JP2016000668A - 化学強化ガラス - Google Patents

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秀司 山崎
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Abstract

【課題】特定の衝撃に対しより良好な耐性を有する化学強化ガラスを提供する。【解決手段】ヤング率が71.5GPa未満であり、かつ、B2O3を実質的に含有しない化学強化用ガラスをイオン交換して得られる化学強化ガラスであって、表面圧縮応力が800〜1200MPaであり、圧縮応力層の厚みが25μm以上であり、内部引張応力が25〜45MPaである化学強化ガラス。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、モバイル機器に用いられるカバーガラス、ディスプレイ装置のカバーガラス、エレベータ壁面、家屋やビル等の建築物の壁面(全面ディスプレイ)、窓ガラス等の建築用資材、テーブルトップ等として有用な化学強化ガラスに関する。
近年、携帯電話や携帯情報端末(PDA)等のモバイル機器だけでなく、テレビ、パーソナルコンピュータ、タッチパネル等のディスプレイ装置の保護ならびに美観を高めるために、化学強化ガラス等の薄い板状のカバーガラスが用いられている(特許文献1及び特許文献2参照)。
また、化学強化ガラスは、エレベータ壁面、家屋やビル等の建築物の壁面(全面ディスプレイ)、窓ガラスを例とする建築用資材、テーブルトップ等への適用も検討されている他、それらのカバーガラスとして用いられる。
特開2011−88763号公報 特許第5051329号公報
ここで、これらのガラスは、それらのガラスが適用される用途や環境、ならびに、それらのガラスが求められる市場等によって、衝突する可能性のある物や状況が大きく異なる。これに対して、本発明者らは、後述する動的圧子衝撃試験及びエッジ衝撃試験によりガラス板について評価を行った。その結果、衝突物の衝突部分の有する角度や衝突時にかかるエネルギー等によって、各ガラス板の挙動は様々であり、そのようなガラス板単独で、あらゆる衝突物や衝突状況に基づく全ての衝突に対して優れた耐性を有するものを製造することが困難であることが判明した。
このため、市場や用途、使用形態等に応じて適切なガラス板の特性や強化条件を適切に調整する必要がある。前記したように、化学強化ガラスは様々な用途や環境下に置かれる可能性があり、用途によっては特定の衝撃に対しより良好な耐性を有する化学強化ガラスが求められている。また、用途の拡大に伴い、コストを抑えるために溶解性に優れた化学強化ガラスが求められている。
したがって、本発明の実施形態は、特定の衝撃に対しより良好な耐性を有する化学強化ガラスを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る化学強化ガラスは、ヤング率が71.5GPa未満であり、かつ、Bを実質的に含有しない化学強化用ガラスをイオン交換して得られる化学強化ガラスであって、表面圧縮応力が800〜1200MPaであり、圧縮応力層の厚みが25μm以上であり、内部引張応力が25〜45MPaである。
特定の衝撃に対しより良好な耐性を有する化学強化ガラスを提供することができる。
本発明の実施形態に係る化学強化ガラスの衝撃試験装置を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る化学強化ガラスの衝撃試験装置の圧子の実施形態を示し、(a)は模式図(左側が斜視図で右側が正面図)、(b)は圧子の頂部の拡大図である。 フラットパネルディスプレイ装置が落下する状況を模式的に示した説明図である。 本発明の実施形態に係る化学強化ガラス板の衝撃試験方法を模式的に示した説明図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態の化学強化ガラスの説明に先駆けて、実施形態の説明において用いられる評価方法である、動的圧子衝撃試験及びエッジ衝撃試験について説明する。
<動的圧子衝撃試験>
まず、本発明の実施形態において行われる動的圧子衝撃試験について説明する。化学強化ガラスの割れを再現するための動的圧子衝撃試験は、図1に示す動的圧子衝撃試験装置を用いて行う。動的圧子衝撃試験装置1は、衝撃部材10と、落下装置20と、基台30と、撮像装置40と、案内部材50と、を備えている。なお、以下の動的圧子衝撃試験に関する説明において、化学強化ガラスを単に「ガラス」と称することもある。
衝撃部材10は、ガラスSと衝突する圧子13と、この圧子13を固定する錘12で形成されている。また圧子13は、ガラスSと直接衝突する頂部11と、この頂部11の後部に形成され、前記錘12に固定される圧子本体14[図2(a)及び(b)]とを有している。なお、圧子13の頂部11は、図2(a)及び(b)に示したように四角錐である。図2(b)に示した圧子角度αは様々に変えることができるが、図2(a)及び(b)に図示される、ビッカース圧子に相当するα=136°の圧子や、それより圧子角度の小さいα=120°の圧子、あるいは、それより圧子角度の大きいα=140°の圧子などが使用される。そして、錘12を介して落下装置20により動的圧子衝撃試験装置1内の所定の高さに支持されている。上記では、圧子13と錘12とで衝撃部材10を構成したが、圧子13のみで所望の質量が可能である場合には、錘12は必ずしも必要ではない。
