JP2015227407A - アクリル樹脂 - Google Patents

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敬亘 ▲辻▼井
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Abstract

【課題】優れたひずみ硬化性を有するアクリル樹脂を提供すること。【解決手段】少なくとも2種の単量体を反応させることを含む重合法により製造される分岐アクリル樹脂であって、前記単量体が、少なくとも主鎖形成アクリル系単量体(好ましくはメタクリル酸メチル)と分岐鎖形成単量体(好ましくは2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレート)とを含み、多官能性単量体の含有量が0.2重量%以下であり、前記分岐アクリル樹脂の1分子あたりの枝数が平均で0.1〜30であり、前記重合法において、前記主鎖形成アクリル系単量体と前記分岐鎖形成単量体とを重合させて、前記分岐鎖形成単量体に由来する単位から、リビングラジカル重合によって、前記分岐アクリル樹脂の分岐鎖を形成することを特徴とする、分岐アクリル樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル樹脂、特にその伸長流動において優れたひずみ硬化性を有する分岐アクリル樹脂に関する。
一般に、ひずみ硬化性を有する樹脂材料は、その成形時に応力がかかると、その内部において、ひずみの進行を抑制することができるので、様々な利点を提供することができる。
例えば、アクリル樹脂などの樹脂材料を溶融押出成形でフィルム状に成形する場合、樹脂材料が上述のひずみ硬化性を有していると、その成形時において、一般にネックインと呼ばれる現象を抑制することができる。
また、ブロー成形や真空成形では、上述のひずみ硬化性によって、より均一な厚みの成形品を提供することができる。
例えば、特許文献1には、ひずみ硬化性を有するアクリル樹脂が開示されている。
特開2004−142424号公報
特許文献1に開示のアクリル樹脂は、その架橋構造によって、ひずみ硬化性を発現させている。
従って、特許文献1に開示のアクリル樹脂では、その架橋構造に起因して、その流動性は乏しく、上述のフィルム成形やブロー成形など溶融を利用した加工を行うことは困難であり、その成形方法は、熱成形加工に限定されていた。
従って、本発明の目的は、溶融を利用した成形加工において、特に伸長流動において、優れたひずみ硬化性を有するアクリル樹脂を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、樹脂の架橋構造ではなく、樹脂の分岐を利用することによって、その伸長流動において、優れたひずみ硬化性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、以下の分岐アクリル樹脂を提供するが、本発明は、以下の樹脂に限定して解釈されるべきではない。
[1]
少なくとも2種の単量体を反応させることを含む重合法により製造される分岐アクリル樹脂であって、前記単量体が、少なくとも主鎖形成アクリル系単量体と分岐鎖形成単量体とを含み、多官能性単量体の含有量が0.2重量%以下であり、前記分岐アクリル樹脂の1分子あたりの枝数が平均で0.1〜30であり、前記重合法において、前記主鎖形成アクリル系単量体と前記分岐鎖形成単量体とを重合させて、前記分岐鎖形成単量体に由来する単位から、リビングラジカル重合によって、前記分岐アクリル樹脂の分岐鎖を形成することを特徴とする、分岐アクリル樹脂。
[2]
前記主鎖形成アクリル系単量体がメタクリル酸メチルであり、前記分岐鎖形成単量体が2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレートである、上記[1]に記載の分岐アクリル樹脂。
[3]
一軸伸長流動において、ひずみ硬化度が2以上である、上記[1]または[2]に記載の分岐アクリル樹脂。
[4]
絶対分子量が30,000g/mol〜3,000,000g/molである、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の分岐アクリル樹脂。
本発明の分岐アクリル樹脂によると、伸長流動、特に一軸伸長流動において、優れたひずみ硬化性を提供することができる。
ひずみ硬化およびひずみ硬化度を模式的に示す図である。 MMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM))のH−NMRスペクトルを示す。
本発明は、以下にて詳細に説明する少なくとも2種の単量体を反応させることを含む重合法により製造される分岐アクリル樹脂に関する。
本発明の分岐アクリル樹脂は、その重合において使用される単量体が、少なくとも主鎖形成アクリル系単量体と分岐鎖形成単量体とを含み、多官能性単量体の含有量が0.2重量%以下、望ましくは多官能性単量体を含まないことを特徴とし、さらに分岐アクリル樹脂の1分子あたりの枝数が平均で0.1〜30であることを特徴とする。このような特徴によって、本発明の分岐アクリル樹脂は、優れたひずみ硬化性、なかでも特に一軸伸長流動において、優れたひずみ硬化性(例えば、以下にて詳細に説明する2以上のひずみ硬化度)と、溶融成形性とのバランスに優れる材料を提供する可能性がある。
本発明において、「主鎖形成アクリル系単量体」とは、以下にて詳細に説明する通り、本発明の分岐アクリル樹脂の主鎖を構成することのできる重合性反応部位を1つ有するアクリル系単量体(例えば、(メタ)アクリル酸エステルなど)である。
