続して、および真空計の読みが7〜12in.Hgの範囲になるようにする。すべての標的捕捉工程が完了するまで真空ポンプを運転させておく。
11.吸引マニフォールドを第1セットの先端部にしっかりと取り付ける。先端部が軽く反応管の底に接触するまで、先端部を第1のTTUに下げて、すべての液体を吸引する。先端部を反応管の底に触れたままにしない。
12.吸引終了後、先端部をもとの先端カセットに外し入れる。各試料専用の先端部用いて、吸引工程を残りのTTUについて繰り返す。
13.分注マニフォールドを各TTUに配置し、分注装置ポンプを用いて、1.0mLのAPTIMA洗浄液をTTUの各反応管に送液する。
14.反応管をシーリングカードで封をし、ラックをTCSから取り除く。マルチチューブボルテックスミキサーで1度ボルテックスする
15.ラックをTCSマグネチックベース上に5〜10分間置く。
16.すべての液体を工程13および14のように吸引する。
17.最終吸引の後、ラックをTCSベースから取り出し、目視で反応管を検査してすべての液体が吸引されたかを確認する。液体がまだ見られる場合、ラックをTCSベースに2分間戻して、各試料について先に用いたものと同じ先端部を用いてTTUに対して吸引を繰り返す。
1.連続分注器を用いて、分析物特異性プライマーを含有する再構成増幅試薬75μLを各反応管に加える。この時点ですべての反応混合物は赤色となるはずである。
2.連続分注器を用いて、200μLの油試薬を加える。
3.シーリングカードで反応管に封をし、マルチチューブボルテックスミキサー上でボルテックスする。
4.ラックをウォーターバス中62±1℃で10±5分間インキュベートする。
5.ラックをウォーターバスに移し、42±1℃で5±2分間放置する。
6.ラックをウォーターバスにつけたまま、シーリングカードを注意深く取り外し、連続分注器を用いて、25μLの再構成酵素試薬を反応混合物の各々に添加する。この段階で、すべての反応は、オレンジ色となっているはずである。
7.直ちに新しいシーリングカードで反応管に封をしてウォーターバスから取り出し、ラックを手で緩やかに振とうさせて反応物を混合する。
8.ラックを42±1℃で60±15分間インキュベートする。
1.増幅前ウォーターバスからラックを取り出し、増幅後領域に移す。分析物特異性プローブを有する再構成したプローブ試薬100μLを、連続分注器を用いて加える。すべての反応混合物はこの時点で黄色となっているはずである
2.反応管をシーリングカードで封をし、マルチチューブボルテックスミキサー上で10秒間ボルテックスする。
2.ラックを62±1℃のウォーターバス中で20±5分間インキュベートする。
3.ラックをウォーターバスから取り出し、室温で5±1分間インキュベートする。
1.連続分注器を用いて、250μLの選択試薬を各反応管に加える。すべての反応は、この段階で赤色を呈するはずである。
2.反応管をシーリングカードで封をして10秒間あるいは色が均一になるまでボルテックスし、ラックを62±1℃のウォーターバス中で10±1分間インキュベートする。
3.ラックをウォーターバスから取り出す。ラックを室温で15±3分間インキュベートする。
1.試験完了に十分な量の自動検出試薬IおよびIIがあることを確認する。
2.カセット位置番号1に空のTTUを1つ入れてLEADERルミノメーターを準備し、WASHプロトコルをおこなう。
3.TTUをルミノメーターにロードし、HC+RevBプロトコルを実行する。
TMPRSS2:ERGおよびTMPRSS2:ETV1遺伝子融合IVTの各々をTCRに添加した4つのアッセイに対する結果を表6〜9に示す。
本実施例では、前立腺癌試料29試料中23試料がERGまたはETV1に再配列を保持することを実証するための、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)の使用について説明する。細胞株実験は、TMPRSS2のアンドロゲン応答性プロモーターエレメントが、前立腺癌においてETSファミリーメンバーの過剰発現を介在していることを示唆する。これらの結果は、癌腫の発症および前立腺癌の分子的診断および治療に意味をもつ。
・1つがETV1にまたがり1つがTMPRSS2座位にまたがるプローブを用いたETV1-TMPRSS2融合の評価
ETV1に対するBAC:RP11-692L4
TMPRSS2に対するBAC:RP11-121A5、(RP11-120C17、PR11-814F13、RR11-535H11)
・c‐ERG:t‐ERG分断に関する1組のプローブを用いたERG転位の評価:
c‐ERGに対するBAC:RP11-24A11
t‐ERGに対するBAC:RP11-372O17、RP11-137J13
・1つはETV1座位にまたがり1つの基準プローブは7番染色体上にある1組のプローブを用いたETV1欠失/増幅試験:
ETV1に対するBAC:RP11-692L4
7番染色体上の標準プローブに対するBAC:chrのセントロメア上の市販プローブ
・1つがERG座位にまたがり1つの基準プローブが21番染色体上にある1組のプローブを用いたERG欠失/増幅試験:
ERGに対するBAC:RP11-476D17
21番染色体上の標準プローブに対するBAC:*
・1つがTMPRSS2座位にまたがり1つの基準プローブが21番染色体上にある1組のプローブを用いたTMPRSS2欠失/増幅試験:
TMPRSS2に対するBAC:RP11-121A5、(RP11-120C17、PR11-814F13、RR11-535H11)
21番染色体上の基準プローブに対するBAC:*
*21番染色体上の基準プローブに対するBAC:PR11-32L6、RP11-752M23、RP11-1107H21、RP11-639A7、(RP11-1077M21)
本実施例では、TMPRSS2:ERG融合に伴う、21番染色体q22.2-3上のERGとTMPRSS2との間に位置する共通の欠失(common deletion)の存在について説明する。疾患進行と臨床成績との関連を、広い範囲にわたるヒトPCA試料、6つの細胞株、および13の異種移植を用いて調べた。
臨床試料
本検討で用いた前立腺試料は、IRB認定プロトコルのもとで収集されたものである。すべての臨床的に局在化したPCA試料を、1名の病理学者により特性決定し、病理報告の際の観察者間の差異を排除するため、グリーソンスコアをつけた。臨床的に局在化したPCA試料を、ウルム大学での現在進行中の研究プロトコルの一部として収集した。これらのホルモン抵抗性試料は、米国ミシガン大学の迅速剖検プログラムから採取されたものである。
アンドロゲン非依存性(PC‐3、DU-145、HPV10、および22Rv1)、およびアンドロゲン感受性(LNCaP)PCA細胞株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(米国バージニア州マナサス)から購入したものであり、限定培地中で維持した。HPV10は、HPV18DNA(18)によるトランスフェクションで形質転換した、高悪性度PCA(グリーソンスコア:4+4=8)由来の細胞に由来した。22Rv1は、性腺摘除誘発性退縮および親のアンドロゲン依存性CWR22異種移植の再発後にマウスにおいて連続的に増殖させた、異種移植に由来するヒトPCA上皮細胞株である。VCAP細胞株は、米国ミシガン大学での迅速剖検プログラムの一部として、椎骨転移性病変から得られたものである。
TMPRSS2:ERGの転位に関するFISH解析は、本願明細書中や過去にも記載がある(Tomlins,et al.,Science 310:644-8(2005))。この分離アッセイを図11および14に示す。21番染色体q22.2上におけるERG再配列を解析するために、それぞれがERG座位の隣接するセントロメアおよびテロメア領域に広がる、ビオチン-14-dCTP標識BACクローンRP11-24A11(最終的に結合して赤のシグナルを生成)、およびジゴキシゲニン-dUTP標識BACクローンRP11-137J13(最終的に結合して緑のシグナルを生成)からなる分離プローブシステムを応用した。すべてのBACクローンは、BACPACリサーチセンター、オークランド研究所小児科病院(CHORI)、米国カリフォルニア州オークランドより入手したものである。
SNPアレイは対立遺伝子の遺伝子型解析を対象としているにもかかわらず、このSNPアレイデータは、異型接合性の損失(Lieberfarb,et al.,Cancer Res 63:4781-5(2003);Lin,et al.,Bioinformatics 20:1233-40(2004))および複製数変化の検出(Zhao,et al.,Cancer Cell 3:483-95(2003))に関する情報を提供できる。SNPアレイ解析を利用すると、黒色腫(MITF)等の様々な癌における増幅遺伝子を確認および検証することが可能である(Garraway,et al.,Nature 436:117-22(2005))、およびPCA(TPD52)(Rubin,et al.,Cancer Res.64:3814-22(2004))。
QPCRをSYBRグリーン色素(Qiagen社)を用いてMJリサーチ社のDNAエンジンオプティコン2マシンで行った。全RNAを、ランダム6量体の存在下でTAQMAN逆転写試薬(アプライドバイオシステム社)を用いて、cDNAに逆転写した。すべてのQPCR反応をSYBRグリーンマスターミックス(Qiagen社)を用いて行った。すべてのオリゴヌクレオチドプライマーは、インテグレイテッドDNAテクノロジーで設計されたものである。Tomlinらが記載し(Science 310:644-8(2005))、融合に特異的なプライマーを用いた。すなわち、
である。
