JP2016008511A - 波力発電装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明は、上記従来例の課題に着目してなされたものであり、空気速度を検出または推定することなく、最適効率点近辺での発電を正確に行うことができる波力発電装置を提供することを目的としている。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る波力発電装置における第1の実施形態の概略構成を示すシステム構成図、図2は図1の制御装置の具体的構成を示すブロック図である。
本発明に係る波力発電機は、図1に示すように、下端を開放した破線図示の円筒体1内に、例えば往復の空気流で一方向に回転するウエルズタービンで構成された波力発電用タービン2が回転自在に配置されている。円筒体1の上端から突出する波力発電用タービン2の回転軸2aには、円筒体1の上端面に配置された発電機3が連結されている。また、円筒体1の上端には図示しないが空気を内外で流通させる開口が形成されている。
発電機3には波力発電用タービンの回転速度を検出する回転速度検出部としての速度検出部4が内蔵されているとともに、発電機3で発生するトルクを制御して、最高効率点での発電を行わせる制御装置10が接続されている。
また、制御装置10は、偏微分計算値記憶部50と、タービントルク推定値Tt′とタービン回転速度ωmと、偏微分計算値とに基づいて波力発電用タービンの瞬間的な効率を最大効率に維持するように発電機に対するタービン回転速度指令値を形成する速度指令値形成部51とを備えている。
ここで、ベクトル制御インバータ26は、速度調節部30からトルク指令値T*が入力されると、発電機3がトルク指令値T*に対応したトルクを出力するような三相交流電圧を発生する。すなわち、ベクトル制御インバータ26はトルク指令値T*が入力されたときに、発電機3で発生するトルクが瞬時にトルク指令値となるように制御可能に構成されている。また、ベクトル制御インバータ26では、発電機内部の磁束とトルク電流とが独立となるように制御している。
また、速度調節部30は、図3に示すように、速度指令値生成部51から入力されるタービン回転速度指令値ωm *が入力されフィードフォワード制御器32aと、タービン回転速度指令値ωm *から速度検出部4から入力されるタービン回転速度ωmを減算して速度偏差Δωを算出する減算器32bとを備えている。
そして、速度調節部32の加算器32dから出力されるトルク指令値T*が前述したベクトル制御インバータ26に供給される。
このタービントルク推定部40の具体的構成は、図4に示すように、回転角速度ωm、タービンの慣性モーメントJ、トルク指令値Tg*を入力とし、加速度推定部41、積算器42、減算器43及びローパスフィルタ44を備えている。
比例ゲイン演算部52は、数1の演算を行って比例定数Kωを演算し、演算した比例定数Kωを積算器53に供給している。数1においてタービン半径をrとする。
はじめに、 タービン2に流入する空気の入力パワーPin、空気速度Vx、および回転速度Uxの関係を数3に示し、タービン2が発生するトルクTt、空気速度Vx、および回転速度Utの関係を数4に示す。
タービン2に流入する空気パワーPinは、数3より空気速度の3次関数であることがわかる。数4より、 タービンの発生するトルクTtは、 空気速度Vxの2乗の関数で表されることが分かる。
差圧係数Caとトルク係数Ctは、流量係数φの関数で、高次の多項式で近似が可能な非線形な関数である。
トルク係数Ct、差圧係数Caと流量係数φとの関係を表すグラフの例を図5および図6に示す。
最高効率が得られる動作点の近傍では、タービントルクは次の一次関数で近似できると考えられる。
次に、数6の辺々にタービン周速度Utをかけると次のようになる。
したがって、数7をタービン速度で偏微分し、偏微分した値が0 となる速度では、機械パワーが最大になると考えられる。