本発明において、「分岐鎖形成単量体」とは、以下にて詳細に説明する通り、上述の主鎖形成アクリル系単量体の重合性反応部位と反応することのできる重合性反応部位を1つ有し、なおかつ本発明のアクリル樹脂に分岐鎖を与えることのできる単量体である。
例えば、分岐鎖形成単量体としては、以下の分岐鎖形成単量体(a)などが挙げられるが、本発明で使用する分岐鎖形成単量体は、かかる単量体に限定されるものではない。
分岐鎖形成単量体(a):上述の「主鎖形成アクリル系単量体」の重合性反応部位と反応することのできる重合性反応部位を1つと、本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖を成長により形成することのできる反応性部位を1つ有するもの(以下、「単量体a」)
ここで、本発明の分岐アクリル樹脂の「主鎖」とは、上述の主鎖形成アクリル系単量体から誘導される単位を含んで成る鎖(通常、最も分子量の大きな鎖)を意味する。また、「分岐鎖」とは、上述の分岐鎖形成単量体に由来する単位から分岐するポリマー鎖を含んでなる鎖(通常、主鎖よりも小さな分子量を有するポリマー鎖を含んでなる側鎖)を意味する。なお、かかるポリマー鎖は、以下にて詳細に説明する反応性モノマーを使用して例えばリビングラジカル重合などによって形成することができるものである。
本発明の分岐アクリル樹脂の絶対分子量は、例えば30,000g/mol〜3,000,000g/mol、好ましくは35,000g/mol〜1,000,000g/mol、より好ましくは40,000g/mol〜500,000g/molである。分岐アクリル樹脂の分子量が上記の範囲内であると、溶融成形可能で、なおかつ、ひずみ硬化度が向上するなどの効果が得られる。
本発明の分岐アクリル樹脂の主鎖の絶対分子量は、例えば20,000g/mol〜2,800,000g/mol、好ましくは30,000g/mol〜900,000g/mol、より好ましくは35,000g/mol〜400,000g/molである。主鎖の分子量が、上記の範囲内であると、溶融成形可能で、なおかつ、ひずみ硬化度が向上するなどの効果が得られる。
また、本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖の分子量は、例えば1,000g/mol〜500,000g/mol、好ましくは2,000g/mol〜400,000g/mol、より好ましくは3,000g/mol〜300,000g/molである。分岐鎖の分子量が上記の範囲内であると、溶融成形可能で、なおかつ、ひずみ硬化度が向上するなどの効果が得られる。
ここで、上述の分子量は、いずれも絶対分子量である。絶対分子量は、一般に直鎖のアクリル樹脂であれば、例えば、RI(示差屈折)検出器を用いて標準PMMA換算分子量として計算される。また、分岐鎖を有するアクリル樹脂であれば、多角度レーザー光散乱検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、主鎖及び分岐鎖の絶対分子量を測定または決定することができる。
本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖の枝数は、分岐アクリル樹脂1分子あたり、平均で0.1〜30、好ましくは0.3〜30、より好ましくは0.5〜30、さらにより好ましくは1〜30である。なお、枝数が上記の範囲内であると、ひずみ硬化性と溶融成形性とのバランスに優れる材料を提供する可能性がある。
本発明において、分岐アクリル樹脂の分岐鎖の枝数は、基本的に分岐アクリル樹脂1分子あたりに含まれる分岐鎖形成単量体の数に相当し得る。また、本発明において、分岐アクリル樹脂の分岐鎖の枝数は、製造された分岐アクリル樹脂の1分子あたりの枝数の平均値を意味する。
本発明の分岐アクリル樹脂は、以下にて詳細に説明する通り、例えば、従来公知の重合法を利用して、上述の主鎖形成アクリル系単量体と、上述の分岐鎖形成単量体として例えば上述の「単量体a」との反応を含む「grafting from 法」によって製造することができる。例えば、「新訂版 ラジカル重合ハンドブック」(株式会社エヌ・ティー・エス)、2010年9月10日発行)および以下の製造方法についての詳細な説明を参照のこと。
本発明において使用することのできる主鎖形成アクリル系単量体と分岐鎖形成単量体とのモル比に特に制限はなく、所望の枝数に応じて、適宜決定すればよい。
また、本発明の分岐アクリル樹脂の重合法において、単量体として、上述の「主鎖形成アクリル系単量体」および「分岐鎖形成単量体」に加えて、2以上の官能基を有する多官能性単量体を使用してもよいが、本発明において使用することのできる多官能性単量体の含有量は、0.2重量%以下である。
ここで、多官能性単量体の含有量とは、本発明の分岐アクリル樹脂の製造の全工程において使用する多官能性単量体の合計量(重量%)を意味する。
また、本発明では多官能性単量体を使用しないことが好ましい。
本発明において、多官能性単量体を使用しないとは、本発明の分岐アクリル樹脂の製造の全工程において、上述の「主鎖形成アクリル系単量体」および「分岐鎖形成単量体」を除いて、多官能性単量体を使用しない(又は含まない)ことを意味する。
本発明において、「多官能性単量体」とは、2以上の官能基を有する多官能性単量体を意味し、その官能基としては、例えば、重合可能な炭素−炭素(C−C)二重結合を含む基(例えば、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
