JP2015204345A - 流体制御ソレノイド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定磁気コア505と、固定磁気コアに吸引されて駆動される可動部503とを備え、可動部の固定磁気コア側端面部506に、凸方向の曲率半径を有する曲面で形成された凸部507が、周方向全周に設けられ、可動部が傾斜して固定磁気コアに衝突した際、凸部が衝突部となる構造とし、凸部の曲率半径R2が、可動部の最外周部508と端面部をつなぐ角R部509の曲率半径R1よりも大きくなる形状とする。また、凸部から、内径側の平坦部および外径側の角R部に続く部分の曲率半径が、径方向に連続的に変化する形状とする。さらに、凸部を、衝突部に施された表面処理の結果生成される、表面処理層512によって形成する。
【選択図】図6
Description
プランジャ2は、シリンダ120に摺動可能に挿入されており、下端にはリテーナ3が取り付けられている。リテーナ3には戻しばね4の付勢力が図2の下方向に作用している。タペット6は、内燃機関のカム7の回転により、図2の上下方向に往復する。プランジャ2はタペット6に追従して変位するため、これにより加圧室11の容積が変化してポンプ動作が可能となる。
また、電磁弁5はボディ1に保持されており、電磁コイル500、可動子503、アンカーばね502、弁体ばね504が配されている。以降では、可動部503が1部材で形成される場合を前提に説明を進めるが、可動部503が磁気吸引面を形成するアンカー503aと、摺動部を形成するロッド503bの2部材から形成された場合にも同様に実施例1から4を実施することが可能である。
以降では、ノーマルオープン方式電磁弁を用いたシステムを前提に説明を進める。電磁コイル500がOFFの状態で開弁状態、ONの状態で閉弁状態となる電磁弁方式をノーマルオープン方式と称する。弁体501には、アンカーばね502の付勢力が可動部503を介して開弁方向に作用し、同様に弁体ばね504による付勢力が閉弁方向に作用している。ここで、アンカーばね502の付勢力は弁体ばね504の付勢力より大きいため、電磁コイル500がOFF(無通電)時、弁体501は開弁状態となっている。一方で、これとは動作が逆転する、すなわち電磁コイル500がOFF(無通電)時、弁体501が閉弁状態となるノーマルクローズ方式と称する電磁弁方式を用いたシステムを前提にしても、同様に実施例1から実施例4を実施することが可能である。
また、高圧燃料供給ポンプは、コモンレール53に接続されており、昇圧された燃料が圧送される。その後、高圧の燃料はインジェクタ54から内燃機関の筒内へと噴射される。コモンレール53内の圧力は、圧力センサ56により計測され、その信号はエンジンコントロールユニット(ECU)へ送られる。インジェクタ54は、エンジンの気筒数にあわせて装着されており、エンジンコントロールユニット(ECU)40の信号にて燃料を噴射する。
以上の構成において、動作を説明する。
内燃機関のカム7の回転により、プランジャ2が図2の下方向に変位している状態を吸入工程、上方向に変位している状態を圧縮工程と称する。吸入工程では、加圧室11の容積は増加し、その中の燃料圧力は低下する。この工程において、加圧室11内の燃料圧力が吸入通路9の燃料圧力よりも低くなると、弁体501は開弁し、燃料が加圧室11内に吸入される。
戻し工程において電磁コイル500へ通電すると、可動子503に磁気吸引力が作用し、アンカーばね502の付勢力に打ち勝って、可動部503は閉弁方向に移動する。そして、弁体ばね504の付勢力および戻り燃料の流体差圧力により、弁体501は閉弁する。すると、この直後から加圧室11内の燃料圧力は、プランジャ2の上昇と共に上昇する。これにより吐出弁8が自動的に開弁し、燃料をコモンレール53に圧送する。
図3は、本発明の実施例1に係る電磁弁5の衝突部周りの断面図を示す。図3において、503は可動部、505は固定磁気コア、506は固定磁気コア側端面、507は凸部、508は最外周部、509は角R部を、それぞれ表している。
可動部503が、固定磁気コア505に対し傾斜して衝突した際、コア側端面506が平坦であると、最外周部508が衝突部となり、接触面積が微小なために、いわゆる片当たりを起こして過大な応力が発生してしまう可能性がある。これに対し、可動部503の固定磁気コア側端面506に、凸方向の曲率半径を有する曲面で形成された凸部507を、周方向全周に設けると、可動部503が傾斜して衝突した際、凸部507が衝突部となる。ここで、凸部507の曲率半径R2を、可動部503の、最外周部508と端面部506をつなぐ角R部509の曲率半径R1よりも大きくなるように設定する。このように、局所的に曲率半径を大きくすることで、衝突部の曲率を従来よりも大きくとることができ、接触面積を拡大することで応力を低減することができる。また、角R部509を単に拡大した場合、Rの拡大にともない、可動部503の外周部において固定磁気コア505とコア側端面506の隙間が大きくなり、有効な磁気吸引面直径が減少していく。ここで、衝突部R形状の開始点に自由度を持たせたり、R形状の中心点を可動子503の中心線より角R側にすることで局所的に曲率半径を大きくすれば、形状の自由度が増し、有効な磁気吸引面直径を減少させることなく、衝突部の曲率半径を従来よりも大きくとることができる。これにより磁気吸引面積を減らすことなく、衝突部に過大な応力が発生することを防止することができる。
