JP2015227411A - 複合材料の製造方法、並びに、複合材料および複合材料成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】カーボンナノチューブを含有する複合材料を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブ含有ミセルを含むカーボンナノチューブ分散液と、前記カーボンナノチューブ含有ミセルの表面電荷と反対の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションと、を混合し、凝固させることにより、カーボンナノチューブと高分子材料との複合材料を得る工程を有する複合材料の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】カーボンナノチューブ含有ミセルを含むカーボンナノチューブ分散液と、前記カーボンナノチューブ含有ミセルの表面電荷と反対の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションと、を混合し、凝固させることにより、カーボンナノチューブと高分子材料との複合材料を得る工程を有する複合材料の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、複合材料の製造方法、並びに、複合材料および複合材料成形体に関するものである。具体的には、本発明は、カーボンナノチューブを含有する複合材料の製造方法に関するものである。また、本発明は、当該複合材料の製造方法により得られる複合材料、および、当該複合材料から形成した複合材料成形体に関するものである。
従来、導電性や機械的特性に優れる材料として、樹脂やゴム等の高分子材料にカーボン材料を配合してなる複合材料が使用されている。そして、近年では、導電性や機械的特性の向上効果が高いカーボン材料として、カーボンナノチューブ(以下「CNT」と称することがある。)が注目されている。中でも、単層カーボンナノチューブ(以下「単層CNT」と称することがある。)は、高い導電性を示す繊維状の導電性フィラーであり、配合量が少量であっても複合材料の導電性や機械的特性を良好に向上させ得ることから、複合材料用のカーボン材料として特に注目されている。
ここで、複合材料の導電性や機械的特性を良好に向上させる観点からは、CNTなどのカーボン材料を高分子材料のマトリックス中に均一に分散させる必要がある。そこで、分散媒中にCNTを均一に分散させたカーボンナノチューブ分散液と、高分子材料を含むエマルションとを混合してなる複合材料用混合液を調製し、当該複合材料用混合液に凍結乾燥、アルコール凝固、塩析などの処理を施すことで凝固させ、高分子材料のマトリックス中にCNTが均一に分散した複合材料を得る技術が提案されている。
例えば特許文献1では、水性媒体中でCNTをアラビアゴムなどの水溶性成分と接触させて得られた生成物を、ポリスチレンなどを含む水性ラテックスと混合し、その後、凍結乾燥などを経ることで、導電性および機械的特性が改善されたカーボンナノチューブ強化ポリマーを製造する技術が提案されている。
しかし、従来から複合材料の凝固方法として用いられている凍結乾燥、アルコール凝固、塩析などの処理は、いずれもバッチ方式で行われ、そして、作業環境の整備と維持にも多大なコストがかかる。加えて塩析については、使用した塩類の洗浄除去の負荷が大きいという問題もあった。すなわち、従来のCNTを含有する複合材料の製造方法には、複合材料を簡便かつ容易に凝固させ、製造効率を向上させるという点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、カーボンナノチューブを含有する複合材料を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該製造方法を用いて製造される複合材料、および当該複合材料を成形してなる複合材料成形体を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該製造方法を用いて製造される複合材料、および当該複合材料を成形してなる複合材料成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成することを目的として、鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、分散剤を用いて調製されたカーボンナノチューブ分散液にはカーボンナノチューブがミセルの形で分散しており、一方、高分子材料エマルションには高分子材料がミセルの形で分散しているところ、カーボンナノチューブ分散液と高分子材料エマルションとを混合して複合材料を得る手法において、カーボンナノチューブ含有ミセルの表面電荷と高分子材料含有ミセルの表面電荷とを反対にし、それらミセルの表面電荷の正負を相異なるものとすることで、カーボンナノチューブ分散液と高分子材料エマルションとの混合により、複合材料が容易に凝固して析出することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の複合材料の製造方法は、カーボンナノチューブ含有ミセルを含むカーボンナノチューブ分散液と、前記カーボンナノチューブ含有ミセルの表面電荷と反対の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションと、を混合し、凝固させることにより、カーボンナノチューブと高分子材料との複合材料を得る工程を有することを大きな特徴の1つとする。このように、カーボンナノチューブ含有ミセルの表面電荷と高分子材料含有ミセルの表面電荷の正負を相異なるものとすることで、上記従来の凝固方法を用いずとも複合材料を十分に析出させることができ、カーボンナノチューブを含有する複合材料を効率的に製造することができる。
ここで、本発明の複合材料の製造方法は、前記カーボンナノチューブが、平均直径(Av)と直径の標準偏差(σ)とが、関係式:0.20<(3σ/Av)<0.60を満たすことが好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満のカーボンナノチューブは、導電性および機械的特性の向上効果が特に優れているからである。また、このように、3σ/Avが0.20超0.60未満のカーボンナノチューブを使用すれば、カーボンナノチューブ分散液と高分子材料エマルションとを混合した際に、複合材料がより容易かつ早期に凝固し、複合材料の製造効率を更に高めることができるからである。
なお、本発明において、「カーボンナノチューブの平均直径(Av)」および「カーボンナノチューブの直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択したカーボンナノチューブ100本の直径(外径)を測定して求めることができる。
なお、本発明において、「カーボンナノチューブの平均直径(Av)」および「カーボンナノチューブの直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択したカーボンナノチューブ100本の直径(外径)を測定して求めることができる。
また、本発明の複合材料の製造方法は、前記カーボンナノチューブのBET比表面積が600m2/g以上であることが好ましい。BET比表面積が600m2/g以上のカーボンナノチューブは、導電性および機械的特性の向上効果が特に優れているからである。