本発明の偏微分計算値記憶部50には、この最高動作点の近傍で、タービン特性に基づいて、数値的にタービントルクTtをタービン周速度Utで偏微分した値を記憶させている。また、積算器53は、数2に相当する速度をタービン回転速度指令値ωm *として出力する。そのため、速度調節部30で、速度指令値ωm *にしたがって、タービン2の回転速度を制御することにより、タービン2を高効率な動作点で動作させることが可能である。
次に、この発明の第2の実施形態について図8を用いて説明する。この第2の実施形態の波力発電装置の構成では、波力発電用タービン2、発電機3、速度検出部4、交流電源22、コンバータ24、ベクトル制御インバータ26、速度調節部30、タービントルク推定部40、偏微分計算値記憶部60、速度指令値形成部51、比例ゲイン演算部52、積算器53、減算器54を備えている。これらの構成のなかで、偏微分計算値記憶部60以外の構成は、第1の実施例と同様に動作するため、説明を省略する。
次に、タービントルクTtが増加した場合について説明する。図9は、推定タービントルクと偏微分計算値記憶部60が出力する値との関係を描画したものである。
図10中で、入力パワーが15kWの一定の場合、さまざまなタービン周速度Utを与えてもタービントルクTtは150[Nm]を超えないことが分かる。150[Nm]以上のタービントルクTtが検出された場合には、その時の空気入力パワーPinが15kW以上であると考えられる。タービントルクTtのみで入力パワーPinを一意に決定することはできないが、一定の範囲以上であることは判別することができる。
10kW〜40kWが出現頻度の高い入力パワーの範囲であるが、条件によっては100kWを超える場合もある。
このように、第2の実施形態では、タービントルクから、入力パワーの範囲を判別し、パワーの範囲にあわせて異なる偏微分計算値を用いてタービン回転速度指令値を作成している。波の入力パワーが平均的な状態に比べて大きく変動した場合においても、タービンを高効率な動作点に制御することができる。
次に、本発明の第3の実施形態について図12を用いて説明する。
この第3の実施形態の波力発電装置の構成では、波力発電用タービン2、発電機3、速度検出部4、交流電源22、コンバータ24、ベクトル制御インバータ26、速度調節部30、タービントルク推定部40、偏微分計算値記憶部50、速度指令値形成部51、比例ゲイン演算部52、積算器53、減算器54、傾き検出部55、比例ゲイン演算部56、積算器57、スイッチ58を備える。
傾き検出部55は、トルク推定値T^tを入力とし、トルクの時間に対する傾きを演算する。傾き検出部55の具体的構成を、図13を用いて説明する。傾き検出部55は、FIFO55aと、減算器55bと、演算器55cと、ローパスフィルタ55dとを備えている。
傾き検出部55では、サンプリング周期Ts[s]毎にタービントルク推定値T^tをサンプリングし、FIFO55aに保存する。FIFO55a内部の最新のデータをTt(0)、最後のデータをTt(Nb)とし、バッファ長をNbとした場合に、減算器55bでTt(0)−Tt(Nb)を算出し、演算器55cで数10の演算を行い、計算結果をローパスフィルタ55dに出力する。
比例ゲイン演算部56では、偏微分計算値記憶部50の出力を入力とし、数11の演算を行う。ただし、数11では、Ktを比例定数とし、タービンの慣性モーメントをJとしている。
波力発電用のタービン2は、慣性モーメントJが大きく設計される場合もある。普通の速度PI制御を行う場合に、ベクトル制御インバータ26と発電機3の容量の制限によりタービン2が制御可能な応答周波数が波の変動周期に間に合わず、速度調節部30のゲインによっては制御系が不安定になる場合がある。
このように、第3の実施形態では、トルク推定値の傾きを検出する手段を備えている。これを用いて、入力パワーの増加に追従するために必要な加速用のトルク補償値を演算している。このため、イナーシャが大きなタービンの追従性を改善することができる。
次に、本発明の第4の実施形態について図14を用いて説明する。
