JP2015202607A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

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享 岡本
吉田 敬
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芳之 伊藤
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Abstract

【課題】ポリオレフィン系重合体を含む基材との接着性に優れるフッ素樹脂層を有する積層体を提供する。【解決手段】ポリオレフィン系重合体を含む基材と、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層と、架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物から形成された硬化塗膜層とが、この順に積層され、前記反応性基の少なくとも一部と硬化剤の少なくとも一部とが共有結合を形成してなる積層体である。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体及びその製造方法に関する。
機械的強度、耐候性、防水・防湿性、電気絶縁性等の特性が要求される分野においてはフッ素樹脂を含む塗料が広く用いられている。例えば、官能基を有するフッ素樹脂とイソシアネート等の硬化剤とから強靭な塗膜を形成する技術が知られている。
一方、フッ素樹脂は基材との接着性に課題があり、接着性を改良するために種々の提案がなされている。例えば、反応性官能基含有フッ素樹脂及び有機チタネートを含む塗料組成物が提案され、金属、ガラス、セラミックやプラスチックなどにフッ素樹脂被膜体を形成させるのに有効なプライマー層に適用可能とされている(例えば、特許文献1参照)。また、ヒドロキシ基やカルボキシ基等の官能基を有する含フッ素エチレン性共重合体からなる含フッ素塗料用材料が提案され、金属やガラスなどの基材に対して直接強固な接着力を与えうるとされている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−202034号公報 特開2001―316614号公報
しかしながら、従来の技術では基材との接着性に改良の余地があった。ポリオレフィン系樹脂は極性に乏しい場合が多く、接着性が低いため、ポリオレフィン系樹脂を基材としてフッ素樹脂塗料から形成される塗膜層を積層した場合には特に接着性が不十分であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、各層間の接着性に優れる、ポリオレフィン系重合体を含む基材と、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層と、架橋性基を有する含フッ素重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物から形成された硬化塗膜層とが、この順に積層された積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリオレフィン系重合体を含む基材上にフッ素樹脂を含む塗料組成物から形成される塗膜を形成する際に、前記基材上に反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層を積層し、該プライマー層上に架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物から形成された硬化塗膜層を形成して、プライマー層と硬化塗膜層間に共有結合を形成せしめることで、各層間の接着性に優れる積層体が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
本発明の第一の態様は、ポリオレフィン系重合体を含む基材と、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層と、架橋性基を有する含フッ素重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物から形成された硬化塗膜層とが、この順に積層され、前記反応性基の少なくとも一部と硬化剤の少なくとも一部とが共有結合を形成してなる積層体である。
本発明の第二の態様は、ポリオレフィン系重合体を含む基材上に、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層を形成する工程と、プライマー層上に、架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物を塗布し、媒体の少なくとも一部を除去して硬化塗膜層を形成する工程と、を有し、前記硬化塗膜層を形成する工程が、反応性基の少なくとも一部と硬化剤の少なくとも一部とが共有結合を形成することを含む積層体の製造方法である。
本発明の第三の態様は、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体及び媒体を含むプライマー組成物と、架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物と、を含む二液型塗料用キットである。
本発明によれば、各層間の接着性に優れた、ポリオレフィン系重合体を含む基材、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層、並びに架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び溶媒を含む塗料組成物から形成された硬化塗膜の積層体及びその製造方法を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<積層体>
本発明の積層体は、ポリオレフィン系重合体を含む基材と、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層と、架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物から形成された硬化塗膜層とが、この順に積層され、前記反応性基の少なくとも一部と硬化剤の少なくとも一部とが共有結合を形成してなる。
プライマー層の反応性基の少なくとも一部と、フッ素樹脂を含む硬化塗膜層を形成する硬化剤の少なくとも一部とが反応して共有結合を形成することで、硬化塗膜層と基材との間の接着性に優れる積層体を構成することができる。これは例えば、プライマー層と硬化塗膜層との間に共有結合が形成されることで、プライマー層の基材に対する優れた接着性により、硬化塗膜層と基材との優れた接着性が達成されるためと考えることができる。
(基材)
積層体を構成する基材はポリオレフィン系重合体を含むものであれば特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。ポリオレフィン系重合体とは、オレフィンに由来する構成単位を有する重合体であり、オレフィンに由来する構成単位のみを有する重合体であっても、オレフィンに由来する構成単位及びオレフィンと共重合可能な重合性化合物の少なくとも1種に由来する構成単位を有する共重合体であってもよい。ポリオレフィン系重合体を含むとは、基材の少なくとも一部がポリオレフィン系重合体からなることを意味する。
重合によりオレフィン系重合体を構成するオレフィンとしては、炭素数2〜5の直鎖状、分岐鎖状又は環状のオレフィンを挙げることができ、炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のオレフィンであることが好ましく、炭素数2〜5の直鎖状のオレフィンであることがより好ましく、炭素数2〜4の直鎖状のαオレフィンであることが更に好ましい。