なお、本発明において、「比表面積」とは、BET法を用いて測定したBET比表面積を指す。
なお、本発明において、「比表面積」とは、BET法を用いて測定したBET比表面積を指す。
そして本発明の複合材料は、上述した何れかの複合材料の製造方法により得られ、当該複合材料を成形して、本発明の複合材料成形体を作製することができる。
本発明によれば、カーボンナノチューブを含有する複合材料を効率的に製造する方法を提供することができる。
また、本発明によれば、当該製造方法を用いて製造される複合材料、および当該複合材料を成形してなる複合材料成形体を提供することができる。
また、本発明によれば、当該製造方法を用いて製造される複合材料、および当該複合材料を成形してなる複合材料成形体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の複合材料の製造方法は、高分子材料のマトリックス中にCNTが均一に分散した複合材料を製造する際に用いることができる。
そして、本発明の複合材料の製造方法により得られる本発明の複合材料は、例えば、用途に応じて成形し、本発明の複合材料成形体としてから用いることができる。
ここで、本発明の複合材料の製造方法は、高分子材料のマトリックス中にCNTが均一に分散した複合材料を製造する際に用いることができる。
そして、本発明の複合材料の製造方法により得られる本発明の複合材料は、例えば、用途に応じて成形し、本発明の複合材料成形体としてから用いることができる。
(複合材料の製造方法)
本発明の複合材料の製造方法は、カーボンナノチューブ含有ミセルを含むカーボンナノチューブ分散液と、前記カーボンナノチューブ含有ミセルの表面電荷と反対の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションと、を混合し、凝固させることにより、カーボンナノチューブと高分子材料との複合材料を得る工程を含む。ここで、本発明の複合材料の製造方法では、前記カーボンナノチューブ含有ミセルと前記高分子材料含有ミセルの表面電荷の正負が相異なる。すなわち、当該製造方法は、正の表面電荷を有するカーボンナノチューブ含有ミセルと負の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルとを組み合わせて使用すること、または、負の表面電荷を有するカーボンナノチューブ含有ミセルと正の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルとを組み合わせて使用することを大きな特徴の1つとする。
本発明の複合材料の製造方法は、カーボンナノチューブ含有ミセルを含むカーボンナノチューブ分散液と、前記カーボンナノチューブ含有ミセルの表面電荷と反対の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションと、を混合し、凝固させることにより、カーボンナノチューブと高分子材料との複合材料を得る工程を含む。ここで、本発明の複合材料の製造方法では、前記カーボンナノチューブ含有ミセルと前記高分子材料含有ミセルの表面電荷の正負が相異なる。すなわち、当該製造方法は、正の表面電荷を有するカーボンナノチューブ含有ミセルと負の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルとを組み合わせて使用すること、または、負の表面電荷を有するカーボンナノチューブ含有ミセルと正の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルとを組み合わせて使用することを大きな特徴の1つとする。
そして、本発明の複合材料の製造方法は、上述した凍結乾燥、アルコール凝固、塩析などの凝固方法を用いずとも、CNT分散液と高分子材料エマルションを混合することで、複合材料を容易に析出させ回収することができるため、製造効率に優れる。このように、上述した凝固方法を用いずとも、複合材料の凝固が十分に可能である理由は定かではないが、表面電荷が相異なる、カーボンナノチューブ含有ミセルと高分子材料含有ミセルとを接触させることで、互いに表面電荷が中和され、CNTと高分子材料とが容易に凝集するためと推察される。
<カーボンナノチューブ分散液>
本発明に用いるCNT分散液は、分散媒中、CNTがCNT含有ミセルの形で安定に分散したものであり、通常、カーボンナノチューブ、分散剤、および、分散媒を含む。当該CNT含有ミセルとは、分散剤がCNTを取り囲むようにして会合体を形成してなるものである。以下、CNT分散液に含まれる各成分について詳述する。なお、CNT分散液には、カーボンナノチューブ、分散剤、および、分散媒以外の成分が含まれていてもよい。
本発明に用いるCNT分散液は、分散媒中、CNTがCNT含有ミセルの形で安定に分散したものであり、通常、カーボンナノチューブ、分散剤、および、分散媒を含む。当該CNT含有ミセルとは、分散剤がCNTを取り囲むようにして会合体を形成してなるものである。以下、CNT分散液に含まれる各成分について詳述する。なお、CNT分散液には、カーボンナノチューブ、分散剤、および、分散媒以外の成分が含まれていてもよい。
[カーボンナノチューブ]
CNTは、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、得られる複合材料の導電性および機械的特性を向上させることができる。
CNTは、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、得られる複合材料の導電性および機械的特性を向上させることができる。
また、CNTとしては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満のCNTを用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超のCNTを用いることがより好ましく、3σ/Avが0.30超のCNTを用いることが更に好ましく、3σ/Avが0.50超のCNTを用いることが特に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満のCNTを使用すれば、CNTの配合量が少量であっても、得られる複合材料の導電性および機械的特性を十分に高めることができる。加えて、複合材料がより容易に凝固し、製造効率を更に高めることができる。
なお、CNTの平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、CNTの製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られたCNTを複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
なお、CNTの平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、CNTの製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られたCNTを複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
そして、本発明において、CNTとしては、前述のようにして測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。