この第4の実施形態の波力発電装置の構成では、波力発電用タービン2、発電機3、速度検出部4、交流電源22、コンバータ24、ベクトル制御インバータ26、速度調節部30、タービントルク推定部40、比例ゲイン演算部52、積算器53、減算器54、速度指令値形成部70、調整用速度指令値作成部80、トルク/速度演算部90、スイッチ100を備えている。
速度指令値形成部70は、調整速度指令値作成部80、トルク/速度演算部90、比例ゲイン演算部52、積算器53、スイッチ100、減算器54を備えている。
制御調整用速度指令値作成部80は、発電機が通常の波力発電機としての動作を行う前に使用される。
調整用速度指令値作成部80は、図15中の時刻t1に回転速度ωt0にΔωを加えた回転速度ωt0+Δωに達するよう、タービン回転速度指令値を作成し、スイッチ100に出力する。また、時刻t1に達すると、タービン回転速度指令値を減少させて、時刻t2に時刻t0の時の回転速度ωt0に戻るようなタービン回転速度指令値を逐次出力する。
図16は、図15に示すタービン回転速度指令値に沿って、回転速度ωmが変化した場合に観測されるタービントルクTtを表したものである。
図16において、時刻t0、t1、t2の時の推定トルクをそれぞれTt0、Tt1、Tt2とする。Tt0は加速を始める前のタービントルク、Tt1は、速度調節によりΔωだけ加速されたときのタービントルク、Tt2は、再び回転速度ωmがωt0に達したときのタービントルクである。
図16に示すタービントルク推定値T′t1は、調整用速度指令値作成部80によって、Δωの速度変化が仮になかった場合のタービントルクに相当する。
トルク/速度演算部90では、T′t1を求めるために、t0〜t2の間のトルクの傾きをトルクTt0、Tt2を用い、数12に示す演算を行う。
最後に、速度調節部30は、このタービン回転速度指令値ωm *に一致するようなトルク指令値を作成する。
トルク/速度演算部90は、上で述べたように速度調節を行うことで、ΔTt/ΔUtを求めているが、これによって、タービンを高効率な動作点で制御できる理由を述べる。
この検出方法について説明する。空気はタービンに時々刻々と速度変化しながら流入する。入力される空気のパワーの変化によって、タービン発生トルクも変化する。一方、回転速度もタービントルクに寄与している。
そこで、第4の実施形態では、入力の空気パワーの変化に対し、回転速度の変化によるタービントルクの変化が分離して観測できるように、調整用速度指令値作成部80において同じ回転速度の元で時刻t0、t2の2点でタービントルクTt0、Tt2を記録している。また、回転速度を所定の回転速度Δω引き上げた時刻t1でタービントルクTt1を記録している。
スイッチ100は、調整用速度指令値作成部80から出力される加速用速度指令値及び減速用速度指令値と、積算器53から出力されるタービン回転速度指令値ωm *と、始動用目標速度指令値ωms *とが入力され、これらから1つを選択して減算器54に出力する。
トルク/速度演算部90では、加速開始時刻t0、加速終了時刻t1及び減速終了時刻t2でのタービントルク推定値Tt′をタービントルクTt0、Tt1及びTt2を記憶し、加速開始時タービントルクTt0及び減速終了時タービントルクTt2、加速時間Ta及び減速時間Tdの和である調整時間t2−t0、加速時間Ta=t1−t0に基づいて前記巣。12の演算を行って、非調整時タービントルクT′t1を算出する。さらに、数13にしたがって加速終了時タービントルクTt1から非調整時タービントルクT′t1を減算してトルク偏差ΔT1を算出し、このトルク偏差ΔT1を速度の変化分Δωにタービン半径rう積算した値ΔUtで除算した値ΔT1/ΔU1を算出し、算出したΔT1/ΔU1を比例ゲイン演算部52へ出力する。
そして、タービン回転速度指令値ωm *の算出が終了した時点で、スイッチ100を積算器53側に切換えることにより、タービン回転速度指令値ωm *が速度調節部30に供給されて、タービン回転速度指令値ωm *にタービン回転速度ωmを一致させるトルク指令値Tg*をベクトル制御インバータ26に出力する。
