JP2015193194A - ガスバリア性フィルムとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、アルコキシドを加水分解した場合、そのアルコキシドは加水分解直後から縮合反応が進行し、時間経過とともに粗粒子(塊状ゲル)化が進み、この粗粒子化した加水分解物と水溶性高分子は、両者が相分離することにより立体障害となるため、複合体として空隙が多い膜質となり、良好なガスバリア性が得難く、高温多湿下等の過酷条件において水溶性高分子が膨潤しガスバリア性の低下を引き起こすため、ガスバリア性皮膜として十分なものとはいえない。
そして、従来よりも均質で安定な緻密な塗膜構造を有するガスバリア性塗膜を作製するためにはガスバリア性塗膜の形成過程が重要であり、ガスバリア性塗膜を形成するゾルゲル反応を制御することが不可欠であるとの考えに至った。
ここでは、シロキサン結合のネットワーク構造は、ランダム構造のネットワーク構造を意味し、4員環構造はアルコキシドの加水分解物の珪素原子が持っている水酸基がすべて縮合反応して形成される規則的な網目構造のものであり、微粒子化していること、3員環構造は構造欠陥によるものであることから、本発明のランダム構造のネットワーク構造の形成に関与しないものであり、本発明のネットワーク構造に含まれない。
ゾルゲル反応により形成するシロキサン結合を有する構造のものは、珪素原子の結合状態が下記Q1→Q2→Q3→Q4へと縮合反応し、結合状態が変化することから、基本的には、アルコキシシラン加水分解縮合物はQ1、Q2、Q3、Q4の構造のものの混合系となる。
高分子微結晶としてシロキサン結合のネットワーク構造に取り込まれたものは、水溶性高分子の存在状態分析により確認することができる。
そして、本発明のナノコンポジット膜は、該膜中の水溶性高分子の存在状態は、固体13C−NMR装置を用いてCP/MAS法で分析した際、メチン由来のピーク(66〜75ppm)に得られたスペクトルから、配向性の高い水溶性高分子に由来する70ppm由来のピークを波形分離することで評価できる。そこで、メチン由来のピークのスペクトルから70ppm由来のピークを波形分離し、そのピーク面積比(A70ppm/A66〜75ppm)×100を求めたとき、本発明のナノコンポジット膜では、ピーク面積比が40%以上のものであることが改善されたガスバリア性塗膜として必要である。
ナノコンポジット膜中の水溶性高分子は結晶化し微結晶として取り込まれた状態の方がガスバリア性塗膜のガスバリア性が優れたものとなることから、結晶化度が100%となることが好ましい。本発明は、ネットワーク構造に結晶性の水溶性高分子をできる限り均一に分散し、存在させ、加熱処理により結晶化させ、ネットワーク構造中に取り込まれた状態の微結晶を形成し、存在させることから、十分な結晶化時間、加熱温度などの処理条件によりできる限り結晶化度を100%に近づけることが好ましい。
本発明のアルコキシシラン加水分解縮合物と結晶性の水溶性高分子から形成されるナノコンポジット膜では、水素緩和時間は3.0以上になることはない。
本発明のナノコンポジット膜では、レトルト処理後のガスバリア性の劣化の割合が高いものと劣化の割合が低いものとの差異から、すなわち、ガスバリア性塗膜が空隙の多い構造になるため、煮沸処理やレトルト処理を行う、高温、多湿下では水溶性高分子が膨潤し易く、ガスバリア性が低下し、十分ではないものと区別するため本発明のナノコンポジット膜の水素核緩和時間は2.0msec以上のものであることが必要である。
本発明は、アルコキシシランを上記条件下で加水分解することで、アルコキシシラン加水分解縮合物は、珪素原子の結合状態がQ1及びQ2構造をとるものの割合が珪素原子全体の60%以上になるように調製するものである。
さらに詳細には、乾燥工程の第1回目の加熱処理の温度よりも第2回目の加熱処理の温度が低い温度の条件下で加熱処理することにより緻密なネットワーク構造の形成と結晶性の水溶性高分子の微結晶化を実現するものである。
本発明では、結晶性を有する水溶性高分子としてポリビニルアルコールを用い、アルコキシシランとしてテトラエトキシシランを用いることがガスバリア性塗膜材料として好ましい。
本発明では、本発明のガスバリア性塗膜を、従来のゾルゲル法により形成されるガスバリア性塗膜と異なり、アルコキシシランの加水分解物の縮合物と結晶性を有する水溶性高分子とを混合させる際、該縮合物の珪素原子の結合状態により区別される前記4種類の結合状態のアルコキシランの加水分解物の縮合物のうちQ1及びQ2構造を有する加水分解物の縮合物の割合が珪素原子全体の60%以上有する軽度加水分解縮合物を水溶性高分子と共存させた状態の混合溶液を基材フィルム上に塗工・乾燥、加熱処理することにより、加水分解生成物と縮合物、あるいは縮合物同士が縮合し、大きなシリカ粒子を形成することなく、結晶性を有する水溶性高分子の分子運動を束縛するSi−O−Si結合を基本骨格とするシロキサン結合のネットワーク構造に高分子微結晶を分散し、安定して保持した状態からなるナノコンポジット膜に形成したもの、すなわち、軽度加水分解縮合物の割合を制御して重縮合反応することにより、基本骨格のシロキサン結合のネットワーク構造の網目の中により結晶化度の高い結晶化した水溶性高分子が分散して配置された形態となり、結晶化した水溶性高分子とシロキサン結合の網目構造とが均一に分散配置した緻密で、硬い膜構造となる。