落下装置20は、動的圧子衝撃試験装置1の上部に配置され、錘12を所定の位置につりさげている紐21と、紐21を滑りやすくしている滑車22と、紐21の一端を固定している鉄片23と、鉄片23を着脱自在にしている電磁石24と、電磁石24の位置を精密に制御できる移動ステージ25とを有している。衝撃部材10の落下は、電磁石24の電流を切り、鉄片23が電磁石24から外れることにより行われる。
基台(ステージ)30は、動的圧子衝撃試験装置1の下部に配置され、試験(測定)対象となる化学強化ガラスSを載置する。この化学強化ガラスSを載置する位置には、少なくとも1つの孔(図示せず)が形成されている。
撮像装置40は、高速カメラやビデオなどからなり、基台30のガラスSが載置される面とは逆側の空間に配置される。そして、基台30の孔からのガラスSの試験画像、例えばガラスSに圧子13が衝突した瞬間の画像やガラスSのクラックの進展具合などを撮像する。化学強化ガラスSの試験画像は、基台30近傍に設けられた鏡41を反射して送られてくる。
案内部材50は、圧子13の頂部11を基台30の孔の真上になるようにガラスS上に配置され、圧子13がガラスSに対し略垂直に落下しガラスに直接衝撃を与えるように衝撃部材10を案内する。また、案内部材50は、衝撃部材10が案内部材50内で所定の配置状態(高さ位置や静止状態など)にあるか否かを確認し、衝撃部材10が案内部材50内を通過可能とするために透明の略円筒形状をなしている。
以下、図1に示す動的圧子衝撃試験装置1を用いた化学強化ガラスの動的圧子衝撃試験方法の各工程を説明する。
試験者は、所定の大きさの孔(5mmφ)をもつ基台30上にガラスSを配置し、孔にかからない部分をクリップなどで挟んでガラスSが動かないように固定する。
圧子13をガラスS上の所望位置により精度よく落下させるためには、プラスチックなどの透明な案内部材50を基台30上に載置されたガラスSと垂直になるように固定する。試験者は、具体的には24mmφの内径の案内部材50と、外径23mmφの錘12を使用する。錘12を鉄で作成し、高さを37mmとすれば約120gにできる。錘12の底面の中心には穴を開けて(穴径3.2mmφ)、頂部11を四角錐とした圧子13の後部に形成されている圧子本体14(丸棒:3.17mmφ)を挿入し、錘12の横からネジで固定する。これによって、圧子13は錘12に硬く固定され衝撃が緩和されない。このため、衝撃部材10の落下の際にガラスSにかかる衝撃が衝撃部材10の落下開始高さから算出される原理解に近い値となる。
また、衝撃部材10の高さ位置を固定しやすくするために、錘12の上部にはネジ穴を形成し、これに上部に孔のあいたネジを固定する。孔に細い紐21をとおし、紐21を錘12に取り付ける。紐21は、例えば1mほどの長さにする。紐21はガラスSの上方に垂直に伸ばし、滑車22を通した後に水平方向に設置する。紐21のもう片方には鉄片23が取り付けられている。この鉄片を電磁石24に着ける。電磁石24は位置を精密に制御できる水平なレール上に固定する。
電磁石24の位置を、圧子13の下部に位置する頂部11がガラスSに触れる位置に調整し、かつゼロ点とする。ガラスSの下から撮像装置40を用いて頂部11を観察することができるようになっているため、頂部11がガラスSに接する際にガラスSが弾性変形する様子を観察し、ガラスSの変形面積が1μm以下となる位置を電磁石24の位置のゼロ点とする。この場合の倍率は200倍程度にすると圧子13の衝突の様子を観察しやすい。
圧子13の頂部11が所定の高さとなるように、移動ステージ25で精密に制御し、電磁石24の位置を、所定の位置に移動する。
撮像装置40の動画撮影を開始し、電磁石24の電流を切り、圧子13を落下させる。撮像装置40の撮影速度は、1/3000秒とする。
撮像装置40の動画像を確認し、圧子13の衝突によってガラスSに圧痕が生じる様子や、圧痕が生じた後にクラックが進展し、画面上でクラックが端から端まで到達する様子を観察することができる。圧子13の衝突によるガラスSの状態の変化は数秒から数分で終了するので、変化が起こらなくなったことを確認した後に、撮像装置40の倍率を10倍に下げて、基台30の孔から観察されるガラスの状態を確認する。この時に基台30に形成された孔の径が、5mmφ程度であれば、孔からガラスにクラックが発生した状態を観察できる。また、この孔を2分割するクラックが生じている場合は、ガラスSそのものにも端から端までを分断するクラックが入っていると判断できる。このため、基台30の孔から観察されるガラスSがクラックによって分断されている場合、ガラスSは割れたと判断することもできる。
そして、圧子の頂部の角度(圧子角度ともいう)をαとした場合において、上記の各工程を同じ高さについて4回繰り返し、その全ての回においてガラスが割れた場合の最低の高さを、100%破壊高さHαと認定する。なお、圧子角度とは、図1の圧子13の頂部11の角度、すなわち図2(b)の角度αを示す。
