本発明の背景例およびいくつかの実施形態がこれから詳細に参照され、それらの実施例は付属の図面で説明される。
図1は、本明細書に記載される検査方法を実施するために使用されてもよい表面走査検査システム100の一実施形態の単純化模式図である。単純化のために、システムのいくつかの光学構成要素が省略されている。例として、折り畳み鏡、偏光子、ビーム形成レンズ、追加の光源、追加の集光器、および追加の検出器もまた含まれてもよい。かかる全ての変更が、本明細書に記載される本発明の範囲内のものである。本明細書に記載される検査システムが、パターン化されたウエハおよびパターン化されていないウエハを検査するために使用されてもよい。
図1で例示されるように、ウエハ123は、1つ以上の照明源101によって生成される通常の入射ビーム111によって、照射される。代替方法として、照明の準システムが、入射の斜角で検体に光ビームを向かわせるように構成される。いくつかの実施形態において、システム100が、斜めの入射ビームおよび通常の入射光ビームなどの検体に複数の光ビームを向かわせるように構成される。複数の光ビームが、実質的に、同時に、または順次的に検体に向かわされてもよい。
照明源101は、例として、レーザー、ダイオードレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、固体レーザー、ダイオードポンプ固体(DPSS)レーザー、キセノンアークランプ、ガス放電ランプ、およびLEDアレイ、または白熱電球を含んでもよい。光源が、単色に近い光または広帯域の光を放射するように構成されてもよい。概して、照明の準システムは、検体に、比較的狭い波長帯を有する光を向かわせるように構成される(例えば、単色に近い光または約20nm未満、約10nm未満、約5nm未満、もしくは約2nm未満もの範囲の波長帯を有する光)。したがって、光源が広帯域の光源である場合、照明の準システムは、検体に向かわされる光の波長帯を限定してもよい1つ以上の分光フィルタもまた含んでもよい。1つ以上の分光フィルタが、帯域フィルタおよび/またはエッジフィルタ、および/またはノッチフィルタでもよい。
一態様において、システム100が、平らになったビーム強度分布を用いて再成形された照明光ビーム111を生成するために照明光104のビーム強度分布を再成形するビーム成形素子103を含む。この「再成形された照明光」は、ウエハ表面に指向され、照明スポット115上でウエハ123の表面に入射される。一実施形態において、ビーム成形素子103は、所望の強度特性を生成するために回折光学素子を含む。他の実施形態において、ビーム成形素子103は、所望の強度特性を生成するために光学ビーム成形器を含む。他の実施形態において、ビーム成形素子103は、所望の強度特性を生成するためにアポダイザを含む。しかし、アポダイザに関連する照明力の減弱に因り、照明力が欠乏している検査モードへのアポダイザの使用を制限することが好ましい。ビーム分割器105は、再成形された照明光を対物レンズ109に向かわせる。対物レンズ109は、照明スポット115においてウエハ123に再成形された照明光111を集束する。この様に、照明スポット115は、ウエハ123の表面上にビーム成形素子103から放射される光の放射によって成形され、サイズを合調整される。図2で例示されるように、照明スポット115は、ウエハ123の幾何学中心から距離Rに位置される。
いくつかの実施形態において、反射/散乱光は、検査システム100によって特定の試期間にわたり照明スポット115の全領域から集められ、検出される。この様に、最大限可能な限りの光が、検査システムによって集められる。しかし、いくつかの他の実施形態において、反射/散乱光は、検査システム100によって特定の試期間にわたり照明スポット115の一部の領域から集められ、検出される。システム100は、走査中、ウエハ123によって散乱、および/または反射される光を集めるために、および検出器140上に集められる光を集束するために集光光学部品118を含む。検出器140によって生成される出力信号127は、異常およびそれらの特質の存在を決定するために、信号処理のためのコンピュータ132に供給される。
集光光学部品118は、レンズ、複合レンズ、または当該技術分野において周知である任意の好適なレンズを含んでもよい。代替方法として、集光光学部品118の任意の素子は、反射性があってもよく、または鏡のように部分的に反射性光学構成要素であってもよい。加えて、特定の集光角が、図1で例示されるが、集光光学部品が、任意の好適な集光角で配置されてもよいことが理解されよう。集光角は、例えば、入射角度および/または検体の組織分布的な特質により変化してもよい。