本発明は、ガスバリア性塗膜の膜構造の改善により、結晶化した水溶性高分子の膨潤も生じることがなく、従来のガスバリア性塗膜に比較して高いガスバリア性を有するとともに、高温多湿下、長期の保存でもガスバリア性の劣化の少ない、安定したガスバリア性を有するガスバリア性フィルムを得ることができる。
しかもネットワーク構造を形成するためのアルコキシシラン加水分解縮合物の活性種が残存したガスバリア性塗膜が形成され、そして、製造ラインから離れて、第2回目の加熱処理によりナノコンポジット膜の形成、すなわち、ネットワーク構造の形成と結晶性の水溶性高分子の微結晶化を促進し、かつネットワーク構造の網目に微結晶を取り込む後処理をすることができ、かつガスバリア性フィルムをガスバリア性の改善の得られる十分な加熱処理時間1〜300時間、好ましくは、50〜200時間、加熱処理することもでき、製造効率に影響することなく、効率的にガスバリア性が改善されたナノコンポジット膜を形成でき、製品性能の向上とともに、製造効率の向上にもつながる。
本発明のガスバリア性フィルムは、基本的な構成としては、基材フィルムの一方の側に、ガスバリア性塗膜を設けた層構成を基本構造とするものである。この例は、本発明のガスバリア性フィルムの一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、本発明のガスバリア性フィルムを特徴付けている改良ゾルゲル法によるガスバリア性塗膜について詳しく説明する。
本発明のガスバリア性塗膜は、ガスバリア性塗膜を形成する材料として、一般式Si(OR)n(式中のRは炭素数1〜8のアルキル基であり、nはSiの原子価4以下であることから、1〜4の整数である)を出発原料として用いるものである。
ガスバリア性塗膜は、出発原料を加水分解して生成するアルコキシシランの加水分解産物の縮合物と結晶性を有する水溶性高分子とを成分とした混合溶液をガスバリア性塗膜となるコーティング層を形成するガスバリア性組成物のバリアコート剤とし、該バリアコート剤を基材フィルムに塗布し、コーティング層を形成した構造とし、該コーティング層から溶媒を加熱、除去し、そのコーティング膜をさらに硬化処理して形成したものである。
本発明の出発原料である一般式Si(OR)nのアルコキシシランは、式中のRが炭素数1〜8のアルキル基であり、nは1以上の整数であり、nは、Siの原子価4以下である。該アルキル基R1の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。また、R2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。同一分子中にこれらアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
一般式Si(OR)nのアルコキシドは、加水分解によってアルコキシシランの加水分解産物を生成する。この加水分解反応は、触媒の存在下で迅速に進み、OR基のRのアルキル基は全て加水分解され、OH基に変わる。
例えば、テトラエトキシシランSi(OC2H5)4、について例示すると、下記(1)式の反応が進むことになる。ここで、出発原料のアルコキシシラン(Q0)、アルコキシシランの加水分解産物(Q01)と表す。
Q1、Q2構造の存在比率が60%より低いということは、前記縮合物の形成反応の進行にあるとおり、Q3あるいはQ4構造の存在比率が高まっていることから、従来のゾルゲル法と同じように大きな分子構造のQ3、Q4構造が加水分解縮合物の溶液中に分散し、その存在する割合が高まり、Q1、Q2構造のアルコキシシラン加水分解縮合物の縮合反応により水溶性高分子を分散して均一に保持され緻密で均一な網目構造のネットワーク構造の形成を妨げることになる。また、水溶性高分子が網目構造のネットワーク構造の網目に取り込まれず、水溶性高分子が膨潤し易くなり、緻密で均一な膜構造が得られず、十分な膜硬度の向上につながらない。その結果、レトルト殺菌処理後のガスバリア性が低下するという不都合な劣化を抑える目的が達成し難くなる。
本発明では実験的にSi−O−C結合は検出されていない。
本発明において、硬い膜構造と可撓性とが併存するバランスのとれたナノコンポジット膜構造のガスバリア性塗膜を形成するため、ガスバリア性組成物からなるバリアコート剤を製造する際、ガスバリア性塗膜に可撓性を与えるために水溶性高分子が必要となる。