ここで、圧子角度αの場合の100%破壊高さHαが高いほど、その圧子角度αに対応する角度の衝突部分を有する衝突物の衝突に対して、より高い耐性を有すると評価できる。
なお、圧子13がガラスと衝突した後に衝撃部材10が弾むが、撮像装置40による観察(撮像)のため、1回目の衝突、2回目の衝突、およびそれ以降の各回の衝突と分けて観察が可能であり、1回目の衝突による割れのみを評価することができる。
<エッジ衝撃試験>
つづいて、本発明において行われるエッジ衝撃試験について説明するが、先ず、フラットパネルディスプレイ装置を落下させたときに発生するカバーガラスの破損のメカニズムについて説明する。なお、ここではカバーガラスの外側の面を表面と呼び、ディスプレイ側の面を裏面と呼ぶ。
図3は、フラットパネルディスプレイ装置101が落下する状況を模式的に示した説明図である。図3に示すように、フラットパネルディスプレイ装置101が地面103(アスファルト・コンクリート)に落下する際に、カバーガラス102の端面と表面との境界部(以下表面端部と称する。)が最初に地面103に接触する。このような場合、カバーガラス表面端部には衝撃応力が発生する。ここで、このような衝撃応力が伴う落下等によりカバーガラスが破損した場合、最初に地面103に接触したカバーガラスの表面端部ではなく、カバーガラス102の端面と裏面との境界の領域(以下裏面端部と称する。)を起点にクラックが発生することが多いことが知られている。なお、本明細書においては、このようにして発生するクラック(割れ)も、「裏割れ」の概念に含める。
この図3に示したようなフラットパネルディスプレイ装置101が地面103に落下した際にカバーガラス102に加わる衝撃力を再現し、衝撃強度を試験する方法について以下に説明する。
図4は、本発明において行われる化学強化ガラスのエッジ衝撃試験方法を模式的に示した説明図である。なお、本図は、板状の化学強化ガラス(化学強化ガラス板)を用いた場合についての説明図である。図4においては、エッジ衝撃試験機300と、試験片である化学強化ガラス板400が図示されている。図4において、衝撃子303が中立位置にある状態を実線で示し、衝撃子303が中立位置から持ち上げられた状態を1点鎖線で示す。
化学強化ガラス板400は、互いに平行な主平面である表面401、裏面402と、各主平面401、402とに対して垂直で平坦な端面403と、各主平面401、402と端面403との間に形成される面取り部404、405とを有する。この化学強化ガラス板400は、両主平面401、402の中心面に対して左右対称に形成されており、面取り部404、405は略同一の寸法形状を有する。
エッジ衝撃試験機300は、水平に配置される回転軸301と、回転軸301から垂直に延びる支持部材302と、支持部材302に同軸的に固定される円柱状の衝撃子303とを有する。衝撃子303は、半径が1.5mm(すなわち、直径が3mm)で、質量が120gである。衝撃子303は、回転軸301を中心に回転自在であり、支持部材302が鉛直になる中立位置から左右に回転自在である。
エッジ衝撃試験機300は、化学強化ガラス板400の主平面401、402を鉛直方向に対して10°の角度で傾斜して支持する治具304を有する。治具304によって、化学強化ガラス板400は裏面402が治具304から浮き上がらないように固定されている。化学強化ガラス板400の裏面に図示しない両面テープを貼り、ゴム板406(天然ゴム製、厚さ3mm)に固定した後に、ゴム板406ごと図示しない養生テープで治具304に固定する。これは、フラットパネルディスプレイ装置にカバーガラスが組み込まれた際に、カバーガラスの裏面が緩衝用テープでフレームに接着されており、ある程度曲がる状況を再現している。そのため化学強化ガラス板400の面取り部405で囲まれる面積よりも治具304の主面の面積の方が大きく、治具304が面取り部405の外側(図4における上方)に延在するように配置することが好ましい。ここで、化学強化ガラス板400の主平面401、402を鉛直方向に対して10°の角度で傾斜して支持することでフラットパネルディスプレイ装置の落下時の衝撃を再現している。
エッジ衝撃試験は、図4に1点鎖線で示すように、衝撃子303を中立位置から持ち上げ、重力で落として行う。衝撃子303は、重力によって回転軸301を中心に回転し、図4に実線で示すように、中立位置で化学強化ガラス板400の表面401と面取り部404との境界部(表面端部)に衝突する。
上述した動的圧子衝撃試験方法は、再現性に優れたものであり、ガラスの割れを実態に即して忠実に、客観的に評価することができる。ここで、本発明者らは、種々のガラス板について、圧子角度αを変化させながら動的圧子衝撃試験を行うとともに、エッジ衝撃試験を行うことにより、種々の衝突物や衝突状況に基づく衝突に対する耐性を評価した。
具体的には、上述の動的圧子衝撃試験において、頂部が四角錐であるタングステンカーバイド圧子を備える衝撃部材を用い、衝撃部材の質量を120gとし、また、圧子角度を120°あるいは140°として、試験を行った。