更に、CNTは、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、CNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上20以下であることが好ましい。G/D比が1以上20以下であれば、CNTの配合量が少量であっても、得られる複合材料の導電性および機械的特性を十分に高めることができる。
更に、CNTの平均直径(Av)は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることが更に好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。CNTの平均直径(Av)が0.5nm以上であれば、CNTの凝集を抑制してCNTの分散性を高めることができる。また、CNTの平均直径(Av)が15nm以下であれば、得られる複合材料の導電性および機械的特性を十分に高めることができる。
また、CNTは、合成時における構造体の平均長さが100μm以上5000μm以下であることが好ましい。
更に、CNTのBET比表面積は、600m2/g以上であることが好ましく、800m2/g以上であることが更に好ましく、2500m2/g以下であることが好ましく、1200m2/g以下であることが更に好ましい。また、CNTが主として開口したものにあっては、BET比表面積が1300m2/g以上であることが好ましい。CNTのBET比表面積が600m2/g以上であれば、得られる複合材料の導電性および機械的特性を十分に高めることができる。また、CNTのBET比表面積が2500m2/g以下であれば、CNTの凝集を抑制してCNTの分散性を高めることができる。
更に、CNTは、後述のスーパーグロース法によれば、カーボンナノチューブ成長用の触媒層を表面に有する基材上に、基材に略垂直な方向に配向した集合体(CNT配向集合体)として得られるが、当該集合体としての、CNTの質量密度は、0.002g/cm3以上0.2g/cm3以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm3以下であれば、CNT同士の結びつきが弱くなるので、CNTを均質に分散させることができる。また、質量密度が0.002g/cm3以上であれば、CNTの一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。
更に、CNTは、複数の微小孔を有することが好ましい。CNTは、中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。CNTが上記のようなマイクロ孔を有することで、CNTの凝集が抑制され、CNTの分散性が高まり、CNTが高度に分散したカーボンナノチューブ分散液を非常に効率的に得ることができる。なお、マイクロ孔容積は、例えば、CNTの調製方法および調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、CNTの液体窒素温度(77K)での窒素吸脱着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を使用して求めることができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、CNTの液体窒素温度(77K)での窒素吸脱着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を使用して求めることができる。
なお、上述した性状を有するCNTは、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガス(例えば、アセチレンを50体積%以上含むガス)を用いることにより、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
<分散剤>
分散剤としては、水に溶かしたときにイオン化して正または負の電荷をもつイオン性の分散剤であって、CNTの分散を補助し得るものであれば特に限定されず使用することができる。具体的には、分散剤としては、カチオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤の他、水に溶かしたときに正または負の電荷を有する多糖類が挙げられる。
分散剤としては、水に溶かしたときにイオン化して正または負の電荷をもつイオン性の分散剤であって、CNTの分散を補助し得るものであれば特に限定されず使用することができる。具体的には、分散剤としては、カチオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤の他、水に溶かしたときに正または負の電荷を有する多糖類が挙げられる。
前記カチオン性界面活性剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩(例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドなど)などが挙げられる。一方、前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸塩系アニオン性界面活性剤(ライオン社製の商品名「リパール(登録商標)835l」、「リパール860K」、「リパール870P」、「リパールMSC」、「リパールMSE」、「リパールNTD」;花王ケミカル社製の商品名「ペレックス(登録商標)TR」、「ペレックスTA」、「ペレックスOT−P」);アルキルエーテルスルホン酸ナトリウム塩系アニオン性界面活性剤(花王ケミカル社製の商品名「ペレックスSS−L」、「ペレックスSS−H」);アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩系アニオン性界面活性剤(ライオン社製の商品名「ライボンLS−250」、「ライボンPS−230」、「ライボンPS260」、「ライボンPS860」、「ライボンLN2050D」、「ライボンLN2450」、「ライボンBN2060」;花王ケミカル社製の商品名「ネオペレックス(登録商標)G−15」、「ネオペレックスG−25」、「ネオペレックスG−65」など;通常、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム);硫酸モノ長鎖アルキル系アニオン性界面活性剤(花王ケミカル社製の商品名「エマール(登録商標)10G」、「エマール10PT」、「エマール2F−30」、「エマール2FG」、「エマール2Fペースト」、「エマールO」、「エマールOS」;ドデシル硫酸ナトリウムまたはSODIUM LAURYL SULFATEとしても市販されている);1−ヘキサデカンスルホン酸ナトリウム;1−オクタデカンスルホン酸ナトリウム;1−ペンタデカンスルホン酸ナトリウム;1−テトラデカンスルホン酸ナトリウム;1−トリデカンスルホン酸ナトリウム;などが挙げられる。また、前記負の電荷を有する多糖類としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
これらの中でも、CNTの分散性を向上させる観点から、負の電荷を有する分散剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。なお、分散剤は1種を単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
[分散媒]