検出器140は概して、散乱光を電気信号に転換するために機能し、それにより、当該技術分野において周知である任意の写真検出器を実施的に含んでもよい。しかし、特定の検出器が、検出器の所望の性能特質、検査される検体の型、および照明の構成に基づいて、本発明の1つ以上の実施形態内で使用するために選択されてもよい。例えば、検査のために利用可能な光量が比較的低度であった場合、時間遅延積分(TDI)カメラなどの検出器を高める効率性が、信号対雑音比およびシステムの処理能力を増加させてもよい。しかし、電荷結合装置(CCD)カメラ、光ダイオード、光電管、および光電子増倍管(PMTs)などの他の検出器は、実行されている検査のための利用可能な光量および検査の型により使用されてもよい。本発明の少なくとも一実施形態において、光電子増倍管は、検体から散乱される光を検出するために使用される。用語「単一の検出器」は、本明細書において、1つのみの感知領域またはおそらく複数の感知領域(例えば、検出器アレイまたは複数モードPMT)を有する検出器を説明するために使用される。数に関わらず、単一の検出器の感知領域は、単一の包囲領域内で具体化される。描写される実施形態において、「単一の検出器」は、特定の照明スポット(例えば、検出器140が、照明スポット115によって照射される検査領域に関連する出力信号を生成させるために使用される検出器である)に関連する。しかし、他の実施形態において、追加の「単一の検出器」は、照明スポットに関連する出力信号をそれぞれ生成するために使用されてもよい。例えば、複数の「単一の検出器」は、異なる収集角度のそれぞれにおいて、照明スポット115によって照射される検査領域から集められた光を検出するために使用されてもよい。
走査表面検査システムのいくつかの実施形態において、単一の検出器は、照明スポットによって照射される特定の検査領域から集められた光を検出するために使用される。システム100などの表面走査検査システムの内容は、検出器140が、照明スポット115によって照射される検査領域から集められた光を差し示す単一の出力信号127を生成する。単一の出力信号は、高い処理能力を以て高効率な欠陥検出を可能にする。言い換えれば、これらの実施形態において、撮像化検出器(すなわち、照明スポット115によって照射される異なる検査領域上で集められる光を差し示すいくつかの異なる出力信号を生成する検出器(複数可))は、処理能力におけるそれらの影響に因り使用されない。しかし、他の特徴的な課題に対し撮像化検出器の使用は、企図されてもよい。この様に、撮像化に関連する計算的に煩わしいデータ収集および処理が回避され、申し分のないほどに良好な処理能力率が達成されることができる。これらの実施形態において、撮像化検出器は使用されないが、走査される領域の撮像は、検出器140からの出力を再配置することによって取得されることができ、コンピュータ132のメモリ142内に保存されている。
システム100はまた、検出器140によって検出される散乱信号を処理するために必要とされる様々な電子構成部品(非表示)を含む。例えば、システム100は、検出器140から出力信号127を受容するために、および予定された量によって出力信号を増幅するために含んでもよい。加えて、アナログデジタル変換器(ADC)(非表示)は、プロセッサ141内で使用するための適したデジタル形式に増幅された信号をデジタル変換するために含まれる。一実施形態において、プロセッサは、伝送媒体によってADCに直接連結されてもよい。代替方法として、プロセッサは、ADCに連結される他の電子構成部品から信号を受容してもよい。この様に、プロセッサは、伝送媒体および任意の介在性の電子構成部品によってADCに間接的に連結されてもよい。
概して、プロセッサ141は、それぞれの検出器から取得される電子信号を使用するウエハの性質を散乱する特徴、欠陥、または光を検出するように構成される。検出器によって生成される信号は、単一の検出器(例えば、検出器140)によって検出される光の典型である。プロセッサは、当該技術分野で周知である任意の好適なプロセッサを含んでもよい。加えて、プロセッサは、任意の好適な欠陥検出アルゴリズムまたは当該技術分野で周知である方法を使用するように構成される。例えば、プロセッサは、検体上の欠陥を検出するためにダイ−トゥ−データベースまたは閾アルゴリズムを使用してもよい。
加えて、検査システム100は、操作員(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーンなど)からの入力を受け付けるために有用な周辺装置を含んでもよく、ディスプレイが、操作員(例えば、ディスプレイ画面)に出力してもよい。操作員からの入力指令は、照明力を制御するために使用される閾値を調整するためにプロセッサ141によって使用されてもよい。得られた力レベルは、ディスプレイ画面上で操作員に写実的に表示される。