ここで、頂部が四角錐であるタングステンカーバイド圧子を備える衝撃部材を用い、衝撃部材の質量を120gとし、圧子角度を120°として動的圧子衝撃試験を行った場合に得られる100%破壊高さを、H120°という。また、頂部が四角錐であるタングステンカーバイド圧子を備える衝撃部材を用い、衝撃部材の質量を120gとし、圧子角度を140°として動的圧子衝撃試験を行った場合に得られる100%破壊高さを、H140°という。圧子角度である120°及び140°は、実際に使用した際に割れに繋がる可能性の高い衝突物であって、比較的衝突角度の小さいものと比較的衝突角度の大きいものとの衝突をそれぞれ再現するため好適であるという理由から採用した。
120°が4mm以上であれば、衝突部分の角度の小さい衝突物との衝突に対する耐性があると判断される。また、H120°が8mm以上であれば、衝突部分の角度の小さい衝突物との衝突に対する耐性に優れると判断される。一方、H120°が4mm未満である場合には、衝突部分の角度の小さい衝突物との衝突に対する耐性に乏しいと判断される。
また、H140°が50mm以上であれば、衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突に対する耐性があると判断される。また、H140°が100mm以上であれば、衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突に対する耐性に優れると判断される。一方、H140°が50mm未満である場合には、衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突に対する耐性に乏しいと判断される。
また、半径が1.5mmで、質量が120gである衝撃子を使用してエッジ衝撃試験を行った。試験の方法としては、衝撃子の重心305の持ち上げられる高さHを変化させながら、エッジ衝撃試験を行い、化学強化ガラス板400の裏面端部にクラックが生じたか否かを目視で確認した。そして、エッジ衝撃試験を同じ高さHで5回繰り返し、その全てで化学強化ガラス板400が割れた(クラックが入った)場合の最低の高さを、エッジ衝撃試験における100%破壊高さHと認定した。
が45mm以上であれば、裏割れに対する耐性があると判断される。また、Hが80mm以上であれば、裏割れに対する耐性に優れると判断される。一方、Hが5mm未満である場合には、裏割れに対する耐性に乏しいと判断される。
従って、前記した3種類の試験に対し、どの試験の耐性を高めるかを調整することにより所望の衝撃に対してより良好な耐性を有する化学強化ガラスにすることが出来る。本実施形態では、特に衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突耐性、及び、裏割れに対する耐性が良好で、安価な化学強化ガラスを提供することが出来る。
<化学強化ガラス>
以下、本発明の実施形態の化学強化ガラスについて、詳細に説明する。
本実施形態における化学強化用ガラスのヤング率(E)は、71.5GPa未満であり、好ましくは70GPa未満であり、より好ましくは69GPa未満である。化学強化用ガラスのヤング率(E)が71.5GPaより大きいと、後述する化学強化処理により化学強化ガラスの表面圧縮応力(CS)や圧縮応力層の厚み(DOL)が所定範囲内となるように調整したとしても、衝突部分の角度の大きい衝突物の衝突に対してガラスが弾性変形を起こすことで衝撃を吸収する効果が十分でないため、十分な耐性が得られなくなる傾向がある。一方、化学強化用ガラスのヤング率(E)の下限は特に限定されるものではないが、通常は61GPa以上である。
化学強化用ガラスのヤング率(E)は、アルミナの含有量を減らす、アルカリ金属元素をアルカリ土類金属元素で置き換える等により調整することができる。なお、本発明における化学強化用ガラスのヤング率(E)は、超音波パルス法により測定したものをいう。
本実施形態における化学強化用ガラスの密度(d)は、好ましくは2.59g/cm未満であり、より好ましくは2.50g/cm以下であり、さらに好ましくは2.45g/cm以下である。化学強化用ガラスの密度(d)が2.59g/cm未満であることによりデバイスのガラス部分の重さを15%以下に抑えることが出来る。一方、化学強化用ガラスの密度(d)の下限は特に限定されるものではないが、通常は2.1g/cm以上である。
化学強化用ガラスの密度(d)は、使う元素を原子量の小さいものにする、ネットワーク成分であるSiO成分を増やす等により調整することができる。なお、本発明における化学強化用ガラスの密度(d)は、泡を含まないガラス塊を用いてアルキメデス法により測定したものをいう。
本実施形態における化学強化用ガラスのパッキング密度は、0.498未満であり、好ましくは0.490以下であり、より好ましくは0.487以下である。化学強化用ガラスのパッキング密度が0.498未満であると、ガラスが圧縮もしくは塑性変形しやすくなり、ガラスに課される衝撃を緩和できるため、好ましい。ここでパッキング密度とは、ガラスの体積のうち構成原子が占める体積の比を表わすものであり、パッキング密度が「1」であるとは、ガラスの体積が100%原子で占められていることを表す。