オレフィンに由来する構成単位を形成するオレフィンは、1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。したがって、ポリオレフィン系共重合体はホモポリマーであってもよく、また2種以上のオレフィンから形成されるコポリマーであってもよい。
ポリオレフィン系共重合体を形成するオレフィン以外のモノマーはオレフィンと共重合可能であれば特に制限されず、目的等に応じて適宜選択される。オレフィン以外のモノマーとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン等のジエン類、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリロニトリル等のビニル誘導体などを挙げることができる。
ポリオレフィン系共重合体を形成するオレフィン以外のモノマーは1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
ポリオレフィン系共重合体として具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン類、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴム類などを挙げることができる。
これらの中でもポリオレフィン系共重合体が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)からなる群から選択される少なくとも1種である場合には、接着性向上の効果が大きい。
基材の形状は特に制限されず目的等に応じて適宜選択することができる。基材の形状としては例えば、所望の形状の成形品、フィルム、シート、板、繊維等を挙げることができる。
(プライマー層)
プライマー層は、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体の少なくとも1種を含む。反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体は、例えば、ポリオレフィンに由来する構成単位と反応性基を有する構成単位とを有している。このような反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体は、例えば、ポリオレフィンに反応性基を有するモノマーをグラフト重合や、共重合することで得ることができる。
反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を形成するポリオレフィンは、1種のオレフィンからなるホモポリマーであっても、2種以上のオレフィンからなるオレフィン系共重合体であってもよいが、2種以上のオレフィンからなるオレフィン系共重合体であることが好ましい。
オレフィン系共重合体を形成するオレフィンモノマーとしては、特に限定されず、広く重合に使用できるオレフィンモノマーを使用することができ、例えば、エチレン、炭素数3以上の直鎖状α−オレフィン、下記一般式(I)で表されるビニル化合物等を挙げることができる。
CH=CH−R (I)
式中、Rは2級アルキル基、3級アルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
炭素数3以上の直鎖状α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン等を挙げることができる。
また、式(I)において、Rで表される2級アルキル基とは、ビニル基(CH=CH−)に結合している炭素原子に直接結合する水素原子が1つのみである分枝状アルキル基を意味する。2級アルキル基の炭素数は、通常3〜20である。
Rで表される3級アルキル基とは、ビニル基に結合している炭素原子が水素原子と結合していない分枝状アルキル基を意味する。3級アルキル基の炭素数は、通常4〜20である。
Rで表される脂環式炭化水素基とは、シクロアルカン、シクロアルキン、シクロアルケンなどの脂環式炭化水素から水素原子を1個除いた残りの原子団である。脂環式炭化水素基の炭素数は、通常、3〜20である。水素原子が除かれた結合手はビニル基(CH=CH−)と結合する。
置換基Rとしては、3〜10員環を有する炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数
4〜20の3級アルキル基が好ましい。
一般式(I)で表されるビニル化合物としては、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、3,5−ジメチル−1−ヘキセン、3,4,4−トリメチル−1−ヘキセン等のRが2級アルキル基であるビニル化合物;3,3−ジメチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、3,3,4−トリメチル−1−ペンテン、3,3,4−トリメチル−1−ヘキセン、等のRが3級アルキル基であるビニル化合物;ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、5−ビニル−2−ノルボルネン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、1−ビニルアダマンタン等のRが脂環式炭化水素基であるビニル化合物が挙げられる。
これらの中でも、基材との接着性の観点から、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、3,5−ジメチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン及び5−ビニル−2−ノルボルネンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3,3,4−トリメチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン及びビニルノルボルネンからなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
オレフィン系共重合体において、一般式(I)で表されるビニル化合物に由来する構成単位の含有率としては、オレフィン系共重合体を構成する総構成単位100モル%に対して、例えば5〜40モル%であり、好ましくは10〜30モル%、より好ましくは10〜20モル%である。
直鎖状α−オレフィンとしては、通常、炭素数3〜20の直鎖状α−オレフィンであり、好ましくは炭素数3〜8の直鎖状α−オレフィンである。直鎖状α−オレフィンとして具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン等が挙げられる。中でも、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、プロピレンが好適である。
オレフィン系共重合体におけるエチレンに由来する構成単位及び直鎖状α−オレフィンに由来する構成単位の合計含有量としては、オレフィン系共重合体を構成する総構成単位100モル%に対して、例えば95〜60モル%であり、好ましくは90〜70モル%、より好ましくは90〜80モル%である。
オレフィン系共重合体は、エチレン、炭素数3以上の直鎖状α−オレフィン及び一般式(I)で表されるビニル化合物以外のその他のモノマーに由来する構成単位を更に含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、ビニリデン化合物、ジエン化合物、ハロゲン化ビニル、アルカン酸ビニル、ビニルエーテル類、アクリロニトリル類等を挙げることができる。
オレフィン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、例えば5,000〜1,000,000程度であり、好ましくは10,000〜500,000程度であり、より好ましくは15,000〜400,000程度である。また、分子量分布(Mw/Mn=[重量平均分子量]/[数平均分子量])は、例えば1.5〜10.0程度であり、好ましくは1.5〜7.0程度、とりわけ好ましくは1.5〜5.0程度である。
