JP2016005101A - 共振器及びフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】共振器10は、外導体12で囲まれた空洞11を備えるとともに、外導体12における開口部12dから、空洞11内に入り込んだ内導体13と、一端部側において内導体13に固定されている支持棒15と、外導体12に固定されているとともに、支持棒15を他端部側において保持するカップ16とを備えている。そして、外導体12の上面部12cから、内導体13の先端部13aの下側までの距離h1及び内導体13の上端部と固定板14の上側までの距離h2が使用される周波数帯域に応じて設定される。
【選択図】図3
Description
そして、フィルタが通過させる周波数帯域などの特性は、環境温度や発熱などによる温度の変化によってずれない(温度ドリフトが少ない)高い温度安定性が要求される。
本発明の目的は、単一筐体で複数の周波数帯域に適用できる温度安定性が高い共振器及びその共振器を用いたフィルタを提供することにある。
そして、支持棒を内導体に固定する固定部材をさらに備え、内導体は、先端部と、先端部に連続して設けられて固定部材を固定する位置を可変に設定できる固定部材設定部とを備え、内導体は、先端部の側が空洞に入り込むとともに、支持棒の一端部側は、固定部材を介して、内導体に固定されていることを特徴とすることができる。
さらに、内導体における固定部材設定部は、中空であって、固定部材は、内導体における固定部材設定部の内側に固定されることを特徴とすることができる。
これにより、共振器を小型に構成することができる。
ここでは、放送局における放送用信号を例として、フィルタ及び共振器を説明するが、放送用信号に限らず、他の高周波信号において、予め定められた周波数帯域の信号を通過させるために用いられるフィルタ及び共振器であってもよい。
図1は、放送用信号の送信におけるフィルタ100を説明する図である。
放送用信号は、送信機200から、フィルタ100を介して、アンテナ300に送信され、アンテナ300から電波として放射される。
フィルタ100は、送信機200から入力された放送用信号のうち、予め定められた周波数帯域の信号を通過させ、それ以外の周波数成分の通過を抑制するバンドパスフィルタ(BPF)である。
なお、通過させる周波数帯域を通過周波数帯域と表記する。
上記したように、本実施の形態におけるフィルタ及び共振器は、放送用信号に限定されないので信号と表記する。
フィルタ100は、一例として、6個の共振器10(それぞれを区別する場合は、共振器10−1〜10−6と表記する。)を連結して構成されている。そして、フィルタ100は、信号が入力する信号入力部の一例としての入力端子20と、信号を出力する信号出力部の一例としての出力端子30とを備えている。
入力端子20に入力した信号は、共振器10−1〜10−6間を伝搬して、出力端子30から出力される。
なお、共振器10−1に入力端子20が接続され、共振器10−6に出力端子30が接続されている。共振器10−1〜10−6のそれぞれの間には、結合機構が設けられ、信号が伝搬するように構成されている。結合機構は、共振器10−1と共振器10−2との間、共振器10−2と共振器10−3との間、共振器10−3と共振器10−4との間、共振器10−4と共振器10−5との間、共振器10−5と共振器10−6との間に設けられている。そして、共振器10−1と共振器10−6との間、共振器10−2と共振器10−5との間に結合機構が設けられていてもよい。
すなわち、複数の共振器10が結合機構により相互に連結されることにより、予め定められた通過周波数帯域が得られればよく、複数の共振器10のいずれの共振器10間に結合機構を設けてもよい。
なお、通過周波数帯域の急峻性とは、通過させる周波数と通過させない周波数との境界の周波数帯の幅が狭いことをいう。
そして、結合機構としては、公知の技術を適用すればよく、ここでは説明を省略する。
図3は、フィルタ100に用いる共振器10の構成の一例を説明する平面図及び断面図である。図3(a)は、共振器10の平面図、図3(b)は、図3(a)のIIIB−IIIB線での断面図である。ここでは、図3における上側を上側(上)と、下側を下側(下)として説明する。なお、フィルタ100は、上下を逆に配置しても、傾けて配置して使用してもよい。そして、図3(a)、(b)では、入力端子20、出力端子30又は結合機構の表記を省略している。