化学強化用ガラスのパッキング密度を前記範囲に調整するにあたっては、ガラス組成中のネットワーク成分であるSiOを増やすほか、Alを含有する場合はアルミニウムの配位数が4配位となるように、ガラス組成中の6配位状態のアルミニウムの数に対する4配位のアルミニウムの数の比を高くすることが望ましい。具体的には、例えばガラス中のAlのモル百分率とNaOやKOのモル百分率の合計を同じ値に近いものとする他、アルカリ金属やアルカリ土類金属のなかでもイオン半径の小さい元素を用いる等により調整することができる。なお、本実施形態における化学強化用ガラスのパッキング密度は、(1)ガラスを構成する酸化物のイオン半径および分子量に基づき、任意の組成を持つガラスが1molあたりに占める体積および質量を算出することで、単位質量当たりの体積を求め、(2)この値でガラスの密度(比重)の実測値を除することで、単位体積当たりに占めるイオン体積を求めることにより、算出することができる。なお、この場合において、これらの酸化物イオン同士はイオン半径で隣接し、規則的な配列をしているものとし、イオン半径はシャノン半径を使用するものとする。
本実施形態における化学強化用ガラスは、Bを実質的に含有しないものである。Bを含有すると、ガラスの溶融時にBとアルカリ成分が揮散して均一なガラスを製造しにくくなるおそれがある他、揮散によってガラス中に不均質性が生じやすくなり、さらに、Bを含有するガラスでは、耐候性が劣化するため、本発明における化学強化用ガラスは、Bを実質的に含有しないものとする。なお、「Bを実質的に含有しない」とは、酸化物基準のモル百分率表示で、Bの含有量が、0.1%以下、好ましくは0.01%以下であることを意味する。本発明の化学強化用ガラスは、より好ましくは、Bを含有しない(Bの含有量が0%である)。
以下に、本実施形態における化学強化用ガラスの組成として好ましい態様について説明する。
本実施形態における好ましい態様に係る化学強化用ガラスは、例えば、下記の(1)〜(3)の化学強化用ガラスが挙げられる。
(1)酸化物基準のモル百分率表示で、SiOを60〜85%、Alを4〜11.6%、NaOを6〜20%、MgOを0〜14.2%、KOを0〜8%、CaOを0〜6.5%、BaOを0〜5%、SrOを0〜5%含有し、かつ、Bを実質的に含有しない化学強化用ガラス。
(2)酸化物換算のモル百分率表示で、SiOを65〜78%、Alを5〜10.5%、NaOを10〜18%、MgOを0〜8%、KOを0〜8%、CaOを0〜6.5%、BaOを0〜5%、SrOを0〜5%含有し、かつ、Bを実質的に含有しない化学強化用ガラス。
(3)酸化物換算のモル百分率表示で、SiOを65〜76%、Alを5〜9.5%、NaOを12〜18%、MgOを0〜8%、KOを0〜3%、CaOを0〜6.5%、BaOを0〜5%、SrOを0〜5%含有し、かつ、Bを実質的に含有しない化学強化用ガラス。
以下、化学強化用ガラスの各構成成分についての好ましい一態様について説明する。
SiOはガラスの骨格を構成する成分であり必須である。また、ガラス表面に傷(圧痕)がついた時のクラックの発生を低減させる、または化学強化後に圧痕をつけた時の破壊率を小さくする成分である。SiOの含有量が60%以上であることによって、ガラスとしての安定性や耐酸性、耐候性またはチッピング耐性の低下を回避できる。SiOの含有量は、好ましくは65%以上、より好ましくは68%以上、さらに好ましくは70%以上である。一方、SiOの含有量が85%以下であることによって、ガラスの粘性の増大による溶融性の低下を回避することができる。SiOの含有量は、好ましくは78%以下、より好ましくは76%以下である。
Alはイオン交換性能およびチッピング耐性を向上させるために有効な成分であり、または表面圧縮応力を大きくする成分であり、必須である。Alの含有量が4%以上であることによって、イオン交換により、所望の表面圧縮応力値または圧縮応力層厚みが得られる。Alの含有量は、好ましくは5%以上、より好ましくは6%以上である。一方、Alの含有量が11.6%以下であることによって、ガラスの粘性の増大を防ぎ、均質な溶融が可能となり、または耐酸性の低下を回避できる。Alの含有量は、好ましくは10.5%以下、より好ましくは9.5%以下、さらに好ましくは8%以下である。
NaOはイオン交換により表面圧縮応力層を形成させ、またガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須である。NaOの含有量が6%以上であることによって、イオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成することができ、好ましくは8%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは12%以上である。一方、NaOの含有量が20%以下であることによって、耐候性または耐酸性の低下または圧痕からのクラックの発生を回避できる。NaOの含有量は、好ましくは18%以下、より好ましくは16%以下、さらに好ましくは15%以下である。
Oは必須ではないが、イオン交換速度を増大させるため、8%以下の範囲で含有してもよい。KOの含有量が8%以下であることによって、圧痕からのクラックの発生を回避でき、または硝酸カリウム溶融塩中のNaNO濃度による表面圧縮応力の変化の増大を回避できる。KOの含有量は、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。硝酸カリウム溶融塩中のNaNO濃度による表面圧縮応力の変化を小さくしたい場合には、KOは含有しないことが好ましい。