ここで、曲率半径R1は、加工時に面取りの目的で設けられるもので、一般にR0.1〜0.3mm程度である。これに対し、曲率半径R2はR70mm以上が好ましい。R70mm以上では、衝突部に発生する応力を、一般的な可動子の大きさや質量、および傾きの最大値に対して、一般的な磁性材に許容される面圧よりも低くでき、十分な信頼性を確保することができる。
以上をまとめると、本実施例により、磁気吸引面積を減らすことなく、衝突部に十分な曲率半径を設定することが可能であり、可動部503が傾いて固定磁気コア505に衝突した際にも、衝突部に過大な応力が発生することを防止することができる。
なお、以上では、可動部503側に凸部507を設ける場合について説明したが、固定磁気コア505側に凸部507を設けてもよい。固定磁気コア505側に凸部507を設けても、同様に可動部503の角R部509が衝突することはなく、凸部507とコア側端面506の平坦部が衝突するため、過大な応力が発生することを防止することができる。
本実施例では、凸部507とコア側端面506の平坦部を接続する接続部510、および凸部507と外径側の角R部509を接続する接続部511の曲率半径が、径方向に連続的に変化する形状となっている。この場合にも、実施例1と同様に、凸部507の曲率半径R2が、可動部503の、最外周部508と端面部506をつなぐ角R部509の曲率半径R1よりも大きい。さらに、実施例1と同様の理由で、曲率半径R2はR70mm以上が好ましい。
このような形状とすることで、衝突部に荷重が作用した際に、曲率半径が不連続に変化している部分で不要な応力集中が発生することを回避することができる。また、可動部503の周りは燃料で満たされているため、その動きにともない、周囲に高速流が発生する。固定磁気コア505と可動部503の間にも、動作にともなう径方向の高速流が頻繁に発生するため、可動部503の表面形状が不連続に変化していると、渦が発生して流れが乱れる可能性がある。この結果、可動部503に不要な外力が作用して動作が不安定になるだけでなく、局所的に低圧領域が生じることでキャビテーションが発生し、可動部503および固定磁気コア505の表面で崩壊することで過大な応力が作用してしまう可能性がある。ここで、接続部510および接続部511の曲率半径が径方向に連続的に変化する形状とすれば、先に述べた流れの乱れを防止することができる。
以上をまとめると、本実施例により、磁気吸引面積を減らすことなく、可動部503が傾いて固定磁気コア505に衝突した際にも、衝突部に過大な応力が発生することを防止することができるだけでなく、衝突時の不要な応力集中を緩和し、さらには動作により発生する周囲の燃料流れを整流して、キャビテーション崩壊により部材表面に過大な応力が発生することも防止することができる。
本実施例は、凸部507がコア側端面506の全域に渡って形成される場合に関する。この場合にも、実施例1と同様に、凸部507の曲率半径R2が、角R部509の曲率半径R1よりも大きい。さらに、実施例1と同様の理由で、曲率半径R2はR70mm以上が好ましい。また、次に述べる実施例4に示すように、表面処理で凸部507の形状を形成し、それを量産する場合、その形状を安定させることが難しいため、寸法検査による選別が現実的な方法となる。この場合、生産した個々の部品に関して、逐一、曲率を計測することは、生産効率の低下につながり好ましくない。一方で、角R部509と凸部507の高さの差ΔHを計測することは、比較的容易である。ここで、可動部503の幅をXとした際、ΔH≦70−{70^2−(X/2)^2}^0.5とすれば、凸部507の曲率半径R2がR70mm以上となり、実施例1と同様の理由で好ましい。また、コア側端面506に平坦部が存在する場合、平坦部から凸部507の高さの差をΔHとすれば、同様の効果が得られる。この場合、Xは可動部503の幅から平坦部を除いた幅と定義する。
以上のような構成とすることで、凸部507の曲率半径R2の代わりに、凸部507の高さにより形状を定義し、実施例1と同等の過大応力防止効果を維持できる。また、付随的な効果として、量産時の寸法検査による選別効率を向上させることができる。