臨床的および病理学的変数を再配列状態および欠失の存在との関連について調べた。χ2乗検定およびフィッシャーの正確確率検定を適切に用いた。カプラン‐マイヤー分析を、病態についての前立腺特異的な抗原無再発生存曲線とゲノム変化パラメーターを作製するのに用いた。対数順位検定を、関連性の統計学的有意性を評価するのに用いた。ネオアジュバントホルモンアブレーション療法の前歴のある患者は排除した。すべての統計を、ウィンドウズ用SPSS13.0(SPSS社、米国イリノイ州シカゴ)を用いて有意水準0.05でおこなった。
TMPRSS2:ERG遺伝子再配列に伴う21番染色体上の欠失の検出
PCAにおけるTMPRSS2:ERG再配列の頻度の特性決定を行うため、Tomlinsらにより記載されたアッセイ(Science 310:644-8(2005))を改変したFISH分析を用いた。当初のFISH分析は、セントロメア3´およびテロメア5´末端のERG上に位置する2つのプローブを用いた。この新しいアッセイは、5´プローブをテロメア方向に移動した(図14)。PCAスクリーニング組織マイクロアレイ(TMA)を用いて、TMPRSS2:ERG再配列(図11Aおよび11B)を実証するおよそ70%のPCAが、テロメア5´ERGプローブ(図11Cおよび11D)に対応する緑のシグナルの消失も示すことが観察され、この染色体領域が消失したことを示唆している。100KオリゴヌクレオチドSNPアレイを、これらの欠失の範囲を特徴付けるため用いた。細胞株、異種移植およびホルモン未処理およびホルモン抵抗性転移性PCA試料を含む30のPCA試料を調べることで、21番染色体q23上のERGとTMPRSS2との間のゲノム消失が確認された(図12A-C)。
これらの観察についての頻度および潜在的臨床意義を特徴づけるため、118の臨床的に局在化したPCAの症例をFISHにより調べた。これらの臨床的および病理学的個体群統計を表10に示す。患者のコホートは、高腫瘍悪性度(グリーソン評価)、病態の段階、および予備治療PSAレベルにより実証される疾患再発のリスクが高い。PCAの大きな領域が微視的に調べることのできる、このコホート由来の標準的な組織切片を用いると、TMPRSS2:ERG再配列は、所与の腫瘍について均一に観察された。TMA実験により、これらの観測を確認した。3〜6つのコアが腫瘍の異なる領域から得られたPCAの症例では、100%の一致がTMPRSS2:ERG再配列状態(すなわち、存在または非存在)について観察された。欠失を伴うTMPRSS2:ERG再配列の場合、97.9%(94/96)の症例で欠失が同じ患者由来のすべてのTMAコアで観察された。
再配列状態と臨床的および病理学的変数との関連を観察した(図13)。欠失を有するTMPRSS2:ERG再配列は、進行した腫瘍段階(pT)(p=0.03)(図13B)および局所骨盤リンパ節への転移性疾患の存在(pN0対pN1−2)(p=0.02)を有するPCAの症例でより高い割合で観察された。欠失を伴うまたは伴わないTMPRSS2:ERG再配列と、経過観察データのある70名の患者についての前立腺特異的抗原(PSA)生化学的欠陥により決定された臨床成績との関連性も評価した。グリーソン評価、腫瘍段階、核異型度、およびリンパ節状態は、PSA生化学的欠陥値(全てのp値<0.0005)の良好な予測因子である。FISHアッセイにより決定された欠失のないTMPRSS2:ERG再配列PCAの症例におけるPSA無再発延命効果を示唆する傾向が一変量レベルで観察された。
過去の研究において、ERG(21q22.2)、ETV1(7p21.2)(Tomlins,et al.,Science 310:644-8(2005))、またはETV4(Tomlins,et al.,Cancer Res.66(7):3396-400(2006))のいずれかであるETS転写因子ファミリーメンバーとのTMPRSS2(21q22.3)の5´非翻訳領域の遺伝子融合は、大多数の前立腺癌におけるETS遺伝子の過剰発現に関する機構を与える。さらにまた、アンドロゲン制御遺伝子であるTMPRSS2、および癌遺伝子の融合は、疾患の進行がこれらの分子のサブタイプに基づいて変動しうる可能性を示唆している。遺伝子融合に関して最もよくある機構は、TMPRSS2とERGの間の約2.8メガベースのゲノムDNAの喪失である(図17AおよびB)。この例は、通常のTMPRSS2:ERG遺伝子融合の存在に基づく転移または前立腺癌特異的な死亡のリスクについて説明する。
本治験対照母集団は、Andrenらの文献(J.Urol.175(4)1337-40(2006))に記載の症候性良性前立腺肥大に対する経尿道的前立腺切除術(TURP)または経膀胱腺腫核摘出により、1977年から1991年の間にスウェーデンのオレブロ大学病院で診断された初期の前立腺癌(T1a−b、Nx、M0)を有する男性からなる。診断でのベースライン評価として、物理的検査、胸部X線、骨スキャンおよび骨格X線検査(必要に応じて)をおこなった。リンパ節転移段階評価はおこなわなかった。この評価では遠隔転移の証拠が示されなかったので、患者は診断後最初の2年間は6ヶ月ごとそしてその後12ヶ月ごとに治験、臨床検査および骨スキャンを受けることとした。骨スキャンによる決定で転移のあった患者は、症状のあった場合、アンドロゲン欠乏療法で治療した。
局在化した癌を診断された男性のこの集団ベースのコホートにおいて、TMPRSS2:ERG融合の頻度は15.2%(14/92)であった(図17AおよびB)。TMPRSS2:ERG融合陽性腫瘍は、より高いグリーソンスコア(両側P=.014)を有する可能性が高い(表11)。融合状態と致死性前立腺癌の関係を評価するために、累積罹患率回帰を用いた。累積罹患率(CIR)が3.6(P=.004、95%信頼区間[CI]=1.5〜8.9)である、TMPRSS2:ERG遺伝子融合の存在と転移または疾患特有の死亡との顕著な関連が観測された(図17C)。グリーソンスコアを調節した場合、CIRは2.4であった(P=.07および95%CI=0.9〜6.1)。本発明は特定の機構に限定されるものではない。実際、機構を理解することは、本発明を実施するのに必要ではない。にもかかわらず、所与の細胞腫瘍の細胞内でのTMPRSS2:ERG遺伝子融合の均一性および侵襲性前立腺癌のみにおけるその存在(前立腺上皮内腫瘍と比べた場合に)に基づいて、このことは、グリーソンパターンの表現型の影にひそむ生物学に一部寄与する初期の現象であると考えられていた。
*TMPRSS2:ERG融合を有する対象とTMPRSS2:ERG融合を持たない対象の臨床用変数を、連続変数およびカテゴリー変数のそれぞれについてt検定またはχ2乗検定を用いることで比較した。
**グリーソンスコアは、優勢型および従属型グリーソンパターンを加算することで得た。
***1つの症例について、核異型度は評価しなかった。
****2005年の時点で少なくとも12年間生存し、転移進行がなかったあるいは前立腺癌で死亡しなかった個人を長期生存者に分類した。12年未満の期間生存しおよび転移進行しなかった個人を短期生存者に分類した。
A.材料および方法
尿採取、RNA単離および増幅
尿試料は、針生検または根治的前立腺切除術の前に、直腸診後患者から採取した。尿は、DNA/RNA保存料を含む尿採集用のカップ(シエラダイアグノスティック社)への排尿により採取した。RNAの単離には、少なくとも30mLの尿を4℃で15分間400rpmで遠心分離した。RNAlater(アンビオン)を尿沈渣に添加し、RNAが単離するまで、−20℃で保存した。全RNAを、Qiagen社のRNイージーマイクロキットを製造業者の使用説明書に従って使用して単離した。全RNAを、オムニプレックス全トランスクリトーム増幅(WTA)キット(ルビコンゲノムス社)を製造業者の使用説明書に従って(Tomlins et al.,Neoplasia 8:153[2006])用いて増幅した。25ngの全RNAをWTAライブラリ合成に用い、cDNAライブラリについてWTAPCR増幅を1回行った。増幅産物をキアクイック(QIAquick)PCR精製キット(Qiagen社)を用いて精製した。概念実験の細胞株証明として、記載数のVCaPまたはLNCaP細胞を1mLの滅菌尿中に添加し、これらの試料を排尿採取尿として処理した。
定量PCR(QPCR)を、基本的に記載(上記既出のTomlins et al.,Neoplasia 8:153[2006]、Tomlins et al.,Science 310:644[2005]、および実施例1)に基づき、WTA増幅cDNA由来のERG、ETV1およびTMPRSS2:ERG転写物を検出するのに用いた。各QPCR反応について、10ngのWTA増幅cDNAを鋳型として用いた。ERG、ETV1、PSA、およびGAPDHの反応には、2倍濃度のパワーSYBRグリーンマスターミックス(アプライドバイオシステム社)、および25ngの順方向および逆方向プライマーを用いた。TMPRSS2:ERGaの反応には、2xタックマンユニバーサルPCRマスターミックスおよび最終濃度900nMの順方向および逆方向プライマー、および250nMのプローブを用いた。タックマンアッセイでは、38サイクルを超えるCt値を有する試料は、増幅を示さないと考えた。すべての試料について、ERGとETV1の量は、GAPDHの量に基準化した。尿中の前立腺細胞の乏しい回復を示すPSAの不適切な増幅の試料は、さらなる解析から排除した。ERG(エクソン5_6順方向)とETV1(エクソン6_7)2、GAPDH3、およびPSA4プライマーは記載のとおりである。TMPRSS2:ERGaに対して特異的なタックマンプライマーおよびプローブ(MGB標識)は、以下のとおりである。すなわち、
である。