本発明の水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、アクリル酸系樹脂、天然高分子系のメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースナノファイバー、多糖類などが挙げられる。
このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRS樹脂である「RS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、同社製の「クラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を挙げることができる。
また、ポリビニルアルコールとエチレン・ビニルアルコールコポリマーを組み合わせたものを水溶性高分子として用いるができる。そのことによって、得られる塗膜のガスバリア性、耐水性、耐候性等が著しく向上する。さらに、ポリビニルアルコールとエチレン・ビニルアルコールコポリマーとを組み合わせたプラスチックは、ガスバリア性、耐水性、及び耐候性に加えて耐熱水性及び熱水処理後のガスバリア性に優れる。ポリビニルアルコールの割合を制御して適度な結晶性を有するものとして用いることができる。
このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRS樹脂である「RS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、同社製の「クラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を挙げることができる。
次に、本発明のナノコンポジット膜構造を有するガスバリア性塗膜を形成するために用いるガスバリア性組成物からなるバリアコート剤の調製について説明する。
アルコキシシランを加水分解するため触媒として、ゾルゲル法で用いられているように酸を触媒として用いることができる。酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸が用いられる。
本発明では、アルコキシシラン加水分解縮合物溶液の溶媒として水性溶媒系を用いることができる。具体的には、水―アルコール系の混合溶媒を用いる。ここで用いるアルコール類としては、本発明の目的のアルコキシシランの縮合物の調製及び均一な混合溶液の状態を損なわないものであるならば特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等を挙げることができる。アルコール類は、1種又は2種以上を併用した水−混合アルコール系溶媒として用いてもよい。
そこで、本発明のアルコキシシラン加水分解縮合物の溶液の調製は、具体的には、反応系の水―アルコール系の混合溶媒を用い、その混合溶媒系の温度を20℃以下に維持し、その混合溶媒に前記酸触媒を加え、pHを前記1.0〜4.0の範囲好ましくは、pH1.5〜3.0の範囲内に調整し、その後、温度を20℃以下に維持しながらアルコキシシランを混合することによりアルコキシシランの加水分解産物を生成し、さらに、所望のアルコキシシラン加水分解縮合物が所定量存在するように調製する。
該縮合物の重量比率が少ないと、ガスバリア性塗膜中に水溶性高分子が均一に分散した、縮合物のネットワーク構造が形成されにくくなり、ナノコンポジット膜構造も緻密性が劣り、該膜硬度が高いものが得られにくくなる。また、レトルト処理後の膜硬度が低下し、ガスバリア性が低下する。アルコキシシラン加水分解縮合物の割合が多すぎると、ガスバリア性塗膜は、膜硬度が高くなりすぎるため可撓性を併せ持つナノコンポジット膜が得られなくなる。
本発明において、前記調製した混合溶液のバリアコート剤を基材フィルムの一方の側に、常法により塗布し、直ちに、溶媒を加熱、除去する。この溶媒を加熱処理により除去する塗膜を形成する工程によって、水溶性高分子とアルコキシシラン加水分解縮合物を含むバリアコート剤のコーティング層からガスバリア性塗膜を形成する。
挙げることができる。
したがって 、酸化アルミニウム層に影響を及ぼさない範囲の温度条件で処理することが好ましい。ロールtoロール方式の場合、加熱処理の温度条件は製造ラインの基材搬送スピード、加熱時間等により変化することから、製造条件も考慮して温度条件を設定する。本発明の製造方法として、溶液中の溶媒の沸点(Tbp)からプラス100℃までの温度範囲が特に好ましい。
このようなガスバリア性塗膜を形成したガスバリア性フィルムの厚さは特に制限されないが、好ましくは9〜30μmである。