本発明に用いられる分散媒としては、前記分散剤によりミセルを形成させることから、通常、水が用いられる。なお、かかるミセル形成を阻害しない範囲であれば、例えば、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒およびケトン系溶媒などを水と併用することができる。
本発明に用いられる分散媒としては、前記分散剤によりミセルを形成させることから、通常、水が用いられる。なお、かかるミセル形成を阻害しない範囲であれば、例えば、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒およびケトン系溶媒などを水と併用することができる。
[カーボンナノチューブ分散液の性状]
ここで、CNT分散液中のCNTの濃度は、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。CNT分散液中でのCNT濃度を上述の範囲内とすることで、複合材料の製造効率を確保しつつ、当該複合材料の導電性および機械的特性を優れたものとすることができる。
ここで、CNT分散液中のCNTの濃度は、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。CNT分散液中でのCNT濃度を上述の範囲内とすることで、複合材料の製造効率を確保しつつ、当該複合材料の導電性および機械的特性を優れたものとすることができる。
そして、CNT分散液は、分散剤を、CNT100質量部当たり50質量部以上含むことが好ましく、200質量部以上含むことがより好ましく、そして、1000質量部以下含むことが好ましく、500質量部以下含むことがより好ましい。CNT分散液中の分散剤の配合量を上述の範囲内とすることで、CNTを良好に分散させ、得られる複合材料の導電性および機械的特性を優れたものとすることができる。加えて、複合材料の凝固による析出を容易とし、製造効率をさらに上昇させることができる。なお、CNT分散液中の分散剤の濃度は、臨界ミセル濃度以上である必要がある。
CNT分散液に含まれるCNT含有ミセルは、分散媒中、分散剤がCNTを取り囲むようにして会合体を形成してなるものであるが、その表面電荷はCNTの表面に付着した分散剤の電荷に依存するものと推定される。従って、CNTの分散効果を考慮すると共に、水に溶けてイオン化した際の電荷に応じて使用する分散剤を選択することで、所望の表面電荷を有するCNT含有ミセルを含むCNT分散液を調製することができる。CNT含有ミセルの表面電荷は、ゼータ電位測定装置を用いて確認することができる。
なお、本発明において、各ミセル表面のゼータ電位の値自体は任意である。
なお、本発明において、各ミセル表面のゼータ電位の値自体は任意である。
[カーボンナノチューブ分散液の調製方法]
CNT分散液の調製方法は特に限定されないが、例えば、CNT、分散剤、分散媒を含む組成物(CNT−分散剤含有液)に、キャビテーション効果又は解砕効果が得られる分散処理を施すことにより調製することが好ましい。このような分散処理を施すことにより、ボールミル等による通常の分散処理を使用した場合に比して、CNTが受けるダメージを低減し所望の特性を発現させることができ、複合材料の導電性および機械的特性を十分に向上させることができる。
以下、上述の好適な分散処理方法について、説明する。なお、本発明において、キャビテーション効果が得られる分散処理と解砕効果が得られる分散処理とは、キャビテーションの発生を伴うか、又はキャビテーションの発生を伴わないか、により分類される。キャビテーションの発生を伴わない場合には、実質的にキャビテーションの発生がない場合を含む。ここで、キャビテーションとは、液体の運動によって、液中が局部的に低圧となって、気泡を生じる現象をいう。
CNT分散液の調製方法は特に限定されないが、例えば、CNT、分散剤、分散媒を含む組成物(CNT−分散剤含有液)に、キャビテーション効果又は解砕効果が得られる分散処理を施すことにより調製することが好ましい。このような分散処理を施すことにより、ボールミル等による通常の分散処理を使用した場合に比して、CNTが受けるダメージを低減し所望の特性を発現させることができ、複合材料の導電性および機械的特性を十分に向上させることができる。
以下、上述の好適な分散処理方法について、説明する。なお、本発明において、キャビテーション効果が得られる分散処理と解砕効果が得られる分散処理とは、キャビテーションの発生を伴うか、又はキャビテーションの発生を伴わないか、により分類される。キャビテーションの発生を伴わない場合には、実質的にキャビテーションの発生がない場合を含む。ここで、キャビテーションとは、液体の運動によって、液中が局部的に低圧となって、気泡を生じる現象をいう。
[[キャビテーション効果が得られる分散処理]]
キャビテーション効果が得られる分散処理は、液体に高エネルギーを付与した際、水に生じた真空の気泡が破裂することにより生じた衝撃波を利用した分散方法であり、当該分散方法を用いることにより、CNTをCNT分散液中に均一に分散させることができ、ひいては複合材料の導電性や機械的特性を向上させることが可能になる。
キャビテーション効果が得られる分散処理は、液体に高エネルギーを付与した際、水に生じた真空の気泡が破裂することにより生じた衝撃波を利用した分散方法であり、当該分散方法を用いることにより、CNTをCNT分散液中に均一に分散させることができ、ひいては複合材料の導電性や機械的特性を向上させることが可能になる。
ここで、キャビテーション効果が得られる分散処理の具体例としては、超音波による分散処理、ジェットミルによる分散処理および高せん断撹拌による分散処理が挙げられる。これらの分散処理は一つのみを行なってもよく、複数を組み合わせて行なってもよい。より具体的には、例えば超音波ホモジナイザー、ジェットミル、および高せん断撹拌装置が好適に用いられる。これらの装置は従来公知のものを使用すればよい。
CNTの分散に超音波ホモジナイザーを用いる場合には、分散媒にCNTおよび分散剤を加えて得られるCNT−分散剤含有液に対して、超音波ホモジナイザーにより超音波を照射すればよい。照射する時間は、CNTの量および分散剤の種類等により適宜設定すればよく、例えば、3分以上が好ましく30分以上がより好ましく、また、5時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましい。また、例えば、出力は100W以上500W以下、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
また、ジェットミルを用いる場合、処理回数は、CNTの量および分散剤の種類等により適宜設定すればよく、例えば、2回以上が好ましく5回以上がより好ましく、100回以下が好ましく50回以下がより好ましい。また、例えば、圧力は20MPa〜250MPa、温度は15℃〜50℃が好ましい。また、ジェットミルを用いる場合には、分散剤として界面活性剤を用いることが好ましい。というのは、多糖類の分散剤に比べて粘性が低く、装置への負荷を軽減できるので、ジェットミル装置を安定して運転できるからである。
さらに、高せん断撹拌を用いる場合には、分散媒にCNTおよび分散剤を加えて得られるCNT−分散剤含有液を、高せん断撹拌装置により処理すればよい。旋回速度は速ければ速いほどよい。例えば、運転時間(機械が回転動作をしている時間)は3分以上4時間以下、周速は5m/s以上50m/s以下、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