MgOは必須ではないが、表面圧縮応力を大きくする成分であり、また溶融性を向上させる成分であるため、14.2%以下の範囲で含有してもよい。MgOの含有量が14.2%以下であることによって、ガラスの失透、またはイオン交換速度の低下を回避できる。MgOの含有量は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下である。
CaO、BaO、及びSrOは高温での溶融性を向上させる、または失透を起こりにくくするために、それぞれ6.5%以下、5%以下、及び、5%以下の範囲で含有してもよい。CaO、BaO、及びSrOのそれぞれの含有量が6.5%以下、5%以下、及び5%以下であることによって、イオン交換速度またはクラック発生に対する耐性の低下を回避できる。CaO、BaO、及びSrOのそれぞれの含有量は、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下である。
CaO、BaO、及びSrOのいずれか1以上を含有する場合、それら3成分の含有量の合計は10%未満であることが好ましい。当該合計が10%未満であることによって、イオン交換速度の低下やパッキング密度の上昇を回避でき、典型的には5%以下である。
本実施形態の化学強化ガラスは、化学強化処理工程以外の工程は特に限定されることなく適宜選択すればよく、典型的には従来公知の工程を適用して製造することができる。
例えば、化学強化用ガラスの各成分の原料を調合し、ガラス溶融窯で加熱溶融する。その後、バブリング、撹拌、清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、従来公知の成形法により所定の厚さのガラス板に成形し、徐冷する。
ガラスの成形法としては、例えば、フロート法、プレス法、フュージョン法及びダウンドロー法が挙げられる。特に、大量生産に適したフロート法が好ましい。また、フロート法以外の連続成形法、すなわち、フュージョン法およびダウンドロー法も好ましい。
その後、成形したガラスを必要に応じて研削および研磨処理し、化学強化処理をした後、洗浄および乾燥することにより、本実施形態の化学強化ガラスを製造することができる。
化学強化処理は、従来公知の方法によって行うことができる。また、化学強化処理の前に、用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および穴あけ加工などの機械的加工を行うことが好ましい。化学強化処理においては、大きなイオン半径の金属イオン(典型的には、Kイオン)を含む金属塩(例えば、硝酸カリウム)の融液に、浸漬などによってガラス板を接触させることにより、ガラス板中の小さなイオン半径の金属イオン(典型的には、NaイオンまたはLiイオン)が大きなイオン半径の金属イオンと置換される。
化学強化処理(イオン交換処理)は、特に限定されるものではないが、例えば、300〜550℃に加熱された硝酸カリウム等の溶融塩中に、ガラス板を5分〜20時間浸漬することによって行うことができる。なお、溶融塩の加熱温度としては、300〜450℃が好ましく、また、溶融塩中へのガラス板の浸漬時間は、0.1時間〜15時間であることが好ましい。
化学強化処理を行うための溶融塩としては、例えば、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム等のアルカリ硫酸塩およびアルカリ塩化塩などが挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、化学強化処理の処理条件は、特に限定されず、ガラスの特性・組成や溶融塩の種類、ならびに、最終的に得られる化学強化ガラスの有するべき表面圧縮応力(CS)や圧縮応力層の厚み(DOL)等を考慮して、適切な条件を選択すればよい。
本実施形態の化学強化ガラスの表面圧縮応力(CS)は、800MPa以上である。本願により明らかにされる知見に基づけば、化学強化ガラスの表面圧縮応力(CS)が大きいほど、エッジ衝撃試験により評価される裏割れに対する耐性に優れた化学強化ガラスとなる傾向があることが分かった。特に、Hが80mm以上の化学強化ガラスは、表面圧縮応力(CS)が800MPa以上である傾向にあった。表面圧縮応力(CS)は、好ましくは820MPa以上であり、より好ましくは850MPa以上である。一方、表面圧縮応力(CS)の上限は、特に限定されるものではないが、通常は1200MPa以下である。
化学強化ガラスの表面圧縮応力(CS)は、化学強化用ガラスを化学強化する際の化学強化条件や化学強化用ガラスの組成等を調整することにより、適宜調整することができる。なお、本実施形態における化学強化ガラスについての圧縮応力値(CS、単位:MPa)及び圧縮応力層の厚み(DOL、単位:μm)の測定は、室温25℃、湿度60%の環境下、589nmのNa光源にて、折原製作所社製表面応力計FSM-6000を用いて行った。