システム100は、明視野、暗視野、および共焦点などの様々な撮像モードを使用できる。例えば、図1で描写される実施形態において、検出器140は、明視野信号を生成する。図1で例示されるように、狭角でウエハ123の表面から散乱されるいくつかの光量は、対物レンズ109によって集められる。この光は、対物レンズ109の後方を通り、ビーム分割器105上に衝突する。ビーム分割器105は、集光光学部品118に光の一部を伝送し、順番に検出器140上に光を集束する。この様に、明視野信号は、検出器140によって生成される。集光光学部品118は、検出器アレイ140上に対物レンズ109によって集められる反射光を画像表示する撮像レンズ107を含む。ウエハとともに同調性を持って回転することができる開口部またはフーリエフィルタ106は、対物レンズ109の後焦点面に配置される。明視野、暗視野、および位相差などの様々な撮像モードは、異なる開口部またはフーリエフィルタを使用することによって実装されることができる。米国特許第7,295,303号および同第7,130,039号は、参照することにより本明細書に組み込まれ、これらの撮像モードをさらに詳細に記載する。別の実施例において(非表示)、検出器は、大きな視野角で集められる散乱光を画像表示することによって暗視野撮像を生成する。別の実施例において、入射スポット115と一致するピンホールは、共焦点撮像を生成するために検出器(例えば、検出器140)の前部に配置されることができる。米国特許第6,208,411号は、参照することにより本明細書に取り込まれ、これらの撮像モードをさらに詳細に記載する。加えて、表面検査システム100の様々な態様は、米国特許第6,271,916号および米国特許第6,201,601号内に記載され、共に参照することにより本明細書に取り込まれる。
図1で例示される実施形態において、ウエハ位置決定システム125は、静止照明光ビーム111の下、ウエハ123を移動させる。ウエハ位置決定システム125は、ウエハチャック108、運動制御装置114、回転ステージ110、および平行移動ステージ112を含む。ウエハ123は、ウエハチャック108に支持される。図2で例示されるように、ウエハ123は、回転ステージ110の回転軸とほぼ一直線にその幾何学中心150に位置される。この様に、回転ステージ110は、公差の範囲内において特定の角運動速度ωで約その幾何学中心でウエハ123を回す。加えて、平行移動ステージ112は、特定の速度VTで、回転ステージ110の回転軸にほぼ垂直の方向にウエハ123を平行移動する。運動制御装置114は、走査表面検査システム100内のウエハ123の所望の走査運動を達成させるために、回転ステージ110によるウエハ123の回転および平行移動ステージ112によるウエハ123の平行移動を調和する。
いくつかの実施形態において、システム100は、偏向器(非表示)を含んでもよい。一実施形態において、偏向器は、音響光学の偏向器(AOD)であってもよい。他の実施形態において、偏向器は、機械的走査組み立て部品、電子走査機、回転鏡、多角性走査機、共鳴性走査機、圧電気走査機、ガルボミラー、または検流計を含んでもよい。偏向器は、検体上で光ビームを走査する。いくつかの実施形態において、偏向器は、ほぼ不変の走査速度で検体上で光ビームを走査する。
典型的な操作シナリオにおいて、検査は、ウエハ123の幾何学中心150に位置される照明スポット115によって照射される検査領域から始まり、次に、ウエハ123は、照明スポット115によって照射される検査領域がウエハ123の外部周囲に到達するまで(すなわち、Rがウエハ123の半径と等しいとき)、回転および平行移動される。調和される回転ステージ110および平行移動ステージ112の運動に因り、照明スポット115によって照射される検査領域は、ウエハ123の表面上で螺旋経路を追跡する。ウエハ123の表面上で照明スポット115によって照射される検査領域の螺旋経路は、検査トラックとして称される。検査トラック116の一部は、図2で細い交差している線により陰影をつけられる領域として例示される。よって、図2で例示されるある一時期間の検査領域は、検査トラック116および照明スポット115の交点である。例示上、検査トラック116内で中心に置かれる点の部位は、ウエハ123の表面上で螺旋経路113を追跡する検査トラック116の典型的な螺旋経路113の部分113a、113b、および113cは、トラックi−1、トラックi、およびトラックi+1としてそれぞれ例示される。検査トラック116は、1つのトラック端からトラックの他方の端まで検査トラックにわたって広がるトラック幅Wトラックを有する。