かかる多官能性単量体としては、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、かかる多官能性単量体は、一般に「架橋剤」としても知られている。
本発明では、かかる多官能性単量体(又は架橋剤)は、上述の通り、その含有量が0.2重量%以下であるか、あるいは全く使用されないので、本発明の分岐アクリル樹脂には、このような多官能性単量体に起因して形成される架橋構造は実質的に含まれない。
従って、本発明の分岐アクリル樹脂は、上述の多官能性単量体に由来する架橋構造に依存することなく、上述の分岐構造によって優れたひずみ硬化性を提供することができる。
ここで、「ひずみ硬化性」とは、一般に、軟化、あるいは溶融状態にある樹脂材料が、ひずみと共にその伸長粘度が急激に増加する性質を意味する。
ひずみ硬化性は、一般に「ひずみ硬化度」で評価することができ、本発明では、他に特に明記しない限り、一軸伸長流動において決定される伸長粘度(いわゆる一軸伸長粘度)(η)に基づいて決定することができるものである。
ここで、「伸長粘度(すなわち、一軸伸長粘度)」(η)は、例えば回転型レオメータ等を用いて、以下の式(1)に基づいて決定することができる。
Figure 2015227407
式中、σ(t)は、時刻t(秒)における伸長応力(Pa)である。
式中、
Figure 2015227407
(イプシロンドット)は、ひずみ速度(s−1)を示す。
ひずみ速度
Figure 2015227407
の値(s−1)は、特に制限はなく、例えば0.00001s−1〜100s−1であるが、本発明では、他に特に明記しない限り、1s−1である。また、上述の伸長応力およびひずみ速度を測定する温度にも特に制限はなく、例えばアクリル系樹脂の場合、通常120℃〜250℃であるが、本発明では、他に特に明記しない限り、180℃である。
本発明において、ひずみ硬化度(A)は、上述の伸長粘度(η)から、以下の式(2)に基づいて決定することができる。
A=(ηEmax(t))/(ηE0(t)) (2)
式中、ηEmax(t)は、時刻t(秒)における伸長粘度の最大値であり、ηE0(t)は、同じ時刻t(秒)における線形伸長粘度を示す。
ηE0(t)で示される「線形伸長粘度」は、ひずみ速度がゼロ(0)で時刻t(秒)における極限の伸長粘度を意味し、例えば、図1に模式的に示す曲線(B)で示されるものである(以下、「成長曲線」と呼ぶ場合もある)。
また、かかる線形伸長粘度(図1の曲線B)は、上述のように決定される一軸伸長粘度に対応して、例えば一軸伸長粘度のMaxwellモデルに離散型の緩和スペクトル(Giは緩和弾性率、λiは緩和時間を示す)を代入して求めることができる(例えば、テキストシリーズプラスチック成形加工学II成形加工における移動現象(社団法人プラスチック成型加工学会編)、63頁を参照のこと)。
なお、この離散型の緩和スペクトルは、公知のレオロジー解析ソフトウェア(例えば、IRISなど)で計算することができる。
また、離散型の緩和スペクトルは、上記の式と、上述のように決定した伸長粘度とから、最小二乗法により求めることも可能である(例えば、テキストシリーズプラスチック成形加工学II成形加工における移動現象(社団法人プラスチック成型加工学会編)、63頁を参照のこと)。
ここで、図1の曲線Cで示す通り、曲線B(線形伸長粘度)から、伸長粘度ηの急激な増加が観察されると、ひずみ硬化性(又は、ひずみ硬化(Strain Hardening))が得られたことを示す。
本発明において、上述のひずみ硬化度(A)は、上述の一軸伸長流動において、例えば2以上であり、好ましくは3〜100、より好ましくは4〜50である。
本発明の分岐アクリル樹脂において、ひずみ硬化度が上述の範囲内であると、フィルム成形や、ブロー成形などの溶融を利用した加工において、優れたひずみ硬化性を提供し、特にフィルム成形ではネックインを有意に低減することができる。また、ブロー成形や真空成形などでは、均一な膜厚の成形品を提供することができる。
<本発明の分岐アクリル樹脂の製造方法>
以下、本発明の分岐アクリル樹脂の製造方法について詳しく説明する。
本発明の分岐アクリル樹脂の製造方法は、特に限定されず、例えば、従来公知のラジカル重合、リビングラジカル重合、アニオン重合またはこれらを任意に組み合わせた重合法により製造することができる。
本発明の分岐アクリル樹脂は、単量体として、少なくとも上述の「主鎖形成アクリル系単量体」と「分岐鎖形成単量体」とを反応させることを含む重合法により製造することができ、より詳細には以下にて説明する通り、主鎖形成アクリル系単量体と分岐鎖形成単量体とを重合させて共重合体を形成し、この共重合体に含まれる分岐鎖形成単量体に由来する単位から、例えばリビングラジカル重合によって、本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖を形成することを特徴とする。
(主鎖形成アクリル系単量体)
本発明において使用することのできる主鎖形成アクリル系単量体としては、例えば、本発明の分岐アクリル樹脂の主鎖を構成することのできる重合性反応部位(例えば、重合が可能な炭素−炭素(C−C)二重結合などを含む基など)を1つ有するアクリル系単量体などが挙げられる。
なお、本発明において、主鎖形成アクリル系単量体は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
主鎖形成アクリル系単量体としては、以下の式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルを使用することが好ましい。