整合する針生検から得た、厚さ4μmのホルマリン固定パラフィン包理(FFPE)切片を間期蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)に用い、既述のように(実施例2およびTomlins et al.,Cancer Res 66:3396[2006])、処理およびハイブリッド形成した。ERG再配列検出用のBACプローブである、RP11-95I21(ERGに対して5´側)およびRP11-476D17(ERGに対して3´側)を既述のように調製した(Tomlins et al.,Cancer Res 66:3396[2006];Tomlins et al.,Science 310:644[2005];上記の例1および2)。
本実施例では、直腸診後の尿に排泄された前立腺癌細胞内のTMPRSS2:ETS融合転写物の存在により前立腺癌を検出する非侵襲性方法について記載する。結果を図33に示す。概念の証拠として、高レベルのERGおよびTMPRSS2:ERG(VCaP)または高レベルのETV1(LNCaP)を発現する前立腺癌細胞株を添加した滅菌尿を用いた。図33Aに示すように、1,600細胞でVCaP中に排他的に過剰発現したERGと16,000細胞でLNCaP中に排他的に過剰発現したETV1を定量PCR(QPCR)により検出することができる。
本検討では、臨床的に局在化した前立腺癌を手術により治療したアメリカ人男性111名からなるスクリーニングベースのコホートにおける、TMPRSS2とETSファミリー遺伝子の再配列の頻度に関する包括的な解析について述べる。
治験対象母集団、臨床的データ、および前立腺試料の収集
臨床的に局在化した前立腺癌の源として、癌を示す組織マイクロアレイ(TMA)含有コアおよび良性組織を、米国ミシガン大学で初期単独治療(すなわち、アジュバントまたはネオアジュバントの無いホルモンまたは放射線療法)として根治的前立腺切除術を受けた111名の男性から構築した。根治的前立腺切除術系列は、米国ミシガン大学前立腺癌専門優良研究プログラム(SPORE)組織コアの一部である。TMAを構築するため、3つのコア(直径0.6mmの)を各代表組織ブロックから取り出した。TMA構築プロトコルについては、文献(Kononen et al.,Nat.Med.4:844[1998];Rubin et al.,Am.J.Surg.Pathol.26:312[2002])に記載されている。詳細な臨床的、病理学的、およびTMAデータは、既述の確実な関連データベースに保存されている(Manley et al.,Am J.Pathol.159:837[2001])。
厚さ4μmの組織マイクロアレイ切片を、間期蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)に用い、既述のように処理およびハイブリッド形成した(Tomlins et al.,Science 310:644[2005];Tomlins et al.,Cancer Res 66:3396[2006])。スライドをAxioplanイメージングZ1顕微鏡(Carl Zeiss)を用いて観察し、Metaferイメージ解析システム(メタシステム社、独国Altlussheim)でISISソフトウェアシステムを利用し、CCDカメラで撮像した。形態学的に無傷のおよび非オーバーラップ核の状態で、FISHシグナルを病理学者により手作業で評価し(100x油浸)、1つ症例からの3つのコアにある少なくとも30細胞または最大数の癌細胞を記録した。30個の評価可能な細胞のない症例は、不十分なハイブリッド形成として報告した。すべてのBACは、BACPACリサーチセンター(米国カリフォルニア州オークランド)から入手し、プローブ位置は、正常な末梢リンパ球の分裂中期スプレッドとのハイブリッド形成により検証した。TMPRSS2、ERG、およびETV4再配列の検出については、以下のプローブを用いた。すなわち、RP11-35C4(TMPRSS2に対して5´側)、およびRP11-120C17(TMPRSS2に対して3´側)、RP11-95I21(ERGに対して5´側)、およびRP11-476D17(ERGに対して3´側)、およびRP11-100E5(ETV4に対して5´側)、およびRP11-436J4(ETV4に対して3´側)。TMPSS2-ETV1融合の検出については、RP11-35C4(TMPRSS2に対して5´側)をRP11-124L22(ETV1に対して3´側)と共に用いた。BAC DNAをQIAフィルターマキシプレップキット(Qiagen社、米国カリフォルニア州ヴァレンシア)を用いて単離し、プローブをジゴキシゲニン-またはビオチンニックトランスレーションミックス(Roche Applied Science社、米国インディアナ州インディアナポリス)を用いて合成した。ジゴキシゲニンおよびビオチン標識されたプローブを、フルオレセイン結合ジゴキシゲニン抗体(Roche Applied Science社)、およびAlexa594結合ストレプトアビジン(インビトロジェン社、米国カリフォルニア州Carlsbad)をそれぞれ用いて検出した。
本例では、臨床的に局在化した前立腺癌を外科的に処置したアメリカ人男性の大きなスクリーニングベースのコホートにおけるTMPRSS2とETS転写因子遺伝子再配列のシグネチャーの概要を描く包括的な解析について説明する。TMPRSS2スプリットプローブFISH分析アプローチを、図34に示すように、既知のETSファミリーパートナーであるERG、ETV1、ETV4とその他の未知のパートナーを有する前立腺癌における遺伝子再配列の全体的な頻度を検出するのに用いた。3つの既知のETSパートナー(ERG、ETV1、およびETV4)に対して陰性である前立腺癌は、その他のETSファミリーメンバーに関わる再配列を有している可能性があると仮定した。これらの結果は、臨床的に局在化した前立腺癌におけるTMPRSSとETSファミリー遺伝子再配列が、複合分子シグネチャーを示した(図35AおよびB)。全体的なTMPRSS2が評価可能な症例の65%で再配列したのに対し、ERG、ETV1およびETV4が評価可能な症例の55%、2%および2%で再配列した(図35A)。TMPRSS2再配列を有する症例の40.5%において、3´プローブの損失が観測され、これは遺伝子融合の機構としてのTMPRSS2とERGとの間の染色体欠失と一致している。これらの結果は、前立腺癌における高頻度のTMPRSS2:ETS融合を確認し、TMPRSS2:ERGが極めて共通の型であることを示す過去の研究を立証している(Tomlins et al.,Science 310:644;Perner et al.,Cancer Res 66:3396[2006];Yoshimoto et al.,Neoplasia 8:4665[2006];Soller et al.,Genes Chromosomes Cancer 45:717[2006];Wang et al.,Cancer Res 66:8347[2006]および上述の例)。
FISH実験を、PSAに対し5´および3´に位置するプローブについて分断シグナルを示す事例をFISHにより同定するために用いた。PSAスプリットを検出するのに用いた5´および3´ BACはそれぞれRP11-510I16およびRP11-26P14である。PSA遺伝子融合についてのパートナーはいまだ同定されていない。これらの同じプローブは、PSAのごく近傍に位置しているため、ETSファミリーメンバーSPIB内のスプリットもとらえる。
FLI1発現を、FLI1遺伝子融合を有していない異なる細胞試料で評価した。FLI1の5´および3´エクソン発現を高FLI1発現を有する症例から測定した。結果を図18に示す。5´および3´転写物の存在量に差異は検出されなかった。RACEでも融合転写物を示さなかった。FLI1は、対照試料と比較して前立腺癌において過剰発現された。Fli1増幅のためのプライマーを、タックマンプローブとともに図37に示す。
組織マイクロアレイを遺伝子融合の存在についての分析に使用した。用いたTMAは、前立腺癌進行アレイ,前立腺癌予後評価アレイ、温式生検アレイ,前立腺癌スクリーニングアレイ、Erg陰性前立腺癌アレイ、および個々の前立腺癌の症例である。以下の遺伝子プローブを組織マイクロアレイ上で使用した。すなわち、TMPRSS2-ETV1融合プローブ、Ergスプリットプローブ、TMPRSS2スプリットプローブ、ETV1スプリットプローブ、ETV4スプリットプローブ、およびFL1スプリットプローブを使用した。
本実施例では、ERG発現のアンドロゲン制御について述べる。LNCap(TMPRSS2-ERG-)、およびVCaP(TMPRSS2-ERG+)細胞株を用いた。これらの細胞を異なる量のR1881と48時間接触させた。Erg、PSA(陽性対照)、およびβ-チューブリン(陰性対照)の発現を評価した。これらの結果を図19に示す。ERG発現は、VCaPにおいてはアンドロゲン依存であるが、LNCap細胞ではアンドロゲン依存ではないことがわかった。
図22〜25は、ペプチド抗体作製およびアクアプローブの作製における使用のためのERG1、ETV1、FLI-1、およびETV4の配列(下線部)を示す。プライマーは、すべてのETSファミリーメンバー用にアプライドバイオシステム社により設計されたものである。発現を前立腺癌の症例においてモニターし、高発現は、可能な遺伝子融合の指標およびFISHのための指標である。
本実施例では、VCaPおよびLNCaPにおけるアンドロゲンに対する転写応答の解析について述べる。PSA等の両細胞株で異なって発現された転写物の数を検出することに加え、VCaPまたはLNCaP細胞において独自に調節不全な転写物の数も同定した。本解析は、ETV1がLNCaP細胞内でアンドロゲンに対し排他的に応答性を示すことを立証した。LNCaP細胞におけるETV1の過剰発現と合わせて、FISHをLNCaP細胞におけるETV1座位を調べるのに用いた。
細胞株