本実施形態の化学強化ガラスの圧縮応力層の厚み(DOL)は、25μm以上である。本願により明らかにされる知見に基づけば、圧縮応力層の厚み(DOL)が大きいほど、衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突に対する耐性に優れた化学強化ガラスとなりやすい傾向があることが分かった。特に、H140°が100mm以上の化学強化ガラスは圧縮応力層の厚み(DOL)が25μm以上である傾向にあった。圧縮応力層の厚み(DOL)は、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは35μm以上である。一方、圧縮応力層の厚み(DOL)の上限は、特に限定されるものではないが、他の耐性に合わせて調整することが好ましく、例えば40μm以下である。
化学強化ガラスの圧縮応力層の厚み(DOL)は、化学強化用ガラスを化学強化する際の化学強化条件や化学強化用ガラスの組成等を調整することにより、適宜調整することができる。
化学強化ガラスの内部引張応力(CT、単位:MPa)は、以下の式に示すように、表面圧縮応力(CS、単位:MPa)、圧縮応力層の厚み(DOL、単位:mm)及びガラスの厚み(t、単位:mm)とから求められる。
CT=CS[MPa]*DOL[mm]/(t[mm]−2*DOL[mm])
本実施形態の化学強化ガラスの内部引張応力(CT)が45MPa以下である。本願により明らかにされる知見に基づけば、内部引張応力(CT)が小さいほど、衝突部分の角度の小さい衝突物との衝突に対する耐性に優れた化学強化ガラスとなりやすい傾向があることが分かった。特に、H120°が4mm以上の化学強化ガラスは、内部引張応力(CT)が45MPa以下である傾向にあった。本実施形態では、表面圧縮応力(CS)が800MPaと高い。そのため、CSの値が800MPa未満のガラスと比較して、生じるクラックの拡大と伝搬が阻止されるため内部引張応力(CT)の生じている層に伝播しにくいと考えられる。本実施形態の化学強化ガラスは、他の耐性とのバランスを考慮すると、内部引張応力(CT)を25MPa以上とすることが好ましい。
本実施形態の化学強化用ガラスが板状(ガラス板)である場合において、ガラスの厚み(t)は、特に制限されないが、好ましくは200〜2000μmである。当該ガラスの厚みが200μm未満の場合、化学強化の処理により内部引張応力(CT)が短時間で高くなり自走破壊する場合がある。一方、当該ガラスの厚みが2000μmより大きい場合、ガラスが重くなる場合がある。
前記したように、3種類の試験に対し、エッジ衝撃試験により評価される裏割れに対する耐性及び衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突に対する耐性に優れた、衝突部分の角度の小さい衝突物との衝突に対する耐性を有した化学強化ガラスであり、かつ容易に製造可能な組成とすることで、特定の衝撃に対しより良好な耐性を有する化学強化ガラスを安価に提供することが出来る。
ここで、本実施形態の化学強化ガラスは、下記の実施例に裏付けられるように、H120°が4mm以上であり、H140°が100mm以上であり、Hが80mm以上である。
したがって、本実施形態の化学強化ガラスは、衝突部分の角度が小さい衝突物に衝突する可能性の低い市場、たとえば、コンクリートブロックが用いられている歩道やアスファルトの歩道が多い市場における、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、タブレット端末等のモバイル機器等に用いられるカバーガラスとして、特に有用に用いることができる。さらに、携帯を目的としない、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、タッチパネル等のディスプレイ装置のカバーガラス、エレベータ壁面、家屋やビル等の建築物の壁面(全面ディスプレイ)、窓ガラス等の建築用資材、テーブルトップ等やそれらのカバーガラスとしても、特に有用に用いることができる。
なお、本発明の化学強化ガラスは、典型的には板状であるが、適用される製品や用途等に応じて、板状以外の形状、たとえば、外周の厚みが異なる縁取り形状、長辺方向に湾曲したU字形状、U字とは逆の、凸形状といった形状であってもよい。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(化学強化用ガラスの作製)
表1〜2に示す実施例1〜8、および、表3〜4に示す比較例1〜9のそれぞれについて、SiOからZnOまでの欄にモル百分率表示で示す組成になるように、酸化物、水酸化物、炭酸塩または硝酸塩等一般に使用されているガラス原料を適宜選択し、ガラスとして300gとなるように秤量した。ついで、混合した原料を白金製るつぼに入れ、1500℃の抵抗加熱式電気炉に投入して、2時間溶融し、脱泡、均質化した。
得られた溶融ガラスを型材に流し込み、Tg+30℃の温度で1時間保持した後、1℃/分の速度で室温まで冷却し、ガラスブロックを得た。このガラスブロックを切断、研削し、最後に両面を鏡面に加工して、サイズが50mm×50mm、厚みが1mmである板状ガラス(化学強化用ガラス)を得た。
各実施例及び比較例における化学強化用ガラスについて、ヤング率(E、単位:GPa)、密度(d、単位:g/cm)、パッキング密度、及び、ガラス転移温度(Tg、単位:℃)を測定あるいは算出した結果を、表1〜表4に示す。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ディラトメータにより測定した。