Figure 2015227407
は、水素原子またはメチル基であり、好ましくはメチル基である。
は、炭素数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基などであり、好ましくはメチル基である。
式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル(R=メチル基、R=メチル基)を使用することが特に好ましい。
(分岐鎖形成単量体)
本発明において使用することのできる分岐鎖形成単量体としては、上述の主鎖形成アクリル系単量体の重合性反応部位と反応することのできる重合性反応部位を1つ有し、なおかつ本発明のアクリル樹脂に分岐鎖を与えることのできる単量体であれば特に制限はない。
なお、本発明において、分岐鎖形成単量体は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
分岐鎖形成単量体としては、以下の単量体aを使用することが好ましい。
単量体a:上述の「主鎖形成アクリル系単量体」の重合性反応部位と反応することのできる重合性反応部位を1つと、本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖を成長により形成することのできる反応性部位を1つ有するもの
従って、単量体aは、上述の主鎖形成アクリル系単量体と反応して重合することによって共重合体を形成することができ、その共重合体の単量体aに由来する単位から、例えば従来公知のリビングラジカル重合などの重合法を利用して、本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖を成長により形成することのできるものである。
単量体aの重合性反応部位としては、例えば、重合可能な炭素−炭素(C−C)二重結合などを含む反応性部位が挙げられ、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチレン基、C1−6アルキル置換スチレン基、マレイミド基、>C=C<基、−CH=CH−基およびそれらの誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
また、単量体aにおいて、本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖を成長により形成することのできる反応性部位としては、例えば、光、熱またはその他の電磁波の照射によってラジカルを発生し得る官能基または触媒等と反応してラジカルを発生し得る官能基などが挙げられ、例えばリビングラジカル重合の開始点となり得る官能基であれば特に限定されず、アゾアルキル基などのアゾ基(−N=N)を有する基、パーオキシアルキル基などのパーオキシド基を有する基、Chem.Rev. 2006,106,3936−3962に記載のヨウ化アルキル基などのヨウ素原子を有する基、Chem.Rev. 2001,101,3661−3688に記載のニトロキシアルキル基等のニトロキシドを介するリビングラジカル重合開始基、Aust.J.Chem.,2005,58,379−410に記載のフェニルチオカルボニルチオメチルフェニル基等のチオカルボニルチオ基を有する可逆的付加・脱離連鎖移動重合反応の開始基、Chem.Rev. 2001,101,2921−2990およびChem.Rev. 2001,101,3689−3745に記載のα−ハロアシルオキシ基、α−ハロアシル基、ハロスルホニル基、α−ハロベンジル基などの原子移動ラジカル重合開始基などが挙げられる。
単量体aに含まれるこのような反応性部位としては、α−ハロアシルオキシ基、α−ハロアシル基、ハロスルホニル基が好ましい。
α−ハロアシルオキシ基、α−ハロアシル基およびハロスルホニル基に含まれるハロゲン原子としては、例えば、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、反応性の観点から、塩素原子および臭素原子が好ましい。
本発明では、分岐鎖形成単量体から、特に単量体aの上述の反応性部位から、より具体的には上述の反応性部位に含まれるハロゲン原子を他の分子で置換することによって、例えば、炭素−炭素(C−C)二重結合を含む分子をリビングラジカル重合により重合させて、本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖を成長により形成することができる(詳しくは、以下の「grafting from 法」に関する説明を参照のこと)。
α−ハロアシルオキシ基としては、例えば、2−クロロイソブチリロキシ基、2−ブロモイソブチリロキシ基、2−ヨードイソブチリロキシ基、2−クロロブチリロキシ基、2−ブロモブチリロキシ基、2−ヨードブチリロキシ基、2−クロロプロピオニルオキシ基、2−ブロモプロピオニルオキシ基、2−ヨードプロピオニルオキシ基、クロロフェニルアセトキシ基、ブロモフェニルアセトキシ基、ヨードフェニルアセトキシ基などが挙げられる。なかでも、2−クロロイソブチリロキシ基および2−ブロモイソブチリロキシ基が好ましく、特に2−ブロモイソブチリロキシ基が好ましい。
α−ハロアシル基としては、例えば、2−クロロイソブチリル基、2−ブロモイソブチリル基、2−ヨードイソブチリル基、2−クロロブチリル基、2−ブロモブチリル基、2−ヨードブチリル基、2−クロロプロピオニル基、2−ブロモプロピオニル基、2−ヨードプロピオニル基、ジクロロアセチル基、ジブロモアセチル基、ジヨードアセチル基などが挙げられる。なかでも、2−クロロイソブチリル基および2−ブロモイソブチリル基が好ましく、2−ブロモイソブチリル基が特に好ましい。