前立腺癌細胞株LNCaP(リンパ節前立腺癌転移由来)、およびVCaP(Korenchuk,S.et al.,In vivo 15,163-8(2001))(椎骨前立腺癌転移由来)を本検討に用いた。マイクロアレイ研究については、VCaPおよびLNCaP細胞を、0.1%エタノール、またはエタノールに溶解した1nMの合成アンドロゲンメチルトリエノロン(R1881、NENライフサイエンスプロダクツ社、米国マサチューセッツ州ボストン)を用いた48時間の処理の前に、活性炭処理済血清含有培地中で24時間増殖させた。定量PCR(QPCR)研究に関しては、細胞の増殖を、活性炭処理済血清含有培地中で24時間、0.1%エタノール、アセトンに溶解したカソデックス(10μM、ビカルタミド、AstraZeneca Pharmaceuticals社、米国デラウェア州ウィルミングトン)またはエタノールに溶解したフルタミド(10μM、シグマ社、米国ミズーリ州セントルイス)と共に予備インキュベートして行った。2時間後、0.1%エタノールまたは0.5nMのR1881を添加し、細胞を48時間後に回収した。全RNAを、すべての試料からトリゾール(Trizol)(インビトロジェン社、米国カリフォルニア州カールスバッド)製造業者の使用説明書に従って用いて単離した。RNA完全性を、変性ホルムアルデヒドゲル電気泳動またはアジレント社のバイオアナライザー2100(アジレントテクノロジーズ社、米国カリフォルニア州パロアルト)により確認した。
本検討で用いたcDNAマイクロアレイは、アレイが32,448の特徴(feature)を含むこと意外は、基本的に既述のように構築した。アレイのプリントおよび後処理のためのプロトコルは、インターネット上で入手できる。cDNAマイクロアレイ解析を基本的に既述のようにおこなった。要約すると、対照およびR1881で処理したVCaPおよびLNCaP細胞株由来の全RNAを逆転写し、cy5蛍光色素で標識した。対照VCaPまたはLNCaP試料から得たプールした全RNAを逆転写し、それぞれの細胞株由来のすべてのハイブリッド形成に対してcy3蛍光色素で標識した。その後、標識産物を混合し、cDNAアレイとハイブリッド形成した。イメージを、GenePixソフトウェアパッケージ(アクソンインスツルメンツ社、米国カリフォルニア州ユニオンシティ)を用い、フラグ付けおよび正規化した。データをアレイ単位で中央値を中心にし、試料の少なくとも80%に存在する発現値を有した遺伝子のみを本解析に用いた。
QPCRを、文献(Tomlins et al.,Cancer Res 66、3396-400(2006);Tomlins et al.,Science 310、644-8(2005))に記載のように、アプライドバイオシステム社 7300リアルタイムPCRシステム(アプライドバイオシステム社、米国カリフォルニア州フォスターシティ)でSYBRグリーンの色素を用いておこなった。各試料のハウスキーピング遺伝子グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)に対する各標的遺伝子の量を報告した。各細胞株および/または実験における標的遺伝子の相対量は、対照に対し較正した。すべてのオリゴヌクレオチドプライマーは、インテグレイテッドDNAテクノロジーズ社(米国アイオワ州コーラルビル)により合成されたものである。GAPDH(Vandesompele et al.,Genome Biol 3,RESEARCH0034(2002))、PSA(Specht et al.,Am J Pathol 158、419-29(2001))、ERG(エクソン5-6_fおよびエクソン5-6_r)およびETV1(エクソン6-7_fおよびエクソン6-7_r)、プライマー(Tomlins et al.,Science 310、644-8(2005))は、記載のとおりである。
分裂中期スプレッドを、標準的な手法により、正常な末梢リンパ球(NPLs)およびLNCaP細胞から調製した。スライドを、2倍濃度のSSCで2分間、70%エタノールで2分間、そしてプローブの添加前に100%エタノールで2分間処理した。スライドを、カバースリップでカバーし、75℃で2分間インキュベートし、そして一晩37℃でハイブリッド形成した。ハイブリッド形成後の洗浄を2倍濃度のSSCで42℃にて5分間行い、その後PBST中で3回洗浄した。蛍光検出を、フルオレセインに結合した抗ジゴキシゲニン(Roche Applied Science社、米国インディアナ州インディアナポリス)およびAlexaFluor594に結合したストレプトアビジン(インビトロジェン社、米国カリフォルニア州カールスバド)を用いて実施した。スライドを対比染色し、DAPI含有ProLong Gold退色防止試薬(インビトロジェン社)中においた。スライドをツァイスAxio ImagerZ1蛍光顕微鏡(ツァイス社、米国ニューヨーク州ソーンウッド)を用いて観察し、ISISソフトウェア(Metasystems社、独国Altlussheim)を用いてCCDカメラで撮像した。
結果を図26〜28に示す。図26は、LNCaP前立腺癌細胞株におけるETV1の過剰発現およびアンドロゲン制御を示す。図26Aは、VCaPおよびLNCaP前立腺癌細胞株におけるアンドロゲン調節遺伝子の発現シグネチャーを示す。遺伝子のヒートマップは、媒体のみでの治療(灰色)と比較した、1nMの合成アンドロゲンR1881(緑)によるいずれかの細胞株(特徴数3,499、p<0.05および変化倍率>=1.5)における誘発または抑制を示す。各列は遺伝子、各列は試料を示す。黄色および青色の細胞は、カラースケールに従い、過剰または過小発現をそれぞれ示す。灰色の細胞は、欠測データを示す。各細胞株についての値は、対応する対照試料を中心に示している。ヒートマップ中でPSA、ERG、およびETV1の位置を示し、これらの発現を挿入図中に示している。図26Bは、定量PCR(QPCR)による、VCaPおよびLNCaP細胞の両細胞におけるアンドロゲンによるPSA誘発を示す。LNCaP(赤色)、およびVCaP(青色)細胞株におけるPSA(GAPDHに対し正規化)の相対発現をQPCRにより決定した。細胞を、媒体または1nMのR1881で48時間、抗アンドロゲンカソデックスまたはフルタミドの存在または非存在下で記載どおりに処理した。各試料におけるPSAの相対量を、各細胞株に対する対照試料中の量に対して較正した。図26Cは、LNCaP細胞におけるアンドロゲンによるETV1誘発を示す。Bと同じ試料を用いて、ETV1の相対量をQPCRにより決定した。図26Dは、ETV1がLNCaP細胞中で顕著に過剰発現されていることを示す。PSA、ETV1およびERGの相対発現を、QPCRにより各細胞株由来の48時間対照試料で決定した。各試料における標的遺伝子の相対量を、両細胞株由来のPSAの平均量に対して較正した。LNCaPとVCaPでのERGとETV1発現における差の倍率を示す。
本実施例では、前立腺癌におけるETSファミリーメンバーのノックダウンについて述べる。siRNAをLNCaPおよびVCAPにおけるETV1およびERGの発現をノックダウンするのに用いた。定量PCRをこのノックダウンの確認に用いた。結果を図29および30に示す。このノックダウンは増殖に影響を与えなかった。shRNAを発現するレンチウイルスを安定なノックダウンのために作製した。
本発明の遺伝子融合を過剰発現する遺伝子導入マウスのほかに、ETSとアンドロゲン応答性遺伝子も作製した。図31は、マウス作製に用いるためのウイルス過剰発現システムである。図32は、遺伝子導入マウスにおけるゲノム挿入断片の模式図である。このようなマウスは、研究(例えば、機構研究)および薬物スクリーニング応用における用途がある。
上述のように(実施例1)、TMPRSS2のERGへの融合を観察した。TMPRSS2:ERGa遺伝子融合からの発現タンパク質を決定するため、3xFlagタグを停止コドンのすぐ上流に挿入して、VCaP前立腺癌細胞株から、エクソン4の始まりにある融合区切り点からエクソン11内の推定の停止コドンまでのERG(NM_004449)の部分を増幅するのに、PCRを用いた。この産物をpCR8/GW/TOPOTA(インビトロジェン社)にTAクローン化し、双方向で配列決定した。配列決定は、本願明細書においてERG1(ERGアイソフォーム1由来のエクソン6を含む
)およびERG2(該エクソンを含まない)と名付けている2つの異なるアイソフォームの存在を明らかにした。この産物をpLenti6/V5-DESTデスティネーションベクターにGatewayクローン化した。このプラスミドを、ERGタンパク質産生のため、直接的にPHINX細胞にトランスフェクトした。
トランスフェクトアッセイ:
Phinx細胞に、FuGeneトランスフェクション試薬(Roche社)を製造業者の使用説明書に従って用いて、ERG2または空ベクターをトランスフェクトした。直径150mmのプレート計10個を各コンストラクトに用いた。トランスフェクション後48時間の時点でこれらの細胞を収集し、以下に述べる免疫沈降アッセイに用いた。