検査トラックの近接する部分間の距離(例えば、トラックi+1とトラックiとの間の距離)は、走査表面検査システム100の走査ピッチとして称される。理想的には、検査トラックの一部のトラック端は、近接する検査トラックのトラック端と境を接する。この様に、ウエハの表面は検査トラックに覆われる。しかし、実際には、検査トラックの幅は、近接するトラック間に全く差がないことを確実にするために走査ピッチよりもわずかに大きくなるように選択される。この余地は実際の検査システムにおいて、ジッターの位置を決定する要因となる。いくつかの実施形態において、検査トラック116の幅は、走査ピッチのおよそ2倍である。この様に、ウエハ表面上の特定の位置は、検査トラック116の近接するインスタンスによって少なくとも2回試験的に調べられる。
図2で例示されるように、照明スポット115は、検査トラック116上の中心に置かれる。照明スポット115は典型的に、検査トラックに垂直方向に、トラック幅より大きい距離(例えば、検査トラック幅の2から3倍)を広げるためにサイズを調整される。図1および2で例示されるシステムなどの螺旋走査システムにおいて、検査トラックに垂直方向は半径方向である。図2で例示されるように、照明スポット115の放射ビーム幅は、検査トラック幅のおよそ2倍である。しかし、いくつかの実施形態において、照明スポット115は、ほぼ検査領域のサイズである距離を広げるためにサイズを調整されてもよい。
一態様において、照明スポット115は、検査トラック116に平行な方向に可変的なビーム幅を有するためにビーム成形素子103によって成形される。図1および2で例示されるシステムなどの螺旋走査システムにおいて、検査トラックに平行な方向は接線方向である。よって、照明スポット115の接線ビーム幅は、検査トラック116にわたって変化する。
先に論ぜられたように、レーザー系照明源は典型的に、ピークビーム強度特性を有する照明光を生成する。多くの事例において、ピークビーム強度特性は、ガウス型またはほぼガウス型である。いくつかの検査モード(例えば、感度が処理能力を犠牲にして高められる検査モード)において、ピーク入射レーザービーム強度(すなわち、ガウス型ビーム強度特性が、最大限である、ビームの中心近くの強度)が、ウエハ表面を損傷する可能性がある。典型的に、総体的な入射ビーム力が、熱損傷閾値に到達するのを回避するために、照明光の一部を捨処することによって低減される。例えば、径方向に照明スポット115にわたるビーム強度分布が、図3で例示される。トラックi上の中心に置かれる照明スポット115にわたって基準化されるガウス型ビーム強度分布の典型的な事例は、ビーム強度分布161Aとして称される。トラックi+1上の中心に置かれる同一の基準化されるガウス型ビーム強度分布は、ビーム強度分布161Bとして例示される例示されるように、入射ビーム力は、ビーム強度がウエハの損傷閾値未満であり続けるように、減ずられる。しかし、トラック端においてガウス型ビームの照明強度は、トラックの中心で照明高度よりも大幅に下回る。これは、トラック端(例えば、図2で例示される粒子160)近くに位置される低減された欠陥感度をもたらす。
別の態様において、検査システム100は、平らになったビーム強度分布を用いて照明光を生成するために照明光のビーム強度分布を再成形する。このように、入射ビーム力は、任意の特定の位置でウエハの損傷閾値を超えるビーム強度を有することなく増加する。したがって、欠陥感度が増加する一方で、ウエハへの熱損傷が回避される。
いくつかの実施形態において、照明光104のビーム強度分布は、再成形された照明光によって、照射される検査トラックの幅にわたって平均強度値から25%未満の差を有するビーム強度分布を有する再成形される照明光111を生成するために素子103を再成形することによって成形される。
いくつかの他の実施形態において、照明光104のビーム強度分布は、再成形された照明光によって、照射される検査トラックの幅にわたって平均強度値から10%未満の差を有するビーム強度分布を有する再成形される照明光111を生成するために素子103を再成形することによって成形される。
いくつかの実施例において、再成形された照明光111のビーム強度分布は、トラック幅にわたって均一である。例えば、径方向に照明スポット115にわたるビーム強度分布が、図3で例示される。トラックi上の中心に置かれるラック幅上で照明スポット115にわたって均一なビーム強度分布が、ビーム強度分布162Aとして例示される。トラックi+1上の中心に置かれる同一の均一なビーム強度分布が、ビーム強度分布162Bで例示される。例示されるように、入射ビーム強度は、ピークビーム強度分布161Aおよび161Bのための事例のとおり、トラックの中心からトラック端に下がるよりむしろ検査トラックにわたって均一に高い。例として、ピークビーム強度分布161Aおよび161Bは、ガウス型である。よって、検査トラックにわたってビーム力は、著しくより大きい。これは、任意の特定の位置で損傷閾値を超えるビーム強度を有することなく達成される。