ハロスルホニル基としては、例えば、クロロスルホニル基、ブロモスルホニル基、ヨードスルホニル基などが挙げられる。なかでも、クロロスルホニル基、ブロモスルホニル基が好ましい。
また、単量体aにおいて、上記の反応性部位と、上述の「主鎖形成アクリル系単量体」の重合性反応部位と反応することのできる重合性反応部位との間には、特に限定されないが、例えば、連結基として、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基などの炭素数1〜20のアルキレン基およびそれらから誘導される基、−O−基、−S−基などが存在していてもよく、なかでも、連結基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましい。
本発明では、単量体aとして、重合性反応部位として(メタ)アクリロイルオキシ基、を有し、本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖を成長により形成することのできる反応性部位としてα−ハロアシルオキシ基を有するものが好ましく、なかでも特に2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレート(BIEM)が、重合性反応部位のラジカル重合性、分岐鎖を形成することのできる反応性部位の開始効率などの観点から好ましい。
Figure 2015227407
BIEMは、従来公知の方法により合成することができる(例えば、Macromolecules 1997, 30, 5192-5194を参照のこと)。なお、BIEMは、図示する通り、その重合性反応部位であるメタクリロイルオキシ基と、本発明の分岐アクリル樹脂の側鎖を形成するための反応性部位である2−ブロモイソブチリロキシ基との間に連結基としてエチレン基を有するものである。
本発明では、例えば、上述の単量体aと、上述の主鎖形成アクリル系単量体とを重合させて、予め「マクロイニシエータ」と呼ばれる共重合体を形成し、さらに単量体aに由来する単位に含まれる反応性部位から、側鎖を成長させて分岐鎖を形成することによって、本発明の分岐アクリル樹脂を形成することができる。このような製造方法は、一般に「grafting from 法」と呼ばれている(例えば、「新訂版 ラジカル重合ハンドブック」(株式会社エヌ・ティー・エス)、2010年9月10日発行)を参照のこと))。
以下、「grafting from 法」をより具体的に説明するために、主鎖形成アクリル系単量体として例えば上述の式(I)の(メタ)アクリル酸エステル(以下、「式(I)の単量体」と略記する)および分岐鎖形成単量体として例えば単量体aとして式(II)の(メタ)アクリル酸エステル系単量体(以下、「式(II)の単量体」と略記する)を用いて、本発明の分岐アクリル樹脂の製造方法を例示により説明する。ただし、本発明の分岐アクリル樹脂の製造方法は、かかる例示の方法に限定されるものではない。
Figure 2015227407
スキーム1において、式(I)の単量体のRおよびRは、上記に定義する通りであり、式(II)の単量体のRは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、上述の本発明の分岐アクリル樹脂の分岐鎖を成長により形成することのできる反応性部位を示す。
まず、スキーム1に示す通り、従来公知の重合法に従って、式(I)の単量体と式(II)の単量体とを重合させて、式(III)の「マクロイニシエータ」を形成する。
重合の様式としては、例えば従来公知のフリーラジカル重合、アニオン重合およびリビングラジカル重合などが挙げられ、重合の形態としては、例えば従来公知の懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法および溶液重合法などが挙げられる。
次いで、従来公知のリビングラジカル重合などを利用して、式(III)のマクロイニシエータに含まれる式(II)の単量体に由来する単位から(詳しくはRから)側鎖を成長させて分岐鎖を形成し、式(IV)で示される本発明の分岐アアクリル樹脂を形成することができる。
例えば、マクロイニシエータの反応性部位(すなわち、式(II)の単量体に由来する反応性部位であるR)に反応性モノマーを例えばリビングラジカル重合を利用して重合さることによって分岐鎖を形成する。
ここで、式(IV)において、Rは、上述の分岐鎖の形成において式(III)の単量体のRから誘導される2価の残基を意味し、Wは、側鎖の成長に使用した反応性モノマーに由来する繰り返し単位を示し、Tは、末端基を示す。
上記の式中、m、nおよびlは、それぞれ、繰り返し単位の数を示し、所望の分岐の枝数および分子量が得られる限り、特に制限はない。
ここで、式(IV)で示される本発明の分岐アクリル樹脂において、「分岐鎖」とは、上述の分岐鎖形成単量体(a)から分岐する繰り返し単位Wを含むポリマー鎖を含んで成る側鎖を意味することが理解できる。
繰り返し単位Wを形成することのできる反応性モノマーとしては、上述の多官能性単量体でなければ特に制限はなく、例えば、有機ラジカルの存在下にリビングラジカル重合反応が進行し得る炭素−炭素(C−C)二重結合などの反応基を1つ含むものであり、より具体的には、(メタ)アクリレート系モノマー(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等)などが挙げられる。