細胞を氷冷したPBS含有プロテアーゼ阻害剤により洗浄し、1%NP40含有TBS中で均質化して溶解した。タンパク質を含有するこの上澄みについて、Bradfordタンパク質アッセイ(バイオラッドラボラトリーズ社、米国カリフォルニア州ハーキュリーズ)を製造業者の使用説明書に従って用いて、タンパク質含有量を評価した。すべての試料からの等量のタンパク質(緩衝液15mL中に約30mg)を免疫沈降研究に用いた。EZVIEWレッド抗FLAG M2親和性ゲル(シグマ社、米国ミズーリ州セントルイス)の50%スラリー約200μLを各試料に加え、4℃で一晩インキュベートした。この免疫沈降物をTBS含有0.1%NP40およびTBSのみで、3回ずつ洗浄した。結合したタンパク質を、FLAGペプチド(シグマ社、米国ミズーリ州セントルイス)を製造業者の使用説明に従って用い、溶出した。この溶出を3回行った。溶出物中のタンパク質を50%TCA(シグマ社、米国ミズーリ州セントルイス)を用いて沈殿させた。沈降物を氷冷したアセトンで3回洗浄し、ラエミリ緩衝液に再懸濁し、4〜20%のBIS−TRISゲル(インビトロジェン社、米国カリフォルニア州カールスバッド)上で電気泳動させた。これらのゲルを質量分析用の銀染色(シルバーケスト、インビトロジェン社、カールスバッド、米国カリフォルニア州)で染色した。ERG2に対応するバンドおよびベクターレーン中で対応する領域を各1cmの6片に切り取った。ゲル片の各一片は、ゲル上の高分子量領域から始まり移動していくバンド1〜6で標示した。それゆえバンド1は高分子量タンパク質を含む領域に対応するのに対し、バンド6は低分子量領域に対応する。ERG2の未変性分子量(約55KDa)に基づくと、バンド4および5を移動することになる。ERG2配列同定を3回繰り返し、すべての実験からデータをまとめた。
ゲルバンドを採取し、製造業者の使用説明書に従い銀染色キット(インビトロジェン社、米国カリフォルニア州カールスバッド)に含まれる脱染溶液を用いて脱染した。ゲル中で、消化をpH9の1Mの重炭酸アンモニウム中で、ブタ由来トリプシン(1:50、Promega社、米国ワイオミング州マジソン)を用いて行った。この消化は、37℃で16時間行った。24時間後、トリプシン活性を3%ギ酸により停止した。これらのペプチドを50%アセトニトリルを用いて抽出した。これらのペプチドを乾燥して0.1%ギ酸含有の2%アセトニトリルに懸濁し、パラダイムHPLCポンプ(Michrome BioResources社)に取り付けた0.075mm x 150mmのC18カラムを用いて、逆相クロマトグラフィにより分離した。ペプチドを、溶媒Aを0.1%ギ酸/2%アセトニトリルとし、B(0.1%ギ酸/95%アセトニトリル)を45分5〜95%の濃度勾配で用いて溶出した。フィニガン(Finnigan)LTQ質量分析計(サーモエレクトロン社)をスペクトルを得るのに用い、装置をデータ依存モードでダイナミック・エクスクルージョン(dynamic exclusion)を可動状態にして操作した。フルMSスキャンにおける3つの最大量ペプチドイオンでのMS/MSスペクトルを得た。これらのスペクトルを、混成の、非同一のNCBIヒト標準配列データベースに対してMASCOT検索ツールを用いて検索した。これらのデータベースの検索結果は、ペプチド帰属精度について、PeptideProphetプログラムを用いて確認した。これは混合モデルであり、検索結果スコアやトリプシン末端数等の様々なペプチドの特徴に基づいた正確なペプチド同定の確率を決める期待値最大化推定である。第2のプログラムであるProteinProphetを、ペプチドをタンパク質によりグループ化し、これらの確率を組み合わせて正しいタンパク質帰属の確率を決めるために用いた。識別能は、これらのNSP値により、またはペプチドグループ化情報および起こりうるマルチヒットのタンパク質の状態を意味する同胞ペプチド数により、個々のペプチドの確率の2次的な再評価で増加する。
は、ERG1に特異的でERG2では欠損しているエクソンに対応している。残りのアミノ酸配列は、3つの実験の各々で同定されたERG2配列に対応している。ERG2をすべての実験におけるバンド1〜5で同定した。これらのバンドの各々で得たERG2についてのペプチド配列を示す。非常に高いカバレージのERG2タンパク質が、3つの実験にわたり観測された。このカバレージマップは、第1の50アミノ酸残基に対応する、クローン化タンパク質のN末端領域におけるペプチドのカバレージが、質量分析カバレージマップにおいてほどんど観測されないことを示した。しかしながら、アミノ酸バリンで始まるペプチドVPQQDWLSQP(配列番号:197)は極めて大量に見られ、それ故すべての実験において同定された。より詳しい評価は、47番目の位置にあるアミノ酸がメチオニンのフレームにあることを示唆した。複数の実験における47番目のメチオニンの上流(N終端)にあるどのようなペプチドの欠如も、それがERG2のN末端アミノ酸であることを確認している。さらにまた、50番目の位置にあるアルギニン残基の存在により、潜在的なトリプシン切断部位とした。この部位でのトリプシンによる消化は、イオン捕捉質量分析計による同定には小さすぎるより短鎖のN末端ペプチドMSPRや、すべての実験で同定された長鎖C末端ペプチドVPQQDWLSQP(配列番号:198)を生じることになる。さらに、ペプチド配列MIQTVPDPAAHI(配列番号:199)も単一の実験において非常に低い確率スコアで同定された。これは、NCBIにおいて報告されているように、ERGのN末端にマッピングされる。この配列は、VCAP細胞からクローン化された、異所的に過剰発現されたコンストラクトの一部ではなかった。これは、PHINX細胞において発現されたインビボのERGより入手できたかもしれず、したがって良性細胞に関連するERGの一部を示しているのかもしれない。
。第1のメチオニンは、内在性ERGの翻訳開始部位である。MIQTVPDPAAHI(配列番号:201)。図20は、内在性および融合ポリペプチドの模式図を示す。
尿から前立腺細胞を分離および調製するため、約30mLの尿を直腸診後に採取する。この後直ちに、15mLのPreservCytを加え、試料を50mLの遠心管中で10分間室温で4000rpmにて遠心分離する。上澄みを廃棄し、沈渣を15mLの0.75MのKCl中に15分間室温で再懸濁し、50mLの遠心管中で10分間室温で4000rpmにて遠心分離する。上澄みを廃棄し、沈渣を10mLの3:1比メタノール:氷酢酸中に再懸濁する。この後、4000rpmで8分間遠心する。上澄みを200μLを除き廃棄し、ペレットを再懸濁する。続いてこの再懸濁したペレットをガラススライドに滴下し、風乾する。ハイブリッド形成およびプローブ調製を上記の実施例2のように、ERG5´/3´およびTMPRSS5´/3´プローブ対で行う。
A.材料および方法
試料および細胞株
前立腺組織は、共に米国ミシガン大学前立腺癌専門優良研究プログラム(SPORE)組織コアの一部である、米国ミシガン大学の根治的前立腺切除術系列および迅速剖検プログラム1から得たものである。すべての試料を、患者らのインフォームドコンセントおよび事前の研究所審査委員の承認を得て採取した。
定量PCR(QPCR)を、パワーSYBRグリーンのマスターミックス(アプライドバイオシステム社、米国カリフォルニア州Foster City)をアプライドバイオシステム社の7300リアルタイムPCRシステム上で、文献(Tomlins et al., Cancer Res 66, 3396−400 (2006); Tomlins et al., Recurrent fusion of TMPRSS2 and ETS transcription factor genes in prostate cancer. Science 310, 644−8 (2005))に記載のように用いて行った。すべてのオリゴヌクレオチドプライマーは、インテグレイテッドDNAテクノロジーズ社(米国アイオワ州コーラルビル)により合成されたものであり、表15に列挙されている。HMBSおよびGAPDH5、およびPSA6プライマーは記載のとおりである。アンドロゲン刺激反応を4回行い、その他すべての反応を2回行った。
RLM-RACEを、既述のように(上記Tomlins et al.,2005;上記Tomlins et al.,2006)、製造業者の使用説明書に従ってジーン・レーサーRLM-RACEキット(インビトロジェン社)を用いて行った。ETV1の5´末端を得るため、第1の鎖のcDNAを、ジーン・レーサー 5´プライマーおよびETV1_エクソン4-5-rを用いて、プラチナTaqハイフィデリティ(インビトロジェン社)で増幅した。産物をクローン化し、文献(上記Tomlins et al.,2005;上記Tomlins et al.,2006)に記載のように双方向で配列決定した。RLM-RACEdcDNAは、その他のアッセイに使用しなかった。
ホルマリン固定したパラフィン包理(FFPE)組織切片に対する間期FISHを、文献(上記Tomlins et al.,2005)に記載のように行った。1アッセイにつき少なくとも50の核を評価した。LNCaPおよびMDA-PCa2Bの分裂中期スプレッドを、標準的な細胞遺伝学的手法により調製した。スライドを2倍濃度のSSC中で2分間、70%エタノールで2分間、そして100%エタノールで2分間前処理し、風乾した。スライドおよびプローブを同時に75℃で2分間変性し、一晩37℃でハイブリッド形成した。ハイブリッド形成後、0.5倍濃度のSSC中42℃で5分間、続いてPBST中で3回洗浄した。蛍光検出を、フルオレセインについては抗ジゴキシゲニン抱合体(Roche Applied Science社、米国インディアナ州インディアナポリス)、Alexa Fluor594(インビトロジェン社)についてはストレプトアビジンコンジュゲートを用いて行った。スライドを対比染色し、DAPI含有ProLong Gold退色防止試薬(インビトロジェン社)中においた。スライドをツァイス社のAxio Imager Z1蛍光顕微鏡(ツァイス、米国ニューヨーク州ソーンウッド)で観察し、ISISソフトウェア(メタシステム社、独国Altlussheim)を利用しCCDカメラで撮像した。BAC(表16に記載)はBACPACリサーチセンター(米国カリフォルニア州オークランド)から入手したものであり、プローブは文献(上記Tomlins et al.,2005)に記載のように調製した。予め標識された7番染色体セントロメアおよび7pテロメアプローブはVysis社(米国イリノイ州デスプレーンズ)から入手したものである。すべてのプローブについて、完全性および正確な局在化を正常な末梢リンパ球の分裂中期スプレッドとのハイブリッド形成により確認した。