トラック幅にわたって均一なビーム強度分布の事例のために、照明強度は、およそ1.6の因子分、トラック端においてガウス型ビーム強度分布に比例して上昇される。したがって、ウエハへの熱損傷を回避するためにビーム強度における制限を課す検査シナリオ上、平らになったビーム強度分布のための最高SNRは、ガウス型ビーム強度分布のための最高SNRよりもおよそ57%高い。これは、およそ8%小さい欠陥感度に対応する達成可能なSNRを高める。
いくつかの実施例において、欠陥の位置は、ウエハ123への入射面において測定されるビームの成形に2つの近接するトラックの検出強度を適合させることによる準トラックの正確性によって決定される。例として図3で例示されるように、ガウス型ビーム強度分布を有する照明光は、検査トラックにわたって変化するビーム強度分布を有し、それによって好結果の適合が可能になる。しかし、粒子の位置の良好な走査(例えば、それぞれの位置が少なくとも2回走査される)に関連する欠陥信号は、検査トラック間で粒子の位置と無関係にあるため、検査トラックにわたって均一なビーム強度分布を使用することによって、粒子の位置についての情報が希薄にされる。改良された欠陥感度を有する準トラックの正確性を以て欠陥位置を予想するための性能を保持するために、ビーム成形素子103は、ビーム幅を有する再成形された照明光を生成するように構成され、検査トラックにわたって変化する検査トラックの軌道に平行な方向に測定される。
いくつかの実施形態において、照明光104は、照明スポット115の接線ビーム幅が、検査トラック116にわたって垂直方向に直線的に変化するように、再成形された照明光111を生成するために素子103を再成形することによって再成形される。図2は、検査トラック116にわたって直線的に変化する接線ビーム幅を有する照明スポット115を例示する。図4は、トラックi上の中心に置かれる典型的な照明スポット115の接線ビーム幅163を例示する。例示されるように、接線ビーム幅は、トラックiにわたってΔWビームの量分増大させられる。
さらに別の態様において、検査トラックにわたって変化するビーム幅を有する照明スポットによって照射される検査領域内の粒子の位置は、検出器の出力の分析に基づいて予想される。図2で例示されるように、照明スポット115は、検査トラック116にわたって直線的に変化する接線ビーム幅を有する。接線ビーム幅が検査トラックにわたって直線的に変化するため、欠陥(例えば、粒子160)が照明スポット115によって照射される検査領域内で費やす時間は、検査トラック内のその位置により変化する。言い換えれば、欠陥は、検査トラック内の位置に関わらず照明スポット115下で不変の速度で進む(検査トラック幅が、ウエハ123上で検査トラックの半径位置よりはるかに小さい値であると仮定する)。よって、特定の位置での接線ビーム幅が大きくなると、照明スポット115によって照射される検査領域内で粒子が費やす時間枠は長くなる。例えば、図2で例示されるように、トラック
i内に位置される粒子160は、ウエハ150の中心に最も近くのトラック端近くに位置されるよりも、それがウエハ123の中心から最も遠いトラック端近くに位置される場合のほうが、照明スポット115によって照射される検査領域内でさらに時間を費やすことになるであろう。粒子160が照明スポット115内の検査領域内で費やす時間量は、検出器140によって生成される出力信号127へのその寄与する期間によって測定される。図5は、出力信号127の典型的な時間記録を例示する。粒子160が、照明スポット115によって照射される検査領域内を通過するとき、出力信号127の振幅は増大し、次に粒子160が照明スポット115によって照射される検査領域を通って通過するため減少する。粒子160が照明スポット115によって照射される検査領域内で費やす時間の尺度は、出力信号127が閾値V
Tを超える時間ΔTに基づいて決定されてもよい。トラック
i内の粒子150の位置は、測定される時間ΔTから計算されることができる。例えば、照明スポット115によって照射される検査領域内の粒子160によって横切られる距離Wは、以下の式(1)を使って測定される時間ΔTに基づいて予想されることができる。
照明スポット115の接線ビーム幅が、径位置の機能に従って直線的に変化するため、照明スポット115によって照射される検査領域内の位置rは、以下の式(2)を使って距離Wに基づいて決定されてもよく、