末端基Tは、特に制限はないが、例えば、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、水酸基などである。
このような「grafting from 法」において、使用する主鎖形成アクリル系単量体と分岐鎖形成単量体とのモル比に特に制限はなく、主鎖形成アクリル系単量体:分岐鎖形成単量体のモル比は、例えば、99.9997:0.0003〜85:15、好ましくは99.999:0.001〜90:10、より好ましくは99.998:0.002〜91.5:8.5である。
「grafting from 法」において、使用する分岐鎖形成単量体と反応性モノマーとのモル比に特に制限はなく、分岐鎖形成単量体:反応性モノマーのモル比は、例えば、1:5〜1:1000、好ましくは1:10〜1:800、より好ましくは1:10〜1:500である。
(他の単量体)
本発明では、上述の主鎖形成アクリル系単量体および側鎖形成単量体に加えて、他の単量体として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸エステル類、スチレンモノマーなどの単官能性モノマーを必要に応じて使用してもよい。
本発明において、他の単量体の配合量に特に制限はなく、1種または2種以上の単量体を適宜使用してもよい。
本発明の分岐アクリル樹脂を以下の実施例においてさらに具体的に説明するが、本発明の分岐アクリル樹脂は、以下の実施例にて記載されるものに限定されるものではない。
・分子量の測定法
本実施例において、分岐アクリル樹脂の数平均分子量(M)および重量平均分子量(M)ならびに絶対分子量は、以下の2つのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムを組み合わせて用いることによって測定した。
GPCシステム1:TOSOH ECOSEC HLC−8320GPC(カラムとして、TSKgel SuperMultipore HZ−M columnsと、TSKgel Super HZ 2500 columnとを備える)
GPCシステム2:Shodex GPC−101(カラムとして、guard column(Shodex GPC KF−G)と、2本の30cm mixed columns(Shodex GPC KF−804L)とを備える)
また、GPCシステム1、2は、いずれも、検出器として、標準PMMAで校正されたRI(示差屈折)検出器を備え、GPCシステム2は、絶対分子量の測定のために、さらに多角度レーザー光散乱検出器(MALLS、DAWN EOS、Wyatt Technology、Ga−As レーザー(λ=690nm))を備える。
また、GPCシステム1、2では、いずれにおいても、展開溶媒はTHFである。
・分岐鎖の枝数の決定法
本実施例において、分岐アクリル樹脂1分子あたりの平均の分岐鎖の数(分岐点数:p(平均))は、以下の式に従って決定した。
Figure 2015227407
式中の各記号の定義は、以下の通りである(以下のスキーム2も合わせて参照のこと)。
DP:主鎖の数平均重合度
n,bb,RI:主鎖の数平均分子量
w,MMA:主鎖形成アクリル系単量体として使用するメタクリル酸メチル(MMA)の分子量
w,BIEM:分岐鎖形成単量体として使用する2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレート(BIEM)の分子量
:MMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM))におけるMMAの共重合組成比
:MMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM))におけるBIEMの共重合組成比
・ひずみ硬化度の測定法
まず、本実施例で作製した分岐アクリル樹脂を200℃でプレス成形して、75mm×75mm×0.7mm(厚さ)の透明な樹脂シートを得る。
この樹脂シートの一軸伸長粘度を恒温槽(CTD−450)付のレオメーターMCR301(Anton Paar製)および一軸伸長粘度測定治具(Sentmanat Extensional Rheometer;SER))を用いて測定する(窒素雰囲気下、180℃)(詳しくは、Rheol Acta (2004) 43: 657-669、「Miniature universal testing platform: from extensional melt rheology to solid-state deformation behavior」を参照のこと)。
このようにして、一軸伸長流動において測定した一軸伸長粘度の値から、Maxwellモデルおよび離散型の緩和スペクトルとしてIRISを用いて、ひずみ硬化度を決定する。
[実施例1]
以下のスキーム2に従って、以下に記載の試薬を用いて、本発明の分岐アクリル樹脂を調製した。
Figure 2015227407
MMA:メタクリル酸メチル(住友化学(株)製、純度>99%)
BIEM:2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレートであって、Macromolecules 1997, 30, 5192-5194、「Preparation of Hyperbranched Polyacrylates by Atom Transfer Radical Polymerization. 1. Acrylic AB* monomers in ”Living” Radical Polymerizations.」に記載の方法に準じて調製したもの。