変性ポリオレフィン系重合体が有する反応性基は、後述する硬化剤と共有結合を形成可能であればとくに制限されず、硬化剤が有する反応性基の種類等に応じて適宜選択することができる。変性ポリオレフィン系重合体が有する反応性基として具体的には、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、カルバモイル基、カルボン酸ハライド基、エステル基、酸無水物基、カーボネート基、エポキシ基、ニトリル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基及びアジリジン基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基であることが好ましく、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基であることがより好ましく、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基であることが更に好ましい。
変性ポリオレフィン系重合体における反応性基は、例えば反応性基又は反応性基に誘導可能な官能基とエチレン性不飽和基とを有するモノマーを、オレフィン系共重合体にグラフト重合することで得ることができる。具体的には例えば、反応性基がカルボキシ基の場合、不飽和カルボン酸類をオレフィン系共重合体にグラフト重合や共重合することで、反応性基としてカルボキシ基を有する変性ポリオレフィン系重合体を得ることができる。
不飽和カルボン酸類とは、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸より誘導される不飽和化合物である。不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸−n−ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;マレイミド、N−ブチルマレイミドなどの不飽和カルボン酸イミド;塩化マレオイルなどの不飽和カルボン酸ハライド;アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウムなどの不飽和カルボン酸金属塩などが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
不飽和カルボン酸類は、これらの中でもアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
反応性基がアミド基又はエステル基の場合、ポリオレフィン変性に使用可能なモノマーとしては上記不飽和カルボン酸アミド及び不飽和カルボン酸エステル等を挙げることができる。また反応性基が、上記以外のヒドロキシ基等の場合、ポリオレフィン変性に使用可能なモノマーとしては、後述するフッ素樹脂における架橋性モノマーを同様に挙げることができる。
不飽和カルボン酸類等の反応性基を有するモノマーのグラフト重合量は、得られる変性ポリオレフィン系重合体100質量%に対して、例えば0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体は、例えば、特開2008−63557号公報、特開2005−320400号公報等に記載の方法に準じて製造することができる。また、これらの公報に記載のオレフィン系共重合体変性物を、本発明における反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体として好適に用いることができる。
プライマー層の厚みは、基材及び硬化塗膜層の構成等に応じて適宜選択することができる。プライマー層の厚みは例えば、0.1〜50μmとすることができ、0.1〜10μmであることが好ましい。ここでプライマー層の厚みは膜厚計を用いて測定することができる。
(硬化塗膜層)
硬化塗膜層は、架橋性基を有するフッ素樹脂、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物から形成される。硬化塗膜層は、架橋性基を有する含フッ素共重合体が硬化剤によって架橋硬化されて形成され、さらに硬化剤の少なくとも一部がプライマー層に含まれる変性ポリオレフィン系重合体が有する反応性基の少なくとも一部と反応して共有結合を形成している。そのためプライマー層と硬化塗膜層との間に共有結合が形成された状態となり、フッ素樹脂を含む硬化塗膜層の基材に対する接着性に優れる。
[塗料組成物]
(含フッ素共重合体)
硬化塗膜層を形成する架橋性基を有する含フッ素共重合体(以下、単に「フッ素樹脂」ともいう)は、硬化剤と反応可能な架橋性基を有する。架橋性基は、後述する硬化剤と共有結合を形成可能であればとくに制限されず、硬化剤の種類等に応じて適宜選択することができる。フッ素樹脂が有する架橋性基として具体的には、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基、エポキシ基、ニトリル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基及びアジリジン基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基であることが好ましく、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基であることがより好ましく、ヒドロキシ基及びカルボキシ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基であることが更に好ましく、ヒドロキシ基が最も好ましい。
フッ素樹脂は、例えば、架橋性基又は架橋性基に誘導可能な官能基とエチレン性不飽和基とを有する架橋性モノマーと、含フッ素モノマーと、必要に応じて用いられるその他のモノマーとを、常法により共重合することで得ることができる。
架橋性モノマーとしては公知のモノマーから適宜選択して用いることができる。
架橋性モノマーのうち、ヒドロキシ基を有するモノマーの具体例としては、ヒドロキシ基を有する基とエチレン性不飽和基とがエーテル結合またはエステル結合で連結されたモノマーが好ましく、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル)ビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のエチレングリコールモノビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、9−ヒドロキシノニルアリルエーテル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル)アリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチルビニルエステル、ヒドロキシブチルビニルエステル等のヒドロキシアルキルビニルエステル類;ヒドロキシエチルアリルエステル等のヒドロキシアルキルアリルエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類などを挙げることができる。
カルボキシ基を有するモノマーとしては、カルボキシ基を有する基とエチレン性不飽和基とがエーテル結合またはエステル結合で連結されたモノマーが好ましく、例えば、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸等の不飽和カルボン酸類;ビニルオキシ吉草酸などの飽和カルボン酸ビニルエーテル類;3−アリルオキシプロピオン酸などの飽和カルボン酸アリルエーテル類;3−(2−ビニロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸などのカルボン酸ビニルエーテル類などを挙げることができる。