式中、W
トラックが、トラック幅であり、ΔW
ビームが、検査トラックにわたって接線ビーム幅において変化し、およびW
0が、ウエハ123の中心に最も近いトラック
iのトラック端において接線ビーム幅である。例えば、図2および4で例示されるように、照明スポット115の接線ビーム幅は、ウエハの中心に最も近いトラック端において3マイクロメートルからウエハの中心から最も遠いトラック端において3.3マイクロメートルまで変化する。さらに、接線ビーム幅は、トラック
iにわたって3マイクロメートル〜3.3マイクロメートル、直線的に変化する。この様に、検査トラック内の粒子160の位置は、予想されることができる。
図4で例示されるように、照明スポット115上で再成形されたウエハ123への入射照明光の接線ビーム幅は、検査トラック116にわたって直線的に変化し、多くの他の変化が企図されてもよい。概して、接線ビーム幅は、単一の価値のある機能に従って、検査トラックにわたって変化する可能性がある。この様に、検査トラック内の単一の位置は、検出器によって生成される出力信号の分析に基づいて欠陥の位置として明確にされることができる。
図5で例示されるように、単一の価値のある閾値VTが、欠陥が照明スポットによって照射される検査領域内に残る時間枠を予想するために使用されるが、任意の好適な閾値が企図されてもよい。例えば、測定中に現れる騒音レベルに基づいて閾値は変化してもよい。閾値の集合が使用されてもよい。例えば、第1の閾値は、いつ欠陥が照明スポットによって照射される検査領域に入ったのかを明確にするために使用される可能性があり、別の異なる閾値が、いつ欠陥が照明スポットによって照射される検査領域から出たのかを明確にするために使用されてもよい。
さらに別の態様において、検査システム100は、照明源101とウエハ123との間のビーム経路からいくつかのビーム再成形素子(例えば、ビーム成形素子103)のうちのいずれかを選択的に含む、または除去するように構成される。この様に、好適なビーム成形素子またはビーム成形素子の集合は、過剰なレーザー力が利用可能である検査モードのために選択的に使用されてもよく、最大限のレーザー力が、熱損傷(例えば、低感度、高処理能力モード)を誘発することなく使用される検査モードのために使用されなくてもよい。例えば、図1で例示されるように、検査システム100は、コンピュータ132によって生成される指令信号122に反応して照明源101とウエハ123との間のビーム経路におよびビーム経路から、ビーム成形素子103を選択的に移動させるように構成されたアクチュエータ170を含む。いくつかの実施例において、アクチュエータ170は、ビーム経路におよびビーム経路から、ビーム成形素子103を物理的に移動させるアクチュエータ(例えば、直線のまたは環状のアクチュエータ)である。別の実施例において、アクチュエータ170は、ビーム成形素子103を通ってまたはビーム成形素子103周囲にビーム経路を選択的に向かわせる1つ以上のビーム偏向素子(例えば、ガルボミラーなど)を含む。
検査システム100は、プロセッサ141およびコンピュータ読取可能量のメモリ142を含む。プロセッサ141およびメモリ142は、母線143上で通信してもよい。メモリ142は、メモリ144がプロセッサ141によって実行されるとき、プロセッサ141が所望の検査モードを決定し、所望の検査モードに基づいて照明ビーム経路から選択的に含まれる、または除去されるべき好適なビーム成形素子(複数可)を引き起こす制御信号を生成することを引き起こすプログラムコードを保存するメモリ144の量を含む。
描写される実施形態において、コンピュータ132が、プロセッサ141およびメモリ142を含み、1つ以上のビーム成形素子が、本明細書に記載される方法およびシステムに従って照明ビーム経路内に含まれるかどうかを制御する。よって、いくつかの実施形態において、コンピュータ132が、ビーム成形が生じるか、および本明細書に記載されるビーム成形の本質を制御する。しかし、他の実施形態において、この制御が機能的に、任意の他の多目的のコンピュータまたは類似の方法で操作されるように構成された検査システム100の専用ハードウェアによって実装されてもよい。