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製、純度:98.0%)
17SH:n−オクチルメルカプタン、東京化成工業(株)製、純度>95%
CuCl:塩化銅(I)(和光純薬工業(株)製、純度99.9%)
PMDETA:N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業(株)製、純度>98.0%)
アニソール:和光純薬工業(株)製、純度99.0%
スキーム2に示す通り、分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)は、「grafting from 法」によって、以下にて詳細に説明する第1工程および第2工程の2段階で合成した。
第1工程では、MMAとBIEMとをラジカル重合により共重合させてマクロイニシエーターとして機能するMMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM))を合成した。第2工程では、かかるマクロイニシエーターのBIEM部分において、さらにMMAを用いて原子移動ラジカル重合法(Atomic Transfer Radical Polymerization (ATRP))によって側鎖を成長させて分岐鎖を形成して分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)を合成した。
(第1工程:MMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM))の合成)
窒素置換した反応容器にアニソール(236.6g)、MMA(350.42g、3,500mmol)、BIEM(2.93g、10.53mmol)、n−オクチルメルカプタン(1.06g)およびAIBN(0.53g)を添加して溶解させた。その後、60℃で6時間にわたって撹拌した後、反応を停止し、生成した重合溶液をメタノール中で再沈殿精製を行った。ろ過した固形物を真空乾燥器中で60℃で16時間にわたって乾燥させて、MMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM))を得た。なお、この第1工程によって得られた主鎖の数平均分子量は、37,500g/molであった。
MMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM))のH−NMRスペクトルを図2に示す(Varian NMR System PS400WBスペクトロメーター、内部標準物質:テトラメチルシラン(TMS)、CDCl、室温)。
MMA−BIEM共重合体において、MMAから誘導される単位とBIEMから誘導される単位との共重合組成比(MMA:BIEM)は、99.5:0.5であった。
なお、この共重合組成比は、図2に示すH−NMRスペクトルから、3.0〜3.8ppmにみられるMMAのメチルエステル基のメチルプロトンのピーク[c]と、4.1〜4.4ppmにみられるBIEMのエチレンオキサイド基のメチレンプロトンのピーク[f,g]との強度比から求めた。
このMMA−BIEM共重合体は、以下の第2工程において、マクロイニシエータとして使用した。
(第2工程:分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)の合成)
窒素置換した反応容器にアニソール(769.3g)、MMA−BIEM共重合体(120.0g、11.88mmol)、PMDETA(2.06g、11.88mmol)およびMMA(594.6g、5939.0mmol)を添加して溶解させた。反応容器を窒素バブリング後、CuCl(0.588g、5.94mmol)を室温下で添加した。60℃で15分間にわたって撹拌した後、反応を停止し、生成した重合溶液をメタノール中で再沈殿精製を行った。ろ過した固形物を真空乾燥器中で60℃で16時間にわたって乾燥させて、分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)を得た(m=373、n=1.9、l=249)。
(分岐アクリル樹脂の同定)
・分子量の測定
上述の測定法に従って測定した実施例1の分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)の数平均分子量(M)は、84,800g/molであり、重量平均分子量(M)のMnに対する比は、1.70であった。
また、実施例1の分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)の主鎖の数平均分子量(M)は、37,500g/molであり、分岐鎖の数平均分子量(M)は、24,900g/molであった。
・分岐鎖の枝数の決定
上述の決定法に従って決定した実施例1の分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)1分子あたりの平均の分岐鎖の数は、1.9であった。
・ひずみ硬化度の測定
上述の測定法に従って測定した実施例1の分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)のひずみ硬化度は、3.4であった。
[実施例2]
実施例1に示すスキーム2と同様にして、以下のように分岐アクリル樹脂を合成した。
(第1工程:MMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM)の合成)