本発明において使用する基材フィルムとしては、特に限定されるものではないが、化学的又は物理的強度に優れ、バリアコート剤を用いてガスバリア性塗膜を形成する条件等に耐え、それらの特性を損なうことなく、ガスバリア性塗膜を良好に保持し得ることができるプラスチックフィルム単独又は2種以上のプラスチック材料を使用して積層したフィルム、あるいは該プラスチック基材と金属箔又は金属酸化物蒸着層を形成したフィルム、織物又は編織布などの布帛、紙基材などの他の材料を積層したものを基材フィルムとして用いることができる。
これらの樹脂は単独重合体であっても共重合体であっても、あるいは1種以上の樹脂を溶融混合してフィルム状に成形したものを用いることができる。
本発明においては、上記プラスチックフィルムの中でも、特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、又は、ポリアミド系樹脂のフィルム又はシートを使用することが好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムは、熱水処理、特に高圧熱水処理(レトルト処理)後のガスバリア性にも優れたガスバリア性と柔軟性とを有するので、包装材料として有用であり、特に食品包装用フィルムとして好適に使用される。
印刷層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、さらに、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練して調製したインキ組成物を用いることができる。次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の印刷方式を使用し、ガスバリア性フィルムのガスバリア性塗膜上に、文字、図形、記号、模様等からなる所望の印刷模様を印刷して、印刷模様層を形成することができる。
次に、包装材料を構成するラミネート用接着剤層について説明する。ラミネート用接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジェンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を使用することができる。
次に、ヒートシール性樹脂層について説明する。ヒートシール性樹脂層を構成するヒートシール性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、又はこれらの樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
上記樹脂フィルムないしシートは、単層ないし多層で使用することができ、また、上記樹脂のフィルムないしシートの厚さとしては、5〜300μm、好ましくは、10〜110μmである。
本発明においては、上記のような理由から、約10〜100μm、好ましくは、12〜50μmが好ましい。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジェン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂のフィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。その他、例えば、合成紙等も使用することができる。
さらに、本発明においては、フィルムないしシートとしては、押出成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの形態の膜でもよい。
得られたガスバリア性フィルムについては、ガスバリア性を評価するために、酸素透過度、水蒸気透過度を測定した。さらに、ガスバリア性塗膜の表面緻密状態を判断する指標として、膜硬度を測定した。
各実施例における測定値は、以下の測定手段を用い、下記要領で測定した。
Jobin Yvon社製T-64000を用いて、測定モード:顕微ラマン分光法によりシリカネットワーク構造の有無について測定を行った。同測定は、ネットワーク構造に寄与しない直鎖状ポリシロキサン(488cm-1)及びSiO2の4員環構造(495cm-1)と、Si−O−Si結合のネットワーク構造(425cm-1)が観測可能であることからネットワーク構造の大小については、425cm-1の面積強度(A425)と490cm-1の面積強度(A490)、及び488cm-1と495cm-1の干渉部分比(=A425/A490)を指標とした(表1参照)。
なお、顕微ラマン分光法は、物質にレーザー光を照射した際に発生するラマン散乱光を検出・分光することにより化学結合や結晶状態等に関する知見を得る方法で、結晶性や有機物/無機物を問わず、各種化合物の化学分析を高い空間分解能で行うことができる。