照明光のビーム強度分布の再成形は、個々の照明スポット(例えば、照明スポット115)に関連して本明細書に先述されているが、本明細書に記載される方法およびシステムはまた、複数スポット表面検査システムに類似的に適用されてもよい。複数スポット表面検査システムにおいて、いくつかの照明スポットは、同時に使用される。照明光は、1つ以上の照明源からこれらの照明スポットに供給される。本明細書に記載されるビーム成形素子103などのビーム成形素子は、本明細書に記載されるように、照明スポットへの入射照明光のビーム強度分布を再成形するために1つ以上の照明源のうちのいずれかと複数の照明スポットのうちのいずれかとの間のビーム経路内に選択的に配置されてもよい。この様に、照明スポットのうちのいずれかにおける欠陥感度は、改良されてもよい。典型的に、照明スポットは、検査結果が検査トラックの良好な部分内で交互配置されてもよく、検出器において掛け合い応答が最小限に抑えられるように、スポット間の十分な空間によって構成される。米国特許出願公開第2009/0225399号は、参照することにより本明細書に組み込まれ、これらの走査技術をさらに詳細に記載する。
図6は、ウエハ表面に熱損傷を誘発することなく欠陥感度を改良するために検体の照明スポット上で入射照明光のビーム強度分布を再成形するために有用な典型的な方法400の流れ図を例示する。一非限定の実施例において、図1に関して記載される検査システム100は、方法400を実装するように構成される。しかし、概して、方法400の実装は、本明細書に記載される特定の実施形態によって限定されない。
ブロック401において、照明光ビームが、照明源によって生成される。
ブロック402において、照明光のビーム強度分布が、平らになったビーム強度分布を有する再成形された照明光ビームを生成するように再成形される。いくつかの実施例において、再成形された照明光は、再成形された照明光ビームの一部によって照射される検査トラックの幅にわたって平均強度値から25%未満の差を有するビーム強度分布を有する。いくつかの実施例において、再成形された照明光は、再成形された照明光ビームの一部によって照射される検査トラックの幅にわたって平均強度値から10%未満の差を有するビーム強度分布を有する。
ブロック403において、検体表面は、照明スポットによって照射される検査領域上で再成形された照明光ビームを用いて照射される。
ブロック404において、照明スポットによって照射される検査領域から集められた光量は、例えば、検出器によって受容される。
ブロック405において、単一出力値は、検出器によって受容された集められた光の量に基づいて生成される。
様々な実施形態が、検体を検査するために用いられ得る検査システムまたは検査手段のために本明細書に記載される。用語「検体」は、本明細書では、当該技術分野で周知である欠陥、特徴、または他の情報(例えば、混濁量またはフィルムの性質)のために検査され得るウエハ、レチクル、またはいずれかの他の試料を指すのに用いられる。
用語「ウエハ」は、本明細書で用いられる場合、半導体または非半導体材料で形成される基板を指す。例として、単結晶シリコン、ガリウム砒素、および燐化インジウムが挙げられるが、これらに限定されない。そのような基板は、半導体製作設備内で通常見られ、および/または処理され得る。いくつかの事例では、ウエハは、基板のみを含み得る(すなわち、むき出しのウエハ)。代替方法として、ウエハは、基板上に形成される異なる材料の1つ以上の層を含んでもよい。ウエハ上に形成される1つ以上の層は、「パターン化された」層または「パターン化されていない」層であり得る。例えば、ウエハは、繰り返し可能なパターンの特徴を有する複数のダイを含んでもよい。
「レチクル」は、レチクル製作プロセスのいずれかの段階でのレチクルであってもよく、半導体製作設備における使用のために開示され得る、または開示され得ない完成したレチクルであってもよい。レチクルまたは「マスク」は、その上に形成され、パターンで構成されるほぼ不透明の領域を有するほぼ透明な基板として一般的に定義される。基板として、例えば、水晶のようなガラス材料が挙げられてもよい。レチクルは、レチクル上のパターンがレジストに転写され得るように、リソグラフィープロセスの露光ステップ中にレジスト被覆ウエハ上に置かれてもよい。
1つ以上の典型的実施形態では、記載される機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらのいずれかの組み合わせで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、機能は、1つ以上の命令またはコードとしてコンピュータ読取可能媒体上に保存または伝送され得る。コンピュータ読取可能媒体として、コンピュータ保存媒体およびコンピュータプログラムの相互伝送を容易にするいずれかの媒体を含む通信媒体との両方が挙げられる。保存媒体は、多目的または特定目的コンピュータによりアクセスされることができるいずれかの利用可能な媒体であり得る。