フッ素樹脂の重合に用いられる含フッ素モノマーとしては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
CF=CF(テトラフルオロエチレン、TFE)、CClF=CF(クロロトリフルオロエチレン、CTFE)、CHCl=CF、CCl=CF、CClF=CClF、CHF=CCl、CH=CClF、CCl=CClF、CF=CH(フッ化ビニリデン、VdF)、CH=CHF(フッ化ビニル、VF)等のフルオロエチレン。
CFClCF=CF、CFCCl=CF、CFCF=CFCl、CFCF=CF(ヘキサフルオロプロペン、HFP)等のフルオロプロペン類。
CFCCl=CFCF、CF=CFCFCClF、CFCFCF=CCl等の炭素数4以上のフルオロオレフィン系化合物。
下記一般式(II)で表されるパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)。
CF=CFOR (II)
式中、Rは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基若しくはω−ヒドロパーフルオロアルキル基又はポリ(パーフルオロアルキレンオキシ)フルオロアルキル基を示す。
フッ素樹脂の重合には、さらにエーテル結合又はエステル結合によって連結されたアルキル基を有するモノマー(以下、「アルキル基含有モノマー」ともいう)を用いることが好ましい。
アルキル基含有モノマーとしては、下記一般式(IIIa)〜(IIIc)のいずれかで表されるモノマーが挙げられる
31−O−R32 (IIIa)
31−COO−R32 (IIIb)
31−OCO−R32 (IIIc)
式中、R31は4級炭素を含まない直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜20のアルキル基を示し、R32はエチレン性不飽和基を示す。
アルキル基含有モノマーの具体例としては、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;エチルアリルエーテル、n−プロピルアリルエーテル、n−ブチルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル;プロピオン酸アリル、酪酸アリル等のカルボン酸アリルエステル;エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;などを挙げることができる。
フッ素樹脂の重合に用いられるその他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等の非フッ素系オレフィン;安息香酸ビニル、4−tert−ブチル安息香酸ビニル等の非フッ素系芳香族基含有モノマー;親水性基を有するマクロモノマーなどを挙げることができる。
フッ素樹脂の重合には、親水性部位を有するマクロモノマーを用いることもできる。親水性部位とは、親水性基を有する部位若しくは親水性の結合を有する部位又はこれらの組み合わせからなる部位を意味する。親水性基は、イオン性、ノニオン性、両性及びこれらの組み合わせのいずれであってもよいが、ノニオン性であることが好ましい。また、マクロモノマーとは、片末端にエチレン性不飽和基を有し、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位等の繰り返し単位を少なくとも2つ有する化合物を意味する。
親水性部位を有するマクロモノマーの具体例は、例えば、特開平07−179809号公報に記載の化合物を挙げることができる。
フッ素樹脂の構成は、塗料組成物に含まれる媒体等に応じて適宜選択することができる。フッ素樹脂の重合に用いるモノマーとしては、例えば、含フッ素モノマー、架橋性モノマーを必須のモノマーとし、好ましくは、さらにアルキル基含有モノマーからなる構成とすることができ、さらに必要に応じて、親水性部位を有するマクロモノマー、非フッ素系オレフィン等のその他のモノマーを適宜含んでもよい。
フッ素樹脂においては、含フッ素モノマーに基づく単位の割合は、フッ素樹脂中の全単位に対して40〜60モル%であることが好ましく、45〜55モル%であることがより好ましい。フッ素樹脂中の含フッ素モノマーに由来する単位の含有量を上記範囲とすることで、耐候性がより良好となる。
また、架橋性モノマーに基づく単位の割合は、フッ素樹脂中の全単位に対して2〜30モル%であることが好ましく、8〜25モル%であることがより好ましい。さらに、アルキル基含有モノマーに基づく単位の割合は、フッ素樹脂の全単位に対して0〜65モル%であることが好ましく、10〜50モル%であることがより好ましい。また、その他のモノマーに基づく単位を有する場合には、その割合は、フッ素樹脂中の全単位に対して0モル%又は0モル%超10モル%以下であることが好ましい。
好ましいモノマーの組み合わせとしては、例えば、含フッ素モノマー/ヒドロキシ基を有するモノマー/アルキル基含有モノマー、含フッ素モノマー/ヒドロキシ基を有するモノマー/カルボキシ基を有するモノマー/アルキル基含有モノマーの組合せが好ましい。具体的には、フルオロオレフィン/ヒドロキシアルキルビニルエーテル/アルキルビニルエーテル、フルオロオレフィン/ヒドロキシアルキルビニルエーテル/不飽和カルボン酸モノマー/アルキルビニルエーテルの組み合わせが好ましい。また、これらの組み合わせに親水性部位を有するマクロモノマーを組み合わせることもまた好ましい。
より具体的にフッ素樹脂の構成としては、例えば、CTFE/ヒドロキシブチルビニルエーテル/カルボキシ基を有するモノマー/エチルビニルエーテル/その他のモノマーの共重合体、CTFE/ヒドロキシブチルビニルエーテル/カルボキシ基を有するモノマー/2−エチルヘキシルビニルエーテル/その他のモノマーの共重合体、TFE/ヒドロキシブチルビニルエーテル/カルボキシ基を有するモノマー/エチルビニルエーテル/その他のモノマーの共重合体、TFE/ヒドロキシブチルビニルエーテル/カルボキシ基を有するモノマー/2−エチルヘキシルビニルエーテル/その他のモノマーの共重合体、CTFE/(ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル)ビニルエーテル/エチルビニルエーテル/シクロヘキシルビニルエーテル/その他のモノマーの共重合体、CTFE/ヒドロキシノニルビニルエーテル/エチルビニルエーテル/シクロヘキシルビニルエーテル/その他のモノマーの共重合体、TFE/(ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル)ビニルエーテル/エチルビニルエーテル/シクロヘキシルビニルエーテル/その他のモノマーの共重合体などが好ましい。これらの組み合わせからカルボキシ基を有するモノマーの除いた組み合わせもまた好ましい。
なお、フッ素樹脂がカルボキシ基を有する場合、ヒドロキシ基を有するフッ素樹脂のヒドロキシ基の一部を酸変性することにより、製造することも可能である。その場合には、上記好ましいモノマーの組合せにおいて、カルボキシ基を有するモノマーを除いた組合せによりヒドロキシ基を有するフッ素樹脂を製造し、さらにそのヒドロキシ基の少なくとも一部を従来公知の方法で酸変性すればよい。酸変性する方法としては、例えば、ヒドロキシ基の少なくとも一部にジカルボン酸無水物を反応させる方法が挙げられる。
また、上記フッ素樹脂の構成の好ましい組合せにおいて、その他の単量体を含まない組合せも上記同様に好ましい組合せとして挙げられる。
フッ素樹脂においては、酸価が例えば1〜12mg/KOHの範囲であるが、好ましくは1〜10mg/KOHであり、より好ましくは3〜7mg/KOHである。