ガスバリア性塗膜中の結晶性高分子(結晶性水溶性高分子)の状態分析をChemagnetics社製MX-300を用いて測定核周波数75.188829MHz(13C核)で、CP/MAS法により得られるNMRスペクトルにおいて、メチン由来のピーク(66〜75ppm)から配向性の高い水溶性高分子に由来する70ppmを波形分離し、そのピーク面積比を算出し、微結晶性の指標とし(表1参照)、70ppmのピーク面積比が40%以上の微結晶性を有する構造を基準とした。
ガスバリア性塗膜中の水溶性高分子の微結晶性を表す指標として上記CMX-300を用いて得られた水素核緩和時間により水溶性高分子の分子運動性を評価し(表1参照)、水素核緩和時間が2.0msec以上を微結晶性を有する構造の基準とした。
なお、CP/MAS法によるPVAのNMRスペクトルは、メチン由来のピークとメチレン由来のピークが観測され、メチン由来のピークには、ショルダーピークが認められ、ショルダーピークは両側のヒドロキシ基と分子内水素結合するヒドロキシ基に結合したメチン(I:75ppm)、片側のヒドロキシ基とのみ分子内水素結合するヒドロキシ基に結合したメチン(II:70ppm)及び分子内水素結合に関与しないメチン(III:66ppm)に由来する。
材料の硬さや弾性率は、製品の強度や耐久性などを決める重要な機械的特性の一つで、薄膜の場合は従来の硬さ試験法では膜固有の特性を得ることができないことから、HYSITRON社製T1950トライボインデンターを用いてガスバリア性塗膜に圧子を当て荷重をかけ「荷重−変位(押し込み深さ)」から膜硬度を算出した(表2参照)。
<酸素透過度の測定>
酸素透過度の測定は、得られたガスバリア性フィルムを温度23℃、湿度90%RHの条件下で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OX-TRAN2/21)〕を使用し、JIS規格 K7126に従い、測定した(表2参照)。
水蒸気透過度の測定は、得られたガスバリア性フィルムを次の2つの条件下;温度40℃、湿度90%RHの条件及び温度50℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN3/33)〕を使用して、JIS規格 K7129に従い、測定した(表2参照)。
本発明の実施例及び比較例において用いたガスバリア性フィルムの製造方法については、以下のとおり行った。
次いで、110℃、30秒間、1回目の加熱処理(乾燥処理)し、その後、さらに85℃、72時間、2回目の加熱処理を施し、膜厚0.3μmのガスバリア性のコーティング層を形成した。
水677g、イソプロピルアルコール117g及び0.5N塩酸16gの混合し、pH2.2に調整した溶液にテトラエトキシシラン285gを液温10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。同溶液中の珪素原子の結合状態をChemagnetics社製CMX-300を用いて測定核周波数59.639191MHz(29C核)、DD/MAS法により測定した結果、Q1構造23.6%、Q2構造49.5%であった。
バリアコート剤の調製方法以外は、実施例1と同様の方法にて上記基材フィルム上に下記条件にて調製したバリアコート剤をグラビアコーターにより塗工後、実施例1と同様の条件にて加熱処理し、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
水677g、イソプロピルアルコール117g及び0.5N塩酸16gを混合し、pH2.7に調整した溶液にテトラエトキシシラン285gを液温10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。同溶液中のSiの結合状態をChemagnetics社製CMX-300を用いて測定核周波数59.639191MHz(29C核)、DD/MAS法により測定した結果、Q1構造12.1%、Q2構造55.6%であった。
ケン価度99%以上分子量2400のポリビニルアルコール70g、水1540g、イソプロピルアルコール80gを混合した溶液Bを調製した。
A液が得られると同時に、B液とpH2.7、液温10℃となるように冷却した条件下で重量比6.5:3.5となるよう混合して得られた溶液をバリアコート剤とした。
バリアコート剤の調製方法以外は、実施例1と同様の方法にて下記条件にて調製したバリアコート剤をグラビアコーターにより塗工後、実施例1と同様の条件にて加熱処理し、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。同溶液中のSiの結合状態をChemagnetics社製CMX-300を用いて測定核周波数59.639191MHz(29C核)、DD/MAS法により測定した結果、Q1構造7.8%、Q2構造53.9%であった。