14ql3〜q21における5´融合パートナーと遺伝子の組織特異的発現を決定するため、29の異なる種類の630の腫瘍から得た発現プロファイルからなる、国際ゲノムコンソーシアムのexpOデータセットをOncomineデータベースを利用して用いた。市販のアレイプラットフォームではモニターされない、HERV-K_22q11.23の発現を調べるため、Lynx Therapeutics社の正常組織MPSS(massively parallel signature sequencing)データセット(GSE1747)に対するクエリーを、文献(Stauffer et al.,Cancer Immun 4、2(2004))に記載のように、HERV-K_22ql1.23を明確に同定するMPSSタグ「GATCTTTGTGACCTACT」(配列番号:308)を用いて行った。expOデータセットより得た腫瘍型の記述およびMPSSデータセットより得た正常な組織型を表17に示す。
LNCaP、C4-2B、RWPE-ETV1およびRWPE-GUS細胞の発現プロファイリングをアジレント社の全ヒトゲノムオリゴマイクロアレイ(米国カリフォルニア州Santa Clara)を利用しておこなった。トリゾールを用いて単離した全RNAを、Qiagen社のRNAeasyマイクロキット(米国カリフォルニア州バレンシア)を用いて精製した。1μgの全RNAをcRNAに転換し、製造業者のプロトコル(アジレント社)に従って標識した。ハイブリッド形成を65℃で16時間行い、およびアレイをアジレント社DNAマイクロアレイスキャナーでスキャンした。画像を解析し、線形およびLowess正規化を各アレイに対して実施して、データをアジレント社の特性抽出ソフト9.1.3.1を利用して抽出した。LNCaPおよびC4-2Bハイブリッド形成については、各細胞株に対する標準をプール良性前立腺全RNA(Clontech社、米国カリフォルニア州マウンテンビュー)とした。各細胞株についてダイフリップもおこなった。特性を色素フリップの補正後の2つC4-2Bアレイにおける平均発現で割った2つLNCaPアレイにおける平均発現(対数比)で順位付けした。RWPE細胞については、4つのハイブリッド形成を行った(複製RWPE-ETV1/RWPE-GUSおよびRWPE-GUS/RWPE-ETVlハイブリッド形成)。過剰および過小発現したシグネチャーを、すべての4つのハイブリッド形成で顕著な異なる発現差異(P値対数比<0.01)と、ダイフリップに対する補正後に2倍平均過剰または過小発現(対数比)を有する特性のみを含むようにフィルタリングして作製した。
LNCaP、VCaP、プールした正常なヒト雄DNA(Promega社、米国ウィスコンシン州マディソン)、および正常な胎盤DNA(Promega社)由来のゲノムDNA(10μg)を、EcoRIまたはPstI(New England Biologicals、米国マサチューセッツ州イプスウィッチ)で一晩消化した。断片を0.8%アガロースゲル上40Vで一晩分離し、ハイボンドNXナイロン膜に移し、予備ハイブリッド形成して、プローブとハイブリッド形成し、標準的なプロトコルに従って洗浄した。FISHにより関連付けられたchr7の領域にまたがる一連の22プローブ(RP11-313C20とRP11-703A4との間)を、プールした正常なヒト雄ゲノムDNA(表15)上でプラチナTaqハイフィデリティを用いてPCR増幅により作製した。各プローブ25ngをdCTP-P32で標識し、ハイブリッド形成に用いた。
LNCaP細胞におけるETV1区切り点を同定するため、サザンブロット法により同定した再配列に基づく逆PCR法を用いた。野生型の配列由来の逆相補配列であり、プライマーB1、B2、B3と異なる、プライマーA1、A2、A3を、PstIで消化および再連結した(分子内結合を促進するため)LNCaPゲノムDNA鋳型に対する逆PCRに用いた。ネステッドPCRを、以下のプライマー組の順で実施した。すなわち、A1-B1、A2-B2、およびA3-B3。エキスパンド20kbPLUS PCRシステム(Roche Diagnostics GmbH社、独国マンハイム)を、製造業者の指示にしたがい、融合産物の増幅に用いた。このネステッドPCRで観測された濃縮3KbバンドをpCR8/GW/TOPO(インビトロジェン社)にクローン化し、ミニプレップDNAを挿入断片についてスクリーニングし、陽性クローンを配列決定した(ミシガン大学DNA配列決定コア、米国ミシガン州アンアーバー)。その後、融合特異性プライマーを用いたプラチナTaqハイフィデリティにより、融合をPCRにより確認した(表15)。
ETV1の既報の停止コドンに対するTMPRSS2:ETV1融合(269-1521、NM_004956.3)に存在する、ETV1のcDNAをMET264からRT−PCRで増幅して、GatewayエントリーベクターpCR8/GW/TOPO(インビトロジェン社)にTOPOクローン化し、pCR8-ETV1を得た。アデノウイルスおよびレンチウイルスのコンストラクトを作製するため、pCR8-ETV1および対照エントリークローン(pENTR-GUS)をそれぞれpAD/CMV/V5(インビトロジェン社)とpLenti6/CMV/V5(インビトロジェン社)と、LRクロナーゼII(インビトロジェン社)を用いて組み換えた。対照pAD/CMV/LACZクローンをインビトロジェン社から入手した。アデノウイルスおよびレンチウイルスは、米国ミシガン大学ベクターコアにより作製されたものである。この良性不死化前立腺細胞株RWPEをETV1またはGUSを発現するレンチウイルスに感染させ、安定なクローンをブラストサイジン(インビトロジェン社)を用いた選択により作製した。初代PrEC細胞では安定な培養細胞を作製できないので、良性PrECをETV1またはLACZを発現するアデノウイルスに感染させた。細胞数を、細胞のトリプシン処理および記載の時点で3回コールターカウンターで分析することで概算した。侵襲アッセイについては、同数のPREC‐ETV1および-LACZ(感染後48時間)または安定なRPWE-ETV1および-GUS細胞を、化学誘引物質として下側チャンバーにはウシ胎児血清を加えた、24ウェル培養プレートのインサート内にある基底膜マトリックス(ECマトリックス、ケミコン社、米国カリフォルニア州テメクラ)上に播種した。48時間後、非侵襲性細胞およびECマトリックスを綿棒で除去した。感染細胞をクリスタルバイオレットで染色し、写真撮像した。これらのインサートを10%酢酸で処理し、吸収を560nmで測定した。
LNCaP細胞におけるETV1のsiRNAノックダウンについて、ダーマコン社のETV1用SMARTpool(MU-003801-01、米国イリノイ州シカゴ)を構成する個々のsiRNAを、qPCRによりETV1ノックダウンについて試験し、最も効果的な1本鎖siRNA(D-003801-05)をさらなる実験に用いた。siCONTROL非標的siRNA#1(D-001210-01)またはETV1に対するsiRNAを、オリゴフェクタミン(インビトロジェン社)を用いてLNCaP細胞にトランスフェクトした。24時間後、2回目の同一トランスフェクションを実行し、24時間後に以下に記載するようなRNAおよび侵襲アッセイのために細胞を回収した。LNCaP細胞におけるETV1のshRNAノックダウンについては、pMS2レトロウイルスベクター由来のETV1に対するshRNAmirコンストラクト(V2HS_61929、Open Biosystems社、米国アラバマ州ハンツビル)を、製造業者のプロトコルに従ってpGIPZレンチウイルス空ベクター(RHS4349、Open Biosystems社)にクローン化した。ETV1のshRNAmirを有するpGIPZレンチウイルスまたは非発現抑制対照(RHS4346)は、米国ミシガン大学ベクターコアにより作製されたものである。LNCaP細胞をレンチウイルスに感染させ、48時間後に細胞を以下に述べるように侵襲アッセイに用いた。6つの独立した実験の代表的な結果を示す。
同じ数の記載の細胞を、ウシ胎児血清を化学誘引物質として下側のチャンバーに添加した24ウェル培養プレートのインサート内にある基底膜マトリックス(ECマトリックス、Chemicon社、米国カリフォルニア州テメクラ)上に播種した。48時間後、非侵襲細胞およびECマトリックスを綿棒で除去した。感染細胞をクリスタルバイオレットで染色し、写真撮像した。これらのインサートを10%酢酸で処理し、吸収を560nmで測定した。
RWPE-ETV1およびRWPE-GUS細胞を、細胞周期特性決定についてFACSで評価した。細胞を2倍濃度のPBSで洗浄し、およそ2x106細胞を70%エタノール中に固定する前にPBS中に再懸濁した。沈渣の細胞を洗浄し、RNase(100μg/mL最終濃度)およびヨウ化プロピジウム(10μg/mL最終濃度)で30分間37℃で処理した。染色細胞をFACSDiviaを利用してLSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences社、米国カリフォルニア州サンノゼ)で分析し、および細胞周期の段階をModFit LT(ベリティソフトウェアハウス社、米国メーン州トプシャム)を用いて計算した。
正常培地の低融点アガロースの0.6%(質量/体積)の下層を、6ウェル培養プレート中で調製した。一番上に、1x104RWPE-GUS、RWPE-ETV1、またはDU145(陽性対照)細胞を含有する0.3%アガロースの層をいれた。12日後、病巣をクリスタルバイオレットで染色しカウントした。