図3(a)、(b)に示すように、共振器10は、外導体12で囲まれた空洞11を備えている。そして、共振器10は、外導体12に加えて、内導体13、固定部材の一例としての固定板14、支持棒15、保持部の一例としてのカップ16及びフィンガ17を備えている。外導体12、内導体13、固定板14、支持棒15、カップ16及びフィンガ17が共振器10の筐体を構成する。
外導体12は、下面部12a、側面部12b、上面部12cを備えている。外導体12の下面部12a及び上面部12cの外形は、正方形である。すなわち、外導体12が囲む空洞11は、直方体である。空洞11は一辺長が長さLr、高さHrである。なお、外導体12は、底面が長方形の直方体であってもよく、立方体であってもよい。さらに、外導体12は、円筒、楕円筒であってもよい。
なお、上面部12cには、内導体13を通過させる円形の開口部12dが設けられている。
そして、外導体12は、開口部12dを囲むように、上面部12cから空洞11側に向かって構成されたリング状のフィンガ取付部12eを備えている。
入力端子20、出力端子30又は結合機構を設ける場合には、例えば、外導体12の側面部12bに開口を設けて、入力端子20、出力端子30又は結合機構を設ければよい。
また、図3(b)では、内導体13における先端部13aの下側の縁は、アール(R)加工がされているが、C面取りがされていてもよい。逆に、これらの特別な加工がされていなくてもよい。
なお、固定板14は、1枚の板であってもよく、固定板設定部13bの予め定められた位置に設定され、固定されればよい。
そして、カップ16の蓋部16aには、支持棒15を通過させる開口が設けられ、支持棒15は、この開口を通して、カップ16の蓋部16aの上側に突き出している。支持棒15は、蓋部16aの上側において支持棒固定部16cにより蓋部16aに固定(保持)されている。
支持棒固定部16cは、例えばナットであって、支持棒15の雄ねじとの組み合わせで、カップ16の蓋部16aに支持棒15を固定する。
内導体13と外導体12とは直接的には固定されていないため、温度が変化した場合に、内導体13は、外導体12に拘束されず外導体12に対して上下方向に移動(変位)する。
なお、フィンガ17が接する内導体13の表面は、先端部13a又は固定板設定部13bのいずれであってもよい。
本実施の形態では外導体12と内導体13との接続にフィンガを用いているが、接続する方法はフィンガに限らず、機械的に動きつつ、電気的な接続が維持できる構造であれば、他の方法を用いてもよい。
一方、距離h1、h2、h3、h4は使用する周波数帯域に基づいて変更される。距離h3は、通過周波数帯域を設定するパラメータである。距離h4は、温度補償の機能に関係する支持棒15の実効的長さである。
距離h3は、空洞11の高さHrから距離h1を引いたものであり、距離h4は、カップ16の蓋部16aの下側から外導体12の下面部12aまでの距離から、距離h3と内導体13の長さ(上側から下側までの距離)を引き、距離h2を足したものである。よって、距離h1及び距離h2を設定することで、距離h3及び距離h4が設定される。
すなわち、本実施の形態における共振器10においては、距離h1及び距離h2をそれぞれ個別(独立)に設定することで、使用する周波数帯域が変更できるとともに、使用する周波数帯域において周波数の温度ドリフトが抑制される。なお、距離h2は、周波数の温度ドリフトに対する補正量を決定する距離である。
外導体12、内導体13の先端部13a、固定板設定部13b、固定板14、カップ16の蓋部16a、側面部16bは、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)などで構成されている。
支持棒15は、外導体12、内導体13の固定板設定部13b、カップ16の側面部16bを構成する材料より、熱膨張率が小さい材料で構成されている。例えば、支持棒15は、外導体12、内導体13の固定板設定部13b、カップ16の側面部16bを構成するアルミニウム、鉄、銅などよりさらに熱膨張率が小さいインバー(登録商標)(不変鋼)、炭素鋼などで構成されるのが好ましい。
フィンガ17は、バネ性を有するベリリウム銅などで構成されている。
しかし、共振器10を通過する電力が放送用信号のように大きい場合に、熱容量を大きくするととともに、発熱による変形を抑制するため、内導体13の先端部13aは中実とし、鉄を用いるのが好ましい。