なお、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理は、50℃以下の温度で行なうことがより好ましい。分散媒の揮発による濃度変化が抑制されるからである。
[[解砕効果が得られる分散処理]]
また、CNT分散液の調製の際には、以下に示す解砕効果が得られる分散処理を適用することもできる。この解砕効果が得られる分散処理は、CNTを分散媒中に均一に分散できることは勿論、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理に比べ、気泡が消滅する際の衝撃波によるCNTの損傷を抑制することができるので、この点で一層有利である。
また、CNT分散液の調製の際には、以下に示す解砕効果が得られる分散処理を適用することもできる。この解砕効果が得られる分散処理は、CNTを分散媒中に均一に分散できることは勿論、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理に比べ、気泡が消滅する際の衝撃波によるCNTの損傷を抑制することができるので、この点で一層有利である。
この解砕効果が得られる分散処理では、分散媒にCNTおよび分散剤を加えて得られるCNT−分散剤含有液にせん断力を与えてCNTの凝集体を解砕・分散させ、さらにCNT分散液に背圧を負荷し、また所望により、CNT分散液を冷却することで、キャビテーションの発生を抑制しつつ、CNTを分散媒中に均一に分散させることができる。
なお、CNT分散液に背圧を負荷する場合、CNT分散液に負荷した背圧は、大気圧まで一気に降圧させてもよいが、多段階で降圧することが好ましい。
なお、CNT分散液に背圧を負荷する場合、CNT分散液に負荷した背圧は、大気圧まで一気に降圧させてもよいが、多段階で降圧することが好ましい。
ここに、CNT−分散剤含有液にせん断力を与えて分散媒中のCNTをさらに分散させるには、例えば、以下のような構造となる分散器を有する分散システムを用いればよい。
すなわち、分散器は、CNT−分散剤含有液の流入側から流出側に向かって、内径がd1の分散器オリフィスと、内径がd2の分散空間と、内径がd3の終端部と(但し、d2>d3>d1である。)、を順次備える。
そして、この分散器では、流入する高圧(通常、10〜400MPa、好ましくは50〜250MPa)のCNT−分散剤含有液が、分散器オリフィスを通過することで、圧力の低下を伴いつつ、高流速の流体となって分散空間に流入する。その後、分散空間に流入した高流速のCNT−分散剤含有液は、分散空間内を高速で流動し、その際にせん断力を受ける。その結果、CNT−分散剤含有液の流速が低下すると共に、CNT−分散剤含有液中のCNTが良好に分散する。そして、終端部から、流入したCNT−分散剤含有液の圧力よりも低い圧力(背圧)の流体が、CNT分散液として流出することになる。
すなわち、分散器は、CNT−分散剤含有液の流入側から流出側に向かって、内径がd1の分散器オリフィスと、内径がd2の分散空間と、内径がd3の終端部と(但し、d2>d3>d1である。)、を順次備える。
そして、この分散器では、流入する高圧(通常、10〜400MPa、好ましくは50〜250MPa)のCNT−分散剤含有液が、分散器オリフィスを通過することで、圧力の低下を伴いつつ、高流速の流体となって分散空間に流入する。その後、分散空間に流入した高流速のCNT−分散剤含有液は、分散空間内を高速で流動し、その際にせん断力を受ける。その結果、CNT−分散剤含有液の流速が低下すると共に、CNT−分散剤含有液中のCNTが良好に分散する。そして、終端部から、流入したCNT−分散剤含有液の圧力よりも低い圧力(背圧)の流体が、CNT分散液として流出することになる。
なお、CNT分散液の背圧は、CNT分散液の流れに負荷をかけることで負荷することができ、例えば、後述する多段降圧器を分散器の下流側に配設することにより、CNT分散液に所望の背圧を負荷することができる。
この多段降圧器により、CNT分散液の背圧を多段階で降圧することで、最終的にCNT分散液を大気圧に開放した際に、CNT分散液中に気泡が発生するのを抑制できる。
この多段降圧器により、CNT分散液の背圧を多段階で降圧することで、最終的にCNT分散液を大気圧に開放した際に、CNT分散液中に気泡が発生するのを抑制できる。
また、この分散器は、CNT分散液を冷却するための熱交換器や冷却液供給機構を備えていてもよい。というのは、分散器でせん断力を与えられて高温になったCNT分散液を冷却することにより、CNT分散液中で気泡が発生するのをさらに抑制できるからである。
なお、熱交換器等の配設に替えて、CNT−分散剤含有液を予め冷却しておくことでも、CNT分散液中で気泡が発生することを抑制できる。
なお、熱交換器等の配設に替えて、CNT−分散剤含有液を予め冷却しておくことでも、CNT分散液中で気泡が発生することを抑制できる。
上記したように、この解砕効果が得られる分散処理では、キャビテーションの発生を抑制できるので、時として懸念されるキャビテーションに起因したCNTの損傷、特に、気泡が消滅する際の衝撃波に起因したCNTの損傷を抑制することができる。加えて、CNTへの気泡の付着や、気泡の発生によるエネルギーロスを抑制して、比表面積が大きいCNTであっても、均一かつ効率的に分散させることができる。
なお、CNTへの気泡の付着の抑制による分散性の向上効果は、比表面積が大きいCNT、特に、比表面積が600m2/g以上のCNTにおいて非常に大きい。CNTの比表面積が大きく、表面に気泡が付着し易いCNTであるほど、気泡が発生して付着した際に分散性が低下し易いからである。
なお、CNTへの気泡の付着の抑制による分散性の向上効果は、比表面積が大きいCNT、特に、比表面積が600m2/g以上のCNTにおいて非常に大きい。CNTの比表面積が大きく、表面に気泡が付着し易いCNTであるほど、気泡が発生して付着した際に分散性が低下し易いからである。
以上のような構成を有する分散システムとしては、例えば、製品名「BERYU SYSTEM PRO」(株式会社美粒製)などがあり、このような分散システムを用い、分散条件を適切に制御することで、分散処理を実施することができる。
<高分子材料エマルション>
本発明に用いる高分子材料エマルションは、分散媒中、高分子材料が高分子材料含有ミセルの形で安定に分散したものである。かかる高分子材料含有ミセルは、分散剤が高分子材料を取り囲むようにして会合体を形成してなるものであり、CNT分散液に含まれるCNT含有ミセルの表面電荷と反対の表面電荷を有する。
本発明に用いる高分子材料エマルションは、分散媒中、高分子材料が高分子材料含有ミセルの形で安定に分散したものである。かかる高分子材料含有ミセルは、分散剤が高分子材料を取り囲むようにして会合体を形成してなるものであり、CNT分散液に含まれるCNT含有ミセルの表面電荷と反対の表面電荷を有する。
本発明に用いる高分子材料エマルションは、通常、高分子材料、分散剤、および、分散媒を含んでなる。当該高分子材料としては、通常、ゴムまたは樹脂が用いられ、前記分散剤および分散媒としては、<カーボンナノチューブ分散液>の項で記載したものと同様のものが用いられる。なお、高分子材料エマルションには、高分子材料、分散剤、および、分散媒以外の成分が含まれていてもよい。