水677g、イソプロピルアルコール117g及び0.5N塩酸16gを混合し、pH2.4に調整した溶液にテトラエトキシシラン285gを液温25℃となるよう冷却しながら混合させて得られた溶液Aを調製した。
ケン価度99%以上分子量2400のポリビニルアルコール70g、水1540g、イソプロピルアルコール80gを混合した溶液Bを調製した。
A液が得られると同時にB液とpH3.0、液温20℃となるよう冷却した条件下で重量比6.5:3.5となるよう混合して得られた溶液をバリアコート剤とした。
バリアコート剤の調製方法以外は、実施例1と同様の方法にて下記条件にて調製したバリアコート剤をグラビアコーターにより塗工後、実施例1と同様の条件にて加熱処理し、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
水677g、イソプロピルアルコール117g及び0.5N塩酸16gの混合し、pH2.2に調整した溶液にテトラエトキシシラン285gを液温10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。同溶液中のSiの結合状態をChemagnetics社製CMX-300を用いて測定核周波数59.639191MHz(29C核)、DD/MAS法により測定した結果、Q1構造23.6%、Q2構造49.5%であった。
厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学製FOP)(Tg:90℃ )を基材とし、コロナ処理を施し、該コロナ処理面に実施例1と同様の方法、及び条件にて調製したバリアコート剤をグラビアコーターにより塗工し、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
次いで、100℃、30秒間、1回目の加熱処理(乾燥処理)し、その後、さらに85℃、72時間、2回目の加熱処理を施し、膜厚0.3μmのガスバリア性のコーティング層を形成した。
バリアコート剤塗工後の2回目の加熱処理を実施しない以外は実施例1と同様の製法にて、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
バリアコート剤塗工後の2回目の加熱処理条件を55℃、72時間に変更した以外は実施例1と同様の製法にて、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
バリアコート剤塗工後の1回目の加熱処理条件を90℃、30秒に変更した以外は実施例1と同様の製法にて、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
バリアコート剤の調製方法以外は、実施例1と同様の方法にて下記条件にて調製したバリアコート剤をグラビアコーターにより塗工後、実施例1と同様の条件にて加熱処理し、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
水677g、イソプロピルアルコール117g及び0.5N塩酸16gの混合し、pH3.0に調整した溶液にテトラエトキシシラン285gを液温10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。同溶液中のSiの結合状態をChemagnetics社製CMX-300を用いて測定核周波数59.639191MHz(29C核)、DD/MAS法により測定した結果、Q1構造1.8%、Q2構造57.1%であった。
ケン価度99%以上分子量2400のポリビニルアルコール70g、水1540g、イソプロピルアルコール80g、シランカップリング剤8gを混合した溶液Bを調製した。
A液が得られると同時に、B液とpH3.0、液温10℃となるように冷却した条件下で、A液:B液が、重量比6.5:3.5となるよう混合して得られた溶液をバリアコート剤とした。
バリアコート剤塗工後の2回目の加熱処理を行わない以外は実施例5と同様の方法にて実施例1と同じバリアコート剤をグラビアコーターにより塗工し、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
バリアコート剤の調製方法以外は、実施例1と同様の方法にて下記条件にて調製したバリアコート剤をグラビアコーターにより塗工後、実施例1と同様の条件にて加熱処理し、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
テトラエトキシシラン208gに0.1N塩酸179.2gを混合した後、30分攪拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の溶液Aを作製した。同溶液中のSiの結合状態をChemagnetics社製CMX-300を用いて測定核周波数59.639191MHz(29C核)、DD/MAS法により測定した結果、Q1構造2.3%、Q2構造40.6%であった。