この第4の実施形態では、発電機とタービンが敷設された状態でタービン速度の変化分に対するタービントルクの変動分を検出する手段を提供している。これにより、オンラインでタービン回転速度指令値の作成に必要な係数を得ることができ、タービンが加工時の制約などにより設計と異なる形状となっている場合でも、タービンを高効率な動作点で制御することが可能である。
Claims (5)
- 空気の往復流に対応可能なタービンと、
トルク指令値に瞬時追従可能なインバータと、
該インバータに接続可能な交流発電機と、
該交流発電機の回転速度を検出する速度検出部と、
前記タービンが発生するタービントルクを検出または推定するトルク検出または推定部と、
タービン回転速度をタービン回転速度指令値に一致するようトルク指令値を前記インバータに与える速度調節部と、
一定の空気入力パワーをタービンに与えた条件で、発生するトルク特性をタービン周速度で偏微分した偏微分計算値を記憶する偏微分計算値記憶部と、
前記タービントルク検出又は推定値を、前記偏微分計算値記憶部に保存された偏微分計算結果により除算した値の正負を反転させた値に基づいて、タービン回転速度指令値を作成する速度指令値形成部と
を備えたことを特徴とする波力発電装置。 - 請求項1に記載の波力発電装置において、
前記偏微分計算値記憶部は、前記タービンに入力される異なる複数の空気パワーに対してそれぞれタービンが発生するトルク特性をタービン回転速度で偏微分した計算結果を複数記憶するように構成され、所定以上のタービントルクが観測された場合に、偏微分結果を切り替えて前記速度指令値形成部に出力する
ことを特徴とする波力発電装置。 - 請求項1に記載の波力発電装置において、
前記タービントルクの時間に対する傾きを検出する傾き検出部を備え、
前記偏微分計算値記憶部に保存された偏微分計算結果により、前記トルクの傾きの検出値とタービン半径を積算した値により除算して正負を反転させた値に、タービンの慣性モーメントを積算した値をトルク補償値として、前記速度調節部が出力するトルク指令値に加算する
ことを特徴とする波力発電装置。 - 空気の往復流に対応可能なタービンと、
トルク指令値に瞬時追従可能なインバータと、
該インバータに接続可能な交流発電機と、
該交流発電機の回転速度を検出する速度検出部と、
前記タービンが発生するタービントルクを検出または推定するトルク検出または推定部と、
前記タービントルク検出又は推定値と前記回転速度とに基づいてタービン回転速度指令値を演算する速度指令値形成部と、
タービン回転速度を前記タービン回転速度指令値に一致するようトルク指令値を前記インバータに与える速度調節部と、
前記速度指令値形成部は、発電機の運転中に、タービン回転速度を所定の微小な速度変化分だけ加速させ、加速後のタービントルクを前記検出手段により検出した後、減速してタービン回転速度を加速前の速度に戻し、前記所定の微小な速度を変化させる前後のタービントルクの偏差と、加速と減速に要した時間からタービントルク時間変化率を算出し、加速前から前記微小な所定の速度に達するまでの時間に前記タービントルク時間変化率を積算した値と、加速前のタービントルクを加算した第一のトルクと、前記所定の微小な速度変化分加速後に検出したタービントルクとの偏差を求め、該タービントルクの偏差を、前記所定の微小なタービン速度変化分で除算することにより、タービン速度変化分に対するタービントルクの変化分を算出し、算出したタービン速度変化分に対するタービントルクの変化分で前記タービントルク検出又は推定値を除算した値の正負を反転させた値に基づいて、タービン回転速度指令値を作成する
ことを特徴とする波力発電装置。 - 前記タービントルク検出または推定部は、前記速度検出部で検出したタービン回転速度及び前記発電機のイナーシャの積をハイパスフィルタ処理した値と前記速度調節部のトルク指令値をローパスフィルタ処理した値とを加算した値をタービントルク推定値として出力することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の波力発電装置。
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