フッ素樹脂の酸価が1mg/KOH以上であると、硬化剤(例えば、ポリイソシアネート化合物)を組合せて配合した際に白濁が生じることが抑制され、耐候性がより向上する傾向がある。また、フッ素樹脂の酸価が12mg/KOH以下であると硬化剤との反応性が抑制され、充分なポットライフ(可使時間)が得られ、反応時に炭酸ガスを発生して発泡することにより塗膜外観を損なったり、塗膜欠損となり基材の保護効果を損なったりする等の問題の発生が抑制される傾向がある。
フッ素樹脂においては、水酸基価が20〜200mg/KOHの範囲にあることが好ましく、30〜160mg/KOHの範囲にあることがより好ましい。フッ素樹脂の水酸基価が20mg/KOH以上であると、塗膜の耐溶剤性や耐摩耗性の点で好ましく、200mg/KOH以下であると耐候性の点で好ましい。
フッ素樹脂の分子量については、特に制限されず、塗膜の平滑性や耐候性の観点から重量平均分子量(Mw)として、2000〜200000のものが好ましく、2000〜100000のものがより好ましく、6000〜30000のものがさらに好ましい。なお、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
フッ素樹脂は、フッ素樹脂を構成する各モノマーを従来公知の重合方法、具体的には、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの重合方法により共重合することで得ることができる。また、必要に応じて行われる水酸基の酸変性も従来公知の方法を用いて行うことができる。
フッ素樹脂の製造方法は、塗料用組成物の形態によって適宜選定すればよい。例えば、塗料用組成物に含まれる媒体が溶剤系媒体の場合には、溶液重合によりフッ素樹脂を製造することが好ましい。また、媒体が水を主成分とする水系媒体の場合には、フッ素樹脂を乳化重合により製造することが好ましい。また、水系媒体においては、溶液重合によって得られたフッ素樹脂にカルボキシ基を導入し、該カルボキシ基を塩基性化合物で中和するなどして溶媒を溶剤系から水系に転相し、水に分散させたフッ素樹脂を用いることも可能である。
フッ素樹脂の好ましい態様、製造方法等の詳細は、例えば、特開2011−256257号公報、特開2013−10822号公報、特開平07−179809号公報等の記載を参照することができる。これらの中でも、特開平07−179809号公報等に記載の乳化重合で得られるフッ素樹脂が、接着性の観点から好ましい。
フッ素樹脂は、溶剤系媒体に溶解または分散したもの、水系媒体に分散したものともに、市販品を目的に応じて適宜選定し、入手、使用することができる。この様な市販品としては、ルミフロン(旭硝子社製)、ボンフロン(AGC旭硝子コーテック社製)、ゼッフル(ダイキン社製)、Vフロン(大日本塗料社製)、ニューガーメット(トウペ社製)等が挙げられる。
(硬化剤)
硬化塗膜層を形成する硬化剤は、含フッ素共重合体の架橋性基及び変性ポリオレフィン系重合体の反応性基と反応して共有結合を形成可能な反応性官能基を少なくとも2つと、反応性官能基を連結する連結基とを有する。
硬化剤が有する反応性官能基は、含フッ素共重合体の架橋性基及び変性ポリオレフィン系重合体の反応性基に応じて適宜選択することができる。硬化剤の反応性官能基は、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、カルバモイル基、エポキシ基、ニトリル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基及びアジリジン基からなる群から選択することができ、好ましくは、イソシアネート基である。すなわち、硬化剤はポリイソシネート化合物であることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」ともいう)、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアネートヘキサン、リジンイソシアネート等の炭素数4〜30の脂肪族ジイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」ともいう)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;
m−またはp−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニルなどの芳香族ジイソシアネート;
これらのポリイソシアネート化合物が、ビューレット型、イソシアヌレート環型、ウレトジオン型等の態様で2量体または3量体になっているポリイソシネート化合物;
これらのポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とから形成されるアダクト型のポリイソシアネート化合物;
などが挙げられる。
アダクト型のポリイソシネート化合物を構成するポリイソシアネート化合物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、アダクト型のポリイソシネート化合物を構成するポリオール化合物としては、分子量500未満の低分子ポリオールと分子量500以上の高分子ポリオールが挙げられる。
ポリイソシネート化合物は、ブロックポリイソシアネート化合物であってもよい。ブロックポリイソシアネート化合物は、ブロック化剤とポリイソシアネート化合物とを反応させて、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を保護した反応物である。
ブロック化剤としては、アルコール類、フェノール類、カプロラクタム類、オキシム類、活性メチレン化合物類などが例示される。これらのうち低温で解離するものが、未硬
膜を硬化させる際の加熱温度を低くできる点で好ましい。
通常、ブロック化剤は140℃以上で解離するものが多いが、低温解離型としては120℃以下で解離するものが良く、この様な性質のブロック化剤としては、炭素数1〜3のアルキル基を1個または2個有するピラゾール誘導体が挙げられる。なかでもジメチルピラゾールが好ましく、3,5−ジメチルピラゾールがより好ましい。
ポリイソシネート化合物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のジイソシアネート、及び該少なくとも1種のジイソシアネートから誘導される2個以上の末端イソシアネート基を有するポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であるベースポリイソシアネート、及びベースポリイソシアネートに結合した、平均数で5〜50個のエチレンオキシ繰り返し単位を含有するノニオン性の親水基からなる親水性ポリイソシアネート化合物であってもよい。このような親水性ポリイソシネート化合物は、水分散性に優れるのみならず、水分散状態でイソシアネート基と水との反応が抑制されて高い安定性を示す。
親水性ポリイソシアネート化合物を構成する「ベースポリイソシアネート」とは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のジイソシアネート、及び該少なくとも1種のジイソシアネートから誘導される2個以上の末端イソシアネート基を有するポリイソシアネートからなる群より選ばれるポリイソシアネートそのものであって、ノニオン性親水基が結合されていないものを意味する。
ベースポリイソシアネート化合物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートより選ばれるジイソシアネートから誘導される2個以上の末端イソシアネート基を有するポリイソシアネート類であることが好ましく、分子内に、ビウレット構造、イソシアヌレート構造、ウレタン構造、ウレトジオン構造又はアロファネート構造を有することがより好ましい。
親水性ポリイソシアネート化合物は、ベースポリイソシアネートに平均数で5〜50個のエチレンオキシ繰り返し単位を含有するノニオン性の親水基を、ベースポリイソシアネートと親水基の総質量に対して2〜50質量%結合してなるものであることが好ましい。