細胞を、50mMのTris−HCl(pH7.4)、1%NP40(シグマ社、米国ミズーリ州セントルイス)、および完全プロテアーゼ阻害剤混合物(Roche社)を含むNP40溶解緩衝液中でホモジナイズした。15μgのタンパク質抽出物をSDS試料緩衝液と混合し、10%SDS-ポリアクリルアミドゲル上で還元条件下で電気泳動させた。これらの分離したタンパク質を、ニトロセルロース膜(Amersham Pharmacia Biotech社、米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)上に移した。この膜を、ブロッキング用緩衝液[0.1%ツイーン(TBS−T)および5%脱脂乾燥乳を含有するトリス緩衝生理食塩水]中で1時間インキュベートした。一次抗体を、ブロッキング用緩衝液中一晩4℃で、記載の希釈率で適用した。TBS−T緩衝液で3回洗浄後、膜を、西洋わさびペルオキシダーゼ結合ロバ抗マウスIgG抗体(Amersham Pharmacia Biotech社)で、1:5,000希釈で1時間室温にてインキュベートした。これらのシグナルを、改良型化学発光検出システム(Amersham Pharmacia Biotech社)および放射線写真法で描出した。
ETV1のインビボでの過剰発現について、C末端3XFLAG-エピトープタグをつけたコンストラクトを、停止コドンの前で3xFLAGタグをコードする逆方向プライマーと、pCR8-ETV1を鋳型として用いて、PCRにより作製した。この産物をpCR8にTOPOクローン化した。前立腺特異的ETV1遺伝子導入コンストラクトを作製するため、3倍濃度のFLAG-ETV1を、改変低分子複合プロバシンプロモーター(ARR2PB)の下流およびウシ成長ホルモンpolyA部位(PA-BGH)の上流で、pBSII(Strata Gene社、米国カリフォルニア州ラホヤ)に挿入した。ARR2PB配列は、本来のプロバシン配列PB(−426/+28)とさらに2つのアンドロゲン応答エレメントを有する。このコンストラクトを配列決定し、FVBマウス卵への微量注入の前の一過性トランスフェクトの際にLNCaP細胞におけるアンドロゲンによるプロモーター誘導能を試験した。ARR2PB-ETV1プラスミドをPvuI/KpnI//SacIIで直線化し、受精FVBマウス卵に微量注入し、米国ミシガン大学遺伝子導入動物モデルコアにより、偽妊娠の雌に手術で移植した。遺伝子導入初代動物を、切り取った尾から単離したゲノムDNAを用いてPCRによりスクリーニングした。遺伝子導入ARR2PB-ETV1初代動物を、FVBマウスと交配し、導入遺伝子陽性雄マウス子孫を様々な時点で屠殺した。遺伝子導入マウス由来の前立腺をNikon社の切開用顕微鏡を用いて切開し、10%緩衝ホルマリンに固定し、パラフィン中に包理した。5μmの切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、3名の病理学者により、ヒト癌コンソーシアム前立腺病理委員会のマウスモデルに関するバーハーバーミーティングのコンセンサスレポートに従って評価した(Nam et al.,Cancer Biol Ther 6(2007))。
前立腺癌における新規 5´ETS融合パートナーの同定
qPCRにより、前立腺組織試料の2つのコホートを、ETV1のアウトライアー発現を有する症例を同定するために、ERGとETV1の発現についてスクリーニングした。図38aに示すように、これら2つのコホートにわたり、54の局在化した前立腺癌試料のうち26および3試料が、それぞれERG(48%)およびETV1(5.5%)アウトライアー発現を示した。さらにまた、2つのホルモン抵抗性転移性前立腺癌試料であるMET26およびMET23は、ETV1アウトライアー発現を示した。qPCRにより、ERGのアウトライアー発現を有する、26の局在化した試料中25試料(96%)が、TMPRSS2:ERG融合転写物を発現した。MET26を除き、4つのETV1アウトライアー(PCa_ETV1_1〜3およびMET23)を含むいずれの試料も、TMPRSS2:ETV1融合転写物を発現しなかった。
HERV-K_22qll.23:ETV1、SLC45A3:ETV1、およびC15ORF21:ETV1融合は、5´パートナー由来の予測翻訳配列を含まず、HNRPA2B1:ETV1融合におけるHNRPA2B1配列は、融合タンパク質に対して2つの残基のみが寄与する。従って、5´パートナーのプロモーターエレメントは、おそらくこれらの症例における異常ETV1発現を誘発するので、これらの遺伝子の組織特異性およびアンドロゲン制御が特徴決定された。SLC45A3、C15ORF21、およびHNRPA2B1の組織特異性を調べるため、29の異なる種類の630の腫瘍から得た発現プロファイルからなる国際ゲノムコンソーシアムexpOデータセットを、Oncomineデータベースを用いて検索した(Rhodes et al.,Neoplasia 9、166-80(2007))。TMPRSS2と同様に、SLC45A3は、その他すべての腫瘍型(中央値=0.33、P=2.4E-7)と比較して、前立腺癌において著しい過剰発現 (中央値=2.45、1つのアレイ当たりの中央値を超える標準偏差)を示した。C15ORF21は、前立腺癌において同様の過剰発現を示した(中央値=2.06vs-0.12、P=3.4E-6)。一方、HNRPA2B1は、前立腺およびその他の腫瘍型で高発現を示した(中央値=2.36vs2.41、P>0.05)(図38d)。HERV-K_22q11.23をexpOデータセットで用いたDNAマイクロアレイでモニターしていないにもかかわらず、Staufferら(Cancer Immun 4、2(2004))が記載するように、MPSSにより明確に測定される。従って、HERV-K_22q11.23の発現を、31のその他の正常な組織(中央値=100万あたり9個の転写物)と比較して、HERV-K_22q11.23が正常な前立腺組織において最高レベルで発現(100万あたり94個の転写物)した、32の正常な組織型(Jongeneel et al.,Genome Res 15、1007-14(2005))からのプロファイルを含むリンクス治療法MPSSデータセット中で検索した(図38d)。
5´パートナーがコード配列をETV1転写物に与えないので、臨床的試料および前立腺癌細胞株における異なるクラスのETV1再配列についての共通の結果は、切断されたETV1の異常過剰発現である。従って、この現象は、前立腺癌における異常ETSファミリーメンバー発現の役割を決定するために、インビトロおよびインビボで繰り返された。アデノウイルスおよびレンチウイルスコンストラクトは、指標のTMPRSS2:ETV1融合が陽性の症例、MET26(ETV1のエクソン4から始まって報告の終始コドンまで)で表されるようにETV1を過剰発現するようにデザインされている(図41a)。良性不死化前立腺上皮細胞株RWPEを、ETV1を発現するレンチウイルスに感染させ、安定なRWPE-ETV1細胞を選択し、ETV1を発現するアデノウイルスによる感染により、原発性良性前立腺上皮細胞株PrECにおいてETV1を一時的に過剰発現した。RWPEおよびPrEC細胞の両者において、ETV1の過剰発現は、増殖に対して検出可能な効果はなく(図44a〜b)、細胞周期解析は、S期におけるRWPE-ETV1とRWPE-GUS細胞の割合に何の差異も示さなかった(図44c)。さらにまた、軟寒天形質転換アッセイでは、ETV1過剰発現がRWPE細胞を形質転換するには十分でないことが示された(図44d)。
つぎに、インビボでのETV1過剰発現の効果を、アンドロゲン制御下で前立腺において排他的に強力な導入遺伝子発現を誘発する、改変プロバシンプロモーター(ARR2Pb-ETV1)の制御下にあるFLAGタグのついた切断されたバージョンのETV1(図41a)を発現する遺伝子導入マウスを用いて調べた(Ellwood-Yen et al.,Cancer Cell 4,223-38(2003))。この導入遺伝子は、ヒト前立腺癌において同定されたETV1のアンドロゲン誘導遺伝子融合に機能的に類似している(すなわち、TMPRSS2:ETV1、SLC45A3:ETV1、およびHERV-K_22q11.23:ETV1)。複数のARR2Pb-ETV1初代動物を入手し、表現型解析に展開した。12〜14週齢の、ARR2Pb-ETV1遺伝子導入マウス8匹中6匹(75%)が、マウス前立腺上皮内腫瘍(mPIN)を発症した(表18および図42)。mPINの定義に従い、層形成、高色素血および肥大核小体(macronucleoli)を含む核異型を示す、ARR2Pb-ETV1マウスの前立腺における正常な腺内に含まれる局所性増殖病変を観察した(図42a〜f)。mPINは、ARR2Pb-ETV1マウスのすべての3つの前立腺葉(前側、腹側、および背外側)で観察され、腹側葉で最もよくみられた(7/11、63.6%)(表18)。免疫組織化学的検査により、強度のETV1-FLAG発現が、ARR2Pb-ETV1マウスの良性腺ではなく、排他的にmPIN病巣で観察され(図48)、qPCRは、導入遺伝子発現が前立腺に限定されるものであることを確認した。
本実施例では、TMPRSS2:ETV5およびSLC45A3:ETV5遺伝子融合の同定を説明する。SYBRグリーンを用いたQPCRによるETV5アウトライアー発現の検出には、以下のプライマー対、すなわち、
を用いた。
Claims (49)
- (a)患者から試料を採取する工程と、
(b)SLC45A3、HERV-K_22qll.23、およびC15ORF21からなる群より選ばれるアンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来の5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有する遺伝子融合の、前記試料中での存在または非存在を検出する工程と