また、内導体13の先端部13aと外導体12の下面部12aとの間で、放電が発生するのを抑制するため、内導体13における先端部13aの縁がアール(R)状に加工されている。すなわち、電界強度が3.0kV/mm以下になるようしている。これにより、高電力の信号を扱うことができる。
固定板14、カップ16の蓋部16aは、変形を抑制するために鉄で構成するのが好ましい。
次に、周波数の温度ドリフトを抑制する温度補償について説明する。
図4は、共振器10における温度補償を説明する図である。図4(a)は、内導体13が外導体12に固定されている場合を示す図、図4(b)は、内導体13が外導体12に対して移動できる構成として温度補償している場合を示す図、図4(c)は、周波数fの温度ドリフトをSパラメータS11により説明する図である。
図4(a)、(b)において表記する白抜き矢印及び黒塗り矢印は、共振器10が温度T0から温度(T0−ΔT)となった場合、すなわち、温度が低下した場合における外導体12及び内導体13の変化(収縮の方向)を示している。
この場合、温度T0から温度(T0−ΔT)となると、外導体12及び内導体13が熱膨張率にしたがって収縮し、図中の白抜き矢印の方向に移動する。すると、空洞11の大きさは小さく、距離h1は短くなってしまうため、図4(c)に示すように、中心周波数f0は、中心周波数f0′にシフトする。これが、周波数の温度ドリフトである。
温度T0から温度(T0−ΔT)となると、熱収縮によって、外導体12は、図4(a)と同様に収縮する(白抜き矢印の方向に移動する)。そして、カップ16の側面部16bも同様に収縮する(白抜き矢印の方向に移動する)。そして、カップ16の側面部16bの収縮に伴い、熱膨張率が小さい支持棒15により、内導体13の先端部13aが空洞11の内部に押し込められる(入り込む)方向に移動する(黒塗り矢印の方向に移動する)。つまり、距離h1は大きくなる。
すると、中心周波数f0は中心周波数f0′にシフトせず、中心周波数f0を維持する。
なお、温度変化によって、内導体13が空洞11に対して移動する量は、例えば−10℃から45℃などの予め定められた温度範囲において、周波数の温度シフトが抑制されるように設定される。
次に、通過周波数帯域を可変(周波数可変)にする場合について説明する。
図5は、通過周波数帯域が異なる場合の共振器10を示す図である。図5(a)は、周波数帯域が低い(低周波数帯域の)場合、図5(b)は、周波数帯域が高い(高周波数帯域の)場合を示す。なお、低周波数帯域をLF、高周波数帯域をHFと表記する場合がある。
図5(a)に示す低周波数帯域の場合における、外導体12の上面部12cから内導体13の先端部13aまでの距離h1(LF)は、図5(b)に示す高周波数帯域の場合の距離h1(HF)に比べ、大きく設定される。すなわち、低周波数帯域の場合における、内導体13の先端部13aと外導体12の下面部12aとの距離h3(LF)は、高周波数帯域の場合の距離h3(HF)より小さい。
また、カップ16の蓋部16aから固定板14までの距離h4(支持棒15の実効的長さ)を可変にし、使用する周波数帯域において周波数の温度ドリフトが抑制されるように、支持棒15が設定される。
なお、距離h3及び距離h4は、距離h1及び距離h2を設定することで設定される。
そして、距離h1及び距離h2は、シミュレーション(電磁界シミュレーション)により、使用する周波数帯域と、予め定められた温度範囲における温度変化による熱収縮又は熱膨張によって外導体12などが変形する量とから求められる。
使用する周波数帯域が決まると、内導体13の固定板設定部13bにおいて、予めシミュレーションにより求められた距離h2に、内導体13を固定板14に固定する。次に、固定板14に支持棒15を固定したのち、内導体13を外導体12の開口部12dに設定する。そして、カップ16を外導体12に固定する。そして、支持棒15をカップ16の蓋部16aに対して上下させて、使用する周波数帯域に対する距離h1を設定する。
このようにすることで、使用する周波数帯域に対応させるとともに、周波数の温度ドリフトが抑制された共振器10となる。
なお、図2に示すフィルタ100において、共振器10−1〜10−6において、距離h3は、通過周波数帯域などのフィルタ100の特性によって、異なるように設定されてもよい。
すなわち、ある周波数帯域において温度安定性が確保できても、他の周波数帯域では、温度安定性を確保できない。
図6(a)示す周波数帯域(中心周波数f0)が低い場合は、図6(b)に示す周波数帯域(中心周波数f0)が高い場合に比べ、距離h1が大きく設定される(距離h1(LF)>距離h1(HF))。すなわち、距離h3が小さく設定される(距離h3(LF)<距離h3(HF))。