撹拌機を有する容器にアニソールの代わりにイオン交換水227.8g、懸濁安定剤としてポリメタクリル酸ナトリウム0.12g、第一リン酸ナトリウム0.58g、第二リン酸ナトリウム0.67gを加えて撹拌し、懸濁重合水相を得た。
別途に冷却装置を取り付けた反応容器にMMA(156.58g)、BIEM(2.62g)、AIBNの代わりにラウリルパーオキサイド(0.32g)およびn−オクチルメルカプタン(0.48g)を混合して撹拌した。
続いて、上記の懸濁重合水相を投入した後、80℃で3時間にわたって撹拌して懸濁重合を行った。
その後、95℃で30分間にわたって熟成反応を行った後、重合反応停止した。
続いて、得られたスラリー状の反応液をろ過した後、水で3回洗浄してビーズ状のポリマーを80℃で48時間にわたって真空乾燥させて、MMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM)を得た。
実施例1と同様にして測定したMMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM))の共重合組成比(MMA:BIEM)は、99.4:0.6であった。
このMMA−BIEM共重合体は、以下の第2工程において、マクロイニシエータとして使用した。
(第2工程::分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)の合成)
窒素置換した反応容器にアニソール339.4g、MMA−BIEM共重合体(Poly(MMA-co-BIEM))115.0g、MMA(682.7g、6819.0mmol)、PMDETA(0.591g、3.41mmol)、CuCl(0.092g、0.68mmol)を添加して撹拌した。反応溶液を窒素でバブリングした後、CuCl(0.101g、1.02mmol)を室温下で添加した。60℃で60分間にわたって撹拌した後、反応を停止し、生成した重合溶液をメタノール中で再沈殿精製を行った。ろ過した固形物を真空乾燥器中で60℃で16時間にわたって乾燥させて、分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)を得た(m=548、n=3.3、l=133)。
(分岐アクリル樹脂の同定)
・分子量の測定
実施例1と同様にして測定した実施例2の分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)の数平均分子量(M)は、99,000g/molであり、重量平均分子量(M)のMに対する比は、1.90であった。
また、実施例2の分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)の主鎖の数平均分子量(M)は、55,100g/molであり、分岐鎖の数平均分子量は(M)、13,000g/molであった。
・分岐鎖の枝数の決定
実施例1と同様にして測定した実施例2の分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)1分子あたりの平均の分岐鎖の数は、3であった。
・ひずみ硬化度の測定
実施例1と同様にして測定した実施例2の分岐アクリル樹脂(graft-PMMA)のひずみ硬化度は、5.6であった。ただし、離散型の緩和スペクトルは、最小二乗法により決定した。
[比較例1]
市販の直鎖PMMA(ポリメチルメタクリレート)の一軸伸長粘度を上記と同様にして測定したが、ひずみ硬化性は全く示されないことがわかった。なお、この直鎖PMMAは、多官能性単量体を含まず、架橋構造を有するものでもないことに留意されたい。
以上の結果から、本発明の分岐アクリル樹脂は、上述の通り、分岐鎖を有することによって、優れたひずみ硬化性を提供することができる。これは、比較例1において実証される通り、直鎖のアクリル樹脂からは得られない効果である。
本発明の分岐アクリル樹脂は、分岐鎖を有し、優れたひずみ硬化性を有することから、溶融押出成形、ブロー成形などの溶融加工において利用することができる。
特に溶融押出成形においてネックインを抑制し、ブロー成形や真空成形などにおいては成形品の厚みを均一にすることができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも2種の単量体を反応させることを含む重合法により製造される分岐アクリル樹脂であって、前記単量体が、少なくとも主鎖形成アクリル系単量体と分岐鎖形成単量体とを含み、多官能性単量体の含有量が0.2重量%以下であり、前記分岐アクリル樹脂の1分子あたりの枝数が平均で0.1〜30であり、前記重合法において、前記主鎖形成アクリル系単量体と前記分岐鎖形成単量体とを重合させて、前記分岐鎖形成単量体に由来する単位から、リビングラジカル重合によって、前記分岐アクリル樹脂の分岐鎖を形成することを特徴とする、分岐アクリル樹脂。
  2. 前記主鎖形成アクリル系単量体がメタクリル酸メチルであり、前記分岐鎖形成単量体が2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレートである、請求項1に記載の分岐アクリル樹脂。
  3. 一軸伸長流動において、ひずみ硬化度が2以上である、請求項1または2に記載の分岐アクリル樹脂。
  4. 絶対分子量が30,000g/mol〜3,000,000g/molである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分岐アクリル樹脂。
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