平均数で5〜50個のエチレンオキシ繰り返し単位を含有するノニオン性の親水基は、ポリアルキレンオキサイドモノアルキルエーテルアルコール中に平均数が5〜50個のエチレンオキシ繰り返し単位を含む化合物から誘導される基であり、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルや、エチレンオキシ繰り返し単位の間あるいは片端あるいは両端にポリプロピレンオキサイドやポリテトラメチレンオキサイド等が付加し、それらの水酸基の一つがアルキルエーテル化された化合物や、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド或いはテトラヒドロフラン等がランダム重合され、それらの水酸基の一つがアルキルエーテル化された化合物を挙げることができる。中でも、平均数が5〜50個のエチレンオキシ繰り返し単位を含むポリエチレングリコールモノメチルエーテルから誘導される親水性基が好ましい。
親水性ポリイソシネート化合物として具体的には、WO97/02303号、特開2007−332194号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
塗料組成物におけるフッ素樹脂と硬化剤の含有比は、フッ素樹脂に含まれる架橋性基の含有量と硬化剤に含まれる反応性官能基の含有量に応じて適宜選択することができる。例えば、フッ素樹脂に含まれる架橋性基の含有量に対する硬化剤に含まれる反応性官能基の含有量の比は例えば、0.05〜3.0であり、好ましくは0.1〜2.0であり、より好ましくは0.2〜1.5である。
また塗料組成物における固形分率は例えば、3〜50質量%であり、好ましくは30〜50質量%である。なお、固形分率とは、塗料組成物中における不揮発性成分の総質量の割合を意味する。
(媒体)
塗料組成物に含まれる媒体は、水を含む水系媒体であっても、実質的に水を含まない溶剤系媒体であってもよい。
媒体が水系媒体である場合、水系媒体は水に加えて有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としてはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール溶剤等を挙げることができる。
水系媒体が有機溶剤を含む場合その含有率は、塗料組成物中に10質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
媒体が溶剤系媒体である場合、媒体を構成する有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール溶剤、ミネラルスピリット、ミネラルターペン等の炭化水素溶剤等を挙げることができる。
(添加剤)
塗料組成物は、上記必須成分に加えて、必要に応じてその他の成分として、各種の添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤としては、硬化触媒、造膜助剤、表面調整剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、顔料、顔料分散剤、密着改良剤、つや消し剤等を挙げることができる。
硬化触媒としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のギ酸塩、フェノール塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のジアザビシクロウンデセン系触媒;チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩等の有機チタン系触媒;p−トルエンスルホン酸アミン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩、ジノニルナフタレンスルホン酸アミン塩、ジノニルナフタレンジスルホン酸アミン塩、アルキルリン酸アミン塩等の、有機酸アミン塩;トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアミノヘキサノール等のアミン系触媒等を挙げることができる。
これらの硬化触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塗料組成物が硬化触媒を含む場合、その含有率は0.001〜3.0質量%が好ましく、0.001〜1.0質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、良好な硬化促進効果が得られやすく、上記範囲の上限値以下であると良好な貯蔵安定性が得られやすい。
造膜助剤としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ(2−メチルプロピオネート)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、等が挙げられる。造膜助剤を含む場合、その含有量は、フッ素樹脂100質量部に対し、3質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましい。
表面調整剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シ
ロキサン等が好ましく挙げられる。
増粘剤としては、ポリウレタン系会合性増粘剤等が好ましく挙げられる。
密着改良剤としては、グリシドキシプロピルトリメチルシラン等が好ましく挙げられる。密着改良剤を含むことで、基材に対する接着性がより向上する。
紫外線吸収剤としては、公知の種々のものが使用できる。特に透明塗料として上塗り塗装で用いる場合に適した紫外線吸収剤としては、サリチル酸エステル類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、置換アクリロニトリル類、ニッケル錯塩類や、p−メトキシベンジリデンマロン酸ジメチル、レゾルシノールモノ安息香酸エステル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物及び2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。紫外線吸収剤は、1種単独でも、2種以上を組合せて用いることもできる。
塗料組成物が紫外線吸収剤を含む場合、その含有率は、フッ素樹脂100質量部あたり0.1〜15質量部、特には0.1〜5質量部の範囲で使用することが好ましい。紫外線吸収剤の量が少なすぎる場合においては、耐光性の改良効果が充分に得られず、また、多すぎる場合には、その効果が飽和してしまい、適当とはいえない。
光安定剤としてはADEKA社製のMARK LA 57,62,63,67,68(いずれも製品名)、BASFジャパン社製のチヌビン622LD(製品名)などのようなヒンダードアミン系の光安定剤が挙げられる。これらは、1種単独でも、2種以上の組み合わせで用いてもよく、更に紫外線吸収剤と組合せて用いることもできる。
消泡剤としては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸塩類、液体脂肪油硫酸エステル類、脂肪族アミンおよび脂肪族アミドの硫酸塩類、脂肪族アルコールリン酸エステル類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩類、脂肪酸アミドスルホン酸塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類、ホルマリン縮合のナフタリンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アクリル系ポリマー、シリコーン混合アクリル系ポリマー、ビニル系ポリマー、ポリシロキサン化合物などが挙げられる。
消泡剤の消泡効果は親水基と疎水基のバランス(HLB価)で左右され、HLBが6以下、特に4以下のものが好ましく採用される。