ケン価度99%以上分子量2400のポリビニルアルコール67g、水1540g、イソプロピルアルコール80gを混合した溶液Bを調製した。
(比較例7)
バリアコート剤の調製方法以外は、実施例1と同様の方法にて下記条件にて調製したバリアコート剤をグラビアコーターにより塗工後、実施例1と同様の条件にて加熱処理し、膜厚0.3μmのガスバリア性を有するコーティング層を形成した。
テトラエトキシシラン17.9gとメタノール10gに0.1N塩酸72.1gを加え、30分間攪拌し、加水分解させた固形分5wt%(SiO2換算)の溶液Aを作製した。 同溶液中のSiの結合状態をChemagnetics社製CMX-300を用いて測定核周波数59.639191MHz(29C核)、DD/MAS法により測定した結果、Q1構造0%、Q2構造33.5%であった。
ケン価度99%以上分子量2400のポリビニルアルコール105.3g、水1900g、イソプロピルアルコール100gを混合した溶液Bを調製した。
また、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとIPA溶液に1N塩酸を徐々に加え、30分間攪拌し、加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5wt%(重量比R2Si(OH)3換算)の溶液Cを調整した。
上記溶液A、B及びCを重量比7.0:2.0:1.0となるよう混合して得られた溶液をバリアコート剤とした。
各実施例及び比較例のガスバリア性フィルムのガスバリア性塗膜の塗膜構造について測定した結果を表1に示す。
本発明において形成される塗膜構造のナノコンポジット膜は、比較例のガスバリア性塗膜よりネットワーク構造の形成割合が高いものができる。また、ガスバリア性塗膜を形成するために用いたバリアコート剤中のQ1及びQ2構造の存在比率の及ぼす影響については、表1に示すSiの結合状態をレーザーラマン分光法で分析したピークの面積強度比の比較分析により、Q1とQ2構造の存在比率が60%を境として、(Q1+Q2)構造の存在比率が高い方(実施例及び比較例1〜3)が低いもの(比較例4、5)より明らかにネットワーク構造が多く形成されていることが認められる。
また、ガスバリア性塗膜構造中の水溶性高分子の存在状態については、70ppmのピーク面積比が実施例の方が比較例より著しく大きくなり、水溶性高分子の分子内水素結合するヒドロキシ基が多くなり、また、ポリマー主鎖などに相当する運動モードを反映する水素核緩和時間T1ρが実施例の方が比較例より長く、分子運動性が低いと判断される。
また、比較例1〜3のとおり第2回目の加熱処理の温度、乾燥処理の加熱処理温度を本発明の実施例1の条件から外れた温度条件で行なうと、実施例1との比較から、ネットワーク構造を形成する割合が低下し、かつ水溶性高分子の微結晶化の割合も高まらず、分子運動性も高いままであることから、水溶性高分子のネットワークへの取り込まれる割合が低下しているものと評価できる。
本発明の実施例で形成したガスバリア性塗膜は、酸素、水蒸気ともにガスバリア性が高く、高温多湿環境下においてもガスバリア性の劣化も小さい結果が得られた。この要因として、形成されたガスバリア性塗膜の膜硬度は高温多湿環境下においても膜硬度の低下が小さく、本発明のナノコンポジット膜は、緻密で硬く、ガスバリア性に優れた構造の塗膜が形成さていることを明確に示している。
組成だけでなく、pH、混合溶液の反応時の液温、溶媒を飛ばすための加熱温度等を変更して、存在比率、膜硬度、酸素又は水蒸気透過度が評価できるよう実施例と対比的に影響因子を変更して本発明のガスバリア性塗膜の物性を比較した。
一方、比較例として挙げた本発明の規定値範囲外の場合では、比較例1ないし比較例5にみられるようにガスバリア性は低く、また、ガスバリア性塗膜の膜質も膜硬度の数値変動をみる限り向上するところがみられない。
コーティング層を形成し、溶媒を除去する温度、その後のコーティング膜の加熱処理したもの及びその処理温度により、ガスバリア性塗膜の膜質が硬く、ガスバリア性のレトルト処理による劣化が比較的小さく、優れたガスバリア性を示す。コーティング膜を加熱処理しないものはガスバリア性が劣化する傾向にあり、また膜硬度の低下も生じ、ガスバリア性塗膜として劣ることが分かる。
本発明においては、優れたガスバリア性塗膜をアルコキシシラン加水分解縮合物のQ1構造及びQ2構造の存在比率を制御するように調製することで形成でき、かつ塗布等により塗膜層を連続的に形成することができることから、その生産性を向上させることができるものである。
本発明において、ガスバリア性塗膜は優れたガスバリア性と可撓性とを有するので、包装材料として有用であり、特に食品包装用、医療用包装フィルムとして好適に使用される。