(化学強化ガラスの作製)
つづいて、各実施例及び比較例における化学強化用ガラスについて、表1〜表4に示す化学強化処理条件により化学強化処理を行うことにより、各実施例及び比較例に係る化学強化ガラスを得た。
ここで、各表中の「溶融塩」とは、化学強化処理の際に使用した溶融塩中のKNOの割合(KNO/KNO+NaO)を示す。また、「温度(℃)」とは、化学強化処理の際の溶融塩の温度を示し、「時間(h)」とは、溶融塩中へのガラス板の浸漬時間を示す。
各実施例及び比較例に係る化学強化ガラスについて、表面圧縮応力(CS、単位MPa)、圧縮応力層の厚み(DOL、単位μm)及び内部引張応力(CT、単位MPa)を測定あるいは算出した結果を、表1〜表4に示す。
また、各実施例及び比較例に係る化学強化ガラスについて、上述の動的圧子衝撃試験及びエッジ衝撃試験によって、それぞれのH120°、H140°及びHを評価した。結果を、表1〜表4に示す。
Figure 2016000668
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表1及び表2に示すように、実施例1〜8の化学強化ガラスは、いずれも、H120°が4mm以上であり、H140°が100mm以上であり、かつ、Hが80mm以上であった。したがって、実施例1〜8の化学強化ガラスは、衝突部分の角度の小さい衝突物との衝突に対する耐性を有するとともに、衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突に対する優れた耐性を有し、かつ裏割れに対しても優れた耐性を有するガラスであった。
一方、表3及び表4に示すように、比較例1、7、8、9の化学強化ガラスはH120°が4mmより低く、衝突部分の角度の小さい衝突物との衝突に対する耐性に乏しいものであった。また、比較例2、4、6、9の化学強化ガラスはH140°が50mmより低く、衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突に対する耐性に乏しいものであった。比較例3及び5の化学強化ガラスはH140°が50mm以上であり、衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突に対する耐性をある程度有するが、そのH140°は100mmよりも低く、衝突部分の角度の大きい衝突物との衝突に対する耐性に優れるとまではいえないものであった。
1:動的衝撃試験装置
10:衝撃部材
11:頂部
12:錘
13:圧子
20:落下装置
21:紐
22:滑車
23:鉄片
24:電磁石
25:移動ステージ
30:基台
40:撮像装置
41:鏡
50:案内部材
S:ガラス
101:フラットパネルディスプレイ装置
102:カバーガラス
103:地面
300:エッジ衝撃試験機
301:回転軸
302:支持部材
303:衝撃子
304:治具
305:重心
400:化学強化ガラス板
401、402:主平面
403:端面
404、405:面取り部
406:ゴム板

Claims (8)

  1. ヤング率が71.5GPa未満であり、かつ、Bを実質的に含有しない化学強化用ガラスをイオン交換して得られる化学強化ガラスであって、表面圧縮応力が800〜1200MPaであり、圧縮応力層の厚みが25μm以上であり、内部引張応力が25〜45MPaである化学強化ガラス。
  2. 前記化学強化用ガラスが、酸化物換算のモル百分率表示で、SiOを60〜85%、Alを4〜11.6%、NaOを6〜20%、MgOを0〜14.2%、KOを0〜8%、CaOを0〜6.5%、BaOを0〜5%、SrOを0〜5%含有し、かつ、Bを実質的に含有しない、請求項1に記載の化学強化ガラス。
  3. 前記化学強化用ガラスが、酸化物換算のモル百分率表示で、SiOを65〜78%、Alを5〜10.5%、NaOを10〜18%、MgOを0〜8%、KOを0〜8%、CaOを0〜6.5%、BaOを0〜5%、SrOを0〜5%含有し、かつ、Bを実質的に含有しない、請求項1に記載の化学強化ガラス。
  4. 前記化学強化用ガラスが、酸化物換算のモル百分率表示で、SiOを65〜76%、Alを5〜9.5%、NaOを12〜18%、MgOを0〜8%、KOを0〜3%、CaOを0〜6.5%、BaOを0〜5%、SrOを0〜5%含有し、かつ、Bを実質的に含有しない、請求項1に記載の化学強化ガラス。
  5. 前記圧縮応力層の厚みが30μm以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
  6. 前記圧縮応力層の厚みが35μm以上である請求項5に記載の化学強化ガラス。
  7. 前記化学強化用ガラスの前記ヤング率が70GPa未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
  8. 前記化学強化用ガラスの前記ヤング率が69GPa未満である請求項7に記載の化学強化ガラス。
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