例として、そのようなコンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光学ディスク保存体、磁気ディスク保存体もしくは他の磁気保存装置、または、命令もしくはデータ構造の形で所望のプログラムコード手段を搬送もしくは保存するのに用いることができ、一般目的または特定目的コンピュータもしくは多目的または特定目的プロセッサによりアクセスすることができるいずれかの他の媒体を含むことができる。そのうえ、あらゆる接続が、当然のことながらコンピュータ読取可能媒体と呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り線、デジタルスクライバライン(DSL)、または赤外線、ラジオ、およびマイクロ波などの無線技術を用いてウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから伝送される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り線、DSL、または赤外線、ラジオおよびマイクロ波などの無線技術は媒体の定義に含まれる。ディスク(Disk)およびディスク(Disc)は、本明細書で用いられる場合、コンパクトディスク(登録商標)(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光学ディスク、デジタル万能ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスク(登録商標)を含み、ディスク(Disk)は、通常、データを磁気的に再生するが、ディスク(Disc)は、レーザーを用いてデータを光学的に再生する。上記のものの組み合わせも、コンピュータ読取可能媒体の範囲内に含まれるべきである。
ある特定の実施形態が教育目的のために上に記載されているが、本特許文書の教示内容は、一般的な適用可能性を有する、上に記載された特定の実施形態に限定されない。一実施例において、検出器140は、ファイバアレイに取って代わることができる。一実施例において、検査システム100は、1つを超える光源(非表示)を含んでもよい。光源は、異なってまたは同一に構成されてもよい。例えば、光源は、同時にまたは異なって、同一または異なる入射角度で、同一または異なる照明領域においてウエハに指向されることができる異なる特質を有する光を生成するように構成されてもよい。光源は、本明細書に記載される実施形態のうちのいずれかに従って構成されてもよい。加えて、光源のうちの1つは、本明細書に記載される実施形態のうちのいずれかに従って構成されてもよく、別の光源は、当該技術分野で周知のいずれの他の光源であってもよい。いくつかの実施形態において、検査システムは、1つを超える照明領域上でウエハを同時に照射してもよい。複数の照明領域は、空間的に重複してもよい。複数の照明領域は、空間的に個別である。いくつかの実施形態において、検査システムは、異なる時点で1つを超える照明領域上でウエハを照射してもよい。異なる照明領域は、時間的に重複してもよい(すなわち、同時にいくつかの時間枠にわたり照射される)。異なる照明領域は、時間的に別々であってもよい。概して、照明領域の数は任意であり、それぞれの照明領域は等しいまたは異なる入射のサイズ、方向、および角度であってもよい。さらに別の実施例において、検査システム100は、いずれのウエハ123からも独立して走査する1つ以上の照明領域を有する走査スポットシステムであってもよい。いくつかの実施形態において、照明領域が、走査ラインに沿って繰り返されるパターンで走査されるように作製される。走査ラインは、ウエハ123の走査運動と同調してもよく、またはしなくてもよい。本明細書で示されるように、ウエハ位置決定システム125は、調和される回転式および平行移動的運動によってウエハ123の運動を生み出すが、さらに別の実施例において、ウエハ位置決定システム100は、2つの平行移動的運動によってウエハ123の運動を生み出し得る。例えば、運動ウエハ位置決定システム125は、2つの直交直線軸に沿って運動を生み出し得る(例えば、X〜Y運動)。かかる実施形態において、走査ピッチは、いずれかの運動軸に沿って近接する平行移動的走査間の距離として定義されてもよい。かかる実施形態において、検査システムは、照明源およびウエハ位置決定システムを含む。照明源は、照明領域上でウエハの表面に放射量を供給する。ウエハ位置決定システムは、走査ピッチによって特徴付けられた走査運動でウエハを移動させる(例えば、一方方向に前後に走査することおよび直交方向に走査ピッチと等しい量分進むこと)。
したがって、本請求項で説明されるような本発明の範囲から逸脱せずに、記載された実施形態の様々な特徴の様々な変更、適用、および組み合わせを実践することができる。