さらに、本発明のガスバリア性フィルムは、層構成が簡素化し、ガスバリア性に優れ、かつ高温多湿下においても長期保存後においてもガスバリア性の劣化も少ないものである。
Claims (15)
- 高分子樹脂組成物からなる基材上に分散した高分子微結晶とそれを安定して保持するシロキサン結合のネットワーク構造からなるナノコンポジット膜を積層したガスバリア性フィルム。
- 該分散した高分子微結晶が水溶性高分子である請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 該ナノコンポジット膜を形成するシロキサン結合が一般式Si(OR)4(Rはアルキル基)で表されるアルコキシシランを出発物質として、全珪素原子中のQ1及びQ2構造を60%以上有する軽度加水分解縮合物を水溶性高分子と共存させて形成される請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 該軽度加水分解縮合物が一般式Si(OR)4(Rはアルキル基)からなるアルコキシシランをpH1.5〜3.0、液温5℃以上30℃以下の条件下で加水分解して得られたものである請求項3に記載のガスバリア性フィルム。
- 該ナノコンポジット膜中の珪素原子の結合状態をレーザーラマン分光法で分析した際、425cm-1(ネットワーク構造由来のピーク)の面積強度(A425)と490cm-1(ネットワーク構造に寄与しないピーク)の面積強度(A490)の比A425/A490が2.0以上3.0以下である請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 該ナノコンポジット膜中の水溶性高分子の状態を固体13C−NMR装置を用いてCP/MAS法で分析した際、66〜75ppmで得られたスペクトルから70ppm由来のピークを波形分離し、そのピーク面積比(A70ppm/A66〜75ppm)×100が40%以上であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 該ナノコンポジット膜中の水溶性高分子の分子運動性に由来する固体C−NMR装置を用いて得られる水素緩和時間が2.0msec以上であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 60℃、90%RHの条件下で500時間保管後の該ナノコンポジット膜がナノインデンテーション法により測定して得られる硬度で1.0GPa以上である請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 高分子樹脂組成物からなる基材上に、一般式Si(OR)4(Rはアルキル基)で表されるアルコキシシランの軽度加水分解縮合物と水溶性高分子を共存させた請求項3に記載の溶液を塗布した後、少なくとも2回加熱処理することにより高分子微結晶とそれを保持するシロキサン結合のネットワークからなるナノコンポジット膜を形成させる請求項1に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 第1回目の加熱処理が溶媒を除去し塗膜を形成する処理であり、また第2回目の加熱処理の温度条件が第1回目の加熱処理の温度条件より低い温度であることを特徴とする請求項9に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 第1回目の加熱処理の温度(T)は、請求項3記載の溶液に使用した溶媒の沸点をTbpとした場合、(Tbp) ℃〜(Tbp)+100 ℃の範囲内であり、第2回目の加熱処理の温度は、水溶性高分子のガラス転移温度をTg-coat、基材フィルムのガラス転移温度をTg-baseとした場合、(Tg-coat)℃〜(Tg-base)℃の範囲内である請求項9又は10
に記載のガスバリアフィルムの製造方法。 - 第2回目の加熱処理の加熱時間が第1回目の加熱処理の加熱時間より長く、第2回目の加熱処理の加熱時間が1〜300時間であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 第2回目の加熱処理の加熱時間が50〜200時間であることを特徴とする請求項12に記載のガスバリアフィルムの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の該ナノコンポジット膜面に接着層を介してヒートシール性樹脂を積層した包装材料。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の該ナノコンポジット膜面に印刷層を設けた後、接着層を介してヒートシール性樹脂を積層した包装材料。
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