なお、塗膜の光沢を調整する必要がある場合は、常用の無機または有機のツヤ消剤を添
加すればよい。
また、着色が必要な場合には、市販の有機顔料、無機顔料、有機染料、これらを複合化
した顔料もしくは染料等の着色材を分散若しくは混合添加すればよい。
硬化塗膜層の厚みは、目的等に応じて適宜選択することができる。硬化塗膜層の厚みは例えば、0.1〜200μmとすることができ、0.1〜50μmであることが好ましい。ここで、硬化塗膜層の厚みは膜厚計を用いて測定することができる。
硬化塗膜層は、例えば、プライマー層に付与された塗料組成物から媒体の少なくとも一部を除去することで、架橋性基を有する含フッ素共重合体と硬化剤とが反応した硬化物として形成される。その際、硬化剤は含フッ素共重合体の架橋性基と反応すると共にプライマー層に含まれる変性ポリオレフィン系重合体の反応性基とも反応すると考えられる。これにより、硬化塗膜層とプライマー層との間に共有結合が形成されていると考えられ、優れた接着性が達成できると考えられる。
本発明の積層体は、フッ素樹脂を含む硬化塗膜層と基材との接着性に優れるため、主として屋外に用いられる自動車部品、家電部品、電設部品、建築資材、容器、農業用フィルム等に好適に適用することができる。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、ポリオレフィン系重合体を含む基材上に、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層を形成する工程(以下、「プライマー層形成工程」ともいう)と、プライマー層上に、架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物を塗布し、媒体の少なくとも一部を除去して硬化塗膜層を形成する工程(以下、「硬化塗膜層形成工程」ともいう)と、を有し、前記硬化塗膜層を形成する工程が、反応性基の少なくとも一部と硬化剤の少なくとも一部とが共有結合を形成することを含む。
基材との接着性に優れるプライマー層が、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含み、その反応性基の少なくとも一部と硬化塗膜層を形成する硬化剤の少なくとも一部とが反応して共有結合が形成されることで、プライマー層を介して含フッ素共重合体を含む硬化塗膜層と基剤との接着性に優れる。
(プライマー層形成工程)
プライマー層形成工程では、基材上に、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層を形成する。基材の詳細は既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
プライマー層の形成方法は、基材上にプライマー層が形成されるかぎり特に制限されず、通常用いられる方法から適宜選択することができる。プライマー層の形成方法としては例えば、基材上にプライマー組成物を塗布してプライマー層を形成する塗布法、押出法等により基材の表面に直接プライマー層を形成する方法等を挙げることができる。プライマー層形成工程は、塗布法を含むことが好ましい。
塗布法は例えば、基材上に、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体及び媒体を含むプライマー組成物を塗布し、媒体の少なくとも一部を除去することを含む方法であることが好ましい。
プライマー組成物を構成する反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体の詳細は既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
プライマー組成物を構成する媒体としては、水系媒体であっても、溶剤系媒体であってもよく、既述の塗料組成物における媒体をプライマー組成物にも好適に適用することができる。中でもプライマー組成物の媒体は水系媒体であることが好ましい。
プライマー組成物は、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。プライマー組成物における添加剤としては、硬化触媒、造膜助剤、表面調整剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、顔料、顔料分散剤、密着改良剤、つや消し剤等を挙げることができる。
表面調整剤としては例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン等が好ましく挙げられる。
プライマー組成物が表面調整剤を含む場合、その含有率は例えば0.01〜5質量%とすることができ、0.01〜1質量%であることが好ましい。
プライマー組成物の固形分率は、塗布方法等に応じて適宜選択することができる。例えば5〜90質量%とすることができ、10〜50質量%であることが好ましい。
プライマー組成物の塗布方法は特に制限されず、通常用いられる塗布方法から適宜選択することができる。塗布方法としては例えば、スプレー、刷毛、ローラー、ロールコーター、グラビアコーター等を挙げることができる。
プライマー組成物の塗布量は特に制限されない。プライマー層の厚みとして例えば、0.1〜50μmとすることができ、0.1〜10μmであることが好ましい。プライマー層の厚みが前記範囲内であると充分な接着性が得られる傾向がある。
基材上に塗布されたプライマー組成物からは、媒体の少なくとも一部が除去されて基材上にプライマー層が形成される。媒体の除去方法は特に制限されず、媒体の種類等に応じて適宜選択することができる。媒体の除去は、常温乾燥でもよく、また加熱乾燥であってもよい。加熱乾燥によって媒体の除去をより効率的に行うことができる。加熱温度としては例えば50〜150℃とすることができる。
基材上に塗布されたプライマー組成物からの媒体の除去量は、例えば、塗布された媒体の50質量%以上除去すればよく、90質量%以上除去することが好ましい。
塗布されたプライマー組成物からの媒体の除去は、塗料組成物の塗布に先立って行ってもよく、塗布された塗料組成物からの媒体除去と時間的に重複して行ってもよい。
(硬化塗膜層形成工程)
硬化塗膜層形成工程では、プライマー層上に、架橋性基を有するフッ素樹脂、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物を塗布し、媒体の少なくとも一部を除去して硬化塗膜層を形成する。塗料組成物の詳細は既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
塗料組成物の塗布方法は特に制限されず、通常用いられる塗布方法から適宜選択することができる。塗布方法としては例えば、スプレー、刷毛、ローラー、ロールコーター、グラビアコーター等を挙げることができる。
塗料組成物の塗布量は、目的等に応じて適宜選択される。硬化塗膜層の厚みは例えば、0.1〜200μmとすることができ、0.1〜50μmであることが好ましい。硬化塗膜層の厚みが前記範囲内であると充分な接着性、耐候性が得られる傾向がある。
プライマー層上に塗布された塗料組成物からは、媒体の少なくとも一部が除去されてプライマー層上に硬化塗膜層が形成される。硬化塗膜層は、架橋性基を有するフッ素樹脂と硬化剤とが反応して硬化物を形成することで得られ、硬化塗膜層が形成される際、硬化剤の少なくとも一部がプライマー層に含まれる変性ポリオレフィン系重合体が有する反応性基の少なくとも一部と反応して共有結合が形成される。
媒体の除去方法は特に制限されず、媒体の種類等に応じて適宜選択することができる。媒体の除去は例えば加熱処理によって行うことができ、加熱温度としては例えば50〜150℃とすることができる。
基材上に塗布された塗料組成物からの媒体の除去量は、例えば、塗布された媒体の90質量%以上除去すればよく、95質量%以上除去することが好ましい。
<硬化塗膜層形成用キット>