前記高分子材料エマルションとしては、通常、分散媒としての水中に高分子材料としてのゴムまたは樹脂が乳化分散してなるゴムラテックスまたは樹脂ラテックスが好適に用いられる。ラテックスは、調製する複合材料の用途を考慮して、CNT分散液に含まれるCNT含有ミセルの表面電荷と反対の電荷を有する高分子材料含有ミセルを含むものを調製または選択して使用すればよい。
前記ゴムラテックスとしては、特に限定されることなく、天然ゴムラテックス、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などが挙げられる。
前記樹脂ラテックスとしては、特に限定されることなく、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、シリコーン樹脂などのラテックスが挙げられる。
なお、上述したラテックスは一般に、以下の方法を用いて調製することができる。
(1)有機溶媒に溶解した樹脂またはゴムの溶液を、界面活性剤の存在下に水中で乳化し、所望により有機溶媒を除去してラテックスを得る方法
(2)樹脂またはゴムを構成する単量体を、乳化重合または懸濁重合して、直接ラテックスを得る方法
(1)有機溶媒に溶解した樹脂またはゴムの溶液を、界面活性剤の存在下に水中で乳化し、所望により有機溶媒を除去してラテックスを得る方法
(2)樹脂またはゴムを構成する単量体を、乳化重合または懸濁重合して、直接ラテックスを得る方法
高分子材料エマルションに含まれる高分子材料含有ミセルは、分散媒中、分散剤が高分子材料を取り囲むようにして会合体を形成してなるものであるが、その表面電荷は高分子材料の表面に付着した分散剤の電荷に依存するものと推定される。従って、高分子材料の分散効果を考慮すると共に、水に溶けてイオン化した際の電荷に応じて使用する分散剤を選択することで、所望の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションを調製することができる。また、高分子材料エマルションとして好適に用いられる前記のようなラテックスは種々のものが市販されており、用いるCNT分散液に含まれるCNT含有ミセルの表面電荷と反対の表面電荷を有するミセルを含むものを選択して使用すればよい。ラテックスの特性は、各メーカーからの製品情報を参照し、また、高分子材料含有ミセルの表面電荷を、ゼータ電位測定装置を用いて測定することで、確認することができる。また、製品として入手したエマルションを、適宜、水もしくは同電荷を示す界面活性剤を含む水溶液で希釈して使用してもよい。逆に、エバポレーターで濃縮して濃度を調整することもできる。さらに、エマルションの安定性を損なわない範囲でPHを調整することもできる。
高分子材料エマルション中の高分子材料成分(固形分)の濃度は、特に限定されないが、該エマルション中での均一分散性を確保する観点から、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%である。
<カーボンナノチューブ分散液と高分子材料エマルションの混合>
本発明の複合材料の製造方法においては、上述のCNT含有ミセルを含むCNT分散液と、上述の高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションと、を混合し、凝固させることにより、CNTと高分子材料との複合材料を得る。混合に供する、CNT分散液と高分子材料エマルションとの組み合わせとしては、正の表面電荷を有するCNT含有ミセルを含むCNT分散液と負の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルション、または負の表面電荷を有するCNT含有ミセルを含むCNT分散液と正の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルション、が挙げられるが、得られる複合材料においてCNTの分散性を高める観点から、後者の組み合わせが好ましい。
本発明の複合材料の製造方法においては、上述のCNT含有ミセルを含むCNT分散液と、上述の高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションと、を混合し、凝固させることにより、CNTと高分子材料との複合材料を得る。混合に供する、CNT分散液と高分子材料エマルションとの組み合わせとしては、正の表面電荷を有するCNT含有ミセルを含むCNT分散液と負の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルション、または負の表面電荷を有するCNT含有ミセルを含むCNT分散液と正の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルション、が挙げられるが、得られる複合材料においてCNTの分散性を高める観点から、後者の組み合わせが好ましい。
なお、混合に供する、CNT分散液と高分子材料エマルションはそれぞれ、少なくとも1種のCNT含有ミセルと少なくとも1種の高分子材料含有ミセルを含んでおればよい。また、CNT分散液は、含まれるCNT含有ミセルの表面電荷と同じ表面電荷を有する1種以上の高分子材料含有ミセルを含んでいてもよく、同様に、高分子材料エマルションは、含まれる高分子材料含有ミセルの表面電荷と同じ表面電荷を有する1種以上のCNT含有ミセルを含んでいてもよい。さらに、混合の際に用いる、CNT分散液と高分子材料エマルションはそれぞれ、1種からなっても、または2種以上からなってもよい。その場合、CNTが全体に渡って均一に分散した複合材料を効率よく得る観点から、全てのCNT分散液と高分子材料エマルションを同時に混合するのが好ましい。従って、所用のCNT分散液と高分子材料エマルションとの混合は、例えば、表面電荷が正と負のCNT含有ミセルをそれぞれ含む2種のCNT分散液を用意し、一方、表面電荷が正の高分子材料含有ミセルを含む1種の高分子材料エマルションを用意し、それらを同時に混合するか、または表面電荷が正のCNT含有ミセルを含むCNT分散液と高分子材料エマルションとを予め混合しておき、次いで得られた混合物と表面電荷が負のCNT含有ミセルを含むCNT分散液とを混合することにより、あるいは、表面電荷が負のCNT含有ミセルを含む1種類のCNT分散液を用意し、一方、表面電荷が正と負の高分子材料含有ミセルをそれぞれ含む2種類の高分子材料エマルションを用意し、それらを同時に混合するか、または表面電荷が負のCNT含有ミセルを含むCNT分散液と表面電荷が負の高分子材料エマルションとを予め混合しておき、次いで得られた混合物を表面電荷が正の高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションと混合することにより、行うことができる。
CNT分散液と、高分子材料エマルションと、を混合する際、任意に添加剤を配合してもよい。混合は、例えば撹拌羽、磁気撹拌装置、遊星ミルなどの既知の撹拌機を用いて行うことができる。
前記添加剤としては、特に限定されることなく、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、架橋剤、顔料、着色剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、香料などを挙げることができる。
なお、これらの添加剤は、本発明の所望の効果の発現が阻害されない限り、複合材料を調製した後、溶融混練等を用いて当該複合材料に直接配合してもよい。
なお、これらの添加剤は、本発明の所望の効果の発現が阻害されない限り、複合材料を調製した後、溶融混練等を用いて当該複合材料に直接配合してもよい。