本実施例は、可動部503のコア側端面506に表面処理を実施した場合に関する。表面処理の結果、コア側端面506の表面に一定の厚さを持った表面処理層512が形成される。表面処理の種類には、めっき処理や窒化処理などが挙げられ、従来の場合、摩耗防止が主な目的である。この際、コア側端面506を実施例1から実施例3のような形状として凸部507を形成した上で、均一厚さの表面処理を施してもよいが、コア側端面506を安易な加工で形成可能な平坦形状としておき、表面処理層512の形状を変化させることで、凸部507を形成してもよい。この場合にも、実施例1と同様に、凸部507の曲率半径R2が、可動部503の、最外周部508と端面部506をつなぐ角R部509の曲率半径R1よりも大きい。さらに、実施例1と同様の理由で、曲率半径R2はR70mm以上が好ましい。
磁気吸引力特性を向上させるため、可動部507には磁性材が使われることが多い。磁性材は一般的な構造用鋼に対して、表面硬度が比較的低く、先にも述べたように、摩耗防止の観点から、衝突部の表面処理を前提として設計される場合が多い。このため、表面処理層512の形状を変化させることで、凸部507を形成させることができれば、新たな加工工程を増やすことなく、過大応力の発生を防止することができる。さらに、コア側端面506の内径側における表面処理層512の厚さt1に対し、外径側の凸部507における表面処理層512の厚さt2の方が厚くなるように処理を実施すれば、本来の表面処理の目的である耐摩耗の観点からも好ましい。
以上は実施例2の形状に関し代表として説明したが、実施例1や実施例3の形状に関して本実施例を適用しても、同様の効果を得ることが可能である。
また、他の実施例としては凸部を固定磁気コア側に持たせる構成としても良く、この場合固定磁気コア自身に凸部を設けても良いが、凸部のみ別部品とし固定コア側あるいは可動子側に配置する構成とすることもできる。
Claims (11)
- 固定磁気コアと、前記固定磁気コアに吸引されて駆動される可動部とを備え、前記可動部の前記固定磁気コア側端面部に、凸方向の曲率半径を有する曲面で形成された凸部が、周方向全周に設けられ、前記可動部が傾斜して前記固定磁気コアに衝突した際、前記凸部が衝突部となる流体制御ソレノイドであって、
前記凸部の曲率半径が、前記可動部の、最外周部と前記端面部をつなぐ角R部の曲率半径よりも大きいことを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 請求項1の流体制御ソレノイドにおいて、前記凸部と内径側の平坦部、および前記凸部と外径側の角R部を接続する接続部の曲率半径が、径方向に連続的に変化することを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 請求項1ないし請求項2の流体制御ソレノイドにおいて、前記凸部の曲率半径がR≧70mmとなることを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 請求項1ないし請求項2の流体制御ソレノイドにおいて、前記衝突部の高さと前記平坦部または前記角R部の高さの差ΔHmmが、前記端面部の径方向幅Xmmに対し、ΔH≦70−{70^2−(X/2)^2}^0.5となることを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 請求項1から請求項4の流体制御ソレノイドにおいて、前記凸部が、前記端面部に施された表面処理の結果生成される、表面処理層によって形成されることを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 請求項5の流体制御ソレノイドにおいて、前記表面処理がめっき処理であることを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 請求項5の流体制御ソレノイドにおいて、前記表面処理が窒化処理であることを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 請求項5の流体制御ソレノイドにおいて、前記衝突部における前記表面処理層の厚さが、前記平坦部における厚さよりも厚くなることを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 固定磁気コアと、前記固定磁気コアに吸引されて駆動される可動部とを備え、前記固定磁気コアの前記可動部側端面部に、凸方向の曲率半径を有する曲面で形成された凸部が、周方向全周に設けられ、前記可動部が傾斜して前記固定磁気コアに衝突した際、前記凸部が衝突部となる流体制御ソレノイドであって、
前記凸部の曲率半径が、前記固定磁気コアの、最外周部と前記端面部をつなぐ角R部の曲率半径よりも大きいことを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 請求項9記載の流体制御ソレノイドであって、
前記凸部は、前記固定磁気コアと同一部材により一体成型されていることを特徴とする流体制御ソレノイド。
- 請求項1から請求項10の流体制御ソレノイドを内蔵することを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
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