本発明の硬化塗膜層形成用キットは、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体及び媒体を含むプライマー組成物と、架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物とを含む。硬化塗膜層形成用キットは、ポリオレフィン系重合体を含む基材上にフッ素樹脂を含む硬化塗膜層を形成することに好適に用いられ、形成される硬化塗膜層は基材との接着性に優れる。
プライマー組成物及び塗料組成物の詳細は、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
塗料組成物は例えば、架橋性基を有する含フッ素共重合体、媒体及び必要に応じて含まれる添加剤を含む主剤と、硬化剤とを使用する前に混合して調製することができる。すなわち、硬化塗膜層形成用キットは、プライマー組成物と主剤と硬化剤とを含んでいてもよい。
硬化塗膜層形成用キットはプライマー組成物及び塗料組成物に加えてその他の構成要素を含んでいてもよい。その他の構成要素としては例えば、当該キットを用いてポリオレフィン構造を含む基材上にフッ素樹脂を含む硬化塗膜層を形成する方法を記載した取り扱い説明書等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
プライマー組成物の調製
反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体として、スミフィットZ9901−E101(住化ケムテック社製、特殊ポリオレフィン、不揮発分30%、分子量50000〜60000、酸価50mgKOH/g)99.50質量部と、界面活性剤(表面調整剤)として、BYK−346(BYK社製、ポリエーテル変性シロキサン、不揮発分45%)0.50質量部とを混合して水系のプライマー組成物を調製した。
(調製例2)
主剤の調製
架橋性基を有する含フッ素共重合体として、ルミフロンFE4400(旭硝子社製、不揮発分48%)49.94質量部と、水38.60部と、密着改良剤としてZ−6040(東レ・ダウコーニング社製、グリシドキシプロピルトリメチルシラン)1.00質量部と、表面調整剤としてAQUAMAT272(BYK社製、変性ポリエチレンワックス、不揮発分55%)4.36質量部と、造膜助剤としてエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル5.80質量部と、増粘剤としてSNシックナー612NC(サンノプコ社製、有効成分40%)0.30質量部とを混合して塗料組成物の主剤を調製した。
(実施例1)
上記で調製した主剤17質量部と、硬化剤としてデュラネートWL76−100(旭化成ケミカルズ社製)1質量とを混合して塗料組成物を調製した。
ポリオレフィン系重合体を含む基材として、EPDMゴム製及びポリプロピレン(PP)製の7×7cmの板状部材をそれぞれ用意した。EPDMゴム製の板状部材としては、表面がマット状のものを用い、PP製の板状部材としては、サンドペーパー(#240)で表面を粗面化したものを用いた。
プライマー組成物を用意した基材上にバーコーターを用いて塗布し、100℃の乾燥機中で3分間加熱乾燥した。これにより基材上に厚さ約4μmのプライマー層を形成した。
次いで上記で調製した塗料組成物を形成されたプライマー層上にバーコーターを用いて塗布し、100℃の乾燥機中で5分間加熱乾燥した。これによりプライマー層上にフッ素樹脂を含む厚さ約4μmの硬化塗膜層を形成された評価用サンプルを得た。
(評価)
評価用サンプルを室温で24時間放置した後、クロスカット法(JIS K5600−5−6に準拠)による接着性の評価を行った。クロスカットは1mm間隔の100マスとし、下記評価基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
評価基準
分類0 剥離なし
分類1 剥離面積が5%未満
分類2 剥離面積が5%以上15%未満
分類3 剥離面積が15%以上35%未満
分類4 剥離面積が35%以上65%未満
分類5 剥離面積が65%以上
(比較例1)
実施例1において、塗料組成物の代わりに、硬化剤を含まない主剤のみを塗布してフッ素樹脂を含む塗膜層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして評価用サンプルを調製して評価した。
(比較例2)
実施例1において、プライマー層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価用サンプルを調製して評価した。
Figure 2015202607
表1から、本発明の積層体は硬化塗膜層と基材との接着性に優れることが分かる。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系重合体を含む基材と、
    反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層と、
    架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物から形成された硬化塗膜層とが、この順に積層され、
    前記反応性基の少なくとも一部と硬化剤の少なくとも一部とが共有結合を形成してなる積層体。
  2. 前記反応性基及び架橋性基がそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基、エポキシ基、ニトリル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基及びアジリジン基からなる群から選択される官能基である請求項1に記載の積層体。
  3. ポリオレフィン系重合体を含む基材上に、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体を含むプライマー層を形成する工程と、
    プライマー層上に、架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物を塗布し、媒体の少なくとも一部を除去して硬化塗膜層を形成する工程と、
    を有し、
    前記硬化塗膜層を形成する工程が、反応性基の少なくとも一部と硬化剤の少なくとも一部とが共有結合を形成することを含む積層体の製造方法。
  4. 前記プライマー層を形成する工程が、前記基材上に、反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体及び媒体を含むプライマー組成物を塗布し、媒体の少なくとも一部を除去することを含む請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記反応性基及び架橋性基がそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基、エポキシ基、ニトリル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基及びアジリジン基からなる群から選択される官能基である請求項3又は4に記載の積層体の製造方法。
  6. 反応性基を有する変性ポリオレフィン系重合体及び媒体を含むプライマー組成物と、
    架橋性基を有する含フッ素共重合体、硬化剤及び媒体を含む塗料組成物と、
    を含む二液型塗料用キット。
  7. 前記反応性基及び架橋性基がそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイル基、エポキシ基、ニトリル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基及びアジリジン基からなる群から選択される官能基である請求項6に記載の二液型塗料用キット。
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