本発明の複合材料の製造方法においては、所用のCNT分散液と高分子材料エマルションとを混合することで、上述した公知の凍結乾燥、アルコール凝固、塩析などの凝固処理を経ずとも、複合材料を凝固により十分に析出させることができる。なお、混合時間は、CNTの損傷を防止しつつ、複合材料を十分に析出させる観点から、好ましくは5分以上、より好ましくは30分以上であり、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下である。混合後、たとえばろ過を行い、任意に乾燥して分散媒を除去後、複合材料を容易に回収することができる。
混合に際し、CNTの量は、高分子材料100質量部に対して、0.01質量部以上とすることが好ましく、0.1質量部以上とすることがより好ましく、0.25質量部以上とすることが更に好ましく、また、10質量部以下とすることが好ましく、7質量部以下とすることがより好ましく、5質量部以下とすることが更に好ましい。高分子材料100質量部当たりのCNTの量を、0.01質量部以上とすれば、得られる複合材料に十分な導電性や機械的特性を付与することができ、また、10質量部以下とすれば、CNTの損傷を防止しつつ、得られる複合材料中でCNTを均一に分散させることができる。
(複合材料および複合材料成形体)
本発明の複合材料の製造方法を用いて得られる複合材料は、CNTを、高分子材料からなるマトリックス中に均一に分散させた状態で含有している。そして、当該複合材料は、任意に乾燥させた後、複合材料成形体の材料として用いることができる。
ここで、複合材料成形体は、上述した複合材料を、所望の成形品形状に応じた成形機、例えば押出機、射出成形機、圧縮機、ロール機等により成形して得ることができる。なお、複合材料成形体には、任意に架橋処理を施してもよい。
本発明の複合材料の製造方法を用いて得られる複合材料は、CNTを、高分子材料からなるマトリックス中に均一に分散させた状態で含有している。そして、当該複合材料は、任意に乾燥させた後、複合材料成形体の材料として用いることができる。
ここで、複合材料成形体は、上述した複合材料を、所望の成形品形状に応じた成形機、例えば押出機、射出成形機、圧縮機、ロール機等により成形して得ることができる。なお、複合材料成形体には、任意に架橋処理を施してもよい。
そして、上述のようにして得られた複合材料成形体では、CNTが、高分子材料からなるマトリックス中に均一に分散しているので、優れた導電性や機械的特性が得られる。
なお、複合材料成形体は、特に限定されることなく、ホース、タイヤ、電磁波シールドの材料などとして用いることができる。
なお、複合材料成形体は、特に限定されることなく、ホース、タイヤ、電磁波シールドの材料などとして用いることができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において使用したカーボンナノチューブは、以下の方法で合成した。また、複合材料の導電率は、以下の方法を使用して評価した。
なお、実施例および比較例において使用したカーボンナノチューブは、以下の方法で合成した。また、複合材料の導電率は、以下の方法を使用して評価した。
(カーボンナノチューブの合成)
国際公開第2006/011655号の記載に従い、スーパーグロース法によりCNT(SGCNT−1)を調製した。なお、SGCNT−1の調製時には、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガスを用いた。
得られたSGCNT−1は、BET比表面積が1050m2/g(未開口)、マイクロ孔容積が0.44mL/gであり、ラマン分光光度計での測定において、単層CNTに特長的な100〜300cm-1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のスペクトルが観察された。また、透過型電子顕微鏡を用い、無作為に100本のSGCNT−1の直径および長さを測定した結果、平均直径(Av)が3.3nm、直径の標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)が1.9nm、それらの比(3σ/Av)が0.58、平均長さが500μmであった。
国際公開第2006/011655号の記載に従い、スーパーグロース法によりCNT(SGCNT−1)を調製した。なお、SGCNT−1の調製時には、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガスを用いた。
得られたSGCNT−1は、BET比表面積が1050m2/g(未開口)、マイクロ孔容積が0.44mL/gであり、ラマン分光光度計での測定において、単層CNTに特長的な100〜300cm-1の低波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のスペクトルが観察された。また、透過型電子顕微鏡を用い、無作為に100本のSGCNT−1の直径および長さを測定した結果、平均直径(Av)が3.3nm、直径の標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)が1.9nm、それらの比(3σ/Av)が0.58、平均長さが500μmであった。
(評価方法)
<導電率>
低抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、製品名「ロレスタ(登録商標)−GP MCP−T610」)を使用し、JIS K7194に準拠した方法で以下のように測定した。
まず、調製した複合材料450mgを、真空下において、温度120℃、圧力0.4MPa、加圧時間5分の条件で真空プレス成形し、直径が約40〜60mm、厚さが100〜500μmの薄膜円盤状に成形した。その後、10mm×10mmの正方形状試験片を4個切り出し、測定サンプルとした。低抵抗率計の四端針プローブには、PSPプローブを選択した。測定サンプルを絶縁ボードの上に固定し、測定サンプルの中心位置(縦5mm横5mmの位置)にプローブを押し当て、10Vの電圧をかけ導電率を測定した。4個の測定サンプルの導電率を測定し、その平均値を複合材料の導電率とした。
<導電率>
低抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、製品名「ロレスタ(登録商標)−GP MCP−T610」)を使用し、JIS K7194に準拠した方法で以下のように測定した。
まず、調製した複合材料450mgを、真空下において、温度120℃、圧力0.4MPa、加圧時間5分の条件で真空プレス成形し、直径が約40〜60mm、厚さが100〜500μmの薄膜円盤状に成形した。その後、10mm×10mmの正方形状試験片を4個切り出し、測定サンプルとした。低抵抗率計の四端針プローブには、PSPプローブを選択した。測定サンプルを絶縁ボードの上に固定し、測定サンプルの中心位置(縦5mm横5mmの位置)にプローブを押し当て、10Vの電圧をかけ導電率を測定した。4個の測定サンプルの導電率を測定し、その平均値を複合材料の導電率とした。
(実施例1)
<CNT分散液の調製>
分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS、アニオン性界面活性剤)の1質量%水溶液500mLに、製造例1で得られたSGCNT−1を1.5g添加し、CNT−分散剤含有液を得た。当該CNT−分散剤含有液を湿式ジェットミル(常光社製、製品名「JN−20」)用いて圧力75MPa、温度20度の条件で18回処理して、CNT分散液−1を得た。