なお、図6(c)に示すように、距離h1によって、共振器10の空洞11に立つモード(電磁界の様子)が変化する。すなわち、距離h1が大きい場合(中心周波数f0が低い場合)には、同軸モードであって、距離h1が小さくなる(中心周波数f0が高くなる)とともに、導波管モードに移行する。そして、同軸モードと導波管モードとの間では、同軸モードと導波管モードとの中間のハイブリッドモードとなる。
そして、図6(c)に示すように、中心周波数f0が高くなるにしたがい、中心周波数f0の変動量である温度ドリフト量Δfが増大する。このとき、温度ドリフト量Δfは中心周波数f0に対して線形に増えるわけではない。しかし、図3、図5(a)、(b)に示したように、本実施の形態では、周波数の温度ドリフトに対する補正量を決定する距離h2を自由に設定できるため、図6(c)に示すように線形に温度ドリフト量Δfが増えない場合であっても、中心周波数f0を広い範囲(広帯域)にわたって設定しても温度補償が可能である。
上記の温度範囲において、SパラメータS11、S21は、ほとんど差がなく、通過周波数帯域(470〜478MHz)の変動(温度ドリフト)もほとんど見られない。
上記の温度範囲において、SパラメータS11、S21は、やや変動を示しているが、通過周波数帯域(800〜806MHz)の変動(温度ドリフト)はほとんど見られない。
なお、この高周波数帯域では、ハイブリッドモードとなっている。
そして、前述したように、この共振器10は、高電力の信号を扱えるとともに、小型化が達成されている。
そして、支持棒を内導体に固定する固定部材をさらに備え、内導体は、先端部と、先端部に連続して設けられて固定部材を固定する位置を可変に設定できる固定部材設定部とを備え、内導体は、先端部の側が空洞に入り込むとともに、支持棒の一端部側は、固定部材を介して、内導体に固定されていることを特徴とすることができる。
さらに、内導体における固定部材設定部は、中空であって、固定部材は、内導体における固定部材設定部の内側に固定されることを特徴とすることができる。
これにより、共振器を小型に構成することができる。
Claims (4)
- 開口部を有し、取り囲むことで空洞を構成する外導体と、
前記開口部を通して前記空洞に一部が入り込むとともに、当該開口部に対して移動しうる内導体と、
一端部側において前記内導体に固定されている支持棒と、
前記外導体に固定されているとともに、前記支持棒を当該支持棒の他端部側において保持する保持部と、を備え、
前記支持棒は、前記外導体及び前記保持部を構成する材料に比べて熱膨張率が小さい材料で構成され、
前記内導体が前記外導体における前記開口部から入り込む量と、当該内導体が前記支持棒に固定される位置とが、使用する周波数帯域に対応して設定される
ことを特徴とする共振器。 - 前記支持棒を前記内導体に固定する固定部材をさらに備え、
前記内導体は、先端部と、当該先端部に連続して設けられて前記固定部材を固定する位置を可変に設定できる固定部材設定部とを備え、
前記内導体は、前記先端部の側が前記空洞に入り込むとともに、
前記支持棒の前記一端部側は、前記固定部材を介して、前記内導体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の共振器。 - 前記内導体における前記固定部材設定部は、中空であって、
前記固定部材は、前記内導体における前記固定部材設定部の内側に固定されることを特徴とする請求項2に記載の共振器。 - 信号が入力される信号入力部と、
信号が出力される信号出力部と、
前記信号入力部と前記信号出力部とに接続され、開口部を有し、取り囲むことで空洞を構成する外導体と、当該開口部を通して当該空洞に一部が入り込むとともに、当該開口部に対して移動しうる内導体と、一端部側において当該内導体に固定されている支持棒と、当該外導体に固定されているとともに、当該支持棒を当該支持棒の他端部側において保持する保持部と、を備える共振器と、を備え、
前記共振器において、前記支持棒は、前記外導体及び前記保持部を構成する材料に比べて熱膨張率が小さい材料で構成され、
前記内導体が前記外導体における前記開口部から入り込む量と、当該内導体が前記支持棒に固定される位置とが、使用する周波数帯域に対応して設定される
ことを特徴とするフィルタ。
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