を含み、試料中の遺伝子融合の存在がその患者の前立腺癌を示す、患者の前立腺癌を診断する方法。 - 前記アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域が、アンドロゲン制御遺伝子のプロモーター領域を含む、請求項1記載の方法。
- ETSファミリーメンバー遺伝子がETV1である請求項1記載の方法。
- 前記工程(b)が、アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項1記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項4記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項4記載の方法。
- 前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、およびサザンブロットからなる群から選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項6記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項4記載の方法。
- 前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項8記載の方法。
- 前記工程(b)が、アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来の5´部分とETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項1記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項10記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項10記載の方法。
- 前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイおよびノーザンブロット法からなる群より選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項12記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項10記載の方法。
- 前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項14記載の方法。
- 前記試料が、組織、血液、血漿、血清、尿、尿の上澄み、尿細胞ペレット、精液、前立腺分泌物、および前立腺細胞からなる群より選ばれる、請求項1記載の方法。
- (a)患者から試料を採取する工程と、
(b)ハウスキーピング遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有する遺伝子融合の、前記試料中での存在または非存在を検出する工程と
を含み、試料中の遺伝子融合の存在が患者の前立腺癌を示す、患者の前立腺癌を診断する方法。 - 前記ハウスキーピング遺伝子がHNRP A2 B1である請求項17記載の方法。
- 前記ETSファミリーメンバー遺伝子がETV1である請求項17記載の方法。
- 前記ハウスキーピング遺伝子の転写制御領域が、ハウスキーピング遺伝子のプロモーター領域を含む、請求項17記載の方法。
- 前記工程(b)が、ハウスキーピング遺伝子の転写制御領域由来の5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項17記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項21記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項21記載の方法。
- 前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、およびサザンブロット法からなる群より選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項23記載の方法。
- 前期工程(b)が、核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項21記載の方法。
- 前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項25記載の方法。
- 前記工程(b)が、ハウスキーピング遺伝子の転写制御領域由来の5´部分と、ETSファミリーメンバー遺伝子由来の3´部分とを有するキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項17記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項27記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項27記載の方法。
- 前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイおよびノーザンブロット法からなる群から選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項29記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項27記載の方法。
- 前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項31記載の方法。
- 前記試料が、組織、血液、血漿、血清、尿、尿の上澄み、尿細胞ペレット、精液、前立腺分泌物、および前立腺細胞からなる群より選ばれる、請求項17記載の方法。
- (a)患者から試料を採取する工程と、
(b)アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETV5由来の3´部分とを有する遺伝子融合の、前記試料中での存在または非存在を検出する工程と
を含み、試料中の遺伝子融合の存在が患者の前立腺癌を示す、患者の前立腺癌を診断する方法。 - 前記アンドロゲン制御遺伝子が、TMPRSS2とSLC45A3とからなる群より選ばれる、請求項34記載の方法。
- 前記アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域が、アンドロゲン制御遺伝子のプロモーター領域を含む、請求項34記載の方法。
- 前記工程(b)が、アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETV5由来の3´部分とを有するゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項34記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項37記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項37記載の方法。
- 前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、およびサザンブロットからなる群より選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項39記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項37記載の方法。
- 前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法を利用してゲノムDNAの染色体再編成を検出することを含む、請求項41記載の方法。
- 前記工程(b)が、アンドロゲン制御遺伝子の転写制御領域由来5´部分と、ETV5由来の3´部分とを有するキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項34記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸配列決定法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項43記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項43記載の方法。
- 前記工程(b)が、インサイツハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイおよびノーザンブロット法からなる群より選ばれる核酸ハイブリッド形成法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項45記載の方法。
- 前記工程(b)が、核酸増幅法を利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項43記載の方法。
- 前記工程(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および核酸配列ベース増幅(NASBA)からなる群より選ばれる核酸増幅法利用してキメラmRNA転写物を検出することを含む、請求項47記載の方法。
- 前記試料が、組織、血液、血漿、血清、尿、尿の上澄み、尿細胞ペレット、精液、前立腺分泌物、および前立腺細胞からなる群より選ばれる、請求項34記載の方法。
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