<高分子材料エマルションの用意>
高分子材料エマルションとして、水中に高分子材料としてスチレン―ブタジエン共重合体を含むカチオン性樹脂ラテックス−1(DIC製、商品名:ラックスター DS−10)を64g(固形分相当で30g)用意した。
<CNT分散液と高分子材料エマルションの混合>
CNT分散液−1と上述のカチオン性樹脂ラテックス−1とを同時に、500mLの水が入った撹拌装置付きの容器に素早く注ぎこみ、その後撹拌を開始した。1時間撹拌を続けた結果、多数の黒色のクラム状浮遊物が得られた。これらクラム状浮遊物を吸引濾過で回収し、加熱減圧乾燥で乾燥して29.2gの複合材料1を得た。この複合材料1の導電率は、2.1S/cmであった。
<CNT分散液の調製>
分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS、アニオン性界面活性剤)の1質量%水溶液500mLに、製造例1で得られたSGCNT−1を1.5g添加し、CNT−分散剤含有液を得た。当該CNT−分散剤含有液を湿式ジェットミル(常光社製、製品名「JN−20」)用いて圧力75MPa、温度20度の条件で18回処理して、CNT分散液−1を得た。
<高分子材料エマルションの用意>
高分子材料エマルションとして、水中に高分子材料としてスチレン―ブタジエン共重合体を含むカチオン性樹脂ラテックス−1(DIC製、商品名:ラックスター DS−10)を64g(固形分相当で30g)用意した。
<CNT分散液と高分子材料エマルションの混合>
CNT分散液−1と上述のカチオン性樹脂ラテックス−1とを同時に、500mLの水が入った撹拌装置付きの容器に素早く注ぎこみ、その後撹拌を開始した。1時間撹拌を続けた結果、多数の黒色のクラム状浮遊物が得られた。これらクラム状浮遊物を吸引濾過で回収し、加熱減圧乾燥で乾燥して29.2gの複合材料1を得た。この複合材料1の導電率は、2.1S/cmであった。
(実施例2)
アニオン性界面活性剤であるSDBSに替えてカチオン性界面活性剤であるドデシルトリメチルアンモニウムブロミドを使用し、カチオン性樹脂ラテックス−1に替えて高分子材料としてスチレン−ブタジエン共重合体を含むアニオン性樹脂ラテックス−2(日本ゼオン製、商品名:Nipol Lx206)を65g(固形分相当で30g)使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。攪拌後に、多数の黒色のクラム状浮遊物が得られた。そして、27.8gの複合材料2を得た。この複合材料2の導電率は2.3S/cmであった。
アニオン性界面活性剤であるSDBSに替えてカチオン性界面活性剤であるドデシルトリメチルアンモニウムブロミドを使用し、カチオン性樹脂ラテックス−1に替えて高分子材料としてスチレン−ブタジエン共重合体を含むアニオン性樹脂ラテックス−2(日本ゼオン製、商品名:Nipol Lx206)を65g(固形分相当で30g)使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。攪拌後に、多数の黒色のクラム状浮遊物が得られた。そして、27.8gの複合材料2を得た。この複合材料2の導電率は2.3S/cmであった。
(実施例3)
SGCNT−1に替えて多層カーボンナノチューブ(Nanocyl社製、製品名「NC7000」、3σ/Av:0.28、BET比表面積:290m2/g)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。攪拌後に、多数の黒色のクラム状浮遊物が得られた。そして、29.1gの複合材料3を得た。この複合材料3の導電率は0.084S/cmであった。
SGCNT−1に替えて多層カーボンナノチューブ(Nanocyl社製、製品名「NC7000」、3σ/Av:0.28、BET比表面積:290m2/g)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行った。攪拌後に、多数の黒色のクラム状浮遊物が得られた。そして、29.1gの複合材料3を得た。この複合材料3の導電率は0.084S/cmであった。
(比較例1)
カチオン性樹脂ラテックス−1に替えてアニオン性樹脂ラテックス−2を65g(固形分相当で30g)使用した以外は、実施例1と同様の操作によりCNT分散液と高分子材料エマルションの混合を行った。しかしながら、わずかに黒い微粒子が生じたのみで、実施例1〜3のような多数の黒色のクラム状浮遊物は得られず、複合材料を回収することができなかった。
カチオン性樹脂ラテックス−1に替えてアニオン性樹脂ラテックス−2を65g(固形分相当で30g)使用した以外は、実施例1と同様の操作によりCNT分散液と高分子材料エマルションの混合を行った。しかしながら、わずかに黒い微粒子が生じたのみで、実施例1〜3のような多数の黒色のクラム状浮遊物は得られず、複合材料を回収することができなかった。
(比較例2)
アニオン性界面活性剤であるSDBSに替えてカチオン性界面活性剤であるドデシルトリメチルアンモニウムブロミドを使用した以外は、実施例1と同様の操作によりCNT分散液と高分子材料エマルションの混合を行った。しかしながら、わずかに黒い微粒子が生じたのみで、実施例1〜3のような多数の黒色のクラム状浮遊物は得られず、複合材料を回収することができなかった。
アニオン性界面活性剤であるSDBSに替えてカチオン性界面活性剤であるドデシルトリメチルアンモニウムブロミドを使用した以外は、実施例1と同様の操作によりCNT分散液と高分子材料エマルションの混合を行った。しかしながら、わずかに黒い微粒子が生じたのみで、実施例1〜3のような多数の黒色のクラム状浮遊物は得られず、複合材料を回収することができなかった。
実施例1〜3と比較例1〜2より、本発明の複合材料の製造方法によれば、所用のCNT分散液と高分子材料エマルションとを混合することで、凝固して複合材料が析出し、効率よく複合材料を製造できることが分かる。
本発明によれば、カーボンナノチューブを含有する複合材料を効率的に製造する方法を提供することができる。
また、本発明によれば、当該製造方法を用いて製造される複合材料、および当該複合材料を成形してなる複合材料成形体を提供することができる。
また、本発明によれば、当該製造方法を用いて製造される複合材料、および当該複合材料を成形してなる複合材料成形体を提供することができる。
Claims (5)
- カーボンナノチューブ含有ミセルを含むカーボンナノチューブ分散液と、前記カーボンナノチューブ含有ミセルの表面電荷と反対の表面電荷を有する高分子材料含有ミセルを含む高分子材料エマルションと、を混合し、凝固させることにより、カーボンナノチューブと高分子材料との複合材料を得る工程を有する複合材料の製造方法。
- 前記カーボンナノチューブが、平均直径(Av)と直径の標準偏差(σ)とが、関係式:0.20<(3σ/Av)<0.60を満たす、請求項1に記載の複合材料の製造方法。
- 前記カーボンナノチューブのBET比表面積が600m2/g以上である、請求項1または2に記載の複合材料の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の複合材料の製造方法により得られる複合材料。
- 請求項4に記載の複合材料を成形してなる複合材料成形体。
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